説明

クッションクリップ

【課題】固定部材に取付けて使用されるクッションクリップについて、大型化によらず、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力が得られ、所定のストローク量に達した後は急激に反力荷重が増加するクッションクリップを提供する。
【解決手段】クッションクリップ10はクッション部20と係止部40と突起部34を備えている。そして、クッション部20は底部24と側壁部22とを備えた中空形状とされ、側壁部22の内側壁28および外側壁26は底部側から先端に向かって縮径する円錐形状とされている。そして、側壁部22の先端には、内側壁28が径方向内側に張り出し中央に円形の開口孔25が設けられた頂上部30が形成されている。そして、突起部34はクッション部20の底部24から開口部25に向かって柱状に突出する構成とされており、突起部34の先端の径は開口孔25の径以上とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はクッションクリップに関する。具体的には固定部材に形成された取付孔に対して係止され、固定部材と可動部材の間で、固定部材に可動部材が接近する際の衝撃を吸収するクッションクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のクッションクリップには、衝撃を吸収するクッション部と固定部材に形成された取付孔に係止させるための係止部とが一体化された構成とされているものがある。そして、この構成のクッションクリップでは、クッション部が軟質樹脂材により中空の略円筒形状に形成されており、固定部材に可動部材が接近すると、固定部材と可動部材の間でクッションクリップのクッション部が弾性変形により押し縮められて、衝撃を吸収する。
【0003】
先行技術として、特開2006−153083号公報(特許文献1)には、クッション部が中空とされクッション部の底部に凸部が形成されたクッションクリップが記載されている。また、特開2007−225093号公報(特許文献2)には、クッション部の側壁が蛇腹状とされクッション部の底部に突起が形成されたクッションクリップが記載されている。
【0004】
図13に特許文献1に記載されたクッションクリップとほぼ同一の構成のクッションクリップ101の一部断面による正面図を示す。クッションクリップ101は、衝撃を吸収するクッション部110と、クッション部110を固定部材に取付けるための係止部120とを備えており、クッション部110は弾性を有する軟質材で形成され、係止部120は所定の剛性を有する硬質材で形成されている。そして、クッション部110の側壁部112の外形は略円錐状とされており、クッション部110の内部には空洞部140が形成されており、空洞部140の側壁180はほぼ垂直とされている。そして、空洞部140には先端側に向けて開口する略円形の開口部160が設けられており、空洞部140の基底部には、先端側に向けて突出する凸部190が設けられている。この凸部190はゲートのために設けられたものである。
【0005】
ところで、特許文献1に記載されたクッションクリップ101は、自動車部品であるグラブボックスの蓋を閉じる時の衝撃を吸収するためのものである。そして、グラブボックスに用いられるクッションクリップは次の役割を担っている。
(1)走行時の車の揺れによりグラブドアが振動することを防ぐ。
(2)手や肘などでグラブドアを強く押した場合にもドアとボックスが直接当たることを防ぎ、異音の発生やグラブドアおよびグラブボックスの傷つきを防止する。
(3)グラブドアの建付けのばらつきやロック機構によるガタツキを吸収して、グラブドアの開閉ができる。
(4)グラブドアを開いた時にクッションクリップが見えても大きさ、形が不快でない。
【0006】
そこで、上述の各役割を果たすために、グラブボックスに用いられるクッションクリップは次の特性を有することが必要となる。
(1)グラブドアを閉じた状態では振動に耐えうる十分な反力がある。
(2)大荷重の入力時には大きな反力を出す。
(3)どの建付けでも必要な反力が得られるよう、圧縮量の変化による反力の変化が少ない。
(4)小型であり、かつ、いびつでない。
そして、この特性を満たせない場合は、グラブドアが振動して異音が発生する、あるいはグラブドアが閉まらない等の問題が発生する。
【0007】
そこで、この種のクッションクリップには、反力荷重と圧縮量の関係について、次の特性を有することが求められる。
(1)圧縮初期は、早期に必要な反力が得られるよう、圧縮量当たりの反力の増加が大きいこと。
(2)必要な反力が得られた後の圧縮中期は、圧縮量当たりの反力の増加を抑えられること。
(3)大きな圧縮幅がとれた後の圧縮後期は、圧縮量当たりの反力の増加を大きくすること。
図14に、上述した反力荷重と圧縮量の関係を、理想荷重線として示す。図14のb点における反力荷重は最低反力荷重を示しており、車両の揺れによりグラブドアが振動して異音が発生するのを押さえることができる大きさを有する。そして、図14のe点における反力荷重は最高反力荷重を示しており、グラブドアのロックが解除できなくなり、開かなくなる大きさを有する。最高反力荷重を越えてクッションクリップの反力が大きくなると、グラブドアを開かないようにロックしているピンの摩擦が増えて、大きな力でグラブドアのドアノブを引っ張らないとグラブドアが開かなくなる。
このb点の最低反力荷重とe点の最高反力荷重の間が使用したい荷重の範囲であり、この間の圧縮量が大きいほど、ドアの建て付けのばらつきに対する対応幅が広くなる。なお、以下の説明では、最低反力荷重と最高反力荷重の間の圧縮量をクッションクリップのストロークと呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−153083号公報
