説明

ゲル製造装置

【課題】所定数のゲルを均一な大きさにゲル化する事を可能とするゲル生成装置を提供する。
【解決手段】ゲル製造装置は、第1液体Aと第2液体Cとを反応させゲルを生成するゲル製造装置であって、第2液体Cを収納する第2液体容器24と、第2液体容器24内で第2液体Cを流動させる流動機構28と、流動されている第2液体Cに、第1液体Aを噴射するノズル36が形成されたノズルプレート34を備えた噴射機構20と、噴射機構20に供給する第1液体Aを収納する第1液体容器48と、第1液体容器48の重さを計測する計測部50と、を備えた第1液体供給部14と、計測される第1液体容器48の重さに基づいて、生成されるゲルの数を算出するゲル数算出部80と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル製造装置及びゲル製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被噴射液体に向けて、液滴噴射法により噴射液体を噴射して、ゲルを製造する方法が知られている。例えば、静止した状態の被噴射液体に対して、一定の間隔を空けて、噴射物を噴射する噴射口(ノズル)を配置し、液滴噴射法によりノズルから噴射される噴射物と、静止した状態の被噴射液体とを反応させてゲルを製造する方法及び装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−232178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術において、第1液体を第2液体の中に噴射して生成されたゲルの数量を求めることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかるゲル製造装置は、第1液体と第2液体とを反応させゲルを生成するゲル製造装置であって、前記第2液体を収納する第2液体容器と、前記第2液体容器内で前記第2液体を流動させる流動機構と、流動されている前記第2液体に、前記第1液体を噴射するノズルが形成されたノズルプレートを備えた噴射機構と、前記噴射機構に供給する前記第1液体を収納する第1液体容器と、前記第1液体容器の重さを計測する計測部と、を備えた第1液体供給部と、計測される前記第1液体容器の重さに基づいて、生成されるゲルの数を算出するゲル数算出部と、を有することを特徴とする。
【0007】
これによれば、噴射機構に供給する第1液体を収納する第1液体容器の重さを計測することで、第1液体の使用量が分かり、事前に噴射機構から噴射される1滴の第1液体の重さを計測しておけば、以下の式により生成されたゲルの数を算出することができる。
【0008】
(算出式)
(生成されたゲルの数)=(使用前の第1液体容器の重さ(g)−使用後の第1液体容器の重さ(g))/(1滴の第1溶液の重さ(g))
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係るゲル製造装置を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態に係るゲル製造装置を示す立面図。
【図3】第1の実施形態に係るゲル製造装置を示す平面図。
【図4】第1の実施形態に係るゲル製造装置を示す断面図。
【図5】第1の実施形態に係るゲル製造装置の制御構成を示すブロック図。
【図6】第1の実施形態に係るゲルを製造するための工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ゲル製造方法及びゲル製造装置の具体的な実施形態について図面に従って説明する。本実施形態に係るゲル製造装置は、インクジェット方式により液体を噴射して、液体のゲル化を図るものである。ゲル製造装置は、第1液体と第2液体とを反応させゲルを生成する。
【0011】
(第1の実施形態)
最初に、ゲル製造装置の一例について説明する。図1は、本実施形態に係るゲル製造装置を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るゲル製造装置を示す立面図である。図3は、本実施形態に係るゲル製造装置を示す平面図である。図4は、本実施形態に係るゲル製造装置を示す断面図である。本実施形態に係るゲル製造装置2は、図1〜4に示すように、ベースプレート10と、ベースプレート10上に設置されたゲル生成ユニット12と、ゲル生成ユニット12の近傍のベースプレート10上に設置された第1液体供給ユニット(第1液体供給部)14と、ゲル生成ユニット12の近傍のベースプレート10上に設置されたヘッド吸引ポンプ16と、ゲル生成ユニット12の近傍のベースプレート10上に設置された第1作業台18と、ゲル生成ユニット12のヘッド(噴射機構)20を駆動するヘッド駆動BOX22と、を備えている。
