説明

クリーニングツール、これを備えたツール交換装置、及びツール交換方法

【課題】ワーク加工精度を高めることができるクリーニングツールを提供する。
【解決手段】工作機械におけるツール駆動主軸2のツール装着面25をエアの吸引によって清掃するためのエア吸引器32Cを有し、エア吸引器32Cのエア吸引による清掃状態においてツール駆動主軸2のツール装着面25に接近する位置に配置されている。これにより、ツール装着面25全体の清掃を確実に行うことができ、ツール装着面25に対する加工ツール4の良好な装着精度を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工作機械におけるツール駆動主軸のツール装着面を清掃するためのクリーニングツール、これを備えたツール交換装置、及びツール交換方法に関する。
【0002】
周知のように、工作機械には研削盤及び旋盤・フライス盤等があり、これら各種の工作機械はその加工内容に応じて選択的に用いられる。
【0003】
このような工作機械においては、砥石,切削工具等の加工ツールを保持する主軸や、ワークを保持するテーブル等を所望の位置に移動させたり、所望の角度で回動させたりすることにより、ワークと加工ツールとを相対的に変位させて研削や切削等の加工が行われる。
【0004】
従来、この種の工作機械には、複数の加工ツールを着脱可能に保持するツールマガジンを有し、ツールマガジンと主軸との間で加工ツールを交換するツール交換装置を備えたものが知られている。
【0005】
このような工作機械における加工ツールの交換は、主軸のツール装着面に装着された加工ツールを離脱してツールマガジンに回収した後、ツールマガジンに保持された複数の加工ツールのうち所望の加工ツールを主軸のツール装着面に装着することにより行われる。
【0006】
ところで、この種の工作機械においては、ワーク加工時に発生する切り屑や塵埃等が主軸のツール装着面に付着すると、ツール交換時に主軸のツール装着面に加工ツールを密接した状態で装着することができない。
【0007】
このため、従来の工作機械の主軸には、ツール装着面に開口するエア供給用の通路が設けられている(特許文献1)。これにより、ツール交換時に加工ツールを主軸のツール装着面に接近させた際、エア供給用の通路からクリーニング用のエアを加工ツール側に吐き出し、ツール装着面に付着した切り屑や塵埃等を除去することが行われる。
【特許文献1】特開2001−310229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示す工作機械によると、ツール装着面のクリーニングが主軸側から加工ツール側にクリーニング用のエアを吐き出して行われるため、ツール装着面全体を確実に清掃することが困難であった。この結果、ツール装着面に対する加工ツールの装着精度が悪くなり、ワーク加工精度が低下するという問題があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、ツール装着面に対する加工ツールの良好な装着精度を得ることができ、もってワーク加工精度を高めることができるクリーニングツール、これを備えたツール交換装置、及びツール交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、工作機械におけるツール駆動主軸のツール装着面をエアの吸引によって清掃するためのエア吸引器を有し、前記エア吸引器のエア吸引による清掃状態において前記ツール駆動主軸のツール装着面に接近する位置に配置されていることを特徴とするクリーニングツールを提供する。
【0011】
(2)本発明は、上記目的を達成するために、工作機械におけるツール駆動主軸のツール装着面に着脱可能に保持された主軸側の加工ツールと、ツールマガジンに着脱可能に保持されたマガジン側の加工ツールとを交換するツール交換装置であって、前記ツールマガジンに取り付けられたクリーニングツールを備え、前記クリーニングツールは、前記ツール駆動主軸のツール装着面をエアの吸引によって清掃するためのエア吸引器を有し、前記エア吸引器のエア吸引による清掃状態において前記ツール駆動主軸のツール装着面に接近する位置に配置されていることを特徴とするツール交換装置を提供する。
【0012】
(3)本発明は、上記目的を達成するために、工作機械におけるツール駆動主軸のツール装着面に着脱可能に保持された主軸側の加工ツールと、ツールマガジンに着脱可能に保持されたマガジン側の加工ツールとを交換する方法であって、前記主軸側の加工ツールを前記ツール駆動主軸との装着を解除して前記ツールマガジンに装着する第1ステップと、予め前記ツールマガジンに取り付けられたクリーニングツールを前記ツール駆動主軸のツール装着面に相対的に接近させた後、前記クリーニングツールによって前記ツール駆動主軸のツール装着面を清掃する第2ステップと、前記クリーニングツールを前記ツール駆動主軸のツール装着面から相対的に離間させた後、前記マガジン側の加工ツールを前記ツール駆動主軸のツール装着面に装着する第3ステップとを備えたことを特徴とするツール交換方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、ツール装着面に対する加工ツールの良好な装着精度を得ることができ、ワーク加工精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール駆動主軸に対するクリーニングツールの嵌合状態を説明するために示す断面図である。図2は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール駆動主軸に対する加工ツールの装着状態を説明するために示す断面図である。なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれZ軸方向(図1における主軸方向)及びX軸方向(図1における紙面に平行しかつZ軸に直交する方向)・Y軸方向(X軸及びZ軸に直交する方向)とする。
【0015】
〔ツール交換装置の全体構成〕
図1及び図2において、符号1で示すツール交換装置は、ツール駆動主軸2及びツール保持具ユニット3とを備え、X軸及びZ軸を2軸とする直交座標平面内に配置されている。そして、ツール駆動主軸2とツール保持具ユニット3との間で主軸側の加工ツール4,4と保持具ユニット側の加工ツール4とを交換するように構成されている。
