説明

クラッチシステム及びクラッチシステムを動かすための方法

本発明は、力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステム(10)に関し、圧力媒体負荷可能なクラッチアクチュエータ(12)と、電気的に操作可能な第1の弁装置(14)と、電気的に操作可能な第2の弁装置(16)とを備えており、増圧のために、第1の弁装置を介してクラッチアクチュエータの切換室(18)に圧力媒体が供給可能であり、供給された圧力媒体は、減圧のために、第2の弁装置を介して再び導出可能であり、クラッチシステムは切換室における圧力がP≧Pの場合に、力伝達経路を遮断するか又は接続する。また、本発明は、力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステムを運転するための方法に関する。本発明によれば、第1の弁装置及び第2の弁装置の故障時に、切換室における、クラッチシステムを操作するために十分であって、後から遅れての圧力上昇を回避するために所定の手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステムに関し、圧力媒体負荷可能なクラッチアクチュエータと、電気的に操作可能な第1の弁装置と、電気的に操作可能な第2の弁装置とを備えており、増圧のために、第1の弁装置を介してクラッチアクチュエータの切換室に圧力媒体が供給可能であり、この供給された圧力媒体は、第2の弁装置を介して、減圧のために再び導出可能であり、クラッチシステムは切換室において圧力がP≧Pの場合に力伝達経路を遮断するか又は接続する。
【0002】
さらに、本発明は、圧力媒体負荷可能なクラッチアクチュエータと、電気的に操作可能な第1の弁装置と、電気的に操作可能な第2の弁装置とを備えた、力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステムを運転するための方法に関し、増圧のために、第1の弁装置を介してクラッチアクチュエータの切換室に圧力媒体を供給し、この供給された圧力媒体を、第2の弁装置を介して、減圧のために再び導出し、クラッチシステムは切換室における圧力がP≧Pの場合に力伝達経路を遮断する。
【0003】
上記クラッチシステムは、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第102006035134号明細書において公知であり、図2に概略的に示す。
【0004】
図2には、供給ポート36若しくは排気ポート54に連結されている、切換室18を有するクラッチアクチュエータ12と、第1の弁装置14と、第2の弁装置16とを備えたクラッチシステム10を示す。第1の弁装置14は、絞り46若しくは絞り48と直列になって互いに平行に配置されている第1の給気弁38′と第2の給気弁40′とを有する。第1の給気弁38′及び第2の給気弁40′は、通電していない状態において戻しばね42′若しくは戻しばね44′によって、閉鎖した切換位置に移行される電気的に制御可能な2ポート/2位置制御弁として構成されている。互いに平行に配置されている給気弁38′,40′が設けられていることは、第1の弁装置14の冗長な設計である。互いに平行に配置されている給気弁38′,40′の数は、この点では任意に可変である。第1の弁装置14と給気ポート36との間に、フィルタ32及び逆止弁34が配置されている。第2の弁装置16は、互いに平行にかつ絞り20′若しくは50′に対して直列に配置されている第1の排気弁24及び第2の排気弁26′を有する。第1の排気弁24及び第2の排気弁26′は、通電していない状態において戻しばね22若しくは戻しばね52によって閉鎖した切換位置に移行される、電気的に制御可能な2ポート/2位置制御弁として構成されている。第2の弁装置16において2つの排気弁24,26′を平行に配置することも同様に冗長的にもたらされているので、第1の弁装置14において互いに平行に配置されている給気弁38′,40′の数に合わせて、第2の弁装置16における排気弁24,26′の数も可変である。図示のクラッチシステム10に、例えば圧縮空気又はハイドロリックオイルといった圧力媒体が、供給ポート36を介して供給される。供給された圧力媒体の逆流は、逆止弁34により防がれる。供給された圧力媒体は、下流側に支承されている構成要素、特に第1の弁装置14及び第2の弁装置16の汚染による故障を防ぐために、フィルタ32により浄化される。第1の弁装置14における1つ又は2つの給気弁38′,40′の通電により、クラッチアクチュエータ12の切換室18へ圧力媒体が到達することができ、この切換室18において増圧をもたらす。