【0012】
ベースプレート10は、ゲル生成ユニット12のシャーレー(第2液体容器)24を所定の位置にガイドするシャーレーガイドプレート26を備えている。
【0013】
ゲル生成ユニット12は、スターラー(流動機構)28と、シャーレー24と、プレート30と、ヘッド20と、を備えている。
【0014】
スターラー28は回転子32を備えている。回転子32はシャーレー24内に置かれている。スターラー28は、シャーレー24内の回転子32を回転させ、シャーレー24内の塩化カルシウム水溶液(第2液体)Cを渦巻流動させている。これにより、滴下されるアルギン酸ナトリウム水溶液(第1液体)Aが塩化カルシウム水溶液Cの液面上で重なってしまい、ゲルGの未生成が生じてしまうことを防止する役目を果たしている。
【0015】
シャーレー24はスターラー28の上部に設置されている。シャーレー24の中心はスターラー28の回転子32の回転の中心と合っている。シャーレー24は、塩化カルシウム水溶液Cを収納する。シャーレー24は、例えば透明なアクリルなどの視認可能な材質からなり、管状に形成され、塩化カルシウム水溶液C及びゲルGの流動状態を目視により確認することができる。シャーレー24は、透明なアクリル、又は透明若しくは半透明なポリプロピレンなどからなるとしたが、これに限るものではなく、不透明な材質でもよく、アルギン酸ナトリウム水溶液A、塩化カルシウム水溶液C、及び生成されるゲルGを変質又は化学反応させない材質であれば、ガラス又は金属などからなるとしてもよい。シャーレー24に収容されている塩化カルシウム水溶液Cは2%の濃度である。
【0016】
ヘッド20は、アルギン酸ナトリウム水溶液Aを噴射するための複数のノズル36が形成されたノズルプレート34を備えている。これによれば、多噴射機構部化が可能になり、短時間に多くのゲルGを製造できる。また、ヘッド20毎に噴射されるアルギン酸ナトリウム水溶液Aの噴射量や種類を変えることが可能となり、多岐に渡るゲル製造が一度にできる。ノズル36は、例えば直径100μmであり、噴射周波数10Hz以上でノズル36から噴射されるアルギン酸ナトリウム水溶液Aは、流速1mm/sとする。ノズル36から噴射する液滴の大きさは、約50μmである。アルギン酸ナトリウム水溶液Aは、第1液体供給パック(第1液体容器)48に収容されていて、導管60に導かれてヘッド20へ供給される。塩化カルシウム水溶液Cの液面の平滑領域と複数のノズル36の配列領域とは、塩化カルシウム水溶液Cの水面と平行な方向にオーバーラップしている。また、塩化カルシウム水溶液Cの流動方向と複数のノズル36の配列方向とは、互いに交差している。なお、塩化カルシウム水溶液Cの流動方向と複数のノズル36の配列方向とは、互いに直角になるように構成されていてもよい。これによれば、塩化カルシウム水溶液Cへ向けて、アルギン酸ナトリウム水溶液Aをヘッド20により連続して噴射しても、塩化カルシウム水溶液Cの流動方向に対して各ノズル36間距離を最大にとることができるため、アルギン酸ナトリウム水溶液Aと塩化カルシウム水溶液Cとが反応して生成されるゲルGが、さらに密着することなく、個々のゲルGを得ることができる。なお、ノズル36はヘッド20に1列形成されているとしたが、これに限るものではなく、複数列形成されていてもよい。ヘッド20のノズルプレート34と、スターラー28により渦巻流動される塩化カルシウム水溶液Cの液面との距離(間隔)は規定されている。
【0017】
第1液体供給ユニット14は、電子天秤(計測部)50と、電子天秤50の上に設置された第1液体供給パック48と、を備えている。電子天秤50は、第1液体供給パック48の重さを計っており、以下の式により生成されたゲルの数を算出することができる。
【0018】
(算出式)
(生成されたゲルの数)=(使用された第1液体供給パック重量(g))/(噴射1滴のゲル重量(g))
また、第1液体供給パック48内のアルギン酸ナトリウム水溶液Aの残量を計測できるため、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの残量を把握できる。
【0019】
電子天秤50は、底面部にアジャスター52を備えており、アジャスター52の高さを変えることで、第1液体供給口58とノズルプレート34面との水頭差により、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの供給圧をコントロールできる。
