ゲートウェイ装置、及び、通信ブロック割当変更方法
【課題】本発明は、収容替えの判定、及び、収容替えの操作を、サービスを受けるユーザに影響を与えないように、統合ゲートウェイ装置に自動的かつ自律的に実行させ、保守者の作業負荷を軽減することを目的とする。
【解決手段】複数のネットワークの間に位置し、前記複数のネットワークを接続するゲートウェイ装置において、ゲートウェイ装置のプロセッサの資源が、第1通信ブロック、第2通信ブロック、及び制御ブロックに割り当てられ、第1通信ブロックの第1接続数から前回の第1接続数を減算した第1減算結果を算出し、第2通信ブロックの第2接続数から前回の第2接続数を減算した第2減算結果を算出し、第1減算値又は第2減算値が第1所定値以下となった減算値に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする。
【解決手段】複数のネットワークの間に位置し、前記複数のネットワークを接続するゲートウェイ装置において、ゲートウェイ装置のプロセッサの資源が、第1通信ブロック、第2通信ブロック、及び制御ブロックに割り当てられ、第1通信ブロックの第1接続数から前回の第1接続数を減算した第1減算結果を算出し、第2通信ブロックの第2接続数から前回の第2接続数を減算した第2減算結果を算出し、第1減算値又は第2減算値が第1所定値以下となった減算値に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワークを接続するゲートウェイ装置に関し、特に、接続数が増加している論理ノードを増加させるゲートウェイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲートウェイ装置は、通信システムにおいてネットワーク網と無線通信ネットワークに接続されるユーザ端末との間に存在し、通信媒体及びプロトコルが異なるデータを相互に変換して、ユーザの望む接続先との通信を可能にするための装置である。
【0003】
ゲートウェイ装置の一種に統合ゲートウェイ装置がある。統合ゲートウェイ装置は、複数の通信ネットワークに対して接続できる機能を備える。例えば、統合ゲートウェイ装置は、無線通信ネットワークであるLTEネットワーク及びEVDOネットワークの両方に接続できる。
【0004】
LTEネットワーク及びEVDOネットワークについて説明する。
【0005】
LTE及びEVDOは無線通信規格の名称である。EVDOネットワークは現在使用されている無線通信規格であり、LTEネットワークは今後サービスを開始する予定の無線通信規格である。LTEネットワークでは、100Mbit/s以上の通信速度を実現することが可能となり、EVDOネットワークより高速な通信が可能である。今後、現在使用中のEVDOネットワークからLTEネットワークへとユーザが移行することが想定される。
【0006】
統合ゲートウェイ装置は、LTEネットワークと接続するための機能部であるP−GWブロック、及び、EVDOネットワークと接続するための機能部であるHAブロックを備える。これらを総称して通信ブロックという。
【0007】
LTEネットワークのユーザ数が増加してきた場合、統合ゲートウェイ装置は、P−GWブロックを新たに用意し、LTEネットワークへの収容可能数を増加させる必要がある。
【0008】
このため、LTEネットワークのユーザ数の増加の割合等から、P−GWブロックをいつ新しく用意するか、という判断が必要になる。また、装置の更新の際にサービスを中断することなく新しい装置を導入することもサービスの品質向上のため重要である。
【0009】
前述の通り、統合ゲートウェイ装置は複数の通信システムの通信を制御する。この場合、各通信ブロックが使用するCPUの数を適切な構成にすることが課題となる。
【0010】
ある通信ブロックが使用するCPU及び他の通信ブロックが使用するCPUの比率と、統合ゲートウェイ装置に接続する呼の比率とがかけ離れていると、統合ゲートウェイ装置全体の性能上の収容可能数に余裕があっても、実際にはLTEブロック及びHAブロックのいずれかが使用するCPU数が不足し、統合ゲートウェイ装置に接続できない呼が発生する可能性がある。
【0011】
このため、接続してくる呼の比率に基づいて統合ゲートウェイ装置の通信システムに利用されるCPUの比率を適切に設定することが重要である。
【0012】
統合ゲートウェイ装置に接続してくる呼の比率に基づいて、統合ゲートウェイ装置において通信ブロックが使用するCPUの比率を調整するために、各通信ブロックが使用するCPU間で収容替えを実行する。
【0013】
収容替えとは、あるCPUで収容しているユーザを他のCPUで収容するように移し替えることである。収容替えによってCPUの機能をある通信ブロックから他の通信ブロックに変換する。これによって、統合ゲートウェイ装置に接続してくる呼の割合から通信ブロックが使用するCPUの比率を調整し、統合GW装置の収容可能数を余らせることなく使用できる。
【0014】
統合ゲートウェイ装置のようなノード装置の内部には複数の論理ノードが存在する。既存のシステムでは装置に備わるCPUごとの論理ノードの構成を動的かつ自律的に変更することはなかった。
【0015】
このため、ある論理ノードが接続可能数の上限まで使用されている場合、統合ゲートウェイ装置全体でまだ接続可能数に余裕があれば、接続可能数の上限まで使用されていない論理ノードにはユーザが接続することができるが、接続可能数の上限まで使用されている論理ノードにはユーザが接続することはできない。したがって、一部の論理ノードに接続が集中するような状況になると統合ゲートウェイ装置を効率的に運用できなかった。
【0016】
ここで、新しい無線通信システムのサービスが開始された場合のユーザ数の推移について考える。新しい無線通信システムのサービスが開始された時点では、今まで稼働している古い通信システムのユーザがユーザ総数の多くの部分を占め、新しい通信システムのユーザ数はそれほど多くはないと考えられる。
【0017】
このため、新しい通信システムのサービス開始時には新しい通信システム用の通信ブロックにはそれほど強力な性能を求める必要はないと考えられる。
【0018】
新しい無線通信システムのサービス開始から時間が経つにつれて、古い通信システムを利用していたユーザが新しい通信システムにサービスを切り替え始めると予想される。したがって、新しい通信システムのユーザ数が増大するため、サービス開始時の状態から新しい無線通信システム用の設備を増加、又は古い無線通信システム用の装置を新しい無線通信システム用に交換して、新しい無線通信システムのユーザの収容可能数を増加させる必要がある。
【0019】
ただし、この場合、装置を増設するには大きなコストがかかるため、ただ単に装置を増設するのではなく、各無線通信システムの接続ユーザ数を調べて、いつ、どの装置の設備を変更するかの計画を立て、装置を増設する必要がある。接続ユーザ数の調査、いつ、どの装置の設備を変更するかの決定、及び、実際の設備の変更作業をする作業者が必要である。
【0020】
今までも収容替えを行う装置は開発されている。例えば、ユーザ情報を収容している装置を廃止する場合、収容しているユーザ情報を別の装置に移動させることによって収容替えを実行する方法が知られている。この方法では、どの装置に収容替えを実施するかは予め決定されている必要がある。また、人の操作によって、ある装置に収容しているユーザ情報を任意の装置に移動させることによって収容替えを実行する方法も知られている。
【0021】
さらに、交換機が廃止対象とされて実際に交換機が廃止される場合、又は交換機が交換対象とされて新規交換機と交換される場合、交換機に半固定的に収容されていた多数の加入者を、時分割スイッチ内部での一斉パス切替えによって、別の交換機に一斉に分散収容替えをする方法が知られている(特許文献1参照)。分散収容替えによって、複数の交換機の処理負荷を均等化できる。
【0022】
収容替えをする場合、複数ノード間での加入者収容替えを、収容替え先ノードのみに対する集中的な保守指示により行うことによって、収容替え元に収容されているユーザに対して収容替えを実施できる方法が知られている(特許文献2参照)。予め収容替え先ノードに収容替えできるかどうかを調査してから収容替え元ノードで収容替えを実施していたため、収容替え元ノードと収容替え先ノードとの両方のノードを操作する必要があったが、特許文献2に記載された方法では収容替え先ノードのみを操作するだけで収容替えを実施できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平9−36956号公報
【特許文献2】特開平10−117232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
新旧の無線通信システムの両方の機能を備える統合ゲートウェイ装置で新しい無線通信システムのサービスを開始した場合、収容替えを実施してCPUの機能を変換する必要があるが、この場合、以下の第1〜第4の課題がある。
【0025】
第1の課題は、収容替えをするか否かの判定するために、人手で各通信システムの接続ユーザ数及びメモリの使用状況等を確認する必要があるので、保守者の負担が大きい点である。
【0026】
第2の課題は、収容替えをすると判定した場合、どのCPUからどのCPUに収容替えをするかの収用計画を保守者が立てなければならず、保守者の負担が大きい点である。
【0027】
第3の課題は、収容替えをする場合、人手で収容替えの操作をしなければならず、保守者の負担が大きい点である。
【0028】
第4の課題は、すでに無線通信システムのサービスが開始されているため、サービスを受けるユーザに影響を与えずに収容替えを実行する必要がある点である。
【0029】
なお、特許文献1及び特許文献2に記載された方法でも、どちらも保守者が収容替えの計画を立てて、保守者が実際に収容替えの操作をする必要があり、第1〜第4の課題がある。
【0030】
本発明は、収容替えの判定、及び、収容替えの操作を、サービスを受けるユーザに影響を与えないように、統合ゲートウェイ装置に自動的かつ自律的に実行させ、保守者の作業負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の代表的な一例を示せば、無線通信端末が接続される第1無線通信ネットワーク、及び、前記第1無線通信ネットワークと異なる方式であって、前記無線通信端末が接続される第2無線通信ネットワークを接続するゲートウェイ装置において、前記ゲートウェイ装置は、少なくとも一つのプロセッサと、前記プロセッサに接続されるメモリとを備え、前記プロセッサの資源が、前記第1無線通信ネットワークを管理する第1通信ブロック、前記第2無線通信ネットワークを管理する第2通信ブロック、及び前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを管理する制御ブロックに割り当てられ、前記制御ブロックは、前記第1通信ブロックが管理する前記第1無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第1接続数、及び、前記第2通信ブロックが管理する前記第2無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第2接続数を計数する接続数計数部と、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを変更する割当変更部と、を備え、前記割当変更部は、今回計数された前記第1接続数から前回計数された第1接続数を減算した第1減算結果を算出し、今回計数された前記第2接続数から前回計数された第2接続数を減算した第2減算結果を算出し、前記算出された第1減算結果又は第2減算結果と第1所定値以下とを比較し、前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、収容替えの判定、及び、収容替えの操作を、サービスを受けるユーザに影響を与えないように、統合ゲートウェイ装置に自動的かつ自律的に実行させ、保守者の作業負荷を軽減することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態の統合ゲートウェイ装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態のARP requestの説明図である。
【図3】本発明の実施形態の不要ARPの説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の統合ゲートウェイ装置の各ブロックが不要ARPを用いてHAブロック及びP−GWブロック(以下、総称して通信ブロック)の接続数を把握する方法の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の機能変換処理のシーケンス図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のセッション数メッセージの説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の機能変換メッセージの説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPUによって実行される機能変換判定処理のフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態の予閉塞状態に遷移したCPUの説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の新たにP−GWブロックに割り当てられたCPUの説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の電源断処理のシーケンス図である。
【図12】本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPUによって実行される電源断判定処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施形態のHAブロックに割り当てられたCPUで電源断処理が実行された状態の説明図である。
【図14】本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPUによって実行される増加原因機能変換判定処理のフローチャートである。
【図15】本発明の第1の実施形態の増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUが機能変換する場合の増加原因機能変換処理のシーケンス図である。
【図16】本発明の第1の実施形態の電源供給が停止しているCPUが機能変換する場合の増加原因機能変換処理のシーケンス図である。
【図17】本発明の第1の実施形態のHAブロックに割り当てられ、電源供給が停止しているCPU111で機能変換処理が実行された場合の説明図である。
【図18】本発明の第1の実施形態の変形例の制御ブロックに割り当てられたCPUによって実行される増加原因機能変換判定処理のフローチャートである。
【図19】本発明の第2の形態の統合ゲートウェイ装置に備わるマルチコアCPUの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態を図1〜図17を用いて説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態の統合ゲートウェイ装置のブロック図である。
【0036】
統合ゲートウェイ装置は、ネットワーク網と無線通信端末(携帯電話等)を収容する基地局との間に配置され、データを送受信する装置である。
【0037】
無線通信端末がネットワーク網の所定の計算機宛にデータを送信すると、基地局は、無線通信端末によって送信されたデータを受信し、受信したデータを統合ゲートウェイ装置へ送信する。統合ゲートウェイ装置は、受信したデータに対してデータ処理を実行し、ネットワーク網のある計算機宛にデータを送信する。
【0038】
ネットワーク網の所定の計算機がデータを無線通信端末宛に送信する場合、統合ゲートウェイ装置は、所定の計算機から受信したデータを基地局へ送信する。そして、基地局は、受信したデータを無線通信端末に送信する。
【0039】
なお、統合ゲートウェイ装置は、無線通信端末のユーザに関するユーザ情報を保持し、ユーザ情報を参照して、基地局又はネットワーク網へデータを送信する。
【0040】
統合ゲートウェイ装置は、複数の通信方式が異なるネットワークと接続でき、例えば、LTEネットワーク及びEVDOネットワークに接続できる。この場合、統合ゲートウェイ装置は、LTEネットワーク及びEVDOネットワークのユーザを収容して通信できる。
【0041】
統合ゲートウェイ装置では、複数の論理ノードが生成され、本実施形態では、制御ブロック、P−GWブロック、HAブロック、及び冗長ブロック等が生成される。
【0042】
P−GWブロックは、LTEネットワークを利用する無線通信端末の通信を制御し、HAブロックは、EVDOネットワークを利用する無線通信端末の通信を制御する。制御ブロックは、各ブロックを制御し、冗長ブロックは、いずれかのブロックが動作しない場合に代替ブロックとして使用するブロックである。
【0043】
本実施形態では、統合ゲートウェイ装置は5個のCPU110〜114及び5個のメモリ130〜134を備え、CPU及びメモリ単位で各ブロックに割り当てられることによって、論理ノードが生成される。
【0044】
CPU110及びメモリ130は、制御ブロックに割り当てられている。CPU111、112及びメモリ131、132は、HAブロックに割り当てられている。CPU113及びメモリ133は、P−GWブロックに割り当てられている。CPU114及びメモリ134は、冗長用ブロックに割り当てられている。
【0045】
HAブロックに割り当てられたメモリ131及び132には、HAブロックに接続する無線通信端末に関するデータが記憶され、P−GWブロックに割り当てられたメモリ133には、P−GWブロックに接続する無線通信端末に関するデータが記憶される。
【0046】
なお、P−GWブロックに割り当てられるCPUの数が多い場合、P−GWブロックの処理能力が大きく、LTEネットワークに収容可能な無線通信端末の数が多いことを示す。一方、HAブロックに割り当てられるCPUの数が多い場合、HAブロックの処理能力が大きく、EVDOネットワークに収容可能な無線通信端末の数が多いことを示す。
【0047】
