クロマトグラフ
【課題】 小型で耐久年数の長いクロマトグラフを提供する。
【解決手段】 混合されたサンプル及びキャリア媒体を導入する注入ブロック1と、第1注入口11から導入されたサンプルとキャリア媒体とを通す第1ガス分離部2と、第1ガス分離部2を通過したサンプルを検出するTCDセンサ36と、第2注入部15から導入されたサンプルとキャリア媒体を通す第2ガス分離部6と、第2ガス分離部6を通過したサンプルを検出するTCDセンサ73と、第1ガス分離部2及び第2ガス分離部6を同時に加熱するヒータ5を設けたうえ、第1ガス分離部2のプレートA、B21、22及び第2ガス分離部6のプレートC、D61、62を同軸方向に積層組み付ける。
【解決手段】 混合されたサンプル及びキャリア媒体を導入する注入ブロック1と、第1注入口11から導入されたサンプルとキャリア媒体とを通す第1ガス分離部2と、第1ガス分離部2を通過したサンプルを検出するTCDセンサ36と、第2注入部15から導入されたサンプルとキャリア媒体を通す第2ガス分離部6と、第2ガス分離部6を通過したサンプルを検出するTCDセンサ73と、第1ガス分離部2及び第2ガス分離部6を同時に加熱するヒータ5を設けたうえ、第1ガス分離部2のプレートA、B21、22及び第2ガス分離部6のプレートC、D61、62を同軸方向に積層組み付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体又はガスクロマトグラフに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数種類のガス又は液体が混合している試料から各成分を分離するためにクロマトグラフが用いられる。クロマトグラフでは試料を分離するためにカラムが設けられるが、多成分の分析を行う場合は分析時間短縮のためにクロマトグラフのガス導入部直前に専用の切り替えバルブを用いる必要があり、このバルブ駆動のための空気源が必要であった。
このような従来のガスクロマトグラフ用の切替弁として先行特許文献1に開示されていた技術があった。またイオンクロマトグラフに適用した例として先行特許文献2に開示された技術があった。
【0003】
先行特許技術文献2の例を図16に示す。サンプルに含まれる複数種のイオンを第1バルブ103を介して取り込んで濃縮カラム104にて濃縮する。そしてこの濃縮カラム104で濃縮されたイオンを取り込んで第1分離カラム105に溶離液を搬送する。第1分離カラム105から溶出するイオンのうち相対的に速く溶出するイオンを第2分離カラム105aに送出するとともに流路を切り替えて第1分離カラム105から溶出するイオンのうち相対的に遅く溶出するイオンを前記第2分離カラム105aを通さずに第2バルブを切り換え送出する。そして、第2分離カラム105aから溶出するイオン及び第2カラムを通らずに送出されたイオンの陽イオン交換を行うサプレッサ106でイオン交換されたイオンの導電率を測定する導電率検出器109により、複数種のイオンを検出していた。
【0004】
【特許文献1】特開平4−25682号公報
【特許文献2】特開平7−20108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような先行特許文献1及び2においては、有寿命製品をもつバルブの駆動回数がガスクロマトグラフの寿命に関わるためガスクロマトグラフ本体の寿命が短くなってしまうという問題点があった。
また、切り換えバルブを用いずに構成する例としてはカラムと検出器の組み合わせを2基並列に配置する構成があるが、2基分の体積を有することになり、装置全体として大型化してしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、クロマトグラフを小型化すると共に、装置寿命の長いクロマトグラフを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るクロマトグラフは、混合されたサンプル及びキャリア媒体を導入する導入部と、導入部から導入されたサンプルとキャリア媒体とを通す第1分離部と、第1分離部を通過したサンプルを検出する第1検出器と、導入部から導入されたサンプルとキャリア媒体を通す第2分離部と、第2分離部を通過したサンプルを検出する第2検出器と、第1分離部及び第2分離部を同時に加熱するヒータを設けたうえ、第1分離部及び第2分離部を同軸方向に積層組み付けたものである。
また、この発明に係るクロマトグラフは、第1分離部及び第1検出器が第1基板上に設置されるとともに、第2分離部及び第2検出器が第2基板上に設置され、第1分離部及び第2分離部へ同時に並行してサンプルとキャリア媒体が通過するものである。
【発明の効果】
【0008】
この請求項1に係る発明のクロマトグラフによれば、切り換えバルブを用いることなく、装置の構成が簡素でコンパクトとなり、また、切り換えバルブを用いることがないので、装置の長寿命化を図ることができる。また、装置全体をコンパクト化できることから、ヒータを1台で済ますことも可能となる。
また、この請求項2に係る発明のクロマトグラフによれば、第1分離部と第1検出器とを第1基板上に、また、第2分離部と第2検出器とを第2基板上に設置するので、分離部と検出器の組み付けが容易になり、更にコンパクト化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの実施の形態1のガスクロマトグラフのガス流路の概略図である。図2はこの発明の実施の形態1のガスクロマトグラフの断面図を示す図である。図3はこの実施の形態1のガスクロマトグラフの流路を示す図である。
図1に示すようにガスクロマトグラフはキャリアガスとサンプルガスの混合ガスが導入される導入部である注入ブロック1と、注入ブロック1の流路出口と連なり複数のプレートから構成される第1及び第2ガス分離部2、6と、第1及び第2ガス分離部2、6の流路出口と連なり熱伝導度検出器(以下TCDセンサと略記する)等を有する第1及び第2検出部3、7と、検出部出口と連なる排気ブロック4と、第1及び第2ガス分離部2、6近辺に設けられたヒータ5と、注入ブロックの上流に設けられた図示しない、キャリアガスの圧力を一定にする圧力制御装置、サンプルガス注入装置、検出部からの信号を解析する解析装置、記録装置等から構成されている。
【0010】
図2に示すように、注入ブロック1は略直方体の部材からなり、四隅にはボルト10を挿入可能な孔が設けられており、キャリアガスとサンプルガスの混合ガスが送気される混合管と結合可能な第1注入口11が注入ブロック1の側面から中央部分に向けて設けられている。また注入ブロック1の上面から中央部分に向けて注入ブロック連結孔12が設けられ、注入口11と連結孔12は連通している。注入ブロック1の下面には板状のヒータ5が設けられており、ヒータ5により、注入ブロック1を介し、第1及び第2ガス分離部2、6を加熱可能となっている。
【0011】
また、図3に示すように、キャリアガスとサンプルガスの混合ガスが送気される混合管と結合可能な第2注入口15が注入ブロック1の第1注入口11が設けられているのとは別の側面から中央部分に向けて設けられている。第2注入口15は第1及び第2注入口11、15内と同一平面に設けられた屈曲した流路16と連通しており、屈曲した流路16は、注入ブロック1の上面方向即ちガス分離部2の方向に伸び、注入ブロック上面へ開口している。図4は図2のIの断面図であり、第1及び第2注入口11、15及び連通孔12、屈曲した流路16の配置を示している。
【0012】
図5に第1ガス分離部2の分解図を示す。第1ガス分離部2は2種類の複数のステンレスの板状部材から構成されている。図6及び図7は本実施の形態のプレートA21及びB22を装置上方から見た表面図及び表面図のVI及びVIIの断面図を示す図である。本実施の形態では図6に示すプレートA21が5枚と図7に示すプレートB22が6枚それぞれ用いられている。プレートA21及びB22は、ほぼ3cm四方のほぼ正方形で厚みが0.3〜2mmの金属プレートで、四隅にボルトが貫通する孔23が設けられている。0.15mm程度もしくは0.25〜0.35mmの深さの溝24が、プレートの上面に螺旋状に設けられている。本実施の形態ではその長さが一枚当たり50cm程度の流路となるように溝24が設けられている。また溝24のコーナ部分は流路が狭くならないように丸みをおびるようになっている。流路の曲がる部分、特に鋭角に曲がる部分を少なくし、ストレート部を多くするようにした方が、流路抵抗も少なくなり、目詰まり等の問題が発生することがない。
【0013】