【0016】
(ツール駆動主軸2の構成)
図3は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール駆動主軸を説明するために示す断面図である。図4は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール駆動主軸に対する加工ツールの装着状態を示す断面図である。
【0017】
ツール駆動主軸2は、図3及び図4に示すように、その内部に圧力室(図示せず)を形成するための圧力壁20を有し、X軸ステージ(図示せず)上に搭載されたZ軸ステージ21に主軸ヘッド22及び軸受押え23を介して配置され、かつ主軸ヘッド22及び軸受押え22内に軸受(ボールベアリング)24,24,…を介して回転可能に支持され、全体がツール嵌合側に開口する截頭円錐形状の空間(テーパ孔)をもつ円筒体によって形成されている。そして、回転用アクチュエータ(図示せず)によってZ軸と平行な軸線の回りに回転するように、X軸ステージ移動用のアクチュエータ(図示せず)及びZ軸ステージ移動用のアクチュエータ(図示せず)によってX軸とZ軸に沿う方向に移動するように構成されている。
【0018】
ツール駆動主軸2の開口端部には、加工ツール4を着脱可能に保持するツール装着面25が設けられている。ツール装着面25は、加工ツール4又はクリーニングツール3C(後述)の各先端面に対向する扁平なツール受面250と、加工ツール4又はクリーニングツール3Cの各開口端部外周面に適合するツール嵌合面251とによって形成されている。ツール受面250はツール駆動主軸2の開口端面に、またツール嵌合面251はツール駆動主軸2の開口内周面にそれぞれ配置されている。
【0019】
ツール駆動主軸2には、その内周面に開口し、かつ係止爪5B,5B,…(後述)の凸部50B,50B,…を移動可能に案内する凹部26,26,…(実施の形態では4個)が円周方向に等間隔をもって設けられている。
【0020】
ツール駆動主軸2の内部空間には、加工ツール4を着脱可能に把持するツール把持装置5が収容されている。
【0021】
ツール把持装置5は、ツール駆動主軸2内にその中心軸線に沿って進退可能に位置するピストンロッド5A、このピストンロッド5A上で加工ツール4を係脱する複数の係止爪5B,5B,…(実施の形態では4個)、これら係止爪5B,5B,…をピストンロッド5Aの径方向に進退させるための楔状部材5C、この楔状部材5Cをツール側に押圧するプッシャー5D、このプッシャー5Dに楔状部材5Cの反ツール把持側でツール把持側に向かって弾撥力を付与するスプリング5E、このスプリング5Eの弾撥力を圧力壁20のツール把持側で受けるスプリング受け5F等を有し、ツール駆動主軸2と共にクランプユニットとして機能するように構成されている。
【0022】
(ツール保持具ユニット3の構成)
図5は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール保持具ユニットを説明するために示す断面図である。図6は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置におけるツール保持具ユニットのツール保持具を説明するために示す断面図である。図7は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置におけるツール保持具ユニットのクリーニングツールを説明するために示す断面図である。図8は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置におけるツール保持具ユニットのクリーニングツールを説明するために示す平面図である。図9は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置におけるツール保持具ユニットのクリーニングツールを説明するために示す側面図である。図10は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置における交換対象としての加工ツールを示す断面図である。
【0023】
ツール保持具ユニット3は、図5に示すように、ツールマガジン3A及びツール保持具3B,3B,…(実施の形態では3個)・クリーニングツール3C等を有し、ツール駆動主軸2の移動平面(X−Z軸平面)内に配置されている。
【0024】
<ツールマガジン3Aの構成>
ツールマガジン3Aは、図5に示すように、円周方向に並列する複数(実施の形態では3個)の保持具取付部30A〜32A、及びこれら複数の保持具取付部30A〜32Aのうち円周方向両端側の保持具取付部30A,32A間に介在するツール取付部33Aを有し、全体がY軸と平行な軸線の回りに回転する平面略円形状の回転体によって形成されている。そして、サーボモータ(図示せず)によって回転するように構成されている。保持具取付部30A〜32A及びツール取付部33Aは、円周方向に等間隔(90°)をもって並列し、ツールマガジン3Aの外周縁に配置されている。
【0025】
<ツール保持具3B,3B,…の構成>
ツール保持具3B,3B,…は、図5に示すように、ツールマガジン3Aの保持具取付部30A〜32Aに配置され、加工ツール4,4,…を着脱可能に保持するように構成されている。
【0026】
ツール保持具3B,3B,…は略同一の構成であるため、単一のツール保持具3Bのみについて説明する。ツール保持具3Bは、図6に示すように、保持具本体30B及び保持具ソケット31Bを有し、ツールマガジン3Aの保持具取付部31Aに取り付けられている。
【0027】
保持具本体30Bは、軸線2方向に開口する無底円筒状の筐体300B、及びこの筐体300Bの両開口部のうち加工ツール着脱側と反対側の開口部を閉塞する円板状の蓋体301Bからなり、全体が加工ツール着脱側に開口する略円筒状の中空構造体によって形成されている。保持具本体30B内には、その軸線方向に移動して保持具ソケット31Bを加工ツール着脱側に押圧する略円筒状の押圧ピース302B、及びこの押圧ピース302Bを加工ツール着脱側への移動を規制する移動規制ピース303Bが収容されている。
【0028】
