説明

クリーニング装置、および画像形成装置

【課題】ファーブラシローラと回収ローラ間のニップ出口でフリッキングによって飛散したトナーを、外部に噴出させないクリーニング装置を提供する。
【解決手段】ケーシングの開口部から一部が露出して中間転写体8に接触するように配置された、残留トナーを取り除くためのブラシローラ111と、取り除かれたトナーをブラシローラから回収する回収ローラ112と、回収されたトナーを掻き落とすブレード113と、ブラシローラの、回収ローラとの接触部Nから下部にかけての面の所定部位から、ケーシング内側の下壁116の所定部位にかけて配置され、トナーが開口部から外部へ流出することを阻止するトナー阻止部材120とを備える。ブラシローラ111は、その下部が開口部に向かって移動する向きに回転し、トナー阻止部材120は、ブラシローラと当接する部分から開口部に向かうにしたがってブラシローラの表面から徐々に離れていく形状をしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、およびファクシミリなどの画像形成装置、および画像形成装置に用いるクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マゼンダ、イエロー、シアン、ブラックの4つの画像形成部が別々に設けられたタンデム型の画像形成装置が用いられている。このようにトナー色毎に、画像形成部が別々に設けられた、タンデム型の画像形成装置では、1ドラム方式の場合と比べて画像形成のスピードを早くすることが出来る。
【0003】
図9は、このようなタンデム型のフルカラー複写機の部分構成図である。図9には、ブラック画像形成部301、イエロー画像形成部302、シアン画像形成部303およびマゼンダ画像形成部304が設けられている。各画像形成部は、感光体ドラム301a、302a、303a、304a、および各感光体ドラムに各色のプラスに帯電したトナーを供給する現像ローラ301b、302b、303b、304bを有している。また、各感光体ドラムに対向して、一次転写時にマイナスの電荷に帯電する一次転写ローラ311、312、313、314が配置されている。
【0004】
また、感光体ドラムと一次転写ローラの間に、中間転写ベルト315が設けられている。この中間転写ベルト315の回転方向(図中矢印参照)を基準として、ブラック画像形成部301の下流側近傍には、中間転写ベルト315を押圧するように二次転写ローラ316が設けられている。なお、二次転写ローラ316に対向して、中間転写ベルト315の内側に配置されている駆動ローラ317によって中間転写ベルト315は回転される。
【0005】
また、マゼンダ画像形成部304の上流側近傍には、二次転写時に用紙に転写されず中間転写ベルト315上に残留したプラス帯電のトナーを除去するためのクリーニング装置400が設けられている。
【0006】
図10に、クリーニング装置400部分の拡大構成図を示す。
【0007】
このクリーニング装置400には、マイナスに帯電したファーブラシローラ401が設けられている。このファーブラシローラ401は、ローラの外周に一定の長さのブラシが配置されたものであり、ブラシが中間転写ベルト315に接触して回転することによってトナーを取り除く。
【0008】
また、ファーブラシローラ401によって取り除かれたトナーを回収するための回収ローラ402が設けられており、この回収ローラ402の表面からトナーを取り除くゴムブレード403が配置されている。また、回収されたトナーを廃トナーボトル(図示せず)へと搬送するための搬送スパイラル405が、ゴムブレード403の下方に配置されている。なお、クリーニング装置400の下側には、画像形成部301〜304を収容している筐体があるため、搬送スパイラル405をファーブラシローラ401の下方には配置できず、図10に示すように、搬送スパイラル405はファーブラシローラ401の水平方向に配置されている。
【0009】
また、中間転写ベルト315の内側には、ファーブラシローラ401と対向して、従動ローラ319が設けられており、従動ローラ319の上流側であって、駆動ローラ317の下流側には、中間転写ベルト315にテンションをかけるためのテンションローラ320が設けられている。
【0010】
このような画像形成装置において、現像ローラ301b、302b、303b、304b上のトナーはプラスに帯電されているため、用紙上にトナー画像を転写する際には、二次転写ローラ316に、表面がマイナスに帯電するように電圧が印加される。
