クラッチユニット
【課題】 部品点数の削減および組み立ての簡略化を図り得る低コストのクラッチユニットを提供する。
【解決手段】 入力側に設けられ、レバー操作により出力側への回転トルクの伝達・遮断を制御するレバー側クラッチ部11と、出力側に設けられ、レバー側クラッチ部11からの入力トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部12とからなり、レバー側クラッチ部11は、レバー操作により回動する操作部と、レバー操作によりトルクが入力される入力部と、その入力部からのトルクをブレーキ側クラッチ部12に伝達する内輪15と、入力部と内輪15間での係合・離脱により入力部からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の円筒ころ16と備え、操作部と入力部とを一体化したレバー側外輪14を具備する。
【解決手段】 入力側に設けられ、レバー操作により出力側への回転トルクの伝達・遮断を制御するレバー側クラッチ部11と、出力側に設けられ、レバー側クラッチ部11からの入力トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部12とからなり、レバー側クラッチ部11は、レバー操作により回動する操作部と、レバー操作によりトルクが入力される入力部と、その入力部からのトルクをブレーキ側クラッチ部12に伝達する内輪15と、入力部と内輪15間での係合・離脱により入力部からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の円筒ころ16と備え、操作部と入力部とを一体化したレバー側外輪14を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達するレバー側クラッチ部と、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とを有するクラッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、円筒ころやボール等の係合子を用いるクラッチユニットにおいては、入力側部材と出力側部材との間にクラッチ部が配設される。このクラッチ部は、前述の入力側部材と出力側部材間に形成される楔すきまに円筒ころやボール等の係合子を係合・離脱させることによって、入力トルクの伝達・遮断を制御する構成になっている。
【0003】
本出願人は、例えば、レバー操作により座席シートを上下調整する自動車用シートリフタ部に組み込まれ、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達するレバー側クラッチ部と、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とを具備したクラッチユニットを先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図27は前述の特許文献1に開示された従来のクラッチユニットの全体構成を示す縦断面図、図28は図27のD−D線に沿う断面図、図29は図27のE−E線に沿う断面図である。
【0005】
図27および図28に示すように、レバー側クラッチ部111は、レバー操作によりトルクが入力される入力側部材としてのレバー側外輪114と、そのレバー側外輪114からのトルクをブレーキ側クラッチ部112に伝達する連結部材としての内輪115と、レバー側外輪114と内輪115間での係合・離脱によりレバー側外輪114からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子としての円筒ころ116と、各円筒ころ116を円周方向に所定間隔で保持する保持器117と、回転が拘束された静止側部材としてのブレーキ側外輪123と、保持器117と静止側部材としての後述のカバー124との間に設けられ、レバー側外輪114からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器117を中立状態に復帰させる第一の弾性部材としての内側センタリングばね118と、レバー側外輪114とカバー124との間に設けられ、レバー側外輪114からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力でレバー側外輪114を中立状態に復帰させる第二の弾性部材としての外側センタリングばね119とで主要部が構成されている。
【0006】
なお、図中、113はレバー側外輪114に加締め固定されてレバー側外輪114と共に入力側部材を構成するレバー側側板、131はウェーブワッシャ130を介して出力軸122に取り付けられたワッシャである。
【0007】
一方、図27および図29に示すように、ブレーキ側クラッチ部112は、回転が拘束された静止側部材としてのブレーキ側外輪123と、レバー側クラッチ部111からのトルクが入力される連結部材としての内輪115と、トルクが出力される出力軸122と、ブレーキ側外輪123と出力軸122間の楔すきまに配設され、ブレーキ側外輪123と出力軸122間での係合・離脱により内輪115からの入力トルクの伝達と出力軸122からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子としての円筒ころ127とで主要部が構成されている。
【0008】
なお、内輪115の軸方向端部から径方向外側に延在して軸方向に屈曲した拡径部115cは、円筒ころ127を円周方向に所定間隔で保持する保持器として機能する。図中、124,125はブレーキ側外輪123と共に静止側部材を構成するカバーおよびブレーキ側側板で、ブレーキ側外輪123とカバー124はブレーキ側側板125により一体的に加締め固定される。128は各対の円筒ころ127間に配置された例えば断面N字形の板ばね、129はブレーキ側側板125に取り付けられた制動部材としての摩擦リングである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−210114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に開示された従来のクラッチユニットは、図30に示すように、操作レバー(図示せず)が取付けられるレバー側側板113と、そのレバー側側板113が加締め固定され、レバー操作によりトルクが入力されるレバー側外輪114とで入力側部材を構成している。この入力側部材を構成する一方のレバー側側板113は、操作レバーをねじ止めにより固着するために非熱処理素材を所定形状に成形したものであり、入力側部材を構成する他方のレバー側外輪114は、入力トルクの伝達と逆入力トルクの遮断を制御する円筒ころ127と接触するために浸炭焼入れ等の熱処理素材を所定形状に成形したものである。
【0011】
以上のように、従来のクラッチユニットのレバー側クラッチ部111では、レバー側側板113およびレバー側外輪114からなる二つの構成部品を必要とし、これらレバー側側板113およびレバー側外輪114を順次組み付けなければならない。つまり、レバー側側板113をレバー側外輪114に加締め固定し、加締め固定されたレバー側側板113およびレバー側外輪114をレバー側クラッチ部111に組み付けなければならない。このように、従来のクラッチユニットの場合、部品点数の削減および組み立ての簡略化が困難となる可能性があり、その結果、製品のコストアップを招く可能性があった。
【0012】
そこで、本発明は前述の改善点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、部品点数の削減および組み立ての簡略化を図り得る低コストのクラッチユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るクラッチユニットは、入力側に設けられ、レバー操作により出力側への回転トルクの伝達・遮断を制御するレバー側クラッチ部と、出力側に設けられ、レバー側クラッチ部からの入力トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とからなり、レバー側クラッチ部は、レバー操作により回動する操作部と、レバー操作によりトルクが入力される入力部と、その入力部からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、入力部と連結部材間での係合・離脱により入力部からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と備え、操作部と入力部とを一体化したことを特徴とする。
【0014】
本発明では、レバー操作により回動する操作部と、レバー操作によりトルクが入力される入力部とを一体化したことにより、従来ではレバー側側板とレバー側外輪の二つの構成部品を必要としていたのに対して、従来におけるレバー側側板とレバー側外輪のそれぞれの機能を兼ね備えた操作部および入力部を一つの構成部品で構成でき、部品点数の削減および組み立ての簡略化が図れる。
【0015】
本発明において操作部および入力部を一体化したものを冷間鍛造で成形することが望ましい。このように、操作部および入力部を一体化したものを冷間鍛造で成形すれば、構成部品を簡易に製作することができ、クラッチユニットのコスト低減が図れる。
【0016】
本発明における入力部は、係合子との接触面を高周波焼入れすることが望ましい。このように係合子との接触面を高周波焼入れすれば、その接触面を硬化させることができ、係合子との接触による摩耗を抑制できてクラッチユニットの耐久性向上が図れる。
【0017】
