説明

ケラチン繊維にメイクアップを施す方法

本発明は、ヒトケラチン繊維、特に睫毛にメイクアップを施す方法に関し、前記方法は、a)繊維上に不連続沈着物を形成する接着性の第1の組成物を、前記繊維に施与する工程と、b)このようにして被覆された繊維にルーズパウダー状の第2の組成物を施与する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巨視的なヒトケラチン繊維にメイクアップを施すことに関し、排他的ではないがより詳細には、睫毛、眉毛、または毛髪にメイクアップを施すことに関する。
【背景技術】
【0002】
大部分の睫毛用化粧品組成物は、睫毛を着色しそして太くする機能を有する。従って、睫毛はより黒くそしてより太くなり、そのために消費者または外部の観察者にとってより目立つようになる。しかしながら、この視認性は従来のマスカラではまだ不十分であり、かつ光沢に欠けている。
【0003】
ほとんどのメイクアップ組成物、特にマスカラに真珠層を導入しても、必ずしも光沢および視認性は改善されない。真珠層は、ワックスやポリマーなどの配合物の他の成分と混合されるので、真珠層の光沢は減少あるいはさらに損失され得る。
【0004】
化粧品組成物の耐久性または光学的効果を改善するために2成分メイクアップ系を使用することが提唱されている。
【0005】
米国特許第6367484号明細書には、皮膜形成ポリマーを含有する第1の組成物を使用することと、第2の組成物に属する固体粒子を、第1の組成物が完全に乾燥する前に沈着させることが記載されている。固体粒子は好ましくは球形であり、所望される効果は好ましくはレリーフ(relief)効果である。マニキュア液の例が記載されている。得られる効果は、除去が困難であり、乾燥時間に非常に敏感である。
【0006】
国際公開第02/05762号パンフレットには、接着性材料を含有する第1の組成物の使用、およびその後の第2の化粧品組成物の施与が記載されている。第1の組成物は、改善された耐久性効果を付与する。実施例は、第1の組成物中でのポリイソブチレンの使用を記載し、第2の組成物が粉末形態である。
【0007】
接着性粒子を含む組成物の例は、米国特許出願公開第2006/0024255号明細書、米国特許出願公開第2002/0041858号明細書、および米国特許出願公開第2007/0224140号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ケラチン繊維、特に睫毛において、長持ちすると共に除去するのが容易である魅力的な視覚効果を簡単な方法で引き起こすことが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこの必要性を満たそうとするものであり、第1の例示的な実施形態では、ヒトケラチン繊維、特に睫毛にメイクアップを施す方法において、
1)繊維上に不連続沈着物を形成する接着性の第1の組成物を、前記繊維に施与する工程と、
2)このようにして被覆された繊維にルーズパウダー(loose powder)状の第2の組成物を施与する工程と
を含む方法によって達成される。
【0010】
本発明は、第2の組成物の粒子の比較的大きい沈着物を得ることを容易にし、非常に目立つことができる視覚効果、例えば、光沢効果、充填(filling)効果、および/または延長効果を導くことができる。
【0011】
さらに、メイクアップ効果は長持ちし、その除去は容易なままである。
【0012】
第2の組成物の粒子は、1つまたは複数の顔料を有する粒子であり得る。フレーク形態の粒子は必須ではなく、単に好ましいだけである。粒子は繊維、マイクロビーズ、または他の微小物体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい実施に従って製造された接着性組成物で被覆された睫毛を示す。
【図2】特に魅力的な粒子の沈着物を示す。
【図3】実施例2の接着性組成物を睫毛に施与した後、帝人によるMorphotoneを施与した結果を示す。
【図4】実施例2の接着性組成物を睫毛に施与した後、NSGによるMetashineを施与した結果を示す。
【図5】実施例2の接着性組成物を睫毛に施与した後、Glitterexによる黒色粒子ベースの組成物を施与した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
接着性組成物
接着性の第1の組成物は、接着性組成物中で被覆されたケラチン繊維、特に睫毛上に第2の組成物の粒子を保持するように適合された接着剤を含む。
【0015】
本発明によると、接着性組成物は、処理中の繊維上に不連続な接着剤の皮膜を形成するように選択される。従って、接着性組成物は、処理中の繊維上に連続皮膜を形成する接着剤を含む必要はない。
