説明

クランプの固定構造

【課題】ケースに一体に形成された突出部とクランプとを固定するクランプの固定構造において、安価で安全性の高いクランプの固定構造を提供する。
【解決手段】一軸方向のみの成形加工により成形されたユニットケース2の平面部20に突出するように配置された一対の平板リブ3と一対の平板リブ3を狭持部で狭持可能に構成されたクランプ1とを固定するクランプの固定構造であって、一対の平板リブ3とクランプ1との当接段階において、一対の平板リブ3は、外力により互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜し、クランプ1の一対の弾性支持片が、一対の平板リブ(3)の側壁面3cとの当接により、互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に弾性変形し、一対の平板リブ3とクランプ1との固定段階において、一対の弾性支持片が、当接段階前の状態に復元し、一対の突出部3は、狭持部で狭持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース等の固定部材に配線等の被固定部材を保持するクランプの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配線等の被固定部材とケース等の固定部材とを固定する構造として、被固定部材が接合されたクランプと固定部材とを固定するクランプの固定構造が種々知られている。例えば、特許文献1に記載のように、U字状に形成された樹脂製の狭持部の内部に、内側に突出する係止爪部を有する金属性のクリップが設けられたクランプ(二重構造のクランプ)を用いて、平板リブの表面にクリップを食い込ませて固定するクランプの固定構造が知られている。また、特許文献2に記載のようにねじ等を使用して、被固定部材を固定部材に固定する構造も知られている。
【特許文献1】特開平7−99719号公報
【特許文献2】特開2004−218778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1、2のような固定構造では、金属製のねじや係止爪部を用いており、別体の金属材料が必要となるためコスト高となる問題がある。また、特許文献1に記載の二重構造のクランプを用いる場合には、金属部材と樹脂部材の接合しているためクランプの製造工数が増えコスト高となり、また、クランプの固定時に金属部材の係合爪部により被固定部材等を傷つける虞があり、安全性の面で問題がある。
【0004】
そこで、ケースに一体成形されケースに対して垂直方向に突出するとともに側壁面に係止用溝部が形成された平板リブと、U字状の狭持部の両端部に係止爪部が形成された樹脂性のクランプとを、平板リブの係止用溝部にクランプの係止爪部を係合させることで固定する構造も考えられる。しかし、ケースに一体に形成された平板リブの側壁面に係止用溝部を形成する場合には、ケースの成形加工時に一軸方向(例えば上下方向)のみの型抜き・切削では、対応することができないため、ケースの成形加工の工数が増加しコスト高となる問題がある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、ケースに一体に形成された突出部とクランプとを固定するクランプの固定構造において、安価で安全性の高いクランプの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、一軸方向のみの成形加工により成形された成形部材(2)の平面部(20)に一体に成形され、平面部(20)に対する垂直方向に突出するように配置された一対の突出部(3)とクランプ(1)とを固定するクランプの固定構造であって、一対の突出部(3)は、互いに対向する側の内壁面(3a)、内壁面(3a)の裏面側の外壁面(3b)、内壁面(3a)と外壁面(3b)とを繋ぐとともに平面部(20)と交差する側壁面(3c)とをそれぞれ有し、互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜可能に形成されており、クランプ(1)は、一対の突出部(3)の内壁面(3a)を支持する内壁支持部(12)と外壁面(3b)を支持する外壁支持部(11)とを含んで一体に構成され、内壁支持部(12)と外壁支持部(11)により互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜した状態の一対の突出部(3)を狭持可能な狭持部が形成され、内壁支持部(12)および外壁支持部(11)のいずれか一方の支持部は、一対の突出部(3)の側壁面(3c)との当接により互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に弾性変形する一対の弾性支持片により構成され、クランプ(1)を平面部(20)に対する垂直方向から近接する方向に移動させて、一対の突出部(3)とクランプ(1)とを当接させる当接段階において、一対の突出部(3)は、外力により互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜し、一対の弾性支持片は、一対の突出部(3)の側壁面(3c)との当接により、互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に弾性変形し、一対の突出部(3)とクランプ(1)とを固定する固定段階において、一対の弾性支持片は、一対の突出部(3)の側壁面(3c)との当接が解除され、当接段階前の状態に復元し、一対の突出部(3)は、狭持部で狭持されることを特徴としている。
【0007】
これにより、クランプ(1)と、成形部材(2)に一体成形された一対の突出部(3)とを固定する構造とすることで、別体で金属部材を必要とせず、かつ、一対の突出部(3)にクランプ(1)を食い込ませない構造としているため、安価で安全性の高いクランプの固定構造を実現することができる。さらに、一対の突出部(3)が一体に成形された成形部材(2)の成形を一軸方向のみの成形加工により成形し、成形部材(2)の成形加工の工数増加を抑制することができるため、成形部材(2)の成形を安価に抑えることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載のクランプの固定構造において、一対の突出部(3)は、互いに近づく方向に傾斜可能に形成され、内壁支持部(12)は、一対の弾性支持片により構成され、外壁支持部(11)は、内壁支持部(12)を挟んで対向する一対の外壁支持片で構成されており、一対の弾性支持片と一対の外壁支持片は、互いの対向方向が直交するように形成され、狭持部は、一対の外壁支持片の互いに対向する部位と一対の弾性支持片の一対の外壁支持片と対向する部位とにより構成されており、当接段階において、一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、外力により互いに近づく方向に傾斜した状態の一対の突出部(3)の側壁面(3c)と当接して互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に弾性変形し、固定段階において、一対の突出部(3)の内壁面(3a)が、一対の弾性支持片における一対の外壁支持片と対向する部位と当接し、一対の突出部(3)の外壁面(3b)が、一対の外壁支持片の互いに対向する部位と当接することで、一対の突出部(3)は、狭持部で狭持されるように構成してもよい。
【0009】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載のクランプの固定構造において、一対の突出部(3)のそれぞれは、平板状の突出片で構成されており、当接段階において、一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、外力により互いに近づく方向に傾斜した状態の一対の突出部(3)の側壁面(3c)と当接して互いに遠ざかる方向に弾性変形するように構成してもよい。
【0010】
また、請求項4に記載の発明では、請求項2に記載のクランプの固定構造において、一対の突出部(3)のそれぞれは、一対の突出片(30a、30b)により構成されており、一対の突出片(30a、30b)は、互いに対向する壁面が一対の突出部(3)の側壁面(3c)を構成しており、当接段階において、一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、外力により互いに近づく方向に傾斜した状態の一対の突出部(3)の一対の突出片の互いに対向する側壁面(3c)と当接して互いに近づく方向に弾性変形することを特徴としている。
【0011】
これによれば、一対の弾性支持片における互いに対向する部位が、互いに近づく方向に弾性変形するため、クランプの固定構造の外部に配置された他の部材等との接触による干渉を抑制することができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明では、請求項2ないし4に記載のクランプの固定構造において、一対の外壁支持片は、互いに対向する部位が、互いに近づく方向に傾斜した状態の一対の突出部(3)の外壁面(3b)と当接するように形成されており、当接段階において、一対の突出部(3)は、一対の外壁支持片の互いに対向する部位と当接して互いに近づく方向に傾斜することを特徴としている。
【0013】
これによれば、一対の突出部(3)とクランプ(1)とを当接させる当接段階において、一対の突出部(3)を、一対の外壁支持片の互いに対向する部位と当接させて互いに近づく方向に傾斜させることができるため、他の部材若しくは人の手等から外力の付与することなく、一対の突出部(3)を傾斜させることができるため、当接段階における工数を減らすことができる。
