クラスタ材の脱凝集および/又は解離のための方法、システム及び装置
特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離する方法。前記方法は、前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する開始工程と、これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集へと解凝集する工程と、特定材料の複数の凝集粒子の少なくとも一つの凝集を解凝集する工程と、そして、特定の制御吸引力を減少、除去又は置換することによって、前記解凝集された材料の少なくとも一部を安定化する安定化工程、とを含む。特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離するシステムと装置も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の材料の解凝集、解離および/又は粉砕のための様々な化学的および/又は物理的処理に関し、特に、本発明は、特定材料の化学−物理的解凝集および/又は解離に関し、これにより、超分散ダイヤモンド(UDD)、超ナノ結晶ダイヤモンド(UNCD)、石炭などを含む種々の炭素材料、単一金属酸化物、複合金属酸化物、被覆粉体、などを含むその他凝集および/又は塊状および/又は凝集超微細粉体、が分離する。
【背景技術】
【0002】
粉体状材料、微粒子状材料、マイクロメートルサイズの粒子、ナノメートルサイズの粒子、その他類似の材料は、今日、種々の特殊分野で使用されている。例えば、そのような材料は、精密研磨処理、化学機械平坦化(CMP)、燃料電池用途、酸素生成、パイオテクノロジー処理、石油化学処理、化学処理、輸送用途、高性能材料部門、などで使用される。しかしながら、これらの特殊用途において有用であるためには、そのような粉体を精製し、利用可能な形態にして提供し、そのよってエンドユーザが高品質粉体をリーズナブルなコストで入手することが出来るようにすることが必要である。従って、それらの材料を、電子、発電、環境制御、石油化学及び化学産業を含む種々の産業の製造業者に提供することが可能な方法が求められている。
【0003】
上述したように、そのような特殊産業における利用のためには、より厳しい仕様を満たし、高品質な粉体に対する益々高まる需要に応えることが必要である。そのような厳しい仕様を達成するには、粒子材特性の制御を改善することが必要である。製造される材料のタイプに応じて、それぞれ異なる欠点があり、純粋な粉体粒子物質の製造が必要とされる。例えば、これらの材料のいくつかは、UDD,UNCD、炭素材料、石炭、単一金属酸化物、複合金属酸化物、被覆粉体、などを含みうる。
【0004】
これらの小粒子状材料はすべてその製造処理中に、凝集体、集塊物、および/又は凝塊物を形成する傾向がある。具体的には、その成形処理中および/又はその後の処理中に、凝集体又はクラスタが形成され、これらは比較的弱い結合によった互いに保持された個々の粒子から成り、それによって凝集力とそのようなクラスタの形成が起こる。これらの粉体の物理的及び化学的特性を最大化するためには、これらの凝集力を克服して、それによって互いに分離した粒子および/又はより小さなクラスタサイズにすることが望ましい。
【0005】
単一金属酸化物は、研磨材、触媒坦持材、顔料、紫外線阻止材、などとしての利用を含めて産業用途の範囲が広い。非採鉱セラミック粉体は、通常、化合物又は金属としての目的金属を分離し、その後、その材料を反応させて所望の化合物を形成することによって製造される。アルミ酸化物の製造の場合、通常使用される処理の1つは”バイヤー”処理であり、そこでアルミニウムは、ギブサイトに対する消化析出工程によって化合物水酸化アルミニウムとして分離される。次に、この水酸化アルミニウムを1050℃に加熱してヒドロキシルイオンを分解しAl2O3とH2Oとを形成する。この処理における最終工程は、Al2O3を粉砕して所望の粒度を得る工程である。更に、Al2O3は、その結晶構造によって互いに異なる、遷移アルミナ又はアルファアルミナからも作ることができる。前記遷移アルミナの大きな表面積と低い硬度が触媒と、半導体の研磨に利用される。単一金属酸化物の製造のための上述した方法のひとつの問題点は、粉砕工程によって粒度を減少させることが必要であることである。この処理に関連するその他の技術的障害としては、粒子を縮小することが可能な最小限度(約500nm)、粒度分布が広いこと、そして粉砕のために大きなエネルギと装置が必要とされること、が含まれる。
【0006】
一種類以上の金属を含む酸化化合物である複合金属酸化物に関しては、そのような化合物(例えば、BaTiO3)及び固体溶液は、Y2O3安定化ZrO2(YSZ)などの、別の酸化物の構造を通して均一に分散した金属酸化物を含む。現在、複合金属酸化物と金属酸化物の固体溶液は、固相反応、溶融状態や溶液状態からの結晶化法によって製造される。
【0007】
固相反応法において、対象の金属を含有する化合物が、組み合わされ、完全に混合され、その後、焼成される。焼成処理中に、前駆体が個々の金属の酸化物に分解される。その後、金属イオンが共に分散して両方の金属を含む化合物を作る。この分散処理は時間がかかる傾向があり、従って、材料は冷却されて再結合されて対象の個々の金属酸化物が相互作用するための新たな表面が作り出され、その後の再焼成中により多くの所望の化合物が作り出される。この冷却、粉砕及び再焼成処理は、最終製品としての所望のレベルの均質性と収率を達成するために、三または四回繰り返してもよい。この処理の主要な技術的限界のいくつかとして、二次相の形成、前駆材料の不完全な反応、長い焼成処理中における大きな粒子と凝集塊の成長、材料の再焼成と研磨に多くのエネルギが必要であること、がある。更にもう一つの欠点は、粉砕処理による最小粒度には限界があることである。
【0008】
複合金属酸化物を製造する固相反応法におけるそのような限界を克服する1つの方法は、湿式化学法によるものである。これらの方法において、対象の金属を含有する化合物が溶液中に溶解され、水分が急速に溶液から除去され(又は溶液がゲル化され)、その結果、得られる固体又はゲルが加熱される。金属イオンを溶液中において組み合わせることによって、異なる金属イオンを原子レベルで密に混合する方法が提供される。水分又はゲル化溶液を急速に除去することによって溶液中において達成された金属イオンとの高いレベルの混合が安定化される。酸素の存在下で脱水溶液又はゲルを加熱することによって、酸化物化合物が形成される。そのような湿式化学法は、実験部ではうまく行くようであるが、パイロットレベルの作業にスケールアップすることは困難であるように思われ、これが明らかな技術的限界である。更に、これらの方法を利用して一定した特性を示す材料物質を得ることには困難がある。一部の製造業者は、これらの困難により、そのような材料の製造にはもはや関与していない。
【0009】
前記湿式化学法の一つのバリエーションは、酸化物を製造する噴霧火炎法である。この方法において、準備された溶液が気化され火炎を通過される。小滴が火炎を通過する時、溶液中の液体が急速に気化し、乾燥された物質を酸化物に変換する反応が起こる。噴霧火炎技術においては、粒子が火炎を通過する時に遭遇する時間温度履歴に於ける変動から粒度制御限界が生じる。噴霧火炎のもう一つの懸念は、粒子が火炎の高温領域を通過する時に、酸化物が優先的に気化され、それによって金属イオンの分離が起こるかもしれないことである。このことによって、最終製品において所望の組成が得られず、この最終製品全体を通じて不均一な化学組成となる可能性がある。
【0010】
この一般的用途における別のタイプの材料は、被覆粒子と呼ばれるものである。被覆粒子は、被覆酸化物/材料が一次粒子の酸化物表面を湿潤する時に形成することができる。例えば、アルデヒドへのアルコール変換のためにTiO2に適用される場合の、V2O5の触媒的挙動は、V5O5をTiO2の表面上にコーティングすることによって大幅に改善される。被覆粒子は湿式初期(wet incipient)処理によって製造される。次に、粉体は乾燥され、熱処理されて酸化物又は金属と溶液によって金属が変換され、それによって、溶液酸化物/金属が粒子表面上に連続的なコーティングを形成する。これらの被覆粒子に関連する技術的障害のいくつかの例として、二工程処理が必要であること、更に、コーティングが粒子間にブリッジを形成して、それによって凝集が生じる可能性があること、が挙げられる。更に、この二工程処理によって、最終粒子を作るために必要なエネルギが実質的に二倍になる。
【0011】
超分散ダイヤモンド(UDD)又は超ナノ結晶ダイヤモンド(UNCD)は、隕石や原始惑星系星雲においても見られるダイヤモンド粒子の特徴でもある比較的狭い粒度分布をもたらすデトネーション合成によって見られる合成ダイヤモンドである。ナノ結晶ダイヤモンドとしても知られるUDD又はナノダイヤモンドは、長年市販されている。これらの材料の用途としては、非限定的に、電着、ポリマー組成物、フィルム及び膜、放射及び耐オゾンコーティング、潤滑油、グリース及び潤滑冷却液、研磨具、ハードディスクドライブ用の研磨ペースト及び研磨懸濁液、光学、半導体コンポーネント、化学機械平坦化、などが挙げられる。UDDの生体適合性により、これらの材料は、種々の生物及び医療用途に利用される可能性を有する。その他の用途としては、燃料電池、磁気記録システム、触媒、焼成、高度複合材料、新素材、などがある。
【0012】
本出願によって考えられるもう1つのタイプの材料は、無煙炭又は石炭である。石炭は、それらが由来する植物の性質、それらが堆積された環境、そして埋設後に起こった化学及び物理的プロセス、に応じて、その形状、サイズ、組成が異なる、有機及び無機成分の複雑で異質な混合物から成る。最終的にサイズ決定され偏極された無煙炭が、これらの石炭材料を、高付加価値炭素生産物の製造のための前駆体粒子として使用する用途を含む、燃料及び非燃料用途に使用されている。しかしながら、これらの炭素生産物は、粒度、粒子分布、粒子形状、比表面積、バルク純度などの、厳密な物理的化学的特性に関しては最小の要件しか、或いはまったくそのような要件がない。これらの用途の必要性の多くは、従来技術によってはほとんど、或いはまったく満たされていない。
【0013】
通常、UDDを含むそのような超微細粉体は、製造又は処理中に、一般に「クラスタ」と呼ばれる凝集/凝塊を形成する。具体的には、形成処理および/又はその後の処理工程において、上述したような比較的弱い結合又は材料のブリッジによって互いに保持された個々の粒子から成る凝集体が形成される。上述した用途におけるナノダイヤモンド及びその他のナノサイズの粒子の可能性を最小限にするためには、これらの凝集力を克服して個々の粒子を形成するか、クラスタのサイズを小さくしなければならない。マイクロメートルサイズ及びナノメートルサイズの石炭粒子の処理において、これは一般に、粒子付着(particle accretion)と呼ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の1つの課題は、従来技術の方法と処理の問題的と欠点とを解決する、種々のクラスタ材の解凝集および/又は解離のための方法、システム及び装置を提供することにある。本発明のもう一つの課題は、クラスタ材料を分離した粒子および/又はより小さなクラスタへと分離する、種々のクラスタ材料の解凝集および/又は解離のための方法、システム及び装置を提供することにある。本発明の更にもう一つの課題は、種々の特殊用途及び産業の製造業者に有用な最終製品を提供する種々のクラスタ材料の解凝集および/又は解離のための方法、システム及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離する方法に関する。この方法は、(a)前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する開始工程と、(b)これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する解凝集工程と、そして、(c)特定の制御吸引力を減少、除去又は置換することによって、前記解凝集された材料の少なくとも一部を安定化する安定化工程、とを含む。
【0016】
本発明は、更に、特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離するシステムにも関する。前記システムは、前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する手段と、これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する手段とを有する。前記解凝集された材料は、複数のより小さなクラスタおよび/又は別々の粒子を含む。前記システムは、更に、特定の制御吸引力を減少、除去又は置換することによって、前記解凝集された材料の少なくとも一部を安定化する手段を有する。
【0017】
