クリップ、線条体の取付構造及び線条体の組付方法
【課題】線条体を車体に配索するためにかかる手間を減少させて、該線条体の配索作業の効率を向上できるクリップ、線条体の取付構造及び線条体の組付方法を提供する。
【解決手段】線条体の取付構造1はフレーム2とクリップ3とを備えている。フレーム2は孔7が設けられた連結板6を備えている。クリップ3は係止部8と収容部9と線条体支持部10を備えている。係止部8は孔7に係止する。収容部9は底板13と一対の通し片14を備えて樋状に形成されケーブル4を収容する。線条体支持部10は弾性変形自在な弾性支持片15を一対備えている。弾性支持片15は一端が通し片14の先端部14cに連なり収容部9の奥に向かって延び他端が互いに重なっている。弾性支持片15は収容部9内のケーブル4を収容部9の奥に向かって付勢する。弾性支持片15は収容部9内にケーブル4が挿入されることを許容し収容部9外にケーブル4が抜け出ることを規制する。
【解決手段】線条体の取付構造1はフレーム2とクリップ3とを備えている。フレーム2は孔7が設けられた連結板6を備えている。クリップ3は係止部8と収容部9と線条体支持部10を備えている。係止部8は孔7に係止する。収容部9は底板13と一対の通し片14を備えて樋状に形成されケーブル4を収容する。線条体支持部10は弾性変形自在な弾性支持片15を一対備えている。弾性支持片15は一端が通し片14の先端部14cに連なり収容部9の奥に向かって延び他端が互いに重なっている。弾性支持片15は収容部9内のケーブル4を収容部9の奥に向かって付勢する。弾性支持片15は収容部9内にケーブル4が挿入されることを許容し収容部9外にケーブル4が抜け出ることを規制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体に線条体を取り付けるクリップ、該クリップを備えた線条体の取付構造及びクリップを用いた線条体の組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器に電力や制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスなどを配索している。ワイヤハーネスは、線条体としての電線と、該電線の端末に取り付けられるコネクタなどを備えている。
【0003】
電線は、導電性の芯線と、該芯線を被覆した絶縁性の被覆部とを備えた所謂被覆電線である。コネクタは、前述した電線の端末などに取り付けられて前記芯線と接続される端子金具と、絶縁性の合成樹脂からなりかつ前記端子金具を収容するコネクタハウジングとを備えている。コネクタは、前述した電子機器に接続する。
【0004】
前述したワイヤハーネスは、前記コネクタが各電子機器に接続して、該電子機器に必要な信号や電力を供給する。また、前述したワイヤハーネスを車体に固定するために、従来から種々のクリップ(例えば、特許文献1参照)が用いられている。
【0005】
クリップは、車体に係止する係止部と、表面上にワイヤハーネスの複数の電線を位置付ける本体部と、前記本体部と前記電線とを結束する可撓性を有するバンドとを備えている。クリップは、本体部上に電線を位置付けて、バンドで前記本体部と前記電線とを検束した後、前記係止部が前記車体に取り付けられる。こうして、クリップは、車体に電線を固定する。
【特許文献1】実開平7−19687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来のクリップでは、可撓性を有するバンドで本体部にワイヤハーネスの電線を結束してきた。このため、前述したクリップを車体に取り付ける際に、該車体の取り付け位置の形状に応じて、作業員がバンドなどを適宜変形させるなどして、バンド即ちワイヤハーネスの電線の形状を適宜調整してきた。
【0007】
このように、従来のクリップでは、バンドやワイヤハーネスの形状を適宜調整してから車体に取り付けるために、線条体としての電線即ちワイヤハーネスを車体に配索するためにかかる手間が増加して、線条体としての電線即ちワイヤハーネスの配索作業の効率が低下する傾向であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、線条体を車体に配索するためにかかる手間を減少させて、該線条体の配索作業の効率を向上できるクリップ、該クリップを備えた線条体の取付構造及びクリップを用いた線条体の組付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のクリップは、車体に線条体を固定するクリップにおいて、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有した硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記線条体支持部は、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっていることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明のクリップは、請求項1に記載のクリップにおいて、前記収容部は、互いに間隔をあけて相対し、かつ互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備え、前記線条体支持部は、前記通し片に一端が連なり、かつ前記通し片から前記収容部の奥に向かって延在しているとともに、他端が互いに重なる一対の弾性変形自在な弾性支持片を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の本発明のクリップは、請求項2に記載のクリップにおいて、前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結した蓋体を備え、該蓋体は、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在であることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の本発明の線条体の取付構造は、車体と、該車体に線条体を固定するクリップとを備えた線条体の取付構造において、前記クリップは、前記車体に係止する係止部と、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有した硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記線条体支持部は、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっていることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項4に記載の線条体の取付構造において、前記収容部は、互いに間隔をあけて相対し、かつ互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備え、前記線条体支持部は、前記通し片に一端が連なり、かつ前記通し片から前記収容部の奥に向かって延在しているとともに、他端が互いに重なる一対の弾性変形自在な弾性支持片を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項5に記載の線条体の取付構造において、前記係止部が前記車体に係止すると、前記一対の通し片が前記車体を構成する壁に近づけられて、該一対の通し片間が前記壁により塞がれることを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項5に記載の線条体の取付構造において、前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結した蓋体を備え、該蓋体は、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在であることを特徴としている。
【0016】
請求項8に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項7に記載の線条体の取付構造において、前記係止部が前記車体に係止すると、前記一対の通し片間を塞いだ蓋体が前記車体を構成する壁に重なることを特徴としている。
【0017】
請求項9に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項6又は請求項8に記載の線条体の取付構造において、前記車体には、前記係止部が係止する係止受け部が設けられ、
前記車体の品番が異なっても、前記壁と前記係止受け部との間隔が等しいことを特徴としている。
【0018】
請求項10に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項4ないし請求項9のうちいずれか一項に記載の線条体の取付構造において、前記線条体には、前記クリップが取り付けられる位置を示す印が設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項11に記載の本発明の線条体の組付方法は、車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、前記クリップが、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容した後、前記一対の通し片を前記車体を構成する壁に近づけて、該一対の通し片間を前記壁により塞いだ状態で、前記クリップを前記車体に取り付けることを特徴としている。
【0020】
請求項12に記載の本発明の線条体の組付方法は、車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、前記クリップが、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結して、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在な蓋体と、を備え、前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容した後、前記蓋体で前記一対の通し片間を塞いだ後、該蓋体を前記車体を構成する壁に重ねた状態で、前記クリップを前記車体に取り付けることを特徴としている。
【0021】
請求項13に記載の本発明の線条体の組付方法は、車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、前記クリップが、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結して、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在な蓋体と、を備え、前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、前記クリップを前記車体に取り付けた後、前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容してから前記蓋体で前記一対の通し片間を塞ぐことを特徴としている。
【0022】
請求項1に記載した本発明のクリップによれば、収容部が硬質であるので、収容部内に線条体を挿入して収容部の形状を変更することなく、車体に取り付けることができる。また、線条体支持部が収容部内から線条体が抜け出ることを規制するので、収容部内に線条体を挿入するだけで、線条体に取り付けることができる。さらに、線条体支持部が収容部内の線条体を収容部の奥に向かって付勢するので、収容部内で線条体ががたつくことを防止できる。
【0023】
請求項2に記載した本発明のクリップによれば、線条体支持部の弾性支持片が通し片から収容部の奥に向かって延在し、該弾性支持片の他端が互いに重なっている。このため、線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。
【0024】
請求項3に記載した本発明のクリップによれば、一対の通し片間を塞ぐことが可能な蓋体を備えているので、収容部内に収容した線条体が収容部外に抜け出ることを確実に防止できる。
【0025】
また、車体に取り付けられた収容部内に線条体を収容してから蓋体で一対の通し片間を塞ぐことができる。収容部内に線条体を収容して蓋体で一対の通し片間を塞いでから車体に取り付けることができる。このように、車体に取り付けられてから線条体が取り付けられても、線条体が取り付けられてから車体に取り付けられても、収容部から線条体が抜け出ることを確実に防止して、該線条体を車体に取り付けることができる。
【0026】
請求項4に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、クリップの収容部が硬質であるので、収容部内に線条体を挿入して収容部の形状を変更することなく、該クリップを車体に取り付けることができる。また、線条体支持部が収容部内から線条体が抜け出ることを規制するので、収容部内に線条体を挿入するだけで、クリップに線条体を取り付けることができる。さらに、線条体支持部が収容部内の線条体を収容部の奥に向かって付勢するので、クリップの収容部内で線条体ががたつくことを防止できる。
【0027】
請求項5に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、クリップの線条体支持部の弾性支持片が通し片から収容部の奥に向かって延在し、該弾性支持片の他端が互いに重なっている。このため、クリップは、線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。
【0028】
請求項6に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、車体に取り付けられると、一対の通し片間が車体を構成する壁で塞がれるので、クリップが車体に取り付けられると、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【0029】
