説明

グルクロノラクトン含有固形製剤

【課題】経時変化による変色を防止できる、グルクロノラクトン含有固形製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】グルクロノラクトンと、多孔性粒子とを含有することよりなる。前記多孔性粒子は、二酸化ケイ酸、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは軽質酸化アルミニウムから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグルクロノラクトン含有固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活の中で、「疲れた」「だるい」等肉体疲労を感じる原因の一つは、体内に有害物質や老廃物が蓄積されるためである。肝臓にはこの有害物質や老廃物を分解し、体外へ排出するための代謝・解毒作用があり、必要な栄養分を補給して早く疲労を改善することが、毎日の健康を維持するためには大切である。肝臓に作用し、代謝機能を整え、滋養強壮効果の高い成分に、グルクロノラクトンがある。
前記グルクロノラクトンを含有する錠剤または顆粒剤の多くが、経時変化により変色することが知られている。このような変色の発生は、グルクロノラクトンの効能・効果には影響はしないものの、商品イメージやコンプライアンスを低下させる原因となる。そのため、変色防止の対策が望まれ、種々の製剤的な工夫がされている。中でも変色等による不快な外観を呈する薬物を錠剤または顆粒剤とする場合、この錠剤または顆粒剤に顔料等の隠蔽剤を含むフィルムコーティングや糖衣を施す等の被覆層を設けることがしばしば行われている。一般には、水と共に服用する錠剤の変色防止には、前記のコーティングによる手段が広く用いられている。
例えば前記被覆層にポリビニルアルコールを含有させて、イブプロフェン錠剤の変色を防止する方法が報告されている(例えば、特許文献1)。
また、特定の物質を添加し錠剤等の変色を防止する方法も報告されている(例えば、特許文献2、3)。
【特許文献1】特開2002−316928号公報
【特許文献2】特開平9−3348号公報
【特許文献3】国際公開第01/089573号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、チュアブル錠や口腔内崩壊錠のように口中で速やかに崩壊または溶解させる場合には、錠剤等に被覆層を設けることができず、直ちに特許文献1の技術を用いることができない。また、既存の手法ではグルクロノラクトンの変色を効果的に防止することができない。
本発明は、経時変化による変色を防止できる、グルクロノラクトン含有固形製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述のように、グルクロノラクトンを含有するチュアブル錠や口腔内崩壊剤とするには経時変化による変色が大きな問題となる。
そこで、上記状況を鑑みて検討した結果、グルクロノラクトン含有固形製剤の経時変化による変色は、水分の吸湿に起因するとの推測に至った。前記推定に基づきグルクロノラクトン含有固形製剤の変色防止について検討を重ねた結果、グルクロノラクトン含有固形製剤が、組成中に多孔性粒子を含有することによって、グルクロノラクトンの変色が特異的に防止されることを見い出し、本発明に至った。
【0005】
本発明の固形製剤は、グルクロノラクトンと、多孔性粒子とを含有することを特徴とし、前記多孔性粒子が、二酸化ケイ酸、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは軽質酸化アルミニウムから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。本発明の固形製剤は、前記グルクロノラクトンは、造粒粒子として前記固形製剤に含有されていることが好ましく、本発明の固形製剤は、チュアブル錠または口腔内崩壊錠であることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、経時変化による変色を防止できる、グルクロノラクトン含有固形製剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(固形製剤)
本発明における固形製剤は、グルクロノラクトンと多孔性粒子とを含有する。なお、本明細書において「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
<グルクロノラクトン>
本発明におけるグルクロノラクトンは特に限定されることはないが、純度が低いと、期待する効能を得るために多量の摂取が必要となる。したがって、高い純度のグルクロノラクトンであることが望ましい。このような製剤として、住友化学株式会社製のグルクロノラクトンが挙げられる。
