グロメットおよび挿入体取付構造体ならびに挿入体の取付方法
【課題】挿入体(例えば、ポンプ)が取付孔にグロメットを介して取付けられた挿入体取付構造体(例えば、ウォッシャ装置)において、挿入体の取り付けを容易にすることが可能なグロメットおよびこれを用いた挿入体取付構造体ならびに挿入体の取付方法を提供する。
【解決手段】ウォッシャ装置1は、側壁部11に形成された取付孔12に取付けられた弾性材料からなる筒状のグロメット30を介してウォッシャポンプ20が取付孔12に取付けられている。グロメット30は、その内周面35に潤滑液(ウォッシャ液2)を保持する潤滑部36が点対称位置に形成された。潤滑部36は、内周面35の全周にわたって形成されており、内周面35に形成された微小凹凸面(シボ面)である。
【解決手段】ウォッシャ装置1は、側壁部11に形成された取付孔12に取付けられた弾性材料からなる筒状のグロメット30を介してウォッシャポンプ20が取付孔12に取付けられている。グロメット30は、その内周面35に潤滑液(ウォッシャ液2)を保持する潤滑部36が点対称位置に形成された。潤滑部36は、内周面35の全周にわたって形成されており、内周面35に形成された微小凹凸面(シボ面)である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグロメットおよび挿入体取付構造体ならびに挿入体の取付方法に係り、特に壁部に形成された取付孔に挿入体をシールした状態で取付けるためのグロメット,このグロメットを用いた挿入体取付構造体ならびに挿入体の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、車両用ウォッシャ装置は、タンク内に貯留されたウォッシャ液をウォッシャノズル側へ圧送するポンプを備えており、このポンプは、タンクの側壁部に穿設された取付孔に取付けられている。ポンプと取付孔との間には、液漏れを防止(シール)するためにゴム製のグロメットが配設されており、ポンプは、取付孔にグロメットを装着した後、タンクの外側からグロメット内に嵌入される。
ところが、取付孔に装着されたグロメットの内径部にポンプを嵌入する際、グロメット内周面とポンプ外周面との間の摩擦抵抗によって、グロメットが取付孔から外れてタンク内側へずれてしまうおそれがあった。このようにポンプの取付性が悪いため、グロメットを介在させてポンプを取付孔に取付ける工程では自動組付けが困難であるという問題があった。
【0003】
そこで、ポンプのグロメットへの取付性を良好とするために、潤滑液としてタンク内に貯留する液体、すなわち、ウォッシャ液をグロメット内周面とポンプ外周面の少なくとも一方に塗布する方法が採用されることがある。このようにウォッシャ液を潤滑液として使用することにより、グロメット内周面とポンプ外周面との間の摩擦抵抗が低減され、幾分は取付性が向上する。
【0004】
【特許文献1】特開2004−203262号公報(第5−8頁、図1−7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなウォッシャ装置では、グロメットの内周面およびこの内周面と当接するポンプ外周面は、互いに密着させてシール性を確保するために表面粗さが極めて小さな平滑な面に形成されている。そのため、この面に付着する液体の表面張力は大きくぬれ性が悪い。すなわち、塗布されたウォッシャ液は、表面で玉状にはじかれ、グロメット内周面やポンプ外周面に部分的にしか付着させることができない。しかも、ウォッシャ液は周面に局部的に片寄って付着する。このようにウォッシャ液が周方向にバランスよく塗布されないために、自動組付け化した場合には、依然としてポンプ嵌入時に周方向の一部に大きな摩擦抵抗が片寄って生じ、この部分からグロメットがめくれて取付孔から外れてしまい、組付け不良が発生してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、挿入体(例えば、ポンプ)が取付孔にグロメットを介して取付けられた挿入体取付構造体(例えば、ウォッシャ装置)において、挿入体の適切な取り付けを容易にすることが可能なグロメットおよびこれを用いた挿入体取付構造体ならびに挿入体の取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のグロメットは、弾性材料からなり、液体が貯留されるタンクの壁部に形成された取付孔に挿入されると共に、内周面に挿入体が挿入されることにより該挿入体を前記取付孔に保持する略筒状のグロメットであって、前記内周面には、潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されたことを特徴としている。
また、本発明の挿入体取付構造体は、壁部に形成された取付孔に取付けられた弾性材料からなる筒状のグロメットを介して挿入体が前記取付孔に取付けられた挿入体取付構造体であって、前記グロメットは、その内周面に潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されたことを特徴としている。
【0008】
本発明では、壁部の取付孔にグロメットを装着し、そのグロメットの内周面に挿入体(例えば、ウォッシャポンプや液量検出器等)を挿入して、取付孔と挿入体との間をシールしつつ挿入体を壁部に取付ける場合、グロメットの内周面には潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置にバランスよく形成されているため、挿入体とグロメットの内周面との摩擦抵抗が低減された低摩擦部位を周方向にバランスよく配置できるので、一部に片寄った高摩擦抵抗部分が発生することを防止して挿入体をスムーズに組付けでき、組付け作業性を向上させることができる。また、一部に片寄った高摩擦抵抗部分が発生するのを防止することができるので、挿入体の挿入が進むにしたがって周方向の一部の高摩擦抵抗部位からグロメットが徐々にめくれて外れてしまうことを防止でき、自動組付けの際の組付け不良の発生をも低減することができる。
【0009】
また、前記潤滑部は、前記内周面の全周にわたって形成されると好適である。すなわち、潤滑部がグロメットの内周面に全周にわたって形成されると、挿入体の挿入時の摩擦抵抗が全周にわたって極めて小さくなり、局所的に摩擦抵抗の大きな部位が生じることを確実に防止することができる。これにより、挿入体の挿入時にグロメットのめくれによる組付け不良の発生をより低減することができ、自動組付け化に好適である。
【0010】
また、具体的には、前記潤滑部は、前記内周面に形成された微小凹凸面とすることができる。このように、潤滑部を微小凹凸面とすることで毛管現象によって潤滑液が潤滑部全体へ浸透して拡がると共に保持(保水)されるので、付着した潤滑液が表面張力によって一部に集まってしまうのを防止することができる。これにより、潤滑液が局所的に塗布された状態となってしまうことを改善することができるので、挿入体の挿入を安定してスムーズに行うことが可能となり、良好な組付け性を得ることができる。
【0011】
また、前記内周面は、挿入体の保持状態において挿入体の外周面と全周で液密に密着するシール面を備え、該シール面を除いた領域に前記潤滑部が形成されると好適である。また、前記挿入体の外周面には、その全周にわたって、前記グロメットへの組付け完了状態で該グロメットの内周面に向けて食い込むようにシール突起が突出形成され、前記グロメットは、前記挿入体が挿入される挿入方向において、前記内周面のうち前記シール突起が食い込むシール領域を除いた領域に前記潤滑部が形成されると好適である。
【0012】
このように、挿入体の外周面の全周にシール突起を設け、このシール突起を組付け完了状態においてグロメットの内周面に向けて食い込ませることによってシール性を確保することができる。そして、本発明では、このグロメットの内周面の食い込み部分(シール領域)には潤滑部を形成しないことで、シール突起をグロメットの内周面に高圧接させると共に密着させることができるので、シール性をさらに向上させることが可能となる。また、シール領域以外では、潤滑部により挿入体を低摩擦抵抗状態で挿入可能となっているから組付け作業性が向上し、自動組付けにおいても組付け不良が発生せず適正に組付けることができる。
【0013】
また、本発明の挿入体の取付方法は、壁部に形成された取付孔に、弾性材料からなる筒状のグロメットを介して挿入体を前記取付孔に取付ける挿入体の取付方法であって、前記グロメットには、その内周面に潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されており、前記グロメットの内周面および前記挿入体の外周面の少なくとも一方に予め潤滑液を塗布する塗布工程と、前記グロメットを前記取付孔に装着するグロメット装着工程と、前記取付孔に装着された前記グロメットの内周面に前記挿入体を挿通して取付ける取付工程と、を有することを特徴としている。
