説明

グルコース分解産物のレベルが低下している透析溶液

生体適合性が増強された透析溶液が提供される。この透析溶液は、第1の酸性溶液および第2の酸性溶液を含み、これらの溶液は、混合されて、使用前に、グルコース分解産物のレベルが減少した使用準備のできた透析溶液を形成する。この第1の酸性溶液は、デキストロース濃縮液を含み、この第2の酸性溶液は、緩衝物質濃縮液(例えば、ラクテートベースの緩衝物質)を含む。この第1の酸性溶液および第2の酸性溶液は、混合する前に別個に滅菌されて、使用準備のできた透析溶液が形成され得る。この透析溶液は、種々の異なる適用(例えば、腹膜透析の間の患者への注入)において使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般的には、医療処置に関する。より具体的には、本発明は、透析療法のために使用される溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患、傷害、または他の原因に起因して、ヒトの腎系は、機能不全になり得る。あらゆる原因の腎不全において、いくつかの生理学的混乱が存在する。水分とミネラルとの平衡および毎日の代謝負荷の排出は、腎不全においては、もはや不可能である。腎不全の間に、窒素代謝の毒性最終産物(例えば、尿素、クレアチニン、尿酸など)が、血液および組織中に蓄積し得る。
【0003】
腎不全および腎機能低下は、透析によって処置されている。透析は、身体から老廃物、毒素、および過剰な水分を除去する。これらは、透析以外の方法では、正常に機能する腎臓によって除去されたはずである。腎機能の置換のための透析処置は、多くの人々にとって重要である。なぜなら、この処置は、救命処置であるからである。機能不全である腎臓を有するヒトは、少なくとも腎臓の濾過機能を置換することなしでは、生き続けられなかった。
【0004】
血液透析、血液濾過、および腹膜透析は、腎臓機能の喪失を処置するために一般的に使用される3つの型の透析治療である。血液透析処置は、患者の血液から直接、老廃物、毒素、および過剰な水分を除去する。患者は、血液透析機器に接続され、患者の血液が、この機器にポンプで送られる。例えば、針またはカテーテルが、患者の静脈および動脈に挿入され得、血流を血液透析機器に接続し、そして血液透析機器からの血液を接続する。血液透析機器において透析器を血圧が通過すると、この透析器は、患者の血液から老廃物、毒素および過剰な水分を除去し、その血液を、患者に注入して戻す。大量の透析物(例えば、約90l〜120l)が、ほとんどの血液透析機器によって使用されて、一回の血液透析治療の間に血液が透析される。その後、使われた透析物は廃棄される。血液透析処置は、数時間継続し、一般的には、1週間当たり約3回、処置センターにて実施される。
【0005】
血液濾過は、対流に基づく血液浄化技術である。血液へのアクセスは、静脈静脈アクセスまたは動脈静脈アクセスであり得る。血液フィルターを通って血液が流れると、血液区画と限外濾過物区画との間の膜内外圧力勾配によって、血漿水が、高透過性膜を通って濾過される。水が膜を越えると、この水は、膜を通して低分子および高分子を対流させ、それによって血液を浄化する。過剰量の血漿水が、濾過によって除去される。従って、身体の水分が平衡した状態を維持するために、流体は、静脈内注入された平衡化電解質溶液(置換流体)によって連続置換されなければならない。この置換流体は、血液フィルターに至る動脈血ラインへと注入され得る(プレ希釈)か、または血液フィルターから出発する静脈血ラインへと注入され得る。
【0006】
腹膜透析は、滅菌透析溶液または「透析物」を使用する。これらは、患者の腹腔に注入されて、患者の腹膜と接触する。老廃物、毒素、および過剰な水分が、患者の血流から、腹膜を通って透析物中へと至る。血流から透析物へと至る老廃物、毒素、および過剰な水分の移動は、dwell(滞留)期間の間の拡散および浸透に起因して生じる。なぜなら、透析物中に浸透物質が、腹膜を通る浸透圧勾配を生じるからである。使用された透析物は、後に、患者の腹腔から排出されて、患者から老廃物、毒素、および過剰な水分を除去する。
【0007】
種々の型の腹膜透析治療が存在し、これには、連続携行式腹膜灌流(「CAPD」)および自動腹膜透析が挙げられる。CAPDは、手動の透析処置であり、この場合、患者は、カテーテルを新鮮な透析物のバッグに接続して、手動で、新鮮な透析物をカテーテルまたは他の適切なアクセスデバイスを通して患者の腹腔へと注入する。この患者は、新鮮な透析物のバッグからカテーテルを外し、透析物が腹腔内に滞留(dwell)して、老廃物、毒素、および過剰な水分が患者の血流から透析物溶液へと移動するのを可能にする。滞留期間の後、患者は、使用した透析物を排出し、その後、この手動透析手順を反復する。この溶液のための「Y」字型コネクターと排出バッグとを備えるチューブセットが、利用可能であり、これは、患者が作製する接続の数を減少させ得る。このチューブセットは、予め取り付けられたバッグ(例えば、空のバッグおよび透析物を満たしたバッグを含む)を備え得る。
【0008】
CAPDにおいて、患者は、その日の間に数回の排出、充填、および滞留のサイクルを(例えば、1日あたり約4回)実施する。各処置サイクル(排出、充填、および滞留を含む)には、約4時間かかる。
【0009】
自動腹膜透析は、透析処置が排出、充填、および滞留のサイクルを含むという点で、連続携行式腹膜灌流と類似する。しかし、透析機器は、3回以上のサイクルの腹膜透析処置を、代表的には、患者が寝ている間に一晩かけて、自動的に実施する。
