説明

ケラチン繊維のコスメティックトリートメントのための無水媒体における揮発性直鎖アルカンおよび液体脂肪エステルの使用、および揮発性直鎖アルカン、液体脂肪エステルおよび特定の油に基づく無水化粧料組成物

【課題】毛髪のコスメティックトリートメントの非リンスケア組成物を提供する。
【解決手段】ケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのための、無水媒体における、1つ以上の揮発性直鎖アルカンおよびC1-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの1つ以上の液体脂肪エステルを、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が5未満での使用。また、無水の媒体において:-1つ以上の揮発性直鎖アルカン、-C12-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの1つ以上の液体脂肪エステル、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が0.1以上、5未満にある、および-シリコーン油より選ばれる1つ以上の油を含む化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのための、無水媒体における、1つ以上の揮発性直鎖アルカンおよび1つ以上の液体脂肪エステルの、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が5未満での使用、揮発性直鎖アルカン、液体脂肪エステルおよび特定の油に基づき、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が5未満である無水化粧料組成物、および前記組成物を使うコスメティックトリートメントの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアトリートメントの領域において、揮発性溶媒の使用は、ケアやツヤのための毛髪製品において既知である。これは、一般的にはさまざまな理由で用いられている。これは、特に、軽くべたつかない手触りを与えることによって毛髪製品の感覚効果を変えることを可能にする。これは、また、毛髪に、特に乾いた髪に製品の広がりを容易にする滑り性を与えることができる。
一般に液体脂肪エステル、イソドデカンまたはイソヘキサデカンタイプの炭化水素油、および/またはシリコーン油であるこれらの揮発性溶媒は、特に、べたついた感触、つやがないこと、また、剛くて硬い毛髪の問題につながり得る。
更に、これらの揮発性溶媒は、一般的には無水製品において高濃度で存在する。そのときに、これは、環境、特に水域環境に負の影響の欠点を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、上述の不利な点を避けるためにこれらの揮発性溶媒を置き換えることが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
出願人は、予想外に且つ驚くべきことに、無水媒体において1つ以上の揮発性直鎖アルカンおよびC1-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの1つ以上の液体脂肪エステルを、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が5未満で用いることにより、毛髪に手櫛をした後に製品が手に転移することや上述の欠点を避けるとともに毛髪のコスメティック特性、例えば、なめらかさ、ツヤ、形の整え易さ、もつれのほぐれ易さ、軽さ、しなやかさ、感触を改善することを可能にすることを発見した。
特に、湿った毛髪に適用すると、よりなめらかでよりツヤのある毛髪を与える。更に、組成物が乾いた髪に用いられる場合、髪はよりツヤがあるようになり、且つより容易に形を整えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
従って、本発明は、ケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのための、無水媒体における、1つ以上の揮発性直鎖アルカンおよびC1-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの1つ以上の液体脂肪エステルを、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が5未満での使用に関する。
本発明は、また、無水媒体において:
-1つ以上の揮発性直鎖アルカン、
-C12-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの1つ以上の液体脂肪エステル、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が0.1以上、5未満にある、および
-シリコーン油より選ばれる1つ以上の油
を含む化粧料組成物に関する。
本発明の他の目的は、前記組成物を使う、ケラチン物質、例えばケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントの方法である。
本発明によれば、ケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのために、無水媒体において、1つ以上の揮発性直鎖アルカンを、C1-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの1つ以上の液体脂肪エステルと、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルの質量比が5未満で組み合わせて用いられる。この使用は、特に、なめらかさ、ツヤ、形の整え易さ、もつれのほぐれ易さ、軽さ、しなやかさおよび/または感触のより良好な特性を与える。
【0006】
「1つ以上の揮発性直鎖アルカン」は、「1つ以上の揮発性直鎖アルカン油」を区別せずに意味する。
