説明

ケーブル貫通部用防水部材、及びこれを用いたケーブル貫通部の防水方法、及び防水接続箱

【課題】構造が簡単で安価に製造できるケーブル貫通部用防水部材を提供する。
【解決手段】開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、ケーブル導入壁に、箱本体側及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱に用いられる。防水部材25’は、防水のための柔軟性のある円筒状ゴム26’の両端に、円筒状ゴムの両端部を相対的に逆向きに回転させることが可能な剛性のある支持部材27’を取り付けてなる。防水部材をケーブル11に被せ(b)、両側の支持部材を互いに逆方向に捻る(c)と、円筒状ゴムは捻りにより中間部が縮径して、その中間部がケーブルの外周面に密着する。必要であればさらに円筒状ゴムを圧縮させる(d)。密着した円筒状ゴムでケーブル外周面の水密性を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ケーブルや電気ケーブルの接続部を収容するクロージャ等に適用して好適なケーブル貫通部用防水部材、及びこのケーブル貫通部用防水部材を用いたケーブル貫通部の防水方法、及び防水接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルの接続部あるいは電気ケーブルの接続部を開閉可能に収納するクロージャは一般に、接続部を収納する開閉可能な筒状体(いわゆるクロージャスリーブ)の両端面に防水端面部材を備えた構造であり、ケーブルはこの防水端面部材に設けたケーブル貫通穴を貫通して内部に導入される。
防水端面部材の構造は種々であるが、一般に防水端面部材のケーブル貫通部には、クロージャ内に水が浸入しないように、ゴム製二つ割り構造で互いに閉じ合わせた時にケーブル貫通穴を形成する防水フィンを持つ中空の防水端面部材が設けられている。ケーブルがこの防水端面部材の防水フィンに形成されたケーブル貫通穴を弾性的に締め付けられた状態で貫通していることで、クロージャ内に水が浸入することが防止される(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−158172
【特許文献2】特開2009−098164
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の防水端面部材は、ゴム製で防水フィンを持つ複雑な中空構造であり、これを製造する金型も複雑で、製造コストが高いという欠点がある。
また、ボリュームも大きいので、使用するゴム材料を多く必要であり、この点でもコストが高くなる。
【0005】
本発明は、構造が簡単で安価に製造できるケーブル貫通部用防水部材、及びこれを用いたケーブル貫通部の防水方法、及び防水接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する請求項1の発明は、開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱に用いられ、この防水接続箱内に導入されるケーブルの外周に取り付けた状態でケーブル貫通穴に取り付けられてケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部用防水部材であって、
防水のための柔軟性のある円筒状ゴムの両端に、前記円筒状ゴムにケーブルを挿通させた状態でその両端部を相対的に互いに逆向きに回転させることが可能な剛性のある支持部材を取り付けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2は、請求項1のケーブル貫通部用防水部材において、支持部材が円筒体であることを特徴とする。
【0008】
請求項3は、請求項1のケーブル貫通部用防水部材において、円筒状ゴムが、その内部にケーブルを横から収容するためのスリットを有し、前記支持部材が、ケーブルを円筒状ゴム内に収容することを妨げない構造であることを特徴とする。
【0009】
請求項4は、請求項3のケーブル貫通部用防水部材において、支持部材が、合わせた時に円筒体となる半割り体からなることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱を対象として、この防水接続箱にケーブルを導入する際に、ケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部の防水方法であって、
請求項1記載のケーブル貫通部用防水部材の円筒状ゴムをケーブルに被せ、次いで、両側の支持部材を互いに逆方向に回転させることで円筒状ゴムを捻ってその中間部を縮径させケーブルの外周面に密着させることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱を対象として、この防水接続箱にケーブルを導入する際に、ケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部の防水方法であって、
