説明

ケラチン繊維のための化粧用組成物

本発明は、(a)少なくとも1つのリン酸系界面活性剤、(b)少なくとも1つの非イオン界面活性剤、(c)少なくとも1つのポリオール、(d)少なくとも1つの油、及び、(e)少なくとも1つのアルカリ性剤を含む、毛髪を着色するための組成物又は毛髪を再整形するための組成物等の、ケラチン繊維のための化粧用組成物に関する。化粧用組成物が、少なくとも1つの高級アルコールを更に含むことが好ましい。本発明は、美容的性能のレベルを従来の化粧用組成物と同等に維持する一方で、臭いを発生することがないため有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪等のケラチン繊維のための化粧用組成物に関する。特に、本発明は、不快臭が少ない、ケラチン繊維のための化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪等のケラチン繊維のための化粧用組成物、例えば、毛髪染色用組成物及び毛髪パーマネントウエーブ用組成物は、アルカリ性剤を含む。アルカリ性剤は、非常に多くの場合、不快臭を有する。
【0003】
アルカリ性剤として、アンモニアが通常使用される。
【0004】
アンモニアは、ケラチン繊維に対する美容的処理の安全性及び性能に関しては優れたアルカリ性剤である。しかし、その不快臭は、ケラチン繊維に対する、アンモニアを含む化粧用組成物の使用に強い負の影響を与える。したがって、化粧用組成物からのアンモニア臭の除去は、今日、ケラチン繊維用化粧品の分野において、重要な目標の1つである。
【0005】
ケラチン繊維のための化粧用組成物のアンモニア臭を低減する(これは化粧用組成物の表面からのアンモニア(臭)の蒸発を意味する)ための今日の主要な方法は、アンモニアの代わりとして、モノエタノールアミン等、別のアルカリ性剤を使用するか、又は、JP-A-H01-213220(1989)に開示のようにアンモニアの一部を別のアルカリ性剤に置換する方法である。しかし、モノエタノールアミンはアミン臭を有し、この方法はまた、ケラチン繊維に対する美容的処理の性能に好ましくない影響を及ぼす。例えば、毛髪を立ち上げ、又は、毛髪を強力に染色する能力は、いずれも毛髪染色の非常に重要な因子であるが、アンモニア以外のアルカリ性剤を含む化粧用組成物を用いて毛髪を染色する場合、この能力は負の影響を受ける。更に、アンモニア以外のアルカリ性剤の使用は、時として、目的とする色ばかりでなく、毛髪の色にも変化を引き起こし、このことは毛髪染色のための化粧用組成物の処方設計に負の影響を及ぼす。
【0006】
したがって、前記の方法は、ケラチン繊維に対する美容的性能を優先すべきときには適切ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】JP-A-H01-213220(1989)
【特許文献2】JP-A-2-295912
【特許文献3】GB1026978
【特許文献4】GB1153196
【特許文献5】FR2801308
【特許文献6】DE2359399
【特許文献7】JP88-169571
【特許文献8】JP05-63124
【特許文献9】EP0770375
【特許文献10】WO96/15765
【特許文献11】DE3843892
【特許文献12】DE4133957
【特許文献13】WO94/08969
【特許文献14】WO94/08970
【特許文献15】FR-A-2733749
【特許文献16】DE19543988
【特許文献17】WO95/01772
【特許文献18】WO95/15144
【特許文献19】EP-A-0714954
【特許文献20】FR2692572
【特許文献21】FR-2586913
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Walter Noll、「Chemistry and Technology of Silicones」(1968年)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、Jan. 76、27〜32頁、Todd & Byers、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」
【非特許文献3】Color Index、3rd edition
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、毛髪等のケラチン繊維のための化粧用組成物の美容的性能を良好に維持しながら、アンモニア等のアルカリ性剤を含む化粧用組成物の不快臭を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前記の目的は、
(a)少なくとも1つのリン酸系界面活性剤、
(b)少なくとも1つの非イオン界面活性剤、
(c)少なくとも1つのポリオール、
(d)少なくとも1つの油、及び
(e)少なくとも1つのアルカリ性剤
を含む、ケラチン繊維のための化粧用組成物によって達成することができる。
【0011】
リン酸系界面活性剤は、酸化エチレン及び酸化プロピレンから選択される1から50モルの酸化アルキレンを付加した12から20個の炭素原子を含有するアルコキシル化脂肪アルコールのリン酸モノエステル、12から22個の炭素原子を含有する非アルコキシル化アルコールのリン酸ジアルキル、並びに、それらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。より好ましくは、リン酸系界面活性剤は、セテス-10リン酸とリン酸ジセチルとの組合せ、セテス-20リン酸とリン酸ジセチルとの組合せ、及び、オレス-5リン酸とリン酸ジオレイルとの組合せからなる群から選択することができる。
【0012】
非イオン界面活性剤は、1から50モルの酸化エチレンを付加した12から22個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン化脂肪アルコール、1から50モルの酸化プロピレンを付加した12から22個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン化脂肪アルコール、並びに、それらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0013】
ポリオールは、糖、糖アルコール及びトリオールからなる群から選択されることが好ましい。
【0014】
油は、非シリコーン液体脂肪物質であることが好ましい。油は、流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン、液状エステル、並びに、それらの混合物からなる群から選択することができる。
【0015】
アルカリ性剤は、アンモニアであることが好ましい。
【0016】
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの高級アルコールを更に含むことができる。
【0017】
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの酸化染料を更に含むことができる。酸化染料は、酸化塩基及びカプラーから選択することができる。
【0018】
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの直接染料を更に含むことができる。
【0019】
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの還元剤を更に含むことができる。
【0020】
本発明による化粧用組成物は、ケラチン繊維を染色又はケラチン繊維を再整形するためのものであることが好ましい。より具体的には、本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの酸化染料によってケラチン繊維を染色するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
鋭意検討の結果、本発明者らは、少なくとも1つのリン酸系界面活性剤、少なくとも1つの非イオン界面活性剤、少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つの油、及び、少なくとも1つのアルカリ性剤を化粧用組成物中に組み合わせて使用することによって、ケラチン繊維のための化粧用組成物の美容的性能を良好に維持しながら、当該化粧用組成物のアンモニア臭等の不快臭を低減することが可能であることを発見した。
【0022】
本発明による化粧用組成物は、アンモニア等のアルカリ性剤を組成物中に取り込んでおり、組成物表面からのアルカリ性剤の蒸発は極度に低減されている。したがって、組成物中に含まれるアンモニア等のアルカリ性剤の量を減らす必要はない。したがって、十分な量のアルカリ性剤を常に使用することができる。したがって、アルカリ性剤の量を低減する必要がないから、本発明においては、ケラチン繊維を立ち上げ、又は、ケラチン繊維を強力に染色する等の美容的性能は、低下することも損なわれることもない。
【0023】
(リン酸系界面活性剤)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つのリン酸系界面活性剤を含む。リン酸系界面活性剤の量は制限されない。リン酸系界面活性剤の量は、化粧用組成物の全重量に対して、0.1重量%から10重量%、好ましくは1重量%から4重量%であってよい。
【0024】
用語「リン酸系界面活性剤」は、その極性部が少なくとも1個のリン酸基を含む界面活性剤を意味する。
【0025】