プレートA21及びB22において溝24の形状は同じであるがプレートを貫通する第1及び第2プレート孔27、25の位置が異なっている。図6、7(a)に示しているように、長方形の外周を描くような螺旋状とTの字の外周を描くような螺旋状を組み合わせ、一本の溝24が設けられている。また、プレートA21には長方形の外周を描くような螺旋状の中心位置に第1プレート孔27が設けられており、Tの字の外周を描くような螺旋状の中心位置にはプレートB22に設けられた第2プレート孔25と連通する第1の窪み部28が設けられている。
図7(a)に示すようにプレートB22には長方形の外周を描くような螺旋状の中心位置に第2窪み部26が設けられており、第1プレート孔27と連通可能となっている。Tの字の外周を描くような螺旋状の中心位置にはプレートB22に設けられた第1窪み部28と連通する第2プレート孔25が設けられている。
【0014】
プレートA21とB22の表面を研磨しておきプレートを密着させ加熱することにより接合する、もしくはプレートA21とB22を上下方向からボルト10を締め付けることにより互いに密着することにより、プレートA21の溝24とプレートB22の下面及びプレートB22の溝24とプレートA21の下面により細長い管状の流路が形成される。そして、プレートA21の溝24とプレートB22の溝24は、第1プレート孔27と第2の窪み部26、及び第1の窪み部28と第2プレート孔25が連通することにより、一本の細長い経路が形成される。本実施の形態によれば、一枚のプレートにそれぞれ長さ50cmの溝24が設けられていることから、11枚のプレートによりほぼ5.5mの流路とすることができる。例えばプレートの厚みを2mmのものを採用したとすると、ほぼ3×3×2.2cmの直方体内に5.5mの流路を比較的簡易な構造で設けることができる。ここで、ボルト締めする場合においても、プレートの上面及び下面を十分に研磨しておくことにより、密着度を高め、リークが生じないようにすることができる。
【0015】
溝24の内面には吸着剤を有する試料分析のための固定相が設けられている。0.15mmの溝24を採用したものには、プレートを密着させ、固定相形成物質を溶解させた溶液を溝内に充填した後、エアーで余分な溶液を除去、その後乾燥させることで、溝24の内面に固定相の膜を形成することができる。
また0.25〜0.35mmの溝を採用したものには、微細な粉末状の吸着材を溝24内部に設け、溝24内部に吸着剤が偏りなくほぼ均一に設けられた状態を確認した後、プレート21、22を重ね合わせ、その後、溝24内面に吸着剤を固定させ、固定相を形成する。溝24内部の吸着剤を目視等により偏りがないことを確認できるので、目詰まり、固定相のない部分が形成されるといった不具合が生じることなく固定相を定着させることができる。
【0016】
プレートA、B21、22は上述した第1ガス分離部2として機能する固定相のある流路を有すると共に、第2注入口15と第2ガス分離部6とを連通させる第1分離部貫通孔29を有している。第1分離部貫通孔29はプレートA,Bの同じ箇所に設けられており、互いに連通している。本実施の形態においては、長方形の外周を描くような螺旋状の中心位置にある第1プレート孔27及び第2窪み部26の近傍に第1分離部貫通孔29が設けられている。
【0017】
注入ブロック1の上面と第1ガス分離部2の下面が密着している。そして、プレートBの第2プレート孔25と注入ブロック1の連結孔12が連通している。
また、注入ブロック1に設けられた第1ガス分離部2の方向に伸びる流路16と第1分離部貫通孔29が連通している。
第1ガス分離部2の上面には第1検出室形成部材31が設けられている。第1検出室形成部材31には第1ガス分離部2の最上面のプレートB22の第2窪み部26と連通している検出室孔32が設けられている。第1検出室形成部材31の下面は平らに形成されており、その下面がガス分離部2の最上面のプレートB22と密着することにより、最上面のプレートB22の溝24を流路としている。
【0018】
第1検出室形成部材31の上面には窪みが設けられTCDセンサ36を収納可能な第1検出室33が設けられている。第1検出室33は検出室孔32と連通しており、ガス分離部2からの排出ガスを受入可能となっている。図8は第1検出室形成部材31の断面IIを示す図である。
検出室形成部材31の上部には検出部3が設けてある。検出部3は第1基板35と第1基板35下面に設けられた第1検出器であるTCDセンサ36等から構成されている。第1基板35下面と第1検出室形成部材31の上面が密着することにより、第1検出室33は外部と遮断されている。
【0019】
最上面のプレートB22の第1分離部貫通孔29は図8に示す第1検出室形成部材31に設けられた貫通孔51と連通していて、図示しない第1基板35に設けられた貫通孔と連通している。
第1基板35には、基板貫通孔37が設けられ、基板貫通孔37は第1基板35の上部に設けられた流路変更プレート38に設けられた溝39と連通している。
図9は流路変更プレート38の断面IIIを示す断面図である。図示しない第1基板35に設けられた貫通孔と連通する貫通孔52が流路変更プレート38に設けられている。そして、流路変更プレート38に設けられた溝53の一端は、貫通孔52と連通している。溝53の他端は、後述する最も下にあるプレートC61の第3プレート孔56と連通している。
【0020】
また、流路変更プレート38には第1基板35の基板貫通孔37と連通する溝39が設けられており、溝39の他端は後述する第2分離部貫通孔55と連通している。
図10及び11は本実施の形態のプレートC61及びD62を装置上方から見た表面図及び表面図のI及びIIの断面図を示す図である。
本実施の形態では図10に示すプレートC61と図11に示すプレートD62がそれぞれ8枚それぞれ用いられている。プレートC61及びD62は、ほぼ3cm四方のほぼ正方形で厚みが0.3〜2mmの金属プレートで、四隅にボルトが貫通する孔23が設けられている。0.15mm程度もしくは0.25〜0.35mmの深さの溝57が、プレートの上面に螺旋状に設けられている。本実施の形態ではその長さがプレートA、Bと同様に50cm程度の流路となるように溝57が設けられている。またプレートA、Bと同様に溝57のコーナ部分は流路が狭くならないように丸みをおびるようになっている。流路の曲がる部分、特に鋭角に曲がる部分を少なくし、ストレート部を多くするようにした方が、流路抵抗も少なくなり、目詰まり等の問題が発生することがない。
【0021】
プレートC61及びD62において溝57の形状は同じであるがプレートを貫通するプレート孔56、59の位置が異なっている。図10、11(a)に示しているようにプレートC61及びD62の溝57は、図に示したように正方形の外周を描くような螺旋状の溝及びその外周に平行な蛇行する溝を連続させることにより一本の溝を設けている。また、プレートC61には外周を平行に蛇行する溝の一端に第3プレート孔56が設けられており、正方形の外周を描くような螺旋状の中心位置にはプレートD62に設けられた第4プレート孔59と連通する第3窪み部58が設けられている。
プレートD62には外周を平行に蛇行する溝の一端に第4窪み部60が設けられており、第3プレート孔56と連通可能となっている。正方形の外周を描くような螺旋状の中心位置にはプレートC61に設けられた第3窪み部58と連通する第4プレート孔59が設けられている。
第1ガス分離部2と第2ガス分離部6はプレートの溝、貫通孔の配置、枚数等が異なるものの、第2ガス分離部6のプレートも図5に示すように重ねて配置されている。
【0022】
プレートA21とB22と同様に、プレートC61とD62の表面を研磨しておきプレートを密着させ加熱することにより接合する、もしくはプレートC61とD62を上下方向からボルト10を締め付けることにより互いに密着することにより、プレートC61の溝57とプレートD62の下面及びプレートD62の溝57とプレートC61の下面により細長い管状の流路が形成される。そして、プレートC21の溝57とプレートD22の溝57は、第3プレート孔56と第4窪み部60、及び第3窪み部58と第4プレート孔59が連通することにより、一本の細長い経路が形成される。本実施の形態によれば、一枚のプレートにそれぞれ長さ50cmの溝57が設けられていることから、16枚のプレートによりほぼ8mの流路とすることができる。例えばプレートの厚み2mmのものを採用したとすると、ほぼ3×3×3.2cmの直方体内に8mの流路を比較的簡易な構造で設けることができる。ここで、プレートA、B21、22と同様ボルト締めする場合においても、プレートの上面及び下面を十分に研磨しておくことにより、密着度を高め、リークが生じないようにすることができる。
【0023】
そして、プレートA、B21、22と同様に溝57の内面には吸着剤を有する試料分析のための固定相が設けられている。プレートA、B21、22と同様に固定相形成物質を溶解させた溶液を用いてもよいし、微細な粉末状の吸着材を用いてもよい。