【0010】
自動腹膜透析の場合、自動透析機器は、移植されたカテーテルに流体接続する。この自動透析機器はまた、新鮮な透析物の供給源またはバッグに、および流体排出管に流体接続する。この透析機器は、使用済み透析物を、腹腔から、カテーテルを通して、排出管へと、ポンプ供給する。その後、この透析機器は、新鮮な透析物を、透析物供給源から、カテーテルを通して、患者の腹腔中へとポンプ供給する。この自動機器によって、透析物が腹腔内に滞留して、患者の血流から透析物溶液への老廃物、毒素および過剰な水分の移動が、生じ得る。コンピューターは、この自動透析機器を制御し、その結果、患者が透析機器に、例えば、患者寝ている間に接続された場合に、透析物処置が自動的に生じる。すなわち、この透析系は、流体を腹腔中へと自動的かつ連続的にポンプ供給し、滞留を可能にし、流体を腹腔から外へとポンプ排出し、そしてこの手順を反復する。
【0011】
数回の排出、充填、および滞留のサイクルが、この処置の間に生じる。また、最終容量「最終充填」が、代表的には、自動透析処置の最後に使用され、これは、患者が透析機器から離れた場合に、その日の間、その患者の腹腔中に残る。自動腹膜透析は、患者が、その日の間に排出、滞留および充填の工程を手動で実施する必要をなくす。
【0012】
一般に、標準的な腹膜透析溶液は、1.5重量%〜4.25重量%の濃度のデキストロースを含んで、腹膜を通る水分および代謝老廃物の輸送をもたらす。デキストロースは、一般的には、特に短期間の滞留(dwell)交換のためには、安全かつ効果的な浸透剤として認識されている。デキストロースベースの腹膜透析溶液は、代表的には、pH5.0〜5.5に処方される。これは、過剰なデキストロース分解を伴わずに、注入の間の不快感および/または疼痛を回避するためである。
【0013】
しかし、このpHにおいて、デキストロースは、かなり分解し得、それによって、グルコース分解産物(「GDP」)と一般的に呼ばれ図1および図2において示される、多数の反応産物が生じる。GDPは、腹膜細胞の機能を変化させ得、それによって宿主防御を損なうことが、見出された。その宿主防御が損なわれた場合、これは、患者集団において観察される腹膜炎の頻繁な発生の原因となり得る。さらに、GDPは、糖化最終産物(AGE)の形成をもたらし得る。AGEは、腎疾患患者において生命を維持するためには腹膜透析がもはや有効に利用され得ない程度まで、腹膜を損なうと考えられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、生体適合特性が改善された透析溶液(例えば、腹膜透析溶液)について、必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、一般に、透析溶液に関する。その透析溶液の少なくとも2要素は、別個に処方される。第1の要素は、デキストロース濃縮液を含み、第2の要素は、緩衝物質濃縮液を含む。この第1の要素および第2の要素は、別個に、酸性pHにおいて滅菌されて、次いで、使用(例えば、腹膜透析の間の患者への注入)の前に混合される。本発明の透析溶液は、高められた生体適合性特徴(例えば、グルコース分解産物(GDP)の減少したレベル)を有する。
【0016】
例えば、本出願人は、GDPレベルが、低下したpHレベルでデキストロース濃縮液を滅菌することにより低下され得ることを実証した。一旦滅菌されると、このデキストロース濃縮液および緩衝物質濃縮液が合わされて、GDPレベルが減少した、使用準備のできた透析溶液を形成し得る。前に議論されるように、GDPは、腹膜細胞の機能を改変し得、従って、腹膜透析の間に腹膜炎の存在の一因となり得る。
【0017】
一実施形態において、本発明は、透析溶液を提供する。この透析溶液は、第1の酸性溶液および第2の酸性溶液を含み、ここでこの第1の酸性溶液および第2の酸性溶液が混合されて、使用準備のできた透析溶液を形成する。この第1の酸性溶液は、デキストロース濃縮液を少なくとも含み、このデキストロース濃縮液は、例えば、デキストロース、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムを含む。この第2の酸性溶液は、緩衝物質濃縮液(例えば、ラクテートベースの濃縮液)を含む。
【0018】
一実施形態において、このデキストロース濃縮液は、約30.0g/L〜約85.0g/Lのデキストロースを含む。このデキストロース濃縮液は、例えば、塩化カルシウム二水和物、塩化マグネシウム六水和物など、および任意のこれらの適切な組み合わせを含む。好ましくは、このデキストロース濃縮液は、約5.0mEq/L〜約7.0mEq/Lのカルシウムを含む。
【0019】
一実施形態において、この使用準備のできた透析溶液は、約1.5%〜約4.25%のデキストロースを含む。この使用準備のできた透析溶液は、例えば、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、ラクテートなどおよび任意のこれらの適切な組み合わせをさらに含む。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、2要素からなる腹膜透析溶液を提供し、この腹膜透析溶液は、第1の要素および第2の要素を含み、これらの要素は、患者に注入する前に混合される。この第1の要素は、デキストロースを含む酸性濃縮液を含む。この第2の要素は、7.0未満のpHを有するラクテートベースの緩衝物質濃縮液を含む。
【0021】
一実施形態において、この第1の要素は、約2.8〜約3.8の範囲のpHを有し、好ましくは、約3.0〜約3.5の範囲のpHを有する。
