説明

ケーブル保持具

【課題】 ケーブル保持具の曲げと伸ばしが繰り返された場合にも、ケーブルの断線を防止する。
【解決手段】 弾性を有する長尺板状の本体部の両側に導入保持部が形成され、導入保持部の間にケーブル支持部が形成されている。導入保持部は、導入開口部と、導入開口部まで延在する導入切り込み部と、導入開口部および導入切り込み部に隣接する湾曲部とを有している。ケーブル支持部は、支持開口部と、支持開口部の両端の各々に各導入支持部に向けて形成された一対の支持切り込み部と、一対の支持切り込み部の間にそれぞれ形成された支持片とを有している。装置固定部は、本体部の長手方向の一端に設けられ、装置架の内壁部に回動自在に固定される。棚固定部は、本体部の長手方向の他端に設けられ、可動棚の背部に回動自在に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器の収納架内に配線されるケーブルを保持するためのケーブル保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器等を収納する収納架は、引き出し可能な可動棚を有している場合がある。可動棚には、通信機器等の動作を制御するパーソナルコンピュータ等が設置される。可動棚は、作業者がパーソナルコンピュータ等を使用する際に引き出される。この種の収納架では、パーソナルコンピュータ等に接続されるケーブルは、収納架の内部と可動棚の背部との間に配線される。この際、ケーブルは、ラックを引き出したときにも引っ張られることがないように余裕を持って配線される。
【0003】
また、ケーブルは、可動棚等への挟み込みを防ぐために、ケーブル保持具に保持される。ケーブル保持具は、例えば、一対のアームの一端を互いに回動自在に固定し、アームの他端をそれぞれ収納架の内部と可動棚の背部とに回動自在に固定することで形成される(例えば、特許文献1)。ケーブルは、結束具等によりアームに取り付けられることで、ケーブル保持具に保持される。ケーブル保持具は、可動棚の収納時に折り畳まれ、可動棚の引き出しとともに開かれる。
【特許文献1】特開2002−336060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の折り畳み式のケーブル保持具では、ケーブル保持具の曲げ部分に近い位置に保持されているケーブルは、可動棚を収納架に収納した際に鋭角に曲げられる。このため、収納と引き出しを繰り返すことで、ケーブルの曲げと伸びが交互に起こり、ケーブルの断線の原因になる。
【0005】
また、この種のケーブル保持具は、ケーブル保持具を構成する部品の数が多く、コストが掛かる。さらに、多数の結束具を用いてケーブルをアームに取り付ける必要があるため、取り付け作業および取り外し作業に手間と時間が掛かる。
【0006】
本発明の目的は、ケーブル保持具の曲げと伸ばしが繰り返された場合にも、ケーブルの断線を防止することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、ケーブル保持具へのケーブルの取り付け作業および取り外し作業を容易に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のケーブル保持具では、弾性を有する長尺板状の本体部の両側に導入保持部が形成され、導入保持部の間にケーブル支持部が形成されている。導入保持部は、導入開口部と、導入開口部まで延在する導入切り込み部と、導入開口部および導入切り込み部に隣接する湾曲部とを有している。ケーブル支持部は、支持開口部と、支持開口部の両端の各々に各導入支持部に向けて形成された一対の支持切り込み部と、一対の支持切り込み部の間にそれぞれ形成された支持片とを有している。装置固定部は、本体部の長手方向の一端に設けられ、装置架の内壁部に回動自在に固定される。棚固定部は、本体部の長手方向の他端に設けられ、可動棚の背部に回動自在に固定される。
【0009】
ケーブル保持具にケーブルを保持させる場合、例えば、ケーブルは、本体部の裏面側から導入開口部の一方に導入され、本体部の表面側の支持片上を通り、導入開口部の他方に挿入されて裏面側に導かれる。ケーブルの導入開口部への導入は、湾曲部を湾曲することで広がる導入切り込み部の隙間を介して行われる。このため、既に配線され、両端が装置架の内壁部側と可動棚の背部側とに取り付けられているケーブルにおいても、ケーブルを導入開口部に容易に導入でき、支持片上に導くことができる。湾曲部は、指等により簡単に曲げられるため、工具を用いることなくケーブルをケーブル保持具に取り付けできる。また、結束バンド等によるケーブルの固定も不要である。この結果、ケーブルをケーブル保持具に容易に取り付けでき、容易に取り外しできる。
【0010】