【0014】
本発明では、挿入体をグロメットの内周面に組付けるに先立って、予めグロメットの内周面および挿入体の外周面の何れか一方に潤滑液を塗布する。予めグロメットに潤滑液を塗布した場合は、グロメットの潤滑部によって潤滑液が周方向にバランスよく保持(保水)されるので、挿入体をスムーズに低抵抗で挿入することができる。また、予め挿入体に潤滑液を塗布した場合は、挿入体をグロメットに挿入するときに挿入体外周面の潤滑液がグロメットの潤滑部に接触して潤滑部に浸透して行き渡り、潤滑液が周方向にバランスよく保持(保水)されるので、挿入体をスムーズに低抵抗で挿入することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、挿入体が取付孔にグロメットを介して取付けられた挿入体取付構造体において、グロメットの内周面に潤滑液を表面に保持することが可能な潤滑部を点対称位置に設けたので、挿入体のグロメットへの適切な取付けを容易とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1〜図6,図8は本発明の一実施形態に係るものであり、図1はウォッシャ装置の側面図、図2は図1のウォッシャポンプの説明図、図3は図1のグロメットの一部断面図、図4は図1のグロメットの断面斜視図、図5は図1のグロメットの断面説明図、図6は図1のウォッシャポンプの取付け状態の説明図、図8は図1のウォッシャポンプの組付け工程の説明図である。
図7,図9〜図13は本発明の他の実施形態に係るものであり、図7,図9はグロメットの断面斜視図、図10は液量検出装置の説明図、図11は図10の液量検出器の分解斜視図、図12は図10のグロメットの一部断面図、図13は図10の液量検出器の取付け状態の説明図である。
【0017】
以下に、本発明をウォッシャ装置1(以下、「装置1」という)に適用した一実施形態を示す。図1,図2に示すように、挿入体取付構造体としてのウォッシャ装置1は、ウォッシャ液(洗浄液)2を貯留するタンク10と、タンク10の取付孔12に装着されたグロメット30と、このグロメット30を介在させて取付孔12に液密的に取付けられた挿入体としてのウォッシャポンプ20(以下、「ポンプ20」という)を主要構成要素としている。取付孔12は、タンク10の底部近傍の側壁部11に穿設されている。
【0018】
ポンプ20は、タンク10内のウォッシャ液2をウォッシャノズル(不図示)へ圧送するものであり、略円柱形状のハウジング21と、ハウジング21の一端側に配設されたコネクタ部29を備えている。
ハウジング21の左側には吸入口21aが設けられ、右側には吐出口21bが設けられている。ポンプ20は、ハウジング21の軸線方向に沿って吸入口21a側から取付孔12に挿入され、ハウジング21の一部がタンク10内に配置されるよう取付孔12に取り付けられている。
ハウジング21内のモータ室には、電動モータ(不図示)が収容されており、電動モータはコネクタ部29から電源供給されることによって作動するように構成されている。電動モータが作動すると電動モータの回転軸に固定されたインペラ(不図示)が回転され、モータ室の液密に区画されたポンプ室内に吸入口21aからウォッシャ液2が吸い込まれ、吸い込まれたウォッシャ液2は、昇圧された状態で吐出口21bから送出される。送出されるウォッシャ液2は、吐出口21bに接続された不図示のホースを経由してウォッシャノズルへ圧送される。
【0019】
ハウジング21には、中間部位にグロメット30を取付けるための略円筒状のグロメット取付部22が形成されている。このグロメット取付部22の吸入口21a側には、グロメット取付部22よりも拡径されたフランジ状の第1規制部23aが形成され、吐出口21b側には、同様にグロメット取付部22よりも拡径されたフランジ状の第2規制部23bが形成されている。
グロメット取付部22には、第1規制部23aと第2規制部23bの軸方向中間点よりもやや第1規制部23a寄り、すなわち、タンク10の側壁部11のタンク内部側に位置するように、2条のシール突起24が並列してグロメット取付部22の外周面22aの全周にわたって連続して形成されている。
【0020】
シール突起24は、グロメット30の内周面35と液密状態で当接するシール部である。本例のシール突起24は、外周面22aから断面略三角形状に突出するように形成されている。
また、本例では、グロメット取付部22は、シール突起24よりも第1規制部23a側の方が、第2規制部23b側よりもわずかに小径に形成されている。
【0021】
本例のグロメット30は、図3,図4に示すように、全体としてやや偏平な略円筒状の部材であり、弾性材料としてのゴム材により形成されている。このグロメット30は、ハウジング21の外周面22aと取付孔12の内周面12aとの間をシールすると共に、ポンプ20を取付孔12に保持するものである。なお、グロメット30の素材である弾性材料は、エラストマー材(ゴム状弾性ポリマ)等を用いてもよい。
グロメット30は、外観上、円筒状の本体部31と、本体部31の右側に連続して形成され本体部31よりも拡径されたフランジ状のグロメットガイド32と、本体部31の左側に連続して形成され本体部31よりも径方向外側へ突出する断面山型の環状の拡径部33とを備えて構成されている。
【0022】
また、本体部31には、わずかにグロメットガイド32寄りに本体部31の外周面31aから径方向外側へ突出するように、断面略三角形状をなす2条のリング状のグロメットリブ34が形成されている。本例では、2本のグロメットリブ34が並列して外周面31aの全周にわたって連続して設けられている。
グロメット30の軸方向長さ(厚さ)は、ポンプ20のハウジング21の第1規制部23aと第2規制部23bの内のりよりもわずかに小さく設定されている。したがって、グロメット30にポンプ20が挿入されグロメット取付部22にグロメット30が嵌り込んだ状態では、ポンプ20は第1規制部23aおよび第2規制部23bによって軸方向の移動が規制される。すなわち、ポンプ20にタンク10から引き抜く方向の外力が掛かった場合には、第1規制部23aがグロメット30の左端部と当接し、それ以上の移動が規制される。また、ポンプ20にタンク10内へ押し込む方向の外力が掛かった場合には、第2規制部23bがグロメット30の右端部と当接し、それ以上の移動が規制される。
【0023】
また、グロメット30の左右両端部を内周側で連結する内周面35には、軸方向に略同径の円周面部35bと、円周面部35bの左側に連続して形成され円周面部35bよりも縮径するように形成された縮径部35aと、円周面部35bの右側に連続して形成され開口側ほど拡径する斜面部35cとが形成されている。
本体部31の外周面31aの外径は取付孔12の内径と略同一(詳しくは、取付孔12の内径よりも若干大きい)に形成されている。これにより、取付孔12にグロメット30を挿入すると、グロメット30は取付孔12との当接部位である本体部31がわずかに縮径され弾性圧縮された状態となる。
また、本体部31の円周面部35bの内径は、ハウジング21のグロメット取付部22の外周面22aの外径と略同一(詳しくは、外周面22aの外径よりも若干小さい)に形成されている。これにより、内周面35にポンプ20を挿入すると、グロメット30は、グロメット取付部22によって内周面35がわずかに拡径され弾性変形した状態となる。
【0024】
図5に示すように、本例の内周面35には、一部の領域を除いてシボ加工が施され、微小凹凸面が形成されている。すなわち、本例では、内周面35のうち、縮径部35aとこれに連なる円周面部35bの一部領域を領域A、領域Aよりも右側(斜面部35c側)に位置しグロメットリブ34の一部と径方向にわずかに重なる範囲までを領域B、領域Bよりも右側の円周面部35bおよび斜面部35cを領域Cとすると、領域Aおよび領域Cはシボ加工が施され微小凹凸面となっており、領域Bはシボ加工が施されておらず平滑面となっている。
なお、本例のグロメット30では、内周面35以外の周面(すなわち、外周面31a等)は、シボ加工が施されておらず、平滑な面となっている。
【0025】
本例では、シボ加工が施された領域A,Cが潤滑部36であり、シボ加工が施されていない領域Bがシール面37である。
シボ加工が施されていないシール面37は、表面粗さが小さい平滑な面となっている。シール面37は、図6に示すように取付時には少なくともハウジング21のシール突起24と全周にわたって当接する軸方向位置,軸方向長さ(幅)に設定されている。図6のように、グロメット30の内周面35にポンプ20を挿入して、グロメット取付部22がグロメット30の内周面35と当接した状態では、シール突起24がシール面37に食い込んでグロメット30が局所的に弾性圧縮された状態となると共に、シール突起24の軸方向の前後においてもグロメット30が弾性圧縮状態で当接する。