また、プレートC、D61、62は上述した第2ガス分離部6として機能する固定相のある流路を有すると共に、第1ガス分離部4と第1排気口41とを連通させる第2分離部貫通孔55を有している。第2分離部貫通孔55はプレートC,Dの同じ箇所に設けられており、互いに連通している。本実施の形態においては、第3プレート孔56及び第4の窪み部60の近傍に第1分離部貫通孔55が設けられている。
【0024】
第2ガス分離部6の上面には第2検出室形成部材63が設けられている。第2検出室形成部材63はその下面は平らに形成されており、その下面が第2ガス分離部6の最上面のプレートD62と密着することにより、最上面のプレートD62の溝57を流路としている。第2検出室形成部材63には第2ガス分離部6の最上面のプレートD62の第4窪み部60と連通している検出室孔64が設けられている。
図12は第2検出室形成部材63の断面IVを示す図である。第2検出室形成部材63の上面には窪みが設けられTCDセンサ73を収納可能な第2検出室65が設けられている。第2検出室65は検出室孔64と連通しており、第2ガス分離部6からの排出ガスを受入可能となっている。
【0025】
第2検出室形成部材63の上部には第2検出部7が設けてある。第2検出部7は第2基板71と第2基板71下面に設けられた第2検出器であるTCDセンサ73等から構成されている。第2基板71下面と第2検出室形成部材63の上面が密着することにより、第2検出室65は外部と遮断されている。
第2基板71には、基板貫通孔74が設けられ、基板貫通孔74は第2基板71の上部に設けられた排気ブロック4に設けられた排気ブロックの溝と連通している。
排気ブロック4は、注入ブロック1と同様に略直方体の部材からなり、四隅にはボルト10が挿入可能な孔が設けられており、キャリアガスとサンプルガスの混合ガスを排気する排気管と結合可能な第1及び第2排気口41、45が排気ブロック4の側面から中央部分に向けて設けられている。また排気ブロック4の下面から中央部分に向けて排気ブロック連結孔75が設けられ、第2排気口45と連結孔75が連通し、排気ブロック4の下面の連結孔75と溝76とが連通することにより、第2排気口45と第2検出室65が連通している。
【0026】
また、図3に示すように、キャリアガスとサンプルガスの混合ガスが送気される混合管と結合可能な第1排気口41は排気ブロック4に設けられた連通孔77と連通している。連通孔77は第2基板71方向に開口している。図13は図2のVの断面図であり、第1及び第2排気口41、45及び連通孔75、77の配置を示している。
上述したように第1注入口11は第1ガス分離部の溝24、第1検出室33、第2分離部貫通孔55、第1排気口41等と繋がり、一本の流路を形成している。また、第2注入口15は第1分離貫通孔29、第2ガス分離部の溝57、第2検出室65、第2排気口45等と繋がり、一本の流路を形成している。
TCDセンサ36、73に設けられた発熱抵抗の変化を出力として取り出すように、第1、2基板35、71には電気回路および配線が設けられている。また、第1、2基板35、71には温度センサが設けられており、ヒータ5の温度制御に用いられる。
【0027】
続いて、この装置を用いて、サンプルガスを分析する場合について説明する。図示しないサンプルガス注入装置によりキャリアガス中に分析の対象となるサンプルガスが注入される。
測定すべきガスであるサンプルガスとキャリアガスとが混合した状態で、注入ブロック1の第1注入口11、連結孔12を介して、第1ガス分離部2の最下面のプレートB22の第2プレート孔25へと流れ込む。
第1ガス分離部2は注入ブロック1に取付けられたヒータ5により、間接的に加熱されている。ヒータ5は基板に設けられた温度センサによりガス分離部出口のガス温度がほぼ一定になるように制御されている。第1ガス分離部2のプレートA22及びB23に設けられた第1、第2プレート孔25、27、第1、第2窪み部26、28及び固定相の設けられた溝24をサンプルガスとキャリアガスとが混合した状態で流れていく中、これらガス分離部の固定相に対する各成分の吸着性(親和性)や分配係数の差異に基づく移動速度の差を利用してサンプルガスが各ガス成分に分離される。
【0028】
多種類からなるサンプルガスは、各ガス成分に分離された状態で、第1ガス分離部2の上面の第1検出室形成部材31に設けられた第1検出室33へと流入する。
分離されたガスは、TCDセンサ36が収納された第1検出室形成部材31の第1検出室33へと流れ込み、ガスの流れの上部に設けた発熱抵抗を一定の電圧(または一定の電流)で加熱しておくと、ガスの組成が変わったとき、その熱伝導度の変化を受けて発熱抵抗の温度が変化する。これによる発熱抵抗の変化を出力として取り出し、移動速度の早い順に流入するガスの組成毎の分量をそれぞれ検出する。第1ガス分離部2においては、たとえば移動速度の速い多種類からなるサンプルガスのある特定成分のみを検出するようになっている。検出が終わったガスは第2ガス分離部に設けられた第2分離部貫通孔55等を経て第1排気口41から排出される。
【0029】
一方、注入ブロック1の第2注入口15から流入したサンプルガスとキャリアガスとの混合ガスは、第1ガス分離部2の第1分離部貫通孔29等を経て、第2ガス分離部6の最下面のプレートCの第3プレート孔56へと流れ込む。
第1ガス分離部2と同様に、第2ガス分離部6は注入ブロック1に取付けられたヒータ5により、間接的に加熱されている。第2ガス分離部6のプレートC61及びD62に設けられた第3、第4プレート孔56、59、第3、第4窪み部58、60及び固定相の設けられた溝57をサンプルガスとキャリアガスとが混合した状態で流れていく中、各ガス成分に分離される。
【0030】
多種類からなるサンプルガスは、ガス各ガス成分に分離された状態で、第2ガス分離部6の上面の第2検出室形成部材63に設けられた第2検出室65へと流入する。
分離されたガスは、TCDセンサ73が収納された第2検出室65へと流れ込み、ガスの流れの上部に設けた発熱抵抗を一定の電圧(または一定の電流)で加熱しておくと、ガスの組成が変わったとき、その熱伝導度の変化を受けて発熱抵抗の温度が変化する。これによる発熱抵抗の変化を出力として取り出し、移動速度の早い順に流入するガスの組成毎の分量をそれぞれ検出する。第2ガス分離部6においては、たとえば移動速度の遅い多種類からなるサンプルガスのある特定成分のみを検出するようになっている。検出が終わったガスは排気ブロックに設けられた第2排気口45から排出される。
【0031】
このように本実施の形態1によれば、表面に溝24を有し、溝24の内面に固定相を有するプレートA21、B22を有する第1ガス分離部2と、表面に溝57を有し、溝57の内面に固定相を有するプレートC61、D62を有する第2ガス分離部6と、TCDセンサ36、73からなる第1、2検出器と、第1、2ガス分離部2、6を同時に加熱するヒータ5を有し、プレートA〜D21、22、61、62を同軸方向に積層組み付けたので、第1、2ガス分離部2、6を小型化できると共に、装置全体を小型化することも可能となる。第1、2ガス分離部2、6を小型化できるため、ヒータを1台で済ますと共に加温するための消費電力を大幅に節約することができる。
【0032】
従来のクロマトグラフ装置であると、本実施の形態のように第1、2基板35、71上にセンサを直接設ける構造を採用できるものではなかったので、検出室を独立して形成する必要があり、保持部材等を収容可能なスペースを確保しなくてはならなかったので、本実施の形態の第1、2検出室33、65に相当する箇所が大型化してしまい、第1、2検出室33、65に滞留するガスが多くなるので、検出精度が下がってしまうという問題があった。本実施の形態では第1、2基板35、71上にセンサを直接設け、第1、2基板35、71を用い密閉空間が形成されているので、滞留するガスが少なくなることから、試料が第1、2検出室33、65に流入するとセンサがすぐに反応し、また、第1、2検出室33、65内で対流も起こらないので、検出精度が向上する効果がある。
また、第1及び第2ガス分離部2、6を、第1及び第2検出室形成部材31、63を介して、第1及び第2基板35、71上に設けることができるので、第1及び第2ガス分離部2、6の組み付けが容易になり、更なるコンパクト化を図ることができる。
また、検出試料、用途等に応じてプレート枚数を変更し、流路長さを変更することができるので、設計自由度が高まる効果もある。
【0033】
