説明

クレーン及びそのアダプタ

【課題】吊上能力を低下させることなく、ウエイトブロックの高さを低減するクレーン及びそのアダプタを提供しようとするクレーン及びそのアダプタを提供する。
【解決手段】ウエイトブロック16を搭載するウエイトベース15を旋回体の旋回フレーム後側に着脱し得るように、前記旋回フレーム3にフレーム側着脱部17を備えると共に、前記ウエイトベース15にウエイト側着脱部24を備えるクレーンであって、
前記旋回フレーム3と前記ウエイトベース15との間にアダプタ32を配置可能にし、該アダプタ32は、フレーム側着脱部17へ着脱可能にする第一着脱部35と、ウエイト側着脱部24を着脱可能にする第二着脱部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン及びそのアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クレーンの一例であるクローラクレーンは、図14に示す如くクローラを有する走行体1と、該走行体1の上部に旋回自在に設置された旋回体2とを備えており、旋回体2は、下部を旋回フレーム3により構成し、旋回フレーム3の上部には、運転席4と、前方で起伏自在に配置されるブーム5とが備えられている。
【0003】
ブーム5は、旋回フレーム3上のブーム起伏用ドラム6に巻取り・繰出し可能に掛け回された起伏索7により起伏可能になっており、またブーム5の先端から荷を吊るために吊り下げられた主フック8は、旋回フレーム3上の昇降用ドラム9に巻取り・繰出し可能に掛け回された巻上索10により昇降可能になっている。
【0004】
旋回フレーム3の後部には起伏用フレーム11が配置されており、起伏用フレーム11は、旋回フレーム3の後方側に立設した垂直フレーム12と、旋回フレーム3の前方側から垂直フレーム12上端側へ向けて斜め方向へ延在し且つ上端が垂直フレーム12の上端に接続された傾斜フレーム13とを備えている。
【0005】
旋回フレーム3の後方には、ブーム5の重量や吊り荷(図示せず)の重量とのバランスを取るようにカウンタウエイト14が配置されており、カウンタウエイト14は、旋回フレーム3の後方に配置されるウエイトベース15と、ウエイトベース15の上部に積載される複数(図14では6本)のウエイトブロック16等とを備えている。ここでウエイトブロック16は、クレーンの前後方向に向かって左右両側に位置するようにウエイトベース15の両側に積載されており、上下に積載されたウエイトブロック16は、上下方向に形成された貫通孔(図示せず)にピン(図示せず)を通してウエイトベース15に固定されている。
【0006】
尚、前述の如きクレーンの一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−31005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ウエイトベース15に積載されるウエイトブロック16は、ブーム5の吊上能力に対応して重量を確保するように高い位置まで積載されるため、高いウエイトブロック16の周囲で作業する作業員に圧迫感を与えると共に、エンジン等の振動によるウエイトブロック16の揺れを生じ、作業員へウエイトブロック16落下の恐怖感を与えるという問題があった。またウエイトブロック16の個数を減らしてウエイトブロック16の高さを低減する場合には、ブーム5の吊上能力に対応して重量を確保することができず、ブーム5の吊上能力が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、吊上能力を低下させることなく、ウエイトブロックの高さを低減するクレーン及びそのアダプタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のクレーンは、ウエイトブロックを搭載するウエイトベースを旋回体の旋回フレーム後側に着脱し得るように、前記旋回フレームにフレーム側着脱部を備えると共に、前記ウエイトベースにウエイト側着脱部を備えるクレーンであって、
前記旋回フレームと前記ウエイトベースとの間にアダプタを配置可能にし、該アダプタは、フレーム側着脱部へ着脱可能にする第一着脱部と、ウエイト側着脱部を着脱可能にする第二着脱部とを備えたものである。
【0011】