このクラッチユニットにおけるレバー側クラッチ部は、操作部および入力部を一体化した入力側部材と、その入力側部材からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、入力側部材と連結部材間での係合・離脱により入力側部材からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と、各係合子を円周方向に所定間隔で保持する保持器と、回転が拘束された静止側部材と、保持器と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器を中立状態に復帰させる第一の弾性部材と、入力側部材と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で入力側部材を中立状態に復帰させる第二の弾性部材とを備えた構成が可能である。なお、このレバー側クラッチ部の係合子は円筒ころが望ましい。
【0018】
このクラッチユニットにおけるブレーキ側クラッチ部は、レバー側クラッチ部からのトルクが入力される連結部材と、トルクが出力される出力側部材と、回転が拘束された静止側部材と、その静止側部材と出力側部材間の楔すきまに配設され、両部材間での係合・離脱により連結部材からの入力トルクの伝達と出力側部材からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子とを備えた構成が可能である。なお、このブレーキ側クラッチ部の係合子は円筒ころが望ましい。
【0019】
本発明に係るクラッチユニットは、レバー側クラッチ部およびブレーキ側クラッチ部を自動車用シートリフタ部に組み込むことで自動車用途として適している。その場合、入力側部材がレバーに結合され、出力側部材が自動車用シートリフタ部のリンク機構に連結された構造となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、レバー側クラッチ部は、レバー操作により回動する操作部と、レバー操作によりトルクが入力される入力部と、その入力部からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、入力部と連結部材間での係合・離脱により入力部からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と備え、操作部と入力部とを一体化したことにより、従来におけるレバー側側板とレバー側外輪のそれぞれの機能を兼ね備えた操作部および入力部を一つの構成部品で構成でき、部品点数の削減および組み立ての簡略化が図れる。その結果、組立性が良好で低コストのクラッチユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態におけるクラッチユニットの全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1の左側面図である。
【図4】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図6】(a)はレバー側外輪を一方の側から見た斜視図、(b)はレバー側外輪を他方の側から見た斜視図である。
【図7】(a)はレバー側外輪を示す断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図8】(a)は内輪を示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図9】保持器を示す斜視図である。
【図10】(a)は保持器を示す断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の断面図である。
【図11】内側センタリングばねを示す斜視図である。
【図12】外側センタリングばねを示す斜視図である。
【図13】(a)は出力軸を一方の側から見た斜視図、(b)は出力軸を他方の側から見た斜視図である。
【図14】(a)は出力軸を示す断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図15】(a)はブレーキ側外輪を示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図16】(a)はカバーを示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図17】(a)はブレーキ側側板を示す断面図、(b)は(a)の右側面図である。
【図18】(a)は摩擦リングを示す正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図19】(a)はブレーキ側側板にブレーキ側外輪を組み付ける前の状態を示す斜視図、(b)はブレーキ側側板にブレーキ側外輪を組み付けた後の状態を示す斜視図である。
【図20】ブレーキ側側板にブレーキ側外輪およびカバーを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図21】ブレーキ側側板とブレーキ側外輪とカバーを加締めにより一体化した状態を示す斜視図である。
【図22】図1のC−C線に沿う断面図である。
【図23】(a)はブレーキ側側板、ブレーキ側外輪、カバーおよび内側センタリングばねに対して保持器を組み付ける前の状態を示す斜視図、(b)はブレーキ側側板、ブレーキ側外輪、カバーおよび内側センタリングばねに対して保持器を組み付けた後の状態を示す斜視図である。
【図24】本発明の他の実施形態におけるクラッチユニットを示す縦断面図である。
【図25】自動車の座席シートを示す概念図である。
【図26】(a)はシートリフタ部の一構造例を示す概念図、(b)はその要部拡大図である。
【図27】従来のクラッチユニットの全体構成を示す縦断面図である。
【図28】図27のD−D線に沿う横断面図である。
【図29】図27のE−E線に沿う横断面図である。
【図30】従来のクラッチユニットにおけるレバー側側板およびレバー側外輪を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の実施形態におけるクラッチユニットXの全体構成を示す縦断面図、図2は図1に示すクラッチユニットXの右側面図、図3は図1に示すクラッチユニットXの左側面図、図4は図1のA−Aに沿う横断面図、図5は図1のB−B線に沿う横断面図である。また、図6〜図18はクラッチユニットXの主要な各構成部品を示す図である。図19〜図23はクラッチユニットXの主要な構成部品の組み付け状態を示す図である。なお、図24は本発明の他の実施形態におけるクラッチユニットXの全体構成を示す縦断面図である。
【0023】
クラッチユニットXは、例えばレバーの操作により座席シートの高さ調整を行う自動車用シートリフタ部〔図25および図26(a)(b)参照〕に組み込まれる。このクラッチユニットXは、図1〜図5に示すように、入力側に設けられたレバー側クラッチ部11と、出力側に設けられた逆入力遮断機能のブレーキ側クラッチ部12とをユニット化した構成となっている。
【0024】
レバー側クラッチ部11は、図1、図2および図4に示すように、例えば、操作レバー(図示せず)が連結された入力側部材としてのレバー側外輪14と、そのレバー側外輪14からのトルクをブレーキ側クラッチ部12に伝達する連結部材としての内輪15と、その内輪15の外周面15aとレバー側外輪14の内周面14aとの間に形成された楔すきま20に配設された係合子としての例えば複数の円筒ころ16と、円筒ころ16を円周方向等間隔に保持する保持器17と、その保持器17を中立状態に復帰させるための第一の弾性部材である内側センタリングばね18と、レバー側外輪14を中立状態に復帰させるための第二の弾性部材である外側センタリングばね19とを有する。なお、後述の出力軸22の端部にウェーブワッシャ30を介してワッシャ31を圧入することにより、構成部品の抜け止めとしている(図1参照)。
【0025】
ロック型と称されるタイプで逆入力遮断機能を有するブレーキ側クラッチ部12は、図1、図3および図5に示すように、レバー側クラッチ部11からのトルクが入力される連結部材としての内輪15と、出力側部材としての出力軸22と、回転が拘束された静止側部材としてのブレーキ側外輪23、カバー24およびブレーキ側側板25と、そのブレーキ側外輪23と出力軸22間の楔すきま26に配設され、ブレーキ側外輪23と出力軸22間での係合・離脱により内輪15からの入力トルクの伝達と出力軸22からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子としての円筒ころ27と、各対の円筒ころ27間に介挿され、それら円筒ころ27同士に離反力を付勢する断面N字形の板ばね28とで主要部が構成されている。なお、出力軸22には突起22fが設けられ、この突起22fがクリアランスをもって挿入された孔15dが内輪15に設けられている(図1参照)。
【0026】
次に、このクラッチユニットXにおけるレバー側クラッチ部11およびブレーキ側クラッチ部12の主要な構成部品について詳述する。
【0027】
図6(a)(b)および図7(a)〜(c)はレバー側外輪14を示す。このレバー側外輪14は、レバー操作により回動する操作部と、そのレバー操作によりトルクが入力される入力部とを一体化したもので、操作部として、座席シートの高さ調整を操作するための操作レバーを取り付けるための複数(例えば4つ)の孔14cが穿設されている。また、中央部位には出力軸22および内輪15が挿通される孔14bが形成され、その孔14bと連通する凹部14dの内周には、入力部としての複数のカム面14aが円周方向等間隔に形成されている(図4参照)。さらに、レバー側外輪14の外周部位は、その軸方向厚みを中央部位よりも小さくすることにより、外側センタリングばね19との干渉を防止する逃げ14eを設けている。
【0028】
このレバー側外輪14の外周縁部には複数(例えば3つ)の爪部14f,14gが軸方向に突設されている。これら爪部14f,14gのうち、一つの爪部14fは、後述する外側センタリングばね19の二つの係止部19a(図12参照)間に挿入配置されて係止され、残り二つの爪部14gは、後述するブレーキ側外輪23の端面に接触した状態でレバー側外輪14の回転によりそのブレーキ側外輪23の端面上を摺動し、カバー24の外周に設けられた回転ストッパとしての一対の係止部24e,24f〔図16(b)参照〕間で移動してその回転方向の移動端で係止部24e,24fのそれぞれに当接可能とすることで、操作レバーの操作角度を規制するようにしている。