従来は、細管を用い、カラム内に粉体状の固定相を付着させる場合、振動により粉体を挿入していく方法が採用されていた。内径が0.1〜2mm程度の管を用いていると、内径が小さいため、管内に均一に粉体が挿入されたか確認することができず、カラムを装置に装着した後、実際に装置を動作させないと、固定相の付着状況が確認できないものであったが、本実施の形態1においては、粉体の固定相を採用した場合であっても、目視等により粉体の固定相を均一に設けたことを確認してからボルト締め、熱加工等でガス分離部を組み立てることができるので、詰まり又は固定相が不足するといった不具合が生じることがなく歩留まりが高く、しかも均一に固定相が設けられている精度の高い検出を行うのに適したガスクロマトグラフ装置を提供することができる。
【0034】
本実施の形態では第1及び第2ガス分離部2、6において、溝21、57の形状をTの字の外周を描くような螺旋状と長方形の外周を描く形状の螺旋状としたもの及び正方形の外周を描くような螺旋状の溝及びその外周を平行に蛇行する溝を連続させるものを示したが、十字形状の外周を描くような螺旋状、同心円状の螺旋であってもよく、その形状は、流路を十分長く設けることができればどのような形状であってもよい。また、プレートA〜D21、22、61、62の4種類を用いたものを示したが、プレートを重ねて流路を長くできるのであれば、何種類のプレートを用いたものであってもよい。また、プレートの枚数も適宜変更することも可能である。
【0035】
また、プレートの溝24、57を設ける表面をほぼ3cm四方のものについて説明したが、溝を設けることができれば、1mm〜100mm程度にしてもよく、また表面の形状も四角ではなく、円形、その他どのような形状であってもよい。その表面の形状に合わせ同心状、角形状など流路を長くできるように適宜変更することもできる。プレートの形状及び溝の配置を考慮し、ボルト孔の数、配置等も適宜変更できる。
またプレートA〜Dをステンレスで作成したものについて説明したが、その材質はセラミック、樹脂、溶融石英など分析ガスの用途、プレートサイズなどを考慮し、適宜変更することができる。
【0036】
また第1、第2検出部3、7について、TCDセンサ36、73を用いたものについて説明したが、適宜周知の検出器を用い、分離されたガスの分量を検出することもできる。
注入ブロック1及び排気ブロック4を直方体形状のものに孔を設けた構造のものについて説明したが、第1、2ガス分離部2、6の入口及び出口にリークすることなく流体を供給できるものであればその形状はいかなるものであってもよい。
【0037】
実施の形態2.
本実施の形態1においてはガスクロマトグラフ装置の例を示したが、固定相の組成等を変更した複数の積層板とするサンプル流体分離部とすることにより液体クロマトグラフ装置に用いることもできる。図14に本発明を液体クロマトグラフ装置に適用する場合の概略図を示す。溶離液瓶90内の溶媒をポンプ91にて圧送し、インジェクタ92から試料が注入され、カラム恒温槽93内のカラム94を通過し、記録計97に検出結果を出力する検出器95で検出を終えた試料及び溶媒が廃液タンク96に廃棄されるように構成されている。カラム恒温槽93内に液体クロマトグラフ用の固定相を溝に設けた複数の積層板を有する第1及び第2のカラム94が設けられており、第1及び第2カラム94の入口には溶液及び試料が混合された混合流体を注入する注入部が設けられており、第1及び第2カラム94の積層された複数の板部材が設けられた長い溝を混合流体が通過する間に試料が分離される。第1カラムで分離された試料を第1検出器にて検出すると共に、第2カラムで分離された試料を第2検出器にて検出することにより、実施の形態1と同様に、たとえば移動速度の早い物質を第1検出器で、移動速度の遅い物質を第2検出器で各組成の分量を計測することができる。溶離液瓶、ポンプ、カラム恒温槽、検出器、記録計等は周知の装置を用いればよく、本実施の形態1で示したものと同様にプレートを複数積層し、各板部材の溝を設けた積層板から構成されるサンプル流体分離部を用いれば、サンプル流体分離部であるカラムを小型化できるのでカラム恒温槽、ヒータ及び装置全体を小型化することができる。また、カラム恒温槽を小型化できるので熱容量が小さくなり、消費電力を節減することもできる。
【0038】
実施の形態1と同様にプレートサイズ、プレート形状、プレートの材質、溝の径、溝の形状等を試料に応じて適宜変更することができる。
また、検出器の種類も試料に応じて、周知の検出器を適宜使うこともできる。検出器をカラム恒温槽の外に設けたものについて説明したが、実施の形態1と同様の注入ブロック、排気ブロック等を用い、検出器をカラム近傍に設けカラム恒温槽内に設けるようにしてもよい。
【0039】
実施の形態3.
実施の形態1及び2において、第1及び第2ガス分離部、第1及び第2カラム、第1及び第2検出部等を並列に配置する例を示したが、図15に示すように、第1及び第2分離部を直列にすることもできる。移動速度の遅い物質を第1検出部2で検出し、移動速度の速い物質を第2検出部6で検出することにより、移動速度の速い物質が第1分離部で十分分離されない物質を第2分離部で測定することにより、コンパクトで高性能なクロマトグラフを提供することができる。
また、この実施の形態3においては、第1排気口と第2注入口の間に切替弁を設け、第1検出部で移動速度の遅い物質の検出が終わった後、第2検出部に移動速度の遅い物質が流入しないように切替弁で外部に排出することにより、次の測定をより速やかに行うこともできる。
また、切替弁を設けずに、実施の形態1のように第1及び第2分離貫通孔29、55を用いることなく、注入口、排出口を1つとして、流路変更プレート38内に第1検出部の出口と第2分離部の入口を接続する流路を設け、第1及び第2分離部を直列にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施の形態1を示すガスクロマトグラフの概略図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示すガスクロマトグラフの断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示すガスクロマトグラフの流路を示した図である。
【図4】図1の断面Iを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1を示す第1ガス分離部の分解斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1のプレートAの表面図(a)及び側面断面図(b)である。
【図7】この発明の実施の形態1のプレートBの表面図(a)及び側面断面図(b)である。
【図8】図1の断面IIを示す図である。
【図9】図1の断面IIIを示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1のプレートCの表面図(a)及び側面断面図(b)である。
【図11】この発明の実施の形態1のプレートDの表面図(a)及び側面断面図(b)である。
【図12】図1の断面IVを示す図である。
【図13】図1の断面Vを示す図である。
【図14】この発明の実施の形態2を示す液体クロマトグラフの概略図である。
【図15】この発明の実施の形態3を示すクロマトグラフの概略図である。
【図16】従来例のクロマトグラフの概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 注入ブロック、2 第1ガス分離部、3 第1検出部、4 排気ブロック、5 ヒータ、6 第2ガス分離部、7 第2検出部、11 第1注入口、15 第2注入口、21 プレートA、22 プレートB、24 溝、35 第1基板、36 TCDセンサ、41 第1排気口、45 第2排気口、57 溝、61 プレートC、62 プレートD、73 TCDセンサ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体又はガスクロマトグラフに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数種類のガス又は液体が混合している試料から各成分を分離するためにクロマトグラフが用いられる。クロマトグラフでは試料を分離するためにカラムが設けられるが、多成分の分析を行う場合は分析時間短縮のためにクロマトグラフのガス導入部直前に専用の切り替えバルブを用いる必要があり、このバルブ駆動のための空気源が必要であった。
このような従来のガスクロマトグラフ用の切替弁として先行特許文献1に開示されていた技術があった。またイオンクロマトグラフに適用した例として先行特許文献2に開示された技術があった。
【0003】