【0026】
そして、このシール面37は平滑に形成されているから、ハウジング21のグロメット取付部22の外周面22aと、シール面37とは、液密状態で密着し確実にシールされた状態となる。
一方、潤滑部36はシボ加工が施されているから、表面に微小な凹凸が多数形成された状態となっている。これにより、潤滑部36はその表面に付着する液体の表面張力が小さくぬれ性に優れたものとなり、ウォッシャ液2が潤滑液として表面に塗布された場合、毛管現象により潤滑部36全体へ浸透して拡がり易くなる。
したがって、ウォッシャ液2のように粘性の低い液体を潤滑液として塗布しても、グロメット30は、ウォッシャ液2を潤滑部36の全面にわたって保持(保水)することができる。
【0027】
これに対して、シール面37は平滑な面であるから、その表面に付着する液体の表面張力が大きく、ウォッシャ液2を塗布した場合には、ウォッシャ液2の表面張力によって玉状になってしまい、全面に液膜を形成することができない。これと同様に、従来のようにグロメットの内周全面が平滑に形成されていると、潤滑液としてウォッシャ液を塗布しても玉状になってしまい、内周面の一部に局所的にしかウォッシャ液を付着させることができなかった。
なお、図6に示すように、取付孔12にグロメット30を取付けると、取付孔12の内周面12aとグロメット30のグロメットリブ34とが当接し、グロメットリブ34が弾性的に変形する。これにより、タンク10とグロメット30とのシール性能が確保される。
【0028】
なお、本例では、潤滑部36を内周面35の軸中心点に対して点対称に配置するために、潤滑部36を内周面35の全周にわたって形成していたが、これに限らず、潤滑部36を周方向に分離して内周面35の複数箇所に形成してもよい。
例えば、図7に示すように、内周面35を中心角略30度毎に12の領域を設定し、これらの領域に周方向に1つおきにシボ加工を施すように構成することができる。シボ加工を施した領域とシボ加工を施していない領域が等角度間隔でなくてもよい。
このように、周方向に分離しても内周面35の軸中心点Oに対して点対称位置に潤滑部36が形成されていれば、塗布したウォッシャ液2が周方向にバランスよく保持される。これにより、後述するようにグロメット30の内周面35にポンプ20を挿入していく工程では、ポンプ20およびグロメット30に対して周方向に略均一に分散して抵抗力が掛かるので、グロメット30に局所的に偏った高摩擦抵抗部分が生じることがなく、グロメット30が部分的にめくれたり引っ掛かったりすることなく、スムーズに挿入していくことができる。
【0029】
次に、図8に基づいて、本例の装置1の組付け工程について説明する。この組付け工程では、グロメット30の内周面35およびポンプ20のハウジング21表面の少なくとも一方に予めウォッシャ液2を塗布する塗布工程と、グロメット30を取付孔12に装着するグロメット装着工程と、取付孔12に装着されたグロメット30の内周面35にポンプ20を挿通して取付ける挿入体取付工程とが行われる。
塗布工程でウォッシャ液2をグロメット30の内周面35にスプレー等によって塗布すると、上述のように潤滑部36にはウォッシャ液2が薄膜状に保持される。一方、塗布工程でウォッシャ液2をポンプ20のハウジング21表面にスプレー等によって塗布すると、所定量のウォッシャ液2がハウジング21の表面上に保持される。
【0030】
グロメット装着工程では、グロメット30を拡径部33側から取付孔12に嵌入していく。嵌入していくと、グロメット30は取付孔12の内周面12aに規制されて弾性変形する。所定位置まで押し込むと、グロメットガイド32が取付孔12周縁の側壁部11と当接して止まり位置決めされる。このとき、取付孔12の内周面12aとグロメット30のグロメットリブ34とが当接し、グロメットリブ34が弾性変形した状態となる。
挿入体取付工程では、ポンプ20を吸入口21a側からグロメット30内に嵌入していく。このとき、ハウジング21は、第1規制部23aよりも吸入口21a側はグロメット30の内周面35の内径よりも小さいので、摺接することなく挿入されていくが、第1規制部23a付近は内周面35の内径よりも大きく、また、グロメット取付部22は内周面35の内径と略同径であるので、第1規制部23aよりも奥まで挿入していくと内周面35とハウジング21の外周面とが当接し、グロメット30には、これを外側へ拡げるような力が加わる。
また、取付孔12の内周面12aとハウジング21の外周面とによって挟まれる箇所には、大きな圧縮力が加わる。
【0031】
ところで、本例のグロメット30は、内周面35に潤滑部36が設けられており、塗布工程で潤滑部36にウォッシャ液2が塗布された場合には、内周面35の周方向に略均一にウォッシャ液2が保持されるので、圧縮力に起因して周方向の一部に片寄って局所的に高摩擦抵抗部分が生じてしまうことが防止され、摩擦抵抗が周方向に略均等にバランスよく分散される。そして、潤滑剤として機能するウォッシャ液2によって摩擦抵抗が低減化されスムーズな挿入が可能となる。
また、塗布工程でウォッシャ液2がハウジング21表面に塗布された場合には、ハウジング21をグロメット30に挿入していく段階で、ハウジング21の外周面に保持されたウォッシャ液2がグロメット30の潤滑部36に付着して浸透し全体に行き渡る。これにより、周方向の一部に片寄って局所的に高摩擦抵抗部分が生じることが防止され、摩擦抵抗が周方向に略均等にバランスよく分散される。そして、潤滑剤として機能するウォッシャ液2によって摩擦抵抗が低減化されスムーズな挿入が可能となる。
【0032】
このようにしてポンプ20をグロメット30内に嵌入していくと、第2規制部23bがグロメット30のグロメットガイド32と当接して止まる。これにより、所定位置までポンプ20が挿入される。このとき、ハウジング21のシール突起24がグロメット30のシール面37と高圧接して液密状態となる。
以上のように、本例の装置1では、グロメット30の内周面35の点対称位置にウォッシャ液2を保水して薄液膜を形成することが可能な潤滑部36が形成されたことにより、グロメット30内へポンプ20を容易に嵌入することができる。このようにスムーズにポンプ20をグロメット30内へ取付けることが可能であるので、取付不良の発生率が極めて低減され、この工程の自動化を図ることができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、グロメット30の内周面35の一部の領域にシボ加工を施すことにより微小凹凸面を形成し、これを潤滑部36としていたが、潤滑液を周方向にわたって保持(保水)することができれば、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図9に示すように構成してもよい。図9(A)の例では、複数の低背突条を略軸方向と平行に形成することにより潤滑部36を構成している。すなわち、内周面35の領域A,Cに軸方向と平行にセレーションを形成している。また、図9(B)の例では、内周面35の領域A,Cに多数の微小寸法の凹部(ディンプル)を形成することにより潤滑部36を構成している。これら以外にも、内周面35に格子状や網目状の浅溝を形成したり、内周面35に多数の微小凸半球を形成したりしてもよい。さらに、図7に示したように、周方向に潤滑部36を分離して形成してもよい。
このように、例えば図9(A),(B)のように構成してもぬれ性が良好な微小凹凸面である潤滑部36を形成することができ、ウォッシャ液2を塗布したときに、ウォッシャ液2が玉状にならず、表面に液膜として保持することができる。
【0034】
また、上記実施形態では、本発明をウォッシャ装置1に適用した例を示したが、これに限らず、図10〜図13に示すように、本発明を液量検出装置100に適用してもよい。
図10に示すように、本例の液量検出装置100は、ウォッシャ液2を貯留するタンク110の底壁部111に穿設された取付孔112に、グロメット130を介在させて液量検出器120を取付けた構成である。
図11に示すように、本例の液量検出器120は、合成樹脂製の有底円筒形状のハウジング121を備えている。ハウジング121は、下端部にフランジ123が形成され、その下方には受け部124が形成されている。受け部124には、リードスイッチ125が嵌入されている。このリードスイッチ125は、内蔵された磁性体リード(不図示)が磁力によって移動することによってON/OFF動作をするようになっている。
【0035】
ハウジング121の内周壁には、一対の突条122が軸線方向に沿って突出形成されている。またハウジング121内には、略円柱形状のフロート126が配置されている。このフロート126は、外周面に切込み形成された一対の筋状の凹部126aに、ハウジング121の突条122が嵌まり込み、これによって軸線方向にのみ移動可能となっている。
