説明

グリルシャッター開閉制御装置

【課題】コストアップさせることなく、また、トルク不足による問題を発生させることなく、グリルシャッター閉止時の作動音を低減できるようにしたグリルシャッター開閉制御装置を提供する。
【解決手段】空気をエンジンルーム2内へ導入するグリル開口部6を開閉するグリルシャッター1と、グリルシャッターを開閉作動する駆動源を有するシャッター開閉作動手段15と、車両情報を入力し、車両情報に基づいてグリルシャッターを閉止する方向に作動するか否かを判断する閉作動判断手段104と、閉作動判断手段によってグリルシャッターを閉止する方向に作動する場合に、シャッター開閉作動手段の駆動源を、まず初めに高トルクで作動し、その後高トルクよりも低い低トルクで作動するように切替え制御する駆動源トルク制御手段106、108、110とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部に設けられたグリル開口部を開閉制御するグリルシャッターの開閉制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両前面部のフロントグリルには、エンジンルーム内に設置されたラジエータの前方に外気(空気)を導入するグリル開口部が設けられている。グリル開口部には、グリルシャッターが開閉可能に配設され、エンジンルーム内への空気の導入を許容したり、遮断したりできるようになっている。この種の装置として、従来、例えば、特許文献1および特許文献2に記載された技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−6855号公報
【特許文献2】特開平5−50861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のグリルシャッタ開閉装置においては、グリルシャッターのフィンが閉止端で当接する際の作動音が車両フレームに伝わり、車内で不快に聞こえる場合がある。特に、走行音が小さなハイブリッド自動車や、電気自動車においてその影響が大きい。
【0005】
このような作動音を低減するために、従来、グリルシャッターのフィン等の音伝達部にクッション材を設けて音の伝達を遮ったり、シャッタ作動速度を低速作動する等の方法が試みられている。しかしながら、前者の方法においては、部品(クッション材)の追加によりコストアップするとともに、クッション材の経年変化によって遮音性が低下する等の問題が生じ、また、後者の方法においては、トルク不足によって、グリルシャッターを開閉する作動装置のギヤの噛み込みが外れない事態が生ずる恐れがあり、いずれの方法においても満足すべき結果が得られていないのが実情である。
【0006】
本発明は上記した従来の問題に鑑みてなされたもので、コストアップさせることなく、また、トルク不足による問題を発生させることなく、グリルシャッター閉止時の作動音を低減できるようにしたグリルシャッター開閉制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、空気をエンジンルーム内へ導入するグリル開口部を開閉するグリルシャッターと、該グリルシャッターを開閉作動する駆動源を有するシャッター開閉作動手段と、車両情報を入力し、該車両情報に基づいて前記グリルシャッターを閉止する方向に作動するか否かを判断する閉作動判断手段と、該閉作動判断手段によって前記グリルシャッターを閉止する方向に作動する場合には、前記シャッター開閉作動手段の前記駆動源を、まず初めに高トルクで作動し、その後前記高トルクよりも低い低トルクで作動するように切替え制御する駆動源トルク制御手段とを有することである。
【0008】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記駆動源トルク制御手段は、前記シャッター開閉作動手段の前記駆動源を、前記グリルシャッターの閉止端の一定距離手前の位置まで高トルクで作動するようにしたことである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、グリルシャッターを閉止する方向に作動する場合には、シャッター開閉作動手段の駆動源を、まず初めに高トルクで作動し、その後高トルクよりも低い低トルクで作動するように切替え制御するようにしたので、コストアップすることなく、グリルシャッターの閉止端における作動音を低減することができ、しかも、グリルシャッターの作動開始時に、シャッター開閉作動手段のギヤに噛み込みが生じている場合でも、グリルシャッターを高トルクで作動させることにより、グリルシャッターを確実かつ安定的に閉作動することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、駆動源トルク制御手段は、シャッター開閉作動手段の駆動源を、グリルシャッターの閉止端の一定距離手前の位置まで高トルクで作動するようにしたので、請求項1の効果に加え、グリルシャッターの閉止速度を高めることができ、グリルシャッターを短時間で閉止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態を示すグリルシャッターのエンジンルーム内への配設態様を概略的に示す断面図である。
