説明

ゲームシステム

【課題】 ゲームに使用される玩具体の偽造が困難であるゲームシステムを提供すること。
【解決手段】 所定の視差角を持って2方向から見た場合に互いに異なる第1の画像部および第2の画像部が視認可能となる表示部を真偽識別マークとして有する真正玩具体を使用してゲームを実行するゲームシステムであって、玩具体の真偽識別マーク対応部分を第1の画像部および第2の画像部が視認可能となるような所定の視差角を持って2方向から同時に撮像する2つの撮像部を有する撮像手段と、2つの撮像部によって同時に撮像された2つの画像が第1の画像部および第2の画像部に合致するか否かで玩具体の真偽を見分ける玩具体識別手段と、を備え、これによって、玩具体の偽造を防止できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真偽識別マークを有するゲームカードを使用してゲームを実行するゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなゲームシステムとして、少なくとも第1の方向において所定の画像を視認可能な状態とする第1の画像部と、第1の方向とは異なる第2の方向において2次元コードを視認可能な状態とする第2画像部とからなるホログラムを有するゲームカードを使用するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このゲームシステムでは、第2の方向から第2の画像部を撮像し、この第2の画像部を画像解析することによって、ゲームカードの真偽を識別し、真正ゲームカードによってゲームを実行するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−110888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなゲームシステムによれば、第1の画像部および第2の画像部はホログラムとなっているため、ゲームカードの複写は困難である。
しかしながら、ゲームカードの識別に使用される第2の画像部である2次元コードは、一旦、第2の画像部を撮像してしまえば、その第2の画像部の模倣が容易であり、この第2の画像部を有する偽造のゲームカードが容易に作成できてしまう。
そして、この偽造のゲームカードを使用してゲームを行うことができてしまうという問題がある。
このような問題は、真偽識別マークを有する玩具体であるゲームカードを使用する場合に限らず、真偽識別マークが付された人形その他の玩具体を使用して、ゲームシステムによってゲームを実行する場合にも生じる。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、ゲームを実行する際に使用される玩具体の真偽識別マークの偽造が困難であるゲームシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、
所定の視差角を持って2方向から見た場合に互いに異なる第1の画像部および第2の画像部が視認可能となる表示部を真偽識別マークとして有する真正玩具体を使用してゲームを実行するゲームシステムであって、
玩具体の真偽識別マーク対応部分を前記第1の画像部および前記第2の画像部が視認可能となるような所定の視差角を持って2方向から同時に撮像する2つの撮像部を有する撮像手段と、
前記2つの撮像部によって同時に撮像された2つの画像が前記第1の画像部および前記第2の画像部に合致するか否かで玩具体の真偽を見分ける玩具体識別手段と、
を備えることを特徴とするゲームシステムである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のゲームシステムにおいて、前記表示部はホログラムであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のゲームシステムにおいて、
前記第1の画像部および前記第2の画像部に対応する2つの比較画像データを予め記憶する記憶手段を備え、前記玩具体識別手段は、前記2つの撮像部によって同時に撮像された2つの画像に対応する2つの画像データが、前記記憶手段に予め記憶されている2つの比較画像データと合致するか否かで玩具体の真偽を見分けることを特徴とするゲームシステムである。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1から3いずれか一項に記載のゲームシステムにおいて、前記真正玩具体は真正ゲームカードであることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1から4いずれか一項に記載のゲームシステムにおいて、真正玩具体の種類毎に前記第1の画像部および前記第2の画像部の少なくとも一方の画像部が異なっており、前記玩具体識別手段は、玩具体の真偽の判定と、真正玩具体の種類の判定とを同時に行うことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1から5いずれか一項に記載のゲームシステムにおいて、前記撮像手段は立体カメラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1から3に係る発明によれば、所定の視差角を持って2方向から見た場合に互いに異なる第1の画像部および第2の画像部が視認可能となる表示部から構成される真偽識別マークを有し、同時に第1の画像部および第2の画像部と同じ画像が撮像されない限り、真正玩具体とは認定されないため、偽造の玩具体を使用してゲームを実行することが極めて困難となる。