グリップ用補助具
【課題】指先における挟持力の弱い人でも、筆記具、修正テープ等の修正具、ドライバー等の工具、フォークやスプーン等の物体を把持できるように、かつ把持した際の指への疲労を軽減する、例えば、筆記具や糊、修正具等の容器に着脱自在に挿嵌できるグリップ用補助具を得ることを目的とする。
【解決手段】一方の端部を平面とし他方の端部を球状とした、両端部に向かうにしたがって漸次先窄み状の略卵形形状に形成する。前記一方の端部に物体あるいは物体の柄に着脱自在に挿嵌可能な開口部を設け、該開口部に連通した空洞部を内部に設ける。周側面における最大外径を30mm〜50mmとし、軸心に沿った方向の全長を50mm〜70mmでする。
【解決手段】一方の端部を平面とし他方の端部を球状とした、両端部に向かうにしたがって漸次先窄み状の略卵形形状に形成する。前記一方の端部に物体あるいは物体の柄に着脱自在に挿嵌可能な開口部を設け、該開口部に連通した空洞部を内部に設ける。周側面における最大外径を30mm〜50mmとし、軸心に沿った方向の全長を50mm〜70mmでする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具、糊、修正テープ、鋏みやドライバー等の把持部に着脱自在に挿嵌し、前記物体を把持して操作し易いようにするためのグリップ用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記部にフェルトにインキを含有した筆記具において、幼児用として把持し易いように、かつキャップを筆記部から取外しし易いようにと、後部を球状とし、筆記部側に近くなる程、先窄み状とした軸筒形状の「幼児用筆記具」が、実開平3−84188号公報に開示されており、こうした形状のものが把持し易いことは知られている。ただ、前記開示された技術は、筆記具の軸筒としての形状に関するものであり、糊、修正テープ、鋏みやドライバー等の物体の把持部に挿嵌して、前記物体を握り易くして操作し易いようにするというためのものではない。
【0003】
物体の把持部に挿嵌して、前記物体を握り易くして操作し易いようにするものとして、特開2005−111959号公報に、支持具本体が中間部に上部よりも幅が狭まったネック部を有した、挿入孔と反対側の後端に向かうにしたがって外径が漸次大径となる円筒形状の、あるいはネック部の後端側が球形状の「手障害者用補助具」が開示されている。この技術は、親指と他の指や隣接する指間で挟みこむことで、力をかけることなく利用できるというものであり、力をかけることがないと言えども、指と他の指や隣接する指間で挟みこむので、指に力を入れる必要があるし、指に小物の操作及び把持の二つの役割を担わせる事になり、疲労の原因にもなる。
【0004】
多くの物体は指で把持する事を前提に設計されているのが実態であるが、指はその機能に比べ一本一本の力は弱く、繰り返しの耐久性に劣るところがあり、それにも関わらず指で把持する物体を操作することは指に対し、物体の操作及び把持の二つの役割を担わせる事になり、疲労の原因にもなっている。本発明者はこうした事実に鑑み、指への疲労を軽減するために、掌に当接し得る曲面を有する形状と、各手指および掌に包み込んで握るように使用するグリップ用補助具を提供することを思いたった。
【0005】
登録実用新案登録第3058776号公報により、掌に当接し得る曲面をなす後端部を有し、各手指および掌にて包み込んで握る如く形成された把持部と、該把持部の先端部に所定角度を以て延出されたペン先と、を備えてなることを特徴とする筆記具の考案が記載されているが、前記開示された技術は、筆記具の軸筒に関するものであり、物体の把持部に挿嵌して、前記物体を握り易くして操作し易いようにするというためのものではない。また、前記考案における把持部形状は、筆記具であるために指で挟持して、筆記具の移動方向が操作し易いような形状となっており、各手指および掌にて把持部全体を包み込んで握る形状とは言いにくく、指に挟持して握る形状となっている。
【特許文献1】実開平3−84188号公報
【特許文献2】特開2005−111959号公報
