説明

ケーブル検査用アダプタ

【課題】ケーブルアッセンブリに対して容易かつ確実に検査をすることができるケーブル検査用アダプタを提供する。
【解決手段】ネットワークアナライザ60とケーブルアッセンブリ20との間に接続されるケーブルアダプタ1(1A,1B)において、一方の端部に雌コネクタ2のシールド部材である雌アウター導体4と電気的に接続され、他方の端部にSMA雄コネクタ15が取り付けられている同軸ケーブル10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの両端にコネクタが設けられたケーブルアッセンブリと、そのケーブルアッセンブリの電気的特性を測定する測定器との間に接続されるケーブル検査用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルやツイストペアケーブルのように、内部の導線を金属箔や編組などで覆ったケーブルはシールドケーブルと呼ばれている。
【0003】
このシールドケーブルのうち、例えばツイストペアケーブルは、信号線となる導体からなる芯線の周囲が絶縁体で被覆された電線を2本撚り合わせたツイストペア線を一対以上と、ツイストペア線の外周に金属細線を多数編んだ編組をシールド層として配し、さらにその外側を絶縁樹脂などで形成された外皮で覆っている。
【0004】
このようなツイストペアケーブルなどのシールドケーブルは、高周波信号の伝送に使用されることが多い。そして、ケーブルの両端にプラグ(コネクタ)を取り付けたケーブルアッセンブリの検査工程では、導通だけではなく伝送特性も測定し評価する。
【0005】
ケーブルアッセンブリの検査工程は、例えば次のように行われる。まず、ケーブルアッセンブリの両端を測定器としてのネットワークアナライザに接続し、入力信号の周波数に対する伝送特性を測定し、測定データを検査規定値と比較し、合格または不合格を判定する。
【0006】
ケーブルのシールド層である編組は、ケーブル端でプラグのシールド部品に接続されてケーブルアッセンブリのシールド層を形成する。しかしプラグにシールド部品の未装着やケーブル編組の断線により、両端のプラグ間でシールドが繋がっていない(電気的に接続されていない)場合がある。この場合、グランド不良のまま検査されることになるため、正しい検査データが得られないこととなる。
【0007】
また、万一検査が合格になり、シールド層が断線したケーブルアッセンブリを出荷してしまうと、そのケーブルアッセンブリを使用したシステムでは、部分的にケーブルの特性インピーダンスが変化し信号品質が劣化したり、シールド不良によるケーブルからのノイズが放出されたり、ケーブルアッセンブリ両端のグランドレベルに差が生じ、システム全体からノイズが放出されてしまうといった問題が発生する。
【0008】
そのような問題に対応するためにケーブルの断線などを検査する方法として、例えば特許文献1、2に記載の方法が提案されている。特許文献1に記載の方法は、ケーブルの片端でシールド層と信号線を短絡して導通を測定している。特許文献2に記載の方法は、外皮に静電気ノイズを印加し、芯線に生じた信号を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−180893号公報
【特許文献2】特開2003−185694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ケーブルの両端にプラグ(コネクタ)が取り付けられたケーブルアッセンブリへの適用が考慮されていない。そのため、プラグのシールド部品が当該プラグの内側にある場合は信号線と接続することが難しいという問題がある。
【0011】
また、特許文献2に記載の方法では、ケーブルアッセンブリの特性評価とは別に専用の検査装置と工程が必要となってしまう。また、ケーブルに沿って静電気発生装置を移動させるために検査時間が長く、電圧印加による絶縁層破壊の可能性もある。
【0012】