先行特許技術文献2の例を図16に示す。サンプルに含まれる複数種のイオンを第1バルブ103を介して取り込んで濃縮カラム104にて濃縮する。そしてこの濃縮カラム104で濃縮されたイオンを取り込んで第1分離カラム105に溶離液を搬送する。第1分離カラム105から溶出するイオンのうち相対的に速く溶出するイオンを第2分離カラム105aに送出するとともに流路を切り替えて第1分離カラム105から溶出するイオンのうち相対的に遅く溶出するイオンを前記第2分離カラム105aを通さずに第2バルブを切り換え送出する。そして、第2分離カラム105aから溶出するイオン及び第2カラムを通らずに送出されたイオンの陽イオン交換を行うサプレッサ106でイオン交換されたイオンの導電率を測定する導電率検出器109により、複数種のイオンを検出していた。
【0004】
【特許文献1】特開平4−25682号公報
【特許文献2】特開平7−20108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような先行特許文献1及び2においては、有寿命製品をもつバルブの駆動回数がガスクロマトグラフの寿命に関わるためガスクロマトグラフ本体の寿命が短くなってしまうという問題点があった。
また、切り換えバルブを用いずに構成する例としてはカラムと検出器の組み合わせを2基並列に配置する構成があるが、2基分の体積を有することになり、装置全体として大型化してしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、クロマトグラフを小型化すると共に、装置寿命の長いクロマトグラフを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るクロマトグラフは、混合されたサンプル及びキャリア媒体を導入する導入部と、導入部から導入されたサンプルとキャリア媒体とを通す第1分離部と、第1分離部を通過したサンプルを検出する第1検出器と、導入部から導入されたサンプルとキャリア媒体を通す第2分離部と、第2分離部を通過したサンプルを検出する第2検出器と、第1分離部及び第2分離部を同時に加熱するヒータを設けたうえ、第1分離部及び第2分離部を同軸方向に積層組み付けたものである。
また、この発明に係るクロマトグラフは、第1分離部及び第1検出器が第1基板上に設置されるとともに、第2分離部及び第2検出器が第2基板上に設置され、第1分離部及び第2分離部へ同時に並行してサンプルとキャリア媒体が通過するものである。
【発明の効果】
【0008】
この請求項1に係る発明のクロマトグラフによれば、切り換えバルブを用いることなく、装置の構成が簡素でコンパクトとなり、また、切り換えバルブを用いることがないので、装置の長寿命化を図ることができる。また、装置全体をコンパクト化できることから、ヒータを1台で済ますことも可能となる。
また、この請求項2に係る発明のクロマトグラフによれば、第1分離部と第1検出器とを第1基板上に、また、第2分離部と第2検出器とを第2基板上に設置するので、分離部と検出器の組み付けが容易になり、更にコンパクト化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの実施の形態1のガスクロマトグラフのガス流路の概略図である。図2はこの発明の実施の形態1のガスクロマトグラフの断面図を示す図である。図3はこの実施の形態1のガスクロマトグラフの流路を示す図である。
図1に示すようにガスクロマトグラフはキャリアガスとサンプルガスの混合ガスが導入される導入部である注入ブロック1と、注入ブロック1の流路出口と連なり複数のプレートから構成される第1及び第2ガス分離部2、6と、第1及び第2ガス分離部2、6の流路出口と連なり熱伝導度検出器(以下TCDセンサと略記する)等を有する第1及び第2検出部3、7と、検出部出口と連なる排気ブロック4と、第1及び第2ガス分離部2、6近辺に設けられたヒータ5と、注入ブロックの上流に設けられた図示しない、キャリアガスの圧力を一定にする圧力制御装置、サンプルガス注入装置、検出部からの信号を解析する解析装置、記録装置等から構成されている。
【0010】
図2に示すように、注入ブロック1は略直方体の部材からなり、四隅にはボルト10を挿入可能な孔が設けられており、キャリアガスとサンプルガスの混合ガスが送気される混合管と結合可能な第1注入口11が注入ブロック1の側面から中央部分に向けて設けられている。また注入ブロック1の上面から中央部分に向けて注入ブロック連結孔12が設けられ、注入口11と連結孔12は連通している。注入ブロック1の下面には板状のヒータ5が設けられており、ヒータ5により、注入ブロック1を介し、第1及び第2ガス分離部2、6を加熱可能となっている。
【0011】
また、図3に示すように、キャリアガスとサンプルガスの混合ガスが送気される混合管と結合可能な第2注入口15が注入ブロック1の第1注入口11が設けられているのとは別の側面から中央部分に向けて設けられている。第2注入口15は第1及び第2注入口11、15内と同一平面に設けられた屈曲した流路16と連通しており、屈曲した流路16は、注入ブロック1の上面方向即ちガス分離部2の方向に伸び、注入ブロック上面へ開口している。図4は図2のIの断面図であり、第1及び第2注入口11、15及び連通孔12、屈曲した流路16の配置を示している。
【0012】
図5に第1ガス分離部2の分解図を示す。第1ガス分離部2は2種類の複数のステンレスの板状部材から構成されている。図6及び図7は本実施の形態のプレートA21及びB22を装置上方から見た表面図及び表面図のVI及びVIIの断面図を示す図である。本実施の形態では図6に示すプレートA21が5枚と図7に示すプレートB22が6枚それぞれ用いられている。プレートA21及びB22は、ほぼ3cm四方のほぼ正方形で厚みが0.3〜2mmの金属プレートで、四隅にボルトが貫通する孔23が設けられている。0.15mm程度もしくは0.25〜0.35mmの深さの溝24が、プレートの上面に螺旋状に設けられている。本実施の形態ではその長さが一枚当たり50cm程度の流路となるように溝24が設けられている。また溝24のコーナ部分は流路が狭くならないように丸みをおびるようになっている。流路の曲がる部分、特に鋭角に曲がる部分を少なくし、ストレート部を多くするようにした方が、流路抵抗も少なくなり、目詰まり等の問題が発生することがない。
【0013】
プレートA21及びB22において溝24の形状は同じであるがプレートを貫通する第1及び第2プレート孔27、25の位置が異なっている。図6、7(a)に示しているように、長方形の外周を描くような螺旋状とTの字の外周を描くような螺旋状を組み合わせ、一本の溝24が設けられている。また、プレートA21には長方形の外周を描くような螺旋状の中心位置に第1プレート孔27が設けられており、Tの字の外周を描くような螺旋状の中心位置にはプレートB22に設けられた第2プレート孔25と連通する第1の窪み部28が設けられている。
図7(a)に示すようにプレートB22には長方形の外周を描くような螺旋状の中心位置に第2窪み部26が設けられており、第1プレート孔27と連通可能となっている。Tの字の外周を描くような螺旋状の中心位置にはプレートB22に設けられた第1窪み部28と連通する第2プレート孔25が設けられている。
【0014】
プレートA21とB22の表面を研磨しておきプレートを密着させ加熱することにより接合する、もしくはプレートA21とB22を上下方向からボルト10を締め付けることにより互いに密着することにより、プレートA21の溝24とプレートB22の下面及びプレートB22の溝24とプレートA21の下面により細長い管状の流路が形成される。そして、プレートA21の溝24とプレートB22の溝24は、第1プレート孔27と第2の窪み部26、及び第1の窪み部28と第2プレート孔25が連通することにより、一本の細長い経路が形成される。本実施の形態によれば、一枚のプレートにそれぞれ長さ50cmの溝24が設けられていることから、11枚のプレートによりほぼ5.5mの流路とすることができる。例えばプレートの厚みを2mmのものを採用したとすると、ほぼ3×3×2.2cmの直方体内に5.5mの流路を比較的簡易な構造で設けることができる。ここで、ボルト締めする場合においても、プレートの上面及び下面を十分に研磨しておくことにより、密着度を高め、リークが生じないようにすることができる。
【0015】
溝24の内面には吸着剤を有する試料分析のための固定相が設けられている。0.15mmの溝24を採用したものには、プレートを密着させ、固定相形成物質を溶解させた溶液を溝内に充填した後、エアーで余分な溶液を除去、その後乾燥させることで、溝24の内面に固定相の膜を形成することができる。
また0.25〜0.35mmの溝を採用したものには、微細な粉末状の吸着材を溝24内部に設け、溝24内部に吸着剤が偏りなくほぼ均一に設けられた状態を確認した後、プレート21、22を重ね合わせ、その後、溝24内面に吸着剤を固定させ、固定相を形成する。溝24内部の吸着剤を目視等により偏りがないことを確認できるので、目詰まり、固定相のない部分が形成されるといった不具合が生じることなく固定相を定着させることができる。