フロート126の底部には、マグネット126b(図13参照)が固着されており、フロート126がハウジング121内を上下移動して底部へ接近したときには、マグネット126bの磁力によってリードスイッチ125が作動するようになっている。すなわち、タンク110内のウォッシャ液2が減少して液面が所定高さまで下がると、液面高さに連動するフロート126はハウジング121内で底部に近接する。これにより、リードスイッチ125が作動し、ウォッシャ液2が所定量以下となったことを表す信号が外部へ出力される。
また、ハウジング121の周壁の上端部には一対の係止孔128が穿設され、中央部よりやや下寄りに一対の連通孔129が形成されている。さらに、ハウジング121の下端部側に上記実施形態と同様なリング状のシール突起を設けてもよい。
【0036】
ハウジング121の上端開口部には、合成樹脂製の円盤状のキャップ127が取付けられている。キャップ127には、周縁部の一部から下方へ一対の爪127aが形成されている。キャップ127は、この爪127aがハウジング121の上端部に穿設された係止孔128に嵌り込むことによって、ハウジング121に固定されるようになっている。
キャップ127の中央部には透孔127bが形成されており、これにより外部(タンク110内)とハウジング121内部とが連通されている。
【0037】
図12に示すように、本例のグロメット130は、上記実施形態のグロメット30と同様に弾性材料としてのゴム材によって形成されたものであり、円筒状の本体部131の下方にグロメットガイド132が形成され、上方に拡径部133が形成された構成である。本例では、グロメットガイド132の内径側にリング状の凹部132aが形成されており、グロメット130の内周面135に液量検出器120を装着したときには、凹部132aにフランジ123が嵌り込むようになっている(図13参照)。
【0038】
そして、本例のグロメット130においても、その内周面135には、潤滑部136とシール面137とが形成されている。潤滑部136は領域Aおよび領域Cの全周にわたって形成され、シール面137は領域Bの全周にわたって形成されている。本例においても、潤滑部136は内周面135にシボ加工が施されたものである。また、これに限らず、図9等に示したように他の構成によって微小凹凸面を形成し、ウォッシャ液等の潤滑液を表面に保持できるようにしてもよい。
なお、ハウジング121にシール突起を形成した場合には、取付状態でシール面137と当接する軸方向位置にシール突起を形成するとよい。
【0039】
このように形成されたグロメット130を介してタンク110の取付孔112に液量検出器120を取付ける際には、まず外部から取付孔112にグロメット130を装着し、その後、外部から液量検出器120をグロメット130の内周面135に嵌入させる。その際、グロメット130の内周面135または液量検出器120のハウジング121外周面にウォッシャ液2を塗布しておく。これにより、上記実施形態と同様に、グロメット130の潤滑部136にウォッシャ液2が薄膜状に保持される。このとき、ウォッシャ液2は、グロメット130の内周面135の全周にわたって保持される(すなわち、点対称に保持される)ので、液量検出器120を嵌入する際の抵抗力が周方向にバランスよく均等に作用すると共に、ウォッシャ液2の潤滑作用により摩擦抵抗が減少される。これにより、グロメット130に局所的な高摩擦抵抗部分が生じることが防止され、グロメット130の一部がめくれてしまうことなく液量検出器120をスムーズに挿入することが可能となる。
【0040】
なお、上記実施形態では、本発明をウォッシャ装置1,液量検出装置100に適用した例を示したが、これに限らず、壁部に形成された取付孔にグロメットを介在させて挿入体を取付ける構造を有する挿入体取付構造体であれば、上記実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係るウォッシャ装置の側面図である。
【図2】図1のウォッシャポンプの説明図である。
【図3】図1のグロメットの一部断面図である。
【図4】図1のグロメットの断面斜視図である。
【図5】図1のグロメットの断面説明図である。
【図6】図1のウォッシャポンプの取付け状態の説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るグロメットの断面斜視図である。
【図8】図1のウォッシャポンプの組付け工程の説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るグロメットの断面斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る液量検出装置の説明図である。
【図11】図10の液量検出器の分解斜視図である。
【図12】図10のグロメットの一部断面図である。
【図13】図10の液量検出器の取付け状態の説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1‥ウォッシャ装置、2‥ウォッシャ液、10‥タンク、11‥側壁部、
12‥取付孔、12a‥内周面、20‥ウォッシャポンプ、21‥ハウジング、
21a‥吸入口、21b‥吐出口、22‥グロメット取付部、22a‥外周面、
23a‥第1規制部、23b‥第2規制部、24‥シール突起、29‥コネクタ部、
30‥グロメット、31‥本体部、31a‥外周面、32‥グロメットガイド、
33‥拡径部、34‥グロメットリブ、35‥内周面、35a‥縮径部、
35b‥円周面部、35c‥斜面部、36‥潤滑部、37‥シール面、
100‥液量検出装置、110‥タンク、111‥底壁部、112‥取付孔、
120‥液量検出器、121‥ハウジング、122‥突条、123‥フランジ、
124‥受け部、125‥リードスイッチ、126‥フロート、126a‥凹部、
126b‥マグネット、127‥キャップ、127a‥爪、127b‥透孔、
128‥係止孔、129‥連通孔、130‥グロメット、131‥本体部、
132‥グロメットガイド、132a‥凹部、133‥拡径部、135‥内周面、
136‥潤滑部、137‥シール面、A,B,C‥領域、O‥軸中心点
【技術分野】
【0001】
本発明はグロメットおよび挿入体取付構造体ならびに挿入体の取付方法に係り、特に壁部に形成された取付孔に挿入体をシールした状態で取付けるためのグロメット,このグロメットを用いた挿入体取付構造体ならびに挿入体の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、車両用ウォッシャ装置は、タンク内に貯留されたウォッシャ液をウォッシャノズル側へ圧送するポンプを備えており、このポンプは、タンクの側壁部に穿設された取付孔に取付けられている。ポンプと取付孔との間には、液漏れを防止(シール)するためにゴム製のグロメットが配設されており、ポンプは、取付孔にグロメットを装着した後、タンクの外側からグロメット内に嵌入される。
ところが、取付孔に装着されたグロメットの内径部にポンプを嵌入する際、グロメット内周面とポンプ外周面との間の摩擦抵抗によって、グロメットが取付孔から外れてタンク内側へずれてしまうおそれがあった。このようにポンプの取付性が悪いため、グロメットを介在させてポンプを取付孔に取付ける工程では自動組付けが困難であるという問題があった。
【0003】
そこで、ポンプのグロメットへの取付性を良好とするために、潤滑液としてタンク内に貯留する液体、すなわち、ウォッシャ液をグロメット内周面とポンプ外周面の少なくとも一方に塗布する方法が採用されることがある。このようにウォッシャ液を潤滑液として使用することにより、グロメット内周面とポンプ外周面との間の摩擦抵抗が低減され、幾分は取付性が向上する。
【0004】
【特許文献1】特開2004−203262号公報(第5−8頁、図1−7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなウォッシャ装置では、グロメットの内周面およびこの内周面と当接するポンプ外周面は、互いに密着させてシール性を確保するために表面粗さが極めて小さな平滑な面に形成されている。そのため、この面に付着する液体の表面張力は大きくぬれ性が悪い。すなわち、塗布されたウォッシャ液は、表面で玉状にはじかれ、グロメット内周面やポンプ外周面に部分的にしか付着させることができない。しかも、ウォッシャ液は周面に局部的に片寄って付着する。このようにウォッシャ液が周方向にバランスよく塗布されないために、自動組付け化した場合には、依然としてポンプ嵌入時に周方向の一部に大きな摩擦抵抗が片寄って生じ、この部分からグロメットがめくれて取付孔から外れてしまい、組付け不良が発生してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、挿入体(例えば、ポンプ)が取付孔にグロメットを介して取付けられた挿入体取付構造体(例えば、ウォッシャ装置)において、挿入体の適切な取り付けを容易にすることが可能なグロメットおよびこれを用いた挿入体取付構造体ならびに挿入体の取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のグロメットは、弾性材料からなり、液体が貯留されるタンクの壁部に形成された取付孔に挿入されると共に、内周面に挿入体が挿入されることにより該挿入体を前記取付孔に保持する略筒状のグロメットであって、前記内周面には、潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されたことを特徴としている。
