説明

グリシンおよび/またはグリシン誘導体並びに乳酸塩および/または(ジ)酢酸塩をリステリア菌に対する抗菌剤として食物および/または飲料に併用する方法

本発明は、グリシンおよび/またはグリシン誘導体並びに乳酸塩および/または(ジ)酢酸塩をリステリア菌に対する抗菌剤として食物および飲料製品に併用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リステリア(Listeria)属細菌、とりわけリステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)菌に対する併用抗菌剤を食物および飲料に使用する方法に関する。当該抗菌剤は、とりわけ冷蔵食物および冷蔵飲料に、もっととりわけ(家禽肉および魚肉を包含する)新鮮肉または調理済み肉の製品に施与される。
【背景技術】
【0002】
慣用的に、pH調整、水活性度制御、冷蔵、高品質保存剤、たとえば亜硝酸塩の添加によって、および/または各種の処理技術、たとえば熱処理、照射処理若しくは高圧処理を使用して、飲食物用途における細菌の成長は抑制されおよび/または防止される。しかし、リステリア菌を抑制するときには、上記の対策はしばしば、そのタイプの飲食物製品について不十分か、望ましくないか、または適していないかのいずれかである。
【0003】
リステリア細菌はしばしば汚染によって飲食物製品に入り込んでしまう。リステリア菌は普通に存在し、低温で成長することができる。これは冷蔵温度に比較的非感受性である。したがって、製品、とりわけ肉製品の汚染を防ぐことは非常に困難である。さらに、リステリア菌は亜硝酸塩およびpH調整に比較的非感受性である。リステリア菌の成長のための最適pHは約6であり、これは新鮮肉または調理済み肉のおおよそ普通のpHである。さらに、pHの低減は当該肉製品の風味および食感(テクスチャ)に悪い影響を与えるだろう。
【0004】
したがって、タンパク質含有食品、pH感受性食品および冷蔵食品、たとえば飲料および乳製品、サラダおよびその他の野菜製品、乾燥食品および手軽に食べられる食品、たとえば直ぐに食べられる食事、および特に肉(=魚肉および家禽肉を包含する。)製品をリステリア菌から保存することは、依然として問題点であることが判明している。食中毒の最も重要な原因の一つは、飲食物製品の不適切な取り扱いの故の汚染であることが知られている。
【0005】
本発明は、リステリア菌から飲食物を保存する上での上述の問題への解決方法を提供する。
【0006】
食品腐敗に対するグリシンの抗菌効果を記載する種々の刊行物が存在する。すなわち、特開2000−224976号は、乳酸カルシウムおよびグリシンを有機酸塩、たとえばクエン酸塩、酢酸塩またはグルコン酸塩と併用する食品保存剤を記載する。さらに、当該保存剤が乳酸菌のような微生物に対する効果を有することを、該刊行物は記載する。
【0007】
特開2001−245644号は、少なくとも乳酸塩および酢酸塩を使用することによって、加工食品、たとえば加工肉または食品惣菜の保存期間を改良する方法を記載する。グリシンが必要により添加されてもよい。当該方法が、腐敗または変敗と関連する微生物の成長を抑制する能力があることを、該刊行物は記載する。
【0008】
英国特許第1510942号は、和菓子、ジャム、ゼリー、冷たくして供されるデザート、乳製品および砂糖漬け果物のような食品の腐敗を防ぐためにマルトースおよびグリシンを同時使用する方法を記載する。一つの試験が記載されており、そこでは当該マルトースおよびグリシンの併用がバチルス(Bacillus)菌による牛肉エキス培地の腐敗に対して試験されている。
【0009】
「普通の調理または熱処理操作に耐える、耐熱性の現地産または天然の植物相」による食品の損傷に対して、さらにはミクロコッカス・ピオゲネス(Micrococcus pyogenes)菌、より一般的にはスタフィロコッカス(Staphylococcus)菌と呼ばれる菌のような腸毒素産生性微生物による食中毒の発生に対して、グリシンが使用されることができることを、米国特許第2711976号は記載する。
【0010】
グリシンの抗菌効果を記載するいくつかの刊行物が発見されたが、どの細菌が戦いの相手だったのかは、これら刊行物からは明らかでない。
【0011】
