説明

クリーニング装置及びこれを用いる画像形成装置

【課題】クリーニング装置内の温度上昇を抑制し、温度上昇に伴うトナー固着といった不具合を抑制することができるクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト20上の残留トナーを中間転写ベルト20上から除去するクリーニングブレード18と、除去したトナーを収容し、収容したトナーを装置外に排出するためのトナー排出搬送路61が形成されるケーシング60と、トナー排出搬送路61内のトナーを搬送する搬送スクリュ62と、ケーシング60に対して冷却又は放熱作用を有するダクト63とを有するクリーニング装置17において、トナー排出搬送路61が搬送スクリュ62に対向するケーシング内側層64とケーシング内側層64の外側に形成されるケーシング外側層65との二層で構成され、ケーシング内側層64がダクト63により冷却される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体表面上の残留トナーを該像担持体上から除去し、これを回収するクリーニング装置、及びこれを用いる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を利用した画像形成装置においては、高画質化を目的としてトナーの小粒径化の傾向にあり、画像印刷の生産性向上を目的としてトナーの低融点化の傾向にあるため、トナーの流動性が悪くなっている。一方、画像形成装置内は、定着装置や各種モータ等の熱源が多く配置されているため、外気温に比べて温度が上昇しやすく、残留トナーを回収するクリーニング装置内も熱が伝達されて温度が上昇しやすくなっている。そのため、クリーニング装置内に設けられる、トナーを装置外に排出するためのトナー排出搬送路内では、温度上昇によるトナーの搬送不良や搬送不良によるトナー固着といった不具合が発生しやすくなっている。
【0003】
そこで、画像形成装置内に排気ファンで外気を取り込み、クリーニング装置のケーシングに接する位置又は近傍にダクトを通したり冷却装置を配置したりすることにより、クリーニング装置の温度上昇を抑制することが行われている。また、特許文献1には、クリーニング装置のケーシングの外壁に放熱シートを取り付ける画像形成装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クリーニング装置のケーシングに接する位置又は近傍にダクトを通したり冷却装置を配置したりしても、トナー排出搬送路に対する熱低減効果は、トナー排出搬送路周辺の構成により異なる。また、クリーニング装置のケーシングに放熱シートを取り付けるだけでは、クリーニング装置周りの雰囲気温度が高くなると、熱低減効果が小さくなってしまうと考えられる。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、クリーニング装置内の温度上昇を抑制し、温度上昇に伴うトナー固着といった不具合を抑制することができるクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、像担持体表面上の残留トナーを該像担持体上から除去する除去手段と、除去したトナーを収容し、収容したトナーを装置外に排出するためのトナー排出搬送路が形成されるケーシングと、該トナー排出搬送路内のトナーを搬送するトナー搬送部材と、該ケーシングに対して冷却作用又は放熱作用を有する冷却手段とを有するクリーニング装置において、上記ケーシングの少なくとも上記トナー排出搬送路を形成する箇所は、上記トナー搬送部材に対向するケーシング内側層と該ケーシング内側層の外側に形成されるケーシング外側層との二層で構成され、該ケーシング内側層が上記冷却手段により冷却されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、クリーニング装置内の温度上昇を抑制し、温度上昇に伴うトナー固着といった不具合を抑制することができるクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す構成図。
【図2】同画像形成装置のクリーニング装置の構成を示す概略構成図。
【図3】同クリーニング装置の一部構成を示す斜視図。
【図4】同クリーニング装置にダクトを設置した構成を示す断面図。
【図5】同クリーニング装置の冷却装置を設置した構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す構成図である。この画像形成装置は、複写機本体100と、この複写機本体100を載置する給紙テーブル200と、複写機本体100上に取り付けられたスキャナ300と、このスキャナ300上に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400とから主として構成されている。
【0010】
スキャナ300では、原稿照明用光源やミラーなどを搭載した第1走行体33と、複数の反射ミラーを搭載した第2走行体34とが往復移動するのに伴って、コンタクトガラス32上に載置された図示しない原稿の読取り走査が行われる。第2走行体34から送り出される走査光は、結像レンズ35によってその後方に設置されている読取りセンサ36の結像面に集光せしめられた後、読取りセンサ36によって画像信号として読込まれる。
【0011】