【図2】実施の形態に係るグリルシャッターの全体構成を示す分解斜視図である。
【図3】実施の形態に係るグリルシャッターの平面図である。
【図4】シャッター開閉作動手段の構成を示す図である。
【図5】シャッター開閉作動手段を制御する制御ブロック図である。
【図6】グリルシャッターを開閉制御するフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の別の実施の形態を示すグリルシャッターの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るグリルシャッターのエンジンルーム内への配設態様を概略的に示すもので、車両前部のエンジンルーム2内には、エンジン冷却水を冷却するためのラジエータ3が配置され、ラジエータ3は車体ボディ4に取付けられている。ラジエータ3の前方下方に対応して、バンパー5の下方には、グリル開口部6が設けられ、このグリル開口部6に、グリル開口部6を開閉するグリルシャッター1が配設されている。
【0013】
グリルシャッター1は、図2に示すように、グリル開口部6に設置される基枠7と、基枠7にそれぞれ回動可能に取付けられる複数のフィン(実施の形態においては、第1フィン〜第4フィンの4つのフィンからなる)11〜14と、モータ60(図4参照)を駆動源とするシャッター開閉作動手段としてアクチュエータ15とを備えている。基枠7は車両幅方向に延在する長尺状をなすとともに、延在方向中央部7aが最も車両前方側に位置し、延在方向の両端部7b、7cが延在方向中央部7aよりも車両後方側にオフセットした位置に位置するように屈曲形成されている。延在方向中央部7aには、アクチュエータ15が取付けられるアクチュエータ取付部16が設けられ、このアクチュエータ取付部16の両側にそれぞれ第1フィン11〜第4フィン14を取付ける4箇所のフィン取付部17〜20が設けられている。なお、本実施の形態においては、フィン取付部17〜20は、アクチュエータ取付部16の両側においてそれぞれ2つずつ上下に並設されている。
【0014】
第1フィン11は、車両の幅方向に延びる直線状の第1支持軸21とフィン部11aとが一体に形成されており、同様に、第2フィン12は、車両の幅方向に延びる直線状の第2支持軸22とフィン部12aとが、第3フィン13は、車両の幅方向に延びる直線状の第3支持軸23とフィン部13aとが、第4フィン14は、車両の幅方向に延びる直線状の第4支持軸24とフィン部14aとが、それぞれ一体に形成されている。
【0015】
基枠7の延在方向の一方の端部(図2の右方端部)7bには、第1フィン11の第1支持軸21を保持する第1保持部25と、第3フィン13の第3支持軸23を保持する第3保持部26とが設けられ、他方の端部(図2の左方端部)7cには、第2フィン12の第2支持軸22を保持する第2保持部27と、第4フィン14の第4支持軸24を保持する第4保持部28とが設けられている。一方、アクチュエータ15の右側面31には、第1出力軸32と第3出力軸33とが設けられ、アクチュエータ15の左側面34には、第2出力軸35と第4出力軸36とが設けられている。
【0016】
第1フィン11の第1支持軸21の一方の先端部41は、第1保持部25に回動可能に保持され、他方の先端部42は、図3に示すように、第1出力軸32に回転連結されている。同様に、第2フィン12の第2支持軸22の一方の先端部43は、第2保持部27に回動可能に保持され、他方の先端部44は、第2出力軸35に回転連結され、第3フィン13の第3支持軸23の一方の先端部45は、第2保持部26に回動可能に保持され、他方の先端部46は、第3出力軸33に回転連結され、第4フィン14の第4支持軸24の一方の先端部47は、第4保持部28に回動可能に保持され、他方の先端部48は、第4出力軸36に回転連結されている。そして、第1および第2フィン11、12は、第3および第4フィン13、14に対し対称に開閉作動するように対向配置されている(図1の2点鎖線8A、8B参照)。
【0017】
