説明

グラフィカルユーザインターフェース、図面データ管理装置及び図面データ管理方法

【目的】 視覚的な操作で目的の図面データを検索することが容易であり、ユーザビリティに優れたGUIを提供する。
【構成】 画面左寄りのメインメニュー選択領域と画面右寄りの選択データ表示領域とを備える。メインメニュー選択領域は、電子図面データのデータ更新状況を確認するための確認用画面領域と、電子運用ルール及び使用方法をアシストするためのヘルプ画面領域と、各事業所における最新データ及び既存データなどの複数の電子図面データを表示するための電子図面選択領域とを備える。選択データ表示領域は、メインメニュー選択領域によって選択された所定のメニューを表示するとともに、各事業所における電子図面データの更新状況等の最新メッセージが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面の検索及び管理をするための技術に関し、特に、検索画面におけるユーザビリティに優れたグラフィカルユーザインターフェース、図面データ管理装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表示された文書を見て改訂箇所とその改訂部分の改訂前の内容を知ることができ、改訂前文書を保管しなくても改訂前文書を閲覧できる文書管理装置が開示されている。この技術によれば、改訂された文書内容が表示された状態のとき、改訂部分が見分け可能に表示され、そのなかの一つの改訂部分を指示すると、上記改訂部分の改訂前内容を含む改訂履歴情報が表示される。このため、印刷された文書によらずに、容易に改訂前内容を含む改訂履歴情報を見ることができる。
また、文書記憶手段から読み出された改訂された文書内容と履歴情報記憶手段から読み出された改訂履歴情報とから改訂前文書内容が復元されるので、改訂前文書を保管しておかずに、つまり、文書記憶手段を効率良く使用して、且つ、改訂前文書を見ることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−120049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、特許文献1に記載した改訂管理とは別に、管理システムの利便性及びその管理システムを利用するためのインターフェースについて複数の要望がなされていた。
まず、検索結果として抽出された複数の文書や図面を素早く探し出せること、次に、その探し出した文書や図面を軽快にプレビューできることである。しかしながら、これらの要望を満たすためには、現状のハードウェア及びソフトウェアでは困難であった。特に、図面データでは個々のデータサイズが大きいので、どうしてもプレビュー動作が遅くなってしまう。また、表示された膨大な図面データから目的の図面データを探すには、視覚的に操作することができるインターフェースである必要がある。しかし、このような技術は提供されていない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、視覚的な操作で目的の図面データを検索することが容易であり、ユーザビリティに優れた技術を提供することである。
請求項1及び請求項2に記載の発明の目的は、視覚的な操作で目的の図面データを検索することが容易であり、ユーザビリティに優れたグラフィカルユーザインターフェースを提供することにある。
請求項3に記載の発明の目的は、紙媒体の図面を効率よく整理し、検索された図面データのプレビュー速度に優れた図面データ管理装置を提供することにある。
請求項4に記載の発明の目的は、紙媒体の図面を効率よく整理し、検索された図面データのプレビュー速度に優れた図面データ管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、電子化された電子図面データを検索および閲覧するために画面出力可能な図面データ管理装置におけるグラフィカルユーザインターフェースを提供する。
そのグラフィカルユーザインターフェースは、画面左寄りのメインメニュー選択領域と画面右寄りの選択データ表示領域とを備え、前記メインメニュー選択領域は、電子図面データのデータ更新状況を確認するための確認用画面領域と、 電子運用ルールおよび使用方法をアシストするためのヘルプ画面領域と、 最新データ及び既存データなどの複数の電子図面データを表示するための電子図面選択領域と、を備える。 前記選択データ表示領域は、前記メインメニュー選択領域によって選択された所定のメニューを表示するとともに、電子図面データの更新状況等の最新メッセージが表示されるように形成したことを特徴とする。
【0007】
(用語説明)
「グラフィカルユーザインターフェース」とは、ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、大半の基礎的な操作をマウスなどのポインティングデバイスによって操作可能なユーザインターフェースのことである。このほか、情報の表示を文字のみによって行うCUI(キャラクタグラフィカルユーザインターフェース)もある。