【0022】
なお別の実施形態において、本発明は、第1の構造体に収容された第1の要素および第2の構造体に収容された第2の要素を含む、2要素からなる腹膜透析溶液を提供する。この第1の要素は、酸性デキストロース濃縮液を含む。この第2の要素は、酸性緩衝物質濃縮液を含む。この酸性緩衝物質濃縮液は、例えば、約5.5未満のpHのラクテートベースの緩衝液を含む。この第1の要素および第2の要素は、別個に滅菌され、かつ混合されて、使用準備のできた腹膜透析溶液を形成する。
【0023】
一実施形態において、この第1の要素および第2の要素は、この第1の構造体および第2の構造体を備えるマルチチャンバ容器に格納され、これらの構造体は、この第1の要素および第2の要素が混合されて、患者に注入する前に混合された溶液を形成することができるように適合して連結されている。
【0024】
一実施形態において、この第1の構造体および第2の構造体は、各々、混合デバイスに連結することができる溶液バッグを備え、この混合デバイスは、この第1の要素およびこの第2の要素を混合して、この混合された溶液を形成することを可能にする。
【0025】
さらなる実施形態において、本発明は、標準透析溶液を改変する方法を提供する。この方法は、その標準透析溶液の2種以上の溶液要素を処方する工程を包含し、ここでその溶液要素は、少なくとも、デキストロース濃縮液および緩衝物質濃縮液を含む。このデキストロース濃縮液およびこの緩衝物質濃縮液を、7.0未満のpHにて別個に滅菌し、その後、混合して、改変型標準透析溶液を生成する。
【0026】
一実施形態において、上記改変型標準透析溶液は、上記標準透析溶液より少ないグルコース分解産物を含む。上記グルコース分解産物は、例えば、5−ヒドロキシメチルフルフラール、3−デオキシグルカゾン、グリオキサール、メチルグリオキサール、アセトアルデヒドなど、およびこれらの組み合わせを含み得る。上記改変型標準透析溶液は、上記グルコース分解産物を除いて、上記標準透析溶液と実質的に同じ溶液組成を含み得る。
【0027】
なおさらなる実施形態において、本発明は、患者に透析を提供する方法を提供する。この方法は、デキストロース濃縮液を含む酸性溶液と、酸性緩衝物質溶液(例えば、ラクテートベースの緩衝液濃縮液)とを混合する工程を包含する。上記酸性デキストロース濃縮液および上記酸性緩衝物質濃縮液を、別個に滅菌して、その後、混合して、使用準備のできた透析溶液を形成する。
【0028】
本発明の透析溶液は、種々の異なりかつ適切な透析療法(例えば、腹膜透析)において適用され得る。一実施形態において、上記透析溶液は、一旦混合されると、連続携行式腹膜灌流、自動腹膜透析などの間に、患者に注入される。
【0029】
本発明の利点は、改良された透析溶液を提供することである。
【0030】
本発明の別の利点は、改良された生体適合性特徴を有する透析溶液を提供することである。
【0031】
本発明のなお別の利点は、グルコース分解産物レベルが低下している透析溶液を提供することである。
【0032】
本発明のさらになお別の利点は、別個に処方されかつ滅菌された酸性溶液要素を含む、改良された透析溶液を提供することである。
【0033】
本発明のさらなる利点は、グルコース分解産物が減少している、乳酸緩衝化透析溶液を提供することである。
【0034】
本発明のなおさらなる利点は、デキストロースベースの溶液中におけるグルコース分解産物を減少させる方法を提供することである。
【0035】
本発明のなおさらなる利点は、透析溶液を生成および使用するための改良された方法を提供することである。
【0036】
さらに、本発明の利点は、透析溶液を改変して、グルコース分解産物レベルが低下している透析溶液を生成する方法を提供することである。
【0037】
本発明のさらなる特徴および利点が、以下の「発明の詳細な説明」および図面において記載され、そしてこれらから明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般的には、透析溶液に関する。特に、本発明は、増強された生体適合特性を備える(例えば、グルコース分解産物レベルが低い)透析溶液、ならびにその生成方法および使用方法に関する。
【0039】
デキストロース(α−D−グルコース)は、滅菌(例えば、オートクレーブ、蒸気滅菌など)の間に、一般的にグルコース分解産物(GDP)と呼ばれる分解産物へと分解することが公知である。GDPの例としては、5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)、3−デオキシグルカゾン、グリオキサール、メチルグリオキサール、アセトアルデヒドなどが挙げられ、図1および図2において示される。GDPは、腹膜に損傷を与え、従って、腹膜透析に対して有害な影響を有し得る。
【0040】
本出願人らは、GDPレベルは、透析溶液において減少され得ることを、発見した。一般的に、透析溶液の要素(part)は、混合する前に別個に処方および滅菌される。この溶液の要素は、少なくとも、第一の酸性溶液と第二の酸性溶液とを含み、これらは、混合されて、使用準備ができた透析溶液を形成する。この第一の酸性溶液は、デキストロース濃縮液を含み、第二の酸性溶液は、緩衝物質濃縮液(例えば、ラクテートベースの緩衝液)を含む。本出願人らは、滅菌後における上記酸性デキストロース濃縮液中のGDPレベルが、下記に詳細に記載されるように溶液pHを減少することによって、減少され得ることを、発見した。従って、上記デキストロース濃縮液が、滅菌後に、上記緩衝物質濃縮液と混合された場合、グルコース分解産物レベルが減少している透析溶液が、形成され得る。一実施形態において、本発明の透析溶液におけるグルコース分解産物レベルは、標準的透析溶液におけるグルコース分解産物レベルよりも低い。
