説明

グリル付き加熱調理器

【課題】焼き網を揺動する回転軸の軸合わせが要らないグリル付き加熱調理器を提供する。
【解決手段】受け皿がグリル庫内に押し込まれると、回転軸70の後端軸79が、回転軸受け体101のテーパ部112を摺動し、収納部113にガイドされるので、回転軸70の軸合わせが不要である。回転軸70の嵌合片74,75が回転軸受け体101の凸部115の各先端面に当接した状態で、回転軸受け体101が回転する。嵌合片74,75の位置と、回転軸受け体101の凹部116の位置とが一致すると、回転軸受け体101はコイルバネ140によって前方に押し出され、凹部116に嵌合片74,75が嵌合する。こうして、モータ95の駆動軸150と共に回転軸70が回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル庫を備えたグリル付き加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グリル庫内の左右の内側面において、焼き網の上下に上バーナと下バーナとをそれぞれ設けた両面焼きグリルが知られている。この両面焼きグリルは、グリル庫内にバーナを一対しか設けていない一般のグリルに比べ、被調理物の表裏を一度に加熱できる利点がある。しかしながら、グリル庫内の左右の内側面に上バーナと下バーナとを設けているので、部品コスト及びガス消費量が増大するという問題点があった。そこで、グリル庫内で焼き網を揺動させることで、一対のバーナでも焼き網上の被調理物の表裏をムラなくじっくり焼き上げることができるグリルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このグリルでは、焼き網に取り付けた回動軸の後端の嵌入部を、グリル庫の後端部に設けられた軸受け部に嵌入させ、この軸受け部に、ラックアンドピニオン機構を介してステップモータの回転力を伝達する。ステップモータを周期的に正逆方向に回転させて軸受け部と回動軸とを一体して回動させることで、焼き網が所定角度の範囲内で揺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−160932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のグリルにおいて、回動軸と軸受け部とを一体的に回転させるには、軸受け部に回動軸の嵌入部を嵌入させなければならない。このようなグリルでは、受け皿に対する焼き網の装着位置や、収納時における力加減に若干の違いが生じても、焼き網をグリル庫内に収納できるように若干の余裕をもって設計されている。それ故、焼き網をグリル庫内に収納する度に、回動軸と軸受け部との軸合わせを行う必要があるため、面倒であるという問題点があった。さらに、回動軸と軸受け部との軸合わせができなかった場合、回動軸の後端と軸受け部の先端とが干渉してしまい、焼き網をグリル庫内に収納できないという問題点もあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、焼き網を揺動する回転軸の軸合わせが要らないグリル付き加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るグリル付き加熱調理器は、前方が開口されたグリル庫と、前記グリル庫の左右の各内側面に設けられるグリルバーナと、前記グリル庫内に収納される焼き網と、当該焼き網の下方に設けられるグリル皿と、当該グリル皿の上方で前記焼き網を揺動させる揺動機構と、前記開口に設けられると共に、前記グリル皿に連結されて前記グリル皿及び前記焼き網を前記グリル庫に対して出し入れする把持手段とを備え、前記グリルバーナにより、前記焼き網上に載置された被調理物を加熱調理するグリル付き加熱調理器において、前記揺動機構は、前記焼き網を前記グリル庫内で揺動させる回転軸を備え、前記グリル庫の奥側に、前記グリル庫の前後方向に進退自在に設けられ、前記焼き網が前記グリル庫内に収納された場合に、前記回転軸の一端側に設けられた嵌合部と嵌合して、前記回転軸と一体に回転する回転軸受け部と、当該回転軸受け部を正方向又は正逆方向に回転させるモータと、前記回転軸受け部を前記グリル庫の前方に向けて付勢する付勢手段とを備えている。
【0007】
また、請求項2に係る発明のグリル付き加熱調理器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記嵌合部は、前記回転軸の径方向に突出して設けられ、前記回転軸受け部は、前記嵌合部が嵌合する溝部を備えている。
【0008】
また、請求項3に係る発明のグリル付き加熱調理器は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記嵌合部は複数であり、かつ前記回転軸の中心に対して回転対称に設けられ、前記溝部は、前記回転軸受け部において、前記複数の嵌合部に対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0009】
また、請求項4に係る発明のグリル付き加熱調理器は、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記溝部は、前記回転軸受け部において、前記複数の嵌合部に対応する位置と、当該位置から周方向にずれた位置とに少なくとも設けられている。
【0010】