【0014】
また、請求項6に記載の発明のように、請求項1に記載のクランプの固定構造において、一対の突出部(3)は、互いに遠ざかる方向に傾斜可能に形成され、外壁支持部(11)は、内壁支持部(12)を挟んで対向する一対の外壁支持片(112a、112b)を有し、一対の外壁支持片(112a、112b)のそれぞれは、一対の弾性支持片により構成され、内壁支持部(12)は、一対の外壁支持片(112a、112b)と対向する一対の対向面(124)が、互いに遠ざかる方向に傾斜した状態の一対の突出部(3)に当接可能に形成されており、狭持部は、一対の外壁支持片(112a、112b)の互いに対向する部位と内壁支持部(12)の一対の対向面(124)とにより構成されており、当接段階において、一対の突出部(3)は、内壁支持部(12)の一対の対向面(124)と当接して互いに遠ざかる方向に傾斜し、一対の外壁支持片(112a、112b)におけるそれぞれの一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、互いに遠ざかる方向に傾斜した状態の一対の突出部(3)の側壁面(3c)と当接して互いに遠ざかる方向に弾性変形し、固定段階において、一対の突出部(3)の内壁面(3a)が、内壁支持部(12)の一対の対向面(124)と当接し、一対の突出部(3)の外壁面(3b)が、一対の外壁支持片(112a、112b)の互いに対向する部位と当接することで、一対の突出部(3)は、狭持部で狭持されるように構成してもよい。
【0015】
また、請求項7に記載の発明では、請求項1に記載のクランプの固定構造において、一対の突出部(3)は、互いに近づく方向に傾斜可能な先端部(31)と互いに遠ざかる方向に傾斜可能な下端部(32)を有し、くの字状に曲折可能に構成され、クランプ(1)は、内壁支持部(12)、外壁支持部(11)に加え一対の突出部(3)の下端部(32)と当接する当接部(14)を含んで一体に構成され、内壁支持部(12)は、当接部(14)を挟んで対向する一対の弾性支持片により構成され、外壁支持部(11)は、内壁支持部(12)を挟んで対向する一対の外壁支持片で構成されており、一対の弾性支持片と一対の外壁支持片は、互いの対向方向が直交するように形成され、一対の外壁支持片は、互いに対向する部位が、互いに近づく方向に傾斜した状態の一対の突出部(3)の外壁面(3b)と当接するように形成されており、狭持部は、一対の外壁支持片の互いに対向する部位と一対の弾性支持片の一対の外壁支持片と対向する部位とにより構成されており、当接段階において、一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、一対の突出部(3)の側壁面(3c)と当接して互いに遠ざかる方向に弾性変形し、その後、一対の突出部(3)は、一対の突出部(3)の先端部(31)が一対の外壁支持片の互いに対向する部位と当接し、一対の突出部(3)の下端部(32)が当接部(14)に当接することでくの字状に曲折し、固定段階において、一対の突出部(3)の先端部(31)の内壁面(3a)が、一対の弾性支持片における一対の外壁支持片と対向する部位と当接し、一対の突出部(3)の先端部(31)の外壁面(3b)が、一対の外壁支持片の互いに対向する部位と当接することで、一対の突出部(3)は、狭持部で狭持されることを特徴としている。
【0016】
これによれば、一対の突出部(3)とクランプ(1)とを当接させる当接段階において、一対の弾性支持片の互いに対向する部位を、くの字に曲折する前の状態の一対の突出部(3)の側壁面(3c)と当接して互いに遠ざかる方向に弾性変形させるため、外力により互いに近づく方向に傾斜した状態の一対の突出部(3)の側壁部(3c)と当接させる場合よりも、確実に一対の突出部(3)の側壁面(3c)と当接させることができる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のクランプの固定構造において、平面部(20)は、一対の突出部(3)の固定端部近傍に薄肉部(21、22、220)が形成されていることを特徴としている。
【0018】
これによれば、薄肉部(21、22、220)を塑性変形させることで、一対の突出部(3)を互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜可能に構成することができる。
【0019】
また、請求項9に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載のクランプの固定構造において、クランプ(1)は、固定段階において、一対の突出部(3)の側壁面(3c)に当接して、一対の突出部(3)が狭持部から抜けるのを防止する抜け防止ガイド(13)を有していることを特徴としている。
【0020】
これによれば、クランプ(1)を一対の突出部(3)の側壁面(3c)に対して垂直方向に力を作用させても、クランプ(1)を一対の突出部(3)から抜けない構造とすることができる。
【0021】
ところで、一対の突出部(3)は、互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜可能に形成されているため、一対の突出部(3)が狭持部に狭持された固定状態において、クランプ(1)に平面部(20)に対して平行な方向から外力が加えられると、クランプ(1)から一対の突出部(3)に外力が作用して、一対の突出部(3)が狭持部から抜ける可能性がある。
【0022】
そこで、請求項10に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の発明において、平面部(20)およびクランプ(1)のいずれか一方には、平面部(20)に対する垂直方向に突出する1つ以上の抜け防止用突出部23(23)が形成され、他方には、一対の突出部(3)とクランプ(1)とを固定した固定状態で、1つ以上の抜け防止用突出部23(23)と嵌合する抜け防止部が形成されており、抜け防止部は、固定状態において、平面部(20)に対して平行なあらゆる方向からクランプ(1)に外力が加えられた場合に、クランプ(1)に加えられた外力が1つ以上の抜け防止用突出部23に作用するように設けられていることを特徴としている。
【0023】
このように、固定状態において、クランプ(1)に対して平面部(20)に平行なあらゆる方向から外力が加えられた場合に、クランプ(1)から一対の突出部(3)に作用する外力を、抜け防止部を介して抜け防止用突出部23(23)に作用させることができる。これにより、クランプ(1)と一対の突出部(3)との固定構造をより強固なものとすること、すなわち、一対の突出部(3)が狭持部から抜け難い構造とすることができる。
【0024】
さらに、一対の突出部(3)に作用する外力を低減できるため、クランプ1に強い外力が加えられた場合であっても、一対の突出部(3)の破損等を防止することができる。なお、抜け防止用突出部23(23)は、一対の突出部(3)と同様に、平面部(20)に対する垂直方向に突出する形状であり、抜け防止部についても、垂直方向に突出する抜け防止用突出部23と嵌合する形状であるため、一軸方向のみの成形加工により成形することができる。
【0025】
また、請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の発明において、クランプ(1)は、平面部(20)に対する垂直方向から見た場合の外形が四角形状となっており、抜け防止部は、クランプ(1)の四角形状の四隅に対応する位置に形成された切欠き部(113)であり、抜け防止用突出部23(23)は、固定状態において切欠き部(113)と嵌合することを特徴としている。
【0026】
これによれば、平面部(20)に対して平行な方向からクランプ(1)に加えられる外力を、クランプ(1)の四隅に形成された切欠き部を介して、抜け防止用突出部23(23)に作用させることができる。
【0027】
また、請求項12に記載の発明では、請求項10に記載の発明において、抜け防止部は、抜け防止用突出部23(23)の外形状に対応する穴部であり、抜け防止用突出部23(23)は、固定状態において穴部と嵌合することを特徴としている。
【0028】
これによれば、平面部(20)に対して平行な方向からクランプ(1)に加えられる外力を、抜け防止部である穴部を介して、抜け防止用突出部23(23)に外力を作用させることができる。
【0029】
また、請求項13に記載の発明では、請求項10ないし12のいずれか1つに記載の発明において、抜け防止部(113)と少なくとも1以上の抜け防止用突出部23(23)は、切欠き部と抜け防止用突出部23(23)とを嵌合させたときの嵌め合い寸法が、締め代ができる嵌め合いとなるように設定されていることを特徴としている。
【0030】
これによれば、抜け防止用突出部23(23)と抜け防止部との間の摩擦力が増すため、平面部(20)に対する垂直方向からの外力にも対応することができるとともに、クランプ(1)と一対の突出部(3)との間のガタツキを抑制することができるため、クランプ(1)と一対の突出部(3)との固定構造をより強固なものとすることができる。
【0031】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。図1は本実施形態におけるクランプ1の固定構造の分解斜視図であり、図2は図1におけるユニットケース2のA−A断面図(ユニットケース2の平面部20のX軸方向中心でY軸方向に並行な断面をZ軸方向から見た断面図)であり、図3は図1におけるクランプ1のB−B断面図(クランプ1のZ軸方向中心でY軸方向に並行な断面をX軸方向から見た断面図)である。なお、説明の都合上、後述するワイヤハーネス4について図1以外の図面で省略している。