【0011】
上記二次転写ローラ316による二次転写後に、転写されずに中間転写ベルト315上に残留したトナーは、ファーブラシローラ401との物理的接触および静電力によって取り除かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−278398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図10に示すような構成のクリーニング装置400では、回収しきれなかった残留トナーがケーシング開口部から噴き出して中間転写ベルト315に再付着し、画像汚れが発生する問題があった。
【0014】
すなわち、中間転写ベルト315上の残留トナー量が多い場合には、図10に示す構成のクリーニング装置400では、ファーブラシローラ401と回収ローラ402のニップ部で残留トナーを回収しきれず、ファーブラシローラ401のブラシ毛のフリッキングによりニップ部出口でブラシ中のトナーが飛散し、クリーニング装置400のケーシングの下壁に堆積してしまう。そして、このケーシング内に堆積したトナーが、ケーシング開口部からクリーニング装置400外へ噴き出して中間転写ベルト315に再付着し、その再付着したトナーによって画像汚れが発生してしまう。
【0015】
例えば、ファーブラシローラ401と回収ローラ402のニップ部出口でフリッキングによって飛散するトナーを減少させるために、帯状パイル織物の巻きつけ角度の最適化を図ることにより、ファーブラシローラのブラシ毛の倒れ方向をフリッキングの少ない方向にした構造のクリーニング装置などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1に記載のクリーニング装置を用いることによりフリッキングによって飛散するトナーを減少させることができるものの、ケーシング開口部から噴き出すトナーを抑制することはできない。
【0016】
本発明は、上記従来のクリーニング装置の課題を考慮して、ファーブラシローラと回収ローラ間でフリッキングによって飛散したトナーを外部へ噴出させないクリーニング装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、
像担持体表面または中間転写体表面に向けた開口部を有するケーシングと、
前記開口部から一部が露出して、前記像担持体または前記中間転写体に接触するように前記ケーシング内に配置された、残留トナーを取り除くためのブラシローラと、
前記ケーシング内に配置され、前記取り除かれたトナーを前記ブラシローラから回収するための回収ローラと、
前記ケーシング内に配置され、前記回収ローラで回収されたトナーを掻き落とすブレードと、
前記ケーシング内に配置され、前記ブレードで掻き落とされたトナーを廃トナー回収部へ運ぶ廃トナー搬送部と、
前記ブラシローラの、前記回収ローラとの接触部から下部にかけての面の所定部位から、前記ケーシング内側の下壁面の所定部位にかけて配置され、前記トナーが前記開口部から外部へ流出することを阻止するトナー阻止部材とを備え、
前記ブラシローラは、前記下部が前記開口部に向かって移動する向きに回転し、
前記トナー阻止部材は、前記ブラシローラと当接する部分から前記開口部に向かうにしたがって前記ブラシローラの表面から徐々に離れていく形状をしている、クリーニング装置である。
【0018】
また、第2の本発明は、
前記トナー阻止部材は、シート状の弾性部材であり、その一方の縁部が、前記下壁面の前記開口部近傍に固定されており、前記一方の縁部に対向する他方の縁部が、前記下壁面に立設された立壁、前記下壁面または前記廃トナー搬送部に固定されており、少なくとも中央部の一部が前記ブラシローラの表面に当接することにより、前記一方の縁部から前記ブラシローラの表面に沿って湾曲し、その後逆方向に湾曲して前記他方の縁部に達している、第1の本発明のクリーニング装置である。
【0019】
また、第3の本発明は、
前記トナー阻止部材は、導電性を有し、接地されている、第2の本発明のクリーニング装置である。
【0020】
また、第4の本発明は、
前記トナー阻止部材は、前記中央部の他の一部が前記回収ローラにも当接している、第2の本発明のクリーニング装置である。
【0021】
また、第5の本発明は、
前記トナー阻止部材は、起毛部材であり、前記ブラシローラの前記下部に対向する前記下壁面に植毛されている、第1の本発明のクリーニング装置である。
【0022】
また、第6の本発明は、