また、請求項5に係る発明のグリル付き加熱調理器は、請求項1から4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記回転軸の前記一端には、前記回転軸の中心から軸方向に突出する後端軸が設けられ、前記回転軸受け部には、前記後端軸を奥側に収納する収納部が設けられ、当該収納部の内側には、前記グリル庫の後方に向かって先細りの円錐状に形成され、前記後端軸を前記回転軸受け部の中心にガイドするガイド部が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明のグリル付き加熱調理器では、焼き網が揺動機構によってグリル皿の上方で揺動する。グリル庫の奥側に設けられた回転軸受け部は、グリル庫の前後方向に進退自在である。揺動機構の回転軸の一端側に設けられた嵌合部が回転軸受け部に嵌合した状態で押し当てられた場合、モータの動力で回転軸受け部が回転すると、回転軸が回転する。回転軸受け部は付勢手段によって前方に付勢されているので、回転軸の嵌合部と回転軸受け部とが確実に嵌合する。回転軸の嵌合部が回転軸受け部に嵌合しない状態で押し当てられた場合でも、回転軸受け部は後方に移動するので、回転軸をグリル庫内に押し込めることができる。モータの動力で回転軸受け部が回転し、嵌合部と回転軸受け部との互いの嵌合形状が軸方向において一致したときに、回転軸受け部が付勢手段によって前方に付勢されて移動するので、嵌合部と回転軸受け部とが互いに嵌合する。従って、回転軸の回転軸受け部に対する軸合わせが不要となるので、取り扱いが便利である。
【0012】
また、請求項2に係る発明のグリル付き加熱調理器では、請求項1に記載の発明の効果に加え、嵌合部は、回転軸の径方向に突出して設けられているので、回転軸受け部の溝部に確実に嵌合させることができる。
【0013】
また、請求項3に係る発明のグリル付き加熱調理器では、請求項2に記載の発明の効果に加え、複数の嵌合部は、回転軸の中心に対して回転対称に設けられている。溝部は、回転軸受け部において、複数の嵌合部に対応する位置に設けられている。これにより、回転軸の回転角と、回転軸受け部の回転角とが互いにずれていても、回転軸受け部が回転することによって、嵌合部と溝部とを嵌合させることができる。
【0014】
また、請求項4に係る発明のグリル付き加熱調理器では、請求項3に記載の発明の効果に加え、溝部は、回転軸受け部において、複数の嵌合部に対応する位置と、当該位置から周方向にずれた位置とに少なくとも設けられているので、回転軸受け部が少なくとも1回転するまでに、嵌合部と溝部とを嵌合させることができる。
【0015】
また、請求項5に係る発明のグリル付き加熱調理器では、請求項1から4の何れかに記載の発明の効果に加え、回転軸受け部に対して回転軸が軸方向においてずれた状態で、回転軸の後端軸が回転軸受け部に押し込まれると、回転軸の後端軸は、回転軸受け部のガイド部に接触して摺動する。ガイド部は、グリル庫の後方に向かって先細りの円錐状に形成されているので、回転軸の後端軸は回転軸受け部の中心にガイドされる。これにより、回転軸受け部に対して回転軸の軸合わせを容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】テーブルコンロ1の斜視図である。
【図2】グリル庫15内を側方から見た断面図(A)及び正面から見た断面図(B)である。
【図3】受け皿13に設けられた焼き網揺動支持機構35の斜視図である。
【図4】支持ユニット40の斜視図である。
【図5】回転軸受けユニット100の構成を示す縦断面図(A)、及び回転軸受け体101の正面図(B)である。
【図6】回転軸受け体101に、回転軸70の後端軸79が押し込まれる状態を示す斜視図である。
【図7】回転軸70の後端軸79が回転軸受け体101に押し込まれる際の回転軸受けユニット100の動作を示した縦断面図である。
【図8】焼き網12の揺動状態(θ=0°,360°)を示す図である。
【図9】焼き網12の揺動状態(θ=95°)を示す図である。
【図10】焼き網12の揺動状態(θ=180°)を示す図である。
【図11】焼き網12の揺動状態(θ=265°)を示す図である。
【図12】回転角θと、揺動角ψとの関係を示したグラフである。
【図13】変形例であるグリル庫50内を側方から見た断面図(A)及び正面から見た断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態であるテーブルコンロ1について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下に記載されている装置の構造などは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下説明において、図1の左斜め下側、右斜め上側、右斜め下側、左斜め上側を、テーブルコンロ1の前側(前方)、後ろ側(後方)、右側(右方)、左側(左方)とする。
【0018】
はじめに、テーブルコンロ1の構造について、図1を参照して説明する。テーブルコンロ1は、器具の幅方向中央にグリル庫15(図2参照)を備えたグリル付き加熱調理器である。テーブルコンロ1の上面には、トッププレート2が設けられている。トッププレート2の右側にはコンロバーナ3が設けられ、左側にはコンロバーナ4が設けられている。コンロバーナ3、4に挟まれる中央の後方には、グリル庫15内の燃焼排気を排出するための排気口23A(図2(A)参照)が設けられている。排気口23Aには、グリル庫15外への炎のあふれを防止するための網状の遮炎カバー10が覆設されている。
【0019】