請求項7に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、クリップは、一対の通し片間を塞ぐことが可能な蓋体を備えている。このため、クリップの収容部内に収容した線条体が収容部外に抜け出ることを確実に防止できる。
【0030】
また、車体に取り付けられたクリップの収容部内に線条体を収容してから蓋体で一対の通し片間を塞ぐことができる。収容部内に線条体を収容して蓋体で一対の通し片間を塞いでからクリップを車体に取り付けることができる。このように、車体に取り付けられてから線条体が取り付けられても、線条体が取り付けられてから車体に取り付けられても、収容部から線条体が抜け出ることを確実に防止して、クリップが該線条体を車体に取り付けることができる。
【0031】
請求項8に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、車体に取り付けられると、一対の通し片間を塞いだ蓋体が車体を構成する壁に重なるので、蓋体が不意に一対の通し片間を開放することを防止でき、クリップが車体に取り付けられると、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【0032】
請求項9に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、車体の品番が異なっても、係止受け部と壁との間隔が等しいので、クリップを品番の異なる車体に用いることができる。
【0033】
請求項10に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、線条体にクリップの取り付け位置を示す印を設けている。このため、線条体の所望の位置に確実にクリップを取り付けることができる。
【0034】
請求項11に記載した本発明の線条体の組付方法によれば、クリップの収容部内に線条体を収容した後、収容部の通し片を壁に近づけて、通し片間を壁で塞ぐので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【0035】
請求項12に記載した本発明の線条体の組付方法によれば、クリップの収容部内に線条体を収容した後、蓋体で一対の通し片間を塞ぎ、蓋体を壁に重ねるので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【0036】
請求項13に記載した本発明の線条体の組付方法によれば、車体に取り付けられたクリップの収容部内に線条体を収容した後、蓋体で一対の通し片間を塞ぐので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、収容部内に線条体を挿入して収容部の形状を変更することなく車体に取り付けることができ、収容部内に線条体を挿入するだけで、線条体に取り付けることができる。したがって、線条体を車体に配索するためにかかる手間を減少でき、該線条体の配索作業の効率を向上することができる。
【0038】
また、収容部内で線条体ががたつくことを防止できるので、収容部と線条体とが接触と離間を繰り返して、該線条体が破損することを防止できる。
【0039】
請求項2に記載の本発明は、線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。
【0040】
請求項3に記載の本発明は、収容部内に収容した線条体が収容部外に抜け出ることを確実に防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0041】
車体に取り付けられてから線条体が取り付けられても、線条体が取り付けられてから車体に取り付けられても、収容部から線条体が抜け出ることを確実に防止して、該線条体を車体に取り付けることができる。
【0042】
請求項4に記載の本発明は、クリップの線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。
【0043】
また、クリップの収容部内で線条体ががたつくことを防止できるので、収容部と線条体とが接触と離間を繰り返して、該線条体が破損することを防止できる。
【0044】
請求項5に記載の本発明は、クリップの線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。
【0045】
請求項6に記載の本発明は、一対の通し片間が車体を構成する壁で塞がれるので、クリップが車体に取り付けられるとクリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0046】
請求項7に記載の本発明は、蓋体によりクリップの収容部内に収容した線条体が収容部外に抜け出ることを確実に防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0047】
車体に取り付けられてからクリップに線条体が取り付けられても、線条体が取り付けられてからクリップが車体に取り付けられても、収容部から線条体が抜け出ることを確実に防止して、該線条体を車体に取り付けることができる。
【0048】
請求項8に記載の本発明は、一対の通し片間を塞いだ蓋体が車体を構成する壁に重なるので、蓋体が不意に一対の通し片間を開放することを防止でき、クリップが車体に取り付けられると、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することをより確実に防止できる。
【0049】
請求項9に記載の本発明は、クリップを品番の異なる車体に用いることができる。したがって、クリップの品番を減少できるので、クリップの量産効果を向上でき、低コスト化を図ることができる。
【0050】
請求項10に記載の本発明は、線条体にクリップの取り付け位置を示す印を設けているため、線条体の所望の位置に確実にクリップを取り付けることができる。
【0051】
請求項11に記載の本発明は、クリップの通し片間を壁で塞ぐので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0052】
また、クリップの線条体支持部により、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。さらに、クリップの収容部内で線条体ががたつくことを防止できるので、線条体が破損することを防止できる。
【0053】
請求項12に記載の本発明は、一対の通し片間を塞いだ蓋体を壁に重ねるので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0054】
また、クリップの線条体支持部により、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。さらに、クリップの収容部内で線条体ががたつくことを防止できるので、線条体が破損することを防止できる。
【0055】
請求項13に記載の本発明は、クリップの収容部内に線条体を収容した後、蓋体で一対の通し片間を塞ぐので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明の第1の実施形態にかかるクリップ及び線条体の取付構造を、図1ないし図10を参照して説明する。
【0057】
線条体の取付構造(以下、単に取付構造と呼ぶ)1は、図1および図2に示すように、自動車の車体としてのフレーム2と、複数のクリップ3とを備えている。取付構造1は、前述したフレーム2に、線条体としての複数のケーブル4を固定する構造である。
【0058】
図示例のフレーム2は、自動車としてのトラックの乗員室と後輪とを連結しかつ該トラックの側縁に前後方向に沿って配置されている。フレーム2は、図1および図2に示すように、鉛直方向に沿って互いに間隔をあけて平行に配される平板状の一対の水平板5と、これら水平板5の前記トラックの外側に位置する縁同士を連結した平板状の連結板6と、を一体に備えて、断面コ字形に形成されている。
【0059】
フレーム2の連結板6即ち車体には、係止受け部としての孔7が設けられている。孔7は、勿論、連結板6を貫通している。前述したフレーム2は、トラックの車種や大きさが異なると即ち車体の品番が異なると、大きさが異なる。例えば、フレーム2は、図10中の実線、一点鎖線や二点鎖線で示すように、車体の品番などが異なると、連結板6及び水平板5の幅などが異なる。
【0060】
また、フレーム2は、トラックの車種や大きさが異なっても即ち車体の品番が異なっても、図10中上方に位置する一方の水平板5(以下、符号5aで示す)と孔7との間隔Dが等しくなっている。また、前述した一方の水平板5aと孔7との間隔Dは、孔7に後述する係止部8が係止して、フレーム2にクリップ3が取り付けられた際にクリップ3の一対の通し片14の双方の先端部14cが一方の水平板5aに接触したり第2の実施形態で後述する蓋体16が一方の水平板5aに重なる寸法に形成されている。なお、一方の水平板5aは、本明細書に記した車体を構成する壁をなしている。
【0061】
前述したフレーム2は、一対の水平板5間で前記連結板6の表面上に複数のケーブル4を位置付けて、これらのケーブル4を収容する。
【0062】
図示例では、ケーブル4は、三本設けられている。ケーブル4は、複数の電線が束ねられて構成されている。電線は、導電性の芯線と絶縁性の被覆部とを備えた所謂被覆電線である。これら三本即ち複数のケーブル4は、前述した自動車としてのトラックに配索されて、該トラックの電子機器同士を電気的に接続するワイヤハーネスを構成する。
【0063】
クリップ3は、絶縁性の合成樹脂からなり、図3ないし図6に示すように、係止部8と、収容部9と、線条体支持部10とを一体に備えている。
【0064】
係止部8は、図4ないし図6に示すように、係止片11と、一対の弾性片12と、を備えている。係止片11は、収容部9の後述する一方の通し片14aから収容部9の外側に向かって立設している。係止片11は、前述した孔7に係止する。弾性片12は、図示例では、一対設けられ、互いの間に係止片11を位置付けている。弾性片12は、一方の通し片14aから係止片11と同方向に立設している。また、一対の弾性片12は、一方の通し片14aから離れるのにしたがって、徐々に互いに離れる方向に延びている。弾性片12は、係止片11が孔7に係止すると、前記フレーム2の連結板6を押圧して、収容部9を連結板6から離れる方向に付勢する。
【0065】
前述した係止部8は、係止片11が孔7内に係止し、弾性片12が連結板6を押圧することで、車体のフレーム2に係止して取り付けられる。
【0066】
収容部9は、硬質(変形しにくい)の合成樹脂からなり、平板状の底板13と、平板状の一対の通し片14とを備えている。なお、本明細書に記した硬質とは、クリップ3の通常の使用条件では変形しない(殆ど変形しない)ことを示している。
【0067】
通し片14は、底板13の互いに逆側に位置する両縁から互いに同方向に立設している。一対の通し片14は、互いに平行である。一方の通し片14(以下、符号14aで示す)には、前述した係止片11と弾性片12とが立設している。このように、収容部9は、底板13と一対の通し片14とを備えて、断面コ字形即ち断面樋状に形成されている。
【0068】
前述した収容部9は、図5に示すように、通し片14間でかつ底板13上に複数のケーブル4を位置付けて、該ケーブル4を収容する。このとき、ケーブル4は、通し片14の底板13から離れた側の縁部(以下、先端部と呼ぶ)14c間を通される。これら一対の通し片14の先端部14c間は、本明細書に記したケーブル4を出し入れ可能な通し部14dをなしている。即ち、収容部9は、通し部14dを備えている。さらに、前述した収容部9は、係止部8がフレーム2に係止すると、図6に示すように、双方の通し片14の先端部14cがフレーム2の一方の水平板5aに近づいて、該一方の水平板5aに接触する。
【0069】
線条体支持部10は、一対の弾性支持片15を備えている。弾性支持片15は、前述した底板13や通し片14より薄い板状に形成されており、弾性変形自在となっている。一方の弾性支持片15は、一端が一方の通し片14aの先端部14cに連なり、該一方の通し片14aの先端部14cから他方の通し片14(以下、符号14bで示す)に近づきかつ底板13に向かって即ち収容部9の奥に向かって延在している。
【0070】
また、他方の弾性支持片15は、一端が他方の通し片14bの先端部14cに連なり、該他方の通し片14bの先端部14cから一方の通し片14aに近づきかつ底板13に向かって即ち収容部9の奥に向かって延在している。また、一対の弾性支持片15の他端は、互いに重なり、他方の弾性支持片15の他端が一方の弾性支持片15の他端より底板13寄り即ち収容部9の奥に位置付けられている。
【0071】
前述した線条体支持部10は、一対の弾性支持片15の一端が通し片14a,14bの先端部14cに連なることで、前述した通し部14dに設けられている。また、弾性支持片15は、収容部9内のケーブル4などから押圧されると、該ケーブル4を底板13即ち収容部9の奥に向かって付勢する。前述したように弾性変形自在な一対の弾性支持片15が一端から他端に向かって延在することで、線条体支持部10は、収容部9内にケーブル4が挿入されることを許容し、かつ収容部9内のケーブル4が通し部14dを通って収容部9外に抜け出ることを規制する構成となっている。また、線条体支持部10は、収容部9内のケーブル4を該収容部9の奥に向かって付勢する構成となっている。
【0072】
前述した構成の取付構造1を組み立てる際、即ち、前述したクリップ3を用いてケーブル4をフレーム2に組み付ける際には、以下のように行う。
【0073】
