説明

ケイ酸含有粉末製造方法およびケイ酸含有粉末製造システム

【課題】 籾殻および藁をケイ酸を消滅させることなく短時間でかつ低コストで処理し、単肥として利用しやすい天然のケイ酸を含有する粉末を製造することができるケイ酸含有粉末製造方法およびケイ酸含有粉末製造システムを提供する。
【解決手段】 籾殻または藁からケイ酸を含有する粉末を製造するためのケイ酸含有粉末製造方法であって、処理容器2内に投入された籾殻または藁に対して高圧の水蒸気を注入し、前記処理容器2内の圧力を1.45MPa〜1.96MPaに保持して粉末化処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾殻や稲藁、麦藁等に含まれる天然のケイ酸を再利用すべく、前記籾殻等の性状を変化させて天然ケイ酸を含有する粉末を製造するのに好適なケイ酸含有粉末製造方法およびケイ酸含有粉末製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ケイ酸が稲の強化や病気の予防に効果があることが知られている。しかしながら、近年、水田におけるケイ酸の含有率が減少化傾向にあり、ケイ酸を別途施用して補給する必要が生じている。現在、水田に施用するケイ酸としては、鉱物資材から人造的に抽出したものを使用するか、燃焼させた籾殻炭を使用するものが主流である。しかしながら、実際には、ケイ酸を抽出するのは容易ではない。例えば、鉱物資材からケイ酸を抽出する場合、鉱石の切り出しや粉砕処理その他の工程が複雑であり、手間、時間、コストがかかるという問題がある。また、籾殻炭の場合、炭化の程度によりケイ酸が消滅してしまい含有量がかなり減ってしまうという問題がある。もちろん処理コストの負担も大きい。
【0003】
一方、籾殻や稲藁は産業廃棄物であるため、適正な処理が必要であるが、処理コストが負担になるために、野積みされたまま放置される場合も多く、自然発火の虞が問題としてあげられている。
【0004】
従来、籾殻に含有されるケイ酸を有効に再利用するための技術として、特開平8−224488号公報には、籾殻を粉砕する発明が提案されている(特許文献1)。この発明は、乾燥状態の籾殻を衝撃粉砕機により微粉砕することを特徴としており、この微粉砕物と天然アルミノケイ酸塩乃至その化学処理物を混合して造粒することで籾殻含有組成物を製造する。そして、この籾殻含有組成物を水田に散布することにより、シリカが水田に還元されるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−224488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開平8−224488号公報に記載された発明は、あくまでも細かく粉砕処理することに主眼がおかれているため、ケイ酸のみを効率的に抽出することはできない。つまり籾殻に含まれる他の組成物もそのまま一緒に含まれるためケイ酸の純度が低い。また有害な高分子化合物が処理されずに含まれる虞もある。さらに衝撃粉砕機はメンテナンスが大変でありコスト負担が大きいし、籾殻は小さいけれども硬度が高いため、衝撃粉砕部品の傷みが早いという問題がある。一方、従来の発明によれば、天然アルミノケイ酸塩等の化学物質を混合して造粒するが、水田にはできるだけ化学物質が含まれるものを与えたくないというニーズもある。結局、従来の技術では、籾殻から効果的にケイ酸を抽出することが不可能であったため、籾殻を焼却処理してしまうことがほとんどであった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、籾殻および藁をケイ酸を消滅させることなく短時間でかつ低コストで処理し、単肥として利用しやすい天然のケイ酸を含有する粉末を製造することができるケイ酸含有粉末製造方法およびケイ酸含有粉末製造システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るケイ酸含有粉末製造方法の特徴は、籾殻または藁を処理容器内に投入し、この処理容器内に水蒸気を注入して内圧および温度を上昇させ、籾殻または藁が燃焼しないで粉末化する水蒸気圧力下に保持して処理する点にある。そして、このような方法によれば、籾殻および藁に対する圧力の作用と、この水蒸気圧力に付随する加熱および水蒸気の加水分解作用により、籾殻および藁が圧縮され、その後、容器内圧力が徐々に減圧されると、結合分子の分離と分解が起こり、その結果、籾殻および藁の初期炭化と微細化という性状変化が生じる。