本発明のクレーンにおいて、前記アダプタの第一着脱部は、フレーム側着脱部に係止されるアダプタ側係止材を備えると共に、前記アダプタの第二着脱部は、ウエイト側着脱部を係止するアダプタ側支持プレートを備えることが好ましい。
【0012】
本発明のクレーンにおいて、前記フレーム側着脱部は、ウエイト側着脱部または第一着脱部を係止し得るフレーム側支持プレートを備えることが好ましい。
【0013】
本発明のクレーンにおいて、前記ウエイト側着脱部は、フレーム側着脱部または第二着脱部に係止されるウエイト側係止材を備えることが好ましい。
【0014】
本発明のクレーンにおいて、前記アダプタは、旋回フレームの横面に支持される第一受け面を備えると共に、ウエイトベースの横面を受け止める第二受け面を備えることが好ましい。
【0015】
本発明のクレーンにおいて、前記アダプタにウエイトを備えることが好ましい。
【0016】
本発明のアダプタは、ウエイトブロックを搭載するウエイトベースを旋回体の旋回フレーム後方に着脱し得るように、前記旋回フレームにフレーム側着脱部を備えると共に、前記ウエイトベースにウエイト側着脱部を備えるクレーンに対し、前記旋回フレームと前記ウエイトベースとの間に配置し得るアダプタであって、
前記旋回フレームのフレーム側着脱部へ着脱可能にする第一着脱部と、前記ウエイトベースのウエイト側着脱部を着脱可能にする第二着脱部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、旋回フレームとウエイトベースとの間にアダプタを配置した場合には、アダプタによりウエイトフレームを後方へ移設してウエイトブロックの重心を後方へずらすので、積載するウエイトブロックの重量を減らしてバランスをとることが可能となり、よって吊上能力を低下させることなく、ウエイトブロックの高さを低減することができる。そしてウエイトブロックの高さを低減するので、ウエイトブロックの周囲で作業する作業員へ圧迫感を抑制することができると共に、エンジン等の振動によるウエイトブロックの揺れを低減し、作業員へのウエイトブロック落下の恐怖感を抑制することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を実施する形態例であって旋回体にカウンタウエイトを配置した状態を示す平面図である。
【図2】図1のII−II方向の矢視図である。
【図3】旋回フレームのフレーム側着脱部を示す側面図である。
【図4】カウンタウエイトを示す側面図である。
【図5】本発明を実施する形態例であって旋回体とカウンタウエイトの間にアダプタを配置した状態を示す平面図である。
【図6】本発明を実施する形態例であって旋回体とカウンタウエイトの間にアダプタを配置した状態を示す後面図である。
【図7】図5のVII−VII方向の矢視図である。
【図8】アダプタを示す平面図である。
【図9】アダプタを示す後面図である。
【図10】図8のX−X方向の矢視図である。
【図11】図8のXI−XI方向の矢視図である。
【図12】本発明を実施する形態例のクローラクレーンであって重心の移動を示す概念図である。
【図13】カウンタウエイトの重心の移動を示す概念図である。
【図14】従来のクローラクレーンを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態例を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1〜図13は本発明を実施する形態例を示すクローラクレーンで、図14と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。ここで本発明のクレーンは、クローラクレーンに限定されるものではなく、旋回体2の旋回フレーム3及びカウンタウエイト14を備えるならば、タワークレーン等の他の種類のクレームでも良い。
【0021】
本発明の形態例のクローラクレーンは、ブーム5の重量や吊り荷(図示せず)の重量とのバランスを取るカウンタウエイト14を旋回体2の旋回フレーム後側に備えており、旋回フレーム3の後部上面には、図1〜図3に示す如く左右両側に所定の間隔を有して配置されるフレーム側着脱部17が設置されている。
【0022】