【特許文献2】特開2007−225093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に記載のクッションクリップ101は、側壁部112および凸部190の圧縮により反力を得る仕組みであるため、反力は圧縮量の増加に伴いその積分値として増加する。そのため、圧縮量当たりの反力の増加が多く、圧縮中期の圧縮量は理想荷重線の半分程度であって、ドアの建て付けのばらつきに対する対応幅が狭いという問題がある。そして、圧縮中期を越えてさらに圧縮しようとすると、ドアが直接凸部190に干渉して反力荷重が高くなり、圧縮が困難となる。また、特許文献2に記載のクッションクリップも圧縮中期の圧縮量が理想荷重線の半分程度であり、圧縮中期における圧縮でクッション部の側壁の蛇腹同士が当たると粘着音が発生する。また、側壁が蛇腹状であり、外観が好ましいものとは云えない。
【0010】
そこで、ストロークを確保するために、従来技術のクッションクリップの円筒状の側壁の長さを伸ばしてクッション部を縦長形状とすると、圧縮の途中でクッション部のバランスが崩れて、クッション部が途中でへの字に折れ曲がってしまう。そのため、最後まで縦方向に圧縮できず必要な反発力が得られないため、衝撃を吸収することができない。
そして、クッション部のバランスが崩れないようにするためには、クッション部の長さと共にクッション部の底部の直径も大きくしてクッションクリップ全体を大型化しなければならず、クッションクリップの搭載スペースを広く取ることが必要となる。しかし、クッションクリップの搭載スペースを広く取ることは設計の制約で困難な場合もある。また、クッションクリップを大型化すると見栄えも良くない。
【0011】
そこで、本願の発明者は、鋭意検討の結果、クッションクリップの大型化によらず、ストロークが長く、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力が得られるクッションクリップを先に発明し、出願した(特願2009−8607、本願出願前未公知)。
【0012】
図15に先行発明品であるクッションクリップ210の外観斜視図を示す。クッションクリップ210は、自動車のグラブボックスのボックス本体250(図17参照)に形成された取付孔252(図17参照)に係止されて、グラブボックスのボックス本体250とドア254(図17参照)の間に位置して、ドア254を閉めた時の衝撃を吸収するクッションクリップである。そして、衝撃を吸収するクッション部220と取付孔252に係止させる係止部240が一体化された構成とされている。
【0013】
図16にクッションクリップ210の縦断面図を示す。クッションクリップ210のクッション部220は底部224と側壁部222とを備えた中空形状とされ、側壁部222の内側壁228および外側壁226は底部側から先端に向かって直線的に縮径する円錐形状とされている。そして、側壁部222の肉厚は底部側から先端に向かって薄くなる構成とされており、側壁部222の先端には、内側壁228が径方向内側に張り出し中央に円形の開口孔225が設けられた頂上部230が形成されており、開口孔225の下方には中空部232が形成されている。
そして、頂上部230は内側壁228が径方向内側に張り出した構成のため、頂上部230の下端の径方向の肉厚は、頂上部230の下方に続く側壁部222の上部の肉厚よりも厚い構成とされている。
そして、図15及び図16に示すとおり、側壁部222には、底部224に近い箇所において内外に通じるエア抜き孔223が形成されている。なお、エア抜き孔223は、クッション部220の変形特性に影響を与えない構成とされている。
【0014】
クッションクリップ210の係止部240は、図16に示すように、クッション部220の底部224に埋め込まれた円板形状の基部242と、下方に突出しボックス本体250(図17参照)の取付孔252(図17参照)に挿入される係止脚244とを備えている。
そして、クッション部220はエラストマで形成され、係止部240はポリプロピレンで形成されて、クッション部220と係止部240が2色成形により一体化された構成とされている。
【0015】
図17〜図19にボックス本体250に取付けられたクッションクリップ210の変形状態を表す縦断面図を示す。
図17はドア254がクッション部220に当たり、クッション部220の圧縮を開始した直後の圧縮初期の段階で、図14のa点とb点の間に対応する変形状態を示している。この段階では側壁部222の外側壁226が圧縮方向に直線状から円弧状に変形して突っ張り、圧縮量にほぼ比例した状態で反力荷重が立ち上がる。
【0016】
図18は、圧縮初期の段階が終わり、クッション部220の側壁部222が円筒状に変形した状態を示している。図14のb点とc点の間に対応する変形状態である。クッションクリップ210のクッション部220の側壁部222は、外側壁226及び内側壁228が上方に向かって縮径する円錐形状であり、側壁部222の肉厚が底部から先端に向かって薄くなる構成とされている。そして、クッション部220の頂上部230の下端の径方向の肉厚は、頂上部230の下方に続く側壁部222の上部の肉厚よりも厚い。そのため、クッション部220は側壁部222の上部が最も撓みやすい構成とされている。そこで、側壁部222の突っ張りにより圧縮初期の荷重が立ち上がった後、圧縮中期の初期の段階ではクッション部220の頂上部230のすぐ下の側壁部222が高さ方向の断面で見て円弧状に撓み、クッション部220の頂上部230が押し下げられて内側に丸められるように変形する。そして、さらに下方の側壁部222は壁面が圧縮方向に直線状であって下方に向かって肉厚となる構成のため、圧縮方向に撓むことなく突っ張り、側壁部222が外側に張り出す。そのため、クッション部220の側壁部222が円筒状に変形する。
