説明

ゲーム装置、ゲームプログラム

【課題】 プレーヤに対してゲーム空間中のオブジェクトの動きを適切に減速させるように促す。
【解決手段】 CPU20は、プレーヤによるブレーキペダル11などの入力装置に対する入力操作を検知し、この検知されたプレーヤの入力操作に応じてゲーム空間内におけるプレーヤーズカーの動きを算出する。CPU20は、オブジェクトの動きが減速していると判別された場合に、プレーヤーズカーの動きをゲーム空間中で推進(ブースト)させる推進量を示す推進蓄積データを記録する。CPU20は、例えばブーストボタン6aに対する操作によりプレーヤーズカーの動きを推進させるタイミングを判定し、このタイミングで推進蓄積データに応じてプレーヤーズカーを推進させた動きを算出してゲーム画面中に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーヤによる入力装置に対する操作に応じてゲーム空間中のオブジェクトの動きを制御するゲーム装置、ゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カーレースゲームでは、プレーヤによる入力装置に対する操作に応じて、プレーヤーズカーをゲーム空間中に設けられたコース上を走行させる。ゲームセンターなどに設置されるレースゲーム装置では、ハンドル、アクセル、ブレーキ、シフトレバーなどの装置専用の入力装置が設けられている。これにより、実際の車に乗ってレースに参加している雰囲気を味合うことができる。
【0003】
この種のカーレースゲームでは、実際のカーレースと同じように、カーブなどでは適切にブレーキやシフトレバーなどの操作によって減速し、適切なラインを走行することにより好タイムが出るように設計されている。しかしながら、ゲームではコースアウトや他の車に衝突してクラッシュしたとしてもゲームに復帰することができるので、スピードの出し過ぎになんら配慮することなく、アクセルを踏み続けているプレーヤが多い。すなわち、本来のカーレースゲームとしての楽しみ方がされていない。
【0004】
特許文献1には、ターン制ビデオゲームにおいて、アクションを実行するのではなく、アクションをチャージすることができるゲーム機が記載されている。特許文献1のゲーム機では、1回のターンにつき予め決められた量だけアクションをチャージすることができ、アクションメータがフルになったとき、チャージされたアクションを実行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−075612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のカーレースゲームでは、多くのプレーヤがアクセルを踏み続けてプレーしているため、車を適切に減速させ、適切なライン取りによって走行させるという、本来のゲームの楽しみ方がされていなかった。このため、コース上を走行している車を適切に減速させることの必要性をプレーヤに対して認識させることが要求されていた。
【0007】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、プレーヤに対してゲーム空間中のオブジェクトの動きを適切に減速させるように促すことが可能なゲーム装置、ゲームプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、プレーヤによる入力装置に対する入力操作を検知する検知手段と、前記検知手段により検知されたプレーヤの入力操作に応じて、ゲーム空間内におけるオブジェクトの動きを算出するオブジェクト算出手段と、前記オブジェクト算出手段により算出されるオブジェクトの動きが減速しているか判別する減速判別手段と、前記減速判別手段により前記オブジェクトが減速していると判別された場合に、前記オブジェクトの動きを前記ゲーム空間中で推進させる推進量を示す推進蓄積データを記録する記録手段と、前記オブジェクトの動きを推進させるタイミングを判定する判定手段と、前記オブジェクト算出手段により算出されたオブジェクトの動きに応じたオブジェクトを前記ゲーム画面中に表示させる表示制御手段とを具備し、前記オブジェクト算出手段は、前記判定手段により前記オブジェクトの動きを推進させるタイミングであると判定された場合に、前記記録手段に記録された前記推進蓄積データに応じて前記オブジェクトを推進させた動きを算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゲーム空間中を動くオブジェクトを減速させることで、任意のタイミングでオブジェクトの動きを推進させることができるようになるので、プレーヤにオブジェクトを減速させることの有用性を認識させ、プレーヤに対してゲーム空間中のオブジェクトの動きを適切に減速させるように促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態におけるゲーム装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】ゲーム実行時にRAM21に記録されるプログラム及びデータの一例を示す図。