「メインメニュー選択領域」における各メニューはハイパーリンク構造となっており、ユーザが電子図面選択領域を選択すると、ハイパーリンクによって指定されているリンク先を選択データ表示領域に表示する。
【0008】
(作用)
本発明のグラフィカルユーザインターフェースは、メインメニュー選択領域と選択データ表示領域とを備えている。メインメニュー選択領域の電子図面選択領域を選択すると、画面右寄りの選択データ表示領域に電子図面選択領域に係る情報が表示される。また、デフォルト状態の選択データ表示領域には、各事業所の電子図面データの更新状況など、最新メッセージが表示される。
【0009】
電子図面データが更新されると、その更新された電子図面データは、データベースに反映される仕組みとなっている。このため、物理的に離れた場所にある端末装置から通信回線を介して電子図面データを検索・閲覧しても、常時最新の電子図面データの検索・閲覧が可能である。
電子図面データを検索・閲覧するためのグラフィカルユーザインターフェースを統一したので、視覚的な操作が容易となっている。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のグラフィカルユーザインターフェースを限定したものである。
すなわち、ウェブブラウザによって各種の情報を表示可能としたことを特徴とする。
【0011】
(作用)
広く普及しているウェブブラウザによって全ての情報を操作可能としている。このため、電子図面データが膨大な量であっても違和感なく使用でき、迅速な操作が可能となる。
【0012】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、電子化された電子図面データを検索および閲覧するために画面出力可能な 前記電子化された電子図面データを検索および閲覧するための画面出力手段と図面データ管理装置(10)を提供する。
すなわち、原本図面を電子図面データに変換するための原本図面電子化手段と、その原本図面電子化手段によって原本図面が電子化される際に、前記原本図面を管理・特定するための図面特定用データを抽出する図面特定用データ抽出手段と、その図面特定用データを記憶するとともに、前記電子図面データを記憶するデータベース(50)と、前記電子図面データが最新の原本図面であるか否かを、前記図面特定用データを用いて判別する採用図面判別手段と、その採用図面判別手段によって最新の原本図面でないと判別された場合には、その最新でない電子図面データを前記データベース(50)から削除する電子図面データ削除手段と、を備える。
更に、その画面出力手段においては、画面左寄りのメインメニュー選択領域と画面右寄りの選択データ表示領域とを備え、前記メインメニュー選択領域は、電子図面データのデータ更新状況を確認するための確認用画面領域と、 最新データ及び既存データなどの複数の電子図面データを表示するための電子図面選択領域と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
(用語説明)
原本図面の電子化フォーマットは様々であるが、代表的には「TIFF形式」がある。
「TIFF形式」とは、ビットマップ画像のフォーマットであり、画像の符号化形式の一種である。本実施形態でTIFF形式を採用しているのは、JPEGフォーマットのように非可逆圧縮を行わないため、作業中に画質が劣化せず、色に関する制約がなく、また、複数の図面を閲覧する際にもPCに対する負荷が少なく、軽快に動作するからである。
「図面特定用データ」とは、原本図面を管理するための図面番号と、原本図面が作成された年月日を示す作成日データと、原本図面のバージョンを示すための改訂番号と、原本図面がドラフト図面または完成図面かを示すための図面種別、等のデータである。
「原本図面電子化手段」とは、紙から図形や写真を読み取って、画像データとしてパソコンに転送するスキャナなどの装置である。スキャナは、読み取る対象の紙などに光を当て、反射光をCCDなどで読み取ってデジタルデータに変換する。また、スキャナの種類としては、原稿を固定して読取装置を動かすフラットベッドスキャナや原稿を固定して読み取り機を手動で動かすハンディスキャナなどがある。
「画面出力手段」は、原本図面電子化手段、図面特定用データ抽出手段など物理的に一つの装置であっても良いが、物理的に離れた場所にある端末装置の出力手段として備えられていてもよい。
【0014】
(作用)
まず、原本図面をスキャナなどの原本図面電子化手段がスキャンして読み取り、図面を電子データ化する。ここで電子化された図面は、電子図面データとして一旦データベースに記憶される。原本図面が原本図面電子化手段によって電子化される際に、原本図面を管理・特定するための図面特定用データを抽出する。そして、原本図面電子化手段によって抽出された図面特定用データをデータベースに記憶する。