【0017】
図19にドア254が閉められ、図示しないロック機構が働いてドア254がボックス本体250にロックされた状態におけるクッション部220の変形状態を示す。圧縮中期で、図14のc点とd点の間に対応する変形状態である。
図18に示した状態からさらに荷重が増加すると、円筒状に突っ張っていた側壁部222が内側に丸められるように曲がりながら変形する。ここで、クッション部220の側壁部222は上方ほど薄いため曲がりやすい。そして、側壁部222は下方ほど肉厚で径も大きくなるため、曲げに対する抗力は側壁部222の下方ほど大きくなる。そこで、側壁部222が曲がり始めると、側壁部222の屈曲部位は上方から下方へと移動し、反力荷重が僅かに増加しながら圧縮量が増大する。ここで、クッションクリップ210ではクッション部220の内側は中空部232とされているため、側壁部222がクッション部220の底部224に当たるまでは曲げ特性により変形し、反力荷重が急激に増大することはない。そして、反力荷重が僅かに増加する状態でクッション部220の圧縮が進み、側壁部222が底部224に当たる前に、図19に示した状態でドア254のロックが終了する。
【0018】
よって、クッションクリップ210によれば、クッション部が圧縮初期は突っ張り、圧縮中期は曲げ特性で屈曲部位が上方から下方へ移動する構成のため、クッションクリップの大型化によらず、ストロークが長く、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力を得られるクッションクリップを提供することが可能となった。
【0019】
ところで、クッションクリップ210は大型化しておらず、いびつでもないため、ドア254を開いた時にクッションクリップ210が見えても不快ではない。しかし、さらに見栄えを良くするために、クッションクリップ210を取り付けるボックス本体250に凹部を設けて、凹部にクッションクリップ210を収容して取り付ける場合がある。
図20に凹部が設けられたボックス本体250Aにクッションクリップ210を取り付けた構成で、ドア254が閉じられてドア254がボックス本体250Aにロックされた状態のクッション部220の変形状態を示す。
この状態では、クッション部220は、図14に示したc点とd点の間に対応する変形状態であるため、わずかな荷重の増加により、クッション部220が大幅に圧縮される余地が有り、反力荷重が急激には増加しない。
【0020】
そこで、閉められた状態のドア254に手や肘をぶつけてしまうと、ボックス本体250Aとドア254が直接当たってしまい、異音が発生したり、ボックス本体250Aやドア254に傷が付いてしまうという問題が生じる。
この問題を避けるためには、例えば、図20に想像線で示した樹脂製のクッション256をボックス本体250の凹部の回りに配置して、ドア254を支えなければならない。そのためには、追加の部品と追加の作業が必要となる。
なお、図13に示した従来品のクッションクリップ101はゲートのために設けられた凸部190があるため、ストロークが小さく、ドアを閉じる前に反力荷重が高くなってしまう。また、凸部190の径が細いため、ストッパーとしての役割が弱く、ドアとグラブボックスの干渉を防ぐまでには至らない。
【0021】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、固定部材の凹部に取付けて使用されるクッションクリップについて、クッションクリップの大型化によらず、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力が得られ、所定のストローク量に達した後は急激に反力荷重が増加するクッションクリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そこで、上記課題を解決するため、本発明にかかるクッションクリップは次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、固定部材に設けられた取付孔に対して係止され、固定部材と可動部材との間で、固定部材に可動部材が接近する際の衝撃を吸収するクッションクリップであって、
係止部とクッション部と突起部とを備え、該係止部により前記取付孔に係止され、該クッション部により衝撃を吸収する構成とされており、
前記クッション部は底部と側壁部とを備えた中空形状とされ、該側壁部の内側壁および外側壁は底部側から先端に向かって縮径する円錐形状とされ、該側壁部の外側壁は高さ方向に直線状とされており、
前記側壁部の先端には、内側壁が径方向内側に張り出し中央に円形の開口孔が設けられた頂上部が形成されており、
前記突起部は前記クッション部の底部から前記開口孔に向かって柱状に突出する構成とされ、該突起部の先端の径は該開口孔の径以上とされており、
前記可動部材が前記固定部材に接近すると、該可動部材に押された前記側壁部の頂上部が前記突起部の先端に覆い被さる構成とされている。
【0023】