切換室18内にある圧力Pが、クラッチシステム10を操作するために必要な切換圧Pを超過すると、力伝達経路を遮断するか又は接続するために、クラッチアクチュエータ12が操作される。例えば自動車のパワートレインに設けられているクラッチを開放することができるか、若しくは閉鎖することができるので、自動車の駆動モータから自動車のホイールへの力伝達が形成されるか若しくは遮断される。第2の弁装置16に配置されている第1の排気弁24及び/又は第2の排気弁26′を通電することにより、切換室18を占めている圧力Pの減圧は、排気ポート54を介して切換室18に存在する圧力媒体を排出することにより行うことができる。記載のクラッチシステム10の操作は、一般的に、クラッチアクチュエータ12の操作のために、第1の弁装置14又は第2の弁装置16を制御することができる制御装置(図示せず)により可能とされる。記載のクラッチシステム10は、第1の弁装置14も第2の弁装置16も、戻しばね22,42′,44′,52により遮断する切換状態に移行されるので、停電時に切換室18を占めている圧力Pが維持され続けるように設計されている。
【0005】
しかしクラッチシステム10のこの特性は、排気された切換室18において、不具合中に給気弁38′,40′の漏れが、切換室18における制御されない圧力上昇に繋がる場合には問題である。この圧力上昇は、クラッチアクチュエータ12の不都合な操作及び/又はクラッチ部分の圧力に起因する過負荷に繋がることがある。
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解消することである。
【0007】
上記目的は本発明により、第1の弁装置及び第2の弁装置の故障時に、切換室における、クラッチシステムの操作のために十分であって、後から遅れての圧力上昇を回避するために、所定の手段が設けられていることにより達成される。不都合な操作及びクラッチシステムの圧力に起因する過負荷は、上記措置により回避することができる。具体的な技術的構成については、以下に例示的に説明する。
【0008】
上記手段がP<Pであって圧力がP≧Pの場合に開放する安全弁を有しているようになっていてよい。安全弁が設けられていることにより、第2の弁装置を迂回しての切換室における減圧が可能である。この構成において、減圧は、調節可能な圧力レベルP、つまり圧力制御された安全弁の開放圧から行うことができる。減圧率は、安全弁の開放圧Pを超える増圧が、第1の弁装置の開放により可能であるように選択することができる。したがって開放された第1の弁装置の増圧率は、故障時以外のときのクラッチシステムの通常の操作を可能にするために、開放された安全弁の減圧率よりも数値的に大きい。こうして、特に停電による第2の弁装置を介しての切換コントロールの喪失時の故障時における、第1の弁装置における給気弁における小さな漏れによる緩慢な増圧を防ぐことができる。
【0009】
有利には、安全弁はP<P<Pであって他の圧力がP≧Pの場合に、再び閉じるようになっていてよい。使用される安全弁が圧力レベルP2>P1において再び閉じると、つまり安全弁がP1とP2との間の圧力に対してのみ、安全弁の開放した切換状態を占めると、切換室に既にある操作圧P≧Pが維持されたままであるので、故障時におけるクラッチシステムが故障の発生時に有していた切換位置を維持するということを保証することができる。
【0010】
有利には、安全弁が切換室のケーシング壁に配置されているようになっている。切換室のケーシング壁に安全弁を配置することにより、安全弁の簡単かつ省スペース型の組付けが可能になる。特に、これまで使用してきた弁装置を完全に新たに構成することは、本発明に係る機能性を組み込むために必要ではない。
【0011】
さらに、上記手段は絞りを有するようになっていてよい。この絞りは、第2の弁装置に配置されていて、絞りの横断面は、比較可能な若しくは同等の切換状態において、第2の弁装置を介して時間単位毎に行われる減圧が、第1の弁装置を介して時間単位毎に行われる増圧よりも大きいように設計されている。比較可能な切換状態として、特に同じ数の排気弁及び給気弁が同時に閉鎖されているか若しくは開放されているあらゆる切換状態が考えられる。こうして、絞りに対して直列に第2の弁装置に設けられている弁が、開放された切換ポジションに移行することができる限りは、切換室における制御不能な増圧を確実に阻止することができる。こうして特に、第1の弁装置の切換が可能でなく、第1の弁装置が、例えば引っ掛かり、若しくは機械的な故障により、開放された切換位置に留まる場合に、クラッチシステムの緊急時の運転を保証することができる。さらに同時に、第1の弁装置の漏れ流は、つまり閉鎖された切換位置にもかかわらず第1の弁装置を通って貫流する圧力媒体流は、第2の弁装置の他の漏れ流よりも小さい。
【0012】
特に、上記手段は戻しばねを有しているようになっていてもよい。この戻しばねは、第1の弁装置に配置されていて、第1の弁装置の漏れ流が、第2の弁装置の他の漏れ流よりも小さいように設計されている。例えば第1の弁装置の漏れ流は、使用される給気弁の切換ピストンに比較的高いばね力を加える比較的硬質の戻しばねを使用することにより減じられる。したがって使用される戻しばねを除いて、第1の弁装置及び第2の弁装置における弁が同一の場合、第2の弁装置に使用される戻しばねに比べて硬質の戻しばねを、第1の弁装置に設けることにより、第1の弁装置の漏れ流は、第2の弁装置の漏れ流よりも小さい値にまで減じることができる。このことは、第1の弁装置を介して通流する漏れ流は、第2の弁装置が閉鎖されている場合でも、第2の弁装置の漏れ流として完全に排出することができるので、切換室における緩慢な増圧を防ぐ。したがって弁装置を介しての切換コントロールの喪失時に、切換室の「満杯状態」は確実に防がれる。
【0013】
有利には、上記手段は電気的に切換可能な排気弁を有するようになっていてもよい。この排気弁は第2の弁装置に配置されていて、通電されていない状態において開放している。こうして、第1の弁装置及び第2の弁装置がもはや切換可能でなく、機械的に規定されている休止位置へと移行される故障時、つまり特に停電時に、本来であれば閉鎖された切換位置を占めていることが望ましい第1の弁装置における漏れによる、切換室における緩慢な増圧を防ぐことができる。
【0014】
冒頭で述べた形式の方法は、本発明によれば、第1の弁装置及び第2の弁装置の故障時に、クラッチシステムの操作のために十分であって、後から遅れての切換室における増圧を回避することにより発展する。こうして本発明に係るクラッチシステムの利点及び特別性は、方法の枠内においても転用される。このことは、以下に特に有利な本発明に係る方法の構成にも当てはまる。
【0015】
本発明に係る方法は、安全弁が、P<Pであって圧力がP≧Pの場合に開放することにより発展する。
【0016】
有利には、安全弁が、P<P<Pであって圧力がP≧Pの場合に再び閉鎖するようになっていてよい。
【0017】
有利には、比較可能な切換状態において、第1の弁装置を介して時間単位毎に供給するよりも多い圧力媒体を、第2の弁装置を介して時間単位毎に排出するようになっていてよい。
【0018】
さらに、第1の弁装置は漏れ流も惹起するようになっていてよく、この漏れ流は、第2の弁装置に起因する他の漏れ流によって少なくとも補償される。
【0019】
有利には、第2の弁装置は電気的に切換可能な弁を有するようになっていてよく、この弁は、通電していない状態において開放した切換位置に切り換えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るクラッチシステムの第1の実施の形態を示す図である。
【図2】先行技術に基づくクラッチシステムを示す図である。
【図3】本発明に係るクラッチシステムの第2の実施の形態を示す図である。
【図4】第1の切換位置にある安全弁を示す図である。
【図5】第2の切換位置にある、図4に示した安全弁を示す図である。
【図6】第3の切換位置にある、図4に示した安全弁を示す図である。
【0021】
以下に、本発明を添付の図面を参照して特に有利な実施の形態に基づき例示的に説明する。
【0022】
以下の図面において、同一の符号は同一又は類似の部分を示す。
【0023】
図1に、本発明に係るクラッチシステム10の第1の実施の形態を示す。図2との関連で既に記載した構成要素に加えて安全弁28が設けられている。この安全弁28を介し第2の弁装置16を迂回して、圧力媒体を切換室18から排気ポート54へと導出することができる。この排気ポート54と安全弁28との連結は、記号から理解することができ、安全弁28は、特に独自の排気ポートを有することができ、特に、圧力媒体として圧縮空気を使用する場合、圧縮空気を直接的に周囲に放出することができる。他の圧力媒体、例えばハイドロリックオイルが使用される場合、排気ポート54は、通常、閉鎖された圧力媒体回路のリザーバ(図示せず)内に、使用した圧力媒体を戻す還流管路に相当する。図2から既に公知のクラッチシステム10に対して、第1の弁装置14は、適切に調節した戻しばね42,44を備えて改変された給気弁38,40を有する。戻しばね42,44により加えられるばね力は、通常、少し大きい、つまり、使用される戻しばね42,44は、第1の弁装置14において発生する漏れ流を、第2の弁装置16に起因する漏れ流よりも小さい値にまで減じるために、少し硬質である。この実施の形態において、弁装置の閉鎖した切換位置にも関わらず弁装置を通って発生する圧力媒体流は、漏れ流として規定される。漏れを削減する基本原理は、硬質の戻しばね42,44の場合に、既存の切換ピストンの、付属の弁座に対する比較的高い圧着力により漏れ流は削減可能であるので、特に、第1及び第2の弁装置14,16においてそれ以外は同じ構造の弁38,40,24,26を使用する場合に明らかである。戻しばね42,44のばね力は、給気弁38,40の切換特性に持続的に影響を与えないように、図2から公知の戻しばね42′,44′に対して少しだけ改変されている。ばね力の適切な調節は、選択的に単に1つ又は両方の給気弁において行うことができる。
【0024】
さらに、図1において絞り20,50が第2の弁装置16に設けられている。これらの絞り20,50の横断面は、第2の弁装置16を介する減圧が、第1の弁装置14を介する増圧よりも迅速に行うことができるように設計されている。このことは、第1の弁装置14が開放していて、かつ第2の弁装置16が開放されている場合にも、第1の弁装置が閉鎖していて、かつ第2の弁装置が閉鎖している場合にも当てはまってよい。このことは、第1の弁装置14も第2の弁装置16も閉鎖されている場合、第1の弁装置14を通じて流入する漏れ流は、第2の弁装置16を通じて流出可能な漏れ流よりも少ないので、切換室18における増圧が回避されるということを意味する。第1の弁装置14も第2の弁装置16も、両者の開放された切換位置にある場合、このことは、切換室18における増圧が同様に可能でないことを意味する。このことは、例えば給気弁38,40の引っ掛かり、又は第1の弁装置14のシール性を損なうその他の機械的な故障により、第1の弁装置14だけが故障した場合のために、緊急運転が第2の弁装置16の単独の切換えにより可能になる。絞り横断面の適切な調節は、単に一方の又は両方の絞り20,50において選択的に行うことができる。この実施の形態において、このことはクラッチシステム10の切換特性に対して影響を及ぼすので、減圧率にそれほど著しく影響を与えないために、適切な調節が少しだけ施されている。
【0025】
図2に、既に冒頭で述べた先行技術に基づくクラッチ切換システムを示す。
【0026】
図3に、本発明に係るクラッチシステムの第2の実施の形態を示す。図1から公知の第1の実施の形態とは異なり、図3に示す第2の実施の形態は、通電していない休止位置においては閉鎖されているのではなく、開放されている第2の排気弁26を有する。したがって故障時、特に停電時に、第1の弁装置14は、その閉鎖された切換位置にある一方で、第2の弁装置16は少なくとも第2の排気弁26を使用できる。この第2の排気弁26を介して迅速な減圧が可能であるので、クラッチアクチュエータ12の切換室18における増圧は、第1の弁装置14の漏れ流により可能でない。
【0027】
図4,5,6には、種々異なる3つの切換位置にある安全弁を示す。図4に示す安全弁28は、切換室18を周囲72から密に分離するケーシング壁30内に配置されている。このケーシング壁30は、クラッチシステムの他の弁装置(図示せず)を取り囲んでいてもよい。安全弁28の機構は、第1の孔56に部分的に重畳している第2の孔58に配置されている。第1の孔56は、切換室18からアクセス可能である一方、第2の孔58は周囲72からアクセス可能である。さらに、ケーシング壁30を通じて周囲72と切換室18を接続する排気通路60が設けられている。この排気通路60は、有利には真ん中で第2の孔58を貫通している。第2の孔58の内部には、制御ピストン64が可動に配置されている。この制御ピストン64は、閉鎖キャップ70に対して支持されるばね68によって、図示の制御ピストン64の休止位置に保持される。制御ピストン64は排気孔66を有する。この排気孔66は、第2の孔58における制御ピストン64の軸線方向の移動により排気通路60と重なることができる。制御ピストン64の図示の第1の切換位置において、安全弁28の制御ピストン64は、排気通路60を密に閉鎖するので、切換室18は周囲72から密に分離されている。排気通路60には絞り62が配置されている。開放されている安全弁28の減圧率は、この絞り62を介して調節可能である。閉鎖キャップ70により、メインテナンスを目的として安全弁28に簡単にアクセスすることができる。閉鎖キャップ70は、有利には側方孔58内又は側方孔58に取外し可能に、例えばねじ、特に中空ねじとして、又は第2の孔58の直径よりも大きな直径を有する中空の差込みスリーブとして取り付けられているので、閉鎖キャップ70は、クランプ作用により保持される。閉鎖キャップ70は、周囲圧力を介して戻し力を制御ピストン64に加えるためにも、周囲72に対して開口を有することができる。