【0016】
本出願人によって、不連続皮膜の存在はメイクアップの施与および除去をより容易にし、外観の点から見て、繊維の表面に連続皮膜を形成する接着性組成物を用いる場合よりも良い結果を導き得ることが観察された。不連続皮膜は、睫毛が互いに粘着するリスクを少なくし、メイクアップが施されている間、睫毛の分離をより容易にすることができる。
【0017】
接着性組成物は、乾燥後に残留接着力を保持し、連続皮膜を形成しない沈着物を得ることを可能にする接着性粒子を含むことができる。接着性粒子は種々の形態を有することができ、1マイクロメートル(μm)〜100μmまたはさらにそれ以上の範囲内にある平均サイズを有することができる。
【0018】
接着性粒子の平均サイズは、10μm〜250μmの範囲内にあってもよい。
【0019】
「平均サイズ」という表現は、集団の半分における粒度分析の統計サイズ(すなわち、D(0.5))と理解されなければならない。
【0020】
これらの接着性粒子の挙動は、ポリイソブチレン(PIB)または乾燥すると液体乾燥皮膜を形成するラテックス型の接着性ポリマーの挙動とは異なる。その接着力にもかかわらず、接着性粒子は合着しない。互いに粘着された粒子を観察することができるが、各粒子がその個別性の全てまたは一部を保持している。このような接着性粒子の使用は、メイクアップの施与および除去をより容易にする。
【0021】
不連続沈着物を得ることは、接着性組成物が接着性粒子を含む場合、接着性粒子が不連続な形で繊維上に沈着されるという事実に結びつけられる。
【0022】
本発明の接着性組成物内で、接着性粒子は、0.1%〜70%の範囲内、好ましくは0.5%〜10%の範囲内、より好ましくは1%〜5%の範囲内にある濃度で存在することができる。
【0023】
接着性組成物は、ゲル形態でも、又は好ましくは比較的に流動性であり、揮発性相が乾燥を可能にするエマルジョン形態でもよい。
【0024】
しかしながら、接着性組成物は、ケラチン繊維上に沈着されたら、流動性でない接着性粒子の不連続沈着物を形成することができる。
【0025】
「流動性でない接着性粒子」という表現は、接着性粒子が、ケラチン繊維に沈着されたときに、重力の効果だけの下では、室温(20℃)において流動しないような粘度を有することを意味する。
【0026】
溶媒含量は、50重量%以上、好ましくは70重量%よりも多くてもよい。
【0027】
接着性粒子は、ゲル化剤または顔料などの他の成分と混合されてもよい。
【0028】
接着性粒子は単一の材料から製造されてもよいし、2つ以上の材料から製造されてもよい。特に、接着性粒子は、非接着性材料、例えば無機または有機材料から製造されるコアと、接着性コーティングから製造されるシェルとを有することができる。
【0029】
接着性組成物の接着性材料、特に上記の接着性粒子は、乾燥後に接着力を保持する、圧力に敏感な接着剤から有利に選択される。
【0030】
特に、接着性組成物は、アクリルポリマー、特にアクリレートおよびメタクリレートコポリマー、ゴム系またはスチレン−コポリマー系感圧接着剤、例えばスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)およびスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)コポリマーなどから選択される感圧接着剤を含むことができる。
【0031】
接着性組成物は、ウレタンポリマー、ポリウレタン、架橋シリコーン、エチレン−酢酸ビニルポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、または天然ガム、クロロプレン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレンポリマーなどから選択される感圧接着剤を含むこともできる。
【0032】
ゴム−ポリマー系感圧接着剤の非限定的な例として、特に、天然ゴム(ポリ(cis−1,4−イソプレン))、メチル−メタクリレート−イソプレングラフトコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロックコポリマー、ポリブタジエン、エチレン−ブチレンブロックコポリマー、およびポリクロロプレンに言及することができる。
【0033】
極性アクリルポリマーを含む感圧接着剤の中で、アクリル酸系ブロックまたはランダムコポリマー、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート、ならびにこのようなアクリルポリマーとエチレンおよび酢酸ビニルとのコポリマーに言及することができる。
【0034】