可動棚が装置架に収納されるとき、装置固定部と棚固定部との距離が短くなるのに伴い、本体部はケーブルとともに湾曲する。この際、本体部は、表面側を凸にして湾曲される。ケーブルは、ケーブル保持具に固定されていないため、鋭角に折れ曲がることなく自然に湾曲する。ケーブルが繰り返し折り曲げられることが防止されるため、ケーブルの断線を防止できる。
【0011】
本体部の支持片は、先端が本体部から開放されているため、本体部とともには湾曲せず、外側に突出する。ケーブルの長さに余裕がある場合、ケーブルの湾曲部分は、外側に突出した支持片により支持される。ケーブルの長さに余裕がない場合、ケーブルの湾曲部分により支持片が内側に押圧される。このため、ケーブルの湾曲部分を支持片により常に支持できる。したがって、ケーブルの長さに余裕がある場合、可動棚の装置架への収納時にケーブルがたるむことを防止できる。ケーブルの長さに余裕がない場合、可動棚の装置架への収納時にケーブルが引っ張られ、断線することを防止できる。
【0012】
さらに、ケーブルの長さは、一般的に湾曲により徐々に余裕がなくなる。したがって、湾曲により、徐々に長さの余裕がなくなるケーブルを、支持片により常に支持できる。
【0013】
請求項2のケーブル保持具では、装置固定部は、貫通穴にねじ部材を挿入し、ねじ部材を装置架の内壁部に固定することで内壁部に回動自在に固定される。棚固定部は、貫通穴にねじ部材を挿入し、ねじ部材を可動棚の背部に固定することで背部に回動自在に固定される。ねじ部材は、貫通穴により、本体部の肉厚方向ではなく短辺方向に沿って取り付けられる。このため、装置架および可動棚のねじ穴の開口部が同一平面にない場合にも、ねじ部材の長さを変えるだけで、ケーブル保持具を容易に設置できる。この結果、装置架および可動棚の設計が容易にできる。さらに、可動棚の付いた既存の装置架にも、本ケーブル保持具を取り付けることができる。
【0014】
請求項3のケーブル保持具では、貫通穴の軸は、本体部の延在方向に対して本体部の一方の面側にずれている。このため、本体部は、可動棚の装置架への収納時に常に同じ側に湾曲する。したがって、ケーブルを支持片上に確実に支持できる。
【0015】
請求項4のケーブル保持具では、一対の挿通穴は、各導入保持部とケーブル支持部との間にそれぞれ形成されている。本体部が長く形成され、各導入保持部とケーブル支持部との間隔が大きい場合に、挿通穴を利用して結束バンドによりケーブルを保持することで、ケーブルがこの間でたるむことを防止できる。さらに、複数のケーブルをケーブル保持具により保持する場合に、挿通穴を利用して結束バンドによりケーブルを束ねておくことで、可動棚を引き出したときに、ケーブルが分散することを防止できる。これにより、ケーブルの取り外し作業を容易にできる。
【0016】
請求項5のケーブル保持具では、突出片は、支持開口部に形成されており、本体部の短辺方向の端から中心に向けて突出する。ケーブルの長さに余裕がある場合に、ケーブルの
湾曲部分を支持開口部と突出片との間に位置させることで、ケーブルがたるむことを防止できる。すなわち、ケーブルの余裕長に関わりなく、ケーブルを確実に保持できる。
【0017】
請求項6のケーブル保持具では、各導入開口部のケーブル支持部側は、ケーブル支持部に向けて突出する円弧状に形成されている。このため、導入開口部に導入されたケーブルを本体部の長手方向の中心軸側に支持しやすくなる。この結果、ケーブルがケーブル保持具から外れることを防止でき、ケーブルをケーブル保持具に確実に保持できる。
【0018】
請求項7のケーブル保持具では、本体部、装置固定部および棚固定部は、樹脂により一体形成されている。このため、ケーブル保持具を簡易かつ安価に製造できる。また、軽量なケーブル保持具を形成できる。
【0019】
請求項8のケーブル保持具では、樹脂は、電気絶縁性を有している。このため、ケーブル保持具を介しての電気的なショート等の絶縁不良を防止できる。
【0020】
請求項9のケーブル保持具では、本体部、装置固定部および棚固定部は、金属によりそれぞれ別体で形成されている。このため、ケーブル保持具を簡易かつ安価に製造できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のケーブル保持具では、ケーブルの断線を防止でき、ケーブルの取り付け作業および取り外し作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明のケーブル保持具の第1の実施形態を示している。ケーブル保持具100は、弾性を有する長尺板状の本体部10、本体部10の長手方向の両端に形成された固定部12(装置固定部)および固定部14(棚固定部)を有している。本体部10および固定部12、14は、例えば、ナイロン樹脂を用いて射出成形することで一体形成されている。ケーブル保持具100を樹脂により一体成形することで、ケーブル保持具100を簡易かつ安価に製造でき、かつ軽量に形成できる。さらに、ナイロン樹脂は、電気絶縁性を有するため、ケーブル保持具100を介してケーブルまたは装置に電気的なショート等の絶縁不良が発生することを防止できる。
