説明

グリルシャッタ装置

【課題】簡単な制御でフィンを開閉させることのできるグリルシャッタ装置を提供する。
【解決手段】閉位置と開位置との間で回動し得るように支軸15により車両のフロントグリル10に支持されたフィン13と、通電により出力軸22を一方向へ回転させ、通電遮断により回転を停止させるモータと、出力軸22の一方向への回転運動をフィン13に伝達することにより、フィン13を閉位置及び開位置間で回動させる伝達機構25と、モータへの通電によりフィン13が閉位置まで回動させられたとき、伝達機構25の構成部材(ロッド30)との接触により作動して通電を遮断する第1スイッチ41と、モータへの通電によりフィン13が開位置まで回動させられたとき、伝達機構25の構成部材(ロッド30)との接触により作動して通電を遮断する第2スイッチ42とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントグリルにおけるグリル開口部をフィンによって開閉するグリルシャッタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両前面部のフロントグリルには、エンジンルーム内に設置されたラジエータの前方に外気(空気)を導入するグリル開口部が設けられており、このグリル開口部を通過した外気(空気)によってラジエータ内の冷却水が冷却され、エンジンのオーバーヒートが抑制される。
【0003】
しかしながら、例えば冬期におけるエンジン始動直後の暖機運転時には、温度の低い外気(空気)がグリル開口部を通過してラジエータに触れるため、暖機の効率が低い。また、高速走行時にはラジエータ内の冷却水が外気(空気)によって過冷却されたり、エンジンルーム内で外気(空気)の乱流が発生し、車両の空力が低下したりするおそれがある。
【0004】
そこで、グリル開口部にフィンを設け、車速、冷却水温等に応じてこれらのフィンをアクチュエータによって開閉させるようにしたグリルシャッタ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−223150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1に記載されたグリルシャッタ装置では、アクチュエータの主軸を回転させる方向に応じてフィンの開閉を制御している。このため、フィンを開かせるべくアクチュエータの主軸を一方向へ回転させるための制御と、フィンを閉じさせるべくアクチュエータの主軸を他方向へ回転させるための制御とが必要となる。すなわち、フィンの開閉のために回動方向を切替えるときには、アクチュエータの主軸の回転方向を切替える制御が必要となる。その結果、フィンを開閉させるための制御が複雑となる問題がある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な制御でフィンを開閉させることのできるグリルシャッタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、グリル開口部を有する車両のフロントグリルに対し、前記グリル開口部を閉じる閉位置と開く開位置との間で回動し得るように支軸により支持されるフィンと、通電により出力軸を一方向へ回転させ、通電遮断により前記出力軸の回転を停止させるモータと、前記出力軸の一方向への回転運動を回動運動に変換して前記フィンに伝達することにより、前記フィンを前記閉位置及び前記開位置間で回動させる伝達機構と、前記モータへの通電により前記フィンが前記閉位置まで回動させられたとき、前記伝達機構の構成部材との接触により作動して、前記通電を遮断する第1スイッチと、前記モータへの通電により前記フィンが前記開位置まで回動させられたとき、前記伝達機構の構成部材との接触により作動して、前記通電を遮断する第2スイッチとを備えることを要旨とする。
【0009】
上記の構成によれば、フィンが開位置で停止しているグリルシャッタ装置において、モータに通電されて出力軸が一方向へ回転されると、その出力軸の回転運動は伝達機構により回動運動に変換されてフィンに伝達される。この伝達により、フィンが開位置から閉位置へ向けて、支軸を支点として回動させられる。フィンが閉位置まで回動させられると、第1スイッチが伝達機構の構成部材と接触して作動し、モータへの通電を遮断する。この通電遮断により、出力軸の回転が停止されてフィンが閉位置で停止され、グリル開口部での外気(空気)の流通が遮断される。
【0010】
上記とは逆に、フィンが閉位置で停止しているグリルシャッタ装置において、モータに通電されて出力軸が一方向へ回転されると、その出力軸の回転運動は伝達機構により回動運動に変換されてフィンに伝達され、フィンが閉位置から開位置へ向けて、支軸を支点として回動させられる。このフィンの回動によりグリル開口部が開かれていき、同グリル開口部での外気(空気)の流通が許容される。
【0011】
フィンが開位置まで回動させられると、第2スイッチが伝達機構の構成部材と接触して作動し、モータへの通電を遮断する。この通電遮断により、出力軸の回転が停止され、フィンが開位置で停止される。
【0012】