【0041】
本発明の透析溶液は、種々の適切な適用において使用され得る。好ましくは、上記透析溶液は、腹膜透析の間(例えば、自動腹膜透析の間)に使用される。
【0042】
しかし、本発明は、腎不全を処置するために、種々の異なりかつ適切な透析療法において使用され得ることが、認識されるべきである。透析療法とは、この用語または類義語が本明細書全体を通して使用される場合には、患者の血液を利用して患者から老廃物、毒素、および過剰な水分を除去する、あらゆるすべての適切な治療形態を包含する。そのような治療(例えば、血液透析、血液濾過、および血液透析濾過)は、間欠療法、および持続的腎機能代替療法(CRRT)のために使用される連続治療の両方を包含する。連続療法としては、例えば、持続的に緩徐な徐水をおこなう様式(slow continuous ultrafiltration)(SCUF)、持続的静静脈血液濾過(continuous venovenous hemofiltration)(CVVH)、持続的静静脈血液透析(continuous venovenous hemodialysis)(CVVHD)、持続的静静脈血液濾過透析(continuous venovenous hemodiafiltration)(CVVHDF)、持続的動静脈血液濾過(continuous arteriovenous hemofiltration)(CAVH)、持続的動静脈血液透析(continuous arteriovenous hemodialysis)(CAVHD)、持続的動静脈血液濾過透析(continuous arteriovenous hemodiafiltration)(CAVHDF)、持続的徐水の周期的間欠性血液透析(continuous ultrafiltration periodic intermittent hemodialysis)などが挙げられる。好ましくは、上記透析溶液は、腹膜透析(例えば、自動腹膜透析、連続携行式腹膜灌流、連続フロー型腹膜透析など)の間に使用される。さらに、本発明は、一実施形態においては、慢性腎不全または慢性腎疾患を有する患者に透析療法を提供する方法において利用され得るが、本発明は、例えば、緊急治療室の状況における、急性透析の需要のために使用され得ることが、認識されるべきである。最後に、当業者は、治療(すなわち、血液濾過、血液透析、腹膜透析、および血液透析濾過)の間欠的形態が、センターでの医療、自己医療/限定的医療、ならびに家庭環境において、使用され得ることを認識する。
【0043】
上記のように、本発明は、増強された生体適合性を備える透析溶液を提供する。一般に、別個に処方および滅菌された溶液要素が合わせられて、使用準備ができた溶液を形成する。一実施形態において、本発明の透析溶液は、第一の酸性溶液要素と第二の酸性溶液要素とを含む。この第一の酸性溶液要素は、少なくとも、デキストロース濃縮液を含み、この第二の酸性溶液要素は、緩衝物質濃縮液(例えば、ラクテートベースの緩衝液)を含む。
【0044】
一実施形態において、上記酸性デキストロース濃縮液は、約2.8〜約3.8、好ましくは約3.0〜約3.5、より好ましくは約3.2〜約3.4の範囲にある、pHを有する。上記デキストロース濃縮液は、任意の数および量の異なる成分を含み得る。例えば、上記デキストロース濃縮液は、デキストロース、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど、およびそれらの組合せを含む。上記デキストロース濃縮液はまた、pH調整剤を含み得る。上記pH調整剤の例としては、無機酸(例えば、塩酸);有機酸(例えば、乳酸)など、ならびにそれらの組合せが、挙げられる。
【0045】
一実施形態において、上記デキストロース濃縮液は、約30.0g/L〜約85.0g/Lのデキストロース、約0.514g/Lの塩化カルシウム二水和物、約0.102g/Lの塩化マグネシウム六水和物など、ならびにそれらの任意の適切な組合せを含む。別の実施形態において、上記デキストロース濃縮液は、約30.0g/L〜約85.0g/Lのデキストロース、約0.367g/Lの塩化カルシウム二水和物、約0.102g/Lの塩化マグネシウム六水和物など、ならびにそれらの任意の適切な組合せを含む。
【0046】
本発明の緩衝物質濃縮液は、任意の適切な数、型、および量の成分を含み得る。一実施形態において、上記緩衝物質濃縮液は、ラクテートベースの緩衝物質濃縮液(例えば、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウムなど、およびその組合せを含む溶液)を含む。
【0047】
上記緩衝液のpHは、一要素緩衝物質溶液を処方および滅菌し、その後に、その緩衝物質と、酸性デキストロース濃縮液を含む他の溶液要素との混合物を含む使用準備ができた透析溶液を処方するために有効な、任意の適切な値を包含し得る。一実施形態において、上記緩衝物質のpHは、酸性(例えば、7.0未満、約5.5未満など、例えば、約5.0〜約5.5の範囲)である。好ましくは、上記緩衝物質のpHは、約5.1〜約5.3の範囲である。pH調整剤(例えば、水酸化ナトリウム、塩酸など)が、上記緩衝物質溶液に添加され得る。
【0048】