特に適切な感圧接着剤の一例は、例えば、15μmの接着性アクリル系微小球を含む固体材料の40%水性分散液として、商品名GEL−TAC 100G(Advanced Polymer International社)で販売されている、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)である。
【0035】
ケラチン繊維上に接着性の不連続沈着物を得ることは、使用される接着性粒子のサイズがもたらす結果である。小さすぎるサイズの接着性粒子は合着し、ケラチン繊維に沈着されたときに連続皮膜を形成し得る。従って、1μmよりも大きい、例えば1μm〜250μmの範囲内にある平均サイズの接着性粒子を使用することが有利であり得る。
【0036】
接着性組成物は、例えばマスカラブラシまたはクシ型の任意の適切なアプリケータを用いて睫毛上に沈着させることができる。接着性組成物は容器内に含有され、アプリケータは、容器にしっかり留められ、容器を漏れない形で閉鎖するように配置され得る。例として、容器はねじ付きの首部を含み、アプリケータは、該首部にねじで固定するように配置されておりかつ容器を閉鎖するための閉鎖部材をも構成するハンドルを含む。アプリケータは、アプリケータ要素(例えば、撚り合わされたまたは射出成型されたコアを有するブラシ)を支持する柄(stem)を含んでいてもよい。容器は、柄およびアプリケータ部材を拭き取るためのワイパー部材を含んでいてもよい。
【0037】
例として、睫毛上に沈着される接着性組成物の量は、1セットの睫毛につき5ミリグラム(mg)〜50mgの範囲内にある。
【0038】
図1は、本発明の好ましい実施に従って製造された接着性組成物で被覆された睫毛を示す。組成物は接着性粒子の不連続沈着物を形成することが分かる。
【0039】
粉末組成物
第2の組成物は、フレークである粒子を含むことができるが、他の形態の粒子であってもよい。
【0040】
粒子は、所望される効果に応じて、場合により反射性であってもよい。
【0041】
「フレーク」という用語は、粒子の厚さeがその最大直径dよりも小さいことを意味すると理解されるべきである。例として、d/e≧10であり、またはさらにd/e≧50である。
【0042】
粒子は少なくとも1つの平面を有することもできるし、あるいは60μm以上である曲率半径を有することもできる。これは、粒子の積み重ねおよびその鏡面反射能の増大をより容易にすることができる。
【0043】
粒子の最大寸法(その形状がどんなものでも)は、1μm〜10μmの範囲、好ましくは5μm〜500μmの範囲、より好ましくはさらに10μm〜200μmの範囲内にあり得る。粒子のサイズは、好ましくは10μm以上であり、より良くは20μm以上、さらにより良くは40μm以上である。
【0044】
前記粒子の形状因子は、有利には5以上であり、より良くは10以上、さらにより良くは50以上である。
【0045】
第2の組成物は、液体結合剤を有する必要はない。好ましくは、第2の組成物の流動性を過度に妨害しないように、液体結合剤の量は20重量%未満であり、より良くは15%未満、またはさらに5重量%未満である。粉末組成物の良好な流動性は、睫毛上での沈着をより容易にすることができ、魅力的なコーティングが形成されるのを可能にし得る。
【0046】
第2の組成物は反射性であってもよい。
【0047】
粉末組成物の反射能の測定
反射能が測定されるべき組成物は、Beaulaxによって販売されている黒色Bioskin(商標)で作られた表面に、0.2ミリグラム/平方センチメートル(mg/cm)の割合で均一に施与される。
【0048】
反射能は、Murakamiによって販売されているGP−5ゴニオフォトメーターを用いて測定される。
【0049】
入射角は−45°に固定され、反射率は−90°〜90°の範囲にわたって測定される。鏡面反射率に相当する最大反射率は通常45°で測定され、R45で示される。拡散反射率に相当する最小反射率は通常−30°で測定され、R−30で示される。
【0050】
組成物の反射能は、R45/R−30で定義される。
【0051】
本発明の第2の組成物の反射能(反射性粒子の形状がどんなものでも)は、好ましくは5よりも大きく、より好ましくは7よりも大きく、より良くは10よりも大きいてもよい。
【0052】
100%の以下の粒子を含有する組成物の施与において得られた値:
【0053】
【表1】

【0054】
粒子、例えば反射性粒子、特にフレーク形態の粒子は、粉末組成物の全重量に対して30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より良くは70重量%以上、そしてさらにより良くは80重量%以上である含量で存在する。
【0055】
本発明の粉末組成物は、好ましくは、反射性フレーク粒子として真珠層を含む。