そこで、本発明は、ケーブルアッセンブリに対して容易かつ確実に検査をすることができるケーブル検査用アダプタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、導体からなる芯線の周囲に絶縁体を挟んで金属シールド部が設けられているケーブルと、前記ケーブルの両端に取り付けられて前記芯線と電気的に接続される端子および前記金属シールド部と電気的に接続されるシールド部材が設けられているコネクタと、を備えているケーブルアッセンブリと、前記ケーブルアッセンブリの電気的特性を測定する測定器と、の間に接続されるケーブル検査用アダプタであって、前記測定器および前記コネクタと着脱自在に構成され、前記コネクタの前記シールド部材および前記測定器の信号線と電気的に接続されるとともに、前記コネクタの前記端子とは絶縁されているシールド検査部を備えていることを特徴とするケーブル検査用アダプタである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記コネクタの前記端子および前記測定器の信号線と電気的に接続されているとともに、前記コネクタの前記シールド部材とは絶縁されている芯線検査部を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記シールド検査部と前記芯線検査部とのうちいずれを前記測定器の信号線と電気的に接続するかを切り替える切替手段を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、測定器およびコネクタと脱着自在に構成され、コネクタのシールド部材および測定器の信号線と電気的に接続されているとともに、コネクタの端子とは絶縁されているシールド検査部を備えているので、ケーブルアッセンブリと測定器の間に接続するだけで容易かつ確実にシールドの断線の有無を測定することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、コネクタの端子および測定器の信号線と電気的に接続されているとともに、コネクタのシールド部材とは絶縁されている芯線検査部を備えているので、シールドだけでなくケーブルの芯線の電気的特定も合わせて測定することができる。また、信号線の検査工程でシールド層の評価を行うことができるので、作業効率を向上させることができる。また、信号線の伝送特性を測定する測定器を用いてシールド層を評価するために、新たな測定器が不要である。さらに、信号線の伝送特性を測定する前にシールド層を評価することができるので、信号線の正確な特性を測定することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、シールド検査部と芯線検査部とのうちいずれを測定器の信号線と電気的に接続するかを切り替える切替手段を備えているので、切替手段を切り替えるのみでよく、測定器の信号線の繋ぎ替えなどを行う必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかるケーブル検査アダプタが接続されるケーブルアッセンブリの平面図である。
【図2】図1に示されたケーブルアッセンブリの雄コネクタの正面図と雄コネクタとケーブルの接続部分を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるケーブル検査アダプタの平面図である。
【図4】図3に示されたケーブル検査アダプタの雌コネクタの正面図と雌コネクタとケーブルの接続部分を示す断面図である。
【図5】図1に示されたケーブルアッセンブリを図3に示されたケーブル検査アダプタを用いて測定する際の構成図である。
【図6】図5に示された構成で測定した測定結果を示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施形態にかかるケーブル検査アダプタの平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかるケーブル検査アダプタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の一実施形態を図1ないし図6を参照して説明する。
【0021】
まず、本発明の一実施形態にかかるケーブルアダプタ1が接続されるケーブルアッセンブリ20は、図1に示すように、ケーブル21と、雄コネクタ22と、を備えている。
【0022】
ケーブル21は、図2(b)の断面図に示したように、信号線23、24、25、26と、編組27と、外皮28と、を備えている。
【0023】
信号線23は、導体で形成された芯線23aの周囲が絶縁性の外皮で覆われている。信号線24、25、26も同様である。また、信号線23、24、25、26は、互いに撚り合わせされており、二対のツイストペア線を構成する。金属シールド部としての編組27は、金属細線を多数編んで構成され、信号線23、24、25、26の外周にシールド層として設けられる。外皮28は、編組27の外側を覆い絶縁性の樹脂などで形成されている。すなわち、ケーブル21は、ツイストペアケーブルとなっている。