フレーム側着脱部17は、左右両側で平行になるように旋回フレーム3の上面から上方向へ延在するフレーム側支持プレート18を備えている。二枚のフレーム側支持プレート18は、夫々、後側に後方へ突出した突出部19を形成し、突出部19の上辺には、円弧状に切り欠いた切欠き20を備えている。またフレーム側着脱部17で切欠き20の下方位置には、固定ピン21(図2参照)を挿入し得る挿入孔22(図3参照)を形成している。更にフレーム側支持プレート18の上部には、起伏用フレーム11の垂直フレーム12を配置している。ここでフレーム側支持プレート18は、カウンタウエイト14に対応するならば他の構成でも良いし、二枚以外の他の枚数でも良い。
【0023】
カウンタウエイト14は、図1、図2、図4に示す如く旋回フレーム3の後方で平面板状に配置されるウエイトベース15と、ウエイトベース15の上部に積載されるウエイトブロック16を備えており、ウエイトブロック16は、ウエイトベース15の上部後方に積載される中央のウエイトブロック16aと、ウエイトベース15の上部で中央のウエイトブロック16aの両側に積載される両側のウエイトブロック16b,16cとを備えている。またウエイトベース15の上面で両側のウエイトブロック16b, 16cの間には、カウンタウエイト14を吊上可能にする吊り部23が備えられており、ウエイトベース15の前部上面には、旋回フレーム3のフレーム側着脱部17に対応するように、左右両側に所定の間隔を有して配置されるウエイト側着脱部24が設置されている。ここで図4中、25はウエイトブロック16に対して上下方向に形成された貫通孔、26に貫通孔25に挿通するピン、27はピン26を固定するナット等の固定部を示している。
【0024】
ウエイト側着脱部24は、左右両側に夫々、ウエイトベース15の上面から上方向へ延在し且つ2枚で1つの脚部を形成するウエイト側脚部プレート28と、ウエイト側脚部プレート28により所定の高さ位置で水平に配置されるロッド状のウエイト側係止材29とを備えている。ウエイト側脚部プレート28は、前方縁部を、ウエイトベース15の上面から斜め後側へ延在し更に上方へ延在する形状にし、旋回フレーム3への着脱時に干渉しないようにしている。またウエイト側脚部プレート28の表面でウエイト側係止材29の下方位置には、固定ピン21(図2参照)を挿入し得る挿入孔30(図4参照)を形成し、ウエイト側脚部プレート28の挿入孔30の下方位置には、上部開口を備える箱状の係止部材31を備えている。箱状の係止部材31は、固定ピン21の先端に配したL字先端部が固定ピン21の軸転により内部に位置するように構成され、挿入孔22,30からの固定ピン21の脱落を防止するようにしている。
【0025】
一方、旋回体2の旋回フレーム3とカウンタウエイト14のウエイトベース15との間には、図5、図7に示す如くアダプタ32を配置可能にしており、アダプタ32は、図8〜図11に示す如くウエイトベース15の左右方向の横幅と同じ幅を有する平面板状のアダプタベース33と、アダプタベース33の上面中央から後方へ突出するように配置されるアダプタ側のウエイト34と、アダプタベース33の上面両側で前側に位置する第一着脱部35と、アダプタベース33の上面両側で後側に位置する第二着脱部36とを備えている。
【0026】
アダプタベース33には、旋回フレーム3の横面3aに接触し得るプレート状の第一受け面37を備えると共に、ウエイトベース15の横面15aに接触し得るプレート状の第二受け面38を備えている。ここでアダプタベース33は、複数枚のプレートを積層して一枚のプレートにしても良いし、他の部材を組み合わせてプレートにしても良い。
【0027】
アダプタ側のウエイト34は、アダプタベース33の上面で所定の高さを有する体積を備えており、重心位置をウエイト34の高さ中央より下方に配置している。
【0028】
アダプタ32の第一着脱部35は、フレーム側着脱部17に対応し得るように、左右両側に夫々、アダプタベース33の上面から上方向へ延在し且つ2枚で1つの脚部を形成するアダプタ側脚部プレート39と、アダプタ側脚部プレート39により所定の高さ位置で水平に配置されるロッド状のアダプタ側係止材40とを備えている。アダプタ側脚部プレート39は、前方縁部を、アダプタベース33の上面から斜め後側へ延在し更に上方へ延在する形状にし、旋回フレーム3への着脱時に干渉しないようにしている。またアダプタ側脚部プレート39の側面でアダプタ側係止材40の下方位置には、固定ピン41(図7参照)を挿入し得る挿入孔42(図10参照)を形成し、アダプタ側脚部プレート39の挿入孔42の下部には、上部開口を備える箱状の係止部材43を備えている。箱状の係止部材43は、固定ピン41の先端に配したL字先端部が固定ピン41の軸転により内部に位置するように構成され、挿入孔42からの固定ピン41の脱落を防止するようにしている。