特開平08−154640号は、抗菌剤を食品に使用して日持ちを改良することを開示し、当該抗菌剤は、好ましくはグリシン1〜30重量%および好ましくは焼成カルシウム0.05〜1重量%とともに酢酸1〜30重量%を含有する。餃子(肉団子)および春巻(細かく刻まれた野菜、肉等の回りに小ロール状に巻かれ、油脂で揚げられた卵入り生地)が、当該抗菌剤が使用される食品用途として開示されている。当該抗菌剤が有効である特定の細菌について、該刊行物は言及していない。
【0012】
特開平03−290174号は、非加熱または低温熱処理食品にグリシンおよびさらにpH5.5以下に調整された酢酸のような有機酸を加え、該食品がそこで容器に入れられて、殺菌のための水性圧力媒体による高圧処理に付される方法を記載する。グリシンが有効である食品病原性細菌について、該刊行物は言及していない。グリシンが試験された特定の飲食物用途について、該刊行物は言及していない。
【0013】
他の刊行物は、真菌および酵母菌および大腸菌に対してグリシンを使用する方法を記載する。すなわち、国際食品情報、非特許文献第002315132号、Hozovaら著、「非伝統的保存方法による食品の貯蔵寿命の延長」、スロバキア工科大、チェコスロバキア、1989年である。保存加工された製品の貯蔵寿命の延長へ及ぼすグリシンの効果を、この論文は記載する。ポークグーラッシュが試験製品として使用された。全てのサンプルは、熱処理によって処理された。生豚肉であって、その後熱処理され低温殺菌された豚肉の中に存在する真菌および酵母菌の成長に対して、グリシンの添加が効果を有することを、その結果は示す。大腸菌および嫌気性有芽胞菌を含む微生物の一部は、グリシンの存在によって有意には影響を受けない。
【特許文献1】特開2000−224976号公報
【特許文献2】特開2001−245644号公報
【特許文献3】英国特許第1510942号公報
【特許文献4】米国特許第2711976号公報
【特許文献5】特開平08−154640号公報
【特許文献6】特開平03−290174号公報
【非特許文献1】国際食品情報、非特許文献第002315132号、Hozovaら著、「非伝統的保存方法による食品の貯蔵寿命の延長」、スロバキア工科大、チェコスロバキア、1989年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、リステリア菌、より好ましくはリステリアモノサイトゲネス菌に対する併用抗菌剤を食物および/または飲料に使用する方法に関し、該併用抗菌剤は、
− グリシンおよび/またはグリシン誘導体、並びに
− 乳酸塩および/または(ジ)酢酸塩
を含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、本発明に従う併用抗菌剤によって、リステリア菌が有効に抑制されることを発見した。グリシンの単独使用はリステリア菌に対して無効であることが判明しており、かつ、乳酸塩および/または(ジ)酢酸塩の単独使用も所望の効果を与えないけれども、本発明の併用抗菌剤は所望の効果を与える。
【0016】
好適な乳酸塩は、乳酸カリウムおよび乳酸ナトリウムである。好適な(ジ)酢酸塩は、(ジ)酢酸カリウムおよび(ジ)酢酸ナトリウムである。
【0017】
グリシン誘導体とは、グリシンおよびグリシネートを含んでいる任意の化合物を意味する。好適なグリシン誘導体の例は、グリシンのアルカリ(土類)金属塩、グリシン酸アンモニウム、グリシンを含んでいるジおよびトリペプチド並びにグリシンとC1〜C8アルコールとのエステルである。グリシンとC1〜C8アルコールとのエステルとは、グリシンと1〜8の炭素原子を有するアルコールとのエステルを意味する。当該炭素原子鎖は、分岐していても直鎖であってもよい。グリシン酸アルカリ金属の例は、グリシン酸ナトリウムおよびグリシン酸カリウムであり、グリシン酸アルカリ土類金属の例は、グリシン酸マグネシウムおよびグリシン酸カルシウムであり、C1〜C8アルコールのグリシン酸エステルの例は、グリシン酸メチル、グリシン酸エチル、グリシン酸ブチルおよびグリシン酸ヘキシルである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に従う併用抗菌剤は、食物および/または飲料製品に唯一の抗菌剤として好適に使用されることができる。
【0019】
