説明

ゲル低減装置及びゲル低減方法

【課題】樹脂混練物中に存在するゲルを高い生産速度で確実に分散するゲル低減装置を提供する。
【解決手段】ゲル低減装置1は、樹脂混練物が流通する樹脂流路5内に設けられて樹脂混練物に存在するゲルを低減するゲル低減部材8を有するゲル低減装置1であって、ゲル低減部材8には、樹脂流路5より小さい流路断面積を有する絞り流路10が少なくとも1つ以上備えられており、絞り流路10を流通する混練物に伸長流を生起可能とすべく、絞り流路10の絞り比S1/S2が25〜180の関係を満たすように設定されている。ここで、S1は樹脂流路5の流路断面積、S2は絞り流路10の流路断面積の総和である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は混練樹脂中に存在するゲルを低減させる装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多種多様な用途のプラスチック製品に対して、その要求品質を満足させるために、粘度差が大きな樹脂成分同士を混練押出設備で混練するニーズが増加している。このように粘度差が大きな樹脂成分同士を混練する際には、高粘度の成分が低粘度の成分中に充分に分散されずにゲルとして混練後の樹脂(以降、樹脂混練物という)に残り、この樹脂をフィルムとして成形した場合にゲルがフィッシュアイなどの外観不良の原因となったり、製品の機械的特性を低下させる原因になったりする場合がある。そこで、混練機や押出機などの混練押出設備には、樹脂混練物中のゲルを低減させるゲル低減装置が設けられるようになってきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、金属焼結体のフィルタを有する濾過装置を用いて樹脂混練物中のゲルを低減させる(ゲルを取り除く)方法や装置が提案されている。この濾過装置に用いられるフィルタは、目開き(濾過精度)が1〜100μmと非常に小さく、樹脂混練物からゲルだけを濾し取ることができる。
ただ、この特許文献1の濾過装置に設けられるフィルタは、目開きが非常に小さく、目が細かくなっている。当然、このように目の細かいフィルタで樹脂混練物を濾過しようとすると、濾過部分に生じる圧力損失が大きくなり、装置の許容圧力の関係から生産性を落とす必要が出てくる場合があった。特に、フィルムグレードやパイプグレードに用いられる高密度ポリエチレン(HDPE)などの高粘度の樹脂混練物を濾過する場合には、特に生産性が良くないという問題があった。
【0004】
他方、特許文献2に示すように濾過をより効率的に行えるようにしたゲル低減装置も開発されている。この特許文献2のゲル低減装置は、ゲルを含む樹脂混練物をスリットに導き、スリットを通過するゲルに大きな剪断力を与えてゲルを分散化させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−23464号公報
【特許文献2】特開2004−276451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2のゲル低減装置はゲルに大きな剪断力を付与することでゲルを分散させるものであり、スリットの幅をある程度(実施例の開示では0.6mm)まで狭くしなければゲルに大きな剪断力を付与することはできない。つまり、特許文献2のゲル低減装置でも、ゲルを確実に分散しようとすればゲル低減装置の上流側と下流側とにある程度の圧損が生じることは覚悟せざるを得ず、良好な生産速度でゲルの低減が可能なものではない。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ゲル含有量が非常に少ない樹脂混練物を高い生産性で製造可能なゲル低減装置及びゲル低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のゲル低減装置は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のゲル低減装置は、樹脂混練物が流通する樹脂流路内に設けられて前記樹脂混練物に存在するゲルを低減するゲル低減部材を有するゲル低減装置であって、前記ゲル低減部材には、樹脂流路より小さい流路断面積を有する絞り流路が少なくとも1つ以上備えられており、前記絞り流路を流通する混練物に伸長流を生起可能とすべく、絞り流路の絞り比S1/S2が以下の式(1)の関係を満たすように設定されていることを特徴とする。
【0009】
【数1】

【0010】
本発明者は、樹脂混練物中のゲルに大きな剪断力を付与してゲルを分散させるのではなく、樹脂混練物中のゲルに伸長流動を生じさせてもゲルの分散化は可能になるのではないかと考えた。そして、ゲル低減装置に、絞り比が25〜180となるような絞り流路を設ければ、ゲルの分散と良好な生産性とが両立できることを知見して本発明を完成させたのである。
【0011】
好ましくは、前記ゲル低減部材は、樹脂流路を横切るように設けられた板状部材であり、前記絞り流路は、板状部材に設けられた円形貫通孔であるとよい。