グルクロノラクトンの固形製剤における含有量は特に限定されないが、含有量が少なすぎると、固形製剤としての用量が多大となる。グルクロノラクトンの用法・用量は通常成人において、1回0.3〜1gを1日3回の経口投与である。したがって、1回の経口投与の粒数と、前記用量を鑑みてグルクロノラクトンの含有量を決定することが好ましい。一般的には10〜95%が好ましく、20〜90%がより好ましく、30〜80%がさらに好ましい。
【0008】
<多孔性粒子>
多孔性粒子としては、多孔性無機粒子が好ましく使用される。中でもケイ酸またはケイ酸塩が特に好ましい。具体的には、二酸化ケイ酸、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは軽質酸化アルミニウム等を挙げることができる。この内、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが特に好ましい。
多孔質粒子の配合量は特に限定されることはないが、錠剤の固形分質量に対して0.1%未満であると変色防止の効果が得られにくく、50%を超えると錠剤強度が低下して製造時に錠剤が崩れるおそれがある。従って、多孔質粒子の配合量は錠剤の固形分質量に対して、0.1〜50%であることが好ましく、0.5〜25%がより好ましく、2.5〜20%が更に好ましい。
【0009】
<結合剤>
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと記載する)、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、部分α化デンプン等が挙げられるが、HPCが好ましい。
結合剤の配合量は特に規定されることはないが、グルクロノラクトンに対する結合剤の配合量が1%未満であると、充分な結合力が得られず錠剤の物性が確保できない。一方、15%を超えると結合力が強くなりすぎ、崩壊時間の延長等の悪影響がある。したがって、グルクロノラクトンに対する結合剤の配合量は、1〜15%であり、好ましく1〜12%、更に好ましくは2〜10%である。
【0010】
<崩壊剤>
崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。それぞれの中で1種または2種以上を組み合わせても良い。これらの崩壊剤の中で、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムが崩壊性の観点から好ましく、最も好ましいのはクロスポビドンである。
崩壊剤の配合量は特に限定されることはなく、口腔内での崩壊性、崩壊時の舌触り等を考慮して決定することができる。固形製剤中、0.5〜40%、好ましくは1〜30%、さらに好ましくは3〜20%である。
【0011】
<賦形剤>
賦形剤としては、コーンスターチ、マンニトール、バレイショデンプン、コムギデンプン、乳糖、白糖等が挙げられる。賦形剤の配合量は特に限定されることはないが、配合量が多すぎると得られる固形製剤の大型化および服用量の増大、コスト増大につながる。従って、固形製剤中の配合量は0〜50%が好ましく、1〜45%がより好ましく、3〜40%がさらに好ましい。
<その他任意成分>
本発明の固形製剤には、上記の他、本発明を損なわない範囲で、他の任意成分(例えば、甘味剤、酸味剤、滑沢剤、香味剤、ビタミン類等)を配合することができる。
甘味剤としては、サッカリンおよびその誘導体、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、グリチルリチン酸等が挙げられ、この内の1種でも、2種以上を併用しても良い。
酸味剤としては、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸等の有機酸およびその塩が挙げられ、この内の1種でも、2種以上を併用しても良い。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸等が挙げられる。
香味剤としては、メントール、カンフル、ボルネオール、リモネン等のモノテルペン類、それらを含有する精油があげられ、好ましくは、メントール(精油としてはハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油等)、リモネン(オレンジ油等)である。
ビタミン類としては、特に限定されることなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ビタミンA、硝酸チアミン等のビタミンB1、リン酸リボフラビン等のビタミンB2、ニコチン酸アミド等のビタミンB3、塩酸ピリドキシン等のビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、アスコルビン酸等のビタミンC、パントテン酸カルシウム等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0012】