【0016】
プレートA、B21、22は上述した第1ガス分離部2として機能する固定相のある流路を有すると共に、第2注入口15と第2ガス分離部6とを連通させる第1分離部貫通孔29を有している。第1分離部貫通孔29はプレートA,Bの同じ箇所に設けられており、互いに連通している。本実施の形態においては、長方形の外周を描くような螺旋状の中心位置にある第1プレート孔27及び第2窪み部26の近傍に第1分離部貫通孔29が設けられている。
【0017】
注入ブロック1の上面と第1ガス分離部2の下面が密着している。そして、プレートBの第2プレート孔25と注入ブロック1の連結孔12が連通している。
また、注入ブロック1に設けられた第1ガス分離部2の方向に伸びる流路16と第1分離部貫通孔29が連通している。
第1ガス分離部2の上面には第1検出室形成部材31が設けられている。第1検出室形成部材31には第1ガス分離部2の最上面のプレートB22の第2窪み部26と連通している検出室孔32が設けられている。第1検出室形成部材31の下面は平らに形成されており、その下面がガス分離部2の最上面のプレートB22と密着することにより、最上面のプレートB22の溝24を流路としている。
【0018】
第1検出室形成部材31の上面には窪みが設けられTCDセンサ36を収納可能な第1検出室33が設けられている。第1検出室33は検出室孔32と連通しており、ガス分離部2からの排出ガスを受入可能となっている。図8は第1検出室形成部材31の断面IIを示す図である。
検出室形成部材31の上部には検出部3が設けてある。検出部3は第1基板35と第1基板35下面に設けられた第1検出器であるTCDセンサ36等から構成されている。第1基板35下面と第1検出室形成部材31の上面が密着することにより、第1検出室33は外部と遮断されている。
【0019】
最上面のプレートB22の第1分離部貫通孔29は図8に示す第1検出室形成部材31に設けられた貫通孔51と連通していて、図示しない第1基板35に設けられた貫通孔と連通している。
第1基板35には、基板貫通孔37が設けられ、基板貫通孔37は第1基板35の上部に設けられた流路変更プレート38に設けられた溝39と連通している。
図9は流路変更プレート38の断面IIIを示す断面図である。図示しない第1基板35に設けられた貫通孔と連通する貫通孔52が流路変更プレート38に設けられている。そして、流路変更プレート38に設けられた溝53の一端は、貫通孔52と連通している。溝53の他端は、後述する最も下にあるプレートC61の第3プレート孔56と連通している。
【0020】
また、流路変更プレート38には第1基板35の基板貫通孔37と連通する溝39が設けられており、溝39の他端は後述する第2分離部貫通孔55と連通している。
図10及び11は本実施の形態のプレートC61及びD62を装置上方から見た表面図及び表面図のI及びIIの断面図を示す図である。
本実施の形態では図10に示すプレートC61と図11に示すプレートD62がそれぞれ8枚それぞれ用いられている。プレートC61及びD62は、ほぼ3cm四方のほぼ正方形で厚みが0.3〜2mmの金属プレートで、四隅にボルトが貫通する孔23が設けられている。0.15mm程度もしくは0.25〜0.35mmの深さの溝57が、プレートの上面に螺旋状に設けられている。本実施の形態ではその長さがプレートA、Bと同様に50cm程度の流路となるように溝57が設けられている。またプレートA、Bと同様に溝57のコーナ部分は流路が狭くならないように丸みをおびるようになっている。流路の曲がる部分、特に鋭角に曲がる部分を少なくし、ストレート部を多くするようにした方が、流路抵抗も少なくなり、目詰まり等の問題が発生することがない。
【0021】
プレートC61及びD62において溝57の形状は同じであるがプレートを貫通するプレート孔56、59の位置が異なっている。図10、11(a)に示しているようにプレートC61及びD62の溝57は、図に示したように正方形の外周を描くような螺旋状の溝及びその外周に平行な蛇行する溝を連続させることにより一本の溝を設けている。また、プレートC61には外周を平行に蛇行する溝の一端に第3プレート孔56が設けられており、正方形の外周を描くような螺旋状の中心位置にはプレートD62に設けられた第4プレート孔59と連通する第3窪み部58が設けられている。
プレートD62には外周を平行に蛇行する溝の一端に第4窪み部60が設けられており、第3プレート孔56と連通可能となっている。正方形の外周を描くような螺旋状の中心位置にはプレートC61に設けられた第3窪み部58と連通する第4プレート孔59が設けられている。
第1ガス分離部2と第2ガス分離部6はプレートの溝、貫通孔の配置、枚数等が異なるものの、第2ガス分離部6のプレートも図5に示すように重ねて配置されている。
【0022】
プレートA21とB22と同様に、プレートC61とD62の表面を研磨しておきプレートを密着させ加熱することにより接合する、もしくはプレートC61とD62を上下方向からボルト10を締め付けることにより互いに密着することにより、プレートC61の溝57とプレートD62の下面及びプレートD62の溝57とプレートC61の下面により細長い管状の流路が形成される。そして、プレートC21の溝57とプレートD22の溝57は、第3プレート孔56と第4窪み部60、及び第3窪み部58と第4プレート孔59が連通することにより、一本の細長い経路が形成される。本実施の形態によれば、一枚のプレートにそれぞれ長さ50cmの溝57が設けられていることから、16枚のプレートによりほぼ8mの流路とすることができる。例えばプレートの厚み2mmのものを採用したとすると、ほぼ3×3×3.2cmの直方体内に8mの流路を比較的簡易な構造で設けることができる。ここで、プレートA、B21、22と同様ボルト締めする場合においても、プレートの上面及び下面を十分に研磨しておくことにより、密着度を高め、リークが生じないようにすることができる。
【0023】
そして、プレートA、B21、22と同様に溝57の内面には吸着剤を有する試料分析のための固定相が設けられている。プレートA、B21、22と同様に固定相形成物質を溶解させた溶液を用いてもよいし、微細な粉末状の吸着材を用いてもよい。
また、プレートC、D61、62は上述した第2ガス分離部6として機能する固定相のある流路を有すると共に、第1ガス分離部4と第1排気口41とを連通させる第2分離部貫通孔55を有している。第2分離部貫通孔55はプレートC,Dの同じ箇所に設けられており、互いに連通している。本実施の形態においては、第3プレート孔56及び第4の窪み部60の近傍に第1分離部貫通孔55が設けられている。
【0024】
第2ガス分離部6の上面には第2検出室形成部材63が設けられている。第2検出室形成部材63はその下面は平らに形成されており、その下面が第2ガス分離部6の最上面のプレートD62と密着することにより、最上面のプレートD62の溝57を流路としている。第2検出室形成部材63には第2ガス分離部6の最上面のプレートD62の第4窪み部60と連通している検出室孔64が設けられている。
図12は第2検出室形成部材63の断面IVを示す図である。第2検出室形成部材63の上面には窪みが設けられTCDセンサ73を収納可能な第2検出室65が設けられている。第2検出室65は検出室孔64と連通しており、第2ガス分離部6からの排出ガスを受入可能となっている。
【0025】
第2検出室形成部材63の上部には第2検出部7が設けてある。第2検出部7は第2基板71と第2基板71下面に設けられた第2検出器であるTCDセンサ73等から構成されている。第2基板71下面と第2検出室形成部材63の上面が密着することにより、第2検出室65は外部と遮断されている。
第2基板71には、基板貫通孔74が設けられ、基板貫通孔74は第2基板71の上部に設けられた排気ブロック4に設けられた排気ブロックの溝と連通している。
排気ブロック4は、注入ブロック1と同様に略直方体の部材からなり、四隅にはボルト10が挿入可能な孔が設けられており、キャリアガスとサンプルガスの混合ガスを排気する排気管と結合可能な第1及び第2排気口41、45が排気ブロック4の側面から中央部分に向けて設けられている。また排気ブロック4の下面から中央部分に向けて排気ブロック連結孔75が設けられ、第2排気口45と連結孔75が連通し、排気ブロック4の下面の連結孔75と溝76とが連通することにより、第2排気口45と第2検出室65が連通している。
【0026】