好ましくは、前記ゲル低減部材は、前記樹脂流路の敷設方向に沿って互いに距離をあけて複数配備されているとよい。
好ましくは、前記樹脂流路の上流側に設けられたゲル低減部材の絞り流路と、下流側に設けられたゲル低減部材の絞り流路とは、前記樹脂流路の敷設方向に見て非連通状態となっているのが良い。
【0012】
好ましくは、前記ゲル低減部材は、樹脂流路を横切るように設けられたフィルタ状部材であり、前記絞り流路は、フィルタ状部材に設けられた円形貫通孔であるとよい。
好ましくは、前記フィルタ状部材の目開きが180μm以下とされているとよい。
また、本発明のゲル低減方法は、樹脂流路を流通する樹脂混練物に存在するゲルを低減するに際しては、前記樹脂流路内に、当該樹脂流路より小さい流路断面積を有する絞り流路が少なくとも1つ以上備えられたゲル低減部材を設けておき、前記絞り流路の絞り比S1/S2を以下の式(1)の関係を満たすように設定しておいて、その上で、前記樹脂混練物を絞り流路に導くことを特徴とするものである。
【0013】
【数2】

【発明の効果】
【0014】
本発明のゲル低減装置及びゲル低減方法によれば、ゲル含有量が非常に少ない樹脂混練物を高い生産性で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明のゲル低減装置が設けられた混練押出設備の正面図であり、(b)は(a)のA部分の斜視拡大図である。
【図2】(a)は第1実施形態のゲル低減装置であり、(b)は第2実施形態のゲル低減装置である。
【図3】第3実施形態のゲル低減装置の正面図である。
【図4】第4実施形態のゲル低減装置の正面図である。
【図5】第4実施形態のゲル低減装置の変形例を示す図である。
【図6】支持部材の他の例を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「第1実施形態」
まず、本発明のゲル低減装置1を説明するにあたり、ゲル低減装置1が設置される混練押出設備2を簡単に説明する。
図1(a)は、本発明のゲル低減装置1が設置された混練押出設備2の一例(混練機の例)を示したものである。
【0017】
図例の混練押出設備2は、バレル3内に挿通された一対の混練スクリュ(図示略)で樹脂材料を混練する混練機である。このバレル3の一方の端部(図中では左端)にはバレル
3内に材料を供給可能なホッパ4が設けられており、またもう一方の端部には混練済みの樹脂材料(以下、樹脂混練物という)を混練機外に搬出する樹脂流路5が設けられている。
【0018】
この樹脂流路5の先端には樹脂混練物を線材として押し出すストランドダイ6が設けられており、また樹脂流路5の中途部には樹脂混練物をストランドダイ6に送るギヤポンプ7が配備されている。
そして、本発明のゲル低減装置1は、このギヤポンプ7とストランドダイ6との間の樹脂流路5に配備されている。
【0019】
ゲル低減装置1は、樹脂流路5を流れる樹脂混練物からゲルを低減するものであり、混練済みの材料からゲルを低減するゲル低減部材8を備えている。このゲル低減部材8は、樹脂混練物に対して伸長流を発生させて混練物中に含まれたゲルを分散させることで、ゲルの低減を行う構成となっている。
ゲル低減部材8の形態としては様々なものが考えられる。以下に、第1実施形態のゲル低減部材8について説明する。
【0020】
図1(b)に示すように、ゲル低減部材8は、樹脂流路5の内部に樹脂流路5を横切るように設けられた板状部材であり、後述するリング部材9を用いて樹脂流路5の内部に取り付けられている。このゲル低減部材8には樹脂流路5より小さい流路断面積を有する絞り流路10が少なくとも1つ以上設けられており、本実施形態でも1枚のゲル低減部材8に4つの絞り流路10が形成されている。
【0021】
図2(a)に示すように、リング部材9は、円筒状に形成された樹脂流路5の内周面に取り付けられてゲル低減部材8を固定している。このリング部材9の内周側には周方向に連続する円環状の取付溝11が形成されており、この取付溝11内に外縁の一部を嵌め込むようにしてゲル低減部材8が樹脂流路5の内周面に固定される。なお、リング部材9は複数の部材からなる分割構造となっており、ゲル低減部材8を取付溝内に嵌め込んでから各部材を一体的に組み立てるようになっている。
【0022】
絞り流路10は、上流側から下流側に向けてゲル低減部材8を貫通するように形成されており、この流路内を通じて樹脂混練物を上流側から下流側に向けて流通できるようになっている。本実施形態の絞り流路10は、樹脂混練物の停滞を誘発する凹凸が流路内にできないように円形の断面を備えた貫通孔(円形貫通孔)が好ましいが、勿論、多角形貫通孔でもよい。
【0023】
なお、絞り流路10は上流側から下流側にかけて同じ断面を備えたストレートの円筒状であり、上流側から下流側に向かうにつれて断面(径)が小さくなる、あるいはその逆のテーパでもよい。