本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、周囲温度(約25℃)および大気圧(101 325Paまたは760mmHg)で液体である。
本発明に適している「揮発性直鎖アルカン」は、皮膚と接触状態で周囲温度(25℃)および大気圧(101 325Pa)で1時間未満に蒸発することができ、周囲温度で液体であり、且つ特に、周囲温度(25℃)および大気圧(101 325Pa)で0.01〜15mg/cm2/分の範囲にある蒸発速度を有する直鎖アルカンを意味する。
好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、周囲温度(25℃)および大気圧(101 325Pa)で、0.01〜3.5mg/cm2/分、より好ましくは0.01〜1.5mg/cm2/分の範囲にある蒸発速度を有する。
より好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、周囲温度(25℃)および大気圧(101 325Pa)で、0.01〜0.8mg/cm2/分、好ましくは0.01〜0.3mg/cm2/分、より好ましくは0.01〜0.12mg/cm2/分の範囲にある蒸発速度を有する。
【0007】
本発明の揮発性アルカン(より一般的には揮発性溶媒)の蒸発速度は、特にWO 06/013413に記載されるプロトコールによって、より詳しくは以下に記載されるプロトコールによって評価され得る。
15gの揮発性炭化水素溶媒は、温度(25℃)および湿度(相対湿度50%)を調整した約0.3m3のチャンバ内にあるはかりに載せた結晶皿(直径:7cm)に導入される。
揮発性炭化水素溶媒は、撹拌されずに、自由に蒸発させ、換気は、揮発性炭化水素溶媒を含有する結晶皿の上に垂直の位置に配置される送風機(Papst-Motoren、参照番号8550N、2700回転/分の速度で)が備えられ、ブレードは、結晶皿の底に対して20cmの距離に結晶皿の方に向いている。
結晶皿に残っている揮発性炭化水素溶媒の質量は、一定の時間間隔で測定される。
次に、蒸発した製品の量(mg/cm2)の曲線を時間(分)の関数としてプロットすることによって溶媒の蒸発プロファイルが得られる。
次に、得られた曲線の原点で正接に対応する蒸発速度が算出される。蒸発速度は、単位時間(分)において単位面積(cm2)当たりの蒸発した揮発性溶媒のmgで表される。
【0008】
好ましい実施態様によれば、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、室温で非ゼロ蒸気圧(飽和蒸気圧とも呼ばれる)、特に、0.3Pa〜6000Paの範囲にある蒸気圧を有する。
好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)で、0.3〜2000Pa、より好ましくは0.3〜1000Paの範囲にある蒸気圧を有する。
より好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)で、0.4〜600Pa、好ましくは1〜200Pa、より好ましくは3〜60Paの範囲にある蒸気圧を有する。
一実施態様によれば、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、30〜120℃、より詳しくは40〜100℃の範囲にある引火点を示し得る。引火点は、特に、規格ISO 3679に従って測定される。
一実施態様によれば、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、炭素原子7〜15個、好ましくは炭素8〜14個、より好ましくは炭素原子9〜14個をを有する直鎖アルカンであり得る。
より好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、炭素原子10〜14個、より好ましくは炭素原子11〜14個を有する直鎖アルカンであり得る。
本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、有利には植物由来であり得る。
【0009】
好ましくは、本発明の組成物に存在する揮発性直鎖アルカンの混合物は、少なくとも14C炭素同位体(炭素-14)を含む。特に、14C同位体は、同位体数比(または14C/12C比)が1×10-16以上、好ましくは1×10-15以上、より好ましくは7.5×10-14、更により好ましくは1.5×1013で存在し得る。好ましくは、14C/12C比は、6×10-13〜1.2×10-12の範囲にある。
揮発性直鎖アルカンの混合物中の14C同位体の量は、当業者に既知の方法、例えば、リビー計数法、液体シンチレーション分光法または加速器質量分析によって決定され得る。
このようなアルカンは、植物出発材料、例えば、油、バター、ワックス等から直接または数段階で得ることができる。
本発明に適しているアルカンの例として、特許出願WO 2007/068371およびWO2008/155059に記載されるアルカンを挙げることができる。これらのアルカンは、ココナツまたはパーム油から得られる脂肪アルコールから得られる。
【0010】
本発明に適している直鎖アルカンの例として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)およびn-ペンタデカン(C15)が挙げられる。個々の実施態様によれば、揮発性直鎖アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカンおよびn-テトラデカンより選ばれる。
好ましい実施態様によれば、出願WO2008/155059の実施例1および実施例2で得られるn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)の混合物を挙げることができる。
また、Sasol社から参照番号PARAFOL 12-97およびPARAFOL 14-97としてそれぞれ販売されているn-ドデカン(C12)およびn-テトラデカン(C14)、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0011】
一実施態様は、単一の揮発性直鎖アルカンを用いることからなる。