前記起毛部材の上面は、前記ブラシローラの表面の湾曲形状に沿った湾曲面を有している、第5の本発明のクリーニング装置である。
【0023】
また、第7の本発明は、
前記起毛部材の毛は、少なくとも前記開口部寄りの一部が前記開口部方向に倒れている、第5の本発明のクリーニング装置である。
【0024】
また、第8の本発明は、
前記起毛部材の毛は、導電性を有し、接地されている、第5の本発明のクリーニング装置である。
【0025】
また、第9の本発明は、
前記起毛部材は、毛が基布部に植毛されており、前記基布部の上に低反発弾性体の層が形成されている、第5の本発明のクリーニング装置である。
【0026】
また、第10の本発明は、
前記ブラシローラは、ブラシ毛が基布に植毛されており、前記基布の上に低反発弾性体の層が形成されている、第1の本発明のクリーニング装置である。
【0027】
また、第11の本発明は、
表面にトナー画像が形成される感光体ドラムと、
第1の本発明のクリーニング装置と、
記録媒体に転写されたトナー画像を定着させる定着部とを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、ファーブラシローラと回収ローラ間でフリッキングによって飛散したトナーを外部へ噴出させないクリーニング装置および画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1および2における複写機の正面の構成断面図
【図2】本発明の実施の形態1における複写機の中間転写ベルト近傍の構成図
【図3】本発明の実施の形態1における第1の構成のクリーニング装置の拡大構成図
【図4】本発明の実施の形態1における第2の構成のクリーニング装置の拡大構成図
【図5】(a)本発明の実施の形態1における第3の構成のクリーニング装置の拡大構成図、(b)本発明の実施の形態1における第3の構成のクリーニング装置のファーブラシローラの基布部分の拡大図
【図6】本発明の実施の形態2における第1の構成のクリーニング装置の拡大構成図
【図7】本発明の実施の形態2における第2の構成のクリーニング装置の拡大構成図
【図8】本発明の実施の形態2における第3の構成のクリーニング装置の拡大構成図
【図9】従来の複写機の中間転写ベルト近傍の構成図
【図10】従来の複写機のクリーニング装置部分の拡大構成図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明にかかる画像形成装置の一実施例である複写機について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における複写機の正面の構成断面図である。図1に示すように、本実施の形態1の複写機1は、底部に画像形成される用紙を収納するための2つの給紙カセット2を備えている。また、複写機1は、その上部に、露光ランプ、レンズ、ミラー等により原稿の画像を読み取る画像読み取り部3を備えている。
【0032】
また、本実施の形態1の複写機1は、タンデム方式を用いたカラー複写機であり、水平方向に順に配置されたブラック画像形成部4、イエロー画像形成部5、シアン画像形成部6、およびマゼンダ画像形成部7を備えている。そして、これら画像形成部によって形成された画像を重ね合わせるための中間転写ベルト8が配置されている。
【0033】
また、中間転写ベルト8上で重ね合わされたトナー画像を用紙に転写する二次転写ローラ9と、転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着部10が設けられている。さらに、トナー画像が定着された用紙が排出される排出トレイ13が画像読み取り部3の下側に設けられている。なお、トナー画像を転写する用紙が、本発明の記録媒体の一例にあたる。
【0034】
次に、画像形成部について説明するが、4つの画像形成部4、5、6、7の基本的構成は同じであるため、マゼンダ画像形成部7を例に挙げて説明する。
【0035】
図2に、中間転写ベルト8近傍の拡大構成図を示す。
【0036】
図1および図2に示すように、マゼンダ画像形成部7は、感光体ドラム70、帯電器71、現像器72およびクリーニング部73等から構成されている。また、4つの画像形成部4、5、6、7の、各々の帯電器によって帯電された各々の感光体ドラムの表面を光走査することによって静電潜像を形成するレーザースキャナーユニット(以下、LSUと呼ぶ)12が、画像形成部の下方に設けられている。また、中間転写ベルト8を挟んで感光体ドラム70に対向するように一次転写ローラ17が配置されている。また、現像器72は、プラスの極性に帯電しトナーを感光体ドラム70の表面に供給するために、感光体ドラム70に当接して配置されている現像ローラ75を有している。