また、絞り流路10の設置数は、1つのゲル低減部材8に1つだけでも良いし、複数設けても良い。ただ、絞り流路10を複数形成する場合は、ゲル低減部材8の表面に均等に配置されるように、言い換えれば表面上で互いに可能な限り距離をあけて平均的に配置されるのが好ましい。本実施形態では、ゲル低減部材8を正面から見た際に円形となるゲル低減部材8の外周縁とその円の中心を結ぶ中点付近に絞り流路10の中心点がくる。また、配列はゲル低減部材8の円の中心を基準として90°で回転対称となる位置に絞り流路10がそれぞれ形成されている。
【0024】
上述した絞り流路10は、樹脂流路5を流れていた樹脂混練物が、ゲル低減部材8の上流側の表面に沿って、絞り流路10の方向に向かってほぼ直角に屈曲し、樹脂流路5の流路断面積よりも遙かに小さい流路断面積に集中して流れ込むことで、この絞り流路10を通過する樹脂混練物に伸長流を発生させるものである。それゆえ、樹脂流路5の流路断面積と絞り流路10の流路断面積との間には、樹脂混練物に伸長流を発生できる所定の絞り比が存在している。
【0025】
例えば、樹脂流路5の流路断面積に比して絞り流路10の流路断面積が大きくし過ぎると、流路内を流通する樹脂混練物に十分な圧力が加わらず伸長流が生じない。また、樹脂流路5の流路断面積に比して絞り流路10の流路断面積が小さくし過ぎると、ゲル低減部材8の上流側と下流側との圧力差(圧損)が大きくなり、樹脂流路5の許容耐圧力を超え
てしまい、結果的に流量を下げ、生産性を落とすことになるため好ましくない。
【0026】
次に、この絞り比を詳しく説明する。
本発明の絞り流路10は、この絞り流路10を流通する樹脂混練物に伸長流を生起可能とすべく、絞り流路10の絞り比S1/S2が以下の関係を満たすように設定されている。
【0027】
【数3】

【0028】
この式(1)の意味は、図2(a)の場合を例に取れば、次のように説明される。
例えば、図中に大きな円形に示される部分は上流側から見た際の樹脂流路5、言い換えればゲル低減部材8で流路の断面積が絞られていない状態の樹脂流路の断面である。この樹脂流路5の断面積は、S1である。一方、絞り流路10を同じく上流側から見ると、絞り流路10は大きな円の中に形成された4つの小さな円形で示される。この小さな円形の断面は4つあり、それぞれがS2(1)、S2(2)、S2(3)、S2(4)の断面積を備えている。
【0029】
つまり、上述した式(1)で示される絞り比S1/S2とは、3つの絞り流路10の流路断面積の総和「S2(1)+S2(2)+S2(3)+S2(4)」を求め、その総和で樹脂流路5の流路断面積S1を除算したものである。
なお、図2(a)の例は、絞り流路10が4つのものであるが、絞り流路10は1,2,3つでも良いし、5つ以上でも良い。このように絞り流路10がn個(n=2以上)のときは、S2(1)からS2(n)までの総和をS2として、図2(a)の場合と同様に絞り比S1/S2を求めることができる。
【0030】
上述したようなゲル低減部材8に形成される絞り流路10の絞り比を25より大きくすれば、絞り流路10の総面積が小さくなり、樹脂流路5からより絞られて絞り流路10に樹脂混練物が流れ込む際に樹脂混練物に大きな力が作用して樹脂混練物が樹脂流路5の敷設方向に引き伸ばされる。
そして、樹脂混練物が伸長する際に、この樹脂混練物中に含まれるゲルも引き伸ばされ、ゲルの分散化が進行して樹脂混練物に含まれるゲルを確実に低減することが可能となるのである。
【0031】
一方、絞り流路10の総面積を小さくした方が良いからといって、絞り流路10の総面積を際限なく小さくすると、絞り流路10を通過する際に過大な圧損が生じるので、前述したように装置の許容耐圧に近づき、生産量を落とさざるを得なくなってしまう。それゆえ、過大な圧損が生じないように、絞り流路10の絞り比は180より小さくされるのが好ましい。このようにすれば、圧損を小さく抑えることが可能となり、ゲルを低減しながら生産効率を良好に維持することができる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態のゲル低減装置1について説明する。
【0032】
図2(b)に示すように、第2実施形態のゲル低減装置1は、ゲル低減部材8が樹脂流路5の敷設方向(樹脂流路5の伸長方向、乃至は樹脂流路5の軸芯方向)に沿って互いに距離をあけて複数配備されたものである。具体的には、このゲル低減装置1には、上流側に配備される第1ゲル低減部材12と、下流側に配備される第2ゲル低減部材13とが設けられている。
【0033】
第1ゲル低減部材12は、第1実施形態のゲル低減部材8と同様な厚みを備えた円板状の部材であり、上流側から下流側に向けて貫通するように4つの絞り流路10を有している。これらの絞り流路10の穿孔位置や流路断面積についても第1実施形態のゲル低減部材8と全く同じとなっている。
第2ゲル低減部材13は、この第1ゲル低減部材12の下流側に、ゲル低減部材8の厚みと同じ程度の距離をあけて配置されたものである。第2ゲル低減部材13は、第1ゲル
低減部材12と同じ厚みを備えた円板状の部材であり、同じ流路断面積の絞り流路10を第1ゲル低減部材12と同様に4つ備えている。
【0034】