テーブルコンロ1の正面中央には、手前側に引き出し可能なグリル扉9が設けられている。グリル扉9の上側部分には、正面視長方形状の覗き窓9Aが設けられている。グリル扉9の前面の覗き窓9Aの下部近傍には、前方に突出する把持部9Bが設けられている。グリル扉9の右隣には、グリル庫15内に設けられた後述するグリルバーナ31,32(図2(B)参照)の点火消火を行うための操作スイッチ7が設けられている。その操作スイッチ7の右隣には、コンロバーナ3の点火消火を行うための操作スイッチ6が設けられている。グリル扉9の左隣には、コンロバーナ4の点火消火を行うための操作スイッチ8が設けられている。
【0020】
そして、操作スイッチ7の下側には、焼き網12を揺動させない通常の「片面焼きモード」と、グリル庫15内の焼き網12を揺動させる「両面焼きモード」とを切り替えるモード切り替えスイッチ11が設けられている。両面焼きモードは、例えば、魚等の両面を一度に焼く際に使用される。片面焼きモードは、例えば、グラタン等の皿料理のように片面を焼く際に使用される。
【0021】
例えば、モード切り替えスイッチ11を「両面焼きモード」に切り替えた上で、操作スイッチ7を押下すると、グリルバーナ31,32が点火すると同時に、焼き網12が揺動する。この状態で、操作スイッチ7を再度押下すると、グリルバーナ31,32が消火すると同時に、焼き網12が揺動を停止する。なお、モード切り替えスイッチ11を「片面焼きモード」に切り替えた上で、操作スイッチ7を押下しても、グリルバーナ31,32は点火するが、焼き網12は揺動しない。
【0022】
次に、グリル庫15の構造について説明する。図2(A),(B)に示すように、グリル庫15は、耐熱性のよいアルミニウムメッキ鋼板によって前方が開口する箱状に形成され、右側壁21、左側壁22、天壁23、底壁24、背壁25を備えている。右側壁21の内面の高さ方向中段には、前後方向に長い略長方形状のグリルバーナ31が設けられている。左側壁22の内面の高さ方向中段位置にも、前後方向に長い略長方形状のグリルバーナ32が設けられている。底壁24の上面の奥側には、背壁25の前側に所定の空間を介して離間し、かつ背壁25と平行に配置された仕切壁27が立設されている。仕切壁27の上側には長方形状の排気孔28が設けられている。仕切壁27の背面と背壁25の前面との間には、グリル庫15内の燃焼排気を排気孔28を介して、天壁23の後方に設けられた排気口23Aに向けて排出するための排気流路29が設けられている。
【0023】
図3に示すように、受け皿13の前端部には、グリル扉9が固定されている。よって、グリル扉9の把持部9Bによって、受け皿13をグリル庫15に対して出し入れすることができる。受け皿13には、焼き網12を揺動可能に支持する焼き網揺動支持機構35が設けられている。受け皿13が、グリル庫15内に押し込まれた状態では、図2(B)に示すように、焼き網12は、グリルバーナ31,32の間に配置され、グリル庫15の左右方向に対して所定角の範囲内で揺動可能となる。
【0024】
次に、焼き網揺動支持機構35の構造について、図3を参照して説明する。焼き網揺動支持機構35は、後述する回転軸受けユニット100(図2参照)に連結される回転軸70と、焼き網12を支持すると共に、回転軸70の回転を受けて焼き網12を揺動させる支持ユニット40と、受け皿13上に固定され、回転軸70及び支持ユニット40を回転可能に軸支する一対の略三角形状の支持板81,82とを備えている。
【0025】
次に、支持ユニット40の構造について、図4を参照して説明する。支持ユニット40は、焼き網12が上方から載置される矩形状の支持枠42と、該支持枠42を揺動させる揺動軸41とを備えている。支持枠42は、右枠部45、左枠部46、前枠部47、後ろ枠部48を備えている。揺動軸41は、前枠部47の長手方向中央の下部と、後ろ枠部48の長手方向中央の下部とに固定されている。揺動軸41は、支持枠42の内側に対応する中央部分において平面視Z字状に折り曲げられ、一方、その両端側は、平面視同一直線上に、かつ前枠部47及び後ろ枠部48に直交する方向に延設されている。
【0026】
また、図4に示すように、支持ユニット40を前方から見た場合において、前枠部47の下部には、揺動軸41を中央に挟むようにして、一対の揺動アーム51,52が各々設けられている。揺動アーム51は、前枠部47の右側部分から揺動軸41の下方に対応する位置に向かって斜め下方に延設され、固定支持部61,62によって固定されている。揺動アーム52は、前枠部47の左側部分から揺動軸41の下方に対応する位置に向かって斜め下方に延設され、固定支持部63,64によって固定されている。
【0027】
揺動アーム51の先端部には、支持枠42の前後方向に軸心を有するローラ56が転動可能に軸支されている。揺動アーム52の先端部には、支持枠42の前後方向に軸心を有するローラ57が転動可能に軸支されている。揺動アーム51,52の各先端部の間に、回転軸70に設けられた後述する偏心カム91(図3参照)が配置される。偏心カム91の周側面に対して、揺動アーム51,52のローラ56,57が接触して転動する。これにより、揺動アーム51,52の各先端部と偏心カム91の周側面との摩擦を軽減できる。
【0028】
一方、支持ユニット40を後方から見た場合において、後ろ枠部48の下部にも、揺動軸41を中央に挟むようにして、一対の揺動アーム53,54が各々設けられている。揺動アーム53も同様に、後ろ枠部48の左側部分から揺動軸41の下方に対応する位置に向かって斜め下方に延設されている。揺動アーム54も同様に、後ろ枠部48の右側部分から揺動軸41の下方に対応する位置に向かって斜め下方に延設されている。なお、揺動アーム53,54の各先端部にも、揺動アーム51,52と同様に、ローラ58,59が転動可能に各々軸支されている。揺動アーム53,54の各先端部の間に、回転軸70に設けられた後述する偏心カム92(図3参照)が配置される。偏心カム92の周側面に対して、揺動アーム53,54のローラ58,59が接触して転動する。