【0037】
この感光体ドラム70と一次転写ローラ17の間、感光体ドラム60と一次転写ローラ16の間、感光体ドラム50と一次転写ローラ15の間、および感光体ドラム40と一次転写ローラ14の間を通すように、中間転写ベルト8が一次転写ローラ14、15、16、17に捲き掛けられている。なお、プラスに帯電したトナーを中間転写ベルト8上に一次転写するため、一次転写ローラ14、15、16、17には、表面がマイナスに帯電するように電圧が印加されている。
【0038】
なお、中間転写ベルト8が、本発明の中間転写体の一例にあたり、感光体ドラム40、50、60、70がそれぞれ、本発明の像担持体の一例にあたる。
【0039】
図2に示すように、中間転写ベルト8の回転方向を基準にしてブラック画像形成部4の下流側近傍に、中間転写ベルト8を押圧するように二次転写ローラ9が配置されている。また、二次転写ローラ9に対向するように、中間転写ベルト8の内側には駆動ローラ21が設けられている。この駆動ローラ21は接地されている。
【0040】
また、マゼンダ画像形成部7の上流側近傍には中間転写ベルト8の表面の残留トナーを取り除くためのクリーニング装置11が配置されている。なお、このクリーニング装置11に対向するように、中間転写ベルト8の内側には従動ローラ22が設けられている。さらに、従動ローラ22の上流側であって駆動ローラ21の下流側には、中間転写ベルト8にテンションをかけるためのテンションローラ23が配置されている。
【0041】
次に、本実施の形態1の、第1の構成のクリーニング装置11の構成について説明する。図3は、本実施の形態1の、第1の構成のクリーニング装置11の構成図である。
【0042】
図2および図3に示すように、クリーニング装置11は、中間転写ベルト8を挟んで従動ローラ22に対向して配置されているファーブラシローラ111と、ファーブラシローラ111と当接して配置されている回収ローラ112と、回収ローラ112上のトナーを取り除くためのゴム製のブレード113とを備えている。また、ゴム製のブレード113の下方には、回収されたトナーを廃トナーボトル(図示せず)に搬送するための搬送スパイラル115が配置されている。
【0043】
ケーシング内面には、ブレード113によって回収ローラ112から掻き落とされたトナーが、搬送スパイラル115が配置されている廃トナー搬送部分からケーシングの開口部側へ移動しないように、立壁117が設けられている。そして、弾性シート120が、ファーブラシローラ111の表面に沿って湾曲し、その後逆方向に湾曲する形状で、ホルダ121および122によって、ケーシングの下壁116の開口部近傍と立壁117に固定されている。弾性シート120は、その対向する縁部をそれぞれホルダ121および122によって固定した後、ファーブラシローラ111を取り付けることによって、図3に示すような形状となる。ホルダ121および122は、両面テープなどでよい。
【0044】
図3に示すように、ファーブラシローラ111は、その下部がケーシングの開口部方向に移動するように回転し、弾性シート120は、ファーブラシローラ111と接触している部分から開口部側に向かって徐々に離れていくような形状となっている。
【0045】
なお、弾性シート120が、本発明のシート状の弾性部材の一例にあたり、ファーブラシローラ111の表面と接触している部分が、本発明の、シート状の弾性部材の中央部の一部の一例にあたる。また、ファーブラシローラ111が、本発明のブラシローラの一例にあたり、搬送スパイラル115が配置されているケーシング部分が、本発明の廃トナー搬送部の一例にあたる。
【0046】
回収ローラ112の軸受けは、片方が導電性であり、この軸受けを通して回収ローラ112に電圧を供給する電圧印加部(図示せず)が設けられている。
【0047】
一方、ファーブラシローラ111の軸受けは非導電性となっており、回収ローラ112に印加した電圧はロス無くクリーニング電圧として作用できるようになっている。感光体ドラム40、50、60、70に供給されるトナーはプラスに帯電しているため、ファーブラシローラ111の表面がマイナスに帯電するように、回収ローラ112に電圧が印加されている。なお、ファーブラシローラ111に対向して配置している従動ローラ22は接地されている。
【0048】