また、採用図面判別手段がデータベースに記憶した図面特定用データを用いて最新の原本図面であるか否かを判別する。例えば、図面番号が同じである原本図面があるとすると、それら原本図面の作成日データを確認する。一方の原本図面の作成日データが「2006/07/25」、他方の原本図面の作成日データが「2006/07/26」である場合、後者のほうが最新の作成日データであるため、これを電子図面データとして採用する。一方、最新でないと判別された電子図面データは、電子図面データ削除手段によって削除される。
【0015】
すなわち、紙媒体で管理されていた原本図面は、更新管理などが正確にされていたかどうかは不明であり、また、同じ図面番号の原本図面が、何らかの事情で複数存在する場合もある。このような場合でも、図面特定用データを用いて電子図面データが最新か否かの判別をして、古い電子図面データを削除していくことで、最新の電子図面データのみをデータベースに保管することができる。これにより、紙媒体の図面を効率よく整理し、検索された図面データのプレビュー速度に優れた装置となる。
【0016】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、電子化された電子図面データを検索および閲覧するために画面出力を可能とする図面データ管理方法を提供する。
原本図面を電子図面データに変換するための原本図面電子化手順と、 その原本図面電子化手順によって原本図面が電子化される際に、前記原本図面を管理・特定するための図面特定用データを抽出してデータベースに記憶する図面特定用データ抽出手順と、 その図面特定用データを前記データベースに記憶する図面特定用データ記憶手順と、 前記電子図面データが最新の原本図面であるか否かを、前記図面特定用データを用いて判別する採用図面判別手順と、 その採用図面判別手順によって最新の原本図面でないと判別された場合には、その最新でない電子図面データを前記データベースから削除する電子図面データ削除手順と、 前記電子化された電子図面データを検索および閲覧するための画面出力手順とを備え、 その画面出力手順においては、画面左寄りのメインメニュー選択領域と画面右寄りの選択データ表示領域とを備え、 前記メインメニュー選択領域は、電子図面データのデータ更新状況を確認するための確認用画面領域と、 最新データ及び既存データなどの複数の電子図面データを表示するための電子図面選択領域と、を備えた図面データ管理方法に係る。
【発明の効果】
【0017】
請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、視覚的な操作で目的の図面データを検索することが容易であり、ユーザビリティに優れたインターフェースを提供することができた。
請求項3に記載の発明によれば、紙媒体の図面を効率よく整理し、検索された図面データのプレビュー速度に優れた図面データ管理装置を提供することができた。
請求項4に記載の発明によれば、紙媒体の図面を効率よく整理し、検索された図面データのプレビュー速度に優れた図面データ管理方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照させながら説明する。ここで使用する図面は、図1から図10である。
【0019】
図1及び図2は、紙媒体からなる原本図面を電子化してデータベースに記憶した図面データ管理装置10において、電子化された電子図面データを検索及び閲覧するためのグラフィカルユーザインターフェース(以下、GUIと表記する)である。
【0020】
まず、図3から図10を参照して図面データ管理装置10について説明していく。
図3に示すように、図面データ管理装置10は、紙媒体からなる原本図面を電子化するための装置であり、原本図面をTIFF形式の電子図面データに変換するための原本図面電子化手段と、その原本図面電子化手段によって原本図面が電子化される際に、原本図面を管理・特定するための図面特定用データを抽出する図面特定用データ抽出手段と、その図面特定用データを記憶したデータベース50と、電子図面データが最新の原本図面であるか否かを、図面特定用データを用いて判別する採用図面判別手段と、その採用図面判別手段によって最新の原本図面でないと判別された場合には、その最新でない電子図面データを削除する電子図面データ削除手段とを備えている。
【0021】
「TIFF形式」とは、ビットマップ画像のフォーマットであり、画像の符号化形式の一種である。本実施形態でTIFF形式を採用しているのは、JPEGフォーマットのように非可逆圧縮を行わないため、作業中に画質が劣化せず、色に関する制約がなく、また、複数の図面を閲覧する際にもPCに対する負荷が少なく、軽快に動作するからである。