このように、モータが通電により出力軸を一方向へ回転させるものであるが、伝達機構が用いられることにより、出力軸の回転運動が回動運動に変換されてフィンに伝達され、同フィンが閉位置と開位置との間で回動される。また、第1スイッチが用いられることにより、フィンが閉位置まで回動させられたときにモータへの通電が遮断されて、フィンが閉位置で停止される。また、第2スイッチが用いられることにより、フィンが開位置まで回動させられたときにモータへの通電が遮断されて、フィンが開位置で停止される。このため、フィンの開閉に際してはモータに通電するだけでよく、モータの回転方向を切替える等の複雑な制御は不要である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記伝達機構は、前記モータの前記出力軸の回転に伴い同出力軸の周りを回転する偏心軸と、前記出力軸を中心とする前記偏心軸の回転に伴い可動領域内で平行移動するロッドと、前記支軸を介して前記フィンに一体回動可能に設けられるとともに、前記ロッドに動力伝達可能に連結され、前記ロッドの前記平行移動に伴い前記支軸を支点として回動するレバーとを備えることを要旨とする。
【0014】
上記の構成によれば、モータへの通電により出力軸が一方向へ回転されると、その出力軸の回転に伴い偏心軸が同出力軸の周りを回転(旋回)する。この出力軸を中心とする偏心軸の回転(旋回)に伴いロッドが可動領域内で平行移動する。この平行移動は、ロッドに動力伝達可能に連結されたレバーに伝達される。ロッドの平行移動に伴いレバーが支軸を支点として回動し、フィンが閉位置と開位置との間で回動される。
【0015】
上記請求項2に記載の発明における伝達機構としては、例えば、請求項3に記載の発明によるように、前記ロッドが前記可動領域の一端に位置するとき前記フィンが前記閉位置に位置し、前記ロッドが前記可動領域の他端に位置するとき前記フィンが前記開位置に位置するように、前記出力軸の回転運動を回動運動に変換して前記フィンに伝達するものを用いることができる。
【0016】
上記の構成によれば、伝達機構により出力軸の回転運動が回動運動に変換されてフィンに伝達されると、ロッドが可動領域の一端に位置するときにはフィンが閉位置に位置してグリル開口部を閉じ、ロッドが可動領域の他端に位置するときにはフィンが開位置に位置してグリル開口部を開く。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記第1スイッチは、前記ロッドが前記可動領域の前記一端まで移動したときに同ロッドと接触して作動し、前記モータへの通電を遮断し、前記第2スイッチは、前記ロッドが前記可動領域の前記他端まで移動したときに同ロッドと接触して作動し、前記モータへの通電を遮断するものであることを要旨とする。
【0018】
上記の構成によれば、ロッドが可動領域の一端まで平行移動すると、すなわち、フィンが閉位置まで回動すると、第1スイッチがロッドと接触して作動し、モータへの通電を遮断する。この通電遮断によりフィンが閉位置で停止する。
【0019】
また、ロッドが可動領域の他端まで平行移動すると、すなわち、フィンが開位置まで回動すると、第2スイッチがロッドと接触して作動し、モータへの通電を遮断する。この通電遮断によりフィンが開位置で停止する。
【0020】
このように、ロッドが平行移動することと、そのロッドが可動領域の一端まで移動したときにフィンが閉位置まで回動していることを利用し、そのロッドによって第1スイッチを作動させてモータへの通電を遮断し、フィンを閉位置で停止させることが可能となる。
【0021】
また、ロッドが平行移動することと、そのロッドが可動領域の他端まで移動したときにフィンが開位置まで回動していることを利用し、そのロッドによって第2スイッチを作動させてモータへの通電を遮断し、フィンを開位置で停止させることが可能となる。
【0022】
さらに、第1スイッチ及び第2スイッチは、可動領域においてロッドが平行移動する方向についての両側部に配置される構成のため、他の箇所に配置される場合に比べ、グリルシャッタ装置の構成が簡単になる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1つに記載の発明において、前記伝達機構は、前記ロッドが平行移動する方向へそれぞれ延びる複数の規制溝と、前記ロッドの複数箇所に設けられ、かつ前記複数の規制溝にそれぞれスライド可能に係合されるスライダとをさらに備えることを要旨とする。
【0024】
上記の構成によれば、モータの出力軸を中心とする偏心軸の回転(旋回)に伴いロッドが可動領域内で平行移動する際、ロッドのスライダが係合された複数の規制溝は、同規制溝の延びる方向、すなわちロッドが平行移動する方向へのみ同スライダがスライドするのを許容し、それ以外の方向へスライドするのを規制する。このように、規制溝がスライダのスライド方向を規制することで、ロッドは、所望の方向へ安定した状態で平行移動することが可能となる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記各スライダは前記規制溝に沿って延びる長尺状をなしていることを要旨とする。
上記の構成によれば、規制溝に沿って延びる長尺状のスライダは、その規制溝に沿ってスライドする際に同規制溝内で回転することがない。そのため、ロッドは、がたつくことなく所望の方向へ安定した状態で平行移動することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のグリルシャッタ装置によれば、フィンが閉位置まで回動したときに、第1スイッチによりモータへの通電を遮断させてフィンを閉位置に停止させる一方、フィンが開位置まで回動したときに第2スイッチによりモータへの通電を遮断させてフィンを開位置に停止させるようにしたため、フィンを開閉させるための制御の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を具体化した一実施形態において、フィンが閉位置に停止されたグリルシャッタ装置を示す側断面図。
【図2】図1のA−A線に沿ったグリルシャッタ装置の断面構造を示す部分断面図。