あるいは、炭素数nが少なくとも1つ相互に異なる、特に、炭素数が相互に1つまたは2つ異なる少なくとも2つの異なった揮発性直鎖アルカンの混合物を用いることからなる。
一実施態様によれば、炭素原子10〜14個を含み且つ炭素数が相互に少なくとも1つ異なる少なくとも2つの異なった揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。例として、特に、揮発性直鎖アルカンのC10/C11、C11/C12またはC12/C13混合物を挙げることができる。
他の実施態様によれば、炭素原子10〜14個を含み且つ炭素数が相互に少なくとも2つ異なる少なくとも2つの異なった揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。例として、特に、偶数炭素数nにおいては、揮発性直鎖アルカンのC10/C12またはC12/C14混合物、奇数炭素数nにおいては、C11/C13混合物を挙げることができる。
【0012】
好ましい実施態様によれば、炭素数が相互に少なくとも2つ異なる炭素原子10〜14個を含む少なくとも2つの異なった揮発性直鎖アルカンの混合物、特に、揮発性直鎖アルカンのC11/C13混合物または揮発性直鎖アルカンのC12/C14混合物が使用される。
本発明の2つを超える揮発性直鎖アルカンを組み合わせる他の混合物、例えば、炭素数が相互に少なくとも1つ異なる炭素原子7〜15個を含む少なくとも3つの異なった揮発性直鎖アルカンの混合物が本発明に使用し得る。
2つの揮発性直鎖アルカンの混合物の場合、前記2つの揮発性直鎖アルカンは、好ましくは95wt.%を超え、より好ましくは99wt.%を超える混合物である。
【0013】
本発明の具体的な実施態様によれば、揮発性直鎖アルカンの混合物において、最小の炭素数を有する揮発性直鎖アルカンが混合物において支配的である。
本発明の他の実施態様によれば、最大の炭素数を有する揮発性直鎖アルカンが混合物において支配的である揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。
特に、本発明に適している混合物の例として、前記混合物中のアルカンの全質量に対して以下の混合物:
・50〜90wt.%、好ましくは55〜80wt.%、より好ましくは、60〜75wt.%の揮発性直鎖Cnアルカン、ここで、nは7〜15の範囲にある、
・10〜50wt.%、好ましくは20〜45wt.%、好ましくは24〜40wt.%の揮発性直鎖Cn+xアルカン、ここで、xは1以上、好ましくはx=1またはx=2、ここで、n+xは8〜14である
を挙げることができる。
【0014】
特に、揮発性直鎖アルカンの前記混合物は、更に:
・2wt.%未満、好ましくは1wt.%未満の分枝鎖炭化水素、および/または
・2wt.%未満、好ましくは1wt.%未満の芳香族炭化水素、および/または
・2wt.%未満、好ましくは1wt.%未満、優先的には0.1wt.%の不飽和炭化水素
を含むことができ、前記%は混合物の全質量に対して表されている。
より詳しくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物の形で使うことができる。
特に、前記混合物中のアルカンの全質量に対して:
・55〜80wt.%、好ましくは60〜75wt.%の揮発性直鎖C11アルカン(n-ウンデカン)および
・20〜45wt.%、好ましくは24〜40wt.%の揮発性直鎖C13アルカン(n-トリデカン)
を含む揮発性直鎖アルカンの混合物が用いられる。
【0015】
一実施態様によれば、アルカンの混合物は、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物である。特に、このような混合物は、出願WO 2008/155059の実施例1または実施例2に従って得ることができる。
他の具体的な実施態様によれば、SASOLから参照番号PARAFOL 12-97として販売されているn-ドデカンが用いられる。
他の具体的な実施態様によれば、SASOLから参照番号PARAFOL 14-97として販売されているn-テトラデカンが用いられる。
更に他の実施態様によれば、n-ドデカンとn-テトラデカンの混合物が用いられる。
【0016】
「液体脂肪エステル」は、本発明の意味において、室温(25℃)および大気圧(101 325Pa)で液体である脂肪酸および/または脂肪アルコールのエステルを意味する。
本発明に用いられる液体脂肪エステルは、C1-30、好ましくはC12-30、より好ましくはC12-22のモノ-またはジカルボン酸とC1-30、好ましくはC1-20の一価アルコールの脂肪エステルである。
本発明の一実施例において、液体脂肪エステルは、全体で炭素原子10〜50個を有する。
本発明に使用し得る液体脂肪エステルの例として、特に、エチルラウレート、ブチルラウレート、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソプロピルラウレート、メチルミリステート、エチルミリステート、ブチルミリステート、イソブチルミリステート、イソプロピルミリステート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルモノココエート(またはオクチルモノココエート)、エチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソブチルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート(またはオクチルパルミテート)、ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、イソブチルステアレート、イソセチルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソプロピルイソステアレート、2-エチルヘキシルステアレート(またはオクチルステアレート)、2-エチルヘキシルヒドロキシステアレート(またはオクチルヒドロキシステアレート)、デシルオレエート、ジイソプロピルセバケート、イソノニルイソノナノエート、トリデシルネオペンタノエート、イソセチルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、オクチルドデシルネオペンタノエートおよびイソアラキジルネオペンタノエートおよびこれらの混合物を挙げることができる。