第1ゲル低減部材12と第2ゲル低減部材13とが異なっているのは、樹脂流路5の上流側に設けられた第1ゲル低減部材12の絞り流路10と、下流側に設けられた第2ゲル低減部材13の絞り流路10とが、樹脂流路5の敷設方向に見て非連通状態となっている点である。つまり、第1ゲル低減部材12の絞り流路10がゲル低減部材の中心から見て0°、90°、180°、270°の位置しているのに対し、第2ゲル低減部材13の絞り流路10は中心から見て45°、135°、225°、315°に位置しており、両ゲル低減部材12、13の絞り流路10同士が周方向にずれた位置関係となっている。
【0035】
その結果、第2実施形態のゲル低減装置1では、樹脂混練物を第1ゲル低減部材12及び第2ゲル低減部材13で2回に亘って伸長することが可能となり、樹脂混練物中のゲルをより確実に低減することが可能となるのである。
なお、第1ゲル低減部材12の絞り流路10と、第2ゲル低減部材13の絞り流路10とが樹脂流路5の敷設方向に連通していると、第1ゲル低減部材12の絞り流路10を通過した樹脂混練物が殆ど力を受けることなく第2ゲル低減部材13の絞り流路10に流れ込むので、ゲル低減部材8を2箇所に亘って設けた効果を十分に発揮させることができなくなる。
【0036】
ところで、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、ステンレス板材などの中実板を加工しゲル低減部材8としてきた。しかし、ゲル低減部材8には、第3実施形態や第4実施形態に示すような多孔状のフィルタ状部材14を用いることもできる。
「第3実施形態」
図3(a)に示すように、第3実施形態のゲル低減装置1は、ゲル低減部材8として、円形金属板に多数の通過孔が形成されたフィルタ状部材14を備えている。
【0037】
このフィルタ状部材14は、通過孔の目開きが180μm以下となるように金属素線を編み込んだ金網(メッシュ)であり、樹脂混練物の内ゲルなどのようにサイズの大きい異物以外を通過可能とされている。このフィルタ状部材14の厚みは、第1実施形態及び第2実施形態のゲル低減部材8に比べれば非常に薄く形成されており、図例でも、第3実施形態のゲル低減部材8の厚みは、第1実施形態及び第2実施形態のゲル低減部材8の厚みの約1/10程度とされている。
【0038】
上述した多孔状のゲル低減部材8には、第1実施形態及び第2実施形態と同様に絞り流路10が4つ形成されている。この絞り流路10は、上流側から下流側に向けてフィルタ状部材14を貫通するように形成されており、樹脂混練物を上流側から下流側に向けて流通できるようになっている。また、絞り流路10は、第1及び第2実施形態と同様に円形の断面を備えた貫通孔(円形貫通孔)として形成されている。
【0039】
なお、上述したように、このフィルタ状部材14は、多数の通過孔を備えるだけでなく厚みも非常に薄いものとなっており、強度的に強いものではない。それゆえ、ゲル低減部材8に大きな圧損が加わったり、樹脂混練物の処理量が少しでも大きくなったりすると、フィルタ状部材14自体が変形して樹脂流路5から外れてしまうことがある。このような場合は、フィルタ状部材14を2枚の支持網部材15で上流側と下流側とから挟み込んで、補強を行うこともできる。
【0040】
例えば、図3(b)に示すゲル低減部材8は、図3(a)と同様に円板形状に形成されたフィルタ状部材14と、このフィルタ状部材14の上流側と下流側とに配備されて、フィルタ状部材14を支持する支持網部材15とを有している。この支持網部材15は、フィルタ状部材14の絞り流路10に対応した位置に絞り流路10と同じ断面積に開口する開口部16を有しており、絞り流路10を通過する樹脂混練物を支障なく通過させることができるようになっている。
【0041】
また、支持網部材15は、フィルタ状部材14より線径が太くて目開きが大きい金網で形成されており、樹脂混練物の通過を妨げないような構造となっている。
図3(b)に示すゲル低減部材8はこれら2枚の支持網部材15でフィルタ状部材14を挟み込んだ多層構造とされており、このような多層構造を採用することで図3(a)よ
り強度的に優れたものとなっている。
【0042】
なお、上述した支持網部材15は樹脂混練物の通過を妨げないよう目開きが大きな金網で形成されており、フィルタ状部材14の絞り流路10に対応した位置に開口部16を形成しなくても樹脂混練物は支障なく支持網部材15を通過可能となっている。それゆえ、図3(c)に示すように開口部16が形成されていないような支持網部材15を用いてフィルタ状部材14の補強を行うこともできる。このような支持網部材15を用いれば、開口部16を形成する手間が不要となって、ゲル低減部材8の製造コストを低減することも可能となるからである。
【0043】
第3実施形態のゲル低減部材8では、このように目の細かいフィルタ状部材14に第1実施形態や第2実施形態で示したような絞り流路10を形成している。このようにすれば、第3実施形態のゲル低減部材8に流れ込んだ樹脂混練物の一部はフィルタ状部材14自体を通過しつつ、残りは絞り流路10に流れ込んで伸長され、ゲルが取り除かれる。