【0056】
「真珠層」という用語は、ある種の軟体動物の殻の中で作られるような、場合により玉虫色であり得る任意の形状の粒子、あるいは光学干渉による「真珠光沢のある」着色効果を示す合成された任意の形状の粒子を意味すると理解されるべきである。得られる着色効果は、虹色のうちの1つ、金色、または銀色に相当する。
【0057】
反射性フレーク粒子において2つの大きい群が区別され得る:
・ 光学的に均一である単一の材料からなる少なくとも2つの平行な面を有するフレーク粒子、および
・ 光学的に異なる材料の少なくとも2つの層を含む層状構造を有するフレーク粒子(基材およびコーティング構造を有する顔料、または基材を持たない多層顔料)。
【0058】
光学的に均一な単一の材料からなる、少なくとも2つの平行な面を有するフレーク粒子の例としては、金属フレーク、例えばアルミニウムもしくは金属合金(例えば、銅−亜鉛合金)のフレークなどの金属効果顔料、シリカ、合成マイカ、もしくはガラス粒子、または結晶性オキシ塩化ビスマスもしくは多結晶性二酸化チタンなどの透明効果顔料に言及することができる。
【0059】
金属顔料の例としては、ECKARTによって商品名VISIONAIREで販売されている、SiOで被覆されたアルミニウム、青銅、または銅粉末に言及することができる。
【0060】
ガラスフレークの例としては、日本板硝子によって名称SILKYFLAKEで販売されている組成物に言及することができる。
【0061】
オキシ塩化ビスマス系顔料の例としては、Merckによって販売されているBIRON顔料、およびFARMAQUIMIAによって販売されているPEARL組成物に言及することができる。
【0062】
層状構造を有するフレーク粒子の例としては、例えば、チタン酸化物(特に、TiO)、鉄酸化物(特に、Fe)、スズ酸化物、およびクロム酸化物と、硫酸バリウムと、以下の材料:MgF、CrF、ZnS、ZnSe、SiO、Al、MgO、Y、SeO、SiO、HfO、ZrO、CeO、Nb、Ta、MoS、およびこれらの混合物または合金とから選択される金属酸化物の少なくとも1つの層で被覆された天然または合成マイカから形成されるフレーク粒子に言及することができる。
【0063】
このような粒子の例としては、二酸化チタンで被覆された合成マイカの基材を含む粒子、および褐色酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、またはこれらの混合物の1つで被覆されたガラス粒子、例えばENGELHARDによって商品名REFLECKS(商標)で販売されているものなどに言及することができる。
【0064】
また、酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、有機着色剤で被覆されたチタンマイカ、およびオキシ塩化ビスマスに基づく真珠層顔料にも言及することができる。「チタンマイカ」という用語はTiOで被覆されたマイカを意味する。
【0065】
またこれらは、金属酸化物および/または有機着色材料の少なくとも2つの連続層がその表面に重ねられたマイカの粒子であってもよい。真珠層は、黄色、ピンク、赤色、青銅色、オレンジ、茶色、金色、および/または銅のような色または輝きを示すことができる。
【0066】
第2の組成物中に導入するのに適しており、言及することができる真珠層の説明となる例は、金色真珠層、特に、ENGELHARDによって商品名Brillant gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)、およびMonarch gold 233X(Cloisonne)で販売されているものと、青銅色真珠層、特に、MERCKによって、商品名Bronze fine(17384)(Colorona)およびBronze(17353)(Colorona)で、そしてENGELHARDによって商品名Super bronze(Cloisonne)で販売されているものと、オレンジ真珠層、特に、ENGELHARDによって商品名Orange 363C(Cloisonne)およびOrange MCR 101(Cosmica)、そしてMERCKによって商品名Passion orange(Colorona)およびMatte orange(17449)(Microna)で販売されているものと、ENGELHARDによって商品名Nu−antique copper 340XB(Cloisonne)およびBrown CL4509(Chromalite)で販売されている茶色がかった真珠層と、ENGELHARDによって商品名Copper 340A(Timica)で販売されている銅色の輝きのある真珠層と、赤色の輝きのある真珠層、特にMERCKによって商品名Sienna