【0009】
また、本発明では、前記処理容器内の圧力を1.45MPa〜1.96MPaに保持して粉末化処理することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明において、より効果的にケイ酸含有粉末を製造するため、前記処理容器内の圧力を1.65MPa〜1.85MPaで5分〜30分間保持して粉末化処理することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るケイ酸含有粉末製造システムの特徴は、攪拌手段を備えた処理容器と、この処理容器内に投入された籾殻または藁に対して加圧された水蒸気を注入する水蒸気注入手段と、前記処理容器内の籾殻または藁が燃焼しないで粉末化し得る圧力を保持するように前記水蒸気注入手段による水蒸気の注入量を制御する制御手段とを有する点にある。そして、このような構成によれば、処理容器内では、籾殻および藁に対する圧力の作用と、この水蒸気圧力に付随する加熱および水蒸気の加水分解作用により、籾殻および藁が全方向から圧縮され、その後、処理容器内圧力が徐々に減圧されると、結合分子の分離と分解が開始され、その結果、籾殻および藁の初期炭化と微細化という性状変化が生じる。
【0012】
さらに、本発明では、前記制御手段が、水蒸気注入手段による水蒸気の注入量を前記処理容器内の圧力が1.45MPa〜1.96MPaに保持されるように制御することが好ましく、さらに前記処理容器内の圧力が1.65MPa〜1.85MPaで5分〜30分間保持されるように制御することがより望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、籾殻および藁に含有されるケイ酸成分を消滅させずに、短時間でかつ低コストで籾殻を粉末化して、単肥として利用しやすい天然のケイ酸を含有する粉末を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るケイ酸含有粉末製造システムの好適な一実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態のケイ酸含有粉末製造システム1を示す模式図である。本実施形態のケイ酸含有粉末製造システム1は、籾殻や藁を収容して処理するための処理容器2と、この処理容器2に投入された籾殻や藁を攪拌するための攪拌手段3と、処理容器2内の籾殻や藁に対して高圧の水蒸気を注入するための水蒸気注入手段4と、処理容器2内の圧力を調節するための圧力調節手段5と、攪拌手段3、水蒸気注入手段4および圧力調節手段5を制御するための制御手段6とから構成されている。
【0016】
本実施形態の各構成部についてより詳細に説明すると、処理容器2は、耐圧性を備えた第一種圧力容器により構成されており、その内部で籾殻や藁を処理するようになっている。また、処理容器2の上部には籾殻や藁の投入口21が設けられるとともに、下部には排出口22が設けられている。これら投入口21および排出口22は、籾殻や藁を処理する際に処理容器2内の圧力を保持し得る密閉構造にされている。また、後述する撹拌手段3の水平回動軸31と処理容器2との密封性を保持するための図示しないシール機構を備えている。投入口21および排出口22は、安全性を考慮して、処理容器2内の圧力が0.015MPa以下に達しない限り、開閉操作が反応しないシステム制御を備えている。さらに、処理容器2には、上部温度センサ23a、下部温度センサ23bおよび圧力センサ24が備えられており、処理容器2内の温度および圧力を検出するようになっている。