LTEネットワークを利用する無線通信端末の数は増加し、EVDOネットワークを利用する無線通信端末の数は減少することが想定される。
【0048】
LTEネットワークを利用する無線通信端末の数の増加割合等から、CPUをP−GWブロックに割り当てるタイミングの判断が必要となる。なお、統合ゲートウェイ装置は、CPUのブロックへの割り当てを変更する場合であっても、サービスを中断することは許されない。
【0049】
本実施形態では、制御ブロックは、P−GWブロック及びHAブロックに接続される無線通信端末の数を不要ARP(Gratuitous ARP)によって把握することができる。
【0050】
図2〜図4を用いて不要ARPについて説明する。
【0051】
まず、HAブロックは、自身に無線通信端末が接続された場合、不要ARP(Address Resolution Protocol)を送信するものである。
【0052】
まず、不要ARPについて説明する前に、ARPについて説明する。
【0053】
ARPは、イーサネット(登録商標)環境においてIPアドレスからMACアドレスを得るためのプロトコルである。
【0054】
図2は、本発明の実施形態のARP requestの説明図である。
【0055】
図2では、無線通信端末がHAブロック1のMACアドレスを得る場合について説明する。
【0056】
無線通信端末は、HAブロック1のMACアドレスを得るために、ARP requestをブロードキャストで送信する。ARP requestには、送信元(無線通信端末)のIPアドレス、送信元(無線通信端末)のMACアドレス、送信先(HAブロック1)のIPアドレスが含まれる。
【0057】
ブロードキャストで送信されたARP Requestを受信したすべての端末(HAブロック1〜3)は、受信したARP Requestに含まれる送信先(HAブロック1)のIPアドレスと自身のIPアドレスとが一致するか否かを判定する。
【0058】
両者のIPアドレスが一致した場合、当該端末(HAブロック1)は、自身のMACアドレスを含むARP replyを送信元の無線通信端末へ送信する。
【0059】
なお、ARP replyにはARP requestに含まれる情報に加えて、送信先(HAブロック1)のMACアドレスが含まれる。
【0060】
以上によって、端末Aが端末BのMACアドレスを得るためには、端末BのIPアドレスを含むARP requestをブロードキャストで送信すればよい。これによって、端末Bは、自身のMACアドレスを含むARP replyを端末Aに送信するので、端末Aは端末BのMACアドレスを得ることができる。
【0061】
図3は、本発明の実施形態の不要ARPの説明図である。
【0062】
不要ARPは、ARPパケットの一種である。不要ARPは、ARP Requsetに含まれる送信先のIPアドレスに自身のIPアドレスが登録されている。
【0063】
通常、不要ARPの送信先のIPアドレスと不要ARPを受信した端末のIPアドレスとが一致することはないので、IPアドレスが送信元の端末と重複していない限り、不要ARPを受信した端末はARP replyを送信しない。このため、不要ARPは、IPアドレスの重複を検知するために利用できる。
【0064】
ここで、図3に示すように、HAブロック1は、無線通信端末が接続された場合、不要ARPをブロードキャストで送信する。これによって、当該HAブロックは、自身に無線通信端末が接続されたことを他のHAブロック2、3に通知できる。
【0065】
図4は、本発明の第1の実施形態の統合ゲートウェイ装置の各ブロックが不要ARPを用いてHAブロック及びP−GWブロック(以下、総称して通信ブロック)の接続数を把握する方法の説明図である。
【0066】
図4では、無線通信端末がHAブロックに割り当てられているCPU111に接続した場合、当該CPU111は不要ARPをブロードキャストで送信する。ブロードキャストで送信された不要ARPはCPU110、112〜114及び外部機器によって受信される。
【0067】
不要ARPでは、図3で説明したように、送信先IPアドレスと送信元IPアドレスとが同じに設定される。このため、当該不要ARPを受信するCPU110、112〜114は、受信したパケットに含まれる送信先IPアドレスと送信元IPアドレスとが一致していれば、不要ARPを受信したと判定できる。
【0068】
CPU110〜114は、不要ARPを受信した場合、不要ARPの受信数を送信元IPアドレスごとに計数する。これによって、HAブロックに割り当てられたCPU111、112、及びP−GWブロックに割り当てられたCPU113への無線通信端末の接続数を把握できる。
【0069】
通信ブロックに割り当てられたCPUへの無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合する場合、当該CPUを他方の通信ブロックに割り当てる処理(機能変換処理)について、図5〜図8を用いて説明する。
【0070】
図5は、本発明の第1の実施形態の機能変換処理のシーケンス図である。
【0071】
まず、HAブロックに割り当てられたCPU112(HAブロック2)は、自身に無線通信端末が接続されたことを検出し(501)、不要ARPをブロードキャストで送信する(502)。
【0072】
各CPU110〜113は、不要ARPに基づいて、各CPU111〜113への無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合するか否かの判定処理を周期的に実行している。
【0073】
具体的には、各CPU110〜113は、受信した不要ARPの送信元IPアドレスに基づいて各CPUへ接続される無線通信端末の合計接続数を特定する。そして、各CPU110〜113は、前回判定処理を実行した場合に特定された各CPU110〜113の合計接続数(前回合計接続数)を特定する。そして、CPU110〜113は、各CPUごとに合計接続数から前回合計接続数を減算し、減算した値が所定の下限値以下であるか否かを判定する。
【0074】
CPU110は、上述の処理により通信ブロックに割り当てられたすべてのCPU111〜113について判定処理を実行できるが、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113は、受信した不要ARPに基づいて自身の無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合するか否かを判定できない。
【0075】
このため、CPU111〜113は、送信した不要ARPに基づいて自身へ接続される無線通信端末の合計接続数を特定し、前回判定処理を実行した場合に特定された自身の合計接続数(前回合計接続数)を特定する。そして、CPU111〜113は、合計接続数から前回合計接続数を減算し、減算した値が所定の下限値以下であるか否かを判定する。
【0076】
ここで、CPU110〜113は、CPU112の接続数が所定の減少条件に適合すると判定する(503)。
【0077】
次に、ステップ503の処理で、CPU112の接続数が所定の減少条件に適合すると判定すると、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113は、自身と無線通信端末との間に確立されたセッション数を含むセッション数メッセージを制御ブロックに割り当てられたCPU110に通知する(504)。セッション数メッセージは、図6で詳細を説明する。セッション数は、各CPU111〜113に実際に接続している無線通信端末の数を示す。
【0078】
CPU110は、CPU111〜113からセッション数メッセージを受信し、受信したセッション数メッセージを参照し、所定の減少条件に適合すると判定されたCPU112のセッション数が所定値以下であると判定された場合、当該CPU112を他方の通信ブロック(P−GWブロック)に割り当てる機能変換を実行することを判定する(505)。
【0079】
そして、CPU110は、統合ゲートウェイ装置の保守者にCPU112の機能変換を実行する旨を通知し(506)、CPU112に機能変換メッセージを送信する(507)。機能変換メッセージは、図7で詳細を説明する。
【0080】
CPU112は、機能変換メッセージを受信した場合、自身を無線通信端末の新たな接続を受け付けない予閉塞状態にし、CPU112と無線通信端末との間のセッション数が0になった場合、受信した機能変換メッセージに含まれる変換後システム名703に登録されたブロックへ割り当てる(508)。
【0081】
図6は、本発明の第1の実施形態のセッション数メッセージの説明図である。
【0082】
セッション数メッセージは、メッセージタイプ601、メッセージ長602、及び接続セッション数603を含む。
【0083】
メッセージタイプ601には、メッセージの種別を示す識別子が登録され、ここでは、セッション数メッセージであることを示す識別子が登録される。メッセージ長602には、当該セッション数メッセージのbit長が登録される。接続セッション数603には、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113と無線通信端末との間に確立されたセッション数が登録される。
【0084】
図7は、本発明の第1の実施形態の機能変換メッセージの説明図である。
【0085】
機能変換メッセージは、メッセージタイプ701、メッセージ長702、変換後システム名703、及び通信先カード704を含む。
【0086】
メッセージタイプ701は、機能変換メッセージであることを示す識別子が登録される。メッセージ長702には、当該機能変換メッセージのbit長が登録される。
【0087】
変換後システム名703には、機能変換後に当該CPUに割り当てられる通信ブロックの識別子が登録される。通信先カード704には、機能変換メッセージの送信先となるCPUの識別子が登録される。
【0088】
図8は、本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPU110によって実行される機能変換判定処理のフローチャートである。
【0089】
この機能変換判定処理は、CPU110によって所定周期で繰り返し実行される。
【0090】
まず、CPU110は、受信した不要ARPを参照し、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113への無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合するか否かを判定する(801)。当該判定処理は、図5で説明したので、具体的な説明は省略する。
【0091】
ステップ801の処理で、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113の少なくとも一つのCPUが所定の減少条件に適合すると判定された場合、CPU110は、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUから受信したセッション数メッセージを参照し、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUと無線通信端末との間に確立されたセッション数が所定値以下であるか否かを判定する(802)。
【0092】
ステップ801の処理では不要ARPに基づく接続数の判定であるため、不要ARPの受信回数、つまり接続合計数である。このため、通信ブロックに実際に接続しているかについては特定できないので、ステップ802の処理で通信ブロックに実際に接続している数を示すセッション数に基づいて判定している。これは、実際に接続している無線通信端末の数が多いにもかかわらず、当該通信ブロックに割り当てられたCPUが他の通信ブロックに割り当てられることを防止するために実行される。
【0093】
ステップ802の処理で、所定の減少条件に適合しないと判定されたCPUと無線通信端末との間に確立されたセッション数が所定値以下であると判定された場合、CPU110は、当該CPUを予閉塞状態にして機能変換処理を実行させる機能変換メッセージを当該CPUに送信し(803)、処理を終了する。
【0094】
ステップ801の処理で、通信ブロックに割り当てられたすべてのCPU111〜113が所定の減少条件を満たさないと判定された場合、及び、ステップ802の処理で、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUと無線通信端末との間に確立されたセッション数が所定値より多いと判定された場合、CPU110は、ステップ803の処理を実行しないで、処理を終了する。
【0095】
これによって、接続数が減少傾向にあるCPUの通信ブロックを他の通信ブロックに自動的に割り当てることができる。
【0096】
次に、HAブロックに割り当てられたCPU112が、機能変換メッセージを受信し、予閉塞状態に遷移してからP−GWブロックに割り当てられる状態について、図9及び図10を用いて説明する。
【0097】
図9は、本発明の第1の実施形態の予閉塞状態に遷移したCPU112の説明図である。
【0098】
図5に示すステップ507の処理で、制御ブロックに割り当てられたCPU110から送信された機能変換メッセージを受信したCPU112は、予閉塞状態に遷移する。
【0099】
HAブロックに割り当てられたCPU112は、予閉塞状態に遷移すると、無線通信端末の新たな接続を受け付けない。この状態を示すため、図9では、CPU112とEVDOネットワークとの間は点線で示している。
【0100】
したがって、CPU112は、自身と無線通信端末との間に確立されたセッションが増加することはなく、当該セッションが0になるまで、つまり、当該CPU112に接続している無線通信端末が存在しなくなるまで、予閉塞状態となる。
【0101】
CPU112が予閉塞状態となった場合、冗長系ブロックに割り当てられたCPU114がHAブロックとして機能する。したがって、CPU112に対して接続を要求した無線通信端末は冗長系ブロックに割り当てられたCPU114に接続される。
【0102】
図10は、本発明の第1の実施形態の新たにP−GWブロックに割り当てられたCPU112の説明図である。
【0103】
予閉塞状態に遷移したCPU112は、自身と無線通信端末との間に確立されたセッションが0になると、自身をP−GWブロックに割り当てる。
【0104】
具体的には、統合ゲートウェイ装置の図示しない記憶装置からP−GWブロックのプログラムデータをメモリ132にロードし、これまでメモリ132にロードされていたHAブロックのプログラムデータと入れ替えることによって、CPU112の機能をHAブロックからP−GWブロックに変更する。
【0105】
そして、CPU112は、P−GWブロックに割り当てられた場合、冗長系ブロックに割り当てられているCPU114に機能変換終了メッセージを送信する。
【0106】
CPU114は、機能変換終了メッセージを受信した場合、自身と接続している無線通信端末に関する情報を、HAブロックに割り当てられているCPU111のメモリ131に移動することによって、これらの無線通信端末をCPU111に接続する。以降、CPU114に接続されていた無線通信端末に関する情報はメモリ131に記憶される。
【0107】
なお、HAブロックに割り当てられているCPU111のメモリ131の記憶可能な容量が、CPU114と接続している無線通信端末に関する情報の容量より少ない場合、CPU114は、HAブロックに割り当てられたCPU111を予閉塞状態に遷移させ、メモリ131の容量が無線通信端末に関する情報の容量以上になってから、当該無線通信端末に関する情報をメモリ131に移動する。
【0108】
次に、通信ブロックに割り当てられたCPUへの無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合する場合、当該CPUへの電源供給を停止する処理(電源断処理)について、図11〜図13を用いて説明する。
【0109】
図11は、本発明の第1の実施形態の電源断処理のシーケンス図である。
【0110】
電源断処理のうち、図5に示す機能変換処理と同じ処理は、図5と同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0111】
ステップ1101の処理について説明する。
【0112】
制御ブロックに割り当てられたCPU110は、受信した各CPU111〜113のセッション数を参照し、所定の減少要件に適合すると判定されたCPU112と異なる通信ブロック(P−GWブロック)に割り当てられているCPU113のセッション数が所定値より少ない場合、当該CPU112への電源供給を停止することを判定する(1101)。
【0113】
そして、CPU110は、統合ゲートウェイ装置の保守者にCPU112への電源供給を停止する旨を通知し(506)、CPU112に電源断メッセージを送信する(1102)。
【0114】
CPU112は、電源断メッセージを受信した場合、自身を無線通信端末の新たな接続を受け付けない予閉塞状態にし、CPU112と無線通信端末との間のセッション数が0になった場合、自身への電源供給を停止する(1103)。
【0115】
図12は、本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPU110によって実行される電源断判定処理のフローチャートである。
【0116】
電源断判定処理は、CPU110によって所定周期で繰り返し実行される。
【0117】
電源断判定処理のうち、図8に示す機能変換判定処理と同じ処理は、同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0118】
この電源断判定処理は、CPU110によって所定周期で繰り返し実行される。
【0119】
ステップ801の処理で、ステップ801の処理で、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113の少なくとも一つのCPUが所定の減少条件に適合すると判定された場合、CPU110は、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUが割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUのセッション数が所定値以上であるか否かを判定する(1201)。
【0120】