請求項4記載のケーブル貫通部用防水部材の円筒状ゴムをそのスリットにおいてケーブルに横から被せ、かつ、半割り体からなる両側の支持部材をケーブルに横から被せ、両側の支持部材をいずれも閉ざして円筒体にした後、両側の支持部材を互いに逆方向に回転させることで円筒状ゴムを捻ってその中間部を縮径させケーブルの外周面に密着させることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された一対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱において、
請求項1〜6のいずれかに記載のケーブル貫通部用防水部材を、当該防水接続箱に導入されるケーブルの外周に取り付けた状態で前記ケーブル貫通穴に嵌合させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のケーブル貫通部用防水部材は、円筒状ゴムの両端に剛性のある支持部材を取り付けた、という極めてシンプルな構造であり、安価に製造することができる。
また、円筒状ゴムを捻ってケーブルの外周面に密着させることで水密性を確保するものであり、対象とするケーブルの外径に対して円筒状ゴムの周方向の伸び量で対応できるので、適用可能なケーブル外径範囲を広く取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例のケーブル貫通部用防水部材を用いた防水接続箱の蓋体を開いた状態の正面図である。
【図2】図1における右方のケーブル導入壁の近傍の拡大図である。
【図3】防水接続箱の側面図であり、図1のものに蓋体を被せた状態で示したA−A拡大断面図である。
【図4】図2における上部のケーブル貫通部用防水部材の近傍を拡大して示した斜視図である。
【図5】上記ケーブル貫通部用防水部材の斜視図である。
【図6】上記ケーブル貫通部用防水部材を示すもので、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は(b)のB−B断面図である。
【図7】図5のケーブル貫通部用防水部材のクロージャ本体への取り付けに用いる固定部材を示すもので、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図8】上記ケーブル貫通部用防水部材をケーブルに取り付ける手順を説明する図であり、(a)はケーブル貫通部用防水部材をケーブルに被せた段階、(b)はケーブル貫通部用防水部材の円筒状ゴムを捻った状態で両端に固定部材を装着した段階、(c)は両側から押して円筒状ゴムの部分を圧縮した状態を示す。
【図9】図8(c)の状態のケーブル貫通部用防水部材を固定部材とともにクロージャ本体に取り付けた状態を示す図である。
【図10】(a)は図9の状態を縦断面で示した図、(b)は図10(a)のD−D断面図である。
【図11】本発明のケーブル貫通部用防水部材の模式的な実施例を説明するもので、(a)はケーブル貫通部用防水部材の正面図、(b)はケーブル貫通部用防水部材をケーブルに通した図、(c)は(b)に続いてケーブル貫通部用防水部材を捻った状態を示す図、(d)は(c)に続いてケーブル貫通部用防水部材を圧縮させた状態を示す図である。。
【図12】ケーブル導入方向が下面側にのみある防水接続箱の実施例を示すもので、(a)は防水接続箱の一部切欠き正面図、(b)は一部切欠き側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施したケーブル貫通部用防水部材、及び、これを用いたケーブル貫通部の防水方法、及び、防水接続箱について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図11は本発明のケーブル貫通部用防水部材25’の模式的な実施例を説明するもので、このケーブル貫通部用防水部材(以下、防水部材と略す)25’は、同図(a)のように、防水のための柔軟性のある円筒状ゴム26’の両端に、前記円筒状ゴム26’にケーブル11を挿通させた状態でその両端部を相対的に互いに逆向きに回転させることが可能な剛性のある短い円筒状の支持部材27’を取り付けた構成である。
この防水部材25’でケーブル貫通穴を貫通させたケーブルの外周部の防水を図る場合、まず、同図(b)のように全体が円筒状である防水部材25’をケーブル11に被せる。
次いで、同図(c)のように、両側の支持部材27’を互いに逆方向に捻る。円筒状ゴム26’は捻りにより中間部が縮径して、その中間部がケーブル11の外周面に密着する。
次いで、同図(d)のように、両側の支持部材27’を内側に押して円筒状ゴム26’を圧縮させると、円筒状ゴム26’の中間部はさらにケーブル11の外周面に強く密着する。これによりケーブル外周面の水密性を確保できる。
図示例の防水部材25’は、円筒状ゴム26’及び支持部材27’がともにスリットのない単なる円筒状なので、切断されたケーブルの端末から挿入できる場合に適用する。例えば、後述する図2における切断された小径のケーブル11の防水に用いることができる。
