説明

グルタチオンまたはシステインを用いて食品または飼料フレーバーを製造する方法

本発明は、食品または飼料フレーバーを製造する方法に関する。本発明はまた、本発明の方法によって得られる食品または飼料フレーバー、およびその使用に関する。本発明の方法は、システインおよび/またはグルタチオンを含んでなる組成物を調製するステップと、飼料または食品フレーバーが発生するのに十分な温度および反応時間条件下で組成物をインキュベートするステップと、任意選択的に食品または飼料フレーバーを1つ以上のその他の成分と混合するステップを含んでなる。この方法によって多数の異なる食品または飼料フレーバーを製造し得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、食品または飼料フレーバーを製造する方法、およびこの方法によって得られる製品に関する。
【0002】
[背景技術]
肉のフレーバーは、調理中に起きる異なる反応経路の複雑な組み合わせの結果である。アミノ酸と還元糖の間のメイラード反応は、メイラード由来ジカルボニル化合物の存在下におけるアミノ酸のストレッカー分解と関係があり、脂質の自己酸化が最も重要な例である。これらの全ての反応、それらの生成物、および食品の味に対するそれらの影響は、いくつかの研究の対象である(Motram D.S.,(1998)Food Chemistry,62,pp.415−424,”Flavour formation in meat and meat products:a review”およびその中の参考文献;Schrodter,R.,Schliemann,R.,Woelm,G.,(1988)Tech.Charact.Prod.Appl.Food Flavours,pp.107−114,”Study on the effect of fat in meat flavour formation”)。
【0003】
還元性糖類とイオウ含有アミノ酸(特にシステイン)とを反応させることによる食品または飼料フレーバーの調製は、当該技術分野で良く知られている。例えば米国特許第4,592,917号明細書は、還元性糖類とアミノ酸(ロイシン)およびイオウ含有物質(例えばシステイン)とを100℃未満の温度で反応させることで、茹でたチキンフレーバーを調製することを記載する。
【0004】
[発明の詳細]
本発明は、
a)システインおよび/またはグルタチオンと、組成物の総重量を基準にして10%w/w未満の脂肪とを含んでなる組成物を調製するステップと、
b)組成物を110〜210℃の温度で食品または飼料フレーバーが発生するのに十分な反応時間にわたりインキュベートするステップと、
c)任意選択的に食品または飼料フレーバーを1つ以上のその他の成分と混合するステップ
を含んでなる、食品または飼料フレーバーを製造する方法を提供する。
【0005】
食品または飼料フレーバーは、いかなるフレーバーであってもよい。食品または飼料フレーバーは、生鮮食品または加工食品または飼料のフレーバーであってもよい。加工食品または飼料としては、茹でた、発酵した、蒸し煮した、煮た、網焼きした、ローストした、トーストした、スモークした、および揚げたまたはこれらのいずれかの組み合わせの食品または飼料が挙げられるが、これに限定されるものではない。食品または飼料フレーバーの例としては、タマネギや落花生や、カリフラワー、ブロッコリー、芽キャベツ、カイラン(Chinese kale)または中国ブロッコリー(Chinese broccoli)、ケールまたはスプリンググリーン(spring greens)、コラードグリーン、およびコールラビなどのキャベツなどの野菜フレーバーと、ココアと、チョコレートと、コーヒーと、肉フレーバーとが挙げられる。肉フレーバーとしては、チキン、シチメンチョウ、キジ、ガチョウ、ハクチョウ、およびカモフレーバーなどの家禽フレーバー、またはビーフ、ラム、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびポークフレーバーなどのその他の肉フレーバーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは飼料または食品フレーバーは、肉フレーバーである。前記野菜および肉フレーバーは、茹でた、蒸し煮した、煮た、網焼きした、ローストした、スモークした、および揚げたフレーバーであってもよい。好ましくは飼料または食品フレーバーは、肉フレーバー、より好ましくは家禽フレーバーである。最も好ましくは飼料または食品フレーバーは、チキンフレーバーである。
