説明

クロマトグラフィ用材料とその材料の製造方法

【課題】改良型液体クロマトグラフィ充填材、並びに高温熱処理又は黒鉛化のステップを必要としないそのような材料の製造方法を提供する。また、試料成分の分離の改良を実現するクロマトグラフ分離法を提供する。
【解決手段】炭素質粒子と炭化剤又はバインダーとを含む顆粒状生成物とする。この炭化剤又はバインダーは、好ましくは合成樹脂、ピッチ成分、又はこれらの混合物である。クロマトグラフ分離に用いる充填カラム用充填材料、及びこの材料を用いたクロマトグラフ分離の方法を提供する。更に、様々な異なるタイプの炭素質生成物を実現する方法を提供する。熱処理の前又は後に様々な化学基をその顆粒と結合させて、変性顆粒を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフ分離用充填材及びその製造方法に関する。より詳細には本発明は、カーボンブラックなどの炭素生成物を合成樹脂及び/又はピッチ成分と混合し、この混合物を粒状化し、得られた顆粒を熱処理することによって生成される、液体クロマトグラフィ用充填材に関する。本発明はまた、これらの顆粒を使用するクロマトグラフ分離法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体クロマトグラフィ用充填材としては、シリカゲル材料及び合成樹脂ベースの材料があった。しかしながら溶解度を含む化学的安定性などの問題の結果、充填材として不満足な耐久性を示すシリカゲルベースの材料が用いられるようになった。
【0003】
クロマトグラフィ及び他の分離法では、固定相が混合物中の様々な成分を分離するのに必要な或る選択度の大きさが存在する。こうした理由で、カーボンブラックなどの炭素生成物は分離システムにおける標準的な固定相として使用されていない。これは、炭素が強力な非特異的吸着材であるためである。これは残念なことであった。なぜなら、炭素生成物が非特異的な吸着材でなければ、これは市販の吸着材を凌ぐ多くの利点を有するはずであるからである。例えば炭素生成物には腐食の問題がなく、また炭素生成物には膨潤の問題がまったくない。これに加えて炭素生成物は、広い温度範囲及び/又は極端な圧力にさらすことができる。これは或る種の吸着、例えばいくつかのタイプのクロマトグラフィに用いられる温度の揺動に対して有利である。これに加えて臨床的用途の生物薬物の生産に用いられる或る種の分離プロセスの場合、滅菌の要求基準又は勧告は、熱した水酸化ナトリウムの使用を定めている。このような滅菌手順の場合、シリカカラムなどの現在の分離装置を用いることができない。さらにセルロースポリマーなどの高分子カラムは、このような滅菌処理に対して化学的には安定だが物理的に安定でない。
【0004】
特許文献1は、特定の寸法比、特定の粒径と表面積、及び特定の微細孔容積を有する液体クロマトグラフィ用カーボンブラック充填材の使用に関する。この特許はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。特許文献1による充填材の製造方法には、カーボンブラック含有混合物を粒状化するステップ、及びこの顆粒を不活性雰囲気中において800℃〜約3000℃の範囲の高温で熱処理するステップが含まれる。この高温熱処理は、黒鉛層を形成するためにバインダー材料を炭化及び黒鉛化するのにおそらく必要である。この特許によれば、その温度が800℃未満の場合、バインダーの黒鉛化は十分でなく、強度が不十分な充填材を生ずる。この特許は、改良された機械的耐久性及び分離特性を可能にする充填材について述べているが、機械的耐久性及び分離特性を向上させた改良型液体クロマトグラフィ充填材に対する必要性はまだ存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,270,280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改良型液体クロマトグラフィ充填材、並びに高温熱処理又は黒鉛化のステップを必要としないそのような材料の製造方法を提供することが望ましい。
【0007】
これに加えて、試料成分の分離の改良を実現するクロマトグラフ分離法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、炭素質粒子を含有する顆粒、好ましくはそれに結合した少なくとも1種類の有機基を有する顆粒から製造される改良型液体クロマトグラフィ充填材に関する。この顆粒は、炭素質粒子と、及び炭化可能な合成樹脂、ピッチ成分又はこれらの両方の炭化生成物とを含む。好ましい顆粒は、結合した有機基を有するカーボンブラック粒子と、炭化した合成樹脂、ピッチ成分又はこれらの両方とを含む。
【0009】
本発明はさらに本発明の充填材の製造方法に関する。この方法は、炭素質粒子を、少なくとも1種類の合成樹脂、ピッチ成分又はこれらの両方、及び少なくとも1種類の有機又は水性溶媒と混合して、混合物を作ること、この混合物を粒状化して顆粒を形成すること、約400℃〜800℃未満の比較的低温でこの顆粒を加熱して、合成樹脂、ピッチ成分又はそれらの両方を炭化し、且つ溶媒を蒸発させることを含む。いったん形成されたら、この充填材は、炭素表面に1又は複数の有機基を結合することによって、特定の用途のためにさらに個別化することができる。
【0010】
炭化した合成樹脂、ピッチ成分又はこれらの両方は、ペレット状カーボンブラックからのカーボンブラック粒子の迅速な分散を容易にするように設計された造粒剤又は結合剤の一時的な結合作用とははなはだしく異なり、好ましくは炭素質粒子を強く結び付けて丈夫な顆粒にする役割を果たす。
