説明

グリコペプチド抗生物質モノマー誘導体

【課題】従来のグリコペプチド抗生物質に比べて増大し改善された特性を有する新規なグリコペプチド抗生物質誘導体を提供する。
【解決手段】式:(グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分)−(Sac−NH)−R[式中、(グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分)は、公知のグリコペプチド抗生物質誘導体から糖部分を除いた部分;(Sac−NH)部分は、アミノ糖またはアミノ糖を含む糖鎖の部分;Rは、式:−X−Ar−X−Y−X−Ar(式中、X、XおよびXは1)単結合、2)−N=、=N−、−NR−、−O−等からなる群から選択されるヘテロ原子基等;Yは、−NRCO−、−CONR−(ここに、Rは水素または低級アルキル)等]で示されるで示される化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグリコペプチド抗生物質誘導体およびそれを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グリコペプチド抗生物質は、様々な微生物により産生される複雑な多環ペプチド構造を有する抗生物質であり、大部分のグラム陽性菌に対して有効な抗菌剤を提供する。近年、ペニシリン、セファロスポリンなどに耐性の細菌が現れ、多耐性およびメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)感染は医療現場において重要な問題を招いている。バンコマイシンのようなグリコペプチド抗生物質は典型的に、このような微生物に対して有効であり、そしてバンコマイシンはMRSAおよび他の耐性菌感染の最後のツール薬物となっている。
しかし、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)など、特定の微生物はバンコマイシンに対する耐性を現し始めている。VREは保有する遺伝子のタイプによって耐性の機構や程度が異なり、それはVan A,B,C,D,E,G等の耐性に関与する遺伝子に依存する。この中で例えば、Van B型 VREには、バンコマイシンと同じグリコペプチド系の抗生物質であるテイコプラニンが有効である。一方、Van A型のVREは臨床上、特に対策を必要とする菌種であるが、このような耐性株に有効なグリコペプチド系抗生物質で上市に至ったものは無い。また最近では、VREの耐性を獲得した黄色ブドウ球菌(VRSA)も発見されている。従って、改善された活性や選択性を有するグリコペプチド誘導体を開発する必要がある。バンコマイシンおよび他のグリコペプチドの多数の誘導体は公知である。例えば以下の文献参照。
【0003】
【特許文献1】特開昭61-251699公報
【特許文献2】特開平7-258289公報
【特許文献3】国際公開WO96/30401パンフレット
【特許文献4】国際公開WO00/39156パンフレット
【特許文献5】特開2000-302687公報
【特許文献6】国際公開WO2004/44222パンフレット
【特許文献7】国際公開WO2001/81372パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来のグリコペプチド抗生物質に比べて増大し改善された特性を有するグリコペプチド抗生物質の新規な誘導体に関する。本発明の特定のグリコペプチド誘導体、特にバンコマイシン誘導体はバンコマイシン自体と比較して増大した抗菌活性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、
(1) 式:
(グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分)−(Sac−NH)−RA
[式中、
(グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分)は、グリコペプチド抗生物質誘導体から糖部分を除いた部分であり;
(Sac−NH)部分は、アミノ糖またはアミノ糖を含む糖鎖の部分であり;
は、式:
−X−Ar−X−Y−X−Ar
(式中、X、XおよびXはそれぞれ独立して、
1)単結合、
2)−N=、=N−、−NR−(ここに、Rは水素または低級アルキル)、−O−、−S−、−SO−および−SO−からなる群から選択されるヘテロ原子基、またはそれらの連結基、あるいは;
3)同一もしくは異なる該ヘテロ原子基が1個もしくはそれ以上介在していてもよくかつ置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレン;
Yは、−NRCO−、−CONR−(ここに、Rは水素または低級アルキル)、または式:
【化1】

(式中、Rはアルキレン)
で示される基;および
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換されていてもよくかつ不飽和結合を有していてもよい炭素環またはヘテロ環)
で示される基である]
で示される化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物:
【0006】
好ましくは、式:
【化2】

または
【化3】

より好ましくは、式:
【化4】

[式中、 Rは、前記と同意義であり;
は、−OH、−NR′(ここに、RおよびR′は、それぞれ独立して水素、置換されていてもよいアルキル、−NH−R、−NH−COR、−NH−CONHR、−O−R(各Rは、それぞれ独立して水素または置換されていてもよいアルキル)またはアミノ糖残基)または−OR(Rは置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい)であり;
は、水素または置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基(好ましくは、-NH-)が介在していてもよい)であり;および
は、水素または低級アルキルであり、
Rは置換されていてもよいアルキル]
で示される化合物、
〔但し、いずれの場合も(グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分)−(Sac−NH)部分が、式:
【化5】

(式中、Rは糖残基)
で示される基である場合を除く)〕
:および
【0007】
(2)上記本発明の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物、好ましくは抗菌剤に関する。
本発明は、さらにRが4−(モノフルオロベンゾイルアミノ)ベンジルである場合を除く、上記(1)の化合物、その製薬上許容される塩、それらの溶媒和物および(2)の医薬組成物に関する。
本発明は、さらにArがフェニレン、Yが-NRCO-、かつArがモノフルオロフェニルである場合を除く上記(1)の化合物、その製薬上許容される塩、それらの溶媒和物、および(2)の医薬組成物に関する。
本発明は、さらにArがモノフルオロフェニルである場合を除く上記(1)の化合物、その製薬上許容される塩、それらの溶媒和物、および(2)の医薬組成物に関する。
本発明はさらに下記(3)〜(18)の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;並びにそれを含有する医薬組成物、好ましくは抗菌剤に関する。
(3)Yが、−NRCO−または−CONR−(ここに、Rは水素または低級アルキル)で示される基である、上記(1)の化合物。
(4)ArおよびArが、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロサイクル、または置換されていてもよいシクロアルキルである、上記(1)の化合物。
(5)ArおよびArが置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロサイクル、または置換されていてもよいシクロアルキル、およびYが−NHCO−または−CONH−である、上記(1)の化合物。
(6)Xが低級アルキレンである、上記(1)の化合物。
(7)Xが単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基である、上記(1)の化合物。
(8)Xが単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基である、上記(1)の化合物。
(9)Xが低級アルキレン;Xが単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Xが単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Yが−NHCO−または−CONH−;Arが置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロサイクル、または置換されていてもよいシクロアルキル;およびArが置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキルである、上記(1)の化合物。
(10)Xが低級アルキレン;XおよびXがそれぞれ独立して単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Yが式:
【化6】

(式中、Rはアルキレン)
で示される基;Arが置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロサイクル、または置換されていてもよいシクロアルキル;およびArが置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキルである、上記(1)の化合物。
(11)Arが、低級アルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、アリールオキシ、アラルキルオキシ、置換されていてもよいアリールオキシ低級アルキル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、オキソ、SONH、SOMe、SO-環状アミノ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいカルバモイル、置換されていてもよいカルバモイルオキシ、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルカルボニル、ヘテロサイクロ低級アルキル、ヘテロサイクロ低級アルコキシ、シクロアルキル低級アルコキシ、アラルキルオキシ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリール-低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-低級アルキルオキシ、ヘテロサイクル、ヘテロサイクル低級アルキルオキシ、置換されていてもよいアリール、および置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよい、アリール、ヘテロ環または下記の縮合環
【化7】

のいずれかである、上記(1)から(10)のいずれかの化合物。
(12)Arが、ハロゲン、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルキル、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルコキシ、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルキルチオ、モノまたはジ低級アルキルアミノ、シクロアルキルメチルオキシ、ベンジルオキシ、低級アルコキシカルボニルアミノ、ニトロからなる群から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよいアリールである、上記(1)から(10)のいずれかの化合物。
(13)Arが、置換されていてもよいアミノによって置換されていてもよいフェニルである、上記(1)から(12)のいずれかの化合物。
(14)Arが、置換されていてもよいヘテロアリールである、上記(1)から(12)のいずれかの化合物。
(15)Xが低級アルキレン;Xが単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Xが単結合、低級アルキレンまたはヘテロ原子基;Yが−NHCO−または−CONH−;Arが置換されていてもよいヘテロアリール;およびArが置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキルである、上記(1)から(12)のいずれかの化合物。
(16)Rが−OH;Rが水素;およびRが水素である、上記(1)で好ましいと記載された化合物または上記(3)〜(15)のいずれかの化合物。
(17)Rが−NR′(ここに、RおよびR′はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいアルキル、−NH−R、−NH−COR、−NH−CONHR、−O−R(各Rは、それぞれ独立して水素または置換されていてもよいアルキル)またはアミノ糖残基)、Rが水素;およびRが水素である、上記(1)で好ましいと記載された化合物または上記(3)〜(15)のいずれかの化合物。
(18)Rが−NR′(ここに、Rが水素、R′が親水性置換基によって置換されたアルキル−NH−R、−NH−COR、−NH−CONHR、−O−R(各Rは、それぞれ独立して水素または置換されていてもよいアルキル)またはアミノ糖残基)、Rが水素;およびRが水素である、上記(1)で好ましいと記載された化合物または上記(3)〜(15)のいずれかの化合物。
本発明は、また、
式:
【化8】

[式中、
は、式:
−X−Ar−X−Y−X−Ar
(式中、X、XおよびXはそれぞれ独立して、
1)単結合、
2)−N=、=N−、−NR−(ここに、Rは水素または低級アルキル)、−O−、−S−、−SO−および−SO−からなる群から選択されるヘテロ原子基、またはそれらの連結基、あるいは;
3)同一もしくは異なる該ヘテロ原子基が、1個もしくはそれ以上介在していてもよくかつ置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレン;
Yは、−NRCO−、−CONR−(ここに、Rは水素または低級アルキル)、または式:
【化9】

(式中、Rはアルキレン)
で示される基;および
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換されていてもよくかつ不飽和結合を有していてもよい炭素環またはヘテロ環で示される基であり;
は、−OHまたは−NR′(ここに、RおよびR′はそれぞれ独立して水素または置換されていてもよいアルキル)であり;
は、水素または置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい)であり;および
は、水素または低級アルキルである]
で示される、上記(1)記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;およびこれらを含有する医薬組成物に関する。
本発明は、また、Xが低級アルキレン;Xが単結合またはヘテロ原子基が介在していてもよい低級アルキレン;Xが単結合;Yが−NHCO−または−CONH−;Arが置換されていてもよいフェニル;およびArが置換されていてもよいフェニルであり、かつRはOH、RおよびRは水素である、前記化7の化学式で表された化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物、およびこれらを含有する医薬組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のグリコペプチド抗生物質誘導体、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物は、MRSAを含むブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌、腸炎球菌等種々の細菌に対して抗菌活性を示す。特に、本化合物はそれら由来のバンコマイシン耐性型菌に対しても有効であり、特にバンコマイシン耐性型腸炎球菌(VRE)やバンコマイシン耐性型黄色ブドウ球菌(VRSA)に対しても有効である。よって、髄膜炎、敗血症、肺炎、関節炎、腹膜炎等、気管支炎、膿胸等、種々の細菌感染症を治療または予防するのに有用である。またより好ましい本発明化合物は水溶性が高く、体内動態が良好であり、および/または毒性面でも安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)化合物
本発明化合物の説明のため、本明細書中で用いる用語を以下に説明する。各用語は単独でまたは他の用語と一緒になって同一の意義を有する。
「グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分」とは、糖基で必要に応じて置換される多環ペプチドコアにより特徴付けられる公知のグリコペプチド抗生物質誘導体から、後記の「糖部分」を除いた部分を意味する。「糖部分」は1箇所またはそれ以上、除かれていてもよいが、好ましくは1箇所だけ除かれる。例えばグリコペプチド抗生物質誘導体がバンコマイシンである場合には、アグリコン部分は、アミノ糖を含む糖鎖(ジサッカライド)部分、即ち、α−L−バンコサミニル−β−D−グルコピラノースを除いた部分を意味する。さらには、バンコマイシンのペプチド鎖N末の修飾体、具体的にはN−メチル−D−ロイシンが除去された脱Leu誘導体およびそのアシル体が公知であり(Expert Opin. Ther.Patents(2004)14, 141〜173頁)、これらバンコマイシン誘導体から上記に従って「糖部分」を除いた部分もまた、アグリコン部分に該当する。公知のグリコペプチド抗生物質誘導体としては、特開昭61-251699公報、特開平7-258289公報、国際公開WO96/30401パンフレット、国際公開WO00/39156パンフレット、特開2000-302687公報、国際公開WO2004/44222パンフレット;米国特許第4,639,433号;同第4,643,987号;同第4,497,802号;同第4,698,327号;同第5,591,714号;同第5,840,684号;および同第5,843,889号;EP0802199;EP0801075;EP0667353;WO97/28812;WO97/38702;WO98/52589;WO98/52592;ならびにJ.Am.Chem.Soc.,1996,118,13107〜13108;J.Am.Chem.Soc.,1997,119,12041〜12047;およびJ.Am.Chem.Soc.,1994,116,4573〜4590に開示されている誘導体が挙げられる。
【0010】
具体的には、以下に記載の化合物群から選択され得る。
式:
【化10】

で示される化合物またはその医薬上許容される塩(特開昭61−251699公報):
[式中、RおよびRは独立して水素またはメチル、
およびRは独立して水素または、式RCH−で示される基であり、ここでRおよびRは独立してR、R−(C−C)−アルキルまたはR−(C−C−アルケニル)であり、ここでRは水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C10−シクロアルキル、C−C12−シクロアルケニル、フェニル、ナフトチル、インデニル、テトラリニル、デカリニル、アダマンチル、環内に3〜8個の原子を含む単環式異項環系または6〜11個の原子を含む2環式異項環系であり(但し、環系内の少なくとも一つの原子は炭素であり、環系内の少なくとも一つの原子は、O、NおよびSから選択されるヘテロ原子であり、Rは一つまたはそれ以上のヒドロキシ、ニトロ、C−C10−アルコキシ、C−C10−アルキル、フェニル、C−C−アルキルチオ、ニトリル、ハロゲン、C−C−アシルアミノ、アミノ、C−C−ジアルキルアミノ基で置換されていてもよい)、
は水素であるか、またはRとR、および/またはRとRは一緒になって式:
【化11】

(式中、RおよびRはR、R−(C−C−アルキル)またはR−(C−C−アルケニル)である)で示される基を表してもよく、
nは1または2であり、但し、(i)RおよびRのうち少なくとも一つは水素以外のものであり、(ii)nが2の場合Rは水素であり、(iii)Rがメチルで、Rが水素である場合Rはメチルではなく、(iv)RおよびRが両方とも水素である場合、Rは水素またはメチルでnは1である];
【0011】
式:
【化12】

で示される化合物またはその塩(特開平7−258289公報):
[式中、
XおよびYは各々独立に水素またはクロロであり、
Rは、水素、4−エピ−バンコサミニル、アクチノサミニルまたはリストサミニルであり、
は水素またはマンノースであり、
は、−NH、−NHCHまたは−N(CHであり、
は、−CHCH(CH、[p−OH、m−Cl]フェニル、p−ラムノース−フェニル、[p−ラムノース−ガラクトース]フェニル、[p−ガラクトース−ガラクトース]フェニルまたは[p−CHO−ラムノース]フェニルであり、
は、−CH(CO)NH、ベンジル、[p−OH]フェニルまたは[p−OH、m−Cl]フェニルであり、
は水素またはマンノースであり、
は、4−エピ−バンコサミニル、L−アコサミニル、L−リストサミニルまたはL−アクチノサミニルであり、
は、(C〜C16)アルケニル、(C〜C12)アルキニル、(C〜C12)アルキル−R、(C〜C12−アルキル)−ハロ、(C〜C−アルケニル)−R、(C〜C−アルキニル)−R、(C〜C12−アルキル)−O−Rであって、Rのアミノ基に結合しており、
は、a)非置換多環アリールまたは(i)ヒドロキシ、(ii)ハロ、(iii)ニトロ、(iv)(C〜C)−アルキル、(v)(C〜C)−アルケニル、(vi)(C〜C)−アルキニル、(vii)(C〜C)−アルコキシ、(viii)ハロ−(C〜C)−アルキル、(ix)ハロ−(C〜C)−アルコキシ、(x)カルボ−(C〜C)−アルコキシ、(xi)カルボベンジルオキシ、(xii)(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ハロまたはニトロで置換されたカルボベンジルオキシ、(xiii)式:−S(O)n’R[式中、n’は0〜2である。Rは(C〜C)−アルキル、フェニルまたは(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ハロまたはニトロで置換されたフェニルである]で示される基および(xiv)式:−C(O)N(R10[式中、各R10置換基は独立に水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、フェニルか、または(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ハロまたはニトロで置換されたフェニルである]で示される基から構成される群から独立に選択される置換基1個またはそれ以上で置換された多環アリール、
b)非置換ヘテロアリールまたは(i)ハロ、(ii)(C〜C)−アルキル、(iii)(C〜C)−アルコキシ、(iv)ハロ−(C〜C)−アルキル、(v)ハロ−(C〜C)−アルコキシ、(vi)フェニル、(vii)チオフェニル、(viii)ハロ、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルケニル、(C〜C)−アルキニル、(C〜C)−アルコキシまたはニトロで置換されたフェニル、(ix)カルボ−(C〜C)アルコキシ、(x)カルボベンジルオキシ、(xi)(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ハロまたはニトロで置換されたカルボベンジルオキシ、(xii)前記で定義された式:−S(O)n’Rで示される基、(xiii)前記で定義された式:−C(O)N(R10で示される基および(xiv)チエニルから構成される群から独立に選択される置換基1個またはそれ以上で置換されたヘテロアリール、
c)式:
【化13】