【0017】
つぎに、攪拌手段3は、籾殻や藁をくまなく全体に加圧および加温するためのものである。この撹拌手段3は、処理容器2内の長手方向に水平回動軸31に軸支されており、この水平回動軸31に垂直面に対して前方に傾斜された撹拌羽根32を取り付けて構成されている。水平回動軸31には、これを正逆回動可能な駆動モータ33が連結されている。撹拌手段3は、投入された籾殻や藁を攪拌しつつ徐々に移送するようになっており、投入口21から排出口22まで延在している。一方、駆動モータ33はインバータ制御により回転数および回転方向が制御自在なモータであり、籾殻や藁が所望の性状に粉末化処理されるまで必要に応じて処理容器2内で往復動させる。
【0018】
つぎに、水蒸気注入手段4は、高圧の水蒸気を発生させるボイラー41と、このボイラー41から発生した水蒸気を処理容器2内に供給するための送気管42とを有している。ボイラーで発生する水蒸気の圧力は一定値に保持されており、処理容器2内の圧力は、高圧水蒸気の注入量で調節するようになっている。この高圧水蒸気の圧力に付随して温度が定まるので処理容器2内は高温に保持される。また、送気管42は、処理容器2に対して水平回動軸31よりも上方位置であって略水平方向に連結されている。これは、処理容器2内の籾殻や藁が堆積して圧力を受けていない状態、つまり、撹拌されて中空に浮き、籾殻や藁に覆い被さる直前に高圧水蒸気を当てるのが最適であり、高い処理効率が得られるからである。
【0019】
つぎに、圧力調節手段5は、電気制御により開閉が自在の圧力調整バルブ51と、この圧力調整バルブ51を介して処理容器2内の水蒸気を排気するための排気管52から構成されている。そして、処理容器2内の圧力が所定値を越えると圧力調整バルブ51を開放し、処理容器2内の圧力を抜いて所定の圧力に保持するようになっている。また、排気管52にはサイレンサー7を経由して冷却装置8が連結されており、処理容器2からの水蒸気を冷却して液化し、排水処理設備9に供給するようになっている。さらに、サイレンサー7により、騒音防止条例の規制値をクリアして市街地などに設置できるよう設計されている。
【0020】
つぎに、制御手段6は、攪拌手段3、水蒸気注入手段4および圧力調節手段5と電気的に接続されており、これらを制御するようになっている。この制御手段6は、駆動モータ33の回転方向や回転速度を制御して、処理容器2内における籾殻や藁の撹拌移送時間を制御する。また、制御手段6は、処理容器2内の籾殻または藁が燃焼しないで粉末化する圧力を一定時間保持するように水蒸気注入手段4による水蒸気の注入量を制御するようになっている。本実施形態では、後述する実施例の実験結果に基づいて処理容器2内の圧力を1.45MPa〜1.96MPaに保持するようになっている。もし、処理容器2内の温度や圧力が低下した場合には、水蒸気注入手段4からの高圧水蒸気の注入量を増加させて温度および圧力を上昇させる。逆に、処理容器2内の温度や圧力が上昇した場合には、圧力調節手段5の圧力調整バルブ51を開放して高圧水蒸気を排気し温度および圧力を低下させる。なお、制御手段6は、処理容器2内の各温度センサ23a,23bおよび圧力センサ24と電気的に接続されており、これらの検出結果に基づいて処理容器2内の温度および圧力を所定の値で保持するようにフィードバック制御している。
【0021】
つぎに、本実施形態のケイ酸含有粉末製造システム1によるケイ酸含有粉末製造方法について説明する。
【0022】
まず、籾殻や藁を投入口21から処理容器2内に投入する。このとき、予め制御手段6に対して処理容器2内の圧力が1.45MPa〜1.96MPaとなるよう設定するとともに、この設定圧力を保持する時間、撹拌時間および設定した圧力に対応する容器内温度をそれぞれ設定しておく。この場合、圧力保持時間は、籾殻や藁が加水分解を開始するの時間に設定することが好ましく、攪拌時間は籾殻や藁が粉末化するのに十分な時間に設定することが好ましい。また、容器内温度は、水蒸気の理論圧力に付随する温度に設定される。