言い換えるならば、第3実施形態のゲル低減装置1は、目の細かいフィルタに樹脂混練物を通過させることでゲルを取り除く作用と、絞り流路10を通過させることでゲルを伸長して取り除く作用とを兼ね備えたものということもできる。
【0044】
また、フィルタ状部材14の目開きを180μm以下とすれば、フィルタ状部材14の目が非常に細かくなり、フィルタ状部材14自体でもより確実に樹脂混練物からゲルを取り除くことが可能となる。
「第4実施形態」
次に、第4実施形態のゲル低減装置1を説明する。
【0045】
図4(a)〜図4(c)に示すように、第4実施形態のゲル低減装置1は、第3実施形態のフィルタ状部材14の下流側に、このフィルタ状部材14を支持する支持部材17をさらに備えたものである。この支持部材17は、フィルタ状部材14の下流側に配備されていて、フィルタ状部材14自体が変形しないようにこのフィルタ状部材14を支持するものである。また、支持部材17は、フィルタ状部材14を通過してきた樹脂混練物を支障なく下流側に流通できるように流通孔18を有している。
【0046】
具体的には、支持部材17は、フィルタ状部材14に支持網部材15を加えたものと同等かこれらより厚い硬質の部材(例えばステンレスの板材)から形成されている。この支持部材17もフィルタ状部材14と同じ円板状に形成されており、樹脂流路5を横切るように樹脂流路5の内部に取り付けられている。
図4(a)に示すように、支持部材17の表面にはゲル低減部材8を通過した樹脂混練物をさらに下流側に送る流通孔18が形成されている。この流通孔18は、上流側から下流側に向けて支持部材17を貫通するように形成されており、支持部材17の内部を経由して樹脂混練物を上流側から下流側に向けて流通するものである。
【0047】
この流通孔18は、支持部材17の表面に9箇所に亘って形成されている。
9箇所の流通孔18はゲル低減部材8に形成された絞り流路10に比べ少なくとも同じ開口径かそれ以上であり、またこの絞り流路10と同軸心となる位置に形成されている。つまり、この9箇所のうちの4つの流通孔18は、絞り流路10に対して正面から見てそれぞれの中心点が一致するような連通状態となっており、絞り流路10を流れてきた樹脂混練物を停滞することなく(余計な圧損を発生させることなく)流通孔18に流通させることができるようになっている。
【0048】
なお、上述した支持部材17の流通孔18は必ずしも円形孔である必要はなく、例えば図6に示すようなスリットの形状でも良い。ただし、その場合、絞り流路10を通過した樹脂混練物の流れを妨げないように配列する必要がある。
総じていうならば、上述した流通孔18と絞り流路10との関係は、支持部材17に形成された流通孔18(上述した4つの流通孔18)の流路断面積の総和が、ゲル低減部材8に形成された絞り流路10の流路断面積の総和よりはるかに大きくなっていることを意味している。このようにすれば、流通孔18で生じる圧損は絞り流路10で生じる圧損ほど大きくないため、樹脂混練物を余計な圧損を生じさせることなくスムーズに下流側に流通できるようになる。
【0049】
なお、支持部材17に形成された残りの5つの流通孔18は絞り流路10とは異なる位置にあり、絞り流路10と非連通状態とされていて、絞り流路10を流れてきた樹脂混練物というよりはフィルタ状部材14自体を通過されてきた樹脂混練物を下流側に送れるようになっている。
ところで、上述した支持部材17は、図4(b)や図4(c)に示すように2枚の支持網部材15でフィルタ状部材14を挟み込んだ多層構造のゲル低減部材8に用いることもできる。
【0050】
また、図5(a)〜図5(c)に示すように、流通孔18を絞り流路10と同軸心となる位置に配備する場合は、流通孔18の開口径をゲル低減部材8に形成された絞り流路10の開口径より大きくするのが好ましい。このように流通孔18の開口径を絞り流路10の開口径より大きくすれば、絞り流路10を通過してきた樹脂混練物が流通孔18をスムーズに通過するようになるからである。
尚、これまで実施形態説明図で示した樹脂流路5やゲル低減部材をはじめとする本発明にかかわる形状はすべて円形で説明してきたが、これらの形状は四角をはじめとする多角形形状でももちろん良い
【実施例】
【0051】
次に、実施例及び比較例を用いて、本発明のゲル低減装置1をさらに詳しく説明する。
実施例及び比較例は、実際にゲル低減装置1を装着した混練押出設備2を用いて樹脂混練物を加工した際に、樹脂混練物中にゲルが確認されるかどうかを実機を用いて確認したものである。この実施例及び比較例のうち、実施例1〜実施例5は第1実施形態及び第2実施形態に対応したものであり、実施例6〜実施例10は第3実施形態及び第4実施形態に対応したものである。
【0052】