【図3】一実施形態において、フィンが開位置に停止されたグリルシャッタ装置を示す側断面図。
【図4】一実施形態において、フィンが閉位置と開位置との間で回動している途中の状態のグリルシャッタ装置を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、車両の前進方向を前方と記載し、それを基準に前、後、上、下、左、右を規定している。また、各図において、「前」は車両前側を、「後」は車両後側をそれぞれ示している。
【0029】
図1及び図2に示すように、車両前面部のフロントグリル10には、エンジンルーム内に設置されたラジエータ(図示略)の前方に外気(空気)を導入するグリル開口部11が設けられている。なお、図1及び図2では説明の簡略化のために、フロントグリル10が、前後両端が開放された四角筒状とされている。フロントグリル10には、グリル開口部11を開閉するためのグリルシャッタ装置12が設けられている。このグリルシャッタ装置12は、フィン13,14、モータ21、伝達機構25、第1スイッチ41及び第2スイッチ42を備えて構成されている。
【0030】
フィン13,14として、ここではそれぞれ板状をなすものが2枚用いられている。各フィン13,14はグリル開口部11内の互いに上下方向に離間した箇所に平行に配置されている。各フィン13,14の車幅方向(図2の上下方向)についての両側部からは、同方向外方へ向けて支軸15,16が突出している。各フィン13,14は、図1に示すようにグリル開口部11を閉じる位置(以下「閉位置」という)と、図3に示すように開く位置(以下「開位置」という)との間で回動し得るように、上記両支軸15,16によりフロントグリル10に対し回動可能に支持されている。各フィン13,14は、「閉位置」では垂直(鉛直)状態又はそれに近い状態となり、「開位置」では水平状態又はそれに近い状態になる。「開位置」では、フィン13,14は、グリル開口部11での外気(空気)の流入方向と略平行になり、同グリル開口部11を最も大きく開いた状態(全開状態)となる。各フィン13,14はグリル開口部11の開閉に際し、「閉位置」と「開位置」との間で約90°回動する。
【0031】
なお、グリルシャッタ装置12は、両フィン13,14を同期して回動させるための機構を備えている。この機構は、例えば、次のようなリンク機構によって実現可能である。各フィン13,14の車幅方向についての両側部であって、上記支軸15,16とは異なる箇所には、同方向外方へ延びる連結軸(図示略)が設けられる。両フィン13,14は、これらの連結軸において、上下方向へ延びる連結ロッド(図示略)によって連結される。これらのフィン13,14、連結軸及び連結ロッドによってリンク機構が構成される。そして、一方のフィン13が回動されると、その回動は連結軸及び連結ロッドを介して他方のフィン14に伝達される。この伝達により、フィン14がフィン13に同期して回動させられる。
【0032】
また、グリル開口部11の周りの内壁面における上下には、ストッパ10A,10Bが設けられている。上側のストッパ10Aは、支軸15の上方に設けられており、閉位置にあるフィン13の上端部に対しその前側から接触することにより、同上端部の前方への移動、ひいてはフィン13の図1における反時計回り方向への回動を規制する。下側のストッパ10Bは、支軸16の下方に設けられており、閉位置にあるフィン14の下端部に対しその後側から接触することにより、同下端部の後方への移動、ひいてはフィン14の図1における反時計回り方向への回動を規制する。
【0033】
モータ21は、一方(上方)のフィン13を回動させる動力源であって、通電により出力軸22を一方向(図1の時計回り方向)へ回転させ、通電遮断によりこの回転を停止させる。本実施形態では、このモータ21としてDCモータが用いられているが、他の種類が用いられてもよい。このモータ21では、出力軸22が車幅方向に延びている。
【0034】
伝達機構25は、上記モータ21の出力軸22の一方向への回転運動を回動運動に変換してフィン13に伝達することにより、フィン13を上記閉位置及び開位置間で回動させるための機構であり、回転部材26、偏心軸27、レバー28及びロッド30を備えている。
【0035】
回転部材26は、モータ21の出力軸22に一体回転可能に取付けられている。ここでは、この回転部材26として円板状をなすものが用いられている。
偏心軸27は、回転部材26において出力軸22から偏心した箇所に設けられていて、車幅方向に延びている。この偏心軸27は、上記出力軸22の周りの円形の領域を可動領域とし、同出力軸22の回転に伴い可動領域を移動する(出力軸22の周りを回転(旋回)する)。この偏心軸27は、図1に示すようにフィン13を閉位置に位置させる際には円形の可動領域の最上箇所に位置し、図3に示すようにフィン13を開位置に位置させる際には円形の可動領域の最下箇所に位置する。また、偏心軸27は、図4に示すように、フィン13を閉位置と開位置との間で回動させる際には、上記最上箇所と上記最下箇所との中間の箇所に位置する。
【0036】
レバー28は長尺状をなし、次の態様で、自身の一端部(前端部)において、支軸15を介してフィン13に一体回動可能に取付けられている。すなわち、フィン13が閉位置(図1参照)まで回動したとき、レバー28が後側ほど高くなる傾斜状態となり、フィン13が開位置(図3参照)まで回動したとき、後側ほど低くなる傾斜状態となる態様である。レバー28の他端部(後端部)には、車幅方向へ延びる円柱状のピン29が設けられている。このピン29は、上記2つの傾斜状態間でのレバー28の回動に伴い、支軸15の周りを回動する。
【0037】
