説明

グラチラマーアセテートの減量製剤および投与法

再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における再発の頻度を減少させる方法であって、20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールの水性の薬学的溶液0.5mlを患者に投与することを含む方法並びに薬学的溶液の投与を促進するための注射補助装置。

【発明の詳細な説明】
【発明の説明】
【0001】
本出願は、米国特許第12/761,367(2010年4月15日);米国仮出願第61/337,011(2010年1月29日出願);米国仮出願第61/271,340(2009年7月20日出願);および米国仮出願第61/271,009(2009年7月15日出願)、その各々の内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本出願の全体を通して、様々な文献が参照される。これらの参考文献の完全な書誌的事項は、明細書の終わりに記載される。これら文献の開示の全体は、当該発明が属する技術の状況をより完全に記載するために、本明細書中での参照によって本出願に援用される。
【発明の背景】
【0003】
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の慢性で消耗性の疾患であり、神経の衰退および能力障害を発生するに至る再発寛解性(RR)または進行性の経過をたどる。初期診断の際に、RRMSは疾患の最も一般的な形態であり(Noseworthy, 2000)、神経学的な機能不全(再発)の予測不可能な急性の発症により特徴付けられ、そして様々に回復し、臨床上安定する。大多数のRRMS患者は、再発するまたは再発しない二次性の進行性(SP)疾患を最終的に発症する。凡そ15%の患者は、最初から神経学的な機能の持続的な衰退を発生し; この形態は二次性の進行性(PP)MSと称される。また、単一の臨床事象(Clinically Isolated Syndromeまたは「CIS」)を経験した患者および続く磁気共鳴映像法(MRI)スキャンで病巣部の広がりを示す患者は、マクドナルド判定基準にしたがい再発性MSを有すると考えられる(EMEAガイドライン、2006)。
【0004】
軸索のダメージおよび関連する炎症はMSの特徴であり、疾患の経過の早期に発生しうるとの証拠が蓄積しており、これらの証拠は病態生理学、病理学、臨床的なおよびMRIの研究からえられた。MSが発生するには複数の要因が集まって存在していなければならないと考えられ、この要因には遺伝的な素因、免疫の調節不全および一又はそれ以上の環境因子があげられる。有病率は全世界でかなり変動しているが、MSは若い成人の慢性の神経学的な能力障害の最も一般的な原因である(Bjartmar, 2002; Fleming, 2002)。アンダーソン等は、1990年には医師がMSと診断した約350,000の患者が存在したと推測した(約140/100,000集団)(Anderson, 1992)。約2500000の個体が全世界で影響されると推測される(Compston, 2006)。一般に、全世界でMSの有病率および発生率が増加する傾向があるが、この傾向の理由が何であるかは完全に理解されていない(Anderson, 1992)。
【0005】
現行の治療アプローチは、i)対症療法、ii)コルチコステロイドでの急性の再発の治療、およびiii)疾患の経過を変更するための治療からなる。現在承認された療法は、疾患の炎症プロセスを標的としている。その多くは免疫モジュレーターとして作用すると考えられるが、それらの作用の機構は完全には解明されていない。また、免疫抑制剤または細胞傷害剤も従来療法が失敗した後に幾人かの患者で使用された。
【0006】
グラチラマーアセテート注射
グラチラマーアセテート(GA)はCopaxone(登録商標)における作用物質であり、RRMSの患者において再発の頻度を減少させることが示された市販の製品である。グラチラマーアセテートは、四つの天然アミノ酸であるL-グルタミン酸、L-アラニン、L-チロシンおよびL-リジンを含む合成ポリペプチドの酢酸塩からなる。グラチラマーアセテートの平均モル重量は、5,000〜9,000ダルトンである。市販の製品であるCopaxone(登録商標)は、注射用の1.0mlの水に20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールを含む。
【0007】
広範に研究されたにもかかわらず、ヒトにおけるGAの作用機序は、不確かなままであり、幾つかの最近の総説の記事の対象として記載されている(Arnon, 2007; Ruggiere, 2007; Weber, 2007; Ziemssen, 2007)。この四十年で蓄積された前臨床および臨床薬理学のデータに基づくと、GAの作用機序は、MSを生じさせる主な病理学的な機構、即ち、消炎、再ミエリン化および神経保護(軸索欠損の予防)に対処することであると思われる(Dhib-Jalbut, 2003)。
【0008】
現在利用可能なデータは、GAが、皮下(sc)注射後にリンパ節における抗原提示細胞のHLAクラスII(DR)に結合することを示唆している。結果的に、GAは、ミエリン反応性のT細胞の活性化をブロックする、またはこれらの細胞をアネルギーにできる。加えて、GAは、血液脳関門(BBB)を横断し、ミエリン抗原の交叉認識の結果として傍観者抑制(bystander suppression)を生じるGA特異的なTh2細胞を誘導する。これらの細胞は、抗炎症性サイトカインと同様に神経栄養因子の双方を分泌し、抗炎症機能および神経保護機能の双方を誘導する(Dhib-Jalbut, 2002)。
【0009】
GAでの臨床上の知見は、完了した臨床試験および進行中の臨床試験からおよび市販後の経験から得られた情報からなる。臨床プログラムには、GA 20mg/日により治療されたRRMSの対象における三つの二重盲検プラセボ対照試験が含まれる(Bornstein, 1987; Comi, 2001; Johnson, 1998)。プラセボと比べた再発数における有意な減少が認められた。最大の対照試験において、再発割合は、プラセボでの1.98からGA 20mgでの1.34に32%減少した。また、GA 20mgは、RRMSに関連するMRIパラメータにおいてプラセボと比べて有益な効果を示した。9か月間の治療に対するGd増強病巣の中間的な累積数に有意な効果(プラセボでの17病巣と比べて20mg群で11病巣)が示された。
【0010】
また、GAでの臨床プログラムには、慢性で進行性のMS対象における二重盲検試験での一試験(Bornstein, 1991)、一次性で進行性の患者における二重盲検プラセボ対照試験での一試験(Wolinsky, 2007)、CIS患者における二重盲検プラセボ対照試験での一試験(Comi, 2008; Stark, 2009)および主にRRMSにおける多数のオープンラベルおよびコンパッショネートユース(compassionate use)試験が含まれる。GAの臨床での使用は、広範に再検討されており、現在公開されている文献に記載された(Tselis, 2007; Wolinsky, 2006; Comi, 2008; Comi, 2008)。
【0011】
GAに関する臨床試験で蓄積された安全性に関するデータは、製剤が安全で良好な耐容性を有することを示している。しかしながら、一又はそれ以上の血管拡張、胸痛、呼吸困難、動悸または頻脈の症状からなる即時型注射後反応(IPIR: Immediate Post-Injection Reaction)と称される反応が、GAの患者(31%)対プラセボ(13%)の試験で報告された。GA 20mgで治療された患者で報告されたプラセボよりも少なくとも2%高い発生率の付加的な副作用は、疼痛、悪心、不安(anxiety)、発疹、背痛、悪寒、顔の浮腫、局所性の反応、リンパ節腫脹、嘔吐、体重の増加、振戦、皮膚の障害、眼の障害、膣カンジダ症および注射部位の萎縮であった。
【0012】
全ての臨床試験において、注射部位反応は最も頻繁に生じる副作用であることが認めらており、GAで処理された患者の大多数で報告された。対照試験において、少なくとも一回のこれらの反応を報告する患者の比率は、プラセボ注射(37%)よりもGA (70%)での治療後に高かった。GA処理した患者とプラセボ処理した患者とで頻繁に報告された最も共通して報告された注射部位反応は、紅斑、疼痛、集塊(mass)、そう痒症、浮腫、炎症および過敏症である。
【0013】
遵守を促進するために注射部位反応の数および/または重症度を減少させることおよび患者のクオリティオブライフを改善することは、GA治療に残された課題である。しかしながら、ペプチドから構成され、作用機序が理解されていない製剤に関して、何らかの修飾的な効果は容易に予測できなかった。製剤の修飾は有効性に影響し、この影響は予測不可能である。注射容量の制限下で指示された用量への要求に応じるために、ポリペプチド薬は、高濃度で送達される必要がある。これが単独では、例えば、「難溶性(sparingly soluble)」と記載されるグラチラマーアセテートなどの低溶解性のペプチドで対処する場合に重要な問題である(Product Monograph, 2009)。さらにまた、濃縮されたポリペプチド溶液は、さらなる問題を生じる傾向がある。このような製剤は、短い貯蔵寿命、容認できない濁度、pHの変化、加水分解および凝集(可逆的および不可逆的の双方)を含む化学的な分解および粘性の増加を生じ; これらの全てが潜在的に貯蔵寿命およびバイオアベイラビリティーを減少させる(Shire, 2004)。
【0014】
皮下注射による薬投与によって、皮膚下の間質領域への薬送達がなされる。間質空間(interstitial space)の液体環境は基本的には血漿環境であるが、構成するタンパク質は低濃度で存在する。この生理媒体は、濃縮ペプチド薬の溶解特性と矛盾する可能性がある(Kansara, 2009)。注射後に、送達した薬と間質環境との相互作用は、ペプチドの吸収パターンに影響する。製剤の特性、特に濃度、注射容量およびpHは、拡散割合および患者による吸収に影響する。間質組織(interstitium)はコラーゲンおよびグリコサミノグリカンの線維性マトリックスを含むので、薬の拡散性および透過性への障壁として作用する。結果的に、濃縮型で間質空間に送達される薬物は、注射部位での酵素での分解、間質液における沈殿および/または凝集、およびエンドサイトーシス/ファゴサイトーシス機構に感受性である可能性がある(Kansara, 2009)。従って、ペプチド製剤、例えば、グラチラマーアセテートに関して、何らかの修飾が注射部位反応の数および重症度を効率的に減少でき、なおも治療上の有効性を実質的に維持するかどうかを決定するための臨床試験が必要とされる。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における再発の頻度を減少させるための方法を提供し、該方法は20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを溶液中に含む水性の薬学的溶液の0.5mlを皮下注射で患者に投与することを含む。
【0016】
また、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症の少なくとも一つの病巣を有するヒト患者における再発の頻度を減少させるための方法を提供し、該方法は20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを溶液中に含む水性の薬学的溶液の0.5mlを皮下注射で患者に投与することを含む。
【0017】
また、本発明は、以下を含む注射補助装置も提供する:
逆に配置された第一および第二の開口部を有する第一の内部腔を有する第一の外殻および
前記第一の外殻に可動且つ除去可能に連結可能な第二の外殻、前記第二の外殻は、前記第一の外殻の第二の開口部に向け配向された少なくとも第一の開口部を有する第二の内部腔を有する;
注射を開始するように構成されたボタン;
前記第二の組立て部と前記第一の組立て部の間で既定の圧縮力の非存在下での注射の開始を阻止するように構成された注射ロック部材;
注射中に少なくとも一つの第一および第二の腔内に配置されたシリンジに適用される既定量の注射エネルギー(injection energy)を吸収及び保持するように構成された注射エネルギー保存部材;
前記シリンジ内から既定量の内容物を排出(displace)するように、注射の開始に際して、前記シリンジに注射エネルギーを適用するように構成された注射アクチュエータ(injection actuator);
前記注射ロック部材がロックされた状態か否かを使用者に示すように構成された注射ロックインジケーター(injection lock indicator);
既定量の内容物がシリンジ内から排出されたときに使用者に示すように構成された注射完了インジケーター;および以下の何れか、
i) 前記注射完了インジケーターに使用者の注意を向けるように構成された注意ディレクター(attention director)、
ii) 第二の外殻よりも軟らかい物質から形成され、前記第二の外殻の外面に配置された外側グリップ部材;および前記外側グリップ部材とヒトの手との間の摩擦を増加させるように外側グリップ部材の外面に形成された隆起部(ridges)、または
iii) 前記注射ロックインジケーターの色は少なくとも一つの前記第一の外殻および前記第二の外殻の色と実質的に対比(contrast)するように構成され、前記注射ロックインジケーターは前記第二の外殻および前記第一の外殻の間の既定量の圧縮力の存在下で使用者の視界からの実質的に遮蔽されるように構成される。
【0018】
本発明は、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液で事前に充填されたシリンジを提供する。
【0019】
また、本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS: relapsing, remitting multiple sclerosis)を患うヒト患者における再発の頻度の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含む0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0020】
さらに、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症の少なくとも一つの病巣を有するヒト患者における再発の頻度の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0021】
また、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、臨床上明確な多発性硬化症(CDMS: clinically definite multiple sclerosis)を発症するリスクが高いヒト患者における再発の頻度の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0022】
本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症に特徴的な少なくとも二つの臨床上無症候性のMRI病巣を有するヒト患者における再発の頻度の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0023】
さらに、本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者を治療するための医薬の製造における溶液中に20mg グラチラマーアセテート および 20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0024】
なおさらに、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症の少なくとも一つの病巣を有するヒト患者を治療するための医薬の製造における溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0025】
また、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、臨床上明確な多発性硬化症(CDMS)が発症するリスクが高いと決定されたヒト患者の治療に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0026】
本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症に特徴的な少なくとも二つの臨床上無症候性のMRI病巣を有するヒト患者を治療するための医薬の製造における溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0027】
本発明は、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者の治療に使用する薬学的組成物を提供する。
【0028】
また、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症の少なくとも一つの病巣を有するヒト患者の治療に使用するための、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む薬学的組成物を提供する。
【0029】
本発明は、再発型の多発性硬化症を罹患している患者を治療する方法を提供し、該方法は、皮下注射により20mg用量の薬学的組成物を前記患者に定期的に投与することを含み、前記皮下注射は自動注射(automatic injection)で送達され、前記薬学的組成物は0.5mlの溶液中に20mgのグラチラマーアセテートを含み、これにより前記患者が治療される。
【0030】
本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における臨床症状悪化の頻度の減少にまたは活動的なMRIの脳病巣の数および体積の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含む0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0031】
また、本発明は、単一の脱髄事象を経験したヒト患者および臨床上明確な多発性硬化症を発症するリスクがあると考えられるヒト患者における臨床上明確な多発性硬化症の開始の遅延または活動的なMRIの脳病巣の数および体積の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0032】
本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における臨床症状悪化の頻度を減少させるまたは活動的なMRIの脳病巣の数および体積を減少させるための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0033】
また、本発明は、単一の脱髄事象を経験したヒト患者および臨床上明確な多発性硬化症を発症するリスクがあると考えられるヒト患者における臨床上明確な多発性硬化症の開始の遅延または活動的なMRIの脳病巣の数および体積の減少化のための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0034】
本発明は、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者の治療に使用する薬学的組成物を提供する。
【0035】
本発明は、単一の脱髄事象を経験したヒト患者および臨床上明確な多発性硬化症を発症するリスクがあると考えられるヒト患者の治療に使用するための、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む薬学的組成物を提供する。
【0036】
また、本発明は、以下を含む注射補助装置も提供する:
逆に配置された第一および第二の開口部を有する第一の内部腔を有する第一の外殻、および前記第一の外殻に可動且つ除去可能に連結可能な第二の外殻、前記第二の外殻は、前記第一の外殻の第二の開口部に向け配向された少なくとも第一の開口部を有する第二の内部腔を有する;
注射を開始するように構成されたボタン;
前記第二の組立て部と前記第一の組立て部の間で既定の圧縮力の非存在下での注射の開始を阻止するように構成された注射ロック部材;
注射中に少なくとも一つの第一および第二の腔内に配置されたシリンジに適用される既定量の注射エネルギー(injection energy)を吸収及び保持するように構成された注射エネルギー保存部材;
前記シリンジ内から既定量の内容物を排出(displace)するように、注射の開始に際して、前記シリンジに注射エネルギーを適用するように構成された注射アクチュエータ(injection actuator);
注射ロック部材がロックされた状態にあるか否かを使用者に示すように構成され、前記第一の外殻および前記第二の外殻の双方の色と実質的に対比されるように構成され、前記第二の外殻および前記第一の外殻の間の既定量の圧縮力の存在下で使用者の視界から実質的に遮蔽されるように構成された注射ロックインジケーター;
既定量の内容物がシリンジ内から排出されたときに使用者に示すように構成された注射完了インジケーター。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ITT集団に関する即時のVAS総スコアの毎日の総プロット。
【図2】PP集団に関する即時のVAS総スコアの毎日の総プロット。
【図3】ITT集団に関する5分間でのVAS総スコアの毎日の総プロット。
【図4A】図4(A-D)は、ITT集団に関する毎日の5分間のLISRスコアの平均をプロットした図であり、腫脹(A)、発赤(B)、そう痒(C)および塊(D)は、試験の間のLISRと考えられる4つの症状であった。
【図4B】図4(A-D)は、ITT集団に関する毎日の5分間のLISRスコアの平均をプロットした図であり、腫脹(A)、発赤(B)、そう痒(C)および塊(D)は、試験の間のLISRと考えられる4つの症状であった。
【図4C】図4(A-D)は、ITT集団に関する毎日の5分間のLISRスコアの平均をプロットした図であり、腫脹(A)、発赤(B)、そう痒(C)および塊(D)は、試験の間のLISRと考えられる4つの症状であった。
【図4D】図4(A-D)は、ITT集団に関する毎日の5分間のLISRスコアの平均をプロットした図であり、腫脹(A)、発赤(B)、そう痒(C)および塊(D)は、試験の間のLISRと考えられる4つの症状であった。
【図5A】図5(A-D)は、ITT集団に関する毎日の24時間でのLISRスコアの平均をプロットした図であり、腫脹(A)、発赤(B)、そう痒(C)および塊(D)は、試験の間のLISRと考えられる4つの症状であった。
【図5B】図5(A-D)は、ITT集団に関する毎日の24時間でのLISRスコアの平均をプロットした図であり、腫脹(A)、発赤(B)、そう痒(C)および塊(D)は、試験の間のLISRと考えられる4つの症状であった。
【図5C】図5(A-D)は、ITT集団に関する毎日の24時間でのLISRスコアの平均をプロットした図であり、腫脹(A)、発赤(B)、そう痒(C)および塊(D)は、試験の間のLISRと考えられる4つの症状であった。
【図5D】図5(A-D)は、ITT集団に関する毎日の24時間でのLISRスコアの平均をプロットした図であり、腫脹(A)、発赤(B)、そう痒(C)および塊(D)は、試験の間のLISRと考えられる4つの症状であった。
【図6】本出願の明細書等に開示された注射補助装置の例示的な態様の分解図。
【0038】
601 - 注射を開始するように構成された発射ボタン/ボタン。
【0039】
602 - 三角形/注意ディレクター。
【0040】
603 - インジケーターウィンドウ/注射完了インジケーター。
【0041】
604 - バンド/注射ロックインジケーター。
【0042】
605 - バンド/環部材(Ring member)。
【0043】
606 - プランジャー/注射アクチュエータ。
【0044】
607 - シリンジハウジング/第一の外殻。
【0045】
608 - 深さ調整器/針貫通深さ調整部材(needle penetration depth adjustment member)。
【0046】
609 - キャップ除去器/シリンジ針キャップ除去部材(syringe needle cap remover member)。
【0047】
610 - 注射器本体(Injection body)/第二の外殻。
【0048】
611 - 固定針シリンジ。
【0049】
612 - 針キャップ。
【図7】本出願の明細書等に開示された注射補助装置の例示的な態様の透視図。
【0050】
701 - 注射を開始するように構成された発射ボタン/ボタン。
【0051】
702 - 注射器本体/第二の外殻。
【0052】
703 - 注意ディレクター。
【0053】
704 - インジケーターウィンドウ/注射ロックインジケーター。
【0054】
705 - シリンジハウジング/第一の外殻。
【0055】
706 - 針貫通深さ調整部材。
【0056】
707 - シリンジ針キャップ除去部材。
【0057】
708 - 観察窓
【図8A】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8B】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8C】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8D】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8E】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8F】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8G】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8H】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8I】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8J】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8K】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8L】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8M】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8N】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8O】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8P】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8Q】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【図8R】図8A-8Rは、注射補助装置の使用のための説明書である。