ステップ1201の処理で、異なる通信ブロックに割り当てられたCPUのセッション数が所定値以上であると判定された場合、CPU110は、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUに、当該異なる通信ブロックに変換するための機能変換メッセージを送信し(803)、電源断判定処理を終了する。
【0121】
異なる通信ブロックのCPUのセッション数が所定値以上であり、異なる通信ブロックは無線通信端末を収容できなくなる可能性が高い場合に、減少条件に適合するCPUを当該通信ブロックに新たに割り当てるので、無線通信端末を収容できない事態の発生を防止する。
【0122】
一方、ステップ1202の処理で、異なる通信ブロックに割り当てられたCPUのセッション数が所定値未満であると判定された場合、CPU110は、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUを予閉塞状態にして電源断処理を実行させる電源断メッセージを、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUに送信し(1203)、電源断判定処理を終了する。
【0123】
異なる通信ブロックのCPUのセッション数が所定値未満であり、異なる通信ブロックは無線通信端末を収容できなくなる可能性が低い場合に、減少条件に適合するCPUへの電源供給を停止するので、無駄な電力の消費を低減できる。
【0124】
ステップ801の処理で、通信ブロックに割り当てられたすべてのCPU111〜113が所定の減少条件を満たさないと判定された場合、電源断判定処理を終了する。
【0125】
図13は、本発明の第1の実施形態のHAブロックに割り当てられたCPU112で電源断処理が実行された状態の説明図である。
【0126】
図13では、HAブロックに割り当てられたCPU112が、所定の減少条件に適合するCPUと判断される。そして、当該CPU112に割り当てられたHAブロックと異なる通信ブロックであるP−GWブロックに割り当てられたCPU113のセッション数が所定値未満であると判断される。
【0127】
このため、P−GWブロックが無線通信端末を収容できなくなり、他のCPUの割り当てを必要とする事態が発生する可能性が低いので、所定の減少条件に適合するCPU112への電源の供給を停止している。
【0128】
次に、ある通信ブロックに割り当てられたCPUが所定の増加条件に適合する場合、当該CPUは無線通信端末を収容できなくなる可能性が高いため、他のCPUを当該通信ブロックに割り当てる増加原因機能変換処理について、図14〜図17を用いて説明する。
【0129】
図14は、本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPU110によって実行される増加原因機能変換判定処理のフローチャートである。
【0130】
増加原因機能変換判定処理は、CPU110によって所定周期で繰り返し実行される。
【0131】
まず、CPU110は、受信した不要ARPを参照し、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113への無線通信端末の接続数が所定の増加条件に適合するか否かを判定する(1401)。
【0132】
具体的には、CPU110は、受信した不要ARPの送信元IPアドレスに基づいて各CPUへ接続される無線通信端末の合計接続数を特定する。そして、CPU110は、前回増加原因機能変換判定処理を実行した場合に特定された各CPUの合計接続数(前回合計接続数)を特定する。そして、CPU110は、各CPUごとに合計接続数から前回合計接続数を減算し、減算した値が所定の上限値以上であるか否かを判定する。
【0133】
CPU110は、減算した値が所定の上限値以上であるCPUを所定の増加条件に適合するCPUと判定する。
【0134】
ステップ1401の処理で、増加条件に適合するCPUがあると判定された場合、増加条件に適合するCPUが無線通信端末を収容できなくなる可能性が高く、当該CPUに割り当てられた通信ブロックを他のCPUを新たに割り当てる必要がある。
【0135】
CPU110は、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックに新たに割り当てるCPUを特定するためにステップ1402〜1405の処理を実行する。
【0136】
まず、CPU110は、電源供給が停止しているCPUがあるか否かを判定する(1402)。
【0137】
ステップ1402の処理で、電源供給が停止しているCPUがあると判定された場合、CPU110は、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックに電源供給が停止しているCPUを割り当てて、電源供給が停止しているCPUの電源供給を開始させる復帰メッセージを当該CPUに送信し(1403)、処理を終了する。
【0138】
一方、ステップ1402の処理で、電源供給が停止しているCPUがないと判定された場合、CPU110は、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUでセッション数が所定値以下のCPUがあるか否かを判定する(1404)。
【0139】
ステップ1404の処理で、異なる通信ブロックでセッション数が所定値以下のCPUがあると判定された場合、CPU110は、セッション数が所定値以下のCPUを予閉塞状態にして、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックの機能に変換する機能変換処理を実行させる機能変換メッセージを当該CPUに送信し(1405)、処理を終了する。
【0140】
なお、ステップ1404の処理で、セッション数が所定値以下のCPUが複数ある場合、CPU110は、これらのCPUのうち最もセッション数が少ないCPUを機能変換対象CPUとして選択する。
【0141】
一方、ステップ1404の処理で、異なる通信ブロックでセッション数が所定値以下のCPUがないと判定された場合、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックの機能に変換するCPUが存在しないので、そのまま処理を終了する。
【0142】
ステップ1401の処理で、増加条件に適合するCPUがないと判定された場合、処理を終了する。
【0143】
図15は、本発明の第1の実施形態の増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUが機能変換する場合の増加原因機能変換処理のシーケンス図である。
【0144】
まず、P−GWブロックに割り当てられたCPU113は、自身に無線通信端末が接続されたことを検出し(1501)、不要ARPをブロードキャストで送信する(1502)。
【0145】
ここで、CPU110〜113は、CPU113の接続数が所定の増加条件に適合すると判定する(1503)。
【0146】
ステップ1503の処理における増加条件判定処理の具体的な処理は、図14に示すステップ1401と同じであるので説明を省略する。
【0147】
次に、ステップ1503の処理で、CPU113の接続数が所定の増加条件に適合すると判定された場合、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113は、自身と無線通信端末との間に確立されたセッション数を含むセッション数メッセージを制御ブロックに割り当てられたCPU110に通知する(1504)。
【0148】
CPU110は、CPU111〜113からセッション数を受信した場合、接続数が所定の増加条件に適合するCPU113に割り当てられたP−GWに新たに割り当てるCPU(機能変換対象CPU)を選択する。具体的には、CPU110は、図14に示すステップ1402及び1404の処理を実行し、電源供給を停止しているCPU、又はHAブロックに割り当てられたCPUのうちセッション数が所定値以下であってセッション数が最小のCPUを、機能変換対象CPUとして選択する。
【0149】
図15では、CPU110は、機能変換対象CPUとしてHAブロックに割り当てられたCPU112を選択する(1505)。
【0150】
そして、CPU110は、統合ゲートウェイ装置の保守者にCPU112の機能変換を実行する旨を通知し(1506)、CPU112に機能変換メッセージを送信する(1507)。なお、機能変換メッセージの変換後システム名703でP−GWブロックを指定する。
【0151】
CPU112は、機能変換メッセージを受信した場合、自身を無線通信端末の新たな接続を受け付けない予閉塞状態にし、CPU112と無線通信端末との間のセッション数が0になった場合、受信した機能変換メッセージに基づいて、P−GWブロックに割り当てる(1508)。
【0152】
図16は、本発明の第1の実施形態の電源供給が停止しているCPUが機能変換する場合の増加原因機能変換処理のシーケンス図である。
【0153】
図16に示す増加原因機能変換処理のうち図15と同じ処理は、同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0154】
図16では、HAブロックに割り当てられたCPU111は、電源供給が停止しているため、ステップ1502の処理で送信される不要ARPを受信せず、ステップ1503の処理で、P−GWブロックに割り当てられたCPU113の接続数が所定の増加条件に適合する旨も検出しない。さらに、CPU111は、ステップ1504の処理で、自ノードのセッション数を含むセッション数メッセージも送信しない。
【0155】
CPU110は、電源供給が停止しているCPU111があるので、機能変換対象CPUとしてCPU111を選択する(1601)。
【0156】
そして、CPU110は、ステップ1506の処理に進み、統合ゲートウェイ装置の保守者にCPU111の電源供給を開始する旨を通知し、CPU111に復帰命令を出力する。CPU111は、電源供給が開始された場合、CPU110に電源供給が開始された旨を通知する。CPU110は、電源供給が開始された旨を通知されると、CPU111に割り当てる通信ブロック(P−GW)を特定可能な情報を含む復帰メッセージをCPU111に送信する(1602)。
【0157】
CPU111は、復帰メッセージを受信した場合、復帰メッセージで特定される通信ブロックに自身を割り当てる(1603)。
【0158】
図17は、本発明の第1の実施形態のHAブロックに割り当てられ、電源供給が停止しているCPU111で機能変換処理が実行された場合の説明図である。
【0159】
図17では、P−GWブロックに割り当てられたCPU113が所定の増加条件に適合するCPUと判断される。そして、電源供給が停止しているCPU112があるので、CPU110は、機能変換対象CPUとしてCPU111を選択し、CPU111への電源供給を再開し、CPU111にP−GWブロックを割り当てる。
【0160】
以上によって、通信ブロックに割り当てられたCPUのうち増加条件に適合するCPUがある場合、電源供給を停止しているCPU、又は他の通信ブロックに割り当てられたCPUのうちセッション数が所定値以下であってセッション数が最小のCPUを、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックに新たに割り当てる。これによって、ある通信ブロックに接続する無線通信端末の数が増加している場合であっても、当該通信ブロックにCPUを新たに割り当てるので、通信ブロックが無線通信端末を収容できなくなる事態を防止できる。
【0161】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、機能変換対象となるCPUでは、予閉塞状態に遷移し、セッション数が0になった後に機能変換処理を実行したが、本変形例では、予閉塞状態に遷移させない機能変換処理を実行する。
【0162】
具体的な例を、図18を用いて説明する。
【0163】
図18は、本発明の第1の実施形態の変形例の制御ブロックに割り当てられたCPU110によって実行される増加原因機能変換判定処理のフローチャートである。
【0164】
図18に示す増加原因機能変換判定処理のうち、図14と同じ処理は、同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0165】
ステップ1402の処理で、電源供給が停止しているCPUがないと判定された場合、CPU110は、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUから、直近の所定時間のメモリ使用率の平均値が少ないCPUを、少ない順に二つ選択する(1801)。
【0166】
次に、CPU110は、ステップ1801の処理で選択された二つのCPUに割り当てられた通信ブロックを統合できるか否かを判定する(1802)。
【0167】
ここで、統合とは、ステップ1801の処理で選択されたCPUのうち、メモリ使用率の平均値が少ない方のCPUが無線通信端末との通信のために使用するデータを、メモリ使用率の平均値が多い方のCPUが使用するメモリに移動させることである。
【0168】
具体的には、CPU110は、ステップ1801の処理で選択された各CPUのセッション数を特定する。そして、CPU110は、各CPUのセッション数を加算した加算値が所定値以下であるか否かを判定し、当該加算値が所定値以下である場合、ステップ1801の処理で選択された二つのCPUに割り当てられた通信ブロックを統合できると判定する。
【0169】
なお、通信ブロックに割り当てられたCPUはセッション数に比例してメモリを使用する。
【0170】
ステップ1801の処理で選択された二つのCPUに割り当てられた通信ブロックを統合できるとステップ1802の処理で判定された場合、CPU110は、ステップ1801の処理で選択されたCPUのうちメモリ使用率の平均値が少ない方のCPUが、無線通信端末との通信のために使用するデータを、メモリ使用率の平均値が多い方のCPUが使用するメモリに移動させ、メモリ使用率の平均値が少ない方のCPUに、増加条件を満たすCPUに割り当てられた通信ブロックに変換するための機能変換メッセージを送信する(1803)。
【0171】
一方、ステップ1801の処理で選択された二つのCPUに割り当てられた通信ブロックを統合できないとステップ1802の処理で判定された場合、CPU110は、ステップ1801の処理で選択されたCPUのうちメモリ使用率の平均値が少ない方のCPUを予閉塞状態にし、当該CPUのセッション数が0になった場合に増加条件を満たすCPUに割り当てられた通信ブロックに変換するための機能変換メッセージを送信する(1804)。
【0172】
以上によって、機能変換を実行するCPUが他のCPUと統合できる場合、当該CPUを予閉塞状態に遷移させなくてもよいので、いち早く機能変換をすることができる。
【0173】
なお、このステップ1801〜ステップ1804の処理は、図8及び図12にも適用可能である。
【0174】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図19を用いて説明する。
【0175】
第1の実施形態では、CPU単位で各ブロックが割り当てられていたが、第2の実施形態では、マルチコアCPUのコア単位で各ブロックが割り当てられる。
【0176】
図19は、本発明の第2の形態の統合ゲートウェイ装置に備わるマルチコアCPU1801の説明図である。
【0177】
マルチコアCPU1801は、一つのCPUに複数のコア120〜123が含まれ、各コアが一つのCPUであるかのように処理を実行する。
【0178】
図19では、例えば、コア120が制御ブロックに割り当てられ、コア121がHAブロックに割り当てられ、コア121がHAブロックに割り当てられ、コア122がP−GWブロックに割り当てられ、コア123が冗長系コアに割り当てられているとする。
【0179】
コア単位での機能変換処理については第1の実施形態のCPUをコアとすれば実現可能であるので、説明を省略する。
【0180】
(第3の実施形態)
第2の実施形態は、コア単位で各ブロックを割り当てるものであるが、第3の実施形態は、一つのCPUのCPUリソースを各ブロック(HAブロック及びP−GWブロック)に割り当てる割合を変更するものである。
【0181】
一つのCPU内のCPUリソースがHAブロック及びP−GWブロックに割り当てられる場合、HAブロックで用いるデータ形式とP−GWブロックで用いるデータ形式とが相違するため、メモリに通信ブロックごとにデータの保存領域を予め確保しなければならない。
【0182】
ここで、ある通信ブロックの接続可能数を増加させる場合、当該通信ブロックに割り当てるCPUリソースの割合を増加させるため、他の通信ブロックに割り当てるCPUリソースの割合を減少させなければならない。
【0183】
例えば、P−GWブロックに割り当てるCPUリソースの割合を増加させ、HAブロックに割り当てるCPUリソースの割合を減少させる場合、HAブロックのセッション数をCPUリソース減少後のHAブロックに収容可能なセッション数まで減少させる必要がある。
【0184】
換言すれば、P−GWブロックに割り当てるCPUリソースの割合を増加させる場合、HAブロックに収容可能なセッション数が、HAブロックの現在割り当てられている割合での収容可能なセッション数(現在最大収容数)から減少対象となる割合での収容可能なセッション数(減設対象数)を減算した値まで減少した後、P−GWブロックに割り当てるCPUリソースの割合を増加させる。
【0185】
ここで、同一のCPU内で、P−GWブロックに割り当てられるCPUリソースの割合と、HAブロックに割り当てられるCPUリソースの割合とを変更するシーケンスについて説明する。
【0186】
制御ブロックは、CPUリソースを減少させる通信ブロック(減設対象ブロック、例えば、HAブロック)に、減設対象数を含むメッセージを通知する。
【0187】
減設対象ブロックは、制御ブロックからメッセージが通知されると、自身のセッション数が、現在最大収容数から減設対象数を減算した値まで減少するまで、無線通信端末からの新たな接続を受け付けない予閉塞状態に遷移する。そして、減設対象ブロックは、自身のセッション数が、現在最大収容数から減設対象数を減算した値まで減少した場合、当該減設対象ブロック用に確保されたメモリの記憶領域には減設対象数分の空き領域があるので、当該空き領域をP−GWブロックの使用領域に割り当て、予閉塞状態を解除する。
【0188】
これによって、減設対象ブロックに現在接続している無線通信端末への接続を中断せず、機能変換処理を実行できる。