【図3】本実施形態におけるゲーム装置の動作について示すフローチャート。
【図4】ゲーム実行中のドライバーズビューによるゲーム画面の一例を示す図。
【図5】ゲーム実行中のドライバーズビューによるゲーム画面の一例を示す図。
【図6】入力装置に対する操作を検知してブーストチャージを実行する場合のゲーム装置の動作について示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるゲーム装置の機能構成を示すブロック図である。本実施形態では、ゲームセンターなどに設置される、カーレースゲームを実行するゲーム装置を例にして説明する。カーレースゲームは、プレーヤが操作する車(プレーヤーズカー)と、他のゲーム装置においてプレーするプレーヤ(あるいはコンピュータ)により制御される車とを、仮想三次元空間において設定されるコース上を走行させて順位(あるいはタイム)を競うゲームである。
【0012】
図1に示すように、ゲーム装置には、CPU20、RAM21、ROM22、HDD(ハードディスク装置)23、通信ユニット24、メカ機構制御ユニット25、表示制御ユニット26、音声制御ユニット27、入出力制御ユニット28が設けられている。
【0013】
CPU20は、RAM21あるいはROM22に記録されたプログラムを実行することにより各種機能を実現して、ゲーム装置全体を制御する。本実施形態では、CPU20は、ゲームプログラムを実行することでカーレースゲームを実現する。本実施形態におけるカーレースゲームでは、ブレーキ回生ブースト機能を実行することがでる。ブレーキ回生ブースト機能(以下、単にブースト機能と称する)は、ゲーム実行中にプレーヤーズカーの速度を落とすことにより、プレーヤーズカーに対する推進補助(ブースト機能)に使用できるブーストチャージを記録することができる。このブーストチャージによって、走行中のプレーヤーズカーの動きを推進させる推進量を示す推進蓄積データ(以下、ブーストチャージデータと称する)が記録される。CPU20は、走行中のプレーヤーズカーに対してブーストを発動(オン)させるタイミング(例えば、ブーストボタン6aの操作)を判別し、この判別したタイミングでブーストチャージデータに応じてプレーヤーズカーを推進させる制御を行う。
【0014】
RAM21、ROM22は、プログラムや各種データを記録する。HDD23は、各種プログラムやデータなどを記録するもので、記録されたプログラムやデータが必要に応じて読み出されてRAM21に記録される。図2には、ゲーム実行時にRAM21に記録されるプログラム及びデータの一例を示している。カーレースゲームの実行時には、基本プログラムの他、図2に示すように、ゲームプログラム21aが記録されてCPU20により実行される。また、ゲームプログラム21aの実行に伴い、ブーストチャージデータ21bが記録される。また、RAM21には、ブースト機能のオン/オフを制御するためのブースト機能制御データ21cが記録される。ブースト機能制御データ21cは、カーレースゲーム中にブースト機能を実行可能とするか(オン)あるいは無効(オフ)とするかを示すもので、カーレースゲームの開始前にプレーヤによって任意に設定される。また、ブースト機能制御データ21cは、ブレーキを踏む必要が無いレースモードなどに応じて設定されることもある。
【0015】
HDD23には、ゲームを制御するためのコースの地形を定義するコースデータやゲーム画面を表示するための各オブジェクトについてのデータが記録されている。
【0016】
通信ユニット24は、CPU20の制御のもとで、例えば通信ケーブルを介して接続された他のゲーム装置との間の通信を制御する。
【0017】
メカ機構制御ユニット25(反動制御機構)は、CPU20の制御のもとで、プレーヤによってゲーム中に操作される入力装置、すなわちハンドル5、ブレーキペダル11、及びアクセルペダル12に対するプレーヤの操作に対する反動(反力)を制御する機構である。例えば、メカ機構制御ユニット25は、ハンドル5を操作(回転)させる場合の固さを制御し、ブレーキペダル11及びアクセルペダル12を踏み込むときの固さ(及び深さ)を制御する。メカ機構制御ユニット25は、例えばゲームに使用されているプレーヤが選択した車の種類やコース上での走行状況に応じて制御される。
【0018】
表示制御ユニット26は、CPU20の制御のもとで、ディスプレイ4においてゲーム空間(XYZ座標系で表現される仮想三次元空間)を表現する画面を表示するための制御を実行する。