この実施例及び比較例に用いた混練押出設備2は、いずれも二軸混練機(LCM50)からギヤポンプ7を経由してストランドダイ6に樹脂混練物を搬送する樹脂流路5上に、ゲル低減装置1を装着したものである。この混練押出設備2に供給される樹脂混練物は、高密度ポリエチレン(密度=0.945g/cm3、メルトインデックス=0.08g/10min、 190℃、2.16kg荷重)を母材として、この母材に分散確認用粒子としてカーボンブラックを2.3%混合したものである。この混練押出設備2には高密度ポリエチレンとカーボンブラックとがドライ状態で供給され、混練押出設備2で混練された樹脂混練物が50kg/hで樹脂流路5を通じて装置外に送り出されている。
【0053】
まず、第1実施形態及び第2実施形態のゲル低減装置1、言い換えれば、中実板部材からなるゲル低減部材8に用いた結果を、表1を用いて説明する。表1は、ゲル低減部材8に形成される絞り流路10について、その口径及び設置数を変えた際に、絞り比、剪断速度、押出圧力及び後述する白斑面積率がどのように変化するかを示したものである。
【0054】
【表1】

【0055】
表1に示される評価のうち、剪断速度γ’は、ゲル低減装置1で生産される樹脂混練物の生産量をP[cm3/sec]、絞り流路10の口径をD[cm]、絞り流路10の設置数をnとしたときに、以下の式(2)で求められる。
【0056】
【数4】

【0057】
また、押出圧力は、混練押出設備2の樹脂流路5においてゲル低減部材8に達する直前の樹脂混練物の樹脂圧力(図1中でPで示す位置の樹脂圧力)を示したものである。
さらに、白斑面積率は、ストランドダイ6から押し出された樹脂混練物中に、どの程度混練が不十分な部分、つまりゲルが観察されるかを面積比で示したものである。つまり、上述した組成では、混練されるべきカーボンブラックが十分に混練されない場合、押し出された樹脂混練物中にカーボンブラックの未分散に起因する透明部分がゲルの面積率として観察される。
【0058】
それゆえ、押し出された樹脂混練物をミクロトーム法を用いて20μmの薄片に切り出し、切り出された薄片中に透明部分がどの程度存在するかを計測すれば、ゲルの低減度合いを評価することができる。なお、この面積率の計測は、光学顕微鏡の200倍の視野に対して、二値化処理を行って求めたものである。以下に、比較例及び実施例の結果を、詳しく説明する。
「比較例1」
比較例1は、樹脂流路5にゲル低減部材8を全く設けなかった例、言い換えれば樹脂混練物に対して何も行わずそのまま流通させたものである。この比較例1では、表1における0.48%という白斑面積率の結果からも分かるように、樹脂混練物に対して伸長流が生じることはなく、ゲルは全く低減されていない。
「実施例1」
それに比して、実施例1は、直径40mmの樹脂流路5に、この樹脂流路5を横切って塞ぐように厚み2.5mmの中実円板から成るゲル低減部材8を配したものである。このゲル低減部材8には、2mmφの絞り流路10が全部で16箇所形成されており、絞り比は25.0となっている。
【0059】
この実施例1では、表2における0.23%という白斑面積率の結果からも分かるように、比較例1に比べて白斑面積率がおよそ半減しており、樹脂混練物中のゲルが大きく低減されている。
「実施例2〜実施例5」
実施例2及び実施例3は、厚み2.5mmの中実円板から成るゲル低減部材8に2mmφの絞り流路10を形成したものである。実施例2の絞り流路10は9箇所形成されており、絞り比は44.4となっている。また、実施例3の絞り流路10は4箇所形成されており、絞り比は100.0となっている。
【0060】
一方、実施例4は、絞り流路10の口径を1mmφと実施例3に比して半減させたものである。この実施例4では、絞り流路10の口径は半減させても、流路の設置数は4倍とされており、絞り流路10の流路断面積という点では実施例3も実施例4も同じである。それゆえ、実施例4の絞り比も100.0となっている。
さらに、実施例5は、1.5mmφの絞り流路10を4箇所形成したものであり、実施例3に比して絞り流路10の設置数を小さくしたものである。それゆえ、この実施例5の絞り比は177.8となっている。
【0061】
この実施例2〜実施例5では、表2における0.07%〜0.10%という白斑面積率の結果からも分かるように、比較例1に比べて白斑面積率が非常に小さくなっており、樹脂混練物中のゲルが大きく低減されていることが分かる。
また、実施例3及び実施例4を見れば、両者は絞り比がいずれも100.0と同じ数値であり、白斑面積率はいずれも0.08%となっている。その一方で、剪断速度は、実施例3の5898/secに対して実施例4は11795/secとなり、大きな値となっていて、それに連動するように、押出圧力は実施例3の22.1MPa、実施例4は25.2MPaと大きくなっている。
【0062】
これらの結果から、白斑面積率(ゲル消失率)は絞り比に依存するものの、剪断速度とは明確な関係を有さないと思われる。それ故、ゲルの発生率を同程度に抑えるに際しては
、適切な絞り比を選択すると共に、剪断速度が小さくなるようなゲル低減部材8を用いた方が押出圧力(圧損)を小さくすることができ、より良好な生産性を実現できる。本実施例の場合、実施例4より実施例3のゲル低減装置1を選択する方が好ましい。
「比較例2」