【0058】
工程1: 深さ調整
装置が装填されるまたは使用される前になさなければならない正しい針の深さ調整の決定。
【0059】
例えば、針が貫通する深さを6 mmに設定し、キャップ除去器が深さ調整器に完全に取り付けられたことを最初に検証する(図8A)。目盛り6がシリンジハウジングの終端部と水平になるまで(図8C)、キャップ除去器を用いて深さ調整器をひねる(図8B)。深さ調整器に示される数字が低いと、注射の深さが浅くなる。より深く注射する設定のためには高い数字またはより浅く注射する設定のためには低い数字に深さ調整器を捻ることにより調整することができる。
【0060】
工程2: 注射補助装置の装填。
【0061】
注射器本体からシリンジハウジングをゆるめ(図8D)、キャップ除去器が深さ調整器の内側に取り付けたままであることを確認する。注射器本体を片手で持ち、発射ボタンに触れていないことを確かめる。シリンジハウジングを持ち、取り付けられたキャップ除去器を図8Eに示されたように、注射器本体におけるプランジャーに対しプランジャーが注射器本体の内側の所定の位置にロックされるまで押し込む(図8F)。
【0062】
シリンジハウジングを、図8Gに示すように平らな表面(例えば、テーブル)に対してキャップ除去器で直立させて保持する。前記キャップ除去器が、深さ調整器に最後まで挿入されたままで残されていることを確かめる。
【0063】
紙ラベルを剥がして保護ブリスター包装からシリンジを取り出す。使用前にシリンジ中の液体を観察する。液体が混濁しているまたは何らかの粒子を含む場合には使用しない。液体が透明である場合に、シリンジを清潔で平らな面に配置する。
【0064】
針キャップがついているシリンジを針側の端を最初にシリンジハウジングに挿入(図8H)し、シリンジをシリンジハウジングにシリンジがカチッと嵌るまで確実に押し下げる(図8I)。
【0065】
発射ボタンに触れないように注意して、シリンジハウジングおよび注射器本体を共に捻る(図8J)。
【0066】
工程3: 前記装置の注射の準備
注射を行う準備が完了したら、注射器本体を持ち、キャップ除去器を前記装置から捻らずに確実に取り出して針キャップを除去する(図8K)。キャップ除去器は、針キャップを内側にともなってシリンジハウジングから出てくる(図8L)。
【0067】
キャップ除去器を上下反対に回転して、針キャップを排出する(図8M)。針キャップは、透明プラスチック製の外側部分で被覆されたゴム製の内側部分の二つの部分を有する。キャップがキャップ除去器から落下した際に、針キャップの両方の部分が無傷(intact)であることを確認する。針キャップの両方の部分が除去されていない場合に、シリンジハウジングおよび注射器本体をゆるめて、シリンジを除去し、新しいシリンジで工程2から始める。
【0068】
針キャップを処分する。深さ調整器が正しい位置に存在しているかを再び点検する。将来使用するためにキャップ除去器を保存する。
【0069】
工程4: 薬の注射
身体上の注射部位を選択し、新しいアルコールプレップ(alcohol prep)で注射部位を清潔にし、その部位をヒリヒリ感が減少するまで風乾する。
【0070】
注射の準備ができたときに、注射器本体で前記装置を保持する。発射ボタンには触れない。インジケーターウィンドウが可視であることを確認する。注射器を注射部位へと優しく押すことにより注射の準備が完了した部位に対し前記装置の先端を配置する(図8N)。
【0071】
偶発的に注射されることを防ぐため、前記装置は安全装置を有する。注射が送達される前に注射ロックを指示するバンドが隠れるように、注射器本体の矢印の先端で示される方向に注射部位に向けて注射器本体をスライドしなければならない(図8O)。しかし、注射部位に過剰な力がかかることは避ける。
【0072】
注射ロックを指示するバンドが隠れている場合(図8P)には、前記装置は注射を送達する準備が完了している。注射ロックを指示するバンドが見えている場合に、前記装置は注射をしない(図8N)。
【0073】
発射ボタンを押して、インジケーターウィンドウを観察する(図8Q)。注射が完了するまで、継続して前記装置の先端を皮膚に対し穏やかに保持する。シリンジの内容物が自動的に注射される間に発射ボタンを離していてもよい。
【0074】
注射完了を指示するマークがインジケーターウィンドウ中で変化しないままである場合に注射は完了する、この間に約10秒間かかる(図8R)。注射が完了するまで、注射部位から前記装置を離さない。注射完了を指示するマークがインジケーターウィンドウに現れることを確認することにより、総量がシリンジから送達されたことが常に保証される。
【0075】
注射部位に乾いた綿を数秒間押し付け、注射部位を摩擦しない。
【0076】
工程 5: シリンジの除去および処分
使用後、注射器本体からシリンジハウジングをゆるめて、二つをゆっくりと分離する。シリンジハウジングを安全な硬い壁の容器の開いた上部領域上で保持し、シリンジハウジングを反転してシリンジを硬い壁の容器に直接落下させる。
【0077】
工程 6: 注射補助装置の清浄
毎回使用後に、前記装置の構成要素の外部およびシリンジ ハウジングの内部を清潔な湿った布またはアルコールワイプで拭くことにより清潔にすべきである。前記装置を水に浸漬しない。
【0078】
工程 7: 注射補助装置の安全な保存
シリンジハウジングおよび注射器本体を共に捻る。キャップ除去器を深さ調整器に再挿入する。装置を提供されたナイロン袋に安全に保存する。
【発明の詳細な記載】
【0079】
本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における再発の頻度を減少させる方法を提供し、該方法は20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを溶液中に含む水性の薬学的溶液の0.5mlを患者に皮下注射で投与することを含む。
【0080】
また、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症の少なくとも一つの病巣を有するヒト患者における再発の頻度を減少させる方法を提供し、該方法は20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを溶液中に含む水性の薬学的溶液の0.5mlを患者に皮下注射で投与することを含む。
【0081】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、水性の薬学的溶液のpHは5.5 〜7.0である。
【0082】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、20mg のグラチラマーアセテートは、0.5mlの水性の薬学的溶液中でポリペプチド凝集物を形成しない。
【0083】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、20mgのグラチラマーアセテートは、注射後の皮下環境において沈殿しない。
【0084】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、20mgのグラチラマーアセテートは、皮下注射後に患者により吸収される。
【0085】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、0.5mlの溶液における20mgのグラチラマーアセテートは、少なくとも1mlの溶液における20mg のグラチラマーアセテートと同程度容易に患者に吸収される。
【0086】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、0.5mlの溶液における20mgのグラチラマーアセテートは、血管拡張剤と共に注射される。
【0087】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、0.5mlの溶液における20mg のグラチラマーアセテートは、血管収縮剤と共に注射される。
【0088】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、0.5mlの溶液における20mgのグラチラマーアセテートは、細胞外マトリックス修飾酵素(extracellular matrix-modifying enzyme)と共に注射される。
【0089】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、皮下注射は、腕の上背部、臍の周囲2インチの領域の外側の胃領域、殿部の上部外側後部四分円部位(upper outer-rear quadrant)、または膝上2インチ且つ鼠径部下2インチの大腿の前面且つ外側の領域に投与される。
【0090】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、皮下注射に関連する疼痛は、20mgグラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液の皮下注射に関連する疼痛と比べて減少する。
【0091】
開示された方法の態様において、疼痛は、注射後直ちに行われる視覚的なアナログスケール(VAS)において患者が報告した注射痛の総評点である。
【0092】
開示された方法の更なる態様において、患者が報告した注射痛の総評点は、約27%減少する。
【0093】
開示された方法の別の態様において、疼痛は、皮下注射後5分間で経験する視覚的なアナログスケール(VAS)において患者が報告した注射痛の総評点である。
【0094】
開示された方法の更なる態様において、皮下注射後5分間で経験する患者が報告した注射痛の総評点は、約31%減少する。
【0095】
開示された方法の別の態様において、疼痛は、皮下注射後の即時の疼痛の存在である。
【0096】
開示された方法のなお別の態様において、即時の疼痛の存在は、約19%減少する。
【0097】
開示された方法の態様において、疼痛は、皮下注射後5分間に存在する疼痛である。
【0098】
開示された方法の付加的な態様において、皮下注射後5分間に存在する疼痛は、約19%減少する。
【0099】
開示された方法のなお別の態様において、局所注射部位反応(LISRs: Local Injection Site Reactions)の総数または総重症度(total severity)は、20mgグラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液の皮下注射と関連するLISRの総数または総重症度と比べて減少する。
【0100】
開示された方法の更なる態様において、皮下注射後5分間の局所注射部位反応(LISRs)の総数または総重症度は、減少する。
【0101】
開示された方法のなお更なる態様において、皮下注射後5分間の局所注射部位反応(LISRs)の総数は、約24%減少する。
【0102】
開示された方法の付加的な態様において、皮下注射後5分間の局所注射部位反応(LISRs)の総重症度は、約29%減少する。
【0103】
開示された方法の態様において、グラチラマーの皮下注射後24時間の局所注射部位反応(LISRs)の総数または総重症度は、減少する。
【0104】
開示された方法の別の態様において、皮下注射後24時間の局所注射部位反応(LISRs)の総数は、約23%減少する。
【0105】
開示された方法のなお別の態様において、皮下注射後24時間の局所注射部位反応(LISRs)の総重症度は、約25%減少する。
【0106】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、毎日の5分間での局所注射部位反応(LISR: Local Injection Site Reaction)スコアは、20mgグラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0ml の水性の薬学的溶液の皮下注射と関連する毎日の5分間でのLISRスコアと比べて減少する。
【0107】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると毎日の24時間での局所注射部位反応(LISR: Local Injection Site Reaction)スコアは、20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液の皮下注射と関連する毎日の24時間でのLISRスコアと比べて減少する。
【0108】
開示された方法の付加的な態様において、局所注射部位反応(LISRs)は、発赤、そう痒および塊(lump)の形成を含む。
【0109】
開示された方法のなお別の態様において、注射後5分間の局所注射部位反応 (LISRs)がないことを報告した患者のパーセントは、20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液の皮下注射後5分間にLISRsがないことを報告した患者のパーセントと比べて増加する。
【0110】
開示された方法の更なる態様において、局所注射部位反応(LISRs)がないことを報告した患者のパーセントは、3倍増加する。
【0111】
開示された方法の態様において、注射後24時間の局所注射部位反応(LISRs)がないことを報告した患者のパーセントは、20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液の皮下注射後24時間にLISRsがないことを報告した患者のパーセントと比べて増加する。
【0112】
開示された方法の付加的な態様において、局所注射部位反応(LISRs)がないことを報告した患者のパーセントは、約50%増加する。
【0113】
本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、0.5mlの水性の薬学的溶液は、事前に充填されたシリンジ中に存在する。
【0114】
開示された方法のなお別の態様において、投与は、事前に充填されたシリンジを含む自動化皮下注射装置並びに皮下注射を開始するための手段、皮下注射を完了するための手段および0.5mlの水性の薬学的溶液の皮下注射が完了したことを使用者に示すための手段による。
【0115】
開示された方法の更なる態様において、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における再発の頻度の減少において、20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液と少なくとも同程度有効である。
【0116】
また、本発明は、以下を含む注射補助装置も提供する:
逆に配置された第一および第二の開口部を有する第一の内部腔を有する第一の外殻および
前記第一の外殻に可動且つ除去可能に連結可能な第二の外殻、前記第二の外殻は、前記第一の外殻の第二の開口部に向け配向された少なくとも第一の開口部を有する第二の内部腔を有する;
注射を開始するように構成されたボタン;
前記第二の組立て部と前記第一の組立て部の間で既定の圧縮力の非存在下で注射の開始を阻止するように構成された注射ロック部材;
注射中に少なくとも一つの第一および第二の腔内に配置されたシリンジに適用される既定量の注射エネルギー(injection energy)を吸収及び保持するように構成された注射エネルギー保存部材;
前記シリンジ内から既定量の内容物を排出(displace)するように、注射の開始に際して、前記シリンジに注射エネルギーを適用するように構成された注射アクチュエータ(injection actuator);
前記注射ロック部材がロックされた状態か否かを使用者に示すように構成された注射ロックインジケーター(injection lock indicator);
既定量の内容物がシリンジ内から排出されたときに使用者に示すように構成された注射完了インジケーター;および以下の何れか、
i) 前記注射完了インジケーターに使用者の注意を向けるように構成された注意ディレクター(attention director)、
ii) 第二の外殻よりも軟らかい物質から形成され、前記第二の外殻の外面に配置された外側グリップ部材;および前記外側グリップ部材とヒトの手との間の摩擦を増加させるように外側グリップ部材の外面に形成された隆起部(ridges)、または
iii) 注射ロックインジケーターの色は少なくとも一つの前記第一の外殻および前記第二の外殻の色と実質的に対比するように構成され、前記注射ロックインジケーターは前記第二の外殻および前記第一の外殻の間の既定量の圧縮力の存在下で使用者の視界から実質的に遮蔽されるように構成される。
【0117】
開示された装置の付加的な態様において、前記注射補助装置は、さらに以下を含む:
少なくとも既定量の注射エネルギーが注射エネルギー保存部材に保存されたかどうかを使用者に示すように構成された注射力貯蔵インジケーター(injection force storage indicator)。
【0118】
開示された装置の別の態様において、前記注射補助装置は、さらに以下を含む:
第二の外殻よりも軟らかい物質から形成され、第二の外殻の外面に配置された外側グリップ部材;および
前記外側グリップ部材とヒトの手との間の摩擦を増加させるように外側グリップ部材の外面に形成された隆起部(ridges)。
【0119】
開示された装置のなお別の態様において、注射ロックインジケーターの色は、少なくとも一つの前記第一の外殻および前記第二の外殻の色と実質的に対比(contrast)するように構成される、
前記注射ロックインジケーターは、前記第二の外殻および前記第一の外殻の間の既定量の圧縮力の存在下で使用者の視界からの実質的に遮蔽されるように構成される。
【0120】
開示された装置の更なる一態様において、注意ディレクターの色は、近くに配置された構成要素の色と実質的に対比されるように構成される、
注意ディレクターの形は、前記注射完了インジケーターに使用者の注意を向けるように構成される。
【0121】
本発明は、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。本出願の明細書等に開示された方法の態様によると、20mgのグラチラマーアセテートは、0.5mlの水性の薬学的溶液中でポリペプチド凝集物を形成しない。付加的な態様において、水性の薬学的溶液は、5.5-7.0のpHを有する。別の態様において、水性の薬学的溶液は、事前に充填されたシリンジ中に存在する。
【0122】
また、本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における再発の頻度の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含む0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0123】
さらに、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症の少なくとも一つの病巣を有するヒト患者における再発の頻度の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0124】
また、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、臨床上明確な多発性硬化症(CDMS: clinically definite multiple sclerosis)を発症するリスクが高いと決定されたヒト患者における再発の頻度の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0125】
本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症に特徴的な少なくとも二つの臨床上無症候性のMRI病巣を有するヒト患者における再発の頻度の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0126】
さらに、本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者を治療するための医薬の製造における溶液中に20mg グラチラマーアセテート および20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0127】
なおさらに、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症の少なくとも一つの病巣を有するヒト患者を治療するための医薬の製造における溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0128】
また、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、臨床上明確な多発性硬化症(CDMS)を発症するリスクが高いと決定されたヒト患者の治療に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0129】
本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症に特徴的な少なくとも二つの臨床上無症候性のMRI病巣を有するヒト患者を治療するための医薬の製造における溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0130】
本発明は、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者の治療に使用する薬学的組成物を提供する。
【0131】
また、本発明は、多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症の少なくとも一つの病巣を有するヒト患者の治療に使用するための、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む薬学的組成物を提供する。
【0132】
本発明は、再発型の多発性硬化症を罹患している患者を治療する方法を提供し、該方法は、皮下注射により20mg用量の薬学的組成物を前記患者に定期的に投与することを含み、前記皮下注射は自動注射(automatic injection)で送達され、前記薬学的組成物は20mgのグラチラマーアセテートを0.5mlの溶液に含み、これにより前記患者が治療される。
【0133】
開示された方法の態様において、0.5mlの溶液における20mg グラチラマーアセテートの注射は、1mlの溶液における20mgのグラチラマーアセテートの注射と同程度に有効である。
【0134】
開示された方法の別の態様において、0.5mlの溶液における20mg グラチラマーアセテートは、1mlの溶液における20mgのグラチラマーアセテートのpHと均等(equivalent)なpHを有する。
【0135】
開示された方法のなお別の態様において、20mgのグラチラマーアセテートは、0.5mlの溶液において完全に可溶性である。
【0136】
本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における臨床症状悪化の頻度の減少にまたは活動的なMRI脳病巣の数および体積の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含む0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0137】
また、本発明は、単一の脱髄事象を経験したヒト患者および臨床上明確な多発性硬化症を発症するリスクがあると考えられるヒト患者における臨床上明確な多発性硬化症の開始の遅延または活動的なMRIの脳病巣の数および体積の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を提供する。
【0138】
本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における臨床症状悪化の頻度を減少させるまたは活動的なMRIの脳病巣の数および体積を減少させるための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0139】
また、本発明は、単一の脱髄事象を経験したヒト患者および臨床上明確な多発性硬化症を発症するリスクがあると考えられるヒト患者における臨床上明確な多発性硬化症の開始の遅延または活動的なMRIの脳病巣の数および体積の減少化のための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用を提供する。
【0140】
本発明は、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者の治療に使用する薬学的組成物を提供する。
【0141】
本発明は、単一の脱髄事象を経験したヒト患者および臨床上明確な多発性硬化症を発症するリスクがあると考えられるヒト患者の治療に使用するための、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む薬学的組成物を提供する。
【0142】
本出願の明細書等に開示される使用、単位用量または薬学的組成物の態様は、皮下注射に適用され、皮下注射後に20mg のグラチラマーアセテートが患者により吸収される。
【0143】
本出願の明細書等に開示される使用、単位用量または薬学的組成物の別の態様は、腕の上背部、臍の周囲2インチの領域の外側の胃領域、殿部の上部外側後部四分円部位(upper outer-rear quadrant)、または膝上2インチ且つ鼠径部下2インチの大腿の前面且つ外側の領域への皮下注射に適用される。
【0144】
注射補助装置
注射補助装置の機械的な作用は、本出願の明細書等に参照によって援用される欧州特許出願公開第 EP0693946における開示にしたがって構成できる。
【0145】
前記装置は、本出願の明細書等に開示された注射補助装置の例示の態様を示す図6 および 7を参照して以下に詳細に記載される。
【0146】
本発明は、以下を含む注射補助装置を提供する:
逆に配置された第一および第二の開口部を有する第一の内部腔を有する第一の外殻(607)および
前記第一の外殻に可動且つ除去可能に連結可能な第二の外殻(610)、前記第二の外殻は、前記第一の外殻の第二の開口部に向け配向された少なくとも第一の開口部を有する第二の内部腔を有する;
注射を開始するように構成されたボタン(601);
前記第二の組立て部と前記第一の組立て部の間で既定の圧縮力の非存在下で注射の開始を阻止するように構成された注射ロック部材;
注射中に少なくとも一つの第一および第二の腔内に配置されたシリンジに適用される既定量の注射エネルギー(injection energy)を吸収及び保持するように構成された注射エネルギー保存部材;
前記シリンジ内から既定量の内容物を排出するように、注射の開始に際して前記シリンジに注射エネルギーを適用するように構成された注射アクチュエータ(606);