リン酸系界面活性剤は、下記の式:
【0026】
【化1】

【0027】
[式中、R1、R2及びR3は、同一でも異なっていてもよく、
基-OM(式中、Mは、水素原子又はNa、Li若しくはK等のアルカリ金属、好ましくはNa若しくはKを表す)、
基-OR4(式中、R4は、直鎖状又は分枝状のC1〜C40アルキル基(好ましくはC12〜C20アルキル基、より好ましくはC16又はC18アルキル基)、直鎖状又は分枝状のC2〜C40アルケニル基(好ましくはC12〜C20アルケニル基、より好ましくはC16又はC18アルケニル基)、環状C3〜C40アルキル基、環状C3〜C40アルケニル基、C5〜C40芳香族基、又は、C6〜C40アラルキル基を表す)、及び
オキシアルキレン基-(OCH2CH2)n(OCH2CH(CH3))mOR4(式中、R4は、上記と同一の意味を持ち、nは、1から50までの範囲の整数を表し、mは、0から50までの範囲の整数を表す)
から選択される群を表し、
ただし、R1、R2及びR3のうち少なくとも1つは、基-OMであり、R1、R2及びR3のうち少なくとも1つは、基-OR4又は(OCH2CH2)n(OCH2CH(CH3))mOR4である]
を有するものであってよい。
【0028】
好ましくは、リン酸系界面活性剤は、酸化エチレン及び酸化プロピレンから選択される1から50モルの酸化アルキレンを付加した12から20個の炭素原子を含有するアルコキシル化脂肪アルコールのリン酸モノエステル、12から22個の炭素原子を含有する非アルコキシル化アルコールのリン酸ジアルキル、並びに、それらの混合物からなる群から選択することができる。脂肪アルコール又は非アルコキシル化アルコールのアルキル部分は、直鎖状若しくは分枝状の飽和又は不飽和アルキル基であってよい。
【0029】
より好ましくは、リン酸系界面活性剤は、セテス-10リン酸とリン酸ジセチルとの組合せ、セテス-20リン酸とリン酸ジセチルとの組合せ、及び、オレス-5リン酸とリン酸ジオレイルとの組合せからなる群から選択することができる。
【0030】
セテス-10リン酸とリン酸ジセチルとの組合せを含む製品として、クローダ社(米)が販売しているCRODAFOS CESを挙げることができる。セテス-20リン酸とリン酸ジセチルとの組合せを含む製品として、クローダ社(米)が販売しているCRODAFOS CS-20 ACIDを挙げることができる。オレス-5リン酸とリン酸ジオレイルとの組合せを含む製品として、クローダ社(米)が販売しているCRODAFOS HCEを挙げることができる。
【0031】
(非イオン界面活性剤)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの非イオン界面活性剤を含む。非イオン界面活性剤の量は、制限されない。非イオン界面活性剤の量は、化粧用組成物の全重量に対して、0.1重量%から10重量%、好ましくは1重量%から7重量%であってよい。
【0032】
非イオン界面活性剤は、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化された、モノグリセロール化又はポリグリセロール化された非イオン界面活性剤から選択することができる。オキシアルキレン単位は、更に特定すると、オキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又は、それらの組合せであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0033】
挙げることができるオキシアルキレン化非イオン界面活性剤の例には、
オキシアルキレン化(C8〜C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状オキシアルキレン化C8〜C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状オキシアルキレン化C8〜C30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C8〜C30酸とポリエチレングリコールのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C8〜C30酸とソルビトールとのポリオキシエチレン化エステル、
飽和又は不飽和のオキシエチレン化植物油、
酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンの縮合物
(とりわけ、単独で又は混合物として)
が含まれうる。
【0034】
オキシアルキレン化非イオン界面活性剤は、1から50モル、好ましくは2モルから30モルの間の、多くの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンを含有することができる。
【0035】
本発明の好ましい一実施形態によれば、オキシアルキレン化非イオン界面活性剤は、オキシエチレン化C8〜C30アルコールから選択することができる。
【0036】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40アルコールが、好ましくは使用される。
【0037】
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40アルコールは、下記の式:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H
[式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC8〜C40、好ましくはC8〜C30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは1から30まで、好ましくは1〜10までの範囲の数を表す]
に相当する。
【0038】
本発明の文脈において適切な化合物の例として、4モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名称:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名称:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名称:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、6モルのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0039】
これら界面活性剤のアルコール部分は、mの値が統計値を表場合は、アルコールの混合物を表し、このことは、市販の製品において、幾つかの種類のポリグリセロール化脂肪アルコールは混合物の形で共存している可能性があることを意味する。
【0040】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールのうちで、1モルのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1モルのグリセロールを含有するC10/C12アルコール及び、1.5モルのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが特に好ましい。
【0041】
非イオン界面活性剤が、1から50モルの酸化エチレンを付加した12から22個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン化脂肪アルコール、1から50モルの酸化プロピレンを付加した12から22個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン化脂肪アルコール、並びに、それらの混合物からなる群から選択されることは好ましい。
【0042】
1から50モルの酸化エチレンを付加した12から22個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン化脂肪アルコールの例として、ステアレス-2、ステアレス-20及びセテアレス-2を挙げることができる。1から50モルの酸化プロピレンを付加した12から22個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン化脂肪アルコールの例として、PPG-15ステアリルエーテルを挙げることができる。
【0043】
(ポリオール)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つのポリオールを含む。ポリオールの量は、制限されない。ポリオールの量は、化粧用組成物の全重量に対して、2重量%から10重量%、好ましくは2重量%から6重量%であってよい。
【0044】
用語「ポリオール」は、本明細書において、複数のアルコール官能基を有する化合物を意味する。すなわち、ポリオールは、2個以上のヒドロキシル基を有するアルコールである。本発明の範囲において、ポリオールは、8個を超える炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基等の疎水基を有さない。
【0045】
本発明の化粧用組成物において使用することができるポリオールには、特に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール及びヘキシレングリコール等のジオール又はグリコール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリグリコール;グリセロール等のトリオール;並びに、それらの混合物が含まれる。