ファーブラシローラ111は、クリーニング装置11のケーシングの開口部から一部露出してブラシ毛が中間転写ベルト8に接触しており、表面がマイナスに帯電したファーブラシローラ111が、そのブラシ毛が中間転写ベルト8に接触しながら回転することにより、中間転写ベルト8上の残留トナーを物理的接触および静電力によって取り除く。そして、ファーブラシローラ111によって取り除いたトナーが、回転する回収ローラ112と接触するニップ部Nで回収ローラ112に回収され、その回収されたトナーがブレード113によって掻き落とされ、その掻き落とされたトナーが搬送スパイラル115によって廃トナーボトル(図示せず)に搬送される。
【0049】
本実施の形態1のクリーニング装置11の主要な構成の具体例について以下に説明する。
【0050】
このようなファーブラシローラ111としては、材質がナイロン、外径が17mm、毛長さが4.5mm、繊度が6D(デニール)、原糸抵抗が11.5(logΩ)、ブラシ密度が120KF/inchのものを用いることが出来る。また、回収ローラ112としては、外径が13mmの材質がSUSで形成されたものを用いることが出来る。また、回収ローラ112には、クリーニングバイアスとして−20μAの電流が流される。
【0051】
次に、本実施の形態1の第1の構成のクリーニング装置11におけるクリーニング動作について説明する。
【0052】
図10の従来の構成で説明したように、中間転写ベルト8上からファーブラシローラ111が取り除く残留トナー量が多くなると、ファーブラシローラ111のブラシ毛のフリッキングにより、回収ローラ112とのニップ部Nの出口でトナーが飛散する現象が生じる。
【0053】
弾性シート120がファーブラシローラ111の表面に接触するように配置されているので、この場合にニップ部Nの出口で飛散したトナーがケーシングの開口部から噴出するのを阻止する。ニップ部Nの出口で飛散したトナーは、再度ファーブラシローラ111のブラシ毛に付着して回収ローラ112によって回収される。また、弾性シート120が、ファーブラシローラ111の表面から開口部に向かって徐々に離れる形状をしていることにより、弾性シート120から離れる位置でファーブラシローラ111のブラシ毛のフリッキングが起こらないので、ブラシ毛に付着したトナーがケーシング開口部から噴出することが無い。
【0054】
このように、図3に示すような形状の弾性シート120を設けたことにより、ファーブラシローラ111と回収ローラ112とのニップ部Nの出口からフリッキングにより飛散したトナーの外部への噴出を防止できる。
【0055】
なお、弾性シート120として、導電性のシートを用いて接地させるようにしてもよい。導電性のシートを用いることにより、ニップ部Nの出口で飛散したトナーが再度ファーブラシローラ111に付着し易くなる。
【0056】
また、弾性シート120の一方の縁部を立壁117に固定することとしたが、弾性シート120をファーブラシローラ111の表面に沿って接触させ、開口部に向かって徐々に離れる形状にできれば、立壁117を設けずに、弾性シート120の一方の縁部を下壁116や廃トナー搬送部分のケーシング内面に固定するようにしてもよい。
【0057】
次に、本実施の形態1の、第2の構成のクリーニング装置11の構成について説明する。図4は、本実施の形態1の第2の構成のクリーニング装置11の構成図である。図3と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0058】
図4に示す第2の構成のクリーニング装置11の弾性シート123の固定されている2つの縁部間の長さは、図3に示した弾性シート120の固定されている2つの縁部間の長さよりも長く、ファーブラシローラ111の表面に沿って接触するとともに、回収ローラ112の表面にも沿って接触している。
【0059】
なお、弾性シート123が、回収ローラ112と接触している部分が、本発明の、シート状の弾性部材の中央部の他の一部の一例にあたる。
【0060】
弾性シート123がファーブラシローラ111の表面に沿って接触しているので、図3に示した第1の構成のクリーニング装置11と同様の効果が得られるとともに、回収ローラ112の表面に沿って接触しているので、ブレード113によって回収ローラ112から掻き落とされたトナーが、搬送スパイラル115が配置されている廃トナー搬送部分から、弾性シート123と回収ローラ112が接触している部分よりも開口部側へ移動するのを阻止できる。
【0061】