【0011】
本発明の充填材は、好ましくはすぐれた機械的耐久性を示し、且つ好ましくはクロマトグラフ分離の用途において分離能力の向上を実現する。本発明の表面変性した顆粒状充填材は、液体クロマトグラフ分離の用途において特に役立つ。
【0012】
本発明の追加の特徴及び利点は、次の記述において一部分が述べられており、また一部分はこの記述から明らかであり、又は本発明の実施によって知ることができる。本発明の目的及び他の利点は、本明細書の記載及び特許請求の範囲で個々に指摘する要素及びその組合せによって理解され、また達せられるはずである。
【0013】
上記の一般的記述及び下記の詳細な説明は、ともに単に例示的且つ説明的なものであり、特許請求される本発明の更なる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のクロマトグラフ充填材粒子(SP−5)の顕微鏡(SEM)写真(倍率:5,000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明はクロマトグラフ充填材に関する。この炭素質粒子は、好ましくは少なくとも1種類の合成樹脂、少なくとも1種類のピッチ成分又はこれらの両方の炭化生成物(例えばバインダー)と結合している。
【0016】
処理して本発明の充填材を形成することができるこの炭素質粒子は、好ましくは黒鉛粉末、黒鉛繊維、炭素繊維、炭素織物、ガラス質炭素生成物、活性炭生成物、及びカーボンブラックから選択される。好ましい炭素質粒子材料はカーボンブラックである。これに加えてこの炭素質粒子としては、炭素エーロゲル、熱分解型イオン交換樹脂、熱分解型ポリマー樹脂、メソ炭素ミクロビーズ、ペレット状炭素粉末、ナノチューブ、バッキーボール、ケイ素処理したカーボンブラック、シリカをコーティングしたカーボンブラック、金属処理したカーボンブラック、高密度型カーボンブラック、活性炭、あるいはセルロース系、燃料油、高分子又はその他の前駆物質の熱分解によって得られる他の炭素質材料、及びこれらの組合せ又はこれらの活性化されたものを挙げることができるが、これらには限定されない。また、その炭素質粒子が少なくとも1種類の吸着質を吸着する能力を有し、且つ好ましくは本発明に従って化学的に変性させることができるかぎり、この炭素質粒子としては、これらには限定されないが、小さな炭素粒子や他の細かく分割された形態の炭素の圧密化によって得られる材料を挙げることができる。この炭素質粒子はまた、熱分解により得られる炭素質材料の廃棄物又は副産物であってもよい。
【0017】
これに加えてこの炭素質粒子は、少なくとも1つの炭素相及び少なくとも1つのケイ素含有化学種の相を有する凝集体であることができる。この凝集体は、米国特許第6,008,271号、同第5,977,213号、同第5,948,835号、同第5,919,841号、同第5,904,762号、同第5,877,238号、同第5,869,550号、同第5,863,323号、同第5,830,930号、同第5,749,950号、同第5,622,557号、及び同第5,747,562号に記載の凝集体の1又は複数種であることができる。さらに国際出願公開第WO98/47971号、同第WO96/37547号、及び同第WO98/13418号に記載の凝集体もまた用いることができる。これら各特許及び特許公開は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
この炭素質粒子は、少なくとも部分的にシリカでコーティングされているカーボンブラックであってもよい。このような凝集体の例は、米国特許第5,916,934号及び国際出願公開第WO98/13428号に記載されている。これらの文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
上記で述べた凝集体に加えて、この炭素質粒子はまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願公開第WO98/47971号に記載のように、少なくとも炭素相と金属含有化学種の相とを有する凝集体であることもできる。
【0020】
これに加えて米国特許第6,211,279号、同第6,057,387号、及び米国特許出願第09/453,419号の凝集体並びに多相凝集体の製造方法を用いることができる。これらすべての特許及び公開は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これに加えて、結合したポリマー基を有する米国特許出願第60/163,716号の凝集体は、米国特許出願第60/178,257号に記載の変性顔料と同じく用いることができる。これら両出願もまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