【0029】
次に、回転軸70の構造について、図3を参照して説明する。回転軸70は、回転軸受けユニット100の後述する回転軸受け体101に収納され、グリル庫15の奥側にガイドされる後端軸79を備えている。後端軸79の近傍には、回転軸受けユニット100に連結するための連結部73が設けられている。連結部73には、後端軸79の径方向の両側に各々突出した一対の嵌合片74,75が設けられている。これら嵌合片74,75は、回転軸受け体101内に設けられた後述する複数の凹部116(図5参照)に各々嵌合する。これにより、回転軸受け体101の回転に伴って、回転軸70が回転する。
【0030】
また、回転軸70には、円形状の一対の偏心カム91,92が設けられている。偏心カム91,92は、図8に示すように、中心Pから離れた位置に回転中心を備えるものである。その回転中心には回転軸70が貫通して設けられ、回転軸70の回転に伴ってカム91,92が回転する。回転軸70を軸方向の前方から見た場合に、回転軸70と中心Pとを結ぶ仮想直線と、偏心カム91の外周との交点であるK点は、回転軸70から最も離間する長軸部分の位置であり、本発明の「作用部」に相当する。偏心カム92についても同様である。これら偏心カム91,92の位相は互いに同一に調整されている。
【0031】
次に、支持板81,82の構造について説明する。図2に示すように、支持板81は、正面視略三角形状に形成されている。その支持板81の下端部には略直角に折り曲げられた固定部81Aが設けられている。固定部81Aは、固定具89によって受け皿13の前端部13Aに固定されている。支持板81の上方に向けられた頂点の近傍には、揺動軸41の軸受け77が設けられ、その鉛直下方には、回転軸70の軸受け85が設けられている。
【0032】
一方、支持板82も、正面視略三角形状に形成されている。その支持板82の下端部には略直角に折り曲げられた固定部82Aが設けられている。固定部82Aは、固定具89によって受け皿13の後端部13Bに固定されている。支持板82の上方に向けられた頂点の近傍には、揺動軸41の軸受け78が設けられ、その鉛直下方には、回転軸70の軸受け86が設けられている。また、図3に示すように、受け皿13の底部中央には、回転軸70の長手方向中央を回転可能に支持するための支持片83が設けられている。支持片83の上部には、回転軸70が回転可能に挿入される軸受け溝部83Aが設けられている。
【0033】
次に、回転軸受けユニット100の構造について、図5を参照して説明する。回転軸受けユニット100は、背壁25の内面に固定され、背壁25の外面に固定されたモータ95の駆動軸150を内挿する略皿状の台座部材130と、駆動軸150の先端部に連結され、仕切壁27の挿通孔27Aを介してグリル庫15の前後方向に出退可能に支持された略円筒状の回転軸受け体101と、該回転軸受け体101と台座部材130との間に配設され、回転軸受け体101を前方に付勢するコイルバネ140とを備えている。モータ95の駆動軸150は、背壁25に設けられた挿通孔25Aを介して前方に延設されている。台座部材130の中心には貫通孔131が設けられ、該貫通孔131内にモータ95の駆動軸150が挿入されている。モータ95は高トルクを生み出す「低速回転モータ」であり、例えば、40秒で一回転するものを用いることができる。
【0034】
回転軸受け体101は、略円筒状の本体部102と、該本体部102の後端部に同軸上に設けられ、本体部102よりも径の小さい略円筒状の後方延設部103とからなる。回転軸受け体101の内側には、本体部102の前端側から後方延設部103の後端側に向かって順に、大径に形成された導入部111と、該導入部111から奥側に向けて先細り状に形成されたテーパ部112と、該テーパ部112の奥側から後方に延設された収納部113とが各々設けられている。
【0035】
導入部111は、回転軸70の後端軸79を内側に導入させる部分である。導入部111は大径に形成されている。それ故、後端軸79が回転軸受け体101の中心に対してずれた状態でグリル庫15内に押し込まれた場合でも、後端軸79を導入部111の内側に取り込むことができる。そして、導入部111の奥側には、軸方向から見た場合において、収納部113を中心に略十字の位置に形成され、かつ軸方向前側に突出する4つの凸部115が各々設けられている。これら4つの凸部115同士の間には、軸方向に沿って後方に凹んだ4つの凹部116が設けられている。凹部116には、焼き網揺動支持機構35の回転軸70の後端軸79に設けられた嵌合片74,75が嵌合する。
【0036】
なお、本実施形態では、4つの凹部116のうち2つの凹部116に対して嵌合片74,75が嵌合する。図6に示すように、嵌合片74,75は、回転軸70の後端軸79に直交する方向に各々突出している。それ故、嵌合片74,75は、略十字の位置に配置された4つの凹部116のうち、互いに180°の回転対称の位置にある一組の凹部116,116に嵌合する。そして、他方の一組である凹部116,116は、一方の組に対して周方向に90°ずれた位置にある。従って、受け皿13をグリル庫15内に押し込む際に、回転軸70と回転軸受け体101との位相が互いに合わず、嵌合片74,75が凸部115,115の各先端に当接した場合でも、回転軸70がその位置から少なくとも約90°程度回転すれば、嵌合片74,75は何れかの一組である凹部116,116に嵌合できる。これにより、回転軸70を回転軸受け体101に速やかに連結させることができる。
【0037】