注射ロック部材がロックした状態にあるか否かを使用者に示すように構成され、前記第一の外殻および前記第二の外殻の双方の色と実質的に対比されるように構成され、前記第二の外殻および前記第一の外殻の間の既定量の圧縮力の存在下で使用者の視界から実質的に遮蔽されるように構成された注射ロックインジケーター(604);
既定量の内容物がシリンジ内から排出されたときに使用者に示すように構成された注射完了インジケーター(603)。
【0147】
一態様において、注射補助装置は、さらに前記注射完了インジケーターに使用者の注意を向けるように構成される注意ディレクター(602)を含む。
【0148】
別の態様において、注射補助装置は、さらに少なくとも既定量の注射エネルギーが注射エネルギー保存部材に保存されたかどうかを使用者に示すように構成された注射力貯蔵インジケーター(injection force storage indicator)を含む。
【0149】
なお別の態様において、注射補助装置は、さらに第二の外殻の外面に配置された外側グリップ部材を含む。
【0150】
一態様において、外側グリップ部材は、第二の外殻よりも軟らかい物質から形成される。別の態様において、隆起部は、外側グリップ部材とヒトの手との間の摩擦を増加させるように外側グリップ部材の外面に存在する。
【0151】
別の態様において、注射補助装置は、さらに第一の外殻の色、第二の外殻の色、または注射ロックインジケーターの色と実質的に対比されるように構成される第二の外殻および第一の外殻の間の環部材(605)を含む。
【0152】
一態様において、注意ディレクター(602)は、注射の方向に使用者の注意を向けるように構成される。別の態様において、注意ディレクターは、注射ロックインジケーターに使用者の注意を向けるように構成される。なお別の態様において、注意ディレクターは、ロック部材をアンロックするために適用される力の方向に使用者の注意を向けるように構成される。
【0153】
一態様によると、注意ディレクターの色は近くに配置された構成要素の色と実質的に対比されるように構成され、注意ディレクターの形は注射完了インジケーターに使用者の注意を向けるように構成される。
【0154】
別の態様によると、注射補助装置は、針貫通深さ調整部材(608)およびシリンジ針キャップ除去部材(609)を含む。別の態様によると、シリンジ針キャップ除去部材は、注射を開始するように構成されたボタンと色を実質的に対応させるように構成され、第一の外殻および第二の外殻の色と対比するように構成される。
【0155】
一態様において、注射ロックインジケーター(604)の色は、第一の外殻(607)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射ロックインジケーター(604)の色は、第二の外殻(610)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射ロックインジケーター(604)の色は、注意ディレクター(602)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射ロックインジケーター(604)の色は、環部材(605)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射ロックインジケーター(604)の色は、シリンジ針キャップ除去部(609)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射ロックインジケーター(604)の色は、注射完了インジケーター(603)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射ロックインジケーター(604)の色は、注射を開始するように構成されたボタン(601)の色と実質的に対比させるように構成される。
【0156】
一態様において、注射完了インジケーター(603)の色は、第一の外殻(607)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射完了インジケーター(603)の色は、第二の外殻(610)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射完了インジケーター(603)の色は、注意ディレクター(602)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射完了インジケーター(603)の色は、環部材(605)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射完了インジケーター(603)の色は、シリンジ針キャップ除去材(609)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射完了インジケーター(603)の色は、注射ロックインジケーター(604)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注射完了インジケーター(603)の色は、注射を開始するように構成されたボタン(601)の色と実質的に対比させるように構成される。
【0157】
一態様において、注意ディレクター(602)の色は、第一の外殻(607)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注意ディレクター(602)の色は、第二の外殻(610)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注意ディレクター(602)の色は、注射ロックインジケーター(604)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、注意ディレクター(602)の色は、注射完了インジケーター(603)の色と実質的に対比させるように構成される。
【0158】
一態様において、環部材(605)の色は、第一の外殻(607)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、環部材(605)の色は、第二の外殻(610)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、環部材(605)の色は、注射ロックインジケーター(604)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、環部材(605)の色は、注射完了インジケーター(603)の色と実質的に対比させるように構成される。
【0159】
一態様において、ボタン(601)の色は、第一の外殻(607)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、ボタン(601)の色は、第二の外殻(610)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、ボタン(601)の色は、注射ロックインジケーター(604)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、ボタン(601)の色は、注射完了インジケーター(603)の色と実質的に対比させるように構成される。
【0160】
一態様において、シリンジ針キャップ除去部(609)の色は、第一の外殻(607)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、シリンジ針キャップ除去部(609)の色は、第二の外殻(610)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、シリンジ針キャップ除去部(609)の色は、注射ロックインジケーター(604)の色と実質的に対比させるように構成される。別の態様において、シリンジ針キャップ除去部(609)の色は、注射完了インジケーター(603)の色と実質的に対比させるように構成される。
【0161】
一態様において、シリンジ針キャップ除去部(609)は、環部材(605)と色を実質的に対応させるように構成される。別の態様において、シリンジ針キャップ除去部(609)は、注意ディレクター(602)と色を実質的に対応させるように構成される。別の態様において、シリンジ針キャップ除去部(609)は、ボタン(601)と色を実質的に対応させるように構成される。別の態様において、環部材(605)は、注意ディレクター(602)と色を実質的に対応させるように構成される。別の態様において、環部材(605)は、ボタン(601)と色を実質的に対応させるように構成される。別の態様において、注意ディレクター(602)は、ボタン(601)と色を実質的に対応させるように構成される。
【0162】
本出願の明細書等に開示された任意の注射補助装置の態様において、注射アクチュエータは、0.5 mlの液体をシリンジから排出するように構成される。本出願の明細書等に開示された任意の注射補助装置の別の態様において、シリンジは、20 mgのグラチラマーアセテートを0.5 mlの溶液中に含む。
【0163】
前に記載の態様に関して、本出願の明細書等に開示される各態様は、他の開示された態様の各々に適用可能であることが想定される。
【0164】
定義
本出願の明細書等に使用する場合に、MS(すなわち、臨床上明確なMS)の発症のリスクにさらされている患者は、MSに対する何れかの既知のリスクファクターを呈している患者である。MSに対する既知のリスクファクターには、最初の臨床症状(CIS)の何れか1つ、病巣なしにMSを示唆する単一の発作、臨床上発作がない病巣の存在(CNS、PNS、または髄鞘のいずれかにおいて)、環境的な因子(地理上の位置、気候、食事、毒素、太陽光)(Marrie, 2004; Ascherio, Apr 2007; Ascherio, Jul 2007)、遺伝(HLA-DRB1, IL7R-アルファおよびIL2R-アルファをコードする遺伝子の変動)(Niino, 2007; Reich, 2005)、および免疫学的な要素〔例えば、エプスタイン−バーウイルスによるウイルス感染、高い結合活性のCD4+T細胞、CD8+T細胞、抗NF-L、抗CSF114(Glc)〕(McFarland, 2007; Lutterotti, 2007; Rinaldi, 2005)が含まれる。
【0165】
本出願の明細書等に使用される、最初の臨床症状(CIS)は、1) MSを示唆する単一の臨床発作(ここでは、「最初の臨床事象(first clinical event)」および「最初の脱髄事象(first demyelinating event)」と互換的に使用される)、例えば、視神経炎の臨床エピソード、視覚のかすみ(blurring of vision)、複視、不随意性の急速眼球運動、失明、平衡の欠如、振戦、運動失調、めまい、肢のぎこちなさ(clumsiness of a limb)、協調の欠如、一またはそれ以上の末端部(extremity)の虚弱、筋緊張の変化、筋硬直、攣縮、刺痛、感覚異常、焼けつき感(burning sensations)、筋肉痛、顔痛、三叉神経痛、刺すような鋭い痛み、焼けつくような三叉神経の痛み、発語の遅延、言語不明瞭、発語リズムの変化、嚥下障害、疲労、膀胱の問題(切迫、頻尿、不完全な排尿および失禁が含まれる)、腸の問題(便秘、腸の制御の損失が含まれる)、インポテンス、性的欲求の低下、感覚の欠如、熱に対する過敏性、短期記憶の喪失、集中力の欠除、または判断もしくは推論の欠除、並びに2) MSを示唆する少なくとも一つの病巣を意味する。特定の例において、CISの診断は、単一の臨床発作および少なくとも二つのMSを示唆する直径6mm以上の病巣に基づくだろう。
【0166】
視覚的なアナログスケール(VAS):
本出願の明細書等に使用されるVASは、連続する値をとると信じられ且つ直接的に容易に測定できない特性を測定する測定具である。患者が感じる疼痛の程度は、「疼痛なし」から「最悪の疼痛」へと連続する範囲にわたる。患者の観点から、この範囲は連続的なものであると思われる; 彼等の疼痛は、なし、軽度、中等度および重度の分類として不連続にとびとびではないことが示唆されるだろう。VASは、各端に上記単語が記載される長さ100 mmの水平な線である。患者は、その線上に彼等の現在の状態について彼等の知覚状態が示すと彼等が感じるポイントをマークする。VASスコアは、線の左手側の端から患者がマークをつけるポイントまでをミリメートルで測定することにより決定される。
【0167】
本出願の明細書等に使用される「患者が報告した総注射痛(patient-reported total injection pain)」は、注射後に生じる0 mmが「疼痛なし」、100 mmが「最悪の疼痛」である100 mmのVASに記録される疼痛を意味する。
【0168】
本出願の明細書等に使用される「即時の疼痛の存在(immediate pain presence)」は、注射後直ちに疼痛が存在するかどうかを意味し、100 mm VASで記録される疼痛スコアは疼痛なし=0(VASスコアは0-4 mm)、または疼痛=1(VASスコアは5-100 mm)の何れかに二分される。
【0169】
LISRs:
注射の部位での発赤、そう痒、腫脹、および/または塊として現れる局所注射部位反応。
【0170】
本出願の明細書等に使用される「皮下注射」は、皮膚の真皮の基礎をなす間質領域(interstitial area)へのボーラス(bolus)の送達を意味する。
【0171】
再発:
再発(「増悪」または「臨床増悪(clinical exacerbations)」とも称される)は、30日間の安定または改善後に出現し、24時間以上持続する神経学的な機能不全症状の出現により特徴付けられる(感染なし、発熱なし)。再発の数は、治療および年齢を対照とするロジスティック回帰モデル(logistic regression model)を用いて分析した。
【0172】
「再発率(Relapse Rate)」は、単位時間毎に確認された再発の数である。「再発年率(Annualized relapse rate)」は、各患者毎の確認された再発数を365で乗じ、各患者毎の試験薬の日数で除した数の平均値である。
【0173】
多発性硬化症の形態:
5つの異なる疾患段階および/またはMSの型がある:
1)良性型多発性硬化症;
2)再発寛解型多発性硬化症(RRMS: relapsing-remitting multiple sclerosis);
3)二次性進行型多発性硬化症(SPMS: secondary progressive multiple sclerosis);
4)進行性再発型多発性硬化症(PEMS: progressive relapsing multiple sclerosis);および
5)一次性進行型多発性硬化症(PPMS: primary progressive multiple sclerosis)。
【0174】
良性型多発性硬化症は、遡及的な診断によるものであり、完全な回復を伴う1〜2の増悪、持続性の能力障害がないことおよび最初の発症後10〜15年間で疾患が進行しないことにより特徴付けられる。しかしながら、良性の多発性硬化症は、他の形態の多発性硬化症へと進行する可能性がある。
【0175】
RRMSに罹患している患者は、散発性の増悪または再発、および寛解(remission)の期間を経験する。軸索欠損(axonal loss)の病巣および証拠は、RRMSに罹患している患者に対するMRIにおいて視認できても視認できなくてもよい。
【0176】
SPMSは、RRMSから進行する可能性がある。SPMSを患っている患者は、再発、寛解の間のRRMS患者より少ない程度の回復、RRMS患者より低頻度の寛解およびRRMS患者より著明な神経欠損(neurological deficits)を有する。脳梁、正中中枢(midline center)および脊髄の萎縮に関するマーカーである脳室の拡大は、SPMSに罹患した患者のMRIにおいて視認しうる。
【0177】
PPMは、別々の発作または寛解がなく、神経欠損の増加が定常的に進行することにより特徴付けられる。脳の病巣、散在性の脊髄損傷および軸索欠損の証拠は、PPMSに罹患している患者のMRIにおいて明らかである。PPMSは、寛解することなく神経欠損の増加する経過をたどって進行する間、急性憎悪の期間を有する。病巣は、PPMSに罹患している患者のMRIにおいて明白である(Johnson, 1986)。
【0178】
最初の臨床症状(CIS)は、MSと矛盾しない(compatible)単一症状の発作であり、例えば、視覚神経炎、脳幹症状、および部分的な脊髄炎である。第2の臨床発作を経験するCIS患者は、一般的に、臨床上明確な多発性硬化症(CDMS)を有すると考えられる。CISおよびMRI病巣を有する80%以上の患者がMSの発症に進行するが、約20%は各自に限定的なプロセスを有する(Brex, 2002; Frohman, 2003)。
【0179】
多発性硬化症は、視神経炎、視覚のかすみ、複視、不随意性の急速眼球運動、失明、平衡の欠如、振戦、運動失調、めまい、肢のぎこちなさ、協調の欠如、一またはそれ以上の末端部の虚弱、筋緊張の変化、筋硬直、攣縮、刺痛、感覚異常、焼けつき感、筋肉痛、顔痛、三叉神経痛、刺すような鋭い痛み、焼けつくような三叉神経の痛み、発語の遅延、言語不明瞭、発語リズムの変化、嚥下障害、疲労、膀胱の問題(切迫、頻尿、不完全な排尿および失禁が含まれる)、腸の問題(便秘、腸の制御の損失が含まれる)、インポテンス、性的欲求の低下、感覚の欠如、熱に対する過敏性、短期記憶の喪失、集中力の欠除、または判断もしくは推論の欠除とともに存在しうる。
【0180】
多発性硬化症の再発する形態:
再発性のMSの用語は、以下を含む:
1) RRMSの患者;
2) SPMSおよび再発が重なる患者;および
3) マクドナルド基準による引き続くMRIスキャンにおいて病巣部の広がりを示すCISの患者。
【0181】
本出願の明細書等に使用される、多発性硬化症の再発形態には、次のものが含まれる: 神経学的な機能不全(再発)の予測不可能な急性エピソードにより特徴付けられ、様々に回復し、臨床上安定する期間が続く再発寛解型多発性硬化症(RRMS);
患者が再発を重ねることが有るかまたは再発を重ねることが無い持続性の衰退(deterioration)を発生するRRMSを有する二次性進行性のMS(SPMS);および
一次性進行性の再発型多発性硬化症(PPRMS)または進行性の再発型多発性硬化症(PRMS)、最初から進行性の衰退を発症する患者が後に再発も発生しうる稀な形態。
【0182】
数値または範囲の文脈において本出願の明細書等に使用される「約」は、記載または請求された数値または範囲の±10%を意味する。
【0183】
本出願の明細書等に使用される「活動性のMRI脳病巣(active MRI brain lesions)」は、磁気共鳴映像法(MRI)スキャンにおいて同定された活動性の脳病巣を意味する。
【0184】
本出願の明細書等に開示された単位用量は、毎日、隔日、毎週、週二回、週三回、週四回、週五回または週六回投与することができる。
【0185】
パラメータの範囲が提供される場合に、その範囲内の全ての整数、およびその十分の一の値が本発明により提供される。
【0186】
本発明は以下の例を参照することに更に理解される。当業者は、詳細に説明される特定の実験が、本出願の特許請求の範囲においてより完全に記載される本発明の単なる例であることを容易に理解する。
【0187】
[例1]
GAの20mg/0.5ml製剤の注射と関連する対象が報告した注射の疼痛の評価。
【0188】
多施設、無作為、2アーム、単独交差試験を、RRMSの対象の皮下に投与されたGA 20mg/1.0ml(Fl) 対 GA 20mg/0.5ml(F2)の対象が報告した疼痛と比較するため実施した。F2製剤の安全性および耐容性も評価した。対象は、五(5)週の総治療期間の間に交差様式(cross over fashion)で毎日一回両方の用量を受けた。対象が報告した注射痛を毎日日誌に記録した。主な指標は、100 mm VASに記録される二つのGA製剤(Fl 対 F2)に関する注射直後に発生する対象が報告した注射痛の毎日の差であった。二次的な課題には、以下が含まれる:
* 注射後5分間にF1 対 F2の注射と関連する対象が報告した注射痛を比較すること。
【0189】
* 注射後5分間内のF1 対 F2の注射での対象が報告した局所注射部位反応(LISRs)の存在または非存在および重症度を比較すること。
【0190】
* 注射後24時間内に生じるF1 対 F2の注射での対象が報告したLISRsの存在または非存在および重症度を比較すること。
【0191】
方法
スクリーニングにおいて、全ての対象(および/または該当する場合には介護者)は、手動での注射、部位のローテーションおよび注射部位反応の取り扱いに関する情報を提供された。試験は、七日の予備期間(run-in period)、十四日の治療期間のFlまたはF2(期間1)および代替治療(期間2)での付加的な十四日の治療期間に切り替えた期間からなる。訪問1(スクリーニング)、訪問2、訪問3、および訪問4(試験の終わり)の四回の計画された試験訪問が存在した。
【0192】
148人の対象をF1/F2の順序(n=76)またはF2/F1の順序(n=72)の何れかに無作為化した。全体で147人(99.3%)の対象が試験で投薬を受け安全性集団と分析された; 全体で144人(97.3%)の対象が包括解析(ITT)集団と認定され、139対象(93.9%)はパー・プロトコール(PP)集団と認定された。148人の無作為化された対象のうち、142対象(95.9%)は試験を完了した。中断の理由は、同意の中止(5対象[3.4%])およびプロトコール違反(1対象[0.7%])であった。5対象は、治療の非遵守、禁止薬の摂取、および算入基準への不適合とのプロトコール逸脱が原因でPP集団から除外された。
【0193】
試験のデザイン、用量および集団の理論的根拠
試験の目的は、GAの新しい20mg/0.5ml製剤(F2)と現在市販されている20mg/1.0ml製剤(Fl)の既知のプロフィールとの間のデータの比較を提供することであった。この試験は、最低90日間現在市販されているGA製剤(F1)をうけているRRMSの対象において実施された。
【0194】
この試験は、注射直後および注射後5分間のGAの20mg/1.0ml製剤(F1) 対 GAの新しい20mg/0.5ml製剤(F2)を比べるために設計され、これらの製剤に関連する対象が報告した注射痛を比較した。加えて、試験は、局所注射部位反応(LISRs)、存在するLISRsの重症度および有害事象の存在を比較した。20mg/0.5ml製剤の安全性を評価するための証拠が集められた。
【0195】
交差試験デザインを選択することで、同等の期間で20mg/1.0mlおよび20mg/0.5mlの製剤を各々の適格な対象が使用することが許容される。試験の転帰により規定されるような二製剤間の差が存在する場合に、各々の交差期間の二週の期間は決定するため十分長かった。各対象は彼等自身の対照として利用され、対象の変動性が減少し、二製剤の比較における統計的検出力が増加する。この試験での盲検は、各々の製剤の容量の差を対照が検出できるため可能ではない。この試験が盲検ではないことは、既知の制限であった。
【0196】
治験集団
参加/除外基準に適合する148対象を登録した。
【0197】
参加基準
治験に適格であるためには、対象は次の全ての参加基準に適合していなければならない:
* 対象がRRMSと診断され、年齢が > 18年であること。
【0198】
* 現在、ガラス注射器にautoject(登録商標)2を利用するまたは手動での注射技術により最低90日間GA 20mg/1.0ml日を皮下(SC)注射している。
【0199】
* ガラス注射器に関してautoject(登録商標)2から手動での注射技術へと切り換えることに同意しているまたは試験の過程で手動での注射技術で継続している。
【0200】
* 7部位の注射のローテーションの訓練に同意し且つその訓練が可能である。対象は、試験の間に最低五回の注射部位のローテーション計画の遵守に同意しなければならない。
【0201】
* 試験に関連する全ての処置および評価に同意し且つ完了することができる。
【0202】
* 通常の注射部位の準備およびルーチンの補助的なLISR管理技術にしたがって継続することへの同意。
【0203】
* インフォームドコンセント記載に同意し且つ提供することができる。
【0204】
除外基準
以下の除外基準に適合する対象は、試験参加に適格ではなかった:
* 現在、この試験のスクリーニングの30日前においてGAと併せて別の免疫調節治療(IMT: immunomodulating therapy)を用いているまたは該治療で治療されている。
【0205】
* 現在、この試験のスクリーニングの30日前において何らかの投与経路によるコルチコステロイドの間欠投与コースまたはパルス投与コースを用いている(コルチコステロイドは試験期間に禁止される)。
【0206】
* 現在、この試験のスクリーニングの30日前に試験薬または任意の他の試験薬での治療を行っている。
【0207】
* 皮膚ネクローシスの存在または既往歴。
【0208】
* 交絡因子(confounding factor)である可能性がある既知の広範な皮膚科学的状態。
【0209】
* 妊娠中の対象または妊娠を計画している対象または授乳している対象。
【0210】
* 最低五(5)部位のローテーションで注射される能力を欠く身体状態。
【0211】
* 毎日の日誌の記録ができないまたは同意できない。
【0212】
* 現在または本試験のスクリーニングの30日前において、他の非経口的な薬物[例えば、筋肉内(IM)、SC、静脈内(IV)、など]の使用。
【0213】
* 調査者により決定される本試験に不適切な対象を生じるだろう他の医学的なまたは精神医学的な状態。
【0214】
* 本試験への以前の参加。
【0215】
早期の治療の中止
試験の終了時の訪問は、試験を早期に中止した全ての対象について完了した。この対象には、スクリーニングされ、予備期間を含めて少なくとも一つの用量の試験薬を受けた対象が含まれる。
【0216】
早期の治療中止に関する基準
次の事象/基準は、対象が試験薬を中止する十分な理由と考えた:
* 同意を取り下げた対象
* スポンサーからの対象を中止するとの要求
* プライマリケアの医師または調査者の依頼
* プロトコールの違反/非遵守
* 追跡情報の欠如/回収の失敗
* 有害事象(AE)
* 妊娠
* 死亡
* 治療失敗
* その他。
【0217】
早期に中断した対象が予定された訪問にしたがった試験の継続を拒んだ場合およびAEが最後の訪問時に存在した場合に、対象は医学的な状態が基準にもどるまで追跡されたまたは対象は安定もしくは慢性であると考えられた。対象がAEが原因で中止した場合に、適切にAEに関する部分の症例報告書(CRF)を完成し、臨床の管理者またはモニターに即座に中止を通知した。
【0218】
試験薬および/または進行中の増悪への不耐性が重篤な症状であるケースでは、対象は調査者の判断で早期に中止させられ、前述の状態が安定するまで追跡された。早期に試験を中止した対象を、スポンサーの判断で交代させた。
【0219】
対象の性質
表1は、試験における対象の性質を要約する表である。スクリーニングされた全て148の対象をF1/F2の順序(n=76)またはF2/F1の順序(n=72)の何れかに無作為化した。全体で、142対象(95.9%)が試験を完了した。6対象(4.1%)は試験を中止した; 5対象[3.4%]は同意を取り下げた; 1対象[0.7%]はプロトコールを違反した(対象19/03は、参加基準に適合しないにもかかわらず無作為化された)。
【表1】