一実施形態において、本発明は、標準透析溶液を改変する方法を提供し、この方法は、任意の適切な標準溶液(例えば、以下で詳細に記載される標準腹膜透析溶液)を改変する工程を包含し得る。この溶液と関連する要素は、酸性pHにおいて別個に処方され、かつ滅菌される。このことは、後で上記溶液要素を混合して、減少したレベルのグルコース分解産物を含むように改変された透析溶液(例えば、標準透析溶液)を形成することを可能にする。別個に処方されかつ滅菌された溶液要素は、酸性デキストロース濃縮液および酸性緩衝物質濃縮液(例えば、約5.5未満のpHにあるラクテートベースの緩衝物質)を含み得る。一実施形態において、この改変型透析溶液は、GDPのレベルを除いて、上記標準透析溶液と実質的に同じ溶液組成を有する。
【0049】
上記デキストロース濃縮液および上記緩衝物質濃縮液は、処方され得、滅菌され、そして使用前に(例えば、腹膜透析の間に患者に注入する前に)任意の適切な様式で混合される。一実施形態において、上記デキストロース濃縮液および上記緩衝物質濃縮液を含む混合された溶液は、標準透析溶液(例えば、標準腹膜透析溶液)と比較して、グルコース分解産物のレベルを除いて、同じであるかまたは実質的に同じである組成上の構成を有する。混合された溶液中のデキストロース濃縮液:緩衝物質濃縮液の比は、一実施形態において、約1:1である。以下に提供されるのは、本発明の一実施形態に従う透析溶液の例示である。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【実施例】
【0052】
本出願人らは、以下に詳細に記載されるように、GDPに対する溶液pHの影響を実証する多くの実験を行った。
【0053】
(実験1)
この実験において、そのpHを、10.65% デキストロース溶液中の塩酸で調節して、溶液pHにおける変化に基づいて、グルコース分解産物の変化を測定した。試験溶液を、ガラス瓶に入れて滅菌し、この溶液は、標準デキストロース含有溶液と同様に、電解質成分(例えば、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウム)を含んでいた。このデキストロース濃縮液は、上記で議論された本発明の実施形態に従って作製した。
【0054】
塩酸を添加した溶液は、滅菌前後のpHに関して安定であった。そのpHは、約3.3まで低下し、滅菌の間に形成されたGDPのレベルは、図3に示されるように、pHのレベルが低下するにつれて、低下した。全GDPを測定し、溶液中の5−ヒドロキシメチルフルフラール、3−デオキシグルカゾン、グリオキサール、およびメチルグリオキサールのレベルの合計として決定した。
【0055】
(実験2)
この実験において、2種類のデキストロース濃度(1.5%および4.25%)の透析溶液を、本発明の一実施形態に従って調製した。その混合された溶液中のGDPレベルを測定し、標準腹膜透析溶液中のGDPレベルと比較した。以下の表3に示されるように、本発明の一実施形態に従って調製された腹膜透析溶液中のGDPレベルは、標準デキストロース含有溶液中のGDPレベルより有意に低かった。
【0056】
【表3】

本発明の透析溶液の成分が、透析溶液が効率的に調製されかつ投与され得るように、任意の適切な様式で収容または含まれ得ることが理解されるべきである。一実施形態において、本発明は、2種以上の要素が処方され、別個に格納され、次いで、使用直前に混合される、複数要素からなる透析溶液を包含する。種々の容器が、透析溶液の種々の要素を収容するために使用され得る(例えば、別個の容器(すなわち、フラスコまたはバッグ)。これらの容器は、適切な流体連通機構によって接続される。一実施形態において、マルチチャンバ容器またはマルチチャンババッグは、上記のデキストロース濃縮液および緩衝物質濃縮液を含む溶液の別個の成分を収容するために使用され得る。一実施形態において、その別個の成分は、使用前に上記マルチチャンババッグ内で混合される(例えば、連続歩行腹膜透析の間に適用される)。
【0057】
図4は、透析溶液を、本発明の一実施形態に従って、格納、処方、混合および例えば、連続歩行腹膜透析の間に投与するための適切な容器を例示する。このマルチチャンババッグ10は、第1のチャンバ12および第2のチャンバ14を有する。この容器の内部は、熱シール16で2つのチャンバに分けられている。この容器は、任意の適切なシールによって別個のチャンバに分けられ得ることが理解されるべきである。一実施形態において、この容器は、ピールシールによって、別個のチャンバ(例えば、2つのチャンバ)に分けられ得る。このマルチチャンバ容器10はまた、第1のチャンバ12を第2のチャンバ14に密封して連結するために脆弱なコネクタ18を有する。マルチチャンババッグ10内の溶液を混合するために、脆弱なコネクタ18が破断される。
【0058】
第1の容器または第1のチャンバ12は、適切なサイズおよび長さである2ポートチューブ20を備える。このポートチューブの一方は、例えば、必要であれば、本発明の溶液の処方の間に、第1のチャンバ12に他の構成要素を添加するために利用され得る。残りのポートチューブは、例えば、第1のチャンバ12を、患者の投与ラインを介して患者に適合して連結するために利用され得る(示さず)。第2の容器または第2のチャンバ14は、この容器またはチャンバから伸びる単一ポートチューブ22を有する。これは、一実施形態において、例えば、中実ロッド(示さず)によって閉じられる。この点においては、このチャンバにいかなる追加の構成要素も添加することはできず、そして/またはこのチャンバを患者の投与ラインに接続することはできない。その結果、このチャンバ14は、その構成要素を患者に送達するように適合させることはできない。閉じない場合、ポートチューブ22は、他の構成要素をチャンバ14に添加するために利用され得、患者の投与ラインなどに適合して連結され得ることが理解される。