ロッド30は、上記レバー28よりも長い長尺状をなし、前後方向に延びる姿勢で配置されている。ロッド30の前後方向についての一部(前部)には、同方向へ延びる第1長孔31があけられている。第1長孔31は、上下方向については上記ピン29の直径よりも若干大きく形成され、前後方向については同直径よりも長く形成されている。そして、上記レバー28のピン29がこの第1長孔31内に移動可能に係合されている。このようにして、レバー28はピン29を介してロッド30に動力伝達可能に連結されている。
【0038】
また、ロッド30の前後方向についての他部(後部)には、同方向へ延びる第2長孔32があけられている。第2長孔32は、上下方向については上記偏心軸27の直径よりも若干大きく形成され、前後方向については上記直径よりも長く形成されている。そして、偏心軸27が第2長孔32内に移動可能に係合されている。このようにして、モータ21の出力軸22は、回転部材26及び偏心軸27を介してロッド30に動力伝達可能に連結されている。
【0039】
上記のように第1長孔31内にピン29が係合され、第2長孔32内に偏心軸27が係合されたロッド30は、出力軸22を中心とする偏心軸27の回転(旋回)に伴い平行移動する。すなわち、ロッド30は、フィン13の上記支軸15と同じ上下位置を基準とし、その基準よりも上側及び下側の方形の領域を可動領域とし、前後方向に延びた姿勢を維持しつつ、この可動領域で上下方向へ往復動する。このロッド30は、図1に示すようにフィン13を閉位置に位置させる際には、方形の可動領域の一端(最上箇所)に位置し、図3に示すようにフィン13を開位置に位置させる際には、方形の可動領域の他端(最下箇所)に位置する。また、ロッド30は、図4に示すように、フィン13を閉位置と開位置との間で回動させる際には、上記方形の可動領域の中間の箇所に位置する。
【0040】
伝達機構25は、さらに、複数の規制溝33、及び規制溝33と同数のスライダ34とを備えている。規制溝33及びスライダ34は、本実施形態では一対ずつ設けられている。両規制溝33は、エンジンルーム内であってグリル開口部11の近くに移動不能に設けられた縦壁35(図2参照)に形成されている。縦壁35は、エンジンルーム内に配置された既設の部材によって構成されてもよいし、新たに設けられてもよい。一方(前方)の規制溝33は、ロッド30の前部において、そのロッド30が平行移動する方向である上下方向へ直線状に延びている。他方(後方)の規制溝33は、ロッド30の後部において、上記上下方向へ直線状に延びている。両規制溝33の上端は、ロッド30の可動領域の一端(最上箇所)よりも若干高い箇所に位置している。また、両規制溝33の下端は、ロッド30の可動領域の他端(最下箇所)よりも若干低い箇所に位置している。
【0041】
各スライダ34は、ロッド30の前後方向についての複数箇所(前部及び後部)に設けられており、対応する規制溝33にそれぞれスライド可能に係合されている。各スライダ34は、規制溝33に沿って延びる長尺状をなしていて、各スライダ34の上下方向の寸法が前後方向の寸法よりも長く設定されている。
【0042】
そのため、出力軸22を中心とする偏心軸27の回転(旋回)に伴いロッド30が方形の可動領域内で上下方向へ平行移動する際には、スライダ34の係合された複数の規制溝33が、同規制溝33の延びる方向(ロッド30が平行移動する方向)へのみ同スライダ34がスライドするのを許容し、それ以外の方向へスライドするのを規制する。この規制により、ロッド30は、所望の方向(上下方向)へ安定した状態で平行移動する。
【0043】
ここで、各スライダ34が仮に円柱状をなしていると、規制溝33内をスライドするときに同スライダ34が回転し、ロッド30が傾いてがたつき、同ロッド30の平行移動が不安定となるおそれがある。しかし、上記のように各スライダ34を非円柱状(長尺状)に形成することで、各スライダ34は、規制溝33に沿ってスライドする際に同規制溝33内で回転することがない。そのため、ロッド30は、がたつくことなく所望の方向(上下方向)へ安定した状態で平行移動しやすい。
【0044】
図1において二点鎖線で示すように、第1スイッチ41はリミットスイッチからなり、モータ21に通電するための電気回路(図示略)に設けられている。第1スイッチ41は、通常時には、上記電気回路を閉じ(閉路し)ている。第1スイッチ41は、ロッド30が方形の可動領域の一端(最上箇所)まで移動し、フィン13が閉位置まで回動させられたとき、そのロッド30の上面と接触する。第1スイッチ41は、この接触により作動し、上記電気回路を開き(開路し)、モータ21への通電を遮断する。
【0045】
また、図3において二点鎖線で示すように、第2スイッチ42は上記第1スイッチ41と同様にリミットスイッチからなり、上記モータ21に通電するための電気回路に設けられている。第2スイッチ42は、通常時には、上記電気回路を閉じ(閉路し)ている。第2スイッチ42は、ロッド30が方形の可動領域の他端(最下箇所)まで移動し、フィン13が開位置まで回動させられたとき、そのロッド30の下面と接触する。第2スイッチ42は、この接触により作動し、上記電気回路を開き(開路し)、モータ21への通電を遮断する。
【0046】
なお、リミットスイッチは、マイクロスイッチを外力、水、油、塵埃等から保護する目的で金属ケースや樹脂ケースに組込んだスイッチである。
さらに、グリルシャッタ装置は、上記モータ21を駆動制御する制御装置(図示略)を備えている。この制御装置は、車速、冷却水温等に基づき、フィン13の目標位置(閉位置及び開位置のいずれ一方)を求める。そして、目標位置が閉位置から開位置、又は開位置から閉位置へ切り替わると、モータ21への通電を開始する。このモータ21への通電は、上述したように、ロッド30との接触により作動する第1スイッチ41及び第2スイッチ42によって遮断される。