複写機本体100には、タンデム型画像形成装置10が配置されている。タンデム型画像形成装置10は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーに対応した画像形成ユニット11Y、11C、11M、11Kを備えている。各画像形成ユニット11には、感光体ドラム12Y、12C、12M及び12Kが設けられている。各感光体ドラム12の周囲には、感光体ドラムを一様に帯電する帯電装置、感光体ドラム上の潜像を現像する現像装置、感光体ドラム上の残留トナーを除去する感光体クリーニング装置等の電子写真プロセスを実行する各手段がそれぞれ配置されている。
【0012】
タンデム型画像形成装置10の上部には、画像情報に基づいて感光体ドラム12をレーザ光又はLED光により露光して潜像を形成する露光装置21が設けられている。
【0013】
また、タンデム型画像形成装置10の感光体ドラム12と対向する下方位置には、無端状のベルト部材からなる像担持体たる中間転写ベルト20が配置されている。中間転写ベルト20は支持ローラ14、15及び16によって支持されている。中間転写ベルト20を介して感光体ドラム12と相対する隣接位置には、感光体ドラム12上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写ローラ13が配置されている。また、中間転写ベルト20には、その表面に残留するトナーを取り除くための、後述するクリーニング装置17が設けられている。
【0014】
中間転写ベルト20の下方には、中間転写ベルト20表面に重ね合わせて形成されたトナー像を、給紙テーブル200の給紙トレイ44から搬送されてくる転写媒体たるシートに一括転写する二次転写ローラ22が配置されている。二次転写ローラ22は、中間転写ベルト20を介して支持ローラ16に当接し、中間転写ベルト20上のトナー像を図示省略したシートに転写する。以下、支持ローラ16を二次転写バックアップローラ16と呼ぶ。
【0015】
二次転写ローラ22に隣接する位置には、二次転写されたシートを搬送するべく、二つのローラ23に張架される搬送ベルト24が設けられている。また、搬送ベルト24に隣接する位置には、定着装置25が設けられている。定着装置25は搬送ベルト24によって搬送されたシート上の画像を定着する。定着装置28は、無端ベルトである定着ベルト26と、この定着ベルト26に押し当てられる加圧ローラ27とから主として構成されている。二次転写ローラ22及び定着装置28の下方には、シートを反転するシート反転装置28が配置されている。シート反転装置28は、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転させる。
【0016】
次に、上記構成の画像形成装置の動作について説明する。まず、図1の原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、又は原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。この状態で、図示省略した起動スイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動した後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは直ちにスキャナ300が駆動し、第一走行体33及び第二走行体34を走行させる。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光を受け、これを第二走行体34に向けて反射し、第二走行体34のミラーで反射光を更に反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入射させ、読取りセンサ36で原稿内容を読取る。
【0017】
また、装置の起動スイッチを押すことによって、図示省略した駆動モータを駆動させて支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動し、他の2つの支持ローラを従動回転させ、これによって中間転写ベルト20を回動させる。同時に、各画像形成ユニット10において、帯電装置によって感光体ドラム12を一様に帯電し、次いでスキャナ300の読取り内容に応じて露光装置21からレーザやLED等による書込み光Lを照射して帯電した各感光体ドラム12上に静電潜像を形成する。静電潜像が形成された感光体ドラム12に現像装置からトナーを供給し、静電潜像を可視像化し、各感光体ドラム12上にそれぞれブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。単色画像を順次一次転写ローラ13によって中間転写ベルト20上に重なるように一次転写し、中間転写ベルト20上に合成カラー画像を形成する。画像転写後の感光体ドラム12の表面は、感光体クリーニング装置によって残留トナーを除去し、除電装置で除電して再度の画像形成に備える。
【0018】
起動スイッチを押すことにより、また給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択されて回転し、ペーパーバンク43に多段に設けられた給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に挿入し、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて停止させる。一方、シートが手差しされる場合は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に挿入し、同様にレジストローラ49に突き当てて停止させる。次に、中間転写ベルト20上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト20と二次転写装置19との間にシートを送り込み、二次転写装置19で転写してシート上にカラー画像を転写する。