本発明に従う併用抗菌剤は、リステリア菌に対する抗菌剤として非冷蔵製品、たとえばスープ、ヌードル、クリームおよび一部のソーセージ並びに(粉状)乾燥製品に非常に申し分なく施与されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明者らはさらに、本発明に従う併用抗菌剤が、冷蔵された食物および飲料製品に好適に使用されることができることを発見した。冷蔵された食物および飲料製品とは、消費(の準備)前に細菌の安定性を増加するために、低められた温度に保たれることを要求する食物および飲料製品と解釈される。これは通常、4〜7℃で、時折12℃までの最高点を持つ温度である。本発明に従う併用抗菌剤の使用は、冷蔵製品に特別の利点を有する。何故ならば、リステリア菌は冷蔵に比較的非感受性であることが知られているからである。このような冷蔵製品の例は、肉製品(保存加工肉および/または非保存加工肉、新鮮肉および/または調理済み肉)、サラダおよび他の野菜製品、飲料および乳製品、半加工食品、手軽に食べられる食品、たとえば直ぐに食べられる食事並びに乾燥食品である。
【0021】
本発明に従う併用抗菌剤は、魚肉および家禽肉を包含する、保存加工肉および非保存加工肉の両者並びに新鮮肉の肉用途において、抗菌剤として非常に有効であることが発見された。本発明に従う併用抗菌剤は、風味を損なうことなくかつ食感を損なうことなく、当該リステリア菌に対して有効であることが発見された。
【0022】
新鮮肉の例は、牛肉、ビーフステーキ肉、牛の尾肉、牛の頸肉、ショートリブ(牛の脇肉)、牛のロースト肉、シチュー肉、牛の胸肉、豚肉、豚肉のあばら骨付き切身、ポークステーキ肉、カツレツ肉、豚のロースト肉、子羊肉、食肉用子牛肉、闘山羊肉(game goat)、アメリケーンヒレ肉(filet americain)、タルタルステーキ肉、刺身肉(sushi)、カルパッチョ肉、鶏肉、シチメンチョウ肉、カモ肉および他の家禽肉である。これらの新鮮肉用途のあるものは、生で消費されることになり、一方、たとえばミディアムに焼かれたステーキ用として意図的に加えられた、または食品の不適切な調理または不適切な取り扱いの故に意図的でなく加えられた部分的熱処理のみを加えられた後に、他のものは消費される。本発明に従う併用抗菌剤の使用は、部分的熱処理の場合にさえも食品の安全を確実にする。
【0023】
製品の全重量当たりグリシン濃度0.5〜3重量%が、リステリア菌についての抗菌剤として有効であることが発見され、また製品の全重量当たりグリシン濃度0.5〜1.5重量%が、該製品の風味を確保するのに適していることが発見された。
【0024】
製品の全重量当たりグリシン約1〜1.5重量%の濃度が、当該製品の風味に影響し始めることを、試験は示した。当該製品中には、補助的な抗菌剤および風味に影響する他の成分は存在しなかった。製品の全重量当たりグリシン濃度約1.5重量%超は、該製品に甘味を与える。製品のタイプに応じて、この甘味は許容されるかまたは許容されない。たとえば甘い飲料では、グリシンの甘味化効果は問題とは考えられていない。したがって、風味に悪影響しない点から最大、許容されるグリシン濃度は、製品の全重量当たりグリシン1.5重量%超の濃度まで増加されることができる。さらに、製品中の風味に影響する他の成分、たとえばマスキング剤の存在に応じて、グリシンおよび/またはグリシン酸アルカリ(土類)金属塩、グリシン酸アンモニウムおよび/またはグリシンとC1〜C8アルコールとのエステルの最大濃度も、グリシンおよび/または当該グリシン誘導体の存在によって風味が悪影響を受け始める点まで増加されることができる。
【0025】
当該飲食物当たり0.2〜3重量%の濃度で、乳酸および/または(ジ)酢酸塩が存在してもよいことが発見された。
【0026】
ある場合には、本発明に従う併用抗菌剤の使用を1以上の前述の保存用処理技術、たとえば熱処理、照射処理および/または高圧処理と組み合わせることが有利である。
【0027】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示され、該実施例は限定的であると解釈されてはならない。
【実施例1】
【0028】
亜硝酸塩を含まない、完全に調理されたソーセージの数バッチが、当業者に知られた方法に従って調製された。該調理されたソーセージの基本組成は、牛肉(脂肪分10%)7%、豚肉(脂肪分8%)10.2%、ベーコン(脂肪分40%)69%、水/氷(−2℃)9.00%、塩化ナトリウム塩2.0%、香辛料0.35%、リン酸塩0.35%、アスコルビン酸ナトリウム0.05%、グルタミン酸ナトリウム0.05%およびコムギデンプン2.00%(パーセントは全て全生成物の重量当たり)からなっていた。デンプンを除く上述の成分の添加後、該ソーセージは数分間均質化され、そしていくつかに小分けされた。ソーセージの別々の小分け分に、デンプンが以下の添加剤と一緒に添加された
− 乳酸カリウム1.8%(全生成物の重量当たり)