更に別の態様において、本発明は、所定の材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも1つのクラスタを分離するための装置に関する。この装置は、前記特定材料と、少なくとも1つの液体材料とを受け取り混合し、それによって、複数の少なくとも部分的に湿潤されたクラスタ粒子を含む混合気材料を提供する混合装置を有する。前記装置は、更に、前記混合材料の少なくとも一部を受け取り解凝集し、それによって、解凝集された材料を提供する解凝集装置を有する。安定化装置が前記解凝集材料の少なくとも一部を受け取り安定化する。
【0018】
本発明のこれら及びその他の特徴及び特性、更に、構造の関連要素の作動方法及び機能、パーツの組み合わせ製造の経済性は、添付の図面を参照して以下の説明と添付の請求項とを考慮することによって明らかになるであろう。これらの全てがこの明細書の一部を構成するものであり、種々の図面において、これらにおいて類似の参照番号によって対応のパーツが示されている。但し、これらの図面はもっぱら図示と説明の目的のものであって、本発明の限定の定義として意図されるものではないことが銘記される。明細書及びクレームでの使用において、”a”,“an”及び”the”の単数形は、特に銘記されない限り、複数のものも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、従来技術によって作成された0−10ミクロンの石炭粒子のSEM、
図2は、本発明によって処理された後の図1の石炭粒子のHRTEM、
図3は、従来技術による原UNCD材のTEM、
図4は、本発明によって処理された後の図3のUNCD材のTEM、
図5は、本発明による方法とシステムの一実施例の略図、
図6は、本発明による前記方法とシステムと使用可能な混合装置の略図、
図7は、本発明による前記方法とシステムと使用可能な別の混合装置の略図、
図8は、本発明による前記方法とシステムと使用可能な解凝集装置の略図、
図9は、本発明によって製造された製品の特定粉砕サイクル時間の後の粒度分布を図示するチャート/グラフ、
図10は、本発明によって製造された製品の粉砕サイクル時間におけるサイズ減少を図示するチャート/グラフ、
図11は、本発明による前記方法およびシステムと使用される安定化装置の略図、
図12は、本発明による前記方法およびシステムと使用される別の安定化装置の略図、
図13は、本発明によって製造された製品のための音波エネルギの使用後の粒度分布を図示するチャート/グラフ、
図14は、本発明によって製造された製品の粒子平均径とパワーを図示するチャート/グラフ、
図15は、本発明による前記方法およびシステムと使用される遠心分離装置の斜視図、
図16は、本発明による前記方法およびシステムと使用される別の遠心分離装置の斜視図、
図17は、本発明による製品の発生する懸濁液と沈殿物の除去を図示するチャート/グラフ、そして
図18は、本発明による製品の発生する懸濁液と沈殿物の除去を図示するチャート/グラフである。
【0020】
好適実施例の説明
以下の説明の目的で、「上方」、「下方」、「右側」、「左側」、「縦」、「横」、「頂部」、「側方」、「長手」及びこれらの派生型の用語は、図面における向きにおいて本発明に関連するものとする。しかし、本発明は、特に銘記されない限り、様々なその他のバリエーション、工程、シーケンスのものにすることが可能であると理解される。又、添付の図面に図示され、以下の明細書に記載されている具体的な装置、方法は、単に本発明の例示的実施例に過ぎないと理解される。従って、ここに開示される具体的寸法及びその他の物理的特長は限定的なものと理解されてはならない。
【0021】
本発明は、特に銘記されない限り、様々なその他のバリエーション、工程、シーケンスのものにすることが可能であると理解される。又、添付の図面に図示され、以下の明細書に記載されている具体的な装置、方法は、単に本発明の例示的実施例に過ぎないと理解される。
【0022】
本発明の方法、システム、及び装置は、特定の材料の凝集した粒子を効果的に分離した粒子および/又はより小さなクラスタに分離する。ここでの使用において、この処理は、分離処理、解離処理、解凝集処理、又はクラスタ粒子を分離した粒子状材料および/又はより小さなクラスタに分離することを反映するその他の類似する用語、処理と称することができる。更に、本発明の方法、システム、及び装置は、上述したように種々の材料に関連して有用である。例えば、この方法及び処理を受ける材料は、粉体化材料、酸化物、単一金属酸化物、複合金属酸化物、被覆粒子、超分散ダイヤモンド、超ナノ結晶性ダイヤモンド、凝集材、凝塊材、凝縮材、無煙炭、石炭、石炭系材、マイクロメートルサイズ材、ナイメートルサイズ材、など、とすることができる。具体的には、本発明の方法、システム及び装置は、その粒子が前述した凝集力によって凝集する傾向がある粒子状の任意のタイプの材料との関連において有用である。上述したように、本発明の1つの課題は、これらの凝集力に打ち勝ち、前記材料をより小さなクラスタ又は別々の粒子に分離することにある。
【0023】
1つの例において、本発明の方法、システム、及び装置の対象とされる前記具体的な材料は石炭である。図1に図示されているように、既存の石炭粒子のSEMが示されている。これらの粒子は、サイズが0〜10ミクロン、の範囲であり、平均粒度は約6ミクロンである。これは、本発明の方法、システム、及び装置を受ける前のそのような粒子の凝集傾向を示している。従来技術によれば、これらの粒子がサブミクロン粒度に粉砕される時に、それらは凝集する(可塑性変形と、ある種の制御吸引/凝集力によって再度結合してより大きな粒子を形成する)傾向がある。ここでの記載において、この集積はサブミクロン及びナノスケールレベルでの凝集、凝固および/又はクラスタ化に類似する。この凝集は、本発明の方法、システム、及び装置によって処理を受けることによって、回避又は低減され、それにより、ナノメートルサイズの石炭粒子を含む最終製品が得られる。処理後(後に詳述する)、個々の粒子は図2に図示されているようになる。具体的には、図2は、いまや約6ナノメートルの粒度を示すナノ粉砕石炭のHRTMである。図2に図示されている製品は、本発明の方法、システム、及び装置を使用する処理の結果である。上述したように、三桁以上のサイズ低減が得られている。
【0024】
本発明の利点及びそれによって得られる製品のもう一つの例として、図3及び図4は、超分散ダイヤモンド材の使用を図示している。詳しくは、図3は、そのサイズが約400ナノメートルの凝塊又は凝集を示す原超ナノ結晶ダイヤモンド(UNCD)のTEMを図示している。本発明によって処理された後、それによって得られる材料が図4に図示され、これは一次粒子状態へと解凝集されたこれらの粒子のTEMである。更に、この得られる製品は、約12ナノメートルのサイズの粒子を証明している。
【0025】
従って、図1−4に図示されているように、本発明の方法は、特定の材料の凝集粒子を別々の粒子および/又はより小さなクラスタへと効果的に分離し、これらをその後、上述したように特殊用途において使用することができる。具体的には、本発明の方法は、前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する開始工程と、これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する工程と、特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを解凝集する工程と、を有する。次に、前記解凝集された材料を安定化しなければならず、これによって、前記粒子と表面との間の特定の制御吸引力が減少、除去又は置換される。安定化が終わると、図2及び図4の例において上述したように、最終製品が得られる。
【0026】
この湿潤され、解凝集され安定化された材料を単数又は複数の特定の粒度範囲又は分布へと分離することによって、この最終製品を更に処理してより有用な製品を提供することができる。このことは、最終製品を、それぞれのニーズに合わせた、既知の狭い粒度範囲又は分布を示すことによってユーザにニーズを満たすように特異的に適合させることが可能であるということを示している。
【0027】
本発明の方法10の一実施例が図5に概略図示されている。具体的は、この実施例において、前記方法10は、混合/湿潤処理12と、解凝集処理14と、安定化処理16と分離処理18とを含む。これらの種々の副処理12,14,16,18のそれぞれを、以下詳述する。但し、これらの処理12,14,16,18を使用することによって、クラスタ粒子が解凝集、安定化され、更に、所望の粒度分布又は範囲を提供するように適合された最終製品が得られる。
【0028】
上述した処理のそれぞれを使用して、材料を凝集状態から最終的に適合された製品状態へと変化させる。具体的には、前記混合/湿潤処理12は、クラスタ粒子を、乾燥した又は固体ベースの系から固体/液体ベースの系への変換において湿潤を開始する。前記解凝集処理14は、これらのクラスタを分離した粒子又はより小さなクラスタへと解凝集、分解、又は別の方法で分離、するために使用される。このようにして、クラスタサイズの減少した又は分離した粒子の解放が達成される。次に、前記安定化処理16において、解凝集された材料を希釈し、分散安定化する。このようにして、最終化学特性が得られ、粒度分布明瞭性(particle size distribution clarity)が達成される。最後に、前記オプションの分離処理18において、粒度分布調節と、更には、大きすぎるクラスタ又凝集の除去、が達成される。
【0029】
従って、本発明の前記方法10は、分離又は分散方法と称することができ、これが前記湿潤工程、粒子分離及び粒子安定化を含む。一例において、UCD及びその他の超微小粉体の粒子は、その最大ポテンシャルを発現するためにはその一次粒度へと分散させなければならない。又、最大範囲の性能ポテンシャルのためにはそのラスタサイズを制御することが有利である。石炭に関しては、それは種々の炭素源から成る非均質な材料ではあるが、それは、ナノ粉砕処理中にまだやわらかい凝集物として挙動する。更に、更なる粉砕のためには、粉砕エネルギの導入によって引き起こされるフラグメントを、その一次粒度へと分散させる必要がある。
【0030】
前記湿潤処理12に関して、前記クラスタ粒子、すなわち、出発材料が、液体系において分布され、そこでは一部の液体材が固体粒子表面の表面上に広げられている。前記液体は、前記液体系の「溶媒」成分と称され、これは通常、ベース溶媒と、一部の湿潤および/又は分散剤、例えば、超分散剤、とから成る。その他の合成材も使用され、これらは分散剤と有利に作用し、液体−固体界面において分散助剤として機能する。前記液体系は、非限定的に、ベース溶媒、水、オイル、湿潤剤、分散剤(例えば、溶解した固体)、材料分解溶媒、超分散材、合成材、極性材、非極性材、など、を含む種々の液体材料ら形成することができる。一例において、三種類の液体系、そのうちの二つの極性でひとつは非極性、が使用された。更に、これらの系のそれぞれに対して1つの、全部で三種類の湿潤/分散剤が選択された。 各液体系につき、≧25%の固体重量を最初にテストした。
【0031】
なお、この混合/湿潤処理12において、前記クラスタまたは凝塊粒子の「湿潤」が開始されることを銘記しなければならない。いくつかの場合において、前記方法10の全体を通じて、たとえば、予備混合、湿潤および/又は解凝集処理中、に前記材料の完全な「湿潤」が起こる。材料の「湿潤」と系を固体系から固体/液体系へと変換することの物理的原理により、この処理は、ここに記載される他の工程及び処理と共に行うことができる。
【0032】
前記混合/湿潤処理12の1つのオプション工程が、前記クラスタ粒子の混合であり、これによって、粒子の前記湿潤と、溶液に対する十分な力の導入とによりその中に含まれる固体に影響を与えることによって、増大又は促進された状態で、初期分離の一部が提供される。凝集(flocculates)は、緩やかに押し固められた粒子であり、これらは、凝集粒子間の「空の隙間」が、凝集粒子がその空気又は水分を前記ベース溶媒と置換された後に形成される。力を追加付与することによって、これらの凝集を分解することができ、それによって分離し粒子集団が形成される。場合によっては、解凝集段階において粒子の分離を中断することが有利であるが、これらの凝集粒子を分解するためには、凝集力に打ち勝たなければならない。適当な力を加えることによって、前記粒子を大きなマスから剥離させることができ、これは、混合/粉砕処理、および/又は混合/粉砕/音波放射処理(後述)を使用することによって達成することができる。従って、本発明の前記方法10は、前記ベース媒体のための搬送媒体をその分散剤とともに凝集物内の粒子表面に提供するために、物理的な混合粉砕工程と、補完的な化学的作用との両方を使用する。そのような化学的作用と、それに加えて十分なせん断と衝突とによって、最終的な凝集、クラスタサイズ、凝塊、又は分離粒子集団が提供される。
【0033】