【0189】
(第4の実施形態)
また、第2の実施形態では、各通信ブロックに割り当てられたコア単位で、セッション数及び各通信ブロックからの不要ARPの受信に基づいて機能変換等を実行するか否かを判定することを説明したが、第4の実施形態では、各通信ブロックに割り当てられたコアの無線通信端末との通信によるトランザクション量に基づいて機能変換等を実行するか否かを判定する。
【0190】
制御ブロックは、トランザクション量が多い通信ブロックのコアの負荷を軽減させるために、当該コアに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたコアのうちトランザクション量が少ないコアを、トランザクション量の多い通信ブロックに割り当てる。
【0191】
具体的には、制御ブロックは、通信ブロックに割り当てられている各コアについて、無線通信端末との通信によるトランザクション量が第1の所定値以上であるコアが存在するか否かを判定する。
【0192】
制御ブロックは、トランザクション量が第1の所定値以上であると判定されたコアが存在すると判定された場合、当該コアに割り当てられた通信ブロック以外の通信ブロックに割り当てられたコアのうち、トランザクション量が第2の所定値以下であるコアが存在するか否かを判定する。ここで、第2の所定値は第1の所定値より小さい値に設定される。
【0193】
トランザクション量が第2の所定値以下であるコアが存在すると判定された場合、制御ブロックは、当該コアを、トランザクションが第1の所定値以上であると判定されたコアに割り当てられた通信ブロックに割り当てる。
【0194】
一方、トランザクション量が第2の所定値以下であるコアが存在しないと判定された場合、制御ブロックは、トランザクション量が第1の所定値以上であると判定されたコアに割り当てられた通信ブロックに新たにコアを割り当てない。これによって、トランザクション量が第1の所定値以上であるコアに割り当てられた通信ブロックにトランザクション量が第2の所定値より大きいコアを割り当てると、割り当てるコアに割り当てられていた通信ブロックで処理可能なトランザクション量が減少するため、無線通信端末が割り当て前の通信ブロックに接続できなくなる事態を防止できる。
【0195】
なお、統合ゲートウェイ装置の保守者は、第1の所定値及び第2の所定値を、各通信システムに割り当てられたコア数に応じて、設定できるものとする。
【0196】
これによって、各コアのトランザクション量に基づいて、コア単位で機能変換を実行できる。
【0197】
例えば、P−GWブロックに割り当てられたコアで、LTEユーザによるトランザクション量が第1の所定値以上であると判定された場合、制御ブロックは、HAブロックに割り当てられたコアのうち、EVDOユーザによるトランザクション量が第2の所定値以下であるコアがあると判定したとする。この場合、制御ブロックは、当該トランザクション量が第2の所定値以下であるコアをP−GWブロックに割り当てるように設定する。
【0198】
これによって、P−GWブロックに割り当てられたコア数が増加し、P−GWブロックによって処理可能なトランザクション量が増加するため、P−GWブロックはトランザクション量が増加しても対応できる。
【0199】
なお、振分用コアの設定を変更することによって、コアに割り当てられていた通信ブロックを変更するようにしてもよい。この場合、振分用コアは、変更対象のコアで処理中のユーザの呼に対する処理が終了した後、変更対象のコアに割り当てられていた通信ブロックを変更する。
【0200】
第1〜第4の実施形態において、統合ゲートウェイ装置が収容替えを自動的にするか否かは、保守者が当該ゲートウェイ装置に設定可能である。
【0201】
また、統合ゲートウェイ装置が自動的に収容替えをする場合、収容替えをするか否かの判定に用いる各種所定値は、保守者によって予め設定される。
【0202】
さらに、各通信ブロックの無線通信端末の接続数等に基づいて、無線通信端末の接続先となる通信ブロックのトレンドを予測し、収容替えを行うことも可能である。例えば、あるコンテンツに接続する無線通信端末の数が増加し、今後さらに増加する可能性がある場合、コンテンツの開始に伴って急激に接続数が増加している場合等に、当該コンテンツへ接続する通信ブロックの接続可能数を増加させるように収容替えをする。
【0203】
また、新しい通信方式の無線通信端末の導入による接続数の増加を予想して、保守者が時間指定で収容替えをすることも可能である。これによって、新しい通信方式の無線通信端末の接続数を確保することができる。
【符号の説明】
【0204】
110〜114 CPU
130〜134 メモリ
601 メッセージタイプ
602 メッセージ長
603 接続セッション数
701 メッセージタイプ
702 メッセージ長
703 変換後システム名
704 通信先カード
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワークを接続するゲートウェイ装置に関し、特に、接続数が増加している論理ノードを増加させるゲートウェイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲートウェイ装置は、通信システムにおいてネットワーク網と無線通信ネットワークに接続されるユーザ端末との間に存在し、通信媒体及びプロトコルが異なるデータを相互に変換して、ユーザの望む接続先との通信を可能にするための装置である。
【0003】
ゲートウェイ装置の一種に統合ゲートウェイ装置がある。統合ゲートウェイ装置は、複数の通信ネットワークに対して接続できる機能を備える。例えば、統合ゲートウェイ装置は、無線通信ネットワークであるLTEネットワーク及びEVDOネットワークの両方に接続できる。
【0004】
LTEネットワーク及びEVDOネットワークについて説明する。
【0005】
LTE及びEVDOは無線通信規格の名称である。EVDOネットワークは現在使用されている無線通信規格であり、LTEネットワークは今後サービスを開始する予定の無線通信規格である。LTEネットワークでは、100Mbit/s以上の通信速度を実現することが可能となり、EVDOネットワークより高速な通信が可能である。今後、現在使用中のEVDOネットワークからLTEネットワークへとユーザが移行することが想定される。
【0006】
統合ゲートウェイ装置は、LTEネットワークと接続するための機能部であるP−GWブロック、及び、EVDOネットワークと接続するための機能部であるHAブロックを備える。これらを総称して通信ブロックという。
【0007】
LTEネットワークのユーザ数が増加してきた場合、統合ゲートウェイ装置は、P−GWブロックを新たに用意し、LTEネットワークへの収容可能数を増加させる必要がある。
【0008】
このため、LTEネットワークのユーザ数の増加の割合等から、P−GWブロックをいつ新しく用意するか、という判断が必要になる。また、装置の更新の際にサービスを中断することなく新しい装置を導入することもサービスの品質向上のため重要である。
【0009】
前述の通り、統合ゲートウェイ装置は複数の通信システムの通信を制御する。この場合、各通信ブロックが使用するCPUの数を適切な構成にすることが課題となる。
【0010】
ある通信ブロックが使用するCPU及び他の通信ブロックが使用するCPUの比率と、統合ゲートウェイ装置に接続する呼の比率とがかけ離れていると、統合ゲートウェイ装置全体の性能上の収容可能数に余裕があっても、実際にはLTEブロック及びHAブロックのいずれかが使用するCPU数が不足し、統合ゲートウェイ装置に接続できない呼が発生する可能性がある。
【0011】
このため、接続してくる呼の比率に基づいて統合ゲートウェイ装置の通信システムに利用されるCPUの比率を適切に設定することが重要である。
【0012】
統合ゲートウェイ装置に接続してくる呼の比率に基づいて、統合ゲートウェイ装置において通信ブロックが使用するCPUの比率を調整するために、各通信ブロックが使用するCPU間で収容替えを実行する。
【0013】
収容替えとは、あるCPUで収容しているユーザを他のCPUで収容するように移し替えることである。収容替えによってCPUの機能をある通信ブロックから他の通信ブロックに変換する。これによって、統合ゲートウェイ装置に接続してくる呼の割合から通信ブロックが使用するCPUの比率を調整し、統合GW装置の収容可能数を余らせることなく使用できる。
【0014】
統合ゲートウェイ装置のようなノード装置の内部には複数の論理ノードが存在する。既存のシステムでは装置に備わるCPUごとの論理ノードの構成を動的かつ自律的に変更することはなかった。
【0015】
このため、ある論理ノードが接続可能数の上限まで使用されている場合、統合ゲートウェイ装置全体でまだ接続可能数に余裕があれば、接続可能数の上限まで使用されていない論理ノードにはユーザが接続することができるが、接続可能数の上限まで使用されている論理ノードにはユーザが接続することはできない。したがって、一部の論理ノードに接続が集中するような状況になると統合ゲートウェイ装置を効率的に運用できなかった。
【0016】
ここで、新しい無線通信システムのサービスが開始された場合のユーザ数の推移について考える。新しい無線通信システムのサービスが開始された時点では、今まで稼働している古い通信システムのユーザがユーザ総数の多くの部分を占め、新しい通信システムのユーザ数はそれほど多くはないと考えられる。
【0017】
このため、新しい通信システムのサービス開始時には新しい通信システム用の通信ブロックにはそれほど強力な性能を求める必要はないと考えられる。
【0018】
新しい無線通信システムのサービス開始から時間が経つにつれて、古い通信システムを利用していたユーザが新しい通信システムにサービスを切り替え始めると予想される。したがって、新しい通信システムのユーザ数が増大するため、サービス開始時の状態から新しい無線通信システム用の設備を増加、又は古い無線通信システム用の装置を新しい無線通信システム用に交換して、新しい無線通信システムのユーザの収容可能数を増加させる必要がある。
【0019】
ただし、この場合、装置を増設するには大きなコストがかかるため、ただ単に装置を増設するのではなく、各無線通信システムの接続ユーザ数を調べて、いつ、どの装置の設備を変更するかの計画を立て、装置を増設する必要がある。接続ユーザ数の調査、いつ、どの装置の設備を変更するかの決定、及び、実際の設備の変更作業をする作業者が必要である。
【0020】
今までも収容替えを行う装置は開発されている。例えば、ユーザ情報を収容している装置を廃止する場合、収容しているユーザ情報を別の装置に移動させることによって収容替えを実行する方法が知られている。この方法では、どの装置に収容替えを実施するかは予め決定されている必要がある。また、人の操作によって、ある装置に収容しているユーザ情報を任意の装置に移動させることによって収容替えを実行する方法も知られている。
【0021】
さらに、交換機が廃止対象とされて実際に交換機が廃止される場合、又は交換機が交換対象とされて新規交換機と交換される場合、交換機に半固定的に収容されていた多数の加入者を、時分割スイッチ内部での一斉パス切替えによって、別の交換機に一斉に分散収容替えをする方法が知られている(特許文献1参照)。分散収容替えによって、複数の交換機の処理負荷を均等化できる。
【0022】
収容替えをする場合、複数ノード間での加入者収容替えを、収容替え先ノードのみに対する集中的な保守指示により行うことによって、収容替え元に収容されているユーザに対して収容替えを実施できる方法が知られている(特許文献2参照)。予め収容替え先ノードに収容替えできるかどうかを調査してから収容替え元ノードで収容替えを実施していたため、収容替え元ノードと収容替え先ノードとの両方のノードを操作する必要があったが、特許文献2に記載された方法では収容替え先ノードのみを操作するだけで収容替えを実施できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平9−36956号公報
【特許文献2】特開平10−117232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
新旧の無線通信システムの両方の機能を備える統合ゲートウェイ装置で新しい無線通信システムのサービスを開始した場合、収容替えを実施してCPUの機能を変換する必要があるが、この場合、以下の第1〜第4の課題がある。
【0025】
第1の課題は、収容替えをするか否かの判定するために、人手で各通信システムの接続ユーザ数及びメモリの使用状況等を確認する必要があるので、保守者の負担が大きい点である。
【0026】
第2の課題は、収容替えをすると判定した場合、どのCPUからどのCPUに収容替えをするかの収用計画を保守者が立てなければならず、保守者の負担が大きい点である。
【0027】
第3の課題は、収容替えをする場合、人手で収容替えの操作をしなければならず、保守者の負担が大きい点である。
【0028】
第4の課題は、すでに無線通信システムのサービスが開始されているため、サービスを受けるユーザに影響を与えずに収容替えを実行する必要がある点である。
【0029】
なお、特許文献1及び特許文献2に記載された方法でも、どちらも保守者が収容替えの計画を立てて、保守者が実際に収容替えの操作をする必要があり、第1〜第4の課題がある。
【0030】
本発明は、収容替えの判定、及び、収容替えの操作を、サービスを受けるユーザに影響を与えないように、統合ゲートウェイ装置に自動的かつ自律的に実行させ、保守者の作業負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の代表的な一例を示せば、無線通信端末が接続される第1無線通信ネットワーク、及び、前記第1無線通信ネットワークと異なる方式であって、前記無線通信端末が接続される第2無線通信ネットワークを接続するゲートウェイ装置において、前記ゲートウェイ装置は、少なくとも一つのプロセッサと、前記プロセッサに接続されるメモリとを備え、前記プロセッサの資源が、前記第1無線通信ネットワークを管理する第1通信ブロック、前記第2無線通信ネットワークを管理する第2通信ブロック、及び前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを管理する制御ブロックに割り当てられ、前記制御ブロックは、前記第1通信ブロックが管理する前記第1無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第1接続数、及び、前記第2通信ブロックが管理する前記第2無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第2接続数を計数する接続数計数部と、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを変更する割当変更部と、を備え、前記割当変更部は、今回計数された前記第1接続数から前回計数された第1接続数を減算した第1減算結果を算出し、今回計数された前記第2接続数から前回計数された第2接続数を減算した第2減算結果を算出し、前記算出された第1減算結果又は第2減算結果と第1所定値以下とを比較し、前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、収容替えの判定、及び、収容替えの操作を、サービスを受けるユーザに影響を与えないように、統合ゲートウェイ装置に自動的かつ自律的に実行させ、保守者の作業負荷を軽減することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態の統合ゲートウェイ装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態のARP requestの説明図である。
【図3】本発明の実施形態の不要ARPの説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の統合ゲートウェイ装置の各ブロックが不要ARPを用いてHAブロック及びP−GWブロック(以下、総称して通信ブロック)の接続数を把握する方法の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の機能変換処理のシーケンス図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のセッション数メッセージの説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の機能変換メッセージの説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPUによって実行される機能変換判定処理のフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態の予閉塞状態に遷移したCPUの説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の新たにP−GWブロックに割り当てられたCPUの説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の電源断処理のシーケンス図である。
【図12】本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPUによって実行される電源断判定処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施形態のHAブロックに割り当てられたCPUで電源断処理が実行された状態の説明図である。
【図14】本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPUによって実行される増加原因機能変換判定処理のフローチャートである。
【図15】本発明の第1の実施形態の増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUが機能変換する場合の増加原因機能変換処理のシーケンス図である。
【図16】本発明の第1の実施形態の電源供給が停止しているCPUが機能変換する場合の増加原因機能変換処理のシーケンス図である。
【図17】本発明の第1の実施形態のHAブロックに割り当てられ、電源供給が停止しているCPU111で機能変換処理が実行された場合の説明図である。
【図18】本発明の第1の実施形態の変形例の制御ブロックに割り当てられたCPUによって実行される増加原因機能変換判定処理のフローチャートである。
