説明

クロストークキャンセレーションによる2次元チャネルデータストリームに対するシンボル検出装置及び方法

本発明は、記録キャリア上に記録される2次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出するシンボル検出装置であって、前記チャネルデータストリームは、第1方向に1次元に展開し、第2方向に互いに整列されるシンボルローの一組の連続するシンボルストリップを有し、前記2つの方向は、シンボル位置の2次元格子から構成されるシンボル検出装置に関する。2Dフォーマットによる2Dシンボルストリップのエッジにおける検出パフォーマンスの実質的なロスを回避するため、シンボルストリップの次の1つの隣接するシンボルローから、第1隣接シンボルローと前記シンボルストリップに属しないそれの近傍のシンボルローとの間のクロストークキャンセレーションを各第1隣接シンボルローについて適用することによって、前記シンボルストリップの第1隣接シンボルローに存在する半径シンボル間干渉をキャンセルするクロストークキャンセレーションユニットと、前記第1隣接シンボルローと共に、前記シンボルストリップのシンボルをシンボル検出する2Dシンボル検出装置と、を有することを特徴とするシンボル検出装置が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録キャリア上に記録された2次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出するシンボル検出装置に関する。当該チャネルデータストリームは、第1の方向に1次元に展開し、かつ第2の方向に互いに整列された各シンボルロー(symbol row)の一組の連続するシンボルストリップ(symbol strip)を有し、これら2つの方向は、シンボルポジションの2次元格子から構成される。さらに、本発明は、対応するシンボル検出方法と、再生装置及び方法と、当該方法を実現するコンピュータプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Video Disc)技術にすでに続くBlu−rayディスク(BD)の後継となる次世代光記録技術の潜在的な新たなルートは、2次元(2D)バイナリ光記録に基づくものである。2D記録は、10トラックなどがその間のガードスペース(又はガードバンド)なしにパラレルに記録されることを意味する。このとき、10トラックが一緒になって1つの大きなスパイラルを形成する。2D光記録(簡単に「2Dディスク」と呼ばれる)のためのディスクのフォーマットは、情報が2D形式に記録されるブロードスパイラル(broad spiral)に基づくものである。この情報は、好ましくは、(おそらく変形された)六方格子を用いたハニカム状構造などとして2D状に密集したビット格子上に書き込まれ、ビット検出を容易にする2Dチャネルコードにより符号化される。
【0003】
2Dディスクは、プレーヤーの信号波形の2次元サンプルアレイを取得するため、時間サンプリングされた10個(又はそれ以上)の光スポットなどのアレイにより読み出される。パラレルな読み出しは、レーザスポットアレイを生成し、グレーティングを透過する単一のレーザビームを用いて実現される。スポットアレイは、ブロードスパイラルの幅全体をスキャンする。各レーザスポットからの光は、ディスク上の2Dパターンにより反射され、いくつかの高周波数信号波形を生成するフォト検出ICを介し検出される。当該信号波形群は、2D信号処理の入力として利用される。2D記録の背後にある動機付けは、ガードスペースとして使用されるディスクスペースが小さくなり、これにより、ディスクの記録容量を増大させることができるということである。2D記録は最初に光記録について研究されたが、同様に、磁気記録もまた2次元とすることができる。
【0004】
高密度2D光ストレージ(好ましくは、BDの×2のファクターの容量を有する)について、線形化されたチャネルの2Dインパルス応答は、2に等しいタップ値cによる中心タップと、1に等しいタップ値cによる6つの近傍タップによって、妥当な精度レベルに近似することができる。この7タップ応答の合計エネルギーは、接戦方向に沿って6のエネルギー(中心タップと2つの近傍タップ)と、各近傍シンボルローに沿って2のエネルギーにより10に等しいものとなる。
【0005】
これらのエネルギーから、2D変調の主要な効果の1つは、各シンボルに係るすべてのエネルギーがシンボル検出に用いられる「ジョイント2Dシンボル検出」の側面であると主張することができる。これは、「トラックに沿った」エネルギーのみが利用され、このため、シンボル毎に40%のロスを生じさせる標準的なクロストークキャンセレーションによる1D検出と対照的である。
【0006】