したがって、玩具体の偽造を効果的に防止することができる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、所定の視差角を持って2方向から見た場合に互いに異なる第1の画像部および第2の画像部が視認可能となるホログラムから構成される真偽識別マークを有し、同時に第1の画像部および第2の画像部と同じ画像が撮像されない限り、真正ゲームカードとは認定されないため、偽造のゲームカードを使用してゲームを実行することが極めて困難となる。したがって、ゲームカードの偽造を効果的に防止することができる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、2つの撮像部で同時に撮像された2つの画像を使用して、真偽の判定と、真正玩具体の種類の判定とを同時に行うことができるので、判定時間の短縮化を図ることができる。
【0015】
請求項6に係る発明によれば、2つの撮像部が立体カメラとして構成されているので、撮像作業が簡単に行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係るゲームシステムの全体を示す斜視図である。
【図2】図1のゲームシステムにおけるゲーム機を示す平面図である。
【図3】図2のゲーム機の制御構成を示す図である。
【図4】図2のゲーム機によってなされる処理を示すフローチャートである。
【図5】図4のフローチャートのうちの真偽判定処理を示すフローチャートである。
【図6】左側カメラおよび右側カメラで撮像された画像の模式図である。
【図7】ゲームカードの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態におけるゲームシステム1の概略構成を示す図である。
同図に示すように、ゲームシステム1は、複数種類のゲームカード2と、所定のゲームを実行するゲーム機3とを備えている。
【0019】
上記ゲームカード2は、本発明における玩具体である。このゲームカード2には、キャラクタやアイテム等のイメージおよび説明(属性や攻撃力、防御力等のパラメータ)が記載されており、このゲームカード2だけでも、カードゲームを楽しむことができるようになっている。
また、このゲームカード2は、ゲーム機3で実行されるゲームの開始および進行のために使用されるようになっており、このゲームカード2の表面には、所定領域に、カードの真偽を識別するための真偽識別マークであるホログラム(表示部)20が担持されている。このホログラム20は、同一ゲームで使用される複数種類のゲームカード2で共通となっている。このホログラム20は、所定の視差角を持って2方向から見た場合に互いに異なる第1の画像部および第2の画像部が視認可能となるような構成となっている。
また、ゲームカード2の表面には、真偽識別マークであるホログラム20の隣に、カード面に記載されたキャラクタやアイテム等を識別するための識別マークであるバーコード21が担持されている。このバーコード21は種類識別マークとして機能している。なお、このバーコード21に代えて、QRコードが担持されていてもよいことは勿論である。
【0020】
続いて、ゲーム機3について説明する。
ゲーム機3は、図1に示すように、メインディスプレイ30およびサブディスプレイ31と、2つのカメラ(撮像部)32a,32bと、キー群33とを備えている。なお、本実施形態においては、このゲーム機3は、ゲームの開始または進行のためゲームカード2を1枚または複数枚使用するようになっている。
【0021】
ここで、メインディスプレイ30およびサブディスプレイ31は、LCD等によって構成されており、メインディスプレイ30はゲーム画面を表示し、サブディスプレイ31は、使用中、あるいは使用待機中のゲームカード2のカード面を表示する。
また、本実施の形態におけるメインディスプレイ30およびサブディスプレイ31には、タッチパネル30a,31aが表示画面全面に亘って一体的に設けられており、このタッチパネル30a,31aは、押下された位置に対応する指示入力を後述の制御部37(図3参照)に出力する。
【0022】
2つのカメラ32a,32bの各々は撮像部を構成し、この2つのカメラ32a,32b全体で撮像手段を構成している。この撮像手段は立体カメラとして構成されている。この2つのカメラ32a,32bは、例えば、ゲームカード2のホログラム20およびバーコード21を所定の視差角を持って撮像する。
【0023】
キー群33は、ゲーム機3を操作するための複数の操作キーを有しており、このキー群33は、ユーザからの指示入力を後述の制御部37(図3参照)に出力する。
【0024】