筐体300Bは、その外周面に円周方向に所定の等間隔をもって並列する1対の取付片3000B,3000Bを有し、これら取付片3000B,3000Bを介してツールマガジン3Aのツール取付部31Aに取り付けられている。筐体300Bの軸線方向略中央部には、その内周面に突出し、かつ保持具ソケット31Bの加工ツール着脱側への移動を規制する内フランジ3001Bが一体に設けられている。
【0029】
蓋体301Bは、軸線方向に開口するねじ孔3010B、このねじ孔3010Bに連通する貫通孔3011B、及び径方向に突出する鍔部3012Bを有し、このうち鍔部3012Bを介して筐体300Bの片側開口端面に取り付けられている。蓋体301Bには、ねじ孔3010Bに螺合するスプリング受けとしてのストッパねじ304Bが取り付けられている。ストッパねじ304Bと押圧ピース302Bとの間には弾性体としてのスプリング305Bが弾装されている。これにより、保持具ソケット31Bにスプリング305Bの加工ツール着脱側への弾撥力が押圧ピース302Bを介して付与される。蓋体301Bには、加工ツール着脱側に突出するソケット案内用のピン315Bが取り付けられている。
【0030】
保持具ソケット31Bは、第1ソケットエレメント310B〜第3ソケットエレメント312Bを有し、保持具本体30B内にX軸,Z軸,Y軸の3軸線方向及びこれら3軸線方向に沿った軸線の回りに動作可能にスプリング305B及びOリング306B,314Bを介して収容されている。これにより、保持具ソケット31Bが保持具本体30Bにスプリング305B及びOリング306B,314Bを介してX軸,Z軸,Y軸の3軸線方向及びこれら3軸線方向に沿った軸線の回りに動作可能に保持される。
【0031】
第1ソケットエレメント310Bは、保持具本体30Bの蓋体側に配置され、全体が保持具ソケット31Bの軸線2方向に開口する環状体によって形成されている。第1ソケットエレメント310Bには、エレメント外周面に開口する環状のシール取付用凹部3100B、及びピン315Bに嵌合する凹孔3101Bが設けられている。また、第1ソケットエレメント310Bには、シール取付用凹部3100Bの底面(内周面)と筐体300Bの内周面との間に介在する弾性体としてのOリング306Bが弾装されている。
【0032】
第2ソケットエレメント311Bは、各外径が互いに異なる大小2つの胴部3110B,3111Bからなり、ツール保持具30Bの加工ツール着脱側に配置され、かつ保持具本体30B内に収容されている。そして、全体が断面略T字状の無底円筒体によって形成されている。
【0033】
小径の胴部3110Bには、第2ソケットエレメント311Bの内部をその軸線方向に沿って2空間3112B,3113Bに仕切る隔壁3114Bが一体に設けられている。隔壁3114Bには、その中心軸線に沿って開口する貫通孔3115Bが設けられている。隔壁3114Bには、貫通孔3115Bを挿通して球面状の凹部3070Bを先端面に有するボルト307B、及びこのボルト307Bの先端部に螺合するナット308Bが取り付けられている。ボルト307Bにおける凹部3070Bの底面と押圧ピース302Bの先端面との間には球体309Bが介装されている。
【0034】
空間3112Bは、第2ソケットエレメント311Bの蓋体側に配置され、全体が貫通孔3115Bに連通する円柱状の凹部によって形成されている。空間3113Bは、第2ソケットエレメント311Bの加工ツール着脱側に配置され、全体が空間3112Bに貫通孔3115Bを介して連通する段状の凹部によって形成されている。空間3113Bの開口内周面は、加工ツール4におけるツール本体4Aの嵌合面403Aに嵌合可能なテーパ面3117Bで形成されている。
【0035】
大径の胴部3111Bには、その外周面及び空間3113Bの内周面に開口するねじ孔3116Bが設けられ、またこのねじ孔3116Bに螺合するスプリング受け313Bが装着されている。スプリング受け313Bには、ツール連結部材としてのプルスタットボルト7Aと共にツール位置決め機構7を構成し、かつねじ孔3116B内を進退するボールプランジャ7Bが装着されている。
【0036】
位置決め機構7は、プルスタットボルト7A(図4に示す)及びボールプランジャ7Bを有し、保持具ソケット31B(第2ソケットエレメント311B)と加工ツール4との間に配置されている。そして、第2ソケットエレメント311Bに加工ツール4を係脱可能に位置決めするように構成されている。
【0037】
プルスタットボルト7Aは、各外径が互いに異なる大小2つの胴部70A,71Aからなり、加工ツール4のツール本体4Aに取り付けられている。
【0038】
大径の胴部70Aは、その先端部側(小径の胴部71Aと反対側)で外周面に突出する鍔部72A、及び小径の胴部71A側で外周面に開口するシール取付用の凹部73Aが設けられている。鍔部72Aは、胴部71A側の端面が凸状のテーパ面720Aで形成されている。
【0039】
小径の胴部71Aは、外周面にねじ部710Aを有し、このねじ部700Bがツール本体4Aに螺着されている。
【0040】
ボールプランジャ7Bは、ボール70B及びスプリング71Bからなり、第2ソケットエレメント311Bの胴部3111Bに配置されている。
【0041】
ボール70Bは、スプリング71Bの先端部に胴部3111Bの空間3113Bとねじ孔3116Bとの間を出没可能に取り付けられている。そして、プルスタットボルト7Aのテーパ面720Aへの圧接によるソケット保持具31B側への引き込み力によって加工ツール4を係止するように構成されている。
【0042】
スプリング71Bは、胴部3111Bのねじ孔3116B内に収容され、かつスプリング受け313Bに取り付けられている。そして、ボール70Bに対してその一部が胴部3111Bの空間3113Bに露出する方向の弾撥力を付与するように構成されている。
【0043】
第3ソケットエレメント312Bは、各外径が互いに異なる大小2つの胴部3120B,3121Bからなり、第2ソケットエレメント311Bの周囲に配置され、かつ第1ソケットエレメント310Bの加工ツール側端面と胴部3111Bの蓋体側端面との間に介装されている。
【0044】