【0023】
本体部10は、長手方向の両側にそれぞれ形成された導入保持部16と、導入保持部16の間に形成されたケーブル支持部18とを有している。各導入保持部16は、ケーブル支持部18側が円弧状に突出し、本体部10の肉厚方向に貫通する導入開口部16aと、本体部10の長手方向Lに沿う一辺10aから導入開口部16aまで延在する導入切り込み部16bと、導入開口部16aと一辺10aの間に形成される湾曲部16cとを有している。
【0024】
各導入開口部16aの内側を円弧状に形成することで、導入開口部16aに導入されたケーブルを本体部10の長手方向の中心軸側に支持しやすくなる。この結果、ケーブルがケーブル保持具100から外れることを防止できる。湾曲部16cは、導入切り込み部16bと反対側の端を支点として可撓性を有しており、作業者の指等により容易に湾曲できる。後述する図5に示すように、ケーブルは、湾曲により広げられた導入切り込み部16bの隙間から導入開口部16aに導入される。
【0025】
ケーブル支持部18は、本体部10の肉厚方向に貫通する支持開口部18aと、支持開口部18aの長手方向Lの両端の各々において本体部10の短辺方向W(幅方向)の両側から各導入保持部16側に向けて延在する一対の支持切り込み部18bと、各一対の支持切り込み部18bの間に形成された支持片18cとを有している。各支持片18cは、導
入保持部16側の端を支点として可撓性を有している。
【0026】
本体部10は、各導入保持部16とケーブル支持部18との間に、本体部10の短辺方向Wに沿って形成された一対の挿通穴10bを有している。挿通穴10bには、タイラップ等の結束バンドが挿通される。挿通穴10bは、本体部10の長さが大きく、各導入保持部16とケーブル支持部18との間隔が大きいときに、この間に配線されるケーブルをタイラップ等により保持するために使用される。これにより、ケーブルが、各導入保持部16とケーブル支持部18との間でたるむことを防止できる。また、挿通穴10bは、ケーブル保持具100に複数のケーブルを保持するときに、これらケーブルを束ねるために使用される。
【0027】
固定部12、14は、円筒状に形成されており、本体部10の短辺方向Wに貫通し、ビス200等のねじ部材が挿入される貫通穴12a、14aを有している。ビス200は、貫通穴12a、12bにより、本体部10の肉厚方向ではなく短辺方向Dに取り付けられる。
【0028】
図2は、図1に示したケーブル保持具100の貫通穴12a、14aの詳細を示している。貫通穴12a、14aは、本体部10の延在方向A1(中心軸)に対して本体部10の裏面10d側にずれて形成されている。すなわち、貫通穴12a、14aの中心軸を通る線A2は、延在方向A1より裏面側10d側に位置している。貫通穴12a、14aを裏面10d側に形成することで、ケーブル保持具100が湾曲するときに、本体部10の湾曲部分は、常に本体部10の表面側10eに突出する。
【0029】
図3は、ケーブル保持具100を装置架300に取り付けた例を示している。ケーブル保持具100は、装置架300に収納される可動棚400の背部400aと、可動棚400の背部400aに対向する装置架300の内壁部300aとの間に取り付けられる。背部400aおよび内壁部300aには、ビス200を固定するためのねじ穴(図示せず)が開けられている。ビス200を貫通穴12a、14aに挿入し、ねじ穴に固定することで、固定部12、14は、装置架300の内壁部300aおよび可動棚400の背部400aにそれぞれ回動自在に固定される。
【0030】
例えば、装置架300は、可動棚400の上側および下側に、通信機器を収納する収納棚を有している。可動棚400には、例えば、パーソナルコンピュータPCが載置される。パーソナルコンピュータPCは、通信機器の動作を制御およびモニタするために使用される。図3は、可動棚400を最大に引き出したときを示している。この状態でケーブル保持具100は、表面側10eに僅かに湾曲している。
【0031】
図4は、図3に示した装置架300の内壁部300aおよび可動棚400の背部400aの詳細を示している。装置架300の内壁部300aと可動棚400の背部400aとが同一平面にない場合、ねじ穴300b、400bの開口部は、段差Dを生じる。このような場合にも、ビス200の長さを変えるだけで、ケーブル保持具100を、装置架300と可動棚400の間に容易に設置できる。この結果、装置架300および可動棚400の設計が容易にできる。さらに、可動棚400の付いた既存の装置架300にも、ケーブル保持具100を取り付けることができる。この結果、個々の装置架に合わせてケーブル保持具100を設計する必要がなくなるため、ケーブル保持具100のコストを削減できる。