【0220】
対象の個体群統計
表2は、安全性集団に対する対象の個体群統計を要約する。全体的に集団は、女性(81.0%)および白人種(90.5%)が優勢であった。集団の平均年齢は、22歳ないし71歳の範囲で46.0歳であった。F1/F2の順序およびF2/F1の順序で薬を受けた対象群は、個体群統計の特徴において同等であった。
【表2】

【0221】
試験の薬製品/試験薬
投与された治療薬
GA注射は、皮下注射のための透明で無色ないし僅かに黄色の無菌で非発熱性の溶液である。GA注射は、単回使用用のPFSとして提供される。市販の製品であるCopaxone(登録商標)は、注射用の1.0mlの水に20mg GAおよび40mg マンニトールを含む。試験した試験薬製品(IMP: investigational medicinal product)は、注射用の0.5mlの水に20mg GAおよび20mg マンニトールを含む。GAは、Copaxone(登録商標)の活性成分を命名するため使用された名称である。GAは、特定の比のL-アラニン、L-グルタミン酸、L-リジンおよびL-チロシンの四アミノ酸から構成された合成ポリペプチドの混合物の酢酸塩であり、平均分子量は5,000-9000ダルトンである。
【0222】
試験の薬製品/試験薬の記載
GA注射の二つの濃度が本試験に使用された:即ち、
製剤1(F1): Copaxone(登録商標)として市販されている20mg/1.0mlのGA注射;および
製剤2(F2): 20mg/0.5mlのGA注射(F2)。
【0223】
テバ社(Teva Pharmaceutical Industries Ltd., Israel)は、Copaxone(登録商標)を製造しており、優良製造規範(GMP)原則およびIMPに適用可能なガイドラインに準拠している。
【0224】
試験薬のパッケージング、ラベリング、および分配並びに供給は、Aptuit(Aptuit, 10245 Hickman Mills Drive Kansas City, MO 64137)により行われた。
【0225】
試験薬をパックし、適切な貯蔵箱で出荷した。治験施設に到着した直後に試験薬を検査した。供給された薬がダメージをうけていると認められる場合に、スポンサーに直ちに問い合わせた。個々の対象のキットは、開くべきではない。対象に試験薬および説明書が提供されてキットが開かれるまで、不正開封防止シールは無傷のままであるべきである。
【0226】
試験用の供給薬の各々の出荷物は、現在の正確な記録の保持を補助するために出荷物用紙を含む。出荷物を受け取った際に、調査者/コーディネーター/薬剤師は受け取りを承認した。供給薬は、安全で且つ接触が制限された冷温(2℃〜8℃)で温度が管理された貯蔵所に保管されなければならない。認可された人物のみが、治験施設で試験薬にアクセスできる。
【0227】
試験薬は、治験施設で予定された訪問時に試験の調査者により認可された人物により対象へと配られた。試験薬の貯蔵に関する説明書が、対象に提供された。対象は、全ての未使用の試験薬を各々の訪問時に返却した。調査者または指定者は、試験薬の説明を担う責任者である。
【0228】
対象を治療群に割り当てる方法
対象は、二つの薬の順序の一方に1:1の割当比で無作為に割り当てられた; 試験薬は、(F1/F2またはF2/F1)順序の順番で患者に分配した。ブロック無作為化層別横断試験(Block randomization stratified across study)をコンピュータで発生させたスケジュールにしたがって行うことによって、対象が薬の順序間で等しく分配されることが保証される。
【0229】
試験用量の選択
20mg/ml(注射用の1.0mlの水に20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトール)の用量のGAの毎日一回の臨床使用は、RRMSの対象における再発の頻度を減少させるためであることが表示される。しかしながら、疼痛を含む注射部位反応は、最も頻繁な副作用であることがGAの臨床試験において認められ、GAの投与をうけた患者の大多数で報告された。従って、本試験は、注射容量を減少させることにより注射および注射部位反応と関連した疼痛に差が生じるかどうかを検討するため設計された。このようなことから、試験した製剤は、注射用の0.5mlの水に20mg GAおよび20mg マンニトールを含む。
【0230】
各対象に対する時間的な調整および用量の選択
対象は、手動でGA(F1またはF2)の治療薬を毎日一回14日間注射され、次に他の製剤に換えてさらに14日間治療された。投薬の時間的な調整に関する特定の説明書は存在しなかった。
【0231】
以前および同時の薬物治療
スクリーニング30日前までに摂取された全ての同時の薬物治療が記録された。
【0232】
以前の薬物治療:
以前の薬物治療は、試験の薬物治療の最初の注射の前に摂取された薬物治療を意味する。以下の薬物治療は、スクリーニングの30日前に許可されていなかった:
* 免疫調節療法(IMT);
* 任意の経路によるコルチコステロイド;
* 試験薬または剤;および
* 他の非経口的な薬物治療(例えば、IM、SC、IV、など)。
【0233】
安全性集団に関する以前の薬物治療は、以下の表3に要約される。全ての無作為化された対象は、以前に薬物治療を受けていた。計画的に全ての対象は、治験参加の前にグラチラマーアセテート(GA)を受けていた。患者11/02は、不注意で治験薬の開始と同日にリストされたGAの終了日を有していたので、GAは以前の薬物治療としてリストされなかった、しかし、同時の薬物治療としてリストされた。
【表3】