(固形製剤の製造方法)
本発明の固形製剤は、粒剤、錠剤、口腔内崩壊錠またはチュアブル錠の形態で製造される。以下、粒剤、錠剤、口腔内崩壊錠、チュアブル錠の製造方法について、順次説明する。
<粒剤>
本発明の粒剤は、グルクロノラクトンと多孔性粒子を含有して造粒することにより製造する。
本発明の粒剤の造粒方法は特に限定されることなく、既存の造粒方法から選択することができる。造粒方法としては、グルクロノラクトンに、必要に応じて賦形剤や結合剤等を混合した後、さらに多孔性粒子等を添加して混合し、これらの混合物を圧縮し造粒する乾式圧縮法が挙げられる。また、グルクロノラクトンと多孔性粒子とを、結合剤を含む水性液を用いて造粒した後、必要に応じて賦形剤等を添加して造粒を行う湿式造粒法(高速攪拌造粒法、押し出し造粒法、流動層造粒法)等が挙げられる。この中でも、グルクロノラクトンに均一に結合剤を噴霧できる利点から、湿式造粒法、特に流動層造粒法が好ましい。
前記造粒装置は特に限定されることはなく、既存の設備を用いることができる。例えば、流動層造粒装置、攪拌造粒装置、容器回転型造粒装置等を挙げることができる。具体的には、流動層造粒装置としてマルチプレックス(製品名、株式会社パウレック製)、スパイラルフロー(製品名、フロイント産業株式会社製)等、攪拌造粒装置としてハイスピードミキサー(製品名、深江パウテック株式会社製)や高速撹拌造粒機(株式会社ダルトン製)等が挙げられる。
造粒により得られた粒剤の粒子径は、特に限定されることはなく、用途と目的に応じて決定されることが好ましい。
また、本発明の粒剤である経口用固形製剤には、本発明を損なわない範囲で、前記任意成分の中から選択された成分を添加して造粒することができる。
【0013】
<錠剤>
本発明の錠剤は、グルクロノラクトンと多孔性粒子を混合し、これを成型することにより製造する。
本発明の錠剤の製造方法は特に限定されず、既存の製造方法を用いることができる。例えば、グルクロノラクトンと多孔性粒子と前記任意成分等を混合し、打錠成型機で任意の形状に成型する方法が挙げられる。また、グルクロノラクトンに結合剤を含む水性液を噴霧しながら造粒した後に、多孔性粒子と前記任意成分等を混合し、打錠成型機で任意の形状に成型することもできる。また、グルクロノラクトンと多孔性粒子に、結合剤を含む水性液を噴霧しながら造粒した後に、他の任意成分等と混合して打錠成型機で任意の形状に成型することもできる。この内、錠剤の強度を保つ観点から、グルクロノラクトンを造粒し、あるいはグルクロノラクトンと多孔性粒子を造粒して得られた造粒粒子に、必要に応じて任意成分を混合した後に打錠成型することが好ましい。
成型方法は特に限定されないが、例えば、リブラ(製品名、株式会社菊水製作所製)、L−41型(製品名、株式会社畑鐵工所製)等のロータリー式の打錠成型機等を用いて打錠することにより成型することができる。
錠剤の寸法や形状は特に限定されず、グルクロノラクトンの含有量と用量を勘案して決定することができる。
【0014】
<チュアブル錠、口腔内崩壊錠>
本発明のチュアブル錠、口腔内崩壊錠は、グルクロノラクトンと多孔性粒子を混合し、これを成型することにより製造する。
本発明のチュアブル錠、口腔内崩壊錠の製造方法は特に限定されず、既存の製造方法を用いることができる。例えば、グルクロノラクトンと多孔性粒子と前記崩壊剤・結合剤と前記任意成分を混合して、打錠成型機で任意の形状に成型する方法が挙げられる。また、グルクロノラクトンに結合剤を含む水性液を噴霧しながら造粒した後に、多孔性粒子と前記任意成分等を混合し、打錠成型機で任意の形状に成型することもできる。また、グルクロノラクトンと多孔性粒子に、結合剤を含む水性液を噴霧しながら造粒した後に、他の任意成分等と混合して打錠成型機で任意の形状に成型することもできる。この内、錠剤の強度を保つ観点から、グルクロノラクトンを造粒し、あるいはグルクロノラクトンと多孔性粒子を造粒して得られた造粒粒子に、必要に応じて任意成分を混合した後に打錠成型することが好ましい。
成型方法は特に限定されず、前記錠剤と同様の成型機を用いることができる。
チュアブル錠、口腔内崩壊錠の寸法や形状は特に限定されず、グルクロノラクトンの含有量と用量および口腔内での崩壊速度等を勘案して決定することができる。
【0015】
本発明の固形製剤は、多孔性粒子を含有することにより、グルクロノラクトンの水分の吸湿による変色を防止することができる。そして、経時変化による変色を防止した、グルクロノラクトン含有固形製剤を得ることができる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
【0017】
(評価方法)
経時変化による固形製剤の変色について、下記の外観評価ならびに色彩値により、変色防止の評価を行った。
<外観評価>
