説明

ケーブル貫通部用防水部材、及びこれを用いたケーブル貫通部の防水方法、及び防水接続箱

【課題】構造が簡単で安価に製造できるケーブル貫通部用防水部材を提供する。
【解決手段】開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、ケーブル導入壁に、箱本体側及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱に用いられる。防水部材25は、四角形のゴムシート26に、当該ゴムシートを伸ばした状態に維持する伸び状態維持プレート27を取り付け、ゴムシート26を筒状に丸めた状態で両端を互いに係合させる係合手段31、32を設ける。取り付け前はフラットである防水部材25をケーブル11の添わせ、筒状に丸め、両端を係合させて、ケーブル11を囲む円筒状にする(図10(a))。プレート27を除去すると(同図(b))、ゴムシート26が縮んで縮径しケーブル11の外周に密着し(同図(c))、水密性が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ケーブルや電気ケーブルの接続部を収容するクロージャ等に適用して好適なケーブル貫通部用防水部材、及びこのケーブル貫通部用防水部材を用いたケーブル貫通部の防水方法、及び防水接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルの接続部あるいは電気ケーブルの接続部を開閉可能に収納するクロージャは一般に、接続部を収納する開閉可能な筒状体(いわゆるクロージャスリーブ)の両端面に防水端面部材を備えた構造であり、ケーブルはこの防水端面部材に設けたケーブル貫通穴を貫通して内部に導入される。
防水端面部材の構造は種々であるが、一般に防水端面部材のケーブル貫通部には、クロージャ内に水が浸入しないように、ゴム製二つ割り構造で互いに閉じ合わせた時にケーブル貫通穴を形成する防水フィンを持つ中空の防水端面部材が設けられている。ケーブルがこの防水端面部材の防水フィンに形成されたケーブル貫通穴を弾性的に締め付けられた状態で貫通していることで、クロージャ内に水が浸入することが防止される(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−158172
【特許文献2】特開2009−098164
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の防水端面部材は、ゴム製で防水フィンを持つ複雑な中空構造であり、これを製造する金型も複雑で、製造コストが高いという欠点がある。
また、ボリュームも大きいので、使用するゴム材料を多く必要であり、この点でもコストが高くなる。
【0005】
本発明は、構造が簡単で安価に製造できるケーブル貫通部用防水部材、及びこれを用いたケーブル貫通部の防水方法、及び防水接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する請求項1の発明は、開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱に用いられ、この防水接続箱内に導入されるケーブルの外周に取り付けた状態でケーブル貫通穴に嵌合されてケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部用防水部材であって、
無張力時にケーブル外周面の円周長さより短い第1の辺を有する四角形のゴムシートに、当該ゴムシートを前記第1の辺の長さ方向に伸ばした状態に維持する伸び状態維持手段を取り外し可能に設け、かつ、前記第1の辺に隣接する2つの第2の辺に、当該第2の辺どうしをゴムシートを筒状に丸めた状態で互いに係合させる係合手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2は、請求項1のケーブル貫通部用防水部材において、伸び状態維持手段として、伸ばした状態のゴムシートの片面に、一定の剛性を有しかつ可撓性のある伸び状態維持プレートを取り外し可能に取り付けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3は、請求項1又は2のケーブル貫通部用防水部材において、第2の辺どうしを係合させる係合手段として、一方の第2の辺の端面に、縊れ部を持つアリ状の突条を形成