【0033】
図1に示すように本実施形態のクランプ1の固定構造は、空調ユニットの合成樹脂製の成形品であるユニットケース(成形部材)2に一体に形成された一対の平板リブ3と、ワイヤハーネス4を保持可能に形成された合成樹脂製の成形品であるクランプ1とを固定することで、ユニットケース2とクランプ1とを固定するものである。
【0034】
まず、本実施形態のユニットケース2について図1、図2に基づいて説明すると、ユニットケース2は、一軸方向(図中、Y軸上下方向)のみの成形加工(型抜き)により成形されている。
【0035】
ユニットケース2の平面部20には、互いに並行に対向配置され、平面部20から突出するように一対の平板リブ(一対の突出部)3が形成されている。一対の平板リブ3は、ユニットケース2の成形加工時に一体に成形され、型抜き方向(Y軸上方向)に対して同様の板厚幅となるように形成されている。
【0036】
一対の平板リブ3は、互いに対向する板面である内壁面3a、内壁面3aの裏面側である外壁面3b、内壁面3aと外壁面3bとを繋ぐとともに平面部20と交差する側壁面3cを有している。
【0037】
ここで、一対の平板リブ3は、先端部31(自由端部側)と下端部32(固定端部側)との間で板面方向(Z軸方向)の板面横幅が徐々に大きくなるように形成され、下端部32の板面横幅が、先端部31に比べて大きくなるように形成されている。
【0038】
平板リブ3の側壁面3cにおける、平板リブ3の先端部31の側壁面3c1には、後述するクランプ1の一対の外壁支持片11と当接する部位に、面取り部3c3および先端部31と下端部32との間に傾斜面3c4が形成されている。つまり、平板リブ3の側壁面3cは、平板リブ3の先端部31の側壁面3c1、平板リブ3の下端部31の側壁面3c2、面取り部3c3、傾斜面3c4から構成されている。
【0039】
ユニットケース2の平面部20における一対の平板リブ3の下端部32の固定端部近傍には、平面部20の表裏面にそれぞれ凹状の薄肉部21、22が形成されている。平面部20の一対の平板リブ3の固定端部近傍に薄肉部21、22を形成することで、一対の平板リブ3に互いに近づくように外力を加えると、外力により一対の平板リブ3に発生する応力が薄肉部21、22に集中し、薄肉部21、22を塑性変形させて一対の平板リブ3が互いに近づく方向に傾斜する構成となっている。
【0040】
この薄肉部21、22も平板リブ3と同様にユニットケース2の成形加工時に一体に成形され、平面部20における一対の平板リブ3の対向する側の表面には凹状の表面薄肉部21がY軸上方向への型抜きにより形成され、反対側(一対の平板リブ3が対向しない側)の裏面には凹状の裏面薄肉部22がY軸下方向への型抜きにより形成されている。
【0041】
このように、本実施形態の一対の平板リブ3を含むユニットケース2は、一軸方向(Y軸方向)のみの成形加工により一体に成形することができる。換言すれば、一対の平板リブ3を含むユニットケース2は、Y軸方向から見て、重なって視認できない部位がないように成形されている。
【0042】
次に、本実施形態のクランプ1について図1、図3に基づいて説明すると、クランプ1は、ワイヤハーネス4を保持する保持部材4aを固定する四角形状の基端部10が形成されている。この基端部10には、基端部10の対向する縁部に互いに対向して斜め外側方向に拡開するように延びる平板状の一対の外壁支持片11が形成されている。
【0043】
さらに、基端部10には、基端部10の他の対向する縁部の中央位置から外壁支持片11と同じ側に延びる一対の内壁支持片12が形成されている。ここで、一対の外壁支持片11の互いの対向方向(X軸方向)と一対の内壁支持片12の互いの対向方向(Z軸方向)は、直交するように形成されている。
【0044】
ここで、本実施形態のクランプは、Y軸方向、Z軸方向の2軸方向の型抜きで成形しており、基端部10には、後述する一対の内壁支持片12の先端支持部121を成形加工する際に必要となる型抜き穴10aが形成されている。
【0045】
一対の外壁支持片11は、クランプ1と一対の平板リブ3とを固定する際(固定段階)に、外壁支持片11の互いに対向する内壁面11aで一対の平板リブ3の外壁面3bを支持する外壁支持部を構成している。一対の外壁支持片11の内壁面11aは、互いに近づく方向に傾斜した状態の一対の平板リブ3の外壁面3bと合致するように基端部10からハの字状に拡開した形状に形成されている。
【0046】
また、一対の外壁支持片11は、先端部(基端部10と反対側)同士の間隔が一対の平板リブ3の対向する間隔よりも広くなるように形成されている。これは、一対の外壁支持片11の対向する内壁面11aと一対の平板リブ3とを当接させる際(当接段階)に、一対の平板リブ3を互いに近づく方向に傾斜させるためである。
【0047】
外壁支持片11における先端側の板厚面11bには、対向する外壁支持片11の板厚面11b同士を繋いで、平板リブ3と当接させて平板リブ3の板面方向(Z軸方向)にクランプ1が外れるのを防止するZ軸方向の抜け防止ガイド13がそれぞれ形成されている。
【0048】
一対の内壁支持片12は、クランプ1と一対の平板リブ3とを固定する際に、内壁支持片12における後述する先端支持部121の側壁面121aで一対の平板リブ3の内壁面3aを支持する内壁支持部を構成している。
【0049】
一対の内壁支持片12は、基端部10から先端側(基端部10と反対側端部)にかけて垂直に延びる支柱部120が形成され、支柱部120の最先端側には、一対の外壁支持片11の内壁面11a側であってX軸方向に並行に延びる先端支持部121が形成されている。内壁支持片12をZ軸方向から見た形状は、逆T字状に形成されている。
【0050】
この先端支持部121のX軸方向の先端部には、外壁支持片11の内壁面11aと対向する側壁面121aが形成されている。この側壁面121aは、外壁支持片11の内壁面11aに対して平板リブ3の板厚分間隔をあけて、外壁支持片11の内壁面11aと並行に傾斜して形成されている。なお、ここで、先端支持部121の側壁面121aと外壁支持片11の内壁面11aとの間隔は、平板リブ3の板厚と完全に同一寸法とするものではなく、通常許容される設計上の誤差を含むものである。
【0051】
また、一対の先端支持部121は、互いに対向する側に向かって突出した凸部121bが形成されている。この一対の先端支持部121の凸部121bは、湾曲状(傾斜面でもよい)に形成され、クランプ1と一対の平板リブ3との当接段階において、先端支持部121の互いの対向する部位を一対の平板リブ3の側壁面3cの面取り部3c3及び傾斜面3c4に円滑に当接させ、互いに遠ざかる方向に弾性変形させるために形成されている。
【0052】
ここで、対向する先端支持部121の凸部121b同士の対向間隔が、平板リブ3の先端部3aの板面横幅(Z軸方向の幅)よりも短くなるように形成され、かつ、先端支持部121のX軸方向の先端部同士の間隔が、一対の平板リブ3の先端部3aの間隔よりも長くなるように形成されている。
【0053】
一対の内壁支持片12は、一対の先端支持部121の凸部121bが一対の平板リブ3の先端部31の面取り部3c3に当接することで互いに遠ざかる方向に弾性変形するように形成されており、一対の弾性支持片を構成している。
【0054】
一対の外壁支持片11の内壁面11aと一対の内壁支持片12の先端支持部121の側壁面121aとにより、互いに近づく方向に傾斜した状態の一対の平板リブ3を狭持可能な狭持部が形成されている。外壁支持片11の内壁面11aと内壁支持片12の先端支持部121の側壁面121aとは、平板リブ3の板厚分間隔をあけて互いに並行に傾斜しているため、狭持部も基端部10に対して傾斜して形成されている。
【0055】
次に、上記構成のクランプ1と一対の平板リブ3とを固定する固定方法について図4〜図6に基づいて説明する。ここで、図4はクランプ1と平板リブ3とを当接させる第1当接段階におけるクランプの固定構造のB−B断面図、図5(a)は第2当接段階におけるクランプのA−A断面図、図5(b)は第2当接段階におけるB−B断面図、図6(a)は固定段階における斜視図、図6(b)は固定段階におけるクランプ1のA−A断面図、図6(c)は固定段階におけるクランプ1のB−B断面図を示している。なお、A−A断面図は、図1におけるクランプの固定構造のX軸方向中心でY軸方向に並行な断面をZ軸方向から見た断面図であり、B−B断面図は、図1におけるクランプの固定構造のZ軸方向中心でY軸方向に並行な断面をX軸方向から見た断面図である。
【0056】
まず、クランプ1を平面部20に対して垂直方向から近接する方向(Y軸下方向)に移動させて、クランプ1と一対の平板リブ3とを当接させる第1当接段階では、図5に示すように、一対の平板リブ3の先端部31の外壁面3bがそれぞれ外壁支持片11の内壁面11aと当接する。平板リブ3には、外壁支持片11の内壁面11aとの当接により互いに近づく方向に力が作用して、一対の平板リブ3は互いに近づく方向に傾斜する。
【0057】
ここで、ユニットケース2の平板リブ3の固定端部近傍に形成された表面、裏面薄肉部21、22が塑性変形することで、平板リブ3は、固定端部を中心として互いに近づく方向に傾斜する。
【0058】
第1当接段階を経て、クランプ1をさらに平面部20に近接する方向に移動させる第2当接段階において、図6(a)に示すように、平板リブ3は、外壁支持片11の内壁面11aとの当接により、さらに互いに近づく方向に傾斜する。
【0059】
