説明

ケーブルクランプ

【課題】主に、フラットケーブルの端部に取付けられたコネクタを保護し得るようにする。
【解決手段】端部にコネクタ2が取付けられたフラットケーブル1のコネクタ2近傍を挟着可能な第一のケーブル挟着部11と、第一のケーブル挟着部11からフラットケーブル1に付与する余長分だけ離れた位置を挟着可能な第二のケーブル挟着部13とを有する。そして、第一のケーブル挟着部11と第二のケーブル挟着部13との間に、離間した状態からフラットケーブル1を撓めつつ互いに隣接した状態にまで近接させて連結および分離可能な内部連結部14を有するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フラットケーブルの端部に取付けられたコネクタを保護するためのケーブルクランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数本の平行な電線を平面的に並べて一体に接合してなるフラットケーブルが用いられている。このようなフラットケーブルは、各分野で幅広く用いられている。例えば、自動車などの車両においても各所で用いられている。
【0003】
そして、このようなフラットケーブルを配索するためにケーブルクランプが使用される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−160580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたケーブルクランプは、フラットケーブルを折曲げた状態でクランプすることにより、ケーブルクランプを方向変換させるようにしたものであるため、フラットケーブルに急激に大きな荷重が作用して引張られた場合に、フラットケーブルの端部に取付けられたコネクタの端子部を保護するような機能は特に備えていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、端部にコネクタが取付けられたフラットケーブルの前記コネクタ近傍を挟着可能な第一のケーブル挟着部と、該第一のケーブル挟着部からフラットケーブルに付与する余長分だけ離れた位置を挟着可能な第二のケーブル挟着部とを有し、前記第一のケーブル挟着部と第二のケーブル挟着部との間に、上記離間した状態からフラットケーブルを撓めつつ互いに隣接した状態にまで近接させて連結および分離可能な内部連結部を有するケーブルクランプを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、フラットケーブルのコネクタ近傍を挟着した第一のケーブル挟着部に対して、フラットケーブルの余長分だけ離れた位置を挟着した第二のケーブル挟着部を、離間した状態からフラットケーブルを撓めつつ互いに隣接した状態にまで近接させた後に内部連結部を用いて結合させることにより、フラットケーブルを撓めて容易に一定長さの迂回部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例にかかるケーブルクランプの全体斜視図である。
【図2】図1のケーブルクランプの分解斜視図である。
【図3】図1のケーブルクランプの使用状態を示す全体斜視図である。
【図4】図3を斜め下側から見た全体斜視図である。
【図5】ケーブルクランプの変形使用例を示す全体斜視図である。
【図6】フラットケーブルを屈曲させる状態を示す斜視図である。
【図7】図6を反対側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
図1〜図7は、この実施例およびその変形例を示すものである。
【実施例】
【0011】
<構成>以下、構成について説明する。
【0012】
図1に示すように、複数本の平行な電線を平面的に並べて一体に接合してなるフラットケーブル1が設けられる。そして、このフラットケーブル1の端部にはコネクタ2(図3参照)が取付けられる。
【0013】
なお、このようなフラットケーブル1は、各分野で幅広く用いられている。例えば、自動車などの車両においても各所で用いられている。
【0014】
そして、このようなフラットケーブル1を配索するためのケーブルクランプ3が設けられる。
【0015】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0016】
(構成1)
この実施例のケーブルクランプ3は、端部にコネクタ2が取付けられたフラットケーブル1のコネクタ2近傍を挟着可能な第一のケーブル挟着部11と、この第一のケーブル挟着部11からフラットケーブル1に付与する余長分だけ離れた位置を挟着可能な第二のケーブル挟着部13とを有するものとされる。そして、第一のケーブル挟着部11と第二のケーブル挟着部13との間に、上記離間した状態からフラットケーブル1を撓めつつ互いに隣接した状態にまで近接させて連結および分離可能な内部連結部14を設ける。
【0017】
ここで、第一のケーブル挟着部11は、フラットケーブル1の片面(例えば、図中下面)に対して当接配置可能なクリップベース11aと、フラットケーブル1の他面(例えば、図中上面)に対して当接配置可能なロックプレート11bとを備えている。クリップベース11aとロックプレート11bとは、それぞれフラットケーブル1の幅方向へ、フラットケーブル1の幅寸法よりも長く延びるものとされる。そして、クリップベース11aとロックプレート11bとの両端部間には、互いに係止固定可能な係止部11cが設けられている。この場合、係止部11cは、クリップベース11aとロックプレート11bとの一方に設けられた爪部11d、および、他方に設けられた爪受部11eとされている。この係止部11cの爪部11dと爪受部11eとは、フラットケーブル1の面直方向に対する係止を行うものとされている。なお、この場合、クリップベース11aとロックプレート11bとは、両端部に係止部11cを有することにより互いに分離されたものとなっているが、一端部のみに係止部11cを有すると共に他端部が薄肉樹脂ヒンジで互いに連結されたものとすることもできる。