上述したように、前記湿潤処理及び混合処理は、前記混合/湿潤処理12へと組み合わせることができる。更に、この混合処理は、真空混合、攪拌処理、などを使用して達成することができる。更に、この混合処理は、凝集粒子間の空気が除去され、それがベース溶媒によって置き換えられる混合前処理とみなすこともできる。前記混合/湿潤処理12において使用可能な混合装置20の一例が図6に図示されている。図示されているように、材料はホッパ22に投入されロータリバルブ24を通して供給される。次に、この材料は、ロータに接続された分解装置26に接触する。次に、前記液体材が単数又は複数の導入管28を通して加速チャンバ30に接線方向に注入される。このようにして、前記固体粒子は「湿潤」される。更に、前記混合/湿潤処理12のこの実施例の前記混合装置20は、冷却されたハウジング32を備える円錐形の圧縮領域においてサイクロン34を利用する。尚、前記加速チャンバ30は、安全スライドバルブ36によって横断されているということも銘記しておかなければならない。更に、前記液体を、導入管28を通して提供するために、湿潤スチームポンプ38が設けられている。この湿潤混合処理の後、材料は、攪拌機42を備えるバッチタンク40に向けられる。図6に示されているように、前記バッチタンク40の頂部の近くのより大きなクラスと又は大きな粒子状物質を含む材料は、除去され、管44を通って再循環される。このようにして、前記混合/湿潤処理12(そして前記混合装置20)は、「湿潤」を開始し、粒子状物質を混合し、それによって、前記材料を固体系から固体/液体系へと変換する。
【0034】
別実施例において、そして図7に図示されているように、前記混合/湿潤処理12は、単純に、前記バッチタンク40と攪拌機42とを備える混合装置20を含むことができる。具体的には、前記予備混合及びその他の追加のコンポーネント及び上述した工程はオプションであって、より良好な混合及び湿潤処理をもたらすものに過ぎない。いずれにせよ、前記特定材料の混合又は予備湿潤はオプションであり、材料を固体状態から固体/液体又はスラリ状態へと変換することにおいて必要であるのは「湿潤」処理のみである。前記混合/湿潤処理12の後、前記粒子と溶液とが前記解凝集処理14に導入される。すなわち、なんらかの解凝集装置46によって供給されるせん断及び衝突力を受ける。一実施例において、前記解凝集装置46は、適当な粉砕媒体を含む高エネルギビードミルである。具体的には図8に図示されているように、この解凝集装置45は、高エネルギ攪拌ビードミルであって、これは攪拌軸48を使用して湿潤材を粉砕する。これによって、湿潤材にせん断及び衝突力が発生するか、もしくは加えられる。更に、前記攪拌軸48の回転によって、特定の密度、サイズ、組成を備える前記粉砕媒体50に対してエネルギが与えられる。又、前記攪拌軸48は、前記粉砕媒体50が、前記ベース溶液(湿潤および/又は分散剤有り又は無し)中に懸濁している固体に対して作用する適当な力を発揮することを可能にする。
【0035】
前記粉砕媒体50によって与えられる力は、それらが粉砕チャンバ52を通過する時に、前記凝集、凝塊および/又はクラスタに対してせん断又は衝突し、これによって、より小さな凝集/凝塊/クラスタサイズ、又は完全に分離した粒子集団(或いはそれらのなんらかの組み合わせ)が得られる。温度、材料流、粉砕媒体、攪拌装置速度、などの種々の物理的パラメータの使用は、材料の適当な分離又は解凝集を達成するために調節可能な処理パラメータである。このようにして、特異的に設計された化学作用が、前記混合装置20および/又は前記解凝集装置46によって提供される力と組み合わされて、小さなクラスタサイズ、あるいは場合によっては、分離した粒子集団を示す製品が得られる。
【0036】
前記混合/湿潤処理12と解凝集処理14を受けたUDD材料の一例(実験A)が表1に示されている。具体的には、表1は、処理サイクル時間にわたる、UDD材料の粒度を比較している。更に、前記UDD材のこの処理の結果が図9にグラフ表示されている。
【0037】
【表1】
【0038】
石炭粒子を使用した時の類似の結果が表2に図示されている。具体的には、表2は、所定の処理サイクル時間にわたるこの石炭材の粒度を図示している。そのグラフ結果は図10に図示されている。
【0039】
【表2】
【0040】
前記混合/湿潤処理12及び解凝集処理14の後、それによって得られる製品は、凝集した最終製品かもしくは同時に分散された最終製品とすることができる。この最終製品の最終化学的及び物理的パラメータは、用途に応じて変化するであろうが、次に説明する安定化処理16の前に決定されなければならない。
【0041】
前記解凝集材の少なくとも一部を安定化するのに使用可能な処理としては様々なものがあり、これによって、粒子間の特定の制御吸引力が低減又は除去される。一実施例において、前記安定化処理は超音波液体処理工程であり、そこで、前記解凝集材料は再循環、混合気、冷却、などを受ける。具体的には、この超音波液体処理工程は、流速、再循環速度、混合速度、冷却速度、付与される振幅などを変化させることによって制御することができる。
【0042】
一般に、超音波処理(前記安定化処理16として)は、液体中において強力なキャビテーションを作り出すために高周波数振動(毎秒約20,000サイクル)を利用する。キャビテーション泡は、機械式混合気や高圧装置によって達成されるエネルギよりも遥かに高い局所的エネルギレベルを作り出す。液体処理セルの典型的な用途としては、エマルジョン化、分散、抽出、生物細胞破壊、化学反応の加速、がある。その他のキャビテーション用途としては、捕捉された気体の除去、含浸、到達するのが困難な領域からの微粒子的汚染の洗浄、それらの自然な分裂線に沿った結晶の切断、がある。一般に、従来の装置及び方法を使用しては満足に行うことができない用途での使用の最終処理方法として超音波がコスト的に有利である。しかしながら、本発明のコンテクスト内において、この解凝集材を安定化可能な任意の方法、システム、装置が考えられる。
【0043】
一実施例において、電源が117ボルトのライン電流を20kHzの高周波数電気エネルギに変換する。このエネルギは、コンバータと呼ばれる圧電素子に供給され、それによって前記電気エネルギは20kHzの機械的振動エネルギに変換される。これらの振動がホーン(horn)に伝えられ、そこから高周波振動か溶液内に伝達されて強力なキャビテーションを作り出す。
【0044】
安定化装置54の二つの実施例が図11と図12とに図示されている。更に、図11の安定化装置54は、超音波放射(irradiation)装置56である。この放射(irradiation)装置56は、電源モジュール60によって駆動されるコンバータ/ホーン58を備えている。デジタル制御装置62と振幅制御装置64とを使用して、前記電源モジュール60に対してなんらかの振幅制御が提供される。ユーザ66、ユーザ入力/出力機構68、温度プローブ70及び遠隔端子72を含めて、種々の主体によって前記デジタル制御装置62に対して入力を提供することが可能である。更に、前記デジタル制御装置62に提供され、それによって処理される情報は、プリンタ74に出力することができる。この実施例において、湿潤され、解凝集された粒子を安定化して、それによって所定の制御及び吸引力を減少又は除去するように作用するのはこの超音波放射(irradiation)装置56である。
【0045】
別実施例において、そして図12に図示されているように、前記安定化装置54は、超音波照射(sonification)装置76である。図12の実施例において、前記超音波照射(sonification)装置76 は、10GPH以上の率で均一に低粘度溶液を処理することが可能なステンレス鋼、インライン連続フローセルである。この超音波照射(sonification)装置76を使用して、強力な超音波活性のゾーンを通して溶液をポンプ送りすることによって懸濁化、分散、均質化することができる。処理の程度は、超音波ホーン78の振幅を変化させることによって、又、前記装置76を通る溶液の流速を変化させることよっても、制御することができる。溶液によっては、所望の結果が達成されるまでに、再循環を必要とするものもありうる。連続流アタッチメント80は、冷却ジャケット82を備えることができ、それを通して、適当な冷却液を循環させて長時間の処理中における発熱を遅延させることができる。前記連続流アタッチメント80は、又、殺菌状態を保障し、汚染を防ぐために閉鎖系でシールしてもよい。図11と図12との両方に図示されている前記安定化装置は、材料に対して超音波エネルギを供給することが可能な二つの適当な装置を代表するものに過ぎない。
【0046】
尚、前記安定化処理16は、希釈および/又は混合処理(公知の混合又は希釈機器又は装置を使用して)において実施することが可能であることが銘記される。例えば、超音波安定化処理(上述しような)を使用するのではなく、前記安定化工程は、湿潤解凝集材を希釈又は混合する装置、機器の使用を含むことができる。特に、そのような混合又は希釈処理中に前記湿潤又は解凝集材に対して与えられる力は、懸濁安定化を行うために十分なものであるかもしれない。勿論、これは処理を受ける材料の物理的及び化学的属性は、更に、システムにおける処理条件の物理的パラメータに依存する。更に、最終製品の必要な仕様、例えば、粒度分布や範囲、に基づいて十分な安定化が行われるようにすることが可能である。
【0047】
表3は、前記安定化装置54によって処理された後のUDD材の一例を図示している。具体的には、表3は、湿潤、解凝集材に導入された音波エネルギに対する平均及びピーク粒度を図示している。
【0048】
【表3】
【0049】
前記安定化処理16の後のUDD材の同じサンプルが表4に示され、今回は設定処理サイクル時間にわたる超音波処理材の粒度分布が示されている。これらの結果は、図13のグラフに図示されている。更に、パワーに対するこの超音波処理材の平均サイズの表とグラフが図14に示されている。
【0050】
【表4】
【0051】
上述したように、1つのオプション工程は、湿潤、解凝集及び安定化後の材料を種々の特定の粒度範囲、分布又はその他の所望の物理的特性又はパラメータへの最終分離の工程である。例えば、この分離処理18は、遠心分離工程とすることができ、これは、生化学、細胞、及び分子生物学、医学、を含む様々な産業と、及び今ではナノ材料の開発と製造とにおいて使用されている一般的な処理である。特に、遠心分離は、今日、種々の分野での、細胞、細胞より小さなオルガネラ、マクロ分子、及びナノサイズの粒子、の単離に依存する、種々の現在の研究及び臨床用途に使用することができる。
【0052】
一般に、遠心分離処理としての前記分離処理18は、懸濁した粒子を、それらの周囲の媒体からバッチ(batch)式又は連続流式に単離するために遠心力(g−力)を利用する。最終製品を作り出すために遠心力を有効に使用する様々な用途が存在する。例えば、遠心力は、細胞やウイルスの沈降、細胞より小さなオルガネラの分離、DNAやRNA、タンパク質、脂質などのマクロ分子の単離、更には、通常は酸化物の形態である、炭素とその他の元素とから成る粒子の製造、との関連において使用することができる。
【0053】
知られているように、懸濁液中の多くの粒子又は細胞は、時間が経つと、重力により、最終的には容器の底に沈殿する。しかしながら、そのような分離に必要な時間は非実用的である。この処理を目的とする粒度などの極端にサイズが小さなその他の粒子では、高い遠心力を受けない限り、溶液中においてまったく分離しない。懸濁溶液がある速度(毎分当たりの回転数)で回転されると、遠心力によって粒子が回転軸芯から径方向に離間する。その粒子の力(重力と比較して)は、相対遠心力(RCF)と呼ばれる。例えば、500xgのRCFは、与えられる遠心力が地球の重力の500倍であることを示す。
【0054】
遠心分離処理には様々なタイプのものがある。例えば、分離処理18の1つは分画遠心法とすることができる。この処理において、分離は、主として、分画遠心における粒子のサイズに基づいて達成される。このタイプの分離は、一般に単純なペレット化に使用される。遠心分離中、大きな粒子は小さな粒子よりも速く沈殿し、これによって分画遠心法による粗分画を得る基礎が提供される。
【0055】
別のタイプの遠心分離は、等密度又は密度勾配遠心法と呼ばれる。密度勾配遠心法は、細胞より小さなオルガネラ又はマクロ分子を精製するための1つの好適な方法である。密度勾配は、管内において、蔗糖などの勾配媒体の層を、その最も重い層が底部にあり、最も軽い層がその頂部にある状態で、順次形成(非連続又は連続式のいずれか)することによって作り出すことができる。分離されるべき細胞フラクションがその頂部に置かれ遠心分離される。密度勾配分離法は、速度−ゾーン(rate-zontal)(サイズ)分離法と等密度(密度)分離法とに分類することができる。
【0056】
速度−ゾーン(rate-zontal)(サイズ)分離法は、沈殿のために、粒子密度の代わりに、粒度と質量とを利用する。例えば、類似の材料と炭素粒子クラスを含む、UNCDは、全て密度は類似するが、質量は異なる。従って、質量にもとづく分離によって異なるクラスが分離され、それに対して、密度に基づく分離ではこれらのクラスを分割することができないであろう。ある種のタイプのロータは、このタイプ及びその他の分離用により適している。
【0057】