[式中、
は、−OC(A−C(A−O−、−O−C(A−O−、−C(A−O−または−C(A−C(A−C(A−C(A−である。各A−置換基は水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)アルコキシおよび(C〜C10)−シクロアルキルから独立に選ばれる]
で示される基、
d)式:
【化14】

[式中、
pは1から5であり、R11は、(i)水素、(ii)ニトロ、(iii)ヒドロキシ、(iv)ハロ、(v)(C〜C)−アルキル、(vi)(C〜C)−アルコキシ、(vii)(C〜C12)−アルキル、(viii)(C〜C)−アルキニル、(ix)(C〜C12)−アルコキシ、(x)(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ−(C〜C)−アルコキシまたは(C〜C)アルキルチオで置換された(C〜C)−アルコキシ、(xi)(C〜C)−アルケニルオキシ、(xii)(C〜C13)−アルキニルオキシ、(xiii)ハロ−(C〜C)−アルキル、(xiv)ハロ−(C〜C)−アルコキシ、(xv)(C〜C)−アルキルチオ、(xvi)(C〜C10)−アルカノイルオキシ、(xvii)カルボキシ−(C〜C)−アルケニル、(xviii)(C〜C)−アルキルスルホニルオキシ、(xix)カルボキシ−(C〜C)−アルキル、(xx)N−[ジ(C〜C)アルキル]アミノ−(C〜C)アルコキシ、(xxi)シアノ−(C〜C)−アルコキシおよび(xxii)ジフェニル−(C〜C)−アルキルから構成される群から独立に選択される。但し、R11が(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシまたはハロである時は、pは2に等しいか、2より大きくなければならないものとする。また、Rが(C〜C−アルキル)−Rである時は、R11は水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシまたはハロではないものとする]
で示される基、
e)式:
【化15】

[式中、
qは0から4までであり、
12は、(i)ハロ、(ii)ニトロ、(iii)(C〜C)−アルキル、(iv)(C〜C)−アルコキシ、(v)ハロ−(C〜C)−アルキル、(vi)ハロ−(C〜C)−アルコキシおよび(vii)ヒドロキシおよび(vii)(C〜C)−チオアルキルから構成される群から独立に選択され、
rは1から5であるが、但し、qとrとの合計は5よりも大きくはないものとし、
Zは、(i)一重結合、(ii)非置換、またはヒドロキシ、(C〜C)−アルキルまたは(C〜C)−アルコキシで置換された二価の(C〜C)−アルキル、(iii)二価の(C〜C)−アルケニル、(iv)二価の(C〜C)−アルキニル、または(v)式:
−(C(R14)s−R15−または−R15−(C(R14)s−
[式中、sは0〜6であり、各R14置換基は、水素、(C〜C)−アルキルまたは(C〜C10)−シクロアルキルから独立に選択され、R15は、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SO−O−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−NH−、−N(C〜C−アルキル)−および−C(O)NH−、−NHC(O)−、−N=N−から選択される]で示される基から構成される群から選択される基であり、
13は、(i)(C〜C10)−ヘテロシクリル、(ii)ヘテロアリール、(iii)非置換、または(C〜C)−アルキルで置換された(C〜C10)−シクロアルキルまたは(iv)非置換、またはハロ、ヒドロキシ、ニトロ、(C〜C10)−アルキル、(C〜C10)−アルコキシ、ハロ−(C〜C)−アルコキシ、ハロ−(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシフェニル、フェニル、フェニル−(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシフェニル、フェニル−(C〜C)−アルキニルおよび(C〜C)−アルキルフェニルから独立に選択された置換基1個から5個で置換されたフェニルから構成される群から独立に選択される]
で示される基、
f)非置換(C〜C10)−シクロアルキル、または(i)(C〜C)−アルキル、(ii)(C〜C)−アルコキシ、(iii)(C〜C)−アルケニル、(iv)(C〜C)−アルキニル、(v)(C〜C10)−シクロアルキル、(vi)フェニル、(vii)フェニルチオ、(viii)ニトロ、ハロ、(C〜C)−アルカノイルオキシまたはカルボシクロアルコキシにより置換されたフェニルおよび(ix)式:−Z−R13(式中、ZおよびR13は前記と同義である)で示される基から構成される群から独立に選択される置換基1個またはそれ以上で置換された(C〜C10)−シクロアルキルおよび
g)式:
【化16】

[式中、
およびAは、(i)結合、(ii)−O−、(iii)−S(O)t−(式中、tは0から2までである)、(iv)−C(R17−(式中、各R17置換基は水素、(C〜C)−アルキル、ヒドロキシ、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシから独立に選択されるか、または両R17置換基を合わせてOである)、(v)−N(R18−(式中、各R18置換基は水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルケニル、(C〜C)−アルキニル、(C〜C10)−シクロアルキル、フェニルか、またはニトロ、ハロまたは(C〜C)−アルカノイルオキシで置換されたフェニルから独立に選択されるか、または両R18置換基を合わせて(C〜C10)−シクロアルキルである)から各々独立に選択され、R16は前記で定義したR12またはR13であり、uは0〜4である]
で示される基から構成される群から選択される];
【0012】
式(1)および(2):
【化17】

[式中、nは0から10までの整数、n’は1から12までの整数、またmは2から60までの整数を表す]で示される化合物(特開2000−302687公報):あるいは
【0013】
式I:
【化18】

の化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、立体異性体およびプロドラッグ(特表2002−533472公報):
[式中、
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式および−R−Y−R−(Z);または必要に応じて−R−Y−R−(Z)で置換されたサッカリド基からなる群から選択され;
は、水素、または必要に応じて−R−Y−R−(Z)で置換されたサッカリド基であり;
は、−ORまたは−NRであり;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、−R−Y−R−(Z)、−C(O)Rおよび必要に応じて−R−Y−R−(Z)で置換されたサッカリド基からなる群から選択され;
は、水素、ハロ、−CH(R)−NR、−CH(R)−NRおよび−CH(R)−NR−R−Y−R−(Z)からなる群から選択され;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、−R−Y−R−(Z)、−C(O)Rおよび必要に応じて−NRc−R−Y−R−(Z)で置換されたサッカリド基からなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それぞれが結合している原子と一緒に連結して、−NR−R−Y−R−(Z)で必要に応じて置換された複素環式環を形成し;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、−R−Y−R−(Z)および−C(O)Rからなる群から選択され;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択され;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択され;
10は、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;
11は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択されるか、R10およびR11は、それらが結合している炭素および窒素原子と一緒に結合して、複素環式環を形成し;
12は、水素、アルキル、置換アルキルおよび−C(O)ORからなる群から選択され;
13は、水素または−OR14からなる群から選択され;
14は、水素、−C(O)Rおよびサッカリド基から選択され;
各Rは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレンおよび置換アルキニレンからなる群から独立して選択され;
各Rは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレンおよび置換アルキニレンからなる群から独立して選択され;
各Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式および−C(O)Rからなる群から独立して選択され;
各Rは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から独立して選択され;
は、サッカリド基であり;
、XおよびXは、水素またはクロロから独立して選択され;
各Yは、酸素、硫黄、−S−S−、−NR−、−S(O)−、−SO−、−NRC(O)−、−OSO−、−OC(O)−、−NRSO−、−C(O)NR−、−C(O)O−、−SONR−、−SOO−、−P(O)(ORc)O−、−P(O)(OR)NR−、−OP(O)(OR)O−、−OP(O)(OR)NR−、−OC(O)O−、−NRC(O)O−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−および−NRSONR−からなる群から独立して選択され;
各Zは、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールおよび複素環式から独立して選択され;
nは、0、1または2であり;および
xは、1または2であり、ただし、R、R、R、R、RまたはRのうち少なくとも1つは、式−R−Y−R−(Z)の置換基を有し;さらに、ただし、
(i)Yが−NR−であり、Rが1〜4個の炭素原子のアルキルであり、Zが水素であり、およびRがアルキレンである場合、Rは少なくとも5個の炭素原子を含み;
(ii)Yが−C(O)NR−であり、Zが水素であり、およびRがアルキレンである場合、Rは少なくとも5個の炭素原子を含み;
(iii)Yが硫黄であり、Zが水素であり、およびRがアルキレンである場合、Rは少なくとも7個の炭素原子を含み;および
(iv)Yが酸素であり、Zが水素であり、およびRがアルキレンである場合、Rは少なくとも11個の炭素原子を含む];
【0014】
式I:
【化19】

の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、立体異性体またはプロドラッグ(特表2003−531869公報):
[式中、
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式および−R−Y−R−(Z)からなる群より選択されるか;またはRは、−R−Y−R−(Z)、R、−C(O)Rもしくは−C(O)−R−Y−R−(Z)で必要に応じて置換されたサッカリド基であり;
は、水素、または−R−Y−R−(Z)、R、−C(O)Rもしくは−C(O)−R−Y−R−(Z)で必要に応じて置換されたサッカリド基であり;
は、−OR、−NR、−O−R−Y−R−(Z)、−NR−R−Y−R−(Z)、−NR、もしくは−O−Rであるか;またはRは、1以上のホスホノ基を含む窒素結合置換基、酸素結合置換基もしくは硫黄結合置換基であり;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、−R−Y−R−(Z)、−C(O)Rおよび−R−Y−R−(Z)、R、−C(O)Rもしくは−C(O)−R−Y−R−(Z)で必要に応じて置換されたサッカリド基からなる群より選択され;
は、水素、ハロ、−CH(R)−NR、−CH(R)−NR、−CH(R)−NR−R−Y−R−(Z)、−CH(R)−Rx、−CH(R)−NR−R−C(=O)−Rおよび1以上のホスホノ基を含む置換基からなる群より選択され;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、−R−Y−R−(Z)、−C(O)Rおよび−NR−R−Y−R−(Z)で必要に応じて置換されたサッカリド基からなる群より選択されるか、またはRおよびRは連結されて、これらが結合する原子と共に−NR−R−Y−R−(Z)で必要に応じて置換された複素環式環を形成し得;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、−R−Y−R−(Z)および−C(O)Rからなる群より選択され;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択され;
は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択され;
10は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択されるか;またはRおよびR10は、連結されて−Ar−O−Ar−を形成し、ここで、ArおよびArは、独立してアリーレンまたはヘテロアリーレンであり;
11は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択されるか、またはR10およびR11は連結されて、これらが結合する炭素原子および窒素原子と共に複素環式環を形成し;
12は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式、−C(O)R、−C(NH)R、−C(O)NR、−C(O)OR、−C(NH)NRおよび−R−Y−R−(Z)からなる群より選択されるか、またはR11およびR12は連結されて、これらが結合する窒素原子と共に複素環式環を形成し;
13は、水素または−OR14からなる群より選択され;
14は、水素、−C(O)Rおよびサッカリド基から選択され;
各Rは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレンおよび置換アルキニレンからなる群から独立して選択され;
各Rは、共有結合、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレンおよび置換アルキニレンからなる群より独立して選択され、但し、Rは、Zが水素である場合には共有結合ではなく;
各Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式および−C(O)Rからなる群より独立して選択され;
各Rは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より独立して選択され;
は、サッカリド基であり;
各Rは、独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式であり;
は、N結合アミノサッカリドまたはN結合複素環式であり、X、XおよびXは、水素または塩素から独立して選択され;
各Yは、酸素、硫黄、−S−S−、−NR−、−S(O)−、−SO−、−NRC(O)−、−OSO−、−OC(O)−、−NRSO−、−C(O)NR−、−C(O)O−、−SONR−、−SOO−、−P(O)(OR)O−、−P(O)(OR)NR−、−OP(O)(OR)O−、−OP(O)(OR)NR−、−OC(O)O−、−NRcC(O)O−、NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(=O)−および−NRSONR−からなる群より独立して選択され;
各Zは、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールおよび複素環式から独立して選択され;
nは、0、1または2であり;および
xは、1または2である];
【0015】
式:
−A−A−A−A−A−A
で示されるグリコペプチド(特開2002−520422公報):
[式中、
各ダッシュは、共有結合を表し;
基は、修飾または非修飾α−アミノ酸残基、アルキル、アリール、アラルキル、アルカノイル、アロイル、アラルカノイル、ヘテロ環、ヘテロ環−カルボニル、ヘテロ環−アルキル、ヘテロ環−アルキル−カルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、グアニジニル、カルバモイルまたはキサンチルを含み;
〜A基のそれぞれは、修飾または非修飾α−アミノ酸残基を含み、ここで(i)A基は、A基上のアミノ基に結合し、(ii)A、AおよびA基のそれぞれは、芳香族側鎖を有し、この芳香族側鎖は、2つ以上の共有結合により共に架橋しており、および(iii)A基は、末端カルボキシル、エステル、アミドまたはN−置換アミド基を有し;および
〜A基の1つ以上は、グリコシド結合を介して、それぞれ1つ以上の糖残基を有する1つ以上のグリコシド基に結合しており、ここで、少なくとも1つの該糖残基は、
式:YXR、N(R)=CR、N=PR、NまたはPの1つ以上の置換基を有するように修飾された二糖である:
[式中、
Y基は、単結合、O、NRまたはSであり;
X基は、O、NR、S、SO、C(O)O、C(O)S、C(S)O、C(S)S、C(NR)O、C(O)NRまたはハロ(この場合、YおよびRは存在しない)であり;および
R、R、RおよびRは、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルカノイル、アロイル、アラルカノイル、ヘテロ環、ヘテロ環−カルボニル、ヘテロ環−アルキル、ヘテロ環−アルキル−カルボニル、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニル;および任意のその薬学的に許容しうる塩である(ただし、式:YXRの少なくとも1つの置換基は、ヒドロキシルではなく;XおよびYは、両方ともOではなく;XおよびYは、それぞれ、SおよびO、またはOおよびSではなく;および2つ以上の該置換基が存在するならば、これらは同一であっても異なっていてもよい)が;ただし、Aが、N−置換アミノヘキソース残基を有するグルコース残基を有する二糖に結合しているとき、該グルコース残基は、少なくとも1つの該置換基:YXR、N(R)=CR、N=PR、NまたはPを有するように修飾されている]];
【0016】
式:
【化20】