【0029】
この実施形態におけるレバー側外輪14は、従来におけるレバー側側板113とレバー側外輪114(図27および図30参照)とを機能的に一体化した構造を具備するものである。これにより、従来ではレバー側側板113とレバー側外輪114の二つの構成部品を必要としていたのに対して、従来におけるレバー側側板113とレバー側外輪114のそれぞれの機能を兼ね備えた操作部および入力部を一つの構成部品であるレバー側外輪14で構成でき、部品点数の削減および組み立ての簡略化が図れる。
【0030】
なお、操作部および入力部を一体化したレバー側外輪14は冷間鍛造により成形されている。この冷間鍛造により成形したことにより、レバー側外輪14を簡易に製作することができ、クラッチユニットのコスト低減が図れる。また、レバー側外輪14の孔14cには操作レバーがねじ止めにより取り付けられることから、ねじ止めによる塑性変形が可能なように非熱処理状態とする必要があるが、凹部14dの内周のカム面14aは、円筒ころ16が係合する接触面であることから熱処理により硬化させる必要があるため、高周波焼入れしている。このカム面14aの高周波焼入れにより円筒ころ16との接触による摩耗を抑制できてクラッチユニットの耐久性向上が図れる。
【0031】
図8(a)(b)は内輪15を示す。この内輪15は、出力軸22が挿通される筒状部15bの外径にレバー側外輪14のカム面14aとの間に楔すきま20(図4参照)を形成する外周面15aを備えている。また、筒状部15bの端部から径方向外側に延在して軸方向に屈曲した拡径部15cが一体的に形成され、その拡径部15cをブレーキ側クラッチ部12の保持器として機能させるため、円筒ころ27および板ばね28を収容するポケット15eが円周方向等間隔に形成されている。なお、図中の符号15dは、出力軸22の突起22f(図1参照)がクリアランスをもって挿入される孔である。
【0032】
図9および図10(a)〜(c)は樹脂製の保持器17を示す。この保持器17は、円筒ころ16を収容する複数のポケット17aが円周方向等間隔に形成された円筒状部材である。この保持器17の一方の端部には、二つの切欠き凹部17bが形成され、それぞれの切欠き凹部17bの隣接する二つの端面17cに後述の内側センタリングばね18の係止部18aが係止される(図22参照)。
【0033】
図11は内側センタリングばね18を示す。この内側センタリングばね18は、径方向内側に屈曲させた一対の係止部18aを有する断面円形のC字状ばね部材からなり、外側センタリングばね19の内径側に位置する(図22参照)。この内側センタリングばね18は、保持器17とブレーキ側クラッチ部12の静止側部材であるカバー24との間に配設され、両係止部18aが保持器17の二つの端面17c〔図9および図10(b)参照〕に係止されると共にカバー24に設けられた爪部24b〔図16(a)(b)参照〕に係止されている〔図22および図23(a)(b)参照〕。
【0034】
この内側センタリングばね18では、レバー側外輪14からの入力トルクの作用時、一方の係止部18aが保持器17の一方の端面17cに、他方の係止部18aがカバー24の爪部24bにそれぞれ係合するので、レバー側外輪14の回転に伴って内側センタリングばね18が押し拡げられて弾性力が蓄積され、レバー側外輪14からの入力トルクの開放時、その弾性復元力により保持器17を中立状態に復帰させる。
【0035】
図12は外側センタリングばね19を示す。この外側センタリングばね19はC字状をなし、その両端を径方向外側に屈曲させた一対の係止部19aを有する帯板状ばね部材であり、内側センタリングばね18の外径側に位置する(図22参照)。外側センタリングばね19は、レバー側クラッチ部11のレバー側外輪14とブレーキ側クラッチ部12のカバー24との間に配設され、両係止部19aがレバー側外輪14に設けられた爪部14f〔図6(a)(b)および図7(a)〜(c)参照〕に係止されると共にカバー24に設けられた爪部24d〔図16(a)(b)参照〕に係止されている〔図23(a)(b)参照〕。この係止部19aは、内側センタリングばね18の係止部18aに対して円周方向の位相(180°)をずらせて配置されている(図22参照)。
【0036】
この外側センタリングばね19では、レバー操作により入力トルクが作用してレバー側外輪14が回転した場合、一方の係止部19aがレバー側外輪14の爪部14fに、他方の係止部19aがカバー24の爪部24dにそれぞれ係合するので、レバー側外輪14の回転に伴って外側センタリングばね19が押し拡げられて弾性力が蓄積され、レバー側外輪14からの入力トルクを開放すると、その弾性復元力によりレバー側外輪14を中立状態に復帰させる。
【0037】
図13(a)(b)および図14(a)〜(c)は出力軸22を示す。この出力軸22は、軸部22cから径方向外側に延びて拡径した大径部22dが軸方向ほぼ中央部位に一体的に形成されている。この軸部22cの先端には、シートリフタ部41〔図25および図26(a)(b)参照〕と連結するためのピニオンギヤ41gが同軸的に形成されている。
【0038】
大径部22dの外周面には複数(例えば6つ)の平坦なカム面22aが円周方向等間隔に形成され、ブレーキ側外輪23の内周面23bとの間で設けられた楔すきま26(図5参照)に二つの円筒ころ27および板ばね28がそれぞれ配されている。この大径部22dの一方の端面には、摩擦リング29が収容配置される環状凹部22bが形成されている。また、図中の符号22fは、大径部22dの他方の端面に形成された突起で、内輪15の孔15dにクリアランスをもって挿入される〔図1および図8(a)(b)参照〕。
【0039】
図15(a)(b)および図16(a)(b)はブレーキ側外輪23およびそのカバー24を示す。図17(a)(b)はブレーキ側側板25を示す。前述のブレーキ側外輪23とカバー24は、このブレーキ側側板25により一体的に加締め固定される。ブレーキ側外輪23は、一枚の素材をプレスで打ち抜き加工した厚肉の板状部材であり、カバー24は、一枚の別素材をプレス加工により成形したものである。なお、図中の符号24c,25bは出力軸22が挿通される孔、符号25cは後述の摩擦リング29の突起29aが嵌合する孔である。
【0040】
ブレーキ側外輪23の外周には複数(3個)の切欠き凹部23aが形成されると共に、これら切欠き凹部23aに対応させて、カバー24の外周にも複数(3個)の切欠き凹部24aが形成されている。図19(a)(b)に示すようにブレーキ側外輪23の切欠き凹部23aにブレーキ側側板25の爪部25aが挿入されると共に、図20に示すようにカバー24の切欠き凹部24aにブレーキ側側板25の爪部25aが挿入される。
【0041】
これら切欠き凹部23a,24aに挿入されたブレーキ側側板25の爪部25aを加締めることによりブレーキ側外輪23とカバー24を連結してブレーキ側側板25と共に一体化して静止側部材を構成する。このブレーキ側側板25の爪部25aの加締めは、加締め治具(図示せず)を利用することにより、その爪部25aの二股状先端部25a1を外側へ拡開させることにより行われる(図21参照)。
【0042】
ブレーキ側外輪23の内周面23bと出力軸22のカム面22aとの間に楔すきま26が形成されている(図5参照)。カバー24には軸方向に突出する爪部24bが形成され、その爪部24bをレバー側クラッチ部11の内側センタリングばね18の二つの係止部18a間に配置している〔図11および図23(a)(b)参照〕。このカバー24の爪部24bは、その爪部形成位置の外径側を面起こしすることにより形成されている。カバー24の外周には軸方向に突出する爪部24dが形成されている。この爪部24dは、レバー側クラッチ部11の外側センタリングばね19の二つの係止部19a間に配置される〔図12および図23(a)(b)参照〕。
【0043】
カバー24の外周には二組の係止部24e,24fが段付き加工により形成されている〔図23(a)(b)参照〕。これら係止部24e,24fは、レバー側外輪14の爪部14gがブレーキ側外輪23の端面に接触した状態で回転する際にその回転方向で当接可能とすることで、操作レバーの操作角度を規制する回転ストッパとして機能する。つまり、操作レバーの操作によりレバー側外輪14が回転すれば、その爪部14gがカバー24の係止部24eと24fとの間でカバー24の外周に沿って移動することになる。
【0044】
ブレーキ側側板25の外周には、シートリフタ部へのクラッチ取付部として、一つのフランジ部25eと二つのフランジ部25fが設けられている(図2〜図4参照)。これら三つのフランジ部25e,25fの先端部には、シートリフタ部への取付用孔25g,25hが穿設されてその取付孔25g,25hを囲撓するように円筒部25i,25jが軸方向に突設されている。
【0045】
図18(a)〜(c)は樹脂製の摩擦リング29を示す。摩擦リング29の端面には、その円周方向に沿って等間隔に円形の突起29aが複数個設けられ、この突起29aをブレーキ側側板25の孔25cに圧入して嵌合させることによりブレーキ側側板25に固着される(図1および図3参照)。
【0046】
この突起29aの圧入時、樹脂材による突起29aの弾性変形でもって孔25cとの嵌合状態が得られる。このように突起29aと孔25cの圧入嵌合構造を採用することにより、搬送時などの取り扱いで摩擦リング29がブレーキ側側板25から脱落することを未然に防止でき、組立時のハンドリング性を向上させることができる。
【0047】
この摩擦リング29は出力軸22の大径部22dに形成された環状凹部22bの内周面22eに締め代をもって圧入される〔図13(a)および図14(a)(b)参照〕。摩擦リング29の外周面29cと出力軸22の環状凹部22bの内周面22eとの間に生じる摩擦力によって、出力軸22に回転抵抗が付与される。