fine(17386)(Colorona)で販売されているものと、黄色の輝きのある真珠層、特に、ENGELHARDによって商品名Yellow(4502)(Chromalite)で販売されているものと、金色の輝きのある赤色がかった真珠層、特に、ENGELHARDによって商品名Sunstone G012(Gemtone)で販売されているものと、ピンク真珠層、特に、ENGELHARDによって商品名Tan opale G005(Gemtone)で販売されているものと、輝きのある黒色真珠層、特に、ENGELHARDによって商品名Nu antique bronze 240AB(Timica)で販売されているものと、青色真珠層、特に、MERCKによって商品名Matte blue(17433)(Microna)で販売されているものと、銀色の輝きのある白色真珠層、特に、MERCKによって商品名Xirona Silverで販売されているものと、MERCKによって商品名Indian summer(Xirona)で販売されているオレンジ、ピンク、緑、および金色ハイライト真珠層と、そしてこれらの混合物である。また、MERCKによるRonastarなどのガラスベースの干渉粒子、またはSUN CHEMICALによるSunshineもしくはNIKON KOKENによるPROMINENCEなどの合成マイカベースの干渉粒子に言及することもできる。
【0067】
反射性粒子としては、GLITTEREXによってリファレンスDiscoで販売されているもの、またはVENTURE CHEMICALによってリファレンスMICROGLITTERで販売されているものなどのポリエチレンテレフタレート(PET)系のフレーク、および帝人によってリファレンスMorphotoneで提唱されているPET/ナイロン(登録商標)系の干渉繊維に言及することもできる。
【0068】
特に多層干渉構造のために、反射性粒子は、例えば、均一の厚さを有する特に反射性材料の少なくとも1つの層を有し得る。
【0069】
反射性粒子が多層構造を有する場合、これらは、例えば、反射性材料、特に少なくとも1つの金属または金属性材料の少なくとも1つの層によって少なくとも部分的に被覆された天然または合成基材、特に合成基材を含むことができる。基材は単一の材料であってもまたは複数の材料であってもよく、そして有機および/または無機であり得る。より詳しくは、基材は、ガラス、セラミック、黒鉛、金属酸化物、アルミナ、シリカ、ケイ酸塩、特にアルミノケイ酸塩およびホウケイ酸塩、合成マイカ、およびこれらの混合物から選択され得る(このリストは限定的ではない)。
【0070】
反射性粒子は、特に、日本国特許文献の特開平09−188830号公報、特開平10−158450号公報、特開平10−158541号公報、特開平07−258460号公報、および特開平05−017710号公報に記載されている。
【0071】
言及され得る金属層で被覆された鉱物基材を含む反射性粒子のさらなる例は、日本板硝子によって商品名METASHINEで販売されている銀で被覆されたホウケイ酸塩の基材を含む粒子である。
【0072】
また、第2の組成物は、場合により反射性の球形粒子および楕円形粒子を含むことができる。
【0073】
第2の組成物は、任意の揮発性溶媒、例えばエタノール、アセトン、ジメチルエーテル、アルカン、水、または揮発性シリコーンを含むことができる。
【0074】
第2の組成物を施与するために、粉末組成物を取ることができる任意のアプリケータを使用することが可能であり、アプリケータは、例えば、発泡体のまたはフロック加工された末端部材を含む。アプリケータは、環状円筒形または円錐形の平坦な末端部材を含んでいてもよい。
【0075】
発泡体の微細性(fineness)またはフロック加工の太さは、ユーザーが最適な量の組成物を取ることを可能にするように調整され得る。
【0076】
適切な場合には、アプリケータは磁化された末端部材を含み、磁化され得る粒子の取得をより容易にすることができる。
【0077】
粉末組成物を施与するために、既に第2の組成物が粉末層の形態で上に沈着されている基材(例えば、シートまたはパッチ形態)を使用することも可能である。基材は、紙、不織布、またはプラスチック材料から製造することができる。
【0078】
例えば、空気に対して多孔質であり、粒子が通過するのを防止する微細性を有する表面で被覆された末端部材を含む、吸引力を用いるアプリケータを使用することも可能である。この末端部材は、吸引源、例えばポンプまたはバルブに接続される。ユーザーは前記組成物を取るために少量の組成物を吸引し、睫毛との接触に入ると、組成物の沈着を可能にするように吸引力を低減またはさらに除去する。
【0079】