同様の主張が、限定的な個数のシンボルロー(放射方向)から構成される2Dシンボルストリップのエッジにおけるシンボル検出が考えられるとき成り立つ。スポットアレイが2Dシンボルストリップのシンボルローのみをサンプリングする場合、境界のローでは、近傍のシンボルロー(2Dシンボルストリップが既知の2Dフォーマットにより利用されるような2Dブロードスパイラル(2D broad spiral)に等しいとき、ガードバンド(guard band)のシンボルローとなり得る)に漏洩した情報は利用されない。これは、2Dシンボルストリップの先頭と最後のシンボルローにおいてシンボル毎に20%のロスをもたらす。この結果、これは、2Dシンボルストリップの外側のローにおけるシンボル検出パフォーマンスのロスをもたらす。さらに、同様の主張が、2Dシンボルストリップがディスク又はカード上で、おそらくローカル格子変形及び格子不具合を含む同一の2Dビット格子を利用する実質的により大きな2D格納エリアの一部であるいくつかの連続するシンボルローを表す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、2Dフォーマットによる2Dシンボルストリップのエッジにおける検出パフォーマンスの実質的なロスを回避することが可能なシンボル検出装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、シンボルストリップの次の1つの隣接するシンボルローから、第1隣接シンボルローと前記シンボルストリップに属しないそれの近傍のシンボルローとの間のクロストークキャンセレーションを各第1隣接シンボルローについて適用することによって、前記シンボルストリップの第1隣接シンボルローに存在する半径シンボル間干渉をキャンセルするクロストークキャンセレーションユニットと、前記第1隣接シンボルローと共に、前記シンボルストリップのシンボルをシンボル検出する2Dシンボル検出装置と、を有することを特徴とする請求項1記載のシンボル検出装置によって本発明により実現される。
【0009】
本発明はまた、記録キャリア上に記録される2次元チャネルデータストリームからユーザデータストリームを再生する再生装置であって、前記2次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出する請求項1記載のシンボル検出装置を有することを特徴とする再生装置に関する。
【0010】
対応するシンボル検出方法と対応する再生方法が、請求項6と8に規定される。当該方法を実現するためのコンピュータプログラムが、請求項9に記載される。本発明の好適な実施例が、従属クレームに規定される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、2Dシンボルストリップのエリアの外部の「漏洩した」情報を利用するというアイデアに基づくものである。従って、2Dシンボルストリップのちょうど外側のシンボルローのHF波形のサンプル、すなわち、2Dシンボルストリップの両側の第1及び第2(隣の)隣接するシンボルローが利用される。しかしながら、2Dシンボル間干渉(ISI)により、これはそれほど簡単には実行することはできない。
【0012】
本発明によると、現在の2Dシンボルストリップに隣接する2Dシンボルストリップの第1及び第2シンボルローにおけるHF信号を測定し、入力として第1及び第2隣接シンボルローを用いて第1隣接シンボルローにおけるクロストークキャンセレーション(XTC)を実行することが提案されている。この場合、クロストーク又はトラック間干渉として知られる、第1隣接シンボルローに対する第2隣接シンボルローのシンボル間干渉の又は影響は、Viterbiアルゴリズムのブランチメトリックにおいて利用されるべき基準レベルにおいて説明される必要はなく、シンボル検出前にHF信号が直接補償される。従って、第1隣接シンボルローは、第2隣接シンボルローからのシンボル間干渉が(ほとんど)ない。その後、現在の2Dシンボルストリップのすべてのシンボルローと第1隣接シンボルロー(ストリップの各サイドにおける)が、現在の2Dシンボルストリップのシンボルローのシンボルのシンボル値を検出するため、2Dシンボル検出装置に入力される。
【0013】
好適な実施例によると、現在の2Dシンボルストリップの第1隣接シンボルローは、円形ディスクのブロードスパイラルに沿ったチャネルデータストリームの格納の場合などでは、2つの連続するシンボルストリップを分離するガードバンドシンボルローであるか、又はカードメモリ装置の大きなエリアの連続する2Dフォーマットとしてのチャネルデータストリームの格納の場合などでは、2つの近傍シンボルストリップの外側のシンボルローである。
【0014】
一般に、異なるタイプの2Dシンボル検出装置が、上述のような第1の隣接シンボルローにおけるクロストークキャンセレーション後のシンボル検出に利用可能である。しかしながら、少なくとも2つの近傍のシンボルローを有するストライプのシンボルの繰り返しのストライプ単位のシンボル検出では、2D PRMLシンボル検出装置、特にViterbi検出装置を利用することが好ましい。このようなストライプ単位のシンボル検出装置は、本発明のシンボル検出装置に適用可能な欧州特許出願02292937.6に記載されている。繰り返しを避けるため、上記文献はここでは参照されない。