【0047】
上記のようにして、本実施形態のグリルシャッタ装置12が構成されている。次に、このグリルシャッタ装置12の作用として、フィン13の開閉動作について説明する。なお、フィン14の開閉動作についての説明は割愛するが、上述したように、フィン13が回動すると、その回動がリンク機構によりフィン14に伝達され、同フィン14がフィン13に同期して回動する。
【0048】
図1及び図2は、フィン13,14が閉位置に停止しているグリルシャッタ装置12の断面構造を示している。この状態は、エンジン始動時等、ラジエータの冷却が不要な状況下で採られる。
【0049】
この状態では、モータ21への通電が停止されている。偏心軸27は、円形の可動領域の最上箇所であって、ロッド30における第2長孔32の中央部に位置している。ロッド30は、方形の可動領域の最上箇所に位置している。レバー28は、後側ほど高くなる傾斜状態となっている。レバー28の後端のピン29は、ロッド30における第1長孔31の前端部に位置している。フィン13,14は、グリル開口部11での外気(空気)の流入方向に対し略直交する状態(略鉛直状態)となっている。制御装置では、フィン13の目標位置として「閉位置」が継続して求められている。
【0050】
上記のように、グリル開口部11がフィン13,14によって閉じられているため、外気(空気)の、グリル開口部11を通じたエンジンルームへの流入が遮断される。この遮断により、外気(空気)のラジエータとの接触が抑制される。特に、冬期には外気(空気)の温度が低いため、この外気(空気)がエンジン始動時等にラジエータに触れると、冷却水が冷却されてエンジンの暖機時間が長くなる。しかし、本実施形態では、グリル開口部11がフィン13,14によって閉じられるため、グリル開口部11を通過した外気(空気)がラジエータに触れて冷却水が冷却されることが抑制され、上記暖機時間の短縮が図られる。
【0051】
また、エンジンルーム内で外気(空気)の乱流が発生して車両の空力が低下する現象が上記フィン13,14によって抑制される。
上記図1の状態から、制御装置において求められるフィン13の目標位置が「閉位置」から「開位置」に切り替わると、フィン13を開位置まで回動させるべく、モータ21への通電が開始される。この目標位置の「開位置」への切替えは、例えばエンジンのオーバーヒートを抑制するためにラジエータの冷却が必要なときに行なわれる。この通電開始に応じて、出力軸22が一方向(図1の時計回り方向)へ回転されると、その出力軸22の回転運動は伝達機構25により回動運動に変換されてフィン13に伝達される。
【0052】
すなわち、出力軸22の回転に伴い偏心軸27が、出力軸22の周りを図1の時計回り方向へ回転(旋回)する。この回転(旋回)に伴い、偏心軸27の上下位置及び前後位置が変化する。時計回り方向への回転が進むにつれて偏心軸27の位置は、低い側であって後側へ変わる。
【0053】
出力軸22の回転に伴い上下位置の低くなる偏心軸27により、ロッド30に対し押下げ力が作用するとともに、同ロッド30を介してピン29に対し押下げ力が作用する。これらの押下げ力により、スライダ34において規制溝33に係合されたロッド30は、前後方向に延びる姿勢を維持しつつ下方へ平行移動(下降)する。この際、偏心軸27の後側への移動は、同偏心軸27がロッド30の第2長孔32内を後方へ移動することで許容される。
【0054】
また、上記ロッド30の下方への平行移動(下降)に伴い、ピン29の上下位置及び前後位置が変化する。ロッド30の下方への平行移動が進むにつれて、ピン29の位置は低い側であって後側へ変わる。ピン29の位置の上記変化に伴い、レバー28が支軸15を支点として図1の時計回り方向(下方)へ回動させられる。この際、ピン29の後側への移動は、同ピン29がロッド30の第1長孔31内を後方へ移動することで許容される。そして、レバー28の上記回動に伴い、支軸15を介して同レバー28と一体回動可能に設けられたフィン13も同方向へ回動させられ、グリル開口部11を開いていく。グリル開口部11を通じたエンジンルームへの外気(空気)の流入が許容されるようになる。
【0055】
そして、上記図1の状態から偏心軸27が円形の可動領域の最下箇所と最上箇所との中間箇所まで回転(旋回)すると、その押下げ力により下方へ平行移動するロッド30は、図4に示すように、方形の可動領域の中間箇所(支軸15と略同じ上下位置)に達する。この際、回転(旋回)に伴い後側へ移動する偏心軸27は、ロッド30における第2長孔32の後端部に達する。
【0056】
また、ロッド30の下方への平行移動に伴い、低い側であって後側へ移動するピン29は、支軸15と略同じ上下位置であって、ロッド30における第1長孔31の後端部に達する。ピン29の位置の上記変化に伴い、レバー28が水平状態となる。フィン13は、開位置と閉位置の中間の位置に達し、グリル開口部11を半開きした状態となる。
【0057】
出力軸22のさらなる回転により、出力軸22の周りでの図4の時計回り方向への回転(旋回)が進むにつれて偏心軸27の位置が、低い側であって前側へ変わるようになる。回転(旋回)に伴い上下位置が低くなる偏心軸27により、ロッド30に対し引き続き押下げ力が作用するとともに、同ロッド30を介してピン29に対し押下げ力が引き続き作用する。これらの押下げ力により、ロッド30が、前後方向に延びる姿勢を維持しつつ下方へ平行移動(下降)する。この際、偏心軸27の前側への移動は、同偏心軸27がロッド30の第2長孔32内を前方へ移動することで許容される。