次に、本実施の形態1の、第3の構成のクリーニング装置11の構成について説明する。図5(a)は、本実施の形態1の第3の構成のクリーニング装置11の構成図である。図3と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0062】
図5(a)に示す第3の構成のクリーニング装置11は、ファーブラシローラ124の構成が、図3のファーブラシローラ111と異なる。
【0063】
図5(b)は、第3の構成のクリーニング装置11のファーブラシローラ124の基布部分の拡大断面図を示している。
【0064】
図3に示したファーブラシローラ111は、基布にブラシ毛を植毛した構成であるが、ファーブラシローラ124は、図5(a)および図5(b)に示すようにブラシ毛を植毛した基布の上を低反発弾性フォームで覆い、基布の上に低反発弾性体層125を形成している。なお、低反発弾性体とは、反発弾性(JIS K 6400−3)が10%以下の材質である。
【0065】
ファーブラシローラ124のブラシ毛の根元部分に低反発弾性体層125を設けているので、倒れたブラシ毛が戻るまでの回復時間が、低反発弾性体層125を設けていないファーブラシローラ111の場合よりも長くなる。その結果、中間転写ベルト8上からファーブラシローラ124が取り除く残留トナー量が多くなった場合でも、回収ローラ112とのニップ部Nの出口におけるファーブラシローラ124のブラシ毛のフリッキングによるトナーの飛散を抑制できる。
【0066】
図5(a)に示すように、ファーブラシローラ124と弾性シート120の構成を組み合わせることにより、より効果的に、クリーニング装置11内部から外部へのトナーの噴出を防止できる。
【0067】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2の第1の構成のクリーニング装置11の構成図である。図3と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0068】
本実施の形態2のクリーニング装置11を備える複写機の構成は実施の形態1と同様であり、本実施の形態2の複写機の正面の構成断面図は図1の通りであり、中間転写ベルト8近傍の拡大構成図は図2と同様である。
【0069】
ここでは、図3に示した実施の形態1のクリーニング装置11と異なる部分について説明する。
【0070】
実施の形態1において弾性シート120を設けた代わりに、本実施の形態2のクリーニング装置11では、下壁116の内側表面に起毛部130を設けている。
【0071】
起毛部130は、ブラシ毛が植毛されており、そのブラシ毛の先端部分がファーブラシローラ111の表面、すなわちファーブラシローラ111のブラシ毛と接触するように配置されている。
【0072】
図6に示すように、ファーブラシローラ111は、その下部がケーシングの開口部方向に移動するように回転し、起毛部130のブラシ毛は、ファーブラシローラ111と接触している部分から開口部側に向かって徐々に離れていくように配置されている。
【0073】
なお、起毛部130が、本発明の起毛部材の一例にあたる。
【0074】
起毛部130の具体例として、材質がナイロン、毛長さが2.0mm、繊度が2D(デニール)、ブラシ密度が240KF/inchのものを用いることが出来る。
【0075】
起毛部130がファーブラシローラ111の表面に接触するように配置されていることにより、ニップ部Nの出口で飛散したトナーがケーシングの開口部から噴出するのを阻止する。ニップ部Nの出口で飛散したトナーは、再度ファーブラシローラ111のブラシ毛に付着して回収ローラ112によって回収される。また、起毛部130が、ファーブラシローラ111の表面から開口部に向かって徐々に離れるように配置されていることにより、起毛部130から離れる位置でファーブラシローラ111のブラシ毛のフリッキングが起こらないので、ファーブラシローラ111のブラシ毛に付着したトナーがケーシング開口部から噴出することが無い。
【0076】
図6に示すような起毛部130を設けたことにより、ファーブラシローラ111と回収ローラ112とのニップ部Nの出口からフリッキングにより飛散したトナーの外部への噴出を防止できる。
【0077】
なお、起毛部130のブラシ毛として、導電性の毛を用いて接地させるようにしてもよい。導電性の毛を用いることにより、ニップ部Nの出口で飛散したトナーが再度ファーブラシローラ111に付着し易くなる。
【0078】