【0019】
二次転写ローラ22を通過した未定着トナー像を担持したシートを、定着装置28へ搬送し、定着装置28で熱と圧力とを加えて転写画像を永久画像として定着する。画像定着後のシートは、切換爪55で切り換えて排出ローラ56によって排出し、排紙トレイ57上にスタックするか、又は切換爪55で切り換えてシート反転装置28に導入し、ここで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録し、その後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。このとき、画像転写後の中間転写ベルト20上に残留する残留トナーをクリーニング装置17で除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
【0020】
ここで、上記レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多い。一般的に中間転写方式は、シートの紙粉が感光体ドラム12にまで移動しづらいため、紙粉転写を考慮する必要が少ないからである。しかし、シートの紙粉除去のために、レジストローラ49にバイアスを印加することも可能である。例えば、導電性ゴムローラを用いバイアスを印加する。径φ18で、表面を1mm厚みの導電性NBRゴムとする。電気抵抗はゴム材の体積抵抗で10Ω・cm程度であり、印加電圧はトナーを転写する側(表側)には−800V程度の電圧を印加、紙裏面側は+200V程度の電圧を印加する。また、印加電圧として、DCバイアスが印加されているが、これはシートをより均一帯電させるためDCオフセット成分を持ったAC電圧でも良い。このようにバイアスを印加したレジストローラ49を通過した後のシート表面は、若干マイナス側に帯電している。よって、中間転写ベルト20からシートへの転写では、レジストローラ49に電圧を印加しなかった場合に比べて転写条件が変わり転写条件を変更する場合がある。
【0021】
また、上記クリーニング装置17では、ポリウレタンゴムに代表されるゴム製のブレードをベルトに当接させて行なうのが一般的である。これは、安価で確実なクリーニング性が望めるからである。ところが、このブレードクリーニング方式において、紙粉がブレードとベルトに挟まると、クリーニング不良が発生してしまう。本実施形態では、シートが直接に中間転写ベルト20に接するため、紙粉の進入は避けられない。そこで、本実施形態では、紙粉による影響を防ぎ、クリーニング性を確保するために、後述するクリーニング装置17を採用している。
【0022】
図2は、クリーニング装置の構成を示す概略構成図である。図2に示すクリーニング装置17は、中間転写ベルト20を張架するローラのうちの一つの対向ローラ67に対向する位置に設けられている。このクリーニング装置17では、中間転写ベルト20を介して対向ローラ67に当接して残留トナーを除去するクリーニングブレード18と、このクリーニングブレード18よりも中間転写ベルト移動方向上流側で、中間転写ベルト20を介して対向ローラ67に当接して紙粉を除去する紙粉除去部材となるブラシローラ19とを備えている。ブラシローラ19の設置は、紙粉の混入によりトナーの凝集度が悪化するのを抑制し、後述するようにトナー固着の不具合を抑制する効果がある。また、ここでは、ブラシローラ19は中間転写ベルト20と連れ回りにしても良いが、駆動を与えた方が望ましい。ブラシの毛の材質はここではPET樹脂を使用している。このように、ブラシローラ19をクリーニングブレード18の上流側に置くことにより、常時クリーニングブレード18に紙粉が挟まることに起因するクリーニング性の低下を、画像形成を損なうことなく簡単な構成で安価に防止することができる。また、紙粉除去部材がブラシローラ19によって形成されているため、紙粉除去と同時にトナーの除去も行なうことができ、クリーニングブレード18の負担を軽減し、クリーニングブレード18の寿命を延ばすという効果も期待できる。
【0023】
図3は、クリーニング装置17の底部付近の一部構成を示す斜視図である。図4は、クリーニング装置にダクトを設置した構成を示す断面図である。図3及び図4に示すように、上記クリーニング装置17では、ケーシング60内にクリーニングブレード18によって除去されたトナーを収容する。そして、ケーシング60の底部には、収容するトナーをクリーニング装置17外の図示しない廃トナータンクに搬送するためのトナー排出搬送路61が対向ローラ67の軸方向(以下、長手方向という)に沿って形成されている。このトナー排出搬送路61内には、除去されたトナーを装置外に搬送するための搬送スクリュ62が設置される。
【0024】
そして、上記クリーニング装置17のケーシング60のトナー排出搬送路61が形成される箇所の外壁に沿って、冷却手段たるダクト63が設置されている。このダクト63は、矩形状の管であり、図示しない、外気を取り込むための取り込み口と取り込んだ外気を排出するため排気口とを備え、管内に外気を通すことによって、ダクト63の周囲を冷却する作用を有する。
【0025】
ここで、上記ケーシング60のトナー排出搬送路61を形成する箇所は、搬送スクリュ62に対向する面となるケーシング内側層64、ケーシング内側層64の外側に形成されるケーシング外側層65との二層で構成されている。ケーシング内側層64は、搬送スクリュ62に対向する面が搬送スクリュ62の回転軌跡に沿って円弧状に形成されるとともに、ダクト63側に対向する面がダクト63の壁面の一部となって延在している。ケーシング内側層64は、ダクト63内を通る冷却部たる空気によって直接冷却されることになるのである。一方、ケーシング外側層は、ケーシング内側層64の搬送スクリュ62に対向する円弧状の面を覆うように形成されるとともに、ケーシング60の底部を占めるように形成されている。ケーシング外側層65は、ケーシング60(ケーシング内側層64を含む)底部を覆うことにより、ケーシング60外の熱がケーシング60内へ移動するのを断つ断熱効果を有するのである。
【0026】
このように構成されるトナー排出搬送路61においては、ケーシング内側層64がダクト63の管内を流れる外気によって直接冷却され、トナー排出搬送路に対して冷却効果を有する。これにより、トナー排出搬送路61に蓄積しているトナー温度やケーシング60内の温度の低減化が図られる。一方、ケーシング外側層65は、ケーシング60外の熱がケーシング60内へ移動するのを断つ断熱効果を有する。これにより、ケーシング60外の機内温度が上昇しても、ケーシング60(トナー排出搬送路61)内はその影響を受けにくく、機内温度の上昇を抑制することができる。このように、ケーシング60のトナー排出搬送路61を構成する箇所を、ケーシング内側層64とケーシング外側層65の二層の構成とし、冷却作用と断熱作用の機能を分離させる。これにより、ケーシング60(トナー排出搬送路61)内のトナー温度の上昇を抑制することができ、ケーシング60内のトナー温度上昇によるトナー固着といった動作不良の発生を抑制できる。
【0027】
上述した冷却効果と断熱効果を発揮させるには、ケーシング内側層64とケーシング外側層65とで熱伝導率の異なる材料を用いることが好ましい。特に、ケーシング内側層64にはアルミニウム等の金属材料のように熱伝統率の大きい材料を用いることが好ましい。また、ケーシング外側層65には、樹脂材料等のように熱伝導率の小さい材料を用いることが好ましい。
【0028】
また、ケーシング内側層64は、トナーの接触し、搬送スクリュ62との摺擦もあるため、導電材料を用いて接地するとよい。これにより、ケーシング内側層64が帯電するのを抑制することができ、トナーの搬送性を向上させ、トナー固着の不具合も抑制できる。
【0029】
また、ケーシング内側層64の搬送スクリュ62と摺擦する面には、低摩擦化加工を施すとよい。これにより、トナー搬送経路61(ケーシング内側層64)とトナーとの付着力を低減させることができ、トナー固着の不具合を防止できる。
【0030】
なお、冷却手段としては、ダクト63に限定されるものではなく、液冷による冷却装置、ヒータタンク等の冷却作用又は放熱作用を有するものであればよい。図5は、クリーニング装置に液冷による冷却装置を設置した構成を示す断面図である。例えば、図5に示す液冷による冷却装置66は、ケーシング60のトナー排出搬送路61が形成される箇所に沿って配置され、ケーシング内側層64の端部を直接冷却する。これにより、上述したように、ケーシング60(トナー排出搬送路61)内のトナー温度の上昇を抑制することができ、ケーシング60内のトナー温度上昇によるトナー固着といった動作不良の発生を抑制できる。
【0031】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
中間転写ベルト20などの像担持体表面上の残留トナーを像担持体上から除去するクリーニングブレード18などの除去手段と、除去したトナーを収容し、収容したトナーを装置外に排出するためのトナー排出搬送路61などのトナー排出搬送路が形成されるケーシング60などのケーシングと、トナー排出搬送路内のトナーを搬送する搬送スクリュ62などのトナー搬送部材と、ケーシングに対して冷却又は放熱作用を有するダクト63や冷却装置66等の冷却手段とを有するクリーニング装置17などのクリーニング装置において、トナー排出搬送路がトナー搬送路部材に対向するケーシング内側層とケーシング内側層の外側に形成されるケーシング外側層との二層で構成され、ケーシング内側層が冷却手段により冷却される。これによれば、ケーシング内側層はトナー排出搬送路内のトナーに対して冷却効果を有し、ケーシング外側層はケーシング外の温度がケーシング内に伝わるのを遮る断熱効果を有する。よって、ケーシング外の温度が高くなっても、トナー排出搬送路内ではトナー温度が上昇しにくく、トナー温度上昇によるトナー固着といった不具合を抑制できる。
(態様B)
(態様A)のクリーニング装置において、ケーシング内側層は、ケーシング外側層から一部露出して、冷却手段の冷却作用又は放熱作用を有する冷却部に接することにより冷却される。これによれば、ケーシング内側層は、冷却部より直接冷却作用を受けることができ、冷却作用を受ける以外の部分はケーシング外側層によって覆われケーシング外からの熱が遮られた状態である。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)のクリーニング装置において、ケーシング内側層とケーシング外側層とは、互いに異なる熱伝導率をもつ材料により構成される。これによれば、ケーシング内側層とケーシング外側層との機能を分離させることが可能である。
(態様D)
(態様C)のクリーニング装置において、上記ケーシング内側層を構成する材料の熱伝導率は、上記ケーシング外側層を構成する材料の熱伝導率よりも大きい。これによれば、ケーシング内側層がもつ冷却効果と、ケーシング外側層がもつ断熱効果を発揮させることができる。
(態様E)