このゲーム機3は、図3に示すように、上述のメインディスプレイ30やサブディスプレイ31、タッチパネル30a,31a、カメラ32a,32b、キー群33に加え、通信を行う通信部34と、種々の情報を記憶するROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)から構成された記憶部35と、CPU(Central Processing Unit)等によって構成された制御部37とを有している。
【0025】
ここで、上記通信部34は、外部のサーバや他のゲーム機との間でデータ通信を行う。
【0026】
また、上記記憶部35は記憶手段を構成し、ゲームプログラム350、キャラクタ等データ351、カード真偽識別プログラム352、カード種類識別プログラム353および比較画像データ354等を記憶している。
なお、これらのゲーム処理プログラム350、キャラクタ等データ351、カード真偽識別プログラム352、カード種類識別プログラム353および比較画像データ354等は、ゲーム機3に着脱可能な記憶媒体(例えばSDカード等)に記憶されていてもよい。
【0027】
また、上記制御部37は、ゲーム機3の各部を制御し、ゲーム機3内で各種処理を実行する。
より詳細には、制御部37は、カード真偽識別プログラム352に従って、比較画像データ354を適宜に読み出し、ゲームカードの真偽を識別する。また、制御部37は、カード種類識別プログラム353に従って、真正ゲームカード2の種類を識別する。さらに、制御部37は、ゲーム処理プログラム350に従って、真正ゲームカード2のバーコード21に対応するキャラクタ等データ351を記憶部35から読み出し、ゲームを実行する。
【0028】
次に、このゲーム機3によって実行される全体処理を説明する。
このゲーム機3は、図4に示すように、撮影処理(ステップS1)、カード真偽識別処理(ステップSS2)、カード種類識別処理(ステップS3)およびゲーム処理(ステップS4)を実行する。
【0029】
ステップS1の撮影処理では、制御部37は、2つのカメラ32a,32bを制御し、この2つのカメラ32a,32bによって所定の視差角でゲームカードの識別マーク対応部分を同時に撮像させる。図6(A)には左側カメラで撮像された識別マーク対応部分の画像部が模式的に示され、図6(B)には右側カメラで撮像された識別マーク対応部分の画像部が模式的に示されている。同図においては、ホログラム20の画像が文字X,Yで観念的に示されているが、実際には、X,Yは互いに異なる絵柄である。
そして、この2つのカメラ32a,32bで同時に撮像された2つの画像に対応する画像データを記憶部35のRAMに記憶させる。なお、ゲームに複数枚の真正ゲームカード2が必要とされる場合には、このステップS1の処理を繰り返す。
【0030】
ステップS2のカード真偽識別処理では、図5に示すように、制御部37は、真正ゲームカード2の識別マークを互いに異なった方向から見た場合に得られる2つの画像部(ホログラム部分)に対応する2つの比較画像データ354を記憶部35のROMから読み出す(ステップS21)。そして、制御部37は、この2つの比較画像データ354と、2つのカメラ32a,32bで同時に撮像された2つの画像(ホログラム部分)に対応する2つの画像データとを比較し、両者が合致するか否かを判定する(ステップS22)。両者が合致しない場合には、制御部37は、偽ゲームカードと判定し、その旨をメインディスプレイ30またはサブディスプレイ31に表示させると共に、他のゲームカードの撮像を催促する(ステップS23)。
一方、両者が合致する場合、制御部37は、ゲームカードが真正であると判定し、制御部37は、カード真偽識別処理を終了し、ステップS3のカード種類識別処理に移行する。なお、ゲームに複数枚の真正ゲームカード2が必要とされる場合には、このステップS21からステップS23の処理を繰り返す。
【0031】
このステップS3のカード種類識別処理では、制御部37は、2つのカメラ32a,32bで撮像された画像(バーコード部分)に対応するキャラクタ等データ351を記憶部35のROMから読み出し、記憶部35のRAMに記憶させる。これによって、制御部37は、カード種類識別処理を終了し、ステップS4のゲーム処理に移行する。
【0032】
ステップS4のゲーム処理では、制御部37は、記憶部35のRAMに記憶されたキャラクタ等データ351を読み出し、ゲームを実行する。
【0033】
以上のように構成されたゲームシステム1によれば、次のような効果が得られる。
上記ゲームシステム1によれば、所定の視差角を持って2方向から見た場合に互いに異なる第1の画像部および第2の画像部が視認可能となるホログラム20から構成される真偽識別マークを有し、同時に第1の画像部および第2の画像部と同じ画像が撮像されない限り、真正ゲームカードとは認定されないため、偽造のゲームカードを使用してゲームを実行することが極めて困難となる。
さらに、2つのカメラ32a,32bは立体カメラとして構成されているので、撮像作業が簡単に行えることになる。
【0034】
[真正ゲームカードの変形例1]
図7には真正ゲームカードの変形例1が示されている。