【0046】
ポリオールは、糖、糖アルコール及びトリオールからなる群から選択されることが好ましい。
【0047】
用語「糖」は、本明細書において、アルデヒド又はケトン官能基の有無にかかわらず、幾つかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含有する、酸素含有の炭化水素系化合物を意味する。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0048】
挙げることができる適切な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース、トレハロース及びラクトース、並びに、これらの誘導体、特にメチル誘導体等のアルキル誘導体、例えば、メチルグルコースが含まれる。
【0049】
用語「糖アルコール」は、本明細書において、糖の潜在的なケトン又はアルデヒド基をアルコール基に還元することによって得られる化合物を意味する。したがって、糖アルコールは、幾つかのアルコール官能基を有する。
【0050】
挙げることができる適切な糖アルコールの例には、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、及び、これらの誘導体が含まれる。
【0051】
用語「トリオール」は、本明細書において、3個のヒドロキシル基を有するアルコールを意味する。トリオールの例は、グリセロール又はグリセリンである。
【0052】
(油)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの油を含む。2つ以上の油が使用される場合、それらは同一でも異なっていてもよい。油の量は、制限されない。油の量は、化粧用組成物の全重量に対して、0.1重量%から20重量%、好ましくは4重量%から12重量%であってよい。
【0053】
用語「油」は、本明細書において、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において水に不溶(5%未満、好ましくは1%未満、更により好ましくは0.1%未満の溶解度)である有機化合物を意味する。更に、油は、前記と同一の温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例えば、クロロホルム、エタノール又はベンゼン、に可溶である。
【0054】
更に特定すると、油は、室温及び大気圧において液状又はペースト状である化合物から選択される。好ましくは、油は25℃の温度及び大気圧において液状である化合物である。
【0055】
有利には、油は、アルカン、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、鉱油、植物油、動物油、合成油及び非シリコーンワックス等の非シリコーン脂肪物質から選択することができる。
【0056】
別法として、油はシリコーンから選択される。
【0057】
好ましくは、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、及び、脂肪酸は、6から30個の炭素原子を含有する、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基であって、任意選択で、特に1つ又は複数の(特に、1から4個の)ヒドロキシル基によって置換されている基を含有することができる。これらの基が不飽和の場合、これらの化合物は1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0058】
アルカンは、6から30個の炭素原子を含むことができ、直鎖状若しくは分枝状、又は環状であってよい。挙げることができる例には、へキサン及びドデカンが含まれる。
【0059】
本発明による化粧用組成物において使用することができる油として、挙げることができる例には、
- ペルヒドロスクワレン等、動物由来の炭化水素油、
- 6から30個の炭素原子を含有する液状脂肪酸トリグリセリド等の植物由来の炭化水素油、例えば、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、或いは別法として、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社により販売されているもの、又は、Miglyol(登録商標)810、812及び818の名称でDynamit Nobel社により販売されているもの、ホホバ油及びシアバター油、
- 鉱物又は合成由来の直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、揮発性又は不揮発性の流動パラフィン、及び、これらの誘導体、ワセリン、流動ワセリン、ポリデセン、Parleam(登録商標)等の水添ポリイソブテン;イソパラフィン、例えばイソヘキサデカン又はイソデカン、
- 8から30個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及び、それらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール又はリノレイルアルコール、並びに
- 部分的に炭化水素系及び/又はシリコーン系のフッ素油、例えば、特開平2-295912号公報に記載のもの;また、挙げることができるフッ素油には、Flutec(登録商標)PC1及びFlutec(登録商標)PC3の名称でBNFL Fluorochemicals社により販売されているパーフルオロメチルシクロペンタン及びパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン;パーフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン;PF 5050(登録商標)及びPF 5060(登録商標)の名称で3M社により販売されているドデカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサン、又はForalkyl(登録商標)の名称でAtochem社により販売されているブロモパーフルオロオクチル等のパーフルオロアルカン;ノナフルオロメトキシブタン及びノナフルオロエトキシイソブタン;PF 5052(登録商標)の名称で3M社により販売されている4-トリフルオロメチルパーフルオロモルホリン等のパーフルオロモルホリン誘導体
が含まれる。
【0060】
非シリコーンワックスは、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、エスパルトグラスワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、植物ワックス、例えば、オリーブワックス、ライスワックス、水添ホホバワックス又はBertin社(フランス)により販売されているブラックカラント花のエッセンシャルワックス等の花のアブソリュートワックス等、動物ワックス、例えば、ミツロウ又は変性ミツロウ(cerabellina)から選択される。本発明に基づき使用することができるその他のワックス又はワックス状出発物質は、特に海洋ワックス例えば、Sophim社によりM82の参照名で販売されている製品等、及び一般的なポリエチレンワックス又はポリオレフィンワックスである。
【0061】
脂肪酸は、飽和でも不飽和でもよく、6から30個の炭素原子、特に9から30個の炭素原子を含有する。これらは更に特定すると、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びイソステアリン酸から選択される。
【0062】
前記のエステルは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C1〜C26脂肪族モノ又はポリ酸と飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C1〜C26脂肪族モノ又はポリアルコールのエステルであってよく、エステルの総炭素数は、10以上である。
【0063】
モノエステルとしては、ジヒドロアビエチルベヘネート;オクチルドデシルベヘネート;イソセチルベヘネート;セチルラクテート;C12-C15アルキルラクテート;イソステアリルラクテート;ラウリルラクテート;リノレイルラクテート;オレイルラクテート;(イソ)ステアリルオクタノエート;イソセチルオクタノエート;オクチルオクタノエート;セチルオクタノエート;デシルオレエート;イソセチルイソステアレート;イソセチルラウレート;イソセチルステアレート;イソデシルオクタノエート;イソデシルオレエート;イソノニルイソノナノエート;イソステアリルパルミテート;メチルアセチルリシノレエート;ミリスチルステアレート;オクチルイソノナノエート;2-エチルヘキシルイソノネート;オクチルパルミテート;オクチルペラルゴネート;オクチルステアレート;オクチルドデシルエルケート;オレイルエルケート;エチル及びイソプロピルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルデシルパルミテート、アルキルミリステートとしてイソプロピル、ブチル、セチル、2-オクチルドデシル、ミリスチル又はステアリルミリステート等、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート;ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルラウレートを挙げることができる。
【0064】