【図19】本発明の第2の形態の統合ゲートウェイ装置に備わるマルチコアCPUの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態を図1〜図17を用いて説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態の統合ゲートウェイ装置のブロック図である。
【0036】
統合ゲートウェイ装置は、ネットワーク網と無線通信端末(携帯電話等)を収容する基地局との間に配置され、データを送受信する装置である。
【0037】
無線通信端末がネットワーク網の所定の計算機宛にデータを送信すると、基地局は、無線通信端末によって送信されたデータを受信し、受信したデータを統合ゲートウェイ装置へ送信する。統合ゲートウェイ装置は、受信したデータに対してデータ処理を実行し、ネットワーク網のある計算機宛にデータを送信する。
【0038】
ネットワーク網の所定の計算機がデータを無線通信端末宛に送信する場合、統合ゲートウェイ装置は、所定の計算機から受信したデータを基地局へ送信する。そして、基地局は、受信したデータを無線通信端末に送信する。
【0039】
なお、統合ゲートウェイ装置は、無線通信端末のユーザに関するユーザ情報を保持し、ユーザ情報を参照して、基地局又はネットワーク網へデータを送信する。
【0040】
統合ゲートウェイ装置は、複数の通信方式が異なるネットワークと接続でき、例えば、LTEネットワーク及びEVDOネットワークに接続できる。この場合、統合ゲートウェイ装置は、LTEネットワーク及びEVDOネットワークのユーザを収容して通信できる。
【0041】
統合ゲートウェイ装置では、複数の論理ノードが生成され、本実施形態では、制御ブロック、P−GWブロック、HAブロック、及び冗長ブロック等が生成される。
【0042】
P−GWブロックは、LTEネットワークを利用する無線通信端末の通信を制御し、HAブロックは、EVDOネットワークを利用する無線通信端末の通信を制御する。制御ブロックは、各ブロックを制御し、冗長ブロックは、いずれかのブロックが動作しない場合に代替ブロックとして使用するブロックである。
【0043】
本実施形態では、統合ゲートウェイ装置は5個のCPU110〜114及び5個のメモリ130〜134を備え、CPU及びメモリ単位で各ブロックに割り当てられることによって、論理ノードが生成される。
【0044】
CPU110及びメモリ130は、制御ブロックに割り当てられている。CPU111、112及びメモリ131、132は、HAブロックに割り当てられている。CPU113及びメモリ133は、P−GWブロックに割り当てられている。CPU114及びメモリ134は、冗長用ブロックに割り当てられている。
【0045】
HAブロックに割り当てられたメモリ131及び132には、HAブロックに接続する無線通信端末に関するデータが記憶され、P−GWブロックに割り当てられたメモリ133には、P−GWブロックに接続する無線通信端末に関するデータが記憶される。
【0046】
なお、P−GWブロックに割り当てられるCPUの数が多い場合、P−GWブロックの処理能力が大きく、LTEネットワークに収容可能な無線通信端末の数が多いことを示す。一方、HAブロックに割り当てられるCPUの数が多い場合、HAブロックの処理能力が大きく、EVDOネットワークに収容可能な無線通信端末の数が多いことを示す。
【0047】
LTEネットワークを利用する無線通信端末の数は増加し、EVDOネットワークを利用する無線通信端末の数は減少することが想定される。
【0048】
LTEネットワークを利用する無線通信端末の数の増加割合等から、CPUをP−GWブロックに割り当てるタイミングの判断が必要となる。なお、統合ゲートウェイ装置は、CPUのブロックへの割り当てを変更する場合であっても、サービスを中断することは許されない。
【0049】
本実施形態では、制御ブロックは、P−GWブロック及びHAブロックに接続される無線通信端末の数を不要ARP(Gratuitous ARP)によって把握することができる。
【0050】
図2〜図4を用いて不要ARPについて説明する。
【0051】
まず、HAブロックは、自身に無線通信端末が接続された場合、不要ARP(Address Resolution Protocol)を送信するものである。
【0052】
まず、不要ARPについて説明する前に、ARPについて説明する。
【0053】
ARPは、イーサネット(登録商標)環境においてIPアドレスからMACアドレスを得るためのプロトコルである。
【0054】
図2は、本発明の実施形態のARP requestの説明図である。
【0055】
図2では、無線通信端末がHAブロック1のMACアドレスを得る場合について説明する。
【0056】
無線通信端末は、HAブロック1のMACアドレスを得るために、ARP requestをブロードキャストで送信する。ARP requestには、送信元(無線通信端末)のIPアドレス、送信元(無線通信端末)のMACアドレス、送信先(HAブロック1)のIPアドレスが含まれる。
【0057】
ブロードキャストで送信されたARP Requestを受信したすべての端末(HAブロック1〜3)は、受信したARP Requestに含まれる送信先(HAブロック1)のIPアドレスと自身のIPアドレスとが一致するか否かを判定する。
【0058】
両者のIPアドレスが一致した場合、当該端末(HAブロック1)は、自身のMACアドレスを含むARP replyを送信元の無線通信端末へ送信する。
【0059】
なお、ARP replyにはARP requestに含まれる情報に加えて、送信先(HAブロック1)のMACアドレスが含まれる。
【0060】
以上によって、端末Aが端末BのMACアドレスを得るためには、端末BのIPアドレスを含むARP requestをブロードキャストで送信すればよい。これによって、端末Bは、自身のMACアドレスを含むARP replyを端末Aに送信するので、端末Aは端末BのMACアドレスを得ることができる。
【0061】
図3は、本発明の実施形態の不要ARPの説明図である。
【0062】
不要ARPは、ARPパケットの一種である。不要ARPは、ARP Requsetに含まれる送信先のIPアドレスに自身のIPアドレスが登録されている。
【0063】
通常、不要ARPの送信先のIPアドレスと不要ARPを受信した端末のIPアドレスとが一致することはないので、IPアドレスが送信元の端末と重複していない限り、不要ARPを受信した端末はARP replyを送信しない。このため、不要ARPは、IPアドレスの重複を検知するために利用できる。
【0064】
ここで、図3に示すように、HAブロック1は、無線通信端末が接続された場合、不要ARPをブロードキャストで送信する。これによって、当該HAブロックは、自身に無線通信端末が接続されたことを他のHAブロック2、3に通知できる。
【0065】
図4は、本発明の第1の実施形態の統合ゲートウェイ装置の各ブロックが不要ARPを用いてHAブロック及びP−GWブロック(以下、総称して通信ブロック)の接続数を把握する方法の説明図である。
【0066】
図4では、無線通信端末がHAブロックに割り当てられているCPU111に接続した場合、当該CPU111は不要ARPをブロードキャストで送信する。ブロードキャストで送信された不要ARPはCPU110、112〜114及び外部機器によって受信される。
【0067】
不要ARPでは、図3で説明したように、送信先IPアドレスと送信元IPアドレスとが同じに設定される。このため、当該不要ARPを受信するCPU110、112〜114は、受信したパケットに含まれる送信先IPアドレスと送信元IPアドレスとが一致していれば、不要ARPを受信したと判定できる。
【0068】
CPU110〜114は、不要ARPを受信した場合、不要ARPの受信数を送信元IPアドレスごとに計数する。これによって、HAブロックに割り当てられたCPU111、112、及びP−GWブロックに割り当てられたCPU113への無線通信端末の接続数を把握できる。
【0069】
通信ブロックに割り当てられたCPUへの無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合する場合、当該CPUを他方の通信ブロックに割り当てる処理(機能変換処理)について、図5〜図8を用いて説明する。
【0070】
図5は、本発明の第1の実施形態の機能変換処理のシーケンス図である。
【0071】
まず、HAブロックに割り当てられたCPU112(HAブロック2)は、自身に無線通信端末が接続されたことを検出し(501)、不要ARPをブロードキャストで送信する(502)。
【0072】
各CPU110〜113は、不要ARPに基づいて、各CPU111〜113への無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合するか否かの判定処理を周期的に実行している。
【0073】
具体的には、各CPU110〜113は、受信した不要ARPの送信元IPアドレスに基づいて各CPUへ接続される無線通信端末の合計接続数を特定する。そして、各CPU110〜113は、前回判定処理を実行した場合に特定された各CPU110〜113の合計接続数(前回合計接続数)を特定する。そして、CPU110〜113は、各CPUごとに合計接続数から前回合計接続数を減算し、減算した値が所定の下限値以下であるか否かを判定する。
【0074】
CPU110は、上述の処理により通信ブロックに割り当てられたすべてのCPU111〜113について判定処理を実行できるが、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113は、受信した不要ARPに基づいて自身の無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合するか否かを判定できない。
【0075】
このため、CPU111〜113は、送信した不要ARPに基づいて自身へ接続される無線通信端末の合計接続数を特定し、前回判定処理を実行した場合に特定された自身の合計接続数(前回合計接続数)を特定する。そして、CPU111〜113は、合計接続数から前回合計接続数を減算し、減算した値が所定の下限値以下であるか否かを判定する。
【0076】
ここで、CPU110〜113は、CPU112の接続数が所定の減少条件に適合すると判定する(503)。
【0077】
次に、ステップ503の処理で、CPU112の接続数が所定の減少条件に適合すると判定すると、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113は、自身と無線通信端末との間に確立されたセッション数を含むセッション数メッセージを制御ブロックに割り当てられたCPU110に通知する(504)。セッション数メッセージは、図6で詳細を説明する。セッション数は、各CPU111〜113に実際に接続している無線通信端末の数を示す。
【0078】
CPU110は、CPU111〜113からセッション数メッセージを受信し、受信したセッション数メッセージを参照し、所定の減少条件に適合すると判定されたCPU112のセッション数が所定値以下であると判定された場合、当該CPU112を他方の通信ブロック(P−GWブロック)に割り当てる機能変換を実行することを判定する(505)。
【0079】
そして、CPU110は、統合ゲートウェイ装置の保守者にCPU112の機能変換を実行する旨を通知し(506)、CPU112に機能変換メッセージを送信する(507)。機能変換メッセージは、図7で詳細を説明する。
【0080】
CPU112は、機能変換メッセージを受信した場合、自身を無線通信端末の新たな接続を受け付けない予閉塞状態にし、CPU112と無線通信端末との間のセッション数が0になった場合、受信した機能変換メッセージに含まれる変換後システム名703に登録されたブロックへ割り当てる(508)。
【0081】
図6は、本発明の第1の実施形態のセッション数メッセージの説明図である。
【0082】
セッション数メッセージは、メッセージタイプ601、メッセージ長602、及び接続セッション数603を含む。
【0083】
メッセージタイプ601には、メッセージの種別を示す識別子が登録され、ここでは、セッション数メッセージであることを示す識別子が登録される。メッセージ長602には、当該セッション数メッセージのbit長が登録される。接続セッション数603には、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113と無線通信端末との間に確立されたセッション数が登録される。
【0084】
図7は、本発明の第1の実施形態の機能変換メッセージの説明図である。
【0085】
機能変換メッセージは、メッセージタイプ701、メッセージ長702、変換後システム名703、及び通信先カード704を含む。
【0086】
メッセージタイプ701は、機能変換メッセージであることを示す識別子が登録される。メッセージ長702には、当該機能変換メッセージのbit長が登録される。
【0087】
変換後システム名703には、機能変換後に当該CPUに割り当てられる通信ブロックの識別子が登録される。通信先カード704には、機能変換メッセージの送信先となるCPUの識別子が登録される。
【0088】
図8は、本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPU110によって実行される機能変換判定処理のフローチャートである。
【0089】
この機能変換判定処理は、CPU110によって所定周期で繰り返し実行される。
【0090】
まず、CPU110は、受信した不要ARPを参照し、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113への無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合するか否かを判定する(801)。当該判定処理は、図5で説明したので、具体的な説明は省略する。
【0091】
ステップ801の処理で、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113の少なくとも一つのCPUが所定の減少条件に適合すると判定された場合、CPU110は、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUから受信したセッション数メッセージを参照し、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUと無線通信端末との間に確立されたセッション数が所定値以下であるか否かを判定する(802)。
【0092】
ステップ801の処理では不要ARPに基づく接続数の判定であるため、不要ARPの受信回数、つまり接続合計数である。このため、通信ブロックに実際に接続しているかについては特定できないので、ステップ802の処理で通信ブロックに実際に接続している数を示すセッション数に基づいて判定している。これは、実際に接続している無線通信端末の数が多いにもかかわらず、当該通信ブロックに割り当てられたCPUが他の通信ブロックに割り当てられることを防止するために実行される。
【0093】
ステップ802の処理で、所定の減少条件に適合しないと判定されたCPUと無線通信端末との間に確立されたセッション数が所定値以下であると判定された場合、CPU110は、当該CPUを予閉塞状態にして機能変換処理を実行させる機能変換メッセージを当該CPUに送信し(803)、処理を終了する。
【0094】
ステップ801の処理で、通信ブロックに割り当てられたすべてのCPU111〜113が所定の減少条件を満たさないと判定された場合、及び、ステップ802の処理で、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUと無線通信端末との間に確立されたセッション数が所定値より多いと判定された場合、CPU110は、ステップ803の処理を実行しないで、処理を終了する。
【0095】
これによって、接続数が減少傾向にあるCPUの通信ブロックを他の通信ブロックに自動的に割り当てることができる。
【0096】
次に、HAブロックに割り当てられたCPU112が、機能変換メッセージを受信し、予閉塞状態に遷移してからP−GWブロックに割り当てられる状態について、図9及び図10を用いて説明する。
【0097】
図9は、本発明の第1の実施形態の予閉塞状態に遷移したCPU112の説明図である。
【0098】
図5に示すステップ507の処理で、制御ブロックに割り当てられたCPU110から送信された機能変換メッセージを受信したCPU112は、予閉塞状態に遷移する。
【0099】
HAブロックに割り当てられたCPU112は、予閉塞状態に遷移すると、無線通信端末の新たな接続を受け付けない。この状態を示すため、図9では、CPU112とEVDOネットワークとの間は点線で示している。
【0100】
したがって、CPU112は、自身と無線通信端末との間に確立されたセッションが増加することはなく、当該セッションが0になるまで、つまり、当該CPU112に接続している無線通信端末が存在しなくなるまで、予閉塞状態となる。
【0101】
CPU112が予閉塞状態となった場合、冗長系ブロックに割り当てられたCPU114がHAブロックとして機能する。したがって、CPU112に対して接続を要求した無線通信端末は冗長系ブロックに割り当てられたCPU114に接続される。
【0102】
図10は、本発明の第1の実施形態の新たにP−GWブロックに割り当てられたCPU112の説明図である。
【0103】
予閉塞状態に遷移したCPU112は、自身と無線通信端末との間に確立されたセッションが0になると、自身をP−GWブロックに割り当てる。
【0104】
具体的には、統合ゲートウェイ装置の図示しない記憶装置からP−GWブロックのプログラムデータをメモリ132にロードし、これまでメモリ132にロードされていたHAブロックのプログラムデータと入れ替えることによって、CPU112の機能をHAブロックからP−GWブロックに変更する。
【0105】
そして、CPU112は、P−GWブロックに割り当てられた場合、冗長系ブロックに割り当てられているCPU114に機能変換終了メッセージを送信する。
【0106】
CPU114は、機能変換終了メッセージを受信した場合、自身と接続している無線通信端末に関する情報を、HAブロックに割り当てられているCPU111のメモリ131に移動することによって、これらの無線通信端末をCPU111に接続する。以降、CPU114に接続されていた無線通信端末に関する情報はメモリ131に記憶される。