【0023】
処理容器2内に投入された籾殻や藁は、撹拌羽根32によって大きく攪拌されながら徐々に排出口22方向側へ移送される。処理量によっては一方向の移送だけでは処理が完了しない場合があるが、この場合には、駆動モータ33を逆方向に反転させて投入口21側へと移送し、往復移送を行う。これにより小さい処理容器2であっても充分な撹拌時間が得られる。
【0024】
この攪拌の際、処理容器2内では、水平回動軸31よりも上方に取り付けられた送気管42から高圧の水蒸気が注入される。このため、籾殻や藁は撹拌手段3の攪拌によって水平回動軸31の上方にばらばらに飛散されたときに、高圧の水蒸気を効果的に吹き付けられる。したがって、水蒸気圧力に付随する加熱および水蒸気の加水分解が効果的に進められ籾殻および藁が圧縮される。
【0025】
また、籾殻や藁が攪拌されている間、制御手段6は、各温度センサ23a,23bおよび圧力センサ24の検出結果に基づき、処理容器2内の温度が設定温度を保持するとともに、圧力が1.45MPa〜1.96MPaを保持するように水蒸気注入手段4および圧力調整手段5を制御している。
【0026】
設定した圧力保持時間が経過すると、制御手段6は水蒸気注入手段4を制御して水蒸気の注入を停止するとともに、圧力調節手段5を制御して圧力調整バルブ51を開放する。すると、処理容器2内の高圧水蒸気が排気管52に排気され処理容器2内は減圧される。これにより、籾殻や藁は結合分子の分離と分解が起こり、初期炭化と微細化という性状変化が生じる。また、この初期炭化の状態では、籾殻や藁に含有されているケイ酸はほとんど消滅することなく残留する。粉末化した籾殻や藁は排出口22まで移送されて取り出されるとともに、排出された水は排水処理設備9に供給されて浄化処理される。
【0027】
つぎに、本実施形態の具体的な実施例について説明する。以下の各実施例では、短時間の処理で籾殻から利用しやすいケイ酸単肥を得るための条件を求める実験を行った。この実験では、処理容器2内の圧力および圧力保持時間を変化させて籾殻の処理結果を観察した。これらの実験条件およびその処理結果を図2に示す。また、籾殻の処理前および処理後の形状を撮影したデジタル写真画像を図3〜図8にそれぞれ示す。
【0028】
本実施例の実験では、容積が3000リットルの処理容器2を使用し、容器内温度を水蒸気の理論圧力に付随する温度である200℃前後に保持するとともに、籾殻を充填率が65%〜95%となるよう充填した。また、攪拌速度は、籾殻をより均一に攪拌するため、下部温度センサ23bの値が上部温度センサ23aの値と一致するまでは、2〜18rpmとし、一致した時点から0.15MPaまで減圧するまでは、5〜15rpmとした。
【実施例1】
【0029】
実施例1では、処理容器2内の処理圧力を1.0MPa未満に保持して処理を行った。図4は本実施例1により処理した籾殻である。その結果、10分〜90分間処理しても形状に変化はみられず、わずかに色が濃い茶色に変化した程度であり、実質的には処理できなかった。
【実施例2】
【0030】
つぎに、実施例2では、処理容器2内の処理圧力を1.45MPaに保持して処理を行った。図5は処理後の籾殻である。この結果、圧力保持時間が10〜90分間で、約半分に減容するまで処理できた。処理籾殻の形態を観察すると、黒く変色しているが、粉末化されるまでには至らず、各籾殻が萎れた状態になった。また、処理後の籾殻の含水率は5.8%であって良好な値を示し、残留ケイ素は14.25%と十分な含有量であり、単肥として使用可能である。
【実施例3】
【0031】
本実施例3では、処理容器2内の処理圧力を1.65MPaに保持して処理を行った。図6は処理後の籾殻である。この結果、圧力保持時間が10〜30分間という短時間で粉末化することができた。また、処理後の籾殻の含水率は43.5%であり、残留ケイ素は11.96%検出され、単肥として良好な性状を備えている。粉末化されることで可溶性が高まり、肥料としての使い勝手が向上する。
【実施例4】