C4〜C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1〜C22アルコールのエステル及びモノ-、ジ-又はトリカルボン酸とC2〜C26ジ、トリ、テトラ又はペンタヒドロキシアルコールのエステルを使用することもできる。例えば、脂肪酸トリグリセリドを使用するのは好ましい。
【0065】
特に、下記を挙げることができる: ジエチルセバケート;ジイソプロピルセバケート;ジイソプロピルアジペート;ジ-n-プロピルアジペート;ジオクチルアジペート;ジイソステアリルアジペート;ジオクチルマレエート;グリセリルウンデシレネート;オクチルドデシルステアロイルステアレート;ペンタエリトリチルモノリシノレエート;ペンタエリトリチルテトライソノナノエート;ペンタエリトリチルテトラペラルゴネート;ペンタエリトリチルテトライソステアレート;ペンタエリトリチルテトラオクタノエート;プロピレングリコールジカプリレート;プロピレングリコールジカプレート;トリデシルエルケート;トリイソプロピルシトレート;トリイソステアリルシトレート;グリセリルトリラクテート;グリセリルトリオクタノエート;トリオクチルドデシルシトレート;トリオレイルシトレート;プロピレングリコールジオクタノエート;ネオペンチルグリコールジヘプタノエート;ジエチレングリコールジイソノナノエート;及びポリエチレングリコールジステアレート。
【0066】
前記のエステルの中でも、エチル、イソプロピル、ミリスチル、セチル又はステアリルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルドデシルパルミテート、アルキルミリステート、例えば、イソプロピル、ブチル、セチル又は2-オクチルドデシルミリステート等、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート;ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルラウレート、イソノニルイソノナノエート又はセチルオクタノエートを使用することが好ましい。
【0067】
本発明による化粧用組成物はまた、脂肪エステルとして、アルキレンオキサイド単位をもたないC6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルをも含む。用語「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基の有無にかかわらず、幾つかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含有する、酸素含有の炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0068】
挙げることができる適切な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びに、これらの誘導体、特にメチル誘導体等のアルキル誘導体、例えば、メチルグルコースが含まれる。
【0069】
脂肪酸の糖エステルは、特に、先に記載の糖及び直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和、C6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸のエステル又はエステル混合物を含む群から選択することができる。脂肪酸が不飽和の場合、これら化合物は1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0070】
本変形例に基づくエステルはまた、モノ、ジ、トリ、テトラエステル及びポリエステル、並びに、それらの混合物から選択することができる。
【0071】
これらのエステルは、例えば、オレート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレート、リノレネート、カプリレート及びアラキドネート、又は、それらの混合物、例えば、特に、オレオ-パルミテート、オレオ-ステアレート及びパルミト-ステアレート混合エステルから選択することができる。
【0072】
モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコース、モノ又はジオレート、ステアレート、ベヘネート、オレオパルミテート、リノレート、リノレネート及びオレオステアレートの使用は、特に好ましい。
【0073】
挙げることができる例は、Glucate(登録商標)DOの名称でAmerchol社により販売されている製品であり、この製品は、メチルグルコースジオレートである。
【0074】
挙げることができる糖及び脂肪酸のエステル又はエステル混合物の例には、
- F160、F140、F110、F90、F70及びSL40の名称でCrodesta社により販売されている製品で、それぞれ、73%のモノエステルと27%のジエステル及びトリエステルから、61%のモノエステルと39%のジエステル、トリエステル及びテトラエステルから、52%のモノエステルと48%のジエステル、トリエステル及びテトラエステルから、45%のモノエステルと55%のジエステル、トリエステル及びテトラエステルから、39%のモノエステルと61%のジエステル、トリエステル及びテトラエステルから構成されるスクロースパルミトステアレートを意味するもの、及びスクロースモノラウレート、
- Ryoto Sugar Estersの名称で販売されている製品、例えば20%のモノエステルと80%のジ-トリエステル-ポリエステルから構成されるスクロースベヘネートに相当するB370、
- Goldschmidt社によりTegosoft(登録商標)PSEの商品名で販売されているスクロースモノ-ジパルミト-ステアレート
が含まれる。
【0075】
油は好ましくは、流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン、液状エステル、及び、それらの混合物からなる群から選択することができる。
【0076】
本発明による化粧用組成物において油として使用することができるシリコーンは、揮発性又は不揮発性、環状、直鎖状又は分枝状シリコーンであり、これらは、変性されていなくても有機基によって変性されていてもよく、25℃で5×10-6から2.5m2/s、好ましくは1×10-5から1m2/sの粘度を有する。
【0077】
本発明に基づき使用することができるシリコーンは、油、ワックス、樹脂、又はガムの形態であってよい。
【0078】
好ましくは、シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、及びポリ(オキシアルキレン)基、アミノ基及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの官能基を含む有機変性ポリシロキサンから選択される。
【0079】
オルガノポリシロキサンは、Walter Nollの「Chemistry and Technology of Silicones」(1968年)、Academic Pressにおいて非常に詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0080】
シリコーンは、揮発性である場合、更に特定すると60℃から260度の間の沸点を有するものから、更に特定すると下記から選択される。
(i) 3から7個、好ましくは4から5個のケイ素原子を含有する環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にVolatile Silicone(登録商標)7207の名称でUnion Carbideによって、又はSilbione(登録商標)70045 V 2の名称でRhodiaによって販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Volatile Silicone(登録商標)7158の名称でUnion Carbideによって、及びSilbione(登録商標)70045 V 5の名称でRhodiaによって販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにその混合物である。
【0081】
ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンタイプのシクロコポリマー、例えば式:
【0082】
【化2】

【0083】
を有する、Union Carbide社により販売されているVolatile Silicone(登録商標)FZ3109等を挙げることもできる。
【0084】
オルガノシリコーン化合物を有する環状ポリジアルキルシロキサンの混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトール(50/50)の混合物及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンの混合物等を挙げることができる。
【0085】
(ii) 2から9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にSH 200の名称でToray Silicone社により販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この種類に属するシリコーンはまた、下記に発表された記事Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、Jan. 76、27〜32頁、Todd & Byers、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」において記述されている。