【0107】
なお、HAブロックに割り当てられているCPU111のメモリ131の記憶可能な容量が、CPU114と接続している無線通信端末に関する情報の容量より少ない場合、CPU114は、HAブロックに割り当てられたCPU111を予閉塞状態に遷移させ、メモリ131の容量が無線通信端末に関する情報の容量以上になってから、当該無線通信端末に関する情報をメモリ131に移動する。
【0108】
次に、通信ブロックに割り当てられたCPUへの無線通信端末の接続数が所定の減少条件に適合する場合、当該CPUへの電源供給を停止する処理(電源断処理)について、図11〜図13を用いて説明する。
【0109】
図11は、本発明の第1の実施形態の電源断処理のシーケンス図である。
【0110】
電源断処理のうち、図5に示す機能変換処理と同じ処理は、図5と同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0111】
ステップ1101の処理について説明する。
【0112】
制御ブロックに割り当てられたCPU110は、受信した各CPU111〜113のセッション数を参照し、所定の減少要件に適合すると判定されたCPU112と異なる通信ブロック(P−GWブロック)に割り当てられているCPU113のセッション数が所定値より少ない場合、当該CPU112への電源供給を停止することを判定する(1101)。
【0113】
そして、CPU110は、統合ゲートウェイ装置の保守者にCPU112への電源供給を停止する旨を通知し(506)、CPU112に電源断メッセージを送信する(1102)。
【0114】
CPU112は、電源断メッセージを受信した場合、自身を無線通信端末の新たな接続を受け付けない予閉塞状態にし、CPU112と無線通信端末との間のセッション数が0になった場合、自身への電源供給を停止する(1103)。
【0115】
図12は、本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPU110によって実行される電源断判定処理のフローチャートである。
【0116】
電源断判定処理は、CPU110によって所定周期で繰り返し実行される。
【0117】
電源断判定処理のうち、図8に示す機能変換判定処理と同じ処理は、同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0118】
この電源断判定処理は、CPU110によって所定周期で繰り返し実行される。
【0119】
ステップ801の処理で、ステップ801の処理で、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113の少なくとも一つのCPUが所定の減少条件に適合すると判定された場合、CPU110は、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUが割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUのセッション数が所定値以上であるか否かを判定する(1201)。
【0120】
ステップ1201の処理で、異なる通信ブロックに割り当てられたCPUのセッション数が所定値以上であると判定された場合、CPU110は、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUに、当該異なる通信ブロックに変換するための機能変換メッセージを送信し(803)、電源断判定処理を終了する。
【0121】
異なる通信ブロックのCPUのセッション数が所定値以上であり、異なる通信ブロックは無線通信端末を収容できなくなる可能性が高い場合に、減少条件に適合するCPUを当該通信ブロックに新たに割り当てるので、無線通信端末を収容できない事態の発生を防止する。
【0122】
一方、ステップ1202の処理で、異なる通信ブロックに割り当てられたCPUのセッション数が所定値未満であると判定された場合、CPU110は、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUを予閉塞状態にして電源断処理を実行させる電源断メッセージを、所定の減少条件に適合すると判定されたCPUに送信し(1203)、電源断判定処理を終了する。
【0123】
異なる通信ブロックのCPUのセッション数が所定値未満であり、異なる通信ブロックは無線通信端末を収容できなくなる可能性が低い場合に、減少条件に適合するCPUへの電源供給を停止するので、無駄な電力の消費を低減できる。
【0124】
ステップ801の処理で、通信ブロックに割り当てられたすべてのCPU111〜113が所定の減少条件を満たさないと判定された場合、電源断判定処理を終了する。
【0125】
図13は、本発明の第1の実施形態のHAブロックに割り当てられたCPU112で電源断処理が実行された状態の説明図である。
【0126】
図13では、HAブロックに割り当てられたCPU112が、所定の減少条件に適合するCPUと判断される。そして、当該CPU112に割り当てられたHAブロックと異なる通信ブロックであるP−GWブロックに割り当てられたCPU113のセッション数が所定値未満であると判断される。
【0127】
このため、P−GWブロックが無線通信端末を収容できなくなり、他のCPUの割り当てを必要とする事態が発生する可能性が低いので、所定の減少条件に適合するCPU112への電源の供給を停止している。
【0128】
次に、ある通信ブロックに割り当てられたCPUが所定の増加条件に適合する場合、当該CPUは無線通信端末を収容できなくなる可能性が高いため、他のCPUを当該通信ブロックに割り当てる増加原因機能変換処理について、図14〜図17を用いて説明する。
【0129】
図14は、本発明の第1の実施形態の制御ブロックに割り当てられたCPU110によって実行される増加原因機能変換判定処理のフローチャートである。
【0130】
増加原因機能変換判定処理は、CPU110によって所定周期で繰り返し実行される。
【0131】
まず、CPU110は、受信した不要ARPを参照し、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113への無線通信端末の接続数が所定の増加条件に適合するか否かを判定する(1401)。
【0132】
具体的には、CPU110は、受信した不要ARPの送信元IPアドレスに基づいて各CPUへ接続される無線通信端末の合計接続数を特定する。そして、CPU110は、前回増加原因機能変換判定処理を実行した場合に特定された各CPUの合計接続数(前回合計接続数)を特定する。そして、CPU110は、各CPUごとに合計接続数から前回合計接続数を減算し、減算した値が所定の上限値以上であるか否かを判定する。
【0133】
CPU110は、減算した値が所定の上限値以上であるCPUを所定の増加条件に適合するCPUと判定する。
【0134】
ステップ1401の処理で、増加条件に適合するCPUがあると判定された場合、増加条件に適合するCPUが無線通信端末を収容できなくなる可能性が高く、当該CPUに割り当てられた通信ブロックを他のCPUを新たに割り当てる必要がある。
【0135】
CPU110は、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックに新たに割り当てるCPUを特定するためにステップ1402〜1405の処理を実行する。
【0136】
まず、CPU110は、電源供給が停止しているCPUがあるか否かを判定する(1402)。
【0137】
ステップ1402の処理で、電源供給が停止しているCPUがあると判定された場合、CPU110は、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックに電源供給が停止しているCPUを割り当てて、電源供給が停止しているCPUの電源供給を開始させる復帰メッセージを当該CPUに送信し(1403)、処理を終了する。
【0138】
一方、ステップ1402の処理で、電源供給が停止しているCPUがないと判定された場合、CPU110は、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUでセッション数が所定値以下のCPUがあるか否かを判定する(1404)。
【0139】
ステップ1404の処理で、異なる通信ブロックでセッション数が所定値以下のCPUがあると判定された場合、CPU110は、セッション数が所定値以下のCPUを予閉塞状態にして、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックの機能に変換する機能変換処理を実行させる機能変換メッセージを当該CPUに送信し(1405)、処理を終了する。
【0140】
なお、ステップ1404の処理で、セッション数が所定値以下のCPUが複数ある場合、CPU110は、これらのCPUのうち最もセッション数が少ないCPUを機能変換対象CPUとして選択する。
【0141】
一方、ステップ1404の処理で、異なる通信ブロックでセッション数が所定値以下のCPUがないと判定された場合、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックの機能に変換するCPUが存在しないので、そのまま処理を終了する。
【0142】
ステップ1401の処理で、増加条件に適合するCPUがないと判定された場合、処理を終了する。
【0143】
図15は、本発明の第1の実施形態の増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUが機能変換する場合の増加原因機能変換処理のシーケンス図である。
【0144】
まず、P−GWブロックに割り当てられたCPU113は、自身に無線通信端末が接続されたことを検出し(1501)、不要ARPをブロードキャストで送信する(1502)。
【0145】
ここで、CPU110〜113は、CPU113の接続数が所定の増加条件に適合すると判定する(1503)。
【0146】
ステップ1503の処理における増加条件判定処理の具体的な処理は、図14に示すステップ1401と同じであるので説明を省略する。
【0147】
次に、ステップ1503の処理で、CPU113の接続数が所定の増加条件に適合すると判定された場合、通信ブロックに割り当てられたCPU111〜113は、自身と無線通信端末との間に確立されたセッション数を含むセッション数メッセージを制御ブロックに割り当てられたCPU110に通知する(1504)。
【0148】
CPU110は、CPU111〜113からセッション数を受信した場合、接続数が所定の増加条件に適合するCPU113に割り当てられたP−GWに新たに割り当てるCPU(機能変換対象CPU)を選択する。具体的には、CPU110は、図14に示すステップ1402及び1404の処理を実行し、電源供給を停止しているCPU、又はHAブロックに割り当てられたCPUのうちセッション数が所定値以下であってセッション数が最小のCPUを、機能変換対象CPUとして選択する。
【0149】
図15では、CPU110は、機能変換対象CPUとしてHAブロックに割り当てられたCPU112を選択する(1505)。
【0150】
そして、CPU110は、統合ゲートウェイ装置の保守者にCPU112の機能変換を実行する旨を通知し(1506)、CPU112に機能変換メッセージを送信する(1507)。なお、機能変換メッセージの変換後システム名703でP−GWブロックを指定する。
【0151】
CPU112は、機能変換メッセージを受信した場合、自身を無線通信端末の新たな接続を受け付けない予閉塞状態にし、CPU112と無線通信端末との間のセッション数が0になった場合、受信した機能変換メッセージに基づいて、P−GWブロックに割り当てる(1508)。
【0152】
図16は、本発明の第1の実施形態の電源供給が停止しているCPUが機能変換する場合の増加原因機能変換処理のシーケンス図である。
【0153】
図16に示す増加原因機能変換処理のうち図15と同じ処理は、同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0154】
図16では、HAブロックに割り当てられたCPU111は、電源供給が停止しているため、ステップ1502の処理で送信される不要ARPを受信せず、ステップ1503の処理で、P−GWブロックに割り当てられたCPU113の接続数が所定の増加条件に適合する旨も検出しない。さらに、CPU111は、ステップ1504の処理で、自ノードのセッション数を含むセッション数メッセージも送信しない。
【0155】
CPU110は、電源供給が停止しているCPU111があるので、機能変換対象CPUとしてCPU111を選択する(1601)。
【0156】
そして、CPU110は、ステップ1506の処理に進み、統合ゲートウェイ装置の保守者にCPU111の電源供給を開始する旨を通知し、CPU111に復帰命令を出力する。CPU111は、電源供給が開始された場合、CPU110に電源供給が開始された旨を通知する。CPU110は、電源供給が開始された旨を通知されると、CPU111に割り当てる通信ブロック(P−GW)を特定可能な情報を含む復帰メッセージをCPU111に送信する(1602)。
【0157】
CPU111は、復帰メッセージを受信した場合、復帰メッセージで特定される通信ブロックに自身を割り当てる(1603)。
【0158】
図17は、本発明の第1の実施形態のHAブロックに割り当てられ、電源供給が停止しているCPU111で機能変換処理が実行された場合の説明図である。
【0159】
図17では、P−GWブロックに割り当てられたCPU113が所定の増加条件に適合するCPUと判断される。そして、電源供給が停止しているCPU112があるので、CPU110は、機能変換対象CPUとしてCPU111を選択し、CPU111への電源供給を再開し、CPU111にP−GWブロックを割り当てる。
【0160】
以上によって、通信ブロックに割り当てられたCPUのうち増加条件に適合するCPUがある場合、電源供給を停止しているCPU、又は他の通信ブロックに割り当てられたCPUのうちセッション数が所定値以下であってセッション数が最小のCPUを、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックに新たに割り当てる。これによって、ある通信ブロックに接続する無線通信端末の数が増加している場合であっても、当該通信ブロックにCPUを新たに割り当てるので、通信ブロックが無線通信端末を収容できなくなる事態を防止できる。
【0161】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、機能変換対象となるCPUでは、予閉塞状態に遷移し、セッション数が0になった後に機能変換処理を実行したが、本変形例では、予閉塞状態に遷移させない機能変換処理を実行する。
【0162】
具体的な例を、図18を用いて説明する。
【0163】
図18は、本発明の第1の実施形態の変形例の制御ブロックに割り当てられたCPU110によって実行される増加原因機能変換判定処理のフローチャートである。
【0164】
図18に示す増加原因機能変換判定処理のうち、図14と同じ処理は、同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0165】
ステップ1402の処理で、電源供給が停止しているCPUがないと判定された場合、CPU110は、増加条件に適合するCPUに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたCPUから、直近の所定時間のメモリ使用率の平均値が少ないCPUを、少ない順に二つ選択する(1801)。
【0166】
次に、CPU110は、ステップ1801の処理で選択された二つのCPUに割り当てられた通信ブロックを統合できるか否かを判定する(1802)。
【0167】
ここで、統合とは、ステップ1801の処理で選択されたCPUのうち、メモリ使用率の平均値が少ない方のCPUが無線通信端末との通信のために使用するデータを、メモリ使用率の平均値が多い方のCPUが使用するメモリに移動させることである。
【0168】
具体的には、CPU110は、ステップ1801の処理で選択された各CPUのセッション数を特定する。そして、CPU110は、各CPUのセッション数を加算した加算値が所定値以下であるか否かを判定し、当該加算値が所定値以下である場合、ステップ1801の処理で選択された二つのCPUに割り当てられた通信ブロックを統合できると判定する。
【0169】
なお、通信ブロックに割り当てられたCPUはセッション数に比例してメモリを使用する。
【0170】
ステップ1801の処理で選択された二つのCPUに割り当てられた通信ブロックを統合できるとステップ1802の処理で判定された場合、CPU110は、ステップ1801の処理で選択されたCPUのうちメモリ使用率の平均値が少ない方のCPUが、無線通信端末との通信のために使用するデータを、メモリ使用率の平均値が多い方のCPUが使用するメモリに移動させ、メモリ使用率の平均値が少ない方のCPUに、増加条件を満たすCPUに割り当てられた通信ブロックに変換するための機能変換メッセージを送信する(1803)。
【0171】
一方、ステップ1801の処理で選択された二つのCPUに割り当てられた通信ブロックを統合できないとステップ1802の処理で判定された場合、CPU110は、ステップ1801の処理で選択されたCPUのうちメモリ使用率の平均値が少ない方のCPUを予閉塞状態にし、当該CPUのセッション数が0になった場合に増加条件を満たすCPUに割り当てられた通信ブロックに変換するための機能変換メッセージを送信する(1804)。
【0172】
以上によって、機能変換を実行するCPUが他のCPUと統合できる場合、当該CPUを予閉塞状態に遷移させなくてもよいので、いち早く機能変換をすることができる。
【0173】
なお、このステップ1801〜ステップ1804の処理は、図8及び図12にも適用可能である。
【0174】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図19を用いて説明する。
【0175】
第1の実施形態では、CPU単位で各ブロックが割り当てられていたが、第2の実施形態では、マルチコアCPUのコア単位で各ブロックが割り当てられる。
【0176】
図19は、本発明の第2の形態の統合ゲートウェイ装置に備わるマルチコアCPU1801の説明図である。
