説明

ケーブル把持装置

【課題】 メッセンジャーワイヤーの被覆を剥離除去せずに把持固定して、架線全体にわたる弛度調整を自由に設定でき、また架線経路の末端部、架線途中部のいずれでも使用可能にする。
【解決手段】 支持柱Pに連繋支持する固定部材20に移動自在に連繋する挿入把持部材1,11から成り、挿入把持部材1は多心ドロップケーブルCにおけるメッセンジャーワイヤーM面に対して食い込み状に支持する粗面を備えて、メッセンジャーワイヤーMを挟み込む。固定部材20と挿入把持部材1とは、挿入把持部材1を進退自在に連繋する雄ネジ状の連繋部22を固定ナット材23にてネジ止めして連繋する。挿入把持部材1は、ベース盤2に対してネジ止めする支持盤3との間で外面が粗面となっている銜え込み材6を備え、その粗面にてメッセンジャーワイヤーMを食い込み固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメッセンジャーワイヤー(鋼線)、光ファイバーケーブルが多心状に一体化されている多心ドロップケーブルを架空で配線するとき、その架線の緊張、弛度を調整できると共に、架線経路の途中での持出・槍出金具による架線途中部での支持はもとより、架線経路の末端部における支持のいずれにも供用可能なケーブル把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多心ドロップケーブルを架空で配線するには、そのメッセンジャーワイヤーを光ファイバーケーブルから分離し、メッセンジャーワイヤー部分の被覆を剥離した後、その剥離したメッセンジャーワイヤー部分を挿通固定させる架線支持金具によって電柱等の支持柱に連繋固定している。こうした架線支持金具として、例えば架線経路の末端部で使用される引き留め金具は、メッセンジャーワイヤーを差入れ方向では挿入可能であるも逆の抜き出し方向へは移動不能にして挿入させる挿入筒部と、この挿入筒部に固定してあるほぼU字状の連繋部とから成り、この連繋部にて支持柱等に連繋固定するものとしてある。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところがこうした従来の架線支持金具によると、メッセンジャーワイヤーの被覆を剥離除去する必要があるばかりでなく、架線支持金具における挿入筒部内径がメッセンジャーワイヤーの外径に対応した一定のものであるために、異径のメッセンジャーワイヤーであると使用できない欠点がある。また挿入筒部に対する挿入は挿入可能な方向での一定方向であるために、架線支持時の全体の弛度調整が必要であるとき、緊張させる方向での調整は可能でも、これを一旦弛緩させる方向で調整することは困難である欠点がある。
【0004】
更には架線支持に際し、その末端部の引き留め部位、架線途中部の中継部位夫々では牽引支持形態が異なるから、それらに対応した別構成の夫々の架線支持金具を従来では使用する必要があり、それらに対応した異なるものを予め用意しなければならず、面倒であり、また構造の相違から使用手順等も自ずと異なるものとなり、作業が面倒で煩わしいものである。
【0005】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、メッセンジャーワイヤーの被覆を剥離除去する必要がなく、そのままでもしっかりと把持固定できると共に、架線全体にわたる弛度調整時では緊張させるように牽引することも、弛緩させるように戻すこともいずれも自由に設定でき、また架線における末端部の引き留め形態、架線途中部の持ち出し、槍出し形態等のいずれでも使用可能であるケーブル把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、支持柱Pに連繋支持される固定部材20と、この固定部材20に対して移動自在にして連繋される挿入把持部材1,11とから成り、挿入把持部材1,11は多心ドロップケーブルCにおけるメッセンジャーワイヤーM面に対して食い込み状に支持する粗面を備えて、メッセンジャーワイヤーMを挟み込むようになっていることを特徴とする。