【0086】
不揮発性ポリジアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサンガム及び樹脂、前記の有機官能基によって変性されたポリオルガノシロキサン、並びに、それらの混合物を使用するのが好ましい。
【0087】
これらのシリコーンは、更に特定すると、ポリジアルキルシロキサンから選択され、中でもトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを主として挙げることができる。シリコーンの粘度は、例えばASTM規格445付属書Cに従って25℃で測定する。
【0088】
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、限定するものではなく、下記の市販製品を挙げることができる。
- Rhodiaの47及び70047シリーズのSilbione(登録商標)油又はMirasil(登録商標)油、例えば、oil 70047 V 500000、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社の200シリーズの油、例えば、粘度60000mm2/sを有するDC200、
- General ElectricのViscasil(登録商標)油及びGeneral ElectricのSFシリーズのある種の油(SF96、SF18)。
【0089】
名称Dimethiconol(CTFA) (ジメチコノール)で知られているジメチルシラノール末端基を含有する、ポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社の48シリーズの油等を挙げることもできる。
【0090】
この種類のポリジアルキルシロキサンにおいて、ポリ(C1-C20)ジアルキルシロキサンであるGoldschmidt社のAbil Wax(登録商標)9800及び9801の名称で販売されている製品を挙げることもできる。
【0091】
本発明に基づき使用されてよいシリコーンガムは、特に、ポリジアルキルシロキサン好ましくは200000から1000000の間の高い数平均分子量を有するポリジメチルシロキサンであり、溶媒中に単独で又は混合物として使用される。この溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン及びトリデカン、並びに、それらの混合物から選択することができる。
【0092】
特に本発明に基づき使用できる製品は、例えば、
鎖末端においてヒドロキシル化されたポリジメチルシロキサン、又はdimethiconol(CTFA)(ジメチコノール)から、及びcyclomethicone(CTFA)(シクロメチコン)としても知られている環状ポリジメチルシロキサン、例えばDow Corning社により販売されている製品Q2 1401等から構成される混合物、
環状シリコーンを含むポリジメチルシロキサンガム、例えば、数平均分子量500000のジメチコンに相当するSF 30 gumをデカメチルシクロペンタシロキサンに相当する油SF 1202 Silicone Fluidに溶解したものであるGeneral Electricの製品SF 1214 Silicone Fluid、から構成される混合物、並びに
種々の粘度を有する2つのPDMSの混合物、更に特定すると、PDMSガム及びPDMS油、例えば、General Electric社の製品SF 1236等の混合物である。製品SF 1236は、粘度20m2/sを有する前記に定義のSE 30 gumと粘度5×10-6m2/sを有するSF 96 oilの混合物である。この製品は、好ましくは15%のSE 30 gumと85%のSF 96 oilを含有する。
【0093】
本発明に基づき使用されてよいオルガノポリシロキサン樹脂は、下記のユニット:
R2Si02/2、R3SiO1/2、RSiO3/2及びSiO4/2
(式中、Rは、1から16個の炭素原子を含有する炭化水素基を表す)を含有する、架橋シロキサン系である。これら製品の中で、特に好ましいのは、RがC1〜C4の低級アルキル基、より好ましくはメチルを意味する製品である。これら樹脂の中で、Dow Corning 593の名称で販売されている製品、又はジメチル/トリメチルシロキサン構造のシリコーンであってSilicone Fluid SS 4230及びSS 4267の名称でGeneral Electricにより販売されている製品を挙げることができる
【0094】
X22-4914、X21-5034及びX21-5037の名称でShin-Etsu社により販売されているトリメチルシロキシシリケートタイプの樹脂を挙げることもできる。
【0095】
本発明に基づき使用されてよい有機変性シリコーンは、前記に定義のシリコーンであって、その構造中に、炭化水素基を介して結合している1つ又は複数の有機官能基を含むものである。
【0096】
前記に記載のシリコーン以外に、有機変性シリコーンは、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン、及び、先に記述の有機官能基によって官能基化されたポリアルキルアリールシロキサンであってよい。
【0097】
ポリアルキルアリールシロキサンは、特に、25℃で1×10-5から5×10-2m2/sの粘度を有する直鎖状及び/又は分枝状のポリジメチル/メチルフェニルシロキサン及びポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択される。
【0098】
これらポリアルキルシロキサンの中で、挙げることができる例には、下記の名称で販売されている製品が含まれる:
RhodiaのSilbione(登録商標)oilsの70 641シリーズ、
RhodiaのRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
Dow Corningの油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
BayerのPKシリーズのシリコーン、例えば、製品PK20等、
BayerのPN及びPHシリーズのシリコーン、例えば、製品PN1000及びPH1000等、
General ElectricのSFシリーズのある種の油、例えば、SF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265等。
【0099】
有機変性シリコーンの中で、下記を含むポリオルガノシロキサンを挙げることができる:
‐任意選択でC6〜C24アルキル基を含むポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基、例えばDow Corning社によりDC 1248の名称で販売されておりジメチコンコポリオールとして知られている製品又はSilwet(登録商標)L 722、L 7500、L 77及びL 711の名称でUnion Carbide社により販売されている油、並びにDow Corning社によりQ2 5200の名称で販売されている(C12)アルキルメチコンコポリオール等、
‐置換又は非置換のアミン基、例えばGenesee社によりGP 4 Silicone Fluid及びGP 7100の名称で販売されている製品、又はDow Corning社によりQ2 8220及びDow Corning 929又は939の名称で販売されている製品等。置換アミン基は、特にC1〜C4アミノアルキル基である、
‐アルコキシル化された基、例えばSilicone Copolymer F-755の名称でSWS Siliconesにより販売されている製品、及びGoldschmidt社により販売されているAbil Wax(登録商標) 2428、2434及び2440等。
【0100】
好ましくは、油は、前記のような非シリコーン液状脂肪物質である。特に、非シリコーン液状脂肪物質として、流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン、液状エステル、及び、それらの混合物を挙げることができる。
【0101】
(アルカリ性剤)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つのアルカリ性剤を含む。アルカリ性剤の量は、制限されない。アルカリ性剤の量は、化粧用組成物の全重量に対して、0.1重量%から20重量%、好ましくは1重量%から10重量%であってよい。
【0102】
アルカリ性剤は、アンモニア、炭酸アルカリ、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-、トリエタノールアミン、及び、これらの誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム並びに下記の式:
【0103】
【化3】

【0104】
(式中、Wはヒドロキシル基又はC1〜C4アルキル基によって任意選択で置換されたプロピレン残基であり、Ra、Rb、Rc及びRdは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C4アルキル又はC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表す)
を有する化合物から選択されてよい。
【0105】
アンモニアをアルカリ性剤として使用することは好ましい。別のアルカリ性剤をアンモニアと混合してもよい。