【0032】
図5〜図10は、ケーブル保持具100にケーブル500を取り付ける例を示している。ケーブル500は、例えば、電気ケーブルであり、図3に示したように装置架300の内壁部300aと、可動棚400の背部400aの間に配線される。ケーブル500によ
り、パーソナルコンピュータPCと通信機器との間は、電気的に接続される。なお、ケーブル保持具100は、図3に示したように、装置架300と稼働棚400との間に予め取り付けられている。
【0033】
まず、図5に示すように、湾曲部16cが作業者の指等により弾性変形されて湾曲され、導入切り込み部16bの隙間が広げられる。ケーブル500は、この隙間から(すなわち、図の上側から)、固定部14側の導入開口部16aに導入され、支持片18cに導かれる。この作業は、図3に示したように、可動棚400を引き出した状態で行われる。
【0034】
この後、図6に示すように、ケーブル500は、固定部12側の湾曲部16cを上述と同様に湾曲することで、固定部12側の導入開口部16aに導入される。図6では、説明を分かりやすくするために、本体部10を湾曲させた状態を示している。これにより、固定部14側の裏面側10dから導入されたケーブル500は、本体部10の表面側10eで支持片18cに支持され、固定部12側の裏面側10dに再び導かれる。なお、ケーブル500は、固定部12側の導入開口部16aから先に導入してもよい。
【0035】
湾曲部16cは、指等により簡単に曲げられるため、工具を用いることなくケーブル500をケーブル保持具100に取り付けできる。また、タイラップ等によるケーブル500の固定も不要である。導入切り込み部16bを形成することで、図3に示した装置架300と稼働棚400の間に既に配線されているケーブル500を取り外すことなく、ケーブル500をケーブル保持具100に容易に保持させることができる。この結果、ケーブル500をケーブル保持具100に容易に取り付けでき、容易に取り外しできる。
【0036】
図7は、ケーブル保持部100にケーブル500を取り付けた状態を示している。この状態で、ケーブル保持部100およびケーブル500は、同じ側に僅かに湾曲している。
【0037】
図8は、可動棚400を装置架300内に収納した状態を示している。可動棚400が装置架300に収納されるとき、固定部12、14の距離が短くなるのに伴い、ケーブル保持部100はケーブル500とともに表面側10eに向けて湾曲する。図2に示したように、貫通穴12a、14aを裏面10d側に偏って形成することで、ケーブル保持具100を常に表面側10eに湾曲できる。このため、ケーブル500が逆向きに湾曲することを防止でき、ケーブル500に無理な力が加わることを防止できる。ケーブル500は、ケーブル保持具100に固定されていないため、鋭角に折れ曲がることなく外力に応じて自然に湾曲する。ケーブル500が繰り返し折れ曲がることが防止されるため、ケーブル500の断線を防止できる。
【0038】
なお、ケーブル保持具100に複数のケーブル500を保持するときに、挿通穴10b(図1)を利用してタイラップ等によりケーブル500を束ねておくことが可能である。これにより、可動棚400を装置架300から引き出したときに、ケーブル500が分散することを防止でき、ケーブル500の取り外し作業を容易にできる。
【0039】
図9は、ケーブル500の長さに余裕がある場合の支持片18cの状態を示している。本体部10が湾曲されたとき、支持片18cは、先端が本体部10から開放されている。このため、支持片18cは、本体部10とともには湾曲せず、外側に突出する。ケーブル500の湾曲部分は、外側に突出した支持片18cにより支持される。したがって、ケーブル500の長さに余裕がある場合、可動棚400の装置架300への収納時にケーブル500がたるむことを防止できる。
【0040】
図10は、ケーブル500の長さに余裕がない場合の支持片18cの状態を示している。この場合、支持片18cは、ケーブル500の湾曲部分により内側に押圧され、弾性変
形する。この変形により、ケーブル500の湾曲部分は支持片18cにより常に支持される。したがって、ケーブル500の長さに余裕がない場合、可動棚400の装置架300への収納時にケーブル500が無理に引っ張られることを防止でき、ケーブル500が断線することを防止できる。
【0041】
可動棚400の装置架300への収納時、ケーブル500の長さの余裕は、本体部10の湾曲とともに徐々になくなる。このとき、本体部10およびケーブル500の状態は、図9から図10の状態になる。したがって、湾曲により徐々に長さの余裕がなくなるケーブル500を、支持片18cにより常に確実に支持できる。