ところで、本体部102の後端の外縁部には、径方向外側に延出されたリング状の係止部118が設けられている。回転軸受け体101が、仕切壁27の挿通孔27Aを介してコイルバネ140によって前方に付勢されて移動した場合、係止部118が仕切壁27の背面側に係止する。これにより、挿通孔27Aから回転軸受け体101が抜けるのを防止している。その係止部118の径方向内側には、本体部102の後端面から軸方向前側に向かって凹状に形成されたリング状の溝部119が設けられている。溝部119には、コイルバネ140の一端側が押し込まれて固定されている。なお、コイルバネ140の他端側は、台座部材130の内側に押し込まれて固定されている。
【0038】
収納部113の軸方向後端側には、収納部113の長手方向に直交して貫通し、かつ長手方向に所定長を有するガイド孔120が設けられている。ガイド孔120の所定長は、台座部材130に対して回転軸受け体101を前方に移動させる距離に調整されている。このような収納部113の後端側からモータ95の駆動軸150の先端側が挿入されている。ガイド孔120の内側には、モータ95の駆動軸150の先端側に、該駆動軸150の長手方向に直交して設けられた一対の係止片151,152が配置されている。従って、駆動軸150が一方向に回転すると、一対の係止片151,152がガイド孔120の壁面に係止するので、回転軸受け体101は駆動軸150と一体して回転することができる。
【0039】
次に、受け皿13がグリル庫15内に押し込まれ、回転軸70の後端軸79が、回転軸受けユニット100に連結して回転するまでの流れについて、図5,図6,図7を参照して説明する。まず、使用者によって受け皿13がグリル庫15内に押し込まれると、図7(A)に示すように、後端軸79は、回転軸受け体101の導入部111の内側に取り込まれる。ここで、後端軸79が、回転軸受け体101の中心に対してずれている場合は、後端軸79は、テーパ部112の壁面に接触する。そして、受け皿13がグリル庫15内に押し込まれるにつれて、後端軸79がテーパ部112の壁面を摺動する。これにより、後端軸79は、回転軸受け体101の中心である収納部113に対して位置が補正される。
【0040】
次いで、後端軸79が収納部113に挿入されるが、回転軸70に設けられた一対の嵌合片74,75と、の導入部111に設けられた4つの凹部116との位置は合わないことが多い。この場合、図7(B)に示すように、一対の嵌合片74,75は、4つのうち何れか2つの凸部115の各先端面にそれぞれ当接する。このとき、回転軸受け体101は、コイルバネ140の付勢に抗して奥側に押し込まれる。これにより、一対の嵌合片74,75が凹部116,116に嵌合しなかった場合でも、焼き網12をグリル庫15内に押し込んで収納できる。
【0041】
次いで、使用者によって、図1に示すモード切り替えスイッチ11を「両面焼きモード」に切り替えた状態で、操作スイッチ7が押下されると、グリルバーナ31,32の点火と同時に、電池からモータ95に電力が供給され、駆動軸150が一方向に回転し始める。すると、図5に示すように、駆動軸150の一対の係止片151,152が、回転軸受け体101のガイド孔120の壁面に係止し、回転軸受け体101が駆動軸150と一体して回転する(図6参照)。そして、回転軸受け体101は、自身の凸部115の各先端面を、一対の嵌合片74,75に対してそれぞれ当接させながら回転し続ける。
【0042】
次いで、回転軸70に設けられた嵌合片74,75の位置と、回転軸受け体101の凹部116の位置とが一致した場合、図7(C)に示すように、回転軸受け体101はコイルバネ140によって前方に付勢されて前方に一気に押し出される。このとき、回転軸受け体101の凹部116に対して回転軸70の嵌合片74,75が嵌合する。これにより、回転軸70は、回転軸受け体101を介して、モータ95の駆動軸150と連結するので、駆動軸150の回転に伴って一方向に回転する。そして、回転軸70が回転することによって、焼き網揺動支持機構35が駆動し、焼き網12を揺動させることができる。
【0043】
次に、焼き網揺動支持機構35による焼き網12の揺動について、図8から図11を参照して説明する。なお、以下説明では、図8に示すように、回転軸70の回転角をθ、焼き網12の揺動角をψとし、回転軸70を軸方向前側から見た場合の焼き網12の揺動について述べる。本実施例では、回転軸70は、軸方向前側から見た場合における時計回りに回転するが、反時計周りに回転させてもよい。焼き網12の揺動角ψは、回転軸70の軸方向前側から見た場合において水平状態から右端側が下がる方向を+(図9参照)、上がる方向を−(図11参照)とする。X−X線(二点鎖線)は水平方向を示す基準線、Z−Z線(二点鎖線)は鉛直方向を示す基準線である。また、本実施例では、偏心カム91の回転角θについて説明するが、偏心カム92も同様の動きをするので説明を省略する。
【0044】
なお、揺動角ψは、支持ユニット40を構成する各部分の寸法、回転軸70と揺動軸41との距離、揺動アーム51〜54の傾斜角度等によって変わる。従って、揺動角ψは、以下に示す具体的な値で限定されるものではなく、回転軸70の回転角θによって焼き網12が揺動する状態を示す指標として示すものである。
【0045】
まず、回転軸70の回転角θ=0°の場合、図8に示すように、偏心カム91のK点は最下部の位置にある。この状態では、回転軸70から揺動アーム51のローラ56までの距離と、回転軸70から揺動アーム52のローラ57までの距離とが同じである。つまり、揺動角ψ=0°であるので、焼き網12は水平状態である。
【0046】