し、他方の第2の辺の端面に、前記突条が嵌合する、アリ溝状の凹溝を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4は、請求項2のケーブル貫通部用防水部材において、伸び状態維持プレートは、四角形状であり、且つ、ゴムシートの第2の辺に沿う辺を有し、当該辺に、ゴムシートに食い込む突片を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱を対象として、この防水接続箱にケーブルを導入する際に、ケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部の防水方法であって、
請求項1記載のケーブル貫通部用防水部材を、伸び状態維持プレートが外面となるように、かつ、ゴムシートの第2の辺の長さ方向がケーブル長さ方向となるようにしてケーブルに添わせ、次いでゴムシートの第1の辺の長さ方向に伸ばしつつ筒状に丸め、次いで係合手段により第2の辺どうしを係合させてケーブルを囲む円筒状にし、次いで伸び状態維持プレートを除去することで、ゴムシートを縮径させてケーブルの外周に密着させ、このケーブル外周に密着したゴムシートを防水接続箱のケーブル貫通穴に嵌合させることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された一対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱において、
請求項1〜4のいずれかに記載のケーブル貫通部用防水部材を、当該防水接続箱に導入されるケーブルの外周に被せた状態で前記ケーブル貫通穴に嵌合させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のケーブル貫通部用防水部材は、四角形のゴムシートに伸び状態維持手段を設けるという極めてシンプルな構造であり、安価に製造することができる。
また、対象とするケーブルの外径に対して、ゴムシートの伸び量で対応できるので、適用外径範囲を広く取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例のケーブル貫通部用防水部材を用いた防水接続箱の蓋体を開いた状態の正面図である。
【図2】図1における右方のケーブル導入壁の近傍を、ケーブル貫通部用防水部材を切り欠いて示した拡大図である。
【図3】図1のA−A拡大断面図である。
【図4】防水接続箱の側面図であり、図1のものに蓋体を被せた状態で示したA−A拡大断面図である。
【図5】図1でケーブル及びケーブル貫通部用防水部材を除いて示した図である。
【図6】(a)は図5のC−C断面図、(b)は図5のD−D断面図である。
【図7】図1〜図4等におけるケーブル貫通部用防水部材の、ケーブルに取り付ける前の原形状態を示す斜視図である。
【図8】図7の原形状態のケーブル貫通部用防水部材を作製する要領を説明する斜視図である。
【図9】伸び状態維持プレートをゴムシートに、当該ゴムシートを伸ばした状態で取り外し可能に取り付ける手段の一実施例を示すもので、(a)はケーブル貫通部用防水部材の端縁近傍の拡大断面図、(b)は(a)のE−E断面図である。
【図10】上記ケーブル貫通部用防水部材をケーブルに取り付ける手順を説明する図である。
【図11】ケーブル導入壁が下面側にのみある防水接続箱の実施例を示すもので、(a)は防水接続箱の一部切欠き正面図、(b)は一部切欠き側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施したケーブル貫通部用防水部材、及び、これを用いたケーブル貫通部の防水方法、及び、防水接続箱について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
この実施例の防水接続箱は、光ケーブルを導入し、内部で光ケーブルから取り出した光ファイバ心線どうしを接続する光クロージャである。
図1は本発明の一実施例のケーブル貫通部用防水部材を用いた光クロージャ(防水接続箱)1の蓋体を開いた状態の正面図、図2は図1における右方のケーブル導入壁の近傍を、ケーブル貫通部用防水部材を切り欠いて示した拡大図、図3は図1のA−A拡大断面図である。
図4はクロージャ1の側面図であり、図1のクロージャ本体(箱本体)2に蓋体3を被せた状態で示したA−A拡大断面図(図3と同じ切断位置)である。