【0028】
図4に示した、安全弁28の第1の切換位置において、切換室18内を占めている圧力Pは、安全弁28を操作するために必要な第1の切換圧Pよりも小さい。切換室18を占めている圧力Pは、第1の孔56及び第2の孔58を介して、切換ピストン64の制御面に、ばね68により加えられる閉鎖力に抗して作用する。切換室18内の圧力Pが上昇すると、制御ピストン64の制御面に加わる力は増大し、制御ピストン64は、ばね68により供給される力に抗して、図において右側に運動する。切換室18における圧力Pが、第1の切換圧Pに相当すると、制御ピストン64に配置されている排気孔66が排気通路60を解放するので、制御室18から周囲72への減圧を行うことができる。この第2の切換位置は、図5に示されている。減圧の結果、制御ピストンの制御面に加えられる力は、制御室18における圧力Pが改めて、第1の切換圧Pよりも小さくなるまで再び下がる。第1の弁装置14の漏れ流が、絞り62を介しての可能な減圧率に相当する場合、安全弁28は持続的に図示の第2の切換位置に留まる。
【0029】
切換室18内の圧力Pが、排気通路60を介した減圧よりも迅速に上昇する場合(減圧率は絞り62により調節可能である)、切換ピストン64はこの場合に存在する比較的高い圧力Pによりさらに図面において右側に移動させられ、圧力Pが第2の切換圧Pよりも大きい場合に、切換ピストン64が改めて排気通路を覆う。図6に示した第3の切換状態において、安全弁28は再び閉鎖されている。したがって、図4〜6に示した安全弁28は、第1の切換圧Pと第2の切換圧Pとの間の圧力Pに対してだけ、開放された切換位置にある。有利には、第2の切換圧Pは、クラッチアクチュエータの操作のために必要な切換圧Pよりも小さい。
【0030】
上記記載、図面及び請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別であっても任意の組合せであっても、本発明の実現のために重要であってよい。
【符号の説明】
【0031】
10 クラッチシステム
12 クラッチアクチュエータ
14 第1の弁装置
16 第2の弁装置
18 切換室
20 絞り
20′ 絞り
22 戻しばね
24 第1の排気弁
26 第2の排気弁
26′ 第2の排気弁
28 安全弁
30 ケーシング壁
32 フィルタ
34 逆止弁
36 供給ポート
38 第1の給気弁
38′ 第1の給気弁
40 第2の給気弁
40′ 第2の給気弁
42 戻しばね
42′ 戻しばね
44 戻しばね
44′ 戻しばね
46 絞り
48 絞り
50 絞り
50′ 絞り
52 戻しばね
54 排気ポート
56 第1の孔
58 第2の孔
60 排気通路
62 絞り
64 制御ピストン
66 排気孔
68 ばね
70 閉鎖キャップ
72 周囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステム(10)であって、圧力媒体負荷可能なクラッチアクチュエータ(12)と、電気的に操作可能な第1の弁装置(14)と、電気的に操作可能な第2の弁装置(16)とを備えており、増圧のために、前記第1の弁装置(14)を介して前記クラッチアクチュエータ(12)の切換室(18)に圧力媒体が供給可能であり、該供給された圧力媒体は、減圧のために、前記第2の弁装置(16)を介して再び導出可能であり、前記クラッチシステム(10)は前記切換室(18)における圧力がP≧Pの場合に、前記力伝達経路を遮断するか又は接続する、力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステムにおいて、
前記第1の弁装置(14)及び前記第2の弁装置(16)の故障時に、前記切換室(18)における、前記クラッチシステム(10)を操作するために十分であって、後から遅れての圧力上昇を回避するために、所定の手段が設けられていることを特徴とする、力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステム。
【請求項2】
前記手段は、P<Pであって圧力がP≧Pの場合に開放する安全弁(28)を有していることを特徴とする、請求項1記載のクラッチシステム。
【請求項3】
前記安全弁(28)は、P<P<Pであって他の圧力がP≧Pの場合に、再び閉鎖することを特徴とする、請求項2記載のクラッチシステム。
【請求項4】
前記安全弁(28)は、前記切換室(18)のケーシング壁(30)内に配置されていることを特徴とする、請求項2又は3記載のクラッチシステム。
【請求項5】