大径の胴部3120Bは、加工ツール着脱側に開口して第2ソケットエレメント311Bの胴部3111Bに嵌合する凹部3122Bを有し、保持具本体30B(筐体300B)の内フランジ3001Bに対向する位置に配置されている。胴部3120Bの外周面には、第3ソケットエレメント312Bの外周面に開口する環状のシール取付用凹部3123Bが設けられている。また、胴部3120Bの外周面には、シール取付用凹部3123Bの底面(内周面)と筐体300Bの内周面との間に介在する弾性体としてのOリング314Bが弾装されている。
【0045】
小径の胴部3121Bは、大径の胴部3120Bの凹部3122Bに連通して第2ソケットエレメント311Bの胴部3110Bを挿通させる挿通孔3124Bを有し、胴部3110Bの外周面と保持具本体30Bの内フランジ3001Bとの間に配置されている。
【0046】
<クリーニングツール3Cの構成>
クリーニングツール3Cは、図7に示すように、ツール本体30C及び吸引器ホルダ31C・エア吸引器32Cを有し、ツールマガジン3Aのツール取付部33Aに取り付けられている。そして、エア吸引器32Cのエア吸引による清掃状態においてツール駆動主軸2のツール装着面25に接近する位置に配置されている。
【0047】
ツール本体30Cは、軸線2方向に開口する無底円筒状の筐体300C、及びこの筐体300Cの両開口部のうち主軸着脱側と反対側の開口一部を閉塞する環状の蓋体301Cからなり、全体が主軸着脱側に開口する略円筒状の中空構造体によって形成されている。
【0048】
筐体300Cは、その外周面に円周方向に所定の等間隔をもって並列する1対の取付片3000C,3000Cを有し、これら取付片3000C,3000Cを介してツールマガジン3Aのツール取付部33Aに取り付けられている。筐体300Cの軸線方向略中央部には、その内周面に突出し、かつ吸引器ホルダ31Cの主軸着脱側への移動を規制する内フランジ3001Cが一体に設けられている。
【0049】
蓋体301Cは、径方向に突出する鍔部3010Cを有する環状体からなり、鍔部3010Cを介して筐体300Cの片側開口端面に取り付けられている。蓋体301Cには、主軸着脱側に突出するホルダ案内用のピン302Cが固定されている。
【0050】
吸引器ホルダ31Cは、第1ホルダエレメント310C及び第2ホルダエレメント311Cを有し、ツール本体30C内にX軸,Z軸,Y軸の3軸線方向及びこれら3軸線方向に沿った軸線の回りに動作可能にスプリング303C及びOリング304C,305Cを介して収容されている。これにより、吸引器ホルダ31Cがツール本体30Cにスプリング303C及びOリング304C,305Cを介してX軸,Z軸,Y軸の3軸線方向及びこれら3軸線方向に沿った軸線の回りに動作可能に保持される。
【0051】
第1ホルダエレメント310Cは、吸引器ホルダ31Cの軸線2方向に開口する段状の内孔3100Cを有する環状体からなり、筐体300Cの内フランジ3001Cと蓋体301Cの主軸着脱側端面との間に配置され、かつツール本体30C内に収容されている。
【0052】
第1ホルダエレメント310Cには、スプリング303Cを内部に収容するスプリング収容孔3102C、及びピン302Cに遊嵌する凹孔3103Cが設けられている。また、第1ホルダエレメント310Cには、そのエレメント外周面に開口する環状のシール取付用凹部3104Cが設けられている。シール取付用凹部3104Cの底面(内周面)と筐体300Cの内周面との間には、弾性体としてのOリング304Cが弾装されている。
【0053】
第2ホルダエレメント311Cは、各外径が互いに異なる大中小3つの胴部3110C〜3112Cからなり、ツール本体30Cの主軸着脱側に配置され、かつ一部がツール本体300Cの筐体300C内に収容されている。
【0054】
小径の胴部3110Cには、第2ホルダエレメント311Cの内部をその軸線方向に沿って2空間3112C1,3112C2に仕切る隔壁3113Cが一体に設けられている。隔壁3113Cには、図8に示すように、空間3112C1に連通するねじ孔3114C、及びこのねじ孔3114Cに連通する第1エア吸引路3115C、及びこの第1エア吸引路3115Cに連通して胴部3110Cの外周面に開口する通孔3116Cが設けられている。また、胴部3110Cには、第1エア吸引路3115Cに連通し、かつ胴部3110Cの先端面に開口する第2エア吸引路3117Cが隔壁3113Cに跨って設けられている。なお、通孔3116Cは栓体33Cによって閉塞されている。
【0055】
胴部3110Cの先端面外周縁には、ツール駆動主軸2のツール受面250に当接可能な環状の第1凸部3118C1が設けられている。胴部3110Cの先端面内周縁(空間3112Cの開口周縁)には、ツール駆動主軸2の開口部内に嵌合可能な環状の第2凸部3118C2が設けられている。第2凸部3118C2は、図8及び図9に示すように、円周方向に延在する環状のベース3119C1、及び円周方向に所定の間隔をもって並列する複数(実施の形態では4個)のリブ3119C2からなり、全体がツール駆動主軸2のツール嵌合面251に適合するテーパ状の部材によって形成されている。これにより、第1凸部3117C1がツール受面250に当接するとともに、第2凸部3119C2がツール嵌合面251に嵌合すると、胴部3110Cの先端面とツール駆動主軸2のツール受面250との間に第2エア吸引路3117Cに連通する空間aが形成されるとともに、第2凸部3118C2の外周面とツール駆動主軸2のツール嵌合面251との間に空間aに連通する空間bが形成される。
【0056】
大径の胴部3111Cは、第2ホルダエレメント311Cの胴部3110Cと胴部3112Cとの間に介在して筐体300C内に収容されている。胴部3111Cの外周面には、第2ホルダエレメント311Cの外周面に開口する環状のシール取付用凹部305Cが設けられている。シール取付用凹部305Cの底面(内周面)と筐体300Cの内周面との間に介在する弾性体としてのOリング306Cが弾装されている。
【0057】
大径の胴部3111Cと小径の胴部3110Cとの間の中間径の胴部3112Cは、第1ホルダエレメント310Cの内孔3100Cに嵌合して筐体300Cの内フランジ3001Cに挿通され、かつ第2ホルダエレメント311Cの胴部3110Cに胴部3111Cを介して連設されている。
【0058】