【0006】
本発明の方法によって生成される食品または飼料フレーバーは、一般的ローストフレーバーまたはイオウフレーバーであってもよい。イオウフレーバーは、例えばHS、メチル−フラン−チオール、またはメチルメルカプタンなどのメルカプタンのフレーバーを有してもよい。イオウフレーバーは、ビーフ、チキンなどの豊富なフレーバーを発生させるいわゆる「構成単位」としてフレーバー産業で使用される。本発明の方法によって生成される食品または飼料フレーバーをさらに加工し、および/またはその他の成分および/またはフレーバーと混合して、前記食品または飼料フレーバーを調節または修正してもよい。
【0007】
ステップ(a)の組成物は、追加的構成要素を含んでもよい。例えばステップ中の組成物は、デキストロースまたはグルコースなどの1つ以上の還元糖を含んでもよい。ステップ(a)の組成物に還元糖を添加することで、具体的にビーフ、ラム、またはポークフレーバーを調製することが可能かもしれない。
【0008】
本発明の方法で製造される食品または飼料フレーバーは、好ましくは食品または飼料製品の所望のフレーバーを増強し、またはそれを与えるのに適し、例えば食品または飼料製品に欠けているフレーバーを与え、または食品または飼料製品の既存のフレーバーを増強する。本発明の方法で製造される食品または飼料フレーバーは高度に濃縮されており、すなわち食品または飼料フレーバーは非常に強力であるので、食品または飼料への少量の食品または飼料フレーバーの添加が、所望のフレーバーを提供するのに既に十分かもしれない。食品または飼料フレーバーは非常に濃縮されているので、本発明の方法で製造される食品または飼料フレーバーは、好ましくは未希釈での消費に適さない。用途に基づいて本発明の方法で製造される食品または飼料フレーバーは、食品または飼料の総重量を基準にして、0.01%〜5%w/w、好ましくは0.05〜1%w/w、より好ましくは0.1〜0.5%w/wの最終濃度に達する量で、好ましくは食品または飼料に添加される。
【0009】
本発明の文脈で「脂肪」は、グリセロールにエステル結合された脂肪酸を含んでなる化合物と定義される。脂肪は、モノ−、ジ−、およびトリグリセリドを包含すると理解される。本発明の文脈で「脂肪」および「油」は同一である。脂肪組成次第で(脂肪酸の数、それらの鎖長および飽和度など)、脂肪は通常の室温で固体または液体のどちらであってもよい。通常の室温で液体である脂肪は、一般に油と称される。したがって「システインおよび/またはグルタチオンと、組成物の総重量を基準にして10%w/w未満の油とを含んでなる組成物」もまた、本発明の範囲に該当する。好ましくは組成物中の脂肪量は、組成物の総重量を基準にして5%w/w未満、より好ましくは2%w/w未満、1.5%、なおもより好ましくは1.4%未満、1.3%、1.2%、1.1%w/w、最も好ましくは1%w/w未満である。組成物中の脂肪量は、組成物の総重量を基準にして好ましくは0.1%w/wを超える。健康のためには、脂肪が少量(例えば10%w/w未満)であることが有利であり得る。10%未満の脂肪を含んでなる食品または飼料フレーバーは塊にならず、または塊になりにくいと思われるため、その他の構成要素、特に乾燥構成要素と混合するのにより良く適しているかもしれない。組成物中の少量の脂肪(例えば少なくとも0.1%w/w)により、有利には食品または飼料フレーバーを有する製品がより砕けにくくなり、ひいてはそれにより粉塵または粉末が出ないようになるかもしれない。脂肪は本発明の方法のステップ(a)および/またはステップ(b)の組成物に添加してもよい。好ましい実施態様では、脂肪は水素化ヒマワリ油である。ステップ(a)の組成物への動物脂肪の添加により、こくがあり、濃厚な、および/またはより油っこい食品または飼料フレーバーがもたらされ得る。
【0010】
組成物中のシステインおよび/またはグルタチオンの量は、1%〜100%程度であってもよい。好ましくは所望の食品または飼料フレーバーを得るために、システインおよび/またはグルタチオンの量は、組成物の2%〜25%、より好ましくは3%〜10%w/wである。
【0011】
好ましくは本発明の方法のステップ(b)の温度は、120℃〜200℃、より好ましくは140℃〜190℃、最も好ましくは160℃〜180℃である。
【0012】