【0017】
好ましくは、本発明に用いられる液体脂肪エステルは、イソプロピルミリステート、メチルミリステート、エチルミリステート、ブチルミリステート、イソブチルミリステート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルモノココエート(またはオクチルモノココエート)、エチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソブチルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート(またはオクチルパルミテート)、ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、イソブチルステアレート、イソセチルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソプロピルイソステアレート、2-エチルヘキシルステアレート(またはオクチルステアレート)、2-エチルヘキシルヒドロキシステアレート(またはオクチルヒドロキシステアレート)、デシルオレエートおよびより詳しくはイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、およびこれらの混合物より選ばれる。
揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比は、5未満、好ましくは0.1以上である。特に、0.1〜4.9、より好ましくは0.1〜4.7の範囲にある。
【0018】
「無水媒体」は、本発明の意味において、媒体が、組成物の全質量に対して、5wt.%未満、好ましくは2wt.%未満、より詳しくは1wt.%未満の水分を有することを意味する。水は、また、結合した水の形で、塩の結晶水としてまたは本発明の範囲内で用いられる原材料によって吸着される微量の水としてあり得ることは留意すべきである。この媒体は、1つ以上の有機溶媒を含むことができる。
無水媒体中に存在し得る有機溶媒として、例えば、直鎖または分枝鎖C2-C4アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール;グリセロール;ポリオールおよびポリオールのエーテル、例えば、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールのモノエチルエーテル、ジエチレングリコールのモノメチルエーテル;芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコールまたはフェノキシエタノール;およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0019】
本発明は、また、無水媒体において:
-1つ以上の揮発性直鎖アルカン、
-C12-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの1つ以上の液体脂肪エステルを揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が0.1以上5未満で、および
-シリコーン油より選ばれる1以上の油
を含む化粧料組成物に関する。
無水媒体、揮発性直鎖アルカン、液体脂肪エステルおよび揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比は、上で定義した通りである。
本発明の組成物は、組成物の全質量に対して、0.5〜90wt.%の揮発性直鎖アルカン、特に1〜70wt.%、より詳しくは2〜70wt.%、好ましくは15〜70wt.%の揮発性直鎖アルカンを含むことができる。
液体脂肪エステルまたはC1-30、好ましくはC12-30、より好ましくは、C12-22モノ-またはジカルボン酸とC1-30、好ましくはC1-20一価アルコールのエステルは、組成物の全質量に対して、好ましくは0.1〜90wt.%、より詳しくは1〜80%、より好ましくは10〜80wt.%の量で存在する。
【0020】
「油」は、親油性、非イオン性化合物、水に不溶、且つ室温(25℃)および大気圧(760mmHgまたは101 325Paで液体である。「水に不溶」は、本発明の意味において、25℃および大気圧における水中の自然なpHでの溶解度は、1%未満、好ましくは0.5wt.%未満である。油は、同じ温度および圧力条件下で有機溶媒、例えば、クロロホルム、エタノールまたはベンゼンに可溶である。更に、油は、常温(25℃)および大気圧で液体である。油は、好ましくは5℃未満の融点を有する。
本発明に用いられる油は、好ましくは、25℃における動的粘度が1Pa.s(1000cP)、好ましくは10-3〜0.1Pa.s(1〜100cP)を有する。動的粘度は、100s-1のせん断速度で25℃において、例えばMETTLER社から参照番号RM 180 Rheomatを有する装置で測定される。
【0021】
本発明に使用し得る油は、シリコーン油およびその混合物より選ばれる。
シリコーン油の例として、特に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フェニル化ポリオルガノシロキサン、例えば、必要によりフッ素化されていてもよい、フェニルトリメチコン、フェニルトリメチルシロキシ-ジフェニルシロキサン、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、ポリメチル-フェニルシロキサン;脂肪酸で変性されたポリシロキサン、脂肪アルコールまたはポリオキシアルキレン、フッ素化シリコーン、過フッ素化シリコーン油、アミノ化シリコーン油を挙げることができる。
好ましいシリコーン油の中で、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンおよびこれらの混合物を挙げることができる。