まず、図7に示すように、クリップ3の通し部14dを、ケーブル4と相対させる。このとき、収容部9の底板13とケーブル4の長手方向とを平行にする。そして、図7中の矢印に沿って、ケーブル4を通し片14a,14b間即ち通し部14d内に挿入する。すると、弾性支持片15が一端から他端に向かって前述したように延びているので、弾性支持片15にケーブル4が当接すると、これらの弾性支持片15が互いに離れる方向に弾性変形する。
【0074】
そして、図8に示すように、一対の通し片14a,14b間で底板13と一対の弾性支持片15との間即ち収容部9内に前述したケーブル4が収容される。このとき、ケーブル4が、弾性支持片15に当接して、該弾性支持片15を底板13から離れる方向に押圧すると、弾性支持片15が、ケーブル4を底板13即ち収容部9の奥に向かって押圧する。こうして、複数のケーブル4にクリップ3を取り付ける。
【0075】
その後、図8に示すように、係止部8をフレーム2に設けられた孔7に相対させた後、係止部8の係止片11を孔7内に圧入する。すると、図9に示すように、係止片11がフレーム2の孔7に係止し、弾性片12がフレーム2の連結板6に当接する。さらに、クリップ3の収容部9の一対の通し片14a,14bの先端部14cをフレーム2の一方の水平板5aに近づけて、一対の通し片14a,14b間即ち通し部14dを前記一方の水平板5aで塞いだ状態で、係止部8をフレーム2に係止させる。こうして、ケーブル4に取り付けられたクリップ3がフレーム2に取り付けられて、ケーブル4がフレーム2に組み付けられるとともに、取付構造1が組み立てられる。
【0076】
本実施形態によれば、クリップ3の収容部9が硬質であるので、収容部9内にケーブル4を挿入した後に収容部9の形状を変更することなく、該クリップ3を車体のフレーム2に取り付けることができる。また、線条体支持部10が収容部9内からケーブル4が抜け出ることを規制するので、収容部9内にケーブル4を挿入するだけで、クリップ3にケーブル4を取り付けることができる。
【0077】
このため、クリップ3の線条体支持部10が収容部9内にケーブル4が侵入することを確実に許容し、収容部9内のケーブル4が該収容部9外に抜け出ることを確実に規制できる。したがって、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。
【0078】
さらに、線条体支持部10が収容部9内のケーブル4を収容部9の奥に向かって付勢するので、クリップ3の収容部9内でケーブル4ががたつくことを防止できる。このため、収容部9とケーブル4とが接触と離間を繰り返して、該ケーブル4が破損することを防止できる。
【0079】
クリップ3の線条体支持部10の弾性支持片15が通し片14a,14bから収容部9の奥に向かって延在し、該弾性支持片15の他端が互いに重なっている。このため、クリップ3は、線条体支持部10が収容部9内にケーブル4が侵入することを確実に許容し、収容部9内のケーブル4が該収容部9外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。
【0080】
また、車体のフレーム2に取り付けられると、クリップ3の一対の通し片14a,14b間が車体を構成する一方の水平板5aで塞がれるので、クリップ3が車体のフレーム2に取り付けられると、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0081】
品番の互いに異なる車体のフレーム2の係止受け部としての孔7と一方の水平板5aとの間隔Dが、互いに等しいので、クリップ3を品番の異なる車体のフレーム2に用いることができる。したがって、クリップ3の品番を減少できるので、クリップ3の量産効果を向上でき、低コスト化を図ることができる。
【0082】
さらに、クリップ3の収容部9内にケーブル4を収容した後、収容部9の通し片14a,14bを一方の水平板5aに近づけて、通し片14a,14b間を一方の水平板5aで塞ぐので、クリップ3を車体のフレーム2に取り付けた後に、クリップ3の収容部9外に線条体としてのケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0083】
また、クリップ3の線条体支持部10により、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。さらに、クリップ3の収容部9内でケーブル4ががたつくことを防止できるので、ケーブル4が破損することを防止できる。
【0084】
次に、本発明の第2の実施形態にかかるクリップ及び線条体の取付構造を、図11ないし図22を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
本実施形態においても、取付構造1は、図11および図12に示すように、フレーム2と、複数のクリップ3を備えている。また、本実施形態のクリップ3は、図13ないし図16に示すように、蓋体16を備えている。蓋体16は、平板状に形成され、一方の縁部がヒンジ17を介して、一方の通し片14aの先端部14cに連結されている。
【0086】
蓋体16は、ヒンジ17を中心として回転自在となっている。蓋体16は、図13などに示すように一対の通し片14a,14b間を開放する位置と、図15に示すように一対の通し片14a,14b間を塞ぐ位置とに亘って、ヒンジ17を中心として回転自在となっている。また、ヒンジ17が弾性変形していない中立位置に位置付けられると、前記蓋体16は、一対の通し片14a,14b間を開放する位置に位置付けられる。
【0087】
さらに、他方の通し片14bの先端部14cと、蓋体16の他方の縁部とには、互いに係止する係止突起18,19が設けられている。係止突起18,19は、互いに係止して、前記蓋体16を前記一対の通し片14a,14b間を塞ぐ位置に保つ。
【0088】
また、本実施形態では、一方の水平板5aと孔7との間隔D(図22に示す)は、図22中に実線、一点鎖線および二点鎖線で示すように、フレーム2の大きさ(品番)が異なっても互いに等しくなっている。本実施形態では、間隔Dは、図16に示すように、孔7に係止部8が係止すると一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16が一方の水平板5aに重なる寸法になっている。さらに、クリップ3は、図15および図16に示すように、収容部9内の底板13と一対の弾性支持片15との間にケーブル4を二本収容し、一対の弾性支持片15と蓋体16との間にケーブル4を一本収容する。
【0089】
本実施形態の取付構造1を組み立てる際、即ち、前述したクリップ3を用いてケーブル4をフレーム2に組み付ける際には、以下のように行う。
【0090】
まず、図17に示すように、係止突起18,19を互いに係止させずに、一対の通し片14a,14b間を開放する位置に蓋体16を位置付けて、クリップ3の通し部14dを、ケーブル4と相対させる。このとき、収容部9の底板13とケーブル4の長手方向とを平行にする。そして、図17中の矢印に沿って、ケーブル4を通し片14a,14b間即ち通し部14dに挿入する。すると、弾性支持片15が一端から他端に向かって前述した第1の実施形態と同様に延びているので、弾性支持片15にケーブル4が当接すると、これらの弾性支持片15が互いに離れる方向に弾性変形する。
【0091】
そして、図18に示すように、一対の通し片14a,14b間で底板13と一対の弾性支持片15との間にケーブル4が二本収容され、一対の通し片14a,14b間で一対の弾性支持片15上にケーブル4が一本収容される。こうして、収容部9内に前述したケーブル4が収容される。このとき、ケーブル4が、弾性支持片15に当接して、該弾性支持片15を底板13から離れる方向に押圧すると、弾性支持片15が、ケーブル4を底板13即ち収容部9の奥に向かって押圧する。こうして、複数のケーブル4にクリップ3を取り付ける。
【0092】
その後、図18中の矢印で示すように、ヒンジ17を中心として蓋体16をヒンジ17の弾性復元力に抗して回転する。そして、図19に示すように、係止突起18,19を互いに係止して、蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぐ。即ち、一対の通し片14a,14b間を塞ぐ位置に、蓋体16を位置付ける。
【0093】
そして、図20に示すように、係止部8をフレーム2に設けられた孔7に相対させた後、係止部8の係止片11を孔7内に圧入する。すると、図21に示すように、係止片11がフレーム2の孔7に係止し、弾性片12がフレーム2の連結板6に当接する。さらに、クリップ3の収容部9の一対の通し片14a,14bの先端部14cをフレーム2の一方の水平板5aに近づけて、一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16を前記一方の水平板5aに重ねた状態で、係止部8をフレーム2に係止させる。こうして、ケーブル4に取り付けられたクリップ3がフレーム2に取り付けられて、ケーブル4がフレーム2に組み付けられるとともに、取付構造1が組み立てられる。
【0094】
本実施形態によれば、クリップ3の収容部9が硬質であるので、収容部9内にケーブル4を挿入した後に収容部9の形状を変更することなく、該クリップ3を車体のフレーム2に取り付けることができる。また、線条体支持部10が収容部9内からケーブル4が抜け出ることを規制するので、収容部9内にケーブル4を挿入するだけで、クリップ3にケーブル4を取り付けることができる。
【0095】
このため、クリップ3の線条体支持部10が収容部9内にケーブル4が侵入することを確実に許容し、収容部9内のケーブル4が該収容部9外に抜け出ることを確実に規制できる。したがって、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。
【0096】
さらに、線条体支持部10が収容部9内のケーブル4を収容部9の奥に向かって付勢するので、クリップ3の収容部9内でケーブル4ががたつくことを防止できる。このため、収容部9とケーブル4とが接触と離間を繰り返して、該ケーブル4が破損することを防止できる。
【0097】
クリップ3の線条体支持部10の弾性支持片15が通し片14a,14bから収容部9の奥に向かって延在し、該弾性支持片15の他端が互いに重なっている。このため、クリップ3は、線条体支持部10が収容部9内にケーブル4が侵入することを確実に許容し、収容部9内のケーブル4が該収容部9外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。
【0098】
また、車体のフレーム2に取り付けられると、クリップ3の一対の通し片14a,14b間が車体を構成する一方の水平板5aで塞がれるので、クリップ3が車体のフレーム2に取り付けられると、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0099】
品番の互いに異なる車体のフレーム2の係止受け部としての孔7と一方の水平板5aとの間隔Dが、互いに等しいので、クリップ3を品番の異なる車体のフレーム2に用いることができる。したがって、クリップ3の品番を減少できるので、クリップ3の量産効果を向上でき、低コスト化を図ることができる。
【0100】
クリップ3は、一対の通し片14a,14b間を塞ぐことが可能な蓋体16を備えている。このため、クリップ3の収容部9内に収容したケーブル4が収容部9外に抜け出ることを確実に防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0101】
クリップ3が車体のフレーム2に取り付けられると、一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16が車体のフレーム2の一方の水平板5aに重なるので、蓋体16が不意に一対の通し片14a,14b間を開放することを防止でき、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することをより確実に防止できる。
【0102】
品番の異なる車体のフレーム2の孔7と水平板5aとの間隔Dが等しいので、クリップ3を品番の異なる車体のフレーム2に用いることができる。したがって、クリップ3の品番を減少できるので、クリップ3の量産効果を向上でき、低コスト化を図ることができる。
【0103】
クリップ3の収容部9内にケーブル4を収容した後、蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぎ、蓋体16を一方の水平板5aに重ねるので、クリップ3を車体のフレーム2に取り付けた後に、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0104】
次に、本発明の第3の実施形態にかかるクリップ及び線条体の取付構造を、図23ないし図27を参照して説明する。なお、前述した第2の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0105】
本実施形態においても、図23等に示すように、クリップ3は、前述した第2の実施形態と同様に蓋体16を備えている。また、クリップ3の係止部8は、他方の通し片14bから立設している。クリップ3は、図27に示すように、係止部8を孔7に係止させると、一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16と、一方の水平板5aとが間隔をあけて相対するようになっている(即ち、一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16が一方の水平板5aと重ならないようになっている)。
【0106】
本実施形態の取付構造1を組み立てる際、即ち、前述したクリップ3を用いてケーブル4をフレーム2に組み付ける際には、以下のように行う。
【0107】
まず、図23に示すように、係止突起18,19を互いに係止させずに、一対の通し片14a,14b間を開放する位置に蓋体16を位置付けて、係止部8をフレーム2に設けられた孔7に相対させた後、係止部8の係止片11を孔7内に圧入する。すると、図24に示すように、係止片11がフレーム2の孔7に係止し、弾性片12がフレーム2の連結板6に当接する。
