説明

ゲート装置リリース復旧機構

【課題】車両接触して車両進行方向に回転する阻止バーの復旧作業を車両レーンに出ずに行えるようにする。
【解決手段】阻止バーホルダーに保持され、水平方向にある阻止バーが車両により衝突されると、阻止バーを挿入した阻止バーホルダーがホルダー回転軸を中心に回転し連結部材からリリースして阻止バー駆動回転軸と平行方向になる。その後、阻止バー駆動用回転軸を連結部材とともに回転し阻止バーを挿入した阻止バーホルダーを阻止バー駆動装置上方に位置させる。そのときに、阻止バー駆動装置の上面に設けたアームが、阻止バーを下方から押すように回転させるから、阻止バーを挿入した阻止バーホルダーを連結部材にリリース復旧させることができる。さらに、阻止バー回転軸を回転し、阻止バーを水平方向に復旧することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の通過を制御するゲート装置に関し、その阻止バーの自動リリース復旧機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば駐車場ゲート及びETCゲートにおいて、車両が阻止バーに衝突して破損するケースが多くあった(図6)。
この破損を防ぐために、ゲート装置に、車両接触時阻止バーを車両進行方向に回転(リリース)させ(図7)てダメージを軽減するリリース機構を備えるものがある。
しかし、現用のゲート装置においては、リリース後阻止バーを復旧するために、専用の保守員が必要となりコストがかかるものとなっている。また、専用の保守員が阻止バーの復旧のため、車両通行レーンに出て復旧作業をする場合があり、当該保守員が車両にはねられる危険性があった(図8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4171567号公報
【特許文献2】特許第4183582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、車両接触時阻止バーのダメージを軽減するために阻止バーを車両進行方向に回転(リリース)するゲート装置の前記阻止バーの復旧作業を車両レーンに出て行わざるを得ないことであり、本発明は阻止バーの復旧作業を車両レーンに出ずに行えるゲート装置のリリース復旧機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係るゲート装置リリース復旧機構は、阻止バー駆動用回転軸を側面から露出する阻止バー駆動装置と、長手状の部材であって長さ方向が前記阻止バー駆動用回転軸と直交するように結合して前記阻止バー駆動用回転軸の回転に伴い回転する連結部材と、阻止バーを一端部から挿入し保持するための長手状の筒状部材であって、前記連結部材の長さ方向と前記阻止バー駆動用回転軸とに対し直角に形成したホルダー回転軸を中心に回転可能に収納される阻止バーホルダーと、阻止バーを挿入した阻止バーホルダーがホルダー回転軸を中心に回転し前記連結部材への収納から離れて前記阻止バー駆動回転軸と平行方向になり、阻止バー駆動用回転軸を連結部材とともに回転し阻止バーを挿入した阻止バーホルダーを阻止バー駆動装置上方に位置させたときに、前記阻止バーを下方から押すように回転上昇させて阻止バーを挿入した阻止バーホルダーを連結部材に収納させてリリース復旧させるための前記阻止バー駆動装置の上面に設けたアームとからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係るゲート装置リリース復旧機構によると、阻止バーホルダーに保持された阻止バーが車両により衝突されると、阻止バーを挿入した阻止バーホルダーがホルダー回転軸を中心に回転し連結部材からリリースして阻止バー駆動回転軸と平行方向になり、その後、阻止バー駆動用回転軸を連結部材とともに回転し阻止バーを挿入した阻止バーホルダーを阻止バー駆動装置上方に位置させたときに、阻止バー駆動装置の上面に設けたアームが、阻止バーを下方から押すように回転させるから、阻止バーを挿入した阻止バーホルダーを連結部材にリリース復旧させることができる。さらに、阻止バー回転軸を回転し、阻止バーを水平方向に復旧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ゲート装置のリリース復旧動作の流れを説明する図である。
【図2−1】ゲート装置のリリース復旧機構の構成を示した説明図である。
【図2−2】ゲート装置のリリース復旧機構の構成を示した説明図である。
【図3】プランジャの構成を説明する説明図である。
【図4−1】ゲート装置のリリース復旧機構の構成を示した説明図である。
【図4−2】ゲート装置のリリース復旧機構の構成を示した説明図である。
【図5】ゲート装置のリリース復旧機構の構成を示した説明図である。
【図6】ゲート装置のリリース復旧機構の復旧動作を示した説明図である。
【図7】従来のゲート装置のリリース発生を説明する図である。
【図8】従来のゲート装置の復旧作業を説明する図である。
【実施例1】
【0008】
図1は、ゲート装置のリリース復旧動作の流れを説明する図である。
図2−1は、本発明によるゲート装置リリース復旧機構を説明する図であり、阻止バーがリリースした状態の斜視図、図2−2は背面方向を主に見た主要部分の斜視図である。
図3は後述するプランジャを説明する図である。