− 乳酸カリウム1.8%+グリシン0.5%(両方とも全生成物の重量当たり)
− 乳酸カリウム1.68%+ジ酢酸ナトリウム0.12%+グリシン0.5%(全て全生成物の重量当たり)
【0029】
該調理されたソーセージの小分け分が、リステリアモノサイトゲネス菌、4Aタイプ(ATCC 19114)を植菌された。該ソーセージは、殺菌された試験室用フードカッター(Scharf(商標))のボウルに入れられ、小片へとカットされ、それぞれ生成物g当たり約10の最終レベルまで前述の細菌の懸濁物を植菌された。植菌後、該ソーセージは細かく刻まれ、2分間均質化された。その後、細かく刻まれた生成物は、各40gに小分けされ、20℃において5.0×10−11・m−2・Pa−1・日−1未満の酸素透過度を有するプラスチック袋中に真空包装された。得られた包装物は12℃で12日までの間、貯蔵された。実験の間Temptimem(商標)データロガーを使用して、温度が記録された。
【0030】
適当な時間間隔で、調理され細かく刻まれたソーセージのサンプルが、細菌学的分析のために正副2個ずつ取られた。各1個の包装物から20gのサンプルが感染しないように取られ、生理的ペプトン塩水(PPS)で10倍に希釈され、そしてStomacherブレンダー中で1分間均質化された。追加の一連の希釈がPPSで行われた。リステリア菌の数がPalcam寒天培地(Oxoid(商標)CM877およびSR150)を使用して測定された。該平板培地は37℃で2日間、温置された。
【0031】
リステリアモノサイトゲネス菌を植菌され、かつ、12℃における貯蔵の間、乳酸塩および酢酸塩と一緒にグリシンを添加されていた、調理され真空包装されたソーセージの細菌学的分析の(正副2通りの)結果を、表1は示す。
【表1】

【0032】
乳酸塩および/または(ジ)酢酸塩と併用されたグリシンが抗菌効果を有することを、この結果は示す。
【実施例2】
【0033】
3個の調理された各約500gのソーセージからなる数バッチが調製された。
【0034】
該調理されたソーセージの基本組成が以下に示される。

【0035】
調理された各ソーセージが、3タイプ、すなわち1/2aタイプ(ATCC 35152)、4aタイプ(ATCC 19114)および4bタイプ(ATCC 13932)のリステリアモノサイトゲネス菌の混合物を植菌された。植菌前に、傾斜培地上に培養されていた培養物は、30℃で24時間、脳心臓浸出液液体培地(BHI、Oxoid(商標) CM225)中で2回予備培養された。十分に成長した培養物は、生理的ペプトン塩水(PPS)で希釈されて、所望レベルの混合物が得られた。
【0036】
各組成の2個のソーセージ(約1000g)が、殺菌された試験室用フードカッター(Scharf(商標))のボウルに入れられ、小片へとカットされ、生成物g当たり約10の最終レベルまで前述の細菌の懸濁物10mlを植菌された。植菌後、該ソーセージは細かく刻まれ、2分間均質化された。その後、細かく刻まれた生成物は、40gの小分け分20個へと分けられ、20℃において5.0×10−11・m−2・Pa−1・日−1未満の酸素透過度を有するプラスチック袋中に真空包装された。得られた包装物は4℃で60日までの間貯蔵された。実験の間データロガーを使用して、温度が記録された。
【0037】
適当な時間間隔で、調理され細かく刻まれたソーセージの各バッチのサンプルが、細菌学的分析のために正副2個ずつ取られた。各1個の包装物から20gのサンプルが感染しないように取られ、PPSで10倍に希釈され、そしてStomacherブレンダー中で1分間均質化された。追加の一連の希釈がPPSで行われた。リステリアモノサイトゲネス菌の数が、ISO 11290−2:1998年に挙げられているPalcam寒天培地(Oxoid(商標)CM877およびSR150)を使用して測定された。該平板培地は37℃で2日間、温置された。
【0038】
4℃における真空包装貯蔵の間、種々の添加剤を添加されていた、調理されたソーセージの細菌学的分析の結果が表2に示される。
【表2】

【0039】
グリシンの単独添加はリステリア菌の成長を阻害しないが、一方、グリシン並びに乳酸塩および/または(ジ)酢酸塩の組み合わせ添加は阻害することを、これらの実験は示す。
【実施例3】
【0040】
3個の調理された各約500gのソーセージからなる数バッチが調製された。該調理されたソーセージの基本組成が以下に示される。
【0041】
調理されたソーセージの基本組成
成分 %
牛肉(脂肪分10%) 7.00
豚肉(脂肪分8%) 10.20