「原本図面電子化手段」とは、紙から図形や写真を読み取って、画像データとしてパソコンに転送するスキャナなどの装置である。スキャナは、読み取る対象の紙などに光を当て、反射光をCCDなどで読み取ってデジタルデータに変換する。また、スキャナの種類としては、原稿を固定して読取装置を動かすフラットベッドスキャナや原稿を固定して読み取り機を手動で動かすハンディスキャナなどがある。
【0022】
図4は、図面データ管理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図面データ管理装置10は、当該図面データ管理装置10の全体の制御を行うとともに、各種演算処理を行うCPU11、各種データを書き込む際に、それらのデータを一時的に展開するRAM12、オペレーティングシステム、アプリケーションソフトおよび各種データが記憶される記憶部13、マウスやキーボード等の入力部14、モニタなどの表示部15、インターネットやイントラネットなどの電気通信回線に接続可能な通信部16、各種データをプリンタ等に出力可能な出力部17および各種データの入出力部である入出力ポート18を備えて構成されている。また、図面データ管理装置10の外部記憶装置としてデータベース50に接続されており、相互にデータ送受信が可能となっている。
【0023】
データベース50には、図面特定用データが記憶されている。この図面特定用データは、図6から図8に示すように、原本図面を管理するための図面番号と、原本図面が作成された年月日を示す作成日データと、原本図面のバージョンを示すための改訂番号(Rev.1)と、原本図面が計画図(ドラフト状態の図面種別例)または決定図(完成状態の図面種別例)かを示すための図面種別のデータのことである。
【0024】
また、原本図面電子化手段で読み取った原本図面は、TIFF(Tagged Image File Format)形式でデータベース50に記憶される。この「TIFF」とは、ビットマップ画像のフォーマットであり、画像の符号化形式の一種である。本実施形態でTIFF形式を採用しているのは、JPEGフォーマットのように非可逆圧縮を行わないため、作業中に画質が劣化せず、色に関する制約がなく、また、複数の図面を閲覧する際にもPCに対する負荷が少なく、軽快に動作するからである。ただし、JPEG、GIF及びBMPなどの、他の画像形式であっても良い。
【0025】
図5は、図面データ管理装置10における一連の処理を示したフローチャートである。
まず、原本図面を原本図面電子化手段がスキャンして読み取り、図面をTIFF形式で電子データ化する(S101)。ここで電子化されたTIFF形式の図面は、電子図面データとして一旦データベース50に記憶される。
原本図面が原本図面電子化手段によって電子化される際に、原本図面を管理・特定するための図面特定用データを抽出する(S102)。抽出には、OCR(Optical Character Reader)機能を採用している。OCRとは、手書き文字や印字された文字を光学的に読み取り、前もって記憶されたパターンとの照合により文字を特定し、文字データを入力する装置のことである。なお、本実施形態では、原本図面電子化手段で読み取った原本図面の画像から、図面特定用データとなる文字を識別して文書に変換するOCRソフトを用いている。
【0026】
原本図面電子化手段によって抽出された図面特定用データをデータベース50に記憶する(S103)。
そして、採用図面判別手段がデータベース50に記憶された図面特定用データを用いて最新の原本図面であるか否かを判別する(S104)。判別方法としては、図8に示すように、図面種別で判別する方法がある。この場合には、図面種別が図6(a)の『計画図』の図面と、図6(b)の『決定図』の図面とでは、図6(b)の『決定図』を最新の原本図面と判別するように設定している。
【0027】
また、図7に示すように、改訂番号で判別する場合には、改訂番号が図7(a)の『Rev.1』の図面と、図7(b)の『Rev.2』の図面とでは、図7(b)の『Rev.2』を最新の原本図面と判別するように設定している。
さらに、図8に示すように、作成日(更新日付)で判別する場合には、作成日が図8(a)の『2006/01/26』の図面と、図8(b)の『2006/01/25』の図面とでは、図8(a)の『2006/01/26』を最新の原本図面と判別するように設定している。
【0028】
なお、この最新図面の判別においては、上述したように図面種別、改訂番号、作成日のうち、いずれか一つを用いて判別するほか、図面種別と改訂番号を用いての判別、図面種別と作成日を用いての判別、改訂番号と作成日を用いての判別、または、図面種別、改訂番号及び作成日の全てを用いて判別することもできる。また、図面種別毎にカラー分けして判別できるようにしても良い。ただし、図面特定用データのいずれか一つまたは二つを用いることは、図面データ管理装置10の負荷を軽減し、判別処理スピードの向上に寄与する。
一方、最新でないと判別された電子図面データは、電子図面データ削除手段によってデータベース50から削除される(S105)。
【0029】