エア吸引器32Cは、エア導入部320C及びエア導出部321C・エア吸引部322Cを有し、その一部をツール本体30C及び吸引器ホルダ31C内に挿入して配置され、エア吸引部322Cが吸引器ホルダ31Cのねじ孔3114Cに螺着されている。そして、ツール駆動主軸2のツール装着面25をエアの吸引によって清掃するように構成されている。エア吸引器32Cとしては、圧縮エアをエア導入部320Cから内部に導入してエア導出部321Cから外部に導出することにより吸引力を発生させるノズルが用いられる。
【0059】
<加工ツール4の構成>
加工ツール4は、図10に示すように、ツール本体4A及び砥石ホイール4Bを有する砥石車からなり、ツール保持具3B又はツール駆動主軸2に着脱可能に保持されている。そして、ツール駆動主軸2に対する装着状態において、ツール回転主軸2と共にZ軸と平行な軸線の回りに回転するように構成されている。また、加工ツール4は、ツール保持具3Bに対する装着状態において、ツール保持具3Bと共にY軸と平行な軸線の回りにツール保持具ユニット3のツールマガジン3A(後述)を介して回転するように構成されている。
【0060】
ツール本体4Aは、砥石ホイール4Bの中心部を挿通する胴部40A、及び砥石ホイール4Bの片側端面に当接する鍔部41Aからなり、全体が加工ツール4のベース部材として機能するように構成されている。
【0061】
胴部40Aは、プルスタットボルト7Aの胴部70Aに嵌合する第1凹部400A、この第1凹部400Aに連通してプルスタットボルト7Aのねじ部710Aに螺合するねじ孔401A、このねじ孔401Aに連通してツール把持装置5における楔部材5Cの先端部に遊嵌する第2凹部402A、及びこの第2凹部402Aの内周面に開口してツール把持装置5におけるピストンロッド5Aの進退によって係止爪6B,6B,…の先端部を出没させる第3凹部403Aを有し、全体が段状の略円筒体によって形成されている。
【0062】
胴部40Aの一方側端部は、その軸線方向中間部から先端部に向かって外径が漸次小さくなるテーパ部404Aで形成されている。胴部40Aの他方側端部は、その中間部から先端部に向かって外径が漸次小さくなり、かつツール駆動主軸2のツール嵌合面251に嵌合可能なテーパ状の嵌合面405Aで形成されている。
【0063】
鍔部41Aは、胴部40Aの軸線方向中間部の外周面に一体に設けられている。鍔部41Aの両端面のうち砥石ホイール4B側と反対側の端面は、ツール駆動主軸2のツール受面250に当接可能な扁平な当接面406Aで形成されている。これにより、当接面406Aがツール受面250に当接するとともに、胴部40Aの嵌合面405Aがツール嵌合面251に嵌合すると、加工ツール4がツール駆動主軸2に対する所謂2面拘束タイプの工具として機能する。
【0064】
砥石ホイール4Bは、ツール本体4Aの胴部40Aの周囲に配置され、かつツール本体4Aの鍔部41Aに固定され、全体が砥石40Bを外周面に有する環状体によって形成されている。
【0065】
次に、本実施の形態に示すツール交換装置1を工作機械(複合加工機)に適用する場合につき、図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態に係るツール交換装置を複合加工機に適用する場合について説明するために示す平面図である。
【0066】
図11において、符号10で示す複合加工機は、加工機本体20及び付属装置(図示せず)等からなり、ベッド1000上に載置されている。
【0067】
加工機本体20は、ワークWを主軸105で支持して回転駆動するワーク支持駆動ユニット100と、加工ツール4を着脱可能に保持して回転駆動するツール駆動主軸ユニット200と、ツール駆動主軸ユニット200と共にツール交換装置1を構成するツール保持具ユニット3とを備えている。
【0068】
ワーク支持駆動ユニット100は、主軸台ベース101及び左右2つの主軸台103,103を有し、ベッド1000上の前方端部(図11では下側)に載置されている。
【0069】
主軸台ベース101の背面部(図11では上側)には、左右(Z軸)方向に所定の間隔をもって互いに並列し、かつZ軸方向に延在する2つの主軸台スライドガイド102,102が配設されている。
【0070】
主軸台103,103は、それぞれが対応する主軸台スライドガイド102,102上にZ軸方向に沿って移動自在に配設されている。そして、それぞれが各主軸台スライドガイド102,102上における所定の位置に位置決めされ、その両中心部間でワークWを挟持するように構成されている。主軸台103,103には、それぞれ主軸105,105を所定の回転数で回転駆動する主軸駆動モータ104,104が搭載されている。
【0071】
ツール駆動主軸ユニット200は、加工ツール4の被把持部を把持可能なツール駆動主軸2、及びこのツール駆動主軸2を回転駆動するツール駆動主軸回転モータ203を有し、ベッド1000上のX軸ステージ301にZ軸ステージ21を介して搭載されている。そして、ツール駆動主軸回転モータ203の回転駆動力をツール駆動主軸2に伝達し、さらにツール駆動主軸2上の加工ツール4を所定の回転数で回転駆動するように構成されている。
【0072】
一方、付属装置は、オイル供給装置・冷却装置・エア供給装置・クーラント供給装置と、これら装置を加工機本体2に接続するダクト装置等とから構成されている。
【0073】
このように構成された複合加工機10においては、全体の動作がコンピュータ数値制御装置(CNC)によって制御される。このため、主軸105,105によって支持されたワークWがツール駆動主軸ユニット200の加工ツール4によって自動的に加工される。また、ツール駆動主軸2とツール保持具ユニット3との間における主軸側の加工ツール4,4と保持具ユニット側の加工ツール4との交換も自動的に行われる。
【0074】
〔ツール交換方法装置1によるツール交換方法〕
次に、本実施の形態に係るツール交換装置を用いたツール交換方法につき、図12〜図15を用いて説明する。
【0075】
図12〜図14は、本発明の実施の形態に係るツール交換方法を説明するために示す断面図である。図15は、本発明の実施の形態に係るツール交換方法を説明するために示すフローチャートである。
【0076】
本実施の形態に示すツール交換方法は、「加工ツールのツールマガジンへの回収」及び「ツール駆動主軸のクリーニング」・「加工ツールのツール駆動主軸への装着」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
【0077】
「加工ツールのツールマガジンへの回収」