図5は図1でケーブル及びケーブル貫通部用防水部材を除いて示した図、図6(a)は図5のC−C断面図、図6(b)は図5のD−D断面図である。
【0016】
図示例のクロージャ1には、切断されて当該クロージャ1内で光ファイバ心線が取り出され光接続される小径ケーブル11と、クロージャ1を単に通過する大径ケーブル12とが導入されている。また、当該クロージャ1を貫通してこれを支持する支持線(メッセンジャワイヤ)13が導入されている
クロージャ1は、小径ケーブル11から取り出した光ファイバ心線を収納する心線収納トレイ14を内蔵している。
【0017】
クロージャ1は、クロージャ本体(箱本体)2と蓋体3とからなる開閉可能な有底筒状体である。
このクロージャ1の両側の、ケーブルが導入されるケーブル導入壁5は、クロージャ本体2側のケーブル導入壁6と蓋体3側のケーブル導入壁7とで形成される。
クロージャ本体2側のケーブル導入壁6、及び蓋体3側のケーブル導入壁7はそれぞれ、閉じ合わせた時に、小径ケーブル11、大径ケーブル12及び支持線13を貫通させる円形のケーブル貫通穴(便宜上、支持線13もケーブルと同じ扱いをする)8を形成する半円形切欠き6a、7aを備えている。
実施例のケーブル貫通穴8は、ケーブル導入壁5の外側に突出した、半円筒部9’を合わせた円筒部9の内面として形成されている。したがって、半円形切欠き6a、7aも半円筒部9’の内面として形成されている。
ケーブル貫通穴8に、ケーブルに被せた後述するケーブル貫通部用防水部材25、25’、25”が嵌合して、ケーブル貫通穴8から水が浸入するのを防止する。
なお、小径ケーブル11と大径ケーブル12と支持線13とはそれぞれサイズが異なるが、各図において、ケーブル貫通穴を示す符号8や円筒部、半円筒部を示す符号9、9’はそれらの区別なしに用いている。また、半円形切欠きの符号6a及び7aも同じく、それらの区別なしに用いている。
【0018】
また、クロージャ1は、図1で左右のケーブル導入壁5のそれぞれ内側に、第1の水切り壁16、及び第2の水切り壁17を設けている。この水切り壁16、17には、ケーブル11、12、13を貫通させる凹切欠き16a、17aを設けている。
この2つの水切り壁16、17により、ケーブル導入壁5の内側に2つの水切り空間18、19が形成される。したがって、このクロージャ1の内部とは第2の水切り壁17の内側となり、水がケーブル導入壁5から内側に侵入しても、第1の空間18で入るだけであり、あるいはさらに内側に侵入しても、第2の空間19に入るだけであり、その内側のクロージャ内部空間20に水が浸入する恐れは一層少なくなる。
水切り壁16、17の凹切欠き16a、17aは、図示例ではケーブル外径と同サイズの半円形切欠きとしたが、必ずしも、ケーブルを伝ってくる水を遮断する必要はなくケーブルに密着する必要がないので、ケーブル外径と同サイズである必要はないし、また、半円形切欠きでなくてもよい。
【0019】
図示例では、クロージャ本体2及び蓋体3を、分離した別体品として示したが、例えば図4で両者2、3の上部の合わせ部Kが薄肉ヒンジ部により連結されて、薄肉ヒンジ部を中心として開閉可能な構成とするのが好適である。クロージャ本体2と蓋体3は、別部品であれば個別に樹脂成形し、一体品であれば薄肉ヒンジ部を介して連結された状態で樹脂一体成形する。
【0020】
小径のケーブル11に被せてケーブル貫通穴8に嵌合させるケーブル貫通部用防水部材25について説明する。
図7は上記ケーブル貫通部用防水部材(以下、単に防水部材という)25の原形状態、すなわち、ケーブル11に取り付ける前のフラットな状態を示す斜視図である。
図8に図7のフラットな防水部材25を作製するための2つの部材26、27を示す。
この防水部材25は、無張力時に、ケーブル外周面の円周長さより短い長さLの第1の辺26aを有する四角形のゴムシート26と、このゴムシート26を前記第1の辺26aの長さ方向に伸ばした状態に維持する、取り外し可能な伸び状態維持プレート(伸び状態維持手段)27とからなる。防水部材25は、ゴムシート26の第1の辺26aに隣接する2つの第2の辺26bの端面に、当該端面どうしを、ゴムシート26を筒状に丸めた状態で互いに係合させる係合手段を設けた構造である。図7におけるゴムシート26は伸び状態維持プレート27で伸ばされた状態、図8におけるゴムシート26は無張力状態である。
