説明

ケーブル押さえ構造

【課題】ホルダから引き出されるケーブルを該ホルダに強固に、しかも安定に保持することのできる簡易な構成のケーブル押さえ構造を提供する。
【解決手段】ケーブルの周面を囲んで該ケーブルを保持するホルダと、このホルダをその周面から支持するホルダ保持体とを具備し、特に前記ホルダに、その外周面から外側に突出して前記ホルダ保持体の内周面に設けられた嵌合凹部に係合して前記ホルダ支持体からの抜け止めとして機能するフック片と、このフック片の内側に設けられて前記嵌合凹部に係合したフック片に作用する反力により前記ケーブルを挟み込む突部とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子回路を内蔵したケースから引き出されるケーブルを安定に保持することのできるケーブル押さえ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルバーナー等の火炎を検出することでその燃焼状態の監視・制御に用いられる光検出器は、例えば棒状のホルダの先端部に光センサを組み込むと共に、上記ホルダの内部に光センサの駆動部をなす回路基板を組み込み、更にこのホルダを筒状のケースに収納した構造を有する。そして上記ホルダの後端部から前記回路基板に接続されたケーブルを引き出すことで、バーナーの燃焼制御装置に接続されるようになっている。この種の光検出器は、例えば送風ファンに装着して使用される(例えば特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平8−261443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで上述した回路基板に接続され、ホルダの後端部から引き出されるケーブルは、一般的には光検出器の設置箇所からその制御装置が設けられた場所まで敷設される。この為、ケーブルに加わる種々の振動や衝撃等に起因して該ケーブルと前記回路基板との接続部(半田付け部)にストレスが生じることが多々あり、ケーブルと回路基板との接続不良等の発生要因となる。このような不具合を解消するべく、例えばケーブルクランプ等の固定部材(締結具)を用いてケーブルを前記ホルダに強固に固定することで上述した接続部におけるストレスの発生を防止することが考えられている。しかしケーブルクランプ等の新たな部品が必要となる等、その構造が複雑化することが否めない。
【0004】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、ホルダ等から引き出されるケーブルを上記ホルダに強固に、しかも安定に保持することのできる簡易な構成のケーブル押さえ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するべく本発明に係るケーブル押さえ構造は、ケーブルの周面を囲んで該ケーブルを保持するホルダと、このホルダをその周面から支持するホルダ保持体とを具備し、特に前記ホルダに、その外周面から外側に突出して前記ホルダ保持体の内周面に設けられた嵌合凹部に係合して前記ホルダ支持体からの抜け止めとして機能するフック片と、このフック片の内側に設けられて前記嵌合凹部に係合したフック片に作用する反力により前記ケーブルを挟み込む突部とを設けたことを特徴としている。
【0006】
好ましくは前記ホルダは、前記ケーブルを所定の長さに亘って覆って筒状に組み立てられる一対の樋状体であって、前記ホルダ支持体は上記筒状に組み立てられたホルダをその内部に嵌合する筒体からなる。そして前記フック片は、上記各樋状体の互いに対峙する部位にその面方向に弾性変位可能に設けられて該樋状体の一部をその長手方向に沿ってそれぞれ切り欠くことで前記ホルダと一体に形成されたものとして実現される。
【0007】
また前記ホルダは、例えば前記ケーブルと共に該ケーブルが接続される回路基板を保持する支持体からなり、前記ホルダ支持体は前記ホルダを収納する筒状のケースとして実現される。そして前記嵌合凹部は、上記ケースの周面に設けた貫通孔として設けられる。
【発明の効果】
【0008】