図9(a)は、原本図面電子化手段が複数の原本図面を読み込んでデータベース50内に記憶された状態を概念的に示した図である。ここでは、A発電所における、「タンク」、「パイプ」、「バルブ」、「全体図」の図面のそれぞれが複数存在している様子が分かる。
【0030】
これに対し、図9(b)は、電子図面データ削除手段によって削除されたデータベース50内の状態を概念的に示している。
「タンク」図面は、αβγという三種類の図面データがあり、このうちβが最新図面として残り、α及びγが削除された。「パイプ」図面は、α及びβという二種類の図面データがあり、このうち、αが最新図面として残り、βが削除された。「バルブ」図面は、αβγという三種類の図面データがあり、このうち、γが最新図面として残り、α及びβが削除された。「全体図」図面は、α及びβという二種類の図面データがあり、このうち、βが最新図面として残り、αが削除された。
【0031】
すなわち、紙媒体で管理されていた原本図面は、更新管理などが正確にされていたかどうかは不明であり、また、同じ図面番号の原本図面が、何らかの事情で複数存在する場合もある。このような場合でも、図面特定用データを用いて電子図面データが最新か否かの判別をし、古い電子図面データを削除していくことで、最新の電子図面データのみをデータベースに保管することができる。これにより、紙媒体の図面を効率よく整理し、正確な電子図面データによるデータベースを構築することができる。
【0032】
図10は、本発明に係る図面データ管理装置10の他の形態を示したフローチャートである。
この実施形態においては、データベース50とは物理的に離れた位置にある最新電子図面データ専用データベース60を備えている点、採用図面判別手段によって最新の原本図面であると判別された電子図面データを、最新電子図面データ専用データベース60に記憶する点が前述した第一実施形態とは異なる。
【0033】
すなわち、原本図面を原本図面電子化手段がスキャンして読み取り、図面をTIFF形式で電子データ化し(S201)、その電子化された図面は、電子図面データとして一旦データベース50に記憶する。
原本図面が原本図面電子化手段によって電子化される際に、原本図面を管理・特定するための図面特定用データを抽出する(S202)。
原本図面電子化手段によって抽出された図面特定用データをデータベース50に記憶する(S203)。
そして、採用図面判別手段がデータベース50に記憶された図面特定用データを用いて最新の原本図面であるか否かを判別する(S204)。判別後、最新の電子図面データを最新電子図面データ専用データベース60に記憶する(S205)。この最新電子図面データ専用データベース60は、最新の電子図面データのみを記憶するための記憶媒体である。この最新電子図面データ専用データベース60を、例えば、他の施設とネットワーク接続して共有データベース化すれば、最新の電子図面データを共有管理及び利用することができる。
一方、最新でないと判別された電子図面データは、電子図面データ削除手段によってデータベース50から削除される(S206)。
【0034】
原本図面や図面特定用データが記憶されたデータベース50とは物理的に別媒体となる最新電子図面データ専用データベース60に、最新の電子図面データを記憶しているので、作業用データや図面特定データなどの他のデータが記憶されたデータベース50とは分離されるため頓雑にならない。また、最新電子図面データ専用データベース60は、データベース50とは物理的に離れて構成しているので、データベース50が故障した場合でもバックアップ用のデータベースとして機能させることができる。このように構成すれば、安全性及び可用性の点で好ましい。
【0035】
(GUI)
次に、図1及び図2を参照して図面データ管理装置10によって電子化された電子図面データを検索・閲覧するためのGUIについて詳述する。
電子図面データは、複数の発電所から所定のユーザのみが検索・閲覧することができる。すなわち、各発電所と図面データ管理装置10はイントラネットによって閉鎖的に接続されている。また、このGUIは一般的に広く普及しているウェブブラウザによって各種情報を表示させている。
【0036】
図1は、『シーケンス電子運用システム』にログインした状態を示した図である。『シーケンス電子運用システム』には、当該システムのアドミニストレータのほか、システムに関連する社員、各発電所の中で許可されたグループ(社員)に対してアクセスを可能に設定している。アクセス方法としては、アクセスが許可されたグループ(社員)などに予めログインID及びパスワードを発行しておき、シーケンス電子運用システムにログインするための所定のネットワークからログインID及びパスワードを入力することで、システムにログインすることが可能となっている。
【0037】