【特許文献3】登録実用新案登録第3058776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、指先における挟持力の弱い人でも、筆記具、修正テープ等の修正具、ドライバー等の工具、フォークやスプーン等の物体を指と掌で把持して使用できるように、かつ指への疲労を軽減する、物体に着脱自在に挿嵌して使用するためのグリップ用補助具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
「1.物体の把持部に着脱自在に挿嵌して保持される開口部と空洞部を有したグリップ用補助具であって、形状が、軸心に沿った方向の一方の端部に前記開口部を有した、両端部に向かうにしたがって漸次先窄み状の卵形形状で、周側面における最大外径が30mm〜50mmで全長が50mm〜70mmであることを特徴とするグリップ用補助具。
2.前記グリップ用補助具に、開口部とは異なる前記空洞部と外部を連通する貫通孔を設けてなる、前記1項に記載のグリップ用補助具。
3.前記グリップ用補助具に、物体の把持部に形成された突起部が前記空洞部から外方に突出可能な、空洞部に連通する突起部用孔を設けてなる、前記1項又は2項に記載のグリップ用補助具。
4.前記グリップ用補助具を、ゴム状弾性体あるいはゲル状物質あるいは多孔質体で形成した、前記1項ないし3項のいすれか1項に記載のグリップ用補助具。
5.前記グリップ用補助具を、シリコーンゴムで形成した、前記1項ないし3項のいすれか1項に記載のグリップ用補助具。」
である。
【0008】
本発明のグリップ用補助具は略卵形形状に形成するが、その理由は、こうした形状のものは指を若干湾曲させて握るので、指の関節を利用して握ることになり、指先の僅かな力で握ることができるからである。グリップ用補助具の形状を単なる球形状にしても同様の事が言えるが、単なる球形状だと、物体を操作している際に掌内でグリップ用補助具が移動し易く、移動しないように手指に余計な力を必要とするので、好適であるとは言えない。
【0009】
グリップ用補助具における開口部は、物体の把持部に挿嵌できれば良く、その形状については円形状、四角形状、多角形状等何でも良く特定されるものではない。単なる切り込みが施されたものであっても良い。
【0010】
本発明のグリップ用補助具は、開口部と空洞部の形状と大きさを適宜に形成することにより、筆記具の軸筒等の特定された物体に挿嵌するものではなく、様々な物体の把持部に着脱自在に挿嵌して使用するものである。周側面における最大外径を30mm〜50mmと特定したのは、本発明のグリップ用補助具の使用者を老若男女に関係なく、また小学生の低学年であっても、本発明のグリップ用補助具を指と掌で把持できるようにするためである。
【0011】
ところで、年齢別、男女別の身体部位測定データ(社団法人 人間生活工学研究センターで、1992年から1994年にかけて日本全国を巡回して、7歳から90歳代3万4千人の体格を計測したデータ)におけるにぎり内径(プラスチックシートを筒状に巻いて、親指と中指で作った輪にくぐらせたときの、プラスチックシートの直径で、図13に示す手のLの部分の距離)に関するデータに基づけば、ほぼ7歳〜99歳までの年代では掌を丸めて何かを握る際の内径寸法が7歳で約30mmであり、ほぼ14歳で40mmに達し、その後は99歳まで40mm程度で推移することが判っており、前記周側面における最大外径は、適宜に設定したものではなく前記データにより裏付けされた値である。
【0012】
また、グリップ用補助具の全長を50mm〜70mmと特定しているが、これは各手指および掌にて全体を包み込んで握れるようにするためである。こうすることで指先で略卵形形状の縁部に指がかかり、指先の僅かな力でグリップ用補助具を操作できるからである。全長が長すぎると、グリップ用補助具を各手指および掌で握ることになるが、指が伸びた状態でグリップ用補助具を挟持することになり、指に力を入れなければならない。また短すぎても、グリップ用補助具全体を各手指および掌で包み込むように握れないために、指で挟持することになるので指に力を入れることが必要となり、指に小物の操作及び把持の二つの役割を担わせる事になり、疲労の原因となる。したがって、全長は50mm〜70mmが好適である。