ベーコン(脂肪分40%) 69.00
水/氷 9.00
Colorozo 2.00
香辛料 0.35
リン酸塩 0.35
アスコルビン酸ナトリウム 0.05
グルタミン酸ナトリウム 0.05
コムギデンプン 2.00
該ソーセージは、さらなる試験まで0℃で1日間貯蔵された。
【0042】
調理された各ソーセージが、4aタイプ(ATCC 19114)のリステリアモノサイトゲネス菌を植菌された。2個のソーセージが、殺菌された試験室用フードカッター(Scharf(商標))のボウルに入れられ、小片へとカットされ、生成物g当たりそれぞれ約10および10の最終レベルまで前述の細菌の懸濁物を植菌された。植菌後、該ソーセージは細かく刻まれ、2分間均質化された。その後、細かく刻まれた生成物は、40gの小分け分20個へと分けられ、20℃において5.0×10−11・m−2・Pa−1・日−1未満の酸素透過度を有するプラスチック袋中に真空包装された。得られた包装物は7℃で21日までの間貯蔵された。実験の間データロガーを使用して、温度が記録された。
【0043】
適当な時間間隔で、調理され細かく刻まれたソーセージの各バッチのサンプルが、細菌学的分析のために正副2個ずつ取られた。各1個の包装物から20gのサンプルが感染しないように取られ、生理的ペプトン塩水(PPS)で10倍に希釈され、そしてStomacherブレンダー中で1分間均質化された。追加の一連の希釈がPPSで行われた。
【0044】
リステリアモノサイトゲネス菌の数が、Palcam寒天培地(Oxoid(商標)CM877およびSR150)を使用して測定された。該平板培地は37℃で2日間、温置された。
【0045】
7℃における真空包装貯蔵の間、種々の添加剤を添加されていた、調理されたソーセージの細菌学的分析の結果が表3に示される。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リステリア菌、より好ましくはリステリアモノサイトゲネス菌に対する併用抗菌剤を食物および/または飲料に使用する方法において、該併用抗菌剤が、
− グリシンおよび/またはグリシン誘導体、並びに
− 乳酸塩および/または(ジ)酢酸塩
を含んでいる上記方法。
【請求項2】
乳酸塩が、乳酸ナトリウムまたは乳酸カリウムである、請求項1に従う併用抗菌剤の使用方法。
【請求項3】
(ジ)酢酸塩が、乳酸ナトリウムまたは乳酸カリウムである、請求項1に従う併用抗菌剤の使用方法。
【請求項4】
グリシン誘導体が、グリシン酸アルカリ(土類)金属塩、グリシン酸アンモニウム、グリシンを含んでいるジまたはトリペプチド、グリシンとC1〜C8アルコールとのエステルである、請求項1に従う併用抗菌剤の使用方法。
【請求項5】
併用抗菌剤が、食物および/または飲料中の唯一の抗菌剤である、請求項1に従う併用抗菌剤の使用方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に従う併用抗菌剤を、冷蔵された食物および/または冷蔵された飲料に使用する方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に従う併用抗菌剤を、肉用途に使用する方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に従う併用抗菌剤を、新鮮肉用途に使用する方法。
【請求項9】
グリシンおよび/またはグリシン誘導体が、当該食物または飲料当たり0.5〜3重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%の濃度で使用される、請求項1〜8のいずれか1項に従う併用抗菌剤の使用方法。
【請求項10】
乳酸塩および/または(ジ)酢酸塩が、当該食物または飲料当たり0.5〜3重量%の濃度で使用される、請求項1〜9のいずれか1項に従う併用抗菌剤の使用方法。

【公表番号】特表2008−510479(P2008−510479A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528870(P2007−528870)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054240
【国際公開番号】WO2006/021589
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(306003419)ピュラック バイオケム ビー.ブイ. (40)
【Fターム(参考)】