図12(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るツール交換方法における加工ツールのツールマガジンへの回収について説明するために示す断面図である。図12(a)は加工ツール回収前の状態を、図12(b)は加工ツール回収状態を、また図12(c)は加工ツール回収後の状態それぞれ示す。
【0078】
なお、予めツール保持具ユニット3のサーボモータを駆動制御してツールマガジン3Aを回転させ、ツールマガジン3A上のツール保持具3B,3B,…のうち加工ツール4の保持されていないツール保持具3Bがツール駆動主軸上の加工ツール4(交換対象としての使用済み加工ツール4)をツールマガジン3Aに回収可能な位置(ツール交換位置)に配置されているものとする。
【0079】
先ず、図12(a)に示すように、交換対象としての使用済み加工ツール4がツール把持装置5を介して装着されたツール駆動主軸2をX軸方向及びZ軸方向に沿ってそれぞれ所定のストローク量だけ移動させ、ツール交換位置に対応するツール交換待機位置に位置決めする(図15のステップS1)。
【0080】
次いで、図12(b)に示すように、ツール駆動主軸2をそのツール交換待機位置からツール交換位置のツール保持具3Bに向かってZ軸方向に所定のストローク量だけ往動させ、このツール交換位置でツール駆動主軸2からツール保持具3Bに使用済み加工ツール4を移し替える(図15のステップS2)。この加工ツール4の移し替えは、保持具ソケット31Bの空間部3113Bにプルスタットボルト7Aの胴部70A及び加工ツール4の胴部40Aを挿入することにより行われる。この際、スタットボルト7Aの保持具ソケット31Bへの挿入によってボールプランジャ7Bのボール70Bがスタットボルト7Aをそのテーパ面720Aに圧接すると、ソケット保持具側に引き込んだ状態で加工ツール4を係止する。また、加工ツール4の保持具ソケット31Bへの挿入によってそのテーパ部404Aが空間部3113Bのテーパ面3117Bに嵌合する。そして、加工ツール4がツール交換位置でツール保持具3Bに装着されると、ツール把持装置5の作動によってツール駆動主軸2に対する装着状態を解除し、ツール駆動主軸2から離脱される。これにより、使用済み加工ツール4がツールマガジン3Aに回収される。
【0081】
しかる後、図12(c)に示すように、ツール駆動主軸2をツール交換位置から離間する方向にZ軸方向に沿って所定のストロークだけ復動させ、ツール交換位置に対応するツール交換待機位置に位置決めする(図15のステップS3)。
【0082】
「ツール駆動主軸のクリーニング」
図13(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るツール交換方法におけるツール駆動主軸のクリーニングについて説明するために示す断面図である。図13(a)はツールクリーニング前の状態を、図13(b)はツールクリーニング状態を、また図13(c)はツールクリーニング後の状態それぞれ示す。
【0083】
先ず、図13(a)に示すように、ツール保持具ユニット3のサーボモータを駆動制御してツールマガジン3Aを時計回りに180°回転させ、ツール駆動主軸2のツール装着面25(ツール受面250及びツール嵌合面251)を清掃可能な位置(ツール交換位置)にツールマガジン3A上のクリーニングツール3Cを位置決めする(図15のステップS4)。
【0084】
次いで、図13(b)に示すように、ツール駆動主軸2をそのツール交換待機位置からツール交換位置のツール保持具3Bに向かってZ軸方向に所定のストローク量だけ往動させ、このツール交換位置でツールマガジン3A上のクリーニングツール3Cに接近させる(図15のステップS5)。このツール駆動主軸2のクリーニングツール3Cへの接近は、吸引器ホルダ31Cの第2凸部3118C2をツール駆動主軸2の開口部内に、またツール把持装置5の楔状部材5Cを吸引器ホルダ31Cの空間3112C2にそれぞれ挿入することにより行われる。この際、吸引器ホルダ31Cへのツール駆動主軸2の挿入(ツール駆動主軸2への吸引器ホルダ31Cの挿入)によって第1凸部3117C1がツール駆動主軸2のツール受面250に当接するとともに、第2凸部3118C2がツール嵌合面251に嵌合すると、胴部3110Cの先端面とツール駆動主軸2のツール受面250との間に第2エア吸引路3117Cに連通する空間aが形成されるとともに、第2凸部3118C2の外周面とツール駆動主軸2のツール嵌合面251との間に空間aに連通する空間bが形成される。そして、圧縮エアをエア吸引器32Cのエア導入部320Cから内部に導入してエア導出部321Cから外部に導出することにより吸引力を発生させ、ツール駆動主軸2のツール装着面25(ツール受面250及びツール嵌合面251)をエアの吸引によって清掃する(図15のステップS6)。これにより、ツール駆動主軸2のツール装着面25に付着した加工屑や塵埃等が取り除かれる。
【0085】
しかる後、図13(c)に示すように、ツール駆動主軸2をツール交換位置から離間する方向にZ軸方向に沿って所定のストロークだけ復動させ、ツール交換位置に対応するツール交換待機位置に位置決めする(図15のステップS7)。
【0086】
「加工ツールのツール駆動主軸への装着」
図14(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るツール交換方法における加工ツールのツール駆動主軸への装着について説明するために示す断面図である。図14(a)は加工ツール装着前の状態を、図14(b)は加工ツール装着状態を、また図14(c)は加工ツール装着後の状態それぞれ示す。
【0087】
先ず、図14(a)に示すように、ツール保持具ユニット3のサーボモータを駆動制御してツールマガジン3Aを時計回りに90°回転させ、ツール駆動主軸2のツール装着面25(ツール受面250及びツール嵌合面251)に装着可能な位置(ツール交換位置)にツールマガジン3A上の加工ツール4(未使用加工ツール4)を位置決めする(図15のステップS8)。
【0088】