【0234】
F1=GAの20mg/1.0ml製剤;
F2=GAの20mg/0.5ml製剤
注意: 以前の薬物治療をWHO薬物辞典(200809バージョン)を使用してコードした。
【0235】
n=薬物の使用を報告している対象の数であり、パーセンテージの分母は安全性集団数である。
【0236】
注意: グラチラマーアセテートに関して、患者20-06はスクリーニングの一日後に全試験薬を返却し、同意を取り下げた。従って、この患者は中止日が存在しないので、グラチラマーアセテートの以前の使用に関して数に含められなかった。100%の患者が治験参加前にグラチラマーアセテート(GA)を受けていた。患者11-02は不注意で試験薬の開始と同日にリストされたGAの終了日を有していたので、GAは以前の薬物治療としてリストされず、同時の薬物治療としてリストされた。
【0237】
同時の薬物治療
同時の薬物治療は、試験の薬物治療の最初の注射の後に摂取された任意の薬物治療を意味し、治験に参加する前に開始し、治験へと継続した薬物治療が含まれる。全ての薬物治療は、以下にリストされた薬物治療を除いて許可された。
【0238】
以下の同時の薬物治療は、治験の間に許可されなかった:
* 免疫調節療法(IMT);
* 任意の経路によるコルチコステロイド;
* 試験薬または剤;および
* 他の非経口的な薬物治療(例えば、IM、SC、IV、など)。
【0239】
表 4は、安全性集団における>5%の対象により治験の間に使用された同時の薬物治療を要約する。最も頻繁に使用された薬物のクラスは、マルチビタミン(各製剤を使用する間に27.8%)、選択的なセロトニン再取り込み阻害剤(20mg/1.0ml GAの間に21.5%および20mg/0.5ml GAの間に22.9%)、他の抗うつ剤(20mg/1.0ml GAの間に26.4%および20mg/0.5ml GAの間に25.7% )、ベンゾジアゼピン誘導体(20mg/1.0ml GAの間に21.2%および20mg/0.5ml GAの間に22.9%)、およびプロピオン酸誘導体(各製剤を使用する間に21.5%)であった。
【表4】

【0240】
説明および遵守
試験薬の説明の記録は、常に施設に維持された。対象の識別番号、日付、バッチコード(batch code)、配った試験薬の有効期限および量並びに対象から返却された試験薬の有効期限および量を記録した。返却された試験薬は、適切な在庫記録に記録された。
【0241】
試験の総活時に全ての未使用の試験薬は、スポンサーに返却されたまたはスポンサーの指定者に破棄のために返却された。破棄の証拠の記録は、施設および臨床管理者に利用可能であった。補助の供給薬は、返却される必要はなかった。
【0242】
対象は、全ての未使用の試験薬シリンジを治験施設の元の収納箱に毎回の訪問時に返却するように要求された。投薬計画の遵守は、返却された試験薬の報告を行うことにより決定された。返却されたシリンジの数を施設職員が計数して記録した。対象数、無作為化数、対象から返却された試験薬の量および訪問日は、施設職員により記録された。
【0243】
各期間の間の投薬計画の遵守は、返却された未使用の試験薬シリンジの報告を行うことにより決定された。遵守は、実際に使用した注射の数(配った数マイナス返却された数)を注射の期待数の数(期間中の日数)で除して100パーセントを乗じて計算された。遵守が>75%の対象は、遵守と考えられた。
【0244】
薬物治療の遵守は、本治験において非常に高く、対象のパーセンテージがGAの20mg/0.5ml用量後に94.4%および20mg/1.0ml用量後に91.7%に等しい100%の遵守を示していた。
【0245】
治験の実施
試験期間
対象は、以下の表5の試験評価スケジュールにしたがって観察され、評価された。
【表5】

【0246】
治験計画の詳細
訪問1 ― スクリーニング
何らかの治験に関する活動/評価を行う前に、対象は、治験の訪問および活動を含む治験の全ての側面について綿密に情報を与えられ、インフォームドコンセントに署名しなければならない。インフォームドコンセントの署名の謄本が、対象に与えられた。
【0247】
スクリーニング手順は、以下からなる:
* 何らかの試験手順が行われる前に、治験審査委員会(IRB)が承認したインフォームドコンセントの書面に対象が署名すること。
【0248】
* 対象を治験番号に割り当てること。
【0249】
* RRMSの診断の考証を含む対象の病歴を取得して記録すること。
【0250】
* MSの薬物治療を含む過去30日に使用された全ての薬物治療を記録すること。適応症(indication)、用量、投与計画および開始/中止日または進行の記録。
【0251】
* 身長および体重を含むバイタルサイン(体温、脈、血圧)の記録。
【0252】
* 全体的な様子(general appearance)、皮膚、頭部、眼、耳、鼻および咽頭(HEENT)、肺、心臓、腹部、および筋骨格系を含む理学的検査を完了すること。
【0253】
* 精神状態、瞳孔および基底部(fundi)、脳神経、運動検査、歩行(車椅子に束縛されていない場合)、協調反射および感覚機能を含む標準の神経学的な検査を完了すること。
【0254】
* 臨床検査のための血液および尿を採取すること。妊娠の可能性がある女性は、妊娠を検出するための尿βHCGを有する。妊婦は、治験に登録できない。
【0255】
* 対象に以下の事項を指示すること:
o 手動での注射技法。対象は、例えば、注射の前または直後の氷または熱の使用などの注射を準備するための通常の方法を用いて継続することが指示された。施設の職員は、続く5週にそれらの注射技法を一貫させることの重要性を説明する。
【0256】
o 七日、七部位注射のローテーション(五部位注射のローテーションが最小限)、および
o 毎日の完了。
【0257】
* 対象を予備期間の試験薬の受け取りに関して無作為化すること。無作為化は、コンピュータで発生させた無作為化スキームにより決定された。施設で利用可能な最小の番号の試験薬キットを、対象に無作為化番号として割り当てた。この情報を、薬の報告日誌およびCRFに記録した。
【0258】
* 対象に試験薬(Flの10本の事前に充填されたシリンジ[PFS])を提供すること。各対象は、施設で利用可能な最小番号の試験薬キットを割り当てられた。
【0259】
* 日誌を対象に提供すること。
【0260】
* 可能な場合には、診療所において最初の用量の試験薬を手動で投与した対象および彼等の日誌の完了を観察すること。
【0261】
* 彼等の医学的な状態における任意の変化または任意のAEの出現の事象において診療所とコンタクトすることを指示すること。
【0262】
* 本日の訪問から7日(+2日)に診療所に戻ることを計画させて、彼等が完了した日誌および未使用の試験薬を回収すること。
【0263】
訪問1(スクリーニング)および予備期間の投薬の初日は同日に発生し得た。初日の投薬をスクリーニング訪問の間に行うことができなかった場合に、初日の投薬はスクリーニングの二日内に行わなければならない。投薬の初日は、CRF (予備期間)に含められる。
【0264】
予備期間:
予備期間は7(+2)日であった。対象は、予備期間にF1で処理された。予備期間の初日は、試験薬での投薬の初日であり、7日間連続される。対象に対する予備期間の処置は、以下からなる:
* 試験薬物の毎日の注射
* 対象が日誌を毎日完了させること。
【0265】
訪問2 ― 期間1:
訪問2は、予備期間の投薬の初日の日の7(+2)日後に発生する。
【0266】
訪問2の処置は、以下からなる:
* バイタルサイン(体温、脈、血圧)を記録すること。
【0267】
* 対象が完了した日誌を集めて再検討すること。何らかのデータポイントが失われたとしても、日誌を完了するために説明書を対象に関して再検討する。
【0268】
* 手動での注射技法および七部位のローテーションに関して対象を再検討する。
【0269】
* 試験薬の投薬の中断を記録する。訪問1で配ったシリンジの未使用数を計数して記録する。
【0270】
* 全ての同時の薬物治療および有害事象を記録する。
【0271】
* 期間1に関する試験薬(F1またはF2の20PFS)を対象に提供すること。
【0272】
* 期間1に関する日誌を対象に提供すること。
【0273】
* 可能な場合には、診療所において期間1の最初の用量の試験薬を手動で投与した対象および彼等の日誌の完了を観察すること。
【0274】
* 彼等の医学的な状態における任意の変化または任意のAEの出現の事象において診療所とコンタクトすることを指示すること。
【0275】
* 本日の訪問から14日(+3日)に診療所に戻ることを計画させて、彼等が完了した日誌および未使用の試験薬を回収すること。
【0276】
期間1、(14日):
対象に対する期間1(1)の処置は、以下からなる:
* 毎日の試験薬注射。
【0277】
* 対象が日誌を毎日完了させること。
【0278】
訪問3 ― 期間2:
訪問3は、訪問2/期間1の開始の14(+3)日後に発生する。
【0279】
訪問3の処置は、以下からなる:
* バイタルサイン(体温、脈、血圧)を記録すること。
【0280】
* 対象が完了した日誌を集めて再検討すること。何らかのデータポイントが失われたとしても、日誌を完了するために説明書を対象に関して再検討する。
【0281】
* 手動での注射技法および七部位のローテーションに関して対象を再検討する。
【0282】
* 全ての同時の薬物治療および有害事象を記録する。
【0283】
* 試験薬の投薬の中断を記録する。訪問2で配ったシリンジの未使用数を計数して記録する。
【0284】
* 期間2に関する試験薬(F1またはF2の20PFS)を対象に提供すること。
【0285】
* 期間2に関する日誌を対象に提供すること。
【0286】
* 可能な場合には、診療所において期間2の最初の用量の試験薬を手動で投与した対象および彼等の日誌の完了を観察すること。
【0287】
* 彼等の医学的な状態における任意の変化または任意のAEの出現の事象において診療所とコンタクトすることを指示すること。
【0288】
* 臨床検査のために血液および尿を採取すること。
【0289】
* 本日の訪問から14日(+3日)に診療所に戻ることを計画させて、彼等が完了した日誌および未使用の試験薬を回収すること。
【0290】
期間2 (14日)
対象に対する期間2の処置は、以下からなる:
* 毎日の試験薬注射。
【0291】
* 対象が日誌を毎日完了させること。
【0292】
訪問4 ― 試験の終了または早期の中断:
訪問4は、期間2の開始の14(+3)日後または早期の中断時に発生する。
【0293】
訪問4/試験の終了または早期の中断の処置は、以下からなる:
* 対象が完了した日誌を集めて再検討すること。
【0294】
* 全ての同時の薬物治療および有害事象を記録すること。AEがなおも進行中であったまたは新しいAEが試験訪問の最後に存在した場合に、AEは医学的な状態が基準にもどるまで追跡されたまたはAEは安定もしくは慢性であると考えられ、対象のソースドキュメント(source documents)およびCRFに記録された。
【0295】
* 体重を含むバイタルサイン(体温、脈、血圧)を記録すること。
【0296】
* 全体的な様子、皮膚、HEENT、肺、心臓、腹部、および筋骨格系を含む理学的検査を完了すること。
【0297】
* 精神状態、瞳孔および基底部、脳神経、運動検査、歩行(車椅子に束縛されていない場合)、協調反射および感覚機能を含む標準の神経学的な検査を完了すること。
【0298】
* 臨床検査のための血液および尿を採取すること。
【0299】
* 試験薬の投薬の中断を記録すること。訪問3で配ったシリンジの未使用数を計数して記録すること。
【0300】
早期の中断は、完全な試験期間が完了する前の試験の中止(withdrawal)と規定された。
【0301】
治療の中断の全ての理由は、ソースドキュメントに記録された。早期の中断に複数の理由が存在した場合に、対象の中断の主な理由がCRFに記録された。早期の中断の理由の一つがAEであった場合に、これが理由として選択された。スポンサーは、この理由のために中止した全ての対象の情報を与えられた。
【0302】
有害事象が理由で対象を中止した場合に、対象は医学的な状態が基準にもどるまで追跡されたまたは対象は安定もしくは慢性であると考えられた。
【0303】
評価方法
臨床評価
全ての治験施設は、毎日の日誌の記録を完了するため、特にVASを強調して、如何にして対象を訓練するかの指示を受け、評価の標準化が保証された。
【0304】
一次転帰の評価:
主要な一次転帰は、100 mm VASに記録される二つのGA製剤に関する注射直後に発生する対象が報告した注射痛の毎日の差であり、0 mmは「疼痛なし」を示し、100 mmは「最悪の疼痛」を示す。VASは、中心的な四名の評価者によりスコアをつけられた(即ち、測定された)。4人の評価者の各々が、独立に、日誌での反応の各々を測定し、スコアをつけ、別々のスコアリングシートに所見が記録することで評価者間の一貫性が確認された。評価者は、連続的に反応を提供され、評価者間のスコアをブラインドにするため指定されたチームのメンバーに彼等のスコアリングシートを提出した。各スコアは、引き続いてリストに記載され、分析のため統計学者に送られた。 Lin一致相関係数(Lin's Concordance Correlation Coefficient)に基づいて全て4人の評価者の全体的な一致は、(0.99977, 0.99995)の95% CIで0.99988であり、評価者間の平均差は0.3 mmであった。一次転帰は、FlおよびF2の間の疼痛の総評点の差に基づいた。
【0305】
二次転帰の評価:
* 0 mmは「疼痛なし」を示し100 mmは「最悪の疼痛」を示す100 mm VASに記録される二つのGA製剤に関する注射の5分間後に発生する対象が報告した注射痛の毎日の差。VASは、中心的な施設で一人の人物によりスコアをつけられ(即ち、測定された); 各期間にわたる毎日のスコアを平均して疼痛の総評点が提供された。二次転帰は、FlおよびF2の間の疼痛の総評点の差に基づいた。
【0306】
* 反応オプションが「なし」、「軽度」、「中等度」および「重度」の4ポイントの順序尺度(4-point ordinal scale)に記録される二製剤に関する注射後の5分間内に発生する対象が報告したLISRsの存在または非存在および重症度スコアの程度における差。スコアは、「存在」または「非存在」と記録された。評価されるLISRsは、発赤、そう痒、腫脹、および塊を含む。各期間にわたる毎日のスコアが平均されて、各LISRの重症度および存在または非存在の二つのLISR総評点が提供された。これら二つのLISR総評点は、この二次転帰測定の二つの指標を表す。
【0307】
* 二製剤に関して反応の選択肢が「なし」、「軽度」、「中等度」および「重度」の4ポイントの順序尺度で毎日記録される先の24時間内に(その最悪の状態で)発生する対象が報告したLISRsの存在または非存在および重症度スコアの程度における差。スコアは、「存在」または「非存在」と記録された。評価されるLISRsは、発赤、そう痒、腫脹、および塊を含む。各期間にわたる毎日のスコアが平均されて、各LISRの重症度および存在または非存在の二つのLISR総評点が提供された。これら二つのLISR総評点は、この二次転帰測定の二つの指標を表す。
【0308】
探索的な転帰の評価:
* 存在した疼痛の平均は、試験薬の製剤による注射の直後および5分間後にスコアをつけられる。疼痛のスコアは、疼痛なし=0(0-4 mmのVASスコア)または疼痛=1(5-100 mmのVASスコア)の二群に分けた。疼痛の存在スコアは、即時および5分間の疼痛記録の両方に関して各対象に関して期間にわたって平均化された。
【0309】
* 薬製剤による各個々のLISR症状に関する平均5分間および24時間の総スコアおよび毎日の5分間および24時間のスコア。
【0310】
* 薬製剤による0-3、4-6、7-9、および>9日のインターバルで要約される注射後5分間および24時間に症状がないと報告している対象の数。
【0311】
* 症状のタイプおよび薬製剤で要約される各注射部位で症状を報告している対象の頻度。
【0312】
安全性評価
有害事象は、対象がインフォームドコンセントの書面に署名すると同時に記録され、治験をとおして記録された。有害事象は、各々の引き続く訪問の際におよび対象との電話コンタクトの際に再検討され更新された。
【0313】
有害事象:
有害事象(AE)は、必ずしも薬物が投与された臨床治験の対象者における治療との因果関係を有さない何らかの有害な医学的な事象の出現と規定された。
【0314】
治験において、臨床治験の対象が治験のインフォームドコンセントに署名した後に発生する事象が、記録されAEとして報告された。従って、有害事象は、試験薬物と関連するかいなかにかかわらず、試験薬物の使用と時間的に関連する任意の望ましくない徴候および意図されない徴候(検査室での異常所見、症状、または疾患を含む)である可能性があった。
【0315】
新規の状態または既存の状態の悪化はAEと考えられた。治験参加前に存在し、治験の間に悪化しない安定な慢性的な状態、例えば関節炎は、AEと考慮されなかった。転帰が特定の対象において疾患が通常たどる経過から通常期待されるだろうよりも深刻であった場合に、治験下の疾患の悪化は調査者の臨床上の印象(clinical impression)により測定され、AEとのみ記録された。
【0316】
異常な検査所見を含む診断処置の異常な結果は、以下の場合にAEと考えた:
* 調査者による対象の中止が発生した;
* 深刻な有害事象(SAE)と関係した;
* 臨床の徴候または症状と関係した;
* 医師により臨床上有意であると考えられた。
【0317】
AEの強度または重症度は、以下のように特徴づけられた:
軽 度: 容易に許容されるAE;
中等度: 日々の活動への干渉が十分に不快であるAE;
重 度: 通常の日々の活動を妨げるAE。
【0318】
未標識(Unlabeled)/予想外のAE:
特異性、重症度、転帰または頻度により関連する安全性参照情報(Reference Safety Information)の副作用のセクションに含まれなかった反応。
【0319】
AEと試験薬との関係性は、以下の表 6にしたがって特徴づけられる。
【表6】