次に、本実施の形態2の、第2の構成のクリーニング装置11の構成について説明する。図7は、本実施の形態2の第2の構成のクリーニング装置11の構成図である。図6と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0079】
図6に示す第1の構成では、起毛部130のブラシ毛の長さを均一の長さとしたのに対し、図7に示す第2の構成では、起毛部131のブラシ毛の長さを、ファーブラシローラ111の表面に沿うように変化させている。すなわち、ファーブラシローラ111の表面と下壁116との間隔が最も小さくなる位置で起毛部131のブラシ毛の長さが最も短くなるようにブラシ毛の長さを変化させている。
【0080】
なお、起毛部131のブラシ毛の先端で形成される、ファーブラシローラ111の表面に接触する上面部分が、本発明の、ブラシローラの表面の湾曲形状に沿った湾曲面の一例にあたる。
【0081】
このような構成にすることにより、ファーブラシローラ111のブラシ毛と起毛部131のブラシ毛との接触量を均一にできるので、ファーブラシローラ111の表面が起毛部131から離れる際のフリッキングの発生を、より抑制できる。
【0082】
したがって、図6に示した第1の構成に比べて、より効果的に外部へのトナーの噴出を防止できる。
【0083】
次に、本実施の形態2の、第3の構成のクリーニング装置11の構成について説明する。図8は、本実施の形態2の第3の構成のクリーニング装置11の構成図である。図5(a)と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0084】
図8に示す第3の構成のクリーニング装置11は、図5(a)で説明した構成のファーブラシローラ124を用いている。また、下壁116に配置する起毛部132を、図5(b)で説明したような、ブラシ毛を植毛している基布の上に低反発弾性体層133を形成させた構成としている。
【0085】
起毛部132のブラシ毛の根元部分に低反発弾性体層133を設けているので、倒れたブラシ毛が戻るまでの回復時間が、低反発弾性体層を設けていない起毛部130の場合よりも長くなる。その結果、ファーブラシローラ124が開口部に向かって離れていく部分でのフリッキングを防止でき、より効果的に、クリーニング装置11内部から外部へのトナーの噴出を防止できる。また、ファーブラシローラ124のブラシ毛の根元部分にも低反発弾性体層125を設けているので、中間転写ベルト8上からファーブラシローラ124が取り除く残留トナー量が多くなった場合でも、回収ローラ112とのニップ部Nの出口におけるファーブラシローラ124のブラシ毛のフリッキングによるトナーの飛散を抑制できる。
【0086】
なお、図8の構成では、ファーブラシローラとして、基布の上に低反発弾性体層125を形成したファーブラシローラ124を用いることとしたが、低反発弾性体層125を設けていない構成のファーブラシローラ111を用いてもよい。
【0087】
また、図8で示した起毛部132の構成に、図7で示したブラシ毛の長さを変化させる構成を組み合わせてもよい。
【0088】
また、本実施の形態2の各構成において、ファーブラシローラとの間で生じるフリッキングをより抑制するために、起毛部130〜132のブラシ毛がケーシングの開口部方向に倒れた構成としてもよい。この場合、起毛部130〜132のブラシ毛のうち、開口部寄りのブラシ毛だけが開口部方向に倒れた構成であってもよい。
【0089】
なお、各実施の形態では、中間転写ベルト8上の残留トナーを除去するクリーニング装置11について説明したが、感光体ドラム40、50、60、70用のクリーニング部43、53、63、73、すなわち像担持体用のクリーニング部についても、本発明の構成を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係るクリーニング装置および画像形成装置は、ファーブラシローラと回収ローラ間でフリッキングによって飛散したトナーを外部へ噴出させない効果を有し、プリンタ、複写機およびファクシミリなどの画像形成装置、およびそれらに用いるクリーニング装置等として有用である。
【符号の説明】
【0091】
1 複写機
2 給紙カセット
3 画像読み取り部
4 ブラック画像形成部
5 イエロー画像形成部
6 シアン画像形成部
7 マゼンダ画像形成部
8 中間転写ベルト
9 二次転写ローラ
10 定着部
11 クリーニング装置
12 LSU
13 排出トレイ
14、15、16、17 一次転写ローラ
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 テンションローラ