これらのシリコーン油は、必要により、シリコーン鎖またはペンダントの終わりにアルキル基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基、例えば、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサン、ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサンを含むことができる。
トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンの例として、特に、25°Cにおいて5.10-6〜2.5m2/s、好ましくは1.10-5〜1m2/sの粘度を有するものを挙げることができる。シリコーンの粘度は、例えば、規格ASTM 445 補遺Cに準じて25℃において測定される。
【0022】
これらのポリアルキルシロキサンの中で、網羅的でなく、以下の市販製品を挙げることができる:
-シリーズ47および70 047のSILBIONE油またはRHONE POULENCから販売されているMIRASIL油、例えば油70 047 V 500 000;
-RHODIA社から販売されているMIRASILシリーズの油;
-DOW CORNING社から200シリーズの油、例えばより詳しくは粘度60 000 cStのDC200;
- Wacker Chemie AG社から商品名Belsil DM 300000およびBelsil DM 60000として販売されている油;
-GENERAL ELECTRICからVISCASIL油およびGENERAL ELECTRICからSFシリーズ(SF 96、SF 18)のある種の油。
また、ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる(CTFA命名によればジメチコノール)、例えばRHODIA社から48シリーズの油。
本発明で使用できるシリコーン油として、特にケイ素原子2〜7個を有する直鎖または環状シリコーンも挙げることができる。特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサンおよびこれらの混合物を挙げることができる。
本発明の範囲内で特に好ましい油は、ポリジメチルシロキサンおよびこれらの混合物である。
上で定義された油は、組成物の質量に対して、好ましくは0.1〜50wt.%の量で、より好ましくは1〜30wt.%の量で存在する。
【0023】
本発明の組成物は、1以上の植物の油を更に含むことができる。
特に、「植物油」は、植物界に属する種から抽出される、上で定義された油を意味する。
本発明に用いられる植物油は、すでに定義された揮発性直鎖アルカンと異なり、化粧品の領域において通常使われる植物油から選択される。
本発明の組成物に使用できる植物油の例として、カメリナ油、甘扁桃油、アルガンオイル、アボカド油、落花生油、ツバキ油、ベニバナ油、カロフィラムオイル、菜種油、椰子油、コリアンダー油、ククルビットオイル、小麦胚芽油、ホホバ油または液体ホホバワックス、アマニ油、マカダミア油、トウモロコシ胚芽油、ヘイゼルナッツ油、胡桃油、ベルノニア油、杏仁油、オリーブ油、月見草油、パーム油、トケイソウ油、グレープシードオイル、バラ油、キャスター油、ライムギ油、胡麻油、ヌカ油、大豆油、ヒマワリ油およびこれらの混合物を挙げることができる。
上述の植物油の中で、以下のもの好ましく用いられる:カメリナ油、甘扁桃油、オリーブ油、アルガンオイル、アボカド油、菜種油、ホホバ油または液体ホホバワックス、大豆油、ヒマワリ油、より好ましくはカメリナ油、甘扁桃油、アボカド油、ホホバ油または液体ホホバワックス、およびこれらの混合物、より好ましくはカメリナ油、甘扁桃油。
本発明の組成物は、更に、当業者が周知の1つ以上の慣用の添加剤、例えば、会合性あるいは非会合性のイオン性、即ち、カチオンまたはアニオン、非イオン性、または両性のポリマー、C10-30脂肪アルコール、ポリオール、タンパク質、ビタミン、還元剤、可塑剤、軟化剤、消泡剤、水和剤、顔料、クレー、無機充填剤、UVフィルタ、無機コロイド、素練促進剤、可溶化剤、芳香剤、防腐剤、アニオン、カチオン、非イオン性または両性界面活性剤、真珠光沢物質、噴射剤、無機増粘剤、有機増粘剤を含むことができる。
【0024】
当業者は、本発明の組成物の特性を損なわないように、任意の添加剤およびその量を選ぶために注意する。
これらの添加剤は、一般的には、組成物の全質量に対して、0〜20wt.%の範囲にある量で本発明の組成物中に存在する。
本発明の組成物は、種々の粘度のローション、またはゲルの形であり得る。
本発明は、また、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントの方法であって、前記物質に化粧料組成物の有効量を適用する段階、および必要により、選択できる洗い流さない時間の後に洗い流してもよい段階からなる、前記方法に関する。
本発明の組成物が適用される場合、必要により、約1/2分〜5分間の毛髪になじませてもよく、次に、必要により、水によるすすぎが行われてもよい。
【0025】
以下の実施例は、本発明の例示のために示されるものである。
以下の実施例において、特にことわらない限り、量はすべて、組成物の全質量に対して、このままの製品の質量パーセントとして示される。
【実施例】
【0026】
実施例1
以下の非リンスケア組成物を、以下の表に示される成分から調製した。

この組成物を毛髪に適用した。なめらかさおよびツヤの優れた性能が認められた。
【0027】
実施例2
以下の非リンスケア組成物を、以下の表に示される成分から調製した。

この組成物を毛髪に適用した。より形の整え易さが認められた。
【0028】
実施例3
以下の非リンスケア組成物を、以下の表に示される成分から調製した。

この組成物を毛髪に適用した。より形の整え易さだけでなく、視覚によるなめらかさと感触の優れた性能が認められた。
【0029】
実施例4
以下の非リンスケア組成物を、以下の表に示される成分から調製した。

この組成物を、毛髪に適用した。湿った髪と乾いた髪の優れた感触が認められ、これは、特に、毛髪に手櫛をした後に、手に組成物のより少ない転移に反映された。