【0177】
マルチコアCPU1801は、一つのCPUに複数のコア120〜123が含まれ、各コアが一つのCPUであるかのように処理を実行する。
【0178】
図19では、例えば、コア120が制御ブロックに割り当てられ、コア121がHAブロックに割り当てられ、コア121がHAブロックに割り当てられ、コア122がP−GWブロックに割り当てられ、コア123が冗長系コアに割り当てられているとする。
【0179】
コア単位での機能変換処理については第1の実施形態のCPUをコアとすれば実現可能であるので、説明を省略する。
【0180】
(第3の実施形態)
第2の実施形態は、コア単位で各ブロックを割り当てるものであるが、第3の実施形態は、一つのCPUのCPUリソースを各ブロック(HAブロック及びP−GWブロック)に割り当てる割合を変更するものである。
【0181】
一つのCPU内のCPUリソースがHAブロック及びP−GWブロックに割り当てられる場合、HAブロックで用いるデータ形式とP−GWブロックで用いるデータ形式とが相違するため、メモリに通信ブロックごとにデータの保存領域を予め確保しなければならない。
【0182】
ここで、ある通信ブロックの接続可能数を増加させる場合、当該通信ブロックに割り当てるCPUリソースの割合を増加させるため、他の通信ブロックに割り当てるCPUリソースの割合を減少させなければならない。
【0183】
例えば、P−GWブロックに割り当てるCPUリソースの割合を増加させ、HAブロックに割り当てるCPUリソースの割合を減少させる場合、HAブロックのセッション数をCPUリソース減少後のHAブロックに収容可能なセッション数まで減少させる必要がある。
【0184】
換言すれば、P−GWブロックに割り当てるCPUリソースの割合を増加させる場合、HAブロックに収容可能なセッション数が、HAブロックの現在割り当てられている割合での収容可能なセッション数(現在最大収容数)から減少対象となる割合での収容可能なセッション数(減設対象数)を減算した値まで減少した後、P−GWブロックに割り当てるCPUリソースの割合を増加させる。
【0185】
ここで、同一のCPU内で、P−GWブロックに割り当てられるCPUリソースの割合と、HAブロックに割り当てられるCPUリソースの割合とを変更するシーケンスについて説明する。
【0186】
制御ブロックは、CPUリソースを減少させる通信ブロック(減設対象ブロック、例えば、HAブロック)に、減設対象数を含むメッセージを通知する。
【0187】
減設対象ブロックは、制御ブロックからメッセージが通知されると、自身のセッション数が、現在最大収容数から減設対象数を減算した値まで減少するまで、無線通信端末からの新たな接続を受け付けない予閉塞状態に遷移する。そして、減設対象ブロックは、自身のセッション数が、現在最大収容数から減設対象数を減算した値まで減少した場合、当該減設対象ブロック用に確保されたメモリの記憶領域には減設対象数分の空き領域があるので、当該空き領域をP−GWブロックの使用領域に割り当て、予閉塞状態を解除する。
【0188】
これによって、減設対象ブロックに現在接続している無線通信端末への接続を中断せず、機能変換処理を実行できる。
【0189】
(第4の実施形態)
また、第2の実施形態では、各通信ブロックに割り当てられたコア単位で、セッション数及び各通信ブロックからの不要ARPの受信に基づいて機能変換等を実行するか否かを判定することを説明したが、第4の実施形態では、各通信ブロックに割り当てられたコアの無線通信端末との通信によるトランザクション量に基づいて機能変換等を実行するか否かを判定する。
【0190】
制御ブロックは、トランザクション量が多い通信ブロックのコアの負荷を軽減させるために、当該コアに割り当てられた通信ブロックと異なる通信ブロックに割り当てられたコアのうちトランザクション量が少ないコアを、トランザクション量の多い通信ブロックに割り当てる。
【0191】
具体的には、制御ブロックは、通信ブロックに割り当てられている各コアについて、無線通信端末との通信によるトランザクション量が第1の所定値以上であるコアが存在するか否かを判定する。
【0192】
制御ブロックは、トランザクション量が第1の所定値以上であると判定されたコアが存在すると判定された場合、当該コアに割り当てられた通信ブロック以外の通信ブロックに割り当てられたコアのうち、トランザクション量が第2の所定値以下であるコアが存在するか否かを判定する。ここで、第2の所定値は第1の所定値より小さい値に設定される。
【0193】
トランザクション量が第2の所定値以下であるコアが存在すると判定された場合、制御ブロックは、当該コアを、トランザクションが第1の所定値以上であると判定されたコアに割り当てられた通信ブロックに割り当てる。
【0194】
一方、トランザクション量が第2の所定値以下であるコアが存在しないと判定された場合、制御ブロックは、トランザクション量が第1の所定値以上であると判定されたコアに割り当てられた通信ブロックに新たにコアを割り当てない。これによって、トランザクション量が第1の所定値以上であるコアに割り当てられた通信ブロックにトランザクション量が第2の所定値より大きいコアを割り当てると、割り当てるコアに割り当てられていた通信ブロックで処理可能なトランザクション量が減少するため、無線通信端末が割り当て前の通信ブロックに接続できなくなる事態を防止できる。
【0195】
なお、統合ゲートウェイ装置の保守者は、第1の所定値及び第2の所定値を、各通信システムに割り当てられたコア数に応じて、設定できるものとする。
【0196】
これによって、各コアのトランザクション量に基づいて、コア単位で機能変換を実行できる。
【0197】
例えば、P−GWブロックに割り当てられたコアで、LTEユーザによるトランザクション量が第1の所定値以上であると判定された場合、制御ブロックは、HAブロックに割り当てられたコアのうち、EVDOユーザによるトランザクション量が第2の所定値以下であるコアがあると判定したとする。この場合、制御ブロックは、当該トランザクション量が第2の所定値以下であるコアをP−GWブロックに割り当てるように設定する。
【0198】
これによって、P−GWブロックに割り当てられたコア数が増加し、P−GWブロックによって処理可能なトランザクション量が増加するため、P−GWブロックはトランザクション量が増加しても対応できる。
【0199】
なお、振分用コアの設定を変更することによって、コアに割り当てられていた通信ブロックを変更するようにしてもよい。この場合、振分用コアは、変更対象のコアで処理中のユーザの呼に対する処理が終了した後、変更対象のコアに割り当てられていた通信ブロックを変更する。
【0200】
第1〜第4の実施形態において、統合ゲートウェイ装置が収容替えを自動的にするか否かは、保守者が当該ゲートウェイ装置に設定可能である。
【0201】
また、統合ゲートウェイ装置が自動的に収容替えをする場合、収容替えをするか否かの判定に用いる各種所定値は、保守者によって予め設定される。
【0202】
さらに、各通信ブロックの無線通信端末の接続数等に基づいて、無線通信端末の接続先となる通信ブロックのトレンドを予測し、収容替えを行うことも可能である。例えば、あるコンテンツに接続する無線通信端末の数が増加し、今後さらに増加する可能性がある場合、コンテンツの開始に伴って急激に接続数が増加している場合等に、当該コンテンツへ接続する通信ブロックの接続可能数を増加させるように収容替えをする。
【0203】
また、新しい通信方式の無線通信端末の導入による接続数の増加を予想して、保守者が時間指定で収容替えをすることも可能である。これによって、新しい通信方式の無線通信端末の接続数を確保することができる。
【符号の説明】
【0204】
110〜114 CPU
130〜134 メモリ
601 メッセージタイプ
602 メッセージ長
603 接続セッション数
701 メッセージタイプ
702 メッセージ長
703 変換後システム名
704 通信先カード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末が接続される第1無線通信ネットワーク、及び、前記第1無線通信ネットワークと異なる方式であって、前記無線通信端末が接続される第2無線通信ネットワークを接続するゲートウェイ装置において、
前記ゲートウェイ装置は、少なくとも一つのプロセッサと、前記プロセッサに接続されるメモリとを備え、
前記プロセッサの資源が、前記第1無線通信ネットワークを管理する第1通信ブロック、前記第2無線通信ネットワークを管理する第2通信ブロック、及び前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを管理する制御ブロックに割り当てられ、
前記制御ブロックは、
前記第1通信ブロックが管理する前記第1無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第1接続数、及び、前記第2通信ブロックが管理する前記第2無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第2接続数を計数する接続数計数部と、
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを変更する割当変更部と、を備え、
前記割当変更部は、
今回計数された前記第1接続数から前回計数された第1接続数を減算した第1減算結果を算出し、
今回計数された前記第2接続数から前回計数された第2接続数を減算した第2減算結果を算出し、
前記算出された第1減算結果又は第2減算結果と第1所定値以下とを比較し、
前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックは、前記無線通信端末の接続を検出した場合、他のブロックに接続信号を送信し、
前記第1接続数は、前記制御ブロックが前記第1通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記第2接続数は、前記制御ブロックが前記第2通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記各通信ブロックは、自身に現在接続中の無線通信端末の数であるセッション数を管理し、所定のタイミングで前記セッション数を前記制御ブロックに送信し、
前記割当変更部は、
前記第1減算結果又は第2減算結果が前記第1所定値以下であると判定した場合、受信したセッション数に基づいて、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックのセッション数を抽出し、
前記抽出されたセッション数と第2所定値とを比較し、
前記抽出されたセッション数が前記第2所定値以上である場合、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記他方の通信ブロックに割り当て、
前記抽出されたセッション数が前記第2所定値より小さい場合、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサのセッション数が0になった後、当該プロセッサの資源の電源の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項3】
前記割当変更部は、
前記算出された第1減算結果又は第2減算結果が、前記第1所定値より大きな値に設定された第3所定値より大きいか否かを判定し、
前記第1減算結果又は第2減算結果が、前記第3所定値より大きいと判定された場合、前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源があるか否かを判定し、
前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源がある場合、当該プロセッサの資源を前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックに割り当てることを特徴とする請求項2に記載のゲートウェイ装置。
【請求項4】
前記割当変更部は、
前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源がない場合、前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックに割り当てること特徴とする請求項3に記載のゲートウェイ装置。
【請求項5】
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックは、前記無線通信端末の接続を検出した場合、他のブロックに接続信号を送信し、
前記第1接続数は、前記制御ブロックが前記第1通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記第2接続数は、前記制御ブロックが前記第2通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記各通信ブロックは、自身に現在接続中の無線通信端末の数であるセッション数を管理し、所定のタイミングで前記セッション数を示すセッション数を前記制御ブロックに送信し、
前記割当変更部は、
前記第1減算結果又は第2減算結果が前記第1所定値以下であると判定した場合、受信したセッション数に基づいて、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックのセッション数を抽出し、
前記抽出されたセッション数と第4所定値とを比較し、
前記抽出されたセッション数が第4所定値以下である場合、前記第4所定値以下となったセッション数に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第4所定値以下となったセッション数に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項6】
前記ゲートウェイ装置は、少なくとも三つの前記プロセッサを備え、
前記第1通信ブロック、前記第2通信ブロック、及び前記制御ブロックには、前記プロセッサ単位で前記プロセッサの資源が割り当てられ、
前記割当変更部は、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを前記プロセッサ単位で変更することを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、少なくも三つのコアを備え、
前記通信ブロック割当部は、前記第1通信ブロック、前記第2通信ブロック、及び前記制御ブロックには、前記コア単位で前記プロセッサの資源が割り当てられ、
前記割当変更部は、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを前記コア単位で変更することを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項8】
無線通信端末が接続される第1無線通信ネットワーク、及び、前記第1無線通信ネットワークと異なる方式であって、前記無線通信端末が接続される第2無線通信ネットワークを接続するゲートウェイ装置で、各ネットワークを管理する通信ブロックに割り当てる前記プロセッサの資源を変更する通信ブロック割当変更方法において、
前記プロセッサの資源が、前記第1無線通信ネットワークを収容する第1通信ブロック、前記第2無線通信ネットワークを収容する第2通信ブロック、及び前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを管理する制御ブロックに割り当てられ、
前記方法は、
前記制御ブロックが、前記第1通信ブロックが管理する前記第1無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第1接続数、及び、前記第2通信ブロックが管理する前記第2無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第2接続数を計数する接続数計数ステップと、
前記制御ブロックが、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを変更する割当変更ステップと、を備え、
前記割当変更ステップでは、
今回計数された前記第1接続数から前回計数された第1接続数を減算した第1減算結果を算出し、
今回計数された前記第2接続数から前回計数された第2接続数を減算した第2減算結果を算出し、
前記算出された第1減算結果又は第2減算結果と第1所定値以下とを比較し、
前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする通信ブロック割当変更方法。
【請求項9】
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックは、前記無線通信端末の接続を検出した場合、他のブロックに接続信号を送信し、
前記第1接続数は、前記制御ブロックが前記第1通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記第2接続数は、前記制御ブロックが前記第2通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記各通信ブロックは、自身に現在接続中の無線通信端末の数であるセッション数を管理し、所定のタイミングで前記セッション数を前記制御ブロックに送信し、
前記割当変更ステップでは、
前記第1減算結果又は第2減算結果が前記第1所定値以下であると判定した場合、受信したセッション数に基づいて、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックのセッション数を抽出し、
前記抽出されたセッション数と第2所定値とを比較し、
前記抽出されたセッション数が前記第2所定値以上である場合、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記他方の通信ブロックに割り当て、
前記抽出されたセッション数が前記第2所定値より小さい場合、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサのセッション数が0になった後、当該プロセッサの資源の電源の供給を停止することを特徴とする請求項8に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項10】
前記割当変更ステップでは、
前記算出された第1減算結果又は第2減算結果が、前記第1所定値より大きな値に設定された第3所定値より大きいか否かを判定し、