【0020】
ノズル36からの液だれ、あるいはノズル36内への空気の侵入を防止するためには第1液体供給口58とノズルプレート34面とは同じ高さにする。第1液体供給パック48は透明又は半透明なポリエチレンなどからなる。なお、ゲル製造装置2では、第1液体供給ユニット14に収容されているアルギン酸ナトリウム水溶液Aが1%の濃度である。
【0021】
ヘッド吸引ポンプ16は、ヘッド20の目詰まりを防止するためのクリーニング機構を備えている。クリーニング機構は、例えば、所定数の液滴噴射後又は画像解析部54(図5参照)がゲルGの異常を解析した場合等に、ヘッド20からの強制的な液滴吸引やヘッド清掃を行い、ゲル製造装置2の安定稼動を図るものである。
【0022】
第1作業台18は、鏡面金属プレート状の天面56を備えている。鏡面金属プレートは、例えば、ゲル製造前にヘッド20からアルギン酸ナトリウム水溶液Aを鏡面金属プレート上に噴射し、噴射された状態からヘッド20のノズル噴射有無の目視確認を事前にすることでヘッド20の安定稼動を図るものである。
【0023】
ゲル製造装置2は、シャーレー24内を渦巻流動する塩化カルシウム水溶液Cに向けて、ノズル36からアルギン酸ナトリウム水溶液Aを液滴噴射法により噴射させることで、シャーレー24内において、アルギン酸ナトリウム水溶液Aと塩化カルシウム水溶液Cとが化学反応して生成されたゲルGを得る。具体的には、アルギン酸ナトリウム水溶液Aを塩化カルシウム水溶液Cに向けて噴射させることで、アルギン酸ナトリウム水溶液Aと塩化カルシウム水溶液Cとが化学反応し、アルギン酸カルシウムゲルが生成される。
【0024】
本実施形態によれば、ノズルプレート34と塩化カルシウム水溶液Cの液面との距離は、塩化カルシウム水溶液Cの水位が変位しても、一定に保たれる。なお、ノズルプレート34と塩化カルシウム水溶液Cの液面とは、平行であってもよい。これによれば、さらに安定したゲルGを生成することができる。
【0025】
図5は、本実施形態に係るゲル製造装置2の制御構成を示すブロック図である。ヘッド駆動BOX22は、撮像機62を通して把握したゲル化状態や、ゲル製造装置2の稼動状態等を表示する表示部64と、ゲル製造装置2の各部への指示等を入力するための操作部66と、を有している。この場合、ヘッド駆動BOX22としていわゆるパーソナルコンピューターを用いており、ゲル製造装置2を制御するためのヘッド駆動BOX22の詳細について、次に説明する。
【0026】
ヘッド駆動BOX22は、ゲル製造装置2を総合的に制御するCPU(Central Processing Unit)68と、CPU68が参照して液滴の噴射等の各種処理を実行するためのプログラム等を保存しているROM(Read Only Memory)70と、操作部66、撮像機62、及び電子天秤50から送られて来るデータ等を一時的に記憶しておくRAM(Random Access Memory)74と、を有している。また、ヘッド駆動BOX22は、撮像機62からの画像データを受信して解析する画像解析部54と、ヘッド20を制御する噴射制御部76と、スターラー28を制御する渦巻制御部78と、電子天秤50からの液量のデータを受信する液量検出部(ゲル数算出部)80と、表示部64及び操作部66あるいは外部機器との入出力を行うための入出力インターフェイス82と、を備えている。
【0027】
画像解析部54は、撮像機62が撮影したアルギン酸ナトリウム水溶液Aのゲル状態を示す画像を受信して、所望の形態のゲルであるか否かを解析する。解析結果は、CPU68に伝えられ、CPU68が、噴射の継続の可否等を決定して、噴射制御部76及び渦巻制御部78へ指示する。噴射制御部76は、CPU68の指示に基づいてヘッド20からの液滴の噴射を制御する。渦巻制御部78は、噴射制御部76によるヘッド20からの液滴の噴射に対応して、アルギン酸ナトリウム水溶液Aが塩化カルシウム水溶液Cの液面上で重ならないように、スターラー28を制御する。液量検出部80は、電子天秤50が検出した、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの消費量を受信し、噴射継続に適した消費量であるか否かを判断する。判断結果は、CPU68に伝えられ、適した消費量でないと判断した場合、CPU68が噴射制御部76に停止を指示する。停止の場合、CPU68は、表示部64へ停止した旨の警報を表示させる。
【0028】