等密度分離法を使用する場合、特定の密度の粒子は、周りの溶液の密度がその粒子の密度と正確に同じになる位置に達するまで、遠心分離中に沈降する。一旦この準平衡状態が達成されると、遠心分離処理の長さは粒子のマイグレーションに対してなんら影響を与えなくなる。石炭は、種々のマセラル又は炭素源から成り、非類似対応密度を含む。等密度分離のために種々の勾配媒体を使用することができる。遠心分離装置84の二つの実施例が図15と図16とに図示されている。具体的には、図15は、ロータアセンブリ86の連続した流れを図示し、図16は、バッチ処理用の固定ロータアセンブリ88を図示している。
【0058】
前記分離処理18の後、それによって得られる製品は、特定の用途において有用な特別仕立ての製品である。表5は、この分離処理18後の石炭材料を表している。表6は、前記分離処理18後のUDD材料を表している。表5と表6とは共に、得られた懸濁液と元のサンプルから除去された沈殿物との粒度分布比較を示している。「石炭」比較のグラフ表示が図17に示され、前記”UDD”比較のグラフ表示が図18に示されている。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
本発明の別の態様において、最終材料を分析することができる。具体的には、この分離された材料は、パラメータ、特定のパラメータ、特性、特定の特性、物理パラメータ、特定の物理パラメータ、化学パラメータ、特定の化学パラメータ、粒径、粒径分布、などについて分析することができる。更に、この分析は、ディスク遠心分離写真(disc centrifuge photo)、沈降速度計、透過型電子顕微鏡、などを使用して実施又は実行することができる。
【0062】
一実施例において、得られた材料を、他の粒度測定法では完全に誤りに導く非理想的なサンプルを使用した場合においてさえ高解像度で正確な結果を提供する、ディスク遠心分離沈降速度計を使用して分析および/又は検証する。僅かに3%しか相違しない非常に狭いピークであっても完全に分離することが可能であり、僅か2%しか相違しない狭いピークは部分的に分離することができる。従って、前記ディスク遠心分離沈降速度計は、エンドユーザへの提供の前に最終結果を分析し検証するのに特に有用であろう。知られているように、全ての分析は、既知の較正に対して実行され、それによって高い精度が保障される。較正は、外部的(未知のもの前に注入される較正標準)、又は、内部的(未知のものと共に混合される較正標準)のいずれであってもよい。外的標準での報告されているサイズの典型的な精度は、約+/−0.5%(95%コンフィデンス)であり、これは内部的標準での+/−0.25%よりも良好である。同じサンプルの複製実行によって、全てのケースにおいて実質的にそっくり同じ結果が得られた。
【0063】
更に、ディスク遠心分離沈降速度計を使用する場合、たとえ106グラム活性サンプル重量においても、この装置によって提供される結果は、正確な粒径分布を提供する。幅狭のサンプルの検出下限は、108グラムを遥かに下回り、その結果、多くの種類の粒子をたとえ微量であっても検出することができる。この高い選択性によって、ルーチン的にマイクログラムサンプルの正確な分析が可能となる。
【0064】
得られた製品を分析するもう一つの方法は、透過型電子顕微鏡の使用である。透過型電子顕微鏡法(TEM)は、電子のビームが標本を通して透過されて、次に、画像が形成され、拡大されて、蛍光スクリーンまたは写真フィルムの層上に表されるか、CCDカメラなどのセンサによって案内される、撮像技術である。もう一つのタイプのTEMは、走査型透過電子顕微鏡(STEM)の使用であり、そこではビームを、サンプルを横切ってラスターして、画像を形成することができる。分析TEMにおいては、標本の元素組成を、そのX線パターンまたは透過された電子のエネルギ損失スペクトルを分析することによって決定することができる。最近の研究用TEMは、画像におけるひずみの量を低減するための収差補正装置を備え、それによって、0.1nmのスケールでの特徴に関する情報を得ることができ、0.08nmまでもの解像度が示されている。0.15eV以下の入射電子ビームのエネルギの広がりを減少させる単色光分光器も使用可能である。
【0065】
このようにして、特別用途のためにエンドユーザに対して有用で精製された材料を提供することができる。前記混合および/または湿潤処理12を使用して、材料を湿潤するか、その他、固体系を液体系に変換し、前記解凝集処理14を使用して大きなクラスタを小さなクラスタおよび/又は分離粒子へと分離することができる。前記安定化処理16は、得られる小クラスタ又は分離粒子間の吸引力を克服又は低減するために使用される。最後に、前記オプションの分離処理18は、非常に特異的な粒径分布又は範囲を示す材料、などの専用仕様材料を提供するために使用される。従って、本発明は、このクラスタ状又は凝集材料を得る方法、システム及び方法を提供し、特定のニーズを満たす精製され有用な製品を提供するものである。
【0066】
以上、本発明を、現在において最も実用的で好適な実施例とみなされるものに基づいて例示の目的で詳細に説明したが、そのような詳細は、もっぱらそのような目的のためのみのものであって、本発明はここに開示された実施例に限定されるものではなく、添付の請求項の要旨及び範囲内の改造及び均等構成を含むものと意図されるものであると理解される。例えば、本発明は、可能な限りにおいて、任意の実施例の単数又は複数の特徴構成を、その他の任意の実施例の単数又は複数の特徴構成と組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】従来技術によって作成された0−10ミクロンの石炭粒子のSEM
【図2】本発明によって処理された後の図1の石炭粒子のHRTEM
【図3】従来技術による原UNCD材のTEM
【図4】本発明によって処理された後の図3のUNCD材のTEM
【図5】本発明による方法とシステムの一実施例の略図
【図6】本発明による前記方法とシステムと使用可能な混合装置の略図
【図7】本発明による前記方法とシステムと使用可能な別の混合装置の略図
【図8】本発明による前記方法とシステムと使用可能な解凝集装置の略図
【図9】本発明によって製造された製品の特定粉砕サイクル時間の後の粒度分布を図示するチャート/グラフ
【図10】本発明によって製造された製品の粉砕サイクル時間におけるサイズ減少を図示するチャート/グラフ
【図11】本発明による前記方法およびシステムと使用される安定化装置の略図
【図12】本発明による前記方法およびシステムと使用される別の安定化装置の略図
【図13】本発明によって製造された製品のための音波エネルギの使用後の粒度分布を図示するチャート/グラフ
【図14】本発明によって製造された製品の粒子平均径とパワーを図示するチャート/グラフ
【図15】本発明による前記方法およびシステムと使用される遠心分離装置の斜視図
【図16】本発明による前記方法およびシステムと使用される別の遠心分離装置の斜視図
【図17】本発明による製品の発生する懸濁液と沈殿物の除去を図示するチャート/グラフ
【図18】本発明による製品の発生する懸濁液と沈殿物の除去を図示するチャート/グラフ
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の材料の解凝集、解離および/又は粉砕のための様々な化学的および/又は物理的処理に関し、特に、本発明は、特定材料の化学−物理的解凝集および/又は解離に関し、これにより、超分散ダイヤモンド(UDD)、超ナノ結晶ダイヤモンド(UNCD)、石炭などを含む種々の炭素材料、単一金属酸化物、複合金属酸化物、被覆粉体、などを含むその他凝集および/又は塊状および/又は凝集超微細粉体、が分離する。
【背景技術】
【0002】
粉体状材料、微粒子状材料、マイクロメートルサイズの粒子、ナノメートルサイズの粒子、その他類似の材料は、今日、種々の特殊分野で使用されている。例えば、そのような材料は、精密研磨処理、化学機械平坦化(CMP)、燃料電池用途、酸素生成、パイオテクノロジー処理、石油化学処理、化学処理、輸送用途、高性能材料部門、などで使用される。しかしながら、これらの特殊用途において有用であるためには、そのような粉体を精製し、利用可能な形態にして提供し、そのよってエンドユーザが高品質粉体をリーズナブルなコストで入手することが出来るようにすることが必要である。従って、それらの材料を、電子、発電、環境制御、石油化学及び化学産業を含む種々の産業の製造業者に提供することが可能な方法が求められている。
【0003】
上述したように、そのような特殊産業における利用のためには、より厳しい仕様を満たし、高品質な粉体に対する益々高まる需要に応えることが必要である。そのような厳しい仕様を達成するには、粒子材特性の制御を改善することが必要である。製造される材料のタイプに応じて、それぞれ異なる欠点があり、純粋な粉体粒子物質の製造が必要とされる。例えば、これらの材料のいくつかは、UDD,UNCD、炭素材料、石炭、単一金属酸化物、複合金属酸化物、被覆粉体、などを含みうる。
【0004】
これらの小粒子状材料はすべてその製造処理中に、凝集体、集塊物、および/又は凝塊物を形成する傾向がある。具体的には、その成形処理中および/又はその後の処理中に、凝集体又はクラスタが形成され、これらは比較的弱い結合によった互いに保持された個々の粒子から成り、それによって凝集力とそのようなクラスタの形成が起こる。これらの粉体の物理的及び化学的特性を最大化するためには、これらの凝集力を克服して、それによって互いに分離した粒子および/又はより小さなクラスタサイズにすることが望ましい。
【0005】
単一金属酸化物は、研磨材、触媒坦持材、顔料、紫外線阻止材、などとしての利用を含めて産業用途の範囲が広い。非採鉱セラミック粉体は、通常、化合物又は金属としての目的金属を分離し、その後、その材料を反応させて所望の化合物を形成することによって製造される。アルミ酸化物の製造の場合、通常使用される処理の1つは”バイヤー”処理であり、そこでアルミニウムは、ギブサイトに対する消化析出工程によって化合物水酸化アルミニウムとして分離される。次に、この水酸化アルミニウムを1050℃に加熱してヒドロキシルイオンを分解しAl2O3とH2Oとを形成する。この処理における最終工程は、Al2O3を粉砕して所望の粒度を得る工程である。更に、Al2O3は、その結晶構造によって互いに異なる、遷移アルミナ又はアルファアルミナからも作ることができる。前記遷移アルミナの大きな表面積と低い硬度が触媒と、半導体の研磨に利用される。単一金属酸化物の製造のための上述した方法のひとつの問題点は、粉砕工程によって粒度を減少させることが必要であることである。この処理に関連するその他の技術的障害としては、粒子を縮小することが可能な最小限度(約500nm)、粒度分布が広いこと、そして粉砕のために大きなエネルギと装置が必要とされること、が含まれる。
【0006】
一種類以上の金属を含む酸化化合物である複合金属酸化物に関しては、そのような化合物(例えば、BaTiO3)及び固体溶液は、Y2O3安定化ZrO2(YSZ)などの、別の酸化物の構造を通して均一に分散した金属酸化物を含む。現在、複合金属酸化物と金属酸化物の固体溶液は、固相反応、溶融状態や溶液状態からの結晶化法によって製造される。
【0007】
固相反応法において、対象の金属を含有する化合物が、組み合わされ、完全に混合され、その後、焼成される。焼成処理中に、前駆体が個々の金属の酸化物に分解される。その後、金属イオンが共に分散して両方の金属を含む化合物を作る。この分散処理は時間がかかる傾向があり、従って、材料は冷却されて再結合されて対象の個々の金属酸化物が相互作用するための新たな表面が作り出され、その後の再焼成中により多くの所望の化合物が作り出される。この冷却、粉砕及び再焼成処理は、最終製品としての所望のレベルの均質性と収率を達成するために、三または四回繰り返してもよい。この処理の主要な技術的限界のいくつかとして、二次相の形成、前駆材料の不完全な反応、長い焼成処理中における大きな粒子と凝集塊の成長、材料の再焼成と研磨に多くのエネルギが必要であること、がある。更にもう一つの欠点は、粉砕処理による最小粒度には限界があることである。
【0008】
複合金属酸化物を製造する固相反応法におけるそのような限界を克服する1つの方法は、湿式化学法によるものである。これらの方法において、対象の金属を含有する化合物が溶液中に溶解され、水分が急速に溶液から除去され(又は溶液がゲル化され)、その結果、得られる固体又はゲルが加熱される。金属イオンを溶液中において組み合わせることによって、異なる金属イオンを原子レベルで密に混合する方法が提供される。水分又はゲル化溶液を急速に除去することによって溶液中において達成された金属イオンとの高いレベルの混合が安定化される。酸素の存在下で脱水溶液又はゲルを加熱することによって、酸化物化合物が形成される。そのような湿式化学法は、実験部ではうまく行くようであるが、パイロットレベルの作業にスケールアップすることは困難であるように思われ、これが明らかな技術的限界である。更に、これらの方法を利用して一定した特性を示す材料物質を得ることには困難がある。一部の製造業者は、これらの困難により、そのような材料の製造にはもはや関与していない。
【0009】