【0018】
同様に、第二のケーブル挟着部13は、フラットケーブル1の片面(例えば、図中下面)に対して当接配置可能なクリップベース13aと、フラットケーブル1の他面(例えば、図中上面)に対して当接配置可能なロックプレート13bとを備えている。クリップベース13aとロックプレート13bとは、それぞれフラットケーブル1の幅方向へ、フラットケーブル1の幅寸法よりも長く延びるものとされる。そして、クリップベース13aとロックプレート13bとの両端部間には、互いに係止固定可能な係止部13cが設けられている。この場合、係止部13cは、クリップベース13aとロックプレート13bとの一方に設けられた爪部13d、および、他方に設けられた爪受部13eとされている。この係止部13cの爪部13dと爪受部13eとは、フラットケーブル1の面直方向に対する係止を行うものとされている。なお、この場合、クリップベース13aとロックプレート13bとは、両端部に係止部13cを有することにより互いに分離されたものとなっているが、一端部のみに係止部13cを有すると共に他端部が薄肉樹脂ヒンジで互いに連結されたものとすることができる。
【0019】
また、内部連結部14は、第一のケーブル挟着部11のクリップベース11aと、第二のケーブル挟着部13のクリップベース13aとの対向面間に設けられたピン連結部16とされる。このピン連結部16は、クリップベース11aとクリップベース13aとの一方に設けられたピンプレート16aと、他方に設けられたピン受部16bとを備えている。ピンプレート16aは、挟着されたフラットケーブル1と平行な面を有するプレート部材の両面からフラットケーブル1と面直な方向へ延びる係止用突起部(この場合には半球状のものとされている)が突設されたものとされる。また、ピン受部16bは、間にピンプレート16aを挿入可能な一対のピン受プレートに係止用突起部を嵌合可能な突起受孔部を設けたものとされる。なお、ピン受プレートはピンプレート16aと平行な面を有するものとされる。このピン連結部16(内部連結部14)は、クリップベース11aおよびクリップベース13aの両端部近傍に一対設けられている。
【0020】
なお、第一のケーブル挟着部11のクリップベース11aとロックプレート11bとを分離し、また、第二のケーブル挟着部13のクリップベース13aとロックプレート13bとを分離した場合には、図5に示すように、係止部11cの爪部11dおよび爪受部11e(または、係止部13cの爪部13dおよび爪受部13e)と同様の爪部18dおよび爪受部18eを有する中間プレート18を、第一のケーブル挟着部11のクリップベース11aとロックプレート11bとの間、および、第二のケーブル挟着部13のクリップベース13aとロックプレート13bとの間(図示せず)に、1段以上介在させることにより、フラットケーブル1を多層化して固定することが可能となる。
【0021】
なお、索状部材21は、第一のケーブル挟着部11のクリップベース11aおよび第二のケーブル挟着部13のクリップベース13aと一体に成形しても良いし、または、クリップベース11aとクリップベース13aと索状部材21とを各々別体に成形し、索状部材21をクリップベース11aとクリップベース13aとの間に連結するようにしても良い。更に、索状部材21は、ゴム、熱可塑性エラストマーなどのエラストマー材から形成されたものとするのが好ましい。
【0022】
(構成2)
図2に示すように、第一のケーブル挟着部11と第二のケーブル挟着部13とが、余長分の長さを有する索状部21によって予め一体に繋がれるようにする。
【0023】
ここで、索状部21は、第一のケーブル挟着部11のクリップベース11aと、第二のケーブル挟着部13のクリップベース13aとの対向面間を繋ぐように成形によって一体に設けられたものとされている。この索状部21は、クリップベース11aおよびクリップベース13aの幅中央部間に設けられている。
【0024】
(構成3)
上記した索状部21が長さ方向の中間部にヒンジ部23を有するようにする。
【0025】
このヒンジ部23は、索状部21の中間部に迂回形状部分を設けたり、索状部21の中間部に他の部分と比べて薄肉の薄肉部分を設けたりすることなどによって構成される。この場合には、フラットケーブル1とは反対側に迂回する迂回形状部としている。
【0026】
(構成4)
更に、上記した第一のケーブル挟着部11と、第二のケーブル挟着部13とが、コネクタ2または外部の部品(別のケーブルクランプ3など)に対して連結および分離可能な外部連結部25を有する。
【0027】
ここで、外部連結部25は、第一のケーブル挟着部11のクリップベース11aと、第二のケーブル挟着部13のクリップベース13aとに設けられたピン連結部とされる。
【0028】
このピン連結部は、クリップベース11aとクリップベース13aとの一方に設けられたピン受プレート25bと、他方に設けられた係止用ピン部25cとを備えている。
【0029】
ピン受プレート25bは、クリップベース11aとクリップベース13aとの一方の相反する面から外方へ向けて延びるプレート部材にピン孔を設けたものとされる。また、係止用ピン部25cは、クリップベース11aとクリップベース13aとの他方のフラットケーブル1を挟着する面と反対側の面から面外方向へ向けて延びるものとされる。このピン連結部(外部連結部25)は、クリップベース11aおよびクリップベース13aの幅中央部に設けられている。このピン連結部は、抜止形状を有するものとされている。
【0030】
この外部連結部25により、特に図示しないが、ケーブルクランプ3同士を多重に連結し、しかも、係止用ピン部25cを中心として回動させることが可能となる。