次に、ゲル製造装置2によりアルギン酸ナトリウム水溶液Aのゲルを生成(製造)する方法について、フローチャートに基づいて説明する。
図6は、本実施形態に係るゲルを製造するための工程を示すフローチャートである。このフローチャートは、1回の液滴噴射のフローを示すものである。
【0029】
事前準備として、ゲル製造者は、塩化カルシウム水溶液Cをシャーレー24内に入れる。なお、塩化カルシウム水溶液Cは塩化カルシウム水溶液供給口42を介してシャーレー24内に入れてもよい。塩化カルシウム水溶液Cの量は、ヘッド20のノズルプレート34面と塩化カルシウム水溶液Cの液面との距離(プラテンギャップ)Sを規定することにより決定される。塩化カルシウム水溶液Cの量は、シャーレー24の側面に印刷された目盛り線により測定される。塩化カルシウム水溶液Cの量は、事前にシャーレー24内に塩化カルシウム水溶液Cが、ノズルプレート34と塩化カルシウム水溶液Cの液面との必要な距離分だけ入れられ、その塩化カルシウム水溶液Cの重さが測定される。次回から、ゲル製造者は塩化カルシウム水溶液Cを必要な重さだけ電子天秤50で測定し、塩化カルシウム水溶液供給口42を介して入れる。
【0030】
次に、ゲル製造者は、ヘッド20と第1液体供給パック48の第1液体供給口58を導管60で繋ぎ、第1液体供給パック48を電子天秤50の上に置く。電子天秤50の目盛りをゼロにセットする。
【0031】
次に、ゲル製造者は、ヘッド駆動BOX22の電源を投入し液滴の噴射パターンを選択する。噴射パターンとは、ノズル36から噴射する液体に応じた噴射条件を設定したものであり、ピエゾ素子へ印加する電圧波形等が含まれる。この場合、液滴の噴射数も含まれる。アルギン酸ナトリウム水溶液Aの液滴を噴射するための噴射パターンを選択する。
【0032】
次に、ゲル製造者は、第1作業台18の天面56の鏡面金属プレート上にて、ヘッド20の噴射を事前確認する。アルギン酸ナトリウム水溶液Aは、ヘッド20が有する図示していないピエゾ素子に押されて、ノズル36から液滴となって噴射される。
【0033】
次に、ゲル製造者は、ヘッド20をシャーレー24上部のプレート30の角穴にセットし、ヘッド固定部40によりヘッド20上部を固定する。ヘッド20のセット位置は、塩化カルシウム水溶液Cの回転により発生する中央部の窪みPを避け、塩化カルシウム水溶液Cの平滑面上にセットする。なお、多ノズルヘッドにおいては、塩化カルシウム水溶液Cの回転方向に対しノズル36配置列方向を垂直にセットしてもよい。また、多ノズルヘッドのおいては、塩化カルシウム水溶液Cの回転方向に対しノズル36配置列方向を斜めにセットしてもよい。
【0034】
以上で事前準備が終了し、先ず、ステップS10において、ヘッド駆動BOX22は、スターラー28を用いて回転子32により塩化カルシウム水溶液(第2液体)Cを渦巻流動させる。
【0035】
次に、ステップS20において、ヘッド駆動BOX22は、渦巻流動する塩化カルシウム水溶液Cにヘッド20からアルギン酸ナトリウム水溶液(第1液体)Aの液滴を噴射させる。噴射された液滴は、流動している塩化カルシウム水溶液Cの中へ投入される。この状態の液滴が塩化カルシウム水溶液Cと反応してゲルGになるため、均一な形状のゲルGを得ることができる。液滴の噴射後、ステップS30へ進む。
【0036】
次に、ステップS30において、ヘッド駆動BOX22は、所定のゲル状態か否かを判断する。つまり、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの液滴が所望の形状のゲルGになっているか否かの判断をする。この判断は、撮像機62で撮影したゲルGの映像を参照して、画像解析部54が行う。ゲル製造装置2では、撮像機62が図示していないゲル回収部の回収ネットに回収されたゲルGを撮影している。そして、ゲルGが所定のゲル状態であれば、ステップS40へ進み、一方、ゲルGが所定のゲル状態でなければ、ステップS50でその旨を警報表示してフローを終了する。フローを終了することで液滴の噴射等を停止する。
【0037】
ゲルGが所定のゲル状態であれば、ステップS40において、選択した噴射数が終了したか否かを判断する。この判断は、第1液体供給パック48の重さを電子天秤50により計測し、液量検出部80で読みとる。液量検出部80で消費量を算出し、これを噴射1滴の重さで割ることで、生成されたゲルGの数を算出できる。そして、所定数のゲルGが生成できていれば、フローを終了し、一方、所定数のゲルGが生成できていなければ、ステップS20へ戻る。
【0038】