次いで、図8の状態から回転軸70が時計回りに回転し始めると、偏心カム91のK点は、揺動アーム52側に徐々に近づく。よって、回転軸70から揺動アーム52のローラ57までの距離は徐々に増加する。ここで、回転軸70の位置は変わらないため、揺動アーム52のローラ57は、偏心カム91の周側面によって左側方に付勢される。一方、回転軸70から揺動アーム51のローラ56までの距離は徐々に減少する。よって、揺動アーム51のローラ56は、偏心カム91の周側面によって付勢されない。そして、焼き網12は揺動軸41を中心に軸支されているので、揺動アーム52のローラ57が左側方に付勢されると、揺動軸41を中心に左端側がせり上がると共に、右端側が下がる。なお、回転角θ=60°のときには、揺動角ψ=+8°となる。
【0047】
さらに、回転軸70が回転すると、回転軸70から揺動アーム52のローラ57までの距離はさらに増加する。そして、図9に示すように、回転角θ=95°のときには、回転軸70と、中心Pと、K点と、ローラ57とが一直線上に位置する。このとき、回転軸70からローラ57までの距離が最大となるので、焼き網12は揺動軸41を中心に左端側が最もせり上がり、最大揺動角ψ=+9°となる。
【0048】
その後、偏心カム91のK点が、揺動アーム52のローラ57を過ぎると、焼き網12の揺動方向は反転する。回転軸70から揺動アーム52のローラ57までの距離は徐々に減少し始め、回転軸70から揺動アーム51のローラ56までの距離は徐々に増加し始める。このとき、揺動軸41を中心に、焼き網12の右端側がせり上がり、左端側が下がり始める。そして、回転角θ=150°のときには、揺動角ψ=+5°となる。
【0049】
図10に示すように、回転角θ=180°のときには、K点は真上に位置し、回転軸70から揺動アーム51のローラ56までの距離と、回転軸70から揺動アーム52のローラ57までの距離とが同じである。このとき、揺動角ψ=0°となるので、焼き網12は水平状態に戻る。
【0050】
次いで、図10の状態から回転軸70がさらに回転すると、K点は、揺動アーム51側に徐々に近づく。よって、回転軸70から揺動アーム52のローラ58までの距離は徐々に増加する。回転軸70の位置は変わらないため、揺動アーム51のローラ58は、偏心カム91の周側面によって右側方に付勢される。焼き網12は揺動軸41を中心に軸支されているので、揺動アーム51のローラ56が右側方に付勢されると、焼き網12は揺動軸41を中心に右端側がせり上がると共に、左端側が下がる。回転角θ=210°のときには、揺動角ψ=−4°となる。
【0051】
さらに、回転軸70から揺動アーム51のローラ56までの距離はさらに増加する。そして、図11に示すように、回転角θ=265°のときには、回転軸70と、中心Pと、K点と、ローラ56とが一直線上に位置する。このとき、回転軸70からローラ56までの距離が最大となるので、焼き網12は揺動軸41を中心に右端側が最もせり上がり、最大揺動角ψ=−9°となる。
【0052】
その後、偏心カム91のK点は、揺動アーム51のローラ56を過ぎるため、回転軸70から揺動アーム51のローラ56までの距離は徐々に減少する。一方、回転軸70から揺動アーム52のローラ57までの距離が徐々に増加する。よって、焼き網12の揺動方向は再度反転し、焼き網12の左端側がせり上がり、右端側が下がり始める。回転角θ=330°のときには、揺動角ψ=−5°となる。
【0053】
こうして、回転角θ=360°のときには、図8に示すように、K点は最下部に戻り、回転軸70から揺動アーム51のローラ56までの距離と、回転軸70から揺動アーム52のローラ57までの距離とが同じである。このとき、揺動角ψ=0°となるので、焼き網12は水平状態に戻る。
【0054】
ここで、上記した偏心カム91の偏心動作について、偏心カム91のK点と揺動アーム52の先端との距離が減少し、かつ揺動アーム52の先端部と回転軸70との距離が増加するにつれて、偏心カム91の周側面が揺動アーム52のローラ57を左側方に付勢する動作を「第1偏心動作」とし、偏心カム91のK点と揺動アーム53の先端との距離が減少し、かつ揺動アーム51の先端部と回転軸70との距離が増加するにつれて、偏心カム91の周側面が揺動アーム51のローラ56を左側方に付勢する動作を「第2偏心動作」とした場合、偏心カム91が第1偏心動作と第2偏心動作とを交互に繰り返すことによって、焼き網12が連続的に揺動する。
【0055】
このように、「両面焼きモード」で加熱している間は、図12に示すように、焼き網12の揺動角ψは、回転軸70の回転角θに伴って、−9°〜+9°の範囲内で増減を繰り返す。つまり、焼き網12は−9°〜+9°の範囲内で揺動するので、被調理物の裏表をムラなく焼くことができる。このように、モータ95の駆動軸150を一方向に回転させるだけで、焼き網12を揺動させることができるので、モータ95の回転方向を制御する必要がない。また、モータ95の動力を回転軸70に伝達するための構造がコンパクトであるので、テーブルコンロ1の狭い器具内にも設置することができる。さらに、モータ95の駆動軸150の回転力を、回転軸受け体101を介して回転軸70に良好に伝達できるので、焼き網12をスムーズに揺動させることができる。
【0056】
なお、グリル庫15内にて、焼き網12上の被調理物が焼き上がり、使用者によって操作スイッチ7が再度押下された場合は、グリルバーナ31,32が消火すると同時に、モータ95への電力供給が遮断されるので、焼き網12の揺動は停止する。
【0057】