この第1の発明によれば、初期の圧縮の段階では円錐状とされた側壁部の外側壁は圧縮方向に直線状であるため突っ張り、圧縮初期の荷重が立ち上がる。そして、クッション部の側壁部が外側に張り出して円筒状に変形する。さらに荷重が増加すると、円筒状に張り出していた側壁部が内側に丸められるように曲がりながら圧縮される。そして、側壁部の頂上部の内側壁がクッションクリップの下方向きに変形してクッション部の底部から突出する柱状の突起部の先端に覆い被さる状態となり、反力荷重が僅かに増加して圧縮量が増大する。そして、クッション部の側壁部の頂上部がクッション部の底部から突出する突起部に当たるまでは曲げにより圧縮が進むため、圧縮抵抗が急激に増大することはない。そして、側壁部が突起部に当たった後は、突起部による反力が加わるため圧縮抵抗が急激に増大する。そこで、突起部の高さを変えることによりクッションクリップのストロークを調節することができる。そして、側壁部は衝撃を吸収することができる構成のため、可動部材が側壁部に当たる時及び側壁部が突起部に当たる時の衝撃を和らげることができる。 よって、この第1の発明によれば、クッションクリップの大型化によらず、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力が得られ、所定のストローク量に達した後は急激に反力荷重が増加するクッションクリップを提供することができる。
【0024】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係るクッションクリップであって、
前記取付孔は固定部材の凹部に設けられており、前記側壁部の頂上部および前記突起部は、前記可動部材の前記固定部材への干渉を抑止できる寸法及び剛性を有する構成とされていることを特徴とする。
この第2の発明によれば、固定部材の凹部に設けられた取付孔に取付けられたクッションクリップの側壁部の頂上部および突起部は、可動部材の固定部材への干渉を抑止できる寸法及び剛性を有する構成とされている。
ここで、干渉を抑止できる寸法とは、頂上部の厚さおよび突起部の高さが、可動部材が固定部材に接触する前に、側壁部の頂上部および突起部が可動部材と固定部材に挟まれる状態となる寸法であることを意味する。そして、干渉を抑止できる剛性とは、頂上部および突起部が、頂上部及び突起部において圧縮に対して生じる反力荷重により、可動部材が固定部材へ干渉するのを抑止できる剛性を有することを意味する。よって、可動部材と凹部に取付孔が設けられた固定部材との干渉を防ぐことができる。
【0025】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係るクッションクリップであって、
前記側壁部の肉厚は底部側から先端に向かって薄くなる構成とされていることを特徴とする。
この第3の発明によれば、側壁部は上方ほど薄く曲がりやすい構成のため、側壁部の屈曲部位は側壁部の上方から下方に移動して、側壁部の曲げによりクッション部の圧縮が進む。よって、クッションクリップの大型化によらず、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力を得られるクッションクリップを提供することができる。
【0026】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれかの発明に係るクッションクリップであって、
前記クッション部は軟質材で形成され、前記係止部は硬質の樹脂材で形成されていることを特徴とする。
この第4の発明によれば、クッション部は軟質材で形成されているため、衝撃を吸収して弾性変形するのに適しており、係止部は硬質の樹脂材で形成されているため、取付孔への係止が安定する。
【0027】
次に、本発明の第5の発明は、上記第4の発明に係るクッションクリップであって、
前記突起部が軟質材によりクッション部と一体成形されていることを特徴とする。
この第5の発明によれば、突起部をクッション部と一体成形するので、突起部の形成が容易である。また、突起部が軟質材で形成されているので、側壁部が突起部に当たっても傷が付きにくく、干渉音を低音でかつ不快でない音質にすることができる。
【0028】
次に、本発明の第6の発明は、上記第4の発明に係るクッションクリップであって、
前記突起部が硬質の樹脂材によりに係止部と一体成形されていることを特徴とする。
この第6の発明によれば、突起部を係止部と一体成形するので、突起部の形成が容易である。また、突起部が硬質の樹脂材で形成されているので、側壁部が突起部に当たった後の反力荷重の増加を急激にすることができる。
【0029】
次に、本発明の第7の発明は、上記第4の発明に係るクッションクリップであって、
前記突起部は硬質の樹脂材により係止部と一体成形された突起を軟質材によりクッション部と一体成形された突起が被覆する構成とされていることを特徴とする。
この第7の発明によれば、突起部は硬質の樹脂材で形成された突起を軟質材で被覆する構成のため、軟質材で形成された側壁部が硬質の樹脂材で形成された突起に直接当たることがないので、側壁部が突起部に当たっても傷が付きにくく、干渉音を低音でかつ不快でない音質にすることができる。
【発明の効果】
【0030】
上述の本発明の各発明によれば、次の効果が得られる。
まず、上述の第1の発明によれば、クッションクリップの大型化によらず、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力が得られ、所定のストローク量に達した後は急激に反力荷重が増加するクッションクリップを提供することができる。
次に上述の第2の発明によれば、固定部材の凹部に取付けられたクッションクリップの側壁部の頂上部および突起部は、可動部材の固定部材への干渉を抑止できる寸法及び剛性を有する構成とされているので、可動部材と凹部に取付孔が設けられた固定部材との干渉を防ぐことができる。