【0058】
また、上記ロッド30の下方への平行移動(下降)に伴い、ピン29の上下位置及び前後位置が変化する。ロッド30の下方への平行移動が進むにつれて、ピン29の位置は低い側であって前側へ変わる。ピン29の位置の上記変化に伴い、レバー28が支軸15を支点として図4の時計回り方向(下方)へ引き続き回動させられる。この際、ピン29の前側への移動は、同ピン29がロッド30の第1長孔31内を前方へ移動することで許容される。レバー28の上記回動に伴い、フィン13も同方向へ回動させられ、グリル開口部11を上記半開き状態よりもさらに開いていく。
【0059】
そして、上記図4の状態から偏心軸27が円形の可動領域の最下箇所まで回転(旋回)すると、その押下げ力により下方へ平行移動するロッド30は、図3に示すように、方形の可動領域の最下箇所に達する。この際、回転に伴い前側へ移動する偏心軸27は、ロッド30における第2長孔32の中央部に達する。
【0060】
また、ロッド30の下方への平行移動に伴い、低い側であって前側へ移動するピン29は、支軸15よりも低い上下位置であって、ロッド30における第1長孔31の前端部に達する。ピン29の位置の上記変化に伴い、レバー28が後側ほど低い傾斜状態となる。フィン13は開位置に達し、グリル開口部11を最も大きく開いた状態(全開状態)となる。このため、多くの外気(空気)がグリル開口部11を通じてエンジンルームに流入することが可能となり、ラジエータ内の冷却水の冷却効率アップが可能となる。
【0061】
また、ロッド30が方形の可動領域の最下箇所に達することで、第2スイッチ42が同ロッド30の下面と接触して作動し、モータ21への通電を遮断する。この通電遮断により、出力軸22の回転が停止されてフィン13の回動が開位置で停止される。
【0062】
上記の状態から、制御装置において求められるフィン13の目標位置が「開位置」から「閉位置」に切り替わると、フィン13を上記図1の閉位置まで回動させるべく、モータ21への通電が開始される。この通電開始に応じて、出力軸22が一方向(図3の時計回り方向)へ回転されると、その出力軸22の回転運動は伝達機構25により回動運動に変換されてフィン13に伝達される。
【0063】
すなわち、出力軸22の上記回転に伴い偏心軸27が、出力軸22の周りを図3の時計回り方向へ回転(旋回)する。この回転(旋回)が進むにつれて偏心軸27の位置は、高い側であって前側へ変わる。
【0064】
出力軸22の周りでの回転に伴い上下位置が高くなる偏心軸27により、ロッド30に対し押上げ力が作用するとともに、同ロッド30を介してピン29に対し押上げ力が作用する。これらの押上げ力により、ロッド30が、前後方向に延びる姿勢を維持しつつ上方へ平行移動(上昇)する。この際、偏心軸27の前側への移動は、同偏心軸27がロッド30の第2長孔32内を前方へ移動することで許容される。
【0065】
また、上記ロッド30の上方への平行移動(上昇)に伴い、ピン29の位置は高い側であって後側へ変わる。ピン29の位置の上記変化に伴い、レバー28が支軸15を支点として図3の反時計回り方向(上方)へ回動させられる。この際、ピン29の後側への移動は、同ピン29がロッド30の第1長孔31内を後方へ移動することで許容される。レバー28の上記回動に伴い、フィン13も同方向(反時計回り方向)へ回動させられ、グリル開口部11を閉じていく。
【0066】
そして、上記図3の状態から偏心軸27が円形の可動領域の最下箇所と最上箇所との中間箇所まで回転(旋回)すると、その押上げ力により上方へ平行移動するロッド30は、図4に示すように、方形の可動領域の中間箇所(支軸15と略同じ上下位置)に達する。この際、回転に伴い前側へ移動する偏心軸27は、ロッド30における第2長孔32の前端部に達する(図4の二点鎖線参照)。
【0067】
また、ロッド30の上方への平行移動に伴い、高い側であって後側へ移動するピン29は、支軸15と同じ上下位置であって、ロッド30における第1長孔31の後端部に達する。ピン29の位置の上記変化に伴い、レバー28が水平状態となる。フィン13は、開位置と閉位置の中間の位置に達し、前下がりの傾斜状態となり、グリル開口部11を半開きした状態となる。
【0068】
出力軸22のさらなる回転により、出力軸22の周りでの図4の時計回り方向への回転が進むにつれて偏心軸27の位置が、高い側であって後側へ移るようになる。回転(旋回)に伴い上下位置の高くなる偏心軸27により、ロッド30に対し引き続き押上げ力が作用するとともに、同ロッド30を介してピン29に対し押上げ力が引き続き作用する。これらの押上げ力により、ロッド30が、前後方向に延びる姿勢を維持しつつ上方へ平行移動(上昇)する。この際、偏心軸27の後側への移動は、同偏心軸27がロッド30の第2長孔32内を後方へ移動することで許容される。
【0069】
また、上記ロッド30の上方への平行移動(上昇)に伴い、ピン29の位置は高い側であって前側へ変わる。ピン29の位置の上記変化に伴い、レバー28が支軸15を支点として図4の反時計回り方向(上方)へ引き続き回動させられる。この際、ピン29の前側への移動は、同ピン29がロッド30の第1長孔31内を前方へ移動することで許容される。レバー28の上記回動に伴いフィン13も同方向へ回動させられ、グリル開口部11を閉じていく。
【0070】
そして、上記図4の状態から偏心軸27が円形の可動領域の最上箇所まで回転(旋回)すると、その押上げ力により上方へ平行移動するロッド30は、図1に示すように、方形の可動領域の最上箇所に達する。この際、回転に伴い後側へ移動する偏心軸27は、ロッド30における第2長孔32の中央部に達する。
【0071】