以上説明において、図5に示すコイルバネ140が本発明の「付勢手段」に相当し、図6に示す嵌合片74,75が本発明の「嵌合部」に相当し、図5に示す凹部116が本発明の「溝部」に相当し、図5に示す回転軸受け体101が、本発明の「回転軸受け部」に相当する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態のテーブルコンロ1では、受け皿13がグリル庫15に対して出し入れ可能に設けられている。受け皿13には、焼き網12を揺動可能に支持する焼き網揺動支持機構35が設けられている。グリル庫15の奥側には、支持ユニット40の回転軸70を受けて、モータ95の動力を伝達するための回転軸受けユニット100が設けられている。回転軸受けユニット100は、モータ95の駆動軸150を内挿する略皿状の台座部材130と、駆動軸150の先端部に連結され、グリル庫15の前後方向に出退可能に支持された回転軸受け体101と、該回転軸受け体101と台座部材130との間に配設され、回転軸受け体101を前方に付勢するコイルバネ140とを備えている。使用者によって受け皿13がグリル庫15内に押し込まれると、回転軸70の後端軸79が、回転軸受け体101の導入部111の内側に取り込まれる。
【0059】
ここで、後端軸79が、回転軸受け体101の中心に対してずれている場合は、後端軸79は、テーパ部112の壁面に接触する。そして、受け皿13がグリル庫15内に押し込まれるにつれて、後端軸79がテーパ部112の壁面を摺動する。これにより、後端軸79は、回転軸受け体101の中心である収納部113に対して位置が自動的に補正されるので、回転軸受け体101に対する回転軸70の軸合わせが不要となる。回転軸70に設けられた嵌合片74,75と、回転軸受け体101の導入部111に設けられた4つの凹部116との位置が合わない場合、嵌合片74,75は、2つの凸部115の各先端面にそれぞれ当接する。
【0060】
次いで、操作スイッチ7が押下され、グリルバーナ31,32の点火と同時に、モータ95の駆動軸150が回転し、それに伴って回転軸受け体101が回転する。そして、嵌合片74,75の位置と、回転軸受け体101の凹部116の位置とが一致した場合、回転軸受け体101はコイルバネ140によって前方に付勢されて前方に一気に押し出される。このとき、回転軸受け体101の凹部116に対して回転軸70の嵌合片74,75が嵌合する。これにより、回転軸70は、回転軸受け体101を介して、モータ95の駆動軸150と連結するので、駆動軸150の回転に伴って一方向に回転する。そして、回転軸70が回転することによって、焼き網揺動支持機構35が駆動し、焼き網12を揺動させることができる。このように、回転軸70の位相と、回転軸受け体101の位相とが合わない状態で、受け皿13がグリル庫15内に押し込まれた場合でも、回転軸受け体101が回転することによって、嵌合片74,75と、凹部116,116との位置合わせが自動的に行われ、コイルバネ140によって、これらを嵌合させることができる。よって、回転軸受け体101に対する回転軸70の面倒な軸合わせが不要となるので、グリルの取り扱いを便利にすることができる。
【0061】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、偏心カム91,92を利用することで、モータ95の駆動軸150を一方向に回転させて焼き網12を揺動させているが、例えば、ステッピングモータを用いて駆動軸150を正逆方向に回転させることで、焼き網12を揺動させるようにしてもよい。
【0062】
そこで、モータ95の駆動軸150の回転方向を正逆方向に制御して焼き網12を揺動させる焼き網揺動支持機構について、図13を参照して簡単に説明する。なお、上記実施形態と同じ構造部分については、上記実施形態と同じ符号を用いて説明する。図13に示すように、グリル庫50に収納された受け皿13の前端部には、正面視三角形状の支持片181が固定され、後端部にも同形状の支持片182が固定されている。支持片181,182の上方に向けられた各頂点には、略U字状の軸受け溝87(支持片182の溝は図示外)が各々設けられている。
【0063】
支持片181,182の各軸受け溝87に、焼き網12に固定された回転軸170の一端と他端とが載置されて、焼き網12は揺動可能に軸支された状態となっている。そして、図示しないが、回転軸170の後端側には、上記実施形態と同様の連結部(図6に示す回転軸70の連結部73)が設けられている。グリル庫50の奥側には、上記実施形態と同じ回転軸受けユニット100が設けられている。回転軸受けユニット100のモータ95は、周知のステッピングモータとする。モータ95の制御は、例えば、図示外の制御部に設けられたCPUによって行う。
【0064】
このような構造において、受け皿13の支持片181,182に、焼き網12を揺動可能に支持した状態で、グリル庫50内に押し込む。すると、焼き網12の回転軸170の後端部が、回転軸受けユニット100の回転軸受け体101の導入部111内に取り込まれ、上記実施形態と同様に収納される。次いで、モータ95の駆動軸150が一方向に回転すると、回転軸受け体101が一方向に回転し始め、回転軸受け体101の凹部116(図5参照)に対して、焼き網12の回転軸170に設けられた連結部の嵌合片(図示外)が嵌合する。こうして、回転軸受け体101と共に回転軸170が一方向に回転し、焼き網12が一端側に傾いて揺動する。
【0065】
次いで、モータ95の駆動軸150を所定角まで回転したら回転を止めて、続いて逆方向に同様に回転させる。これにより、回転軸受け体101も逆方向に回転し始め、一端側に傾いた焼き網12は他端側に傾いて揺動する。従って、モータ95の駆動軸150を正逆方向に回転させることによって、焼き網12を揺動させることができる。このような焼き網揺動支持機構においても、回転軸受けユニット100をグリル庫50内に設けることによって、焼き網12の回転軸170の軸合わせを容易にできる。