許可されたグループ(社員)がシーケンス電子運用システムにログインすると、図1に示すように、画面左寄りのメインメニュー選択領域と画面右寄りの選択データ表示領域が表示される。メインメニュー選択領域は、地理的に分別された複数の事業所や発電所が表示され、これら事業所や発電所における電子図面データのデータ更新状況を確認するための確認用画面領域が表示される。
確認用画面領域の下側には、シーケンス電子運用システムの電子運用ルール及び使用方法をアシストするためのヘルプ画面領域が表示される。
【0038】
また、ヘルプ画面領域の下側には、各発電所における最新データ及び既存データなどの複数の電子図面データを表示するための電子図面選択領域が表示される。
そして、電子図面選択領域の下側に、ユーザの意見及び要望を送信可能な意見・要望画面領域と、責任者の連絡先を表示する連絡先画面領域が表示されてメインメニュー選択領域が構成されている。
【0039】
一方、メインメニュー選択領域の右側に位置する選択データ表示領域には、デフォルトにおいては、各事業所や発電所における電子図面データの更新状況等の最新メッセージが表示される。また、メインメニュー選択領域によって選択された場合には、その選択に応じた所定のメニュー(例えば、ヘルプ画面など)が表示される。
【0040】
(電子図面選択領域)
図2は、電子図面選択領域において、所定の発電所を選択した場合に表示される画面である。
図に示すように、電子図面選択領域は、細分化された複数のツリー項目からなるツリー構造から形成される。本実施形態では、第一ツリー項目、第二ツリー項目、第三ツリー項目、第四ツリー項目及び第五ツリー項目(末端ツリー項目)からなる五階層ツリー構造として形成されている。そして、第五ツリー項目を選択すると、閲覧したい設備やユニット、部品、分冊などの電子図面データ一覧メニューが右側の選択データ表示領域に表示される。
【0041】
この電子図面データ一覧メニューは、文字データのみから形成された文字表示形式、文字データと画像データから形成された複合表示形式及び画像データのみで形成されたサムネイル表示形式の三つの表示形式から選択することができる。文字表示形式は、文字データのみが横軸に表示されるため、電子図面データの詳細情報が多い場合には、把握しやすく好ましい。複合表示形式は、画像データの右側に文字データが表示される形式であり、画像と文字の両方を把握したい場合に優れている。サムネイル形式は、その多くを画像データのみで表示しているので、視覚的にどのような図面であるかを一目で把握できるので、視認性は一番高い。
【0042】
これら三つの表示形式から所望する表示形式を選択し、選択データ表示領域に表示された電子図面データ一覧メニューから、所望する電子図面データを選択すると拡大された電子図面データが表示される。これら複数の電子図面データは、ハイパーリンクによって関連付けられ、電子図面データ間をハイパーリンクにしたがって自由移動できる。
【0043】
本実施形態に係るGUIとしては、物理的に離れた各事業所や発電所において電子図面データが更新されると、その更新された電子図面データは、データベース50(60)に反映される仕組みとなっている。このため、どの事業所及び発電所から電子図面データを検索・閲覧しても、常時最新の電子図面データの検索・閲覧が可能となる。そして、電子図面データを検索・閲覧するためのGUIを統一しているので、視覚的な操作が容易となっている。
【0044】
また、電子図面データを選択する過程となる電子図面選択領域をツリー構造としたので、電子図面データの検索操作を容易とし、ユーザビリティに配慮している。さらに、ウェブブラウザによって操作可能としているので、電子図面データが膨大な量であっても違和感なく使用でき、迅速な操作を可能としている。
【0045】
図面データ管理装置10に係るハードウェア的な処理としては、大量の電子図面データをデータベース50(60)に記録したことで、紙媒体の図面を効率よく整理している。そして、電子図面データの保存形式にTIFF形式を採用したことによって、検索された電子図面データのプレビュー速度が向上している。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願発明は、図面データの管理装置メーカ、図面データ管理装置を保守整備するメンテナンス業界、図面データ管理装置のセキュリティ保全を行うシステム管理業などにおいて、利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】シーケンス電子運用システムにログインして電子図面データを検索・閲覧するための画面を示す概略図である。
【図2】電子図面選択領域を示す概略図である。
【図3】図面データ管理装置の全体構成を示した概念図である。
【図4】図面データ管理装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【図5】原本図面を電子図面データ化するための処理を示したフローチャートである。
【図6】採用図面を決定するための処理を模式的に示した概略図である。
【図7】採用図面を決定するための処理を模式的に示した概略図である。