固定部材20は、支持柱Pに囲繞巻回して装着されるバンド金具Bに支持されるループ部21と、挿入把持部材1,11を進退自在に連繋する雄ネジ状の連繋部22とから成り、連繋部22は挿入把持部材1,11に対して進退自在にして固定ナット材23にてネジ止めさせるように構成することができる。
第1の挿入把持部材1は、ベース盤2と、このベース盤2面に対してネジ止め進退自在で、ベース盤2面に向かい合い、メッセンジャーワイヤーMを挿入させる挿入溝部4を有する支持盤3と、この支持盤3をベース盤2に対して進退自在にしてネジ止めさせるネジ材5と、挿入溝部4位置に合致してベース盤2、支持盤3相互の間隙内に挟持状態で係合保持され、外面が粗面となっている銜え込み材6とを備えて構成することができる。
第2の挿入把持部材11は、ベース盤12と、このベース盤12面に対してネジ止め進退自在で、ベース盤12面に向かい合う面が粗面である銜え込み面14となっている銜え込み支持盤13と、この銜え込み支持盤13をベース盤12に対して進退自在にしてネジ止めさせるネジ材15とを備えて構成することができる。
ベース盤2,12は、側面から見てほぼL字形を呈し、その立ち上がり部分には固定部材20を挿入させる挿通孔2A,12Aが開穿されていて、固定部材20のネジ棒状の連繋部22を立ち上がり部分の表裏両面から所定の挿入長さ位置で固定ナット材23にてネジ止めするようにして構成することができる。
【0007】
以上のように構成された本発明に係るケーブル把持装置にあって、例えば電信柱の如き支持柱Pに取り付けられている固定部材20に対して挿入把持部材1,11が移動自在に連繋されており、この挿入把持部材1,11に多心ドロップケーブルCのメッセンジャーワイヤーMが銜え込み状に固定保持されることで、固定部材20に対する挿入把持部材1,11の移動位置の調整でメッセンジャーワイヤーMに対する弛度を調整させ、架線させる多心ドロップケーブルCの光ファイバーケーブルFを所定の緊張状態で支持させる。
メッセンジャーワイヤーMを銜え込んだ挿入把持部材1,11は、固定部材20のネジ棒状の連繋部22に固定ナット材23を介してネジ止めされており、その固定ナット材23の弛緩、再度のネジ込み位置の調整によって固定部材20に対して挿入把持部材1,11を、メッセンジャーワイヤーMに対して所定の弛度となるように前後に移動して調整設定させる。
第1の挿入把持部材1において、ベース盤2、支持盤3をネジ材5にてネジ止めしてメッセンジャーワイヤーMを挟み込むとき、銜え込み材6はメッセンジャーワイヤーM外面に食い込み状となり、メッセンジャーワイヤーMに被覆があっても確実に銜え込む。
第2の挿入把持部材11において、ベース盤12、銜え込み支持盤13をネジ材15にてネジ止めしてメッセンジャーワイヤーMを挟み込むとき、銜え込み支持盤13の銜え込み面14はメッセンジャーワイヤーM外面に食い込み状となり、同様にメッセンジャーワイヤーMに被覆があっても確実に銜え込む。
【発明の効果】
【0008】
したがって本発明によれば、多心ドロップケーブルCによって光ファイバーケーブルFを架空で架線支持するとき、多心ドロップケーブルCの光ファイバーケーブルFから分離させたメッセンジャーワイヤーMの被覆を剥離除去する必要がなく、挿入把持部材1,11によってそのままでもしっかりと把持固定できる。しかも、挿入把持部材1,11によってメッセンジャーワイヤーMが銜え込み状に固定されていることで、その挿入把持部材1,11を移動自在に連繋している固定部材20に対する移動調整で牽引することも、弛緩させるように戻すこともいずれも自由に変更設定できるから、架線全体にわたる弛度調整時では適宜な緊張状態で光ファイバーケーブルFを架線できる。またその架線支持は、架線経路の末端部の引き留め形態、架線途中部の持ち出し、槍出し形態等のいずれでも使用可能であるから、取り扱いその他も面倒がなく、便利である。