好ましくはこの炭素質粒子は、吸着質を吸着することができる活性炭又はカーボンブラックである。市販のカーボンブラックの例には、すべてCabot Corporationから入手可能な、カーボンブラックBlack Pearls(登録商標)2000、カーボンブラックBlack Pearls(登録商標)430、カーボンブラックBlack Pearls(登録商標)900、及びカーボンブラックBlack Pearls(登録商標)120があるがこれらには限定されない。市販の活性炭の例には、Norit社から入手可能なDarco S51、Norit社から入手可能なSorbonorit 3、及びCalgon社の活性炭BPLがある。本明細書中で述べた手順によって変性される炭素質粒子は、顆粒又はペレット形態の微細多孔質又はメソ多孔質の活性炭、ふわふわとした又はペレットの形態の様々な構造のカーボンブラック、あるいは炭素繊維や炭素織物などの本発明に適用可能なことが当業技術者にとって明らかな他の任意の炭素質粒子であることができる。結局、使用される炭素質粒子の選択は、意図する用途を含めて様々な相異なる因子に左右される。これら炭素質粒子のタイプそれぞれが、少なくとも1種類の吸着質を吸着する能力を有する。この炭素質材料の所望の最終用途に応じて、様々なBET表面積、微細孔容積、及び全細孔容積が利用可能である。
【0022】
好ましくは本発明の充填材を形成するために用いられる炭素質粒子は、造粒前の平均粒径が約12〜約40ナノメートル(nm)、例えば約12〜約30nm、且つ比表面積が約50〜約550m/g、例えば約80〜約250m/gである粒子を含む。好ましい粒子材料はこれらの特性を有するカーボンブラックである。混合物を形成するために用いられる炭素質粒子は、好ましくはDBP吸油量が約50〜約200mL/100g、例えば約80〜約150mL/100gである。
【0023】
合成樹脂及び/又はピッチ成分は、好ましくは炭素質粒子との間で堅固な結合を達成し、且つ好ましくはバインダーとして作用する。この合成樹脂及び/又はピッチ成分は、加熱によって好ましくは容易に炭化される。本発明により使用することができる典型的な合成樹脂には、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、尿素樹脂、及びこれらの混合物がある。
【0024】
ピッチ成分を使用する場合、それは好ましくはトルエンに可溶又はベンゼンに可溶である。このピッチ成分は、好ましくは石油ピッチ、コールタールピッチ、又は石炭から得られる液化オイルである。
【0025】
ピッチ成分と合成樹脂成分との両方を一緒に用いることができ、例えば好ましくは、炭素質粒子と接触する前に、ピッチ成分を合成樹脂と組み合わせる。合成樹脂とピッチ成分の混合物は好ましくは、炭素質粒子100重量部当たり、約5重量部〜約500重量部、例えば約40重量部〜約300重量部の量で用いることができる。
【0026】
炭素質粒子と、合成樹脂、ピッチ成分又はこれら両方との均質化を容易にするために、これら成分を適切な溶媒中に分散させることが好ましい。好ましくはこの溶媒は、非水性又は溶剤ベースではなく水性である。使用することができる典型的な溶媒には、水や、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールや、ベンゼン、トルエンなどの芳香族基を有する有機溶剤や、アセトン、メチルエチルケトンなどの一般的な有機溶剤などがあるが、これらには限定されない。水と相溶性の合成樹脂の場合、取扱い及び加工が容易であるという理由から水が好ましい溶媒である。好ましくは溶媒は、組み合わせた炭素質粒子と合成樹脂/ピッチ成分100重量部当たり、約70〜約400重量部の量で用いられる。粒径約12〜約30nm、比表面積約80〜約200m/g、DBP吸油量約80〜約200mL/100gの炭素質粒子の場合、その炭素質粒子の重量に対して、溶媒約0.60重量部を用いることができる。
【0027】
有機基が結合している炭素質粒子は、界面活性剤が不在の場合でさえ容易に分散可能な炭素質粒子としてそれ自体単独で用いることができ、本発明のいくつかの実施形態によれば好ましい。
【0028】
本発明の好ましい方法によれば、クロマトグラフィ用材料の製造方法が提供される。この方法は、炭素質粒子約100重量部を、加熱によって炭化することができる少なくとも1種類の合成樹脂、及びピッチ成分、及び有機又は水性溶媒約10〜約500重量部と混合することを含む。好ましくは、炭素質粒子100重量部当たり、合成樹脂及び/又はピッチ成分約40〜約250重量部を用いる。この混合物は、成分を組み合わせるのに用いられる任意の方法によって形成することができる。次いで混合物を粒状化して顆粒を形成することができる。この造粒は、湿式(エマルション)造粒技術によって又は噴霧乾式造粒技術によって行うことができる。米国特許第5,270,280号に記載の造粒技術のいずれかを用いることができる。次いで合成樹脂及び/又はピッチ成分を炭化し、且つ溶媒を蒸発させるのに十分な条件に顆粒をさらす。顆粒を炭化した後、この顆粒に有機基を結合することによって、この顆粒を更に変性することができる。
【0029】
造粒方法は、噴霧乾燥造粒法、液中造粒法(エマルション造粒法)、又は球形の顆粒をもたらす任意の他の適切な造粒法であることができる。好ましい噴霧乾燥造粒技術によれば、顆粒は、高温で液体混合物を噴霧し、存在する場合の分散剤(例えば界面活性剤)及び溶媒を蒸発させて得られる。好ましい液中造粒法によれば、液体混合物を、その液体混合物と混和できない加熱した薬品に加える。この接触の結果、液体混合物の球が形成される。
【0030】
炭化は、炭化に十分な任意の温度を用いた熱処理によって行うことができる。好ましくは熱処理は、温度約400℃〜800℃未満、例えば約400℃〜約700℃又は約400℃〜約790℃の不活性ガス雰囲気中で行う。より好ましくはこの顆粒状の炭素質粒子含有材料を加熱する炭化温度は、約400℃〜約600℃の範囲である。使用される特定の合成樹脂及びピッチ成分次第で、炭化の条件は変わる可能性がある。しかしながら、好ましくは炭化の条件は、充填材の収率及び強度を損なわずに、合成樹脂及び/又はピッチ成分を炭化するのに十分なものである。好ましくは熱処理は、約1〜約8kgf/cmGの圧力で行うが、別の圧力を用いることもできる。