各図面において、煩雑により互いの関係がわからなくなるのを防ぐため、適当に簡略して図示している場合がある。
図2−1、図2−2において、101は阻止バー駆動装置、102は阻止バー駆動用回転軸、103は連結部材、104は阻止バーホルダー、105は阻止バー、106はホルダー回転軸、107はプランジャ、108はギヤケース、109はアームである。図2−1において、プランジャ107を引っ張る機構は略してある。
【0009】
阻止バー駆動装置101は外形を箱形に形成したケースを含みその内部に阻止バー駆動機構を収納し、その一側面から阻止バー駆動用回転軸102を露出する。阻止バー駆動用回転軸102の先端には連結部材103を結合する。
連結部材103は、断面コ字状の長手状の部材であって長さ方向が前記阻止バー駆動用回転軸102と直交するように結合する。このとき、断面コ字状を形成する両側面を阻止バー駆動装置101に向かう方向とは反対方向に向くようにし、連結部材103の断面コ字状を形成する中間の面を阻止バー駆動用回転軸102に結合する。連結部材103は、前記阻止バー駆動用回転軸102の回転に伴い回転することができる。
阻止バーホルダー104は外形がほぼ直方体の長手状筒部材から形成され、連結部材103が形成する断面コ字状の内部に互いの長さ方向をそろえて収納可能に形成される。阻止バーホルダー104の一端部近傍に透過孔を形成した軸用片を設け、さらに、ホルダー回転軸106は連結部材103の端部に透過孔を設け、互いの透過孔を合致させて、透過孔にホルダー回転軸106を挿入する。連結部材103と阻止バーホルダー104とはホルダー回転軸106を介して結合し、このホルダー回転軸106を中心に阻止バーホルダー104が回転可能になる。運用時には連結部材103の断面コ字状部分に阻止バーホルダー104を収納している。阻止バーホルダー104の一方の端部104aは連結部材103の一方の端部に形成する側部103aに対峙し、互いに設けられる係止機構により阻止バーホルダー104が連結部材103の収納から離脱してホルダー回転軸106を中心に回転することを制限する。係止機構は、例えば連結部材103の側部103aにバネ力を付勢されたボール103bを配置し、連結部材103に収納した状態で連結部材103の側部103aに対峙する阻止バーホルダー104の端部面104aに連結部材103の側部103aからのボール103bを収納する凹部を備えて形成され、バネ力により、阻止バーホルダー104が連結部材103の収納から離脱してホルダー回転軸106を中心に回転することを制限する。連結部材103には、連結部材103と阻止バーホルダー104とが、互いに収納状態にあるかどうかを検知する図示しないリリース検知センサが配置されている。例えば、プランジャ107の沈み込みの有無によりリリースを検知する構成にする。
阻止バーホルダー104の他方の端部は開口部を形成する。
阻止バー105は、阻止バーホルダー104の開口部から挿入され保持される。
図3のように、連結部材103の断面コ字状を形成する両側面で、ホルダー回転軸106の近傍には、プランジャ107が設けられる。プランジャ107の一方の先端部は、内部に設けた図示しないバネ作用により連結部材103の内部方向に付勢される。他方の端部には突起1071を設けた伝達片1072を備える。連結部材103のプランジャ107が設けられる近傍に支持部材1031が設けられ。支持部材1031の先端部分に軸部材1032を取り付ける。その軸部材1032にテコ部材1073が取り付けられる。テコ部材1073の一方の先端部は二股に分かれ、二股の間に前記突起1071を位置させ、テコ部材1073の他方の先端部にはワイヤ1074a,1074bが結び付けられる。ワイヤ1074はプーリ1033を介してワイヤ調節部1034に連結する。支持部材103に取り付けられるテコ部材1073は、伝達片1072とプーリ1033とを連結するから、連結部材103の側面からプーリ1033が設けられる底面に向けた斜め方向に配置される。
図2−2のように、ギヤケース108は、阻止バー駆動用回転軸102が露出する側面と隣り合う一方の側面が形成する一辺に沿って、阻止バー駆動装置101のケース上部の端に配置される。ギヤケース108には一面からアーム109が回転軸を介して設けられる。アーム109はケース上方を回転軸の回転にしたがって、回転しながら上下することができる。
【0010】
運行時、図示しない車両検知器が通行車両を検知して、阻止バー駆動装置101は、阻止バー105が水平方向になるように駆動する。当該車両の通過をさせてもよいと認める場合は、連結部材103を回転駆動して、阻止バーホルダー104、阻止バー105とともに上昇回転移動して、車両を通過させるとともに阻止バー105が車両に衝突しないようにする。なお、連結部材103が水平方向にある時を閉状態その位置を閉位置、連結部材103が上方ほぼ鉛直状態あるときを開状態その位置を開位置とする。また、阻止バーホルダー104がホルダー回転軸106を中心に回転し連結部材103の収納から離脱した状態をリリース状態その状態にある位置をリリース位置という。
(1)通常状態(図1(1))
車両検知器が通行車両を検知したにもかかわらず、当該車両の通過をさせてもよいと認めない場合は、連結部材103を閉位置のままで回転駆動しない。
(2)リリース発生(図1(2))