また、図3に示すように、キャリアガスとサンプルガスの混合ガスが送気される混合管と結合可能な第1排気口41は排気ブロック4に設けられた連通孔77と連通している。連通孔77は第2基板71方向に開口している。図13は図2のVの断面図であり、第1及び第2排気口41、45及び連通孔75、77の配置を示している。
上述したように第1注入口11は第1ガス分離部の溝24、第1検出室33、第2分離部貫通孔55、第1排気口41等と繋がり、一本の流路を形成している。また、第2注入口15は第1分離貫通孔29、第2ガス分離部の溝57、第2検出室65、第2排気口45等と繋がり、一本の流路を形成している。
TCDセンサ36、73に設けられた発熱抵抗の変化を出力として取り出すように、第1、2基板35、71には電気回路および配線が設けられている。また、第1、2基板35、71には温度センサが設けられており、ヒータ5の温度制御に用いられる。
【0027】
続いて、この装置を用いて、サンプルガスを分析する場合について説明する。図示しないサンプルガス注入装置によりキャリアガス中に分析の対象となるサンプルガスが注入される。
測定すべきガスであるサンプルガスとキャリアガスとが混合した状態で、注入ブロック1の第1注入口11、連結孔12を介して、第1ガス分離部2の最下面のプレートB22の第2プレート孔25へと流れ込む。
第1ガス分離部2は注入ブロック1に取付けられたヒータ5により、間接的に加熱されている。ヒータ5は基板に設けられた温度センサによりガス分離部出口のガス温度がほぼ一定になるように制御されている。第1ガス分離部2のプレートA22及びB23に設けられた第1、第2プレート孔25、27、第1、第2窪み部26、28及び固定相の設けられた溝24をサンプルガスとキャリアガスとが混合した状態で流れていく中、これらガス分離部の固定相に対する各成分の吸着性(親和性)や分配係数の差異に基づく移動速度の差を利用してサンプルガスが各ガス成分に分離される。
【0028】
多種類からなるサンプルガスは、各ガス成分に分離された状態で、第1ガス分離部2の上面の第1検出室形成部材31に設けられた第1検出室33へと流入する。
分離されたガスは、TCDセンサ36が収納された第1検出室形成部材31の第1検出室33へと流れ込み、ガスの流れの上部に設けた発熱抵抗を一定の電圧(または一定の電流)で加熱しておくと、ガスの組成が変わったとき、その熱伝導度の変化を受けて発熱抵抗の温度が変化する。これによる発熱抵抗の変化を出力として取り出し、移動速度の早い順に流入するガスの組成毎の分量をそれぞれ検出する。第1ガス分離部2においては、たとえば移動速度の速い多種類からなるサンプルガスのある特定成分のみを検出するようになっている。検出が終わったガスは第2ガス分離部に設けられた第2分離部貫通孔55等を経て第1排気口41から排出される。
【0029】
一方、注入ブロック1の第2注入口15から流入したサンプルガスとキャリアガスとの混合ガスは、第1ガス分離部2の第1分離部貫通孔29等を経て、第2ガス分離部6の最下面のプレートCの第3プレート孔56へと流れ込む。
第1ガス分離部2と同様に、第2ガス分離部6は注入ブロック1に取付けられたヒータ5により、間接的に加熱されている。第2ガス分離部6のプレートC61及びD62に設けられた第3、第4プレート孔56、59、第3、第4窪み部58、60及び固定相の設けられた溝57をサンプルガスとキャリアガスとが混合した状態で流れていく中、各ガス成分に分離される。
【0030】
多種類からなるサンプルガスは、ガス各ガス成分に分離された状態で、第2ガス分離部6の上面の第2検出室形成部材63に設けられた第2検出室65へと流入する。
分離されたガスは、TCDセンサ73が収納された第2検出室65へと流れ込み、ガスの流れの上部に設けた発熱抵抗を一定の電圧(または一定の電流)で加熱しておくと、ガスの組成が変わったとき、その熱伝導度の変化を受けて発熱抵抗の温度が変化する。これによる発熱抵抗の変化を出力として取り出し、移動速度の早い順に流入するガスの組成毎の分量をそれぞれ検出する。第2ガス分離部6においては、たとえば移動速度の遅い多種類からなるサンプルガスのある特定成分のみを検出するようになっている。検出が終わったガスは排気ブロックに設けられた第2排気口45から排出される。
【0031】
このように本実施の形態1によれば、表面に溝24を有し、溝24の内面に固定相を有するプレートA21、B22を有する第1ガス分離部2と、表面に溝57を有し、溝57の内面に固定相を有するプレートC61、D62を有する第2ガス分離部6と、TCDセンサ36、73からなる第1、2検出器と、第1、2ガス分離部2、6を同時に加熱するヒータ5を有し、プレートA〜D21、22、61、62を同軸方向に積層組み付けたので、第1、2ガス分離部2、6を小型化できると共に、装置全体を小型化することも可能となる。第1、2ガス分離部2、6を小型化できるため、ヒータを1台で済ますと共に加温するための消費電力を大幅に節約することができる。
【0032】
従来のクロマトグラフ装置であると、本実施の形態のように第1、2基板35、71上にセンサを直接設ける構造を採用できるものではなかったので、検出室を独立して形成する必要があり、保持部材等を収容可能なスペースを確保しなくてはならなかったので、本実施の形態の第1、2検出室33、65に相当する箇所が大型化してしまい、第1、2検出室33、65に滞留するガスが多くなるので、検出精度が下がってしまうという問題があった。本実施の形態では第1、2基板35、71上にセンサを直接設け、第1、2基板35、71を用い密閉空間が形成されているので、滞留するガスが少なくなることから、試料が第1、2検出室33、65に流入するとセンサがすぐに反応し、また、第1、2検出室33、65内で対流も起こらないので、検出精度が向上する効果がある。
また、第1及び第2ガス分離部2、6を、第1及び第2検出室形成部材31、63を介して、第1及び第2基板35、71上に設けることができるので、第1及び第2ガス分離部2、6の組み付けが容易になり、更なるコンパクト化を図ることができる。
また、検出試料、用途等に応じてプレート枚数を変更し、流路長さを変更することができるので、設計自由度が高まる効果もある。
【0033】
従来は、細管を用い、カラム内に粉体状の固定相を付着させる場合、振動により粉体を挿入していく方法が採用されていた。内径が0.1〜2mm程度の管を用いていると、内径が小さいため、管内に均一に粉体が挿入されたか確認することができず、カラムを装置に装着した後、実際に装置を動作させないと、固定相の付着状況が確認できないものであったが、本実施の形態1においては、粉体の固定相を採用した場合であっても、目視等により粉体の固定相を均一に設けたことを確認してからボルト締め、熱加工等でガス分離部を組み立てることができるので、詰まり又は固定相が不足するといった不具合が生じることがなく歩留まりが高く、しかも均一に固定相が設けられている精度の高い検出を行うのに適したガスクロマトグラフ装置を提供することができる。
【0034】
本実施の形態では第1及び第2ガス分離部2、6において、溝21、57の形状をTの字の外周を描くような螺旋状と長方形の外周を描く形状の螺旋状としたもの及び正方形の外周を描くような螺旋状の溝及びその外周を平行に蛇行する溝を連続させるものを示したが、十字形状の外周を描くような螺旋状、同心円状の螺旋であってもよく、その形状は、流路を十分長く設けることができればどのような形状であってもよい。また、プレートA〜D21、22、61、62の4種類を用いたものを示したが、プレートを重ねて流路を長くできるのであれば、何種類のプレートを用いたものであってもよい。また、プレートの枚数も適宜変更することも可能である。
【0035】
また、プレートの溝24、57を設ける表面をほぼ3cm四方のものについて説明したが、溝を設けることができれば、1mm〜100mm程度にしてもよく、また表面の形状も四角ではなく、円形、その他どのような形状であってもよい。その表面の形状に合わせ同心状、角形状など流路を長くできるように適宜変更することもできる。プレートの形状及び溝の配置を考慮し、ボルト孔の数、配置等も適宜変更できる。
またプレートA〜Dをステンレスで作成したものについて説明したが、その材質はセラミック、樹脂、溶融石英など分析ガスの用途、プレートサイズなどを考慮し、適宜変更することができる。
【0036】
また第1、第2検出部3、7について、TCDセンサ36、73を用いたものについて説明したが、適宜周知の検出器を用い、分離されたガスの分量を検出することもできる。
注入ブロック1及び排気ブロック4を直方体形状のものに孔を設けた構造のものについて説明したが、第1、2ガス分離部2、6の入口及び出口にリークすることなく流体を供給できるものであればその形状はいかなるものであってもよい。
【0037】
実施の形態2.