【0108】
その後、収容部9の底板13とケーブル4の長手方向とを平行にして、図25中の矢印に沿って、ケーブル4を通し片14a,14b間即ち通し部14dに挿入する。すると、弾性支持片15が一端から他端に向かって前述した第1および第2の実施形態と同様に延びているので、弾性支持片15にケーブル4が当接すると、これらの弾性支持片15が互いに離れる方向に弾性変形する。
【0109】
そして、図26に示すように、一対の通し片14a,14b間で底板13と一対の弾性支持片15との間にケーブル4が二本収容され、一対の通し片14a,14b間で一対の弾性支持片15上にケーブル4が一本収容される。こうして、収容部9内に前述したケーブル4が収容される。このとき、ケーブル4が、弾性支持片15に当接して、該弾性支持片15を底板13から離れる方向に押圧すると、弾性支持片15が、ケーブル4を底板13即ち収容部9の奥に向かって押圧する。こうして、複数のケーブル4にクリップ3を取り付ける。
【0110】
その後、図26中の矢印で示すように、ヒンジ17を中心として蓋体16をヒンジ17の弾性復元力に抗して回転する。そして、図27に示すように、係止突起18,19を互いに係止して、蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぐ。即ち、一対の通し片14a,14b間を塞ぐ位置に、蓋体16を位置付ける。こうして、ケーブル4に取り付けられたクリップ3がフレーム2に取り付けられて、ケーブル4がフレーム2に組み付けられるとともに、取付構造1が組み立てられる。
【0111】
本実施形態によれば、クリップ3が、蓋体16を備えている。このため、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3の収容部9内にケーブル4を収容してから蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぐことができる。収容部9内にケーブル4を収容して蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞いでからクリップ3を車体のフレーム2に取り付けることができる。
【0112】
このように、車体のフレーム2に取り付けられてからケーブル4が取り付けられても、ケーブル4が取り付けられてから車体のフレーム2に取り付けられても、収容部9からケーブル4が抜け出ることを確実に防止して、クリップ3が該ケーブル4を車体のフレーム2に取り付けることができる。
【0113】
また、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3の収容部9内にケーブル4を収容した後、蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぐので、クリップ3を車体のフレーム2に取り付けた後に、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0114】
前述した第1ないし第3の実施形態では、図28に示すように、ケーブル4に、クリップ3が取り付けられる位置を示す印としてのチューブ20を設けても良い。なお、図28において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0115】
図28に示す場合では、チューブ20は、弾性材料からなり、円筒状に形成されて、ケーブル4の外周に取り付けられる。チューブ20は、ケーブル4のクリップ3の収容部9内に収容される箇所に設けられる。また、チューブ20には、外周方向に向かって突出し、互いに干渉(接触して)ケーブル4を位置決めするためのひげ21が複数設けられている。
【0116】
図28に示す場合では、ケーブル4にクリップ3の取り付け位置を示す印としてのチューブ20を設けている。このため、ケーブル4の所望の位置に確実にクリップ3を取り付けることができる。なお、図28では、チューブ20を用いたが、本発明では、印としてテープを用いたり、ケーブルの外表面を着色するなどして印を形成しても良い。要するに、本発明では、種々の手段を用いて、印を設けても良い。
【0117】
前述した実施形態では、線条体として、複数の電線を束ねて構成されるケーブル4を示している。しかしながら、本発明では、線条体として、電線や、各種のワイヤや配管などを用いても良い。要するに、本発明は、断面形状が一定で長尺の物品を線条体として、該線条体を固定する際に用いるクリップ3、クリップ3を備えた線条体の取付構造1、クリップ3を用いた線条体の組付方法である。
【0118】
また、前述した実施形態では、収容部9が断面コ字形に形成されて、クリップ3が四角形に形成されている。しかしながら、本発明では、例えば、収容部9が断面C字形に形成されて、クリップ3が円形に形成されても良い。要するに、本発明では、収容部9即ちクリップ3を種々の形状にしても良い。
【0119】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる線条体の取付構造の一部を示す斜視図である。
【図2】図1に示された線条体の取付構造の分解斜視図である。
【図3】図1に示された線条体の取付構造のクリップを示す斜視図である。
【図4】図3に示されたクリップの正面図である。
【図5】図4に示されたクリップがケーブルに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図6】図1中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図4に示されたクリップの通し部に電線を相対させた状態を示す断面図である。
【図8】図7に示されたクリップの収容部内に電線を収容して係止部をフレームの孔に相対させた状態を示す断面図である。
【図9】図8に示されたクリップの係止部をフレームに係止させた状態を示す断面図である。
【図10】図9に示されたフレームと他の品番のフレームなどを示す説明図である。
【図11】本発明の第2の実施形態にかかる線条体の取付構造の一部を示す斜視図である。
【図12】図11に示された線条体の取付構造の分解斜視図である。
【図13】図11に示された線条体の取付構造のクリップを示す斜視図である。
【図14】図13に示されたクリップの正面図である。
【図15】図14に示されたクリップがケーブルに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図16】図11中のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【図17】図14に示されたクリップの通し部に電線を相対させた状態を示す断面図である。
【図18】図17に示されたクリップの収容部内に電線を収容した状態を示す断面図である。
【図19】図18に示されたクリップの蓋体で通し片間を塞いだ状態を示す断面図である。
【図20】図19に示されたクリップの係止部をフレームの孔に相対させた状態を示す断面図である。
【図21】図20に示されたクリップの係止部をフレームに係止させた状態を示す断面図である。
【図22】図21に示されたフレームと他の品番のフレームなどを示す説明図である。
【図23】本発明の第3の実施形態にかかる線条体の取付構造のクリップの係止部をフレームの孔に相対させた状態を示す断面図である。
【図24】図23に示されたクリップの係止部をフレームに係止させた状態を示す断面図である。
【図25】図24に示されたクリップの通し部に電線を挿入する状態を示す断面図である。
【図26】図25に示されたクリップの収容部に電線を収容した状態を示す断面図である。
【図27】図26に示されたクリップの蓋体で通し片間を塞いだ状態を示す断面図である。
【図28】本発明の線条体としてのケーブルの変形例などを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0121】
1 線条体の取付構造
2 フレーム(車体)
3 クリップ
4 ケーブル(線条体)
5a 一方の水平板(壁)
7 孔(係止受け部)
8 係止部
9 収容部
10 線条体支持部
14,14a,14b 通し片
14d 通し部
15 弾性支持片
16 蓋体
17 ヒンジ
20 チューブ(印)
D 間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体に線条体を取り付けるクリップ、該クリップを備えた線条体の取付構造及びクリップを用いた線条体の組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器に電力や制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスなどを配索している。ワイヤハーネスは、線条体としての電線と、該電線の端末に取り付けられるコネクタなどを備えている。
【0003】
電線は、導電性の芯線と、該芯線を被覆した絶縁性の被覆部とを備えた所謂被覆電線である。コネクタは、前述した電線の端末などに取り付けられて前記芯線と接続される端子金具と、絶縁性の合成樹脂からなりかつ前記端子金具を収容するコネクタハウジングとを備えている。コネクタは、前述した電子機器に接続する。
【0004】
前述したワイヤハーネスは、前記コネクタが各電子機器に接続して、該電子機器に必要な信号や電力を供給する。また、前述したワイヤハーネスを車体に固定するために、従来から種々のクリップ(例えば、特許文献1参照)が用いられている。
【0005】
クリップは、車体に係止する係止部と、表面上にワイヤハーネスの複数の電線を位置付ける本体部と、前記本体部と前記電線とを結束する可撓性を有するバンドとを備えている。クリップは、本体部上に電線を位置付けて、バンドで前記本体部と前記電線とを検束した後、前記係止部が前記車体に取り付けられる。こうして、クリップは、車体に電線を固定する。
【特許文献1】実開平7−19687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来のクリップでは、可撓性を有するバンドで本体部にワイヤハーネスの電線を結束してきた。このため、前述したクリップを車体に取り付ける際に、該車体の取り付け位置の形状に応じて、作業員がバンドなどを適宜変形させるなどして、バンド即ちワイヤハーネスの電線の形状を適宜調整してきた。
【0007】
このように、従来のクリップでは、バンドやワイヤハーネスの形状を適宜調整してから車体に取り付けるために、線条体としての電線即ちワイヤハーネスを車体に配索するためにかかる手間が増加して、線条体としての電線即ちワイヤハーネスの配索作業の効率が低下する傾向であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、線条体を車体に配索するためにかかる手間を減少させて、該線条体の配索作業の効率を向上できるクリップ、該クリップを備えた線条体の取付構造及びクリップを用いた線条体の組付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のクリップは、車体に線条体を固定するクリップにおいて、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有した硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記線条体支持部は、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっていることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明のクリップは、請求項1に記載のクリップにおいて、前記収容部は、互いに間隔をあけて相対し、かつ互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備え、前記線条体支持部は、前記通し片に一端が連なり、かつ前記通し片から前記収容部の奥に向かって延在しているとともに、他端が互いに重なる一対の弾性変形自在な弾性支持片を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の本発明のクリップは、請求項2に記載のクリップにおいて、前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結した蓋体を備え、該蓋体は、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在であることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の本発明の線条体の取付構造は、車体と、該車体に線条体を固定するクリップとを備えた線条体の取付構造において、前記クリップは、前記車体に係止する係止部と、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有した硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記線条体支持部は、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっていることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項4に記載の線条体の取付構造において、前記収容部は、互いに間隔をあけて相対し、かつ互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備え、前記線条体支持部は、前記通し片に一端が連なり、かつ前記通し片から前記収容部の奥に向かって延在しているとともに、他端が互いに重なる一対の弾性変形自在な弾性支持片を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項5に記載の線条体の取付構造において、前記係止部が前記車体に係止すると、前記一対の通し片が前記車体を構成する壁に近づけられて、該一対の通し片間が前記壁により塞がれることを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項5に記載の線条体の取付構造において、前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結した蓋体を備え、該蓋体は、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在であることを特徴としている。