また、本発明の挿入体取付構造体は、壁部に形成された取付孔に取付けられた弾性材料からなる筒状のグロメットを介して挿入体が前記取付孔に取付けられた挿入体取付構造体であって、前記グロメットは、その内周面に潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されたことを特徴としている。
【0008】
本発明では、壁部の取付孔にグロメットを装着し、そのグロメットの内周面に挿入体(例えば、ウォッシャポンプや液量検出器等)を挿入して、取付孔と挿入体との間をシールしつつ挿入体を壁部に取付ける場合、グロメットの内周面には潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置にバランスよく形成されているため、挿入体とグロメットの内周面との摩擦抵抗が低減された低摩擦部位を周方向にバランスよく配置できるので、一部に片寄った高摩擦抵抗部分が発生することを防止して挿入体をスムーズに組付けでき、組付け作業性を向上させることができる。また、一部に片寄った高摩擦抵抗部分が発生するのを防止することができるので、挿入体の挿入が進むにしたがって周方向の一部の高摩擦抵抗部位からグロメットが徐々にめくれて外れてしまうことを防止でき、自動組付けの際の組付け不良の発生をも低減することができる。
【0009】
また、前記潤滑部は、前記内周面の全周にわたって形成されると好適である。すなわち、潤滑部がグロメットの内周面に全周にわたって形成されると、挿入体の挿入時の摩擦抵抗が全周にわたって極めて小さくなり、局所的に摩擦抵抗の大きな部位が生じることを確実に防止することができる。これにより、挿入体の挿入時にグロメットのめくれによる組付け不良の発生をより低減することができ、自動組付け化に好適である。
【0010】
また、具体的には、前記潤滑部は、前記内周面に形成された微小凹凸面とすることができる。このように、潤滑部を微小凹凸面とすることで毛管現象によって潤滑液が潤滑部全体へ浸透して拡がると共に保持(保水)されるので、付着した潤滑液が表面張力によって一部に集まってしまうのを防止することができる。これにより、潤滑液が局所的に塗布された状態となってしまうことを改善することができるので、挿入体の挿入を安定してスムーズに行うことが可能となり、良好な組付け性を得ることができる。
【0011】
また、前記内周面は、挿入体の保持状態において挿入体の外周面と全周で液密に密着するシール面を備え、該シール面を除いた領域に前記潤滑部が形成されると好適である。また、前記挿入体の外周面には、その全周にわたって、前記グロメットへの組付け完了状態で該グロメットの内周面に向けて食い込むようにシール突起が突出形成され、前記グロメットは、前記挿入体が挿入される挿入方向において、前記内周面のうち前記シール突起が食い込むシール領域を除いた領域に前記潤滑部が形成されると好適である。
【0012】
このように、挿入体の外周面の全周にシール突起を設け、このシール突起を組付け完了状態においてグロメットの内周面に向けて食い込ませることによってシール性を確保することができる。そして、本発明では、このグロメットの内周面の食い込み部分(シール領域)には潤滑部を形成しないことで、シール突起をグロメットの内周面に高圧接させると共に密着させることができるので、シール性をさらに向上させることが可能となる。また、シール領域以外では、潤滑部により挿入体を低摩擦抵抗状態で挿入可能となっているから組付け作業性が向上し、自動組付けにおいても組付け不良が発生せず適正に組付けることができる。
【0013】
また、本発明の挿入体の取付方法は、壁部に形成された取付孔に、弾性材料からなる筒状のグロメットを介して挿入体を前記取付孔に取付ける挿入体の取付方法であって、前記グロメットには、その内周面に潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されており、前記グロメットの内周面および前記挿入体の外周面の少なくとも一方に予め潤滑液を塗布する塗布工程と、前記グロメットを前記取付孔に装着するグロメット装着工程と、前記取付孔に装着された前記グロメットの内周面に前記挿入体を挿通して取付ける取付工程と、を有することを特徴としている。
【0014】
本発明では、挿入体をグロメットの内周面に組付けるに先立って、予めグロメットの内周面および挿入体の外周面の何れか一方に潤滑液を塗布する。予めグロメットに潤滑液を塗布した場合は、グロメットの潤滑部によって潤滑液が周方向にバランスよく保持(保水)されるので、挿入体をスムーズに低抵抗で挿入することができる。また、予め挿入体に潤滑液を塗布した場合は、挿入体をグロメットに挿入するときに挿入体外周面の潤滑液がグロメットの潤滑部に接触して潤滑部に浸透して行き渡り、潤滑液が周方向にバランスよく保持(保水)されるので、挿入体をスムーズに低抵抗で挿入することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、挿入体が取付孔にグロメットを介して取付けられた挿入体取付構造体において、グロメットの内周面に潤滑液を表面に保持することが可能な潤滑部を点対称位置に設けたので、挿入体のグロメットへの適切な取付けを容易とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1〜図6,図8は本発明の一実施形態に係るものであり、図1はウォッシャ装置の側面図、図2は図1のウォッシャポンプの説明図、図3は図1のグロメットの一部断面図、図4は図1のグロメットの断面斜視図、図5は図1のグロメットの断面説明図、図6は図1のウォッシャポンプの取付け状態の説明図、図8は図1のウォッシャポンプの組付け工程の説明図である。
図7,図9〜図13は本発明の他の実施形態に係るものであり、図7,図9はグロメットの断面斜視図、図10は液量検出装置の説明図、図11は図10の液量検出器の分解斜視図、図12は図10のグロメットの一部断面図、図13は図10の液量検出器の取付け状態の説明図である。
【0017】
以下に、本発明をウォッシャ装置1(以下、「装置1」という)に適用した一実施形態を示す。図1,図2に示すように、挿入体取付構造体としてのウォッシャ装置1は、ウォッシャ液(洗浄液)2を貯留するタンク10と、タンク10の取付孔12に装着されたグロメット30と、このグロメット30を介在させて取付孔12に液密的に取付けられた挿入体としてのウォッシャポンプ20(以下、「ポンプ20」という)を主要構成要素としている。取付孔12は、タンク10の底部近傍の側壁部11に穿設されている。
【0018】
ポンプ20は、タンク10内のウォッシャ液2をウォッシャノズル(不図示)へ圧送するものであり、略円柱形状のハウジング21と、ハウジング21の一端側に配設されたコネクタ部29を備えている。
ハウジング21の左側には吸入口21aが設けられ、右側には吐出口21bが設けられている。ポンプ20は、ハウジング21の軸線方向に沿って吸入口21a側から取付孔12に挿入され、ハウジング21の一部がタンク10内に配置されるよう取付孔12に取り付けられている。
ハウジング21内のモータ室には、電動モータ(不図示)が収容されており、電動モータはコネクタ部29から電源供給されることによって作動するように構成されている。電動モータが作動すると電動モータの回転軸に固定されたインペラ(不図示)が回転され、モータ室の液密に区画されたポンプ室内に吸入口21aからウォッシャ液2が吸い込まれ、吸い込まれたウォッシャ液2は、昇圧された状態で吐出口21bから送出される。送出されるウォッシャ液2は、吐出口21bに接続された不図示のホースを経由してウォッシャノズルへ圧送される。
【0019】
ハウジング21には、中間部位にグロメット30を取付けるための略円筒状のグロメット取付部22が形成されている。このグロメット取付部22の吸入口21a側には、グロメット取付部22よりも拡径されたフランジ状の第1規制部23aが形成され、吐出口21b側には、同様にグロメット取付部22よりも拡径されたフランジ状の第2規制部23bが形成されている。