【0031】
得られた顆粒状粒子は、好ましくは炭素質粒子と、炭化の際に高破砕強度の顆粒の形成を助ける薬品とを含有する複合体である。この薬品は好ましくはバインダーとして働き、例えば合成樹脂、ピッチ成分、又は合成樹脂/ピッチ成分の混合物の炭化生成物である。この顆粒は好ましくは、Lmin/Lmax比が約0.75〜約1.25、例えば約0.90〜約1.0である。好ましいLmin/Lmax比は約0.95〜約1.0である。この顆粒は好ましくは、粒径が約1〜約200μmで、高度に多孔の表面で、比表面積が約10〜約650m/g、好ましくは約15〜約550m/gで、全微細孔容積が約0.01〜約2.0mL/g、好ましくは約0.3〜約2.0mL/gで、V0.5/V1.0比(ただし窒素ガス吸着等温線において、V0.5は相対圧力P/Pが0.5のときの窒素ガス気体吸着体積であり、またV1.0は相対圧力P/Pが約1.0のときの窒素ガス吸着体積である)が約0.4又はそれ未満、好ましくは0.2又はそれ未満である。この粒子は好ましくは、粒径が約2〜約5μmであり、この範囲未満及びこれを超える他の範囲で製造することもできる。
【0032】
この顆粒は、表面に有機基を結合(例えば共有結合)することによって、表面変性することができる。この有機基は、好ましくは少なくとも1種類のC〜C100アルキル基及び/又は少なくとも1種類の芳香族基、脂肪族基、環状有機基、若しくは脂肪族部分と環状部分を有する有機化合物である。好ましくはこの有機基は、直接その顆粒と結合している。炭素質材料、例えばカーボンブラックを含有する顆粒と結合させることができる有機基の好ましい組は、官能基としてのイオン性基又はイオン化可能基で置換された有機基である。イオン性基は好ましくは、アニオン性基又はカチオン性基であることができ、またイオン化可能基は、アニオン又はカチオンを形成することができる。有機基の例は、2001年8月31日出願の米国特許出願第09/654,182号及びその一部継続出願に記載されており、これら両方ともがその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
好ましくはこの有機基は、フェニル又はナフチル基などの芳香族基と、第四アンモニウム基又は第四ホスホニウム基とを有する。この芳香族基は、好ましくは直接に炭素質粒子含有顆粒と結合する。
【0034】
一実施形態において、この炭化可能なバインダー又は炭化可能な合成樹脂又は炭化可能なピッチ成分は、炭素質粒子に結合して本発明の顆粒状生成物を形成する。
【0035】
異なる有機基の組合せもまた可能である。例えば2種類以上の有機基を同じ顆粒に結合させること、又は顆粒のいくつかが或る有機基で変性され、顆粒の別の部分が違う有機基で変性されている顆粒の組合せを用いることは、本発明の範囲内にある。低い重量パーセントでの変性又は少ない表面の変性、又は高い重量パーセントでの変性又は多くの表面の変性など、変性の度合いを変えることもまた可能である。また、変性炭素質顆粒と非変性炭素質顆粒との混合物を用いることもできる。
【0036】
好ましい本発明の変性炭素質顆粒は、特に結合有機基がスルホン酸、カルボン酸若しくは第四アンモニウム、又はそれらの塩などの置換基を有するフェニル又はナフチル基である場合、高分子イオン交換樹脂に著しく似ている可能性がある。本発明のこれらタイプの炭素質顆粒は、従来の高分子イオン交換樹脂と比べて、次の1又は複数の特性を有する可能性がある。
【0037】
a)比較的大きい高温安定性
b)比較的大きい膨潤抵抗性
c)捕捉動力学に悪影響を及ぼすことなしに得られる比較的大きい機械的強度
【0038】
さらに本発明の変性炭素質顆粒はまた、吸着材として用いられるほかに、水処理から金属類の分離/回収、イオン交換、触媒などまで及ぶ分離において使用することができる。上記のように交換可能な基をもつ吸着材の追加の利点は、イオン交換手順を用いてさらに表面変性されることができる能力を顆粒に付与することである。
【0039】
本発明の顆粒は複数の用途、例えばクロマトグラフ分離用の固定相として用いることができる。一般にクロマトグラフシステムは、可動相、固定相、ポンピングシステム、及び検出器を包含する。一般に固定相は、好ましくは球形の、及び/又は好ましくは大きさが約2μm〜約300μm、より好ましくは約2μm〜約5μmの範囲の不溶性の粒子を有する。これら粒子の選択は、分離によって利用する必要がある物理的、化学的、及び/又は生物学的相互作用によって決まる。従来の固定相、例えばシリカ、アガロース、ポリスチレン−ジビニルベンゼン、ポリアクリルアミド、デキストリン、ヒドロキシアパタイト、架橋した多糖類、及びポリメタクリル酸エステルなどは、混合物から特定の化合物の選択的分離を行うために或る種の基で官能基化される。この所望の仕様を達成する正確な官能基は、例えばその全体が参照により本明細書に組み込まれるGarcia、Bonen等の著「Bioseparation Process Sience」、Blackwell Science刊 (1999)中に述べられている(以後「Garcia等」とする)。
【0040】
分離の別の形態は、荷電分子の方向をもった運動を作り出すために加えた電場を用いる電気泳動法である。このプロセスは、分離を容易にするために固定バリア相又は固定相を用いる点でクロマトグラフの方法に似ている。本発明では、本発明の炭素質材料を含有する固定相を用いて、電気泳動法を達成することができる。