【0013】
前記した年齢別、男女別の身体部位測定データによれば、指尖(しせん)・指節点距離(手背面で、指尖点と指節点の間の直線距離で、図14に示す手のNの部分の距離)は、男女ともに7歳で約74.1mmであり、年齢の増加とともに徐々に長くなっていくことが判る。こうしたデータからも、全長が70mm以下であれば子供でも大人でもグリップ用補助具全体を各手指および掌で包み込むように握れることが判る。
【発明の効果】
【0014】
本発明のグリップ用補助具は、前記したような寸法範囲の略卵形形状なので、各手指および掌にて全体を包み込んで握れるので物体の把持部に挿嵌すれば、指先における挟持力の弱い人でも物体を使用可能となる。また、指で物体を挟持するための強度の力を必要としないので、特定の部位が痛くなったりせず、指への疲労感や、手から肩にかけての疲労感を軽減することができる。また、必要に応じて各種の物体に着脱自在に挿嵌できるので、経済的である。
【0015】
請求項2に係る発明の効果は、グリップ用補助具に、開口部とは異なる前記空洞部と外部を連通する貫通孔を設けることにより、物体の把持部に挿嵌する際のグリップ用補助具内の空気交代のための孔となり、物体にスムーズに着脱可能となる。
【0016】
請求項3に係る発明の効果は、グリップ用補助具に、物体の把持部に形成された突起部が前記空洞部から外方に突出可能な、空洞部に連通する突起部用孔を設けたことで、物体のグリップ用補助具を挿嵌する部分に突起があっても、該突起をグリップ用補助具の外方に突出させることができるので、グリップ用補助具を挿嵌することが可能となる。
【0017】
請求項4に係る発明の効果は、グリップ用補助具をゴム状弾性体あるいはゲル状物質あるいは多孔質体で形成すると、グリップ用補助具の形状とあいまってフィット感が得られ、さらに握りやすく疲れ難いという利点がある。
【0018】
請求項5に係る発明の効果は、グリップ用補助具をシリコーンゴムで形成すると、汚れ難いという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
グリップ用補助具を、シリコーンゴム等の弾力性を有する材質で略卵形形状に形成し、一方の端部に断面が円形状又は四角形状の開口部を形成し、該開口部に連通した開口部の形状より大形状の空洞部を内部に形成する。
【実施例】
【0020】
本発明のグリップ用補助具の実施例について、以下、図面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、同じ部材、同じ箇所を示すものには同じ符号を付してある。
【0021】
図1及び図2に示す第1の実施例のグリップ用補助具1は、シリコーンゴムで、周側面2における最大外径を42mmとし、軸心に沿った方向の一方の端部3を平面とし、他方の端部4を球状とした、両端部に向かうにしたがって漸次先窄み状の略卵形形状に形成してある。両端部3、4の全長は56mmに形成してある。前記一方の端部3には、断面形状が円形状の開口部5を形成してあり、内部は前記開口部5より大形状の空洞部6が開口部5に連通させて形成してある。
【0022】
図3及び図4に示す第2の実施例のグリップ用補助具21は、前記第1の実施例のグリップ用補助具1と同様にシリコーンゴムで、同寸法の略卵形形状に形成してある。一方の端部3には、断面形状が四角形状の開口部22を形成してあり、内部は前記開口部22と断面形状が同形状の四角柱状の空洞部23が開口部22に連通させて形成してある。
【0023】
図5は、第2の実施例のグリップ用補助具21の使用状態を示すもので、ステープラーAの後端部に着脱自在に挿嵌したものである。
【0024】
図6及び図7に示す第3の実施例のグリップ用補助具31は、前記第1の実施例のグリップ用補助具1と同様にシリコーンゴムで、同寸法の略卵形形状に形成してある。一方の端部3には、断面形状が一方の幅が小幅な四角形状の開口部32を形成してあり、内部は前記開口部5と断面形状が同形状の四角柱状の空洞部33が開口部32に連通させて形成してある。
【0025】