【0066】
ところで、上記実施形態では、回転軸70の連結部73を構成する嵌合片を一対設けたが、1つでもよく、好ましくは複数がよい。嵌合片を複数設けることで、回転軸70と回転軸受け体101とを強固に連結できる。また、嵌合片を複数設ける場合は、回転軸70の中心に対して回転対称の位置に設けるのがよい。これにより、回転軸70を回転させることによって、何れかの嵌合片を、回転軸受け体101の凹部116に嵌合させることができる。
【0067】
また、上記実施形態では、モード切り替えスイッチ11が「両面焼きモード」に設定され、かつ操作スイッチ7が押下された場合に、グリルバーナ31,32の点火と同時に、電池からモータ95に電力が供給されて焼き網12が揺動し、再度操作スイッチ7が押下された場合に、グリルバーナ31,32の消火と同時に、電池からモータ95への電力供給を遮断して焼き網12の揺動を停止する。これに対し、タイマー機能を備えたグリルでは、タイマー機能が設定された場合に、タイマーが所定時間で切れてグリルバーナ31,32が消火するのと同時に、電池からモータ95への電力供給を遮断して焼き網12の揺動を停止するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、回転軸70の回転力を支持枠42の揺動運動に変換するために偏心カムを用いたが、カム形状はこれに限定されず、回転中心から周側面までの距離が不均一であればよい。
【0069】
また、上記実施形態では、回転軸70に2枚の偏心カム91,92を設けているが、1枚でもよく、好ましくは複数設けるのがよい。偏心カムを複数設けることで、支持枠42をバランスよく揺動させることができる。複数設ける場合は、各カムの位相を揃えなければならない。
【0070】
また、上記実施形態では、回転軸70に一対の嵌合片74,75を設けているが、1つでもよく、好ましくは複数設けるのがよい。複数設ける場合は、回転軸70の中心に対して回転対称に設けるのがよい。
【符号の説明】
【0071】
1 テーブルコンロ
12,120 焼き網
13 受け皿
15,50 グリル庫
31,32 グリルバーナ
35 焼き網揺動支持機構
70,170 回転軸
74,75 嵌合片
79 後端軸
95,195 モータ
100 回転軸受けユニット
101 回転軸受け体
111 導入部
112 テーパ部
113 収納部
115 凸部
116 凹部
140 コイルバネ
150 駆動軸
151,152 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開口されたグリル庫と、
前記グリル庫の左右の各内側面に設けられるグリルバーナと、
前記グリル庫内に収納される焼き網と、
当該焼き網の下方に設けられるグリル皿と、
当該グリル皿の上方で前記焼き網を揺動させる揺動機構と、
前記開口に設けられると共に、前記グリル皿に連結されて前記グリル皿及び前記焼き網を前記グリル庫に対して出し入れする把持手段と
を備え、
前記グリルバーナにより、前記焼き網上に載置された被調理物を加熱調理するグリル付き加熱調理器において、
前記揺動機構は、前記焼き網を前記グリル庫内で揺動させる回転軸を備え、
前記グリル庫の奥側に、前記グリル庫の前後方向に進退自在に設けられ、前記焼き網が前記グリル庫内に収納された場合に、前記回転軸の一端側に設けられた嵌合部と嵌合して、前記回転軸と一体に回転する回転軸受け部と、
当該回転軸受け部を正方向又は正逆方向に回転させるモータと、
前記回転軸受け部を前記グリル庫の前方に向けて付勢する付勢手段と
を備えたことを特徴とするグリル付き加熱調理器。
【請求項2】
前記嵌合部は、前記回転軸の径方向に突出して設けられ、
前記回転軸受け部は、前記嵌合部が嵌合する溝部を備えることを特徴とする請求項1に記載のグリル付き加熱調理器。
【請求項3】
前記嵌合部は複数であり、かつ前記回転軸の中心に対して回転対称に設けられ、
前記溝部は、前記回転軸受け部において、前記複数の嵌合部に対応する位置にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項2に記載のグリル付き加熱調理器。
【請求項4】
前記溝部は、前記回転軸受け部において、前記複数の嵌合部に対応する位置と、当該位置から周方向にずれた位置とに少なくとも設けられたことを特徴とする請求項3に記載のグリル付き加熱調理器。
【請求項5】
前記回転軸の前記一端には、前記回転軸の中心から軸方向に突出する後端軸が設けられ、
前記回転軸受け部には、前記後端軸を奥側に収納する収納部が設けられ、
当該収納部の内側には、前記グリル庫の後方に向かって先細りの円錐状に形成され、前記後端軸を前記回転軸受け部の中心にガイドするガイド部が設けられたことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のグリル付き加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−229645(P2011−229645A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101912(P2010−101912)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000112015)株式会社パロマ (298)
【Fターム(参考)】