アクチュエータ15は、図4に示すように、ハウジング71を備え、このハウジング71に駆動源としてのモータ60が設置されている。モータ60の出力軸には、ウォームギヤ61が連結され、このウォームギヤ61にウォームホイール62が噛合されている。ウォームホイール62には第1ピニオンギヤ63が同軸上に一体成形され、この第ピニオンギヤ63にギヤ64が噛合されている。ギヤ64には第2ピニオンギヤ65が同軸上に一体成形され、第2ピニオンギヤ65にセクタギヤ66が噛合されている。セクタギヤ66には第2出力ギヤ67が同軸上に一体成形され、この第2出力ギヤ67に第1出力ギヤ68が第2出力ギヤ67の上方位置で噛合されている。
【0018】
かかる構成により、モータ60が正逆転駆動されると、ウォームギヤ61、ウォームホイール62、第1ピニオンギヤ63、ギヤ64、第2ピニオンギヤ65およびセクタギヤ66を介して第2出力ギヤ67が一方向に回転されるとともに、第2出力ギヤ67を介して第1出力ギヤ68が第2出力ギヤ67と反対方向に回転される。
【0019】
第1および第2出力ギヤ68、67は、ウォームホイール62、ギヤ64およびセクタギヤ66を挟んで回転軸方向にそれぞれ一対ずつ設置されており、各第1出力ギヤ68は、第1および第2出力軸32,35にそれぞれ結合されている。第1および第2出力軸32、35の先端には、二面幅凸部54がそれぞれ形成され、第3および第4出力軸33、36の先端にも、二面幅凸部69がそれぞれ形成されている。
【0020】
第1および第2出力軸32、35に形成された二面幅凸部54は、図示を省略したが、第1および第2フィン11、12の第1および第2支持軸21、22の他方の先端部42、44に形成された二面幅凹部に係合され、これによって、第1および第2出力軸32、35と第1および第2支持軸21、22がそれぞれ回転連結されている。同様に、第3および第4出力軸33、36に形成された二面幅凸部69は、第3および第4フィン13、14の第3および第4支持軸23、24の他方の先端部46、48に形成された二面幅凹部に係合され、これによって、第3および第4出力軸33、36と第3および第4支持軸23、24がそれぞれ回転連結されている。
【0021】
かかる構成により、アクチュエータ15のモータ60によって、各第1出力ギヤ68と各第2出力ギヤ67が互いに反対方向に回転されることにより、各出力ギヤ67、68を介して第1および第2フィン11、12の支持軸21、22と、第3および第4フィン13、14の支持軸23、24とが互いに反対方向に回転され、グリルシャッター1によってグリル開口部6が開閉される。なお、グリルシャッター1の閉止時には、フィン11〜14が基枠7の各端面7d、7e(図1参照)に当接してグリル開口部6を閉止するため、フィン11〜14の作動速度が速いと作動音が発生することになる。
【0022】
上記したモータ60、ウォームギヤ61、ウォームホイール62、第1ピニオンギヤ63、ギヤ64、第2ピニオンギヤ65、セクタギヤ66、第2出力ギヤ67および第1出力ギヤ68によって、シャッター開閉作動手段(アクチュエータ)15を構成している。
【0023】
図5はシャッター開閉作動手段(アクチュエータ)15を制御する制御装置80を示すもので、当該制御装置80は、CPU81,ROM82,RAM83およびそれらを接続するバス84を備え、バス84には入出力インターフェース85が接続されている。入出力インターフェース85には、モータ60を制御するモータ制御回路86と、グリルシャッター1の回動位置(モータ60の回転角)を検出する位置センサ87が接続されている。また、入出力インターフェース85には、車両速度、外気温、ラジエータ3の水温、エンジン(EG)の作動状態等の車両情報が、通信回路88を介して入力されるようになっている。
【0024】
ROM82には、グリルシャッター1を開閉作動するためのプログラムが格納されているとともに、グリルシャッター1の閉止時に、グリルシャッター1を高トルク作動から低トルク作動に切替える回動位置を設定する設定値が記憶されている。また、ROM82には、シャッター開閉作動手段15のモータ60を高トルクで駆動するために予め設定された高トルク設定値と、低トルクで駆動するために予め設定された低トルク設定値がそれぞれ記憶されている。なお、低トルク設定値は、モータ60を低トルク設定値で駆動してグリルシャッター1を閉止作動した際に、フィン11〜14が基枠7の端面7d、7eに当接しても、その当接による作動音によってドライバに不快感を与えない音レベルに相当するように設定されている。
【0025】
RAM83には、入力された車両速度が記憶されるとともに、位置センサ87で検出された位置情報が記憶され、この位置情報に基づいて、グリルシャッター1が全閉状態にあるか、全開状態にあるかが判別されるようになっている。