次に上述の第3の発明によれば、側壁部は上方ほど薄く曲がりやすい構成のため、側壁部の屈曲部位は側壁部の上方から下方に移動して、側壁部の曲げによりクッション部の圧縮が進む。よって、クッションクリップの大型化によらず、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力を得られるクッションクリップを提供することができる。
次に上述の第4の発明によれば、クッション部は軟質の樹脂材で形成されているため、衝撃を吸収して弾性変形するのに適しており、係止部は硬質の樹脂材で形成されているため、取付孔への係止が安定する。
次に上述の第5の発明によれば、突起部をクッション部と一体成形するので、突起部の形成が容易である。また、突起部が軟質材で形成されているので、側壁部が突起部に当たっても傷が付きにくく、干渉音を低音でかつ不快でない音質にすることができる。
次に上述の第6の発明によれば、突起部を係止部と一体成形するので、突起部の形成が容易である。また、突起部が硬質の樹脂材で形成されているので、側壁部が突起部に当たった後の反力荷重の増加を急激にすることができる。
次に上述の第7の発明によれば、突起部は硬質の樹脂材で形成された突起を軟質の樹脂材で被覆する構成のため、軟質材で形成された側壁部が硬質の樹脂材で形成された突起に直接当たることがないので、側壁部が突起部に当たっても傷が付きにくく、干渉音を低音でかつ不快でない音質にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1におけるクッションクリップの外観斜視図である。
【図2】図1のA−A位置にける縦断面図である。
【図3】図1のB−B位置における縦断面図である。
【図4】図1のC−C位置における横断面図である。
【図5】実施例1のクッションクリップの嵌合状態を示す断面図である。
【図6】図5のD−D位置まで圧縮された時のクッションクリップの変形状態を示す図である。
【図7】図5のE−E位置まで圧縮された時のクッションクリップの変形状態を示す図である。
【図8】実施例1のクッションクリップと先行発明品のクッションクリップの荷重線比較図である。
【図9】変形例のクッションクリップの断面図である。
【図10】他の変形例のクッションクリップの断面図である。
【図11】突起部の形状を変更したクッションクリップの縦断面図である。
【図12】突起部の形状を変更したクッションクリップの横断面図である。
【図13】従来技術によるクッションクリップの一部断面による正面図である。
【図14】ストローク量の大きいクッションクリップの理想荷重線を示す図である。
【図15】先行発明品のクッションクリップの外観斜視図である。
【図16】先行発明品のクッションクリップの縦断面図である。
【図17】先行発明品のクッションクリップの圧縮初期における変形状態を示す縦断面図である。
【図18】先行発明品のクッションクリップの圧縮中期の初期段階における変形状態を示す縦断面図である。
【図19】先行発明品のクッションクリップの圧縮中期における変形状態を示す縦断面図である。
【図20】先行発明品のクッションクリップを固定部材の凹部に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
【0033】
[実施例1]
図1に本発明の実施例1におけるクッションクリップ10の外観斜視図を示す。そして、図2に図1のA−A位置におけるクッションクリップ10の縦断面図を、図3に図1のB−B位置におけるクッションクリップ10の縦断面図を、図4に図1のC−C位置におけるクッションクリップ10の横断面図を示す。
クッションクリップ10は、自動車のグラブボックスのボックス本体50(図5参照)の凹部54(図5参照)に形成された取付孔56(図5参照)に係止されて、グラブボックスのボックス本体50とドア58(図5参照)の間に位置して、ドア58を閉めた時の衝撃を吸収するクッションクリップである。ボックス本体50が本発明の固定部材に相当し、ドア58が本発明の可動部材に相当する。
クッションクリップ10は、図2及び図3に示すとおり、衝撃を吸収するクッション部20と取付孔56に係止させる係止部40とドア58のボックス本体50への干渉を抑止するための突起部34および突起部46とから構成されている。そして、クッション部20と突起部34はエラストマで一体で形成され、係止部40と突起部46はポリプロピレンで一体で形成されて、クッション部20および突起部34と係止部40および突起部46が2色成形により一体化された構成とされている。
【0034】
そして、図2及び図3に示すとおり、クッションクリップ10のクッション部20は底部24と側壁部22とを備えた中空形状とされ、側壁部22の内側壁28および外側壁26は底部側から先端に向かって直線的に縮径する円錐形状とされている。そして、側壁部22の肉厚は底部側から先端に向かって薄くなる構成とされており、側壁部22の先端には、内側壁28が径方向内側に張り出し中央に円形の開口孔25が設けられた頂上部30が形成されており、開口孔25の下方には中空部32が形成されている。
頂上部30は内側壁28が径方向内側に張り出した構成のため、頂上部30の下端の径方向の肉厚は、頂上部30の下方に続く側壁部22の上部の肉厚よりも厚い構成とされている。
そして、クッション部20の側壁部22には、図1及び図2に示すとおり、底部24に近い箇所において内外に通じるエア抜き孔23が形成されている。なお、エア抜き孔23は、クッション部20の変形特性に影響を与えない構成とされている。
【0035】
そして、突起部34が、クッション部20の底部24から上方の開口孔25に向かって柱状に突出している。この突起部34は、係止部40と一体成形された突起部46を被覆する構成とされており、突起部34の外形は図2〜図4に示すとおり、円錐台形状とされている。