(態様A)(態様B)(態様C)又は(態様D)のクリーニング装置において、上記ケーシング内側層は、導電材料により構成され接地される。これによれば、ケーシング内側層の帯電が抑制され、トナー排出搬送路内でのトナー固着を抑制することができる。
(態様F)
(態様A)(態様B)、(態様C)、(態様D)又は(態様E)のクリーニング装置において、上記ケーシング内側層の上記トナー搬送手段に対向する面には低摩擦化加工が施されている。これによれば、ケーシング内側層とトナーとの付着力が低減され、トナー排出搬送路内でのトナー固着を抑制することができる。
(態様G)
(態様A)(態様B)、(態様C)、(態様D)又は(態様E)のクリーニング装置において、上記像担持体は中間転写ベルト20などの中間転写体である。中間転写体から除去した残留トナーは、潤滑剤や紙粉といった異物が混入しやすくトナー凝集度が悪化しやすく、トナー固着が発生しやすい。しかし、(態様F)においては、ケーシング内でのトナー温度の上昇を抑制することができるため、トナー固着といった動作不良の発生を抑制することができる。
(態様H)
中間転写ベルト20などの像担持体上にトナー像を作像する画像形成ユニット11などの作像手段と、像担持体上のトナー像をシートなどの転写媒体に転写する二次転写ローラ22などの転写手段と、転写手段による転写後に像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング装置17などのクリーニング手段とを備える画像形成装置において、上記クリーニング手段として、(態様A)(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)(態様F)又は(態様G)のクリーニング装置を用いる。これによれば、上述したクリーニング装置を搭載することにより、クリーニング装置でのトナー固着といった動作不良を抑制することができる。
【符号の説明】
【0032】
17 クリーニング装置
20 中間転写ベルト
60 ケーシング
61 トナー排出搬送路
62 搬送スクリュ
63 ダクト
64 ケーシング内側層
65 ケーシング外側層
66 冷却装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2005−164771号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体表面上の残留トナーを該像担持体上から除去する除去手段と、
除去したトナーを収容し、収容したトナーを装置外に排出するためのトナー排出搬送路が形成されるケーシングと、
該トナー排出搬送路内のトナーを搬送するトナー搬送部材と、
該ケーシングに対して冷却作用又は放熱作用を有する冷却手段とを有するクリーニング装置において、
上記ケーシングの少なくとも上記トナー排出搬送路を形成する箇所は、上記トナー搬送部材に対向するケーシング内側層と該ケーシング内側層の外側に形成されるケーシング外側層との二層で構成され、該ケーシング内側層が上記冷却手段により冷却されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1のクリーニング装置において、
上記ケーシング内側層は、上記ケーシング外側層から一部露出して、上記冷却手段の冷却作用又は放熱作用を有する冷却部に接することにより冷却されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2のクリーニング装置において、
上記ケーシング内側層と上記ケーシング外側層とは、互いに異なる熱伝導率をもつ材料により構成されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項3のクリーニング装置において、
上記ケーシング内側層を構成する材料の熱伝導率は、上記ケーシング外側層を構成する材料の熱伝導率よりも大きいことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4のクリーニング装置において、
上記ケーシング内側層は、導電材料により構成され接地されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5のクリーニング装置において、
上記ケーシング内側層の上記トナー搬送手段に対向する面には低摩擦化加工が施されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6のクリーニング装置において、
上記像担持体は中間転写体であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項8】
像担持体上にトナー像を作像する作像手段と、該像担持体上のトナー像を転写媒体に転写する転写手段と、該転写手段による転写後に像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段とを備える画像形成装置において、
上記クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6又は7のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−57882(P2013−57882A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197297(P2011−197297)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】