次いで、図14(b)に示すように、ツール駆動主軸2をそのツール交換待機位置からツール交換位置のツール保持具3Bに向かってZ軸方向に所定のストローク量だけ往動させ、このツール交換位置でツール駆動主軸2にツール保持具3Bから未使用加工ツール4を移し替える(図15のステップS9)。この加工ツール4の移し替えは、加工ツール4の第2凹部402A内にツール把持装置5の楔状部材5Cを、またツール駆動主軸2の開口部内に加工ツール4のテーパ部404Aを挿入することにより行われる。この際、加工ツール4のツール駆動主軸2内への挿入によってテーパ部404Aの嵌合面405Aがツール駆動主軸2のツール嵌合面251に嵌合するとともに、鍔部41Aの当接面406Aがツール駆動主軸2のツール受面250に当接すると、ツール駆動主軸2が加工ツール4を所謂2面拘束して保持する。そして、加工ツール4がツール交換位置でツール駆動主軸2に保持されると、ツール把持装置5の作動によって係止爪5B,5Bが加工ツール4の第3凹部403Aを係止する。これにより、加工ツール4がツール駆動主軸2にツール把持装置5を介して装着される。
【0089】
しかる後、図14(c)に示すように、加工ツール4がツール把持装置5を介して装着されたツール駆動主軸2をツール交換位置から離間する方向にZ軸方向に沿って所定のストロークだけ復動させ、ツール交換位置に対応するツール交換待機位置に位置決めして待機する(図15のステップS10)。
【0090】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0091】
(1)ツール駆動主軸2のツール装着面25がクリーニングツール3C(エア吸引器32C)によるエアの吸引によって清掃され、ツール装着面25全体の清掃を確実に行うことができる。また、ツール駆動主軸2に対する加工ツール4の装着時にツール本体4Aの中心軸線とツール嵌合面251の中心軸線とがずれても、この位置ずれをツール保持具3Bが動作して吸収することができ、ツール本体4Aのツール嵌合面251への当接による損傷の発生を抑制することができる。これにより、ツール駆動主軸2のツール装着面25に対する加工ツール4の良好な装着精度を得ることができ、ワーク加工精度を高めることができる。
【0092】
(2)通常は工場内には圧縮エアが供給されているので、この圧縮エアをエア吸引器32Cの内部に導入して外部に導出することにより吸引力を発生させ、ツール駆動主軸2のツール装着面25を清掃することができる。これにより、ツール駆動主軸2のツール装着面25を清掃するにあたり、特別なバキューム装置等を必要としないという利点がある。
【0093】
以上、本発明のツール交換装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0094】
(1)本実施の形態では、吸引器ホルダ31C(胴部3110C)に清掃状態においてツール駆動主軸2の開口部内(ツール嵌合面251)に嵌合する第2凸部3118C2が設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ツール駆動主軸の開口端部(外周面)に嵌合する凹部を吸引器ホルダに設けてもよい。
【0095】
(2)本実施の形態では、ツールマガジン3Aに対しツール駆動主軸2をX軸及びZ軸方向に沿って移動させることによりツール交換が行われる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ツール駆動主軸に対しツールマガジンをX軸及びZ軸に沿って移動させることによりツール交換を行うものでもよい。すなわち要するに、本発明は、ツール駆動主軸とツールマガジンとをX軸及びZ軸方向に沿って相対的に移動させることによりツール交換を行うものであればよい。
【0096】
(3)本実施の形態では、砥石を加工ツール4とする工作機械(複合加工機10)に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば旋削用電着ホイール等の旋削工具あるいは熱処理工具・表面仕上げ工具等を加工ツールとする他の工作機械にも本実施の形態と同様に適用可能である。
【0097】
(4)本実施の形態では、同種の加工ツール4をツールマガジン3Aに保持されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、複数種の加工ツールをツールマガジンに保持してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール駆動主軸に対するクリーニングツールの嵌合状態を説明するために示す断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール駆動主軸に対する加工ツールの装着状態を説明するために示す断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール駆動主軸を説明するために示す断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール駆動主軸に対する加工ツールの装着状態を示す断面図。
【図5】本発明の実施の形態に係るツール交換装置のツール保持具ユニットを説明するために示す断面図。
【図6】本発明の実施の形態に係るツール交換装置におけるツール保持具ユニットのツール保持具を説明するために示す断面図。
【図7】本発明の実施の形態に係るツール交換装置におけるツール保持具ユニットのクリーニングツールを説明するために示す断面図。
【図8】本発明の実施の形態に係るツール交換装置におけるツール保持具ユニットのクリーニングツールを説明するために示す平面図。
【図9】本発明の実施の形態に係るツール交換装置におけるツール保持具ユニットのクリーニングツールを説明するために示す側面図。
【図10】本発明の実施の形態に係るツール交換装置における交換対象としての加工ツールを示す断面図。
【図11】本発明の実施の形態に係るツール交換装置を複合加工機に適用する場合について説明するために示す平面図。
【図12】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るツール交換方法における加工ツールのツールマガジンへの回収について説明するために示す断面図。
【図13】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るツール交換方法におけるツール駆動主軸のクリーニングについて説明するために示す断面図。