【0048】
この摩擦リング29の外周面29cには、複数の凹溝状のスリット29bが円周方向等間隔に形成されている(図5参照)。このようにスリット29bを設けることにより、摩擦リング29に弾性を持たせることができることから、出力軸22の内径公差および摩擦リング29の外径公差に対する摺動トルクの変化率が大きくなることはない。
【0049】
つまり、摩擦リング29の外周面29cと出力軸22の環状凹部22bの内周面22eとの間に生じる摩擦力によって付与される回転抵抗の設定範囲を小さくすることができて回転抵抗の大きさを適正に設定することが容易となる。また、そのスリット29bがグリース溜まりとなるので摩擦リング29の外周面29cが出力軸22の環状凹部22bの内周面22eとの摺動で摩耗することを抑制できる。
【0050】
なお、前述したカバー24は、内輪15の拡径部15cを収容するため、外側センタリングばね19の内側部位を彎曲させた傾斜部24gを有する〔図1および図16(a)(b)参照〕。このような傾斜部24gが存在すると、フルストロークから中立位置に戻すレバー操作時に、カバー24を摺動する外側センタリングばね19がそのカバー24の傾斜部24gに乗り上げて、対向するレバー側外輪14に接触することがある。このような外側センタリングばね19の摺動による乗り上げでもって外側センタリングばね19がレバー側外輪14と接触することにより僅かな異音が発生する可能性がある。
【0051】
そこで、図24に示す実施形態では、レバー側外輪14の逃げ14e’を大きくしている。つまり、レバー側外輪14の外周部位の軸方向厚みを図1の実施形態の場合よりも小さくして逃げ14e’の軸方向寸法を大きくしている。これにより、外側センタリングばね19の位置をレバー側外輪側(図示右方向)に移動させることができ、図1の実施形態のような傾斜部24gを設けることなく、図24に示すように、カバー24’をフラットな形状とすることができる。その結果、フルストロークから中立位置に戻すレバー操作時であっても外側センタリングばね19がレバー側外輪14と接触することがなくなって異音の発生を未然に防止できる。
【0052】
以上の構成からなるクラッチユニットXにおけるレバー側クラッチ部11およびブレーキ側クラッチ部12の動作を説明する。
【0053】
レバー側クラッチ部11では、レバー側外輪14に入力トルクが作用すると、円筒ころ16がそのレバー側外輪14と内輪15間の楔すきま20に係合し、その円筒ころ16を介して内輪15にトルクが伝達されて内輪15が回転する。この時、レバー側外輪14および保持器17の回転に伴って両センタリングばね18,19に弾性力が蓄積される。その入力トルクがなくなると、両センタリングばね18,19の弾性力によりレバー側外輪14および保持器17が中立状態に復帰する一方で、内輪15は、与えられた回転位置をそのまま維持する。従って、このレバー側外輪14の回転繰り返し、つまり、操作レバーのポンピング操作により、内輪15は寸動回転する。
【0054】
ブレーキ側クラッチ部12では、出力軸22に逆入力トルクが入力されると、板ばね28が各対の円筒ころ27に離反力を付勢することにより、円筒ころ27がその出力軸22とブレーキ側外輪23間の楔すきま26と係合して出力軸22がブレーキ側外輪23に対してロックされる。従って、出力軸22からの逆入力トルクは、ブレーキ側クラッチ部12によってロックされてレバー側クラッチ部11への逆入力トルクの還流が遮断される。
【0055】
一方、レバー側外輪14からの入力トルクがレバー側クラッチ部11を介して内輪15に入力され、内輪15が円筒ころ27と当接して板ばね28の弾性力に抗して押圧することにより、その円筒ころ27が楔すきま26から離脱して出力軸22のロック状態が解除され、出力軸22は回転可能となる。内輪15がさらに回転すると、内輪15の孔15dと出力軸22の突起22fとのクリアランスが詰まって内輪15が出力軸22の突起22fと回転方向で当接することにより、内輪15からの入力トルクが突起22fを介して出力軸22に伝達され、出力軸22が回転する。
【0056】
以上で詳述した構造を具備するクラッチユニットXは、例えば自動車用シートリフタ部に組み込まれて使用される。図25は自動車の乗員室に装備される座席シート40を示す。座席シート40は着座シート40aと背もたれシート40bとで構成され、着座シート40aの高さHを調整するシートリフタ部41などを備えている。着座シート40aの高さHの調整はシートリフタ部41の操作レバー41aによって行う。
【0057】
図26(a)はシートリフタ部41の一構造例を概念的に示す。シートスライドアジャスタ41bのスライド可動部材41b1にリンク部材41c,41dの一端がそれぞれ回動自在に枢着される。リンク部材41c,41dの他端はそれぞれ着座シート40aに回動自在に枢着される。リンク部材41cの他端はリンク部材41eを介してセクターギヤ41fに回動自在に枢着される。セクターギヤ41fは着座シート40aに回動自在に枢着され、支点41f1回りに揺動可能である。リンク部材41dの他端は着座シート40aに回動自在に枢着される。
【0058】
前述した実施形態のクラッチユニットXは、着座シート40aの適宜の部位に固定される。このクラッチユニットXの着座シート40aへの固定は、ブレーキ側側板25の三つのフランジ部25e,25fを、その円筒部25i,25jの先端部分を外側へ拡径させるように塑性変形させることで着座シート40aのシートフレーム(図示せず)に加締め固定する。
【0059】
一方、レバー側クラッチ部11のレバー側外輪14に操作レバー41aが結合され、ブレーキ側クラッチ部12の出力軸22に回転部材であるセクターギヤ41fと噛合するピニオンギヤ41gが設けられている。このピニオンギヤ41gは、図1、図13(a)(b)および図14(a)(b)に示すように出力軸22の軸部22cの先端に一体的に形成されている。
【0060】
図26(b)において、操作レバー41aを反時計方向(上側)に揺動操作すると、その方向の入力トルクがクラッチユニットXを介してピニオンギヤ41gに伝達され、ピニオンギヤ41gが反時計方向に回動する。そして、ピニオンギヤ41gと噛合するセクターギヤ41fが時計方向に揺動して、リンク部材41cの他端をリンク部材41eを介して引っ張る。その結果、リンク部材41cとリンク部材41dが共に起立して、着座シート40aの座面が高くなる。
【0061】
このようにして、着座シート40aの高さHを調整した後、操作レバー41aを開放すると、操作レバー41aが二つのセンタリングばね18,19の弾性力によって時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。なお、操作レバー41aを時計方向(下側)に揺動操作した場合は、上記とは逆の動作によって、着座シート40aの座面が低くなる。また、高さ調整後に操作レバー41aを開放すると、操作レバー41aが反時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。
【0062】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0063】
11 レバー側クラッチ部
12 ブレーキ側クラッチ部
14 レバー側外輪(操作部および入力部)
15 連結部材(内輪)
16 係合子(円筒ころ)
17 保持器
18 第一の弾性部材(内側センタリングばね)
19 第二の弾性部材(外側センタリングばね)
22 出力側部材(出力軸)
23 静止側部材(ブレーキ側外輪)
24 静止側部材(カバー)
25 静止側部材(ブレーキ側側板)
26 楔すきま
27 係合子(円筒ころ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達するレバー側クラッチ部と、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とを有するクラッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、円筒ころやボール等の係合子を用いるクラッチユニットにおいては、入力側部材と出力側部材との間にクラッチ部が配設される。このクラッチ部は、前述の入力側部材と出力側部材間に形成される楔すきまに円筒ころやボール等の係合子を係合・離脱させることによって、入力トルクの伝達・遮断を制御する構成になっている。
【0003】
本出願人は、例えば、レバー操作により座席シートを上下調整する自動車用シートリフタ部に組み込まれ、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達するレバー側クラッチ部と、入力側からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とを具備したクラッチユニットを先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図27は前述の特許文献1に開示された従来のクラッチユニットの全体構成を示す縦断面図、図28は図27のD−D線に沿う断面図、図29は図27のE−E線に沿う断面図である。
【0005】
図27および図28に示すように、レバー側クラッチ部111は、レバー操作によりトルクが入力される入力側部材としてのレバー側外輪114と、そのレバー側外輪114からのトルクをブレーキ側クラッチ部112に伝達する連結部材としての内輪115と、レバー側外輪114と内輪115間での係合・離脱によりレバー側外輪114からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子としての円筒ころ116と、各円筒ころ116を円周方向に所定間隔で保持する保持器117と、回転が拘束された静止側部材としてのブレーキ側外輪123と、保持器117と静止側部材としての後述のカバー124との間に設けられ、レバー側外輪114からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器117を中立状態に復帰させる第一の弾性部材としての内側センタリングばね118と、レバー側外輪114とカバー124との間に設けられ、レバー側外輪114からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力でレバー側外輪114を中立状態に復帰させる第二の弾性部材としての外側センタリングばね119とで主要部が構成されている。