また、ロッド30の上方への平行移動に伴い、高い側であって前側へ移動するピン29は、支軸15よりも高い上下位置であって、ロッド30における第1長孔31の前端部に達する。ピン29の位置の上記変化に伴い、レバー28が後側ほど高い傾斜状態となる。フィン13は閉位置に達し、グリル開口部11を閉じた状態となる。このため、外気(空気)が、グリル開口部11を通じてエンジンルームへ流入することが遮断される。
【0072】
また、ロッド30が方形の可動領域の最上箇所に達することで、第1スイッチ41が同ロッド30の上面と接触して作動し、モータ21への通電を遮断する。この通電遮断により、出力軸22の回転が停止されてフィン13の回動が閉位置で停止される。
【0073】
そして、制御装置において求められるフィン13の目標位置が切り替わる毎に、上述した動作が繰り返される。
このように、モータ21が通電により出力軸22を一方向へ回転させるものであるが、伝達機構25が用いられることにより、回転運動が回動運動に変換されてフィン13に伝達され、同フィン13が閉位置と開位置との間で回動される。また、第1スイッチ41が用いられることにより、フィン13が閉位置まで回動させられたときにモータ21への通電が遮断されて、フィン13が閉位置で停止される。また、第2スイッチ42が用いられることにより、フィン13が開位置まで回動させられたときにモータ21への通電が遮断されて、フィン13が開位置で停止される。このため、フィン13の開閉に際しては、フィン13の目標位置が切り替わる毎にモータ21への通電を開始する制御を行なうだけでよく、モータ21の回転方向を切替える等の複雑な制御は不要である。
【0074】
また、ロッド30が平行移動することと、そのロッド30が方形の可動領域の一端(最上箇所)まで移動したときにフィン13が閉位置まで回動していることが利用されることで、そのロッド30によって第1スイッチ41が作動させられてモータ21への通電が遮断され、フィン13が閉位置で停止させられる。
【0075】
さらに、ロッド30が平行移動することと、そのロッド30が方形の可動領域の他端(最下箇所)まで移動したときにフィン13が開位置まで回動していることが利用されることで、そのロッド30によって第2スイッチ42が作動させられてモータ21への通電が遮断され、フィン13が開位置で停止させられる。
【0076】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)支軸15により回動可能に支持されたフィン13と、通電により出力軸22を一方向へ回転させるモータ21と、出力軸22の回転運動を回動運動に変換してフィン13に伝達する伝達機構25とを設ける。さらに、フィン13が閉位置まで回動させられたとき伝達機構25の構成部材(ロッド30)との接触により作動してモータ21への通電を遮断する第1スイッチ41と、フィン13が開位置まで回動させられたときロッド30との接触により作動してモータ21への通電を遮断する第2スイッチ42とを設けている。
【0077】
そのため、出力軸22が一方向へ回転するモータ21を用いているにも拘わらず、そのモータ21の回転方向を切替える等の複雑な制御を行なうことなく、フィン13の位置を切替える際にモータ21に通電するといった簡単な制御を行なうだけで、フィン13を開閉させることができる。
【0078】
(2)伝達機構25として、モータ21の出力軸22の回転に伴いその周りを回転する偏心軸27と、偏心軸27の回転に伴い平行移動するロッド30と、支軸15を介してフィン13に一体回動可能に設けられるとともに、ロッド30に動力伝達可能に連結され、ロッド30の平行移動に伴い支軸15を支点として回動するレバー28とを用いている。
【0079】
そのため、こうした簡単な構成により、モータ21の出力軸22の一方向への回転運動を回動運動に変換してフィン13に伝達し、もってフィン13を閉位置及び開位置間で回動させることができる。
【0080】
(3)伝達機構25として、ロッド30が可動領域の一端(最上箇所)に位置するときフィン13が閉位置に位置し、ロッド30が可動領域の他端(最下箇所)に位置するときフィン13が開位置に位置するように、出力軸22の回転運動を回動運動に変換してフィン13に伝達するものを用いる。
【0081】
ロッド30が可動領域の一端(最上箇所)まで移動したときに同ロッド30との接触により第1スイッチ41を作動させて、モータ21への通電を遮断する。また、ロッド30が可動領域の他端(最下箇所)まで移動したときに同ロッド30との接触により、第2スイッチ42を作動させて、モータ21への通電を遮断するようにしている。
【0082】
そのため、ロッド30によって第1スイッチ41を作動させてモータ21への通電を遮断し、フィン13を閉位置で停止させることができる。また、ロッド30によって第2スイッチ42を作動させてモータ21への通電を遮断し、フィン13を開位置で停止させることできる。
【0083】
(4)上記(3)に関連するが、第1スイッチ41及び第2スイッチ42を、可動領域においてロッド30が平行移動する方向(上下方向)についての両側部に配置している。
そのため、第1スイッチ41及び第2スイッチ42が他の箇所に配置される場合に比べ、グリルシャッタ装置12の構成を簡単にすることができる。
【0084】
(5)伝達機構25として、ロッド30が平行移動する方向へそれぞれ延びる複数の規制溝33と、ロッド30の複数箇所に設けられ、かつ複数の規制溝33にそれぞれスライド可能に係合されるスライダ34とをさらに設けている。
【0085】
そのため、スライダ34がスライド方向とは異なる方向へ移動するのを規制溝33によって規制することで、ロッド30を、所望の方向(上下方向)へ安定した状態で平行移動させることができる。