【0059】
一実施形態において、マルチチャンババッグ10内の製品の移動は、第1のチャンバ12から第2のチャンバ14へと開始され得る。その結果、各チャンバの成分は、適切に混合されて、本発明の透析溶液が適切に形成され得る。一実施形態において、このデキストロース濃縮液24は、第1のチャンバ12中に含まれ、この緩衝物質濃縮液26は、第2のチャンバ14中に含まれる。
【0060】
この点において、この第1のチャンバ12は、第2のチャンバ14より容積が小さく、その結果、各チャンバの成分は、一旦この第1のチャンバから第2のチャンバへの移動が起こると適切に混合され得る。従って、このマルチチャンババッグ10は、少なくとも2種類の溶液成分要素を収容し得、これらの要素は、混合後に、使用準備のできた透析溶液を生じる。マルチチャンバ容器の一例は、米国特許第5,431,496号(この開示は、本明細書に参考として援用される)に記載される。このマルチチャンババッグは、気体透過性材料(例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど)から作製され得る。
【0061】
マルチチャンババッグは、種々の異なるかつ適切な材料から製造され得、本発明の透析溶液が効率的に処方され、任意の適切な様式で医学的療法の間に患者に投与され得るように、多くの適切な様式で構成され得ることが理解されるべきである。例えば、上記第1のチャンバは、上記第2のチャンバより容積が大きくてもよく、本発明の透析溶液が容易にかつ効率的に作製され得、患者に投与され得るように、さらに適合され得る。
【0062】
別の実施形態において、上記デキストロース濃縮液および上記緩衝物質濃縮液は、別個の容器中で調製され得、格納され得る。次いで、これらの濃縮液は、使用前に混合デバイスを介して混合され得る(例えば、自動化腹膜透析の間に適用される)。図5に示されるように、このデキストロース濃縮液28および緩衝物質濃縮液30は、それぞれの別個の容器32および34またはバッグに格納され、これらの容器またはバッグは、自動化腹膜透析の間の使用に適した混合デバイス36に流体接続される。このデバイスの一例としては、BAXTER INTERNATIONAL,INC.によるADMIX HOMECHOICEが挙げられる。デキストロースおよび緩衝物質濃縮液に加えて、第1のバッグ38および適切な溶液が満たされた最後のバッグ40はまた、一般に公知の透析療法の間に使用され得る。
【0063】
一実施形態において、有効量のデキストロース濃縮液28および緩衝物質濃縮液30が、各それぞれの容器からヒーターバッグ42へと引っ張られ、このヒーターバッグにおいて、このデキストロースおよび緩衝物質濃縮液は混合され得、透析療法の間に患者44に注入する前に加熱される。図5にさらに示されるように、ドレインライン46は、混合デバイス36に接続され、この混合デバイスから、廃棄液が療法の間に患者から除去され得る。
【0064】
本明細書に記載される現在好ましい実施形態に対する種々の変更および改変が当業者に明らかであることが理解される。このような変更および改変は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その意図される利点を減少させることなく行われ得る。従って、このような変更および改変が、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、グルコースの分解を示す非酸化反応経路およびその産物の略図である。
【図2】図2は、グルコースの分解を示す自動酸化反応経路およびその産物の略図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従うグルコース分解に対する溶液pHの影響を示すグラフ表示である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に従う透析溶液とともに使用するための多チャンバーバッグの略図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従う透析溶液を使用する、自動腹膜透析療法の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析溶液であって、以下:
デキストロース濃縮液を含む第1の酸性溶液;および
緩衝物質濃縮液を含む第2の酸性溶液、
を含み、ここで該第1の酸性溶液および該第2の酸性溶液が混合されて、使用準備のできた透析溶液を形成する、透析溶液。
【請求項2】
前記デキストロース濃縮液は、デキストロース、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムを含む、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項3】
前記緩衝物質濃縮液は、ラクテートベースの濃縮液を含む、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項4】
前記第2の酸性溶液は、約5.5未満のpHを有する、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項5】
前記使用準備のできた透析溶液は、約1.5%〜約4.25%のデキストロースを含む、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項6】