上述した構成のケーブル押さえ構造によれば、ホルダに設けたフック片が、ホルダ支持体からの抜け止めとして機能すると共に、上記フック片の内側に設けた突部がケーブルを挟み込む役割を担う。従ってケーブルを挟み込んだホルダをホルダ支持体に嵌め込むだけで前記フック片が嵌合凹部に係合してその抜け止めがなされれると同時に、上記フック片と嵌合凹部にとの係合に伴う反力を受けて前記突部によりケーブルが挟み込まれて強固に保持される。つまりホルダに設けたフック片に、ホルダ支持体からの抜け止め機能と共にケーブルの押さえ込み機能を持たせることができ、その組み立て状態においてケーブルを安定に押さえ込んで保持することが可能となる。
【0009】
しかもホルダに一体に設けられるフック片の内側にケーブルを押さえ込む為の突部を形成しておくだけで良いのでその構造が簡単であり、ケーブルクランパ等の別部品を必要としないので取り扱いが簡単な上、その実用的利点が多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るケーブル押さえ構造について、光検出器を例に説明する。
図1はこの実施形態に係る光検出器の外観斜視図であり、図2はその概略構成を説明する為の一部断面化して示す斜視図である。この光検出器は、CdSセルやフォトトランジスタ等からなる光センサ1、光センサ1の駆動部をなす回路基板3、および回路基板3に接続されたケーブル5を保持するホルダ10と、このホルダ10を収納する筒状のケース(ホルダ保持体)50、このケース50の先端部に装着されて前記光センサ1を保護する透光カバー60、および前記ケース50の中腹部に装着されたフランジ体70とを備えて構成される。
【0011】
上記ホルダ10、ケース50、およびフランジ体70は、それぞれ弾性および耐油性に優れたナイロン等を射出成形して製作される一般的な合成樹脂製部品であり、また前記透明カバー60も、弾性および耐油性に優れたナイロン等を射出成形して製作される透明な合成樹脂製部品である。尚、上記フランジ体70は、オイルバーナー等の火炎検出部位に光検出器を取り付ける為の補助部品である。
【0012】
ホルダ10は、図3にその全体的な構造を斜視図として示すように、その先端部20に光センサ1の保持部を形成すると共に、中間部30に前記回路基板3の支持部を形成し、更にその後端部40に前記ケーブル5を保持するケーブル保持部を形成した長尺のホルダ本体11と、このホルダ本体11における後端部40の側部に肉薄のヒンジ部12を介して連結されたホルダカバー13とからなる。このホルダカバー13は、上記ヒンジ部12を屈曲させることでホルダ本体11の後端部40の上面に重ね合わせられ、後述するように上記ホルダ本体11との間にケーブル5を挟み込んで保持するものである。
【0013】
図4(a)は前記ホルダ10の概略的な全体構造を示す平面図であり、また図4(b)は前記ホルダ10に回路基板3を組み付けた状態を示す横断面図である。これらの図4(a),(b)および前述した図3にそれぞれ示すように、前記ホルダ10の先端部20は、概略的には前記光センサ1の外径よりも若干大きい径の円柱体を、その軸方向に沿った平面にて平行に面取りして扁平化した外観形状を有する。そして上記先端部20の先端面には、前記光センサ1の形状に相当する凹状の第1のセンサ保持部21が形成され、また該先端部20の面取りした側面には、上記第1のセンサ保持部21の後側に位置して凹状の第2のセンサ保持部22が形成されている。またこれらの凹状の各センサ保持部21,22の底面には、光センサ1のリード線2が挿通される貫通孔23,24がそれぞれ設けられている。
【0014】
更には先端部20における上記第2のセンサ保持部22の後側の位置には、前記第1のセンサ保持部21に装着された光センサ1のリード線2を前述した中間部30に支持される回路基板3の半田付け部に導く為のガイド部25が形成されている。このガイド部25は、第2のセンサ保持部22の前記貫通孔23に対峙する面に開口部を有し、ホルダ10の後端側に向けて徐々にその高さが上昇する傾斜面を形成した第1のガイド部25aと、この第1のガイド部25aをホルダ10の幅方向に画成すると共に、ホルダ10の後端側に向けて徐々にその幅方向の外側に向けて拡がる傾斜面を形成した第2のガイド部25bとからなる。
【0015】