また、第2当接段階では、図6(b)に示すように、内壁支持片12の先端支持部121の凸部121bが一対の平板リブ3の側壁面3cに形成された面取り部3c3および傾斜面3c4と当接して、一対の内壁支持部12が互いに遠ざかる方向に弾性変形する。ここで、第2当接段階において内壁支持片12と平板リブ3との当接により作用する力方向は、Z軸方向に作用する。
【0060】
次に、一対の平板リブ3とクランプ1とを固定する固定段階では、図7に示すように、平板リブ3は、狭持部で外壁支持片11と内壁支持片12により狭持されてクランプに固定される。
【0061】
この固定段階について説明すると、平板リブ3は、外壁支持片11の内壁面11aとの当接による互いに近づく方向への傾斜が、外壁支持片11の内壁面11aおよび内壁支持片12の先端支持部121の側壁面121aの傾斜(狭持部の傾斜)と同様の傾斜となる。
【0062】
ここで、外壁支持片11の内壁面11aと先端支持部121の側壁面121aとは、平板リブ3の板厚分間隔があいているため、先端支持部121の側壁面121aと平板リブ3の側壁面3cとの当接が解除され、弾性変形前の状態に復元する。すなわち、内壁支持片12は、先端支持部121の側壁面121aと平板リブ3の側壁面3cとの当接による力が作用しなくなるため、弾性変形前の状態に復元する。
【0063】
この内壁支持片12が弾性変形前の状態に復元すると、平板リブ3の外壁面3bが外壁支持片11の内壁面11aと面接触した状態で、内壁支持片12の先端支持部121の側壁面121aが平板リブ3の内壁面3aと面接触する。
【0064】
そのため、一対の平板リブ3とクランプ1は、一対の平板リブ3が外壁支持片11の内壁面11aと内壁支持片12の先端支持部121の側壁面121aとで構成される狭持部で狭持されて固定状態となる。
【0065】
この固定状態では、クランプ1を抜き方向(Y軸上方向)に力を作用させても、外壁支持片11の内壁面11aに、クランプ1の抜き方向と逆方向(Y軸下方向)に力が作用するため、クランプ1を一対の平板リブ3から抜けない構造とすることができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態では、合成樹脂製のクランプ1と合成樹脂製の一対の平板リブ3とを固定する構造とすることで、クランプの固定構造を、別体で金属部材を必要とせず、かつ、一対の平板リブ3にクランプ1を食い込ませない安価で安全性の高い構造とすることができる。
【0067】
また、一対の平板リブ3が一体に形成されたユニットケース2の成形を一軸方向のみの型抜きにより成形することができるため、ユニットケース2の成形加工の工数増加を抑制することができる。
【0068】
また、一対の平板リブ3とクランプ1との固定段階においては、Z軸方向の抜け防止ガイド13によりクランプ1をZ方向に引っ張っても、クランプ1を一対の平板リブ3から抜けない構造とすることができる。
【0069】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様な部分について説明を省略する。ここで、図7(a)は本実施形態のクランプの固定構造の分解斜視図、図7(b)はクランプの正面図、図7(c)はクランプの固定段階の斜視図を示している。
【0070】
第1実施形態では、一対の内壁支持片12におけるそれぞれの支柱部120を、基端部10の縁部の中央位置から外壁支持片11と同じ側に延びるように形成している。本実施形態では、図7に示すように、一対の内壁支持片12におけるそれぞれの支柱部120を基端部10の縁部の中央位置よりも外壁支持片11の内壁部11a側から外壁支持片11と同じ側に延びるように形成している。つまり、それぞれの支柱部120の軸を互いにZ軸方向から見た場合に重ならないように、X軸方向にずらして形成している。
【0071】
これにより、クランプ1を成形加工する際に、Y軸下方向およびZ軸方向の2軸方向の型抜きで成形することができるため、基端部10に型抜き穴10aを形成する必要がなくなる。その結果、第1実施形態のクランプ1よりも、クランプ1のZ軸方向の体格を小さくすることができる。
【0072】
また、第1実施形態では、外壁支持片11における先端部に抜け防止ガイド13を形成しているが、本実施形態では、支柱部120と支柱部120に近い方の外壁支持片11の基端部10側を繋ぐことで抜け防止ガイド13を形成している。
【0073】
これにより、抜け防止ガイド13を第1実施形態のものと比較して、X軸方向の長さを短縮することができるため、本実施形態のクランプ1は、第1実施形態のクランプ1と比べて樹脂材料の使用量を低減することができる。
【0074】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図8に基づいて説明する。上記第2実施形態と同様な部分について説明を省略する。図8は、クランプの正面図を示している。
【0075】
本実施形態では、一対の内壁支持片12をZ軸方向から見た場合にL字状になるように形成している。具体的には、一対の内壁支持片12におけるそれぞれの支柱部120の軸をX軸方向にずらして形成し、先端支持部121は、支柱部120と近い外壁支持片11側にのみ延びるように形成している。つまり、それぞれの支持軸120及び先端支持部121をZ軸方向から見た場合に重ならないように形成している。
【0076】
これによれば、クランプ1を成形加工する際に、Z軸方向のみの型抜きでクランプ1を成形することができる。また、本実施形態のクランプは、第1、第2実施形態のクランプと比べて樹脂材料の使用量を低減することができる。
【0077】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図9に基づいて説明する。上記第3実施形態と同様な部分について説明を省略する。図9は、本実施形態のクランプの固定構造の分解斜視図を示している。
【0078】
本実施形態では、当接段階において、一対の平板リブ3を直接指等で摘み、互いに近づく方向に力を加えることで傾斜させ(第1当接段階)、傾斜した一対の平板リブをクランプ1と当接(第2当接段階)させている。
【0079】
そのため、本実施形態のクランプ1の外壁支持片11は、クランプ1の当接段階(第1当接段階)において一対の平板リブ3の先端部3aに一対の外壁支持片11の内壁面11aを当接させる必要がなくなる。
【0080】
これにより、一対の外壁支持片11は、図9に示すようにクランプ1の固定段階で平板リブ3を支持する内壁面11aを残し、基端部10から斜め外側方向に拡開して延びる部位を短縮することができる。その結果、本実施形態のクランプ1は、上記各実施形態のクランプと比べて樹脂材料の使用量を低減することができる。
【0081】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図10に基づいて説明する。上記第4実施形態と同様な部分について説明を省略する。図10(a)は、本実施形態のクランプの固定構造の分解斜視図、図10(b)は本実施形態のクランプの固定構造の当接段階の斜視図、図10(c)は本実施形態のクランプの固定構造の固定段階の斜視図を示している。
【0082】
本実施形態では、図10に示すようにクランプ1には、一対の平板リブ3を指等で互いに近づく方向に力を加えるための薄皮部110を外壁支持片11に形成している。薄皮部110は、基端部10から斜め外側方向に延びるように形成され、互いに近づく方向および遠ざかる方向に弾性変形可能に形成されている。
【0083】
これによれば、当接段階に指等で薄肉部を摘んで平板リブ3を互いに近づく方向に傾斜させるとともに(図10(b)参照)、クランプ1と一対の平板リブ3とを当接させることができ、第4実施形態のように指等で平板リブ3を傾斜させる必要がなく、工数を減らすことができる。
【0084】
なお、本実施形態では、クランプ1の基端部10に型抜き穴10aを形成しているが、第2、第3実施形態のように省略してもよい。
【0085】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図11〜図14に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様な部分について説明を省略する。ここで、図11は本実施形態のクランプの固定構造の分解斜視図、図12は図11における平板リブ3をX軸方向中心でY軸方向に並行な断面をZ軸方向から見た場合の断面図であり、図13(a)はクランプ1の正面図、図13(b)はクランプ1の側面図を示している。
【0086】
まず本実施形態の一対の平板リブ3について図11、図12に基づいて説明すると、平板リブ3の先端部31は、型抜き方向(Y軸上方向)に対して同様の板厚幅となるように平板形状に形成されている。平板リブ3の下端部32は、互いに対向する面(内壁面3a)が固定端部側に向かって近づくように傾斜し、その裏面(外壁面3b)はユニットケース2に対して垂直となっている。また、平板リブ3の先端部31の板面横幅(Z軸方向の幅)は、下端部32の板面横幅よりも小さくなるように形成されている。
【0087】
ここで、図2に示すように、ユニットケース2における平板リブ3が形成された面の裏面には、平板リブ3の内部が中空となるように凹部220が形成されている。凹部220は、Y軸下方向への型抜き成形時に形成される。なお、凹部220を含むユニットケース2は、Y軸方向から見て、重なって視認できない部位がないように成形されている。
【0088】
この凹部220により平板リブ3に薄肉部30が形成されている。具体的に薄肉部30は、平板リブ3の下端部32の固定端部が薄肉となるように形成され(下側薄肉部32a)、平板リブ3の下端部32と先端部31との境が薄肉となるように形成されている(上側薄肉部31a)。