【0019】
音声制御ユニット27は、CPU20の制御のもとで、スピーカ7からゲーム処理中の効果音やBGMなどを出力させる。
【0020】
入出力制御ユニット28は、ゲーム装置に設けられた各種機器との間のデータ入出力を制御する。入出力制御ユニット28には、コイン検知センサ30、各種ボタン6、ブーストボタン6a、カードリーダ8の他、操作系のハンドルセンサ32、アクセルペダルセンサ33、ブレーキペダルセンサ34、シフトレバーセンサ35などが接続されている。
【0021】
コイン検知センサ30は、コイン投入口9から投入されたコインを検知して、入出力制御ユニット28を通じてCPU20に通知する。
【0022】
ブーストボタン6aは、ブースト機能のために設けられた専用のボタンであり、ゲーム中にプレーヤがブースト発動を指示するために使用される。ブーストボタン6aは、レース中に容易に操作ができるように、例えばハンドル5の近傍に設けられている。
【0023】
カードリーダ8は、ゲーム装置で利用されるカードに記録されたデータ(例えば、ユーザ識別データ、ゲーム履歴、ゲームで使用される車の性能を制御するデータなど)を読み取る。
【0024】
ハンドルセンサ32、アクセルペダルセンサ33、ブレーキペダルセンサ34、及びシフトレバーセンサ35は、それぞれゲーム装置に設けられた各入力装置(ハンドル5、アクセルペダル12、ブレーキペダル11、シフトレバー(図示せず))に対するプレーヤによる入力操作を検知するためのセンサである。各センサは、操作量を検知することができ、その操作量を示すデータは、入出力制御ユニット28を通じて、CPU20に通知される。
【0025】
次に、本実施形態におけるゲーム装置の動作について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0026】
CPU20は、コイン検知センサ30によりコイン投入が検知されることによりゲーム処理を開始する。ゲーム処理の初期時には、プレーヤによる設定操作が行われる。ゲーム開始前の設定操作では、設定画面を通じて、レースに使用するプレーヤーズカーの車種が選択される他、ブースト機能のオン/オフがプレーヤからの指示に応じて設定される。例えば、カーレースゲームの難易度を高くしてゲームを楽しみたいプレーヤは、ブースト機能をオフすることができる。この場合、CPU20は、ブースト機能オフの設定に応じたブースト機能制御データ21cをRAM21に記録して、このプレーヤに対するブースト機能を無効とする。
【0027】
一方、ブースト機能をオンする設定がされた場合には、CPU20は、ブースト機能オンの設定に応じたブースト機能制御データ21cをRAM21に記録する。以下の説明では、ブースト機能オンが設定された場合について説明する。
【0028】
カーレースゲームが開始されると、CPU20は、例えばドライバーズビューによる画面、すなわちプレーヤが車に搭乗している時に見える風景を模したゲーム画面を表示する。
【0029】
図4には、ゲーム実行中のドライバーズビューによるゲーム画面の一例を示している。図4に示すように、ゲーム画面には、レース中のプレーヤーズカーの状態をプレーヤが把握するためのスピードメータやタコメータなどのメータ類が表示されている。また、ゲーム画面には、ブースト機能に関連する表示として、ブーストチャージデータ21bの状態、すなわちブーストチャージ量を示すブーストメータAと、ブースト機能の発動のための操作を案内するガイド表示Bが含まれている。ブーストメータAは、ゲーム中に更新されるブーストチャージデータ21bに応じて表示が制御されるもので、ブーストチャージ「0」を示す「EMP」からフルチャージを示す「FULL」の範囲で変動する。
【0030】
なお、図4では、ゲーム画面中の主要なパーツのみを示しているが、ゲーム空間中においてプレーヤの視界に入る、プレーヤーズカーの車体の一部や他車などがゲーム画面中に表示されるものとする。
【0031】
プレーヤは、ハンドル5、アクセルペダル12、ブレーキペダル11、あるいはシフトレバーに対する操作をすることにより、コース上のプレーヤーズカーに対する動きを指示する。CPU20は、入力処理によって、プレーヤによる各入力装置に対する入力操作を、各センサ32,33,34,35により検知する(ステップA1)。
【0032】
CPU20は、走行制御処理によって、各センサ32,33,34,35により検知されたプレーヤによる入力操作、コースデータが示す地形データ、プレーヤーズカーの性能を示すデータ、他車との衝突判定等に基づいて、コース上におけるプレーヤーズカーの動きを算出する。CPU20は、算出されたプレーヤーズカーの動きに応じて、ドライバーズビューによるゲーム画面を生成して、表示制御ユニット26を通じてディスプレイ4において表示させる(ステップA2)。
【0033】
ここで、CPU20は、算出されたプレーヤーズカーの動きをもとに、減速判定処理によりプレーヤーズカーがゲーム空間中で減速しているかを判別する(ステップA3)。すなわち、CPU20は、ゲーム空間におけるプレーヤーズカーの加速度を算出し、この加速度をもとにして減速しているかを判別する。
【0034】
カーレースゲーム中(ゲーム空間)でのプレーヤーズカーの減速には、ブレーキペダル11やシフトレバー(シフトダウン)に対する操作による減速、またハンドル5とアクセルペダル12の操作の組合せによって発生されるドリフトなどの失速による減速、さらにはコースに配置された障害物や他のプレーヤによって操作されている他車との衝突により発生したクラッシュ等による減速などがある。本実施形態では、これらの理由によるプレーヤーズカーのゲーム空間中での減速量に応じてブーストチャージが実行されるものとする。
【0035】
CPU20は、減速判定処理によってプレーヤーズカーが減速したことが判別された場合(ステップA4、Yes)、ブーストチャージを実行して、ブーストチャージデータ21bをRAM21に記録する(ステップA5)。ここでは、CPU20は、プレーヤーズカーの単位時間当たりの減速量を算出し、この減速量に応じたチャージ量(推進蓄積データ)を算出して、現在のブーストチャージデータ21bが示すチャージ量に加算する。
【0036】
CPU20は、表示制御ユニット26を通じて、ゲーム画面中のブーストメータAにおいて、加算されたチャージ量に応じてゲージメモリを増加させるように表示を更新する(ステップA6)。
【0037】
CPU20は、プレーヤーズカーが減速されている間、継続して単位時間当たりの減速量に応じたチャージ量を算出して加算していく(ステップA1〜A6)。従って、短時間に急速に減速させた場合だけでなく、比較的緩やかに時間をかけて減速させた場合であっても総減速量に応じたチャージ量が追加される。
【0038】
なお、CPU20は、入力装置に対する操作により発生した前述した減速の種類に応じて、チャージ量を変えるようにしても良い。例えば、ブレーキペダル11やシフトダウンの通常操作による減速の場合にはチャージ量を基本量とし、ドリフトによる減速の場合は、特別な技能操作が必要であることからチャージ量を基本量より大きくし、逆にクラッシュによる減速の場合は、チャージ量を基本量より少なくなるように算出する。
【0039】
図5には、チャージ量が増大したことにより、ブーストメータAにおける表示が更新されたゲーム画面の例を示している。プレーヤは、ブーストメータAの表示を確認することで、ブーストを発動させることが可能な状態であることを把握することができる。
【0040】
プレーヤは、コース上を走行させているプレーヤーズカーに対してスピードアップが有効である状況の場合、例えば直線コース上を走行している場合に、ブーストボタン6aを押下することによりブーストの発動のタイミングを指示することで、プレーヤーズカーのスピードを瞬間的に上げることができる。
【0041】
CPU20は、ブーストボタン6aに対する操作を検出して、ブーストを発動させるタイミングであることを判別すると(ステップA7、Yes)、ブーストチャージデータ21bがブーストチャージされていることを示す場合、ブーストチャージデータ21bが示すチャージ量(推進蓄積データ)に応じてプレーヤーズカーを現在の速度よりも推進させた動きを算出する(ステップA8)。ここでは、例えば、ゲーム空間中で走行しているプレーヤーズカーに対して、ブーストチャージデータ21bが示す全チャージ量分の加速度を与えて、スピードアップさせる。
【0042】
なお、全チャージ量分の加速度を与えるのではなく、予め決められた加速度を一定時間のみ与えるようにしても良い。この場合、スピードアップに利用した一定時間の加速分のチャージ量を減算してブーストチャージデータ21bを更新するようにしても良い。また、ブーストの発動は、ブーストチャージデータ21bが示すチャージ量が予め決められた規定値以上ない場合には発動しないようにしても良い。
CPU20は、ブーストを発動してチャージ量を消費した場合には、その消費量に応じてブーストメータAの表示を更新する。
【0043】
CPU20は、ゲームが終了されるまで(ステップA9)、前述したように、プレーヤーズカーを減速させることによりブーストチャージを実行し、プレーヤによるブーストボタン6aに対する操作に応じて、チャージ量に応じたブーストを発動してプレーヤーズカーをスピードアップさせることができる(ステップA1〜A8)。
【0044】