40、50、60、70 感光体ドラム
43、53、63、73 クリーニング部
45、55、65、75 現像ローラ
71 帯電器
72 現像器
111、124 ファーブラシローラ
112 回収ローラ
113 ブレード
115 搬送スパイラル
116 下壁
117 立壁
120、123 弾性シート
121、122 ホルダ
125、133 低反発弾性体層
130、131、132 起毛部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体表面または中間転写体表面に向けた開口部を有するケーシングと、
前記開口部から一部が露出して、前記像担持体または前記中間転写体に接触するように前記ケーシング内に配置された、残留トナーを取り除くためのブラシローラと、
前記ケーシング内に配置され、前記取り除かれたトナーを前記ブラシローラから回収するための回収ローラと、
前記ケーシング内に配置され、前記回収ローラで回収されたトナーを掻き落とすブレードと、
前記ケーシング内に配置され、前記ブレードで掻き落とされたトナーを廃トナー回収部へ運ぶ廃トナー搬送部と、
前記ブラシローラの、前記回収ローラとの接触部から下部にかけての面の所定部位から、前記ケーシング内側の下壁面の所定部位にかけて配置され、前記トナーが前記開口部から外部へ流出することを阻止するトナー阻止部材とを備え、
前記ブラシローラは、前記下部が前記開口部に向かって移動する向きに回転し、
前記トナー阻止部材は、前記ブラシローラと当接する部分から前記開口部に向かうにしたがって前記ブラシローラの表面から徐々に離れていく形状をしている、クリーニング装置。
【請求項2】
前記トナー阻止部材は、シート状の弾性部材であり、その一方の縁部が、前記下壁面の前記開口部近傍に固定されており、前記一方の縁部に対向する他方の縁部が、前記下壁面に立設された立壁、前記下壁面または前記廃トナー搬送部に固定されており、少なくとも中央部の一部が前記ブラシローラの表面に当接することにより、前記一方の縁部から前記ブラシローラの表面に沿って湾曲し、その後逆方向に湾曲して前記他方の縁部に達している、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記トナー阻止部材は、導電性を有し、接地されている、請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記トナー阻止部材は、前記中央部の他の一部が前記回収ローラにも当接している、請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記トナー阻止部材は、起毛部材であり、前記ブラシローラの前記下部に対向する前記下壁面に植毛されている、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記起毛部材の上面は、前記ブラシローラの表面の湾曲形状に沿った湾曲面を有している、請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記起毛部材の毛は、少なくとも前記開口部寄りの一部が前記開口部方向に倒れている、請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記起毛部材の毛は、導電性を有し、接地されている、請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記起毛部材は、毛が基布部に植毛されており、前記基布部の上に低反発弾性体の層が形成されている、請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記ブラシローラは、ブラシ毛が基布に植毛されており、前記基布の上に低反発弾性体の層が形成されている、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
表面にトナー画像が形成される感光体ドラムと、
請求項1に記載のクリーニング装置と、
記録媒体に転写されたトナー画像を定着させる定着部とを備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−170020(P2010−170020A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14250(P2009−14250)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】