【図8】採用図面を決定するための処理を模式的に示した概略図である。
【図9】データベース内に記憶された複数の原本図面の状態を示した概略図である。
【図10】原本図面を電子図面データ化するための処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10 図面データ管理装置
11 CPU 12 RAM
13 記憶部 14 入力部
15 表示部 16 通信部
17 出力部 18 入出力ポート
50 データベース
60 最新電子図面データ専用データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子化された電子図面データを検索および閲覧するために画面出力可能な図面データ管理装置におけるグラフィカルユーザインターフェースであって、
そのグラフィカルユーザインターフェースは、画面左寄りのメインメニュー選択領域と画面右寄りの選択データ表示領域とを備え、
前記メインメニュー選択領域は、電子図面データのデータ更新状況を確認するための確認用画面領域と、
電子運用ルールおよび使用方法をアシストするためのヘルプ画面領域と、
最新データ及び既存データなどの複数の電子図面データを表示するための電子図面選択領域と、を備え、
前記選択データ表示領域は、前記メインメニュー選択領域によって選択された所定のメニューを表示するとともに、電子図面データの更新状況等の最新メッセージが表示されるように形成したことを特徴とするグラフィカルユーザインターフェース。
【請求項2】
ウェブブラウザによる表示を可能としたことを特徴とする請求項1に記載のグラフィカルユーザインターフェース。
【請求項3】
電子化された電子図面データを検索および閲覧するために画面出力可能な図面データ管理装置であって、
原本図面を電子図面データに変換するための原本図面電子化手段と、
その原本図面電子化手段によって原本図面が電子化される際に、前記原本図面を管理・特定するための図面特定用データを抽出する図面特定用データ抽出手段と、
その図面特定用データを記憶するとともに、前記電子図面データを記憶するデータベースと、
前記電子図面データが最新の原本図面であるか否かを、前記図面特定用データを用いて判別する採用図面判別手段と、
その採用図面判別手段によって最新の原本図面でないと判別された場合には、その最新でない電子図面データを前記データベースから削除する電子図面データ削除手段と、
前記電子化された電子図面データを検索および閲覧するための画面出力手段とを備え、
その画面出力手段においては、画面左寄りのメインメニュー選択領域と画面右寄りの選択データ表示領域とを備え、
前記メインメニュー選択領域は、電子図面データのデータ更新状況を確認するための確認用画面領域と、
最新データ及び既存データなどの複数の電子図面データを表示するための電子図面選択領域と、を備えたことを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項4】
電子化された電子図面データを検索および閲覧するために画面出力を可能とする図面データ管理方法であって、
原本図面を電子図面データに変換するための原本図面電子化手順と、
その原本図面電子化手順によって原本図面が電子化される際に、前記原本図面を管理・特定するための図面特定用データを抽出してデータベースに記憶する図面特定用データ抽出手順と、
その図面特定用データを前記データベースに記憶する図面特定用データ記憶手順と、
前記電子図面データが最新の原本図面であるか否かを、前記図面特定用データを用いて判別する採用図面判別手順と、
その採用図面判別手順によって最新の原本図面でないと判別された場合には、その最新でない電子図面データを前記データベースから削除する電子図面データ削除手順と、
前記電子化された電子図面データを検索および閲覧するための画面出力手順とを備え、
その画面出力手順においては、画面左寄りのメインメニュー選択領域と画面右寄りの選択データ表示領域とを備え、
前記メインメニュー選択領域は、電子図面データのデータ更新状況を確認するための確認用画面領域と、
最新データ及び既存データなどの複数の電子図面データを表示するための電子図面選択領域と、を備えたことを特徴とする図面データ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−97412(P2008−97412A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279859(P2006−279859)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年5月10日 株式会社 電気情報社発行の「電気現場技術 5月号 第45巻 第528号」に発表
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】