【0006】
なお、図中、113はレバー側外輪114に加締め固定されてレバー側外輪114と共に入力側部材を構成するレバー側側板、131はウェーブワッシャ130を介して出力軸122に取り付けられたワッシャである。
【0007】
一方、図27および図29に示すように、ブレーキ側クラッチ部112は、回転が拘束された静止側部材としてのブレーキ側外輪123と、レバー側クラッチ部111からのトルクが入力される連結部材としての内輪115と、トルクが出力される出力軸122と、ブレーキ側外輪123と出力軸122間の楔すきまに配設され、ブレーキ側外輪123と出力軸122間での係合・離脱により内輪115からの入力トルクの伝達と出力軸122からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子としての円筒ころ127とで主要部が構成されている。
【0008】
なお、内輪115の軸方向端部から径方向外側に延在して軸方向に屈曲した拡径部115cは、円筒ころ127を円周方向に所定間隔で保持する保持器として機能する。図中、124,125はブレーキ側外輪123と共に静止側部材を構成するカバーおよびブレーキ側側板で、ブレーキ側外輪123とカバー124はブレーキ側側板125により一体的に加締め固定される。128は各対の円筒ころ127間に配置された例えば断面N字形の板ばね、129はブレーキ側側板125に取り付けられた制動部材としての摩擦リングである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−210114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に開示された従来のクラッチユニットは、図30に示すように、操作レバー(図示せず)が取付けられるレバー側側板113と、そのレバー側側板113が加締め固定され、レバー操作によりトルクが入力されるレバー側外輪114とで入力側部材を構成している。この入力側部材を構成する一方のレバー側側板113は、操作レバーをねじ止めにより固着するために非熱処理素材を所定形状に成形したものであり、入力側部材を構成する他方のレバー側外輪114は、入力トルクの伝達と逆入力トルクの遮断を制御する円筒ころ127と接触するために浸炭焼入れ等の熱処理素材を所定形状に成形したものである。
【0011】
以上のように、従来のクラッチユニットのレバー側クラッチ部111では、レバー側側板113およびレバー側外輪114からなる二つの構成部品を必要とし、これらレバー側側板113およびレバー側外輪114を順次組み付けなければならない。つまり、レバー側側板113をレバー側外輪114に加締め固定し、加締め固定されたレバー側側板113およびレバー側外輪114をレバー側クラッチ部111に組み付けなければならない。このように、従来のクラッチユニットの場合、部品点数の削減および組み立ての簡略化が困難となる可能性があり、その結果、製品のコストアップを招く可能性があった。
【0012】
そこで、本発明は前述の改善点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、部品点数の削減および組み立ての簡略化を図り得る低コストのクラッチユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るクラッチユニットは、入力側に設けられ、レバー操作により出力側への回転トルクの伝達・遮断を制御するレバー側クラッチ部と、出力側に設けられ、レバー側クラッチ部からの入力トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とからなり、レバー側クラッチ部は、レバー操作により回動する操作部と、レバー操作によりトルクが入力される入力部と、その入力部からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、入力部と連結部材間での係合・離脱により入力部からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と備え、操作部と入力部とを一体化したことを特徴とする。
【0014】
本発明では、レバー操作により回動する操作部と、レバー操作によりトルクが入力される入力部とを一体化したことにより、従来ではレバー側側板とレバー側外輪の二つの構成部品を必要としていたのに対して、従来におけるレバー側側板とレバー側外輪のそれぞれの機能を兼ね備えた操作部および入力部を一つの構成部品で構成でき、部品点数の削減および組み立ての簡略化が図れる。
【0015】
本発明において操作部および入力部を一体化したものを冷間鍛造で成形することが望ましい。このように、操作部および入力部を一体化したものを冷間鍛造で成形すれば、構成部品を簡易に製作することができ、クラッチユニットのコスト低減が図れる。
【0016】
本発明における入力部は、係合子との接触面を高周波焼入れすることが望ましい。このように係合子との接触面を高周波焼入れすれば、その接触面を硬化させることができ、係合子との接触による摩耗を抑制できてクラッチユニットの耐久性向上が図れる。
【0017】
このクラッチユニットにおけるレバー側クラッチ部は、操作部および入力部を一体化した入力側部材と、その入力側部材からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、入力側部材と連結部材間での係合・離脱により入力側部材からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と、各係合子を円周方向に所定間隔で保持する保持器と、回転が拘束された静止側部材と、保持器と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器を中立状態に復帰させる第一の弾性部材と、入力側部材と静止側部材の間に設けられ、入力側部材からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で入力側部材を中立状態に復帰させる第二の弾性部材とを備えた構成が可能である。なお、このレバー側クラッチ部の係合子は円筒ころが望ましい。
【0018】
このクラッチユニットにおけるブレーキ側クラッチ部は、レバー側クラッチ部からのトルクが入力される連結部材と、トルクが出力される出力側部材と、回転が拘束された静止側部材と、その静止側部材と出力側部材間の楔すきまに配設され、両部材間での係合・離脱により連結部材からの入力トルクの伝達と出力側部材からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子とを備えた構成が可能である。なお、このブレーキ側クラッチ部の係合子は円筒ころが望ましい。
【0019】
本発明に係るクラッチユニットは、レバー側クラッチ部およびブレーキ側クラッチ部を自動車用シートリフタ部に組み込むことで自動車用途として適している。その場合、入力側部材がレバーに結合され、出力側部材が自動車用シートリフタ部のリンク機構に連結された構造となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、レバー側クラッチ部は、レバー操作により回動する操作部と、レバー操作によりトルクが入力される入力部と、その入力部からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、入力部と連結部材間での係合・離脱により入力部からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と備え、操作部と入力部とを一体化したことにより、従来におけるレバー側側板とレバー側外輪のそれぞれの機能を兼ね備えた操作部および入力部を一つの構成部品で構成でき、部品点数の削減および組み立ての簡略化が図れる。その結果、組立性が良好で低コストのクラッチユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態におけるクラッチユニットの全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1の左側面図である。
【図4】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図6】(a)はレバー側外輪を一方の側から見た斜視図、(b)はレバー側外輪を他方の側から見た斜視図である。
【図7】(a)はレバー側外輪を示す断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図8】(a)は内輪を示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図9】保持器を示す斜視図である。
【図10】(a)は保持器を示す断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の断面図である。
【図11】内側センタリングばねを示す斜視図である。
【図12】外側センタリングばねを示す斜視図である。
【図13】(a)は出力軸を一方の側から見た斜視図、(b)は出力軸を他方の側から見た斜視図である。
【図14】(a)は出力軸を示す断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図15】(a)はブレーキ側外輪を示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図16】(a)はカバーを示す断面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図17】(a)はブレーキ側側板を示す断面図、(b)は(a)の右側面図である。