後述する実施例1〜8、比較例1〜5、試験例1〜3で得られた錠剤、および口腔内崩壊錠、それぞれガラス瓶(直径36mm、高さ68mm)にヘッドスペース約20%となるように入れ、金属製キャップをした。その後、40℃、相対湿度75%の条件下において6ヶ月間保存し、2ヶ月毎に錠剤および口腔内崩壊錠の変色の程度を目視にて、下記の評価基準に従い評価した。
変色は殆ど見られない・・・・・・・・○
わずかに変色が見られる・・・・・・・△
褐色または暗褐色に変色している・・・×
【0018】
<色彩値の測定>
後述する実施例1〜8、比較例1〜5で得られた錠剤、および口腔内崩壊錠を、それぞれガラス瓶(直径36mm、高さ68mm)にヘッドスペース約20%となるように入れ、金属製キャップをした。その後、40℃、相対湿度75%の条件下において6ヶ月間保存し、2ヶ月毎に錠剤および口腔内崩壊剤を取り出して色彩値(SCE)を測定した。
色彩値の測定には、分光測色計(CM−2002、コニカミノルタセンシング株式会社製、測定条件:10−視野、D65光源、測定径8mm)を用い、L*a*b*表色系における色彩値を測定した。
【0019】
(グルクロノラクトン顆粒の製造例1)
グルクロノラクトン(住友化学株式会社製)4000gを流動層造粒装置(FLO−5、フロイント産業株式会社)に投入した。投入したグルクロノラクトンを流動させながら、HPC(HPC−L、日本曹達株式会社製)160gを6%HPC水溶液として噴霧しつつ造粒を行った。得られた造粒物を目開き1000μmのメッシュにて篩分けをし、通過分をグルクロノラクトン顆粒1として得た。
【0020】
(グルクロノラクトン顆粒の製造例2)
グルクロノラクトン2000gと、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリンUS、富士化学工業株式会社製)200gとを高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサーFS−100、深江パウテック株式会社製)に投入した。投入した各組成物を流動させながら、HPC80gを1.7%HPC水溶液として滴下しつつ造粒(主翼回転数200rpm、解砕翼回転数1000rpm)を行った。得られた造粒物を流動層乾燥機(FLO−5、フロイント産業株式会社製)にて60℃まで昇温後、整粒機(オシレーターOG−1、株式会社菊水製作所製)で500μmのメッシュにて整粒して、グルクロノラクトン顆粒2を得た。
【0021】
(グルクロノラクトン顆粒の製造例3)
グルクロノラクトン2000gと、軽質無水ケイ酸(サイリシア310P、富士シリシア化学株式会社製)200gとを高速攪拌造粒機に投入した。投入した各組成物を流動させながら、HPC80gを1.7%HPC水溶液として、流動層造粒装置内に滴下しつつ造粒(主翼回転数200rpm、解砕翼回転数1000rpm)を行った。得られた造粒物を流動層乾燥機にて60℃まで昇温後、整粒機で500μmのメッシュにて整粒して、グルクロノラクトン顆粒3を得た。
【0022】
任意成分を造粒した造粒粒子を副剤顆粒と呼び、以下の方法により製造した。
(副剤顆粒の製造例1)
チアミン硝化物(チアミン硝化物、DSMニュートリションジャパン株式会社製)250g、ピリドキシン塩酸塩(ピリドキシン塩酸塩、DSMニュートリションジャパン株式会社製)100g、コーンスターチ(精製乾燥殺菌コーンスターチ、松谷化学工業株式会社製)35gを流動層造粒装置(GPCG−MP01、株式会社パウレック製)に投入した。投入した各組成物を流動させながら、HPC15gを6%HPC水溶液として、流動層造粒装置内に滴下しつつ造粒を行った。得られた造粒物を1000μmのメッシュにて篩分けし、通過分を副剤顆粒1として得た。
【0023】
(副剤顆粒の製造例2)
チアミン硝化物250g、ピリドキシン塩酸塩100g、リボフラビン(リボフラビン、DSMニュートリションジャパン株式会社製)100g、コーンスターチ45gを流動層造粒装置(GPCG−MP01、株式会社パウレック製)に投入した。投入した各組成物を流動させながら、HPC20gを6%HPC水溶液として、流動層造粒装置内に滴下しつつ造粒を行った。得られた造粒物を1000μmメッシュにて篩分けし、通過分を副剤顆粒2として得た。
【0024】
(副剤顆粒の製造例3)
ベンフォチアミン(ベンフォチアミン、田辺製薬株式会社製)250g、リボフラビン100g、ピリドキシン塩酸塩100g、コーンスターチ45gを流動層造粒装置(GPCG−MP01、株式会社パウレック製)に投入した。投入した各組成物を流動させながら、HPC20gを6%HPC水溶液として流動層造粒装置内に滴下しつつ造粒を行った。得られた造粒物を1000μmメッシュにて篩分けし、通過分を副剤顆粒3として得た。
【0025】
(副剤顆粒の製造例4)