【0015】
さらに、異なる実施例のクロストークキャンセレーションが、本発明により利用可能である。好適な実施例は、キャンセル対象となるシンボルローの信号波形のHFサンプルに対して適用されるようFIR(Finite Impulse Response)フィルタを利用する。FIRフィルタのタップ係数の適応化は、例えば、周知の更新ユニットにより実行されるLMS(Least Mean Square)を介し取得することができる。また、Viterbi検出装置において生成されるエラー信号を用いた最小化処理もまた、可能な選択である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、記録再生システムの例を示す。それは、チャネルデータストリーム2を介し入力シンボルDIを送信するソース1と、チャネルデータストリームからシンボルを受信し、出力シンボルDOを送信する受信機3(再生装置とも呼ばれる)とを有する。典型的なデータ記録システムでは、ソース1は、ユーザデータストリームから入力シンボルDIを送信する送信手段10、20、30及び40を有し、チャネルデータストリーム2は、ユーザデータストリームの送信されたシンボルを記録する記録キャリア50であり、受信機3は、記録キャリアから出力シンボルDOを抽出する受信手段60、70、80及び90を有する。特に、受信機3は、記録キャリアから抽出されたシンボル値を検出するシンボル検出器70を有する。
【0017】
このような記録再生システムの典型的な符号化及び信号処理要素が、図1に関して説明される。入力DIから出力DOのユーザデータのサイクルは、インタリーブ処理10、誤り訂正符号(ECC)及び変調符号化20及び30、信号前処理40、記録媒体へのデータ記録50、信号後処理60、バイナリ検出70及び変調符号とインタリーブされたECCの復号化80及び90を含むことができる。ECCエンコーダ20は、各種ノイズソースからのエラーに対する保護を提供するため、冗長性をデータに付加する。その後、ECC符号化データは、当該データをチャネルに適応させる変調エンコーダ30にわたされる。すなわち、それは、当該データをチャネルエラーにより損傷される可能性が低く、チャネル出力においてより容易に検出される形式に処理する。その後、変調されたデータは。空間光変調器などの記録装置に入力され、記録媒体50に記録される。抽出側では、読み取り装置(フォト検出器やCCD(Charge Coupled Device)など)が、デジタルデータ(バイナリ変調スキームの画素毎に1シンボル)に変換される必要がある擬似アナログデータ値を返す。本プロセスの第1ステップは、おそらく擬似アナログ領域で記録処理において生成される歪みを元に戻そうとする等価と呼ばれる後処理ステップ60である。その後、(擬似アナログ)値のアレイは、ビット検出器70を介しバイナリデジタルデータのアレイに変換される。このデジタルデータアレイは、その後、変調符号化の逆処理を実ローする変調デコーダ80にまずわたされ、その後ECCデコーダ90にわたされる。
【0018】
CD(Compact Disc)、DVD及びBDでは、物理的な符号化フォーマットは1次元シングルスパイラルに基づくものである。2D光記録では、いくつかの隣接するビットロー又はトラックから構成され、共通の基礎となるビット格子上に整合性のある方法により互いにスタックされた2次元エリアから構成されるブロードスパイラルのコンセプトが導入される。
【0019】
欧州特許出願EP01203878.2では、最近傍チャネルビットクラスタに関する六方格子に対する2D制約された符号化が説明される。そこでは、チャネルを介したよりロウバストな送信に関する効果による制約に主として着目され、このような2D符号の実際の構成については着目されていない。後者のトピックは、欧州特許出願02076665.5において取り組まれ、すなわち、このような2D符号の実現及び構成が説明されている。以下において、ある2D六方格子符号が例示的に説明される。しかしながら、本発明の一般的なアイデアとすべての手段は、任意の2D符号、特に任意の2D六方格子又は正方格子符号に一般的に適用可能であるということに留意すべきである。
【0020】
図2は、光ディスクなどの記録媒体上のデータを符号化するのに実現可能な2D光記録に利用されるメタバンドベース(meta−band−based)2D符号化の原理を示す。メタバンドは、いくつかのビットローを有する。当該符号は、1次元の第1方向(ディスクのトラックに接して、すなわち平行)に展開する。2Dメタバンドは、いくつかの1Dロー又はトラックから構成され、第1(接線)方向に実質的に直交する第2方向に互いにスタックされる。ブロードスパイラルは、交互のメタバンドの整合的なスタック処理から構成される。ブロードスパイラルの連続する回転間には、1つのローの高さのガードバンドが配置されるかもしれない。
【0021】
図3A及び3Bは、1Dとビット六方格子に基づく2D符号化コンセプトの両方をそれぞれ示す1D及び2Dスパイラルの平面図である。ブロードスパイラルのチャネルビットは、ハニカム構造のセルとして示される。