より高いインキュベーション温度は、食品または飼料フレーバーに所望のローストの匂いを与え得る。しかしインキュベーション温度が高すぎると(例えば>210℃)、食品または飼料フレーバーは焦げた異臭を有するかもしれない。他方ではインキュベーション温度が110℃未満であると、インキュベーションは非常に緩慢に進行するかまたは全く進行せず、食品または飼料フレーバーが形成されない場合があり、または長期のインキュベーション所要時間のために、食品または飼料フレーバー中に望ましくない異臭を有するかもしれない。より低いインキュベーション温度(例えば110℃〜150℃)では、煮た、または茹でた食品または飼料フレーバーが生じ得るのに対し、より高いインキュベーション温度(例えば150〜210℃)では、ローストした、網焼きした、または揚げた食品または飼料フレーバーが生じ得る。
【0013】
好ましい実施態様では、本発明の第1の態様の方法のステップ(b)の組成物の含水量は、組成物の総重量を基準にして1〜20%w/w、より好ましくは1〜10%w/w、1〜8%、なおもより好ましくは1〜7%w/w、1〜6%w/w、最も好ましくは1〜5%w/wである。本発明の第1の態様の方法のステップ(b)の組成物の含水量は、所望の飼料または食品フレーバーを得るために重要かもしれない。組成物の含水量が高すぎて、例えば20%w/wを超える場合、組成物の温度は110℃を超えないかもしれず、所望の飼料または食品フレーバーが発生せずおよび/または望ましくない異臭が発生し、および/または食品または飼料フレーバーはローストの匂いを欠く場合がある。含水量が低すぎて、例えば1%w/w未満である場合、組成物は焦げやすく、その結果望ましくない焦げた異臭が形成される場合がある。したがって本発明の方法のステップ(b)の組成物の1〜20%w/wの含水量は、様々な食品または飼料フレーバーが製造できるように、作業条件を最適化し、特にインキュベーション温度を変更できるようにするかもしれない。
【0014】
当業者は本発明の方法のステップ(b)のインキュベーション時間が、インキュベーション温度ならびに含水量および所望の食品または飼料フレーバーに左右されることを理解するであろう。より高いインキュベーション温度では、所望の食品または飼料フレーバーを得るために、インキュベーション時間はより短くてもよいのに対し、より低いインキュベーション温度では、所望の食品または飼料フレーバーを得るために、インキュベーション時間はより長くてもよい。同様により低い含水量ではインキュベーション時間がより短くてもよいのに対し、より高い含水量ではインキュベーション時間はより長くてもよい。同様により高い温度および/またはより長いインキュベーション時間および/またはより低い含水量では、フレーバーはローストにより近くなる場合があるのに対し、より低い温度および/またはより短いインキュベーション時間および/またはより高い含水量では、フレーバーは煮たタイプのフレーバーになる場合がある。したがって当業者は過度の負担なしに、所望の食品または飼料フレーバーを得るために、温度、時間、および含水量について適切な条件を確立してもよい。
【0015】
好ましい実施態様では、本発明の方法の組成物は、酵母抽出物および/または酵母自己消化物を含んでもよい。Food Chemical Codexは「酵母抽出物」を次のように定義する。「酵母抽出物は酵母細胞の水溶性構成要素を含んでなり、その組成物は主としてアミノ酸、ペプチド、炭水化物、および塩である。酵母抽出物は、食用酵母中に存在する天然酵素による、または食品等級酵素の添加によるペプチド結合の加水分解を通じて生成する」。Food Chemical Codexは「自己溶解酵母」を「食品等級酵母から得られる濃縮、非抽出、部分的可溶性消化物」と定義する。可溶化は、酵母細胞の酵素加水分解または自己消化によって達成される。食品等級塩および酵素が添加されてもよい。自己溶解した酵母は、酵母細胞全体に由来する可溶性および不溶性構成要素の双方を含有する。それは主としてアミノ酸、ペプチド、炭水化物、脂肪、および塩から構成される。」と定義する。酵母抽出物および/または酵母自己消化物は、例えばパン用酵母、ビール酵母またはワイン酵母などのあらゆるタイプの食品等級酵母から生成されてもよい。好ましくは酵母抽出物および/または酵母自己消化物は、サッカロミセス(Saccharomyces)、クリヴェロミセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)またはトルラ(Torula)属に属する酵母株から生成される。好ましい実施態様では、酵母抽出物および/または酵母自己消化物は、サッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母株、すなわちサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)から生成される。