【0041】
同様に磁気分離、例えば磁気生体分離は、固定相として本発明の炭素質材料を用いて達成することができる。
【0042】
これに加えて、膜分離、例えば逆浸透法は、炭素質材料を含有するようにして膜を形成することによって達成することができる。この膜は、ポリマー中に炭素質材料を分散させ、ポリマー混合物を注型して膜を形成することによって形成することができる。
【0043】
一般に固定相の使用を伴う任意の分離技術は、本発明により改良することができる。具体的にはこの固定相は、本発明の炭素質顆粒であってもよく又はそれを含有してもよい。分離すべき所望の化合物又は化学種が分かると、必要とされる分離に適合するように炭素質顆粒上に1又は複数の有機基群を結合させることによって、目標の化学種に対して選択的であるように炭素質顆粒を調整することができる。分離において特定の選択性を引き起こす多くの官能基が知られているので、これらの基を炭素質顆粒上に結合させて、本発明の変性炭素質顆粒を形成し、分離プロセスのための所望の選択性を得ることができる。
【0044】
一実施形態において本発明の吸着材組成物は、吸着質を吸着することができる変性炭素質顆粒を含有する。ここで、少なくとも1種類の有機基がこの炭素質顆粒と結合している。
【0045】
別個の実施形態として本発明はさらに、炭素質粒子及び炭化可能であってもよい少なくとも1種類のバインダーを含有する顆粒状炭素質生成物に関する。この実施形態における顆粒状炭素質生成物は、炭素質粒子を少なくとも1種類のバインダー及び好ましくは水性溶媒又は非水性溶媒と混合する方法によって製造される。次にこの混合物を粒状化して顆粒を形成し、次いで存在するバインダーを炭化する温度未満の温度で顆粒を加熱する。好ましくは顆粒を約150℃〜約250℃の温度で加熱する。この方法において形成される未炭化粒子は、顆粒上に存在する硬化/架橋したポリマーバインダーを含有し、吸着及びクロマトグラフィといった用途に有用である。
【0046】
上記で示したように、いったん所望の分離技術が選択され、好ましくはその特定の化学種が分かると、その分離プロセスを行うのに必要な選択性を達成するために、特定の1又は複数の官能基を選択して炭素質材料上に結合させることができる。例えばGarcia等が述べているように、リポタンパク質の分離にはヘパリンが用いられ、従って所望の分離を遂行するためにヘパリンを炭素質材料上に結合することができる。同様にカチオン交換プロセスを必要とする場合、例えばスルホン酸を炭素質材料上に結合することができる。またアニオン交換を必要とする場合、第四アミンを炭素質材料上に結合することができる。従って本発明及び当業技術者が所持する知識によれば、所望の選択性を得るように、変性炭素質材料を用いて分離技術を実施することができる。従って本発明は、腐食、膨潤及び/又は極端な温度及び圧力に対する抵抗力を示す炭素質材料を提供し、また所望の選択性も提供する。本質的には本発明は、分離分野に両方の利点、すなわち耐久性のある固定相と組み合わされた選択性を提供する。
【0047】
本発明の顆粒は、好ましくはクロマトグラフィ用の充填材又は固定相材料として用いることができる。例えば液体クロマトグラフカラムなどのクロマトグラフカラムに、少なくとも本発明の充填材を充填する。次いで分離すべき2種類以上の成分を含有する試料を通過させ、流し、又はその他の方法で充填カラムに通す。試料成分の個別の親和性及び個々の試料成分に対する充填材の保持特性により、試料が充填カラムを通過するに従って成分の化学的分離が行われる。この充填材はまた、ガスクロマトグラフ、高性能液体クロマトグラフ、固相抽出、及びその他のクロマトグラフ分離技術に役立つ。
【0048】
本発明は下記の実施例によりさらに明らかになるはずである。ただしこれらは本発明を単に例示するものである。
【実施例】
【0049】
[実施例1]
炭化多孔性粒子(SP−1)の調製:
カーボンブラックVulcan−6(商標)600gをピンミキサーに入れた。520gの脱イオン水及び180gのRutgers−Plenco Resin 12868を混ぜ合わせた。続いてこの混合物を、100rpmで回転しているピンミキサーに注入した。液相の添加が終った後、ミキサーのスピードを1000rpmに上げ、このスピードを1分間保った。次いで粒子をミキサーから取出し、過剰の水の除去とフェノール樹脂の硬化のために180℃で夜通し乾燥した。次いで粒子をふるい分けによって分級した。45〜125μmの範囲の粒径を有する120メッシュと325メッシュのふるいの間に保持される画分を分離した。次いでこの画分を管状炉に入れ、4時間で650℃まで加熱し、次いで窒素中でさらに1時間にわたって650℃に保った。これらの粒子(SP−1)は、BET N表面積が138m/g、またt−表面積が61.5m/gであることが分かった。
【0050】
[実施例2]
表面変性した炭化多孔性粒子(SP−2)の調製:
スルファニル酸0.76gを脱イオン水100mLと混ぜ、続いて60℃に加熱した。この混合物にSP−1粒子10gを加え、5分間攪拌した。続いてこの混合物に、NaNOの20%水溶液1.5gを加えて処理反応を開始させた。混合物を60℃で1時間反応させ、次いで室温まで冷却するに任せた。次いでこの表面変性した粒子(SP−2)を反応媒体から濾過して取り出し、1%NaOH溶液、水、及びエタノールで洗浄し、エタノール中で12時間ソックスレー抽出した。表面変性の効率は、表面変性後の粒子のイオウ含量の増加によって示される。始めのSP−1粒子のイオウ含量は0.9重量%であり、表面変性後の粒子のイオウ含量は1.38重量%であった。イオウ含量の増加は、ベンゼンスルホン酸基が粒子表面に結合したことによる。