【0016】
請求項8に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項7に記載の線条体の取付構造において、前記係止部が前記車体に係止すると、前記一対の通し片間を塞いだ蓋体が前記車体を構成する壁に重なることを特徴としている。
【0017】
請求項9に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項6又は請求項8に記載の線条体の取付構造において、前記車体には、前記係止部が係止する係止受け部が設けられ、
前記車体の品番が異なっても、前記壁と前記係止受け部との間隔が等しいことを特徴としている。
【0018】
請求項10に記載の本発明の線条体の取付構造は、請求項4ないし請求項9のうちいずれか一項に記載の線条体の取付構造において、前記線条体には、前記クリップが取り付けられる位置を示す印が設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項11に記載の本発明の線条体の組付方法は、車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、前記クリップが、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容した後、前記一対の通し片を前記車体を構成する壁に近づけて、該一対の通し片間を前記壁により塞いだ状態で、前記クリップを前記車体に取り付けることを特徴としている。
【0020】
請求項12に記載の本発明の線条体の組付方法は、車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、前記クリップが、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結して、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在な蓋体と、を備え、前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容した後、前記蓋体で前記一対の通し片間を塞いだ後、該蓋体を前記車体を構成する壁に重ねた状態で、前記クリップを前記車体に取り付けることを特徴としている。
【0021】
請求項13に記載の本発明の線条体の組付方法は、車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、前記クリップが、断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結して、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在な蓋体と、を備え、前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、前記クリップを前記車体に取り付けた後、前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容してから前記蓋体で前記一対の通し片間を塞ぐことを特徴としている。
【0022】
請求項1に記載した本発明のクリップによれば、収容部が硬質であるので、収容部内に線条体を挿入して収容部の形状を変更することなく、車体に取り付けることができる。また、線条体支持部が収容部内から線条体が抜け出ることを規制するので、収容部内に線条体を挿入するだけで、線条体に取り付けることができる。さらに、線条体支持部が収容部内の線条体を収容部の奥に向かって付勢するので、収容部内で線条体ががたつくことを防止できる。
【0023】
請求項2に記載した本発明のクリップによれば、線条体支持部の弾性支持片が通し片から収容部の奥に向かって延在し、該弾性支持片の他端が互いに重なっている。このため、線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。
【0024】
請求項3に記載した本発明のクリップによれば、一対の通し片間を塞ぐことが可能な蓋体を備えているので、収容部内に収容した線条体が収容部外に抜け出ることを確実に防止できる。
【0025】
また、車体に取り付けられた収容部内に線条体を収容してから蓋体で一対の通し片間を塞ぐことができる。収容部内に線条体を収容して蓋体で一対の通し片間を塞いでから車体に取り付けることができる。このように、車体に取り付けられてから線条体が取り付けられても、線条体が取り付けられてから車体に取り付けられても、収容部から線条体が抜け出ることを確実に防止して、該線条体を車体に取り付けることができる。
【0026】
請求項4に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、クリップの収容部が硬質であるので、収容部内に線条体を挿入して収容部の形状を変更することなく、該クリップを車体に取り付けることができる。また、線条体支持部が収容部内から線条体が抜け出ることを規制するので、収容部内に線条体を挿入するだけで、クリップに線条体を取り付けることができる。さらに、線条体支持部が収容部内の線条体を収容部の奥に向かって付勢するので、クリップの収容部内で線条体ががたつくことを防止できる。
【0027】
請求項5に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、クリップの線条体支持部の弾性支持片が通し片から収容部の奥に向かって延在し、該弾性支持片の他端が互いに重なっている。このため、クリップは、線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。
【0028】
請求項6に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、車体に取り付けられると、一対の通し片間が車体を構成する壁で塞がれるので、クリップが車体に取り付けられると、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【0029】
請求項7に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、クリップは、一対の通し片間を塞ぐことが可能な蓋体を備えている。このため、クリップの収容部内に収容した線条体が収容部外に抜け出ることを確実に防止できる。
【0030】
また、車体に取り付けられたクリップの収容部内に線条体を収容してから蓋体で一対の通し片間を塞ぐことができる。収容部内に線条体を収容して蓋体で一対の通し片間を塞いでからクリップを車体に取り付けることができる。このように、車体に取り付けられてから線条体が取り付けられても、線条体が取り付けられてから車体に取り付けられても、収容部から線条体が抜け出ることを確実に防止して、クリップが該線条体を車体に取り付けることができる。
【0031】
請求項8に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、車体に取り付けられると、一対の通し片間を塞いだ蓋体が車体を構成する壁に重なるので、蓋体が不意に一対の通し片間を開放することを防止でき、クリップが車体に取り付けられると、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【0032】
請求項9に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、車体の品番が異なっても、係止受け部と壁との間隔が等しいので、クリップを品番の異なる車体に用いることができる。
【0033】
請求項10に記載した本発明の線条体の取付構造によれば、線条体にクリップの取り付け位置を示す印を設けている。このため、線条体の所望の位置に確実にクリップを取り付けることができる。
【0034】
請求項11に記載した本発明の線条体の組付方法によれば、クリップの収容部内に線条体を収容した後、収容部の通し片を壁に近づけて、通し片間を壁で塞ぐので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【0035】
請求項12に記載した本発明の線条体の組付方法によれば、クリップの収容部内に線条体を収容した後、蓋体で一対の通し片間を塞ぎ、蓋体を壁に重ねるので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【0036】
請求項13に記載した本発明の線条体の組付方法によれば、車体に取り付けられたクリップの収容部内に線条体を収容した後、蓋体で一対の通し片間を塞ぐので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、収容部内に線条体を挿入して収容部の形状を変更することなく車体に取り付けることができ、収容部内に線条体を挿入するだけで、線条体に取り付けることができる。したがって、線条体を車体に配索するためにかかる手間を減少でき、該線条体の配索作業の効率を向上することができる。
【0038】
また、収容部内で線条体ががたつくことを防止できるので、収容部と線条体とが接触と離間を繰り返して、該線条体が破損することを防止できる。
【0039】
請求項2に記載の本発明は、線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。
【0040】
請求項3に記載の本発明は、収容部内に収容した線条体が収容部外に抜け出ることを確実に防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0041】
車体に取り付けられてから線条体が取り付けられても、線条体が取り付けられてから車体に取り付けられても、収容部から線条体が抜け出ることを確実に防止して、該線条体を車体に取り付けることができる。
【0042】
請求項4に記載の本発明は、クリップの線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。
【0043】
また、クリップの収容部内で線条体ががたつくことを防止できるので、収容部と線条体とが接触と離間を繰り返して、該線条体が破損することを防止できる。
【0044】
請求項5に記載の本発明は、クリップの線条体支持部が収容部内に線条体が侵入することを確実に許容し、収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。
【0045】
請求項6に記載の本発明は、一対の通し片間が車体を構成する壁で塞がれるので、クリップが車体に取り付けられるとクリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0046】
請求項7に記載の本発明は、蓋体によりクリップの収容部内に収容した線条体が収容部外に抜け出ることを確実に防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0047】
車体に取り付けられてからクリップに線条体が取り付けられても、線条体が取り付けられてからクリップが車体に取り付けられても、収容部から線条体が抜け出ることを確実に防止して、該線条体を車体に取り付けることができる。
【0048】
請求項8に記載の本発明は、一対の通し片間を塞いだ蓋体が車体を構成する壁に重なるので、蓋体が不意に一対の通し片間を開放することを防止でき、クリップが車体に取り付けられると、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することをより確実に防止できる。
【0049】
請求項9に記載の本発明は、クリップを品番の異なる車体に用いることができる。したがって、クリップの品番を減少できるので、クリップの量産効果を向上でき、低コスト化を図ることができる。
【0050】
請求項10に記載の本発明は、線条体にクリップの取り付け位置を示す印を設けているため、線条体の所望の位置に確実にクリップを取り付けることができる。
【0051】
請求項11に記載の本発明は、クリップの通し片間を壁で塞ぐので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0052】
また、クリップの線条体支持部により、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。さらに、クリップの収容部内で線条体ががたつくことを防止できるので、線条体が破損することを防止できる。
【0053】
請求項12に記載の本発明は、一対の通し片間を塞いだ蓋体を壁に重ねるので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0054】
また、クリップの線条体支持部により、線条体を車体に配索するためにかかる手間をより減少でき、該線条体の配索作業の効率をより向上することができる。さらに、クリップの収容部内で線条体ががたつくことを防止できるので、線条体が破損することを防止できる。
【0055】
請求項13に記載の本発明は、クリップの収容部内に線条体を収容した後、蓋体で一対の通し片間を塞ぐので、クリップを車体に取り付けた後に、クリップの収容部外に線条体が抜け出ることを防止できる。したがって、車体に取り付けられたクリップから線条体が不意に脱落することを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明の第1の実施形態にかかるクリップ及び線条体の取付構造を、図1ないし図10を参照して説明する。