【0016】
好ましい実施態様では、酵母抽出物および/または酵母自己消化物は、グルタチオン含有酵母抽出物および/またはグルタチオン含有酵母自己消化物および/またはシステイン含有酵母抽出物および/またはシステイン含有酵母自己消化物である。当業者は、本発明の方法の組成物中に所望の量のグルタチオンおよび/またはシステインをもたらす比率で、1つを超える酵母抽出物および/または酵母自己消化物を組み合わせてもよい。例えば当業者は、得られる配合物が所望量のグルタチオンを有するように、グルタチオン量の低い酵母抽出物および/または酵母自己消化物と、グルタチオン量の高い酵母抽出物および/または酵母自己消化物とを組み合わせてもよい。同様に当業者は、得られる配合物が所望量のシステインを有するように、システイン量の低い酵母抽出物および/または酵母自己消化物と、システイン量の高い酵母抽出物および/または酵母自己消化物とを組み合わせてもよい。同様に当業者は、得られる配合物が所望量のグルタチオンおよびシステインを有するように、システイン含有酵母抽出物および/または酵母自己消化物と、グルタチオン含有酵母抽出物および/または酵母自己消化物とを、任意選択的にシステインおよびグルタチオンを含有しない酵母抽出物および/または酵母自己消化物とを組み合わせてもよい。好ましい実施態様では、酵母抽出物および/または酵母自己消化物は、グルタチオン含有酵母抽出物および/または酵母自己消化物である。
【0017】
好ましい実施態様では、本発明のステップ(b)のインキュベーションは、押し出し機内で実施される。押し出し機は、二軸押し出し機など、加工フレーバー製造に適したあらゆるタイプの押し出し機であってもよい。例えば二軸押し出し機などの押し出し機は、当該技術分野で知られている。本発明の組成物、および任意選択的に水および/または油を同一または別個の供給装置を通じて、押し出し機内に装入してもよい。製品は押し出し機から、減圧(例えば5ミリバール)から大気圧(例えばおよそ1バール)までの様々な圧力で押し出し機外に出てもよい。押し出し製品を冷却ベルトまたは当該技術分野で知られているあらゆるその他の方法を使用して、さらに冷却しおよび/または乾燥させてもよい。押出しは組成物全体に均一のまたはほぼ均一の構成要素の分布をもたらして、均質な製品をもたらしてもよい。均質な製品は、食品または飼料全体にフレーバーが均等に広がっているので有利かもしれない。押し出し機内に展開される高温および/または圧力のために、組成物の構成要素はいわゆる「溶融物」になってもよい。押し出し製品が押し出し機を出て、続いて冷却されると、溶融物は凝固して「ガラス質状態」とも称される固体の状態を形成してもよい。このようなガラス質状態は、物理的および化学的に安定し得る。ガラス質状態の製品の個々の構成要素は、押出し後にもはや識別可能または分離可能でないかもしれず、したがって有利には長期間にわたる、例えば1週間を超えまたは1ヶ月を超える貯蔵に際して、分離しないかもしれない。本発明の文脈で「分離」とは、とりわけ沈降分離および相分離が挙げられる。ガラス質状態は酸素の拡散を、ひいてはフレーバーの酸化を制限または抑制する。
【0018】
方法のステップ(c)のその他の成分は、例えば酵母抽出物および/または酵母自己消化物、タンパク質加水分解産物、醤油、ハーブ、香辛料、塩、およびあらゆるその他の薬味であってもよい。例えば製品の飼料または食品フレーバーが、食品中で直接かつ未希釈で使用するには強すぎる場合に、またはすぐ使用できる調味料を製造するために、有利には製品をその他の成分と混合して飼料または食品フレーバーを希釈してもよい。
【0019】
本発明のさらなる態様では、本発明の方法によって得られる食品または飼料フレーバーが提供される。好ましくは飼料または食品フレーバーは、チキンフレーバー、より好ましくはローストチキンフレーバーを有する。ローストチキンフレーバーは、有利には、ポテトクリスプまたはチップ、スナック、豆腐などの肉代替品、発酵ダイズ製品、スープ、アジア食品およびそのための調味料などのローストチキンフレーバーが所望される用途で使用してもよく、また実際の鶏肉に、より多くのチキンフレーバーおよび/またはより深いチキンフレーバー、特にローストチキンフレーバーを与えるのに使用してもよい。