図8は、第3の実施例のグリップ用補助具31の使用状態を示すもので、カッターBの把持部B−1の後端部に着脱自在に挿嵌したものである。
【0026】
図9及び図10に示す第4の実施例のグリップ用補助具41は、前記第1の実施例のグリップ用補助具1と同様にシリコーンゴムで、同寸法の略卵形形状に形成してある。一方の端部3及び内部には、第1の実施例のグリップ用補助具1と同様の開口部5と空洞部6が形成してある。球状の他方の端部4には、前記空洞部6と外部を連通する貫通孔7を設けてある。
【0027】
図11は、第4の実施例のグリップ用補助具41の使用状態を示すもので、筆記具のマーカーCの軸筒C−1の後端部に着脱自在に挿嵌したものである。符号Dは、キャップである
【0028】
図12に示す第5の実施例のグリップ用補助具51は、周側面2に、空洞部6と外部を連通する突起部用孔8を周側面2に設けた以外は、前記第1の実施例のグリップ用補助具1と同様に形成してある。図12は、本グリップ用補助具51の使用状態の例として、鋏みDの把持部D−1a、D−1bに突起部D−2を有した一方の把持部D−1aに本グリップ用補助具51を挿嵌した状態を示し、一方の把持部D−1aの突起部D−2は前記突起部部用孔8を通って外方に突出させてある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のグリップ用補助具は、開口部と空洞部の形状と大きさを適宜に形成することにより、筆記具における把持部のグリップのみならず、修正テープ等の修正具、ドライバー等の工具、フォークやスプーン等の様々な物体あるいは物体の柄に着脱自在に挿嵌して使用することが可能で、指や掌で握る各種の物体のグリップ補助具として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施例のグリップ用補助具の側面を示す側面図である。
【図2】第1の実施例のグリップ用補助具の開口部側の正面を示す正面図である。
【図3】第2の実施例のグリップ用補助具の側面を示す側面図である。
【図4】第2の実施例のグリップ用補助具の開口部側の正面を示す正面図である。
【図5】第2の実施例のグリップ用補助具の使用状態を示し、ステープラーの後端部に挿嵌した状態を示した図である。
【図6】第3の実施例のグリップ用補助具の側面を示す側面図である。
【図7】第3の実施例のグリップ用補助具の開口部側の正面を示す正面図である。
【図8】第3の実施例のグリップ用補助具の使用状態を示し、カッターの後端部に挿嵌した状態を示した図である。
【図9】第4の実施例のグリップ用補助具の側面を示す側面図である。
【図10】第4の実施例のグリップ用補助具の開口部側の正面を示す正面図である。
【図11】第4の実施例のグリップ用補助具の使用状態を示し、筆記具のマーカーの軸筒の後端部に挿嵌した状態を示した図である。
【図12】第5の実施例のグリップ用補助具を示すとともに、その使用状態として鋏みの一方の把持部に挿嵌した状態を示した図である。
【図13】にぎり内径を示す図である。
【図14】指尖・指節点距離を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1、21、31、41 グリップ用補助具
2 周側面
3 一方の端部
5、22、32 開口部
6 空洞部
7 貫通孔
8 突起部用孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具、糊、修正テープ、鋏みやドライバー等の把持部に着脱自在に挿嵌し、前記物体を把持して操作し易いようにするためのグリップ用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記部にフェルトにインキを含有した筆記具において、幼児用として把持し易いように、かつキャップを筆記部から取外しし易いようにと、後部を球状とし、筆記部側に近くなる程、先窄み状とした軸筒形状の「幼児用筆記具」が、実開平3−84188号公報に開示されており、こうした形状のものが把持し易いことは知られている。ただ、前記開示された技術は、筆記具の軸筒としての形状に関するものであり、糊、修正テープ、鋏みやドライバー等の物体の把持部に挿嵌して、前記物体を握り易くして操作し易いようにするというためのものではない。