前記湿式化学法の一つのバリエーションは、酸化物を製造する噴霧火炎法である。この方法において、準備された溶液が気化され火炎を通過される。小滴が火炎を通過する時、溶液中の液体が急速に気化し、乾燥された物質を酸化物に変換する反応が起こる。噴霧火炎技術においては、粒子が火炎を通過する時に遭遇する時間温度履歴に於ける変動から粒度制御限界が生じる。噴霧火炎のもう一つの懸念は、粒子が火炎の高温領域を通過する時に、酸化物が優先的に気化され、それによって金属イオンの分離が起こるかもしれないことである。このことによって、最終製品において所望の組成が得られず、この最終製品全体を通じて不均一な化学組成となる可能性がある。
【0010】
この一般的用途における別のタイプの材料は、被覆粒子と呼ばれるものである。被覆粒子は、被覆酸化物/材料が一次粒子の酸化物表面を湿潤する時に形成することができる。例えば、アルデヒドへのアルコール変換のためにTiO2に適用される場合の、V2O5の触媒的挙動は、V5O5をTiO2の表面上にコーティングすることによって大幅に改善される。被覆粒子は湿式初期(wet incipient)処理によって製造される。次に、粉体は乾燥され、熱処理されて酸化物又は金属と溶液によって金属が変換され、それによって、溶液酸化物/金属が粒子表面上に連続的なコーティングを形成する。これらの被覆粒子に関連する技術的障害のいくつかの例として、二工程処理が必要であること、更に、コーティングが粒子間にブリッジを形成して、それによって凝集が生じる可能性があること、が挙げられる。更に、この二工程処理によって、最終粒子を作るために必要なエネルギが実質的に二倍になる。
【0011】
超分散ダイヤモンド(UDD)又は超ナノ結晶ダイヤモンド(UNCD)は、隕石や原始惑星系星雲においても見られるダイヤモンド粒子の特徴でもある比較的狭い粒度分布をもたらすデトネーション合成によって見られる合成ダイヤモンドである。ナノ結晶ダイヤモンドとしても知られるUDD又はナノダイヤモンドは、長年市販されている。これらの材料の用途としては、非限定的に、電着、ポリマー組成物、フィルム及び膜、放射及び耐オゾンコーティング、潤滑油、グリース及び潤滑冷却液、研磨具、ハードディスクドライブ用の研磨ペースト及び研磨懸濁液、光学、半導体コンポーネント、化学機械平坦化、などが挙げられる。UDDの生体適合性により、これらの材料は、種々の生物及び医療用途に利用される可能性を有する。その他の用途としては、燃料電池、磁気記録システム、触媒、焼成、高度複合材料、新素材、などがある。
【0012】
本出願によって考えられるもう1つのタイプの材料は、無煙炭又は石炭である。石炭は、それらが由来する植物の性質、それらが堆積された環境、そして埋設後に起こった化学及び物理的プロセス、に応じて、その形状、サイズ、組成が異なる、有機及び無機成分の複雑で異質な混合物から成る。最終的にサイズ決定され偏極された無煙炭が、これらの石炭材料を、高付加価値炭素生産物の製造のための前駆体粒子として使用する用途を含む、燃料及び非燃料用途に使用されている。しかしながら、これらの炭素生産物は、粒度、粒子分布、粒子形状、比表面積、バルク純度などの、厳密な物理的化学的特性に関しては最小の要件しか、或いはまったくそのような要件がない。これらの用途の必要性の多くは、従来技術によってはほとんど、或いはまったく満たされていない。
【0013】
通常、UDDを含むそのような超微細粉体は、製造又は処理中に、一般に「クラスタ」と呼ばれる凝集/凝塊を形成する。具体的には、形成処理および/又はその後の処理工程において、上述したような比較的弱い結合又は材料のブリッジによって互いに保持された個々の粒子から成る凝集体が形成される。上述した用途におけるナノダイヤモンド及びその他のナノサイズの粒子の可能性を最小限にするためには、これらの凝集力を克服して個々の粒子を形成するか、クラスタのサイズを小さくしなければならない。マイクロメートルサイズ及びナノメートルサイズの石炭粒子の処理において、これは一般に、粒子付着(particle accretion)と呼ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の1つの課題は、従来技術の方法と処理の問題的と欠点とを解決する、種々のクラスタ材の解凝集および/又は解離のための方法、システム及び装置を提供することにある。本発明のもう一つの課題は、クラスタ材料を分離した粒子および/又はより小さなクラスタへと分離する、種々のクラスタ材料の解凝集および/又は解離のための方法、システム及び装置を提供することにある。本発明の更にもう一つの課題は、種々の特殊用途及び産業の製造業者に有用な最終製品を提供する種々のクラスタ材料の解凝集および/又は解離のための方法、システム及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離する方法に関する。この方法は、(a)前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する開始工程と、(b)これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する解凝集工程と、そして、(c)特定の制御吸引力を減少、除去又は置換することによって、前記解凝集された材料の少なくとも一部を安定化する安定化工程、とを含む。
【0016】
本発明は、更に、特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離するシステムにも関する。前記システムは、前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する手段と、これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する手段とを有する。前記解凝集された材料は、複数のより小さなクラスタおよび/又は別々の粒子を含む。前記システムは、更に、特定の制御吸引力を減少、除去又は置換することによって、前記解凝集された材料の少なくとも一部を安定化する手段を有する。
【0017】
更に別の態様において、本発明は、所定の材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも1つのクラスタを分離するための装置に関する。この装置は、前記特定材料と、少なくとも1つの液体材料とを受け取り混合し、それによって、複数の少なくとも部分的に湿潤されたクラスタ粒子を含む混合気材料を提供する混合装置を有する。前記装置は、更に、前記混合材料の少なくとも一部を受け取り解凝集し、それによって、解凝集された材料を提供する解凝集装置を有する。安定化装置が前記解凝集材料の少なくとも一部を受け取り安定化する。
【0018】
本発明のこれら及びその他の特徴及び特性、更に、構造の関連要素の作動方法及び機能、パーツの組み合わせ製造の経済性は、添付の図面を参照して以下の説明と添付の請求項とを考慮することによって明らかになるであろう。これらの全てがこの明細書の一部を構成するものであり、種々の図面において、これらにおいて類似の参照番号によって対応のパーツが示されている。但し、これらの図面はもっぱら図示と説明の目的のものであって、本発明の限定の定義として意図されるものではないことが銘記される。明細書及びクレームでの使用において、”a”,“an”及び”the”の単数形は、特に銘記されない限り、複数のものも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、従来技術によって作成された0−10ミクロンの石炭粒子のSEM、
図2は、本発明によって処理された後の図1の石炭粒子のHRTEM、
図3は、従来技術による原UNCD材のTEM、
図4は、本発明によって処理された後の図3のUNCD材のTEM、
図5は、本発明による方法とシステムの一実施例の略図、
図6は、本発明による前記方法とシステムと使用可能な混合装置の略図、
図7は、本発明による前記方法とシステムと使用可能な別の混合装置の略図、
図8は、本発明による前記方法とシステムと使用可能な解凝集装置の略図、
図9は、本発明によって製造された製品の特定粉砕サイクル時間の後の粒度分布を図示するチャート/グラフ、
図10は、本発明によって製造された製品の粉砕サイクル時間におけるサイズ減少を図示するチャート/グラフ、
図11は、本発明による前記方法およびシステムと使用される安定化装置の略図、
図12は、本発明による前記方法およびシステムと使用される別の安定化装置の略図、
図13は、本発明によって製造された製品のための音波エネルギの使用後の粒度分布を図示するチャート/グラフ、
図14は、本発明によって製造された製品の粒子平均径とパワーを図示するチャート/グラフ、
図15は、本発明による前記方法およびシステムと使用される遠心分離装置の斜視図、
図16は、本発明による前記方法およびシステムと使用される別の遠心分離装置の斜視図、
図17は、本発明による製品の発生する懸濁液と沈殿物の除去を図示するチャート/グラフ、そして
図18は、本発明による製品の発生する懸濁液と沈殿物の除去を図示するチャート/グラフである。
【0020】
好適実施例の説明
以下の説明の目的で、「上方」、「下方」、「右側」、「左側」、「縦」、「横」、「頂部」、「側方」、「長手」及びこれらの派生型の用語は、図面における向きにおいて本発明に関連するものとする。しかし、本発明は、特に銘記されない限り、様々なその他のバリエーション、工程、シーケンスのものにすることが可能であると理解される。又、添付の図面に図示され、以下の明細書に記載されている具体的な装置、方法は、単に本発明の例示的実施例に過ぎないと理解される。従って、ここに開示される具体的寸法及びその他の物理的特長は限定的なものと理解されてはならない。
【0021】
本発明は、特に銘記されない限り、様々なその他のバリエーション、工程、シーケンスのものにすることが可能であると理解される。又、添付の図面に図示され、以下の明細書に記載されている具体的な装置、方法は、単に本発明の例示的実施例に過ぎないと理解される。
【0022】
本発明の方法、システム、及び装置は、特定の材料の凝集した粒子を効果的に分離した粒子および/又はより小さなクラスタに分離する。ここでの使用において、この処理は、分離処理、解離処理、解凝集処理、又はクラスタ粒子を分離した粒子状材料および/又はより小さなクラスタに分離することを反映するその他の類似する用語、処理と称することができる。更に、本発明の方法、システム、及び装置は、上述したように種々の材料に関連して有用である。例えば、この方法及び処理を受ける材料は、粉体化材料、酸化物、単一金属酸化物、複合金属酸化物、被覆粒子、超分散ダイヤモンド、超ナノ結晶性ダイヤモンド、凝集材、凝塊材、凝縮材、無煙炭、石炭、石炭系材、マイクロメートルサイズ材、ナイメートルサイズ材、など、とすることができる。具体的には、本発明の方法、システム及び装置は、その粒子が前述した凝集力によって凝集する傾向がある粒子状の任意のタイプの材料との関連において有用である。上述したように、本発明の1つの課題は、これらの凝集力に打ち勝ち、前記材料をより小さなクラスタ又は別々の粒子に分離することにある。
【0023】
1つの例において、本発明の方法、システム、及び装置の対象とされる前記具体的な材料は石炭である。図1に図示されているように、既存の石炭粒子のSEMが示されている。これらの粒子は、サイズが0〜10ミクロン、の範囲であり、平均粒度は約6ミクロンである。これは、本発明の方法、システム、及び装置を受ける前のそのような粒子の凝集傾向を示している。従来技術によれば、これらの粒子がサブミクロン粒度に粉砕される時に、それらは凝集する(可塑性変形と、ある種の制御吸引/凝集力によって再度結合してより大きな粒子を形成する)傾向がある。ここでの記載において、この集積はサブミクロン及びナノスケールレベルでの凝集、凝固および/又はクラスタ化に類似する。この凝集は、本発明の方法、システム、及び装置によって処理を受けることによって、回避又は低減され、それにより、ナノメートルサイズの石炭粒子を含む最終製品が得られる。処理後(後に詳述する)、個々の粒子は図2に図示されているようになる。具体的には、図2は、いまや約6ナノメートルの粒度を示すナノ粉砕石炭のHRTMである。図2に図示されている製品は、本発明の方法、システム、及び装置を使用する処理の結果である。上述したように、三桁以上のサイズ低減が得られている。
【0024】
本発明の利点及びそれによって得られる製品のもう一つの例として、図3及び図4は、超分散ダイヤモンド材の使用を図示している。詳しくは、図3は、そのサイズが約400ナノメートルの凝塊又は凝集を示す原超ナノ結晶ダイヤモンド(UNCD)のTEMを図示している。本発明によって処理された後、それによって得られる材料が図4に図示され、これは一次粒子状態へと解凝集されたこれらの粒子のTEMである。更に、この得られる製品は、約12ナノメートルのサイズの粒子を証明している。
【0025】
従って、図1−4に図示されているように、本発明の方法は、特定の材料の凝集粒子を別々の粒子および/又はより小さなクラスタへと効果的に分離し、これらをその後、上述したように特殊用途において使用することができる。具体的には、本発明の方法は、前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する開始工程と、これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する工程と、特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを解凝集する工程と、を有する。次に、前記解凝集された材料を安定化しなければならず、これによって、前記粒子と表面との間の特定の制御吸引力が減少、除去又は置換される。安定化が終わると、図2及び図4の例において上述したように、最終製品が得られる。
【0026】
この湿潤され、解凝集され安定化された材料を単数又は複数の特定の粒度範囲又は分布へと分離することによって、この最終製品を更に処理してより有用な製品を提供することができる。このことは、最終製品を、それぞれのニーズに合わせた、既知の狭い粒度範囲又は分布を示すことによってユーザにニーズを満たすように特異的に適合させることが可能であるということを示している。
【0027】
本発明の方法10の一実施例が図5に概略図示されている。具体的は、この実施例において、前記方法10は、混合/湿潤処理12と、解凝集処理14と、安定化処理16と分離処理18とを含む。これらの種々の副処理12,14,16,18のそれぞれを、以下詳述する。但し、これらの処理12,14,16,18を使用することによって、クラスタ粒子が解凝集、安定化され、更に、所望の粒度分布又は範囲を提供するように適合された最終製品が得られる。
【0028】
上述した処理のそれぞれを使用して、材料を凝集状態から最終的に適合された製品状態へと変化させる。具体的には、前記混合/湿潤処理12は、クラスタ粒子を、乾燥した又は固体ベースの系から固体/液体ベースの系への変換において湿潤を開始する。前記解凝集処理14は、これらのクラスタを分離した粒子又はより小さなクラスタへと解凝集、分解、又は別の方法で分離、するために使用される。このようにして、クラスタサイズの減少した又は分離した粒子の解放が達成される。次に、前記安定化処理16において、解凝集された材料を希釈し、分散安定化する。このようにして、最終化学特性が得られ、粒度分布明瞭性(particle size distribution clarity)が達成される。最後に、前記オプションの分離処理18において、粒度分布調節と、更には、大きすぎるクラスタ又凝集の除去、が達成される。
【0029】
従って、本発明の前記方法10は、分離又は分散方法と称することができ、これが前記湿潤工程、粒子分離及び粒子安定化を含む。一例において、UCD及びその他の超微小粉体の粒子は、その最大ポテンシャルを発現するためにはその一次粒度へと分散させなければならない。又、最大範囲の性能ポテンシャルのためにはそのラスタサイズを制御することが有利である。石炭に関しては、それは種々の炭素源から成る非均質な材料ではあるが、それは、ナノ粉砕処理中にまだやわらかい凝集物として挙動する。更に、更なる粉砕のためには、粉砕エネルギの導入によって引き起こされるフラグメントを、その一次粒度へと分散させる必要がある。
【0030】
前記湿潤処理12に関して、前記クラスタ粒子、すなわち、出発材料が、液体系において分布され、そこでは一部の液体材が固体粒子表面の表面上に広げられている。前記液体は、前記液体系の「溶媒」成分と称され、これは通常、ベース溶媒と、一部の湿潤および/又は分散剤、例えば、超分散剤、とから成る。その他の合成材も使用され、これらは分散剤と有利に作用し、液体−固体界面において分散助剤として機能する。前記液体系は、非限定的に、ベース溶媒、水、オイル、湿潤剤、分散剤(例えば、溶解した固体)、材料分解溶媒、超分散材、合成材、極性材、非極性材、など、を含む種々の液体材料ら形成することができる。一例において、三種類の液体系、そのうちの二つの極性でひとつは非極性、が使用された。更に、これらの系のそれぞれに対して1つの、全部で三種類の湿潤/分散剤が選択された。 各液体系につき、≧25%の固体重量を最初にテストした。
【0031】
なお、この混合/湿潤処理12において、前記クラスタまたは凝塊粒子の「湿潤」が開始されることを銘記しなければならない。いくつかの場合において、前記方法10の全体を通じて、たとえば、予備混合、湿潤および/又は解凝集処理中、に前記材料の完全な「湿潤」が起こる。材料の「湿潤」と系を固体系から固体/液体系へと変換することの物理的原理により、この処理は、ここに記載される他の工程及び処理と共に行うことができる。
【0032】
前記混合/湿潤処理12の1つのオプション工程が、前記クラスタ粒子の混合であり、これによって、粒子の前記湿潤と、溶液に対する十分な力の導入とによりその中に含まれる固体に影響を与えることによって、増大又は促進された状態で、初期分離の一部が提供される。凝集(flocculates)は、緩やかに押し固められた粒子であり、これらは、凝集粒子間の「空の隙間」が、凝集粒子がその空気又は水分を前記ベース溶媒と置換された後に形成される。力を追加付与することによって、これらの凝集を分解することができ、それによって分離し粒子集団が形成される。場合によっては、解凝集段階において粒子の分離を中断することが有利であるが、これらの凝集粒子を分解するためには、凝集力に打ち勝たなければならない。適当な力を加えることによって、前記粒子を大きなマスから剥離させることができ、これは、混合/粉砕処理、および/又は混合/粉砕/音波放射処理(後述)を使用することによって達成することができる。従って、本発明の前記方法10は、前記ベース媒体のための搬送媒体をその分散剤とともに凝集物内の粒子表面に提供するために、物理的な混合粉砕工程と、補完的な化学的作用との両方を使用する。そのような化学的作用と、それに加えて十分なせん断と衝突とによって、最終的な凝集、クラスタサイズ、凝塊、又は分離粒子集団が提供される。
【0033】
上述したように、前記湿潤処理及び混合処理は、前記混合/湿潤処理12へと組み合わせることができる。更に、この混合処理は、真空混合、攪拌処理、などを使用して達成することができる。更に、この混合処理は、凝集粒子間の空気が除去され、それがベース溶媒によって置き換えられる混合前処理とみなすこともできる。前記混合/湿潤処理12において使用可能な混合装置20の一例が図6に図示されている。図示されているように、材料はホッパ22に投入されロータリバルブ24を通して供給される。次に、この材料は、ロータに接続された分解装置26に接触する。次に、前記液体材が単数又は複数の導入管28を通して加速チャンバ30に接線方向に注入される。このようにして、前記固体粒子は「湿潤」される。更に、前記混合/湿潤処理12のこの実施例の前記混合装置20は、冷却されたハウジング32を備える円錐形の圧縮領域においてサイクロン34を利用する。尚、前記加速チャンバ30は、安全スライドバルブ36によって横断されているということも銘記しておかなければならない。更に、前記液体を、導入管28を通して提供するために、湿潤スチームポンプ38が設けられている。この湿潤混合処理の後、材料は、攪拌機42を備えるバッチタンク40に向けられる。図6に示されているように、前記バッチタンク40の頂部の近くのより大きなクラスと又は大きな粒子状物質を含む材料は、除去され、管44を通って再循環される。このようにして、前記混合/湿潤処理12(そして前記混合装置20)は、「湿潤」を開始し、粒子状物質を混合し、それによって、前記材料を固体系から固体/液体系へと変換する。
【0034】
別実施例において、そして図7に図示されているように、前記混合/湿潤処理12は、単純に、前記バッチタンク40と攪拌機42とを備える混合装置20を含むことができる。具体的には、前記予備混合及びその他の追加のコンポーネント及び上述した工程はオプションであって、より良好な混合及び湿潤処理をもたらすものに過ぎない。いずれにせよ、前記特定材料の混合又は予備湿潤はオプションであり、材料を固体状態から固体/液体又はスラリ状態へと変換することにおいて必要であるのは「湿潤」処理のみである。前記混合/湿潤処理12の後、前記粒子と溶液とが前記解凝集処理14に導入される。すなわち、なんらかの解凝集装置46によって供給されるせん断及び衝突力を受ける。一実施例において、前記解凝集装置46は、適当な粉砕媒体を含む高エネルギビードミルである。具体的には図8に図示されているように、この解凝集装置45は、高エネルギ攪拌ビードミルであって、これは攪拌軸48を使用して湿潤材を粉砕する。これによって、湿潤材にせん断及び衝突力が発生するか、もしくは加えられる。更に、前記攪拌軸48の回転によって、特定の密度、サイズ、組成を備える前記粉砕媒体50に対してエネルギが与えられる。又、前記攪拌軸48は、前記粉砕媒体50が、前記ベース溶液(湿潤および/又は分散剤有り又は無し)中に懸濁している固体に対して作用する適当な力を発揮することを可能にする。
【0035】
前記粉砕媒体50によって与えられる力は、それらが粉砕チャンバ52を通過する時に、前記凝集、凝塊および/又はクラスタに対してせん断又は衝突し、これによって、より小さな凝集/凝塊/クラスタサイズ、又は完全に分離した粒子集団(或いはそれらのなんらかの組み合わせ)が得られる。温度、材料流、粉砕媒体、攪拌装置速度、などの種々の物理的パラメータの使用は、材料の適当な分離又は解凝集を達成するために調節可能な処理パラメータである。このようにして、特異的に設計された化学作用が、前記混合装置20および/又は前記解凝集装置46によって提供される力と組み合わされて、小さなクラスタサイズ、あるいは場合によっては、分離した粒子集団を示す製品が得られる。
【0036】
前記混合/湿潤処理12と解凝集処理14を受けたUDD材料の一例(実験A)が表1に示されている。具体的には、表1は、処理サイクル時間にわたる、UDD材料の粒度を比較している。更に、前記UDD材のこの処理の結果が図9にグラフ表示されている。
【0037】
【表1】
【0038】
石炭粒子を使用した時の類似の結果が表2に図示されている。具体的には、表2は、所定の処理サイクル時間にわたるこの石炭材の粒度を図示している。そのグラフ結果は図10に図示されている。
【0039】
【表2】
【0040】
前記混合/湿潤処理12及び解凝集処理14の後、それによって得られる製品は、凝集した最終製品かもしくは同時に分散された最終製品とすることができる。この最終製品の最終化学的及び物理的パラメータは、用途に応じて変化するであろうが、次に説明する安定化処理16の前に決定されなければならない。
【0041】
前記解凝集材の少なくとも一部を安定化するのに使用可能な処理としては様々なものがあり、これによって、粒子間の特定の制御吸引力が低減又は除去される。一実施例において、前記安定化処理は超音波液体処理工程であり、そこで、前記解凝集材料は再循環、混合気、冷却、などを受ける。具体的には、この超音波液体処理工程は、流速、再循環速度、混合速度、冷却速度、付与される振幅などを変化させることによって制御することができる。
【0042】
一般に、超音波処理(前記安定化処理16として)は、液体中において強力なキャビテーションを作り出すために高周波数振動(毎秒約20,000サイクル)を利用する。キャビテーション泡は、機械式混合気や高圧装置によって達成されるエネルギよりも遥かに高い局所的エネルギレベルを作り出す。液体処理セルの典型的な用途としては、エマルジョン化、分散、抽出、生物細胞破壊、化学反応の加速、がある。その他のキャビテーション用途としては、捕捉された気体の除去、含浸、到達するのが困難な領域からの微粒子的汚染の洗浄、それらの自然な分裂線に沿った結晶の切断、がある。一般に、従来の装置及び方法を使用しては満足に行うことができない用途での使用の最終処理方法として超音波がコスト的に有利である。しかしながら、本発明のコンテクスト内において、この解凝集材を安定化可能な任意の方法、システム、装置が考えられる。
【0043】
一実施例において、電源が117ボルトのライン電流を20kHzの高周波数電気エネルギに変換する。このエネルギは、コンバータと呼ばれる圧電素子に供給され、それによって前記電気エネルギは20kHzの機械的振動エネルギに変換される。これらの振動がホーン(horn)に伝えられ、そこから高周波振動か溶液内に伝達されて強力なキャビテーションを作り出す。
【0044】
安定化装置54の二つの実施例が図11と図12とに図示されている。更に、図11の安定化装置54は、超音波放射(irradiation)装置56である。この放射(irradiation)装置56は、電源モジュール60によって駆動されるコンバータ/ホーン58を備えている。デジタル制御装置62と振幅制御装置64とを使用して、前記電源モジュール60に対してなんらかの振幅制御が提供される。ユーザ66、ユーザ入力/出力機構68、温度プローブ70及び遠隔端子72を含めて、種々の主体によって前記デジタル制御装置62に対して入力を提供することが可能である。更に、前記デジタル制御装置62に提供され、それによって処理される情報は、プリンタ74に出力することができる。この実施例において、湿潤され、解凝集された粒子を安定化して、それによって所定の制御及び吸引力を減少又は除去するように作用するのはこの超音波放射(irradiation)装置56である。
【0045】
別実施例において、そして図12に図示されているように、前記安定化装置54は、超音波照射(sonification)装置76である。図12の実施例において、前記超音波照射(sonification)装置76 は、10GPH以上の率で均一に低粘度溶液を処理することが可能なステンレス鋼、インライン連続フローセルである。この超音波照射(sonification)装置76を使用して、強力な超音波活性のゾーンを通して溶液をポンプ送りすることによって懸濁化、分散、均質化することができる。処理の程度は、超音波ホーン78の振幅を変化させることによって、又、前記装置76を通る溶液の流速を変化させることよっても、制御することができる。溶液によっては、所望の結果が達成されるまでに、再循環を必要とするものもありうる。連続流アタッチメント80は、冷却ジャケット82を備えることができ、それを通して、適当な冷却液を循環させて長時間の処理中における発熱を遅延させることができる。前記連続流アタッチメント80は、又、殺菌状態を保障し、汚染を防ぐために閉鎖系でシールしてもよい。図11と図12との両方に図示されている前記安定化装置は、材料に対して超音波エネルギを供給することが可能な二つの適当な装置を代表するものに過ぎない。
【0046】
尚、前記安定化処理16は、希釈および/又は混合処理(公知の混合又は希釈機器又は装置を使用して)において実施することが可能であることが銘記される。例えば、超音波安定化処理(上述しような)を使用するのではなく、前記安定化工程は、湿潤解凝集材を希釈又は混合する装置、機器の使用を含むことができる。特に、そのような混合又は希釈処理中に前記湿潤又は解凝集材に対して与えられる力は、懸濁安定化を行うために十分なものであるかもしれない。勿論、これは処理を受ける材料の物理的及び化学的属性は、更に、システムにおける処理条件の物理的パラメータに依存する。更に、最終製品の必要な仕様、例えば、粒度分布や範囲、に基づいて十分な安定化が行われるようにすることが可能である。
【0047】
表3は、前記安定化装置54によって処理された後のUDD材の一例を図示している。具体的には、表3は、湿潤、解凝集材に導入された音波エネルギに対する平均及びピーク粒度を図示している。
【0048】
【表3】
【0049】
前記安定化処理16の後のUDD材の同じサンプルが表4に示され、今回は設定処理サイクル時間にわたる超音波処理材の粒度分布が示されている。これらの結果は、図13のグラフに図示されている。更に、パワーに対するこの超音波処理材の平均サイズの表とグラフが図14に示されている。
【0050】
【表4】
【0051】
上述したように、1つのオプション工程は、湿潤、解凝集及び安定化後の材料を種々の特定の粒度範囲、分布又はその他の所望の物理的特性又はパラメータへの最終分離の工程である。例えば、この分離処理18は、遠心分離工程とすることができ、これは、生化学、細胞、及び分子生物学、医学、を含む様々な産業と、及び今ではナノ材料の開発と製造とにおいて使用されている一般的な処理である。特に、遠心分離は、今日、種々の分野での、細胞、細胞より小さなオルガネラ、マクロ分子、及びナノサイズの粒子、の単離に依存する、種々の現在の研究及び臨床用途に使用することができる。
【0052】
一般に、遠心分離処理としての前記分離処理18は、懸濁した粒子を、それらの周囲の媒体からバッチ(batch)式又は連続流式に単離するために遠心力(g−力)を利用する。最終製品を作り出すために遠心力を有効に使用する様々な用途が存在する。例えば、遠心力は、細胞やウイルスの沈降、細胞より小さなオルガネラの分離、DNAやRNA、タンパク質、脂質などのマクロ分子の単離、更には、通常は酸化物の形態である、炭素とその他の元素とから成る粒子の製造、との関連において使用することができる。
【0053】
知られているように、懸濁液中の多くの粒子又は細胞は、時間が経つと、重力により、最終的には容器の底に沈殿する。しかしながら、そのような分離に必要な時間は非実用的である。この処理を目的とする粒度などの極端にサイズが小さなその他の粒子では、高い遠心力を受けない限り、溶液中においてまったく分離しない。懸濁溶液がある速度(毎分当たりの回転数)で回転されると、遠心力によって粒子が回転軸芯から径方向に離間する。その粒子の力(重力と比較して)は、相対遠心力(RCF)と呼ばれる。例えば、500xgのRCFは、与えられる遠心力が地球の重力の500倍であることを示す。
【0054】
遠心分離処理には様々なタイプのものがある。例えば、分離処理18の1つは分画遠心法とすることができる。この処理において、分離は、主として、分画遠心における粒子のサイズに基づいて達成される。このタイプの分離は、一般に単純なペレット化に使用される。遠心分離中、大きな粒子は小さな粒子よりも速く沈殿し、これによって分画遠心法による粗分画を得る基礎が提供される。
【0055】
別のタイプの遠心分離は、等密度又は密度勾配遠心法と呼ばれる。密度勾配遠心法は、細胞より小さなオルガネラ又はマクロ分子を精製するための1つの好適な方法である。密度勾配は、管内において、蔗糖などの勾配媒体の層を、その最も重い層が底部にあり、最も軽い層がその頂部にある状態で、順次形成(非連続又は連続式のいずれか)することによって作り出すことができる。分離されるべき細胞フラクションがその頂部に置かれ遠心分離される。密度勾配分離法は、速度−ゾーン(rate-zontal)(サイズ)分離法と等密度(密度)分離法とに分類することができる。
【0056】
速度−ゾーン(rate-zontal)(サイズ)分離法は、沈殿のために、粒子密度の代わりに、粒度と質量とを利用する。例えば、類似の材料と炭素粒子クラスを含む、UNCDは、全て密度は類似するが、質量は異なる。従って、質量にもとづく分離によって異なるクラスが分離され、それに対して、密度に基づく分離ではこれらのクラスを分割することができないであろう。ある種のタイプのロータは、このタイプ及びその他の分離用により適している。
【0057】
等密度分離法を使用する場合、特定の密度の粒子は、周りの溶液の密度がその粒子の密度と正確に同じになる位置に達するまで、遠心分離中に沈降する。一旦この準平衡状態が達成されると、遠心分離処理の長さは粒子のマイグレーションに対してなんら影響を与えなくなる。石炭は、種々のマセラル又は炭素源から成り、非類似対応密度を含む。等密度分離のために種々の勾配媒体を使用することができる。遠心分離装置84の二つの実施例が図15と図16とに図示されている。具体的には、図15は、ロータアセンブリ86の連続した流れを図示し、図16は、バッチ処理用の固定ロータアセンブリ88を図示している。
【0058】
前記分離処理18の後、それによって得られる製品は、特定の用途において有用な特別仕立ての製品である。表5は、この分離処理18後の石炭材料を表している。表6は、前記分離処理18後のUDD材料を表している。表5と表6とは共に、得られた懸濁液と元のサンプルから除去された沈殿物との粒度分布比較を示している。「石炭」比較のグラフ表示が図17に示され、前記”UDD”比較のグラフ表示が図18に示されている。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
本発明の別の態様において、最終材料を分析することができる。具体的には、この分離された材料は、パラメータ、特定のパラメータ、特性、特定の特性、物理パラメータ、特定の物理パラメータ、化学パラメータ、特定の化学パラメータ、粒径、粒径分布、などについて分析することができる。更に、この分析は、ディスク遠心分離写真(disc centrifuge photo)、沈降速度計、透過型電子顕微鏡、などを使用して実施又は実行することができる。
【0062】
一実施例において、得られた材料を、他の粒度測定法では完全に誤りに導く非理想的なサンプルを使用した場合においてさえ高解像度で正確な結果を提供する、ディスク遠心分離沈降速度計を使用して分析および/又は検証する。僅かに3%しか相違しない非常に狭いピークであっても完全に分離することが可能であり、僅か2%しか相違しない狭いピークは部分的に分離することができる。従って、前記ディスク遠心分離沈降速度計は、エンドユーザへの提供の前に最終結果を分析し検証するのに特に有用であろう。知られているように、全ての分析は、既知の較正に対して実行され、それによって高い精度が保障される。較正は、外部的(未知のもの前に注入される較正標準)、又は、内部的(未知のものと共に混合される較正標準)のいずれであってもよい。外的標準での報告されているサイズの典型的な精度は、約+/−0.5%(95%コンフィデンス)であり、これは内部的標準での+/−0.25%よりも良好である。同じサンプルの複製実行によって、全てのケースにおいて実質的にそっくり同じ結果が得られた。
【0063】
更に、ディスク遠心分離沈降速度計を使用する場合、たとえ106グラム活性サンプル重量においても、この装置によって提供される結果は、正確な粒径分布を提供する。幅狭のサンプルの検出下限は、108グラムを遥かに下回り、その結果、多くの種類の粒子をたとえ微量であっても検出することができる。この高い選択性によって、ルーチン的にマイクログラムサンプルの正確な分析が可能となる。
【0064】
得られた製品を分析するもう一つの方法は、透過型電子顕微鏡の使用である。透過型電子顕微鏡法(TEM)は、電子のビームが標本を通して透過されて、次に、画像が形成され、拡大されて、蛍光スクリーンまたは写真フィルムの層上に表されるか、CCDカメラなどのセンサによって案内される、撮像技術である。もう一つのタイプのTEMは、走査型透過電子顕微鏡(STEM)の使用であり、そこではビームを、サンプルを横切ってラスターして、画像を形成することができる。分析TEMにおいては、標本の元素組成を、そのX線パターンまたは透過された電子のエネルギ損失スペクトルを分析することによって決定することができる。最近の研究用TEMは、画像におけるひずみの量を低減するための収差補正装置を備え、それによって、0.1nmのスケールでの特徴に関する情報を得ることができ、0.08nmまでもの解像度が示されている。0.15eV以下の入射電子ビームのエネルギの広がりを減少させる単色光分光器も使用可能である。
【0065】
このようにして、特別用途のためにエンドユーザに対して有用で精製された材料を提供することができる。前記混合および/または湿潤処理12を使用して、材料を湿潤するか、その他、固体系を液体系に変換し、前記解凝集処理14を使用して大きなクラスタを小さなクラスタおよび/又は分離粒子へと分離することができる。前記安定化処理16は、得られる小クラスタ又は分離粒子間の吸引力を克服又は低減するために使用される。最後に、前記オプションの分離処理18は、非常に特異的な粒径分布又は範囲を示す材料、などの専用仕様材料を提供するために使用される。従って、本発明は、このクラスタ状又は凝集材料を得る方法、システム及び方法を提供し、特定のニーズを満たす精製され有用な製品を提供するものである。
【0066】
以上、本発明を、現在において最も実用的で好適な実施例とみなされるものに基づいて例示の目的で詳細に説明したが、そのような詳細は、もっぱらそのような目的のためのみのものであって、本発明はここに開示された実施例に限定されるものではなく、添付の請求項の要旨及び範囲内の改造及び均等構成を含むものと意図されるものであると理解される。例えば、本発明は、可能な限りにおいて、任意の実施例の単数又は複数の特徴構成を、その他の任意の実施例の単数又は複数の特徴構成と組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】従来技術によって作成された0−10ミクロンの石炭粒子のSEM
【図2】本発明によって処理された後の図1の石炭粒子のHRTEM
【図3】従来技術による原UNCD材のTEM
【図4】本発明によって処理された後の図3のUNCD材のTEM
【図5】本発明による方法とシステムの一実施例の略図
【図6】本発明による前記方法とシステムと使用可能な混合装置の略図
【図7】本発明による前記方法とシステムと使用可能な別の混合装置の略図
【図8】本発明による前記方法とシステムと使用可能な解凝集装置の略図
【図9】本発明によって製造された製品の特定粉砕サイクル時間の後の粒度分布を図示するチャート/グラフ
【図10】本発明によって製造された製品の粉砕サイクル時間におけるサイズ減少を図示するチャート/グラフ
【図11】本発明による前記方法およびシステムと使用される安定化装置の略図
【図12】本発明による前記方法およびシステムと使用される別の安定化装置の略図
【図13】本発明によって製造された製品のための音波エネルギの使用後の粒度分布を図示するチャート/グラフ
【図14】本発明によって製造された製品の粒子平均径とパワーを図示するチャート/グラフ
【図15】本発明による前記方法およびシステムと使用される遠心分離装置の斜視図
【図16】本発明による前記方法およびシステムと使用される別の遠心分離装置の斜視図
【図17】本発明による製品の発生する懸濁液と沈殿物の除去を図示するチャート/グラフ