この真正ゲームカード2aの表面には、所定領域に、ゲームカードの真偽を判定するための真偽識別マークであるホログラム20を担持し、また、このホログラム20の中にバーコード21も担持している。
この真正ゲームカード2aによれば、ホログラム20の一部に重ねてバーコード21が担持されているため、より、ゲームカードの偽造が困難となる。
【0035】
[真正ゲームカードの変形例2]
この変形例2の真正ゲームカードは図示されていないが、構造としては、図1に示されている真正ゲームカード2と同じとなっている。ただし、この変形例の真正ゲームカードに担持されたホログラム20は真正ゲームカードの種類毎に異なっている。ここで、ホログラム20が異なるとは、所定の視差角を持って2方向から見た場合に視認可能となる互いに異なる第1の画像部および第2の画像部の組み合わせが真正ゲームカードの種類毎に異なっていることを意味している。
この真正ゲームカードによれば、2つのカメラ32a,32bで同時に撮像された2つの画像を使用して、ゲームカードの真偽の判定と、真正ゲームカードの種類の判定とを同時に行うことができるので、判定時間の短縮化を図ることができる。また、真正ゲームカードの種類毎に異なるホログラム20となっているため、ゲームカードの偽造がさらに困難となる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形可能であることは言うまでもない。
【0037】
例えば、上記実施形態では、本発明における玩具体をゲームカードとして説明したが、例えば自動車玩具や人形等、他の形状の玩具としても良い。
【0038】
なお、ホログラム20の第1の画像部および第2の画像部の少なくとも一方は2次元コードであってもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、ゲーム機1に2つのカメラ32a,32bその他の構成要素が搭載されているが、ゲーム機1と別体で当該ゲーム機1と接続されたネットワーク上に存在するものであってもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、真正ゲームカードの表示部をホログラムで構成したが、画像とレンチキュラーとによって表示部を構成し、所定の視差角を持って2方向から見た場合に互いに異なる第1の画像部および第2の画像部が視認可能となるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ゲームシステム
2 ゲームカード
3 ゲーム機
20 ホログラム
21 バーコード
32a,32b カメラ(撮像部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の視差角を持って2方向から見た場合に互いに異なる第1の画像部および第2の画像部が視認可能となる表示部を真偽識別マークとして有する真正玩具体を使用してゲームを実行するゲームシステムであって、
玩具体の真偽識別マーク対応部分を前記第1の画像部および前記第2の画像部が視認可能となるような所定の視差角を持って2方向から同時に撮像する2つの撮像部を有する撮像手段と、
前記2つの撮像部によって同時に撮像された2つの画像が前記第1の画像部および前記第2の画像部に合致するか否かで玩具体の真偽を見分ける玩具体識別手段と、
を備えることを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
前記表示部はホログラムであることを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記第1の画像部および前記第2の画像部に対応する2つの比較画像データを予め記憶する記憶手段を備え、前記玩具体識別手段は、前記2つの撮像部によって同時に撮像された2つの画像に対応する2つの画像データが、前記記憶手段に予め記憶されている2つの比較画像データと合致するか否かで玩具体の真偽を見分けることを特徴とする請求項1または2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記真正玩具体は真正ゲームカードであることを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項5】
真正玩具体の種類毎に前記第1の画像部および前記第2の画像部の少なくとも一方の画像部が異なっており、前記玩具体識別手段は、玩具体の真偽の判定と、真正玩具体の種類の判定とを同時に行うことを特徴とする請求項1から4いずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記撮像手段は立体カメラであることを特徴とする請求項1から5いずれか一項に記載のゲームシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−22739(P2013−22739A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156345(P2011−156345)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】