グロメット取付部22には、第1規制部23aと第2規制部23bの軸方向中間点よりもやや第1規制部23a寄り、すなわち、タンク10の側壁部11のタンク内部側に位置するように、2条のシール突起24が並列してグロメット取付部22の外周面22aの全周にわたって連続して形成されている。
【0020】
シール突起24は、グロメット30の内周面35と液密状態で当接するシール部である。本例のシール突起24は、外周面22aから断面略三角形状に突出するように形成されている。
また、本例では、グロメット取付部22は、シール突起24よりも第1規制部23a側の方が、第2規制部23b側よりもわずかに小径に形成されている。
【0021】
本例のグロメット30は、図3,図4に示すように、全体としてやや偏平な略円筒状の部材であり、弾性材料としてのゴム材により形成されている。このグロメット30は、ハウジング21の外周面22aと取付孔12の内周面12aとの間をシールすると共に、ポンプ20を取付孔12に保持するものである。なお、グロメット30の素材である弾性材料は、エラストマー材(ゴム状弾性ポリマ)等を用いてもよい。
グロメット30は、外観上、円筒状の本体部31と、本体部31の右側に連続して形成され本体部31よりも拡径されたフランジ状のグロメットガイド32と、本体部31の左側に連続して形成され本体部31よりも径方向外側へ突出する断面山型の環状の拡径部33とを備えて構成されている。
【0022】
また、本体部31には、わずかにグロメットガイド32寄りに本体部31の外周面31aから径方向外側へ突出するように、断面略三角形状をなす2条のリング状のグロメットリブ34が形成されている。本例では、2本のグロメットリブ34が並列して外周面31aの全周にわたって連続して設けられている。
グロメット30の軸方向長さ(厚さ)は、ポンプ20のハウジング21の第1規制部23aと第2規制部23bの内のりよりもわずかに小さく設定されている。したがって、グロメット30にポンプ20が挿入されグロメット取付部22にグロメット30が嵌り込んだ状態では、ポンプ20は第1規制部23aおよび第2規制部23bによって軸方向の移動が規制される。すなわち、ポンプ20にタンク10から引き抜く方向の外力が掛かった場合には、第1規制部23aがグロメット30の左端部と当接し、それ以上の移動が規制される。また、ポンプ20にタンク10内へ押し込む方向の外力が掛かった場合には、第2規制部23bがグロメット30の右端部と当接し、それ以上の移動が規制される。
【0023】
また、グロメット30の左右両端部を内周側で連結する内周面35には、軸方向に略同径の円周面部35bと、円周面部35bの左側に連続して形成され円周面部35bよりも縮径するように形成された縮径部35aと、円周面部35bの右側に連続して形成され開口側ほど拡径する斜面部35cとが形成されている。
本体部31の外周面31aの外径は取付孔12の内径と略同一(詳しくは、取付孔12の内径よりも若干大きい)に形成されている。これにより、取付孔12にグロメット30を挿入すると、グロメット30は取付孔12との当接部位である本体部31がわずかに縮径され弾性圧縮された状態となる。
また、本体部31の円周面部35bの内径は、ハウジング21のグロメット取付部22の外周面22aの外径と略同一(詳しくは、外周面22aの外径よりも若干小さい)に形成されている。これにより、内周面35にポンプ20を挿入すると、グロメット30は、グロメット取付部22によって内周面35がわずかに拡径され弾性変形した状態となる。
【0024】
図5に示すように、本例の内周面35には、一部の領域を除いてシボ加工が施され、微小凹凸面が形成されている。すなわち、本例では、内周面35のうち、縮径部35aとこれに連なる円周面部35bの一部領域を領域A、領域Aよりも右側(斜面部35c側)に位置しグロメットリブ34の一部と径方向にわずかに重なる範囲までを領域B、領域Bよりも右側の円周面部35bおよび斜面部35cを領域Cとすると、領域Aおよび領域Cはシボ加工が施され微小凹凸面となっており、領域Bはシボ加工が施されておらず平滑面となっている。
なお、本例のグロメット30では、内周面35以外の周面(すなわち、外周面31a等)は、シボ加工が施されておらず、平滑な面となっている。
【0025】
本例では、シボ加工が施された領域A,Cが潤滑部36であり、シボ加工が施されていない領域Bがシール面37である。
シボ加工が施されていないシール面37は、表面粗さが小さい平滑な面となっている。シール面37は、図6に示すように取付時には少なくともハウジング21のシール突起24と全周にわたって当接する軸方向位置,軸方向長さ(幅)に設定されている。図6のように、グロメット30の内周面35にポンプ20を挿入して、グロメット取付部22がグロメット30の内周面35と当接した状態では、シール突起24がシール面37に食い込んでグロメット30が局所的に弾性圧縮された状態となると共に、シール突起24の軸方向の前後においてもグロメット30が弾性圧縮状態で当接する。
【0026】
そして、このシール面37は平滑に形成されているから、ハウジング21のグロメット取付部22の外周面22aと、シール面37とは、液密状態で密着し確実にシールされた状態となる。
一方、潤滑部36はシボ加工が施されているから、表面に微小な凹凸が多数形成された状態となっている。これにより、潤滑部36はその表面に付着する液体の表面張力が小さくぬれ性に優れたものとなり、ウォッシャ液2が潤滑液として表面に塗布された場合、毛管現象により潤滑部36全体へ浸透して拡がり易くなる。
したがって、ウォッシャ液2のように粘性の低い液体を潤滑液として塗布しても、グロメット30は、ウォッシャ液2を潤滑部36の全面にわたって保持(保水)することができる。
【0027】
これに対して、シール面37は平滑な面であるから、その表面に付着する液体の表面張力が大きく、ウォッシャ液2を塗布した場合には、ウォッシャ液2の表面張力によって玉状になってしまい、全面に液膜を形成することができない。これと同様に、従来のようにグロメットの内周全面が平滑に形成されていると、潤滑液としてウォッシャ液を塗布しても玉状になってしまい、内周面の一部に局所的にしかウォッシャ液を付着させることができなかった。
なお、図6に示すように、取付孔12にグロメット30を取付けると、取付孔12の内周面12aとグロメット30のグロメットリブ34とが当接し、グロメットリブ34が弾性的に変形する。これにより、タンク10とグロメット30とのシール性能が確保される。
【0028】
なお、本例では、潤滑部36を内周面35の軸中心点に対して点対称に配置するために、潤滑部36を内周面35の全周にわたって形成していたが、これに限らず、潤滑部36を周方向に分離して内周面35の複数箇所に形成してもよい。
例えば、図7に示すように、内周面35を中心角略30度毎に12の領域を設定し、これらの領域に周方向に1つおきにシボ加工を施すように構成することができる。シボ加工を施した領域とシボ加工を施していない領域が等角度間隔でなくてもよい。
このように、周方向に分離しても内周面35の軸中心点Oに対して点対称位置に潤滑部36が形成されていれば、塗布したウォッシャ液2が周方向にバランスよく保持される。これにより、後述するようにグロメット30の内周面35にポンプ20を挿入していく工程では、ポンプ20およびグロメット30に対して周方向に略均一に分散して抵抗力が掛かるので、グロメット30に局所的に偏った高摩擦抵抗部分が生じることがなく、グロメット30が部分的にめくれたり引っ掛かったりすることなく、スムーズに挿入していくことができる。
【0029】
次に、図8に基づいて、本例の装置1の組付け工程について説明する。この組付け工程では、グロメット30の内周面35およびポンプ20のハウジング21表面の少なくとも一方に予めウォッシャ液2を塗布する塗布工程と、グロメット30を取付孔12に装着するグロメット装着工程と、取付孔12に装着されたグロメット30の内周面35にポンプ20を挿通して取付ける挿入体取付工程とが行われる。
塗布工程でウォッシャ液2をグロメット30の内周面35にスプレー等によって塗布すると、上述のように潤滑部36にはウォッシャ液2が薄膜状に保持される。一方、塗布工程でウォッシャ液2をポンプ20のハウジング21表面にスプレー等によって塗布すると、所定量のウォッシャ液2がハウジング21の表面上に保持される。
【0030】
グロメット装着工程では、グロメット30を拡径部33側から取付孔12に嵌入していく。嵌入していくと、グロメット30は取付孔12の内周面12aに規制されて弾性変形する。所定位置まで押し込むと、グロメットガイド32が取付孔12周縁の側壁部11と当接して止まり位置決めされる。このとき、取付孔12の内周面12aとグロメット30のグロメットリブ34とが当接し、グロメットリブ34が弾性変形した状態となる。