【0024】
雄コネクタ22は、図1に示したようにケーブル21の両端に取り付けられ、図2に示したように雄ケース29と、雄アウター導体30と、雄インナー導体31、32、33、34と、雄絶縁体35と、を備えている。
【0025】
雄ケース29は、絶縁性の樹脂などで略円筒形に形成され、一方の端部にケーブル21の端部が挿入(圧入)されている。
【0026】
雄アウター導体30は、金属などの導体で形成されて雄ケース29の内周面に沿うように設けられケーブル21の編組27と接することで電気的に接続されている。すなわち、雄アウター導体30は、シールド部材として機能する。したがって、この雄アウター導体30と編組27でケーブルアッセンブリ20のシールド層を構成する。図2に示したように、雄アウター導体30は雄ケース29の内側に設けられているため、テスタープローブ等を確実に接触させるのは困難である。
【0027】
雄インナー導体31は、雄ケース29の内部に収容されており、金属などの導体で棒状に形成されている。雄インナー導体31は、一方の端部が雄ケース29の他方の端部側の開口部に向かって突出するように設けられ、他方の端部には信号線23の芯線23aが電気的に接続されている。雄インナー導体32、33、34も同様に構成され、他方の端部には信号線24、25、26の芯線24a、25a、26aがそれぞれ電気的に接続されている。すなわち、雄インナー導体31、32、33、34は雄コネクタ22の端子として機能する。
【0028】
雄絶縁体35は、絶縁性の樹脂などで略円盤状に形成され、雄ケース29の内部に雄アウター導体30および雄インナー導体31、32、33、34をそれぞれ絶縁するように設けられている。雄絶縁体35は、雄ケース29をケーブル21が挿入される部分と後述する雌コネクタ2が挿入される部分とを隔てるとともに、雄インナー導体31、32、33、34を通して雄インナー導体31と雄インナー導体34、雄インナー導体32と雄インナー導体33が対角に配置されるように固定している。
【0029】
本発明の一実施形態にかかるケーブル検査アダプタとしてのケーブルアダプタ1は、図3や図4に示したように、雌コネクタ2と、同軸ケーブル10、11、12、13,14と、SMA雄コネクタ15、16、17、18、19と、を備え、ケーブルアッセンブリ20の雄コネクタ22と後述するネットワークアダプタのケーブル61、63と着脱自在に構成されている。
【0030】
雌コネクタ2は、図4に示したように、雌ケース3と、雌アウター導体4と、雌インナー導体5、6、7、8と、雌絶縁体9と、を備えている。
【0031】
雌ケース3は、絶縁性の樹脂などで略円筒形に形成され、一方の端部から同軸ケーブル10、11、12、13、14が導出している。また、雌ケース3は、上述した雄コネクタ22と嵌合した際に雄ケース29の一部を内部に収容するために、雌ケース3の内径は、雄ケース29の外径よりも大きく形成されている。
【0032】
シールド検査部としての雌アウター導体4は、金属などの導体で有底筒状に形成されて雌ケース3の内部に設けられている。また、雌アウター導体4は雄コネクタ22と嵌合した際に雄アウター導体30と接触するために、雌アウター導体4の外径は、雄アウター導体30の内径と略同じに形成されている。すなわち、雌アウター導体4は、雌コネクタのシールド部材として機能する。
【0033】
芯線検査部としての雌インナー導体5は、雌ケース3の内部に収容されており、金属などの導体で有底筒状に形成されている。雌インナー導体5は、開口部が雌ケース3の他方の端部側の開口部に向かって設けられ、底部には同軸ケーブル11の導体11aが電気的に接続されている。また、雌インナー導体5は、雄コネクタ22と嵌合した際に雄インナー導体31を内部に収容して電気的に接続する。芯線検査部としての雌インナー導体6、7、8も同様に構成され、底部には同軸ケーブル12、13、14の導体12a、13a、14aがそれぞれ電気的に接続されている。
【0034】
雌絶縁体9は、絶縁性の樹脂などで形成され、雌アウター導体4および雌インナー導体5、6、7、8をそれぞれ絶縁するように雌アウター導体4の内部に設けられている。雌絶縁体9は、雄インナー導体31と雄インナー導体34、雄インナー導体32と雄インナー導体33が対角に配置されるように雌アウター導体4に充填され固定している。