【0003】
物体の把持部に挿嵌して、前記物体を握り易くして操作し易いようにするものとして、特開2005−111959号公報に、支持具本体が中間部に上部よりも幅が狭まったネック部を有した、挿入孔と反対側の後端に向かうにしたがって外径が漸次大径となる円筒形状の、あるいはネック部の後端側が球形状の「手障害者用補助具」が開示されている。この技術は、親指と他の指や隣接する指間で挟みこむことで、力をかけることなく利用できるというものであり、力をかけることがないと言えども、指と他の指や隣接する指間で挟みこむので、指に力を入れる必要があるし、指に小物の操作及び把持の二つの役割を担わせる事になり、疲労の原因にもなる。
【0004】
多くの物体は指で把持する事を前提に設計されているのが実態であるが、指はその機能に比べ一本一本の力は弱く、繰り返しの耐久性に劣るところがあり、それにも関わらず指で把持する物体を操作することは指に対し、物体の操作及び把持の二つの役割を担わせる事になり、疲労の原因にもなっている。本発明者はこうした事実に鑑み、指への疲労を軽減するために、掌に当接し得る曲面を有する形状と、各手指および掌に包み込んで握るように使用するグリップ用補助具を提供することを思いたった。
【0005】
登録実用新案登録第3058776号公報により、掌に当接し得る曲面をなす後端部を有し、各手指および掌にて包み込んで握る如く形成された把持部と、該把持部の先端部に所定角度を以て延出されたペン先と、を備えてなることを特徴とする筆記具の考案が記載されているが、前記開示された技術は、筆記具の軸筒に関するものであり、物体の把持部に挿嵌して、前記物体を握り易くして操作し易いようにするというためのものではない。また、前記考案における把持部形状は、筆記具であるために指で挟持して、筆記具の移動方向が操作し易いような形状となっており、各手指および掌にて把持部全体を包み込んで握る形状とは言いにくく、指に挟持して握る形状となっている。
【特許文献1】実開平3−84188号公報
【特許文献2】特開2005−111959号公報
【特許文献3】登録実用新案登録第3058776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、指先における挟持力の弱い人でも、筆記具、修正テープ等の修正具、ドライバー等の工具、フォークやスプーン等の物体を指と掌で把持して使用できるように、かつ指への疲労を軽減する、物体に着脱自在に挿嵌して使用するためのグリップ用補助具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
「1.物体の把持部に着脱自在に挿嵌して保持される開口部と空洞部を有したグリップ用補助具であって、形状が、軸心に沿った方向の一方の端部に前記開口部を有した、両端部に向かうにしたがって漸次先窄み状の卵形形状で、周側面における最大外径が30mm〜50mmで全長が50mm〜70mmであることを特徴とするグリップ用補助具。
2.前記グリップ用補助具に、開口部とは異なる前記空洞部と外部を連通する貫通孔を設けてなる、前記1項に記載のグリップ用補助具。
3.前記グリップ用補助具に、物体の把持部に形成された突起部が前記空洞部から外方に突出可能な、空洞部に連通する突起部用孔を設けてなる、前記1項又は2項に記載のグリップ用補助具。
4.前記グリップ用補助具を、ゴム状弾性体あるいはゲル状物質あるいは多孔質体で形成した、前記1項ないし3項のいすれか1項に記載のグリップ用補助具。
5.前記グリップ用補助具を、シリコーンゴムで形成した、前記1項ないし3項のいすれか1項に記載のグリップ用補助具。」
である。
【0008】
本発明のグリップ用補助具は略卵形形状に形成するが、その理由は、こうした形状のものは指を若干湾曲させて握るので、指の関節を利用して握ることになり、指先の僅かな力で握ることができるからである。グリップ用補助具の形状を単なる球形状にしても同様の事が言えるが、単なる球形状だと、物体を操作している際に掌内でグリップ用補助具が移動し易く、移動しないように手指に余計な力を必要とするので、好適であるとは言えない。