アスコルビン酸(アスコルビン酸、BASFジャパン株式会社製)2000g、L−システイン(L−システイン、味の素株式会社製)160g、酢酸d−α−トコフェロール(酢酸d−α−トコフェロール50P、AI50%品、エーザイ株式会社製)200g、ピリドキシン塩酸塩50g、パントテン酸カルシウム(D−パントテン酸カルシウム、DSMニュートリションジャパン株式会社製)30g、コーンスターチ244gを流動層造粒装置(GPCG−MP01、株式会社パウレック製)に投入した。投入した各組成物を流動させながら、HPC106gを6%HPC水溶液として流動層造粒装置内に滴下しつつ造粒を行った。得られた造粒物を1000μmメッシュにて篩分けし、通過分を副剤顆粒4として得た。
【0026】
(副剤顆粒の製造例5)
L−システイン160g、リボフラビン30g、ピリドキシン塩酸塩100g、ヨクイニンエキス(ヨクイニン乾燥エキス粉末、日本粉末薬品株式会社製)77g、コーンスターチ37gを流動層造粒装置(GPCG−MP01、株式会社パウレック製)に投入した。投入した各組成物を流動させながら、HPC16gを6%HPC水溶液として流動層造粒装置内に滴下しつつ造粒を行った。得られた造粒物を1000μmメッシュにて篩分けし、通過分を副剤顆粒5として得た。
【0027】
(実施例1)
前記グルクロノラクトン顆粒1を1040g、前記副剤顆粒1を41.5g、無水カフェイン(無水カフェイン、株式会社静岡カフェイン工業所製)50g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム100g、結晶セルロース(セオラスPH−302、旭化成ケミカルズ株式会社製)369g、カルメロース(NIS−300、五徳薬品株式会社製)80gをV型混合機(V−5型、株式会社徳寿製作所製)に投入し、10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方ステアリン酸マグネシウム(軽質)、太平化学産業株式会社製)6.7gを加えて5分間混合して混合物を得た。得られた混合物を、打錠成型機(クリンプレスコレクト12HUK、株式会社菊水製作所製)にて打錠し、直径8mmの2段R型の錠剤を得た。
得られた錠剤について外観評価と色彩値の測定を行い、その結果を表1に示す。
【0028】
(比較例1)
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを添加せずに、実施例1と同様にして直径8mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について外観評価と色彩値の測定を行い、結果を表1に示す。
【0029】
(実施例2)
前記グルクロノラクトン顆粒1を1040g、前記副剤顆粒2を52g、無水カフェイン50g、軽質無水ケイ酸100g、結晶セルロース372g、カルメロース81gをV型混合機に投入し、10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム6.8gを加えて5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を、打錠成型機にて打錠し、直径8mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について、外観評価と色彩値の測定を行い、その結果を表1に示す。
【0030】
(比較例2)
軽質無水ケイ酸を添加せずに、実施例2と同様にして直径8mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について外観評価と色彩値の測定を行い、結果を表1に示す。
【0031】
(実施例3)
前記グルクロノラクトン顆粒1を1040g、前記副剤顆粒3を51.5g、無水カフェイン50g、サッカリン(大東化学株式会社製)6g、アセスルファムカリウム(サネット、ニュートリノヴァ・ジャパン株式会社製)50g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム200g、クロスポビドン(クロスポビドンXL、ISP Technologies,Inc.製)250g、マンニトール(マンニットP、東和化成株式会社製)100gをV型混合機に投入し、10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム7.4gを加えて5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を、打錠成型機にて打錠し、直径20mmの穴あき口腔内崩壊錠を得た。得られた穴あき口腔内崩壊錠について、外観評価と色彩値の測定を行い、その結果を表1に示す。
【0032】
(比較例3)
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを添加せずに、実施例3と同様にして穴あき口腔内崩壊錠を得た。得られた穴あき口腔内崩壊錠について外観評価と色彩値の測定を行い、結果を表1に示す。
【0033】