ステップS20へ戻る場合、所定数の液滴を噴射するまで、ステップS20のステップを継続して実行する。そして、所定数の液滴を吐出すれば、フローを終了する。ヘッド20及びスターラー28の電源を切る。ヘッド20を取り除き、シャーレー24をスライドさせながら取り除く。又は、ヘッド20とプレート30を取り除き、シャーレー24にフタをして移動する。
【0039】
以上、ゲル製造装置2を用いたゲル製造方法の実施形態について説明した。以下に、実施形態の効果をまとめて記載する。
【0040】
(1)ゲル製造装置2は、第1液体供給パック48を電子天秤50の上に搭載し、第1液体供給パック48の重さを計測し、液量検出部80で読みとる。液量検出部80で消費量を算出し、これを噴射1滴の重さで割ることで、生成されたゲルGの数を算出できる。
【0041】
(2)ゲル製造装置2は、第1液体供給パック48内のアルギン酸ナトリウム水溶液Aの残量を電子天秤50にて計測できるため、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの残量を把握できる。
【0042】
(3)ゲル製造装置2は、電子天秤50の底面部にアジャスター52を備えており、アジャスター52の高さを変えることで、第1液体供給口58とノズルプレート34面との水頭差により、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの供給圧をコントロールできる。
【0043】
(4)少なくともヘッド20から噴射されるアルギン酸ナトリウム水溶液Aの液滴は、液滴の大きさや、噴射の速度及び方向等の制御が確実かつ容易になされる。そのため、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの液滴は、塩化カルシウム水溶液Cと確実に接触するように所定の大きさで噴射され、均一な大きさにゲル化することが可能である。この場合、アルギン酸ナトリウム水溶液Aは、ディスペンサー等により噴射してもよく、またインクジェット方式により噴射してもよい。
【0044】
(5)ゲル製造装置2は、ヘッド20がインクジェット方式であるため、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの液滴の大きさや、噴射の速度及び方向等の制御が他噴射方式より正確に行え、液滴を常に同一条件で均一な大きさにゲル化することができる。特に、微小なゲルGであっても、ゲルGの均一化が図れる。
【0045】
(6)アルギン酸ナトリウム水溶液Aがヘッド20から液滴の状態で噴射されるため、10μmの大きさの均一なゲルGが得られる。この液滴の大きさを調整すれば、本実施形態で生成した10μm以外の所望の大きさのゲルGが容易に得られる。
【0046】
(7)塩化カルシウム水溶液Cが静止状態ではなくシャーレー24内で渦巻流動される方式であるため、塩化カルシウム水溶液Cの汚染あるいは生菌の発生等を防止することができる。
【0047】
(変形例1)
第1液体供給口58とノズルプレート34面との水頭差により、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの供給圧をコントロールできる構造として、電子天秤50と第1液体供給パック48の間にプレートを搭載し、そのプレートの厚さで第1液体供給口58の高さを変えることで、ノズルプレート35と水頭差を調整してもよい。
【0048】
(変形例2)
第1液体供給口58とノズルプレート34面との水頭差により、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの供給圧をコントロールできる構造として、プレート30の厚さを変えることでノズルプレート34面の高さを変え、第1液体供給口58との水頭差を調整してもよい。
【0049】
(変形例3)
シャーレー24及びプレート30は、透明なアクリル、又は透明若しくは半透明なポリプロピレンなどからなるとしたが、これに限るものではなく、不透明な材質でもよく、アルギン酸ナトリウム水溶液A、塩化カルシウム水溶液C、及び生成されるゲルGを変質又は化学反応させない材質であれば、ガラス又は金属などからなるとしてもよい。
【0050】
(変形例4)
アルギン酸ナトリウム水溶液Aの液滴を噴射するヘッド20は、インクジェット方式ではなく、例えば、ディスペンサー等によりアルギン酸ナトリウム水溶液Aを滴下等する方法であってもよい。これによれば、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの液滴を塩化カルシウム水溶液Cへ向けて、正確に噴射することができ、ゲルGの生成が行える。このように、インクジェット方式と多様な噴射方式とを併用することにより、噴射する種々の溶液に対応したゲル製造装置を提供できる。そして、粘性の高い溶液を噴射するために、溶液を加熱して粘度を低くする機構をゲル製造装置2に設けてもよい。