防水部材25’をクロージャ1のケーブル導入壁に取り付ける手段は、適宜手段を採用することができる。
【0017】
このように、本発明のケーブル貫通部用防水部材25’は、円筒状ゴム26’の両端に剛性のある支持部材27’を取り付けた、という極めてシンプルな構造であり、安価に製造することができる。
また、円筒状ゴム26’を捻ってケーブルの外周面に密着させることで水密性を確保するものであり、対象とするケーブルの外径に対して円筒状ゴム26’の周方向の伸び量で対応できるので、適用可能なケーブル外径範囲を広く取ることができる。
【実施例2】
【0018】
さらに具体的な実施例として、光ケーブルを導入し、内部で光ケーブルから取り出した光ファイバ心線どうしを接続する防水接続箱、すなわち光クロージャに適用した実施例のケーブル貫通部用防水部材25を図1〜図10に示す。
図1は実施例のケーブル貫通部用防水部材25を用いた光クロージャ(防水接続箱)1の蓋体を開いた状態の正面図、図2は図1における右方のケーブル導入壁の近傍の拡大図である。
図3はクロージャ1の側面図であり、図1のクロージャ本体(箱本体)2に蓋体3を被せた状態で示した拡大したA−A矢視図である。
図4は図2における上部のケーブル貫通部用防水部材25の近傍を拡大して示した斜視図である。
【0019】
図示例のクロージャ1には、切断されて当該クロージャ1内で光ファイバ心線が取り出され光接続される小径ケーブル11と、クロージャ1を単に通過する大径ケーブル12とが導入される。また、当該クロージャ1を貫通してこれを支持する支持線(メッセンジャワイヤ)13が導入されている
クロージャ1は、小径ケーブル11から取り出した光ファイバ心線を収納する心線収納トレイ14を内蔵している。
【0020】
クロージャ1は、クロージャ本体(箱本体)2と蓋体3とからなる開閉可能な有底筒状体である。
このクロージャ1の両側の、ケーブルが導入されるケーブル導入壁5は、クロージャ本体2側のケーブル導入壁6と蓋体3側のケーブル導入壁7とで形成される。
クロージャ本体2側のケーブル導入壁6、及び蓋体3側のケーブル導入壁7はそれぞれ、閉じ合わせた時に、小径ケーブル11、大径ケーブル12及び支持線13を貫通させる円形のケーブル貫通穴(便宜上、支持線13もケーブルと同じ扱いをする)8を形成する半円形切欠き6a、7aを備えている。
ケーブル貫通穴8に、ケーブルに被せた後述するケーブル貫通部用防水部材25が嵌合して、ケーブル貫通穴8から水が浸入するのを防止する。なお、この実施例では、支持線13はグロメット34で防水を図っている。35は支持線13を把持する支持線把持金具である。
なお、小径ケーブル11と大径ケーブル12とはそれぞれサイズが異なるが、各図において、ケーブル貫通穴を示す符号8はそれらの区別なし用いている。また、半円形切欠きの符号6a及び7aも同じく、それらの区別なしに用いている。
なお、クロージャ1の内部には、ケーブルを把持するためのケーブル把持金具が設けられるが、その説明は省略する。
【0021】
また、クロージャ1は、図1で左右のケーブル導入壁5のそれぞれ内側に、第1の水切り壁16、及び第2の水切り壁17を設けている。この水切り壁16、17には、ケーブル11、12、13を貫通させる凹切欠き16a、17aを設けている。
この2つの水切り壁16、17により、ケーブル導入壁5の内側に2つの水切り空間18、19が形成される。したがって、このクロージャ1の内部とは第2の水切り壁17の内側となり、水がケーブル導入壁5から内側に侵入しても、第1の空間18で入るだけであり、あるいはさらに内側に侵入しても、第2の空間19に入るだけであり、その内側のクロージャ内部空間20に水が浸入する恐れは一層少なくなる。
水切り壁16、17の凹切欠き16a、17aは、図示例ではケーブル外径と同サイズの半円形切欠きとしたが、必ずしも、ケーブルを伝ってくる水を遮断する必要はなくケーブルに密着する必要がないので、ケーブル外径と同サイズである必要はないし、また、半円形切欠きでなくてもよい。
【0022】
図示例では、クロージャ本体2及び蓋体3を、分離した別体品として示したが、例えば図3で両者2、3の上部の合わせ部Kが薄肉ヒンジ部により連結されて、薄肉ヒンジ部を中心として開閉可能な構成とするのが好適である。クロージャ本体2と蓋体3は、別部品であれば個別に樹脂成形し、一体品であれば薄肉ヒンジ部を介して連結された状態で樹脂一体成形する。
【0023】
大径のケーブル12に被せてケーブル貫通穴8に嵌合させるケーブル貫通部用防水部材25について説明する。
このケーブル貫通部用防水部材(以下単に防水部材という)25の構造を図5、図6に示す。この防水部材25は基本構造としては、防水のための柔軟性のある円筒状ゴム26の両端に、前記円筒状ゴム26の両端部を、ケーブルを挿通させた状態で相対的に逆向きに回転させることが可能な剛性のある支持部材27を取り付けた構造であるが、この実施例では、ケーブルに横から嵌め込むことができるように、円筒状ゴム26及び支持部材27にスリット29を形成し、反対側にヒンジ部30を形成している。