【0031】
また、この外部連結部25に対応させて、コネクタ2の対応する面に対し、係止用ピン部25cと同様の係止用ピン部2aを設けるようにしても良い。また、コネクタ2の対応する面に、ピン受プレート25bの両側部をガイドすると共に、回動を防止するガイド突起2bを設けるようにしても良い。
【0032】
なお、内部連結部14と外部連結部25とは、互いに連結し合うことのないよう、ピン径や孔径を異ならせるようにしておくのが好ましい。
【0033】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0034】
ケーブルクランプ3を使用する場合、フラットケーブル1のコネクタ2近傍を第一のケーブル挟着部11で挟着し、この第一のケーブル挟着部11からフラットケーブル1に付与する余長分だけ離れた位置を第二のケーブル挟着部13で挟着する。そして、第一のケーブル挟着部11と第二のケーブル挟着部13とを互いに隣接した状態にまで近接させて内部連結部14で連結する。これにより、第一のケーブル挟着部11と第二のケーブル挟着部13との間の索状部材21が撓み、索状部材21の内側にフラットケーブル1の迂回部が形成される。
【0035】
フラットケーブル1の方向を変更する場合には、一方の内部連結部14を外して他方の内部連結部14を中心に第一のケーブル挟着部11と第二のケーブル挟着部13とを回動することにより、フラットケーブル1を容易に曲げることができる。
【0036】
また、外部連結部25を用いて、複数のケーブルクランプ3を連結することにより、多重の迂回部を形成することが可能となる。
【0037】
更に、第一のケーブル挟着部11のクリップベース11aとロックプレート11bとを分離し、また、第二のケーブル挟着部13のクリップベース13aとロックプレート13bとを分離した場合には、図5に示すように、係止部11cの爪部11dと爪受部11e(または、係止部13cの爪部13d 爪受部13eと)を有する中間プレート18を介在させることにより、フラットケーブル1を多層化して固定すると共に多層の迂回部を形成することが可能となる。
【0038】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0039】
(効果1)
フラットケーブル1のコネクタ2近傍を挟着した第一のケーブル挟着部11に対して、フラットケーブル1の余長分だけ離れた位置を挟着した第二のケーブル挟着部13を、離間した状態からフラットケーブル1を撓めつつ互いに隣接した状態にまで近接させた後に内部連結部14を用いて結合させることにより、フラットケーブル1を撓めて容易に一定長さの迂回部を形成することができる。この迂回部により、フラットケーブル1に急激に大きな荷重が作用して引張られた場合であっても、フラットケーブル1の端部に取付けられたコネクタ2の端子部への応力集中を回避し、端子部の接続状態を安全に保護することができる。
【0040】
(効果2)
第一のケーブル挟着部11と第二のケーブル挟着部13とが、余長分の長さを有する索状部21によって予め一体に繋がれていることにより、部品点数を削減すると共に、ケーブルに対する第一のケーブル挟着部11と第二のケーブル挟着部13との装着を容易化し、且つ、余長を正確に所定の長さにすることができる。また、第一のケーブル挟着部11や第二のケーブル挟着部13の紛失などを防止して、第一のケーブル挟着部11や第二のケーブル挟着部13の取扱いを容易化することができる。
【0041】
(効果3)
索状部21が長さ方向の中間部にヒンジ部23を有することにより、索状部21をヒンジ部23を中心に容易且つ正確に折曲げてフラットケーブル1に常に安定した一定の迂回部を形成することができる。
【0042】
(効果4)
第一のケーブル挟着部11と、第二のケーブル挟着部13とが、外部連結部25を有することにより、第一のケーブル挟着部11や第二のケーブル挟着部13をコネクタ2または外部の部品(別のケーブルクランプ3など)に対して自在に連結および分離することが可能となる。
【0043】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0044】
1 フラットケーブル
2 コネクタ
3 ケーブルクランプ
11 第一のケーブル挟着部
13 第二のケーブル挟着部
14 内部連結部
21 索状部
23 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部にコネクタが取付けられたフラットケーブルの前記コネクタ近傍を挟着可能な第一のケーブル挟着部と、該第一のケーブル挟着部からフラットケーブルに付与する余長分だけ離れた位置を挟着可能な第二のケーブル挟着部とを有し、
前記第一のケーブル挟着部と第二のケーブル挟着部との間に、上記離間した状態からフラットケーブルを撓めつつ互いに隣接した状態にまで近接させて連結および分離可能な内部連結部を有することを特徴とするケーブルクランプ。
【請求項2】
前記第一のケーブル挟着部と第二のケーブル挟着部とが、余長分の長さを有する索状部によって予め一体に繋がれていることを特徴とする請求項1記載のケーブルクランプ。
【請求項3】
前記索状部が長さ方向の中間部にヒンジ部を有することを特徴とする請求項2記載のケーブルクランプ。
【請求項4】
第一のケーブル挟着部と、第二のケーブル挟着部とが、コネクタまたは外部の部品に対して連結および分離可能な外部連結部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のケーブルクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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