(実施例4)
前記グルクロノラクトン顆粒2を1140g、前記副剤顆粒1を40g、無水カフェイン50g、結晶セルロース369g、カルメロース80gをV型混合機に投入し、10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム6.7gを加えて5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を、打錠成型機にて打錠し、直径8mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について、外観評価と色彩値の測定を行い、その結果を表2に示す。
【0034】
(実施例5)
前記グルクロノラクトン顆粒3を1140g、前記副剤顆粒2を52g、無水カフェイン50g、結晶セルロース372g、カルメロース81gをV型混合機に投入し、10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム6.8gを加えて5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を、打錠成型機にて打錠し、直径8mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について、外観評価と色彩値の測定を行い、その結果を表2に示す。
【0035】
(実施例6)
前記グルクロノラクトン顆粒2を1140g、前記副剤顆粒3を51.5g、無水カフェイン50g、サッカリン6g、アセスルファムカリウム50g、マンニトール100g、酒石酸(L−酒石酸、扶桑化学工業株式会社製)100g、クロスポビドン250gをV型混合機に投入し、10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム7.4gを加えて5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を、打錠成型機にて打錠し、直径20mmの穴あき口腔内崩壊錠を得た。得られた穴あき口腔内崩壊錠について、外観評価と色彩値の測定を行い、その結果を表2に示す。
【0036】
(実施例7)
前記グルクロノラクトン顆粒1を1040g、前記副剤顆粒4を2790g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム200g、結晶セルロース1209g、カルメロース262gをV型混合機に投入し、10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム22gを加えて5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を、打錠成型機にて打錠し、直径8mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について、外観評価と色彩値の測定を行い、その結果を表2に示す。
【0037】
(比較例4)
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを添加せずに、実施例7と同様にして口腔内崩壊錠を得た。得られた錠剤について外観評価と色彩値の測定を行い、結果を表2に示す。
【0038】
(実施例8)
前記グルクロノラクトン顆粒1を1040g、前記副剤顆粒5を420g、軽質無水ケイ酸100g、結晶セルロース468g、カルメロース101gをV型混合機に投入し、10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム8.5gを加えて5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を、打錠成型機にて打錠し、直径9mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について、外観評価と色彩値の測定を行い、その結果を表2に示す。
【0039】
(比較例5)
軽質無水ケイ酸を添加せずに、実施例8と同様にして直径9mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について、外観評価と色彩値の測定を行い、その結果を表2に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
表1の結果から、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、あるいは軽質無水ケイ酸を添加した実施例1〜3では、いずれの錠剤も6ヶ月間の保存ではL*値の変化も小さく、殆ど変色が見られなかった。これに対し、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、あるいは軽質無水ケイ酸を添加しない比較例1〜3では、保存開始2ヵ月後には変色が見られ、4ヵ月後には比較例1〜3全てが褐色あるいは暗褐色に変色していた。加えて、L*値の変化も大きいものであった。