【0057】
線条体の取付構造(以下、単に取付構造と呼ぶ)1は、図1および図2に示すように、自動車の車体としてのフレーム2と、複数のクリップ3とを備えている。取付構造1は、前述したフレーム2に、線条体としての複数のケーブル4を固定する構造である。
【0058】
図示例のフレーム2は、自動車としてのトラックの乗員室と後輪とを連結しかつ該トラックの側縁に前後方向に沿って配置されている。フレーム2は、図1および図2に示すように、鉛直方向に沿って互いに間隔をあけて平行に配される平板状の一対の水平板5と、これら水平板5の前記トラックの外側に位置する縁同士を連結した平板状の連結板6と、を一体に備えて、断面コ字形に形成されている。
【0059】
フレーム2の連結板6即ち車体には、係止受け部としての孔7が設けられている。孔7は、勿論、連結板6を貫通している。前述したフレーム2は、トラックの車種や大きさが異なると即ち車体の品番が異なると、大きさが異なる。例えば、フレーム2は、図10中の実線、一点鎖線や二点鎖線で示すように、車体の品番などが異なると、連結板6及び水平板5の幅などが異なる。
【0060】
また、フレーム2は、トラックの車種や大きさが異なっても即ち車体の品番が異なっても、図10中上方に位置する一方の水平板5(以下、符号5aで示す)と孔7との間隔Dが等しくなっている。また、前述した一方の水平板5aと孔7との間隔Dは、孔7に後述する係止部8が係止して、フレーム2にクリップ3が取り付けられた際にクリップ3の一対の通し片14の双方の先端部14cが一方の水平板5aに接触したり第2の実施形態で後述する蓋体16が一方の水平板5aに重なる寸法に形成されている。なお、一方の水平板5aは、本明細書に記した車体を構成する壁をなしている。
【0061】
前述したフレーム2は、一対の水平板5間で前記連結板6の表面上に複数のケーブル4を位置付けて、これらのケーブル4を収容する。
【0062】
図示例では、ケーブル4は、三本設けられている。ケーブル4は、複数の電線が束ねられて構成されている。電線は、導電性の芯線と絶縁性の被覆部とを備えた所謂被覆電線である。これら三本即ち複数のケーブル4は、前述した自動車としてのトラックに配索されて、該トラックの電子機器同士を電気的に接続するワイヤハーネスを構成する。
【0063】
クリップ3は、絶縁性の合成樹脂からなり、図3ないし図6に示すように、係止部8と、収容部9と、線条体支持部10とを一体に備えている。
【0064】
係止部8は、図4ないし図6に示すように、係止片11と、一対の弾性片12と、を備えている。係止片11は、収容部9の後述する一方の通し片14aから収容部9の外側に向かって立設している。係止片11は、前述した孔7に係止する。弾性片12は、図示例では、一対設けられ、互いの間に係止片11を位置付けている。弾性片12は、一方の通し片14aから係止片11と同方向に立設している。また、一対の弾性片12は、一方の通し片14aから離れるのにしたがって、徐々に互いに離れる方向に延びている。弾性片12は、係止片11が孔7に係止すると、前記フレーム2の連結板6を押圧して、収容部9を連結板6から離れる方向に付勢する。
【0065】
前述した係止部8は、係止片11が孔7内に係止し、弾性片12が連結板6を押圧することで、車体のフレーム2に係止して取り付けられる。
【0066】
収容部9は、硬質(変形しにくい)の合成樹脂からなり、平板状の底板13と、平板状の一対の通し片14とを備えている。なお、本明細書に記した硬質とは、クリップ3の通常の使用条件では変形しない(殆ど変形しない)ことを示している。
【0067】
通し片14は、底板13の互いに逆側に位置する両縁から互いに同方向に立設している。一対の通し片14は、互いに平行である。一方の通し片14(以下、符号14aで示す)には、前述した係止片11と弾性片12とが立設している。このように、収容部9は、底板13と一対の通し片14とを備えて、断面コ字形即ち断面樋状に形成されている。
【0068】
前述した収容部9は、図5に示すように、通し片14間でかつ底板13上に複数のケーブル4を位置付けて、該ケーブル4を収容する。このとき、ケーブル4は、通し片14の底板13から離れた側の縁部(以下、先端部と呼ぶ)14c間を通される。これら一対の通し片14の先端部14c間は、本明細書に記したケーブル4を出し入れ可能な通し部14dをなしている。即ち、収容部9は、通し部14dを備えている。さらに、前述した収容部9は、係止部8がフレーム2に係止すると、図6に示すように、双方の通し片14の先端部14cがフレーム2の一方の水平板5aに近づいて、該一方の水平板5aに接触する。
【0069】
線条体支持部10は、一対の弾性支持片15を備えている。弾性支持片15は、前述した底板13や通し片14より薄い板状に形成されており、弾性変形自在となっている。一方の弾性支持片15は、一端が一方の通し片14aの先端部14cに連なり、該一方の通し片14aの先端部14cから他方の通し片14(以下、符号14bで示す)に近づきかつ底板13に向かって即ち収容部9の奥に向かって延在している。
【0070】
また、他方の弾性支持片15は、一端が他方の通し片14bの先端部14cに連なり、該他方の通し片14bの先端部14cから一方の通し片14aに近づきかつ底板13に向かって即ち収容部9の奥に向かって延在している。また、一対の弾性支持片15の他端は、互いに重なり、他方の弾性支持片15の他端が一方の弾性支持片15の他端より底板13寄り即ち収容部9の奥に位置付けられている。
【0071】
前述した線条体支持部10は、一対の弾性支持片15の一端が通し片14a,14bの先端部14cに連なることで、前述した通し部14dに設けられている。また、弾性支持片15は、収容部9内のケーブル4などから押圧されると、該ケーブル4を底板13即ち収容部9の奥に向かって付勢する。前述したように弾性変形自在な一対の弾性支持片15が一端から他端に向かって延在することで、線条体支持部10は、収容部9内にケーブル4が挿入されることを許容し、かつ収容部9内のケーブル4が通し部14dを通って収容部9外に抜け出ることを規制する構成となっている。また、線条体支持部10は、収容部9内のケーブル4を該収容部9の奥に向かって付勢する構成となっている。
【0072】
前述した構成の取付構造1を組み立てる際、即ち、前述したクリップ3を用いてケーブル4をフレーム2に組み付ける際には、以下のように行う。
【0073】
まず、図7に示すように、クリップ3の通し部14dを、ケーブル4と相対させる。このとき、収容部9の底板13とケーブル4の長手方向とを平行にする。そして、図7中の矢印に沿って、ケーブル4を通し片14a,14b間即ち通し部14d内に挿入する。すると、弾性支持片15が一端から他端に向かって前述したように延びているので、弾性支持片15にケーブル4が当接すると、これらの弾性支持片15が互いに離れる方向に弾性変形する。
【0074】
そして、図8に示すように、一対の通し片14a,14b間で底板13と一対の弾性支持片15との間即ち収容部9内に前述したケーブル4が収容される。このとき、ケーブル4が、弾性支持片15に当接して、該弾性支持片15を底板13から離れる方向に押圧すると、弾性支持片15が、ケーブル4を底板13即ち収容部9の奥に向かって押圧する。こうして、複数のケーブル4にクリップ3を取り付ける。
【0075】
その後、図8に示すように、係止部8をフレーム2に設けられた孔7に相対させた後、係止部8の係止片11を孔7内に圧入する。すると、図9に示すように、係止片11がフレーム2の孔7に係止し、弾性片12がフレーム2の連結板6に当接する。さらに、クリップ3の収容部9の一対の通し片14a,14bの先端部14cをフレーム2の一方の水平板5aに近づけて、一対の通し片14a,14b間即ち通し部14dを前記一方の水平板5aで塞いだ状態で、係止部8をフレーム2に係止させる。こうして、ケーブル4に取り付けられたクリップ3がフレーム2に取り付けられて、ケーブル4がフレーム2に組み付けられるとともに、取付構造1が組み立てられる。
【0076】
本実施形態によれば、クリップ3の収容部9が硬質であるので、収容部9内にケーブル4を挿入した後に収容部9の形状を変更することなく、該クリップ3を車体のフレーム2に取り付けることができる。また、線条体支持部10が収容部9内からケーブル4が抜け出ることを規制するので、収容部9内にケーブル4を挿入するだけで、クリップ3にケーブル4を取り付けることができる。
【0077】
このため、クリップ3の線条体支持部10が収容部9内にケーブル4が侵入することを確実に許容し、収容部9内のケーブル4が該収容部9外に抜け出ることを確実に規制できる。したがって、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。
【0078】
さらに、線条体支持部10が収容部9内のケーブル4を収容部9の奥に向かって付勢するので、クリップ3の収容部9内でケーブル4ががたつくことを防止できる。このため、収容部9とケーブル4とが接触と離間を繰り返して、該ケーブル4が破損することを防止できる。
【0079】
クリップ3の線条体支持部10の弾性支持片15が通し片14a,14bから収容部9の奥に向かって延在し、該弾性支持片15の他端が互いに重なっている。このため、クリップ3は、線条体支持部10が収容部9内にケーブル4が侵入することを確実に許容し、収容部9内のケーブル4が該収容部9外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。
【0080】
また、車体のフレーム2に取り付けられると、クリップ3の一対の通し片14a,14b間が車体を構成する一方の水平板5aで塞がれるので、クリップ3が車体のフレーム2に取り付けられると、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0081】
品番の互いに異なる車体のフレーム2の係止受け部としての孔7と一方の水平板5aとの間隔Dが、互いに等しいので、クリップ3を品番の異なる車体のフレーム2に用いることができる。したがって、クリップ3の品番を減少できるので、クリップ3の量産効果を向上でき、低コスト化を図ることができる。
【0082】
さらに、クリップ3の収容部9内にケーブル4を収容した後、収容部9の通し片14a,14bを一方の水平板5aに近づけて、通し片14a,14b間を一方の水平板5aで塞ぐので、クリップ3を車体のフレーム2に取り付けた後に、クリップ3の収容部9外に線条体としてのケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0083】
また、クリップ3の線条体支持部10により、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。さらに、クリップ3の収容部9内でケーブル4ががたつくことを防止できるので、ケーブル4が破損することを防止できる。
【0084】
次に、本発明の第2の実施形態にかかるクリップ及び線条体の取付構造を、図11ないし図22を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
本実施形態においても、取付構造1は、図11および図12に示すように、フレーム2と、複数のクリップ3を備えている。また、本実施形態のクリップ3は、図13ないし図16に示すように、蓋体16を備えている。蓋体16は、平板状に形成され、一方の縁部がヒンジ17を介して、一方の通し片14aの先端部14cに連結されている。
【0086】
蓋体16は、ヒンジ17を中心として回転自在となっている。蓋体16は、図13などに示すように一対の通し片14a,14b間を開放する位置と、図15に示すように一対の通し片14a,14b間を塞ぐ位置とに亘って、ヒンジ17を中心として回転自在となっている。また、ヒンジ17が弾性変形していない中立位置に位置付けられると、前記蓋体16は、一対の通し片14a,14b間を開放する位置に位置付けられる。
【0087】
さらに、他方の通し片14bの先端部14cと、蓋体16の他方の縁部とには、互いに係止する係止突起18,19が設けられている。係止突起18,19は、互いに係止して、前記蓋体16を前記一対の通し片14a,14b間を塞ぐ位置に保つ。
【0088】
また、本実施形態では、一方の水平板5aと孔7との間隔D(図22に示す)は、図22中に実線、一点鎖線および二点鎖線で示すように、フレーム2の大きさ(品番)が異なっても互いに等しくなっている。本実施形態では、間隔Dは、図16に示すように、孔7に係止部8が係止すると一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16が一方の水平板5aに重なる寸法になっている。さらに、クリップ3は、図15および図16に示すように、収容部9内の底板13と一対の弾性支持片15との間にケーブル4を二本収容し、一対の弾性支持片15と蓋体16との間にケーブル4を一本収容する。
【0089】
本実施形態の取付構造1を組み立てる際、即ち、前述したクリップ3を用いてケーブル4をフレーム2に組み付ける際には、以下のように行う。
【0090】
まず、図17に示すように、係止突起18,19を互いに係止させずに、一対の通し片14a,14b間を開放する位置に蓋体16を位置付けて、クリップ3の通し部14dを、ケーブル4と相対させる。このとき、収容部9の底板13とケーブル4の長手方向とを平行にする。そして、図17中の矢印に沿って、ケーブル4を通し片14a,14b間即ち通し部14dに挿入する。すると、弾性支持片15が一端から他端に向かって前述した第1の実施形態と同様に延びているので、弾性支持片15にケーブル4が当接すると、これらの弾性支持片15が互いに離れる方向に弾性変形する。
【0091】