前記使用準備のできた透析溶液は、ナトリウムおよび約2.5mEq/L〜約3.5mEq/Lのカルシウムを含む、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項7】
前記使用準備のできた透析溶液は、約40mEq/Lのラクテートを含む、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項8】
2要素からなる腹膜透析溶液であって、以下:
デキストロースを含む酸性濃縮液を含む第1の要素;および
7.0未満のpHを有するラクテートベースの緩衝物質濃縮液を含む第2の要素、
を含み、ここで該第1の要素および該第2の要素は、患者に注入する前に混合される、腹膜透析溶液。
【請求項9】
前記第1の要素のpHは、約2.8〜約3.8の範囲である、請求項8に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項10】
前記第1の要素のpHは、約3.0〜約3.5の範囲である、請求項9に記載の2要素からなる透析溶液。
【請求項11】
前記酸性濃縮液は、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムをさらに含む、請求項8に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項12】
前記ラクテートベースの緩衝物質濃縮液は、約5.0〜約5.5の範囲のpHを有する、請求項8に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項13】
前記酸性濃縮液は、約30.0g/L〜約85.0g/Lのデキストロース、塩化カルシウム二水和物、および塩化マグネシウム六水和物を含む、請求項8に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項14】
前記酸性濃縮液は、約7.0mEq/Lのカルシウムを含む、請求項13に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項15】
前記酸性濃縮液は、約5.0mEq/Lのカルシウムを含む、請求項13に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項16】
前記ラクテートベースの緩衝物質濃縮液は、塩化ナトリウムおよび乳酸ナトリウムを含む、請求項8に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項17】
2要素からなる腹膜透析溶液であって、以下:
第1の構造体に収容された第1の要素であって、該第1の要素は、酸性デキストロース濃縮液を含む、第1の要素;および
第2の構造体に収容された第2の要素であって、該第2の要素は、酸性緩衝物質濃縮液を含む、第2の要素、
を含み、ここで該第1の要素および該第2の要素は、別個に滅菌され、かつ混合されて、使用準備のできた腹膜透析溶液を形成する、腹膜透析溶液。
【請求項18】
前記第1の要素および前記第2の要素は、前記第1の構造体および前記第2の構造体を備えるマルチチャンバ容器に格納され、該構造体は、該第1の要素および該第2の要素が混合されて、患者に注入する前に混合された溶液を形成することができるように適合して連結されている、請求項17に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項19】
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、各々、混合デバイスに連結することができる溶液バッグを備え、該混合デバイスは、前記第1の要素および前記第2の要素を混合して、前記混合された溶液を形成することを可能にする、請求項17に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項20】
前記使用準備のできた腹膜透析溶液は、約1.5%〜約4.25%のデキストロースを含む、請求項17に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項21】
前記使用準備のできた腹膜透析溶液は、ナトリウム、カルシウム、塩化物、マグネシウムおよびラクテートをさらに含む、請求項20に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項22】
前記酸性デキストロース濃縮液は、約2.8〜約3.8の範囲のpHのデキストロース、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムを含む、請求項17に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項23】
前記酸性緩衝物質濃縮液は、約5.5未満のpHのラクテートベースの緩衝液を含む、請求項17に記載の2要素からなる腹膜透析溶液。
【請求項24】
透析溶液を生成する方法であって、該方法は、以下の工程:
酸性濃縮液および7.0未満のpHを有する緩衝物質濃縮液を処方する工程であって、該酸性濃縮液は、少なくともデキストロースを含む、工程;
該酸性濃縮液および該緩衝物質濃縮液を別個に滅菌する工程;ならびに
該酸性濃縮液および該緩衝物質濃縮液を混合する工程、
を包含する、方法。
【請求項25】