【0029】
アダプタ32の第二着脱部36は、ウエイト側着脱部24に対応し得るように、左右両側で平行になるように上方向へ延在するアダプタ側支持プレート44を備えている。また二枚のアダプタ側支持プレート44は、夫々、第一着脱部35のアダプタ側脚部プレート39に挟み込まれると共に、後方縁部を、アダプタベース33の上面から斜め後側へ延在し更に上方へ延在する形状にし、カウンタウエイト14の着脱時に干渉しないようにしている。更に二枚のアダプタ側支持プレート44は、夫々、後方へ突出した突出部45を形成し、突出部45の上辺には、円弧状に切り欠いた切欠き46を備えている。またアダプタ側支持プレート44の側面で切欠き46の下方位置には、固定ピン21(図7参照)を挿入し得る挿入孔47(図10参照)を形成している。
【0030】
また、アダプタ側脚部プレート39の上端及びアダプタ側支持プレート44の上端には、アダプタ側のウエイト34の上面と連結する連結プレート48が接続されており、アダプタ32の第一着脱部35及び第二着脱部36とアダプタ側のウエイト34とは一体化している。更にアダプタ側脚部プレート39による上部側面には、アダプタ32を吊り下げ可能にする吊り部49が配置されている。吊り部49は、アダプタ32を吊り下げた際に、アダプタ側係止材40の前方側が下方へ且つアダプタ側支持プレート44の後方側が上方へ0.5°以上3°以下、好ましくは1°以上2°以下に傾くように位置設定されている。
【0031】
次に、上記実施する形態例の作用を説明する。
【0032】
ウエイトブロック16の高さを低減する際には、初めに旋回体2の旋回フレーム3からカウンタウエイト14を取り外した状態にする。カウンタウエイト14は、構成上、ウエイトベース15側のウエイト側着脱部24で旋回フレーム3のフレーム側着脱部17に係合している場合があることから、フレーム側着脱部17とウエイト側着脱部24の係合を取り外す。具体的には、フレーム側支持プレート18の挿入孔22及びウエイト側脚部プレート28の挿入孔30に挿入した固定ピン21を引き抜いた後、吊り部23を介してウエイトベース15を吊り上げ、フレーム側支持プレート18の切欠き20からロッド状のウエイト側係止材29を持ち上げてフレーム側着脱部17とウエイト側着脱部24の係合を取り外す。ここで固定ピン21は、先端に配したL字先端部を固定ピン21の軸転によって箱状の係止部材31から取り出すことにより引き抜きが可能となっている。
【0033】
次に旋回フレーム3にフレーム側着脱部17及び第一着脱部35を介してアダプタ32を配置する。アダプタ32を配置する際には、アダプタ32の吊り部49を介してアダプタ32を吊り上げ、ロッド状のアダプタ側係止材40をフレーム側支持プレート18の切欠き20へ係合させるように吊り下ろし、更にアダプタ32の第一受け面37を旋回フレーム3の横面3aに接触させ、アダプタ32をフレーム側支持プレート18及び旋回フレーム3の横面3aで支持する。そしてフレーム側支持プレート18の挿入孔22及びアダプタ側脚部プレート39の挿入孔42に固定ピン41を挿入して固定し、旋回フレーム3にアダプタ32を配置する。ここでアダプタ32を吊り上げた際には、アダプタ側係止材40の前方側が下方へ傾くことから、アダプタ側係止材40をフレーム側支持プレート18の切欠き20へ容易に係合させることが可能となっている。
【0034】
続いてアダプタ32に第二着脱部36及びウエイト側着脱部24を介してカウンタウエイト14を配置する。カウンタウエイト14を配置する際には、吊り部23を介してウエイトベース15を吊り上げ、ロッド状のウエイト側係止材29をアダプタ側支持プレート44の切欠き46へ係合させるように吊り下ろし、更にウエイトベース15の横面15aをアダプタ32の第二受け面38に接触させて、カウンタウエイト14をアダプタ側支持プレート44及びアダプタ32の第二受け面38で支持する。そしてアダプタ側支持プレート44の挿入孔47及びウエイト側脚部プレート28の挿入孔30に固定ピン21を挿入して固定し、アダプタ32にカウンタウエイト14を配置する。
【0035】