そして、図18に示すように、一対の通し片14a,14b間で底板13と一対の弾性支持片15との間にケーブル4が二本収容され、一対の通し片14a,14b間で一対の弾性支持片15上にケーブル4が一本収容される。こうして、収容部9内に前述したケーブル4が収容される。このとき、ケーブル4が、弾性支持片15に当接して、該弾性支持片15を底板13から離れる方向に押圧すると、弾性支持片15が、ケーブル4を底板13即ち収容部9の奥に向かって押圧する。こうして、複数のケーブル4にクリップ3を取り付ける。
【0092】
その後、図18中の矢印で示すように、ヒンジ17を中心として蓋体16をヒンジ17の弾性復元力に抗して回転する。そして、図19に示すように、係止突起18,19を互いに係止して、蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぐ。即ち、一対の通し片14a,14b間を塞ぐ位置に、蓋体16を位置付ける。
【0093】
そして、図20に示すように、係止部8をフレーム2に設けられた孔7に相対させた後、係止部8の係止片11を孔7内に圧入する。すると、図21に示すように、係止片11がフレーム2の孔7に係止し、弾性片12がフレーム2の連結板6に当接する。さらに、クリップ3の収容部9の一対の通し片14a,14bの先端部14cをフレーム2の一方の水平板5aに近づけて、一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16を前記一方の水平板5aに重ねた状態で、係止部8をフレーム2に係止させる。こうして、ケーブル4に取り付けられたクリップ3がフレーム2に取り付けられて、ケーブル4がフレーム2に組み付けられるとともに、取付構造1が組み立てられる。
【0094】
本実施形態によれば、クリップ3の収容部9が硬質であるので、収容部9内にケーブル4を挿入した後に収容部9の形状を変更することなく、該クリップ3を車体のフレーム2に取り付けることができる。また、線条体支持部10が収容部9内からケーブル4が抜け出ることを規制するので、収容部9内にケーブル4を挿入するだけで、クリップ3にケーブル4を取り付けることができる。
【0095】
このため、クリップ3の線条体支持部10が収容部9内にケーブル4が侵入することを確実に許容し、収容部9内のケーブル4が該収容部9外に抜け出ることを確実に規制できる。したがって、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。
【0096】
さらに、線条体支持部10が収容部9内のケーブル4を収容部9の奥に向かって付勢するので、クリップ3の収容部9内でケーブル4ががたつくことを防止できる。このため、収容部9とケーブル4とが接触と離間を繰り返して、該ケーブル4が破損することを防止できる。
【0097】
クリップ3の線条体支持部10の弾性支持片15が通し片14a,14bから収容部9の奥に向かって延在し、該弾性支持片15の他端が互いに重なっている。このため、クリップ3は、線条体支持部10が収容部9内にケーブル4が侵入することを確実に許容し、収容部9内のケーブル4が該収容部9外に抜け出ることを確実に規制できる。このため、ケーブル4を車体のフレーム2に配索するためにかかる手間をより減少でき、該ケーブル4の配索作業の効率をより向上することができる。
【0098】
また、車体のフレーム2に取り付けられると、クリップ3の一対の通し片14a,14b間が車体を構成する一方の水平板5aで塞がれるので、クリップ3が車体のフレーム2に取り付けられると、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0099】
品番の互いに異なる車体のフレーム2の係止受け部としての孔7と一方の水平板5aとの間隔Dが、互いに等しいので、クリップ3を品番の異なる車体のフレーム2に用いることができる。したがって、クリップ3の品番を減少できるので、クリップ3の量産効果を向上でき、低コスト化を図ることができる。
【0100】
クリップ3は、一対の通し片14a,14b間を塞ぐことが可能な蓋体16を備えている。このため、クリップ3の収容部9内に収容したケーブル4が収容部9外に抜け出ることを確実に防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0101】
クリップ3が車体のフレーム2に取り付けられると、一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16が車体のフレーム2の一方の水平板5aに重なるので、蓋体16が不意に一対の通し片14a,14b間を開放することを防止でき、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することをより確実に防止できる。
【0102】
品番の異なる車体のフレーム2の孔7と水平板5aとの間隔Dが等しいので、クリップ3を品番の異なる車体のフレーム2に用いることができる。したがって、クリップ3の品番を減少できるので、クリップ3の量産効果を向上でき、低コスト化を図ることができる。
【0103】
クリップ3の収容部9内にケーブル4を収容した後、蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぎ、蓋体16を一方の水平板5aに重ねるので、クリップ3を車体のフレーム2に取り付けた後に、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0104】
次に、本発明の第3の実施形態にかかるクリップ及び線条体の取付構造を、図23ないし図27を参照して説明する。なお、前述した第2の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0105】
本実施形態においても、図23等に示すように、クリップ3は、前述した第2の実施形態と同様に蓋体16を備えている。また、クリップ3の係止部8は、他方の通し片14bから立設している。クリップ3は、図27に示すように、係止部8を孔7に係止させると、一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16と、一方の水平板5aとが間隔をあけて相対するようになっている(即ち、一対の通し片14a,14b間を塞いだ蓋体16が一方の水平板5aと重ならないようになっている)。
【0106】
本実施形態の取付構造1を組み立てる際、即ち、前述したクリップ3を用いてケーブル4をフレーム2に組み付ける際には、以下のように行う。
【0107】
まず、図23に示すように、係止突起18,19を互いに係止させずに、一対の通し片14a,14b間を開放する位置に蓋体16を位置付けて、係止部8をフレーム2に設けられた孔7に相対させた後、係止部8の係止片11を孔7内に圧入する。すると、図24に示すように、係止片11がフレーム2の孔7に係止し、弾性片12がフレーム2の連結板6に当接する。
【0108】
その後、収容部9の底板13とケーブル4の長手方向とを平行にして、図25中の矢印に沿って、ケーブル4を通し片14a,14b間即ち通し部14dに挿入する。すると、弾性支持片15が一端から他端に向かって前述した第1および第2の実施形態と同様に延びているので、弾性支持片15にケーブル4が当接すると、これらの弾性支持片15が互いに離れる方向に弾性変形する。
【0109】
そして、図26に示すように、一対の通し片14a,14b間で底板13と一対の弾性支持片15との間にケーブル4が二本収容され、一対の通し片14a,14b間で一対の弾性支持片15上にケーブル4が一本収容される。こうして、収容部9内に前述したケーブル4が収容される。このとき、ケーブル4が、弾性支持片15に当接して、該弾性支持片15を底板13から離れる方向に押圧すると、弾性支持片15が、ケーブル4を底板13即ち収容部9の奥に向かって押圧する。こうして、複数のケーブル4にクリップ3を取り付ける。
【0110】
その後、図26中の矢印で示すように、ヒンジ17を中心として蓋体16をヒンジ17の弾性復元力に抗して回転する。そして、図27に示すように、係止突起18,19を互いに係止して、蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぐ。即ち、一対の通し片14a,14b間を塞ぐ位置に、蓋体16を位置付ける。こうして、ケーブル4に取り付けられたクリップ3がフレーム2に取り付けられて、ケーブル4がフレーム2に組み付けられるとともに、取付構造1が組み立てられる。
【0111】
本実施形態によれば、クリップ3が、蓋体16を備えている。このため、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3の収容部9内にケーブル4を収容してから蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぐことができる。収容部9内にケーブル4を収容して蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞いでからクリップ3を車体のフレーム2に取り付けることができる。
【0112】
このように、車体のフレーム2に取り付けられてからケーブル4が取り付けられても、ケーブル4が取り付けられてから車体のフレーム2に取り付けられても、収容部9からケーブル4が抜け出ることを確実に防止して、クリップ3が該ケーブル4を車体のフレーム2に取り付けることができる。
【0113】
また、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3の収容部9内にケーブル4を収容した後、蓋体16で一対の通し片14a,14b間を塞ぐので、クリップ3を車体のフレーム2に取り付けた後に、クリップ3の収容部9外にケーブル4が抜け出ることを防止できる。したがって、車体のフレーム2に取り付けられたクリップ3からケーブル4が不意に脱落することを確実に防止できる。
【0114】
前述した第1ないし第3の実施形態では、図28に示すように、ケーブル4に、クリップ3が取り付けられる位置を示す印としてのチューブ20を設けても良い。なお、図28において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0115】
図28に示す場合では、チューブ20は、弾性材料からなり、円筒状に形成されて、ケーブル4の外周に取り付けられる。チューブ20は、ケーブル4のクリップ3の収容部9内に収容される箇所に設けられる。また、チューブ20には、外周方向に向かって突出し、互いに干渉(接触して)ケーブル4を位置決めするためのひげ21が複数設けられている。
【0116】
図28に示す場合では、ケーブル4にクリップ3の取り付け位置を示す印としてのチューブ20を設けている。このため、ケーブル4の所望の位置に確実にクリップ3を取り付けることができる。なお、図28では、チューブ20を用いたが、本発明では、印としてテープを用いたり、ケーブルの外表面を着色するなどして印を形成しても良い。要するに、本発明では、種々の手段を用いて、印を設けても良い。
【0117】
前述した実施形態では、線条体として、複数の電線を束ねて構成されるケーブル4を示している。しかしながら、本発明では、線条体として、電線や、各種のワイヤや配管などを用いても良い。要するに、本発明は、断面形状が一定で長尺の物品を線条体として、該線条体を固定する際に用いるクリップ3、クリップ3を備えた線条体の取付構造1、クリップ3を用いた線条体の組付方法である。
【0118】
また、前述した実施形態では、収容部9が断面コ字形に形成されて、クリップ3が四角形に形成されている。しかしながら、本発明では、例えば、収容部9が断面C字形に形成されて、クリップ3が円形に形成されても良い。要するに、本発明では、収容部9即ちクリップ3を種々の形状にしても良い。
【0119】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる線条体の取付構造の一部を示す斜視図である。
【図2】図1に示された線条体の取付構造の分解斜視図である。
【図3】図1に示された線条体の取付構造のクリップを示す斜視図である。
【図4】図3に示されたクリップの正面図である。
【図5】図4に示されたクリップがケーブルに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図6】図1中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図4に示されたクリップの通し部に電線を相対させた状態を示す断面図である。
【図8】図7に示されたクリップの収容部内に電線を収容して係止部をフレームの孔に相対させた状態を示す断面図である。
【図9】図8に示されたクリップの係止部をフレームに係止させた状態を示す断面図である。
【図10】図9に示されたフレームと他の品番のフレームなどを示す説明図である。
【図11】本発明の第2の実施形態にかかる線条体の取付構造の一部を示す斜視図である。
【図12】図11に示された線条体の取付構造の分解斜視図である。
【図13】図11に示された線条体の取付構造のクリップを示す斜視図である。
【図14】図13に示されたクリップの正面図である。
【図15】図14に示されたクリップがケーブルに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図16】図11中のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【図17】図14に示されたクリップの通し部に電線を相対させた状態を示す断面図である。
【図18】図17に示されたクリップの収容部内に電線を収容した状態を示す断面図である。
【図19】図18に示されたクリップの蓋体で通し片間を塞いだ状態を示す断面図である。
【図20】図19に示されたクリップの係止部をフレームの孔に相対させた状態を示す断面図である。
【図21】図20に示されたクリップの係止部をフレームに係止させた状態を示す断面図である。