このような第1および第2のガイド部25a,25bを有するガイド部25に、前述した第1のセンサ保持部21の貫通孔23を挿通させた前記光センサ1のリード線2を導くことで、前記第1のセンサ保持部21への光センサ1の装着、つまりリード線2の押し込みに伴って該リード線2が上述した斜面に沿ってホルダ10の上面側で、且つ該ホルダ10の幅方向に向けて敷設される。そしてリード線2の先端部が前述した中間部30に支持される回路基板3の先端部に設けられた半田付け部に位置付けられる。
【0016】
尚、光センサ1を前述した第2のセンサ保持部22に装着する場合には、該光センサ1のリード線2は前述した貫通孔24を通してホルダ10の上面側に引き出される。このようにしてホルダ10の上面側に引き出されたリード線2については、これをホルダ10の後端側に向けて折り曲げる。するとリード線2は前述した第2のガイド部25bの傾斜面に沿ってホルダ10の幅方向に向けて敷設され、その先端部が前述したように前記中間部30に支持される回路基板3の先端部に設けられた半田付け部に位置付けられる。
【0017】
一方、上述した先端部20に連なって設けられて前記回路基板3の支持部をなす前記ホルダ10の中間部30は、概略的には円筒体を半割にした樋状の形状を有し、その内側の中心部にホルダ10の軸方向に延びる中心リブ31を備えると共に、径方向に延びる複数のリブ32を形成した構造をなす。これらのリブ31,32は、その強度を保ちながら前記ホルダ10の中間部30を形成する樹脂材の肉薄化する役割を担う。
【0018】
この中間部30と前記先端部20との境界部には、前記回路基板3の先端部を位置決めして支持する3種類の係合部33,34,35が形成されている。また前記中心リブ31上には回路基板3に設けた位置決め穴3bに係合するポスト37が形成され、更に中間部30と後端部40との境界部には、前記回路基板3の後端部を位置決めして支持する台座部38が設けられている。
【0019】
上述した3種類の係合部33,34,35は、具体的には中間部30の幅方向縁部に設けられて前記回路基板3の先端部をその下面側から支持する段差部33、前記中間部30の幅方向中心部に設けられて前記回路基板3の先端部にその上面側から係合して該回路基板3の浮き上がりを阻止する係合突起34、そして前記中心リブ31を高さ方向に伸ばして形成され、前記回路基板3の先端部に設けられた切り溝3aに係合して該回路基板3の幅方向の支持位置を規制する突出片35からなる。尚、前記先端部20と中間部30との境界部であって上記段差部33および係合突起34の奥部に位置付けられる前記ガイド部25の後端面は、前記回路基板3の先端部に当接して該回路基板3の長手方向の取り付け位置を規制する役割を担う。
【0020】
このような係合部33,34,35にそれぞれ当接させて、つまり前記突出片35に前記回路基板3の切り溝3aを係合させ、該回路基板3の先端部を前記段差部33と係合突起34との間の高さ方向の空間部に嵌め込むことで、回路基板3の先端部の保持位置が安定に位置決めされる。この状態から回路基板3の全体を中間部30の上面に位置付けることで該回路基板3に設けた位置決め穴3bが前述したポスト37に嵌合し、また回路基板3の後端部下面が前記台座部38上に載置されることで回路基板3がより安定に位置決めされる。
【0021】
そして回路基板30の後端側に半田付けされたケーブル5は前記ホルダ本体11の後端部40に沿って配設されてホルダ10の後端部から外側に引き出される。この状態で前記ホルダカバー13をホルダ本体11の後端部40の上面に重ね合わせることにより、ホルダカバー13とホルダ本体11との間にケーブル5が挟み込まれて保持される。同時に上記ホルダカバー13と前記ホルダ本体11との間に前述した回路基板3の後端部が挟み込まれる。そして回路基板3は、その先端部の前述した係合部33,34,35への係合と、上述した後端部の前記ホルダカバー13とホルダ本体11とによる挟み込みにより、該ホルダ本体11に強固に保持される。
【0022】
即ち、ホルダカバー13の前端縁部は、前述した台座部38の上面に対して前記回路基板3の厚みを存して該台座部38に対峙する段差部14として形成されている。そしてホルダ10における後端部40の上面にホルダカバー13を重ね合わせたとき、上記段差部14は前記台座部38上に載置された回路基板3の後端部をその上面側から押圧し、これによって上記回路基板3の後端部を台座部38との間に挟持する役割を担う。特にこの回路基板3の挟持は、後述するようにホルダ10を前述した円筒状のケース(ホルダ支持体)50の内側に装着したとき、図5にその組み付け構造を示すように上記ケース50によるホルダカバー13の押さえ込みによりより強固に行われるようになっている。