【0089】
本実施系形態の一対の平板リブ3は、下端部32の固定端部に下側薄肉部32aを形成することで、下端部32に互いに遠ざかる方向に外力を加えると、外力により下端部32に発生する応力が下側薄肉部32aに集中し、下端部32が互いに遠ざかる方向に塑性変形する。
【0090】
また、一対の平板リブ3は、先端部31と下端部32との境に上側薄肉部31aを形成することで、先端部3bに互いに近づく方向に外力を加えると、外力により先端部31に発生する応力が上側薄肉部31aに集中し、先端部31が互いに近づく方向に塑性変形する。
【0091】
すなわち、本実施形態の一対の平板リブ3は、下端部32に互いに遠ざかる方向に外力が加えられ、先端部31に互いに近づく方向に外力が加えられることで、くの字状に曲折するように形成されている。
【0092】
次に、本実施形態のクランプ1について、図11、図13に基づいて説明すると、クランプは、基端部10、一対の外壁支持片11、一対の内壁支持片12に加え、当接部14を有して構成されている。
【0093】
一対の外壁支持片11は、基端部10側(固定端部側)において内壁面11aから突出する支持部111が形成され、クランプ1の固定段階において、この支持部111で平板リブ3の外壁面3bを支持するようになっている。
【0094】
一対の内壁支持片12は、基端部10から外壁支持片11側に拡開して延びるように形成されている。また、一対の内壁支持片12の先端には、外壁支持片11の内壁面11aに対向する部位に、外壁支持片11側に突出する支持部122が形成され、一対の内壁支持片12の互いに対向する側に突出する凸部121bが形成されている。一対の内壁支持片12の先端に形成された支持部122は、クランプ1の固定段階において、一対の平板リブ3の内壁面3aを支持するようになっている。
【0095】
ここで、一対の内壁支持片12は、基端部10側からY軸方向の中央付近までは一つの支持土台部123で繋がっている。なお、内壁支持片12の先端側における板面横幅(X軸方向の幅)は、一対の平板リブ3の先端部31間の配置間隔よりも長くなるように形成され、支持土台部123の先端における板面横幅は、一対の平板リブ3の先端部31間の配置間隔よりも短く、下端部32間の配置間隔よりも長くなるように形成されている。
【0096】
本実施形態では、一対の外壁支持片11の内壁面11aに形成された支持部111と一対の内壁支持片12の先端の支持部122とにより、互いに近づく方向に傾斜した状態の一対の平板リブ3を狭持可能な狭持部が形成されている。
【0097】
当接部14は、当接段階(第1、第2当接段階)で一対の平板リブ3の下端部32の内壁面3aと当接して、一対の平板リブ3の下端部32に互いに遠ざかる方向に力を作用させるものであり、内壁支持片12の支持土台部123の中央位置から内壁支持片12と同様に外壁支持片11側に拡開してY軸下方向に延びるように形成されている。
【0098】
ここで、当接部14の先端における板面横幅(X軸方向の幅)が、一対の平板リブ3の先端部31における配置幅よりも短くなるように形成され、当接部14の板面縦幅(Y軸方向の幅)が、内壁支持片12の板面縦幅よりも長くなるように形成されている。
【0099】
次に、上記構成のクランプ1と平板リブ3とを固定する固定方法について図14に基づいて説明する。図14(a)は第1当接段階におけるクランプの固定構造の正面図、図14(b)は第2当接段階におけるクランプの固定構造の正面図、図14(c)は固定段階におけるクランプの固定構造の正面図を示している。
【0100】
まず第1当接段階において、図14(a)に示すように、一対の平板リブ3の側壁面3cが一対の内壁支持片12の先端の凸部121bと当接して、一対の内壁支持片12が互いに遠ざかる方向(紙面垂直方向)に弾性変形する。
【0101】
第2当接段階において、図14(b)に示すように、一対の平板リブ3の下端部32の内壁面3aがそれぞれ当接部14と当接し、当接部14との当接により平板リブ3の下端部32に互いに遠ざかる方向に力が加えられ、平板リブ3の下端部32が互いに遠ざかる方向に傾斜する。
【0102】
それとともに、一対の平板リブ3の先端部31の外壁面がそれぞれ外壁支持片11の内壁面11aと当接し、外壁支持片11の内壁面11aとの当接により平板リブ3の先端部31に互いに近づく方向に力が加えられ、平板リブ3の先端部31が互いに近づく方向に傾斜する。すなわち、一対の平板リブ3は、くの字状に曲折する。
【0103】
次に、固定段階において、図14(c)に示すように、平板リブ3は、外壁支持片11の内壁面11aに設けられた支持部111と内壁支持片12の先端に設けられた支持部122とで構成される狭持部で狭持され、クランプ1と平板リブ3は固定状態となる。
【0104】
上記第1〜第5実施形態では、第2当接段階で、互いに近づく方向に傾斜した状態の平板リブ3の側壁面3cと一対の内壁支持片12の凸部121bとを確実に当接させるために、クランプ成形時の寸法に高い精度を必要とする。
【0105】
本実施形態のように、内壁支持片12の先端の板面横幅を平板リブ3の配置幅よりも長く形成しており、第1当接段階において、くの字に曲折する前の状態(平面部20に対して垂直方向に突出している状態)の平板リブ3の側壁面3cと一対の内壁支持片12の凸部121bとを確実に当接させて、内壁支持片12を互いに遠ざかる方向に弾性変形させことができる。
【0106】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図15、図16に基づいて説明する。上記第2実施形態と同様な部分について説明を省略する。ここで、図15は本実施形態のクランプの固定構造の分解斜視図、図16はクランプの固定段階におけるクランプの固定構造の正面図を示している。
【0107】
本実施形態では、図15に示すように一対の平板リブ3が、互いに遠ざかるように塑性変形するようにユニットケース2の平面部20に薄肉部21、22を形成している。具体的には、一対の平板リブ3が対向する側には裏面薄肉部22がY軸下方向への型抜きにより形成され、反対側(一対の平板リブが対向しない側)には表面薄肉部21がY軸上方向への型抜きにより形成されている。
【0108】
また、本実施形態のクランプ1は、基端部10の中央位置から突出し、斜め内側方向に向けて傾斜する2つの傾斜面124が形成された山状の内壁支持部12、基端部10の各角部から内壁支持部12と同じ側に延びるように形成された4つの支持片112a、112bから構成されている。
【0109】
内壁支持部12は、クランプ1と平板リブ3とを当接させる当接段階において、2つの傾斜部124にて平板リブ3の内壁面3aと当接し、クランプ1と平板リブ3とを固定する固定段階において、傾斜部124にて平板リブ3の内壁面3aと面接触して支持するものである。
【0110】
4つの支持片112a、112bは、内壁支持部12を挟んで対向する一方の一対の支持片11を第1外壁支持片112aとし、他方の一対の支持片11を第2外壁支持片112bとして、第1、第2外壁支持片112a、112bが一対の外壁支持片11となるように構成している。
【0111】
4つの支持片112a、112bは、それぞれ内壁支持部12と同じ側に延びる支柱部113を有し、支柱部113の先端にそれぞれ内壁支持部12の傾斜部124側に延びるL字状の先端支持部114が形成されている。
【0112】
この先端支持部114は、内壁支持部12に対向する側壁面114aが、平板リブ3の板厚分間隔をあけて内壁支持部12の傾斜面124と並行に傾斜している。また、先端支持部114における互いに直接対向する先端支持部114同士(内壁支持部12を挟んで対向しない先端支持部同士)は、互いに対向する側に突出した凸部114bが形成されている。
【0113】
第1、第2外壁支持片112a、112bは、それぞれの先端支持部114の凸部114bが一対の平板リブ3の側壁面3cに当接することで互いに遠ざかる方向に弾性変形するように形成されており、一対の弾性支持片を構成している。
【0114】
内壁支持部12の傾斜面124と第1、第2外壁支持片112a、112bの先端支持部114の側壁面114aとにより、互いに遠ざかる方向に傾斜した状態の一対の平板リブ3を狭持可能な狭持部が形成されている。
【0115】
次に、上記構成のクランプ1と平板リブ3とを固定する固定方法について説明すると、第1当接段階において、一対の平板リブ3の内壁面3aが内壁支持部12の傾斜面124と当接して、一対の平板リブ3が互いに遠ざかる方向に傾斜する。
【0116】
第2当接段階において、一対の平板リブ3の側壁面3cが第1、第2外壁支持片112a、112bの先端支持部114の凸部114bと当接し、互いに対向する第1、第2外壁支持片112a、112bが互いに遠ざかる方向(Z軸方向)に弾性変形する。
【0117】
そして固定段階において、図16に示すように、平板リブ3は、内壁支持部12の傾斜部124と第1、第2外壁支持片112a、112bの先端支持部114の側壁面114aにより構成される狭持部で狭持されて、一対の平板リブ3とクランプ1とが固定される。
【0118】
このように、一対の平板リブ3が、互いに遠ざかる方向に傾斜可能に形成しても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏するクランプの固定構造を実現することができる。