【0009】
すなわちこれは本発明において、支持柱Pに連繋支持される固定部材20に対して移動自在にして連繋される挿入把持部材1,11から成り、挿入把持部材1,11は多心ドロップケーブルCにおけるメッセンジャーワイヤーM面に対して食い込み状に支持する粗面を備えて、メッセンジャーワイヤーMを挟み込むようになっているからであり、これによって、メッセンジャーワイヤーMの被覆の剥離不要、その確実な銜え込み、固定部材20に対する移動自在性による弛度調整の容易性等を得ることができる。
【0010】
また固定部材20は、支持柱Pに装着されるバンド金具Bに支持されるループ部21、挿入把持部材1,11を進退自在に連繋する連繋部22から成り、連繋部22は挿入把持部材1,11に対して進退自在にして固定ナット材23にてネジ止めされるから、その固定ナット材23による弛緩、ネジ込み等によって、固定部材20に対する挿入把持部材1,11の位置の調整で、支持柱Pに対する挿入把持部材1,11の牽引、離反による弛度調整を任意に行うことができる。
【0011】
第1の挿入把持部材1は、ベース盤2と支持盤3とを向かい合わせてネジ材5にてネジ止めするとき、挿入溝部4に合致して係合配置される銜え込み材6の粗面がメッセンジャーワイヤーM外面に食い込み状となるから、ネジ材5によるネジ込みによってメッセンジャーワイヤーMをしっかりと把持することができる。
【0012】
また第2の挿入把持部材11は、ベース盤12と銜え込み支持盤13とを向かい合わせてネジ材15にてネジ止めするとき、銜え込み支持盤13の銜え込み面14における粗面がメッセンジャーワイヤーM外面に食い込み状となるから、ネジ材15によるネジ込みによってメッセンジャーワイヤーMをしっかりと把持することができる。
【0013】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項夫々において付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明すると、図1乃至図4において示される符号1は光ファイバーケーブルF及びメッセンジャーワイヤーMが一体状に形成されている多心ドロップケーブルCを架線支持するために、そのメッセンジャーワイヤーMを銜え込み、把持する挿入把持部材であり、例えば電信柱等の支持柱Pに関連して固定される後述の固定部材20に移動自在にして連繋されるものとしてある。
【0015】
この挿入把持部材1は、ベース盤2と、このベース盤2面に対してネジ止め進退自在で、ベース盤2面に向かい合い、メッセンジャーワイヤーMを挿入させる挿入溝部4を有する支持盤3と、この支持盤3をベース盤2に対して進退自在にしてネジ止めさせるネジ材5と、挿入溝部4位置に合致してベース盤2、支持盤3相互の間隙内に挟持状態で係合保持され、外面が粗面となっている銜え込み材6とを備えて成る。
【0016】
ベース盤2は側面から見てほぼL字形を呈する適宜肉厚の例えば矩形金属板材にて形成され、その立ち上がり部分には後述する固定部材20を挿入させる挿通孔2Aが開穿されていて、図示のように固定部材20のネジ棒状の連繋部22を立ち上がり部分の表裏両面から所定の挿入長さ位置でナット止め(23)するようになっている。また、ベース盤2の水平部分には、支持盤5をネジ止め連繋させるネジ材5を挿通ないし捩じ込ませる挿通孔2Bを開穿してある。
【0017】
支持盤3は、ベース盤2における水平部分の裏面側すなわち立ち上がり部分が形成されていない側の面に向かい合うようにして配置されており、挿入溝部4は水平部分のほぼ中央位置で盤素材自体をほぼU字状に屈曲することで形成してある。また、この支持盤3の両側に開穿した挿通孔3Aにネジ材5が挿通されるようにしてある。
【0018】