の化合物、またはその塩(特開平11−502534公報):
[式中、
Xは水素またはクロロであり;
Rは4−エピ−バンコサミニルまたは式−R−R7aで表される基、ただしRは4−エピ−バンコサミニルであり、R7aはあとで定義されるものでRのアミノ基に結合するものである;
は−NHCHまたは−N(CH)R7bであり、ここにR7bはあとで定義されるものである;
は4−エピ−バンコサミニルであり;
は下に定義するものでRのアミノ基に結合しており;および
、R7aおよびR7bはおのおの独立して水素、C2-16アルケニル、C2-12アルキニル、(C1-12アルキル)−R、(C1-12アルキル)−ハロ、(C2-6アルケニル)−R、(C2-6アルキニル)−Rおよび(C1-12アルキル)−O−Rから選ばれ、ただしR、R7aおよびR7bは全てが水素ではないものとし、Rは以下から成る群から選ばれたものである:
a)置換されてないか、または次のものから成る群から独立に選ばれた1つ若しくはそれ以上の置換基で置換された多環状アリール基、(i)ヒドロキシ、(ii)ハロゲン、(iii)ニトロ、(iv)C1-6アルキル、(v)C1-6アルケニル、(vi)C1-6アルキニル、(vii)C1-6アルコキシ、(viii)ハロ−(C1-6アルキル)、(ix)ハロ−(C1-6アルコキシ)、(x)カルボ−(C1-6アルコキシ)、(xi)カルボベンジルオキシ、(xii)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロまたはニトロで置換されたカルボベンジルオキシ、(xiii)式−S(O)n’−Rで表される基、ここにn’は0〜2であり、RはC1-6アルキル、フェニルまたはC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、若しくはニトロで置換されたフェニルおよび(xiv)式−C(O)N(R10で表される基、ここに各々のR10は独立して水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、フェニルまたはC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、若しくはニトロで置換されたフェニル;
b)無置換の、または次のものから成る基から独立して選択された1つ若しくはそれ以上の置換基で置換されたヘテロアリール基(i)ハロゲン、(ii)C1-6アルキル、(iii)C1-6アルコキシ、(iv)ハロ−(C1-6アルキル)、(v)ハロ−(C1-6アルコキシ)、(vi)フェニル、(vii)チオフェニル、(viii)ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、C1-6アルコキシ、またはニトロで置換されたフェニル、(ix)カルボ−(C1-6アルコキシ)、(x)カルボベンジルオキシ、(xi)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロまたはニトロで置換されたカルボベンジルオキシ、(xii)上で定義された式−S(O)n’−Rで表される基、(xiii)上で定義された式−C(O)N(R10で表される基および(xiv)チエニル;
c)次の式で表される基
【化21】

ただしAは−OC(AC(AO−、−OC(AO−、−C(AO−または−C(AC(AC(AC(A−であり、各A置換基は独立して水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびC4-10シクロアルキルから成る群から選ばれたものである;
d)次の式で表される基
【化22】

ただしpは1〜5であり;およびR11は次のものから成る群から独立に選ばれる(i)水素、(ii)ニトロ、(iii)ヒドロキシ、(iv)ハロゲン(v)C1-8アルキル、(vi)C1-8アルコキシ、(vii)C9-12アルキル、(viii)C2-9アルキニル、(ix)C9-12アルコキシ、(x)C1-3アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ−C1-3アルコキシまたはC1-4アルキルチオで置換されたC1-3アルコキシ、(xi)C2-5アルケニルオキシ、(xii)C1-13アルキニルオキシ、(xiii)ハロ−C1-6アルキル、(xiv)ハロ−C1-6アルコキシ、(xv)C2-6アルキルチオ、(xvi)C2-10アルカノイルオキシ、(xvii)カルボキシ−(C2-4アルケニル)、(xviii)C1-3アルキルスルフォニルオキシ、(xix)カルボキシ−(C1-3アルキル)、(xx)N−[ジ(C1-3アルキル]アミノ−(C1-3アルコキシ)、(xxi)シアノ−(C1-6アルコキシ)および(xxii)ジフェニル−(C1-6アルキル)、ただしR11がC1-9アルキル、C1-8アルコキシまたはハロゲンの場合は、pは2またはそれ以上でなければならず、またはRがC1-3アルキルーRの場合は、R11は水素、C1-9アルキル、C1-8アルコキシまたはハロゲンではない;
e)次の式で表される基
【化23】

ただしqは0〜4であり;R12は次のものから成る群から独立に選ばれたものであり、(i)ハロゲン、(ii)ニトロ、(iii)C1-6アルキル、(iv)C1-6アルコキシ、(v)ハロ−(C1-6アルキル)、(vi)ハロ−(C1-6アルコキシ)、(vii)ヒドロキシおよび(viii)C1-6チオアルキル;rは1〜5であり、ただしqとrの和は5より大きくはなく;Zは次のものから成る群から選ばれたものであり、(i)単結合、(ii)無置換の、またはヒドロキシ、C1-6アルキル若しくはC1-6アルコキシで置換された2価のC1-6アルキル、(iii)2価のC2-6アルケニル、(iv)2価のC2-6アルキニル、または(v)式−(C(R14)sR15−または−R15(C(R14)s−で表される基、ただしsは0〜6であり、各々のR14置換基は独立して水素、C1-6アルキルまたはC4-10シクロアルキルから選ばれ、およびR15は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−NH−、−N(C1-6アルキル)−、−C(O)NH−、−NHC(O)−および−N=N−から選ばれ;およびR13は以下のものから成る群から独立に選ばれたものである:(i)C4-10ヘテロ環、(ii)ヘテロアリール、(iii)無置換の、またはC1-6アルキルで置換されたC4-10シクロアルキルおよび(iv)無置換の、または次から独立に選ばれた1〜5個の置換基で置換されたフェニル:ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、ハロ−C1-3アルコキシ、ハロ−C1-3アルキル、C1-3アルコキシフェニル、フェニル、フェニル−(C1-3アルキル)、C1-6アルコキシフェニル、フェニル−(C1-3アルキニル)およびC1-6アルキルフェニル;
f)無置換の、または次から成る群から独立に選ばれた1つまたはそれ以上で置換されたC4-10シクロアルキル:(i)C1-6アルキル、(ii)C1-6アルコキシ、(iii)C1-6アルケニル、(iv)C1-6アルキニル、(v)C4-10シクロアルキル、(vi)フェニル、(vii)フェニルチオ、(viii)ニトロ、ハロ、C1-6アルカノイルオキシまたはカルボシクロアルコキシで置換されたフェニルおよび(ix)式−ZR13で表される基、ただしZおよびR13は上記のとおり;および
g)次の式
【化24】

で表される基、ただしAおよびAは各々独立して次から選ばれる:(i)結合、(ii)−O−、(iii)−S(O)t−、ここでtは0〜2、(iv)−C(R17−、ここでR17は各々独立して水素、C1-6アルキル、ヒドロキシおよびC1-6アルコキシから選ばれるか、または両方のR17置換基が合体してOとなる、(v)−N(R18−、ただしR18は各々独立して水素、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、C4-10シクロアルキル、フェニル、並びにニトロ、ハロ、若しくはC1-6アルカノイルオキシで置換されたフェニル、または両方のR18置換基が合体してC4-10シクロアルキルとなる;R16は上で定義したR12またはR13であり;およびuは0〜4であり、ただし同一化合物においてRが4−エピ−バンコサミニルでRが−NH(CH)である化合物を除く]。
【0017】
グリコペプチド抗生物質誘導体のより具体的な例として例えば、バンコマイシン、テイコプラニン、リストマイシン、リストセチン、アクタプラニン、アクチノイジン(Actinoidin)、アルダシン、アボパルシン、アズレオマイシン(Azureomycin)、バルヒマイシン(Balhimycin)、クロロオリエンチシンA(ChloroorienticinA)、クロロオリエンチシンB(ChloroorienticinB)、クロロポリスポリン(Chloropolysporin)、デカプラニン(Decaplanin)、N−デメチルバンコマシイン(demethylvancomycin)、エレモマイシン(Eremomycin)、ガラカルジン(Galacardin)、ヘルベカルジン(Helvecardin)、イズペプチン(Izupeptin)、キブデリン(Kibdelin)、マンノペプチン(Mannopeptin)、オリエンチシン(Orienticin)、パルボジシン(Parvodicin)、シンモニシン(Synmonicin)、オリタバンシン(Oritavancin)、テラバンシン(Telavancin)、ダルババンシン(Dalbavancin)、A−40926などが挙げられる。
【0018】
糖部分とは、モノサッカリドまたはポリサッカリド(例:ジサッカリド)部分を意味し、アミノ糖、アミノ糖を含む糖鎖、またはそれ以外の糖もしくは糖鎖の部分を包含する。好ましくは、アミノ糖部分またはアミノ糖を含む糖鎖(好ましくはジサッカリド)部分を意味する。例えば、バンコマイシンの場合には、フェノール部分に付加したジサッカリド部分、即ちα−L−バンコサミニル−β−D−グルコピラノース部分を意味する。代表的な糖部分として例えば、D−グルコース、D−マンノース、D−キシロース、D−ガラクトース、バンコサミン、3−デスメチルバンコサミン、3−エピ−バンコサミン、4−エピ−バンコサミン、アコサミン、アクチノサミン、ダウノサミン、3−エピ−ダウノサミン、リストサミン、N−メチル−D−グルカミン、D−グルクロン酸、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、シアル酸、2−O−(α−L−バンコサミニル)−β−D−グルコピラノース、2−O−(3−デスメチル−α−L−バンコサミニル)−β−D−グルコピラノース、スクロース、ラクトース、またはマルトース)が挙げられる。
「糖残基」とは、上記「糖部分」からOHを1個除いた場合の残余部分を意味する。
「アミノ糖残基」とは、アミノ糖またはアミノ糖を含む糖鎖からアミノ基を1個除いた場合の残余部分を意味する。
【0019】
「Sac−NH」部分は、グリコペプチド抗生物質誘導体において公知のアミノ糖部分またはアミノ糖を含む糖鎖部分を意味する。「アミノ糖部分」とは、アミノ基または置換アミノ基を有するモノサッカリド基を表す。代表的なアミノ糖部分には、L−バンコサミニル、3−デスメチル−バンコサミニル、3−エピ−バンコサミニル、4−エピ−バンコサミニル、4−ケト−バンコサミニル、アコサミニエル、アクチノサミニル、ダウノサミニル、3−エピ−ダウノサミニル、リストサミニル、N−メチル−D−グルカミニル、N−アセチル−D−グルコサミル、またはN−アシル−D−グルコサミルなどが挙げられる。アクチノサミニル、アコサミニエル、4−エピ−バンコサミニル、4−ケト−バンコサミニル、リストサミニル、またはバンコサミニルが好ましい。特に、L−バンコサミニルが好ましい。またアミノ糖を含む糖鎖部分としては、α−L−バンコサミニル−β−D−グルコピラノース、3−デスメチル−α−L−バンコサミニル−β−D−グルコピラノースなどが例示される。
【0020】
以上、要するに「(グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分)−(Sac−NH)」は、アミノ糖部分を末端に有するグリコペプチド抗生物質誘導体である。
従って、本発明のグリコペプチド抗生物質誘導体は、末端のアミノ糖におけるアミノ基に基:Rが結合している化合物である。
は、式:
−X−Ar−X−Y−X−Ar
で示される。Rの特徴は、Y部分にアミド結合を含む点にある。
【0021】
「低級アルキル」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝状の飽和炭化水素鎖のモノラジカルを意味し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル、tert-ぺンチル、n-ヘキシル、イソヘキシルが挙げられる。
【0022】
、XおよびXの定義における「連結基」とは、−N=、=N−、−NR−(ここに、Rは水素または低級アルキル)、−O−、−S−、−SO−および−SO−からなる群から選択されるヘテロ原子基からなる連結基を意味し、例えば−S−S−、−NRCO−、−NRO−、−NRS−、−OSO−、−OCO−、−SONR−等を意味する。
【0023】
「アルキレン」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝状の飽和炭化水素鎖のジラジカルを意味し、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン又はヘキサメチレン等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4個の直鎖状のアルキレンであり、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレンまたはテトラメチレンが挙げられる。好ましくはメチレンである。
「アルケニレン」は、上記「アルキレン」に1個またはそれ以上の二重結合を有する炭素数2〜6個の直鎖状又は分枝状の不飽和炭化水素鎖のジラジカルを意味し、例えば、ビニレン、プロペニレンまたはブテニレンが挙げられる。好ましくは、炭素数2〜3個の直鎖状のアルケニレンであり、例えば、ビニレンまたはプロペニレンが挙げられる。
【0024】
「置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレン」とは、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有するアルキレンまたはアルケニレンを表し、ここに、置換基は以下からなる群から選択される:置換されていてもよいアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ベンジル、カルバモイルアルキル(例:カルバモイルメチル)、モノまたはジアルキルカルバモイルアルキル(例:ジメチルカルバモイルエチル)、ヒロドキシアルキル、ヘテロサイクルアルキル(例:モルホリノエチル、テトラヒドロピラニルエチル)、アルコキシカルボニルアルキル(例:エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル)、モノまたはジアルキルアミノアルキル(例:ジメチルアミノエチル)等)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、i-プロポキシエチル等)、アシル(例えば、ホルミル、置換されていてもよいアルキルカルボニル(例えば、アセチル、プロピロニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、メトキシエチルカルボニル、2,2,2-トリフルオロエチルカルボニル、エトキシカルボニルメチルカルボニル、アルコキシアルキルカルボニル(例:メトキシエチルカルボニル)、アルキルカルバモイルアルキルカルボニル(例:メチルカルバモイルエチルカルボニル)、アルコキシカルボニルアセチル等)、置換されていてもよいアリールカルボニル(例えば、ベンゾイル、トルオイル等))、置換されていてもよいアラルキル(例えば、ベンジル、4−F−ベンジル等)、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、イソプロピルスルホニル、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル、ベンジルスルホニル、メトキシエチルスルホニル等)、アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよいアリールスルホニル(例えば、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、4-フルオロベンゼンスルホニル)、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル等)、アルキルで置換されていてもよいアリール(例えば、4−メチルフェニル等)、アルキルアミノスルホニル(例えば、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル等)、アルキルアミノカルボニル(例えば、ジメチルアミノカルボニル等)、アルコキシカルボニル(例えば、エトキシカルボニル等)、シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等)、置換されていてもよいスルファモイル(例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル等)、アルキルカルボニルアミノ(例:メチルカルボニルアミノ)、ヘテロサイクル(例:モルホリノ、テトラヒドロピラニル)、置換されていてもよいアミノ(例:モノまたはジアルキルアミノ(例:ジメチルアミノ)、ホルミルアミノ)。
【0025】
従って、「同一もしくは異なる該ヘテロ原子基が1個もしくはそれ以上介在していてもよくかつ置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレン」とは、−N=、=N−、−NR−(ここに、Rは水素または低級アルキル)、−O−、−S−、−SO−および−SO−からなる群から選択される同一もしくは異なるヘテロ原子基が1個もしくはそれ以上介在していてもよくかつ置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレンを意味する。ここで「介在」とは、ヘテロ原子基がアルキレンまたはアルケニレンを構成する炭素原子間に存在する場合および、該炭素原子とAr、YまたはArの間に存在する場合のいずれをも意味する。例えば、−O−CH−、−CH−O−、−CH−O−CH−、CH−NH−CH−、−O−CH−O−、−CH−O−CH−NH−CH−、CH−N=CH−、−CH−O−CH=N−CH−、ならびに−O−CH=CH−、−CH=CH−O−、−CH=CH−O−CH−、CH−NH−CH=CH−、−O−CH=CH−O−、あるいは−(CH−O)−Ar−(O−CH−O)−Y−(O−CH)−Arなどが例示される。またアルキレンがオキソで置換された場合としては、好ましくは−CO−が例示される。
は好ましくは、C1〜C3アルキレンである。
は好ましくは、単結合、C1〜C3アルキレン、OまたはNHである。特に好ましくは単結合またはNHである。
Y−は好ましくは、−NHCO−、−CONH−、−NMeCO−、−CONMe−または以下の基である:
【化25】

また、Yはピペラジン環基であってもよい。
特に好ましくは−NHCO−または−CONH−である。
は好ましくは、単結合、C1〜C3アルキレン、OまたはNHである。特に好ましくは単結合である。
また、−Y−X−および−X−Y−でそれぞれ次の構造
【化26】