【0026】
次に上記した実施の形態における動作を、図6のフローチャートに基づいて説明する。通常、グリルシャッター1は、グリル開口部6を開口しており、この状態においては、グリル開口部6よりエンジンルーム2内に空気が導入されて、ラジエータ3の前面に作用し、エンジン冷却水の温度上昇を抑制するようになっている。
【0027】
図6のフローチャートは、イグニッションがONされることにより起動され、まず、ステップ100では、車両速度、外気温、ラジエータ3の水温およびエンジン(EG)の作動状態等の車両情報が入力され、続くステップ102において、入力された車両情報に基づいて、グリルシャッター1の開閉作動条件が成立したか否かが判断される。
【0028】
例えば、ラジエータ3の水温が所定温度以下で、それ以上冷却する必要がない場合、あるいは、エンジンが作動状態にあり、かつ外気温およびラジエータ3の水温が所定温度より低く、エンジン温度を早期に温めたい場合等においては、グリルシャッター1を閉止する条件が成立したと判断する。逆に、ラジエータ3の水温が所定以上の場合には、グリルシャッター1を開放する条件が成立したと判断する。ステップ102における判断結果がYESになると、続くステップ104において、グリルシャッター1を閉作動するか否か、すなわち、グリルシャッター1を閉作動するか、開作動するかが判別され、判別結果がYES(閉作動)の場合には、次のステップ106において、グリルシャッター1を高トルクで作動(高速作動)するように、シャッター開閉作動手段15のモータ60を予め定められた高トルク設定値で駆動し、グリルシャッター1の各フィン11〜14を各支持軸21〜24の回りに高速で回動する。
【0029】
次いで、ステップ108において、位置センサ87の検出信号に基づいて、グリルシャッター1が閉止端の一定距離手前の位置まで作動されたか否かが判断され、ステップ108における判断結果がYESの場合には、次のステップ110において、グリルシャッター1を低トルクで作動(低速作動)するように、シャッター開閉作動手段15のモータ60を予め定められた低トルク設定値で駆動するように切替え、グリルシャッター1の各フィン11〜14を各支持軸21〜24の回りに低速で回動する。
【0030】
一方、ステップ104における判別結果がNO(開作動)の場合には、ステップ112に移行し、グリルシャッター1を高トルクで作動(高速作動)するように、シャッター開閉作動手段15のモータ60を高トルク設定値で駆動し、グリルシャッター1の各フィン11〜14を各支持軸21〜24の回りに高速で回動する。すなわち、グリルシャッター1の開作動時には、グリルシャッター1のフィン11〜14が開放端において基枠7に当接することがないので、当接による不快な作動音は発生せず、グリルシャッター1を高速で開放作動させても問題が生ずることがない。
【0031】
上記した各ステップ110、112において、グリルシャッター1が低トルク、あるいは高トルクで作動されると、次いで、ステップ114あるいは116において、グリルシャッター1がグリル開口部6を全閉あるいは全開したか否かが、位置センサ87からの検出信号に基づいて判断され、YESの場合には、ステップ118においてモータ60を停止する。反対に、ステップ114あるいは116における判断結果がNOの場合には、ステップ110あるいは112に戻ってグリルシャッター1がグリル開口部6を全閉あるいは全開するまで、上記作動を繰り返す。
【0032】
一方、グリル開口部6が全閉されている状態において、ラジエータ3の水温が所定温度以上になると、上記したステップ102において、グリルシャッター1の開閉作動(開作動)条件が成立したと判断され、この場合には、次のステップ104における判断結果がNOとなり、ステップ112に移行して、グリルシャッター1が高トルクで開作動(高速作動)される。
【0033】
上記したステップ104によって請求項における閉作動判断手段を構成しており、ステップ106、108、110によって請求項におけるモータトルク制御手段を構成している。
【0034】
上記した実施の形態によれば、グリルシャッター1を閉止する方向に作動する場合には、グリルシャッター1が閉止端の一定距離手前の位置まで作動されるまでは、シャッター開閉作動手段15のモータ60を、高トルクで制御し、その後、シャッター開閉作動手段15のモータ60を、高トルクよりも低い低トルクで制御するようにしたので、従来のようなクッション材を追加しなくても、すなわち、コストアップすることなく、グリルシャッター1の閉止端における作動音を低減することができ、ドライバに不快感を与えることがない。しかも、グリルシャッター1の閉作動の開始時は、グリルシャッター1を高トルクで作動させるので、シャッター開閉作動手段15のギヤに仮に噛み込みが生じている場合でも、グリルシャッター1を確実かつ安定して閉作動することができる。また、グリルシャッター1を高トルクで作動させることにより、グリルシャッター1の閉止速度を高めることができ、グリルシャッター1を短時間で閉止させることができる。