ネジ材5は、ベース盤2と支持盤3とを向かい合わせた状態で両者2,3相互をネジ止めするもので、図示例にあってはボルトを支持盤3の挿通孔3Aとベース盤2の挿通孔2Bとに挿通させ、ベース盤2上でナットにてネジ止めさせるものとしてある。もとより、ナットによるネジ止め位置は支持盤3裏面側であってもよく、また場合によってはいずれかの挿通孔2B,3Aを雌ねじ孔とすることでナットを省略することもできる。
【0019】
尚、図示を省略したが、ベース盤2に対して支持盤3を蝶番材を介して開閉自在なヒンジ構造とすることもでき、こうすることで、ネジ材5によるネジ止め部位を1ヶ所とすることができ、また両者2,3が相互に連繋されていることで部材管理を容易にすることもできる。
【0020】
銜え込み材6は、挿入溝部4位置に合致してベース盤2、支持盤3相互間に配置され、例えば挿入溝部4の溝方向に沿ってベース盤2自体に突設状に形成した前後で対となっている係合突部2C相互間に位置決めされることで、ベース盤2にネジ止めされた支持盤3との間で脱落されることなく保持されている(図2参照)。また、この銜え込み材6自体は、外面が、メッセンジャーワイヤーMを被覆している被覆材に食い込む粗面に形成されており、例えば所定長さ・外径を有する長雄ネジ棒材としてあり、必要があればベース盤2に溶接等によって一体状に固着されることもある。
【0021】
そして、このような挿入把持部材1を支持柱Pに連繋固定させるために、挿入把持部材1を支持柱Pに対して接近あるいは離反調整させる固定部材20が用意されている。この固定部材20は、支持柱Pに囲繞巻回して装着されるバンド金具Bに支持されるループ部21と、挿入把持部材1を進退自在に連繋する雄ネジ状の連繋部22とから成り、図示のようにネジ部分が長いアイボルト自体によって形成してある。挿入把持部材1との連繋は、固定部材20の連繋部22を挿入把持部材1におけるベース盤2の立ち上がり部分に開穿されている挿通孔2Aに挿通し、立ち上がり部分の表裏でネジ止めする固定ナット材23との捩じ込みによるものとし、表裏の固定ナット材23の捩じ込みあるいは弛めることに伴う固定部材20に対する挿入把持部材1の位置設定で調整されるようにしてある。
【0022】
次にこれの使用の一例を説明すると、図3に示すように例えば支持柱Pに装着したバンド金具Bに、架線の末端部位で引き留め形態として使用する場合であると、先ずバンド金具Bの連繋ピンB1を固定部材20のループ部21に挿通、係合させることで固定部材20を介してバンド金具Bに取り付ける一方、多心ドロップケーブルCにおけるメッセンジャーワイヤーM部分を光ファイバーケーブルFから切り離しておく。そして、この固定部材20の連繋部22に連繋してある挿入把持部材1において、ベース盤2に対してネジ材5を弛めることで銜え込み材6と挿入溝部4との間に空隙を生じさせ、その空隙内にメッセンジャーワイヤーMを挿通し(図3(a)参照)、次いでネジ材5を締め付けてベース盤2と支持盤3との間でメッセンジャーワイヤーMを、銜え込み材6外面で食い込まされるようにして強制的に挟み込む(図3(b)参照)。その後、図2に示すように固定部材20の連繋部22に挿通され、この連繋部22にねじ込まれている固定ナット材23の弛緩、再度のネジ込み等によってバンド金具Bに対する挿入把持部材1位置を適度に調整してメッセンジャーワイヤーMの弛度を調整する(図3(c)参照)。
【0023】
また、架線途中での持ち出し、槍出し形態で多心ドロップケーブルCを挟持、保持する場合であると、図4に示すように例えば支持柱Pに装着したバンド金具Bに、架線経路中に突出配置状態で固定される支持アームAにおける連繋ピンB1に固定部材20を同様に連繋しておく。そして支持アームAに対してこの支持アームAが架線を中継支持するように、多心ドロップケーブルCにおける光ファイバーケーブルFを架線挿通させる一方、そのメッセンジャーワイヤーMを上記と同様に、これが銜え込み材6外面で食い込まされるようにして強制的にベース盤2と支持盤3との間で、ネジ材5をネジ込むことで挟み込み、固定支持する。
【0024】