【0022】
2Dにより図3Bに示されるように、格納フォーマットビットは2次元六方格子上に格納される。いわゆる「ブロードスパイラル」によるフォーマットが可能である。ブロードスパイラルは、ビットなどのシンボルのいわゆる「シンボルロー」であるN=11を含む。各シンボルローは、六方格子を構成するため適切な位相関係を有する(すなわち、各シンボルローは、隣接するシンボルローに関して180°シフトされる)。円形ディスクでは、完全なディスク上でこの位相関係に従うことは不可能である。なぜなら、平面的なビット密度は、ディスクの半径に基づくためである。従って、ブロードスパイラルのシンボルローの個数は限定的なものとなり、いわゆる「ガードバンド」がスパイラル間に存在する。
【0023】
図4において、このフォーマットの概略図が示される。本例では、各スパイラルB(上記説明ではシンボルストリップとも呼ばれている)は、7つのシンボルローrを有する。ガードバンドはエンプティであり(すなわち、それはピットを含まない)、それは完全なディスク上で固定的な密度により六方格子を維持するのに必要な位相関係を断絶する可能性を提供するため、連続するスパイラルB0、B1及びB2を分離する(すなわち、スパイラルBは、互いに非同期的なものである)。さらに、ガードバンドgは、それのコンテンツがわかっているため、シンボル検出を開始するための良好なポイントである。しかしながら、ガードバンドgに漏洩した2DスパイラルBの外側のシンボルローからの情報を利用するため、ガードバンドgのサンプリングされたリプレイ信号が利用される。残念ながら、このリプレイ信号は、現在のシンボル検出のサンプリング段階に関する位相関係を有しない他方の隣接するブロードスパイラルBからのシンボル間干渉(ISI)により邪魔される。
【0024】
上述のような回転するディスクシステムについて、ガードバンドgは、六方格子の同一の密度がディスクの異なる半径において維持することができるように、ブロードスパイラルBの連続する周を分離するのに必要とされる。(適切な変換システムを有する)カードシステムなどの他の記憶媒体では、当該問題は生ぜず、ガードバンドは必ずしも必要ではなく、好ましくは、適切な2D同期構造を有する大きなエリアの連続的な2Dフォーマットが実現可能である。しかしながら、実際の2Dドライブは、スポットアレイにおいて限定的な個数のスポットしか有しない2D読み取りシステムを要求し、このため、2DストリップBと前述されたシンボルローの一部はすぐに読み出すことができる。N個のシンボルローが即時に読み出されると仮定すると、先頭と最後尾のシンボルローの情報は2Dストリップにちょうど隣接するシンボルローに漏洩する。ディスクストレージを用いた(従って、ガードバンドを用いた)上述の実施例とは反対に、これらのシンボルローは「ランダム」ユーザデータを含み、上記実施例と同様に、これらのシンボルローは対象となる2Dストリップからさらに離れた近傍のシンボルローからのISIの影響を含む。
【0025】
本発明の基礎となる問題が、より詳細に説明される。上述のように、2D光ストレージの密度の増大は(λ及びNAの同一の読み出し物理量において)、チャネルにより(2次元)送信されるシンボル(ビット)毎のすべてのエネルギーが利用されるという事実に基づく。これは、隣接するサンプルからの特定のシンボル(ビット)情報を検出することが利用される必要があるということを意味する。これを実行するための1つの可能な方法は、Viterbiシンボル検出器又は2D PRML(Partial−Response Maximum−Likelihood)シンボル検出器などを利用するということである。本発明は一般に、何れかの2D Viterbiシンボル検出器に適用される。
【0026】
残念なことに、インパルス応答に存在するエネルギーのほとんどを含む本格的なViterbiシンボル検出器は、多数の状態と大きな複雑さをもたらすかなりの2Dシンボルアレイにおけるすべての可能なシンボルパターンを考慮しなければならない。これは、複雑すぎて、全く実現でない。このため、Viterbiシンボル検出器のより現実的な次善的な解法を求めることができ、そのうちの「ストライプ単位」のViterbiシンボル検出器が、本発明に関してより詳細に説明される。ここでは、3つのシンボルローなどの少数のシンボルローが、検出器に入力される。図5において、可能な状態遷移が矢印により概略的に示される。もう1つの大きな矢印は、先頭のローの検出された出力のみがViterbi検出ユニットVのバックトラッキングの深さ以上の遅延を有する次のViterbi検出ユニットVにおける「入力」(実際には、隣接するローと上のVのサイド情報として)として利用される。
【0027】
1つの状態から他の状態に移行するとき、ブランチメトリックは、これら2つの状態の3つの重複した位置に基づく3つの項の和として計算される。
【0028】
【数1】