そして、突起部34は、硬質の樹脂材のポリプロピレンで形成された突起部46を被覆した構成であるため、荷重に対して撓みにくく大きな反力を生ずる特性を有している。
【0036】
クッションクリップ10の係止部40は、図2及び図3に示すように、クッション部20の底部24に埋め込まれた円板形状の基部42と、クッション部20の底部24から上方に突出する突起部46と、クッション部20よりも下方に突出しボックス本体50(図5参照)の取付孔56(図5参照)に挿入される係止脚44とを備えている。
【0037】
図5に、クッションクリップ10をボックス本体50の凹部54に設けられた取付孔56に取り付けた状態の断面図を示す。D−D位置は、理想荷重線で説明した最低反力荷重が生じる圧縮量に対応し、E−E位置は、理想荷重線で説明した最高反力荷重が生じる圧縮量に対応する。D−D位置とE−E位置の間の長さがクッションクリップ10のストロークであり、クッションクリップ10はドア58がD−D位置とE−E位置の間の途中で閉じる構成に対して使用することができるものである。
そして、図5に示すように、クッションクリップ10がボックス本体50の凹部54に設けられた取付孔56に取り付けられた状態では、クッションクリップ10の突起部34の先端がボックス本体50の一般面52よりも高い位置となるように構成されている。
【0038】
ここで、ドア58が閉じられる時のクッションクリップ10のクッション部20の変形について説明する。
ドア58がクッション部20に当たり、クッション部20の圧縮を開始した直後の圧縮初期の段階では、側壁部22の外側壁26が圧縮方向に直線状から円弧状に変形して突っ張り、圧縮量にほぼ比例した状態で反力荷重が立ち上がる。
【0039】
そして、圧縮初期の段階が終わり、クッション部20の圧縮量が図6のD−D位置をわずかに越える状態では、図6に示すように、クッション部20の側壁部22が略円筒状に変形した状態となる。これは次の理由による。
クッションクリップ10のクッション部20の側壁部22は、外側壁26及び内側壁28が上方に向かって縮径する円錐形状であり、側壁部22の肉厚が底部から先端に向かって薄くなる構成とされている。そして、クッション部20の頂上部30の下端の径方向の肉厚は、頂上部30の下方に続く側壁部22の上部の肉厚よりも厚い。そのため、クッション部20は側壁部22の上部が最も撓みやすい構成とされている。そこで、側壁部22の突っ張りにより圧縮初期の荷重が立ち上がった後、圧縮中期の初期の段階ではクッション部20の頂上部30のすぐ下の側壁部22が高さ方向の断面で見て円弧状に撓み、クッション部20の頂上部30が押し下げられて内側に丸められるように変形する。そして、さらに下方の側壁部22は壁面が圧縮方向に直線状であって下方に向かって肉厚となる構成のため、圧縮方向に撓むことなく突っ張り、側壁部22が外側に張り出す。そのため、図6に示すように、クッション部20の側壁部22が円筒状に変形するのである。
【0040】
図6に示した状態からさらに荷重が増加すると、円筒状に突っ張っていた側壁部22が内側に丸められるように曲がりながら変形する。そして、側壁部22の先端の頂上部30の内側壁28がクッションクリップ10の下方向きに変形して、クッション部20の底部24から突出する突起部34の先端に覆い被さった状態となる。ここで、クッション部20の側壁部22は上方ほど薄いため曲がりやすい。そして、側壁部22は下方ほど肉厚で径も大きくなるため、曲げに対する抗力は側壁部22の下方ほど大きくなる。そこで、側壁部22が曲がり始めると、側壁部22の屈曲部位は上方から下方へと移動し、反力荷重が僅かに増加しながら圧縮量が増大する。そして、クッションクリップ10ではクッション部20の内側には中空部32があるため、突起部34に覆い被さった状態の側壁部22の先端の頂上部30が中空部32に突出した突起部34に当たるまでは、クッション部20が曲げ特性により変形するので、反力荷重が急激に増大することはない。そして、反力荷重が僅かに増加する状態でクッション部20の圧縮が進み、側壁部22が突起部34に当たる前に、ドア58のロックが終了する。
【0041】
図7にクッション部20の側壁部22が突起部34に当たった状態のクッション部20の変形状態を示す。これは、図5のE−E位置までドア58がボックス本体50に接近した時のクッション部20の変形状態を示す。ここで、突起部34の先端はボックス本体50の一般面よりも高い位置にあるので、ドア58がボックス本体50に干渉する前に、側壁部22が突起部34に当たった状態となる。
図7に示した状態から、さらにドア58をボックス本体50に向かって押しつけると、突起部34とドア58の間にはさまれた側壁部22及び側壁部22が当たった突起部34が圧縮されるため、反力荷重が急激に立ち上がる。ここで、突起部34は、硬質の樹脂材のポリプロピレンで形成された突起部46を被覆した構成であるため、荷重に対して撓みにくく大きな反力を生じる特性を有している。また、側壁部22は図7に示した状態では圧縮により変形するため、反力荷重が大きくなる。
よって、ドア58が図5のD−D位置とE−E位置の間の位置で閉じられている状態で、手や肘がドア58に当たってクッション部20に大きな荷重がかかっても、ドア58がE−E位置まで移動した後、E−E位置を越えると反力荷重が急激に立ちあがる。そのため、E−E位置をわずかに越えたところまでしかドア58はボックス本体50に接近することができず、ドア58がボックス本体50に干渉することが抑止される。
【0042】