【0023】
従って回路基板30およびケーブル5は、その接続状態によって定まる両者の位置関係を維持したまま前記ホルダカバー13によって同時にホルダ本体11との間に挟み込まれるので、ホルダ10への装着後であっても上述した位置関係がそのまま維持される。従って回路基板30とケーブル5との半田付け部に不本意なストレスが加わることがなく、その接続信頼性の向上を図ることができる。更にはホルダ10は、前述したように肉薄のヒンジ部12を介してホルダカバー13をホルダ本体11に一体に設けた構成なので、その構成が簡単であり、安価に製作し得る等の利点がある。
【0024】
また前記ホルダ本体11の後端部40および前記ホルダカバー13の略中央部には、それぞれホルダ10の軸方向に沿うコの字状の切り込み溝41が形成されている。これらの切り込み溝41は、前記ホルダ本体11および前記ホルダカバー13の主体部から画成すると共に、中間部30側の一端を前記ホルダ本体11およびホルダカバー13の主体部に連ねて支持されたフック片42として形成している。即ち、フック片42は、前記ホルダ本体11の軸方向に沿って形成されてその面方向に弾性作用を呈する舌片として形成されている。
【0025】
上記各フック片42は、その先端部を前記ホルダ本体11および前記ホルダカバー13の各外周面から外側に向けて突出させ、前述した円筒状のケース(ホルダ支持体)50の周面を貫通させて設けた嵌合凹部51に係合する係合突起43をそれぞれ備える。これらの係合突起43はホルダ10を前述したケース50に挿入した際、図5に示すように上記ケース50の嵌合凹部51に係合することで該ケース50からホルダ10の引き抜きを阻止する役割を担う。また上記各フック片42の内側には、互いに対峙して前記ケーブル5を挟み込む突部44がそれぞれ設けられている。これらの突部44は、前述した嵌合凹部51に係合したフック片42に作用する反力により前記ケーブル5を強固に挟み込む役割を担う。
【0026】
即ち、ホルダ10をケース50に嵌め込み、対峙するそれぞれのフック片42の係合突起43をそれぞれの嵌合凹部51に係合した状態において、対峙するそれぞれの突部44の先端どうしの間隔はケーブル5の外径よりもやや小さくなされている。また上記各フック片42の外表面はケース50の内表面によって拡径方向の変位を規制される。それ故、対峙する各突部44の先端はそれぞれケーブル5の被覆にやや食い込んだ状態となり、ケーブル5に径方向の圧縮力が作用する共に、それぞれのフック片42の外表面からケース50の内表面へ押し付け力が作用した状態となる。従ってホルダ本体11とホルダカバー13との間にケーブル5を保持したホルダ10をケース50に嵌め込むだけで、該ホルダ10のケース50からの抜け止めを確実に行い、同時にホルダ10によってケーブル5を強固に保持することが可能となる。
【0027】
このようなフック片42を備えた前記ホルダ本体11および前記ホルダカバー13によりケーブル5を強固に保持することにより、前述した段差部14と台座部38とによる回路基板3の後端部の挟持と相俟って回路基板3およびケーブル5が一体となって強固に保持される。従って回路基板3とケーブル5との半田付け部に不本意なストレスが加わることがない。従ってホルダ10に光センサ1および回路基板3を組み付けた後、回路基板3に接続されたケーブル5をその後端部から引き出したホルダ10を、その先端部20側から前述した円筒状のケース50に差し込むだけで、簡易に光検出器の組み立てることができる。その上で後述するようにケース50の先端部に前述した透明カバー60を装着することにより、図1および図2に示した構造の光検出器が完成される。
【0028】
ここで前記ケース50の先端部への上記透明カバー60の組み付け構造について説明する。略円筒型の外観形状をなすケース50は、前述したように扁平化した先端部20を備えたホルダ10の外観形状に合致する筒内形状を有している。従ってホルダ10は、ケース50に対してその向きを揃えた状態でのみ、該ケース50に装着し得るようになっている。