を形成してもよい。
【0026】
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換されていてもよくかつ不飽和結合を有していてもよい炭素環またはヘテロ環である。
ArおよびArの定義における「不飽和結合を有していてもよい炭素環」とは、炭素数3〜10のシクロアルキル、炭素数3〜10のシクロアルケニルまたはアリールを意味する。
「シクロアルキル」は例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜6のシクロアルキルであり、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
「シクロアルケニル」は例えば、シクロプロペニル(例えば、1-シクロプロペニル)、シクロブテニル(例えば、1-シクロブテニル)、シクロペンテニル(例えば、1-シクロペンテン-1-イル、2-シクロペンテン-1-イル、3-シクロペンテン-1-イル)、シクロヘキセニル(例えば、1-シクロヘキセン-1-イル、2-シクロヘキセン-1-イル、3-シクロヘキセン-1-イル)、シクロヘプテニル(例えば、1-シクロヘプテニル)、シクロオクテニル(例えば、1-シクロオクテニル)等が挙げられる。特に、1-シクロヘキセン-1-イル、2-シクロヘキセン-1-イル、3-シクロヘキセン-1-イルが好ましい。
「アリール」は単環芳香族炭化水素基(フェニル)および多環芳香族炭化水素基(例えば、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル等)を意味する。好ましくは、フェニルまたはナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル)が挙げられる。
【0027】
ArおよびArの定義における「不飽和結合を有していてもよいヘテロ環」とは、ヘテロサイクルまたはヘテロアリールを意味する。
「ヘテロサイクル」とは、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を少なくとも1以上環内に有する、置換可能な任意の位置に結合手を有する非芳香族複素環式基を意味し、例えば、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル、1-イミダゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、1-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、4-ピラゾリニル、1-ピラゾリジニル、3-ピラゾリジニル、4-ピラゾリジニル、ピペリジノ、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニル、2-モルホリニル、3-モルホリニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニル等が挙げられる。なお、「非芳香族複素環式基」は、非芳香族であれば、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。
「ヘテロアリール」は、単環芳香族複素環式基および縮合芳香族複素環式基を意味する。単環芳香族複素環式基は、酸素原子、硫黄原子、および/または窒素原子を環内に1〜4個含んでいてもよい5〜8員の芳香環から誘導される、置換可能な任意の位置に結合手を有していてもよい基を意味する。縮合芳香族複素環式基は、酸素原子、硫黄原子、および/または窒素原子を環内に1〜4個含んでいてもよい5〜8員の芳香環が、1〜4個の5〜8員の芳香族炭素環もしくは他の5〜8員の芳香族ヘテロ環と縮合している、置換可能な任意の位置に結合手を有していてもよい基を意味する。
「ヘテロアリール」としては、例えば、フリル(例えば、2-フリル、3-フリル)、チエニル(例えば、2-チエニル、3-チエニル)、ピロリル(例えば、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、イミダゾリル(例えば、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、ピラゾリル(例えば、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,2,4-トリアゾリール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-4-イル)、テトラゾリル(例えば、1-テトラゾリル、2-テトラゾリル、5-テトラゾリル)、オキサゾリル(例えば、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソキサゾリル(例えば、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル)、チアゾリル(例えば、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、チアジアゾリル、イソチアゾリル(例えば、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、ピリジル(例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例えば、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例えば、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、フラザニル(例えば、3-フラザニル)、ピラジニル(例えば、2-ピラジニル)、オキサジアゾリル(例えば、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)、ベンゾフリル(例えば、2-ベンゾ[b]フリル、3-ベンゾ[b]フリル、4-ベンゾ[b]フリル、5-ベンゾ[b]フリル、6-ベンゾ[b]フリル、7-ベンゾ[b]フリル)、ベンゾチエニル(例えば、2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンズイミダゾリル(例えば、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、ジベンゾフリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリル(例えば、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル)、シンノリニル(例えば、3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、キナゾリル(例えば、2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノリル(例えば、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル)、フタラジニル(例えば、1-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル)、イソキノリル(例えば、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル)、プリル、プテリジニル(例えば、2-プテリジニル、4-プテリジニル、6-プテリジニル、7-プテリジニル)、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル(例えば、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル)、インドリル(例えば、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、イソインドリル、ファナジニル(例えば、1-フェナジニル、2-フェナジニル)またはフェノチアジニル(例えば、1-フェノチアジニル、2-フェノチアジニル、3-フェノチアジニル、4-フェノチアジニル)等が挙げられる。
【0028】
ArおよびArを構成する炭素環および/またはヘテロ環は芳香族環と非芳香族環が縮合したものも含まれる。
の定義式から明らかなとおり、Arは2価の原子団であるから、1価の置換基として表現された上記の炭素環若しくはヘテロ環を構成する炭素原子若しくはヘテロ原子が、Arにおいては更に他の原子団との結合に関与することとなる。
Arは、好ましくは以下に示す2価の環である:
【化27】

【化28】

中でも特に、フェニレン(1,2−、1,3−、および1,4−フェニレンを含む)が好ましい。またヘテロ環基の好ましい態様は、N原子を1〜2個含有する5または6員環基を包含する。
Arは、下記の縮合環から選択することもできる。
【化29】