【0106】
(高級アルコール)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの高級アルコールを更に含むことができる。高級アルコールの量は、制限されない。高級アルコールの量は、化粧用組成物の全重量に対して、0.1重量%から10重量%、好ましくは1重量%から5重量%であってよい。
【0107】
用語「高級アルコール」は、本明細書において、直鎖状、分枝状又は環状の、飽和又は不飽和、C8〜C40炭化水素基、好ましくはC8〜C20炭化水素基を意味する。C8〜C40炭化水素基は、C8〜C40アルキル、アルケニル又はアラルキル基であってよい。
【0108】
本発明に使用するのが好ましい高級アルコールとして、ステアリルアルコール及びセテアリルアルコールを挙げることができる。
【0109】
(酸化染料)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの酸化染料を更に含むことができる。酸化染料は、一般に、任意選択で1つ又は複数のカプラーと組み合わせた1つ又は複数の酸化塩基から選択される。
【0110】
酸化染料は、例えば、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール及び複素環塩基、並びにこれらの付加塩から選択される。
【0111】
挙げることができるパラ-フェニレンジアミンは、例えば、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシ-エチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン及び3-ヒドロキシ-1-(4'-アミノフェニル)-ピロリジン、並びにこれらの酸との付加塩である。
【0112】
前記のパラ-フェニレンジアミンの中で、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシ-エチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、及びこれらの酸との付加塩は、特に好ましい。
【0113】
ビス(フェニル)アルキレンジアミンの中で挙げることができるのは、例えば、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン、並びにこれらの付加塩である。
【0114】
パラ-アミノフェノールの中で、挙げることができるのは、例えば、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及び4-アミノ-2-フルオロフェノール、並びにこれらの酸との付加塩である。
【0115】
オルト-アミノフェノールの中で、挙げることができるのは、例えば、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール、並びにこれらの付加塩である。
【0116】
複素環塩基の中で挙げることができるのは、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体である。
【0117】
ピリジン誘導体の中で挙げることができるのは、例えば、特許GB1026978及びGB1153196に記載の化合物、例えば、2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン及び3,4-ジアミノピリジン、並びにこれらの付加塩である。
【0118】
本発明において有用なその他のピリジン酸化塩基は、例えば特許出願FR2801308に記載の3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン酸化塩基又はこれらの付加塩である。挙げることができる例には、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3',6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]-ピリジン-6-オール及び3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、並びにこれらの付加塩が含まれる。
【0119】
ピリミジン誘導体の中で挙げることができるのは、例えば、特許DE2359399;JP88-169571;JP05-63124;EP0770375又は特許出願WO96/15765に記載の化合物、例えば、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6ジアミノピリミジン、及び2,5,6-トリアミノピリミジン、並びに、これらの付加塩、並びに、互変異性平衡が存在する場合にはこれらの互変異性形態である。
【0120】
ピラゾール誘導体の中で挙げることができるのは、例えば、特許DE3843892及びDE4133957、並びに特許出願WO94/08969、WO94/08970、FR-A-2733749及びDE19543988に記載の化合物、例えば、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチル-ピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノ-ピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール及び3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、並びに、これらの付加塩である。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールを使用することもできる。
【0121】
同様に使用してよい複素環塩基は、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン又はこれらの塩である。
【0122】
本発明による化粧用組成物は、有利にはケラチン繊維の染色に従来使用されるカプラーから選択される1つ又は複数のカプラーを任意選択で含むことができる。
【0123】
これらのカプラーの中で、特に、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレン系のカプラー及び複素環式カプラー、並びに、これらの付加塩を挙げることもできる。
【0124】
例えば、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3、4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチル-ピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール及び6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール、これらの酸との付加塩、並びにその混合物を挙げることができる。
【0125】
一般に、本発明の文脈において使用されてよい酸化塩基及びカプラーの付加塩は、特に、酸との付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩等、から選択される。
【0126】
酸化塩基は、それぞれ、有利には、組成物の全重量に対して、0.0001重量%から10重量%、好ましくは組成物の全重量に対して、0.005重量%から5重量%に相当する。
【0127】
カプラーが存在する場合、カプラーの含有量は、有利には、組成物の全重量に対して、0.0001重量%から10重量%、好ましくは組成物の全重量に対して、0.005重量%から5重量%に相当する。
【0128】
(直接染料)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの非イオン性、カチオン性又はアニオン性直接染料を更に含むことができ、直接染料は、例えば、下記のレッド又はオレンジニトロベンゼン染料:
1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-N-(γ-ヒドロキシプロピル)アミノベンゼン、N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン、1-アミノ-3-メチル-4-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-6-ニトロベンゼン、1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、1-アミノ-2-ニトロ-4-メチルアミノベンゼン、N-(β-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-パラ-フェニレンジアミン、1-アミノ-2-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-5-クロロベンゼン、2-ニトロ-4-アミノジフェニルアミン、1-アミノ-3-ニトロ-6-ヒドロキシベンゼン、1-(β-アミノエチル)アミノ-2-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチルオキシ)-ベンゼン、1-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)オキシ-3-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)-アミノベンゼン、1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン、1-ヒドロキシ-2-アミノ-4,6-ジニトロベンゼン、1-メトキシ-3-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、2-ニトロ-4'-ヒドロキシジフェニルアミン及び1-アミノ-2-ニトロ-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン
から選択することができる。
【0129】
本発明による化粧用組成物は、これらニトロベンゼン染料に加えて、又はこれらの代わりに、イエロー、グリーン-イエロー、ブルー又はバイオレットニトロベンゼン染料、アゾ染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、ベンゾキノン染料、インジゴイド染料、及びトリアリールメタン系染料から選択される、1つ又は複数の追加の直接染料を含むこともできる。
【0130】
これらの追加の直接染料は特に、塩基性染料であってよく、中でも更に特定するとColor Index、3rd edition(カラーインデックス第3版)において、「ベーシックブラウン16」、「ベーシックブラウン17」、「ベーシックイエロー57」、「ベーシックレッド76」、「ベーシックバイオレット10」、「ベーシックブルー26」及び「ベーシックブルー99」の名称で知られている染料を挙げることができる。或いは、酸性直接染料、中でも更に特定するとColor Index、3rd edition(カラーインデックス第3版)において、「アシッドオレンジ7」、「アシッドオレンジ24」、「アシッドイエロー36」、「アシッドレッド33」、「アシッドレッド184」、「アシッドブラック2」、「アシッドバイオレット43」、及び「アシッドブルー62」の名称で知られている染料を、或いは、別法として、カチオン性直接染料、例えば、その内容が本発明の不可欠な部分を形成するWO95/01772、WO95/15144及びEP-A-0714954に記載のもの等を挙げることができる。
【0131】
挙げることができる追加のイエロー及びグリーン-イエローニトロベンゼン直接染料は、例えば、
1-β-ヒドロキシエチルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン、1-メチルアミノ-2-ニトロ-5-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)オキシベンゼン、1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メトキシ-4-ニトロベンゼン、1-(β-アミノエチル)アミノ-2-ニトロ-5-メトキシベンゼン、1,3-ジ(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-ニトロ-6-クロロベンゼン、1-アミノ-2-ニトロ-6-メチルベンゼン、1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ヒドロキシ-4-ニトロベンゼン、N-(β-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-4-トリフルオロメチルアニリン、4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸、4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロクロロベンゼン、4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロメチルベンゼン、4-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)アミノ-3-ニトロトリフルオロメチルベンゼン、1-(β-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、1,3-ジアミノ-4-ニトロベンゼン、1-ヒドロキシ-2-アミノ-5-ニトロベンゼン、1-アミノ-2-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ-5-ニトロベンゼン、1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン及び4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンズアミド
から選択される化合物である。
【0132】
挙げることができる追加のブルー又はバイオレットニトロベンゼン直接染料は、例えば、
1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、1-(γ-ヒドロキシプロピル)アミノ-4,N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-(N-メチル-N-β-ヒドロキシ-エチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、1-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)アミノ-4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシ-エチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、下記の式:
【0133】
【化4】

【0134】
(式中、
R6は、C1〜C4アルキル基又はβ-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシプロピル又はγ-ヒドロキシプロピル基を表し、
R5及びR7は、同一でも異なっていてもよく、β-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシプロピル、γ-ヒドロキシプロピル又はβ,γ-ジヒドロキシプロピル基を表し、基R6、R7又はR5の少なくとも1つはγ-ヒドロキシプロピル基を表し、R6がγ-ヒドロキシプロピル基であるとき、FR2692572に記載のように、R6とR7は、同時にはβ-ヒドロキシプロピル基を意味することはできない)
を有する2-ニトロ-パラ-フェニレンジアミンから選択される化合物である。
【0135】
直接染料が存在する場合、直接染料は好ましくは、化粧用組成物の全重量に対して、ほぼ0.0005重量%から12重量%、更により好ましくは全重量に対して、ほぼ0.005重量%から6重量%に相当する。
【0136】
(還元剤)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1つの還元剤を更に含むことができる。還元剤は一般に、硫化化合物及び非硫化化合物から選択される。
【0137】
硫化化合物は一般に、チオール、サルファイト及びハイドロサルファイトから選択される。チオールは好ましくは、チオグリコール酸又はチオ乳酸又はシステイン及びそれらの塩から選択される。
【0138】
非硫化化合物は一般に、レダクトン、特にアスコルビン酸又はエリソルビン酸及びそれらの塩から選択される。
【0139】
還元剤が存在する場合、還元剤は好ましくは、化粧用組成物の全重量に対して、ほぼ0.0005重量%から20重量%、更により好ましくは全重量に対して、ほぼ0.05重量%から10重量%に相当する。
【0140】
(化粧用組成物)
本発明による化粧用組成物は、毛髪等のケラチン繊維に対する美容的処理に使用することができる。例えば、本発明による化粧用組成物は、ケラチン繊維を染色又はケラチン繊維を再整形するために使用することができる。
【0141】
有利には、本発明による化粧用組成物は、ゲル又はクリームの形態である。
【0142】
本発明に基づきケラチン繊維を染色する化粧用組成物は、毛髪用組成物に通常使用される種々のアジュバント、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン型ポリマー又はその混合物;鉱物系増粘剤、及び、クレイ、タルク等のフィラー;有機系増粘剤、特に、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の高分子会合性増粘剤;浸透剤;カチオン性等のイオン性界面活性剤、双性イオン型界面活性剤、金属イオン封鎖剤;香料;分散剤;皮膜形成剤;セラミド;防腐剤;及び乳白剤等を含有することができる。
【0143】
一般に、前記のアジュバントはそれぞれ、本発明による化粧用組成物の全重量に対して0.01重量%から20重量%の間の量で存在する。
【0144】
組成物が、ケラチン繊維を染色するために使用されるとき、ケラチン繊維の着色過程は、まず、本発明の化粧用組成物を、1つ又は複数の酸化剤を含む顕色剤と混合することにより実施することができる。本発明による化粧用組成物と顕色剤との混合比率は、1:1から1:1.5であってよい。
【0145】
更に特定すると、酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、臭素酸アルカリ金属又はフェリシアン化物、及び過酸化塩、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属過硫化塩、過ホウ酸塩及び過炭酸塩、並びにこれらの過酸及び前駆物質から選択される。
【0146】
酸化剤は、有利には、過酸化水素、特に水溶液として(過酸化水素水溶液)の過酸化水素により形成され、その濃度は1から50重量%、好ましくは5から40重量%の範囲であってよい。