また、実施例4〜6のように、グルクロノラクトンとメタケイ酸アルミン酸マグネシウムあるいは軽質無水ケイ酸とを予め造粒した後に、他の組成物と混合して打錠成型した場合でも、6ヶ月間の保存において殆ど変色が見られないことがわかった。
グルクロノラクトン含量の少ない実施例7、8においても、6ヶ月間の保存において殆ど変色が見られないことがわかった。一方、比較例4、5は、実施例7、8に比べてL*値の変化が大きく、保存開始2ヵ月後から変色が認められた。
実施例3、6の結果から、グルクロノラクトンに甘味剤や崩壊剤を添加して打錠し、口腔内崩壊錠とした場合でも、6ヶ月間の保存では殆ど変色が見られないことがわかった。
【0043】
(試験例1)
グルクロノラクトン顆粒の製造例1で調製したグルクロノラクトン顆粒1、および副剤顆粒の製造例1で調製した副剤顆粒1を用い、表3の組成に従って配合し、V型混合機にて10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを表3に従って加えて5分間混合し、直径9mmの2段R型の錠剤を得た。得られた混合物を打錠成型機にて打錠し、錠剤を得た。得られた錠剤について、外観評価を行った。外観評価の結果を表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
表3の結果から、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを添加した試験例1−2〜1−5のいずれにおいても、6ヶ月間にわたって錠剤の変色を防止できることがわかった。
【0046】
(試験例2)
グルクロノラクトン顆粒の製造例1で調製したグルクロノラクトン顆粒1、副剤顆粒の製造例2で調製した副剤顆粒2を用い、表4の組成に従って配合し、V型混合機にて10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを表4に従って加えて5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を打錠成型機にて打錠し、直径9mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について、外観評価を行った。外観評価の結果を表4に示す。
【0047】
【表4】

【0048】
表4の結果から、軽質無水ケイ酸を添加した試験例2−2〜2−5のいずれにおいても、6ヶ月間にわたって錠剤の変色を防止できることがわかった。
【0049】
(試験例3)
グルクロノラクトン顆粒の製造例1で調製したグルクロノラクトン顆粒1、副剤顆粒の製造例3で調製した副剤顆粒3を用い、表5の組成に従って配合し、V型混合機にて10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを表5に従って加えて5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を打錠成型機にて打錠し、直径9mmの2段R型の錠剤を得た。得られた錠剤について、外観評価を行った。外観評価の結果を表5に示す。
【0050】
【表5】

【0051】
表5の結果から、グルクロノラクトン1000gに対してケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、またはケイ酸アルミニウムを200g添加することで、6ヶ月にわたって錠剤の変色を防止できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルクロノラクトンと、多孔性粒子とを含有することを特徴とする、固形製剤。
【請求項2】
前記多孔性粒子が、二酸化ケイ酸、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは軽質酸化アルミニウムから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の固形製剤。
【請求項3】
前記グルクロノラクトンは、造粒粒子として前記固形製剤に含有されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の固形製剤。
【請求項4】
チュアブル錠または口腔内崩壊錠であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形製剤。

【公開番号】特開2009−73778(P2009−73778A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245378(P2007−245378)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】