Arは、好ましくは置換されていてもよいアリール、特に置換されていてもよいフェニルである。
【0029】
ArおよびArの定義における「不飽和結合を有していてもよい炭素環またはヘテロ環」の置換基としては、低級アルキル、ヒロキシ低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基の例:ヒドロキシ、フェニルオキシ、置換されていてもよいヘテロ環(好ましくは5〜6員環)、低級アルコキシ、置換されていてもよいアミノ(置換基の例、低級アルキル、低級アルケニル、シアノ、フェニル)、置換されていてもよい低級アルコキシ低級アルキル(置換基の例:ヒドロキシ、低級アルコキシ、置換されていてもよいヘテロ環(好ましくは5〜6員環))、シクロアルキル、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアラルキルオキシ、置換されていてもよいアリールオキシ低級アルキル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、シアノ、オキソ、カルボキシ低級アルケニル、SO-環状アミノ(好ましくは5〜6員環)、低級アルキルスルホニルアミノ、置換されていてもよいアミノ(置換基の例:低級アルキル、低級アルコキシ、アシル(例:低級アルキルカルボニル、アミノ低級アルキルカルボニル、低級アルキルアミノ低級アルキルカルボニル)、ヘテロサイクル(好ましくは5〜6員環))、置換されていてもよいアミノ低級アルキル、置換されていてもよいカルバモイル(置換基の例:低級アルキル、CN、OH)、置換されていてもよいカルバモイルオキシ、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルカルボニル、ヘテロサイクロ低級アルキル、ヘテロサイクロ低級アルコキシ、シクロアルキル低級アルコキシ、置換されていてもよいアラルキルオキシ、置換されていてもよいヘテロアリール(好ましくは5〜6員環)、置換されていてもよいヘテロアリール-低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-低級アルキルオキシ、置換されていてもよいヘテロサイクル、置換されていてもよいヘテロサイクル低級アルキル、置換されていてもよいヘテロサイクル低級アルキルオキシ、置換されていてもよいヘテロサイクルカルボニル低級アルケニル、置換されていてもよいヘテロサイクルアミノ、置換されていてもよいアリール、および置換されていてもよいヘテロサイクルカルボニル低級アルケニル、SCOR、OC(=S)OR、OC(=O)SR、C(=S)OR、SC(=O)SR、SC(=S)SR、OC(=S)NH、SC(=O)NH、SC(=S)NH、OC(=S)NHR、SC(=O)NHR、SC(=S)NHR、OSONHR、OSONHPh、OC(=S)NR、SC(=O)NR、SC(=S)NR、C(=S)NH、C(=S)NHR、C(=S)NR(Rは低級アルキル)、CONHCN、CONHOHが例示される。上記置換されていてもよいアミノとしては、アミノ、モノまたはジ低級アルキルアミノ、フェニルアミノ、N−アルキル−N−フェニルアミノ、モノまたはジ低級アルコキシ低級アルキルアミノ、モノまたはジヒドロキシ低級アルキルアミノ低級アルコキシカルボニルアミノ、低級アルキルカルバモイルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、NHC(=O)SR,NHC(=S)OR,NHC(=S)SR,NHC(=S)R,NH(CHOH、N[(CHOH](Rは低級アルキル)、置換されていてもよいヘテロサイクルアミノ(置換基:低級アルキル)、置換されていてもよいアセチルアミノ(置換基の例:置換されていてもよいヘテロ環(置換基の例:低級アルキル)、アミノ、アルキルアミノ)が例示される。上記置換されていてもよいアリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクル上の置換基としては、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシ低級アルキル、ヘテロ環(好ましくは5〜6員環)、シアノ、が例示される。
ArおよびArの定義における「不飽和結合を有していてもよい炭素環またはヘテロ環」の上記置換基は、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ビニル、アリル、プロパルギル、OH、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ビニルオキシ、アリルオキシ、プロパルギルオキシ、ベンジルオキシ、2,3,4-ピコリルオキシ, フルフリルオキシ, チオフェンメチルオキシ、イミダゾリルメチルオキシ、ピラゾリルメチルオキシ、トリアゾリルメチルオキシ、チアゾリルメチルオキシ、オキサゾリルメチルオキシ、イソオキサゾリルメチルオキシ、フェニルエチルオキシ、2,3,4-ピリジルエチルオキシ、フリルエチルオキシ、チオフェンエチルオキシ、イミダゾリルエチルオキシ、ピラゾリルエチルオキシ、トリアゾリルエチルオキシ、チアゾリルエチルオキシ、オキサゾリルエチルオキシ、イソオキサゾリルエチルオキシ、シクロプロピルメチルオキシ、シクロペンチルメチルオキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルメチルオキシ、[1,3]ジオキソラン-2-イルメチルオキシ、OCOMe、NHCOMe、OCONHMe、NHCONHMe、NHCOMe、CONH、CONHMe、CONMe、OCONHPh、SCOMe、OC(=S)OMe、OC(=O)SMe、C(=S)OMe、SC(=O)SMe、SC(=S)SMe、NHC(=O)SMe、NHC(=S)OMe、NHC(=S)SMe、OC(=S)NH、SONH、SOMe、SC(=O)NH、SC(=S)NH、OC(=S)NHMe、SC(=O)NHMe、SC(=S)NHMe、OSONHMe、OSONHPh、OC(=S)NMe、SC(=O)NMe、SC(=S)NMe、NHC(=S)Me、C(=S)NH、C(=S)NHMe、C(=S)NMe、NO、NH、NHMe、NMe、NHEt、NEt、NH(CH2OH)、N[(CH2OH]、ピペラジニル、4−アルキルピペラジノ(例えば、4−メチルピペラジノ)、ピペリジニル、モルホリノ、F、Cl、Br、CF、OCF、OCHCF、CN、オキソ等である。
これらの置換基は、ArまたはAr上に、好ましくは1〜3個置換し得る。
より好ましい置換基の組合わせの一例として、1)低級アルキル、アラルキルオキシおよびニトロ、2)低級アルキル、アラルキルオキシおよびアミノ、3)低級アルキル、ヒドロキシおよびニトロ、ならびに4)低級アルキル、ヒドロキシおよびアミノなどが例示される。
Arとしては、好ましい態様の1つは、置換されていてもよいフェニレンである。フェニレン上の好ましい置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよいアミノ(置換基の例:低級アルキル、ヘテロ環、ヘテロ環低級アルキル、低級アルコキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルキルスルホニル)、置換されていてもよいアミノ低級アルキル、置換されていてもよいヘテロ環、置換されていてもよいヘテロ環低級アルキル、置換されていてもよいヘテロ環低級アルキルによって置換されていてもよいフェニレン、置換されていてもよいカルバモイル(置換基の例:低級アルキル)、置換されていてもよいカルバモイル低級アルケニルである。ヘテロ環としてこのましくは、それぞれ低級アルキル等によって置換されていてもよいヘテロサイクル(例:モルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノ)、ピリジルが例示される。
Arとしては、好ましい態様の1つは、置換されていてもよい5〜7員ヘテロ環である。ヘテロ環上の置換基として好ましくは、低級アルキル、オキソ、ハロゲン、アミノ低級アルキル、モノまたはジ低級アルキルアミノ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルキルが例示される。
Arとしては、ハロゲン、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルキル、モノ、ジ、トリ、またはテトラハロゲン化低級アルコキシ、モノ、ジ、トリ、またはテトラハロゲン化低級アルキルチオ、モノまたはジ低級アルキルアミノ、シクロアルキルメチルオキシ、置換されていてもよいベンジルオキシ、低級アルコキシカルボニルアミノ、ニトロ、ヘテロ環(例:それぞれ低級アルキル等によって置換されていてもよいモルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノ、ピロリジノ)、置換されていてもよいアセチルアミノ、置換されていてもよい低級アルコキシ、アシル(例:置換されていてもよい低級アルキルカルボニル)、および置換されていてもよい低級アルキルオキシカルボニルからなる群から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよいアリールまたはヘテロ環が好ましい。
「アラルキルオキシ」とは、上記「アリール」が置換した上記「アルキル」が酸素原子に置換している基を意味し、例えば、ベンジルオキシ、ジフェニルメチルオキシ、トリフェニルメチルオキシ、フェネチルオキシ、1-ナフチルメチルオキシ、2-ナフチルメチルオキシ等が挙げられる。
「低級アルコキシ」とは、上記「低級アルキル」が酸素原子に置換している基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシなどが挙げられる。特に、メトキシ、エトキシが好ましい。
「アリールオキシ」とは、上記「アリール」が酸素原子に置換している基を意味する。
【0030】
「置換されていてもよいアミノ」は、置換または非置換のアミノを意味する。
「置換されていてもよいカルバモイル」は、置換または非置換のカルバモイルを意味する。
「置換されていてもよいアミノ」および「置換されていてもよいカルバモイル」の置換基としては、置換されていてもよいアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ベンジル、カルバモイルアルキル(例:カルバモイルメチル)、モノまたはジアルキルカルバモイルアルキル(例:ジメチルカルバモイルエチル)、ヒロドキシアルキル、ヘテロサイクルアルキル(例:モルホリノエチル、テトラヒドロピラニルエチル)、アルコキシカルボニルアルキル(例:エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル)、モノまたはジアルキルアミノアルキル(例:ジメチルアミノエチル)等)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、i-プロポキシエチル等)、アシル(例えば、ホルミル、置換されていてもよいアルキルカルボニル(例えば、アセチル、プロピロニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、メトキシエチルカルボニル、2,2,2-トリフルオロエチルカルボニル、エトキシカルボニルメチルカルボニル、アルコキシアルキルカルボニル(例:メトキシエチルカルボニル)、アルキルカルバモイルアルキルカルボニル(例:メチルカルバモイルエチルカルボニル)、アルコキシカルボニルアセチル等)、置換されていてもよいアリールカルボニル(例えば、ベンゾイル、トルオイル等))、置換されていてもよいアラルキル(例えば、ベンジル、4−F−ベンジル等)、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、イソプロピルスルホニル、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル、ベンジルスルホニル、メトキシエチルスルホニル等)、アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよいアリールスルホニル(例えば、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、4-フルオロベンゼンスルホニル)、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル等)、アルキルで置換されていてもよいアリール(例えば、4−メチルフェニル等)、アルキルアミノスルホニル(例えば、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル等)、アルキルアミノカルボニル(例えば、ジメチルアミノカルボニル等)、アルコキシカルボニル(例えば、エトキシカルボニル等)、シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等)、置換されていてもよいスルファモイル(例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル等)、アルキルカルボニルアミノ(例:メチルカルボニルアミノ)、ヘテロサイクル(例:モルホリノ、テトラヒドロピラニル)、置換されていてもよいアミノ(例:モノまたはジアルキルアミノ(例:ジメチルアミノ)、ホルミルアミノ)等が挙げられる。上記置換基でモノまたはジ置換されていてもよい。
「置換されていてもよいアミノ」および「置換されていてもよいカルバモイル」のアミノ基は、アルキレン(例えば、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン)等で置換され、アミノ基の窒素原子と共に、O、S原子を含有してもよい環を形成していてもよい。
「置換されていてもよいアミノ」および「置換されていてもよいカルバモイル」のアミノ基は、アミノ基の2つの置換基が隣接する窒素原子と共に硫黄原子および/または酸素原子を環内に含有していてもよい含窒素ヘテロサイクル(、好ましくは5〜7員環であり、また好ましくは飽和である)を形成してもよく、該環はオキソ、低級アルキルまたはヒドロキシ等で置換されていてもよい。環を形成する硫黄原子はオキソで置換されていてもよい。例えば、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、ピロリジノ、チアジナン-2-イル、2-オキソピペリジノ、2-オキソピロリジノ、1,1-ジオキシド-1,2-チアジナン-2-イル、4-ヒドロキシモルホリノ等の5員または6員の環等が好ましい。
「置換されていてもよいアリール」および「置換されていてもよいヘテロアリール」の置換基は、「置換されていてもよいアミノ基」の場合と同様である。
【0031】
RAにおける式:−X−Ar−X−Y−X−Arで示される基の好ましい態様を以下に示す。
(1)−CH−(置換)Ph−CONR−(置換Ph)
(2)−CH−(置換)Ph−NRCO−(置換Ph)
(3)−CH−(置換)Ph−CH2−CONR−(置換Ph)
(4)−CH−(置換)Ph−CH2−NRCO−(置換Ph)
(5)−CH−(置換)Ph−X−CONR−(置換Ph)
(6)−CH−(置換)Ph−X−NRCO−(置換Ph)
(7)−CH−(置換)Ph−Q−(置換Ph)
(8)−CH−(置換)Het−CONR−(置換Ph)
(9)−CH−(置換)Het−NRCO−(置換Ph)
(10)−CH−(置換)Ph−CONR−CH−(置換Ph)
(11)−CH−(置換)Ph−NRCO−CH−(置換Ph)
(12)−CH−(置換)Ph−CH−CONR−CH−(置換Ph)
(13)−CH−(置換)Ph−CH−NRCO−CH−(置換Ph)
(14)−CH−(置換)Ph−X−CONR−CH−(置換Ph)
(15)−CH−(置換)Ph−X−NRCO−CH−(置換Ph)
(16)−CH−(置換)Ph−Q−CH−(置換Ph)
(17)−CH−(置換)Het−CONR−CH−(置換Ph)
(18)−CH−(置換)Het−NRCO−CH−(置換Ph)
(19)−(CH)m−(置換)Ph−CONR−(置換Ph)
(20)−(CH)m−(置換)Ph−NRCO−(置換Ph)
(21)−(CH)m−(置換)Ph−CH−CONR−(置換Ph)
(22)−(CH)m−(置換)Ph−CH−NRCO−(置換Ph)
(23)−(CH)m−(置換)Ph−X−CONR−(置換Ph)
(24)−(CH)m−(置換)Ph−X−NRCO−(置換Ph)
(25)−(CH)m−(置換)Ph−Q−(置換Ph)
(26)−(CH)m−(置換)Het−CONR−(置換Ph)
(27)−(CH)m−(置換)Het−NRCO−(置換Ph)
[上記式中、Ph=フェニル;R=水素または低級アルキル;X=OまたはNH;Qは前記のQ1またはQ2;Hetは、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル(好ましくは5または6員);mは2または3;(置換)は置換されていてもよい、を示す]
【0032】
、R、Rにおける化学修飾としては、例えば特開2001−163898号に記載の置換基が挙げられる。具体的には以下に例示される。
は、以下の(2−1)〜(2−7)からなる群から選択される:
(2−1)ヒドロキシ:
(2−2)置換基を有していてもよいモノまたはジアルキルアミノ(ただし、(2−4)を除く)であり、ここに2つのアルキルは結合して環を形成してもよく、該置換基は、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、ヒドロキシ、グアニジノ、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、シアノで置換されていてもよいカルバモイル、モノまたはジアルキルカルバモイル、モノまたはジアリールカルバモイル、アリール、アルキルアミドもしくはアリールアミド、アルキルウレアもしくはアリールウレア、−(C=O)N-−N+(RX3、−N+(RX2(CH2mCOORY、−N+(RX2(CH2m+(RX3、−SO2−ORY(ここで、mは1〜3であり、RXは、C1〜C3アルキルであり、そしてRYは、水素またはC1〜C3アルキルである)、もしくは−P=O(ORY2(ここで、RYは、水素もしくはC1〜C3アルキルである)、またはその組み合わせであり、ここで、該置換基中のアルキルはさらに、アルキルオキシカルボニルもしくはアリールオキシカルボニルで置換されていてもよいアミノで置換されていてもよく、また該置換基中のアリール環はさらに、ハロゲン、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、アミノで置換されていてもよいアルキル、もしくはアシル化されていてもよいヒドロキシアルキルまたはチオアルキル、またはその組み合わせで置換され得る;
(2−3)アミノまたはヒドロキシで置換されていてもよいシクロアルキルアミノ;
(2−4)二置換メチルアミノ−NHCHR67であり、ここで、R6は、カルボキシ、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル、カルバモイル、もしくは置換基を有していてもよいモノアルキルカルバモイル、もしくは置換基を有していてもよいシクロアルキルカルバモイルから選択され、ここで、該置換基は、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、カルボキシ、ヒドロキシ、−(C=O)N-−N+(RX3、−(CH2mCOORX(ここで、mは、1〜3であり、RXは、C1〜C3アルキルである)で置換されていてもよいアリール、−N+(RX2(CH2mCOORY(ここで、RYは、水素またはC1〜C3アルキルである)、もしくは−N+(RX2(CH2m+(RX3、またはその組み合わせであり、R7は、C1〜C3アルキルで窒素が置換されていてもよいインドールもしくはチオインドール、またはイミダゾリルである;
(2−5)トリペプチドR−A1−A2−A3−:ここで、A1、A2、およびA3はそれぞれ任意のアミノ酸単位であり、Rは、該トリペプチドのカルボキシ末端の、ヒドロキシ、アミノもしくは置換基を有していてもよいモノまたはジアルキルアミノを表し、該置換基は、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、グアニジノ、もしくはアリールである;
(2−6)置換基を有していてもよいヒドラジノまたはヒドロキサム酸であり、該置換基は、アルキル、もしくはさらにアルキルで置換されていてもよいアリールアルキルである;および
(2−7)置換基を有していてもよいアルコキシであり、該置換基は、さらにニトロ、ヒドロキサム酸、もしくはアルキルで置換されていてもよいアリールカルボニルである;
ただし、(2−2)〜(2−7)において、存在するアリール環はヘテロ原子を含むことができ、そして存在する炭素−炭素一重結合は、ヘテロ原子で、または−O(P=O)(ORF)O−(ここで、RFは、水素、アルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニルである)、およびイミノから選択されるヘテロ基で中断されていることがある;
は好ましくは、−OH、−NHR、または−NR′(ここに、RおよびR′は水素、置換されていてもよいアルキル、−NH−R、−NH−COR、−NH−CONHR、−O−R(各Rは、それぞれ独立して水素または置換されていてもよいアルキル)、またはアミノ糖残基)である。好ましくは、R、R′のいずれか一方は水素である。
置換されていてもよいアルキルの置換基としては、親水性の置換基が好ましく、例えばアミノ、モノまたはジ低級アルキルアミノ、トリアルキルアミン、アミノ低級アルキルアミノ、ヒドロキシ低級アルキルアミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、SOH、PO、置換されていてもよいカルバモイル、4級アンモニウム基(例:トリアルキルアミノ(例:−N(CH))、置換されていてもよい複素環基(ヘテロサイクルまたはヘテロアリール)、置換されていてもよい複素環チオ、グアニジノ、NHSONH、ヒドロキシ低級アルコキシから選択される同一または異なる1〜10個、好ましくは1〜6個の置換基が例示される。複素環内のN原子部分は4級化されて塩を形成していてもよい。置換されていてもよい複素環の置換基としては、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アミノ低級アルキル、4級アンモニウム低級アルキルが例示される。また4級アンモニウム基上の低級アルキル基はさらに置換アルキル(置換基:カルボキシ、ヒドロキシ、4級アンモニウム基)で置換されていてもよい。
【0033】
は、以下の(3−1)〜(3−4)からなる群から選択される:
(3−1)水素;
(3−2)アルキル、シクロアルキルまたはアルキレンで置換されていてもよいアミノメチルであり、該アルキル、シクロアルキルおよびアルキレンはそれぞれ置換基を有していてもよく、該置換基は、アルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニルで置換されていてもよいアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、シクロアルキルで置換されていてもよいアリール、ヒドロキシ、グアニジノ、−O−(P=O)(OH)2、カルボキシ、−N+(RX2(CH2m+(RX3、もしくは−(C=O)−N-−N+(RX3(ここで、mは1〜3であり、RXは、C1〜C3アルキルである)、またはその組み合わせであって、ここで、該モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ置換基中のアルキルは、さらにアミノで置換されていることがある;
(3−3)置換基を有していてもよいアルキニルであり、該置換基は、アルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニルで置換されていてもよいアミノ、またはアリールである;および
(3−4)ハロゲン;
ただし、(3−2)および(3−3)において、存在するアリール環はヘテロ原子を含むことができ、そして存在する炭素−炭素一重結合は、ヘテロ原子で、または−O(P=O)(ORJ)O−(ここで、RJは、水素、アルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニルである)、アミド、およびイミノから選択されるヘテロ基で中断されていることがある。
は、好ましくは水素または置換されていてもよいアルキルである。置換されていてもよいアルキルの置換基は好ましくは、前記−NHRであるか、Rにおける置換されていてもよいアルキルの置換基が例示される。
とRの好ましい組合せとしては、Rが水素、−NHR(Rは、モノまたはジ低級アルキルアミノ低級アルキル、トリ低級アルキルアンモニウム低級アルキル、またはアミノ糖残基)、−NR5'(RおよびR5'は、共にヒドロキシ低級アルキル)、または−NHCHCON(Me)、であり、Rが水素、モノまたはジ置換アミノ低級アルキル(置換基の例:低級アルキル、モノまたはジ低級アルキルアミノ低級アルキル、トリ低級アルキルアンモニウム低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ低級アルキル、−CHCON−N+(Me)、1〜6個のヒドロキシで置換された低級アルキル、およびカルボキシ、ヒドロキシ、オキソ、置換されていてもよいカルバモイル、グアニジド、スルホン酸基、リン酸基、NHSONHおよび/またはアミノで置換された低級アルキル、置換されていてもよいヘテロ環低級アルキル(置換基:アミノ低級アルキル)、置換されていてもよい4級アンモニウム低級アルキル(置換基:カルボキシ、ヒドロキシ、4級アンモニウム基))である場合が例示される。具体的には後記の表1−6〜表1−8の場合が挙げられる。また別の好ましい態様としては、表47〜53、99〜108の場合が挙げられる。
【0034】
は、以下の(4−1)〜(4−6)からなる群から選択される:
(4−1)水素;
(4−2)置換基を有していてもよいアルキルであり、該置換基は、アルキルオキシカルボニル、アミノ、アルキル化されていてもよいアリール、アリールカルボニル、カルバモイル、モノまたはジアルキルカルバモイルまたはモノまたはジアリールアルキルカルバモイルまたはその組み合わせであり、ここで、該置換基中のアルキルまたはアリールは、さらにアルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニルで置換されていてもよいアミノ、またはヒドロキシで置換されていてもよい;
(4−3)置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニルであって、該置換基は、アルキル化されていてもよいアリールである;
(4−4)アリールアミドまたはアリールチオアミド;
(4−5)アルキル化されていてもよいアミノまたはアミジノ;および
(4−6)ニトロソ;ただし、(4−2)〜(4−5)において、存在するアリール環はヘテロ原子を含み得、そして、存在する炭素−炭素一重結合はヘテロ原子で中断されていることがある。
は好ましくは水素または置換基を有していてもよいアルキルである。
また文献(例:Expert Opin. Ther.Patents(2004)14, 141〜173頁)記載の方法に準じて、N末端部分を脱ロイシン化して−NHに変換したり、さらにそれをアシル化してもよい(例:表110)。
【0035】
本発明の好ましい化合物は以下のカテゴリーに分類できる:
1)Rが、式:
−X−Ar−X−Y−X−Ar
[式中、各記号は上記の定義と同意義である]
で示される基である化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;
2)ArおよびArが、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいシクロアルキルである化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;
3)ArおよびArが置換されていてもよいベンゼン環、およびYが−NHCO−または−CONH−である化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;
4)Xが低級アルキレンである化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;
5)Xが単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基である化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;
6)Xが単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基である化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;
7)Rが、式:
−X−Ar−X−Y−X−Ar
[ここに、Xは低級アルキレン;Xは単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Xは単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Yは−NHCO−または−CONH−;Arは置換されていてもよいベンゼン環;およびArは置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキルである]で示される基である化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;
8)Rが、式:−X−Ar−X−Q−Arまたは−X−Ar−Q−X−Ar
[ここに、Xは低級アルキレン;XおよびXは単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Arは置換されていてもよいベンゼン環;およびArは置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキル]で示される基である化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;
9)Arが、低級アルキル、ニトロ、アラルキルオキシ、置換されていてもよいアミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、オキソ、低級アルコキシ、アリールオキシ、カルバモイル、置換されていてもよいカルバモイルオキシ、およびヘテロ環基からなる群から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよいベンゼン環またはヘテロ環である化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物;Arの別の好ましい態様は、ハロゲン、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルキル、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルコキシ、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルキルチオ、モノまたはジ低級アルキルアミノ、シクロアルキルメチルオキシ、ベンジルオキシ、低級アルコキシカルボニルアミノ、ニトロからなる群から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよいアリールである;および
10)アミノ糖部分が、L−バンコサミニル、3−デスメチル−バンコサミニル、3−エピ−バンコサミニル、4−エピ−バンコサミニル、4−ケト−バンコサミニル、アコサミニエル、アクチノサミニル、ダウノサミニル、3−エピ−ダウノサミニル、リストサミニル、N−メチル−D−グルカミニル、N−アセチル−D−グルコサミル、またはN−アシル−D−グルコサミル、より好ましくはL−バンコサミニルである化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
上記1)−10)の各カテゴリーは任意に2つまたはそれ以上の組合わせをもって化合物を構成することができる。
11) さらに好ましい本発明化合物は、
が、式:
−X−Ar−X−Y−X−Ar
[ここに、Xは低級アルキレン;Xは単結合;Xは単結合;Yは−NHCO−または−CONH−;Arは置換されていてもよいベンゼン環;およびArは置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキル、好ましくは置換されていてもよいベンゼン環である]で示される基である。ここで、Ar上の置換基としては、置換されていてもよいアミノが例示され、および/またはAr上の置換基は、好ましくはハロゲン、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルキル、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルコキシ、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルキルチオ、モノまたはジ低級アルキルアミノ、シクロアルキルメチルオキシ、ベンジルオキシ、低級アルコキシカルボニルアミノ、ニトロからなる群から選択される1またはそれ以上の置換基であり、Rが−NR′であり、Rが水素以外の基(好ましくは、置換されていてもよいアルキル)であり、および/またはRは水素以外の基(例:置換基を有していてもよいアルキル)である。この内、RおよびRの化学修飾としては好ましくは、前記の通りである。
さらに本発明化合物の別の好ましい態様は以下の通りである。
12)Arが、置換されていてもよいヘテロアリールである場合。
13)Xが低級アルキレン;Xが単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Xが単結合、低級アルキレンまたはヘテロ原子基;Yが−NHCO−または−CONH−;Arが置換されていてもよいヘテロアリール;およびArが置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキルである場合。
14)Rが−OH;Rが水素;およびRが水素である、場合。
15)Rが−NR′(ここに、RおよびR′はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいアルキル、またはアミノ糖残基)、Rが水素;およびRが水素である場合。
16)Rが−NR′(ここに、Rが水素、R′が親水性置換基によって置換されたアルキルまたは、アミノ糖残基)、Rが水素;およびRが水素である場合。
17)Rが−OH、Rが置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい);およびRが水素である場合。
18)Rが−OH、Rが親水性置換基によって置換されたアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい);およびRが水素である場合。
19)Xが低級アルキレン;Xが単結合、低級アルキレンまたはヘテロ原子基;Xが単結合、低級アルキレンまたはヘテロ原子基;Yが−NHCO−または−CONH−;Arが置換されていてもよいフェニルまたは置換されていてもよいヘテロアリール;Arが置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキルであり、かつR、RおよびR部分について、以下の1)〜3):
1)Rが−NR′(ここに、RおよびR′はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいアルキル、またはアミノ糖残基);
2)Rが置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい);
3)Rが低級アルキル;
の少なくともいずれか1つの場合を満たす場合。
(20) Xが低級アルキレン、好ましくはC1〜C3アルキレン;Xが単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基(例:NH)、好ましくは単結合;Xが単結合、低級アルキレンまたはヘテロ原子基(例:NH)、好ましくは単結合;Yが−NHCO−または−CONH−;Arが置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロサイクル(好ましくは5〜6員環);およびArが置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロ環(好ましくは5〜6員環)または置換されていてもよいシクロアルキル(好ましくは3〜7員環)である場合。その一態様としては、さらにR、RおよびR部分について、以下の1)〜4):
1)Rが−OH、−NR′(ここに、RおよびR′はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいアルキル、−NH−R、−NH−COR、−NH−CONHR、−O−R(各Rは、それぞれ独立して水素または置換されていてもよいアルキル)またはアミノ糖残基)または−OR(Rは置換されていてもよいアルキル(アルキル部分にはヘテロ原子基(例:NH,O等が好ましくは1〜2個)が介在していてもよい);
2)Rが置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい);
3)Rが低級アルキル;
4)N末端が脱ロイシン化されている場合、
の少なくともいずれか1つの場合を満たす場合を含む。
【0036】
より具体的な本発明化合物を以下に例示する。
【0037】
【表1−1】