【0320】
AEおよび試験薬の間の関連性(存在する場合)の決定がなされた。AEが薬に起因するだろうとの合理的な可能性が存在したとの決定がなされた場合に、因果関係は存在した。
【0321】
AEは、対象がICFに署名すると同時に記録され、治験をつうじて記録された。AEは、各々の引き続く訪問の際におよび対象との電話コンタクトの際に再検討され更新された。
【0322】
注射部位反応は日誌に含められないが(即ち、発赤、そう痒、塊、腫脹または疼痛以外のもの)、対象により報告されたものはAEとして含められ、解消するまで追跡された。対象が日誌中に言及した事象の一つを報告したが、一次調査者および/または対象がそれらの通常の注射部位反応と比べて何らかの異常性が存在したことを感じた場合に、この事象もまたAEと報告された。
【0323】
報告されたAEに関して、以下の事項が記録された:
* 開始日、
* AEの記載、
* 重症度、
* 深刻度(seriousness)、
* 採択された行動、
* 試験薬との関連性、
* 事象の転帰、および
* 解消(resolution)の日
深刻な有害事象:
深刻な有害事象(SAE)は、以下のような事象と規定される
* 致死的であった事象
* 生命を危うくした事象
* 持続性のまたは顕著な能力障害/無能力(incapacity)に至った事象
* 先天性の異常/出生時欠損(birth defect)
* AEの治療のため入院または現在の入院の延長を必要とした或いはAEの結果として発生した事象であって、入院が以下の理由ではなかった事象:
o 再発のIVステロイド治療、但し再発は予想された疾患の進行を超えた状態の悪化でない
o 試験薬の開始以後に悪化しなかった既存の状態のための選択的な治療または事前に計画された治療
* 医学的に重要な事象、即ち、即座に生命を危うくしないであろうが、対象に問題を起こす事象または上記の転帰の一つを予防するための医学的または外科的な処置を必要とするであろう事象。
【0324】
重要な医学的な事象は、即座に生命を危うくしないであろうが、対象に問題を起こすであろう事象および上記の他の深刻な転帰の一つを予防するため処置を必要とするであろう事象であった。アレルギー性気管支痙攣;入院にはいたらない血液の悪液質(dyscrasias)または痙攣に関する救急治療室または自宅での集中治療などの事象であって、有害事象が本判定基準により通常深刻と考えられるもの。
【0325】
入院または現在の入院の延長は、病院の入院の承認および/または入院の延長がAEの治療のため必要とされることまたは病院の入院の承認および/または入院の延長がAEの結果で生じたことを意味する。入院または現在の入院の延長は、有意に悪化していない既存の状態の治療のために事前に計画され選択された病院の承認、または診断処置を意味しない。入院または現在の入院の延長は、再発が予想された疾患の進行を超えた状態の悪化でないかぎり、再発のIVステロイド治療のための入院を意味しない。
【0326】
AEが存在しない正常な妊娠を含む全ての妊娠は、安全性データベースに含めるためにCROに報告された。自発的(spontaneous)なまたは随意的(voluntary)な終了、出生の詳細、何らかの出生時欠損の存在または非存在、先天異常、または母体のおよび新生児の合併症を含む転帰を決定するために妊娠について追跡を行った。
【0327】
妊娠報告書および妊娠追跡書は、CROにより提供された。妊娠を報告する手順は、SAEを報告する手順と同じであった。
【0328】
「深刻(serious)」の規定における「生命を危うくする(life-threatening)」の用語は、事象の際に患者が死亡するリスクがあった事象を意味する; 重篤であった場合に、仮説的には死にいたるであろう事象を意味しない。試験期間後に発生し、IMPまたは試験参加に(おそらく/多分)関連すると考えられる任意の新規のSAEは、記録すべきであり、直ちに報告された。SAE報告が目的の試験期間は、インフォームドコンセントの書面に対象が署名してから最後の用量の30日後までの期間と規定される。
【0329】
安全性評価(Safety Laboratory Evaluations):
尿の妊娠検査以外の全ての臨床検査は、PRL〔Physicians Reference Laboratory (PRL) 7800 West 110th Street Overland Park, KS 66210〕で実施された。
【0330】
以下の検査は、訪問1(スクリーニング)、訪問2、訪問3、および訪問4/試験終了の際に実施される。
【0331】
* 血清化学:
グルコース、クレアチニン、総ビリルビン、BUN、AST(SGOT)、ALT(SGPT)、コレステロール、総蛋白(total protein)、アルブミン、ナトリウム、カリウム、クロライド、カルシウムおよびリン(phosphorous)。
【0332】
* 血液:
赤血球(RBC)数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、白血球(WBC)数および白血球分画(%で報告)および血小板数。
【0333】
* 検尿尿試験紙:
色、透明度、比重、pH、タンパク質、グルコース、ケトン、白血球エステラーゼ、亜硝酸(nitrite)、ビリルビン、ウロビリノーゲンおよび血液(blood)。
【0334】
* 尿β-HCG妊娠検査は、妊娠の可能性がある女性に関して訪問1(スクリーニング)に行われた。
【0335】
バイタルサイン:
体温、脈、血圧を含むバイタルサインは、全ての予定された訪問時に行われた。身長および体重はスクリーニングで測定され、体重は治験の終了時にのみ測定された。
【0336】
理学的検査:
全体的な様子、皮膚、HEET、肺、心臓、腹部、および筋骨格系を含む理学的検査は、訪問1(スクリーニング)および訪問4(試験の終了)に調査者または資格のある指定者により行われ記録された。
【0337】
調査者により臨床的に重要と評価された異常な所見は、関連するCRFモジュール(例えば、有害事象、病歴)に記録された。
【0338】
標準の神経学的な検査:
標準の神経学的な検査は、訪問1(スクリーニング)および訪問4(試験終了)に調査者または資格のある指定者により行われ記録された。検査には、精神状態、瞳孔および基底部、脳神経、運動検査、歩行(車椅子に束縛されていない場合)、協調反射および感覚機能が含まれる。
【0339】
調査者により臨床的に重要と評価された異常な所見は、関連するCRFモジュール(例えば、有害事象、病歴)に記録された。
【0340】
統計学的方法
本試験は、20mg/1.0ml(F1)または20mg/0.5m1(F2)のSC注射に関するGAの二製剤の耐容性および安全性を比較した。
【0341】
統計および分析方法
計画された全ての記述統計学的分析および推測統計学的分析は、SAS(登録商標)(SAS Institute Inc., Cary, NC)、バージョン8を用いて行われた。統計学的な検定は他で特定しない限り両側検定であり、複数の検定に関して調整することなくp値が<0.05であった場合に統計学的な有意性を認めた。公称値のp値が仮説検証のために提示され、小数点以下第3位までを示した。
【0342】
連続変数に関する記述統計は、N、平均、中央値、標準偏差(SD)、最小値、および最大値からなる。カテゴリーの変数に関して、各カテゴリーの数およびパーセント(%)が示される。
【0343】
基準は、試験の薬物治療の最初の注射の直前の評価と規定された。臨床転帰の分析に関して、基準は、期間1の試験治療を開始する直前の測定であった。安全性に関して、基準は、予備期間治療が開始される直前〔失われていない(non-missing)スクリーニング訪問〕に評価された測定値として規定された。
【0344】
分析したデータセット:
本試験のデータを要約し、以下の通り規定される3つの分析集団、すなわち安全性集団、包括解析(ITT)集団、およびパー・プロトコール(PP)集団に関して分析した:
* 安全性集団: 安全性集団(n=147)は、何れかの製剤の少なくとも一の注射を受けた全ての対象からなる。
【0345】
* 包括解析集団(ITT): 基準は期間1の直前の予備期間の終わりであると考えられた、少なくとも一の基準日後の観察(post baseline observation)をともなう全ての無作為化された対象からなる(n=144)。
【0346】
* パー・プロトコール集団(PP): 主なプロトコールの変動/違反なく両方の試験治療期間を完了した全ての対象からなる。この集団は、盲検解除(unblinding)の前に決定された(n=139)。
【0347】
「スクリーニングされた対象」は、インフォームドコンセントに署名し、スクリーニングの評価を有していた対象を意味する。
【0348】
全ての一次および二次の有効性分析は、ITT集団およびPP集団に関して行われた。全ての安全性分析は、安全性集団に関して行われた。
【0349】
対象個体群統計および基準の特性:
個体群統計およびバックグラウンドの変数には、年齢、性別、人種、身長、および体重が含まれ、記述統計を用いて要約された。年齢を、スクリーニング訪問の日から出生の日を差し引いて年ごとに365.25日で除した整数部分と計算した。身長および体重は、cmおよびkgで示される。
【0350】
全ての無作為化した対象の性質は、表1において治療の順序および全ての項目により要約された。各試験集団に含まれる対象の数およびパーセンテージが示される。治験を完了したまたは中止した対象の数およびパーセンテージも示される。試験を早期に中止した対象に関して、中止の理由を要約した。
【0351】
モニターおよびデータ管理により識別されるプロトコールの違反/逸脱は、データを凍結する前に考察される。対象をPP集団から除外するためのデータには、限定されず、算入/除外基準、薬および日誌の遵守、および禁止薬物での治療が含まれ、これらのデータの再検討はデータを凍結する前にスポンサーにより行われた。プロトコールの違反/逸脱の算入の文書による決定がなされないかぎり、対象の統計学的概要からの除外は許容されない。
【0352】
曝露は、治療の持続時間と規定され、予備期間、同様に、1日目(各期間で最初の用量の日)から各期間の最後の用量までを計算した。全体の曝露は、両方の期間の曝露の合計であり、記述的におよび薬製剤により要約した。
【0353】
頻度およびパーセンテージを使用して、安全性集団に関する同時のおよび以前の薬物治療群を要約した。薬物治療は、世界保健機構薬物辞書(WHODD)バージョン2008を用いてコードした。薬物治療が複数存在する対象は、一回のみ計数された。
【0354】
病歴は、各対象から得られ、薬製剤の順序群でリストした。
【0355】
ドロップアウトまたは失われたデータの取扱い:
通常、データは要約され、データを補完することなく「観察された」分析がなされた。感度分析を実施して、以下の通り「観察された」分析を確認した:
* LOCFアプローチを使用して、一次の臨床転帰の変数に関して期間1および2の期間内に失われたデータとともに全ての基準日後の時点のデータを補完した。基準の値を、前に移動しなかった。
【0356】
多施設治験:
対象の無作為化は6〜12の対象の登録を有する多くの施設に基づいたので、全ての治験施設は共にプールされた。対象が薬の順序間で等しく分けられることを保証するために、対象をコンピュータで発生させたスケジュールに応じてブロックに無作為化した。
【0357】
登録した対象の数(N=148)と比べて調査施設の数(登録に適格な23施設のうち、21施設は少なくとも一の対象を登録した)を考え合せると、施設による概要および分析の層別化は、計画されなかった(従って、小さい調査施設のプールは適用できなかった)。
【0358】
一次臨床転帰の変数:
一次の臨床転帰の変数は、注射直後に生じる注射痛の総評点(即ち、即時の総疼痛スコア)である。帰無仮説は、2試験薬製剤の間に差が存在しないことであった。
【0359】
即時の総疼痛スコアを試験するための一次分析は、2治療の交差試験に関する分散分析(ANOVA)モデルに基づいており、固定効果の用語として治療、順序、および期間並びにランダム効果の用語として順序内の対象に関して分析される。スコアにおける治療の差に対応する95%信頼区間が示される。
【0360】
二次の臨床転帰の変数:
臨床転帰は、以下の二次的な変数により評価された:
* 二つの試験薬製剤の間の注射後5分間に生じる注射痛の総評点における二つの試験薬製剤の間の差。
【0361】
* 二つの試験薬製剤の間の注射後5分間内に生じる総注射LISR重症度評点(total injection LISR severity rating)における二つの試験薬製剤の間の差。
【0362】
* 二つの試験薬製剤の間の注射後5分間内に生じる総注射LISR出現(即ち、存在)における二つの試験薬製剤の間の差。
【0363】
* 二つの試験薬製剤の間の注射後に先の24時間内に生じる総注射LISR重症度評点(total injection LISR severity rating)における二つの試験薬製剤の間の差。
【0364】
* 二つの試験薬製剤の間の注射後に先の24時間内に生じる総注射LISR出現(即ち、存在)における二つの試験薬製剤の間の差。
【0365】
記述統計学を用いた全ての臨床転帰の変数に関する概要を分析することに加えて、一次の臨床転帰の変数分析に関して上記のANOVA技術を用いて二次の変数を分析した。一次転帰の変数が正規分布しなかったので、同じノンパラメトリック法を二次の臨床転帰の変数に用いた。必要であれば、適切なカテゴリー分析手順を行った。試験薬製剤による毎日の疼痛スコアおよびLIRSsの存在/非存在およびLIRSsの重症度を視覚的に表現するためにプロットを提供した。
【0366】
探索的分析(Exploratory Analysis):
* 試験薬製剤による平均の即時VAS疼痛存在総スコア(Average Immediate Pain Presence Total scores)。
【0367】
* 試験薬製剤による平均の5分間VAS疼痛存在総スコア(Average 5-minute Pain Presence Total scores)。
【0368】
* 薬製剤による個々のLISR症状に関する毎日の平均5分間のスコア。また、平均の毎日のスコアのプロットが、図 4(A-D)に提供される。
【0369】
* 薬製剤による各個々のLISR症状に関する毎日の平均24時間のスコア。また、平均の毎日のスコアのプロットが、図 5(A-D)に提供される。
【0370】
耐容性分析:
耐容性は、AE、注射部位の疼痛または反応、および臨床検査異常により試験を早期に中断している対象におけるグループ間の比較に基づいた。加えて、データが適正である場合に、カプランマイヤープロダクトリミットアルゴリズムを適用して各試験薬製剤に関する中断曲線(discontinuation curves)への時間、中央値事象時間(median event time)、および中央値に関する95%信頼区間を計算する。
【0371】
安全性分析:
全ての安全性の分析および要約を安全性集団を用いて行い、これにはAE、臨床検査、物理的および神経学的な検査、並びにバイタルサインの評価が含まれた。全ての安全性パラメータに関する基準の評価はスクリーニング評価であった。
【0372】
有害事象: AEは、器官別大分類(SOC: system organ class)およびMedical Dictionary for Regulatory Affairs (MedDRA)辞書バージョン11.1を用いた好適な用語(preferred term)および試験薬製剤により要約される発生率(incidence)で分類された。AE、試験薬に関連するAEおよびSAEs(存在する場合)を有する対象の発生率は、全ての治療緊急有害事象(TEAEs: treatment emergent adverse events)に関する好適な用語およびSOCにしたがって試験薬製剤で要約された。TEAEsは、TEAEsが生じた期間(予備期間を含む)の間に受けた薬製剤に割り当てられた。加えて、最も頻繁に生じるTEAEsは、何れかの試験薬製剤で少なくとも5%発生し、試験薬製剤に応じてSOCおよび好適な用語により示される。
【0373】
治療に関連するAEは、調査者によって試験薬に恐らくまたは多分関連すると考えられたAEと規定された。各々の好適な用語の最も重篤な出現および各々の好適な用語の最も関連する出現は、各対象について選択された。
【0374】
スクリーニング時に開始している任意のAEは、AEの頁には記録されず、代わりに病歴に加えられた。
【0375】
臨床検査: 血液学および化学の検査を含む臨床検査評価は、試験薬製剤に応じて基準(スクリーニング)でおよび各評価時点で記述統計学を用いて要約され、これには試験の間の基準からの変化が含まれる。
【0376】
バイタルサイン: 血圧、脈拍数、および温度を含むバイタルサインは、試験薬製剤に応じて基準でおよび各評価時点で記述統計学を用いて要約され、これには試験の間の基準からの変化が含まれる。
【0377】
理学的検査: 理学的検査が基準から変化した数およびパーセンテージは、全体的な様子、皮膚、頭部、眼、耳、鼻および咽頭(HEENT)、肺、心臓、腹部、および筋骨格系に関して要約された。
【0378】
神経学的な検査: 神経学的な検査の基準からの変化は、精神状態、瞳孔および基底部、脳神経、運動検査、歩行(車椅子に束縛されていない場合)、協調反射および感覚機能に関するシフト表(shift table)に要約された。
【0379】
サンプルサイズの理論的根拠:
20mg/1.0ml用量のCopaxone(登録商標)を投与するための注射筒装置にautoject(登録商標)を用いた対象の以前の試験(PM020)において、毎日の注射直後4日間を超えて平均した疼痛の評点に関する平均および標準偏差を使用して、本試験のサンプルのサイズが見積もられた。本試験は、14日の期間以上の注射を平均化した。PM020試験からの1.69の平均および0.81の標準偏差、18%の効果量(effect size)、および0.05のアルファ値および80%の検出力(power)での修正サンプル平均に関する両側t検定を用いて、薬順序群(総数120)ごとに約60対象が必要とされた。10%のドロップアウト率を斟酌して、総数で少なくとも132患者が前記試験に必要とされた。
【0380】
無作為化:
対象が適格性基準に適合した後に、対象は、施設により階層化されたブロックに1:1の割当比を使用する無作為化手順に基づいて割り当てられた。無作為化スキームは、CROにより調製された。
【0381】
一旦、対象の登録が承認されると、対象のID番号(対象番号)が割り当てられた。
【0382】
結果
治療遵守の測定
全体で99.56%の対象は20mg/1.0ml用量のGAの間遵守し、99.46%%の対象は20mg/0.5ml用量のGAの使用の間遵守した。100%の遵守を示す対象のパーセンテージは、GAの20mg/1.0ml用量(91.7%)の間よりも20mg/0.5ml用量(94.4%)の間で僅かに高かった。GAの20mg/1.0ml用量をうけた1対象(16/06)は、訪問4の予約の朝に注射を誤って行ったことにより>100%(106%)の遵守を有した; しかしながら、これを過量と考えなかった。
【0383】
一次の臨床転帰評価
表7は、ITT集団に関する平均の即時VAS総疼痛スコアの分析を示す。平均の即時VAS総疼痛スコアは、GAの20mg/1.0ml用量の投与後に11.89であり、GAの20mg/0.5ml用量の投与後に8.64であった。これはGAの20mg/1.0ml注射と比べてGAの20mg/0.5ml注射後に疼痛が少なかったことを経験したことを示している。
【0384】
2治療の比較において、ランク付けしたVASスコアは、観測値21.1(95% CI: 13.4, 28.8)まで異なっており; このランクにおける差は、GAの20mg/0.5ml用量に有利に統計的に有意(p<0.0001)であるが、何れのグループも平均で0〜100の範囲のVASスケールとして高レベルの疼痛を有さなかった。
【表7】