【0147】
所望する明色化の度合いに応じて、顕色剤は、好ましくは過酸化塩から選択される酸化剤を含むこともできる。
【0148】
顕色剤は、水性であっても非水性であってもよい。用語「水性」は、顕色剤が、5重量%超の水、好ましくは10重量%超の水、更により有利には20重量%超の水を含むことを意味する。
【0149】
通常、顕色剤のpHは、水性である場合、7未満である。
【0150】
顕色剤はまた、本分野において通常使用される他の成分、特に本発明による化粧用組成物の状況において先に詳述されている成分を含有することもできる。
【0151】
顕色剤は、種々の形態、例えば溶液、エマルション又はゲルである。
【0152】
次に、本発明による化粧用組成物の混合物及び顕色剤を毛髪等のケラチン繊維上に塗布し、適切な処理時間後に洗い流す。結果として、毛髪等のケラチン繊維は着色されうる。
【0153】
一方、本発明に基づきケラチン繊維を再整形するための化粧用組成物は、ケラチン繊維中のジスルフィド結合を切断するために、典型的に、チオグリコール酸等の還元剤を含有する。本発明に基づきケラチン繊維を再整形するための化粧用組成物はまた、前述のような種々のアジュバントを含有することもできる。一般に、前記のアジュバントは、それぞれ、本発明による化粧用組成物の重量に対して0.01重量%から20重量%の間の量で存在する。
【0154】
本発明に基づきケラチン繊維を再整形する過程は、下記のように実施することもできる。
【0155】
まず、ケラチン繊維は、変形のための機械的張力を受ける。機械的張力は、ケラチン繊維を目的とする形態に変形させるためのいかなる方法でケラチン繊維に適用されてもよい。例えば、機械的張力は、カーラー、ローラー、プレート又はアイロンからなる群から選択される少なくとも1つの再整形手段によって提供されてよい。再整形手段は、少なくとも1つのヒーターを含むことができる。
【0156】
次に、本発明に基づきケラチン繊維を再整形するための化粧用組成物をケラチン繊維に塗布する。このようにして、ケラチン繊維中のジスルフィド結合が切断される。組成物の塗布は、ブラシ及び櫛等、いかなる手段によって実施されてもよい。機械的張力を加えられたケラチン繊維は、組成物で処理されるべきである。
【0157】
次に、ジスルフィド結合を再び形成するために、前記に記載のように1つ又は複数の酸化剤を含む酸化組成物をケラチン繊維上に塗布する。結果として、毛髪等のケラチン繊維は、再整形されうる。
【0158】
本発明による化粧用組成物をケラチン繊維に塗布するステップの後及び/又はケラチン繊維を加熱するステップの後で、ケラチン繊維をすすぐこともできる。
【0159】
必要に応じて、ケラチン繊維に機械的張力を加える前及び/又は加えている間に、本発明による化粧用組成物をケラチン繊維に適用することもできる。
【0160】
本発明のもう1つの課題は、染色キット又は多区画装置であり、この装置では第一の区画が前記に定義の本発明の染色組成物を含み、第二の区画が酸化剤を含む。この装置は、本出願会社を代表して特許FR-2586913に記載の装置のように、所望の混合物を毛髪上に付着させることを可能にする手段を備えることができる。
【0161】
(実施例)
本発明は実施例によってより詳細に記述されることになるが、実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0162】
実施例1から4及び比較例1から5
実施例1から4及び比較例1から5に基づく下記の組成物を、表1に示す成分を混合することによって、調製した。表1における数字は、重量パーセントを意味する。
【0163】
クローダ社(米)により販売されているCrodafos CS-20 Acidが、セテアリルアルコール、リン酸ジセチル及びセテス-20リン酸の混合物として使用されたこと、及び、クローダ社(米)により販売されているCrodafos HCEが、オレス-50リン酸とジオレイルリン酸の混合物として使用されたことに留意すべきである。
【0164】
【表1】

【0165】
実施例1から4及び比較例1から5のそれぞれについて、アンモニアの蒸発を、下記に記載のように表2に組成を示す顕色剤を混合し、嗅覚試験及び化学発光試験を行うことによって評価した。
【0166】
【表2】

【0167】
(嗅覚試験)
5名のパネルが、実施例1から4及び比較例1から5のいずれかと前記の顕色剤との混合物を直接嗅ぐことにより官能評価を行って、下記の基準に基づきスコアを付けた。
1:アンモニア臭は非常に弱い
2:アンモニア臭は弱い
3:アンモニア臭は中程度である
4:アンモニア臭は強い
5:アンモニア臭は非常に強い
【0168】
パネルによるスコアを回収し、実施例1から4及び比較例1から5のそれぞれについて平均スコアを統計的に計算した。結果を表3及び4に示す。
【0169】
【表3】

【0170】
【表4】

【0171】
実施例1から4は、アンモニア捕捉能において比較例1から5よりも、優れた結果を示している。
【0172】
(化学発光試験)
実施例1から4及び比較例1から5のいずれかと前記の顕色剤との混合物から蒸発するアンモニアの濃度を、化学発光検知システム(CLD 822 CMI by Eco Physics AG、スイス)を用いて決定した。最高ピーク濃度(Vmax)を混合物から蒸発するアンモニアの濃度を決定するために使用した。結果を表5及び6に示す。
【0173】
【表5】

【0174】
【表6】

【0175】
実施例1から4は、アンモニアの蒸発において比較例1から5よりも、優れた結果を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つのリン酸系界面活性剤、
(b)少なくとも1つの非イオン界面活性剤、
(c)少なくとも1つのポリオール、
(d)少なくとも1つの油、及び
(e)少なくとも1つのアルカリ性剤
を含む、ケラチン繊維のための化粧用組成物。
【請求項2】
リン酸系界面活性剤が、酸化エチレン及び酸化プロピレンから選択される1から50モルの酸化アルキレンを付加した12から20個の炭素原子を含有するアルコキシル化脂肪アルコールのリン酸モノエステル、12から22個の炭素原子を含有する非アルコキシル化アルコールのリン酸ジアルキル、並びに、それらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
リン酸系界面活性剤が、セテス-10リン酸とリン酸ジセチルとの組合せ、セテス-20リン酸とリン酸ジセチルとの組合せ、及び、オレス-5リン酸とリン酸ジオレイルとの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
非イオン界面活性剤が、1から50モルの酸化エチレンを付加した12から22個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン化脂肪アルコール、1から50モルの酸化プロピレンを付加した12から22個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン化脂肪アルコール、並びに、それらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリオールが、糖、糖アルコール及びトリオールからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
油が、非シリコーン液体脂肪物質である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
油が、流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン、液状エステル、並びに、それらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
アルカリ性剤がアンモニアである、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの高級アルコールを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの酸化染料を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
酸化染料が、酸化塩基及びカプラーから選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの直接染料を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの還元剤を更に含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン繊維を着色するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン繊維を再整形するための、請求項1から9及び13のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−503109(P2013−503109A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510460(P2012−510460)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/JP2009/065143
【国際公開番号】WO2011/024300
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】