【0119】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図17、図18に基づいて説明する。上記第2実施形態と同様な部分について説明を省略する。ここで、図17(a)は本実施形態のクランプの固定構造の分解斜視図、図17(b)は図17(a)におけるユニットケースの側面図、図18(a)は固定段階におけるクランプの固定構造の正面図、図18(b)は固定段階におけるクランプの固定構造のC−C断面図(クランプの固定構造のX軸方向中心でY軸方向に並行な断面をZ軸方向から見た断面図)を示している。
【0120】
本実施形態では、図17に示すように4つの柱状リブ3、30a、30bが、ユニットケース2の平面部20に一体に形成されている。ここで、本実施形態では、4つの柱状リブ3、30a、30bのうち一方の近接する2つの柱状リブを一対として第1の一対リブ30a(一対の突出片)とし、他方の2つの柱状リブ30bを一対として第2の一対リブ30b(一対の突出片)としている。なお、第1の一対リブ30aと第2の一対リブ30bが、一対の突出部3を構成している。
【0121】
第1、第2の一対リブ30a、30bにおける近接する2つの柱状リブは、先端部31(自由端部側)と下端部32(固定端部側)との間で、互いの対向する側に徐々に近づくように形成され、下端部32の対向方向(Z軸方向)の厚みが、先端部31に比べて大きくなるように形成されている。
【0122】
また、ユニットケース2には、第1、第2の一対リブ30a、30bが互いに近づく方向に傾斜可能にそれぞれの固定端部近傍に凹状の薄肉部21、22が形成されている。
【0123】
本実施形態では、第1、第2の一対リブ30a、30bは、第1、第2の一対リブ30a、30bの互いに対向する内壁面3a、内壁面3aと反対面の外壁面3b、互いに近接する2つの柱状リブの対向する側壁面3cを有している。
【0124】
一方、クランプ1は、一対の内壁支持片12が、互いに近づく方向に弾性変形可能に形成され、一対の内壁支持片12の先端支持部121には、互いに対向しない側(外側方向)に突出した凸部121bが形成されている。
【0125】
また、外壁支持片11の内壁面11aのZ軸方向中央位置にはZ軸方向にクランプ1が抜けるのを防止する抜け防止ガイド13が形成されている。
【0126】
本実施形態では、一対の外壁支持片11の内壁面11aと一対の内壁支持片12の先端支持部121の側壁面121aとにより、互いに近づく方向に傾斜した状態の第1、第2の一対リブ30a、30bを狭持可能な狭持部が形成されている。
【0127】
次に、上記構成のクランプ1と第1、第2の一対リブ30a、30bとを固定する固定方法について説明すると、第1当接段階において、第1、第2の一対リブ30a、30bの外壁面3bが一対の外壁支持片11の内壁面11aと当接して、第1の一対リブ30aと第2の一対リブ30bが互いに近づく方向に傾斜する。
【0128】
第2当接段階において、第1、第2の一対リブ30a、30bにおける2つの近接する柱状リブの互いに対向する側壁部3cが一対の内壁支持片12の先端支持部121の凸部121bと当接し、一対の内壁支持片12がそれぞれ互いに近づく方向(Z軸方向)に弾性変形する。
【0129】
そして固定段階において、図18に示すように、第1、第2の一対リブ30a、30bは、一対の内壁支持片12の先端支持部121の側壁面121aと一対の外壁支持片11の内壁面11aにより構成される狭持部で狭持されて、クランプ1と第1、第2の一対リブ30a、30bとが固定される。
【0130】
このように、クランプの当接段階(第1、第2当接段階)で、一対の内壁支持片12を互いに近づく方向に弾性変形させる構成とすると、一対の内壁支持片12が、クランプ1のZ軸方向の外側にはみ出ることがないため、クランプ1と第1、第2の一対リブ30a、30bとの当接段階において、Z軸方向に配置される他の部材との干渉を抑制することができる。
【0131】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について図19〜図21に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様な部分について説明を省略する。図19は、本実施形態に係るクランプの固定構造の分解斜視図であり、図20は、図19のD−D断面図(平面部20のX軸方向中心でY軸方向に並行な断面をZ軸方向から見た断面図)であり、図21は、本実施形態に係るクランプの固定構造の固定段階の斜視図である。
【0132】
第1実施形態では、一対の平板リブ3を狭持部で狭持した固定状態で、平板リブ3の板面方向(Z軸方向)にクランプ1が外れるのを防止するために、外壁支持片11における先端部に抜け防止ガイド13を形成している。
【0133】
ところが、一対の平板リブ3は、互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜可能に形成されている。そのため、固定状態で、平面部20に対して平行な方向(X、Z軸方向)から外力が加えられると、クランプ1から一対の平板リブ3に外力が作用して、一対の平板リブ3が狭持部から外れる可能性がある。そこで、本実施形態では、平面部20の板面方向と平行な方向(X、Z軸方向)に外力がクランプ1に加えられた場合に、クランプ1が一対の平板リブ3から外れるのを防止可能な構成としている。
【0134】
以下、クランプ1の抜け防止構造の構成を図19〜図21に基づいて説明する。図19、図20に示すように、本実施形態のクランプ1は、平面部20の垂直方向(Y軸方向)から見た場合の外形が四角形状となるように形成されている。そのため、クランプ1の外壁支持片11の内壁面11aの裏面である外壁面11cが、基端部10に対して垂直な面となるように形成されている。
【0135】
そして、クランプ1における平面部20の垂直方向(Y軸方向)から見た場合の外形の四隅に対応する位置に、抜け防止部を構成する切欠き部113がそれぞれ形成されている。具体的には、本実施形態では、外壁支持片11の外壁面11cおよび板厚面11bとの間のそれぞれに切欠き部113が形成されている。
【0136】
切欠き部113は、それぞれ平面部20に対して垂直方向に延びるように形成されている。そして、切欠き部113には、それぞれに外壁支持片11の外壁面11cと並行な第1切欠き面113aと板厚面11bと並行な第2切欠き面113bを有して形成されている。
【0137】
一方、ユニットケース2の平面部20には、平面部20の垂直方向(Y軸上方向)に突出するとともに、切欠き部113に対応して四角柱状に形成された4つの抜け防止用突出部23が形成されている。なお、4つの抜け防止用突出部23は、一対の平板リブ3と同様に、平面部20の垂直方向に突出しているため、ユニットケース2の成形加工時に一体に成形することができる。
【0138】
この4つの抜け防止用突出部23は、一対の平板リブ3の外壁面3b側に2本ずつ設けられ、一対の平板リブ3とクランプ1とを固定した固定状態で、抜け防止部である切欠き部113に嵌合する形状に形成されている。
【0139】
ここで、本実施形態では、抜け防止用突出部23をクランプ1の切欠き部113の第1、第2切欠き面113a、113bに対応して四角柱状に形成しているが、4つの抜け防止用突出部23は、クランプ1の切欠き部113と対応する形状であれば、例えば、円柱状等に形成されていてもよい。
【0140】
次に、本実施形態のクランプ1の固定段階における構造について図21に基づいて説明する。図21に示すように、クランプ1の固定段階では、平面部20から突出した4つの抜け防止突出部23とクランプ1の切欠き部113とが嵌合する。この状態で、クランプ1は、四隅を4つの抜け防止突出部23で囲まれる構造となっている。
【0141】
ここで、抜け防止突出部23は、各切欠き部113の第1、第2切欠き面113a、113bで当接している。そのため、平面部20と平行なあらゆる方向から加えられる外力を、各切欠き部113の第1、第2切欠き面113a、113bを介して、抜け防止突出部23に作用する。
【0142】
例えば、X軸方向からクランプ1に外力が加えられた場合には、第2溝面113bを介して角棒23に外力が作用する。また、Z軸方向からクランプ1に外力が加えられた場合には、第1溝面113aを介して角棒23に外力が作用する。
【0143】
このように、固定状態において、クランプ1に対して平面部20に平行なあらゆる方向から外力が加えられた場合に、クランプ1から一対の平板リブ3に作用する外力を、各切欠き部113を介して抜け防止突出部23に作用させることができる。これにより、クランプ1と一対の突出部3との固定構造をより強固なものとすること、すなわち、一対の突出部3が狭持部から抜け難い構造とすることができる。
【0144】
また、一対の平板リブ3に作用する外力を低減できるため、クランプ1に強い外力が加えられた場合であっても、一対の平板リブ3の破損等を防止することができる。さらに、一対の平板リブ3にクランプ1を組み付ける際に、抜け防止突出部23でクランプ1を所望の位置にガイドすることができるため、組付性も向上させることができる。
【0145】
ここで、クランプ1に形成された切欠き部と抜け防止用突出部23との嵌め合い寸法(寸法公差)が、嵌合させたときに常に締め代ができる嵌め合い(しまりばめ)となるように設定してもよい。
【0146】
これによれば、抜け防止用突出部23と切欠き部との間の摩擦力が増すため、Y軸方向から外力にも対応することができるとともに、クランプ1と狭持部との間のガタツキを抑制することができるため、クランプ1と一対の平板リブ3との固定構造をより強固なものとすることができる。
【0147】
なお、本実施形態では、クランプ1のX軸方向の両端側に設けられた外壁支持片11に切欠き部が形成される構成としているが、これに限定されるものではない。クランプ1のX軸方向の両端側であって、クランプ1を平面部11に対する垂直方向から見た場合にクランプ1の外形となる部位に、平面部11に対する垂直な外壁部を形成し、その外壁部に切欠き部が形成される構成としてもよい。