ここでカウンタウエイト14にウエイトブロック16を配置した際には、図12に示す如くウエイトブロック16の重心及びクローラクレーンの重心を斜め後方へずらし、ウエイトブロック16を減らして配置した場合であっても(図12、図13では4本)、ブーム5の重量や吊り荷(図示せず)の重量とのバランスを取ってブーム5の吊上能力を維持するようにしている。なお、図12ではブーム5等のアタッチメントを図示せず、該アタッチメントがない状態でのクローラクレーンの重心を示している。またクローラクレーンの重心は、図12では明瞭ではないが、クレーン後方へ僅かに移動している。
【0036】
また実施の形態例では、必要に応じて逆の手順でカウンタウエイト14、アダプタ32を取り外し、更に旋回フレーム3にウエイト側着脱部24及びフレーム側着脱部17を介してカウンタウエイト14を係合させても良いし、旋回フレーム3に係合したアダプタ32に、同じ構造の他のアダプタ32を、第二着脱部36及び他の第一着脱部35により連続的に係合させても良い。
【0037】
而して、このように実施の形態例によれば、旋回フレーム3とウエイトベース15との間にアダプタ32を配置した場合には、アダプタ32によりウエイトベース15を後方へ移設してウエイトブロック16の重心を後方へずらすので、積載するウエイトブロック16の重量を減らしてバランスをとることが可能となり、よって吊上能力を低下させることなく、ウエイトブロック16の高さを低減することができる。そしてウエイトブロック16の高さを低減するので、ウエイトブロック16の周囲で作業する作業員へ圧迫感を抑制することができると共に、エンジン等の振動によるウエイトブロック16の揺れを低減し、作業員へのウエイトブロック16落下の恐怖感を抑制することができる。
【0038】
ここで、旋回フレーム3とカウンタウエイト14の間にアダプタ32を配置した場合には、地面からウエイトブロック16の高さが従来例に比べて低減する一方で、旋回フレーム3からカウンタウエイト14までの旋回半径が従来例に比べて増加するが、旋回体2の旋回等に影響を与えるものではない。また実施の形態例の如くウエイトブロック16を4段にした場合には、従来例のウエイトブロック16を6段にした場合に比べ、旋回フレーム3からカウンタウエイト14までの旋回半径が5%以上15%以下の範囲で増加し、地面からウエイトブロック16の上端までの高さが15%以上30%以下の範囲で低減している。更に具体的には、ウエイトブロック16を4段にした場合には、従来例のウエイトブロックを6段にした場合に比べ、旋回フレーム3からカウンタウエイト14までの旋回半径が約10%増加し、地面からウエイトブロック16の上端までの高さが約20%低減している。
【0039】
また実施の形態例によれば、フレーム側着脱部17と第二着脱部36、ウエイト側着脱部24と第一着脱部35に構造的及び作用的な互換性を有しているので、旋回フレーム3にアダプタ32やカウンタウエイト14を配置したり、更にアダプタ32に同じ構造の他のアダプタ32を配置したりすることが可能となり、構成の自由度が極めて高く、クレーンの汎用性を高めることができる。
【0040】
実施の形態例において、アダプタ32の第一着脱部35は、フレーム側着脱部17に係止されるアダプタ側係止材40を備えると共に、アダプタ32の第二着脱部36は、ウエイト側着脱部24を係止するアダプタ側支持プレート44を備えると、アダプタ32を旋回フレーム3に係止し、更にカウンタウエイト14をアダプタ32に係止することを容易にするので、ウエイトベース15を後方へ簡易に移設してウエイトブロック16の重心を後方へずらし、吊上能力を低下させることなく、ウエイトブロック16の高さを低減することができる。
【0041】
実施の形態例において、フレーム側着脱部17は、ウエイト側着脱部24または第一着脱部35を係止し得るフレーム側支持プレート18を備えると、旋回フレーム3にアダプタ32またはカウンタウエイト14を容易に係止するので、構成の自由度を高めると共に、ウエイトベース15を後方へ簡易に移設してウエイトブロック16の重心を後方へずらし、吊上能力を低下させることなく、ウエイトブロック16の高さを低減することができる。
【0042】
実施の形態例において、ウエイト側着脱部24は、フレーム側着脱部17または第二着脱部36に係止されるウエイト側係止材29を備えると、旋回フレーム3またはアダプタ32を容易に係止するので、構成の自由度を高めると共に、ウエイトベース15を後方へ簡易に移設してウエイトブロック16の重心を後方へずらし、吊上能力を低下させることなく、ウエイトブロック16の高さを低減することができる。