【0032】
本実施例4では、処理容器2内の処理圧力を1.85MPaに保持して処理を行った。図7は処理後の籾殻である。この結果、圧力保持時間が5〜10分間という極めて短い時間でかなり細かい微粉末にまで処理することができた。また、処理後の籾殻の含水率は25.5%と少なくなり、残留ケイ素は9.56%検出され、単肥として良好な性状であることが示された。
【実施例5】
【0033】
本実施例5では、水蒸気を注入することにより処理容器2内の圧力を1.96MPaに保持して処理を行った。図7は処理後の籾殻である。この結果、圧力保持時間が5〜15分間で微粉末に処理することができた。また、処理後の籾殻の含水率は25.0%であり、残留ケイ素は9.0%検出され、単肥として使用可能であることが示された。但し、初期炭化に起因する残留ケイ素の減少がみられる。また、圧力保持時間は短くて済むが、この圧力にまで昇圧させる時間がかかってしまい、若干、実用性を欠く。
【0034】
以上の実施例の実験結果を検討すると、籾殻を処理するのにケイ酸を消滅させることなく短時間で実現でき、単肥として利用しやすい天然のケイ酸を含有するための処理条件は、処理容器2内の圧力を1.45MPa以上1.96MPa以下に保持することが好ましく、より好ましくは圧力を1.65MPa以上1.85MPa以下で5分〜30分間保持することである。高温・高圧で一定時間保持する意味は、籾殻を分解させるための余裕条件を付加させるためである。できるだけ籾殻の分解が緩やかに始まるタイミングとし、その後の減圧開始と同時にカーブに沿って分解が進行する。このとき、籾殻に含まれる水分と水蒸気が冷却され、凝縮された水分は有圧から無圧への状態変化に伴って容器外へ放散され、適度な含水率を持つ物質へ性状が変換される。
【0035】
なお、通常、自然界で微生物により植物を分解処理させると、堆肥の状態まで到達するには6ヶ月から36ヶ月以上の時間を要してしまう。これを本実施形態のシステムによれば、昇圧時間も含めて60分から90分程度という極めて短時間で堆肥化でき、しかも無菌状態で安全に処理することができる。
【0036】
なお、本実施形態の各構成は前述したものに限るものではなく、適宜変更することができる。
【0037】
例えば、上述した本実施形態では、送気管42と排気管52とは別個独立な構成になっているが、一部を共通のパイプを使用しても良い。これは、処理した籾殻が粉末状に変化すると、処理容器2内を減圧する際にその粉末が水蒸気と共に排気管52を伝わり、バルブを詰まらせてしまうという問題がある。このため、水蒸気の注入経路と排気経路を共通化することにより、水蒸気の注入の際にバルブに詰まった処理粉末を除去するクリーニング処理を併せて行わせるようにした。すなわち、図9に示すように、ボイラー41から処理容器2に水蒸気を注入する経路を2経路とし、排気経路もその2経路を逆送するようにしている。そして、途中に排気管52へ分岐する経路を設けている。送気管42および排気管52にはそれぞれ送気バルブ43、排気バルブ53が取り付けられている。また、ボイラー41に通じる手前には逆止弁10が設けられている。また、共通経路には水蒸気の流量を調整するコントロール弁11が設けられている。排気管52から送気管42に至る経路には、切換バルブ12が設けられており、この切換バルブ12によって水蒸気注入時と減圧排気時との切り換えが行われる。つまり、水蒸気注入時には、切換バルブ12が開放されるとともに、排気管52の排気バルブ53が閉められることにより、ボイラー41から処理容器2へ2つの経路が開放される。一方、減圧排気時には、排気バルブ53が開放されると共に、送気バルブ43、切換バルブ12が閉められることにより、処理容器2に繋がる2ヶ所のパイプから水蒸気が排気され、途中1経路になって排気管52へと排気される。このとき、途中のバルブに処理粉末が詰まることもあるが、次回の水蒸気注入時に再び水蒸気が処理容器2方向に流入するため、同時に各バルブに詰まった粉末を除去するようにクリーニングする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るケイ酸含有粉末製造システムの実施形態を示す模式図である。