【0009】
グリップ用補助具における開口部は、物体の把持部に挿嵌できれば良く、その形状については円形状、四角形状、多角形状等何でも良く特定されるものではない。単なる切り込みが施されたものであっても良い。
【0010】
本発明のグリップ用補助具は、開口部と空洞部の形状と大きさを適宜に形成することにより、筆記具の軸筒等の特定された物体に挿嵌するものではなく、様々な物体の把持部に着脱自在に挿嵌して使用するものである。周側面における最大外径を30mm〜50mmと特定したのは、本発明のグリップ用補助具の使用者を老若男女に関係なく、また小学生の低学年であっても、本発明のグリップ用補助具を指と掌で把持できるようにするためである。
【0011】
ところで、年齢別、男女別の身体部位測定データ(社団法人 人間生活工学研究センターで、1992年から1994年にかけて日本全国を巡回して、7歳から90歳代3万4千人の体格を計測したデータ)におけるにぎり内径(プラスチックシートを筒状に巻いて、親指と中指で作った輪にくぐらせたときの、プラスチックシートの直径で、図13に示す手のLの部分の距離)に関するデータに基づけば、ほぼ7歳〜99歳までの年代では掌を丸めて何かを握る際の内径寸法が7歳で約30mmであり、ほぼ14歳で40mmに達し、その後は99歳まで40mm程度で推移することが判っており、前記周側面における最大外径は、適宜に設定したものではなく前記データにより裏付けされた値である。
【0012】
また、グリップ用補助具の全長を50mm〜70mmと特定しているが、これは各手指および掌にて全体を包み込んで握れるようにするためである。こうすることで指先で略卵形形状の縁部に指がかかり、指先の僅かな力でグリップ用補助具を操作できるからである。全長が長すぎると、グリップ用補助具を各手指および掌で握ることになるが、指が伸びた状態でグリップ用補助具を挟持することになり、指に力を入れなければならない。また短すぎても、グリップ用補助具全体を各手指および掌で包み込むように握れないために、指で挟持することになるので指に力を入れることが必要となり、指に小物の操作及び把持の二つの役割を担わせる事になり、疲労の原因となる。したがって、全長は50mm〜70mmが好適である。
【0013】
前記した年齢別、男女別の身体部位測定データによれば、指尖(しせん)・指節点距離(手背面で、指尖点と指節点の間の直線距離で、図14に示す手のNの部分の距離)は、男女ともに7歳で約74.1mmであり、年齢の増加とともに徐々に長くなっていくことが判る。こうしたデータからも、全長が70mm以下であれば子供でも大人でもグリップ用補助具全体を各手指および掌で包み込むように握れることが判る。
【発明の効果】
【0014】
本発明のグリップ用補助具は、前記したような寸法範囲の略卵形形状なので、各手指および掌にて全体を包み込んで握れるので物体の把持部に挿嵌すれば、指先における挟持力の弱い人でも物体を使用可能となる。また、指で物体を挟持するための強度の力を必要としないので、特定の部位が痛くなったりせず、指への疲労感や、手から肩にかけての疲労感を軽減することができる。また、必要に応じて各種の物体に着脱自在に挿嵌できるので、経済的である。
【0015】
請求項2に係る発明の効果は、グリップ用補助具に、開口部とは異なる前記空洞部と外部を連通する貫通孔を設けることにより、物体の把持部に挿嵌する際のグリップ用補助具内の空気交代のための孔となり、物体にスムーズに着脱可能となる。
【0016】
請求項3に係る発明の効果は、グリップ用補助具に、物体の把持部に形成された突起部が前記空洞部から外方に突出可能な、空洞部に連通する突起部用孔を設けたことで、物体のグリップ用補助具を挿嵌する部分に突起があっても、該突起をグリップ用補助具の外方に突出させることができるので、グリップ用補助具を挿嵌することが可能となる。
【0017】
請求項4に係る発明の効果は、グリップ用補助具をゴム状弾性体あるいはゲル状物質あるいは多孔質体で形成すると、グリップ用補助具の形状とあいまってフィット感が得られ、さらに握りやすく疲れ難いという利点がある。
【0018】