実施例1のクッションクリップ10によれば、固定部材の凹部に取付けて使用されるクッションクリップについて、クッションクリップの大型化によらず、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力が得られ、所定のストローク量に達した後は急激に反力荷重が増加して、可動部材と固定部材の干渉を防ぐことのできるクッションクリップを提供することができる。
【0043】
図8に、本発明の先行発明品であるクッションクリップ210と、本発明の実施例1に係るクッションクリップ10について、荷重線を模式的に比較した荷重線比較図を示す。実施例1のクッションクリップ10と先行発明品のクッションクリップ210では、側壁部22及び側壁部222の構造はほぼ共通しており、圧縮初期及び圧縮中期の途中までの荷重線はほぼ一致している。そして、クッションクリップ10では、図8のA点まで圧縮された段階で側壁部22が内部の突起部34に当たり、ここから急激に反力荷重が増加して圧縮後期に入る。一方、クッションクリップ210は、側壁部222の内部に突起部がないので、図8のA点まで圧縮が進んだ後も、ストロークに余裕があり圧縮中期が持続することとなる。
したがって、実施例1のクッションクリップ10について、突起部34の高さを変更することにより、クッションクリップ210の圧縮中期の圧縮量の範囲で、ストローク量を調節することが可能となる。
【0044】
また、上述の実施例1によれば、クッション部はエラストマにより形成されているため軟質で、衝撃を吸収して弾性変形するのに適しており、係止部はポリプロピレンで形成されているため剛性が高く、取付孔への係止が安定する。そして、クッション部と係止部は2色成形により一体化されているので、クッション部と係止部の結合が強固であって一体化の構造が安定しており、取り扱いが容易である。
【0045】
そして、実施例1によれば、突起部はエラストマで形成された突起部34がポリプロピレンで形成された突起部46を被覆する構成とされているので、手や肘がドア58に当たってクッション部20に大きな荷重がかかっても、側壁部22が突起部46に直接当たることはない。そして、側壁部22がエラストマで形成された突起部34に当たっても側壁部22には傷が付き難いので、側壁部22に脆弱部が生じず、側壁部22の強度を維持することができる。また、軟質のエラストマで形成された側壁部22が軟質のエラストマで形成された突起部34に当たる構成のため、干渉音を低音でかつ不快でない音質とすることができる。
【0046】
[変形例]
上述の実施例1では、突起部34の先端がボックス本体50の一般面52よりも高い位置となるように構成しているが、突起部34の高さはこれに限定されるものではない。図7に示したように、クッションクリップ10はドア58を直接支える側壁部22と側壁部22の先端の頂上部30が当たる突起部34により、ドア58がボックス本体50に干渉するのを抑止する構成とされている。よって、頂上部30の厚みを考慮すれば、突起部34の先端の高さがボックス本体50の一般面52と同じか又は低い構成であっても、ドア58とボックス本体50の干渉を抑止することは可能である。
【0047】
上述の実施例1では、クッション部20の側壁部22の肉厚が底部側から先端に向かって薄くなる構成としたが、側壁部22の肉厚を高さ方向で一定とすることもできる。側壁部22の肉厚を一定としても、側壁部は上方に向けて縮径しているので、上方ほど側壁部22の断面積が小さく曲がりやすい特性を有するため、圧縮中期では曲げ特性で屈曲部位が上方から下方へと移動するので、クッションクリップの大型化によらず、ストロークが長く、かつ、途中で折れ曲がることなく必要な反発力を得られる。そして、所定のストローク量に達した後は側壁部22の先端の頂上部30が内部の突起部34に当たり、急激に反力荷重が増加して、可動部材と固定部材の干渉を防ぐことのできる。
【0048】
また、上述の実施例1では、クッション部をエラストマで形成し、係止部をポリプロピレンで形成し、2色成形によりクッション部と係止部を一体化しているが、本発明に係るクッションクリップの材質及びクッション部と係止部の一体化方法はこれに限定されない。クッション部をゴムや軟質の樹脂材で形成し、係止部を硬質の樹脂材、例えばポリアセタールで形成して、多色成形あるいはインサート成形によりクッション部と係止部を一体化しても良い。
【0049】
また、上述の実施例1では、突起部は硬質の樹脂材であるポリプロピレンにより係止部40と一体成形された突起部46を軟質材であるエラストマによりクッション部20と一体成形された突起部34が被覆する構成としたが、突起部の材質及び構造はこれに限定されない。
図9に変形例のクッションクリップ10Aの縦断面図を示す。クッションクリップ10Aでは、突起部34Aが底部24Aの中央を突出させた形態でエラストマによりクッション部20Aと一体成形されており、ポロプロピレンで形成され突起部を有さない係止部40Aと二色成形により一体化されている。そして、クッションクリップ10Aは、突起部34Aが軟質材であるエラストマで形成されているので、側壁部22の先端の頂上部30が突起部34Aに当たっても傷が付きにくく、干渉音を低音でかつ不快でない音質にすることができる。
【0050】
図10に他の変形例のクッションクリップ10Bの断面図を示す。クッションクリップ10Bでは、クッション部20Bはエラストマで成形され底部24Bの中央に孔が開いた構成とされている。そして、係止部40Bと一体成形された突起部46Bがクッション部20Bの底部24Bから突き出した構成とされている。クッションクリップ10Bは、クッション部20Bの底部24Bの孔から突き出した突起部46Bが硬質の樹脂材であるポロプロピレンで形成されているので、側壁部22の先端の頂上部30が突起部46Bに当たった後の反力荷重の増加を急激にすることができる。