【0038】
【表1−2】

【0039】
【表1−3】

【0040】
【表1−4】

【0041】
【表1−5】

【0042】
【表1−6】

【0043】
【表1−7】

【0044】
【表1−8】

【0045】
【表2−1】

【0046】
【表2−2】

【0047】
【表2−3】

【0048】
【表2−4】

【0049】
【表2−5】

【0050】
【表2−6】

【0051】
【表2−7】

【0052】
【表2−8】

【0053】
【表2−9】

【0054】
【表2−10】

【0055】
【表2−11】

【0056】
【表2−12】

【0057】
【表2−13】

【0058】
【表2−14】

【0059】
【表2−15】

【0060】
【表2−16】

表中、Me: メチル、Et: エチル、Pr: n-プロピル、iPr: イソプロピル、iBu: イソブチル、tBu: t-ブチル、bond: 単結合である。
【0061】
表1はR2種についてR、RおよびRを展開した例であり、表2はR、RおよびRそれぞれ2種についてRを展開させた例である。本発明化合物としては、表1および表2に示す基の任意の組合わせが包含される。
【0062】
本発明は、上記化合物、その製薬上許容される塩およびそれらの溶媒和物を包含する。本発明化合物の理論上可能なすべての互変異性体、幾何異性体等も、本発明の範囲内である。
【0063】
「製薬上許容される」とは、予防上または治療上有害ではないことを意味する。
本発明化合物の製薬上許容される塩としては、塩基性塩として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ブロカイン塩、メグルミン塩、ジエタノールアミン塩またはエチレンジアミン塩等の脂肪族アミン塩;N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ベネタミン塩等のアラルキルアミン塩;ピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩、イソキノリン塩等のヘテロ環芳香族アミン塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩;アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。酸性塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸等が挙げられる。
また本発明化合物の溶媒和物、各種溶媒和物も本発明の範囲内であり、例えば、一溶媒和物、二溶媒和物、一水和物、二水和物等が挙げられる。
【0064】
(2)一般的製造法
以下に代表的な製造法を記載するが、特にこれらの製法に限定する意味ではなく、他の製造法によっても本発明化合物を製造することができる。
本発明化合物は、バンコマイシンまたはその公知の誘導体を原料に用いて、アミノ糖のアミノ部分(R)、またはC末端部分(R)、レゾルシノール部分(R)、もしくはN末端部分のメチルアミノ部分(R)を種々化学修飾することにより合成できる。当該化学修飾は、例えば、特開平7−258289号、WO00/39156号、特開平2001−163898号等に記載の方法に準じて行えばよい。詳しくは以下の通りである。
1)R部分の修飾
代表的には、バンコマイシンを原料に用いて、アミノ糖のアミノ部分に、R部分:式:
−X−Ar−X−Y−X−Ar
で示される側鎖に対応する種々のアルデヒドを所望により塩基存在下で反応させ、中間体であるシッフ塩基を形成し、これを続いて還元することによりN−アルキル化して、目的の2級アミンを形成させればよい。
詳細には、シッフの塩基の形成反応は、所望により窒素またはアルゴンのような不活性雰囲気下に、ジメチルホルムアミドまたはメタノールのような極性溶媒またはそれらの混合溶媒中で、所望により塩基存在下、約25℃から約100℃の温度で実施する。この反応は通常、室温〜100℃、好ましくは約60℃から約80℃の温度で、約30分から2時間行われる。使用する塩基としては、アルキルアミン(例:ジイソプロピルエチルアミン)などが例示される。
次に中間体のシッフ塩基を、好ましくは単離せずに、水素化金属錯体により還元するか接触還元すればよい。水素化金属錯体としては、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化シアノホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素金属が使用できる。接触還元は、クラブトリー触媒、ウイルキンソン触媒、パラジウム炭、白金炭またはロジウム炭のような均一系または不均一系触媒の存在下、水素を使用して行われる。還元反応は約25℃から約100℃の温度で約1〜24時間行われる。好ましくは、水素化シアノホウ素ナトリウムの過剰量(例:3〜5モル当量)用い、上記溶媒中で、約60℃から約80℃で実施される。
【0065】
2)R部分の修飾
代表的には、バンコマイシンを原料に用いて、C末端であるカルボン酸部分を常法によりアミド化することにより、R=−NR5'である各種アミド誘導体に変換できる。
【0066】
3)R部分の修飾
代表的には、バンコマイシンを原料に用いて、レゾルシノール部分を常法によりアルキル化すればよい。
【0067】
4)R部分の修飾
代表的には、バンコマイシンを原料に用いて、N末端部分のメチルアミン部分を常法により例えばN−アルキル化すればよい。
【0068】
(3)医薬組成物
本発明はまた、本発明の新規なグリコペプチド誘導体を含有する医薬組成物を含む。従って、好ましくは製薬上許容される塩の形態のグリコペプチド化合物は、細菌感染の治療処置および予防処置のための経口または非経口投与用に処方され得る。
経口投与による場合、本発明化合物は通常の製剤、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形剤;水剤;油性懸濁剤;またはシロップ剤もしくはエリキシル剤等の液剤のいずれかの剤形としても用いることができる。非経口投与による場合、本発明化合物は、水性または油性懸濁注射剤、点鼻液として用いることができる。その調製に際しては、慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、安定剤等を任意に用いることができる。抗菌薬としては、特に経口剤、静脈注射剤等が好ましい。
本発明の製剤は、治療有効量の本発明化合物を製薬上許容される担体または希釈剤とともに組み合わせる(例えば混合する)ことによって製造される。本発明化合物の製剤は、周知の、容易に入手できる成分を用いて既知の方法により製造される。
本発明化合物の医薬組成物を製造する際、活性成分は担体と混合されるかまたは担体で希釈されるか、カプセル、サッシェー、紙、あるいは他の容器の形態をしている担体中に入れられる。担体が希釈剤として働く時、担体は媒体として働く固体、半固体、または液体の材料であり、それらは錠剤、丸剤、粉末剤、口中剤、エリキシル剤、懸濁剤、エマルジョン剤、溶液剤、シロップ剤、エアロゾル剤(液体媒質中の固体)、軟膏にすることができ、例えば、10%までの活性化合物を含む。本発明化合物は投与に先立ち、製剤化するのが好ましい。
【0069】
当業者には公知の適当な担体はいずれもこの製剤のために使用できる。このような製剤では担体は、固体、液体、または固体と液体の混合物である。例えば、静脈注射のために本発明化合物を4%デキストロース/0.5%クエン酸ナトリウム水溶液中に溶解する。固形の製剤は粉末、錠剤およびカプセルを包含する。固形担体は、香料、滑沢剤、溶解剤、懸濁剤、結合剤、錠剤崩壊剤、カプセル剤にする材料としても役立つ1またはそれ以上の物質である。経口投与のための錠剤は、トウモロコシデンプン、アルギン酸などの崩壊剤、および/またはゼラチン、アカシアなどの結合剤、およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、滑石などの滑沢剤とともに炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムなどの適当な賦形剤を含む。
粉末剤では担体は細かく粉砕された活性成分と混合された、細かく粉砕された固体である。錠剤では活性成分は、適当な比率で、必要な結合性を持った担体と混合されており、所望の形と大きさに固められている。粉末剤および錠剤は約1〜約99重量%の本発明の新規化合物である活性成分を含んでいる。適当な固形担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、ココアバターである。
【0070】
液体製剤は懸濁剤、エマルジョン剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む。活性成分は、滅菌水、滅菌有機溶媒、または両者の混合物などの製薬上許容し得る担体中に溶解または懸濁することができる。活性成分はしばしば適切な有機溶媒、例えばプロピレングリコール水溶液中に溶解することができる。水性デンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液、または適切な油中に細かく砕いた活性成分を散布することによってその他の組成物を製造することもできる。
本発明化合物の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態および疾患の種類によっても異なるが、通常、経口投与の場合、成人1日あたり約0.1mg〜7000mg、好ましくは、約0.5mg〜2000mgを、要すれば分割して投与すればよい。また、非経口投与の場合、成人1日あたり約0.1mg〜1000mg、好ましくは、約0.5mg〜500mgを投与する。
【実施例】
【0071】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はいかなる意味においてもこれら実施例に制限されるものではない。
以下の製造例および実施例に示すすべてのMSデータは、平均モル重量により計算している(C = 12.0107, H = 1.0079, O = 15.9994, N = 14.0067, Cl = 35.4527, P = 30.9738, Na = 22.9898)。
製造例1
カルボン酸誘導体3の製造
【化30】

カルボン酸誘導体3を次のとおり製造した。
4−メチル−3−ヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸1(Aldrich)3.943g(20.0mmol)の乾燥DMF40mL溶液に、臭化ベンジル4.98mL(42mmol)および細かい粉末炭酸カリウム5.8g(42mmol)を加えた。この混合物をアルゴン雰囲気下、65℃にて40時間撹拌した。得られた溶液を水および酢酸エチルに注ぐことにより反応を停止させた。生成物を酢酸エチルで抽出(3x40mL)した。酢酸エチル層を集め、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、溶媒を減圧留去して粘性黄色油状物2を得た。
Rf = 0.87 (酢酸エチル:エタノール= 4:1).
1H NMR (CDCl3): 7.76 (d, J = 8.00, 1H), 7.42 (m, 11H), 5.33 (s, 2H), 4.96 (s, 2H), 2.40 (s, 3H).
【0072】
粗製のエステル2を、水酸化カリウム5.6g(100mmol)、THF20mL、水20mLおよびメタノール30mLを用いて加水分解した。TLC分析により出発物質が完全に消費されたことが示されるまで、反応物を撹拌した(約16時間)。反応物を酸性にし、クロロホルムで抽出(3x30mL)した。クロロホルム層を集め、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、溶媒を減圧留去し、淡黄色粉末を得た。これを酢酸エチル/ヘキサンで再結晶し、白色結晶4.984g(86%)を得た。
Rf = 0.60 (酢酸エチル:エタノール= 4:1).
1 H NMR (CDCl3): 7.82 (d, 1H, J = 8.04Hz), 7.38-7.43 (m, 6H), 4.98 (s, 2H), 2.43 (s, 3H).
【0073】
実施例1
【化31】

製造例1にて製造したカルボン酸誘導体3からアルデヒド誘導体5を製造し、それをバンコマイシンと反応させて目的化合物を得た。
【化32】

【0074】
化合物4
化合物3(0.574g、2mmol)、塩化オキサリル0.226mL(2.6mmol、1.3当量)、ジクロロメタン20mLおよびDMF2滴の混合物を40分間加熱還流した。ジクロロメタンおよび過剰の塩化オキサリルを蒸留し、粘性黄色油状物を得た。得られた残渣をTHFに溶解し、4−アミノベンジルアルコール(和光)0.246g(2mmol)、トリエチルアミン0.348mL(2.5mmol)およびTHF10mLを含む、氷浴中にて0℃まですべて冷却しておいた丸底フラスコ(100mL)に素早く移した。酸塩化物の添加後、溶液を0℃にて30分間撹拌した。この溶液を酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウム水溶液を含むフラスコに注ぐことにより反応を停止させた。生成物を酢酸エチルで抽出(3x30mL)した。酢酸エチル抽出物を集め、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、溶媒を減圧留去し、生成物を淡黄色固体として得た。これを酢酸エチル/ヘキサンで再結晶し、白色結晶0.588g(75%)を得た。
1 H NMR (CDCl3): 7.74 (s, 1H,), 7.55 (d, 2H, J = 7.60Hz), 7.34 (d, 2H, J = 7.60Hz), 7.36-7.45 (m, 7H), 5.02 (s, 2H), 4.67 (s, 2H), 2.40 (s, 3H).
【0075】
化合物5
化合物4(0.588g)、二酸化マンガン(MnO2)3gおよびジクロロメタン20mLの混合物を室温にて3時間撹拌し、TLC分析により出発物質が完全に消費されていることを確認した。溶媒を減圧留去し、淡黄色固体0.46g(77%)を得た。
1 H NMR (CDCl3): 9.95 (s, 1H,), 7.89 (d, 2H, J = 8.32Hz), 7.76 (d, 2H, J = 8.32Hz), 7.39-7.45 (m, 7H), 5.03 (s, 2H), 2.43 (s, 3H).
【0076】
化合物6
ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)0.114mL(2当量)をバンコマイシン0.495g(0.333mmol、1当量)のDMF/メタノール(1:1、20mL)溶液に加え、アルデヒド化合物5(0.13g、0.333mmol、1当量)を加えた。溶液を70℃にて2時間加熱した後、室温まで冷した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム0.0836g(1.332mmol、4当量)を加えた後、反応混合物を70℃にてさらに24時間撹拌し、一晩常温まで冷却した。次いで、ジエチルエーテル400mLに注いだ。白色沈殿物を遠心分離により分離した。沈殿物を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物6(0.376g、62%)を白色固体として得た。
Rf = 0.45 (アセトニトリル:水:TFA= 1:1:0.01).
MS (MALDI-TOF, CHCA) C88H93Cl2N11NaO28 [M+Na]+として:
計算値1846.63、実測値1846.15.
【0077】
実施例2
【化33】

実施例1と同様にして化合物10を製造した。
【化34】

【0078】
化合物8
製造例1にて製造したカルボン酸誘導体3(0.574g、2mmol)、塩化オキサリル0.226mL(2.6mmol、1.3当量)、ジクロロメタン20mLおよびDMF2滴の混合物を40分間加熱還流した。ジクロロメタンおよび過剰の塩化オキサリルを蒸留し、粘性黄色油状物を得た。得られた残渣をTHFに溶解し、3−アミノベンジルアルコール(和光)0.246g(2mmol)、トリエチルアミン0.348mL(2.5mmol)およびTHF10mLを含む、氷浴中にて0℃まですべて冷却しておいた丸底フラスコ(100mL)に素早く移した。酸塩化物の添加後、溶液を0℃にて30分間撹拌した。この溶液を酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウム水溶液を含むフラスコに注ぐことにより反応を停止させた。生成物を酢酸エチルで抽出(3x30mL)した。酢酸エチル抽出物を集め、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、溶媒を減圧留去し、生成物を淡黄色固体として得た。これをカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製し、化合物8(0.678g、86%)を得た。
Rf = 0.62 (酢酸エチル).
1 H NMR (CDCl3): 7.78 (s, 1H,), 7.63 (s, 1H), 7.36-7.45 (m, 9H), 7.19 (d, 1H, J = 7.60Hz), 5.03 (s, 2H), 4.72 (s, 2H), 2.42 (s, 3H).
【0079】
化合物9
化合物8(0.678g)、二酸化マンガン(MnO2)3.07gおよびジクロロメタン20mLの混合物を室温にて2時間撹拌し、TLC分析により出発物質が完全に消費されていることを確認した。溶媒を減圧留去し、粗生成物(0.554g)を得、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製し、化合物9(0.491g、73%)を得た。
1 H NMR (CDCl3): 10.01 (s, 1H,), 7.92 (d, 1H, J = 7.60Hz), 7.85 (s, 1H), 7.71 (d, 1H, J = 8.00Hz), 7.54 (t, 1H, J = 8.00Hz), 7.37-7.45 (m, 7H), 5.03 (s, 2H), 2.42 (s, 3H).
【0080】
化合物10
ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)0.114mL(2当量)をバンコマイシン0.495g(0.333mmol、1当量)のDMF/メタノール(1:1、20mL)溶液に加え、アルデヒド化合物9(0.13g、0.333mmol、1当量)を加えた。溶液を70℃にて2時間加熱した後、室温まで冷した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム0.0836g(1.332mmol、4当量)を加えた後、反応混合物を70℃にてさらに24時間撹拌し、一晩常温まで冷却した。次いで、ジエチルエーテル400mLに注いだ。白色沈殿物を遠心分離により分離した。沈殿物を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物10(0.565g、93%)を白色固体として得た。
Rf = 0.51 (アセトニトリル:水:TFA= 1:1:0.01).
MS (MALDI-TOF, CHCA) C88H93Cl2N11NaO28 [M+Na]+として:
計算値1846.63、実測値1846.37.
【0081】
実施例3
【化35】