更には図5乃至図8には別の実施の形態が示されている。すなわち、この実施の形態において図中の符号11は挿入把持部材であり、この挿入把持部材11は、ベース盤12と、このベース盤12面に対してネジ止め進退自在で、ベース盤12面に向かい合う面が粗面である銜え込み面14となっている銜え込み支持盤13と、この銜え込み支持盤13をベース盤12に対して進退自在にしてネジ止めさせるネジ材15とを備えて成る。
【0025】
ベース盤12は側面から見てほぼL字形を呈する適宜肉厚の例えば矩形金属板材にて形成され、その立ち上がり部分には固定部材20を挿入させる挿通孔12Aが開穿されていて、図示のように固定部材20のネジ棒状の連繋部22を立ち上がり部分の表裏両面から所定の挿入長さ位置でナット止め(23)するようになっている。また、ベース盤12の水平部分には、銜え込み支持盤13をネジ止め連繋させるネジ材15を挿通させる挿通孔12Bを前後左右の計4ヶ所で開穿してある。
【0026】
銜え込み支持盤13は、ベース盤12における水平部分の裏面側すなわち立ち上がり部分が形成されていない側の面に向かい合うようにして配置されており、銜え込み面14は、そのベース盤12に向かい合う面に形成されている。この銜え込み面14は例えば三角波形の凹凸面とし、メッセンジャーワイヤーMを銜え込む方向に対して直交するような並行状にしたり、交差状にしたり等にして配列されている。
【0027】
ネジ材15は、ベース盤12と銜え込み支持盤13とを向かい合わせた状態で両者12,13相互をネジ止めするもので、図示例にあってはベース盤12に挿通させたネジ材15を銜え込み支持盤13に開穿された雌ネジ状の挿通孔13Aにネジ込むようにしてある(図6参照)。もとより、ボルト・ナットによるネジ止め手段によることも可能であり、その場合には挿通孔12A,13Aのいずれも透孔状とされ、ベース盤12、銜え込み支持盤13のいずれかから挿通されたネジ材15が他方の裏面でナット止めされるものとする。
【0028】
尚、固定部材20は先の実施の形態におけるものと同一なので、同一部分には同一符号を付すことでその説明は省略する。
【0029】
次にこれの使用の一例を説明すると、図7に示すように例えば支持柱Pに装着したバンド金具Bに、架線の末端部位で引き留め形態として使用する場合であると、先ずバンド金具Bの連繋ピンB1を固定部材20のループ部21に挿通、係合させることで固定部材20を介してバンド金具Bに取り付ける一方、多心ドロップケーブルCにおけるメッセンジャーワイヤーM部分を光ファイバーケーブルFから切り離しておく。そして、この固定部材20の連繋部22に連繋してある挿入把持部材11において、ベース盤12に対してネジ材15を弛めることで銜え込み支持盤13との間に空隙を生じさせ、その空隙内にメッセンジャーワイヤーMを挿通し、次いでネジ材15を締め付けてベース盤12と銜え込み支持盤13との間でメッセンジャーワイヤーMを、銜え込み面14で食い込まされるようにして強制的に挟み込む。その後、図6に示すように固定部材20の連繋部22に挿通され、この連繋部22にねじ込まれている固定ナット材23の弛緩、再度のネジ込み等によってバンド金具Bに対する挿入把持部材11位置を適度に調整してメッセンジャーワイヤーMの弛度を調整する。
【0030】
また、架線途中での持ち出し、槍出し形態で多心ドロップケーブルCを挟持、保持する場合であると、図8に示すように例えば支持柱Pに装着したバンド金具Bに、架線経路中に突出配置状態で固定される支持アームAにおける連繋ピンB1に固定部材20を同様に連繋しておく。そして支持アームAに対してこの支持アームAが架線を中継支持するように、多心ドロップケーブルCにおける光ファイバーケーブルFを架線挿通させる一方、そのメッセンジャーワイヤーMを上記と同様に、これが銜え込み支持盤13における銜え込み面14で食い込まされるようにして強制的にベース盤12と銜え込み支持盤13との間で、ネジ材15をネジ込むことで挟み込み、固定支持する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を実施するための最良の形態を示す分解斜視図である。