請求項5に係る発明の効果は、グリップ用補助具をシリコーンゴムで形成すると、汚れ難いという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
グリップ用補助具を、シリコーンゴム等の弾力性を有する材質で略卵形形状に形成し、一方の端部に断面が円形状又は四角形状の開口部を形成し、該開口部に連通した開口部の形状より大形状の空洞部を内部に形成する。
【実施例】
【0020】
本発明のグリップ用補助具の実施例について、以下、図面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、同じ部材、同じ箇所を示すものには同じ符号を付してある。
【0021】
図1及び図2に示す第1の実施例のグリップ用補助具1は、シリコーンゴムで、周側面2における最大外径を42mmとし、軸心に沿った方向の一方の端部3を平面とし、他方の端部4を球状とした、両端部に向かうにしたがって漸次先窄み状の略卵形形状に形成してある。両端部3、4の全長は56mmに形成してある。前記一方の端部3には、断面形状が円形状の開口部5を形成してあり、内部は前記開口部5より大形状の空洞部6が開口部5に連通させて形成してある。
【0022】
図3及び図4に示す第2の実施例のグリップ用補助具21は、前記第1の実施例のグリップ用補助具1と同様にシリコーンゴムで、同寸法の略卵形形状に形成してある。一方の端部3には、断面形状が四角形状の開口部22を形成してあり、内部は前記開口部22と断面形状が同形状の四角柱状の空洞部23が開口部22に連通させて形成してある。
【0023】
図5は、第2の実施例のグリップ用補助具21の使用状態を示すもので、ステープラーAの後端部に着脱自在に挿嵌したものである。
【0024】
図6及び図7に示す第3の実施例のグリップ用補助具31は、前記第1の実施例のグリップ用補助具1と同様にシリコーンゴムで、同寸法の略卵形形状に形成してある。一方の端部3には、断面形状が一方の幅が小幅な四角形状の開口部32を形成してあり、内部は前記開口部5と断面形状が同形状の四角柱状の空洞部33が開口部32に連通させて形成してある。
【0025】
図8は、第3の実施例のグリップ用補助具31の使用状態を示すもので、カッターBの把持部B−1の後端部に着脱自在に挿嵌したものである。
【0026】
図9及び図10に示す第4の実施例のグリップ用補助具41は、前記第1の実施例のグリップ用補助具1と同様にシリコーンゴムで、同寸法の略卵形形状に形成してある。一方の端部3及び内部には、第1の実施例のグリップ用補助具1と同様の開口部5と空洞部6が形成してある。球状の他方の端部4には、前記空洞部6と外部を連通する貫通孔7を設けてある。
【0027】
図11は、第4の実施例のグリップ用補助具41の使用状態を示すもので、筆記具のマーカーCの軸筒C−1の後端部に着脱自在に挿嵌したものである。符号Dは、キャップである
【0028】
図12に示す第5の実施例のグリップ用補助具51は、周側面2に、空洞部6と外部を連通する突起部用孔8を周側面2に設けた以外は、前記第1の実施例のグリップ用補助具1と同様に形成してある。図12は、本グリップ用補助具51の使用状態の例として、鋏みDの把持部D−1a、D−1bに突起部D−2を有した一方の把持部D−1aに本グリップ用補助具51を挿嵌した状態を示し、一方の把持部D−1aの突起部D−2は前記突起部部用孔8を通って外方に突出させてある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のグリップ用補助具は、開口部と空洞部の形状と大きさを適宜に形成することにより、筆記具における把持部のグリップのみならず、修正テープ等の修正具、ドライバー等の工具、フォークやスプーン等の様々な物体あるいは物体の柄に着脱自在に挿嵌して使用することが可能で、指や掌で握る各種の物体のグリップ補助具として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施例のグリップ用補助具の側面を示す側面図である。
【図2】第1の実施例のグリップ用補助具の開口部側の正面を示す正面図である。