【0385】
図1は、ITT集団に関する即時のVAS総スコアの毎日の総プロットを示す。
【0386】
ITT集団において早期に中断している対象に関する前に移動した最終観察(LOCF: last observation carried forward)を用いた平均の即時VAS総スコアの感度分析を行った。この感度分析において、類似する結果が観察され、GAの二製剤の間で統計的に有意な差 (p<0.0001)があり、20mg/0.5ml用量が有利であった。
【0387】
PP集団に関する平均の即時VAS総スコアの分析も行われた。PP集団に関する平均の即時VAS総スコアは、GAの20mg/1.0ml用量の投与後に11.44であり、GAの20mg/0.5ml用量の投与後に8.31であった。二治療の比較において、ランク付けしたVASスコアは、観測値20.4 (95% CI: 12.7, 28.0)まで異なり; このランクにおける差は、統計的に有意(p<0.0001)であり、GAの20mg/0.5ml用量に有利であった。
【0388】
PP集団に関する即時のVAS総スコアの毎日の総プロットは、図2に示される。ITT集団と比較して、類似する結果がPP集団において観察され、GAの2製剤において統計的に有意な差(p<0.0001)が認められ、GAの20mg/0.5ml用量が有利であった。
【0389】
二次の臨床転帰の評価
5分間の総疼痛スコア
表8は、ITT集団に関する平均の5分間でのVAS総スコアの分析を示す。平均のVAS総疼痛スコアは、GAの20mg/1.0ml用量の投与後5分間で17.19であり、GAの20mg/0.5ml用量の投与後5分間で11.85であった。2治療の比較において、ランク付けしたVASスコアは、観測値27.2(95% CI: 20.2, 34.3)まで異なり; このランクにおける差は、統計的に有意(p<0.0001)であり、GAの20mg/0.5ml用量に有利であった。
【0390】
図3は、ITT集団に関する5分間でのVAS総スコアの毎日の総プロットを示す。
【0391】
類似する結果はPP集団に関して観察されており、GAの2製剤において統計的に有意な差(p<0.0001)があり、GAの20mg/0.5ml用量が有利であった。
【表8】

【0392】
5分間でのLISR存在スコア
表9は、ITT集団に関する平均の5分間でのLISR総存在スコアの分析を示す。LISR総存在スコアは、如何に多くの発赤、そう痒、腫脹、および塊の症状を経験したかに応じて個々の対象に関して0〜4の範囲を取り得た。平均のLISR総存在スコアは、GAの20mg/1.0ml用量の投与後5分間で1.85であり、GAの20mg/0.5ml用量の投与後5分間で1.41であった。2治療の比較において、ランク付けしたVASスコアは、観測値35.0(95% CI: 25.4, 44.6)まで異なり; このランクにおける差は、統計的に有意(p<0.0001)であり、GAの20mg/0.5ml用量に有利であった。
【0393】
類似する結果はPP集団において観察されており、GAの2製剤において統計的に有意な差 (p<0.0001)があり、GAの20mg/0.5ml用量が有利であった。
【表9】

【0394】
5分間でのLISR重症度スコア
表10は、ITT集団に関する平均の5分間でのLISR総重症度スコアの分析を示す。LISR総重症度スコアは、発赤、そう痒、腫脹、および塊の症状の各々の重症度(0〜3の評点)を経験したかに応じて個々の対象に関して0〜12の範囲を取り得た。平均のLISR総重症度スコアは、GAの20mg/1.0ml用量の投与後5分間で2.30であり、GAの20mg/0.5ml用量の投与後5分間で1.64であった。
【0395】
2治療の比較において、ランク付けしたVASスコアは、観測値36.9 (95% CI: 27.3, 46.5)まで異なり; このランクにおける差は、統計的に有意(p<0.0001)であり、GAの20mg/0.5ml用量に有利であった。
【0396】
類似する結果はPP集団に関して観察されており、GAの2製剤において統計的に有意な差 (p<0.0001)があり、GAの20mg/0.5ml用量が有利であった。
【表10】

【0397】
24時間でのLISR存在スコア
表11は、ITT集団に関する平均の24時間でのLISR総存在スコアの分析を示す。平均のLISR総存在スコアは、GAの20mg/1.0ml用量の投与後24時間で1.19であり、GAの20mg/0.5ml用量の投与後24時間で0.92であった。2治療の比較において、ランク付けしたVASスコアは、観測値23.8(95% CI: 14.9, 32.6)まで異なり; このランクにおける差は、統計的に有意(p<0.0001)であり、GAの20mg/0.5ml用量に有利であった。
【表11】

【0398】
類似する結果はPP集団において観察されており、GAの2製剤において統計的に有意な差(p<0.0001)があり、GAの20mg/0.5ml用量が有利であった。
【0399】
24時間でのLISR総重症度スコア
表12は、ITT集団に関する平均の24時間のLISR総重症度スコアの分析を示す。平均のLISR総重症度スコアは、GAの20mg/1.0ml用量の投与後24時間で1.47であり、GAの20mg/0.5ml用量の投与後24時間で1.10であった。
【0400】
2治療の比較において、ランク付けしたVASスコアは、観測値23.8(95% CI: 15.0, 32.7)まで異なり; このランクにおける差は、統計的に有意(p<0.0001)であり、GAの20mg/0.5ml用量に有利であった。
【表12】

【0401】
類似する結果はPP集団において観察されており、GAの2製剤において統計的に有意な差(p<0.0001)があり、GAの20mg/0.5ml用量が有利であった。
【0402】
追加観察
F2の注射は、RRMSの治療におけるF1の注射と少なくとも同程度に有効である。
【0403】
探索的な臨床評価
平均の即時VAS疼痛存在総スコア
以下の表13は、ITT集団に関する平均の即時疼痛存在総スコア〔疼痛スコアは、疼痛なし=0(0-4 mmのVASスコア)または疼痛=1(5-100 mmのVASスコア; 57頁の「探索的な転帰の評価」を参照されたい)の何れかの二群に分けた〕の分析を示す。平均の即時VAS疼痛存在総スコアは、GAの20mg/1.0ml用量の投与後に0.53であり、GAの20mg/0.5ml用量の投与後に0.43であった。この結果は、GAの20mg/1.0ml用量の注射後の疼痛がGAの20mg/0.5ml用量の注射後の疼痛よりも強かったことを示唆している。
【0404】
2治療の比較において、ランク付けしたVAS疼痛存在スコアは、観測値20.3(95% CI: 12.0, 28.6)まで異なり; このランクにおける差は、統計的に有意(p<0.0001)であり、GAの20mg/0.5ml用量に有利であった。
【表13】

【0405】
平均の5分間VAS疼痛存在総スコア
表14は、ITT集団に関する平均の5分間疼痛存在総スコア〔疼痛スコアは、疼痛なし=0(0-4 mmのVASスコア)または疼痛=1(5-100 mmのVASスコア; 57頁の「探索的な転帰の評価」を参照されたい)の何れかの二群に分けた〕の分析を示す。平均のVAS疼痛存在総スコアは、GAの20mg/1.0ml用量の投与後5分間で0.67であり、GAの20mg/0.5ml用量の投与後5分間で0.54であった。2治療の比較において、ランク付けした5分間VAS疼痛存在総スコアは、観測値27.0(95% CI: 19.0, 34.9)まで異なっており; このランクにおける差は、統計的に有意(p<0.0001)であり、GAの20mg/0.5ml用量に有利であった。
【表14】

【0406】
平均の毎日5分間でのLISRスコア
表15は、ITT集団に関する平均の毎日5分間のLISRスコアを示す。平均の毎日5分間のLISRスコアのプロットは、ITT集団に関して図4(A-D)に示される。腫脹、発赤、そう痒、および塊は、治験の間の局所注射部位反応と考えられる4症状であった。これらの症状の各々に関する平均のLISRスコアは、各々の訪問時の注射の投与後5分間でGAの20mg/1.0ml用量をうけている対象に関するよりもGAの20mg/0.5ml用量をうけている対象に関して低くかった。
【表15】

【0407】
平均の毎日24時間でのLISRスコア
表16は、ITT集団に関する平均の毎日24時間のLISRスコアを示す。平均の毎日24時間のLISRスコアのプロットは、ITT集団に関して図5(A-D)に示される。これらの症状の各々に関する平均のLISRスコアは、各々の訪問時の注射投与後24時間でGAの20mg/1.0ml用量をうけている対象に関するよりもGAの20mg/0.5ml用量をうけている対象に関して低くかった。
【表16】

【0408】
注射の5分間後に症状なし。
【0409】
表17は、ITT集団に関する注射後5分間に症状を報告していない対象の数およびパーセントを示す。多くの対象は、何れかの製剤の注射後5分間に幾つかの症状を報告した。しかしながら、20mg/0.5mlのGA注射後5分間に症状がないと報告している対象の数およびパーセンテージは、各日インターバルで20mg/1.0mlのGA注射後5分間に症状がないと報告している対象の数およびパーセンテージの二ないし三倍であった。
【表17】

【0410】
注射の24時間後に症状なし。
【0411】
表18は、ITT集団に関する注射後24時間に症状を報告していない対象の数およびパーセントを示す。大多数の対象は、何れかの製剤の注射後24時間に症状を報告した; しかしながら、注射後5分間に症状を報告している対象よりも注射後24時間で症状を報告している対象は少なかった。20mg/0.5mlのGA注射後24時間で症状がないと報告している対象の数およびパーセンテージは、多くの日のインターバル(most day interval)で20mg/1.0mlのGA注射後24時間に症状がないと報告している対象の数およびパーセンテージよりも約25%-50%高かった。
【表18】

【0412】
注射部位での注射後5分間の症状
表19は、ITT集団に関して注射部位での注射後5分間に症状を報告している対象の数およびパーセントを示す。全体では、20mg/0.5mlのGA注射後5分間に症状を報告している対象の数およびパーセンテージは、20mg/1.0mlのGA注射後5分間に症状を報告している対象の数およびパーセンテージ未満であり、左腕の発赤および右腕のそう痒は例外的な事象であった。
【表19】

【0413】
注射部位での注射後24時間での症状
表20は、ITT集団に関して注射部位での注射後24時間に症状を報告している対象の数およびパーセントを示す。全体では、20mg/0.5mlのGA注射後24時間で症状を報告している対象の数およびパーセンテージは、20mg/1.0mlのGA注射後24時間で症状を報告している対象の数およびパーセンテージ未満であり、左腕が注射部位であった場合の発赤は例外的な事象であった。
【表20】

【0414】
20mg/0.5ml単位剤形と40mg/ml単位剤形の比較
20mg/0.5ml製剤は、20mg/mlおよび40mg/mlの製剤と比較して臨床試験において驚くべき特性を呈する。
【0415】
以下の表21に示すように、40mg/mlの溶液のグラチラマーアセテートは、20mg/ml用量42の投与以上の有効性は呈さない。薬の剤形(dosage)の倍増と共に薬濃度の倍増することによって、患者40-42への有効性の倍増は導かれなかった。活性薬(active drug)の量および薬濃度の両方を倍増することによって、単位剤形の有効性は倍増しない。実際に、先行技術は、薬濃度を倍増することにより薬の有効性が阻害されうることを示している。
【表21−1】