化合物11
実施例2で製造した化合物10(51.8mg、0.028mmol)のメタノール3mL溶液を、10%パラジウム−炭素触媒50mgの存在下、接触還元し(約3時間)、対応するアミノフェノール化合物11を得た。
MS (MALDI-TOF, CHCA) C81H89Cl2N11NaO26 [M+Na]+として:
計算値1726.53、実測値1726.67.
【0082】
実施例4
【化36】


実施例1と同様にして化合物16を製造した。
【化37】

【0083】
化合物13
製造例1にて製造したカルボン酸誘導体3(2.87g、10.0mmol)、塩化オキサリル1.13mL(1.3当量)、ジクロロメタン80mLおよびDMF2滴の混合物を40分間加熱還流した。ジクロロメタンおよび過剰の塩化オキサリルを蒸留し、粘性黄色油状物を得た。得られた残渣をTHFに溶解し、3−アミノ−1−プロパノール0.92mL(12mmol、1.2当量)、トリエチルアミン3.48mL(25mmol、2.5当量)およびTHF80mLを含む、氷浴中にて0℃まですべて冷却しておいた丸底フラスコ(250mL)に素早く移した。酸塩化物の添加後、溶液を0℃にて30分間撹拌した。この溶液を酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウム水溶液を含むフラスコに注ぐことにより反応を停止させた。生成物を酢酸エチルで抽出(3x40mL)した。酢酸エチル抽出物を集め、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、溶媒を減圧留去し、生成物を淡黄色油状物として得た。この粗製物質をさらに精製せずに次の反応に用いた。
Rf = 0.65 (酢酸エチル:エタノール= 4:1).
1H NMR 7.28-7.42 (m, 7H,), 4.98 (s, 2H), 3.73 (t, 2H, J = 5.60Hz), 3.55 (q, 2H, J = 5.60Hz), 2.36 (s, 3H), 1.77 (m, 2H).
【0084】
化合物14
撹拌した塩化チオニル(2.04mL、28mmol)のDMF10mL溶液に、アルゴン雰囲気下0℃にてヨウ化カリウム(24.5g、DMF70mL中0.15mol)およびアルコール化合物13(DMF30mL中10mmol)をシリンジで加えた。反応混合物を50℃にて3時間撹拌した後、水でクエンチし、エーテルで抽出(3x100mL)した。集めたエーテル抽出物をチオ硫酸ナトリウム水溶液および水でうまく洗浄した。有機溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、溶媒を減圧留去し、生成物を淡黄色固体として得た。これを酢酸エチル/ヘキサンで再結晶し、淡黄色結晶2.41g(53.1%、2工程)を得た。
1H NMR 7.36-7.43 (m, 6H,), 7.28 (d, 1H, J = 8.40Hz), 4.99 (s, 2H), 3.51 (q, 2H, J = 6.40Hz), 3.24 (t, 2H, J = 6.40Hz), 2.38 (s, 3H), 2.12 (m, 2H).
【0085】
化合物15
4−ヒドロキシベンズアルデヒド0.336g(2.75mmol)のアセトン10mL溶液に、無水炭酸カリウム0.345g(2.5mmol)および化合物14(1.135g、2.5mmol)を加えた。反応物を20時間加熱還流した。混合物を室温まで冷却した後、水200mLに注いだ。ろ過し、生成物を白色固体として得、カラムクロマトグラフィー(5%メタノール/クロロホルム)により精製し、化合物15(0.504g、45%)を得た。
Rf = 0.50 (クロロホルム:メタノール= 95:5).
1 H NMR(CDCl3): 9.89 (s, 1H,), 7.84 (d, 2H, J = 8.40Hz), 7.27-7.41 (m, 7H), 7.27 (s, 1H), 7.01 (d, 2H, J = 8.40Hz), 4.99 (s, 2H), 4.17 (t, 2H, J = 6.00Hz), 3.64 (t, 2H, J = 6.00Hz), 2.38 (s, 3H), 2.15 (m, 3H).
【0086】
化合物16
ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)0.114mL(2当量)をバンコマイシン0.495g(0.333mmol、1当量)のDMF/メタノール(1:1、20mL)溶液に加え、アルデヒド化合物15(0.149g、0.333mmol、1当量)を加えた。溶液を70℃にて2時間加熱した後、室温まで冷却した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム0.0836g(1.332mmol、4当量)を加えた後、反応混合物を70℃にてさらに24時間撹拌し、一晩常温まで冷却した。次いで、ジエチルエーテル400mLに注いだ。白色沈殿物を遠心分離により分離した。沈殿物を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物16(0.396g、63%)を白色固体として得た。
Rf = 0.34 (アセトニトリル:水:TFA= 1:1:0.01).
MS (MALDI, CHCA) C91H99Cl2N11NaO29 [M+Na]+として計算値1904.71、実測値1905.04.
【0087】
実施例5
【化38】

化合物24
実施例2にて製造した化合物10(364.2mg、0.2mmol)を乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)4mLに溶解した。これに、乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)4mLおよび3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン(ナカライ)50.4μL(0.4mmol、2当量)を加えた。混合物を0℃まで冷却し、DMF0.5mL中のHBTU(TCI)113.6mg(0.3mmol、1.5当量)およびHOBT(和光)40.5mg(0.3mmol、1.5当量)を加え、続いてジイソプロピルエチルアミン(DIEA)171μL(1mmol、5.0当量)を加えた。次いで反応物を室温まで昇温し、一晩(約12時間)撹拌した。反応混合物をジクロロメタン200mLに注いだ。得られた沈殿物をろ過し、ジクロロメタンで洗浄し、減圧乾燥した。沈殿物を逆相HPLC(Develosil ODS−HG−5、Φ 20mmx250mm、アセトニトリル:水:TFA=1:2:0.1%、流速2mL/分、UV:215nm、t=18.63分)により精製し、化合物24(45.5mg、45%)を淡色固体として得た。
MS (MALDI-TOF, CHCA) C93H105Cl2N13NaO27 [M+Na]+として:
計算値1930.80、実測値1931.59.
【0088】
実施例6
【化39】

化合物26
(アミノメチル)ホスホン酸(Aldrich)155.4mg(1.4mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)0.24mL(1.4mmol)を水1.5mL中にて混合し、均一になるまで撹拌した。次いでアセトニトリル5mLおよびホルムアルデヒド(水中37%溶液、16.5μL、0.22mmol)を加え、続いて実施例2にて製造した化合物10(364.2mg、0.2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)0.24mL(1.4mmol)を加えた。混合物を室温にて20時間撹拌した後、溶液を20%TFA水溶液により中和した。アセトニトリルを減圧留去し、得られた懸濁液を凍結乾燥した。回収した固体を逆相HPLC(Develosil ODS−HG−5、Φ 20mmx250mm、アセトニトリル:水:TFA=1:1:0.1%、流速3mL/分、UV:215nm、t=13.58分)により精製し、化合物26(66.1mg、17%)を得た。
MS (MALDI-TOF, CHCA) C90H99Cl2N12NaO31P [M+Na]+として:
計算値1969.68、実測値1967.77.
【0089】
実施例7
化合物27
【化40】

ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)0.114mL(2当量)を、ジメチルホルムアミド(DMF)/メタノール(MeOH)1:1(20mL)中のクロロオリエンチシンB0.495g(0.333mmol、1当量)およびアルデヒド19(0.0857g、0.333mmol、1当量)の溶液に加えた。溶液を70℃にて3時間加熱した後、室温まで冷やした。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)0.084g(1.332mmol、4当量)を加えた後、反応混合物を70℃にてさらに24時間撹拌し、一晩常温まで冷却した。次いでジエチルエーテル(Et2O)300mLに注いだ。沈殿物を遠心分離により分離した。沈殿物をHPLC(Develosil ODS-HG-5, Φ 20 mmx250 mm, アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸(TFA)=1:2:0.1%、流速3mL/分、UV:215nm)により精製し、化合物27(110.2mg、36%)を淡黄色固体として得た。
MS (MALDI-TOF, CHCA) C80H86Cl2N10NaO27 [M+Na]+として:
計算値1713.49, 実測値1713.94.
【0090】
実施例8
化合物29
【化41】

DIEA0.114mL(2当量)を、DMF/MeOH1:1(20mL)中のクロロオリエンチシンB0.495g(0.333mmol、1当量)およびアルデヒド15(0.149g、0.333mmol、1当量)の溶液に加えた。溶液を70℃にて2時間加熱した後、室温まで冷やした。NaBH3CN0.0836g(1.332mmol、4当量)を加えた後、反応混合物を70℃にてさらに24時間撹拌し、一晩常温まで冷却した。次いで、Et2O400mLに注いだ。白色沈殿物を遠心分離により分離した。沈殿物を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物29(0.135g、22%)を白色固体として得た。
MS (MALDI, CHCA) C91H99Cl2 N11NaO29 [M+Na]+として:
計算値1904.71, 実測値1904.95.
【0091】
実施例9
化合物31
【化42】

DIEA0.114mL(2当量)を、DMF/MeOH1:1(20mL)中のクロロオリエンチシンB0.495g(0.333mmol、1当量)およびアルデヒド9(0.13g、0.333mmol、1当量)の溶液に加えた。溶液を70℃にて2時間加熱した後、室温まで冷やした。NaBH3CN0.0836g(1.332mmol、4当量)を加えた後、反応混合物を70℃にてさらに24時間撹拌し、一晩常温まで冷却した。次いで、Et2O400mLに注いだ。白色沈殿物を遠心分離により分離した。沈殿物を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物31(0.205g、34%)を白色固体として得た。
MS (MALDI-TOF, CHCA) C88H93Cl2 N11NaO28 [M+Na]+として:
計算値1846.63, 実測値1846.64.
【0092】
実施例10
カルボン酸誘導体32から下記のスキームに従って化合物37を調製した。
【化43】

【0093】
化合物33
5−ニトロー3−トリフルオロメチル安息香酸32(34.2g, 145.5 mmol)をジクロロメタン(500 mL)に懸濁しオキザリルクロリド(16.5 mL, 189 mmol)を加えた。得られた懸濁液にジメチルホルムアミド(0.5 mL)を加え、45℃で1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、THF(300 mL)に溶解した。この溶液を3−アミノベンジルアルコール(18.5g, 150 mmol)とトリエチルアミン(20.3 mL, 182 mmol)に窒素気流下、氷冷下で滴下した。混合溶液を室温で2時間攪拌した後、析出した不溶物を濾取し、溶液を減圧濃縮した。得られた残渣に水とジイソプロピルエーテルを加え、析出した結晶を濾取し、化合物33を淡黄色粉末として得た。収量49.9 g (100%)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 10.72 (1H, s), 9.06 (1H, s), 8.76 (1H, s), 8.69 (1H, s), 7.75 (1H, s), 7.70 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.34 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.11 (1H, d, J = 7.6 Hz), 5.27 (1H, t, J = 5.8 Hz), 4.54 (2H, d, J = 6.1 Hz).
【0094】
化合物34
15M塩化アンモニウム水溶液(30 mL)を化合物33(49.9 g, 145.5 mmol)のエタノール(600 mL)懸濁液に加え、90℃で攪拌し溶解させた。反応液に鉄(73 g, 1310 mmol)を1時間かけて加え、90℃で20時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、溶液を減圧濃縮した。得られた残渣に水を加え、析出した結晶を濾取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄した後、化合物34を淡黄色粉末として得た。収量39.9 g (88%)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 10.26 (1H, s), 7.75 (1H, s), 7.66 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.38 (2H, d, J = 5.6 Hz), 7.30 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.06 (2H, d, J = 9.1 Hz), 5.84 (2H, s), 5.22 (1H, t, J = 5.6 Hz), 4.52 (2H, d, J = 5.6 Hz).
【0095】
化合物35
化合物34(39.9 g, 128.6 mmol)のアセトニトリル溶液(280 mL)を氷冷下で攪拌しながら溶液中に37%ホルマリン(46.2 mL, 643 mmol)を加えた後、水素化シアノホウ素ナトリウム(40.3 g, 643 mmol)を加えた。得られた混合液に酢酸(40 mL)を氷冷下で滴下し、混合溶液を氷冷下で30分間攪拌した。37%ホルマリン(28 mL, 386 mmol)を加え、氷冷下で60分間攪拌し、得られた溶液を減圧濃縮した。残渣に2規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを8〜9に調整して沈殿を析出させた。この沈殿を濾取して、水とジイソプロピルエーテルで洗浄し化合物35を淡黄色粉末として得た。収量42.7 g (98%)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 10.32 (1H, s), 7.73 (1H, s), 7.68 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.50 (2H, d, J = 12.6 Hz), 7.31 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.08-7.06 (2H, m), 5.24 (1H, br s), 4.53 (2H, d, J = 11.4 Hz), 3.05 (6H, s).
【0096】
化合物36
ジメチルスルホキシド(26 mL, 267 mmol)のジクロロメタン溶液(100 mL)に−78℃でオキザリルクロリド(16.5 mL, 189 mmol)のジクロロメタン溶液(100 mL)を滴下した。混合液を−78℃で15分間攪拌した後、得られた反応液に化合物35(37.6 g, 111.2 mmol)のジクロロメタン(300 mL)とジメチルスルホキシド(30mL)の混合溶液を−78℃で滴下し、−30℃で1時間攪拌した。反応液にトリエチルアミン(47 mL, 334 mmol)のジクロロメタン溶液(50 mL)を滴下し、−20℃で30分攪拌した。得られた溶液を減圧濃縮し、残渣に水を加え、析出した結晶を濾取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し化合物36を淡黄色粉末として得た。収量36 g (96%)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 10.60 (1H, s), 10.03 (1H, s), 8.36 (1H, s), 8.10 (1H, d, J = 10.6 Hz), 7.70 (1H, t, J = 6.2 Hz), 7.62 (1H, t, J = 9.1 Hz), 7.53 (2H, d, J = 13.6 Hz), 7.10 (1H, s), 3.06 (6H, s).
【0097】
化合物37
バンコマイシン塩酸塩(44.6g, 30 mmol)と化合物36(10.6g, 31.5 mmol)のメタノール(300mL)とジメチルホルムアミド(300mL)の混合溶液にジイソプロピルエチルアミン(10.5 mL, 60 mmol)を加え、70℃で2時間攪拌した。反応液に水素化シアノホウ素ナトリウム(7.5 g, 120 mmol)を加え、70℃で12時間攪拌した。反応液をエーテル(1500 mL)に注加し、析出した沈殿を濾取し、逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥して化合物37を白色粉末として得た。
収量17.1 g (28%)
元素分析 C83H90Cl2F3N11O25・2.5HCl・10H2O
計算値: C: 56.34%, H: 5.13%. N: 8.71%, Cl: 4.01%, F: 3.22%
実測値: C: 48.75%, H: 5.36%. N: 7.77%, Cl: 7.68%, F: 2.73%
MS(ESI): 1770[M+3]+ , 1768[M+1]-
【0098】
実施例11
同様にして、以下の化合物を調製した。
【0099】
【表3】