この実施例では、第2の辺26bの端面どうしを互いに係合させる係合手段として、一方の第2の辺26bの端面に、縊れ部31aを持つアリ状の突条31を形成し、他方の第2の辺26bの端面に、前記突条31が嵌合する、アリ溝状の凹溝32を形成している。
図示の伸び状態維持プレート27は一定の剛性を有するが可撓性を有するプラスチックプレートである。伸び状態維持プレート27の、ゴムシート26の第1の辺26aと平行な辺を27a、第2の辺26bと平行な辺を27bで示す。
この伸び状態維持プレート27をゴムシート26に、当該ゴムシート26を伸ばした状態で取り外し可能に取り付ける手段は種々考えられる。かかる手段は、例えば、図9に示すように、伸び状態維持プレート27の、ゴムシート26の突条31及び凹溝32に沿う両側の辺27bに、下向きの突片27cを辺縁から間隔をあけて設けて、この下向きの突片27cがゴムシート26に食い込んで係合する構造とすることができる。
また、突片27cを例えば金属の別部材としてもよい。また、この突片27cとは逆に、ゴムシート26側に、伸び状態維持プレートに設けた係合穴ないし係合切欠きに係合可能な突片を設けることもできる。その他種々の構造を採用することができる。
大径のケーブル12に被せる防水部材25’、支持線13に被せる防水部材25”は、サイズは異なるが、基本構造は同一なので、それらの説明は省略する。
この実施例のクロージャ1は、ケーブルに作用する引張り力が例えば5〜10kg程度と、あまり大きな引張り力が作用しない場合を想定している。
また、対象とするケーブルの外径が8〜21mm程度の範囲を想定している。3倍程度伸びることができるゴムシートを用いることで、このように8〜21mm程度の範囲をカバーすることができる。
なお、クロージャ1の内部には、ケーブルを把持するためのケーブル把持金具が設けられるが、その説明は省略する。
【0021】
図7に示したフラットな防水部材25をケーブルに取り付ける要領を図10に示す。
ケーブル11の場合として説明すると、フラットな防水部材25を、伸び状態維持プレート27が外面となるように、かつ、ゴムシート26の第2の辺26bの長さ方向がケーブル長さ方向となるようにしてケーブル11に添わせ、ゴムシート26の第1の辺26aの長さ方向に伸ばしつつ筒状に丸め、次いで両端の突条31を凹溝32に係合させて、図10(a)のようにケーブル11を囲む円筒状にする。
次いで、伸び状態維持プレート27を除去すると(同図(b)参照)、伸び状態維持プレート27で伸ばされていたゴムシート26が縮んで縮径し、同図(c)のようにケーブル11の外周に密着する。なお、図10(b)は過程を説明するための図であり、その状態に留まっているのではない。
ケーブル11に取り付けた防水部材25を図1〜3のように、クロージャ本体2のケーブル導入壁6の半円形切欠き6a(半筒内面9’)に収容した状態で、蓋体7を閉ざすと、ケーブル11がゴムの防水部材25を介してケーブル貫通穴8に嵌合する状態となる。
これにより、ケーブル11の外周面と防水部材25の内面との間においても、防水部材25の外周面とケーブル貫通穴8の内面との間においても、水がクロージャ内部に浸入するのを遮断する。
なお、ケーブル外径とケーブル貫通穴とゴムシート厚みとの寸法関係は、ゴムシートをケーブルに被せた状態の円筒状ゴムシートの外径がケーブル貫通穴の内径より若干大きい寸法関係とする。
【0022】
上記のように、ゴム製の防水部材25がケーブル11の外周面に緊密に密着した状態でケーブル貫通穴8に嵌合するので、水の浸入を効果的に遮断することができ、防水機能が確保される。
この防水部材25は、四角形のゴムシート26に伸び状態維持プレートを取り付けるという極めてシンプルな構造であり、安価に製造することができる。
また、対象とするケーブルの外径に対して、ゴムシート26の伸び量で対応できるので、適用外径範囲を広く取ることができる。
【0023】
上記の実施例は、水平に配されて両端部にケーブル導入部を有するクロージャとして説明したが、図11に示すように、ケーブル導入壁が片側面、例えば下面に存在する防水接続箱にも適用可能である。図11(a)は防水接続箱51の正面図、(b)は側面図である。
同図において、52は箱本体、53は蓋体である。ケーブル導入壁55のケーブル貫通穴58は、箱本体52側のケーブル導入壁56の半円形切欠き56aと、蓋体53側のケーブル導入壁57の半円形切欠き57aとで形成され、このケーブル貫通穴58に、上述のケーブル貫通部用防水部材25を設ける。