Ref<i>は、対象となるブランチのビット位置iにおいて生じるビットクラスタ及び当該ブランチに属する2つの状態により実現されるビットの基準値を表す。チャネルにより2Dにより拡散されるエネルギーの大部分が含まれるとき、ガードバンドのサンプルがまた利用される。なぜなら、それらはロー間クロストークによるブロードスパイラルの境界ローに関する漏洩した情報を有し、すなわち、第1のViterbiストライプは、図5に示されるように配置される。この場合、N+2のリードアウトスポット、すなわち、ストリップB1のN個のシンボルローのパラレルなリードアウトのN個のスポットと、ストリップB0とB1を、B1とB2をそれぞれ分離する2つのガードバンドの2つのスポットSg01とSg12が、図6に示されるように要求される。ガードバンドの外部にあるが、処理中の対象となるストリップ内の位置について、このISIは、Viterbi検出器の状態図において利用可能なビットを利用することによる基準レベル計算と、あるViterbiプロセッサから次のViterbiプロセッサへのサイド情報の伝搬によるViterbi状態図の外部のシンボルの予備的なビット決定に含まれる。しかしながら、ガードバンド位置について、これらのシンボル決定は、隣接するブロードスパイラルに存在するため利用可能ではない。さらに、近傍スパイラルのこれらのシンボルは、非同期的であってもよく、すなわち、対象となる現在のスパイラルのシンボルに関する固定された位相関係を示すものではないかもしれない。
【0029】
従って本発明によると、ガードバンドg01の次の隣接するストリップB0の境界ローrb01と、ガードバンドg12の次の隣接するストリップB2の境界ローrb21を測定し、入力としてこれらのローrb01とrb21を用いてガードバンドg01とg12におけるクロストークキャンセレーション(XTC)を(個別に)実行することが提案される。この場合、影響は基準レベルに含まれず、HF信号はビット検出処理前に補償される。従って、隣接するブロードスパイラルB0とB2の最初のローrb01とrb21から信号を他の追加的な2つのスポットSrb01とSrb21により読み出し、ブロードスパイラルB0、B1及びB2を分離するようガードバンドgとgの2つのクロストークキャンセラを実現することが提案される。従って、リードアウトスポットの総数はN+4となり、スパイラルB1のシンボルローrの出力数はNに等しい。図7において、提案されるシンボル検出装置の概略図が示される。
【0030】
また、2DイコライザがViterbi検出器のターゲット応答に対して等価するのに利用されるとき、隣接するブロードスパイラルからのクロストークのないガードバンド信号を有することが効果的である。なぜなら、これらのサンプルが、例えば、ツー・シェル(two−shell)2Dイコライザが利用される場合に、第1及び第2ローのイコライザにおいて利用される。XTCユニットXTC1及びXTC2により図7に概略的に示されるクロストークキャンセレーションについて、XTCユニットのFIRフィルタFIR1とFIR2のFIRフィルタタップを適応するためのLMSユニットLMS1とLMS2により示されるLMSなどの従来技術が利用可能である。
【0031】
XTCユニットは常にFIRフィルタを有し、FIRフィルタのフィルタタップ係数の適応化は、例えば、無相関に基づくLMS(Least−Mean−Square)アプローチにより実行可能であるが、しかしながら、トラックピッチ(ビットロー間の半径距離)が高レベルのクロストークをもたらすのに十分小さくなる場合などでは、他の適応化スキームが工夫されてもよい。この場合、係数の更新は、適応的イコライザにより実行されるのと同様の意味で、Viterbiビット検出器からのエラー信号の利用により実行されてもよい。図7及び8において、LMSユニットは、FIR係数の適応化のための一般化されたブロックとしてみなされる必要がある(正確な更新機構の仕様なしに)ということに留意されるであろう。
【0032】
図8において、チャネルデータストリームの格納のための連続的な2Dフォーマットを利用する場合のシンボル検出装置の実施例が示される。図7に示される実施例との類似性は、以下の2つの点として相違を明らかにするときに明らかである。
(i)チャネルデータストリームは、ガードバンドを利用することによるシンボルストリップに分離することなく、大きな2Dエリアに連続的に格納される。図7の実施例のガードバンドが、ランダムデータにより充填可能である。
(ii)この場合、2D(六方)シンボル格子の連続するシンボルローの位相関係に等しい隣接スパイラル間の位相関係を仮定することにより、前の場合に模倣可能なスパイラルはない。
【0033】
N個のシンボルローが検出されると、スポットアレイのN+4個のリードアウトスポットと、N+2個のシンボルローに対するジョイントシンボル検出のための2DViterbiシンボル検出器(又はそれの次善的な変形)を利用する。0とN+3により番号付けされたスポットアレイの外側の2つのシンボルからの信号波形は(従って、図7のrb01に対応するrと図7のrb21に対応するrN+3の外側の2つのシンボルローと一致して)、1とN+2により番号付けされた近傍スポットの信号に対するクロストークキャンセレーションに利用される。この処理の後、図7に示される状況に関して残される相違は、ガードバンドの位置におけるシンボルロー(1とN+2と番号付けされた)が、rN+1までの所望のシンボルローrと共に検出される必要がある未知のシンボルを含むということのみである。