【0029】
このようにして向きを揃えて前述したホルダ10を装着するケース50の先端部には、図6に示すように前述したホルダ10の先端部20にそれぞれ設けられた第1および第2のセンサ保持部21,22に対峙する2つの開口部51,52が形成されている。即ち、ケース50の先端面には、第1のセンサ保持部21に装着される光センサ1の受光面をその軸方向前方に向けて露出させる第1の開口部51が設けられ、またケース50の先端部側面には、第2のセンサ保持部22に装着される光センサ1の受光面をその径方向である側方に向けて露出させる第2の開口部52が設けられている。
【0030】
またケース50の先端部外周面には、上記開口部51,52をそれぞれ含むように、その先端面から両側面に掛けて連続する所定幅の浅溝53が設けられている。この浅溝53は前述した透明カバー60の装着部をなすものである。またこの浅溝53の底部であって上記開口部51,52を避けた両側面部には一対の係合突起54が突出形成されている。これらの係合突起54は、透明カバー60に設けられた嵌合孔63に係合することでケース50の先端部に装着される透明カバー60の不本意な脱落を防止する役割を担う。
【0031】
即ち、ケース50の先端部に装着される透明カバー60は、図6に示すように前記ホルダ10の先端面に位置付けられる主体部61と、この主体部61の両端からそれぞれ延びて互いに対向し、前記ホルダ10の先端部をその両側面から挟み込む一対の脚部62とを備える。尚、一対の脚部62の一方は前述した第2の開口部52を覆うべく、他方の脚部62よりも長く設定されている。更にこれらの一対の脚部62には、前記ホルダ50の先端部側面に形成された係合突起(係合部)54にそれぞれ嵌合する嵌合孔(嵌合部)63が設けられている。このような形状の透明カバー60は、前述したように弾性および耐油性に優れたナイロン製のものであって、その厚みを薄くすることで十分な透光性が確保されている。
【0032】
このような透明カバー60をケース50の先端部に装着することで、前述した第1および第2の開口部51,52が上記透明カバー60にて覆われる。そして前述したホルダ10の第1または第2のセンサ保持部21,22に択一的に装着され、第1または第2の開口部51,52を介して前方または側方にその受光面を望ませた光センサ1が、前記透明カバー60にて保護される。尚、透明カバー60は、その弾性力に抗して一対の脚部62を強制的に拡げない限りその形状が強固に維持される。従ってケース50の先端部に装着された透明カバー60は、脚部62を意図的に拡げて前述した係合突起54と嵌合孔63との係合を解除しない限り、ケース50の先端部から不本意に脱落することはない。また透明カバー60は、その外側面の全てを露出させてケース50の先端部に外側から装着されるので、その清掃が容易であり、またその交換も簡易に行うことができる。
【0033】
尚、前述したフランジ体70は、概略的には図1および図2にそれぞれ示すようにその中央部に前述したケース50の外周に嵌め込まれる丸穴部71を設けると共に、この丸穴部71の側方に張り出した突出片部72にそれぞれねじ止め用の貫通孔73とを設けた構造を有する。特に上記丸穴部71の内周面には、2本の係合溝(図示せず)がその周方向に90°のずれを持たせて平行に設けられている。これらの係合溝は、前述したケース50の外周面に、その軸方向に沿って設けられた1条の係合突起(図示せず)を選択的に係合するものである。ケース50へのフランジ体70の装着は、上述した2本の係合溝の一方に前記係合突起を嵌合させた状態でのみ行い得るようになっている。従ってフランジ体70は、その向きを90°ずらすことで前記ケース50に対して縦向きまたは横向きに選択的に装着される。
【0034】
以上のように光センサ1および回路基板3を保持すると共に、上記回路基板3に接続されたケーブル5を保持するホルダ10、このホルダ10を収納する筒状のケース50、および前記光センサ1を覆って上記ケース50の先端部に装着される透明カバー60を備えて構成される光検出器によれば、非常に簡単に組み立てることができる。しかもホルダ10は、その先端部20に光センサ1の向きを異ならせて装着可能な第1および第2のセンサ保持部21,22を備えており、これらのセンサ保持部21,22に択一的に光センサ1を装着するだけで光の検出方向を異にする2種類の光検出器を容易に実現することができる。従って従来のように、光の検出方向の異なりに応じたホルダ等を個別に準備する必要がなく、その構成部品の共通化を図ることができる。