【図22】図21に示されたフレームと他の品番のフレームなどを示す説明図である。
【図23】本発明の第3の実施形態にかかる線条体の取付構造のクリップの係止部をフレームの孔に相対させた状態を示す断面図である。
【図24】図23に示されたクリップの係止部をフレームに係止させた状態を示す断面図である。
【図25】図24に示されたクリップの通し部に電線を挿入する状態を示す断面図である。
【図26】図25に示されたクリップの収容部に電線を収容した状態を示す断面図である。
【図27】図26に示されたクリップの蓋体で通し片間を塞いだ状態を示す断面図である。
【図28】本発明の線条体としてのケーブルの変形例などを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0121】
1 線条体の取付構造
2 フレーム(車体)
3 クリップ
4 ケーブル(線条体)
5a 一方の水平板(壁)
7 孔(係止受け部)
8 係止部
9 収容部
10 線条体支持部
14,14a,14b 通し片
14d 通し部
15 弾性支持片
16 蓋体
17 ヒンジ
20 チューブ(印)
D 間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に線条体を固定するクリップにおいて、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有した硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記線条体支持部は、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっていることを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記収容部は、互いに間隔をあけて相対し、かつ互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備え、
前記線条体支持部は、前記通し片に一端が連なり、かつ前記通し片から前記収容部の奥に向かって延在しているとともに、他端が互いに重なる一対の弾性変形自在な弾性支持片を備えたことを特徴とする請求項1記載のクリップ。
【請求項3】
前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結した蓋体を備え、該蓋体は、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在であることを特徴とする請求項2記載のクリップ。
【請求項4】
車体と、該車体に線条体を固定するクリップとを備えた線条体の取付構造において、
前記クリップは、
前記車体に係止する係止部と、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有した硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記線条体支持部は、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっていることを特徴とする線条体の取付構造。
【請求項5】
前記収容部は、互いに間隔をあけて相対し、かつ互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備え、
前記線条体支持部は、前記通し片に一端が連なり、かつ前記通し片から前記収容部の奥に向かって延在しているとともに、他端が互いに重なる一対の弾性変形自在な弾性支持片を備えたことを特徴とする請求項4記載の線条体の取付構造。
【請求項6】
前記係止部が前記車体に係止すると、前記一対の通し片が前記車体を構成する壁に近づけられて、該一対の通し片間が前記壁により塞がれることを特徴とする請求項5記載の線条体の取付構造。
【請求項7】
前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結した蓋体を備え、該蓋体は、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在であることを特徴とする請求項5記載の線条体の取付構造。
【請求項8】
前記係止部が前記車体に係止すると、前記一対の通し片間を塞いだ蓋体が前記車体を構成する壁に重なることを特徴とする請求項7記載の線条体の取付構造。
【請求項9】
前記車体には、前記係止部が係止する係止受け部が設けられ、
前記車体の品番が異なっても、前記壁と前記係止受け部との間隔が等しいことを特徴とする請求項6または請求項8記載の線条体の取付構造。
【請求項10】
前記線条体には、前記クリップが取り付けられる位置を示す印が設けられていることを特徴とする請求項4ないし請求項9のうちいずれか一項に記載の線条体の取付構造。
【請求項11】
車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、
前記クリップが、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、
前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容した後、前記一対の通し片を前記車体を構成する壁に近づけて、該一対の通し片間を前記壁により塞いだ状態で、前記クリップを前記車体に取り付けることを特徴とする線条体の組付方法。
【請求項12】
車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、
前記クリップが、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結して、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在な蓋体と、を備え、
前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、
前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容した後、前記蓋体で前記一対の通し片間を塞いだ後、該蓋体を前記車体を構成する壁に重ねた状態で、前記クリップを前記車体に取り付けることを特徴とする線条体の組付方法。
【請求項13】
車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、
前記クリップが、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結して、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在な蓋体と、を備え、
前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、
前記クリップを前記車体に取り付けた後、前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容してから前記蓋体で前記一対の通し片間を塞ぐことを特徴とする線条体の組付方法。
【請求項1】
車体に線条体を固定するクリップにおいて、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有した硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記線条体支持部は、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっていることを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記収容部は、互いに間隔をあけて相対し、かつ互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備え、
前記線条体支持部は、前記通し片に一端が連なり、かつ前記通し片から前記収容部の奥に向かって延在しているとともに、他端が互いに重なる一対の弾性変形自在な弾性支持片を備えたことを特徴とする請求項1記載のクリップ。
【請求項3】
前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結した蓋体を備え、該蓋体は、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在であることを特徴とする請求項2記載のクリップ。
【請求項4】
車体と、該車体に線条体を固定するクリップとを備えた線条体の取付構造において、
前記クリップは、
前記車体に係止する係止部と、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有した硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記線条体支持部は、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっていることを特徴とする線条体の取付構造。
【請求項5】
前記収容部は、互いに間隔をあけて相対し、かつ互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備え、
前記線条体支持部は、前記通し片に一端が連なり、かつ前記通し片から前記収容部の奥に向かって延在しているとともに、他端が互いに重なる一対の弾性変形自在な弾性支持片を備えたことを特徴とする請求項4記載の線条体の取付構造。
【請求項6】
前記係止部が前記車体に係止すると、前記一対の通し片が前記車体を構成する壁に近づけられて、該一対の通し片間が前記壁により塞がれることを特徴とする請求項5記載の線条体の取付構造。
【請求項7】
前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結した蓋体を備え、該蓋体は、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在であることを特徴とする請求項5記載の線条体の取付構造。
【請求項8】
前記係止部が前記車体に係止すると、前記一対の通し片間を塞いだ蓋体が前記車体を構成する壁に重なることを特徴とする請求項7記載の線条体の取付構造。
【請求項9】
前記車体には、前記係止部が係止する係止受け部が設けられ、
前記車体の品番が異なっても、前記壁と前記係止受け部との間隔が等しいことを特徴とする請求項6または請求項8記載の線条体の取付構造。
【請求項10】
前記線条体には、前記クリップが取り付けられる位置を示す印が設けられていることを特徴とする請求項4ないし請求項9のうちいずれか一項に記載の線条体の取付構造。
【請求項11】
車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、
前記クリップが、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、
前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容した後、前記一対の通し片を前記車体を構成する壁に近づけて、該一対の通し片間を前記壁により塞いだ状態で、前記クリップを前記車体に取り付けることを特徴とする線条体の組付方法。
【請求項12】
車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、
前記クリップが、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結して、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在な蓋体と、を備え、
前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、
前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容した後、前記蓋体で前記一対の通し片間を塞いだ後、該蓋体を前記車体を構成する壁に重ねた状態で、前記クリップを前記車体に取り付けることを特徴とする線条体の組付方法。
【請求項13】
車体に線条体を固定するクリップを用いた線条体の組付方法において、
前記クリップが、
断面樋状に形成され、かつ前記線条体が出し入れ可能な通し部を有しているとともに、互いに間隔をあけて相対して互いの間に前記線条体を位置付ける一対の通し片を備えた硬質の収容部と、
前記通し部に設けられた線条体支持部と、を備え、
前記一対の通し片のうち一方の通し片にヒンジを介して連結して、前記一対の通し片間を開放する位置と、前記一対の通し片間を塞ぐ位置とに亘って、前記ヒンジを中心として回転自在な蓋体と、を備え、
前記線条体支持部が、前記収容部内に線条体が挿入されることを許容し、かつ前記収容部内の線条体が該収容部外に抜け出ることを規制するとともに、前記収容部内の前記線条体を該収容部の奥に向かって付勢する構成となっているとともに、
前記クリップを前記車体に取り付けた後、前記通し部を通して前記線条体を前記収容部内に収容してから前記蓋体で前記一対の通し片間を塞ぐことを特徴とする線条体の組付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
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【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2006−166573(P2006−166573A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353299(P2004−353299)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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