【0148】
また、本実施形態では、クランプ1における平面部20の垂直方向(Y軸方向)から見た場合の外形の四隅に対応する位置に、抜け防止部を構成する切欠き部113をそれぞれ形成する構成について説明したが、これに限定されるものではない。
【0149】
つまり、クランプ1の抜け防止構造としては、平面部20に対して平行なあらゆる方向からクランプ1に外力が加えられた場合に、クランプ1から一対の平板リブ3に作用する外力を、抜け防止部を介して抜け防止用突出部23に作用させる構成であればよい。
【0150】
例えば、クランプ1における平面部20の垂直方向(Y軸方向)から見た場合の外形の四角形状の4辺のうち、少なくとも互いに対向する2辺に切欠き部を形成され、平面部20に、クランプ1の切欠き部に対応する抜け防止用突出部23が形成されている構成でもよい。
【0151】
このような構成であっても、クランプ1に対して平面部20に平行なあらゆる方向から外力が加えられた場合に、クランプ1から一対の平板リブ3に作用する外力を、各切欠き部113を介して抜け防止突出部23に作用させることができる。
【0152】
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態について説明する。上記第9実施形態と同様な部分について説明を省略する。本実施形態では、第9実施形態で説明したクランプ1の抜け防止構造が異なっている。
【0153】
具体的には、第9実施形態では、クランプ1に切欠き部が形成されているが、本実施形態では、クランプ1における平面部20と対向する面に抜け防止部を構成する穴部が形成されている。この穴部は、平面部20に垂直方向に突出するように形成された抜け防止用突出部23の外形状に対応するように形成されている。
【0154】
このように、本実施形態の抜け防止構造は、抜け防止用突出部23の外形に対応する穴部と抜け防止用突出部23が嵌合する構造となっている。そのため、平面部20に対して並行方向(X、Z軸方向)からクランプに加えられる外力を、抜け防止部を構成する穴部を介して抜け防止用突出部23に作用させることができる。これにより、クランプ1と一対の突出部3との固定構造をより強固なものとすることができる。
【0155】
ここで、抜け防止部を構成する穴部は、平面部20に形成された抜け防止突出部23の外形寸法よりも小さい内形寸法となるように形成してもよい。つまり、抜け防止部を構成する穴部と抜け防止突出部23との寸法公差が、抜け防止部を構成する穴部と抜け防止突出部23とを嵌合させたとき、常に締め代ができる嵌め合い(しまりばめ)となるように設定してもよい。
【0156】
これにより、抜け防止部を構成する穴部に抜け防止突出部23を圧入固定することができ、クランプ1と一対の平板リブ3との固定構造をより強固なものとすることができる。
【0157】
なお、抜け防止用突出部23は、外周面が抜け防止部を構成する穴部の内周面と嵌合する構成であり、クランプに加えられる外力を、1つの穴部から1つの抜け防止用突出部23に作用させることができる。そのため、抜け防止用突出部23と穴部は、少なくともクランプ1と平面部20に1つずつ形成されていればよい。
【0158】
また、本実施形態のように抜け防止部が穴部で構成されている場合には、抜け防止部である穴部を平面部20に形成し、抜け防止用突出部23をクランプ1に形成して、クランプ1に形成された抜け防止用突出部23を、平面部20の穴部と嵌合させる構成であってもよい。これによっても、クランプ1と一対の突出部3との固定構造をより強固なものとすること、すなわち、一対の突出部3が狭持部から抜け難い構造とすることができる。
【0159】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
【0160】
(1)上述の実施形態では、外力により一対の平板リブ3若しくは第1、第2の一対リブ30a、30bを傾斜させる際に、ユニットケース2の平面部20に薄肉部21、22、220を塑性変形させる構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、薄肉部を設けず一対の平板リブ3若しくは第1、第2の一対リブ30a、30bに作用させる力を強くして傾斜させてもよい。
【0161】
(2)上述の実施形態では、合成樹脂製の成形品であるユニットケース2、クランプ1を型抜き加工により成形しているが、これに限定されるものではなく、切削加工により成形してもよい。
【0162】
(3)上述の実施形態では、空調ユニットのユニットケース2に形成された一対のリブ3とクランプ1とを固定しているが、空調ユニットのユニットケース2に限定されるものではなく、様々な合成樹脂製の成形品に適用することができる。
【0163】
(4)上述の第6実施形態以外の実施形態では、平板リブ3または第1、第2の一対リブ30a、30bを狭持する狭持部が外壁支持部11の内壁面11aと内壁支持部12の外壁支持部11と対向する壁面(側壁面121aまたは傾斜部124)とで構成されているが、第6実施形態のように、外壁支持部11の内壁面11aおよび内壁支持部12の外壁支持部11と対向する壁面から突出する支持部111、122を形成し、この支持部111、122で狭持部を構成してもよい。
【0164】
(5)上述の第9、第10実施形態では、第1実施形態の構成に対し、クランプ1が一対の平板リブ3から外れるのを防止する抜け防止構造を適用する例を説明したが、他の実施形態の構成に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】第1実施形態に係るクランプの固定構造の分解斜視図である。
【図2】図1のユニットケースの平板リブ近傍のA−A断面図である。
【図3】図1のクランプのB−B断面図である。
【図4】第1実施形態に係るクランプの第1当接段階を説明する説明図である。
【図5】第1実施形態に係るクランプの第2当接段階を説明する説明図である。
【図6】第1実施形態に係るクランプの固定段階を説明する説明図である。
【図7】第2実施形態に係るクランプの固定構造を説明する説明図である。
【図8】第3実施形態に係るクランプの正面図である。
【図9】第4実施形態に係るクランプの固定構造の分解斜視図である。
【図10】第5実施形態に係るクランプの固定構造を説明する説明図である。
【図11】第6実施形態に係るクランプの固定構造の分解斜視図である。
【図12】第6実施形態に係るユニットケースの平板リブ近傍の断面図である。
【図13】第6実施形態に係るクランプの正面図および側面図である。
【図14】第6実施形態に係るクランプの固定構造を説明する説明図である。
【図15】第7実施形態に係るクランプの固定構造の分解斜視図である。
【図16】第7実施形態に係るクランプの固定構造の正面図である。
【図17】第8実施形態に係るクランプの固定構造を説明する説明図である。
【図18】第8実施形態に係るクランプの固定段階を説明する説明図である。
【図19】第9実施形態に係るクランプの固定構造を説明する説明図である。
【図20】第9実施形態に係るクランプの固定構造の正面図である。
【図21】第9実施形態に係るクランプの固定段階を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0166】
1 クランプ
2 ユニットケース(成形部材)
3 一対の平板リブ、第1、第2の一対リブ(一対の突出部)
11 外壁支持部
12 内壁支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸方向のみの成形加工により成形された成形部材(2)の平面部(20)に一体に成形され、前記平面部(20)に対する垂直方向に突出するように配置された一対の突出部(3)とクランプ(1)とを固定するクランプの固定構造であって、
前記一対の突出部(3)は、互いに対向する側の内壁面(3a)、前記内壁面(3a)の裏面側の外壁面(3b)、前記内壁面(3a)と前記外壁面(3b)とを繋ぐとともに前記平面部(20)と交差する側壁面(3c)とをそれぞれ有し、互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜可能に形成されており、
前記クランプ(1)は、前記一対の突出部(3)の前記内壁面(3a)を支持する内壁支持部(12)と前記外壁面(3b)を支持する外壁支持部(11)とを含んで一体に構成され、前記内壁支持部(12)と前記外壁支持部(11)により互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜した状態の前記一対の突出部(3)を狭持可能な狭持部が形成され、
前記内壁支持部(12)および前記外壁支持部(11)のいずれか一方の支持部は、前記一対の突出部(3)の前記側壁面(3c)との当接により互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に弾性変形する一対の弾性支持片により構成され、
前記クランプ(1)を前記平面部(20)に対する垂直方向から近接する方向に移動させて、前記一対の突出部(3)と前記クランプ(1)とを当接させる当接段階において、前記一対の突出部(3)は、外力により互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に傾斜し、前記一対の弾性支持片は、前記一対の突出部(3)の前記側壁面(3c)との当接により、互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に弾性変形し、