【0086】
(6)各スライダ34を、規制溝33に沿って延びる長尺状に形成している。
そのため、スライダ34が規制溝33に沿ってスライドする際に同規制溝33内で回転するのを抑制し、ロッド30を、がたつくことなく所望の方向(上下方向)へ安定した状態で平行移動させることができる。
【0087】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
<フィン13,14について>
・フィン13,14は、上記実施形態とは異なる方向(例えば上下方向)へ延びる支軸によって傾動可能に支持されてもよい。この場合、フィン13,14は車幅後方(左右方向)へ回動することとなる。
【0088】
・フロントグリル10に回動可能に支持されてグリル開口部11を開閉するフィン13,14の数は1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。
・フィン13,14の開位置は、必ずしもフィン13,14が水平状態となる全開位置でなくてもよい。すなわち、水平面に対し多少傾斜した状態となったときのフィン13,14の位置が開位置とされてもよい。
【0089】
<回転部材26について>
・回転部材26の形状は、モータ21の出力軸22と偏心軸27とを繋ぐものであることを条件に、円板状以外の形状に変更されてもよい。例えば、回転部材26の形状は、出力軸22からその半径方向外方へ延びる長尺板状をなすものであってもよい。
【0090】
<第1スイッチ41及び第2スイッチ42について>
・リミットスイッチとは異なる種類のスイッチが第1スイッチ41及び第2スイッチ42として用いられてもよい。
【0091】
・モータ21への通電によりフィン13が閉位置(図1参照)まで回動させられたとき、伝達機構25の構成部材と接触することで作動して、通電を遮断するものであることを条件に、第1スイッチ41の取付け位置が変更されてもよい。
【0092】
また、モータ21への通電によりフィン13が開位置(図3参照)まで回動させられたとき、伝達機構25の構成部材と接触することで作動して、通電を遮断するものであることを条件に、第2スイッチ42の取付け位置が変更されてもよい。
【0093】
例えば、回転部材26の径方向に相対向する箇所に第1スイッチ41及び第2スイッチ42が配置されるとともに、回転部材26の外周面に突起が設けられる。そして、フィン13が閉位置まで回動されたときに突起が第1スイッチ41に接触され、フィン13が開位置まで回動されたときに突起が第2スイッチ42に接触される構成に変更されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10…フロントグリル、11…グリル開口部、12…グリルシャッタ装置、13,14…フィン、15,16…支軸、21…モータ、22…出力軸、25…伝達機構、27…偏心軸、28…レバー、30…ロッド、33…規制溝、34…スライダ、41…第1スイッチ、42…第2スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル開口部を有する車両のフロントグリルに対し、前記グリル開口部を閉じる閉位置と開く開位置との間で回動し得るように支軸により支持されるフィンと、
通電により出力軸を一方向へ回転させ、通電遮断により前記出力軸の回転を停止させるモータと、
前記出力軸の一方向への回転運動を回動運動に変換して前記フィンに伝達することにより、前記フィンを前記閉位置及び前記開位置間で回動させる伝達機構と、
前記モータへの通電により前記フィンが前記閉位置まで回動させられたとき、前記伝達機構の構成部材との接触により作動して、前記通電を遮断する第1スイッチと、
前記モータへの通電により前記フィンが前記開位置まで回動させられたとき、前記伝達機構の構成部材との接触により作動して、前記通電を遮断する第2スイッチと
を備えることを特徴とするグリルシャッタ装置。
【請求項2】
前記伝達機構は、
前記モータの前記出力軸の回転に伴い同出力軸の周りを回転する偏心軸と、
前記出力軸を中心とする前記偏心軸の回転に伴い可動領域内で平行移動するロッドと、
前記支軸を介して前記フィンに一体回動可能に設けられるとともに、前記ロッドに動力伝達可能に連結され、前記ロッドの前記平行移動に伴い前記支軸を支点として回動するレバーと
を備える請求項1に記載のグリルシャッタ装置。
【請求項3】
前記伝達機構は、前記ロッドが前記可動領域の一端に位置するとき前記フィンが前記閉位置に位置し、前記ロッドが前記可動領域の他端に位置するとき前記フィンが前記開位置に位置するように、前記出力軸の回転運動を回動運動に変換して前記フィンに伝達するものである請求項2に記載のグリルシャッタ装置。
【請求項4】
前記第1スイッチは、前記ロッドが前記可動領域の前記一端まで移動したときに同ロッドと接触して作動し、前記モータへの通電を遮断し、前記第2スイッチは、前記ロッドが前記可動領域の前記他端まで移動したときに同ロッドと接触して作動し、前記モータへの通電を遮断するものである請求項3に記載のグリルシャッタ装置。
【請求項5】
前記伝達機構は、
前記ロッドが平行移動する方向へそれぞれ延びる複数の規制溝と、
前記ロッドの複数箇所に設けられ、かつ前記複数の規制溝にそれぞれスライド可能に係合されるスライダとをさらに備える請求項2〜4のいずれか1つに記載のグリルシャッタ装置。
【請求項6】
前記各スライダは前記規制溝に沿って延びる長尺状をなしている請求項5に記載のグリルシャッタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate