ゲーム機
【課題】 複数のプレイヤがゲームテーブルであるテーブルスクリーン上に手で指示しながらゲームを進行させるゲーム機を提供する。
【解決手段】 このゲーム機は、ゲームテーブルに相当する画像を表示するゲームテーブル表示手段と、ゲームテーブル表示手段上の指示部の位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段により検出した指示部の位置とゲームテーブル表示手段との位置関係に基づいて、その指示部に対応するプレイヤを特定するプレイヤ特定手段と、前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に基づいてゲームの制御を行う制御手段とを有することを特徴としている
【解決手段】 このゲーム機は、ゲームテーブルに相当する画像を表示するゲームテーブル表示手段と、ゲームテーブル表示手段上の指示部の位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段により検出した指示部の位置とゲームテーブル表示手段との位置関係に基づいて、その指示部に対応するプレイヤを特定するプレイヤ特定手段と、前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に基づいてゲームの制御を行う制御手段とを有することを特徴としている
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にゲーム機に関し、より詳しくはプレイヤの手の位置を特定し、この位置に基づいてゲームの制御を行うとともに、どの位置から手が伸びているかを検知してプレイヤの特定を行うゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームセンターや遊技場に設置されるゲーム機には、ルーレットや、ポーカー、ブリッジ、バカラのように、複数のプレイヤが同一のゲームテーブルを同時に使用しておこなうゲームを提供するものが登場している。
【0003】
このようなゲーム機は、プレイヤの人数に応じた操作部が設置されており、プレイヤは対応する操作部を操作することによってゲームを行うようになっていた。
【0004】
たとえば、大型パネルディスプレイにゲーム画面が表示されるゲーム装置であって、プレイヤごとに用意された端末装置により、プレイヤがゲームの指示をなすゲーム装置が提案されている(特許文献1)
【0005】
この指し示しにおいて、どの位置が指し示されているかを検出することが必要となる場合がある。たとえば、指し示されている文の色を変化させてハイライト表示にする、或いは指し示された図表を拡大表示するなど、プレイヤの理解を支援するための各種の画像処理を指し示しを、トリガとして行いたい場合が考えられる。
【0006】
このような要請に応じる技術として、スクリーンに表示された画面である画像領域における指示位置を、その画像領域を撮影して、撮影により得られた画像をエッジ処理することにより指示位置を検出する技術が提案されている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−301264号公開公報(図1,段落[0063]、[0066])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ルーレットや、カードゲームのような複数人が同時に同じテーブルを用いて遊ぶゲーム機の場合、実際のルーレットやカードゲームのように共通のゲームテーブル上を複数人のプレイヤがそれぞれ自らの手で所望の場所(例えば、チップを賭ける位置)を指し示してゲームを進行させることが望まれていた。
【0008】
複数のプレイヤに共通のゲームテーブルを使用させる方法として、プレイヤが一人ずつプレイするようプレイ順を規制する方法により、プレイヤの特定を行う方法も考えられるが、そのような方法では複数人が一つのゲームテーブル上に手を出しながらゲームを楽しむという状況を作り出せなかった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決することを目的として、複数のプレイヤがゲームテーブルであるテーブルスクリーン上に手による指示を出しながらゲームを進行させるゲーム機を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の別の目的は、プレイヤの手による指示を出しながらゲームを進行させるゲーム機において、ゲーム結果等を当該プレイヤに関する表示に反映させるゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するため手段として以下のような特徴を有する。
本発明は、複数のプレイヤが同時に同一のゲームテーブルを使用してゲームを行うことが可能なゲーム機として提案される。プレイヤは、ゲーム機が備えるゲームテーブル(例えば、ルーレットのベッティングテーブル、バカラのバカラテーブル)の周囲に位置してゲームを行う。プレイヤがプレイを行う位置は、ゲームテーブル周囲に予め定めた位置に椅子などを配置することにより、おおよそ定められている。
【0012】
このゲーム機は、ゲームテーブルに相当する画像を表示するゲームテーブル表示手段(画像表示手段)と、ゲームテーブル表示手段上の指示部の位置を検出する位置検出手段(位置検出部)と、位置検出手段により検出した指示部の位置とゲームテーブル表示手段との位置関係に基づいて、その指示部に対応するプレイヤを特定するプレイヤ特定手段(プレイヤ特定部)と、前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に基づいてゲームの制御を行う制御手段(ゲーム制御部)とを有することを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、複数のプレイヤが同時に一のゲームテーブルであるテーブルスクリーン上に賭け位置などを指示しながらゲームを進行させるゲーム機において、どのプレイヤがどの位置に何(どのくらいのベット数)を賭けたかを特定することが可能となる。
【0014】
本発明にかかるゲーム機において、プレイヤの位置を指定するように設けられたプレイヤ端末手段をさらに有する様な構成としても良い。プレイヤ端末手段は、例えばプレイヤがベット数をゲーム機に入力する機能を有する操作端末機である。
【0015】
また、本発明にかかるゲーム機において、ゲーム制御手段は、前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に加えて、プレイヤ端末手段によるプレイヤの入力に基づいてゲームの制御を行うようにしてもよい。
【0016】
また、本発明にかかるゲーム機において、ゲーム制御手段が各プレイヤのゲーム結果に応じてゲームテーブル表示手段により表示される画像を制御する構成としても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プレイヤが実際にゲームテーブル上を手で指し示しながら、ゲームを進行させることが可能となる。
【0018】
また、本発明によれば、複数のプレイヤが同時に一のゲームテーブルであるテーブルスクリーン上に賭け位置などを指示しながらゲームを進行させるゲーム機において、どのプレイヤがどの位置に何(どのくらいのベット数)を賭けたかを特定することが可能となる。
【0019】
本発明の別の態様によれば、ベット数を指示部の位置の変化(例えば、テーブルスクリーンをタップした回数をベット数として扱う場合に、指示部の上下動を検出する)を用いて決定する場合に比べて、プレイヤ端末手段からの入力によりベット数を明確に取得して、ゲーム進行に反映させることが可能となる。
【0020】
またさらに、本発明のさらに別の態様によれば、ゲームの結果がプレイヤのみ鳴らずゲーム機周囲の見物人にも良く認識できるようになり、その結果ゲームへの参加意欲を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
[1.第1の実施の形態]
まず、本発明にかかる第1の実施の形態について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明にかかる第1の実施の形態による画像表示システムの基本的構成例を示す図である。
【0022】
この画像表示システム1は、結像手段10と、画像データを供給するための映像制御手段30と、映像制御手段30からの画像データに基づいて、この結像手段10前面に画像を投影するための投影手段20と、指示部Pの影PSが形成された結像手段10をその背面から撮影するための撮像手段40と、撮像手段40から出力される結像手段10背面の画像データを受け取り、この画像データから指示部Pの影PSの位置を判定し、位置情報を出力する位置検出手段50と、撮像手段40からの画像データに基づいて、影PSに対応するプレイヤを特定するプレイヤ特定手段70と、位置検出手段50からの位置情報及びプレイヤ特定手段70のプレイヤを特定する情報に基づいて結像手段10に映し出す画像を映像制御手段30に指令する全体制御手段60とを有している。結像手段10、投影手段20,映像制御手段30は、協働して、プレイヤにゲームテーブルなどの画像を表示する画像表示手段80として機能する。
【0023】
結像手段10は透過性を有しており前面及び背面からの光を透過する。結像手段10は、たとえば液晶プロジェクタ用の透過性スクリーンである。ユーザUは結像手段10前面から結像手段10を見ると、結像手段10背面側から投影手段20によって射出された光学的画像が結像手段10上に結像して見え、その結果ユーザUは、投影手段20が照射した、画像データに対応する画像を看取することができるようになっている。
【0024】
指示部Pは、結像手段10前面に表示された画像の所望の箇所をユーザが指し示す物或いは手段であって、たとえばユーザU自身の手(腕部を含む)、指示棒などである。指示部Pは光源LSにより照らされており、結像手段10に指示部Pの影PSが映る。結像手段10は透過性を有するため、結像手段10背面から見た場合にも、この影PSが見えるようになっている。なお、光源LSは太陽のような自然光源であっても良いし、画像表示システム1が配置された環境に設けられた照明装置であっても良いし、或いはまた、画像表示システム1に設けられた蛍光灯のような照明装置であっても良い。
【0025】
投影手段20は画像データに基づいて光学的画像を結像手段10に投射可能な光学的投射系であって、たとえば液晶プロジェクタ(DLP(Digital Liquid Projector))などである。光源LSは、好ましくは白色光を発する光源である。白色光が結像手段10を透過することによって、結像手段10背面において指示部Pの影PSの領域が黒く見えるとともに、影PS以外の領域が白く見え、白黒画像同等の画像が得られる。
【0026】
撮像手段40は、結像手段10背面の画像データを生成する手段であって、たとえばデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、CCDカメラユニット、などである。
【0027】
映像制御手段30,位置検出手段50、全体制御手段60、プレイヤ特定手段70は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、及び必要に応じてハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、たとえばコンピュータ、ワークステーション、LSIチップなどの情報処理装置である。前記ROM、もしくはハードディスク装置などに情報処理装置を映像制御手段30,位置検出手段50、或いは全体制御手段60として機能させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより映像制御手段30,位置検出手段50、又は全体制御手段60が実現される。また、上記プログラムはからなずしも情報処理装置内の記憶装置に記憶されていなくともよく、外部の装置(例えば、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダのサーバなど))から提供され、これを主メモリに乗せる構成であっても良い。
【0028】
映像制御手段30,位置検出手段50、全体制御手段60、プレイヤ特定手段70はそれぞれ個別の情報処理装置によって実現されても良いし、一つの情報処理装置が映像制御手段30,位置検出手段50、全体制御手段60、及びプレイヤ特定手段70として機能する構成としてもかまわない。
【0029】
映像制御手段30は、ユーザに見せるための画像データを複数記憶しており、全体制御手段60からの指令に応じて必要な画像データを読み出し、必要に応じて画像処理を行い、投影手段20に提供する。
【0030】
位置検出手段50は、撮像手段40からの結像手段10背面の画像データを受け取り、この画像データに必要な画像処理を行うことにより、指示部Pの影PSの位置を検出し、検出した位置を位置情報として出力する。画像処理としては、影PSを領域抽出するための閾値処理、影PSの輪郭を抽出するためのエッジ検出などがある。位置検出手段50は、これら閾値処理やエッジ検出により得られた影領域、輪郭線のピクセルの座標位置情報を利用して、影PSの位置情報を生成する。
【0031】
全体制御手段60は、画像表示システム1全体の動作を制御する機能を有し、映像制御手段30にどの画像データをどのタイミングで出力するかなどの指令を行うとともに、位置検出手段50からの影PSの位置情報に応じて映像制御手段30に画像データを変化させる指令などを送る。
【0032】
プレイヤ特定手段70は、影PSがプレイヤを特定するための領域であって、各プレイヤごとにテーブルスクリーン上に定められた領域(「プレイヤ特定領域」という)に入っているか否かを調べて、その結果影PSに対応するプレイヤを特定し、プレイヤを示す情報を出力する。プレイヤ特定領域は、プレイヤが自分に割り当てられたテーブルスクリーン上の入力領域に指示部Pで指示をする場合、必ず指示部が通過するであろう領域であって、プレイヤに与えられた着座位置、ゲーム機の形状、大きさ、予想されるプレイヤの体格などによって定まる領域である。
【0033】
[2.第1の実施の形態の変形例]
図2に、図1に示す画像表示システム1の変形例を示す。図1に示すシステムでは、指示部Pの位置を結像手段10下側から撮影し、指示部Pの影を含む画像を用いて位置の検出を行ったが、この図2に示す変形例では、撮像手段40を結像手段10の上方に配置し、直接指示部Pを撮影することにより位置の検出を行う。すなわち、この変形例にかかる画像表示システム1は、指示部Pの影の代わりに指示部Pの実像を用いて位置の検出を行う構成である。かかる構成によっても画像表示システムを実現することができる。
【0034】
上記実施の形態によれば、複数のプレイヤが同時に一のゲームテーブルであるテーブルスクリーン上に賭け位置などを指示しながらゲームを進行させるゲーム機において、どのプレイヤがどの位置に賭けたかを特定することが可能となる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明にかかる実施例について説明する。
[1.第1の実施例]
図3は、本発明にかかる画像表示システム1を利用したゲーム機の外観斜視図である。ここでは、ゲーム機は、バカラゲームをユーザに遊戯させる装置であるとして説明するが、本実施例にかかるゲーム機は、バカラゲームに限られず、ポーカ、ブラックジャック、ブリッジ、ルーレットなど本発明にかかる画像表示システム1を適用可能なゲームであればどのようなものであってもかまわない。
本実施例におけるゲーム機300は、テーブル部301と、テーブル部301上の後方に載置された正面ディスプレイ302とを有している。
【0036】
テーブル部301は画像表示システム1を構成する光学系及び情報処理機器を格納している。テーブル部301上面中央には、開口が設けられており、この開口には結像手段10である透過性スクリーン303が張られている。この透過性スクリーン303は、ユーザにゲーム画像を表示するための画像表示手段80である上面ディスプレイ(以下、「テーブルスクリーン306」という)として機能する。なお、透過性スクリーン303上方は、ガラスパネルなどの透明板部材により保護されており、プレイヤがテーブルスクリーン306に指示部Pである手で触れても透過性スクリーン303が破れたり汚損しない様になっている。
【0037】
正面ディスプレイ302の上部両端には、光源LSである蛍光灯304A、304Bが設けられており、透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが射影されるようになっている。なお、蛍光灯304A、304Bの配置位置は必ずしも図3に示す態様でなくとも良く、透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが射影される様な配置位置であればどの位置に設置されていてもかまわない。また、ゲーム機300が設置される場所に透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが射影される様な照明が設けられていれば、蛍光灯304A、304Bは設けなくともかまわない。
【0038】
図4は、テーブル部301内部に格納されている画像表示システム1を構成する光学系の配置例を示す図である。
テーブル部301の中央部には、透過性スクリーン303がガラスプレートなどにより保護された状態で固定されている。透過性スクリーン303の下方にはミラー401が傾斜した状態で設置されている。ミラー401に対向する位置に、投影手段20に相当するデジタル液晶プロジェクタ(以下、DLP)402と、撮像手段40に相当するデジタルビデオカメラ(DVC)403が固定されている。ミラー401はDLP402から照射された画像を透過性スクリーン303に向けて反射し、画像を所望の大きさで映し出すように、DLP402との距離、反射面の角度が調整されている。同様に、ミラー401は、透明スクリーン303背面の画像をデジタルビデオカメラ403に向けて反射し、デジタルビデオカメラ403が透明スクリーン303背面を撮像できるようにデジタルビデオカメラ403との距離および透明スクリーン303/デジタルビデオカメラ403に対する反射面の角度が調整されて設置されている。
【0039】
次に、ゲーム機300の電気的構成例について説明する。図5は、ゲーム機300の電気的構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、ゲーム機300は、透過性スクリーン303が設けられている。投影手段20であるDLP402は、この透過性スクリーン303にゲームに関する画像を光学的に投射する。映像制御手段30であるスクリーン画面制御部501は、DLP402に画像データ(以下、「前面画像データ」と呼ぶ)を供給する。撮像手段40であるデジタルビデオカメラ403は、透過性スクリーン303背面を撮影し、透過性スクリーン303背面の撮影により得られた画像データ(以下、「背面画像データ」と呼ぶ)を出力する。位置検出手段50である位置検出部503は、この背面画像データを処理することにより、指示部Pにより指示された位置を検出し、位置情報を出力する。プレイヤ特定部506は、ビデオカメラ403からの画像データを画像処理することにより、影PSが予め定められたプレイヤ特定領域の何れかに含まれるか否かを検出し、何れかに含まれる場合は、そのプレイヤ特定領域に対応するプレイヤ識別子を出力する。全体制御手段60であるゲーム制御部502は、ゲーム機300の動作を制御する機能を有し、スクリーン画面制御部501にどの画像データをどのタイミングで出力させるかなどの指令を行うとともに、位置検出手段50からの位置情報、およびプレイヤ特定部506からのプレイヤ識別子を受け取り、この位置情報に基づいて、ゲーム機300の動作を制御する。
【0040】
正面ディスプレイ制御部504は、ゲーム制御部502からの指令に応じて、正面ディスプレイ302に表示する画像の画像データ(以下、「正面画像データ」と呼ぶ)を出力する。正面ディスプレイ302は、この正面画像データを受け取り、表示する。正面ディスプレイ302に表示される画像は、透過性スクリーン303、すなわちテーブルスクリーン306に表示される画像と相まって、ゲームの状況、進行具合などをユーザに知らしめる。
【0041】
この実施例では、正面ディスプレイ302には、バカラのディーラーが動画により表示される。図6は、正面ディスプレイ302に表示される画面例である。画面には、ディーラー601が表示されており、ゲームの進行に従ってカードの配布、ドロウ、チップの受け渡し動作を行う様子が表示され、プレイヤがあたかも実際のディーラーとバカラゲームを行っているような演出が行われる。
【0042】
次に、テーブルスクリーン306(透過性スクリーン303)に表示される画面例を示す。図7は、ゲーム機300のテーブルスクリーン306(透過性スクリーン303)に表示される画面例である。この実施例では、テーブルスクリーン306にはバカラテーブルを模した画面が表示される。この例に示すバカラテーブルには、5人のプレイヤそれぞれについて、「BANKER」「PLAYER」「引き分け」にかけるための領域701、702、703が表示される。プレイヤが指示部Pである手などによって、領域701、702、703の何れかを指し示すことにより、そのプレイヤが「BANKER」「PLAYER」「引き分け」のいずれにベットするかがゲーム機300に入力されることとなる。なお、ベットするチップの枚数/金額/クレジット数は、後述のプレイヤ端末部505のベットボタンによってプレイヤが決定できるようになっている。各プレイヤが所有するチップの山706もテーブルスクリーン306に表示されており、プレイヤが「BANKER」「PLAYER」「引き分け」のいずれにベットするかを指示部Pにより指示すると、手元のチップの山から指定した領域701、702、703のいずれかへベットした枚数のチップだけ移動するように、テーブルスクリーン306に表示される画像が変化するようになっている。
【0043】
また、テーブルスクリーン306には、ディーラー601がBANKER、PLAYERのカードを配布する領域704,705があり、この領域704,705には、カードの画像が表示される。
【0044】
図5に戻り、ゲーム機300の電気的構成例の説明を続ける。
ゲーム制御部502には、複数のプレイヤ端末部5051〜505Nが接続されている。各プレイヤ端末部505は、プレイヤが貨幣、紙幣、プリペイドカード、クレジットカードなどを受け取り、これをゲーム機300で使用するクレジット(メダル/コイン)として扱えるようにするとともに、プレイヤからの払出指示に応じてその時点で所有しているクレジット(メダル/コイン)の払出を行うビルバリ機能、およびゲームにおけるベットの枚数/金額/クレジット数を決定するベット入力機能を有する端末機である。プレイヤはこのプレイヤ端末部505と指示部Pによりゲームを行うこととなる。
【0045】
次に、透過性スクリーン303背面の背面画像データから指示部Pである手の位置を検出する処理について説明する。
図8(A)は、透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが投影されていない状態で、ビデオカメラ403がミラー401を介して透過性スクリーン303背面を撮像した画像の例である。ビデオカメラ403は、透過性スクリーン303だけでなく、透過性スクリーン303周囲を囲む周辺部800も撮像するように調整されている。周辺部800は、たとえばスクリーン303をテーブル部天板に固定するための固定枠であって、望ましくは黒若しくは黒に近い暗色に着色されている。
【0046】
肉眼で見た場合は、透過性スクリーン303背面からも、図7に示すような透過性スクリーン303前面に表示される画像も薄く見えることがある。そこで、ビデオカメラ403の露出を調整して透過性スクリーン303前面に表示される画像が白く飛んでしまうように設定する。なお、ビデオカメラ403が自動露出調整機能を有している場合には、露出が黒若しくは黒に近い暗色に着色されている周辺部800に合わせて調整されるため、特に露出調整を行わなくとも自動的に透過性スクリーン303前面に表示される画像を排除することが可能となる。
【0047】
図8(B)は、透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが投影された状態で、ビデオカメラ403がミラー401を介して透過性スクリーン303背面を撮像した画像の例である。この画像では、指示部Pである手の影PSが透過性スクリーン303にある。この例では、影PSは、濃い影である本影PS1と薄い影である半影PS2となっている。本影PS1と半影PS2は透過性スクリーン303との距離の差による。透過性スクリーン303により近い手の前方部分(手先側)の影は本影PS1となり、透過性スクリーン303から離れる手の後方部分(腕側)の影は半影PS2となる。この影の濃淡の違いにより、指示部Pの先端を判別することができる。
【0048】
図9は、背面画像データを用いて指示部Pの位置検出を行う位置検出処理及びプレイヤ特定処理の例を示すフロー図である。
まず、スクリーン背面撮像処理を行う(ステップS901)。すなわち、ビデオカメラ403は、ミラー401を介して透過性スクリーン303背面を撮像し、図8(B)に示す様な画像を背面画像データとして位置検出部503に出力する。
【0049】
位置検出部503は、背面画像データを受け取ると、この背面画像データを二値化処理する(ステップS902)。図8(C)は、二値化処理後の背面画像データを表示した場合のイメージ図である。指示部Pの影PSは、半影PS2などの薄い部分が捨象され、指示部Pの先端部が残り、指示部Pによりどの位置が指し示されているのかが明確になる。二値化処理を行う場合には、指示部Pの先端部を特定できるよう、適宜な閾値を設定する。閾値はゲーム機300周辺の環境(周辺照明の明るさなど)により適切な値が変化するため、ゲーム機300の設置した後可動テストを行い適切な値を探すようにすればよい。
【0050】
次に、位置検出部503は、二値化処理後の背面画像データから位置検出処理を行う(ステップS903)。位置検出部503は、二値化処理後の背面画像データから黒の値を有するピクセルの座標値(x、y値)を取得し、これに基づいて位置情報を生成する。位置情報は、先端部頂点となるピクセルの座標値であってもよいし、黒の値を有するピクセル全部の座標値の平均、中央値などを選択するようにすればよい。
【0051】
次に、プレイヤ特定部506は、プレイヤ特定処理を行う(ステップS904)。図10は、プレイヤ特定部506による影PSに基づくプレイヤ特定の処理例を説明するための図である。図10(A)は、DVC403によって撮影されたスクリーン303の背面画像である。指示部Pである手の影PSは手先がテーブルスクリーン306に近接しているため、黒い影となり、逆に手元側の影は薄くなっている。図10(B)は、位置検出部503により、二値化処理された後のスクリーン303の背面画像データのイメージである。この例では、指示部の先端部のみを位置検出で扱えるよう、黒い領域のみ影として残り、半影や他の部分は捨象されるように閾値が設定される。一方、プレイヤ特定部506は、指示部P全体の影を認識できるよう、先端部のみならず半影や他の部分も影として残るよう閾値を設定し、二値化処理を行う。図10(C)は、プレイヤ特定部506により、二値化処理された後のスクリーン303の背面画像データのイメージである。プレイヤ特定部506は、プレイヤ特定領域1001A〜1001Eそれぞれの座標データを記憶している。プレイヤ特定部506は影PSがどのプレイヤ特定領域1001A〜1001Eに含まれるかを影PSを構成するピクセル座標から判定し、影PSを含むプレイヤ特定領域に対応するプレイヤ識別子を出力する。
【0052】
図9に戻り、フロー図の説明を続ける。
最後に、位置検出部503は、ステップS903において生成した位置情報を、プレイヤ特定部506はステップS904において生成したプレイヤ識別子をそれぞれゲーム制御部502に出力する(ステップS905)。ゲーム制御部502は、受け取った位置情報に基づいて必要なゲーム処理を行う。たとえば、その位置情報を「BANKER」「PLAYER」「引き分け」にかけるための領域701、702、703の何れかの指定と判断して、当該領域内へ、指定されたチップの山706の画像を表示するように、制御を行う。また、プレイヤ識別子に従ってその識別子に対応した色などでチップの山706を表示する。
【0053】
[1.1.プレイヤ特定領域]
次に、プレイヤ特定領域について説明する。
【0054】
図11(A)は、ゲーム機300を上方から見下ろした平面図であって、テーブルスクリーン306に設けられたプレイヤ特定領域1001A〜1001Eを示す図であり、図11(B)は、図11(A)に対応するゲーム機300の正面図である。
【0055】
ゲーム機300には、最大5名のプレイヤが着座可能なスツール1101A〜1101Eが設けられており、各プレイヤの手が届く領域は限定されるようになっている。各プレイヤの着座位置前方には、テーブル部301に組み込まれたプレイヤ端末部505A〜505Eが設けられている。プレイヤ端末部505A〜505Eはそれぞれ、ベットボタン、キャンセルボタン、払出ボタン(図略)などが設けられており、プレイヤからの入力指示を受け付けるようになっている。
【0056】
図11(A)に示す領域1102A〜1102Eは、各プレイヤの手が届く領域である。たとえば領域1102Aはスツール1101Aを利用するプレイヤの手が届く領域となる。領域1102A内においてテーブルスクリーン306上のある位置が指し示された場合は、それはスツール1101Aを利用するプレイヤによって指し示された位置であると、判定するようになっている。
【0057】
各領域1102A〜1102Eには、プレイヤ側に近い領域端部にそれぞれ、プレイヤ特定領域1001A〜1101Eが設定されている。プレイヤ特定領域1001A〜1101Eは、プレイヤ特定部506がその位置や形状などを座標データなどとして記憶していれば足り、実際にテーブルスクリーン306に表示される必要はない。
【0058】
図12は、領域1102Bにおいてプレイヤが位置を指し示した状態を示す図であって、上方から見たゲーム機300の平面図である。この図の例では、プレイヤは指示部Pである手1201によりテーブルスクリーン306上の領域1102B内のある位置を指し示している。この場合手1201の影は、プレイヤ特定領域1001Bに含まれるため、プレイヤ特定部506は、プレイヤ特定領域1001Bに対応するプレイヤ(スツール1101Bに着座し、プレイヤ端末部505Bを利用するプレイヤ)によるものと判断する。
【0059】
図13は、領域1102Cにおいてプレイヤが位置を指し示した状態を示す。この図の例では、プレイヤは指示部Pである手1301によりテーブルスクリーン306上の領域1102C内のある位置を指し示している。この場合手1301の影は、プレイヤ特定領域1001Cに含まれるため、プレイヤ特定部506は、プレイヤ特定領域1001Cに対応するプレイヤ(スツール1101Cに着座し、プレイヤ端末部505Cを利用するプレイヤ)によるものと判断する。
【0060】
この方法によれば、各プレイヤの使用するチップの色(例えば、赤、青、黄、緑、白)をそれぞれ定めて、検出した位置情報に基づいてその位置情報の示すテーブルスクリーン306上の場所に表示させることも可能となる。
【0061】
上記位置検出方法によれば、同時に複数のプレイヤがテーブルスクリーン306上の位置を指し示した場合でも、それぞれの指し示された位置と対応するプレイヤを認識することが可能となる。
【0062】
上述の通り、結像手段10である透過性スクリーン303を画像表示手段兼入力手段として利用することが可能であり、且つスクリーン303からの入力に基づいてプレイヤの特定が可能なゲーム機300が実現できる。
【0063】
[1.2.実施例の変形]
図14に、ゲーム機300の変形例を示す。この変形例では、ビデオカメラ403は、テーブルスクリーン305上方から指示部Pの影ではなく、その実像を含む画像を撮影し、位置検出部503は実像から指示部Pによって指し示された位置を判定する。その他の構成要素及び動作については、図5に示すゲーム機300と同様である。
【0064】
[2.第2の実施例]
次に、本発明にかかる第2の実施例について説明する。第1の実施例では、プレイヤに応じて、テーブルスクリーン305に表示されるチップの山706を別のプレイヤの山のものと異なる態様(例えば、チップの色、模様、形状など)で表示させたが、チップの山以外の表示対象を各プレイヤのゲーム結果に応じて異なる態様で表示する構成も本発明に含まれる。
【0065】
本実施例では、各プレイヤのゲーム結果に応じて領域701、702、703を異なる表示態様で表示する。
本実施例にかかるゲーム機300は、第1の実施例のゲーム機300と同様であり、具体的には図5,図14に示す構成により図9に示す動作を行う。第2の実施例にかかるゲーム機300は、ゲーム制御部502がスクリーン画面制御部501に対して各プレイヤのゲーム結果に応じて、各プレイヤに対応する領域701、702、703を異なる表示態様で表示するよう命令を行う。
【0066】
図15は、第2の実施例におけるテーブルスクリーン305の表示例を示す図である。この図に示す例では、ゲーム機に向かって左から2番目のプレイヤがゲームに勝った状態において、この2番目のプレイヤに対応する領域701、702、703が通常表示されている色(例えばグリーン)とは別の色(例えば、黄色)で明滅しながら表示される様子を示している。
【0067】
なお、表示態様はこの例に限られることなく、各プレイヤのゲーム結果に応じた表示されるものであればどのような表示態様でも良く、様々な態様が採用可能であって、例えば領域701、702、703を囲う枠のみ明滅させるようにしても良いし、或いはゲームに勝ったプレイヤに対応する領域701、702、703の表示態様は通常と同じにしてゲームに負けたプレイヤに対応する領域701、702、703の表示態様を変更する(例えば、通常より輝度を落として表示する)ようにしても構わない。
【0068】
なお、ゲーム結果は各個別のゲームの結果であっても良いし、連続する複数の個別のゲームのトータル(例えば、あるゲームの開始から10ゲーム後における手持ちチップ・クレジットのプラス/マイナス)であっても良い。
【0069】
本実施例において上記「ゲーム結果」は単に勝ちか負けかで表示態様を区別するだけでなく、勝ちであって、ある特定のチップ数を超える勝ちか否かで表示態様を異なるようにしても良い。
【0070】
図16は、ある特定のチップ数を超える勝ちを得たプレイヤと、ある特定のチップ数を超えていない勝ちを得たプレイヤが決定した場合のテーブルスクリーン305の表示例を示す図である。
【0071】
この図に示す例では、ゲーム機300に向かって左から1番目のプレイヤがある特定のチップ数(例えば、1000チップ)を超える勝ちを得ており、且つゲーム機300に向かって左から2番目のプレイヤがある特定のチップ数を超える勝ちを得ている。テーブルスクリーン305には、この左から2番目のプレイヤに対応する領域701、702、703が通常表示されている色(例えばグリーン)とは別の色(例えば、銀色)で明滅しながら表示されるとともに、左から2番目のプレイヤに対応する領域701、702、703が通常表示されている色(例えばグリーン)とは別の色であって、2番目のプレイヤに対応する領域701、702、703にて表示される色とも異なる色(例えば、黄金色)で明滅しながら表示される。
【0072】
また、本実施例に置いては領域701,702,703を表示態様を異ならせる対象としたが、領域701,702,703でなくともプレイヤを特定できる表示であればどのようなものでも良く、例えばチップ706の表示態様をプレイヤのゲーム結果に応じて異ならせるようにしても構わない。図17は、チップ706の表示態様をプレイヤのゲーム結果に応じて異ならせる場合のテーブルスクリーン305の表示例を示す図である。この例では、ゲーム機300に向かって左から3番目のプレイヤが勝ちを得ており、チップ706が通常表示されている色(例えば白)とは別の色(例えば、黄白色)で明滅しながら表示される様子を示している。
【0073】
また、領域701,702,703のすべてについて表示態様を異ならせる対象とする必要はなく、例えば領域701,702,703のうち勝ちに関係したもののみについて表示態様を異ならせるようにしてもよい。例えばゲーム結果が「TIE」となった場合には「TIE」に対応する領域701のみについて表示態様を異ならせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ゲーム機に限らず、プレゼンテーション用画像表示システム、販売促進用デモンストレーション装置、など画像表示と表示された画像を利用したユーザ入力受付を行うすべての装置若しくはシステムに適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】画像表示システムの基本的構成例を示す図
【図2】画像表示システムの別の基本的構成例を示す図
【図3】画像表示システムを利用したゲーム機の外観斜視図
【図4】画像表示システムを構成する光学系の配置例を示す図
【図5】ゲーム機の電気的構成例を示すブロック図
【図6】正面ディスプレイに表示される画面例を示す図
【図7】ゲーム機の透過性スクリーン(テーブルスクリーン)に表示される画面例を示す図
【図8】位置検出のための背面画像の例
【図9】ゲーム機の主な処理を示すフロー図
【図10】プレイヤ特定処理の例を示す図
【図11】(A)は、プレイヤ特定領域の例を示すゲーム機平面図、(B)は(A)に対応するゲーム機正面図
【図12】プレイヤ特定領域の例を示すゲーム機平面図
【図13】プレイヤ特定領域の例を示すゲーム機平面図
【図14】ゲーム機の別の構成例を示すブロック図
【図15】ゲーム機の透過性スクリーン(スクリーンテーブル)に表示される画面例を示す図
【図16】ゲーム機の透過性スクリーン(スクリーンテーブル)に表示される画面例を示す図
【図17】ゲーム機の透過性スクリーン(スクリーンテーブル)に表示される画面例を示す図
【符号の説明】
【0076】
1 … 画像表示システム
10 … 結像手段
20 … 投影手段
30 … 映像制御手段
40 … 撮像手段
50 … 位置検出手段
60 … 全体制御手段
70 … プレイヤ特定手段
80 … 画像表示手段
U … プレイヤ
P … 指示部
PS … 指示部の影
1001A〜1001E … プレイヤ特定領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にゲーム機に関し、より詳しくはプレイヤの手の位置を特定し、この位置に基づいてゲームの制御を行うとともに、どの位置から手が伸びているかを検知してプレイヤの特定を行うゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームセンターや遊技場に設置されるゲーム機には、ルーレットや、ポーカー、ブリッジ、バカラのように、複数のプレイヤが同一のゲームテーブルを同時に使用しておこなうゲームを提供するものが登場している。
【0003】
このようなゲーム機は、プレイヤの人数に応じた操作部が設置されており、プレイヤは対応する操作部を操作することによってゲームを行うようになっていた。
【0004】
たとえば、大型パネルディスプレイにゲーム画面が表示されるゲーム装置であって、プレイヤごとに用意された端末装置により、プレイヤがゲームの指示をなすゲーム装置が提案されている(特許文献1)
【0005】
この指し示しにおいて、どの位置が指し示されているかを検出することが必要となる場合がある。たとえば、指し示されている文の色を変化させてハイライト表示にする、或いは指し示された図表を拡大表示するなど、プレイヤの理解を支援するための各種の画像処理を指し示しを、トリガとして行いたい場合が考えられる。
【0006】
このような要請に応じる技術として、スクリーンに表示された画面である画像領域における指示位置を、その画像領域を撮影して、撮影により得られた画像をエッジ処理することにより指示位置を検出する技術が提案されている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−301264号公開公報(図1,段落[0063]、[0066])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ルーレットや、カードゲームのような複数人が同時に同じテーブルを用いて遊ぶゲーム機の場合、実際のルーレットやカードゲームのように共通のゲームテーブル上を複数人のプレイヤがそれぞれ自らの手で所望の場所(例えば、チップを賭ける位置)を指し示してゲームを進行させることが望まれていた。
【0008】
複数のプレイヤに共通のゲームテーブルを使用させる方法として、プレイヤが一人ずつプレイするようプレイ順を規制する方法により、プレイヤの特定を行う方法も考えられるが、そのような方法では複数人が一つのゲームテーブル上に手を出しながらゲームを楽しむという状況を作り出せなかった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決することを目的として、複数のプレイヤがゲームテーブルであるテーブルスクリーン上に手による指示を出しながらゲームを進行させるゲーム機を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の別の目的は、プレイヤの手による指示を出しながらゲームを進行させるゲーム機において、ゲーム結果等を当該プレイヤに関する表示に反映させるゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するため手段として以下のような特徴を有する。
本発明は、複数のプレイヤが同時に同一のゲームテーブルを使用してゲームを行うことが可能なゲーム機として提案される。プレイヤは、ゲーム機が備えるゲームテーブル(例えば、ルーレットのベッティングテーブル、バカラのバカラテーブル)の周囲に位置してゲームを行う。プレイヤがプレイを行う位置は、ゲームテーブル周囲に予め定めた位置に椅子などを配置することにより、おおよそ定められている。
【0012】
このゲーム機は、ゲームテーブルに相当する画像を表示するゲームテーブル表示手段(画像表示手段)と、ゲームテーブル表示手段上の指示部の位置を検出する位置検出手段(位置検出部)と、位置検出手段により検出した指示部の位置とゲームテーブル表示手段との位置関係に基づいて、その指示部に対応するプレイヤを特定するプレイヤ特定手段(プレイヤ特定部)と、前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に基づいてゲームの制御を行う制御手段(ゲーム制御部)とを有することを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、複数のプレイヤが同時に一のゲームテーブルであるテーブルスクリーン上に賭け位置などを指示しながらゲームを進行させるゲーム機において、どのプレイヤがどの位置に何(どのくらいのベット数)を賭けたかを特定することが可能となる。
【0014】
本発明にかかるゲーム機において、プレイヤの位置を指定するように設けられたプレイヤ端末手段をさらに有する様な構成としても良い。プレイヤ端末手段は、例えばプレイヤがベット数をゲーム機に入力する機能を有する操作端末機である。
【0015】
また、本発明にかかるゲーム機において、ゲーム制御手段は、前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に加えて、プレイヤ端末手段によるプレイヤの入力に基づいてゲームの制御を行うようにしてもよい。
【0016】
また、本発明にかかるゲーム機において、ゲーム制御手段が各プレイヤのゲーム結果に応じてゲームテーブル表示手段により表示される画像を制御する構成としても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プレイヤが実際にゲームテーブル上を手で指し示しながら、ゲームを進行させることが可能となる。
【0018】
また、本発明によれば、複数のプレイヤが同時に一のゲームテーブルであるテーブルスクリーン上に賭け位置などを指示しながらゲームを進行させるゲーム機において、どのプレイヤがどの位置に何(どのくらいのベット数)を賭けたかを特定することが可能となる。
【0019】
本発明の別の態様によれば、ベット数を指示部の位置の変化(例えば、テーブルスクリーンをタップした回数をベット数として扱う場合に、指示部の上下動を検出する)を用いて決定する場合に比べて、プレイヤ端末手段からの入力によりベット数を明確に取得して、ゲーム進行に反映させることが可能となる。
【0020】
またさらに、本発明のさらに別の態様によれば、ゲームの結果がプレイヤのみ鳴らずゲーム機周囲の見物人にも良く認識できるようになり、その結果ゲームへの参加意欲を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
[1.第1の実施の形態]
まず、本発明にかかる第1の実施の形態について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明にかかる第1の実施の形態による画像表示システムの基本的構成例を示す図である。
【0022】
この画像表示システム1は、結像手段10と、画像データを供給するための映像制御手段30と、映像制御手段30からの画像データに基づいて、この結像手段10前面に画像を投影するための投影手段20と、指示部Pの影PSが形成された結像手段10をその背面から撮影するための撮像手段40と、撮像手段40から出力される結像手段10背面の画像データを受け取り、この画像データから指示部Pの影PSの位置を判定し、位置情報を出力する位置検出手段50と、撮像手段40からの画像データに基づいて、影PSに対応するプレイヤを特定するプレイヤ特定手段70と、位置検出手段50からの位置情報及びプレイヤ特定手段70のプレイヤを特定する情報に基づいて結像手段10に映し出す画像を映像制御手段30に指令する全体制御手段60とを有している。結像手段10、投影手段20,映像制御手段30は、協働して、プレイヤにゲームテーブルなどの画像を表示する画像表示手段80として機能する。
【0023】
結像手段10は透過性を有しており前面及び背面からの光を透過する。結像手段10は、たとえば液晶プロジェクタ用の透過性スクリーンである。ユーザUは結像手段10前面から結像手段10を見ると、結像手段10背面側から投影手段20によって射出された光学的画像が結像手段10上に結像して見え、その結果ユーザUは、投影手段20が照射した、画像データに対応する画像を看取することができるようになっている。
【0024】
指示部Pは、結像手段10前面に表示された画像の所望の箇所をユーザが指し示す物或いは手段であって、たとえばユーザU自身の手(腕部を含む)、指示棒などである。指示部Pは光源LSにより照らされており、結像手段10に指示部Pの影PSが映る。結像手段10は透過性を有するため、結像手段10背面から見た場合にも、この影PSが見えるようになっている。なお、光源LSは太陽のような自然光源であっても良いし、画像表示システム1が配置された環境に設けられた照明装置であっても良いし、或いはまた、画像表示システム1に設けられた蛍光灯のような照明装置であっても良い。
【0025】
投影手段20は画像データに基づいて光学的画像を結像手段10に投射可能な光学的投射系であって、たとえば液晶プロジェクタ(DLP(Digital Liquid Projector))などである。光源LSは、好ましくは白色光を発する光源である。白色光が結像手段10を透過することによって、結像手段10背面において指示部Pの影PSの領域が黒く見えるとともに、影PS以外の領域が白く見え、白黒画像同等の画像が得られる。
【0026】
撮像手段40は、結像手段10背面の画像データを生成する手段であって、たとえばデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、CCDカメラユニット、などである。
【0027】
映像制御手段30,位置検出手段50、全体制御手段60、プレイヤ特定手段70は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、及び必要に応じてハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、たとえばコンピュータ、ワークステーション、LSIチップなどの情報処理装置である。前記ROM、もしくはハードディスク装置などに情報処理装置を映像制御手段30,位置検出手段50、或いは全体制御手段60として機能させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより映像制御手段30,位置検出手段50、又は全体制御手段60が実現される。また、上記プログラムはからなずしも情報処理装置内の記憶装置に記憶されていなくともよく、外部の装置(例えば、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダのサーバなど))から提供され、これを主メモリに乗せる構成であっても良い。
【0028】
映像制御手段30,位置検出手段50、全体制御手段60、プレイヤ特定手段70はそれぞれ個別の情報処理装置によって実現されても良いし、一つの情報処理装置が映像制御手段30,位置検出手段50、全体制御手段60、及びプレイヤ特定手段70として機能する構成としてもかまわない。
【0029】
映像制御手段30は、ユーザに見せるための画像データを複数記憶しており、全体制御手段60からの指令に応じて必要な画像データを読み出し、必要に応じて画像処理を行い、投影手段20に提供する。
【0030】
位置検出手段50は、撮像手段40からの結像手段10背面の画像データを受け取り、この画像データに必要な画像処理を行うことにより、指示部Pの影PSの位置を検出し、検出した位置を位置情報として出力する。画像処理としては、影PSを領域抽出するための閾値処理、影PSの輪郭を抽出するためのエッジ検出などがある。位置検出手段50は、これら閾値処理やエッジ検出により得られた影領域、輪郭線のピクセルの座標位置情報を利用して、影PSの位置情報を生成する。
【0031】
全体制御手段60は、画像表示システム1全体の動作を制御する機能を有し、映像制御手段30にどの画像データをどのタイミングで出力するかなどの指令を行うとともに、位置検出手段50からの影PSの位置情報に応じて映像制御手段30に画像データを変化させる指令などを送る。
【0032】
プレイヤ特定手段70は、影PSがプレイヤを特定するための領域であって、各プレイヤごとにテーブルスクリーン上に定められた領域(「プレイヤ特定領域」という)に入っているか否かを調べて、その結果影PSに対応するプレイヤを特定し、プレイヤを示す情報を出力する。プレイヤ特定領域は、プレイヤが自分に割り当てられたテーブルスクリーン上の入力領域に指示部Pで指示をする場合、必ず指示部が通過するであろう領域であって、プレイヤに与えられた着座位置、ゲーム機の形状、大きさ、予想されるプレイヤの体格などによって定まる領域である。
【0033】
[2.第1の実施の形態の変形例]
図2に、図1に示す画像表示システム1の変形例を示す。図1に示すシステムでは、指示部Pの位置を結像手段10下側から撮影し、指示部Pの影を含む画像を用いて位置の検出を行ったが、この図2に示す変形例では、撮像手段40を結像手段10の上方に配置し、直接指示部Pを撮影することにより位置の検出を行う。すなわち、この変形例にかかる画像表示システム1は、指示部Pの影の代わりに指示部Pの実像を用いて位置の検出を行う構成である。かかる構成によっても画像表示システムを実現することができる。
【0034】
上記実施の形態によれば、複数のプレイヤが同時に一のゲームテーブルであるテーブルスクリーン上に賭け位置などを指示しながらゲームを進行させるゲーム機において、どのプレイヤがどの位置に賭けたかを特定することが可能となる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明にかかる実施例について説明する。
[1.第1の実施例]
図3は、本発明にかかる画像表示システム1を利用したゲーム機の外観斜視図である。ここでは、ゲーム機は、バカラゲームをユーザに遊戯させる装置であるとして説明するが、本実施例にかかるゲーム機は、バカラゲームに限られず、ポーカ、ブラックジャック、ブリッジ、ルーレットなど本発明にかかる画像表示システム1を適用可能なゲームであればどのようなものであってもかまわない。
本実施例におけるゲーム機300は、テーブル部301と、テーブル部301上の後方に載置された正面ディスプレイ302とを有している。
【0036】
テーブル部301は画像表示システム1を構成する光学系及び情報処理機器を格納している。テーブル部301上面中央には、開口が設けられており、この開口には結像手段10である透過性スクリーン303が張られている。この透過性スクリーン303は、ユーザにゲーム画像を表示するための画像表示手段80である上面ディスプレイ(以下、「テーブルスクリーン306」という)として機能する。なお、透過性スクリーン303上方は、ガラスパネルなどの透明板部材により保護されており、プレイヤがテーブルスクリーン306に指示部Pである手で触れても透過性スクリーン303が破れたり汚損しない様になっている。
【0037】
正面ディスプレイ302の上部両端には、光源LSである蛍光灯304A、304Bが設けられており、透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが射影されるようになっている。なお、蛍光灯304A、304Bの配置位置は必ずしも図3に示す態様でなくとも良く、透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが射影される様な配置位置であればどの位置に設置されていてもかまわない。また、ゲーム機300が設置される場所に透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが射影される様な照明が設けられていれば、蛍光灯304A、304Bは設けなくともかまわない。
【0038】
図4は、テーブル部301内部に格納されている画像表示システム1を構成する光学系の配置例を示す図である。
テーブル部301の中央部には、透過性スクリーン303がガラスプレートなどにより保護された状態で固定されている。透過性スクリーン303の下方にはミラー401が傾斜した状態で設置されている。ミラー401に対向する位置に、投影手段20に相当するデジタル液晶プロジェクタ(以下、DLP)402と、撮像手段40に相当するデジタルビデオカメラ(DVC)403が固定されている。ミラー401はDLP402から照射された画像を透過性スクリーン303に向けて反射し、画像を所望の大きさで映し出すように、DLP402との距離、反射面の角度が調整されている。同様に、ミラー401は、透明スクリーン303背面の画像をデジタルビデオカメラ403に向けて反射し、デジタルビデオカメラ403が透明スクリーン303背面を撮像できるようにデジタルビデオカメラ403との距離および透明スクリーン303/デジタルビデオカメラ403に対する反射面の角度が調整されて設置されている。
【0039】
次に、ゲーム機300の電気的構成例について説明する。図5は、ゲーム機300の電気的構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、ゲーム機300は、透過性スクリーン303が設けられている。投影手段20であるDLP402は、この透過性スクリーン303にゲームに関する画像を光学的に投射する。映像制御手段30であるスクリーン画面制御部501は、DLP402に画像データ(以下、「前面画像データ」と呼ぶ)を供給する。撮像手段40であるデジタルビデオカメラ403は、透過性スクリーン303背面を撮影し、透過性スクリーン303背面の撮影により得られた画像データ(以下、「背面画像データ」と呼ぶ)を出力する。位置検出手段50である位置検出部503は、この背面画像データを処理することにより、指示部Pにより指示された位置を検出し、位置情報を出力する。プレイヤ特定部506は、ビデオカメラ403からの画像データを画像処理することにより、影PSが予め定められたプレイヤ特定領域の何れかに含まれるか否かを検出し、何れかに含まれる場合は、そのプレイヤ特定領域に対応するプレイヤ識別子を出力する。全体制御手段60であるゲーム制御部502は、ゲーム機300の動作を制御する機能を有し、スクリーン画面制御部501にどの画像データをどのタイミングで出力させるかなどの指令を行うとともに、位置検出手段50からの位置情報、およびプレイヤ特定部506からのプレイヤ識別子を受け取り、この位置情報に基づいて、ゲーム機300の動作を制御する。
【0040】
正面ディスプレイ制御部504は、ゲーム制御部502からの指令に応じて、正面ディスプレイ302に表示する画像の画像データ(以下、「正面画像データ」と呼ぶ)を出力する。正面ディスプレイ302は、この正面画像データを受け取り、表示する。正面ディスプレイ302に表示される画像は、透過性スクリーン303、すなわちテーブルスクリーン306に表示される画像と相まって、ゲームの状況、進行具合などをユーザに知らしめる。
【0041】
この実施例では、正面ディスプレイ302には、バカラのディーラーが動画により表示される。図6は、正面ディスプレイ302に表示される画面例である。画面には、ディーラー601が表示されており、ゲームの進行に従ってカードの配布、ドロウ、チップの受け渡し動作を行う様子が表示され、プレイヤがあたかも実際のディーラーとバカラゲームを行っているような演出が行われる。
【0042】
次に、テーブルスクリーン306(透過性スクリーン303)に表示される画面例を示す。図7は、ゲーム機300のテーブルスクリーン306(透過性スクリーン303)に表示される画面例である。この実施例では、テーブルスクリーン306にはバカラテーブルを模した画面が表示される。この例に示すバカラテーブルには、5人のプレイヤそれぞれについて、「BANKER」「PLAYER」「引き分け」にかけるための領域701、702、703が表示される。プレイヤが指示部Pである手などによって、領域701、702、703の何れかを指し示すことにより、そのプレイヤが「BANKER」「PLAYER」「引き分け」のいずれにベットするかがゲーム機300に入力されることとなる。なお、ベットするチップの枚数/金額/クレジット数は、後述のプレイヤ端末部505のベットボタンによってプレイヤが決定できるようになっている。各プレイヤが所有するチップの山706もテーブルスクリーン306に表示されており、プレイヤが「BANKER」「PLAYER」「引き分け」のいずれにベットするかを指示部Pにより指示すると、手元のチップの山から指定した領域701、702、703のいずれかへベットした枚数のチップだけ移動するように、テーブルスクリーン306に表示される画像が変化するようになっている。
【0043】
また、テーブルスクリーン306には、ディーラー601がBANKER、PLAYERのカードを配布する領域704,705があり、この領域704,705には、カードの画像が表示される。
【0044】
図5に戻り、ゲーム機300の電気的構成例の説明を続ける。
ゲーム制御部502には、複数のプレイヤ端末部5051〜505Nが接続されている。各プレイヤ端末部505は、プレイヤが貨幣、紙幣、プリペイドカード、クレジットカードなどを受け取り、これをゲーム機300で使用するクレジット(メダル/コイン)として扱えるようにするとともに、プレイヤからの払出指示に応じてその時点で所有しているクレジット(メダル/コイン)の払出を行うビルバリ機能、およびゲームにおけるベットの枚数/金額/クレジット数を決定するベット入力機能を有する端末機である。プレイヤはこのプレイヤ端末部505と指示部Pによりゲームを行うこととなる。
【0045】
次に、透過性スクリーン303背面の背面画像データから指示部Pである手の位置を検出する処理について説明する。
図8(A)は、透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが投影されていない状態で、ビデオカメラ403がミラー401を介して透過性スクリーン303背面を撮像した画像の例である。ビデオカメラ403は、透過性スクリーン303だけでなく、透過性スクリーン303周囲を囲む周辺部800も撮像するように調整されている。周辺部800は、たとえばスクリーン303をテーブル部天板に固定するための固定枠であって、望ましくは黒若しくは黒に近い暗色に着色されている。
【0046】
肉眼で見た場合は、透過性スクリーン303背面からも、図7に示すような透過性スクリーン303前面に表示される画像も薄く見えることがある。そこで、ビデオカメラ403の露出を調整して透過性スクリーン303前面に表示される画像が白く飛んでしまうように設定する。なお、ビデオカメラ403が自動露出調整機能を有している場合には、露出が黒若しくは黒に近い暗色に着色されている周辺部800に合わせて調整されるため、特に露出調整を行わなくとも自動的に透過性スクリーン303前面に表示される画像を排除することが可能となる。
【0047】
図8(B)は、透過性スクリーン303に指示部Pの影PSが投影された状態で、ビデオカメラ403がミラー401を介して透過性スクリーン303背面を撮像した画像の例である。この画像では、指示部Pである手の影PSが透過性スクリーン303にある。この例では、影PSは、濃い影である本影PS1と薄い影である半影PS2となっている。本影PS1と半影PS2は透過性スクリーン303との距離の差による。透過性スクリーン303により近い手の前方部分(手先側)の影は本影PS1となり、透過性スクリーン303から離れる手の後方部分(腕側)の影は半影PS2となる。この影の濃淡の違いにより、指示部Pの先端を判別することができる。
【0048】
図9は、背面画像データを用いて指示部Pの位置検出を行う位置検出処理及びプレイヤ特定処理の例を示すフロー図である。
まず、スクリーン背面撮像処理を行う(ステップS901)。すなわち、ビデオカメラ403は、ミラー401を介して透過性スクリーン303背面を撮像し、図8(B)に示す様な画像を背面画像データとして位置検出部503に出力する。
【0049】
位置検出部503は、背面画像データを受け取ると、この背面画像データを二値化処理する(ステップS902)。図8(C)は、二値化処理後の背面画像データを表示した場合のイメージ図である。指示部Pの影PSは、半影PS2などの薄い部分が捨象され、指示部Pの先端部が残り、指示部Pによりどの位置が指し示されているのかが明確になる。二値化処理を行う場合には、指示部Pの先端部を特定できるよう、適宜な閾値を設定する。閾値はゲーム機300周辺の環境(周辺照明の明るさなど)により適切な値が変化するため、ゲーム機300の設置した後可動テストを行い適切な値を探すようにすればよい。
【0050】
次に、位置検出部503は、二値化処理後の背面画像データから位置検出処理を行う(ステップS903)。位置検出部503は、二値化処理後の背面画像データから黒の値を有するピクセルの座標値(x、y値)を取得し、これに基づいて位置情報を生成する。位置情報は、先端部頂点となるピクセルの座標値であってもよいし、黒の値を有するピクセル全部の座標値の平均、中央値などを選択するようにすればよい。
【0051】
次に、プレイヤ特定部506は、プレイヤ特定処理を行う(ステップS904)。図10は、プレイヤ特定部506による影PSに基づくプレイヤ特定の処理例を説明するための図である。図10(A)は、DVC403によって撮影されたスクリーン303の背面画像である。指示部Pである手の影PSは手先がテーブルスクリーン306に近接しているため、黒い影となり、逆に手元側の影は薄くなっている。図10(B)は、位置検出部503により、二値化処理された後のスクリーン303の背面画像データのイメージである。この例では、指示部の先端部のみを位置検出で扱えるよう、黒い領域のみ影として残り、半影や他の部分は捨象されるように閾値が設定される。一方、プレイヤ特定部506は、指示部P全体の影を認識できるよう、先端部のみならず半影や他の部分も影として残るよう閾値を設定し、二値化処理を行う。図10(C)は、プレイヤ特定部506により、二値化処理された後のスクリーン303の背面画像データのイメージである。プレイヤ特定部506は、プレイヤ特定領域1001A〜1001Eそれぞれの座標データを記憶している。プレイヤ特定部506は影PSがどのプレイヤ特定領域1001A〜1001Eに含まれるかを影PSを構成するピクセル座標から判定し、影PSを含むプレイヤ特定領域に対応するプレイヤ識別子を出力する。
【0052】
図9に戻り、フロー図の説明を続ける。
最後に、位置検出部503は、ステップS903において生成した位置情報を、プレイヤ特定部506はステップS904において生成したプレイヤ識別子をそれぞれゲーム制御部502に出力する(ステップS905)。ゲーム制御部502は、受け取った位置情報に基づいて必要なゲーム処理を行う。たとえば、その位置情報を「BANKER」「PLAYER」「引き分け」にかけるための領域701、702、703の何れかの指定と判断して、当該領域内へ、指定されたチップの山706の画像を表示するように、制御を行う。また、プレイヤ識別子に従ってその識別子に対応した色などでチップの山706を表示する。
【0053】
[1.1.プレイヤ特定領域]
次に、プレイヤ特定領域について説明する。
【0054】
図11(A)は、ゲーム機300を上方から見下ろした平面図であって、テーブルスクリーン306に設けられたプレイヤ特定領域1001A〜1001Eを示す図であり、図11(B)は、図11(A)に対応するゲーム機300の正面図である。
【0055】
ゲーム機300には、最大5名のプレイヤが着座可能なスツール1101A〜1101Eが設けられており、各プレイヤの手が届く領域は限定されるようになっている。各プレイヤの着座位置前方には、テーブル部301に組み込まれたプレイヤ端末部505A〜505Eが設けられている。プレイヤ端末部505A〜505Eはそれぞれ、ベットボタン、キャンセルボタン、払出ボタン(図略)などが設けられており、プレイヤからの入力指示を受け付けるようになっている。
【0056】
図11(A)に示す領域1102A〜1102Eは、各プレイヤの手が届く領域である。たとえば領域1102Aはスツール1101Aを利用するプレイヤの手が届く領域となる。領域1102A内においてテーブルスクリーン306上のある位置が指し示された場合は、それはスツール1101Aを利用するプレイヤによって指し示された位置であると、判定するようになっている。
【0057】
各領域1102A〜1102Eには、プレイヤ側に近い領域端部にそれぞれ、プレイヤ特定領域1001A〜1101Eが設定されている。プレイヤ特定領域1001A〜1101Eは、プレイヤ特定部506がその位置や形状などを座標データなどとして記憶していれば足り、実際にテーブルスクリーン306に表示される必要はない。
【0058】
図12は、領域1102Bにおいてプレイヤが位置を指し示した状態を示す図であって、上方から見たゲーム機300の平面図である。この図の例では、プレイヤは指示部Pである手1201によりテーブルスクリーン306上の領域1102B内のある位置を指し示している。この場合手1201の影は、プレイヤ特定領域1001Bに含まれるため、プレイヤ特定部506は、プレイヤ特定領域1001Bに対応するプレイヤ(スツール1101Bに着座し、プレイヤ端末部505Bを利用するプレイヤ)によるものと判断する。
【0059】
図13は、領域1102Cにおいてプレイヤが位置を指し示した状態を示す。この図の例では、プレイヤは指示部Pである手1301によりテーブルスクリーン306上の領域1102C内のある位置を指し示している。この場合手1301の影は、プレイヤ特定領域1001Cに含まれるため、プレイヤ特定部506は、プレイヤ特定領域1001Cに対応するプレイヤ(スツール1101Cに着座し、プレイヤ端末部505Cを利用するプレイヤ)によるものと判断する。
【0060】
この方法によれば、各プレイヤの使用するチップの色(例えば、赤、青、黄、緑、白)をそれぞれ定めて、検出した位置情報に基づいてその位置情報の示すテーブルスクリーン306上の場所に表示させることも可能となる。
【0061】
上記位置検出方法によれば、同時に複数のプレイヤがテーブルスクリーン306上の位置を指し示した場合でも、それぞれの指し示された位置と対応するプレイヤを認識することが可能となる。
【0062】
上述の通り、結像手段10である透過性スクリーン303を画像表示手段兼入力手段として利用することが可能であり、且つスクリーン303からの入力に基づいてプレイヤの特定が可能なゲーム機300が実現できる。
【0063】
[1.2.実施例の変形]
図14に、ゲーム機300の変形例を示す。この変形例では、ビデオカメラ403は、テーブルスクリーン305上方から指示部Pの影ではなく、その実像を含む画像を撮影し、位置検出部503は実像から指示部Pによって指し示された位置を判定する。その他の構成要素及び動作については、図5に示すゲーム機300と同様である。
【0064】
[2.第2の実施例]
次に、本発明にかかる第2の実施例について説明する。第1の実施例では、プレイヤに応じて、テーブルスクリーン305に表示されるチップの山706を別のプレイヤの山のものと異なる態様(例えば、チップの色、模様、形状など)で表示させたが、チップの山以外の表示対象を各プレイヤのゲーム結果に応じて異なる態様で表示する構成も本発明に含まれる。
【0065】
本実施例では、各プレイヤのゲーム結果に応じて領域701、702、703を異なる表示態様で表示する。
本実施例にかかるゲーム機300は、第1の実施例のゲーム機300と同様であり、具体的には図5,図14に示す構成により図9に示す動作を行う。第2の実施例にかかるゲーム機300は、ゲーム制御部502がスクリーン画面制御部501に対して各プレイヤのゲーム結果に応じて、各プレイヤに対応する領域701、702、703を異なる表示態様で表示するよう命令を行う。
【0066】
図15は、第2の実施例におけるテーブルスクリーン305の表示例を示す図である。この図に示す例では、ゲーム機に向かって左から2番目のプレイヤがゲームに勝った状態において、この2番目のプレイヤに対応する領域701、702、703が通常表示されている色(例えばグリーン)とは別の色(例えば、黄色)で明滅しながら表示される様子を示している。
【0067】
なお、表示態様はこの例に限られることなく、各プレイヤのゲーム結果に応じた表示されるものであればどのような表示態様でも良く、様々な態様が採用可能であって、例えば領域701、702、703を囲う枠のみ明滅させるようにしても良いし、或いはゲームに勝ったプレイヤに対応する領域701、702、703の表示態様は通常と同じにしてゲームに負けたプレイヤに対応する領域701、702、703の表示態様を変更する(例えば、通常より輝度を落として表示する)ようにしても構わない。
【0068】
なお、ゲーム結果は各個別のゲームの結果であっても良いし、連続する複数の個別のゲームのトータル(例えば、あるゲームの開始から10ゲーム後における手持ちチップ・クレジットのプラス/マイナス)であっても良い。
【0069】
本実施例において上記「ゲーム結果」は単に勝ちか負けかで表示態様を区別するだけでなく、勝ちであって、ある特定のチップ数を超える勝ちか否かで表示態様を異なるようにしても良い。
【0070】
図16は、ある特定のチップ数を超える勝ちを得たプレイヤと、ある特定のチップ数を超えていない勝ちを得たプレイヤが決定した場合のテーブルスクリーン305の表示例を示す図である。
【0071】
この図に示す例では、ゲーム機300に向かって左から1番目のプレイヤがある特定のチップ数(例えば、1000チップ)を超える勝ちを得ており、且つゲーム機300に向かって左から2番目のプレイヤがある特定のチップ数を超える勝ちを得ている。テーブルスクリーン305には、この左から2番目のプレイヤに対応する領域701、702、703が通常表示されている色(例えばグリーン)とは別の色(例えば、銀色)で明滅しながら表示されるとともに、左から2番目のプレイヤに対応する領域701、702、703が通常表示されている色(例えばグリーン)とは別の色であって、2番目のプレイヤに対応する領域701、702、703にて表示される色とも異なる色(例えば、黄金色)で明滅しながら表示される。
【0072】
また、本実施例に置いては領域701,702,703を表示態様を異ならせる対象としたが、領域701,702,703でなくともプレイヤを特定できる表示であればどのようなものでも良く、例えばチップ706の表示態様をプレイヤのゲーム結果に応じて異ならせるようにしても構わない。図17は、チップ706の表示態様をプレイヤのゲーム結果に応じて異ならせる場合のテーブルスクリーン305の表示例を示す図である。この例では、ゲーム機300に向かって左から3番目のプレイヤが勝ちを得ており、チップ706が通常表示されている色(例えば白)とは別の色(例えば、黄白色)で明滅しながら表示される様子を示している。
【0073】
また、領域701,702,703のすべてについて表示態様を異ならせる対象とする必要はなく、例えば領域701,702,703のうち勝ちに関係したもののみについて表示態様を異ならせるようにしてもよい。例えばゲーム結果が「TIE」となった場合には「TIE」に対応する領域701のみについて表示態様を異ならせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ゲーム機に限らず、プレゼンテーション用画像表示システム、販売促進用デモンストレーション装置、など画像表示と表示された画像を利用したユーザ入力受付を行うすべての装置若しくはシステムに適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】画像表示システムの基本的構成例を示す図
【図2】画像表示システムの別の基本的構成例を示す図
【図3】画像表示システムを利用したゲーム機の外観斜視図
【図4】画像表示システムを構成する光学系の配置例を示す図
【図5】ゲーム機の電気的構成例を示すブロック図
【図6】正面ディスプレイに表示される画面例を示す図
【図7】ゲーム機の透過性スクリーン(テーブルスクリーン)に表示される画面例を示す図
【図8】位置検出のための背面画像の例
【図9】ゲーム機の主な処理を示すフロー図
【図10】プレイヤ特定処理の例を示す図
【図11】(A)は、プレイヤ特定領域の例を示すゲーム機平面図、(B)は(A)に対応するゲーム機正面図
【図12】プレイヤ特定領域の例を示すゲーム機平面図
【図13】プレイヤ特定領域の例を示すゲーム機平面図
【図14】ゲーム機の別の構成例を示すブロック図
【図15】ゲーム機の透過性スクリーン(スクリーンテーブル)に表示される画面例を示す図
【図16】ゲーム機の透過性スクリーン(スクリーンテーブル)に表示される画面例を示す図
【図17】ゲーム機の透過性スクリーン(スクリーンテーブル)に表示される画面例を示す図
【符号の説明】
【0076】
1 … 画像表示システム
10 … 結像手段
20 … 投影手段
30 … 映像制御手段
40 … 撮像手段
50 … 位置検出手段
60 … 全体制御手段
70 … プレイヤ特定手段
80 … 画像表示手段
U … プレイヤ
P … 指示部
PS … 指示部の影
1001A〜1001E … プレイヤ特定領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレイヤが同時に同一のゲームテーブルを使用してゲームを行うことが可能なゲーム機であって
ゲームテーブルに相当する画像を表示するゲームテーブル表示手段と、
ゲームテーブル表示手段上の指示部の位置を検出する位置検出手段と
位置検出手段により検出した指示部の位置とゲームテーブル表示手段との位置関係に基づいて、その指示部に対応するプレイヤを特定するプレイヤ特定手段と、
前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に基づいてゲームの制御を行う制御手段と
を有することを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
前記ゲーム機は、プレイヤの位置を指定するように設けられたプレイヤ端末手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に加えて、プレイヤ端末手段によるプレイヤの入力に基づいてゲームの制御を行うことを特徴とする請求項2に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記制御手段は、各プレイヤのゲーム結果に応じてゲームテーブル表示手段により表示される画像を制御することを特徴とする、請求項1に記載のゲーム機。
【請求項1】
複数のプレイヤが同時に同一のゲームテーブルを使用してゲームを行うことが可能なゲーム機であって
ゲームテーブルに相当する画像を表示するゲームテーブル表示手段と、
ゲームテーブル表示手段上の指示部の位置を検出する位置検出手段と
位置検出手段により検出した指示部の位置とゲームテーブル表示手段との位置関係に基づいて、その指示部に対応するプレイヤを特定するプレイヤ特定手段と、
前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に基づいてゲームの制御を行う制御手段と
を有することを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
前記ゲーム機は、プレイヤの位置を指定するように設けられたプレイヤ端末手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された位置およびプレイヤ特定手段に基づいて特定されたプレイヤの情報に加えて、プレイヤ端末手段によるプレイヤの入力に基づいてゲームの制御を行うことを特徴とする請求項2に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記制御手段は、各プレイヤのゲーム結果に応じてゲームテーブル表示手段により表示される画像を制御することを特徴とする、請求項1に記載のゲーム機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−51292(P2006−51292A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244125(P2004−244125)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】
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