【図3】第2の実施例のグリップ用補助具の側面を示す側面図である。
【図4】第2の実施例のグリップ用補助具の開口部側の正面を示す正面図である。
【図5】第2の実施例のグリップ用補助具の使用状態を示し、ステープラーの後端部に挿嵌した状態を示した図である。
【図6】第3の実施例のグリップ用補助具の側面を示す側面図である。
【図7】第3の実施例のグリップ用補助具の開口部側の正面を示す正面図である。
【図8】第3の実施例のグリップ用補助具の使用状態を示し、カッターの後端部に挿嵌した状態を示した図である。
【図9】第4の実施例のグリップ用補助具の側面を示す側面図である。
【図10】第4の実施例のグリップ用補助具の開口部側の正面を示す正面図である。
【図11】第4の実施例のグリップ用補助具の使用状態を示し、筆記具のマーカーの軸筒の後端部に挿嵌した状態を示した図である。
【図12】第5の実施例のグリップ用補助具を示すとともに、その使用状態として鋏みの一方の把持部に挿嵌した状態を示した図である。
【図13】にぎり内径を示す図である。
【図14】指尖・指節点距離を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1、21、31、41 グリップ用補助具
2 周側面
3 一方の端部
5、22、32 開口部
6 空洞部
7 貫通孔
8 突起部用孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の把持部に着脱自在に挿嵌して保持される開口部と空洞部を有したグリップ用補助具であって、形状が、軸心に沿った方向の一方の端部に前記開口部を有した、両端部に向かうにしたがって漸次先窄み状の卵形形状で、周側面における最大外径が30mm〜50mmで全長が50mm〜70mmであることを特徴とするグリップ用補助具。
【請求項2】
前記グリップ用補助具に、開口部とは異なる前記空洞部と外部を連通する貫通孔を設けてなる、請求項1に記載のグリップ用補助具。
【請求項3】
前記グリップ用補助具に、物体の把持部に形成された突起部が前記空洞部から外方に突出可能な、空洞部に連通する突起部用孔を設けてなる、請求項1又は2に記載のグリップ用補助具。
【請求項4】
前記グリップ用補助具を、ゴム状弾性体あるいはゲル状物質あるいは多孔質体で形成した、請求項1ないし3のいすれか1項に記載のグリップ用補助具。
【請求項5】
前記グリップ用補助具を、シリコーンゴムで形成した、請求項1ないし3のいすれか1項に記載のグリップ用補助具。
【請求項1】
物体の把持部に着脱自在に挿嵌して保持される開口部と空洞部を有したグリップ用補助具であって、形状が、軸心に沿った方向の一方の端部に前記開口部を有した、両端部に向かうにしたがって漸次先窄み状の卵形形状で、周側面における最大外径が30mm〜50mmで全長が50mm〜70mmであることを特徴とするグリップ用補助具。
【請求項2】
前記グリップ用補助具に、開口部とは異なる前記空洞部と外部を連通する貫通孔を設けてなる、請求項1に記載のグリップ用補助具。
【請求項3】
前記グリップ用補助具に、物体の把持部に形成された突起部が前記空洞部から外方に突出可能な、空洞部に連通する突起部用孔を設けてなる、請求項1又は2に記載のグリップ用補助具。
【請求項4】
前記グリップ用補助具を、ゴム状弾性体あるいはゲル状物質あるいは多孔質体で形成した、請求項1ないし3のいすれか1項に記載のグリップ用補助具。
【請求項5】
前記グリップ用補助具を、シリコーンゴムで形成した、請求項1ないし3のいすれか1項に記載のグリップ用補助具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−98516(P2007−98516A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292058(P2005−292058)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
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