【0035】
シールド検査部としての同軸ケーブル10は、図4(b)に示したように、図示しない絶縁体で覆われた導体で形成された芯線10aの周囲に編組10bが設けられ、さらに編組10bの周囲を外皮10cが覆っている。同軸ケーブル10は、一方の端部では芯線10aと雌コネクタ2の雌アウター導体4が電気的に接続され、他方の端部では芯線10aとSMA(Sub Miniature Type A)雄コネクタ15と電気的に接続されている。したがって、同軸ケーブル10とSMA雄コネクタ15と雌アウター導体4とは電気的に接続されることとなり、ケーブルアッセンブリ20の雄コネクタ22と嵌合することによって、雌アウター導体4と雄アウター導体30(つまりシールド部材)とが電気的に接続される。また、雌インナー導体5、6、7、8とは雌絶縁体9で絶縁されているために、雌インナー導体5、6、7、8と接続する雄インナー導体31、32、33、34(信号線23、24、25、26)とも絶縁される。
【0036】
芯線検査部としての同軸ケーブル11は、図4(b)に示したように、図示しない絶縁体で覆われた導体で形成された芯線11aの周囲に編組11bが設けられ、さらに編組11bの周囲を外皮11cが覆っている。同軸ケーブル11は、一方の端部では芯線11aと雌コネクタ2の雌インナー導体5が電気的に接続され、他方の端部では芯線11aとSMA雄コネクタ16が電気的に接続されている。芯線検査部としての同軸ケーブル12、13、14も同様に構成され、一方の端部では芯線12aと雌インナー導体6、芯線13aと雌インナー導体7、芯線14aと雌インナー導体8がそれぞれ電気的に接続され、他方の端部では芯線12aとSMA雄コネクタ17、芯線13aとSMA雄コネクタ18、芯線14aとSMA雄コネクタ19が電気的に接続されている。したがって、例えば、同軸ケーブル11とSMA雄コネクタ16と雌インナー導体5とは電気的に接続されることとなり、ケーブルアッセンブリ20の雄コネクタ22と嵌合することによって、雌インナー導体5と雄インナー導体31(つまり端子)とが電気的に接続される。また、雌アウター導体4とは雌絶縁体9で絶縁されているために、雌アウター導体4と接続する雄アウター導体30(編組27)とも絶縁される。同軸ケーブル12、13、14も同様である。
【0037】
次に、上述した構成のケーブルアッセンブリ20をケーブルアダプタ1を用いて検査する方法を図5を参照して説明する。
【0038】
まず、測定器としてのネットワークアナライザ60の信号出力側の端子に信号線としてのケーブル61を接続し、ネットワークアナライザ60の信号入力側の端子に信号線としてのケーブル63を接続する。次に、ケーブルアッセンブリ20の一方の雄コネクタ22をケーブルアダプタ1Aの雌コネクタ2に挿入して両者を繋ぎ(嵌合し)、ケーブルアッセンブリ20の他方の雄コネクタ22をケーブルアダプタ1Bの雌コネクタ2に挿入して両者を繋ぐ。そして、ケーブル61の先端に設けられているSMA雌コネクタ61aをケーブルアダプタ1AのSMA雄コネクタ15へ挿入して両者を繋ぎ、ケーブル63の先端に設けられているSMA雌コネクタ63aをケーブルアダプタ1BのSMA雄コネクタ15へ挿入して両者を繋ぐ。このように接続することで、図5に示したように、ネットワークアナライザ60、ケーブル61、ケーブルアダプタ1A、ケーブルアッセンブリ20、ケーブルアダプタ1B、ケーブル63、ネットワークアナライザ60と接続される。
【0039】
図5の接続では、ケーブルアダプタ1A、1BはSMA雄コネクタ15にネットワークアナライザ60のケーブル61、63を接続しているので、ネットワークアナライザ60から信号がSMA雄コネクタ15、芯線10a、雌アウター導体4、雄アウター導体30、編組27、雄アウター導体30、雌アウター導体4、芯線10a、SMA雄コネクタ15と伝わりネットワークアナライザ60へ戻る経路が形成される。すなわち、ケーブルアッセンブリ20のシールド層の導通を確認するための経路が形成されることとなる。
【0040】
次に、ネットワークアナライザ60を操作して測定を実行する。図6に測定結果例を示す。図6は、横軸に周波数、縦軸に反射特性を示したグラフである。ケーブルアッセンブリ20のシールドが導通しているとDC成分が伝わるので、反射特性グラフの周波数0Hzはマイナスになる。また、ケーブルアッセンブリ20のシールドが断線しているとDC成分が伝わらないので、反射特性グラフの周波数0Hzは0になる。このように反射特性の測定結果からシールド層の導通を確認することができる。