【0034】
上述のように、異なる種類のシンボル検出器が本発明により利用可能である。ブロードスパイラル上に符号化された2D情報を復号するため、いわゆるストライプ単位のシンボル検出である、「少数の」トラック単位のシンボル検出タイプを実行することが好ましい。本発明の最もシンプルな実施例は、2トラックViterbiビット検出器を利用するものであり、すなわち、ストライプは2つのビットローから構成される。以下の図に関して後述される例は、このシンプルな実施例に関するものであるが、それに限定されるものではない。任意のnトラック(n>0)トレリスベースシンボル検出器を利用することは(すなわち、ストライプは、nビットローから構成される)、本発明の範囲内に属する。にもかかわらず、1トラックの高さのストライプを利用することは、より良好でないBER(Bit Error Rate)対SNR(Signal to Noise Ratio)パフォーマンスを与える。
【0035】
図9は、2トラックViterbiビット検出器Tを用いたこのシンプルな実施例による検出方法を示す。単一のビットローのみを有する1次元Viterbiビット検出の原理は、1次元変調及び符号化について従来技術により周知である。例えば、それは、Jan Bergmansによる「Digital Baseband Transmission and Recording」(Kluwer Academic Publishers,1996)のチャプター7、特に7.1、7.2、7.3及び7.5の「Viterbi Detection」の段落に説明されている。
【0036】
本発明によると、2トラックViterbiビット検出は、以下のステップを有する。第1ステップでは、ビット検出は、先頭の2つのトラックのビットについて実行される。第1トラックはブロードスパイラルの連続する回転間のガードスペースに隣接するため、エラーフリーなサイド情報(ゼロなど)が、Viterbiトレリスのブランチをラベル付けする仮定的なチャネル出力(又は検出されたチャネルビット)の計算に利用される。これは、ガードスペースに隣接するトラックを推定可能な信頼性を大きく向上させる。ビット検出エラーは、第3、第4、...トラックのビットが未知であり、この最初の復号化の試行では正確にはモデル化されないという事実により、最初の2つのトラックにおいて発生するかもしれない。例えば、それらはすべて、0−1を交互にランダムに0と1に設定し、又は0又は1の対応するチャネル入力値の間のチャネル出力値を示す0と1と15の間の「特別な」値に設定することができる。現在の2トラックストライプの外側の上記ビットの他の代替は、大変シンプルな閾値検出器からの予備的なビット決定を利用することである。第2トラックがこれらの未知のトラックに最も近いため、それが最も信頼性の低いものとみなされる。
【0037】
次に、2トラックViterbiビット検出器が1トラック下方にシフトされ、第2及び第3トラックにおいて再び処理される。ここで、第1トラックと第4トラックのハード決定ビットが、すべてのトラックの検出が完了するまで、トレリスなどのブランチをラベル付けする仮定的なチャネル出力(又はチャネルビット)の計算におけるサイド情報として利用される。第2及び第3トラックの検出中、第2及び第3トラックについて推定されたビットが上書きされる。これと同様に、各時点で、ガードスペースに最も近いトラックが残存し、他方は上書きされる。一般に、ガードスペースに最も近い推定されたビットの信頼性が最も高くなる。
【0038】
上記処理が、同一処理の第2の繰り返しについて第1トラックにおいて再開されるとき、先頭の2つのトラックに隣接する第3(及び第4)のトラックのビットについての最初の推定は、検出されるトラックの現在のストライプの上下のトラックにおけるサイド情報として利用されるViterbiトレリスをラベル付けする仮定的なチャネル出力の計算にすでに利用可能である。従ってこの第2パス中、エラーのビット数は、一般に完全なブロードスパイラル又はその一部に対するストライプ単位の検出の以前の繰り返しから取得されるより良好なサイド情報により大きく減少する。
【0039】
図10は、2トラックViterbiビット検出装置により1回の繰り返しの実施例を示す。第1の2トラックViterbiビット検出装置が、ある一定の極めて小さな遅延(バックトラッキング遅延として知られる)により、第1(及び第2)トラックの最初の推定を出力すると、第2の2トラックViterbiビット検出装置は、サイド情報などとして第1トラックの第1Viterbi装置の出力を利用しながら、第2(及び第3)トラックに対する作業を開始することができる。このように、10台の装置が各繰り返しに必要とされ、3回の繰り返しでは、30台のViterbi装置に達する。繰り返し処理の3回の繰り返しについて(「繰り返しの繰り返し」)10台の2トラックViterbiビット検出装置が用いられる場合、ローi+1に対する以前の1回の繰り返しのストライプ単位の処理中に取得されるハードビットは、第2の繰り返し中ではローi−1,iについて利用される。当該ストライプに隣接するトラックのハードビットは、トレリスベース処理においてすべてのブランチについてストライプの上のチャネル出力を計算するのに利用される。ストライプ単位のシンボル検出装置のさらなる詳細及び実施例は、上述の欧州特許出願02292937.6(PHNL021237)に記載されている。