【0035】
またホルダ10は、その先端部20に前記第1または第2のセンサ保持部21,22に装着された光センサ1のリード線2を回路基板3の半田付け部に向けて導くガイド部25を備えている。従って第1のセンサ保持部21の前面側から前記貫通孔23を通して光センサ1のリード線2を差し込み、そのまま光センサ1を上記第1のセンサ保持部21に嵌合する位置まで押し込むだけで、これに伴ってリード線2の先端部を前記回路基板3の半田付け部に位置付けることができる。また第2のセンサ保持部22の前面側から前記貫通孔24を通して光センサ1のリード線2を差し込み、そのまま光センサ1を上記第2のセンサ保持部22に嵌合する位置まで押し込めば、その上方にリード線2が導出される。従ってリード線2を回路基板3に向けて折り曲げるだけで、リード線2の先端部を前記回路基板3の半田付け部に位置付けることができる。従って光センサ1の取り付けと、そのリード線2の回路基板3への接続作業を容易に行うことができる等の効果が奏せられる。
【0036】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えばホルダ保持体としての壁面に穿いた透孔を挿通させてケーブルを取り付ける場合にも、上述した構造を採用することができる。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能なことは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係るケーブル押さえ構造を採用した光検出器の外観斜視図。
【図2】図1に示す光検出器の概略構成を説明する為の一部断面化して示す斜視図。
【図3】ホルダの全体的な構造を示す斜視図。
【図4】ホルダの概略的な全体構造を示す平面図、およびホルダに回路基板を組み付けた状態を示す横断面図。
【図5】ホルダの後端部による回路基板とケーブルの組み付け構造を示す図。
【図6】ケースの先端部の構造と透明カバーの取り付け状態を説明する為の図。
【符号の説明】
【0038】
1 光センサ
2 リード線
3 回路基板
5 ケーブル
10 ホルダ
11 ホルダ本体
13 ホルダカバー
42 フック片
43 係合突起
44 突部
50 ケース
51 嵌合凹部
60 透明カバー
70 フランジ体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの周面を囲んで該ケーブルを保持するホルダと、このホルダをその周面から支持するホルダ保持体とを具備し、
前記ホルダは、その外周面から外側に突出して前記ホルダ保持体の内周面に設けられた嵌合凹部に係合して前記ホルダ支持体からの抜け止めとして機能するフック片と、このフック片の内側に設けられて前記嵌合凹部に係合した状態で前記ケーブルを挟み込む突部を備えることを特徴とするケーブル押さえ構造。
【請求項2】
前記ホルダは、前記ケーブルを所定の長さに亘って覆って筒状に組み立てられる一対の樋状体であって、前記ホルダ支持体は上記筒状に組み立てられたホルダをその内部に嵌合する筒体からなり、
前記フック片は、上記各樋状体の互いに対峙する部位にその面方向に弾性変位可能に設けたものであって、該樋状体の一部をそれぞれ切り欠いて前記ホルダと一体に形成したものである請求項1に記載のケーブル押さえ構造。
【請求項3】
前記ホルダは、前記ケーブルと共に該ケーブルが接続される回路基板を保持する支持体であって、
前記ホルダ支持体は、前記ホルダを収納する筒状のケースからなり、前記嵌合凹部は、上記ケースの周面に設けた貫通孔である請求項1に記載のケーブル押さえ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−160922(P2008−160922A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344207(P2006−344207)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】