前記第1減算結果又は第2減算結果が、前記第3所定値より大きいと判定された場合、前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源があるか否かを判定し、
前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源がある場合、当該プロセッサの資源を前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックに割り当てることを特徴とする請求項9に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項11】
前記割当変更ステップでは、
前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源がない場合、前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックに割り当てること特徴とする請求項10に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項12】
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックは、前記無線通信端末の接続を検出した場合、他のブロックに接続信号を送信し、
前記第1接続数は、前記制御ブロックが前記第1通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記第2接続数は、前記制御ブロックが前記第2通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記各通信ブロックは、自身に現在接続中の無線通信端末の数であるセッション数を管理し、所定のタイミングで前記セッション数を示すセッション数を前記制御ブロックに送信し、
前記割当変更ステップでは、
前記第1減算結果又は第2減算結果が前記第1所定値以下であると判定した場合、受信したセッション数に基づいて、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックのセッション数を抽出し、
前記抽出されたセッション数と第4所定値とを比較し、
前記抽出されたセッション数が第4所定値以下である場合、前記第4所定値以下となったセッション数に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第4所定値以下となったセッション数に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする請求項8に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項13】
前記ゲートウェイ装置は、少なくとも三つの前記プロセッサを備え、
前記第1通信ブロック、前記第2通信ブロック、及び前記制御ブロックには、前記プロセッサ単位で前記プロセッサの資源が割り当てられ、
前記割当変更ステップでは、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを前記プロセッサ単位で変更することを特徴とする請求項8に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項14】
前記プロセッサは、少なくも三つのコアを備え、
前記通信ブロック割当部は、前記第1通信ブロック、前記第2通信ブロック、及び前記制御ブロックには、前記コア単位で前記プロセッサの資源が割り当てられ、
前記割当変更ステップでは、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを前記コア単位で変更することを特徴とする請求項8に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項1】
無線通信端末が接続される第1無線通信ネットワーク、及び、前記第1無線通信ネットワークと異なる方式であって、前記無線通信端末が接続される第2無線通信ネットワークを接続するゲートウェイ装置において、
前記ゲートウェイ装置は、少なくとも一つのプロセッサと、前記プロセッサに接続されるメモリとを備え、
前記プロセッサの資源が、前記第1無線通信ネットワークを管理する第1通信ブロック、前記第2無線通信ネットワークを管理する第2通信ブロック、及び前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを管理する制御ブロックに割り当てられ、
前記制御ブロックは、
前記第1通信ブロックが管理する前記第1無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第1接続数、及び、前記第2通信ブロックが管理する前記第2無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第2接続数を計数する接続数計数部と、
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを変更する割当変更部と、を備え、
前記割当変更部は、
今回計数された前記第1接続数から前回計数された第1接続数を減算した第1減算結果を算出し、
今回計数された前記第2接続数から前回計数された第2接続数を減算した第2減算結果を算出し、
前記算出された第1減算結果又は第2減算結果と第1所定値以下とを比較し、
前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックは、前記無線通信端末の接続を検出した場合、他のブロックに接続信号を送信し、
前記第1接続数は、前記制御ブロックが前記第1通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記第2接続数は、前記制御ブロックが前記第2通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記各通信ブロックは、自身に現在接続中の無線通信端末の数であるセッション数を管理し、所定のタイミングで前記セッション数を前記制御ブロックに送信し、
前記割当変更部は、
前記第1減算結果又は第2減算結果が前記第1所定値以下であると判定した場合、受信したセッション数に基づいて、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックのセッション数を抽出し、
前記抽出されたセッション数と第2所定値とを比較し、
前記抽出されたセッション数が前記第2所定値以上である場合、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記他方の通信ブロックに割り当て、
前記抽出されたセッション数が前記第2所定値より小さい場合、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサのセッション数が0になった後、当該プロセッサの資源の電源の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項3】
前記割当変更部は、
前記算出された第1減算結果又は第2減算結果が、前記第1所定値より大きな値に設定された第3所定値より大きいか否かを判定し、
前記第1減算結果又は第2減算結果が、前記第3所定値より大きいと判定された場合、前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源があるか否かを判定し、
前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源がある場合、当該プロセッサの資源を前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックに割り当てることを特徴とする請求項2に記載のゲートウェイ装置。
【請求項4】
前記割当変更部は、
前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源がない場合、前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックに割り当てること特徴とする請求項3に記載のゲートウェイ装置。
【請求項5】
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックは、前記無線通信端末の接続を検出した場合、他のブロックに接続信号を送信し、
前記第1接続数は、前記制御ブロックが前記第1通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記第2接続数は、前記制御ブロックが前記第2通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記各通信ブロックは、自身に現在接続中の無線通信端末の数であるセッション数を管理し、所定のタイミングで前記セッション数を示すセッション数を前記制御ブロックに送信し、
前記割当変更部は、
前記第1減算結果又は第2減算結果が前記第1所定値以下であると判定した場合、受信したセッション数に基づいて、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックのセッション数を抽出し、
前記抽出されたセッション数と第4所定値とを比較し、
前記抽出されたセッション数が第4所定値以下である場合、前記第4所定値以下となったセッション数に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第4所定値以下となったセッション数に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項6】
前記ゲートウェイ装置は、少なくとも三つの前記プロセッサを備え、
前記第1通信ブロック、前記第2通信ブロック、及び前記制御ブロックには、前記プロセッサ単位で前記プロセッサの資源が割り当てられ、
前記割当変更部は、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを前記プロセッサ単位で変更することを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、少なくも三つのコアを備え、
前記通信ブロック割当部は、前記第1通信ブロック、前記第2通信ブロック、及び前記制御ブロックには、前記コア単位で前記プロセッサの資源が割り当てられ、
前記割当変更部は、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを前記コア単位で変更することを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項8】
無線通信端末が接続される第1無線通信ネットワーク、及び、前記第1無線通信ネットワークと異なる方式であって、前記無線通信端末が接続される第2無線通信ネットワークを接続するゲートウェイ装置で、各ネットワークを管理する通信ブロックに割り当てる前記プロセッサの資源を変更する通信ブロック割当変更方法において、
前記プロセッサの資源が、前記第1無線通信ネットワークを収容する第1通信ブロック、前記第2無線通信ネットワークを収容する第2通信ブロック、及び前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを管理する制御ブロックに割り当てられ、
前記方法は、
前記制御ブロックが、前記第1通信ブロックが管理する前記第1無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第1接続数、及び、前記第2通信ブロックが管理する前記第2無線通信ネットワークへの前記無線通信端末の現在までの接続数である第2接続数を計数する接続数計数ステップと、
前記制御ブロックが、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを変更する割当変更ステップと、を備え、
前記割当変更ステップでは、
今回計数された前記第1接続数から前回計数された第1接続数を減算した第1減算結果を算出し、
今回計数された前記第2接続数から前回計数された第2接続数を減算した第2減算結果を算出し、
前記算出された第1減算結果又は第2減算結果と第1所定値以下とを比較し、
前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第1所定値以下となった減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする通信ブロック割当変更方法。
【請求項9】
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックは、前記無線通信端末の接続を検出した場合、他のブロックに接続信号を送信し、
前記第1接続数は、前記制御ブロックが前記第1通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記第2接続数は、前記制御ブロックが前記第2通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記各通信ブロックは、自身に現在接続中の無線通信端末の数であるセッション数を管理し、所定のタイミングで前記セッション数を前記制御ブロックに送信し、
前記割当変更ステップでは、
前記第1減算結果又は第2減算結果が前記第1所定値以下であると判定した場合、受信したセッション数に基づいて、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックのセッション数を抽出し、
前記抽出されたセッション数と第2所定値とを比較し、
前記抽出されたセッション数が前記第2所定値以上である場合、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記他方の通信ブロックに割り当て、
前記抽出されたセッション数が前記第2所定値より小さい場合、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサのセッション数が0になった後、当該プロセッサの資源の電源の供給を停止することを特徴とする請求項8に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項10】
前記割当変更ステップでは、
前記算出された第1減算結果又は第2減算結果が、前記第1所定値より大きな値に設定された第3所定値より大きいか否かを判定し、
前記第1減算結果又は第2減算結果が、前記第3所定値より大きいと判定された場合、前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源があるか否かを判定し、
前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源がある場合、当該プロセッサの資源を前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックに割り当てることを特徴とする請求項9に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項11】
前記割当変更ステップでは、
前記電源の供給が停止しているプロセッサの資源がない場合、前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第3所定値より大きい減算結果に対応する通信ブロックに割り当てること特徴とする請求項10に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項12】
前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックは、前記無線通信端末の接続を検出した場合、他のブロックに接続信号を送信し、
前記第1接続数は、前記制御ブロックが前記第1通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記第2接続数は、前記制御ブロックが前記第2通信ブロックから前記接続信号を受信した回数であり、
前記各通信ブロックは、自身に現在接続中の無線通信端末の数であるセッション数を管理し、所定のタイミングで前記セッション数を示すセッション数を前記制御ブロックに送信し、
前記割当変更ステップでは、
前記第1減算結果又は第2減算結果が前記第1所定値以下であると判定した場合、受信したセッション数に基づいて、前記第1所定値以下である減算結果に対応する通信ブロックのセッション数を抽出し、
前記抽出されたセッション数と第4所定値とを比較し、
前記抽出されたセッション数が第4所定値以下である場合、前記第4所定値以下となったセッション数に対応する通信ブロックに割り当てられたプロセッサの資源を、前記第4所定値以下となったセッション数に対応する通信ブロックでない他方の通信ブロックに割り当てることを特徴とする請求項8に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項13】
前記ゲートウェイ装置は、少なくとも三つの前記プロセッサを備え、
前記第1通信ブロック、前記第2通信ブロック、及び前記制御ブロックには、前記プロセッサ単位で前記プロセッサの資源が割り当てられ、
前記割当変更ステップでは、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを前記プロセッサ単位で変更することを特徴とする請求項8に記載の通信ブロック割当変更方法。
【請求項14】
前記プロセッサは、少なくも三つのコアを備え、
前記通信ブロック割当部は、前記第1通信ブロック、前記第2通信ブロック、及び前記制御ブロックには、前記コア単位で前記プロセッサの資源が割り当てられ、
前記割当変更ステップでは、前記第1通信ブロック及び前記第2通信ブロックへの前記プロセッサの資源の割り当てを前記コア単位で変更することを特徴とする請求項8に記載の通信ブロック割当変更方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−151685(P2012−151685A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9166(P2011−9166)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]