【0040】
また、クロストークキャンセレーションについては、本発明による異なる実施例が利用可能である。上記示されたXTCブロックの一実施例は、LMSユニットとFIRフィルタを用いる。ここで用いられる原理は、図11を参照して説明される。例えば、ストリップB0の下方境界ローrb01とストリップB0とB1を分離するガードバンドg01などの2つのシンボルローが示される(図7を参照されたい)。このとき、クロストーク(すなわち、半径シンボル間干渉)は、ガードバンドに半径ISIが存在しないように、キャンセルされる。2つのリードアウトスポットを利用することにより、生のHF信号S(境界ローrb01について)とC(ガードバンドg01について)が測定される。これらの信号から、フィルタリングされた中心スポット信号Cは、
【0041】
【数2】

として計算される。
【0042】
このXTCブロックの結果は、結果として得られる信号波形Cが、近傍ストリップの隣接するシンボルローからの何れのクロストークも(ほとんど)ないということである。それは、対象となるストリップ(それのガードバンドによる)を近傍ストリップから独立なものとする。実際、XTCブロックは、それの環境(現在ストリップのガードバンドの近傍ストリップからのISIを可能な限り解消する)から対象となるストリップを「切除」する。これが実行されると、ストライプ単位のViterbiシンボル検出装置は、ストリップの両サイドのガードバンドと共に(スパイラルベースフォーマットの場合)、現在ストリップ(又はメタスパイラル)のすべてのシンボルローの信号の処理に移行することができる。
【0043】
異なる方法のクロストークキャンセレーションが、本発明により利用可能である。一般に、XTC FIRフィルタの係数を決定する方法は3つある(上方スポットと下方スポットについて独立して)。
(1)中心スポットの訂正信号とサイドスポットの信号のそのままの信号の無相関処理
(2)移行における信号エネルギーの最小化
(3)Viterbiビット検出装置のエラーにおけるエネルギーの最小化
これら3つの方法が、本発明により利用可能である。
【0044】
本発明は、ディスクベースフォーマット又は六方格子についてのみ適用可能ではない。実際、それは、データブロックが、ある「白いスペース」(上述の実施例のガードバンドのものなど)により分離され、又はより大きな2Dエリア上で連続である限定的なデータブロックに対して検出が実行される2D格子について利用可能である。また、FIRフィルタのタップを更新するためのLMSアルゴリズムの利用は義務的ではない。他の何れかの更新アルゴリズムもまた利用可能である。
【0045】
本発明は、2Dシンボル検出におけるクロストークキャンセレーションの解法を提供する。それの目的は、異なるケースが考えられる2Dフォーマットの実際的な実現形態に多少は依存するかもしれない。それの目的は、ブロードスパイラル(2Dディスクの)に基づく2Dフォーマットによる第1のケースでは、スパイラルの先頭のシンボルロート最後尾のシンボルローから、2つの連続するブロードスパイラルの間に存在するガードバンドに漏洩する情報からの利益を得ることである。整合性のある連続的な2D格子の大きなエリアから構成される2Dフォーマットによる第2のケースでは、その目的は、ガードバンドを利用する必要なく2Dエリアのサブエリアを読み出し、対象となる2Dサブエリアの境界における漏洩した情報から依然として利益を得ることができるということである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、記録再生システムを示すブロック図を示す。
【図2】図2は、ストリップベース2D符号化の原理を示す概略図を示す。
【図3】図3は、1D及び2D符号化コンセプトを示す1D及び2Dスパイラルの概略的な平面図を示す。
【図4】図4は、連続するブロードスパイラルの間のガードバンドを有するディスク上に格納される2Dチャネルデータの概略図を示す。
【図5】図5は、ストライプ単位のViterbiシンボル検出装置の原理を示す概略図を示す。
【図6】図6は、ディスク上に格納される2Dチャネルデータストリームにおけるクロストークの問題を示す。
【図7】図7は、本発明によるシンボル検出装置の第1実施例を概略的に示す。
【図8】図8は、本発明によるシンボル検出装置の第2実施例を概略的に示す。
【図9】図9は、第1実施例におけるストライプ単位のシンボル検出の例を示す概略図を示す。