【0042】
以上、この実施形態では、導入保持部16に挿入されるケーブル500の湾曲部分を可撓性を有する支持片18cにより支持することで、ケーブル保持具100の曲げと伸ばしが繰り返された場合にも、ケーブル500の断線を防止できる。工具を使うことなくケーブル500をケーブル保持具100に保持できるため、ケーブル保持具100へのケーブル500の取り付け作業および取り外し作業を容易にできる。
【0043】
図11は、本発明のケーブル保持具の第2の実施形態を示している。第1の実施形態と同じ要素については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。この実施形態では、ケーブル保持具102は、ケーブル支持部18の支持開口部18aにおいて、本体部10の短辺方向Wの端(図の下側)から中心に向けて突出する突出片18dを有している。ケーブル保持具102のその他の構造および材質は、第1の実施形態のケーブル保持具100と同じである。
【0044】
図12は、図11に示したケーブル保持具102にケーブル500を保持した状態を示している。ケーブル500の長さに余裕がある場合、ケーブル500の湾曲部分を支持開口部18aと突出片18dとの間に位置させることで、ケーブル500を支持片18cと突出片18dとの間に挟んだ状態で保持できる。
【0045】
以上、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、ケーブル500の長さに余裕がある場合にケーブル500がたるむことを防止できる。
【0046】
図13は、本発明のケーブル保持具の第3の実施形態を示している。第1の実施形態と同じ要素については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。この実施形態では、ケーブル保持具104は、本体部20、固定部22(装置固定部)および固定部24(棚固定部)を有している。固定部22、24は、リベット26により本体部20の両端にそれぞれ固定されている。本体部20は、例えば、りん青銅の板材をプレス加工することで形成されている。固定部22、24は、例えば、アルミニウム合金を切削加工することで形成されている。ケーブル保持具104は、材質が異なることを除き、第1の実施形態のケーブル保持具100と同じ構造と機能を有している。
【0047】
以上、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、第1および第2の実施形態では、ケーブル保持具100、102を、ナイロン樹脂で一体形成する例を示したが、ビニル樹脂等の電気絶縁性を有する他の樹脂を用いてケーブル保持具を形成してもよい。この際、本体部と固定部とを一体形成してもよく、別々に形成してもよい。
【0049】
第1の実施形態では、固定部12、14の貫通穴12a、14aを、本体部10の延在方向A1に対して裏面側10dにずらして形成する例を示したが、図14に示すように、
貫通穴12a、14aを本体部10の延在方向A1上に形成してもよい。
【0050】
第3の実施形態では、ケーブル保持具104の本体部20を、りん青銅で形成する例を示したが、ばね用ステンレス等の他の弾性を有する金属板を用いて本体部を形成してもよい。
【0051】
第3の実施形態では、固定部22、24をアルミニウム合金で形成する例を示したが、ナイロン樹脂あるいはビニル樹脂等により形成してもよい。
【0052】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、引き出し可能な可動棚を有する収納架内でケーブルを保持するために利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のケーブル保持具の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示したケーブル保持具の貫通穴の詳細を示す上面図である。
【図3】ケーブル保持具を装置架に取り付けた例を示す上面図である。
【図4】図3に示した装置架の内壁部および可動棚の背部の詳細を示す正面図である。
【図5】ケーブルを導入切り込み部から導入開口部に導入する様子を示す斜視図である。
【図6】ケーブルを導入開口部および支持片に支持した様子を示す斜視図である。
【図7】ケーブル保持部にケーブルを取り付けた状態を示す上面図である。
【図8】可動棚を装置架内に収納した状態を示す上面図である。
【図9】ケーブルの長さに余裕がある場合の支持片の状態を示す上面図である。
【図10】ケーブルの長さに余裕がない場合の支持片の状態を示す上面図である。