【図2】本実施形態における実施例1から実施例5の処理条件および処理結果を示す表である。
【図3】各実施例で処理する前の籾殻を示すデジタル写真画像である。
【図4】実施例1の処理条件により処理した後の籾殻を示すデジタル写真画像である。
【図5】実施例2の処理条件により処理した後の籾殻を示すデジタル写真画像である。
【図6】実施例3の処理条件により処理した後の籾殻を示すデジタル写真画像である。
【図7】実施例4の処理条件により処理した後の籾殻を示すデジタル写真画像である。
【図8】実施例5の処理条件により処理した後の籾殻を示すデジタル写真画像である。
【図9】本発明に係るケイ酸含有粉末製造システムの昇圧時および減圧時のバルブ開閉システムを示す模式図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ケイ酸含有粉末製造システム
2 処理容器
3 攪拌手段
4 水蒸気注入手段
5 圧力調節手段
6 制御手段
7 サイレンサー
8 冷却装置
9 排水処理設備
10 逆止弁
11 コントロール弁
12 切換バルブ
21 投入口
22 排出口
23a 上部温度センサ
23b 下部温度センサ
24 圧力センサ
31 水平回動軸
32 攪拌羽根
33 駆動モータ
41 ボイラー
42 送気管
43 送気バルブ
51 圧力調整バルブ
52 排気管
53 排気バルブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾殻または藁を処理容器内に投入し、この処理容器内に水蒸気を注入して内圧および温度を上昇させ、籾殻または藁が燃焼しないで粉末化する水蒸気圧力下に保持して処理することを特徴とするケイ酸含有粉末製造方法。
【請求項2】
籾殻または藁からケイ酸を含有する粉末を製造するためのケイ酸含有粉末製造方法であって、
処理容器内に投入された籾殻または藁に対して加圧された水蒸気を注入し、前記処理容器内の圧力を1.45MPa〜1.96MPaに保持して粉末化処理することを特徴とするケイ酸含有粉末製造方法。
【請求項3】
請求項2において、前記処理容器内の圧力を1.65MPa〜1.85MPaで5分〜30分間保持して粉末化処理することを特徴とするケイ酸含有粉末製造方法。
【請求項4】
攪拌手段を備えた処理容器と、この処理容器内に投入された籾殻または藁に対して加圧された水蒸気を注入する水蒸気注入手段と、前記処理容器内の籾殻または藁が燃焼しないで粉末化し得る圧力を保持するように前記水蒸気注入手段による水蒸気の注入量を制御する制御手段とを有することを特徴とするケイ酸含有粉末製造システム。
【請求項5】
攪拌手段を備えた処理容器と、この処理容器内に投入された籾殻または藁に対して加圧された水蒸気を注入する水蒸気注入手段と、この水蒸気注入手段による水蒸気の注入量を前記処理容器内の圧力が1.45MPa〜1.96MPaに保持されるように制御する制御手段とを有することを特徴とするケイ酸含有粉末製造システム。
【請求項6】
請求項5において、前記制御手段は、前記処理容器内の圧力が1.65MPa〜1.85MPaで5分〜30分間保持されるように前記水蒸気注入手段の水蒸気の注入量を制御することを特徴とするケイ酸含有粉末製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−187674(P2006−187674A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−302971(P2003−302971)
【出願日】平成15年8月27日(2003.8.27)
【特許番号】特許第3579417号(P3579417)
【特許公報発行日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(503310800)株式会社西村組 (6)
【Fターム(参考)】