【0051】
上述の実施例1および変形例では突起部の形状を円錐台としているが、突起部の形状は円錐台に限られない。図11および図12に、突起部を円錐台の一部を切り欠いた形状としたクッションクリップ10Cの縦断面および横断面を示す。クッションクリップ10Cは図11に示すように、クッション部20Cと一体成形された突起部34Cが係止部40Cと一体成形された突起部46Cを被覆する構成とされている。
そして、突起部34Cと突起部46Cは円錐台をエア抜き孔23側で一部切り欠いた形状とされている。これは、クッションクリップ10Cの成形時にエア抜き孔23を形成する型と中空部32を形成する型がぶつかるので、中空部32を形成する型の強度を高める目的で、中空部32を形成する型のエア抜き孔23に面する部分を肉厚としたことによる。そして、図12に示すように突起部46Cに縦方向の凹部を設けている。これは、突起部46Cの肉厚が厚いと成形時にヒケが生じやすいので、ヒケが生じにくくするために肉盗みをしたことによる。
【0052】
なお、突起部を含めて、クッション部と係止部をゴムまたはエラストマ等の軟質の樹脂材により一色成形によって形成しても良い。一色成形とすれば、製造工程が単純化され、金型等のコストの低減を図ることができる。
また、突起部とクッション部と係止部をそれぞれ別体で形成し、クッション部の底部に孔を設け、突起部を係止部の上面に接着し、係止部をクッション部に組み付けて、突起部がクッション部の底部から突き出した構成とすることもできる。この構成によれば、係止部に接着する突起部の高さにより、クッションクリップのストロークが決まるので、クッションクリップのストロークの変更が容易である。
その他、本発明に係るクッションクリップはその発明の思想の範囲で、各種の形態で実施できるものである。
【符号の説明】
【0053】
10、10A、10B、10C クッションクリップ
20、20A、20B、20C クッション部
22 側壁部
23 エア抜き孔
24、24A、24B、24C 底部
25 開口孔
26 外側壁
28 内側壁
30 頂上部
32 中空部
34、34A、34C 突起部
40、40A、40B、40C 係止部
42 基部
44 係止脚
46、46B、46C 突起部
50 ボックス本体(固定部材)
52 一般面
54 凹部
56 取付孔
58 ドア(可動部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に設けられた取付孔に対して係止され、固定部材と可動部材との間で、固定部材に可動部材が接近する際の衝撃を吸収するクッションクリップであって、
係止部とクッション部と突起部とを備え、該係止部により前記取付孔に係止され、該クッション部により衝撃を吸収する構成とされており、
前記クッション部は底部と側壁部とを備えた中空形状とされ、該側壁部の内側壁および外側壁は底部側から先端に向かって縮径する円錐形状とされ、該側壁部の外側壁は高さ方向に直線状とされており、
前記側壁部の先端には、内側壁が径方向内側に張り出し中央に円形の開口孔が設けられた頂上部が形成されており、
前記突起部は前記クッション部の底部から前記開口孔に向かって柱状に突出する構成とされ、該突起部の先端の径は該開口孔の径以上とされており、
前記可動部材が前記固定部材に接近すると、該可動部材に押された前記側壁部の頂上部が前記突起部の先端に覆い被さる構成とされているクッションクリップ。
【請求項2】
請求項1に記載のクッションクリップであって、
前記取付孔は固定部材の凹部に設けられており、前記側壁部の頂上部および前記突起部は、前記可動部材の前記固定部材への干渉を抑止できる寸法及び剛性を有する構成とされていることを特徴とするクッションクリップ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のクッションクリップであって、
前記側壁部の肉厚は底部側から先端に向かって薄くなる構成とされていることを特徴とするクッションクリップ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のクッションクリップであって、
前記クッション部は軟質材で形成され、前記係止部は硬質の樹脂材で形成されていることを特徴とするクッションクリップ。
【請求項5】
請求項4に記載のクッションクリップであって、
前記突起部が軟質材によりクッション部と一体成形されていることを特徴とするクッションクリップ。
【請求項6】
請求項4に記載のクッションクリップであって、
前記突起部が硬質の樹脂材により係止部と一体成形されていることを特徴とするクッションクリップ。
【請求項7】
請求項4に記載のクッションクリップであって、
前記突起部は硬質の樹脂材により係止部と一体成形された突起を軟質材によりクッション部と一体成形された突起が被覆する構成とされていることを特徴とするクッションクリップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−27209(P2011−27209A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175175(P2009−175175)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(308011351)大和化成工業株式会社 (66)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】