【図2】同じくケーブルの把持、使用状態を示す側断面図である。
【図3】同じく架線経路の末端部における引き留め箇所での使用手順を説明するもので、(a)はメッセンジャーワイヤーと光ファイバーケーブルとを分離し、メッセンジャーワイヤーを挟み込んだときの斜視図、(b)はメッセンジャーワイヤーの把持時の斜視図、(c)は弛度調整後の使用状態の斜視図である。
【図4】同じく架線途中部における弛度調整後の使用状態の斜視図である。
【図5】本発明を実施するための他の実施の形態における分解斜視図である。
【図6】同じくケーブルの把持、使用状態を示す側断面図である。
【図7】同じく架線経路の末端部における引き留め箇所での使用時における弛度調整時の斜視図である。
【図8】同じく架線途中部における弛度調整後の使用状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
A…支持アーム B…バンド金具
B1…連繋ピン C…多心ドロップケーブル
F…光ファイバーケーブル M…メッセンジャーワイヤー
P…支持柱
1…挿入把持部材 2…ベース盤
2A,2B…挿通孔 2C…係合突部
3…支持盤 3A…挿通孔
4…挿入溝部 5…ネジ材
6…銜え込み材
11…挿入把持部材 12…ベース盤
13…銜え込み支持盤 14…銜え込み面
15…ネジ材
20…固定部材 21…ループ部
22…連繋部 23…固定ナット材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持柱に連繋支持される固定部材と、この固定部材に対して移動自在にして連繋される挿入把持部材とから成り、挿入把持部材は多心ドロップケーブルにおけるメッセンジャーワイヤー面に対して食い込み状に支持する粗面を備えて、メッセンジャーワイヤーを挟み込むようになっていることを特徴とするケーブル把持装置。
【請求項2】
固定部材は、支持柱に囲繞巻回して装着されるバンド金具に支持されるループ部と、挿入把持部材を進退自在に連繋する雄ネジ状の連繋部とから成り、連繋部は挿入把持部材に対して進退自在にして固定ナット材にてネジ止めさせるようにしてある請求項1に記載のケーブル把持装置。
【請求項3】
挿入把持部材は、ベース盤と、このベース盤面に対してネジ止め進退自在で、ベース盤面に向かい合い、メッセンジャーワイヤーを挿入させる挿入溝部を有する支持盤と、この支持盤をベース盤に対して進退自在にしてネジ止めさせるネジ材と、挿入溝部位置に合致してベース盤、支持盤相互の間隙内に挟持状態で係合保持され、外面が粗面となっている銜え込み材とを備えて成る請求項1または2に記載のケーブル把持装置。
【請求項4】
挿入把持部材は、ベース盤と、このベース盤面に対してネジ止め進退自在で、ベース盤面に向かい合う面が粗面である銜え込み面となっている銜え込み支持盤と、この銜え込み支持盤をベース盤に対して進退自在にしてネジ止めさせるネジ材とを備えて成る請求項1または2に記載のケーブル把持装置。
【請求項5】
ベース盤は、側面から見てほぼL字形を呈し、その立ち上がり部分には固定部材を挿入させる挿通孔が開穿されていて、固定部材のネジ棒状の連繋部を立ち上がり部分の表裏両面から所定の挿入長さ位置で固定ナット材にてネジ止めするようにしてある請求項3または4に記載のケーブル把持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−158102(P2006−158102A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345708(P2004−345708)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000151184)株式会社土井製作所 (21)
【Fターム(参考)】