【0051】
[実施例3]
ポリマー結合型多孔性炭素ベース粒子(SP−3)の調製:
安息香酸変性カーボンブラックの水性分散体Cabojet−300(商標)7.6Lを、保留タンクに入れた。これに166.7gのフェノール樹脂Dynachem Phenalloy 2175を混ぜた。この混合物を二流体ノズルを介して110ml/分で噴霧乾燥した。乾燥粒子を回収し、続いて180℃で窒素中において4時間硬化した。得られた粒子SP−3は、BET N表面積126.8m/g及びt−表面積106.2m/gであった。
【0052】
[実施例4]
安息香酸で表面変性したポリマー結合型多孔性炭素ベース粒子(SP−4)の調製:
スルファニル酸1.384gを、ビーカー中で脱イオン水50mLと混ぜ、60℃に加熱した。SP−3粒子5gをこの混合物に加えた。亜硝酸ナトリウムの20%水溶液2.76gをゆっくり加え、この混合物を90分間反応するに任せた。反応混合物を濾過し、粒子を再度スラリーにし、1%NaOH水溶液で洗浄した。この粒子を再度濾過し、脱イオン水で洗浄し、続いてエタノールとテトラヒドロフランで洗浄した。この粒子をエタノール中で夜通しソックスレー抽出した。粒子の初期イオウ含量は0.39重量%であった。表面変性後のイオウ含量は、ベンゼンスルホン酸基の結合を示す1.39重量%であった。
【0053】
[実施例5]
多孔性炭素粒子(SP−5)の調製:
SP−3粒子80gを管状炉中で窒素下において700℃に加熱し、この温度に2時間保った。次いでこの粒子を室温まで冷却した。これら粒子のSEM写真を図1に示す。
【0054】
[実施例6]
ベンゼンスルホン酸で表面変性した多孔性炭素粒子(SP−6)の調製:
スルファニル酸1.384gをビーカー中で脱イオン水30mLと混ぜ、60℃に加熱した。SP−5粒子5gをこの混合物に加えた。亜硝酸ナトリウムの20%水溶液2.76gをゆっくり加え、混合物を90分間反応するに任せた。反応混合物を濾過し、この粒子を再度スラリーにし、1%NaOH水溶液で洗浄した。この粒子を再度濾過し、脱イオン水で洗浄し、続いてエタノールで洗浄した。この粒子をエタノール中で夜通しソックスレー抽出した。粒子の初期イオウ含量は0.36重量%であった。表面変性後のイオウ含量は、ベンゼンスルホン酸基の結合を示す1.79重量%であった。
【0055】
[実施例7]
オクタデシルフェニルで表面変性した多孔性炭素粒子(SP−7)の調製:
4−オクタデシルアニリン5.07gをビーカー中で、脱イオン水22mL、エタノール50g、及びHNOの30%水溶液6.17gと混合し、50℃に加熱した。粒子(管状炉中で窒素下において900℃に加熱したことを除いて実施例5と同様の方法で作製した)15gを、この混合物に加えた。亜硝酸ナトリウムの20%水溶液5.07gをゆっくり加え、混合物を90分間反応するに任せた。反応混合物を濾過し、この粒子を再度スラリーにし、エタノールで洗浄した。この粒子を再度濾過し、水酸化ナトリウム溶液、テトラヒドロフラン及びエタノールで洗浄した。この粒子をまずエタノール中で夜通しソックスレー抽出し、次にDionex ASE−300抽出器中でエタノール及びエタノール/テトラヒドロフラン50 / 50混合物により抽出し、乾燥するに任せた。表面変性の後、粒子の揮発性成分含量は、オクタデシルフェニル基の結合を示す7.59重量%であった。
【0056】
本明細書の検討及び本明細書中に開示した本発明の実施から、当業技術者には本発明の他の実施形態が明らかなはずである。本明細書は単に例示的なものとみなされ、本発明の真の範囲及び精神は添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物により示されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質粒子と、少なくとも1種類の炭化した合成樹脂、炭化したピッチ成分又はこれらの混合物とを含む顆粒状生成物であって、前記顆粒状生成物に少なくとも1種類の有機基が結合している、顆粒状生成物。
【請求項2】
前記炭素質粒子の比表面積が約15〜約550m/gであり、且つ全微細孔容積が約0.01〜約2.0mL/gである、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項3】
前記充填材のV0.5/V1.0比が0.4又はそれ未満であり、ここでV0.5は、窒素ガス吸着等温線において、相対圧力P/P 0.5における窒素ガス吸着体積であり、またV1.0は、相対圧力P/P約1.0における窒素ガス吸着体積である、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項4】
前記炭素質粒子がカーボンブラック粒子である、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項5】
前記顆粒状生成物が炭化した合成樹脂を含み、前記合成樹脂が、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、尿素樹脂、又はそれらの組合せである、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項6】
前記顆粒状生成物が炭化したピッチ成分を含み、前記ピッチ成分が、少なくとも1種類のトルエンに可溶なピッチ成分又はベンゼンに可溶なピッチ成分、あるいはそれらの組合せである、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項7】