前記一対の突出部(3)と前記クランプ(1)とを固定する固定段階において、前記一対の弾性支持片は、前記一対の突出部(3)の前記側壁面(3c)との当接が解除され、前記当接段階前の状態に復元し、前記一対の突出部(3)は、前記狭持部で狭持されることを特徴とするクランプの固定構造。
【請求項2】
前記一対の突出部(3)は、互いに近づく方向に傾斜可能に形成され、
前記内壁支持部(12)は、前記一対の弾性支持片により構成され、
前記外壁支持部(11)は、前記内壁支持部(12)を挟んで対向する一対の外壁支持片で構成されており、
前記一対の弾性支持片と前記一対の外壁支持片は、互いの対向方向が直交するように形成され、
前記狭持部は、前記一対の外壁支持片の互いに対向する部位と前記一対の弾性支持片の前記一対の外壁支持片と対向する部位とにより構成されており、
前記当接段階において、前記一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、外力により互いに近づく方向に傾斜した状態の前記一対の突出部(3)の前記側壁面(3c)と当接して互いに近づく方向若しくは遠ざかる方向に弾性変形し、
前記固定段階において、前記一対の突出部(3)の前記内壁面(3a)が、前記一対の弾性支持片における前記一対の外壁支持片と対向する部位と当接し、前記一対の突出部(3)の前記外壁面(3b)が、前記一対の外壁支持片の互いに対向する部位と当接することで、前記一対の突出部(3)は、前記狭持部で狭持されることを特徴とする請求項1に記載のクランプの固定構造。
【請求項3】
前記一対の突出部(3)のそれぞれは、平板状の突出片で構成されており、
前記当接段階において、前記一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、外力により互いに近づく方向に傾斜した状態の前記一対の突出部(3)の前記側壁面(3c)と当接して互いに遠ざかる方向に弾性変形することを特徴とする請求項2に記載のクランプの固定構造。
【請求項4】
前記一対の突出部(3)のそれぞれは、一対の突出片(30a、30b)により構成されており、
前記一対の突出片(30a、30b)は、互いに対向する壁面が前記一対の突出部(3)の前記側壁面(3c)を構成しており、
前記当接段階において、前記一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、外力により互いに近づく方向に傾斜した状態の前記一対の突出部(3)の前記一対の突出片の互いに対向する前記側壁面(3c)と当接して互いに近づく方向に弾性変形することを特徴とする請求項2に記載のクランプの固定構造。
【請求項5】
前記一対の外壁支持片は、互いに対向する部位が、互いに近づく方向に傾斜した状態の前記一対の突出部(3)の前記外壁面(3b)と当接するように形成されており、
前記当接段階において、前記一対の突出部(3)は、前記一対の外壁支持片の互いに対向する部位と当接して互いに近づく方向に傾斜することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載のクランプの固定構造。
【請求項6】
前記一対の突出部(3)は、互いに遠ざかる方向に傾斜可能に形成され、
前記外壁支持部(11)は、前記内壁支持部(12)を挟んで対向する一対の外壁支持片(112a、112b)を有し、
前記一対の外壁支持片(112a、112b)のそれぞれは、前記一対の弾性支持片により構成され、
前記内壁支持部(12)は、前記一対の外壁支持片(112a、112b)と対向する一対の対向面(124)が、互いに遠ざかる方向に傾斜した状態の前記一対の突出部(3)に当接可能に形成されており、
前記狭持部は、前記一対の外壁支持片(112a、112b)の互いに対向する部位と前記内壁支持部(12)の前記一対の対向面(124)とにより構成されており、
前記当接段階において、前記一対の突出部(3)は、前記内壁支持部(12)の前記一対の対向面(124)と当接して互いに遠ざかる方向に傾斜し、前記一対の外壁支持片(112a、112b)におけるそれぞれの前記一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、互いに遠ざかる方向に傾斜した状態の前記一対の突出部(3)の前記側壁面(3c)と当接して互いに遠ざかる方向に弾性変形し、
前記固定段階において、前記一対の突出部(3)の前記内壁面(3a)が、前記内壁支持部(12)の前記一対の対向面(124)と当接し、前記一対の突出部(3)の前記外壁面(3b)が、前記一対の外壁支持片(112a、112b)の互いに対向する部位と当接することで、前記一対の突出部(3)は、前記狭持部で狭持されることを特徴とする請求項1に記載のクランプの固定構造。
【請求項7】
前記一対の突出部(3)は、互いに近づく方向に傾斜可能な先端部(31)と互いに遠ざかる方向に傾斜可能な下端部(32)を有し、くの字状に曲折可能に構成され、
前記クランプ(1)は、前記内壁支持部(12)、前記外壁支持部(11)に加え前記一対の突出部(3)の前記下端部(32)と当接する当接部(14)を含んで一体に構成され、
前記内壁支持部(12)は、前記当接部(14)を挟んで対向する前記一対の弾性支持片により構成され、
前記外壁支持部(11)は、前記内壁支持部(12)を挟んで対向する一対の外壁支持片で構成されており、
前記一対の弾性支持片と前記一対の外壁支持片は、互いの対向方向が直交するように形成され、
前記一対の外壁支持片は、互いに対向する部位が、互いに近づく方向に傾斜した状態の前記一対の突出部(3)の前記外壁面(3b)と当接するように形成されており、
前記狭持部は、前記一対の外壁支持片の互いに対向する部位と前記一対の弾性支持片の前記一対の外壁支持片と対向する部位とにより構成されており、
前記当接段階において、前記一対の弾性支持片は、互いに対向する部位が、前記一対の突出部(3)の前記側壁面(3c)と当接して互いに遠ざかる方向に弾性変形し、
その後、前記一対の突出部(3)は、前記一対の突出部(3)の前記先端部(31)が前記一対の外壁支持片の互いに対向する部位と当接し、前記一対の突出部(3)の前記下端部(32)が前記当接部(14)に当接することでくの字状に曲折し、
前記固定段階において、前記一対の突出部(3)の前記先端部(31)の前記内壁面(3a)が、前記一対の弾性支持片における前記一対の外壁支持片と対向する部位と当接し、前記一対の突出部(3)の前記先端部(31)の前記外壁面(3b)が、前記一対の外壁支持片の互いに対向する部位と当接することで、前記一対の突出部(3)は、前記狭持部で狭持されることを特徴とする請求項1に記載のクランプの固定構造。
【請求項8】
前記平面部(20)は、前記一対の突出部(3)の固定端部近傍に薄肉部(21、22、220)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のクランプの固定構造。
【請求項9】
前記クランプ(1)は、前記固定段階において、前記一対の突出部(3)の前記側壁面(3c)に当接して、前記一対の突出部(3)が前記狭持部から抜けるのを防止する抜け防止ガイド(13)を有していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載のクランプの固定構造。
【請求項10】
前記平面部(20)および前記クランプ(1)のいずれか一方には、前記平面部(20)に対する垂直方向に突出する1つ以上の抜け防止用突出部23(23)が形成され、他方には、前記一対の突出部(3)と前記クランプ(1)とを固定した固定状態で、前記1つ以上の抜け防止用突出部23(23)と嵌合する抜け防止部が形成されており、
前記抜け防止部は、前記固定状態において、前記平面部(20)に対して平行なあらゆる方向から前記クランプ(1)に外力が加えられた場合に、前記クランプ(1)に加えられた外力が前記1つ以上の抜け防止用突出部23(23)に作用するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載のクランプの固定構造。
【請求項11】
前記クランプ(1)は、前記平面部(20)に対する垂直方向から見た場合の外形が四角形状となっており、
前記抜け防止部は、前記クランプ(1)の四角形状の四隅に対応する位置に形成された切欠き部(113)であり、
前記抜け防止用突出部23(23)は、前記固定状態において前記切欠き部(113)と嵌合することを特徴とする請求項10に記載のクランプの固定構造。
【請求項12】
前記抜け防止部は、前記抜け防止用突出部23(23)の外形状に対応する穴部であり、
前記抜け防止用突出部23(23)は、前記固定状態において前記穴部と嵌合することを特徴とする請求項10に記載のクランプの固定構造。
【請求項13】
前記抜け防止部と前記少なくとも1以上の抜け防止用突出部23(23)は、切欠き部と抜け防止用突出部23(23)とを嵌合させたときの嵌め合い寸法が、締め代ができる嵌め合いとなるように設定されていることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1つに記載のクランプの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−174702(P2009−174702A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152627(P2008−152627)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】