【0035】
図7は本発明の別の実施の形態を示すもので、グリル開口部6を開閉作動するグリルシャッター1を、上下方向に互いに接合可能に配置された複数(図8に示す実施の形態においては4つ)のフィン111〜114によって構成したものである。この場合、各フィン111〜114は中央部を回動可能な支持軸121〜124に保持され、各支持軸121〜124にリンク部材91〜94の各一端が連結されている。リンク部材91〜94には、モータを駆動源とするリンク作動機構95が連結され、リンク作動機構95によってリンク部材91〜94とともにフィン111〜114が回動され、グリル開口部6を開閉するように構成されている。
【0036】
このような構成においても、グリルシャッター1の閉止時に各フィン111〜114の端部同士が接触してグリル開口部6が閉止されることにより作動音が発生するため、本発明を適用することができる。従って、本発明は、図1および図2に示す構成のグリルシャッター1に限定されるものではない。
【0037】
上記した実施の形態においては、グリルシャッター1を高トルクあるいは低トルクで開閉作動するものとして述べたが、グリルシャッター1を高速作動あるいは低速作動しても、開閉のトルクを変化させることができるため、請求項におけるモータトルク制御手段は、高速あるいは低速で制御する形態も包含するものである。
【0038】
また、上記した実施の形態においては、車両情報に基づいて、グリル開口部6をグリルシャッター1により全閉および全開する例について述べたが、車両速度に応じてグリル開口部6の開度を制御するようにしてもよい。例えば、高速走行時においては、低速ないしは中速走行時に比べてエンジンルーム2内に取り込まれる風量が多くなるため、小さな開口面積でも十分な空気を導入することができる。このため、高速走行時においては、グリル開口部6の開度を小さくするように制御することにより、空気抵抗を低減して燃費を向上することができる。
【0039】
一方、上記した実施の形態においては、シャッター開閉作動手段15の駆動源として、モータ60を用いた場合を例示したが、モータに加えて、スプリング等の付勢部材によりグリルシャッター1を開閉する機構を採用してもよい。また、モータに加えて、エンジンに取り込まれる吸気の負圧を利用した負圧アクチュエータ、もしくはエンジンまたはトランスミッションに供給される作動油を利用した油圧アクチュエータを併用してグリルシャッター1を開閉してもよい。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るグリルシャッター開閉制御装置は、車両前部に設けられたグリル開口部を開閉するグリルシャッターを備えたものに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0042】
1…グリルシャッター、2…エンジンルーム、3…ラジエータ、6…グリル開口部、11〜14…フィン、15…シャッター開閉作動手段(アクチュエータ)、60…モータ(駆動源)、80…制御装置、104…閉作動判断手段、106、108、110…モータトルク制御手段(駆動源トルク制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気をエンジンルーム内へ導入するグリル開口部を開閉するグリルシャッターと、
該グリルシャッターを開閉作動する駆動源を有するシャッター開閉作動手段と、
車両情報を入力し、該車両情報に基づいて前記グリルシャッターを閉止する方向に作動するか否かを判断する閉作動判断手段と、
該閉作動判断手段によって前記グリルシャッターを閉止する方向に作動する場合には、前記シャッター開閉作動手段の前記駆動源を、まず初めに高トルクで作動し、その後前記高トルクよりも低い低トルクで作動するように切替え制御する駆動源トルク制御手段と、
を有するグリルシャッター開閉制御装置。
【請求項2】
請求項1において、前記駆動源トルク制御手段は、前記シャッター開閉作動手段の前記駆動源を、前記グリルシャッターの閉止端の一定距離手前の位置まで高トルクで作動するようにしたグリルシャッター開閉制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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