前記ピッチ成分が、石油ピッチ、コールタールピッチ、又は液化石炭オイルである、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項8】
前記炭素質粒子が、カーボンブラック100重量部を含み、且つ前記混合物が、前記合成樹脂、ピッチ成分又はその両方を約5〜約500重量部含む、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項9】
前記有機基が、イオン性基又はイオン化可能基を有する、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項10】
前記炭素質粒子がほぼ球形である、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項11】
前記炭素質粒子が、炭素相及びケイ素含有化学種相を含む凝集体である、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項12】
前記炭化した合成樹脂、炭化したピッチ成分、又は炭化した合成樹脂/ピッチ成分混合物が、約400℃〜800℃未満の温度に加熱することによって炭化された、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項13】
前記炭化した合成樹脂、炭化したピッチ成分、又は炭化した合成樹脂/ピッチ成分混合物が、約400℃〜約700℃の温度に加熱することによって炭化された、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項14】
分離すべき成分を含有する試料を、複数の請求項1に記載の顆粒状生成物に通すことを含む、クロマトグラフ分離又は固相抽出の方法。
【請求項15】
分離すべき成分を含有する試料を、複数の請求項1に記載の顆粒状生成物に通すことを含む、液体クロマトグラフ分離又は固相抽出の方法。
【請求項16】
炭素質粒子を、少なくとも1種類の合成樹脂、ピッチ成分又はこれらの混合物及び溶媒と混合して、混合物を形成すること、
前記混合物を粒状化して顆粒を形成すること、
前記顆粒を炭化すること、及び
前記顆粒に少なくとも1種類の有機基を結合させること、
を含む、炭素質粒子を含有する顆粒の製造方法。
【請求項17】
前記顆粒を約400℃〜800℃未満の温度に加熱することによって炭化する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記顆粒を、合成樹脂、ピッチ成分又はその両方を炭化するのに十分な温度に加熱する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記温度が、前記顆粒を黒鉛化することなく、前記合成樹脂、ピッチ成分又はその両方を炭化し、且つ前記溶媒を蒸発させるのに十分な温度である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記溶媒が非水性溶媒である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記溶媒が水性溶媒である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記混合物がピッチ成分を含み、前記ピッチ成分が、トルエンに可溶なピッチ成分又はベンゼンに可溶なピッチ成分、あるいはそれらの組合せである、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物を顆粒化するのに用いられる方法が噴霧乾燥である、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記ピッチ成分が、石油ピッチ、コールタールピッチ、液化石炭オイル、又はそれらの組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記混合物が合成樹脂を含み、前記合成樹脂が、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、尿素樹脂、又はそれらの組合せを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記炭素質粒子がカーボンブラック100重量部を含み、前記混合物がさらに、前記合成樹脂、ピッチ成分又はその両方を約10〜約500重量部含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記炭素質粒子が、短軸の直径Lminと主軸の直径Lmaxの比Lmin/Lmax約0.95〜約1.0、粒径約2〜約200μm、比表面積約10〜約650m/g、全微細孔容積約0.3〜約2.0mL/g、且つV0.5/V1.0比0.4又はそれ未満のカーボンブラック粒子を含み、上式でV0.5は、窒素ガス吸着等温線において、相対圧力P/P 0.5におけるガス吸着体積であり、またV1.0は、相対圧力P/P約1.0における窒素ガス吸着体積である、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記炭素質粒子がほぼ球形である、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記炭素質粒子が炭素相及びケイ素含有化学種相を含む凝集体である、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