本実施の形態1においてはガスクロマトグラフ装置の例を示したが、固定相の組成等を変更した複数の積層板とするサンプル流体分離部とすることにより液体クロマトグラフ装置に用いることもできる。図14に本発明を液体クロマトグラフ装置に適用する場合の概略図を示す。溶離液瓶90内の溶媒をポンプ91にて圧送し、インジェクタ92から試料が注入され、カラム恒温槽93内のカラム94を通過し、記録計97に検出結果を出力する検出器95で検出を終えた試料及び溶媒が廃液タンク96に廃棄されるように構成されている。カラム恒温槽93内に液体クロマトグラフ用の固定相を溝に設けた複数の積層板を有する第1及び第2のカラム94が設けられており、第1及び第2カラム94の入口には溶液及び試料が混合された混合流体を注入する注入部が設けられており、第1及び第2カラム94の積層された複数の板部材が設けられた長い溝を混合流体が通過する間に試料が分離される。第1カラムで分離された試料を第1検出器にて検出すると共に、第2カラムで分離された試料を第2検出器にて検出することにより、実施の形態1と同様に、たとえば移動速度の早い物質を第1検出器で、移動速度の遅い物質を第2検出器で各組成の分量を計測することができる。溶離液瓶、ポンプ、カラム恒温槽、検出器、記録計等は周知の装置を用いればよく、本実施の形態1で示したものと同様にプレートを複数積層し、各板部材の溝を設けた積層板から構成されるサンプル流体分離部を用いれば、サンプル流体分離部であるカラムを小型化できるのでカラム恒温槽、ヒータ及び装置全体を小型化することができる。また、カラム恒温槽を小型化できるので熱容量が小さくなり、消費電力を節減することもできる。
【0038】
実施の形態1と同様にプレートサイズ、プレート形状、プレートの材質、溝の径、溝の形状等を試料に応じて適宜変更することができる。
また、検出器の種類も試料に応じて、周知の検出器を適宜使うこともできる。検出器をカラム恒温槽の外に設けたものについて説明したが、実施の形態1と同様の注入ブロック、排気ブロック等を用い、検出器をカラム近傍に設けカラム恒温槽内に設けるようにしてもよい。
【0039】
実施の形態3.
実施の形態1及び2において、第1及び第2ガス分離部、第1及び第2カラム、第1及び第2検出部等を並列に配置する例を示したが、図15に示すように、第1及び第2分離部を直列にすることもできる。移動速度の遅い物質を第1検出部2で検出し、移動速度の速い物質を第2検出部6で検出することにより、移動速度の速い物質が第1分離部で十分分離されない物質を第2分離部で測定することにより、コンパクトで高性能なクロマトグラフを提供することができる。
また、この実施の形態3においては、第1排気口と第2注入口の間に切替弁を設け、第1検出部で移動速度の遅い物質の検出が終わった後、第2検出部に移動速度の遅い物質が流入しないように切替弁で外部に排出することにより、次の測定をより速やかに行うこともできる。
また、切替弁を設けずに、実施の形態1のように第1及び第2分離貫通孔29、55を用いることなく、注入口、排出口を1つとして、流路変更プレート38内に第1検出部の出口と第2分離部の入口を接続する流路を設け、第1及び第2分離部を直列にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施の形態1を示すガスクロマトグラフの概略図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示すガスクロマトグラフの断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示すガスクロマトグラフの流路を示した図である。
【図4】図1の断面Iを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1を示す第1ガス分離部の分解斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1のプレートAの表面図(a)及び側面断面図(b)である。
【図7】この発明の実施の形態1のプレートBの表面図(a)及び側面断面図(b)である。
【図8】図1の断面IIを示す図である。
【図9】図1の断面IIIを示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1のプレートCの表面図(a)及び側面断面図(b)である。
【図11】この発明の実施の形態1のプレートDの表面図(a)及び側面断面図(b)である。
【図12】図1の断面IVを示す図である。
【図13】図1の断面Vを示す図である。
【図14】この発明の実施の形態2を示す液体クロマトグラフの概略図である。
【図15】この発明の実施の形態3を示すクロマトグラフの概略図である。
【図16】従来例のクロマトグラフの概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 注入ブロック、2 第1ガス分離部、3 第1検出部、4 排気ブロック、5 ヒータ、6 第2ガス分離部、7 第2検出部、11 第1注入口、15 第2注入口、21 プレートA、22 プレートB、24 溝、35 第1基板、36 TCDセンサ、41 第1排気口、45 第2排気口、57 溝、61 プレートC、62 プレートD、73 TCDセンサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合されたサンプル及びキャリア媒体を導入する導入部と、
前記導入部から導入されたサンプルとキャリア媒体とを通す第1分離部と、
前記第1分離部を通過したサンプルを検出する第1検出器と、
前記導入部から導入されたサンプルとキャリア媒体を通す第2分離部と、
前記第2分離部を通過したサンプルを検出する第2検出器と、
前記第1分離部及び第2分離部を同時に加熱するヒータを設けたうえ、
前記第1分離部及び第2分離部を同軸方向に積層組み付けたことを特徴とするクロマトグラフ。
【請求項2】
請求項1に記載のクロマトグラフにおいて、
前記第1分離部及び前記第1検出器が第1基板上に設置されるとともに、前記第2分離部及び前記第2検出器が第2基板上に設置され、前記第1分離部及び第2分離部へ同時に並行してサンプルとキャリア媒体が通過することを特徴とするクロマトグラフ。
【請求項1】
混合されたサンプル及びキャリア媒体を導入する導入部と、
前記導入部から導入されたサンプルとキャリア媒体とを通す第1分離部と、
前記第1分離部を通過したサンプルを検出する第1検出器と、
前記導入部から導入されたサンプルとキャリア媒体を通す第2分離部と、
前記第2分離部を通過したサンプルを検出する第2検出器と、
前記第1分離部及び第2分離部を同時に加熱するヒータを設けたうえ、
前記第1分離部及び第2分離部を同軸方向に積層組み付けたことを特徴とするクロマトグラフ。
【請求項2】
請求項1に記載のクロマトグラフにおいて、
前記第1分離部及び前記第1検出器が第1基板上に設置されるとともに、前記第2分離部及び前記第2検出器が第2基板上に設置され、前記第1分離部及び第2分離部へ同時に並行してサンプルとキャリア媒体が通過することを特徴とするクロマトグラフ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−90813(P2006−90813A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275907(P2004−275907)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
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