円筒状の支持部材27は、合わせた時に円形となる2つの半円形の半割り体27aで構成され、円筒状ゴム26の両端に固定されている。2つ合わせた半割り体27aの一方の合わせ部(端縁間隔)は前記スリット29を形成し、反対側の合わせ部(端縁間隔)は、円筒状ゴム27自体の柔軟性を利用した前記ヒンジ部30を構成している。
円筒状の支持部材27の外周の片側端部には、後述する固定部材33に係合させるための溝27bが周方向の全体に形成されており、歯車状をなしている。
円筒状ゴム26のゴムとして、柔軟性のあるゴムを用いる。ゴムの材質は特に限定されないがが、例えばERDM等を用いることができる。硬度は例えば5〜10度等が適切である。
図示例のスリット29は円筒軸と平行であるが、円筒軸に対して傾斜させることもできる。スリット29を傾斜させると、円筒状ゴム26を捻る際に、捻る操作を行い易いという利点がある。
円筒状ゴム26の内径は、対象ケーブルの径より一回り大きくするが、適用するケーブル外径範囲の最大径に対して例えば115%±5%などとするとよい。
【0024】
前記防水部材25をケーブルに被せた状態でクロージャ1に取り付ける構造の一例について説明する。
この実施例では、防水部材25を図7に示すような、合わせた時にケーブルを貫通させるケーブル貫通穴33bが形成される2つの分割片33aからなり、かつ、支持部材27の回転を拘束するようにその端部にそれぞれ係合する2つの固定部材33によりクロージャ1側に取り付けている。
この固定部材33は、円筒状の支持部材27の端部を嵌合させる円形の凹所33cを有し、かつ、この円形凹所33cの内周面に、前記支持部材27の外周面の歯車状の溝27bに係合可能な1つの突起33dが形成されている。また、ケーブル導入壁5のケーブル貫通穴8に嵌合させるためのボス部33eを持つ。
【0025】
この防水部材25をケーブルに取り付ける要領を図8、図9を参照して説明する。
まず、防水部材25のスリット29を開いた状態で、そのスリット29からケーブル12に被せ、次いで閉じる(図8(a)の状態)。なお、スリット29は単なる線で示している。この場合、ヒンジ部30(図5、図6参照)が、支持部材27の2つの半割り体27aからなる合わせ部(端縁間隔)であり、柔軟な円筒状ゴム26のみで接続されているので、円筒状の防水部材25の開閉が可能である。
次いで、両側の支持部材27を手でもって互いに逆方向に捻る。円筒状ゴム26は捻りにより中間部が縮径(図8(b)における防水部材25の状態)して、その中間部がケーブル12の外周面に密着する。
次いで、図8(b)に示すように、防水部材25の左右の端部に、固定部材33の円形凹所33cを嵌め込む。この場合、固定部材33の円形凹所33cにある突起33dが支持部材27側の溝27bに嵌入して、支持部材27と固定部材33との相対回転は防止される(なお、支持部材27の溝27b、固定部材33の円形凹所33c、突起33dの詳細は図6、図7参照)。
次いで、同図(c)のように、左右の固定部材33を内側に押して円筒状ゴム26を圧縮させると、円筒状ゴム26の中間部はケーブル外周面にさらに緊密に密着する。
次いで、この状態で左右の固定部材33をクロージャ本体2側に取り付ける。この場合、右側の固定部材33はケーブル導入壁6に係合させ、左側の固定部材33は、クロージャ本体2の内壁に一体に形成されたリブ36に係合させる。
その場合、右側の固定部材33は、そのボス部33eをケーブル導入壁6の半円形切欠き6aに嵌合させ、かつ、固定部材33の四角形の上下辺を、ケーブル導入壁6の内面に設けた突片6bで拘束し、左側の固定部材33は、クロージャ本体2の内壁と一体に形成したリブ36の上下の突片36aで、固定部材33の四角形の上下辺を拘束する。これにより、防水部材25の円筒状ゴム26の捻り反力に抗する回り止めを図る。
円筒状ゴム26は捻りにより縮径して、ケーブル12の外周面に密着するが、さらに筒軸心方向に圧縮されることで、さらにしっかり密着し、これによりケーブル外周面の水密性を一層確実にできる。その状態を図10(a)の縦断面図、図10(b)の横断面図(図10(a)のD−D断面図)に示す。
なお、防水部材25を筒軸心方向に圧縮しなくても十分な密着力が得られる場合は、圧縮しなくてもよい。
【0026】
上記の防水部材25における円筒状の支持部材27は、分離した2つの半割り体27aからなるが、スリット29と反対側をヒンジ部で連結された構造とすることができる。樹脂成形品を用いる場合は薄肉ヒンジ部として一体成形できる。
また、支持部材は、必ずしも円筒状である必要はなく、円筒状ゴムの両端を逆方向に捻ることができる構造であって、かつ、クロージャ側に固定され得るものであればよい。
防水部材25をケーブルに被せた状態でクロージャ1に取り付ける上述した構造、すなわち、支持部材27の外周の溝27b、固定部材33、その突起33b、リブ36、ケーブル導入壁6の突片6bなどの構造は、単なるの一例であり、種々の構造を採用できる。