【0051】
(変形例5)
ヘッド20のノズルプレート34面と塩化カルシウム水溶液Cの液面の距離(プラテンギャップ)Sはシャーレー24内に図示しない水位センサーを搭載し、一定水位になったら吸水(塩化カルシウム水溶液C)を停止してもよい。これによれば、一定水位になったら吸水(塩化カルシウム水溶液C)を停止することができるため、ヘッド20のノズルプレート34面と塩化カルシウム水溶液Cの液面との距離(プラテンギャップ)Sの管理ができる。そのため、アルギン酸ナトリウム水溶液Aの液滴は、塩化カルシウム水溶液Cと確実に接触するように所定の大きさで噴射され、均一な大きさにゲル化することが可能である。
【0052】
(変形例6)
上記各実施形態では、アルギン酸のゲルGを得るために、第1液体としてアルギン酸ナトリウム水溶液Aを用い、第2液体として塩化カルシウム水溶液Cを用いた場合を例に説明した。この他に、アルギン酸のゲルGを得るためには、第1液体としてアルギン酸カリウム溶液を用い、第2液体として塩化バリウム溶液を用いる方法等であってもよく、ゲル形成材を含む第1液体と反応してゲル化する第2液体であれば、適用できる。また、ゲルGに所望の物質を含有させることも可能であって、例えば、アルギン酸ナトリウム水溶液Aに、硬化剤、薬剤、酸素、細胞、顔料、触媒、ナノ粒子、蛍光粒子等を含ませて、液滴として噴射する。これにより、硬化剤、薬剤、酸素、細胞、顔料、触媒、ナノ粒子、蛍光粒子等を内部に封入したゲルGを得ることができる。例えば、硬化剤や薬剤を内部に封入したゲルGは、外部圧力等が加わったときゲルGから硬化剤や薬剤が出て硬化作用や薬剤作用が始まるといった使用方法をも可能とし、さらに、微小液体を形成することにより、狭小な箇所でも硬化作用や薬剤作用を得られるゲルGを製造することが可能である。特に、歯科材料として硬化剤を内部に封入した微小なゲルGを製造することによって、歯冠などの狭小な箇所に適量の硬化剤を与えることが可能である。硬化剤を必要量以上使用することがなく、硬化剤の無駄がなくなる他、歯科治療の費用を低くすることができる。なお、それぞれの液体における液滴の大きさや濃度は、各実施形態の設定に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0053】
2…ゲル製造装置 10…ベースプレート 12…ゲル生成ユニット 14…第1液体供給ユニット(第1液体供給部) 16…ヘッド吸引ポンプ 18…第1作業台 20…ヘッド(噴射機構) 22…ヘッド駆動BOX 24…シャーレー(第2液体容器) 26…シャーレーガイドプレート 28…スターラー(流動機構) 30…プレート 32…回転子 34…ノズルプレート 36…ノズル 40…ヘッド固定部 42…塩化カルシウム水溶液供給口 48…第1液体供給パック(第1液体容器) 50…電子天秤(計測部) 52…アジャスター 54…画像解析部 56…天面 58…第1液体供給口 60…導管 62…撮像機 64…表示部 66…操作部 68…CPU 70…ROM 74…RAM 76…噴射制御部 78…渦巻制御部 80…液量検出部(ゲル数算出部) 82…入出力インターフェイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体と第2液体とを反応させゲルを生成するゲル製造装置であって、
前記第2液体を収納する第2液体容器と、
前記第2液体容器内で前記第2液体を流動させる流動機構と、
流動されている前記第2液体に、前記第1液体を噴射するノズルが形成されたノズルプレートを備えた噴射機構と、
前記噴射機構に供給する前記第1液体を収納する第1液体容器と、前記第1液体容器の重さを計測する計測部と、を備えた第1液体供給部と、
計測される前記第1液体容器の重さに基づいて、生成されるゲルの数を算出するゲル数算出部と、
を有することを特徴とするゲル製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−192358(P2012−192358A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59062(P2011−59062)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】