【0041】
次に、シールド層の測定結果が正常だった場合は、SMA雌コネクタ61aをケーブルアダプタ1AのSMA雄コネクタ15から外してSMA雄コネクタ16へ繋ぎ、SMA雌コネクタ63aをケーブルアダプタ1BのSMA雄コネクタ15から外してSMA雄コネクタ16へ繋ぐ。このようにすると、ネットワークアナライザ60から信号がSMA雄コネクタ15、芯線11a、雌インナー導体5、雄インナー導体31、芯線23a(信号線23)、雄インナー導体31、雌インナー導体5、芯線11a、SMA雄コネクタ15と伝わりネットワークアナライザ60へ戻る経路が形成される。すなわち、ケーブルアッセンブリ20の信号線23を確認するための経路が形成されることとなる。そして、ネットワークアナライザ60で測定を行い、測定結果から信号線の検査結果を判断する。
【0042】
以降同様にして、SMA雄コネクタ17(信号線24)、SMA雄コネクタ18(信号線25)、SMA雄コネクタ19(信号線26)と順次繋ぎ変えて測定し、検査結果を判断する。
【0043】
本実施形態によれば、ネットワークアナライザ60とケーブルアッセンブリ20との間に接続されるケーブルアダプタ1において、一方の端部に雌コネクタ2のシールド部材である雌アウター導体4と電気的に接続され、他方の端部にSMA雄コネクタ15が取り付けられている同軸ケーブル10を備えている。そのため、ケーブルアッセンブリ20の雄コネクタ22のシールド部材である雄アウター導体30およびネットワークアナライザ60に接続されるケーブル61、63と電気的に接続されるとともに、ケーブルアッセンブリ20の雄コネクタ22の雄インナー導体31、32、33、34とは絶縁されるので、ケーブルアッセンブリ20とネットワークアナライザ60の間にケーブルアダプタ1を接続するだけで容易かつ確実にシールド層の断線の有無を測定することができる。
【0044】
また、ケーブルアダプタ1に、一方の端部に雌コネクタ2の端子である雌インナー導体5、6、7、8と電気的に接続され、他方の端部にSMA雄コネクタ16、17、18、19が取り付けられている同軸ケーブル11、12、13、14を備えているので、シールド層だけでなく、ケーブルアッセンブリ20の信号線23、24、25、26の測定を行って検査結果の判定を行うことができる。
【0045】
また、信号線の検査工程でシールド層の評価を行うことができるので、作業効率を向上させることができる。また、信号線の伝送特性を測定するネットワークアナライザ60を用いてシールド層を評価するために、新たな測定器が不要である。さらに、信号線の伝送特性を測定する前にシールド層を評価することができるので、信号線の正確な特性を測定することができる。
【0046】
上述した実施形態では、ケーブルアッセンブリ20の雄コネクタ22の雄インナー導体31、32、33、34、つまり端子が対角に配置されていたが、端子が水平に配置されている場合は、図7に示したように基板を用いた構成とすることができる。
【0047】
図7に示したケーブルアダプタ40は、基板41と、雌コネクタ42と、SMA雄コネクタ43、44、45、46と、を備えている。
【0048】
基板41は、均等な厚みを有する絶縁性の部材であって略矩形状に形成されている。雌コネクタ42は、基板41の図中右端に設けられ、図示しない雄インナー導体が水平に配置されているケーブルアッセンブリ20の雄コネクタ22と接続可能に端子(雌インナー導体)が配置されている。SMA雄コネクタ43、44は、基板41の図中上端から突出して設けられ、SMA雄コネクタ45、46は、基板41の図中左端から突出して設けられ、SMA雄コネクタ47は、基板41の図中下端から突出して設けられている。
【0049】
基板41上には、配線48、49、50、51、52が形成されている。配線48は、一方の端部が雌コネクタ42の図示しないシールド部材である雌アウター導体と電気的に接続され、他方の端部がSMA雄コネクタ43と電気的に接続されている。配線49は、一方の端部が雌コネクタ42の図示しない端子である雌インナー導体と電気的に接続され、他方の端部がSMA雄コネクタ44と電気的に接続されている。配線50は、一方の端部が雌コネクタ42の図示しない端子である雌インナー導体と電気的に接続され、他方の端部がSMA雄コネクタ45と電気的に接続されている。配線51は、一方の端部が雌コネクタ42の図示しない端子である雌インナー導体と電気的に接続され、他方の端部がSMA雄コネクタ46と電気的に接続されている。配線52は、一方の端部が雌コネクタ42の図示しない端子である雌インナー導体と電気的に接続され、他方の端部がSMA雄コネクタ47と電気的に接続されている。