【実施例3】
【0027】
上記の実施例は、水平に配されて両端部にケーブル導入部を有するクロージャとして説明したが、図12に示すように、ケーブル導入壁が片側面、例えば下面に存在する防水接続箱にも適用可能である。図12(a)は防水接続箱51の正面図、(b)は側面図である。
同図において、52は箱本体、53は蓋体である。ケーブル導入壁55のケーブル貫通穴58は、箱本体52側のケーブル導入壁56の半円形切欠き56aと、蓋体53側のケーブル導入壁57の半円形切欠き57aとで形成され、このケーブル貫通穴58に、上述のケーブル貫通部用防水部材25を設ける。
この防水接続箱51は、電気ケーブルを導入する防水接続箱に適用して好適である。
【符号の説明】
【0028】
1 光クロージャ(防水接続箱)
2 クロージャ本体(箱本体)
3 蓋体
5 ケーブル導入壁
6 (クロージャ本体側の)ケーブル導入壁
7 (蓋体側の)ケーブル導入壁
6a、7a 半円形切欠き
6b 突片
8 ケーブル貫通穴
11、12 ケーブル
13 支持線
14 心線収納トレイ
16、17 水切り壁
16a、17a 凹切欠き
18、19 水切り空間
20 クロージャ内部空間
25 防水部材(ケーブル貫通部用防水部材)
26 円筒状ゴム
27 支持部材
27a 半割り体
27b 溝
29 スリット
30 ヒンジ部
33 固定部材
33a 分割片
33b ケーブル貫通穴
33c 円形凹所
33d 突起
33e ボス部
36 リブ
36a 突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱に用いられ、この防水接続箱内に導入されるケーブルの外周に取り付けた状態でケーブル貫通穴に取り付けられてケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部用防水部材であって、
防水のための柔軟性のある円筒状ゴムの両端に、前記円筒状ゴムにケーブルを挿通させた状態でその両端部を相対的に互いに逆向きに回転させることが可能な剛性のある支持部材を取り付けたことを特徴とするケーブル貫通部用防水部材。
【請求項2】
前記支持部材が円筒体であることを特徴とする請求項1記載のケーブル貫通部用防水部材。
【請求項3】
前記円筒状ゴムが、その内部にケーブルを横から収容するためのスリットを有し、前記支持部材が、ケーブルを円筒状ゴム内に収容することを妨げない構造であることを特徴とする請求項1記載のケーブル貫通部用防水部材。
【請求項4】
前記支持部材が、合わせた時に円筒体となる半割り体からなることを特徴とする請求項3記載のケーブル貫通部用防水部材。
【請求項5】
開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱を対象として、この防水接続箱にケーブルを導入する際に、ケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部の防水方法であって、
請求項1記載のケーブル貫通部用防水部材の円筒状ゴムをケーブルに被せ、次いで、両側の支持部材を互いに逆方向に回転させることで円筒状ゴムを捻ってその中間部を縮径させケーブルの外周面に密着させることを特徴とするケーブル貫通部の防水方法。
【請求項6】
開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された1対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱を対象として、この防水接続箱にケーブルを導入する際に、ケーブル外周部の防水を図るケーブル貫通部の防水方法であって、
請求項4記載のケーブル貫通部用防水部材の円筒状ゴムをそのスリットにおいてケーブルに横から被せ、かつ、半割り体からなる両側の支持部材をケーブルに横から被せ、両側の支持部材をいずれも閉ざして円筒体にした後、両側の支持部材を互いに逆方向に回転させることで円筒状ゴムを捻ってその中間部を縮径させケーブルの外周面に密着させることを特徴とするケーブル貫通部の防水方法。
【請求項7】
開閉可能な箱本体と蓋体とからなり、光又は電気ケーブルが導入されるケーブル導入壁に、箱本体側のケーブル導入壁及び蓋体側のケーブル導入壁にそれぞれ形成された一対の半円形切欠きによる円形のケーブル貫通穴が形成される防水接続箱において、
請求項1〜6のいずれかに記載のケーブル貫通部用防水部材を、当該防水接続箱に導入されるケーブルの外周に取り付けた状態で前記ケーブル貫通穴に嵌合させたことを特徴とする防水接続箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−182615(P2011−182615A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47375(P2010−47375)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】