前記酸性濃縮液および前記緩衝物質濃縮液は、各々、マルチチャンバ容器のそれぞれのチャンバに収容され、該チャンバは、該酸性濃縮液および前記ラクテートベースの緩衝物質濃縮液が、該マルチチャンバ容器内で混合され得るように適合して連結されている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記酸性濃縮液および前記緩衝物質濃縮液は、各々、それぞれの溶液バッグに収容され、該それぞれの溶液バッグは、各々、該酸性濃縮液および前記ラクテートベースの緩衝物質濃縮液の混合を可能にする混合デバイスに連結することができる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記酸性濃縮液は、約2.8〜約3.8の範囲のpHを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記酸性濃縮液は、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記緩衝物質濃縮液は、約5.0〜約5.5の範囲のpHにあるラクテートベースの濃縮液を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
標準透析溶液を改変する方法であって、該方法は、以下の工程:
該標準透析溶液の2種以上の溶液要素を処方する工程であって、ここで該溶液要素は、少なくとも、デキストロース濃縮液および緩衝物質濃縮液を含む、工程;
該デキストロース濃縮液および7.0未満のpHにある該緩衝物質濃縮液を別個に滅菌する工程;ならびに
該デキストロース濃縮液および該緩衝物質濃縮液を混合して、改変型標準透析溶液を生成する工程、
を包含する、方法。
【請求項31】
前記改変型標準透析溶液は、前記標準透析溶液より少ないグルコース分解産物を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記グルコース分解産物は、5−ヒドロキシメチルフルフラール、3−デオキシグルカゾン、グリオキサール、メチルグリオキサール、アセトアルデヒドおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記改変型標準透析溶液は、前記グルコース分解産物を除いて、前記標準透析溶液と実質的に同じ溶液組成を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記改変型標準透析溶液は、約1.5%〜約4.25%のデキストロースを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記改変型標準透析溶液は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、およびラクテートをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記デキストロース濃縮液は、約2.8〜約3.8の範囲のpHで滅菌される、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記緩衝物質濃縮液は、ラクテートベースの濃縮液を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記ラクテートベースの濃縮液は、乳酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記デキストロース濃縮液は、デキストロース、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
患者に透析を提供する方法であって、該方法は、以下の工程:
酸性デキストロース濃縮液および酸性緩衝物質溶液を混合して、使用準備のできた透析溶液を形成する工程であって、ここで該酸性デキストロース濃縮液および該酸性緩衝物質濃縮液は、混合する前に別個に滅菌される、工程;ならびに
該使用準備のできた透析溶液を透析の間に使用する工程、
を包含する、方法。
【請求項41】
前記使用準備のできた透析溶液は、透析物として使用される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記使用準備のできた透析溶液は、腹膜透析の間に前記患者に注入される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記酸性デキストロース濃縮液は、デキストロース、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記酸性緩衝物質濃縮液は、約5.5未満のpHのラクテートベースの濃縮液を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記酸性溶液は、約2.8〜約3.8の範囲であるpHを有する、請求項40に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−500126(P2007−500126A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521141(P2006−521141)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022895
【国際公開番号】WO2005/011631
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(505309110)バクスター インターナショナル インコーポレイテッド (9)
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】