バイブレータ型アプリケータ部材を含むその他の系も粉末組成物を施与するために適切であり得る。
【0080】
1セットの睫毛の形状を有するアプリケータを用いて、1回の動作で大量の粉末を施与することもできる。
【0081】
アプリケータを繊維に擦り付けることなく施与が実施されてもよい。
【0082】
例えば、過剰の粉末組成物を固定するため、または除去するための第3の動作を用いて施与を終了させることが可能である。
【0083】
接着剤が永続的な特性を示す場合、ユーザーは、必ずしも第1の組成物を再施与することなく、第2の組成物を所望されるように再施与することができる。
【0084】
本発明の一つの実施において、1セットの睫毛の下部だけまたは上部だけが処理される。これは、人がまばたきするときに著しい光学的効果を生じる。
【0085】
本発明の別の実施では、セット内の限られた数の睫毛だけ(例えば2本に1本だけ)が処理される。
【0086】
ユーザーは、睫毛の一部だけ(例えば、先端部分または中間部分だけ)を処理してもよい。第2の組成物の施与は、このような部分を誇張する、あるいは目立たなくすることを可能にする。例えば、根本のみを処理して、根元を目立たなくして先端部を誇張することが可能である。
【0087】
第1の組成物が広範囲に施与され、そして第2の組成物がパターン状に施与されてもよい。次に、透明な粉末の第3の組成物が最初の2つの組成物上に施与されてもよい。
【0088】
あるいは、第1の組成物が広範囲に施与され、透明な粉末の別の組成物がパターン状に施与されてもよい。次に、本発明の第2の組成物が施与され、この組成物は、透明な粉末組成物を受け取らなかった領域にだけ固着する。余剰分を除去すると、パターンが現れる。
【0089】
あるいは、第1の組成物がパターン状に施与され、次に、第2の組成物が同じ領域に施与されてもよい。次に、接着剤によって保持されていない粒子が除去されるとパターンが現れる。
【0090】
第2の組成物の粒子は、それ自体が接着性であってもよい。
【0091】
第1の組成物は、例えば、乾燥すると粒子を生成してもよい。例として、第1の組成物は、例えばワックスのような結晶化に適した材料を含有する。
【0092】
必要であれば、沈着時に第1の組成物が1回の接触で睫毛の表面全体に広がることができるように、延展効果を提供する薬剤、例えば低表面張力を有する化合物および/または表面張力を低減する薬剤を第1の組成物中に添加することが可能である。
【0093】
第2の組成物の沈着物を押圧して平らにすることが可能である。
【0094】
キット
接着性組成物、粉末組成物、およびアプリケータは、単一のパッケージ内で、キットの形態でユーザーに利用可能にされ得る。
【0095】
キットは、単一の接着性組成物と、例えば異なる種類の粒子、例えば反射性フレークを含む少なくとも2つの異なる粉末組成物とを含んでいてもよい。組成物は、単一のパッケージ内に別々に梱包されてもよい。
【0096】
接着性組成物を含有する容器および粉末組成物を含有する容器は、例えばこれらの側面またはこれらの底面を介して、互いに連結されてもよい。
【0097】
キットは、例えば吸引、摩擦、または磁気引力によって、第2の組成物の余剰分の除去を可能にする手段を含むことができる。
【実施例】
【0098】
(示される割合は全て重量による)
実施例1
【0099】
【表2】

【0100】
組成物B:国際公開第02/05762号パンフレットの実施例1の組成物A
【0101】
【表3】

【0102】
メイクアップを2段階で施した。すなわち、マスカラアプリケータ(例えば、L’OREALによるTelescopic(商標)アプリケータ)を用いてを用いてベース組成物(A、B、C、またはD)を施与し、次に、粉末(粉末は100%のMerckによるColorona Glitter Bronze真珠層で構成される)を施与した。粉末は、発泡体末端部材(例えば、LancomeによるPalette Yeuxのアプリケータ)を用いて施与した。
【0103】
結果は以下の通りであった。
【0104】
【表4】

【0105】
個々にメイクアップが施された18本の毛髪試料において光沢を測定した(45°に向けられた光源により照射された後の角度の関数としての反射率の積分)。
【0106】
【表5】

【0107】
実施例2
以下の接着性組成物を睫毛に施与した。
【0108】
【表6】

【0109】
接着性組成物は、L‘OREALによるTelescopic(商標)マスカラブラシを用いて施与した。
【0110】
この組成物は、睫毛上に不連続皮膜を形成した。
【0111】
以下の配合を有する粉末組成物を施与した。
【0112】
【表7】

【0113】
粉末組成物は、例えば、LancomeによるPalette Yeuxにおいて見られる発泡体末端部材に類似した発泡体末端部材を用いて施与した。