【0020】
本発明のさらなる態様では、本発明の食品または飼料フレーバーを含んでなる調味料が提供される。調味料は、通常、ハーブと塩からなる、食品または飼料成分の混合物であり、食品または飼料に添加してフレーバーを与えまたは増強する。調味料は好ましくは食品または飼料調味料である。好ましくは調味料中の本発明の食品または飼料フレーバーの量は、調味料の総重量を基準にして0.5〜10%w/w、より好ましくは1〜5%w/w、最も好ましくは2〜4%w/wである。
【0021】
本発明のさらなる態様では、本発明の飼料または食品フレーバーを含んでなる食品または飼料が提供される。飼料または食品フレーバーの脂肪量は少ないために、本発明の飼料または食品フレーバーを含んでなる飼料または食品は、例えば食品の見た目がより良いかもしれないことから、消費者によってより良く評価されるかもしれない。脂肪量の少ない食品または飼料は、脂っぽさが少なく見え、および/または例えばスープなどの表面に浮遊する油滴がより少なくなるかまたは皆無となり、それが食欲増加につながるかもしれない。好ましくは本発明の食品または飼料フレーバーの量は、食品または飼料の総重量を基準にして、0.01〜5%w/w、より好ましくは0.05〜1%w/w、最も好ましくは0.1〜0.5%w/wである。
【0022】
本発明のさらなる態様では、食品または飼料にフレーバーを与え、またはそれを増強する、本発明の飼料または食品フレーバー、または本発明の調味料の使用が提供される。本発明の飼料または食品フレーバー、または本発明の調味料は、スープ、肉、パスタ、クリスプ、スナック、野菜などの食品の香り付けのために使用してもよい。本発明の飼料または食品フレーバーまたは本発明の調味料は、調製工程で(例えばキッチンで)、または例えば食卓で食品または飼料を消費する用意ができたときに、食品または飼料に添加してもよい。本発明の飼料または食品フレーバーまたは本発明の調味料は希釈濃度で既に効果的かもしれず、したがって用途において対費用効果の高い様式で使用してもよい。本発明の飼料または食品フレーバーまたは本発明の調味料の量を食品または飼料中で変動させることで、当業者は過度の負担なしに、適切なフレーバーを増強し、またはそれを与えるための食品または飼料フレーバーの適切な量を確立してもよい。本発明の食品または飼料フレーバーは、食品または飼料の総重量を基準にして、0.01%〜5%w/w、好ましくは0.05〜1%w/w、より好ましくは0.1〜0.5%w/wの最終濃度に達する量で、好ましくは食品または飼料に添加される。
【0023】
[実施例]
[実施例1]
[チキンフレーバーの調製]
水投入ユニットおよび注入器と、油投入ユニットおよび注入器とを装着した二軸スクリュー押し出し機に、別個の供給装置を使用して、グルタチオン含有酵母抽出物を含んでなる組成物を添加した。3種の異なる組成物(組成物1〜2および比較組成物A、表1参照)を使用した。
【0024】
形成された製品は、大気圧下の室内の押し出し機を出て、圧力ロールを装着した冷却ベルト上で冷却および乾燥させ、続いて磨砕して試料採取した。
【0025】
【表1】



【0026】
製品の0.25%w/w水溶液を作り、専門家パネルによって製品を試験した。組成物1からできた溶液は、ローストチキンフレーバーを有すると特徴付けられた。組成物2からできた溶液もまた、ローストチキンフレーバーを有すると特徴付けられた。しかし組成物2からできた溶液のチキンフレーバーは、組成物1からできた溶液のチキンフレーバーと比較してはるかにより強力であった。これは本発明の方法の組成物中のグルタチオンの量が、チキンフレーバーの強さに影響を及ぼすことを示す。組成物3の製品は、一般的なローストフレーバーを有すると特徴付けられた。
【0027】
[実施例2]
[ビーフフレーバーの調製]
水投入ユニットおよび注入器と、油投入ユニットおよび注入器とを装着した二軸スクリュー押し出し機に、別個の供給装置を使用して、グルタチオン含有酵母抽出物を含んでなる、表2に記載の組成物を添加した。
【0028】
形成された製品は、大気圧下の室内の押し出し機を出て、圧力ロールを装着した冷却ベルト上で冷却および乾燥させ、続いて磨砕して試料採取した。
【0029】