挿入体取付工程では、ポンプ20を吸入口21a側からグロメット30内に嵌入していく。このとき、ハウジング21は、第1規制部23aよりも吸入口21a側はグロメット30の内周面35の内径よりも小さいので、摺接することなく挿入されていくが、第1規制部23a付近は内周面35の内径よりも大きく、また、グロメット取付部22は内周面35の内径と略同径であるので、第1規制部23aよりも奥まで挿入していくと内周面35とハウジング21の外周面とが当接し、グロメット30には、これを外側へ拡げるような力が加わる。
また、取付孔12の内周面12aとハウジング21の外周面とによって挟まれる箇所には、大きな圧縮力が加わる。
【0031】
ところで、本例のグロメット30は、内周面35に潤滑部36が設けられており、塗布工程で潤滑部36にウォッシャ液2が塗布された場合には、内周面35の周方向に略均一にウォッシャ液2が保持されるので、圧縮力に起因して周方向の一部に片寄って局所的に高摩擦抵抗部分が生じてしまうことが防止され、摩擦抵抗が周方向に略均等にバランスよく分散される。そして、潤滑剤として機能するウォッシャ液2によって摩擦抵抗が低減化されスムーズな挿入が可能となる。
また、塗布工程でウォッシャ液2がハウジング21表面に塗布された場合には、ハウジング21をグロメット30に挿入していく段階で、ハウジング21の外周面に保持されたウォッシャ液2がグロメット30の潤滑部36に付着して浸透し全体に行き渡る。これにより、周方向の一部に片寄って局所的に高摩擦抵抗部分が生じることが防止され、摩擦抵抗が周方向に略均等にバランスよく分散される。そして、潤滑剤として機能するウォッシャ液2によって摩擦抵抗が低減化されスムーズな挿入が可能となる。
【0032】
このようにしてポンプ20をグロメット30内に嵌入していくと、第2規制部23bがグロメット30のグロメットガイド32と当接して止まる。これにより、所定位置までポンプ20が挿入される。このとき、ハウジング21のシール突起24がグロメット30のシール面37と高圧接して液密状態となる。
以上のように、本例の装置1では、グロメット30の内周面35の点対称位置にウォッシャ液2を保水して薄液膜を形成することが可能な潤滑部36が形成されたことにより、グロメット30内へポンプ20を容易に嵌入することができる。このようにスムーズにポンプ20をグロメット30内へ取付けることが可能であるので、取付不良の発生率が極めて低減され、この工程の自動化を図ることができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、グロメット30の内周面35の一部の領域にシボ加工を施すことにより微小凹凸面を形成し、これを潤滑部36としていたが、潤滑液を周方向にわたって保持(保水)することができれば、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図9に示すように構成してもよい。図9(A)の例では、複数の低背突条を略軸方向と平行に形成することにより潤滑部36を構成している。すなわち、内周面35の領域A,Cに軸方向と平行にセレーションを形成している。また、図9(B)の例では、内周面35の領域A,Cに多数の微小寸法の凹部(ディンプル)を形成することにより潤滑部36を構成している。これら以外にも、内周面35に格子状や網目状の浅溝を形成したり、内周面35に多数の微小凸半球を形成したりしてもよい。さらに、図7に示したように、周方向に潤滑部36を分離して形成してもよい。
このように、例えば図9(A),(B)のように構成してもぬれ性が良好な微小凹凸面である潤滑部36を形成することができ、ウォッシャ液2を塗布したときに、ウォッシャ液2が玉状にならず、表面に液膜として保持することができる。
【0034】
また、上記実施形態では、本発明をウォッシャ装置1に適用した例を示したが、これに限らず、図10〜図13に示すように、本発明を液量検出装置100に適用してもよい。
図10に示すように、本例の液量検出装置100は、ウォッシャ液2を貯留するタンク110の底壁部111に穿設された取付孔112に、グロメット130を介在させて液量検出器120を取付けた構成である。
図11に示すように、本例の液量検出器120は、合成樹脂製の有底円筒形状のハウジング121を備えている。ハウジング121は、下端部にフランジ123が形成され、その下方には受け部124が形成されている。受け部124には、リードスイッチ125が嵌入されている。このリードスイッチ125は、内蔵された磁性体リード(不図示)が磁力によって移動することによってON/OFF動作をするようになっている。
【0035】
ハウジング121の内周壁には、一対の突条122が軸線方向に沿って突出形成されている。またハウジング121内には、略円柱形状のフロート126が配置されている。このフロート126は、外周面に切込み形成された一対の筋状の凹部126aに、ハウジング121の突条122が嵌まり込み、これによって軸線方向にのみ移動可能となっている。
フロート126の底部には、マグネット126b(図13参照)が固着されており、フロート126がハウジング121内を上下移動して底部へ接近したときには、マグネット126bの磁力によってリードスイッチ125が作動するようになっている。すなわち、タンク110内のウォッシャ液2が減少して液面が所定高さまで下がると、液面高さに連動するフロート126はハウジング121内で底部に近接する。これにより、リードスイッチ125が作動し、ウォッシャ液2が所定量以下となったことを表す信号が外部へ出力される。
また、ハウジング121の周壁の上端部には一対の係止孔128が穿設され、中央部よりやや下寄りに一対の連通孔129が形成されている。さらに、ハウジング121の下端部側に上記実施形態と同様なリング状のシール突起を設けてもよい。
【0036】
ハウジング121の上端開口部には、合成樹脂製の円盤状のキャップ127が取付けられている。キャップ127には、周縁部の一部から下方へ一対の爪127aが形成されている。キャップ127は、この爪127aがハウジング121の上端部に穿設された係止孔128に嵌り込むことによって、ハウジング121に固定されるようになっている。
キャップ127の中央部には透孔127bが形成されており、これにより外部(タンク110内)とハウジング121内部とが連通されている。
【0037】
図12に示すように、本例のグロメット130は、上記実施形態のグロメット30と同様に弾性材料としてのゴム材によって形成されたものであり、円筒状の本体部131の下方にグロメットガイド132が形成され、上方に拡径部133が形成された構成である。本例では、グロメットガイド132の内径側にリング状の凹部132aが形成されており、グロメット130の内周面135に液量検出器120を装着したときには、凹部132aにフランジ123が嵌り込むようになっている(図13参照)。
【0038】
そして、本例のグロメット130においても、その内周面135には、潤滑部136とシール面137とが形成されている。潤滑部136は領域Aおよび領域Cの全周にわたって形成され、シール面137は領域Bの全周にわたって形成されている。本例においても、潤滑部136は内周面135にシボ加工が施されたものである。また、これに限らず、図9等に示したように他の構成によって微小凹凸面を形成し、ウォッシャ液等の潤滑液を表面に保持できるようにしてもよい。
なお、ハウジング121にシール突起を形成した場合には、取付状態でシール面137と当接する軸方向位置にシール突起を形成するとよい。
【0039】
このように形成されたグロメット130を介してタンク110の取付孔112に液量検出器120を取付ける際には、まず外部から取付孔112にグロメット130を装着し、その後、外部から液量検出器120をグロメット130の内周面135に嵌入させる。その際、グロメット130の内周面135または液量検出器120のハウジング121外周面にウォッシャ液2を塗布しておく。これにより、上記実施形態と同様に、グロメット130の潤滑部136にウォッシャ液2が薄膜状に保持される。このとき、ウォッシャ液2は、グロメット130の内周面135の全周にわたって保持される(すなわち、点対称に保持される)ので、液量検出器120を嵌入する際の抵抗力が周方向にバランスよく均等に作用すると共に、ウォッシャ液2の潤滑作用により摩擦抵抗が減少される。これにより、グロメット130に局所的な高摩擦抵抗部分が生じることが防止され、グロメット130の一部がめくれてしまうことなく液量検出器120をスムーズに挿入することが可能となる。
【0040】
なお、上記実施形態では、本発明をウォッシャ装置1,液量検出装置100に適用した例を示したが、これに限らず、壁部に形成された取付孔にグロメットを介在させて挿入体を取付ける構造を有する挿入体取付構造体であれば、上記実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係るウォッシャ装置の側面図である。