上述した実施例1〜実施例5に比して、比較例2は、1.15mmφの絞り流路10を6箇所形成することで絞り比を201.6としたものである。
【0063】
この比較例2は、表2における0.07%という白斑面積率の結果からも分かるように、実施例1〜実施例5と同様にゲルを低減する効果を有している。
しかし、表2の押出し圧力を見ると、比較例2では押出圧力が30.5MPaと大きくなっており、ゲル低減部材8を設置することで圧損が非常に大きくなっていることが分かる。
【0064】
また、実施例5の結果と比較すると、白斑面積率の点では比較例2も実施例5も同じ0.07%であるが、押出圧力の点では比較例2の方が実施例5より大きくなっている。このことから、絞り比を180より大きなゲル低減部材を用いても、押出圧力が大きくなるだけでゲル低減の効果があまり得られないことが分かる。
次に、第3実施形態及び第4実施形態のゲル低減装置1を用いてゲルを低減した結果を、表2を用いて説明する。
この実施例及び比較例に用いた混練押出設備2は、いずれも二軸混練機(LCM50)からギヤポンプ7を経由してストランドダイ6に樹脂混練物を搬送する樹脂流路5上に、ゲル低減装置1を装着したものである。この混練押出設備2に供給される樹脂混練物は、高密度ポリエチレン(密度=0.950g/cm3、メルトインデックス=0.07g/10min、 190℃、2.16kg荷重)を母材として、この母材に分散確認用粒子としてカーボンブラックを2.3%混合したものである。この混練押出設備2には高密度ポリエチレンとカーボンブラックとがドライ状態で供給され、混練押出設備2で混練された樹脂混練物が50kg/hで樹脂流路5を通じて装置外に送り出されている。
【0065】
表2は、ゲル低減部材8に形成される絞り流路10について、その口径及び設置数を変えた際に、絞り比、押出圧力及び後述する白斑面積率がどのように変化するかを示したものである。
【0066】
【表2】

【0067】
以下に、比較例及び実施例の結果を、詳しく説明する。
「比較例3」
比較例3は、樹脂流路5にゲル低減部材8を全く設けなかった例、言い換えれば樹脂混練物に対して何も行わずそのまま流通させたものである。なお、この比較例3では、フィルタ状部材14は用いられていないが、流通孔18(口径8.0mm)を9つ有する支持部材17、及び10メッシュという粗い目を備えた支持網部材15は設けられている。この比較例3では、表2における1.80%という白斑面積率の結果からも分かるように、樹脂混練物に対して伸長流が生じることはなく、ゲルは全く低減されていない。
「実施例6」
実施例6は、直径40mmの樹脂流路5に、絞り流路10が形成されたフィルタ状部材
14(ゲル低減部材8)を配したものである。このフィルタ状部材14は、250メッシュのフィルタと、この250メッシュのフィルタの上流側と下流側とに配備されて、250メッシュのフィルタを挟持する100メッシュのフィルタとを有している。
【0068】
この構造のフィルタ状部材14には口径8.0mmφの絞り流路10が中央に1箇所形成されており、絞り比は25.0となっている。また、このフィルタ状部材14は10メッシュの支持網部材15で挟まれている。
この実施例6では、表2における1.41%という白斑面積率の結果からも分かるように、比較例3に比べて白斑面積率が大きく下がっており、樹脂混練物中のゲルが大きく低減されている。
「実施例7〜実施例10」
実施例7は実施例6と同じフィルタ状部材14に口径6.0mmφの絞り流路10が、また実施例8は実施例6と同じフィルタ状部材14に口径4.0mmφの絞り流路10が、いずれも中央に1箇所形成されたものである。実施例7の絞り比は44.4実施例8の絞り比は100.0となっている。
【0069】
一方、実施例9は、絞り流路10の口径を2.0mmφと実施例8に比して半減させたものである。この実施例9では、絞り流路10の口径は半減させても、絞り流路10の設置数は実施例8の4倍とされており、絞り流路10の流路断面積という点では実施例8も実施例9も同じである。それゆえ、実施例9の絞り比も100となっている。
さらに、実施例10は、1.5mmφの絞り流路10を4箇所形成したものであり、実施例3に比して絞り流路10の設置数を小さくしたものである。それゆえ、この実施例10の絞り比は177.8となっている。
【0070】
この実施例6〜実施例10では、表2における0.83%〜1.41%という白斑面積率の結果からも分かるように、比較例3に比べて白斑面積率が非常に小さくなっており、樹脂混練物中のゲルが大きく低減されていることが分かる。
「比較例4」
上述した実施例6〜実施例10に比して、比較例4は、実施例と同じフィルタ状部材14は用いているが、このフィルタ状部材14には絞り流路10が全く形成されていない。
【0071】
この比較例4の結果は、従来の技術、すなわち特許文献1に示すような細かい目開きのフィルタを用いて白斑の原因となるゲル成分を濾し取っているものであるが、押出し圧力が25.5MPaと非常に高い。ところが、本発明の伸張流を応用した、例えば実施例10の結果と比較すると、白斑面積率の点では比較例4も実施例10も同じ数値まで改善しているが、押出圧力の点では比較例4の方が実施例10より大きくなっており、実施例10の方が生産性の点で比較例4より優れていることが分かる。