前記顆粒化するステップが、噴霧造粒法又はエマルション造粒法を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
前記炭素質粒子が平均粒径約12〜約40nmのカーボンブラックを含み、前記混合のステップが、前記カーボンブラック100重量部を、前記合成樹脂、ピッチ成分又はその両方約10〜約250重量部と混合することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項32】
前記炭素質粒子が、平均粒径約12〜約30nm、比表面積約80〜約250m/g、DBP吸油量約80〜約200mL/100gのカーボンブラックを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項33】
前記顆粒化するステップが、前記混合物を噴霧造粒又はエマルション造粒により粒状化して、短軸の直径Lminと主軸の直径Lmaxの比Lmin/Lmaxが約0.90〜約1.0の顆粒を得ることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項34】
前記結合のステップが、前記顆粒をジアゾニウム塩と反応させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項35】
前記有機基が、イオン性基又はイオン化可能基を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項36】
前記顆粒状生成物が、短軸の直径Lminと主軸の直径Lmaxの比Lmin/Lmax約0.75〜約1.25、粒径約2〜約200μm、比表面積約10〜約650m/g、全微細孔容積約0.08〜約2.0mL/gを有する、請求項1に記載の顆粒状生成物。
【請求項37】
少なくとも1種類の結合した有機基を有する炭素質粒子を、少なくとも1種類の合成樹脂、ピッチ成分又はこれらの混合物、及び少なくとも1種類の溶媒と混合し、混合物を形成すること、
前記混合物を粒状化して顆粒を形成すること、及び
前記顆粒を炭化すること、
を含む、炭素質粒子を含有する顆粒の製造方法。
【請求項38】
炭化の後に前記顆粒に第二の有機基を結合させることを更に含み、前記第二の有機基が、前記有機基と同一又は異なる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
炭素質粒子及び少なくとも1種類の炭化したバインダーを含む、顆粒状炭素質生成物であって、
炭素質粒子を、少なくとも1種類の炭化可能なバインダー及び水性溶媒と混合すること、
前記混合物を粒状化して顆粒を形成すること、及び
前記顆粒を、約400℃〜800℃未満の温度で炭化すること、
を含む方法によって製造される、顆粒状炭素質生成物。
【請求項40】
前記炭素質粒子がカーボンブラックであり、且つ前記炭化可能なバインダーが水相溶性フェノール樹脂であり、前記混合物が、カーボンブラック100重量部及び前記炭化可能なバインダー約5〜約100重量部を含む、請求項39に記載の生成物。
【請求項41】
炭素質粒子及び少なくとも1種類の炭化したバインダーを含む、顆粒状炭素質生成物であって、
炭素質粒子を、少なくとも1種類の炭化可能なバインダー及び水性溶媒と混合すること、
前記混合物を粒状化して顆粒を形成すること、及び
前記混合物がカーボンブラック100重量部及び炭化可能なバインダー約5〜50重量部未満を含む前記顆粒を、炭化すること、
を含む方法によって製造される、顆粒状炭素質生成物。
【請求項42】
前記顆粒が、炭化可能なバインダーと結合している、請求項39に記載の顆粒状炭素質生成物。
【請求項43】
前記生成物の粒径が約2〜約5μmである、請求項39に記載の顆粒状炭素質生成物。
【請求項44】
炭素質粒子及び少なくとも1種類の未炭化バインダーを含む顆粒状炭素質生成物であって、
炭素質粒子を、少なくとも1種類のバインダー及び少なくとも1種類の溶媒と混合すること、
前記混合物を粒状化して顆粒を形成すること、及び
前記顆粒を、バインダーの炭化温度未満の温度に加熱して、前記顆粒状炭素質生成物を形成すること、
を含む方法によって製造される、顆粒状炭素質生成物。
【請求項45】
前記炭素質粒子に少なくとも1種類の有機基が結合している、請求項44に記載の顆粒状炭素質生成物。
【請求項46】
炭素質粒子及び少なくとも1種類の炭化したバインダーを含む顆粒状炭素質生成物であって、
炭素質粒子を、少なくとも1種類の炭化可能なバインダー及び水性溶媒と混合すること、
前記混合物を粒状化して顆粒を形成すること、及び
前記炭素質粒子上に前記少なくとも1種類の炭化可能なバインダーが結合している前記顆粒を炭化すること、
を含む方法によって製造される、顆粒状炭素質生成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−1213(P2010−1213A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−184864(P2009−184864)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【分割の表示】特願2003−524912(P2003−524912)の分割
【原出願日】平成14年8月26日(2002.8.26)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】