【図2】図1のウォッシャポンプの説明図である。
【図3】図1のグロメットの一部断面図である。
【図4】図1のグロメットの断面斜視図である。
【図5】図1のグロメットの断面説明図である。
【図6】図1のウォッシャポンプの取付け状態の説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るグロメットの断面斜視図である。
【図8】図1のウォッシャポンプの組付け工程の説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るグロメットの断面斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る液量検出装置の説明図である。
【図11】図10の液量検出器の分解斜視図である。
【図12】図10のグロメットの一部断面図である。
【図13】図10の液量検出器の取付け状態の説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1‥ウォッシャ装置、2‥ウォッシャ液、10‥タンク、11‥側壁部、
12‥取付孔、12a‥内周面、20‥ウォッシャポンプ、21‥ハウジング、
21a‥吸入口、21b‥吐出口、22‥グロメット取付部、22a‥外周面、
23a‥第1規制部、23b‥第2規制部、24‥シール突起、29‥コネクタ部、
30‥グロメット、31‥本体部、31a‥外周面、32‥グロメットガイド、
33‥拡径部、34‥グロメットリブ、35‥内周面、35a‥縮径部、
35b‥円周面部、35c‥斜面部、36‥潤滑部、37‥シール面、
100‥液量検出装置、110‥タンク、111‥底壁部、112‥取付孔、
120‥液量検出器、121‥ハウジング、122‥突条、123‥フランジ、
124‥受け部、125‥リードスイッチ、126‥フロート、126a‥凹部、
126b‥マグネット、127‥キャップ、127a‥爪、127b‥透孔、
128‥係止孔、129‥連通孔、130‥グロメット、131‥本体部、
132‥グロメットガイド、132a‥凹部、133‥拡径部、135‥内周面、
136‥潤滑部、137‥シール面、A,B,C‥領域、O‥軸中心点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材料からなり、液体が貯留されるタンクの壁部に形成された取付孔に挿入されると共に、内周面に挿入体が挿入されることにより該挿入体を前記取付孔に保持する略筒状のグロメットであって、
前記内周面には、潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されたことを特徴とするグロメット。
【請求項2】
前記潤滑部は、前記内周面の全周にわたって形成されたことを特徴とする請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記潤滑部は、前記内周面に形成された微小凹凸面であることを特徴とする請求項1又は2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記内周面は、挿入体の保持状態において挿入体の外周面と全周で液密に密着するシール面を備え、該シール面を除いた領域に前記潤滑部が形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のグロメット。
【請求項5】
壁部に形成された取付孔に取付けられた弾性材料からなる筒状のグロメットを介して挿入体が前記取付孔に取付けられた挿入体取付構造体であって、
前記グロメットは、その内周面に潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されたことを特徴とする挿入体取付構造体。
【請求項6】
前記グロメットの潤滑部は、前記内周面の全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項5に記載の挿入体取付構造体。
【請求項7】
前記グロメットの潤滑部は、前記内周面に形成された微小凹凸面であることを特徴とする請求項5又は6に記載の挿入体取付構造体。
【請求項8】
前記挿入体の外周面には、その全周にわたって、前記グロメットへの組付け完了状態で該グロメットの内周面に向けて食い込むようにシール突起が突出形成され、
前記グロメットは、前記挿入体が挿入される挿入方向において、前記内周面のうち前記シール突起が食い込むシール領域を除いた領域に前記潤滑部が形成されたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の挿入体取付構造体。
【請求項9】
壁部に形成された取付孔に、弾性材料からなる筒状のグロメットを介して挿入体を前記取付孔に取付ける挿入体の取付方法であって、
前記グロメットには、その内周面に潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されており、
前記グロメットの内周面および前記挿入体の外周面の少なくとも一方に予め潤滑液を塗布する塗布工程と、
前記グロメットを前記取付孔に装着するグロメット装着工程と、
前記取付孔に装着された前記グロメットの内周面に前記挿入体を挿通して取付ける取付工程と、を有することを特徴とする挿入体の取付方法。
【請求項1】
弾性材料からなり、液体が貯留されるタンクの壁部に形成された取付孔に挿入されると共に、内周面に挿入体が挿入されることにより該挿入体を前記取付孔に保持する略筒状のグロメットであって、
前記内周面には、潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されたことを特徴とするグロメット。
【請求項2】
前記潤滑部は、前記内周面の全周にわたって形成されたことを特徴とする請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記潤滑部は、前記内周面に形成された微小凹凸面であることを特徴とする請求項1又は2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記内周面は、挿入体の保持状態において挿入体の外周面と全周で液密に密着するシール面を備え、該シール面を除いた領域に前記潤滑部が形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のグロメット。
【請求項5】
壁部に形成された取付孔に取付けられた弾性材料からなる筒状のグロメットを介して挿入体が前記取付孔に取付けられた挿入体取付構造体であって、
前記グロメットは、その内周面に潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されたことを特徴とする挿入体取付構造体。
【請求項6】
前記グロメットの潤滑部は、前記内周面の全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項5に記載の挿入体取付構造体。
【請求項7】
前記グロメットの潤滑部は、前記内周面に形成された微小凹凸面であることを特徴とする請求項5又は6に記載の挿入体取付構造体。
【請求項8】
前記挿入体の外周面には、その全周にわたって、前記グロメットへの組付け完了状態で該グロメットの内周面に向けて食い込むようにシール突起が突出形成され、
前記グロメットは、前記挿入体が挿入される挿入方向において、前記内周面のうち前記シール突起が食い込むシール領域を除いた領域に前記潤滑部が形成されたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の挿入体取付構造体。
【請求項9】
壁部に形成された取付孔に、弾性材料からなる筒状のグロメットを介して挿入体を前記取付孔に取付ける挿入体の取付方法であって、
前記グロメットには、その内周面に潤滑液を保持する潤滑部が点対称位置に形成されており、
前記グロメットの内周面および前記挿入体の外周面の少なくとも一方に予め潤滑液を塗布する塗布工程と、
前記グロメットを前記取付孔に装着するグロメット装着工程と、
前記取付孔に装着された前記グロメットの内周面に前記挿入体を挿通して取付ける取付工程と、を有することを特徴とする挿入体の取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−205539(P2007−205539A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28179(P2006−28179)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
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