前記手段は絞り(20,50)を有しており、該絞り(20,50)は前記第2の弁装置(16)に配置されていて、前記絞り(20,50)の横断面は、比較可能な切換状態において、前記第2の弁装置(16)を介して時間単位毎に行われる減圧が、前記第1の弁装置(14)を介して時間単位毎に行われる増圧よりも大きいように設計されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載のクラッチシステム。
【請求項6】
前記手段は戻しばね(42,44)を有しており、該戻しばね(42,44)は前記第1の弁装置(14)に配置されており、かつ前記戻しばね(42,44)は、前記第1の弁装置(14)の漏れ流が前記第2の弁装置(16)の他の漏れ流よりも小さいように設計されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項記載のクラッチシステム。
【請求項7】
前記手段は電気的に切換可能な排気弁(26)を有しており、該排気弁(26)は前記第2の弁装置(16)内に配置されており、かつ、通電していない状態において開放していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項記載のクラッチシステム。
【請求項8】
圧力媒体負荷可能なクラッチアクチュエータ(12)と、電気的に操作可能な第1の弁装置(14)と、電気的に操作可能な第2の弁装置(16)とを備えた、力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステム(10)を動かすための方法であって、増圧のために、前記第1の弁装置(14)を介して前記クラッチアクチュエータ(12)の切換室(18)に圧力媒体を供給し、該供給された圧力媒体を、減圧のために、前記第2の弁装置(16)を介して再び導出し、前記クラッチシステム(10)は前記切換室(18)における圧力がP≧Pの場合に、前記力伝達経路を遮断するか又は接続する、力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステムを運転するための方法において、
前記第1の弁装置(14)及び前記第2の弁装置(16)が故障している場合、前記切換室(18)における、前記クラッチシステム(10)の操作のために十分であって、後から遅れての増圧を回避することを特徴とする、力伝達経路を接続及び遮断するためのクラッチシステムを動かすための方法。
【請求項9】
安全弁(28)を、P<Pdであって圧力がP≧Pの場合に開放することを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記安全弁(28)を、P<P<Pであって他の圧力がP≧Pの場合に再び閉鎖することを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
比較可能な切換状態において、前記第1の弁装置(14)を介して時間単位毎に供給されるよりも多くの圧力媒体を、前記第2の弁装置(16)を介して時間単位毎に排出することを特徴とする、請求項8から10までのいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記第1の弁装置(14)は漏れ流を引き起こし、該漏れ流を、前記第2の弁装置(16)により引き起こされた他の漏れ流によって少なくとも補償することを特徴とする、請求項8から11までのいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記第2の弁装置(16)は、通電していない状態において、開放した切換位置に切り換わる電気的に切換可能な弁(26)を有していることを特徴とする、請求項8から12までのいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−515920(P2013−515920A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545230(P2012−545230)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069734
【国際公開番号】WO2011/076627
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(597007363)クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (110)
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】