【表21−2】

【表21−3】

【0416】
要約すると、20mg/0.5ml形態のグラチラマーアセテートは、グラチラマーアセテートの先行技術の製剤と異なるユニークで新規の製剤であり、具体的には:
1) 物理的に、20mg/0.5mlは、先行技術に開示された容量(1ml)の半分で送達され、マンニトールの半量、即ち20mgを含む。
【0417】
2) これらの物理的な差にもかかわらず、20mg/0.5ml製剤は、20mg/1mlまたは40mg/mlのグラチラマーアセテートの先行技術の製剤の何れかと少なくとも同程度に有効である(上記の表21を参照されたい)。
【0418】
3) 出願人の臨床試験データは、40mg/mlのグラチラマーアセテート製剤が副作用、即ち、即時型注射後反応(IPIRs)の出現、IPIRsの重症化、および注射部位反応の発生の顕著な増加と関係することを明らかとした(上記表21を参照されたい)。
【0419】
4) 対照的に、出願人は、臨床試験を通して20mg/0.5mlの新しい製剤が、疼痛が少なく、注射部位反応が少なく且つ重症度が低いことを発見した(上記表21を参照されたい)。
【0420】
考察
バイオテクノロジーの急速な進歩によって、多くのペプチド療法の開発が導かれた。そのようなペプチド療法の臨床使用の成功には、適切な製剤が必要とされる。頻繁なおよび慢性的な投与を必要とするタンパク質薬物を送達するための最も通常の経路は、皮下注射である(Shire, 2004)。事前に充填されたシリンジと自動注入装置技術とを組み合せた場合に、皮下での送達による自宅で投与することや投与の遵守を改善することが可能になる。しかしながら、皮下注射に利点があるにもかかわらず、皮下の薬物送達と関係する幾つかの障壁および制限が存在する。第一に、可能な注射容量に制限があることによって、主な不都合が生じる。典型的には、1〜2ml以下の溶液が、許容される(Kansara, 2009)。第二に、注射の部位で薬が分解する可能性があり、バイオアベイラビリティーの減少が生じる。第三に、薬の物理化学的な特性に基づくと、強力な化合物は、更に局在性の刺激、薬の沈殿および濃度依存的な副作用を生じる可能性がある間質空間に局所的にトラップされうる(Kansara, 2009)。
【0421】
従って、生物学的な療法が進歩しているにもかかわらず、皮下での薬物送達法を改善する必要性がなおも存在する。特に、薬の活性および安定性が保存され注射容量を減少させることが許容される信頼のおける濃縮薬を調製する必要がある。
臨床転帰
この試験は、多施設、無作為、2アーム、単独交差試験であり、RRMSの対象の皮下に投与された20mg/1.0ml(Fl) 対 20mg/0.5ml(F2)のGAの2製剤の耐容性および安全性を比較するために実施された。対象は、5週の総治療期間の間に交差様式で毎日一回両方の用量を受けた。
【0422】
一次の臨床転帰の変数は、注射直後に生じる注射痛の総評点(即ち、即時の総疼痛スコア)である。注射直後および後の時点での疼痛は、両方の製剤に関して相対的に低かった。しかしながら、平均の即時VAS総疼痛スコアは、20mg/1.0mlのGA注射と比べて20mg/0.5mlのGA注射の投与後に低かった。GAの2製剤の間のランク付けしたスコアの差は、統計的に有意(p<0.0001)であり、20mg/0.5ml用量が有利であった。
【0423】
注射直後および5分間に生じる疼痛は、GAの20 mg/1.0ml製剤と比べてGAの20 mg/0.5ml製剤で低く; ランク付けしたスコアの差は、統計的に有意(p<0.0001)であった。二次の臨床転帰は、試験薬製剤による毎日のVAS疼痛スコア(注射後5分間)、およびLIRSsの発生率および重症度(注射後5分間および24時間)であった。用量の注射後5分間でのVAS総疼痛スコアは、GAの20mg/1.0ml注射と比べてGAの20mg/0.5ml注射に関して低かった。
【0424】
同様に、対象が報告したLISRsの発生率および重症度は、用量の注射後5分間および24時間で20 mg/1.0mlのGA注射と比べて20 mg/0.5mlのGA注射で低く; ランク付けしたスコアの差は、統計的に有意(p<0.0001)であった。
【0425】
探索的な分析は、一次および二次の分析の所見を支持するものであった。平均の疼痛存在スコアは、20 mg/1.0ml用量のGAと比べて20 mg/0.5ml用量のGAでの注射後の即時および5分間に低かった。20 mg/0.5ml GAの5分後および24時間後に症状なしを報告した対象の数およびパーセンテージは多く、これに対し20 mg/1.0ml GAの注射をうけた後での対象の数およびパーセンテージは低かった。LISRsデータを症状の存在または非存在に応じて対象を分けることにより更に考察した。対象の僅か4〜16%が、0-3日、4-6日、7-9日および9日の間の両方の製剤にわたる注射後5分間で症状なしを報告した; しかしながら、症状なしの対象の割合は、20 mg/0.5ml製剤の方が20 mg/1.0ml製剤よりも約二ないし三倍高かった。注射後24時間までに、対象の4〜33%が、0-3日、4-6日、7-9日および9日の間で両方の製剤で症状なしを報告した; 20 mg/0.5ml後の割合は、他の製剤の後の割合よりも50%高かった。
【0426】
安全性に関する結論
対象の多くの数およびパーセンテージは、20 mg/0.5ml GAの5分後および24時間後に症状なしを報告し、これに対し20 mg/1.0ml GAの注射をうけた後では数およびパーセンテージは比較して低かった。TEAEsを報告する対象のパーセンテージは、両方の治療に関して低かった(<20%)。全体で27のTEAEsを20mg/1.0mlのGA注射後に18対象(12.5%)が報告し、38のTEAEsを20mg/0.5mlのGA注射後に26対象(18.1%)が報告した。20mg/0.5mlのGA注射の投与後に最も頻繁に報告されたTEAEsは、尿路感染(2.8%)、および ウイルス性の上気道感染、関節痛、および頭痛(各1.4%)であった。20mg/1.0mlのGA注射の投与後に最も頻繁に報告されたTEAEsは、挫傷、筋肉虚弱(muscular weakness)、および運動失調(各1.4%)であった。全体では、予備期間の間の重篤な胆管ジスキネジアおよび20mg/1.0mlのGA注射の投与後の重篤な筋緊張亢進の2つの重篤なTEAEsが試験の間に報告された。双方の事象は、試験治療に関連するものではなく、一日または二日で解消した。他の全てのTEAEsは、軽度または中等度の何れかの強度であった。
【0427】
全体で、20mg/1.0mlのGA注射後に3対象(2.1%)および20mg/0.5mlのGA注射後に4対象(2.8%)は、治療に関連するTEAEsを有していた。治療に関連するTEAEsは、便秘、注射部位小結節(injection site nodule)、頭痛、不安発作、および呼吸困難が20mg/0.5mlのGA注射の投与後に各々が1対象(0.7%)に関して報告され; 肝臓酵素の増加、頭痛、不安および不安発作(panic attack)が20mg/1.0mlのGA注射の投与後に各々が1対象(0.7%)に関して報告された。
【0428】
試験パラメータ(血液学および血清化学)における基準からの平均の変化は、小さいものであり、製剤間で感知できるほど異なっていなかった。正常な検査値から異常な検査値(血液および血清化学)への顕著なシフトは、試験の間に何れの群に関しても観察されなかった。バイタルサインの臨床上顕著な変化は、試験の基準と比べて試験の終了時に観察されなかった。基準と比べた試験の終了時の理学的検査結果における変化は、最小であった。顕著な身体所見は、試験の間に観察されなかった。正常から異常への神経学的な試験結果の顕著なシフトは、何れの群に関しても試験の間に観察されなかった。
【0429】
総括
疼痛の重症度の臨床試験の一次転帰は、製剤間のランク付けしたスコアに有意差が存在することと一致し、GAの20mg/0.5ml製剤が有利であった。LISRの存在および重症度スコアの平均は両方の製剤に関して低く、注射部位反応は相対的に稀であり、存在する場合には殆どのケースで重篤ではなかったことが示された。VASの所見と類似して、注射部位反応測定に関するランク付けしたスコアは、20mg/0.5ml製剤のGAが有意に有利であった。両方の製剤は、良好な耐容性および安全性のプロフィールを示した。疼痛を含む注射部位反応はRRMSに対する毎日のGA注射をうけている対象において最も頻繁に報告された有害事象であるので、20mg/0.5mlは患者に臨床上の利益を提供しうる。本試験の対象は20 mg/1.0mlのGA製剤と比較して20 mg/0.5mlのGA製剤の使用後に疼痛が少なく且つ注射部位反応が少ないことを報告したので、20 mg/0.5mlのGA製剤は匹敵する有効性を有していることから毎日の注射を必要とするRRMSの患者に有利であろう。
【0430】
[参考文献]
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42. Teva Provides Update on FORTE Trial, Teva News & PR, Press Release, July 7, 2008.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における再発の頻度を減少させるための方法であって、20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを溶液中に含む水性の薬学的溶液の0.5mlを患者に皮下注射で投与することを含む方法。
【請求項2】
多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、多発性硬化症の少なくとも一つの病巣を有するヒト患者における再発の頻度を減少させるための方法であって、20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを溶液中に含む水性の薬学的溶液の0.5mlを患者に皮下注射で投与することを含む方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記水性の薬学的溶液のpHは5.5〜7.0である方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の方法であって、20mgのグラチラマーアセテートは、0.5mlの水性の薬学的溶液中でポリペプチド凝集物を形成しない方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の方法であって、20mgのグラチラマーアセテートは、注射後の皮下環境において沈殿しない方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の方法であって、20mgのグラチラマーアセテートは、皮下注射後に患者により吸収される方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の方法であって、皮下注射は、腕の上背部、臍の周囲2インチの領域の外側の胃領域、殿部の上部外側後部四分円部位、または膝上2インチ且つ鼠径部下2インチの大腿の前面且つ外側の領域に投与される方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の方法であって、皮下注射に関連する疼痛は、20mgグラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液の皮下注射に関連する疼痛と比べて減少する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、疼痛は、注射後直ちに行われる視覚的なアナログスケール(VAS)において患者が報告した注射痛の総評点である方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、患者が報告した注射痛の総評点は、約27%減少する方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、前記疼痛は、皮下注射後5分間に経験する視覚的なアナログスケール(VAS)において患者が報告した注射痛の総評点である方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、皮下注射後5分間で経験する患者が報告した注射痛の総評点は、約31%減少する方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法であって、前記疼痛は、皮下注射後の即時の疼痛の存在である方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記即時の疼痛の存在は、約19%減少する方法。
【請求項15】
請求項8に記載の方法であって、前記疼痛は、皮下注射後の5分間での疼痛の存在である方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記疼痛は約19%減少する方法。
【請求項17】
請求項1〜8の何れか一項に記載の方法であって、局所注射部位反応(LISRs)の総数または総重症度は、20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液の皮下注射と関連するLISRの総数または総重症度と比べて減少する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記皮下注射後5分間の局所注射部位反応(LISRs)の総数または総重症度は、減少する方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記皮下注射後5分間の局所注射部位反応(LISRs)の総数は、約24%減少する方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、前記皮下注射後5分間の局所注射部位反応(LISRs)の総重症度は、約29%減少する方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、前記皮下注射後24時間の局所注射部位反応(LISRs)の総数または総重症度は、減少する方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記皮下注射後24時間の局所注射部位反応(LISRs)の総数は、約23%減少する方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、前記皮下注射後24時間の局所注射部位反応(LISRs)の総重症度は、約25%減少する方法。
【請求項24】
請求項1〜8の何れか一項に記載の方法であって、毎日の5分間での局所注射部位反応(LISR)スコアは、20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液の皮下注射と関連する毎日の5分間でのLISRスコアと比べて減少する方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記LISRが腫脹である方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、前記LISRが発赤である方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、前記LISRがそう痒である方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法であって、前記LISRが塊である方法。
【請求項29】
請求項1〜8の何れか一項に記載の方法であって、毎日の24時間での局所注射部位反応(LISR)スコアは、20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液の皮下注射と関連する毎日の24時間でのLISRスコアと比べて減少する方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記LISRが腫脹である方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法であって、前記LISRが発赤である方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法であって、前記LISRがそう痒である方法。
【請求項33】
請求項29に記載の方法であって、前記LISRが塊である方法。
【請求項34】
請求項1〜33の何れか一項に記載の方法であって、0.5mlの水性の薬学的溶液は、事前に充填されたシリンジ中に存在する方法。
【請求項35】
請求項35に記載の方法であって、前記投与は、事前に充填されたシリンジを含む自動化皮下注射装置並びに皮下注射を開始するための手段、皮下注射を完了するための手段および0.5mlの水性の薬学的溶液の皮下注射が完了したことを使用者に示すための手段による方法。
【請求項36】
請求項1または2に記載の方法であって、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における再発の頻度の減少において、20mg グラチラマーアセテートおよび40mg マンニトールの1.0mlの水性の薬学的溶液と少なくとも同程度有効である方法。
【請求項37】
溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量。
【請求項38】
請求項37に記載の単位用量であって、20mgのグラチラマーアセテートは、0.5mlの水性の薬学的溶液中でポリペプチド凝集物を形成しない単位用量。
【請求項39】
請求項37または38に記載の単位用量であって、前記0.5mlの水性の薬学的溶液は、5.5〜7.0のpHを有する単位用量。
【請求項40】
事前に充填されたシリンジに存在する、請求項37〜39の何れか一項に記載の単位用量。
【請求項41】
再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における再発の頻度の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含む0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量。
【請求項42】
多発性硬化症の最初の臨床発作を経験し、臨床上明確な多発性硬化症(CDMS)を発症するリスクが高いと決定されたヒト患者の治療に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量。
【請求項43】
再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における臨床症状悪化の頻度の減少にまたは活動的なMRI脳病巣の数および体積の減少化に使用するための溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含む0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量。
【請求項44】
単一の脱髄事象を経験したヒト患者および臨床上明確な多発性硬化症を発症するリスクがあると考えられるヒト患者における臨床上明確な多発性硬化症の開始の遅延または活動的なMRIの脳病巣の数および体積の減少化に使用するための、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量。
【請求項45】
再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者における臨床症状悪化の頻度を減少させるまたは活動的なMRIの脳病巣の数および体積を減少させるための、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用。
【請求項46】
単一の脱髄事象を経験したヒト患者および臨床上明確な多発性硬化症を発症するリスクがあると考えられるヒト患者における臨床上明確な多発性硬化症の開始の遅延または活動的なMRIの脳病巣の数および体積の減少化のための、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の使用。
【請求項47】
溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を患うヒト患者の治療に使用する薬学的組成物。
【請求項48】
単一の脱髄事象を経験したヒト患者および臨床上明確な多発性硬化症を発症するリスクがあると考えられるヒト患者の治療に使用するための、溶液中に20mg グラチラマーアセテートおよび20mg マンニトールを含有する0.5mlの水性の薬学的溶液の単位用量を含む薬学的組成物。
【請求項49】
以下を含む改善された注射補助装置:
逆に配置された第一および第二の開口部を有する第一の内部腔を有する第一の外殻;および
前記第一の外殻に可動且つ除去可能に連結可能であり、前記第一の外殻の色と実質的に対比されるように構成される第二の外殻、前記第二の外殻は、前記第一の外殻の第二の開口部に向け配向された少なくとも第一の開口部を有する第二の内部腔を有する;
注射を開始するように構成されたボタン;
前記第二の外殻から前記第一の外殻に動く既定の圧縮力の非存在下で注射の開始を阻止するように構成された注射ロック部材;
注射中に少なくとも一つの第一および第二の腔内に配置されたシリンジに適用される既定量の注射エネルギーを吸収し、保持するように構成された注射エネルギー保存部材;
前記シリンジ内から既定量の内容物を排出するように、注射の開始に際して前記シリンジに注射エネルギーを適用するように構成された注射アクチュエータ;および
既定量の内容物がシリンジ内から排出されたときに使用者に示すように構成されたインジケーターウィンドウ内の注射完了インジケーター,
前記改善は、以下を含む:
注射ロック部材がロックした状態にあるかどうかを使用者に示すように構成され、前記第一の外殻および前記第二の外殻の双方の色と実質的に対比されるように構成され、前記第一および第二の外殻は互いに色が対比され、前記第二の外殻において既定量の圧縮力の存在下で使用者の視界から実質的に遮蔽されるように構成された前記第一の外殻および前記第二の外殻の間且つインジケーターウィンドウの外側に配置された注射ロックインジケーター。
【請求項50】
請求項49に記載の注射補助装置であって、前記改善はさらに前記注射完了インジケーターに使用者の注意を向けるように構成された注意ディレクターを含む注射補助装置。
【請求項51】
請求項49または50に記載の注射補助装置であって、さらに少なくとも既定量の注射エネルギーが注射エネルギー保存部材に保存されたかどうかを使用者に示すように構成された注射力貯蔵インジケーターを含む注射補助装置。
【請求項52】
請求項49〜51の何れか一項に記載の注射補助装置であって、前記改善は、さらに第二の外殻の外面に配置された外側グリップ部材を含む注射補助装置。
【請求項53】
請求項52に記載の注射補助装置であって、前記外側グリップ部材は、第二の外殻よりも軟らかい物質から形成される注射補助装置。
【請求項54】
請求項49〜53の何れか一項に記載の注射補助装置であって、隆起部が外側グリップ部材とヒトの手との間の摩擦を増加させるように外側グリップ部材の外面に存在する注射補助装置。
【請求項55】
請求項49〜54の何れか一項に記載の注射補助装置であって、前記改善は、さらに第一の外殻の色、第二の外殻の色、および注射ロックインジケーターの色と実質的に対比されるように構成された第一の外殻および第二の外殻の間の環部材を含む注射補助装置。
【請求項56】
請求項50〜55の何れか一項に記載の注射補助装置であって、前記注意ディレクターは、注射の方向に使用者の注意を向けるように構成された注射補助装置。
【請求項57】
請求項50〜56の何れか一項に記載の注射補助装置であって、前記注意ディレクターは、注射ロックインジケーターに使用者の注意を向けるように構成された注射補助装置。
【請求項58】
請求項50〜57の何れか一項に記載の注射補助装置であって、前記注意ディレクターは、ロック部材をアンロックするために適用される力の方向に使用者の注意を向けるように構成された注射補助装置。
【請求項59】
請求項50〜58の何れか一項に記載の注射補助装置であって:
注意ディレクターの色は、近くに配置された構成要素の色と実質的に対比されるように構成され、
注意ディレクターの形は、前記注射完了インジケーターに使用者の注意を向けるように構成された注射補助装置。
【請求項60】
請求項49〜59の何れか一項に記載の注射補助装置であって、更に針貫通深さ調整部材およびシリンジ針キャップ除去部材を含む注射補助装置。
【請求項61】
請求項60に記載の注射補助装置であって、前記改善は、さらに注射を開始するように構成されたボタンと色を実質的に対応させるように構成されたシリンジ針キャップ除去部材を含む注射補助装置。
【請求項62】
請求項49〜61の何れか一項に記載の注射補助装置であって、前記改善は、さらに0.5 mlの液体をシリンジから排出するように構成された注射アクチュエータを含む注射補助装置。
【請求項63】
請求項62に記載の注射補助装置であって、前記シリンジは、0.5 ml溶液中に20mg グラチラマーアセテートを含む注射補助装置。
【請求項64】
請求項49に記載の注射補助装置であって、前記改善は、さらに前記注射ロック部材がロックした状態ではない場合に使用者の視界から実質的に遮蔽されるように構成される注射ロックインジケーターを含む注射補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図8K】
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【図8L】
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【図8M】
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【図8N】
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【図8O】
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【図8P】
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【図8Q】
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【図8R】
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【公表番号】特表2012−533540(P2012−533540A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520598(P2012−520598)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/001972
【国際公開番号】WO2011/008274
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】