【0050】
なお、配線49、50は一対のツイストペア線の信号線と対応する雌インナー導体に接続され、配線51、52は別の一対のツイストペア線の信号線と対応する雌インナー導体に接続される。
【0051】
上述した構成のケーブルアダプタ40は、図5に示した構成と同様に接続、つまり、雌コネクタ42にケーブルアッセンブリ20の雄コネクタ22が接続し、SMA雄コネクタ43、44、45、46、47のいずれか一つにネットワークアナライザ60に接続することでケーブルアッセンブリ20のシールドや信号線の測定を行うことができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、シールドや各信号線といった測定対象の切り替えは、ケーブルアダプタ1からネットワークアナライザ60に接続されたケーブル61、63を繋ぎ換えることで切替えていたが、図8に示したように切替手段としての切り替え器70を用いることで、繋ぎ換えをすることなく測定対象を切替えることができる。切り替え器70としては例えばマイクロ波スイッチなどを使用することができる。
【0053】
また、図7のように基板41を用いた場合は、基板41上に切替手段としての切り替えスイッチ回路等を設けることで図8と同様に繋ぎ換えをすることなく測定対象を切替えることができる。
【0054】
また、本発明は、ツイストペアケーブルに限らず同軸ケーブルなどの他のシールドケーブルに適用することができる。
【0055】
また、上述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ケーブルアダプタ(ケーブル検査アダプタ)
2 雌コネクタ(シールド測定部、芯線測定部)
10 同軸ケーブル(シールド測定部)
11〜14 同軸ケーブル(芯線測定部)
15 SMA雄コネクタ(シールド測定部)
16〜19 SMA雄コネクタ(芯線測定部)
20 ケーブルアッセンブリ
21 ケーブル
22 雄コネクタ(コネクタ)
23a〜26a 芯線
27 編組(金属シールド部)
30 雄アウター導体(シールド部材)
31〜34 雄インナー導体(端子)
60 ネットワークアナライザ(測定器)
61、63 同軸ケーブル(測定器の信号線)
70 切り替え器(切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体からなる芯線の周囲に絶縁体を挟んで金属シールド部が設けられているケーブルと、前記ケーブルの両端に取り付けられて前記芯線と電気的に接続される端子および前記金属シールド部と電気的に接続されるシールド部材が設けられているコネクタと、を備えているケーブルアッセンブリと、前記ケーブルアッセンブリの電気的特性を測定する測定器と、の間に接続されるケーブル検査用アダプタであって、
前記測定器および前記コネクタと着脱自在に構成され、前記コネクタの前記シールド部材および前記測定器の信号線と電気的に接続されるとともに、前記コネクタの前記端子とは絶縁されているシールド検査部を備えていることを特徴とするケーブル検査用アダプタ。
【請求項2】
前記コネクタの前記端子および前記測定器の信号線と電気的に接続されているとともに、前記コネクタの前記シールド部材とは絶縁されている芯線検査部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル検査用アダプタ。
【請求項3】
前記シールド検査部と前記芯線検査部とのうちいずれを前記測定器の信号線と電気的に接続するかを切り替える切替手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載のケーブル検査用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−52992(P2012−52992A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197582(P2010−197582)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】