そのため、当該車両は阻止バー105に衝突することになり、阻止バー105が、阻止バーホルダー104とともにホルダー回転軸106を中心に回転し連結部材103からリリースする。阻止バー105は、リリースに際して、ホルダー回転軸106を中心にした回転に伴い移動し、前記阻止バー駆動回転軸102と平行方向となる(図2−1)。
(3)リリース開信号入力(図1(3)) (リリース復旧動作)
閉状態からリリースが発生すると、リリース復旧動作に移る。プランジャ107が連結部材103内部に図示しないバネ作用により挿入され、プランジャ107の軸が阻止バーホルダー104の底面に接触して連結部材103方向に戻る回転を阻止して、リリース状態を維持する(図2−1)。プランジャ107が連結部材103内部に挿入され、リリース発生を知らせるリリース開信号がプランジャ107から阻止バー駆動装置101に送られる。
(4)リリース開動作→リリース開状態(図1(4)) (リリース復旧動作)
阻止バー駆動装置101は、リリース開信号を受信すると、阻止バー駆動用回転軸102を駆動して、連結部材103が上方鉛直方向に位置するように回転させる(図4−1,図4−2)。開位置センサは、連結部材103が阻止バー105を開位置に移動したことを、阻止バー駆動用回転軸102の回転角度あるいは回転位置により検知すると、リリース復旧開信号を阻止バー駆動装置101に送出する。このとき、阻止バー駆動用回転軸102の回転を停止する。
(5)リリース復旧開信号入力(図1(5)) (リリース復旧動作)
リリース復旧開信号を受信した阻止バー駆動装置101は、プランジャ107を図示しないワイヤを含むプランジャ復旧機構を作動してワイヤの引っ張り動作によりプランジャ107を引いて、阻止バーホルダー104が連結部材103方向に戻る回転制限を解除する。
(6)リリース復旧開動作→リリース復旧開状態(図1(6)) (リリース復旧動作)
阻止バー駆動装置101は、アーム109を動作させる。アーム109は、ギヤケース108に連結するアーム連結軸108a(図4−2参照)を回転駆動する。アーム109は、回転しながら上昇すると、阻止バー105に接触し、さらに阻止バー105を押し上げながら回転する。押し上げられた阻止バー105は阻止バーホルダー104とともに、アーム109の回転上昇にしたがってホルダー回転軸106を中心にして回転する。アーム109とともに回転する阻止バーホルダー104は連結部材103に収納される(図5)。
(7)閉信号入力(図1(7)) (リリース復旧動作)
この阻止バーホルダー104の連結部材103への収納により、プランジャ復旧機構の引っ張り動作を停止してもプランジャ107の先端が阻止バーホルダー104の側面に突き当たり、プランジャ107の沈み込みが制限され、このときリリース検知センサは阻止バーホルダー104がリリース状態にないすなわちリリースオフとなる。リリースオフを知らせる閉信号が阻止バー駆動装置101に送られる。
(8)閉動作→通常閉状態(図1(8)) (リリース復旧動作)
阻止バー駆動装置101は、閉信号を受信すると、阻止バー駆動用回転軸102を駆動して、連結部材103が水平方向に位置するように回転させる。閉位置センサは、連結部材103が阻止バー105を閉位置に移動したことを、阻止バー駆動用回転軸102の回転角度あるいは回転位置により検知し、阻止バー駆動用回転軸102の回転を停止して、リリース復旧動作を終了して、通常状態に戻る。
【符号の説明】
【0011】
101…阻止バー駆動装置
102…阻止バー駆動用回転軸
103…連結部材
104…阻止バーホルダー
105…阻止バー
106…ホルダー回転軸
107…プランジャ
108…ギヤケース
109…アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
阻止バー駆動用回転軸を側面から露出する阻止バー駆動装置と、
長手状の部材であって長さ方向が前記阻止バー駆動用回転軸と直交するように結合して前記阻止バー駆動用回転軸の回転に伴い回転する連結部材と、
阻止バーを一端部から挿入し保持するための長手状の筒状部材であって、前記連結部材の長さ方向と前記阻止バー駆動用回転軸とに対し直角に形成したホルダー回転軸を中心に回転可能に収納される阻止バーホルダーと、
阻止バーを挿入した阻止バーホルダーがホルダー回転軸を中心に回転し前記連結部材への収納から離れて前記阻止バー駆動回転軸と平行方向になり、阻止バー駆動用回転軸を連結部材とともに回転し阻止バーを挿入した阻止バーホルダーを阻止バー駆動装置上方に位置させたときに、前記阻止バーを下方から押すように回転上昇させて阻止バーを挿入した阻止バーホルダーを連結部材に収納させてリリース復旧させるための前記阻止バー駆動装置の上面に設けたアームとからなることを特徴とするゲート装置リリース復旧機構。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−252309(P2011−252309A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126508(P2010−126508)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000176730)三菱プレシジョン株式会社 (97)
【Fターム(参考)】