【0072】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
なお、上述した混練押出設備2には混練機が用いられているが、本発明のゲル低減装置1は押出機に設けられていても良いし、押出機や混練機以外のものであってゲルが含まれた樹脂混練物を扱う設備に設けられていても良い。
【符号の説明】
【0073】
1 ゲル低減装置
2 混練押出設備
3 バレル
4 ホッパ
5 樹脂流路
6 ストランドダイ
7 ギヤポンプ
8 ゲル低減部材
9 リング部材
10 絞り流路
11 取付溝
12 第1ゲル低減部材
13 第2ゲル低減部材
14 フィルタ状部材
15 支持網部材
16 開口部
17 支持部材
18 流通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂混練物が流通する樹脂流路内に設けられて前記樹脂混練物に存在するゲルを低減するゲル低減部材を有するゲル低減装置であって、
前記ゲル低減部材には、樹脂流路より小さい流路断面積を有する絞り流路が少なくとも1つ以上備えられており、
前記絞り流路を流通する混練物に伸長流を生起可能とすべく、絞り流路の絞り比S1/S2が以下の関係を満たすように設定されていることを特徴とするゲル低減装置。

絞り流路の絞り比S1/S2=25〜180
ただし、S1:樹脂流路の流路断面積、S2:絞り流路の流路断面積の総和
【請求項2】
前記ゲル低減部材は、樹脂流路を横切るように設けられた板状部材であり、
前記絞り流路は、板状部材に設けられた円形貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載のゲル低減装置。
【請求項3】
前記ゲル低減部材は、前記樹脂流路の敷設方向に沿って互いに距離をあけて複数配備されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲル低減装置。
【請求項4】
前記樹脂流路の上流側に設けられたゲル低減部材の絞り流路と、下流側に設けられたゲル低減部材の絞り流路とは、前記樹脂流路の敷設方向に見て非連通状態となっていることを特徴とする請求項3に記載のゲル低減装置。
【請求項5】
前記ゲル低減部材は、樹脂流路を横切るように設けられたフィルタ状部材であり、
前記絞り流路は、前記フィルタ状部材に設けられた円形貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載のゲル低減装置。
【請求項6】
前記フィルタ状部材の目開きが180μm以下とされていることを特徴とする請求項5に記載のゲル低減装置。
【請求項7】
前記ゲル低減部材は、前記フィルタ状部材より目開きが大きい支持網部材で当該フィルタ状部材を挟み込んだ多層構造とされていることを特徴とする請求項5又は6に記載のゲル低減装置。
【請求項8】
前記支持網部材には、前記フィルタ状部材の絞り流路と同じ流路断面積を備えた開口部が、前記絞り流路と連通するように形成されていることを特徴とする請求項7に記載のゲル低減装置。
【請求項9】
前記ゲル低減部材の下流側には、前記フィルタ状部材を下流側から支持する支持部材が設けられていて、
前記支持部材には、前記ゲル低減部材を通過した樹脂混練物をさらに下流側に送る流通孔が形成されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のゲル低減装置。
【請求項10】
前記支持部材に形成された流通孔は、前記樹脂流路の敷設方向に見て前記ゲル低減部材に形成された絞り流路と連通状態となっていて、
前記支持部材に形成された流通孔の流路断面積の総和が、前記ゲル低減部材に形成された絞り流路の流路断面積の総和と同じか、または大きな面積とされていることを特徴とする請求項9に記載のゲル低減装置。
【請求項11】
樹脂流路を流通する樹脂混練物に存在するゲルを低減するに際しては、
前記樹脂流路内に、当該樹脂流路より小さい流路断面積を有する絞り流路が少なくとも1つ以上備えられたゲル低減部材を設けておき、
前記絞り流路の絞り比S1/S2を以下の関係を満たすように設定しておいて、
その上で、前記樹脂混練物を絞り流路に導くことを特徴とする樹脂混練物でのゲル低減方法。

絞り流路の絞り比S1/S2=25〜180
ただし、S1:樹脂流路の流路断面積、S2:絞り流路の流路断面積の総和

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−101511(P2012−101511A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253992(P2010−253992)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】