【0114】
図2に示されるように、特に魅力的な粒子の沈着物が得られた。
【0115】
実施例3
実施例2の接着性組成物を睫毛に施与した後、以下の配合を有する帝人による繊維ベースの組成物、Morphotoneを施与した。
【0116】
【表8】

【0117】
図3に示される結果が得られた。
【0118】
実施例4
実施例2の接着性組成物を睫毛に施与した後、以下の配合を有する反射性粒子ベースの組成物(NSGによるMetashine)を施与した。
【0119】
【表9】

【0120】
図4に示される結果が得られた。
【0121】
実施例5
実施例2の接着性組成物を睫毛に施与した後、以下の配合を有するGlitterexによる黒色粒子ベースの組成物を施与した。
【0122】
【表10】

【0123】
図5に示される結果が得られた。
【0124】
本発明は、記載される実施形態に限定されない。本発明は剛毛、毛髪、眉毛などの他のケラチン繊維の処理も可能にする。元の色と対照をなす色および/または光沢を有する顔料で毛または毛の一部を処理することによって、並外れた光沢効果を得ることができる。特に、元の毛の色よりも明るい色を有する顔料を使用することが可能である。本発明によって、効果は非常に目立つので、満足できる効果を得るために大量の毛を処理する必要はない。
【0125】
従って、睫毛、剛毛、毛髪、または他の繊維を、目立たなくするように、例えば顔、腕、脚などの毛および産毛を見えなくするように処理することが可能である。再び伸びてくる毛を見えなくするように脱毛領域を処理することも可能である。
【0126】
実施例6
実施例1の組成物Dを毛髪に施与した。およそ50本中1本の毛髪をこのようにして処理した。非常に魅力的な視覚効果が得られた。
【0127】
実施例7
第2の組成物において使用される顔料は肌色であった。
【0128】
非常に目立つ毛(約7ミリメートル(mm)〜1センチメートル(cm)の茶色の毛)を示す前腕の上部において試験を実施した。
【0129】
毛は見えなくなった。
【0130】
実施例8
上記と同じ試験を実施したが、予め10日前に脱毛した脇の下に方法を適用させた点が異なった。
【0131】
毛はもはや目立たなかった。
【0132】
「含む」という表現は、「少なくとも1つを含む」と同義であると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトケラチン繊維、特に睫毛にメイクアップを施す方法であって、
a)前記繊維上に不連続沈着物を形成する接着性の第1の組成物を前記繊維に施与する工程と、
b)このようにして被覆された前記繊維にルーズパウダー状の第2の組成物を施与する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記接着性の第1の組成物が、感圧接着剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の組成物が、流動性でない接着性粒子を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接着性の第1の組成物が、アクリルポリマー、特にアクリレートおよびメタクリレートコポリマー、ゴム系またはスチレンコポリマー系感圧接着剤、例えばスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)およびスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)コポリマーなど、ウレタンのポリマー、ポリウレタン、架橋シリコーン、エチレン−酢酸ビニルのポリマー、スチレン系ブロックコポリマーまたは天然ガム、クロロプレン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレンポリマーなどから選択される接着剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤が、
・ 天然ゴム(ポリ(cis−1,4−イソプレン))、メチル−メタクリレート−イソプレングラフトコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロックコポリマー、ポリブタジエン、エチレン−ブチレンブロックコポリマー、およびポリクロロプレン、
・ アクリル酸系ブロックまたはランダムコポリマー、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート、ならびにこのようなアクリル系ポリマーとエチレンおよび酢酸ビニルとのコポリマー、
・ ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、およびアクリル酸コポリマー、及び
・ ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)
から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の組成物が、反射性フレークの形態である粒子を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記反射性フレーク粒子が、
i)光学的に均一な単一の材料から製造され、少なくとも2つの平行な面を有するフレーク、および
ii)層状構造を有し、異なる光学特性を有する材料の少なくとも2つの層を含むフレーク、特に、コア/シェル構造を有する顔料、または基材のない多層構造を有する顔料;
特に、アルミニウムまたは青銅のフレーク、シリカのフレーク、合成マイカのフレーク、ガラスのフレーク、透明効果顔料(特に、結晶性オキシ塩化ビスマスまたは多結晶性二酸化チタン)、チタン酸化物(特に、TiO)、鉄酸化物(特に、Fe)、スズ酸化物、クロム酸化物から特に選択された金属酸化物、または硫酸バリウム、MgF、CrF、ZnS、ZnSe、SiO、Al、MgO、Y、SeO、SiO、HfO、ZrO、CeO、Nb、Ta、またはMoSの少なくとも1つの層で被覆された天然または合成マイカから形成されるフレーク、酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、有機着色剤で被覆されたチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスに基づく真珠層顔料、金属酸化物および/または有機着色材料の少なくとも2つの順次の層がその表面に重ねられたマイカの粒子、少なくとも1つの均一な厚さの(特に、反射性材料の)層を持つ多層構造を有する反射性粒子、多層構造を有しかつ天然又は合成基材、特に少なくとも1つの金属または金属性材料の少なくとも1つの層によって少なくとも部分的に被覆された合成基材を有する反射性粒子、銀で被覆されたホウケイ酸の基材を含む粒子
から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の組成物中の前記粒子の含量が、30重量%以上、より良くは50重量%以上、より良くはさらに70重量%以上、またはさらに80重量%以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の組成物の前記粒子のサイズが、20μm以上、より良くは40μm以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の組成物の前記粒子の最大寸法が、10μm〜200μmの範囲内にある、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の組成物が、少なくとも1つの平らな面を有するかまたは60μm以上である曲率半径を有する粒子を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ケラチン繊維が、睫毛によって構成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記接着性の第1の組成物が1μm〜250μm、例えば10μm〜250μmの範囲内にある平均サイズを有する接着性粒子を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
・ ケラチン繊維上に接着性粒子の不連続皮膜を形成することができる接着性の第1の組成物と、
・ 粉末の第2の組成物と、
・ 前記ケラチン繊維に前記接着性組成物を施与することを可能にする第1のアプリケータ部材と、
・ 前記接着性組成物で被覆された前記繊維に前記粉末組成物を施与することを可能にする第2のアプリケータ部材と
を単一のパッケージ内に含む化粧品キット。
【請求項15】
前記接着性粒子の平均サイズが1μm〜250μm、例えば10μm〜250μmの範囲内にある、請求項14に記載の化粧品キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−530692(P2012−530692A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515621(P2012−515621)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052771
【国際公開番号】WO2010/146570
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】