【図18】(a)は摩擦リングを示す正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図19】(a)はブレーキ側側板にブレーキ側外輪を組み付ける前の状態を示す斜視図、(b)はブレーキ側側板にブレーキ側外輪を組み付けた後の状態を示す斜視図である。
【図20】ブレーキ側側板にブレーキ側外輪およびカバーを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図21】ブレーキ側側板とブレーキ側外輪とカバーを加締めにより一体化した状態を示す斜視図である。
【図22】図1のC−C線に沿う断面図である。
【図23】(a)はブレーキ側側板、ブレーキ側外輪、カバーおよび内側センタリングばねに対して保持器を組み付ける前の状態を示す斜視図、(b)はブレーキ側側板、ブレーキ側外輪、カバーおよび内側センタリングばねに対して保持器を組み付けた後の状態を示す斜視図である。
【図24】本発明の他の実施形態におけるクラッチユニットを示す縦断面図である。
【図25】自動車の座席シートを示す概念図である。
【図26】(a)はシートリフタ部の一構造例を示す概念図、(b)はその要部拡大図である。
【図27】従来のクラッチユニットの全体構成を示す縦断面図である。
【図28】図27のD−D線に沿う横断面図である。
【図29】図27のE−E線に沿う横断面図である。
【図30】従来のクラッチユニットにおけるレバー側側板およびレバー側外輪を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の実施形態におけるクラッチユニットXの全体構成を示す縦断面図、図2は図1に示すクラッチユニットXの右側面図、図3は図1に示すクラッチユニットXの左側面図、図4は図1のA−Aに沿う横断面図、図5は図1のB−B線に沿う横断面図である。また、図6〜図18はクラッチユニットXの主要な各構成部品を示す図である。図19〜図23はクラッチユニットXの主要な構成部品の組み付け状態を示す図である。なお、図24は本発明の他の実施形態におけるクラッチユニットXの全体構成を示す縦断面図である。
【0023】
クラッチユニットXは、例えばレバーの操作により座席シートの高さ調整を行う自動車用シートリフタ部〔図25および図26(a)(b)参照〕に組み込まれる。このクラッチユニットXは、図1〜図5に示すように、入力側に設けられたレバー側クラッチ部11と、出力側に設けられた逆入力遮断機能のブレーキ側クラッチ部12とをユニット化した構成となっている。
【0024】
レバー側クラッチ部11は、図1、図2および図4に示すように、例えば、操作レバー(図示せず)が連結された入力側部材としてのレバー側外輪14と、そのレバー側外輪14からのトルクをブレーキ側クラッチ部12に伝達する連結部材としての内輪15と、その内輪15の外周面15aとレバー側外輪14の内周面14aとの間に形成された楔すきま20に配設された係合子としての例えば複数の円筒ころ16と、円筒ころ16を円周方向等間隔に保持する保持器17と、その保持器17を中立状態に復帰させるための第一の弾性部材である内側センタリングばね18と、レバー側外輪14を中立状態に復帰させるための第二の弾性部材である外側センタリングばね19とを有する。なお、後述の出力軸22の端部にウェーブワッシャ30を介してワッシャ31を圧入することにより、構成部品の抜け止めとしている(図1参照)。
【0025】
ロック型と称されるタイプで逆入力遮断機能を有するブレーキ側クラッチ部12は、図1、図3および図5に示すように、レバー側クラッチ部11からのトルクが入力される連結部材としての内輪15と、出力側部材としての出力軸22と、回転が拘束された静止側部材としてのブレーキ側外輪23、カバー24およびブレーキ側側板25と、そのブレーキ側外輪23と出力軸22間の楔すきま26に配設され、ブレーキ側外輪23と出力軸22間での係合・離脱により内輪15からの入力トルクの伝達と出力軸22からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子としての円筒ころ27と、各対の円筒ころ27間に介挿され、それら円筒ころ27同士に離反力を付勢する断面N字形の板ばね28とで主要部が構成されている。なお、出力軸22には突起22fが設けられ、この突起22fがクリアランスをもって挿入された孔15dが内輪15に設けられている(図1参照)。
【0026】
次に、このクラッチユニットXにおけるレバー側クラッチ部11およびブレーキ側クラッチ部12の主要な構成部品について詳述する。
【0027】
図6(a)(b)および図7(a)〜(c)はレバー側外輪14を示す。このレバー側外輪14は、レバー操作により回動する操作部と、そのレバー操作によりトルクが入力される入力部とを一体化したもので、操作部として、座席シートの高さ調整を操作するための操作レバーを取り付けるための複数(例えば4つ)の孔14cが穿設されている。また、中央部位には出力軸22および内輪15が挿通される孔14bが形成され、その孔14bと連通する凹部14dの内周には、入力部としての複数のカム面14aが円周方向等間隔に形成されている(図4参照)。さらに、レバー側外輪14の外周部位は、その軸方向厚みを中央部位よりも小さくすることにより、外側センタリングばね19との干渉を防止する逃げ14eを設けている。
【0028】
このレバー側外輪14の外周縁部には複数(例えば3つ)の爪部14f,14gが軸方向に突設されている。これら爪部14f,14gのうち、一つの爪部14fは、後述する外側センタリングばね19の二つの係止部19a(図12参照)間に挿入配置されて係止され、残り二つの爪部14gは、後述するブレーキ側外輪23の端面に接触した状態でレバー側外輪14の回転によりそのブレーキ側外輪23の端面上を摺動し、カバー24の外周に設けられた回転ストッパとしての一対の係止部24e,24f〔図16(b)参照〕間で移動してその回転方向の移動端で係止部24e,24fのそれぞれに当接可能とすることで、操作レバーの操作角度を規制するようにしている。
【0029】
この実施形態におけるレバー側外輪14は、従来におけるレバー側側板113とレバー側外輪114(図27および図30参照)とを機能的に一体化した構造を具備するものである。これにより、従来ではレバー側側板113とレバー側外輪114の二つの構成部品を必要としていたのに対して、従来におけるレバー側側板113とレバー側外輪114のそれぞれの機能を兼ね備えた操作部および入力部を一つの構成部品であるレバー側外輪14で構成でき、部品点数の削減および組み立ての簡略化が図れる。
【0030】
なお、操作部および入力部を一体化したレバー側外輪14は冷間鍛造により成形されている。この冷間鍛造により成形したことにより、レバー側外輪14を簡易に製作することができ、クラッチユニットのコスト低減が図れる。また、レバー側外輪14の孔14cには操作レバーがねじ止めにより取り付けられることから、ねじ止めによる塑性変形が可能なように非熱処理状態とする必要があるが、凹部14dの内周のカム面14aは、円筒ころ16が係合する接触面であることから熱処理により硬化させる必要があるため、高周波焼入れしている。このカム面14aの高周波焼入れにより円筒ころ16との接触による摩耗を抑制できてクラッチユニットの耐久性向上が図れる。
【0031】
図8(a)(b)は内輪15を示す。この内輪15は、出力軸22が挿通される筒状部15bの外径にレバー側外輪14のカム面14aとの間に楔すきま20(図4参照)を形成する外周面15aを備えている。また、筒状部15bの端部から径方向外側に延在して軸方向に屈曲した拡径部15cが一体的に形成され、その拡径部15cをブレーキ側クラッチ部12の保持器として機能させるため、円筒ころ27および板ばね28を収容するポケット15eが円周方向等間隔に形成されている。なお、図中の符号15dは、出力軸22の突起22f(図1参照)がクリアランスをもって挿入される孔である。
【0032】
図9および図10(a)〜(c)は樹脂製の保持器17を示す。この保持器17は、円筒ころ16を収容する複数のポケット17aが円周方向等間隔に形成された円筒状部材である。この保持器17の一方の端部には、二つの切欠き凹部17bが形成され、それぞれの切欠き凹部17bの隣接する二つの端面17cに後述の内側センタリングばね18の係止部18aが係止される(図22参照)。
【0033】
図11は内側センタリングばね18を示す。この内側センタリングばね18は、径方向内側に屈曲させた一対の係止部18aを有する断面円形のC字状ばね部材からなり、外側センタリングばね19の内径側に位置する(図22参照)。この内側センタリングばね18は、保持器17とブレーキ側クラッチ部12の静止側部材であるカバー24との間に配設され、両係止部18aが保持器17の二つの端面17c〔図9および図10(b)参照〕に係止されると共にカバー24に設けられた爪部24b〔図16(a)(b)参照〕に係止されている〔図22および図23(a)(b)参照〕。
【0034】
この内側センタリングばね18では、レバー側外輪14からの入力トルクの作用時、一方の係止部18aが保持器17の一方の端面17cに、他方の係止部18aがカバー24の爪部24bにそれぞれ係合するので、レバー側外輪14の回転に伴って内側センタリングばね18が押し拡げられて弾性力が蓄積され、レバー側外輪14からの入力トルクの開放時、その弾性復元力により保持器17を中立状態に復帰させる。
【0035】