この防水接続箱51は、光ケーブルや電気ケーブルを導入する防水接続箱に適用して好適である。
【符号の説明】
【0024】
1 光クロージャ(防水接続箱)
2 クロージャ本体(箱本体)
3 蓋体
5 ケーブル導入壁
6 (クロージャ本体側の)ケーブル導入壁
7 (蓋体側の)ケーブル導入壁
6a、7a 半円形切欠き
8 ケーブル貫通穴
11、12 ケーブル
13 支持線
14 心線収納トレイ
16、17 水切り壁
16a、17a 凹切欠き
18、19 水切り空間
20 クロージャ内部空間
25、25’、25” 防水部材(ケーブル貫通部用防水部材)
26 ゴムシート
26a 第1の辺
26b 第2の辺
27 伸び状態維持プレート
27c 突片
31 突条
31a 縊れ部
32 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱に用いられ、この防水接続箱内に導入されるケーブルの外周に取り付けた状態でケーブル貫通穴に嵌合されてケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部用防水部材であって、
無張力時にケーブル外周面の円周長さより短い第1の辺を有する四角形のゴムシートに、当該ゴムシートを前記第1の辺の長さ方向に伸ばした状態に維持する伸び状態維持手段を取り外し可能に設け、かつ、前記第1の辺に隣接する2つの第2の辺に、当該第2の辺どうしをゴムシートを筒状に丸めた状態で互いに係合させる係合手段を設けたことを特徴とするケーブル貫通部用防水部材。
【請求項2】
前記伸び状態維持手段として、伸ばした状態のゴムシートの片面に、一定の剛性を有しかつ可撓性のある伸び状態維持プレートを取り外し可能に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のケーブル貫通部用防水部材。
【請求項3】
第2の辺どうしを係合させる係合手段として、一方の第2の辺の端面に、縊れ部を持つアリ状の突条を形成し、他方の第2の辺の端面に、前記突条が嵌合する、アリ溝状の凹溝を形成したことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のケーブル貫通部用防水部材。
【請求項4】
前記伸び状態維持プレートは、四角形状であり、且つ、ゴムシートの第2の辺に沿う辺を有し、当該辺に、ゴムシートに食い込む突片を設けたことを特徴とする請求項2記載のケーブル貫通部用防水部材。
【請求項5】
開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱を対象として、この防水接続箱にケーブルを導入する際に、ケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部の防水方法であって、
請求項1記載のケーブル貫通部用防水部材を、伸び状態維持プレートが外面となるように、かつ、ゴムシートの第2の辺の長さ方向がケーブル長さ方向となるようにしてケーブルに添わせ、次いでゴムシートの第1の辺の長さ方向に伸ばしつつ筒状に丸め、次いで係合手段により第2の辺どうしを係合させてケーブルを囲む円筒状にし、次いで伸び状態維持プレートを除去することで、ゴムシートを縮径させてケーブルの外周に密着させ、このケーブル外周に密着したゴムシートを防水接続箱のケーブル貫通穴に嵌合させることを特徴とするケーブル貫通部の防水方法。
【請求項6】
開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された一対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱において、
請求項1〜4のいずれかに記載のケーブル貫通部用防水部材を、当該防水接続箱に導入されるケーブルの外周に取り付けた状態で前記ケーブル貫通穴に嵌合させたことを特徴とする防水接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−182565(P2011−182565A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44919(P2010−44919)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】