【表2】



【0030】
製品の0.5%w/w水溶液を作り、専門家パネルによって製品を試験した。製品はローストのようなビーフフレーバーを有すると特徴付けられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品または飼料フレーバー製造する方法であって、
a)システインおよび/またはグルタチオンと、組成物の総重量を基準にして10%w/w未満の脂肪とを含んでなる組成物を調製するステップと、
b)前記組成物を食品または飼料フレーバーが発生するのに十分な反応時間にわたり、110〜210℃の温度でインキュベートするステップと、
c)任意選択的に食品または飼料フレーバーを有する加工フレーバーを1つ以上のその他の成分と混合するステップと
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記食品または飼料フレーバーがチキンフレーバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物中の脂肪量が前記組成物の総重量を基準にして5%w/w未満で0.1%w/wを超える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記脂肪が水素化ヒマワリ油である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物中のグルタチオンおよび/またはシステインの量が前記組成物の総重量を基準にして1〜100%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(b)の前記組成物の温度が120℃〜200℃である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物の含水量が前記組成物の総重量を基準にして1〜20%w/wである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が酵母抽出物および/または酵母自己消化物を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記酵母抽出物および/または酵母自己消化物が、グルタチオン含有酵母抽出物および/またはグルタチオン含有酵母自己消化物および/またはシステイン含有酵母抽出物および/またはシステイン含有酵母自己消化物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(b)でインキュベーションが押し出し機内で実施される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項の方法によって得られる、食品または飼料フレーバー。
【請求項12】
フレーバーがチキンフレーバーである、請求項11に記載の食品または飼料フレーバー。
【請求項13】
請求項11または12に記載の食品または飼料フレーバーを含んでなる、調味料。
【請求項14】
前記食品または飼料フレーバーの量が前記調味料の総重量を基準にして0.5〜10%w/wである、請求項13に記載の調味料。
【請求項15】
請求項11または12の飼料または食品フレーバー、または請求項13または14の調味料を含んでなる、食品または飼料。
【請求項16】
前記飼料または食品フレーバーの量が前記食品または飼料の総重量を基準にして0.01〜5%w/wである、請求項16に記載の食品または飼料。
【請求項17】
食品または飼料にフレーバーを与えまたはそれを増強するための、請求項11または12に記載の食品または飼料フレーバーまたは請求項13または14に記載の調味料の使用。
【請求項18】
前記食品または飼料フレーバーが、前記食品または飼料の総重量を基準にして0.01%〜5%w/wの最終濃度に達する量で前記食品または飼料に添加される、請求項17に記載の使用。

【公表番号】特表2012−504400(P2012−504400A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529546(P2011−529546)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062694
【国際公開番号】WO2010/037783
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】