【図18】本発明による製品の発生する懸濁液と沈殿物の除去を図示するチャート/グラフ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離する方法であって、以下の工程を含む、
(a)前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する開始工程と、
(b)これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する解凝集工程と、そして、
(c)特定の制御吸引力を減少、除去又は置換することによって、前記解凝集された材料の少なくとも一部を安定化する安定化工程。
【請求項2】
請求項1の方法であって、更に、前記クラスタ粒子を少なくとも1つの液体材料から形成される液体系中に分布させる工程を含む。
【請求項3】
請求項2の方法であって、前記液体材料は、ベース溶媒、水、オイル、湿潤剤、分散剤、材料分解溶媒、超分散材、合成材、極性材、非極性材、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。
【請求項4】
請求項1の方法であって、更に、前記複数のクラスタ粒子を混合処理において混合する工程を含む。
【請求項5】
請求項4の方法であって、前記混合処理は、真空混合、攪拌処理、又はそれらの任意の組み合わせである。
【請求項6】
請求項4の方法であって、前記混合処理は、前記開始工程(a)、前記解凝集工程(b)、前記安定化工程(c)又はこれらの任意の組み合わせ中に前記複数のクラスタ粒子を混合する工程を含む。
【請求項7】
請求項1の方法であって、前記解凝集工程(b)は、粉砕処理、せん断処理、衝突処理、攪拌処理、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。
【請求項8】
請求項1の方法であって、前記解凝集工程(b)は、高エネルギ攪拌ビードミル装置を使用して実施される。
【請求項9】
請求項1の方法であって、前記安定化工程(c)は、超音波液体処理工程、希釈工程、混合工程、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。
【請求項10】
請求項9の方法であって、前記安定化工程(c)中に、前記解凝集材は、再循環、混合、冷却、密閉領域での処理、又はこれらの任意の組み合わせ、を受ける。
【請求項11】
請求項9の方法であって、前記超音波液体処理工程は、流速、再循環率、混合率、冷却率、付与振幅、又はこれらの任意の組み合わせ、を変化させることによって制御される。
【請求項12】
請求項9の方法であって、前記超音波液体処理工程は、連続流/再循環超音波装置、超音波放射装置、又はこれらの任意の組み合わせ、を使用して実施される。
【請求項13】
請求項1の方法であって、更に、前記湿潤、解凝集、及び安定化済の材料の少なくとも一部を、少なくとも1つの特定粒度範囲へと分離する分離工程を含む。
【請求項14】
請求項13の方法であって、前記分離工程は、遠心分離処理である。
【請求項15】
請求項14の方法であって、前記遠心処理は、分画遠心処理、密度勾配遠心処理、速度−ゾーン分離処理、等密度分離処理、又はこれらの任意の組み合わせ、である。
【請求項16】
請求項13の方法であって、更に、前記分離された材料の少なくとも一部を分析する分析工程を含む。
【請求項17】
請求項16の方法であって、前記分離された材料は、パラメータ、所定パラメータ、特性、所定特性、物理パラメータ、所定物理パラメータ、化学パラメータ、所定化学パラメータ、粒度、粒度分布、又はこれらの任意の組み合わせ、の存在について分析される。
【請求項18】
請求項16の方法であって、前記分析工程は、ディスク遠心分離写真(disc centrifuge photo)、沈降速度計、透過型電子顕微鏡、又はこれらの任意の組み合わせを使用して実施される。
【請求項19】
請求項1の方法であって、更に、前記湿潤、解凝集及び安定化された材料を分析する分析工程を含む。
【請求項20】
請求項1の方法であって、前記所定材料は、粉体化材料、酸化物、単一金属酸化物、複合金属酸化物、被覆粒子、超分散機ダイヤモンド、凝集材、凝塊材、クラスタ材、無煙炭、石炭、マイクロメートルサイズの材料、ナノメートルサイズの材料、又はこれらの任意の組み合わせ、である。
【請求項21】
特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離するシステムであって、以下を有する、
前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する手段、
これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する手段、そして
特定の制御吸引力を減少、除去又は置換することによって、前記解凝集された材料の少なくとも一部を安定化する手段。
【請求項22】
所定の材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも1つのクラスタを分離するための装置であって、以下を有する、
前記特定材料と、少なくとも1つの液体材料とを受け取り混合し、それによって、複数の少なくとも部分的に湿潤されたクラスタ粒子を含む混合気材料を提供する混合装置、
前記混合材料の少なくとも一部を受け取り解凝集し、それによって、解凝集された材料を提供する解凝集装置、そして
前記解凝集材料の少なくとも一部を受け取り安定化する安定化装置。
【請求項23】
請求項22の装置であって、前記混合装置は、真空ミキサー、バッチ攪拌タンク、又はこれらの任意の組み合わせ、である。
【請求項24】
請求項22の装置であって、前記解凝集装置は、高エネルギ攪拌ビードミルである。
【請求項25】
請求項22の装置であって、前記安定化装置は、連続流/再循環超音波装置、超音波放射装置、混合装置、又はこれらの任意の組み合わせ、である。
【請求項1】
特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離する方法であって、以下の工程を含む、
(a)前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する開始工程と、
(b)これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する解凝集工程と、そして、
(c)特定の制御吸引力を減少、除去又は置換することによって、前記解凝集された材料の少なくとも一部を安定化する安定化工程。
【請求項2】
請求項1の方法であって、更に、前記クラスタ粒子を少なくとも1つの液体材料から形成される液体系中に分布させる工程を含む。
【請求項3】
請求項2の方法であって、前記液体材料は、ベース溶媒、水、オイル、湿潤剤、分散剤、材料分解溶媒、超分散材、合成材、極性材、非極性材、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。
【請求項4】
請求項1の方法であって、更に、前記複数のクラスタ粒子を混合処理において混合する工程を含む。
【請求項5】
請求項4の方法であって、前記混合処理は、真空混合、攪拌処理、又はそれらの任意の組み合わせである。
【請求項6】
請求項4の方法であって、前記混合処理は、前記開始工程(a)、前記解凝集工程(b)、前記安定化工程(c)又はこれらの任意の組み合わせ中に前記複数のクラスタ粒子を混合する工程を含む。
【請求項7】
請求項1の方法であって、前記解凝集工程(b)は、粉砕処理、せん断処理、衝突処理、攪拌処理、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。
【請求項8】
請求項1の方法であって、前記解凝集工程(b)は、高エネルギ攪拌ビードミル装置を使用して実施される。
【請求項9】
請求項1の方法であって、前記安定化工程(c)は、超音波液体処理工程、希釈工程、混合工程、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。
【請求項10】
請求項9の方法であって、前記安定化工程(c)中に、前記解凝集材は、再循環、混合、冷却、密閉領域での処理、又はこれらの任意の組み合わせ、を受ける。
【請求項11】
請求項9の方法であって、前記超音波液体処理工程は、流速、再循環率、混合率、冷却率、付与振幅、又はこれらの任意の組み合わせ、を変化させることによって制御される。
【請求項12】
請求項9の方法であって、前記超音波液体処理工程は、連続流/再循環超音波装置、超音波放射装置、又はこれらの任意の組み合わせ、を使用して実施される。
【請求項13】
請求項1の方法であって、更に、前記湿潤、解凝集、及び安定化済の材料の少なくとも一部を、少なくとも1つの特定粒度範囲へと分離する分離工程を含む。
【請求項14】
請求項13の方法であって、前記分離工程は、遠心分離処理である。
【請求項15】
請求項14の方法であって、前記遠心処理は、分画遠心処理、密度勾配遠心処理、速度−ゾーン分離処理、等密度分離処理、又はこれらの任意の組み合わせ、である。
【請求項16】
請求項13の方法であって、更に、前記分離された材料の少なくとも一部を分析する分析工程を含む。
【請求項17】
請求項16の方法であって、前記分離された材料は、パラメータ、所定パラメータ、特性、所定特性、物理パラメータ、所定物理パラメータ、化学パラメータ、所定化学パラメータ、粒度、粒度分布、又はこれらの任意の組み合わせ、の存在について分析される。
【請求項18】
請求項16の方法であって、前記分析工程は、ディスク遠心分離写真(disc centrifuge photo)、沈降速度計、透過型電子顕微鏡、又はこれらの任意の組み合わせを使用して実施される。
【請求項19】
請求項1の方法であって、更に、前記湿潤、解凝集及び安定化された材料を分析する分析工程を含む。
【請求項20】
請求項1の方法であって、前記所定材料は、粉体化材料、酸化物、単一金属酸化物、複合金属酸化物、被覆粒子、超分散機ダイヤモンド、凝集材、凝塊材、クラスタ材、無煙炭、石炭、マイクロメートルサイズの材料、ナノメートルサイズの材料、又はこれらの任意の組み合わせ、である。
【請求項21】
特定材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも一つのクラスタを分離するシステムであって、以下を有する、
前記複数のクラスタ粒子の少なくとも一部の湿潤を開始する手段、
これらの湿潤された複数のクラスタ粒子の少なくとも一部を複数のより小さなクラスタ、別々の粒子、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む解凝集材へと解凝集する手段、そして
特定の制御吸引力を減少、除去又は置換することによって、前記解凝集された材料の少なくとも一部を安定化する手段。
【請求項22】
所定の材料の複数のクラスタ粒子の少なくとも1つのクラスタを分離するための装置であって、以下を有する、
前記特定材料と、少なくとも1つの液体材料とを受け取り混合し、それによって、複数の少なくとも部分的に湿潤されたクラスタ粒子を含む混合気材料を提供する混合装置、
前記混合材料の少なくとも一部を受け取り解凝集し、それによって、解凝集された材料を提供する解凝集装置、そして
前記解凝集材料の少なくとも一部を受け取り安定化する安定化装置。
【請求項23】
請求項22の装置であって、前記混合装置は、真空ミキサー、バッチ攪拌タンク、又はこれらの任意の組み合わせ、である。
【請求項24】
請求項22の装置であって、前記解凝集装置は、高エネルギ攪拌ビードミルである。
【請求項25】
請求項22の装置であって、前記安定化装置は、連続流/再循環超音波装置、超音波放射装置、混合装置、又はこれらの任意の組み合わせ、である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2009−535202(P2009−535202A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508006(P2009−508006)
【出願日】平成19年4月30日(2007.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/067755
【国際公開番号】WO2007/127974
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508322163)マイナス 100・エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月30日(2007.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/067755
【国際公開番号】WO2007/127974
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508322163)マイナス 100・エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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