【0100】
【表4】

【0101】
【表5】

【0102】
【表6】

【0103】
【表7】

【0104】
【表8】

【0105】
【表9】

【0106】
【表10】

【0107】
【表11】

【0108】
【表12】

【0109】
【表13】

【0110】
【表14】

【0111】
【表15】

【0112】
【表16】

【0113】
【表17】

【0114】
【表18】

【0115】
【表19】

【0116】
【表20】

【0117】
【表21】

【0118】
【表22】

【0119】
【表23】

【0120】
【表24】

【0121】
【表25】

【0122】
【表26】

【0123】
【表27】

【0124】
【表28】

【0125】
【表29】

【0126】
【表30】

【0127】
【表31】

【0128】
【表32】

【0129】
【表33】

【0130】
【表34】

【0131】
【表35】

【0132】
【表36】

【0133】
【表37】

【0134】
【表38】

【0135】
【表39】

【0136】
【表40】

【0137】
【表41】

【0138】
【表42】

【0139】
【表43】

【0140】
【表44】

【0141】
【表45】

【0142】
【表46】

【0143】
【表47】

【0144】
【表48】

【0145】
【表49】

【0146】
【表50】

【0147】
【表51】

【0148】
【表52】

【0149】
【表53】

【0150】
【表54】

【0151】
実施例12
同様にして、以下の化合物を調製した。
【表55】

【0152】
【表56】

【0153】
【表57】

【0154】
【表58】

【0155】
【表59】

【0156】
【表60】

【0157】
【表61】

【0158】
【表62】

【0159】
【表63】

【0160】
【表64】

【0161】
【表65】

【0162】
【表66】

【0163】
【表67】

【0164】
【表68】

【0165】
【表69】

【0166】
【表70】

【0167】
【表71】

【0168】
【表72】

【0169】
【表73】

【0170】
【表74】

【0171】
【表75】

【0172】
【表76】

【0173】
【表77】

【0174】
【表78】

【0175】
【表79】

【0176】
【表80】

【0177】
【表81】

【0178】
【表82】

【0179】
【表83】

【0180】
【表84】

【0181】
【表85】

【0182】
【表86】

【0183】
【表87】

【0184】
【表88】

【0185】
【表89】

【0186】
【表90】

【0187】
【表91】

【0188】
【表92】

【0189】
【表93】

【0190】
【表94】

【0191】
【表95】

【0192】
【表96】

【0193】
【表97】

【0194】
【表98】

【0195】
【表99】

【0196】
【表100】

【0197】
【表101】

【0198】
【表102】

【0199】
【表103】

【0200】
【表104】

【0201】
【表105】

【0202】
【表106】

【0203】
【表107】

【0204】
【表108】

【0205】
【表109】

【0206】
【表110】

【0207】
【表111】

【0208】
実施例13
同様にして、以下の化合物を調製した。
【表112】

【0209】
【表113】

【0210】
実施例14
同様にして、以下の化合物を調製した。
【表114】

【0211】
【表115】

【0212】
【表116】

【0213】
【表117】

【0214】
【表118】

【0215】
【表119】

【0216】
【表120】

【0217】
【表121】

【0218】
【表122】

【0219】
【表123】

【0220】
【表124】

【0221】
【表125】

【0222】
【表126】

【0223】
【表127】

【0224】
参考例
同様にして、以下の化合物を調製した。
【表128】

【0225】
試験例1
抗菌活性のインビトロ測定
(試験方法)
当業者に周知の陽イオン調整ミューラーヒントン液体培地を用いた微量液体希釈法により、本発明化合物のいくつかについて最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。
(結果)
本発明の化合物は、バンコマイシン耐性菌を含む種々の細菌に対して強い抗菌活性を示した。特に以下の表に示すように、バンコマイシン耐性型(VRE VanA)の腸炎球菌に対しては、既存薬よりも顕著に強い活性を示した。
【0226】
【表129】

表中、VCMはバンコマイシンを、TEICはテイコプラニンを意味する。
【0227】
製剤例
以下に示す製剤例1〜8は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。「活性成分」なる用語は、本発明化合物、その互変異性体、それらのプロドラッグ、それらの製薬的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を意味する。
製剤例1
硬質ゼラチンカプセルは次の成分を用いて製造する:
用量
(mg/カプセル)
活性成分 250
デンプン(乾燥) 200
ステアリン酸マグネシウム 10
合計 460mg
【0228】
製剤例2
錠剤は下記の成分を用いて製造する:
用量
(mg/錠剤)
活性成分 250
セルロース(微結晶) 400
二酸化ケイ素(ヒューム) 10
ステアリン酸 5
合計 665mg
成分を混合し、圧縮して各重量665mgの錠剤にする。
【0229】
製剤例3
以下の成分を含有するエアロゾル溶液を製造する:
重量
活性成分 0.25
エタノール 25.75
プロペラント22(クロロジフルオロメタン) 74.00
合計 100.00
活性成分とエタノールを混合し、この混合物をプロペラント22の一部に加え、−30℃に冷却し、充填装置に移す。ついで必要量をステンレススチール容器へ供給し、残りのプロペラントで希釈する。バブルユニットを容器に取り付ける。
【0230】
製剤例4
活性成分60mgを含む錠剤は次のように製造する:
活性成分 60mg
デンプン 45mg
微結晶性セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン(水中10%溶液) 4mg
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
滑石 1mg
合計 150mg
活性成分、デンプン、およびセルロースはNo.45メッシュU.S.のふるいにかけて、十分に混合する。ポリビニルピロリドンを含む水溶液を得られた粉末と混合し、ついで混合物をNo.14メッシュU.S.ふるいに通す。このようにして得た顆粒を50℃で乾燥してNo.18メッシュU.S.ふるいに通す。あらかじめNo.60メッシュU.S.ふるいに通したナトリウムカルボキシメチルデンプン、ステアリン酸マグネシウム、および滑石をこの顆粒に加え、混合した後、打錠機で圧縮して各重量150mgの錠剤を得る。
【0231】
製剤例5
活性成分80mgを含むカプセル剤は次のように製造する:
活性成分 80mg
デンプン 59mg
微結晶性セルロース 59mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
合計 200mg
活性成分、デンプン、セルロース、およびステアリン酸マグネシウムを混合し、No.45メッシュU.S.のふるいに通して硬質ゼラチンカプセルに200mgずつ充填する。
【0232】
製剤例6
活性成分225mgを含む坐剤は次のように製造する:
活性成分 225mg
飽和脂肪酸グリセリド 2000mg
合計 2225mg
活性成分をNo.60メッシュU.S.のふるいに通し、あらかじめ必要最小限に加熱して融解させた飽和脂肪酸グリセリドに懸濁する。ついでこの混合物を、みかけ2gの型に入れて冷却する。
【0233】
製剤例7
活性成分50mgを含む懸濁剤は次のように製造する:
活性成分 50mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 50mg
シロップ 1.25ml
安息香酸溶液 0.10ml
香料 q.v.
色素 q.v.
精製水を加え合計 5ml
活性成分をNo.45メッシュU.S.のふるいにかけ、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびシロップと混合して滑らかなペーストにする。安息香酸溶液および香料を水の一部で希釈して加え、攪拌する。ついで水を十分量加えて必要な体積にする。
【0234】
製剤例8
静脈用製剤は次のように製造する:
活性成分 100mg
飽和脂肪酸グリセリド 1000ml
上記成分の溶液は通常、1分間に1mlの速度で患者に静脈内投与される。
【産業上の利用可能性】
【0235】
本発明のグリコペプチド誘導体、その製薬上許容される塩およびそれらの溶媒和物は、医療処置において有用であり、抗菌活性を含む生体活性を示す。従って、本発明は、感染性疾患、特に、動物においてグラム陽性微生物によって引き起こされる疾患を処置するための方法を提供し、本発明の化合物は、特にメチシリン耐性ブドウ球菌によって引き起こされる感染を処置するのに有用である。また、この化合物は、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を含む、腸球菌による感染を処置するのに有用である。このような疾患の例には、重篤なブドウ球菌性の感染、例えば、ブドウ球菌心内膜炎およびブドウ球菌敗血症がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
(グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分)−(Sac−NH)−RA
[式中、
(グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分)は、グリコペプチド抗生物質誘導体から糖部分を除いた部分であり;
(Sac−NH)部分は、アミノ糖またはアミノ糖を含む糖鎖の部分であり;
Aは、式:
−X1−Ar1−X2−Y−X3−Ar2
(式中、X1、X2およびX3はそれぞれ独立して、
1)単結合、
2)−N=、=N−、−NR1−(ここに、R1は水素または低級アルキル)、−O−、−S−、−SO−および−SO2−からなる群から選択されるヘテロ原子基、またはそれらの連結基、あるいは;
3)同一もしくは異なる該ヘテロ原子基が1個もしくはそれ以上介在していてもよくかつ置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレン;
Yは、−NR2CO−、−CONR2−(ここに、R2は水素または低級アルキル)、または式:
【化1】

(式中、R3はアルキレン)
で示される基;および
Ar1およびAr2はそれぞれ独立して、置換されていてもよくかつ不飽和結合を有していてもよい炭素環またはヘテロ環
〔但し、(グリコペプチド抗生物質誘導体アグリコン部分)−(Sac−NH)部分が、式:
【化2】

(式中、Rは糖残基)
で示される基である場合を除く〕]
で示される化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
(Sac−NH)部分が、L−バンコサミニル、3−デスメチル−バンコサミニル、3−エピ−バンコサミニル、4−ケト−バンコサミニル、アコサミニエル、アクチノサミニル、ダウノサミニル、3−エピ−ダウノサミニル、リストサミニル、N−メチル−D−グルカミニル、N−アセチル−D−グルコサミル、またはN−アシル−D−グルコサミルである、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項3】
(Sac−NH)部分が、L−バンコサミニルである、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項4】
さらにRAが、4−(モノフルオロベンゾイルアミノ)ベンジルである場合を除く、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項5】
さらにAr1がフェニレン;Yが−NR2CO−;かつAr2がモノフルオロフェニルである場合を除く、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項6】
さらにAr2が、モノフルオロフェニルである場合を除く、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項7】
式:
【化3】

[式中、
Aは、式:
−X1−Ar1−X2−Y−X3−Ar2
(式中、X1、X2およびX3はそれぞれ独立して、
1)単結合、
2)−N=、=N−、−NR1−(ここに、R1は水素または低級アルキル)、−O−、−S−、−SO−および−SO2−からなる群から選択されるヘテロ原子基、またはそれらの連結基、あるいは;
3)同一もしくは異なる該ヘテロ原子基が、1個もしくはそれ以上介在していてもよくかつ置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレン;
Yは、−NR2CO−、−CONR2−(ここに、R2は水素または低級アルキル)、または式:
【化4】

(式中、R3はアルキレン)
で示される基;および
Ar1およびAr2はそれぞれ独立して、置換されていてもよくかつ不飽和結合を有していてもよい炭素環またはヘテロ環で示される基であり;
Bは、−OH、または−OR6〔R6は置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい)〕であり;
Cは、水素または置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい)であり;および
Rは置換されていてもよいアルキルである]
で示される、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項8】
式:
【化5】

[式中、
Aは、式:
−X1−Ar1−X2−Y−X3−Ar2
(式中、X1、X2およびX3はそれぞれ独立して、
1)単結合、
2)−N=、=N−、−NR1−(ここに、R1は水素または低級アルキル)、−O−、−S−、−SO−および−SO2−からなる群から選択されるヘテロ原子基、またはそれらの連結基、あるいは;
3)同一もしくは異なる該ヘテロ原子基が、1個もしくはそれ以上介在していてもよくかつ置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレン;
Yは、−NR2CO−、−CONR2−(ここに、R2は水素または低級アルキル)、または式:
【化6】

(式中、R3はアルキレン)
で示される基;および
Ar1およびAr2はそれぞれ独立して、置換されていてもよくかつ不飽和結合を有していてもよい炭素環またはヘテロ環で示される基であり;
Bは、−OH、または−OR6〔R6は置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい)〕であり;
Cは、水素または置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい)であり;および
Dは、水素または低級アルキルである]
で示される、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項9】
式:
【化7】

[式中、各記号は請求項8における定義と同意義である]
で示される、請求項8記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項10】
Aが、4−(モノフルオロベンゾイルアミノ)ベンジルである場合を除く、請求項7〜9のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項11】
Ar1がフェニレン;Yが−NR2CO−;かつAr2がモノフルオロフェニルである場合を除く、請求項7〜9のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項12】
Ar2が、モノフルオロフェニルである場合を除く、請求項7〜9のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項13】
Yが、−NR2CO−または−CONR2−(ここに、R2は水素または低級アルキル)で示される基である、請求項1から12までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項14】
Ar1およびAr2が、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいシクロアルキルである、請求項1から12までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項15】
Ar1およびAr2が置換されていてもよいアリール、およびYが−NHCO−または−CONH−である、請求項1から12までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項16】
1が低級アルキレンである、請求項1から12までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項17】
2が単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基である、請求項1から12までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項18】
3が単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基である、請求項1から12までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項19】
1が低級アルキレン;X2が単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;X3が単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Yが−NHCO−または−CONH−;Ar1が置換されていてもよいフェニル;およびAr2が置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキルである、請求項1から12までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項20】
1が低級アルキレン;X2およびX3がそれぞれ独立して単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;Yが式:
【化8】

(式中、R3はアルキレン)
で示される基;Ar1が置換されていてもよいフェニル;およびAr2が置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキルである、請求項1から12までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項21】
Ar2が、低級アルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、アリールオキシ、アラルキルオキシ、置換されていてもよいアリールオキシ低級アルキル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、オキソ、SO2NH2、SO2Me、SO2-環状アミノ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいカルバモイル、置換されていてもよいカルバモイルオキシ、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキルチオ、ハロゲン化低級アルキルカルボニル、ヘテロサイクロ低級アルキル、ヘテロサイクロ低級アルコキシ、シクロアルキル低級アルコキシ、アラルキルオキシ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリール-低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-低級アルキルオキシ、ヘテロサイクル、ヘテロサイクル低級アルキルオキシ、置換されていてもよいアリール、および置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよい、アリール、ヘテロ環または下記の縮合環
【化9】

のいずれかである、請求項1から14まで、および16から18までのいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項22】
Ar2が、ハロゲン、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルキル、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルコキシ、モノ、ジまたはトリハロゲン化低級アルキルチオ、モノまたはジ低級アルキルアミノ、シクロアルキルメチルオキシ、ベンジルオキシ、低級アルコキシカルボニルアミノ、ニトロからなる群から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよいアリールである、請求項1から18まで、および20のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項23】
Ar1が、置換されていてもよいアミノによって置換されていてもよいフェニルである、請求項1から20までのいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項24】
Ar1が、置換されていてもよいヘテロアリールである、請求項1から13までのいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項25】
1が低級アルキレン;X2が単結合、低級アルキレンまたは前記ヘテロ原子基;X3が単結合、低級アルキレンまたはヘテロ原子基;Yが−NHCO−または−CONH−;Ar1が置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロサイクル;およびAr2が置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキルである、請求項1から12までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項26】
Bが−OH;RCが水素;およびRDが水素である、請求項8から25までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項27】
Bが−OH、RCが置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい);およびRDが水素である、請求項8から25までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項28】
Bが−OH、RCが親水性置換基によって置換されたアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい);およびRDが水素である、請求項8から25までのいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項29】
1が低級アルキレン;X2が単結合、低級アルキレンまたはヘテロ原子基;X3が単結合、低級アルキレンまたはヘテロ原子基;Yが−NHCO−または−CONH−;Ar1が置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロサイクル;Ar2が置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロ環または置換されていてもよいシクロアルキル;であり、かつRB、RCおよびRD部分について、以下の1)〜3):
1)RBが−OH、または−OR6〔R6は置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい)〕である、;
2)RCが置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい);
3)RDが低級アルキル;
の少なくともいずれか1つの場合を満たす、請求項7〜12のいずれか記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項30】
式:
【化10】

[式中、
Aは、式:
−X1−Ar1−X2−Y−X3−Ar2
(式中、X1、X2およびX3はそれぞれ独立して、
1)単結合、
2)−N=、=N−、−NR1−(ここに、R1は水素または低級アルキル)、−O−、−S−、−SO−および−SO2−からなる群から選択されるヘテロ原子基、またはそれらの連結基、あるいは;
3)同一もしくは異なる該ヘテロ原子基が、1個もしくはそれ以上介在していてもよくかつ置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレン;
Yは、−NR2CO−、−CONR2−(ここに、R2は水素または低級アルキル)、または式:
【化11】

(式中、R3はアルキレン)
で示される基;および
Ar1およびAr2はそれぞれ独立して、置換されていてもよくかつ不飽和結合を有していてもよい炭素環またはヘテロ環で示される基であり;
Bは、−OHであり;
Cは、水素または置換されていてもよいアルキル(アルキル部分には、ヘテロ原子基が介在していてもよい)であり;および
Dは、水素または低級アルキルである]
で示される、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

【公開番号】特開2009−79067(P2009−79067A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298383(P2008−298383)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【分割の表示】特願2006−547828(P2006−547828)の分割
【原出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】