【図11】本発明のケーブル保持具の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図12】図11に示したケーブル保持具にケーブルを保持した状態を示す上面図である。
【図13】本発明のケーブル保持具の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図14】ケーブル保持具の別の例を示す上面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 本体部
10b 挿通穴
10d 裏面側
10e 表面側
12、14 固定部
12a、14a 貫通穴
16 導入保持部
16a 導入開口部
16b 導入切り込み部
16c 湾曲部
18 ケーブル支持部
18a 支持開口部
18b 支持切り込み部
18c 支持片
18d 突出片
20 本体部
22、24 固定部
26 リベット
100、102、104 ケーブル保持具
200 ビス
300 装置架
400 可動棚
500 ケーブル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置架に収納および引き出し可能な可動棚の背部と、前記可動棚の背部に対向する装置架の内壁部との間に配線されるケーブルを保持するケーブル保持具であって、
弾性を有する長尺板状の本体部と、
前記本体部の長手方向の両側にそれぞれ形成され、前記本体部の肉厚方向に貫通する導入開口部と、前記本体部の長手方向に沿う一辺から前記導入開口部まで延在する導入切り込み部と、前記導入開口部および前記導入切り込み部に隣接して設けられ、前記導入切り込み部の隙間を広げるときに湾曲される湾曲部とを有する一対の導入保持部と、
前記一対の導入保持部の間に形成され前記本体部の肉厚方向に貫通する支持開口部と、前記支持開口部の前記長手方向の両端の各々において前記本体部の短辺方向の両側から前記各導入保持部側に向けて延在する一対の支持切り込み部と、前記各一対の支持切り込み部の間に形成され前記導入保持部から延在する前記ケーブルを支持する支持片とを有するケーブル支持部と、
前記本体部の長手方向の一端に設けられ、前記内壁部に回動自在に固定される装置固定部と、
前記本体部の長手方向の他端に設けられ、前記可動棚の前記背部に回動自在に固定される棚固定部とを備えていることを特徴とするケーブル保持具。
【請求項2】
請求項1記載のケーブル保持具において、
前記装置固定部および前記棚固定部は、前記本体部の短辺方向に貫通し、ねじ部材により前記装置固定部および前記棚固定部を前記内壁部および前記可動棚の背部に回動自在に固定するための貫通穴をそれぞれ備えていることを特徴とするケーブル保持具。
【請求項3】
請求項2記載のケーブル保持具において、
前記貫通穴の軸は、前記本体部の延在方向に対して前記本体部の一方の面側にずれて形成されていることを特徴とするケーブル保持具。
【請求項4】
請求項1記載のケーブル保持具において、
前記各導入保持部と前記ケーブル支持部との間に前記本体部の短辺方向に沿って形成され、前記ケーブルを保持する結束バンドを挿通するための一対の挿通穴を備えていることを特徴とするケーブル保持具。
【請求項5】
請求項1記載のケーブル保持具において、
前記支持開口部に、前記本体部の短辺方向の端から中心に向けて突出する突出片を備えていることを特徴とするケーブル保持具。
【請求項6】
請求項1記載のケーブル保持具において、
前記各導入開口部の前記ケーブル支持部側は、前記ケーブル支持部に向けて突出する円弧状に形成されていることを特徴とするケーブル保持具。
【請求項7】
請求項1記載のケーブル保持具において、
前記本体部、前記装置固定部および前記棚固定部は、樹脂により一体形成されていることを特徴とするケーブル保持具。
【請求項8】
請求項7記載のケーブル保持具において、
前記樹脂は、電気絶縁性を有していることを特徴とするケーブル保持具。
【請求項9】
請求項1記載のケーブル保持具において、
前記本体部、前記装置固定部および前記棚固定部は、金属によりそれぞれ別体で形成さ
れていることを特徴とするケーブル保持具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−345622(P2006−345622A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168027(P2005−168027)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000237662)富士通アクセス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】