図12は外側センタリングばね19を示す。この外側センタリングばね19はC字状をなし、その両端を径方向外側に屈曲させた一対の係止部19aを有する帯板状ばね部材であり、内側センタリングばね18の外径側に位置する(図22参照)。外側センタリングばね19は、レバー側クラッチ部11のレバー側外輪14とブレーキ側クラッチ部12のカバー24との間に配設され、両係止部19aがレバー側外輪14に設けられた爪部14f〔図6(a)(b)および図7(a)〜(c)参照〕に係止されると共にカバー24に設けられた爪部24d〔図16(a)(b)参照〕に係止されている〔図23(a)(b)参照〕。この係止部19aは、内側センタリングばね18の係止部18aに対して円周方向の位相(180°)をずらせて配置されている(図22参照)。
【0036】
この外側センタリングばね19では、レバー操作により入力トルクが作用してレバー側外輪14が回転した場合、一方の係止部19aがレバー側外輪14の爪部14fに、他方の係止部19aがカバー24の爪部24dにそれぞれ係合するので、レバー側外輪14の回転に伴って外側センタリングばね19が押し拡げられて弾性力が蓄積され、レバー側外輪14からの入力トルクを開放すると、その弾性復元力によりレバー側外輪14を中立状態に復帰させる。
【0037】
図13(a)(b)および図14(a)〜(c)は出力軸22を示す。この出力軸22は、軸部22cから径方向外側に延びて拡径した大径部22dが軸方向ほぼ中央部位に一体的に形成されている。この軸部22cの先端には、シートリフタ部41〔図25および図26(a)(b)参照〕と連結するためのピニオンギヤ41gが同軸的に形成されている。
【0038】
大径部22dの外周面には複数(例えば6つ)の平坦なカム面22aが円周方向等間隔に形成され、ブレーキ側外輪23の内周面23bとの間で設けられた楔すきま26(図5参照)に二つの円筒ころ27および板ばね28がそれぞれ配されている。この大径部22dの一方の端面には、摩擦リング29が収容配置される環状凹部22bが形成されている。また、図中の符号22fは、大径部22dの他方の端面に形成された突起で、内輪15の孔15dにクリアランスをもって挿入される〔図1および図8(a)(b)参照〕。
【0039】
図15(a)(b)および図16(a)(b)はブレーキ側外輪23およびそのカバー24を示す。図17(a)(b)はブレーキ側側板25を示す。前述のブレーキ側外輪23とカバー24は、このブレーキ側側板25により一体的に加締め固定される。ブレーキ側外輪23は、一枚の素材をプレスで打ち抜き加工した厚肉の板状部材であり、カバー24は、一枚の別素材をプレス加工により成形したものである。なお、図中の符号24c,25bは出力軸22が挿通される孔、符号25cは後述の摩擦リング29の突起29aが嵌合する孔である。
【0040】
ブレーキ側外輪23の外周には複数(3個)の切欠き凹部23aが形成されると共に、これら切欠き凹部23aに対応させて、カバー24の外周にも複数(3個)の切欠き凹部24aが形成されている。図19(a)(b)に示すようにブレーキ側外輪23の切欠き凹部23aにブレーキ側側板25の爪部25aが挿入されると共に、図20に示すようにカバー24の切欠き凹部24aにブレーキ側側板25の爪部25aが挿入される。
【0041】
これら切欠き凹部23a,24aに挿入されたブレーキ側側板25の爪部25aを加締めることによりブレーキ側外輪23とカバー24を連結してブレーキ側側板25と共に一体化して静止側部材を構成する。このブレーキ側側板25の爪部25aの加締めは、加締め治具(図示せず)を利用することにより、その爪部25aの二股状先端部25a1を外側へ拡開させることにより行われる(図21参照)。
【0042】
ブレーキ側外輪23の内周面23bと出力軸22のカム面22aとの間に楔すきま26が形成されている(図5参照)。カバー24には軸方向に突出する爪部24bが形成され、その爪部24bをレバー側クラッチ部11の内側センタリングばね18の二つの係止部18a間に配置している〔図11および図23(a)(b)参照〕。このカバー24の爪部24bは、その爪部形成位置の外径側を面起こしすることにより形成されている。カバー24の外周には軸方向に突出する爪部24dが形成されている。この爪部24dは、レバー側クラッチ部11の外側センタリングばね19の二つの係止部19a間に配置される〔図12および図23(a)(b)参照〕。
【0043】
カバー24の外周には二組の係止部24e,24fが段付き加工により形成されている〔図23(a)(b)参照〕。これら係止部24e,24fは、レバー側外輪14の爪部14gがブレーキ側外輪23の端面に接触した状態で回転する際にその回転方向で当接可能とすることで、操作レバーの操作角度を規制する回転ストッパとして機能する。つまり、操作レバーの操作によりレバー側外輪14が回転すれば、その爪部14gがカバー24の係止部24eと24fとの間でカバー24の外周に沿って移動することになる。
【0044】
ブレーキ側側板25の外周には、シートリフタ部へのクラッチ取付部として、一つのフランジ部25eと二つのフランジ部25fが設けられている(図2〜図4参照)。これら三つのフランジ部25e,25fの先端部には、シートリフタ部への取付用孔25g,25hが穿設されてその取付孔25g,25hを囲撓するように円筒部25i,25jが軸方向に突設されている。
【0045】
図18(a)〜(c)は樹脂製の摩擦リング29を示す。摩擦リング29の端面には、その円周方向に沿って等間隔に円形の突起29aが複数個設けられ、この突起29aをブレーキ側側板25の孔25cに圧入して嵌合させることによりブレーキ側側板25に固着される(図1および図3参照)。
【0046】
この突起29aの圧入時、樹脂材による突起29aの弾性変形でもって孔25cとの嵌合状態が得られる。このように突起29aと孔25cの圧入嵌合構造を採用することにより、搬送時などの取り扱いで摩擦リング29がブレーキ側側板25から脱落することを未然に防止でき、組立時のハンドリング性を向上させることができる。
【0047】
この摩擦リング29は出力軸22の大径部22dに形成された環状凹部22bの内周面22eに締め代をもって圧入される〔図13(a)および図14(a)(b)参照〕。摩擦リング29の外周面29cと出力軸22の環状凹部22bの内周面22eとの間に生じる摩擦力によって、出力軸22に回転抵抗が付与される。
【0048】
この摩擦リング29の外周面29cには、複数の凹溝状のスリット29bが円周方向等間隔に形成されている(図5参照)。このようにスリット29bを設けることにより、摩擦リング29に弾性を持たせることができることから、出力軸22の内径公差および摩擦リング29の外径公差に対する摺動トルクの変化率が大きくなることはない。
【0049】
つまり、摩擦リング29の外周面29cと出力軸22の環状凹部22bの内周面22eとの間に生じる摩擦力によって付与される回転抵抗の設定範囲を小さくすることができて回転抵抗の大きさを適正に設定することが容易となる。また、そのスリット29bがグリース溜まりとなるので摩擦リング29の外周面29cが出力軸22の環状凹部22bの内周面22eとの摺動で摩耗することを抑制できる。
【0050】
なお、前述したカバー24は、内輪15の拡径部15cを収容するため、外側センタリングばね19の内側部位を彎曲させた傾斜部24gを有する〔図1および図16(a)(b)参照〕。このような傾斜部24gが存在すると、フルストロークから中立位置に戻すレバー操作時に、カバー24を摺動する外側センタリングばね19がそのカバー24の傾斜部24gに乗り上げて、対向するレバー側外輪14に接触することがある。このような外側センタリングばね19の摺動による乗り上げでもって外側センタリングばね19がレバー側外輪14と接触することにより僅かな異音が発生する可能性がある。
【0051】
そこで、図24に示す実施形態では、レバー側外輪14の逃げ14e’を大きくしている。つまり、レバー側外輪14の外周部位の軸方向厚みを図1の実施形態の場合よりも小さくして逃げ14e’の軸方向寸法を大きくしている。これにより、外側センタリングばね19の位置をレバー側外輪側(図示右方向)に移動させることができ、図1の実施形態のような傾斜部24gを設けることなく、図24に示すように、カバー24’をフラットな形状とすることができる。その結果、フルストロークから中立位置に戻すレバー操作時であっても外側センタリングばね19がレバー側外輪14と接触することがなくなって異音の発生を未然に防止できる。
【0052】
以上の構成からなるクラッチユニットXにおけるレバー側クラッチ部11およびブレーキ側クラッチ部12の動作を説明する。
【0053】
レバー側クラッチ部11では、レバー側外輪14に入力トルクが作用すると、円筒ころ16がそのレバー側外輪14と内輪15間の楔すきま20に係合し、その円筒ころ16を介して内輪15にトルクが伝達されて内輪15が回転する。この時、レバー側外輪14および保持器17の回転に伴って両センタリングばね18,19に弾性力が蓄積される。その入力トルクがなくなると、両センタリングばね18,19の弾性力によりレバー側外輪14および保持器17が中立状態に復帰する一方で、内輪15は、与えられた回転位置をそのまま維持する。従って、このレバー側外輪14の回転繰り返し、つまり、操作レバーのポンピング操作により、内輪15は寸動回転する。
【0054】
ブレーキ側クラッチ部12では、出力軸22に逆入力トルクが入力されると、板ばね28が各対の円筒ころ27に離反力を付勢することにより、円筒ころ27がその出力軸22とブレーキ側外輪23間の楔すきま26と係合して出力軸22がブレーキ側外輪23に対してロックされる。従って、出力軸22からの逆入力トルクは、ブレーキ側クラッチ部12によってロックされてレバー側クラッチ部11への逆入力トルクの還流が遮断される。
【0055】
一方、レバー側外輪14からの入力トルクがレバー側クラッチ部11を介して内輪15に入力され、内輪15が円筒ころ27と当接して板ばね28の弾性力に抗して押圧することにより、その円筒ころ27が楔すきま26から離脱して出力軸22のロック状態が解除され、出力軸22は回転可能となる。内輪15がさらに回転すると、内輪15の孔15dと出力軸22の突起22fとのクリアランスが詰まって内輪15が出力軸22の突起22fと回転方向で当接することにより、内輪15からの入力トルクが突起22fを介して出力軸22に伝達され、出力軸22が回転する。