【0030】
実施例5
以下の非リンスケア組成物を、以下の表に示される成分から調製した。

この組成物を毛髪に適用した。なめらかさ、感触および軽さの優れた特性が認められた。
【0031】
実施例6
以下の非リンスケア組成物を、以下の表に示される成分から調製した。

この組成物を毛髪に適用した。形の整い易さだけでなく、視覚によるなめらかさと感触の優れた性能が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのための、無水媒体における、1つ以上の揮発性直鎖アルカンおよびC1-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの1つ以上の液体脂肪エステルを、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が5未満での使用。
【請求項2】
揮発性直鎖アルカンが、炭素原子7〜15個を有する直鎖アルカンであることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
1-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの液体脂肪エステルが、エチルラウレート、ブチルラウレート、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソプロピルラウレート、メチルミリステート、エチルミリステート、ブチルミリステート、イソブチルミリステート、イソプロピルミリステート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルモノココエート(またはオクチルモノココエート)、エチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソブチルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート(またはオクチルパルミテート)、ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、イソブチルステアレート、イソセチルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソプロピルイソステアレート、2-エチルヘキシルステアレート(またはオクチルステアレート)、2-エチルヘキシルヒドロキシステアレート(またはオクチルヒドロキシステアレート)、デシルオレエート、ジイソプロピルセバケート、イソノニルイソノナノエート、トリデシルネオペンタノエート、イソセチルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、オクチルドデシルネオペンタノエートおよびイソアラキジルネオペンタノエートおよびこれらの混合物より選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が、0.1〜4.9の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
無水媒体において:
-1つ以上の揮発性直鎖アルカン、
-C12-30モノ-またはジカルボン酸とC1-30一価アルコールの1つ以上の液体脂肪エステル、揮発性直鎖アルカンと液体脂肪エステルとの質量比が0.1以上、5未満にある、および
-シリコーン油より選ばれる1つ以上の油
を含む化粧料組成物。
【請求項6】
液体脂肪エステルが、エチルラウレート、ブチルラウレート、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソプロピルラウレート、メチルミリステート、エチルミリステート、ブチルミリステート、イソブチルミリステート、イソプロピルミリステート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルモノココエート(またはオクチルモノココエート)、エチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソブチルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート(またはオクチルパルミテート)、ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、イソブチルステアレート、イソセチルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソプロピルイソステアレート、2-エチルヘキシルステアレート(またはオクチルシステアレート)、2-エチルヘキシルヒドロキシステアレート(またはオクチルヒドロキシステアレート)、デシルオレエート、ジイソプロピルセバケート、イソノニルイソノナノエート、トリデシルネオペンタノエート、イソセチルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、オクチルドデシルネオペンタノエートおよびイソアラキジルネオペンタノエートおよびこれらの混合物より選ばれることを特徴とする、請求項5に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
シリコーン油が、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、およびこれらの混合物より選ばれることを特徴とする、請求項5または6に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、より好ましくは毛髪のトリートメントの方法であって、請求項5〜7のいずれか1項に記載の化粧料組成物を適用することを含む、前記方法。

【公開番号】特開2011−132237(P2011−132237A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−294801(P2010−294801)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】