【図10】図10は、第2実施例におけるストライプ単位のシンボル検出の例を示す概略図を示す。
【図11】図11は、クロストークキャンセレーションの原理を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録キャリア上に記録される2次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出するシンボル検出装置であって、
前記チャネルデータストリームは、第1方向に1次元に展開し、第2方向に互いに整列されるシンボルローの一組の連続するシンボルストリップを有し、
前記2つの方向は、シンボル位置の2次元格子から構成され、
当該シンボル検出装置は、
シンボルストリップの次の1つの隣接するシンボルローから、第1隣接シンボルローと前記シンボルストリップに属しないそれの近傍のシンボルローとの間のクロストークキャンセレーションを各第1隣接シンボルローについて適用することによって、前記シンボルストリップの第1隣接シンボルローに存在する半径シンボル間干渉をキャンセルするクロストークキャンセレーションユニットと、
前記第1隣接シンボルローと共に、前記シンボルストリップのシンボルをシンボル検出する2Dシンボル検出装置と、
を有することを特徴とするシンボル検出装置。
【請求項2】
請求項1記載のシンボル検出装置であって、
前記第1隣接シンボルローは、連続するシンボルストリップを分離するガードバンドシンボルローであることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載のシンボル検出装置であって、
前記第1隣接シンボルローは、前記シンボルストリップの2つの近傍のシンボルストリップの外側のシンボルローであることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1記載のシンボル検出装置であって、
前記2Dシンボル検出装置は、少なくとも2つの近傍のシンボルローを有するストライプのシンボルの繰り返しのストライプ単位のシンボル検出のための2D PRMLシンボル検出装置、特にViterbi検出装置であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1記載のシンボル検出装置であって、
前記クロストークキャンセレーションユニットは、FIRフィルタユニットと、前記FIRフィルタの係数を更新する更新ユニットとを有することを特徴とする装置。
【請求項6】
記録キャリア上に記録される2次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出するシンボル検出方法であって、
前記チャネルデータストリームは、第1方向に1次元に展開し、第2方向に互いに整列されるシンボルローの一組の連続するシンボルストリップを有し、
前記2つの方向は、シンボル位置の2次元格子から構成され、
当該シンボル検出方法は、
シンボルストリップの次の1つの隣接するシンボルローから、第1隣接シンボルローと前記シンボルストリップに属しないそれの近傍のシンボルローとの間のクロストークキャンセレーションを各第1隣接シンボルローについて適用することによって、前記シンボルストリップの第1隣接シンボルローに存在する半径シンボル間干渉をキャンセルするステップと、
2Dシンボル検出装置を利用することによって、前記第1隣接シンボルローと共に、前記シンボルストリップのシンボルをシンボル検出を行うステップと、
を有することを特徴とするシンボル検出方法。
【請求項7】
記録キャリア上に記録される2次元チャネルデータストリームからユーザデータストリームを再生する再生装置であって、
前記2次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出する請求項1記載のシンボル検出装置を有することを特徴とする再生装置。
【請求項8】
記録キャリア上に記録される2次元チャネルデータストリームからユーザデータストリームを再生する再生方法であって、
前記2次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出する請求項6記載のシンボル検出方法を有することを特徴とする再生方法。
【請求項9】
当該コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるとき、請求項6又は8記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−513448(P2007−513448A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542063(P2006−542063)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052472
【国際公開番号】WO2005/055229
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】