【0056】
以上で詳述した構造を具備するクラッチユニットXは、例えば自動車用シートリフタ部に組み込まれて使用される。図25は自動車の乗員室に装備される座席シート40を示す。座席シート40は着座シート40aと背もたれシート40bとで構成され、着座シート40aの高さHを調整するシートリフタ部41などを備えている。着座シート40aの高さHの調整はシートリフタ部41の操作レバー41aによって行う。
【0057】
図26(a)はシートリフタ部41の一構造例を概念的に示す。シートスライドアジャスタ41bのスライド可動部材41b1にリンク部材41c,41dの一端がそれぞれ回動自在に枢着される。リンク部材41c,41dの他端はそれぞれ着座シート40aに回動自在に枢着される。リンク部材41cの他端はリンク部材41eを介してセクターギヤ41fに回動自在に枢着される。セクターギヤ41fは着座シート40aに回動自在に枢着され、支点41f1回りに揺動可能である。リンク部材41dの他端は着座シート40aに回動自在に枢着される。
【0058】
前述した実施形態のクラッチユニットXは、着座シート40aの適宜の部位に固定される。このクラッチユニットXの着座シート40aへの固定は、ブレーキ側側板25の三つのフランジ部25e,25fを、その円筒部25i,25jの先端部分を外側へ拡径させるように塑性変形させることで着座シート40aのシートフレーム(図示せず)に加締め固定する。
【0059】
一方、レバー側クラッチ部11のレバー側外輪14に操作レバー41aが結合され、ブレーキ側クラッチ部12の出力軸22に回転部材であるセクターギヤ41fと噛合するピニオンギヤ41gが設けられている。このピニオンギヤ41gは、図1、図13(a)(b)および図14(a)(b)に示すように出力軸22の軸部22cの先端に一体的に形成されている。
【0060】
図26(b)において、操作レバー41aを反時計方向(上側)に揺動操作すると、その方向の入力トルクがクラッチユニットXを介してピニオンギヤ41gに伝達され、ピニオンギヤ41gが反時計方向に回動する。そして、ピニオンギヤ41gと噛合するセクターギヤ41fが時計方向に揺動して、リンク部材41cの他端をリンク部材41eを介して引っ張る。その結果、リンク部材41cとリンク部材41dが共に起立して、着座シート40aの座面が高くなる。
【0061】
このようにして、着座シート40aの高さHを調整した後、操作レバー41aを開放すると、操作レバー41aが二つのセンタリングばね18,19の弾性力によって時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。なお、操作レバー41aを時計方向(下側)に揺動操作した場合は、上記とは逆の動作によって、着座シート40aの座面が低くなる。また、高さ調整後に操作レバー41aを開放すると、操作レバー41aが反時計方向に回動して元の位置(中立状態)に戻る。
【0062】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0063】
11 レバー側クラッチ部
12 ブレーキ側クラッチ部
14 レバー側外輪(操作部および入力部)
15 連結部材(内輪)
16 係合子(円筒ころ)
17 保持器
18 第一の弾性部材(内側センタリングばね)
19 第二の弾性部材(外側センタリングばね)
22 出力側部材(出力軸)
23 静止側部材(ブレーキ側外輪)
24 静止側部材(カバー)
25 静止側部材(ブレーキ側側板)
26 楔すきま
27 係合子(円筒ころ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側に設けられ、レバー操作により出力側への回転トルクの伝達・遮断を制御するレバー側クラッチ部と、出力側に設けられ、前記レバー側クラッチ部からの入力トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とからなり、
前記レバー側クラッチ部は、レバー操作により回動する操作部と、前記レバー操作によりトルクが入力される入力部と、前記入力部からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、前記入力部と連結部材間での係合・離脱により入力部からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と備え、前記操作部と入力部とを一体化したことを特徴とするクラッチユニット。
【請求項2】
前記操作部および入力部を冷間鍛造で成形した請求項1に記載のクラッチユニット。
【請求項3】
前記入力部は、前記係合子との接触面を高周波焼入れした請求項1又は2に記載のクラッチユニット。
【請求項4】
前記レバー側クラッチ部は、前記係合子を円周方向に所定間隔で保持する保持器と、回転が拘束された静止側部材と、前記保持器と静止側部材の間に設けられ、前記入力部からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器を中立状態に復帰させる第一の弾性部材と、前記入力部と静止側部材の間に設けられ、入力部からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で入力部を中立状態に復帰させる第二の弾性部材とを備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項5】
前記ブレーキ側クラッチ部は、レバー側クラッチ部からのトルクが入力される連結部材と、トルクが出力される出力側部材と、回転が拘束された静止側部材と、その静止側部材と出力側部材間の楔すきまに配設され、両部材間での係合・離脱により前記連結部材からの入力トルクの伝達と出力側部材からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子とを備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項6】
前記レバー側クラッチ部の係合子あるいはブレーキ側クラッチ部の係合子の少なくとも一方を円筒ころとした請求項1、4又は5に記載のクラッチユニット。
【請求項7】
前記レバー側クラッチ部とブレーキ側クラッチ部が自動車用シートリフタ部に組み込まれている請求項1〜6のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項8】
前記レバー側クラッチ部の入力側部材がレバーに結合され、前記ブレーキ側クラッチ部の出力側部材が自動車用シートリフタ部のリンク機構に連結されている請求項7に記載のクラッチユニット。
【請求項1】
入力側に設けられ、レバー操作により出力側への回転トルクの伝達・遮断を制御するレバー側クラッチ部と、出力側に設けられ、前記レバー側クラッチ部からの入力トルクを出力側へ伝達すると共に出力側からの逆入力トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とからなり、
前記レバー側クラッチ部は、レバー操作により回動する操作部と、前記レバー操作によりトルクが入力される入力部と、前記入力部からのトルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する連結部材と、前記入力部と連結部材間での係合・離脱により入力部からの入力トルクの伝達・遮断を制御する複数の係合子と備え、前記操作部と入力部とを一体化したことを特徴とするクラッチユニット。
【請求項2】
前記操作部および入力部を冷間鍛造で成形した請求項1に記載のクラッチユニット。
【請求項3】
前記入力部は、前記係合子との接触面を高周波焼入れした請求項1又は2に記載のクラッチユニット。
【請求項4】
前記レバー側クラッチ部は、前記係合子を円周方向に所定間隔で保持する保持器と、回転が拘束された静止側部材と、前記保持器と静止側部材の間に設けられ、前記入力部からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で保持器を中立状態に復帰させる第一の弾性部材と、前記入力部と静止側部材の間に設けられ、入力部からの入力トルクで弾性力を蓄積し、その入力トルクの開放により、蓄積された弾性力で入力部を中立状態に復帰させる第二の弾性部材とを備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項5】
前記ブレーキ側クラッチ部は、レバー側クラッチ部からのトルクが入力される連結部材と、トルクが出力される出力側部材と、回転が拘束された静止側部材と、その静止側部材と出力側部材間の楔すきまに配設され、両部材間での係合・離脱により前記連結部材からの入力トルクの伝達と出力側部材からの逆入力トルクの遮断を制御する複数対の係合子とを備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項6】
前記レバー側クラッチ部の係合子あるいはブレーキ側クラッチ部の係合子の少なくとも一方を円筒ころとした請求項1、4又は5に記載のクラッチユニット。
【請求項7】
前記レバー側クラッチ部とブレーキ側クラッチ部が自動車用シートリフタ部に組み込まれている請求項1〜6のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
【請求項8】
前記レバー側クラッチ部の入力側部材がレバーに結合され、前記ブレーキ側クラッチ部の出力側部材が自動車用シートリフタ部のリンク機構に連結されている請求項7に記載のクラッチユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−52625(P2012−52625A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196614(P2010−196614)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]