【0043】
実施の形態例において、アダプタ32は、旋回フレーム3の横面に支持される第一受け面37を備えると共に、ウエイトベース15の横面を受け止める第二受け面38を備えると、旋回フレーム3とウエイトベース15との間にアダプタ32を重量バランス良く配置し得るので、ウエイトベース15を後方へ簡易に移設してウエイトブロック16の重心を後方へずらし、吊上能力を低下させることなく、ウエイトブロック16の高さを低減することができる。
【0044】
実施の形態例において、アダプタ32にウエイト34を備えると、旋回フレーム3からカウンタウエイト14まで重量バランス良く配置し得るので、ウエイトベース15を後方へ簡易に移設してウエイトブロック16の重心を後方へずらし、吊上能力を低下させることなく、ウエイトブロック16の高さを低減することができる。
【0045】
尚、本発明のクレーン及びそのアダプタは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、旋回フレームにアダプタを係合し、ウエイトベースとアダプタに構造の互換性があるならばどのような形状でも良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
2 旋回体
3 旋回フレーム
3a 横面
15 ウエイトベース
15a 横面
16 ウエイトブロック
17 フレーム側着脱部
18 フレーム側支持プレート
24 ウエイト側着脱部
29 ウエイト側係止材
32 アダプタ
34 ウエイト
35 第一着脱部
36 第二着脱部
37 第一受け面
38 第二受け面
40 アダプタ側係止材
44 アダプタ側支持プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエイトブロックを搭載するウエイトベースを旋回体の旋回フレーム後側に着脱し得るように、前記旋回フレームにフレーム側着脱部を備えると共に、前記ウエイトベースにウエイト側着脱部を備えるクレーンであって、
前記旋回フレームと前記ウエイトベースとの間にアダプタを配置可能にし、該アダプタは、フレーム側着脱部へ着脱可能にする第一着脱部と、ウエイト側着脱部を着脱可能にする第二着脱部とを備えたことを特徴とするクレーン。
【請求項2】
前記アダプタの第一着脱部は、フレーム側着脱部に係止されるアダプタ側係止材を備えると共に、前記アダプタの第二着脱部は、ウエイト側着脱部を係止するアダプタ側支持プレートを備えたことを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記フレーム側着脱部は、ウエイト側着脱部または第一着脱部を係止し得るフレーム側支持プレートを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記ウエイト側着脱部は、フレーム側着脱部または第二着脱部に係止されるウエイト側係止材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクレーン。
【請求項5】
前記アダプタは、旋回フレームの横面に支持される第一受け面を備えると共に、ウエイトベースの横面を受け止める第二受け面を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクレーン。
【請求項6】
前記アダプタにウエイトを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のクレーン。
【請求項7】
ウエイトブロックを搭載するウエイトベースを旋回体の旋回フレーム後方に着脱し得るように、前記旋回フレームにフレーム側着脱部を備えると共に、前記ウエイトベースにウエイト側着脱部を備えるクレーンに対し、前記旋回フレームと前記ウエイトベースとの間に配置し得るアダプタであって、
前記旋回フレームのフレーム側着脱部へ着脱可能にする第一着脱部と、前記ウエイトベースのウエイト側着脱部を着脱可能にする第二着脱部とを備えたことを特徴とするアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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