【図14】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るツール交換方法における加工ツールのツール駆動主軸への装着について説明するために示す断面図。
【図15】本発明の実施の形態に係るツール交換方法を説明するために示すフローチャート。
【符号の説明】
【0099】
1…ツール交換装置
2…ツール駆動主軸、20…圧力壁、21…Z軸ステージ、22…主軸ヘッド、23…軸受押え、24…軸受、25…ツール装着面、250…ツール受面、251…ツール嵌合面、26…凹部
3…ツール保持具ユニット
3A…ツールマガジン、30A〜32A…保持具取付部、34A…ツール取付部
3B…ツール保持具、30B…保持具本体、300B…筐体、3000B…取付片、3001B…内フランジ、301B…蓋体、3010B…ねじ孔、3011B…貫通孔、3012B…鍔部、302B…押圧ピース、303B…移動規制ピース、304B…ストッパねじ、305B…スプリング、306B…Oリング、307B…ボルト、3070B…凹部、308B…ナット、309B…球体、31B…保持具ソケット、310B…第1ソケットエレメント、3100B…シール取付用凹部、3101B…凹孔、3110B…小径の胴部、3111B…大径の胴部、3112B,3113B…空間、3114B…隔壁、3115B…貫通孔、3116B…ねじ孔、3117B…テーパ面、311B…第2ソケットエレメント、312B…第3ソケットエレメント、3120B…大径の胴部、3121B…小径の胴部、3122B…凹部、3123B…シール取付用凹部、3124B…挿通孔、313B…スプリング受け,314B…Oリング,315B…ソケット案内用のピン
3C…クリーニングツール、30C…ツール本体、300C…筐体、3000C…取付片、3001C…内フランジ、301C…蓋体、3010C…鍔部、302C…ホルダ案内用のピン、303C…スプリング、304C…Oリング、31C…吸引器ホルダ、310C…第1ホルダエレメント、3100C…内孔、3101C…内フランジ、3102C…スプリング収容孔、3103C…凹孔、3104C…シール取付用凹部、311C…第2ホルダエレメント、3110C…小径の胴部、3111C…大径の胴部、3112C…中間径の胴部、3112C1,3112C2…空間、3119C1…ベース、3119C2…リブ、3113C…隔壁、3114C…ねじ孔、3115C…第1エア吸引路,3116C…通孔、3117C…第2エア吸引路、3118C1…第1凸部、3118C2…第2凸部、320C…エア導入部、321C…エア導出部、322C…エア吸引部、32C…エア吸引器、33C…栓体、305C…シール取付用凹部,306C…Oリング
4…加工ツール
4A…ツール本体、40A…胴部、400A…第1凹部、401A…ねじ孔、402A…第2凹部、403A…第3凹部、404A…テーパ部、405A…嵌合面、406A…当接面、41A…鍔部
4B…砥石ホイール、40B…砥石
5…ツール把持装置、5A…ピストンロッド、5B…係止爪、5C…楔状部材、5D…プッシャー、5E…スプリング、5F…スプリング受け
7…位置決め機構
7A…プルスタットボルト、70A…大径の胴部、71A…小径の胴部、710A…ねじ孔、72A…鍔部、720A…テーパ面、73A…凹部
7B…ボールプランジャ、70B…ボール、71B…スプリング
10…複合加工機
20…加工機本体
100…ワーク支持駆動ユニット、101…主軸台ベース、102…主軸台スライドガイド、103…主軸台、104…主軸駆動モータ、105…主軸
200…ツール駆動主軸ユニット、203…ツール駆動主軸モータ
301…X軸ステージ
1000…ベッド
W…ワーク
a,b…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械におけるツール駆動主軸のツール装着面をエアの吸引によって清掃するためのエア吸引器を有し、前記エア吸引器のエア吸引による清掃状態において前記ツール駆動主軸のツール装着面に接近する位置に配置されている
ことを特徴とするクリーニングツール。
【請求項2】
前記エア吸引器は、圧縮エアを内部に導入して外部に導出することにより吸引力を発生させるノズルによって形成されている請求項1に記載のクリーニングツール。
【請求項3】
工作機械におけるツール駆動主軸のツール装着面に着脱可能に保持された主軸側の加工ツールと、ツールマガジンに着脱可能に保持されたマガジン側の加工ツールとを交換するツール交換装置であって、
前記ツールマガジンに取り付けられたクリーニングツールを備え、
前記クリーニングツールは、前記ツール駆動主軸のツール装着面をエアの吸引によって清掃するためのエア吸引器を有し、前記エア吸引器のエア吸引による清掃状態において前記ツール駆動主軸のツール装着面に接近する位置に配置されている
ことを特徴とするツール交換装置。
【請求項4】
前記クリーニングツールは、前記エア吸引器を保持する吸引器ホルダを有し、前記吸引器ホルダに前記清掃状態において前記ツール駆動主軸のツール装着面に嵌合する凹部又は凸部が設けられている請求項3に記載のツール交換装置。
【請求項5】
工作機械におけるツール駆動主軸のツール装着面に着脱可能に保持された主軸側の加工ツールと、ツールマガジンに着脱可能に保持されたマガジン側の加工ツールとを交換する方法であって、
前記主軸側の加工ツールを前記ツール駆動主軸との装着を解除して前記ツールマガジンに装着する第1ステップと、
予め前記ツールマガジンに取り付けられたクリーニングツールを前記ツール駆動主軸のツール装着面に相対的に接近させた後、前記クリーニングツールによって前記ツール駆動主軸のツール装着面を清掃する第2ステップと、
前記クリーニングツールを前記ツール駆動主軸のツール装着面から相対的に離間させた後、前記マガジン側の加工ツールを前記ツール駆動主軸のツール装着面に装着する第3ステップと
を備えたことを特徴とするツール交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−291892(P2009−291892A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148421(P2008−148421)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】