このようにして、本実施形態におけるゲーム装置では、ゲーム中ではプレーヤーズカーを減速させることにより、ブーストをチャージして、任意のタイミングでブースト発動してプレーヤーズカーのスピードアップを図ることができる。これにより、ブレーキペダル11を踏む有用性をプレーヤに認識させ、アクセルを踏み続けてプレーすることなく、プレーヤーズカーをコースのカーブに合わせて適切に減速させ、適切なライン取りによって走行させるという、本来のゲームの楽しみ方に誘導することができる。これにより、プレーヤの操作技術の上達を助けることができる。さらに、プレーヤーズカーを減速させるたびにブーストチャージが実行され、ブーストをブーストボタン6aの操作によって任意のタイミングで発動させることができるので、好成績(タイム)を残すためには、ゲーム中のいつ、どこで、どのようにしてブーストを発動させるかを考える必要性が増し、ゲームの楽しみ方の幅を広げることができる。
【0045】
なお、前述した説明では、ゲーム空間中のプレーヤーズカーの動きが減速していると判別された場合にブーストチャージするとしているが、プレーヤーズカーを減速させるための入力装置に対する操作を検知してブーストチャージを実行するようにしても良い。
【0046】
次に、入力装置に対する操作を検知してブーストチャージを実行する場合のゲーム装置の動作について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0047】
なお、図6のフローチャートに示すステップB1,B2,B8〜B10は、図3のフローチャートに示すステップA1,A2,A7〜A9とそれぞれ対応するものとして詳細な説明を省略する。
【0048】
CPU20は、ステップB1における入力処理によって、ブレーキペダル11が踏み込まれたかを判別する。ここで、ブレーキペダルセンサ34による検知結果からブレーキペダル11が踏み込まれたことが判別された場合(ステップB3、Yes)、CPU20は、ブレーキペダルセンサ34からの操作量を示すデータから踏み込み量を検出し(ステップB4)、この踏み込み量に応じたブーストのチャージ量(推進蓄積データ)を算出して(ステップB5)、ブーストチャージデータ21bをRAM21に記録する(ステップB6)。ここでは、現在のブーストチャージデータ21bが示すチャージ量に加算する。
【0049】
CPU20は、表示制御ユニット26を通じて、ゲーム画面中のブーストメータAにおいて、加算されたチャージ量に応じてゲージメモリを増加させるように表示を更新する(ステップB7)。
【0050】
このようにして、ブレーキペダル11に対する踏み込み量に応じてブーストチャージを実行することにより、ブレーキペダル11に対する操作に応じてブーストがチャージされていく様子をブーストメータAから確認することができるので、プレーヤはより明確にブレーキを利用することの有用性を認識することができる。
【0051】
なお、図6のフローチャートにおいては、プレーヤーズカーの減速を、ブレーキペダル11が踏み込まれたことを検出することにより判別していたが、シフトレバー(図示せず)に対する操作によってシフトダウンされたことを検出することにより判別しても良い。CPU20は、シフトレバーセンサ35によりシフトレバーが操作されたことを検知した場合に、その操作がシフトダウンであった場合に(例えば、アクセルペダル12に対する踏み込みが規定以上無いことを条件とする)減速されたものと判別する。この場合、例えばシフトダウンの量に応じてチャージ量を算出して、ブーストチャージデータ21bとして記録することができる。
【0052】
なお、前述した説明では、プレーヤによりブーストボタン6aが押下された場合にブーストを発動させるものとしているが、他のタイミングでブーストを発動させるようにしても良い。例えば、ブレーキペダル11の操作によりプレーヤーズカーに制動がかけられた後、アクセルペダル12が踏み込まれた時にブーストを発動させるようにしても良い。これにより、ブーストが発動されない場合よりも強力な加速を与えることができる。
【0053】
また、前述した説明では、カーレースゲームを実行するゲーム装置を例にしているが、他のゲームを実行するゲーム装置に適用することが可能である。例えば、飛行機、ロケットなどの乗り物の他、人間や任意の形状により構成されるキャラクタなどのオブジェクトを、プレーヤによる入力操作に応じてゲーム空間中で移動させる各種のゲーム装置に適用することが可能である。何れのゲーム装置の場合においても、ゲーム空間中で移動しているオブジェクトの動きが減速した場合に、ブーストチャージデータ21bが示すチャージ量を増加させ、例えばプレーヤからのブースト発動の指示に応じてオブジェクトの動きを加速させる。
【0054】
また、前述した説明では、ゲームセンターなどに設置されるゲーム装置を対象としているが、その他のゲームプログラムに従ってゲームを実行可能な装置に適用することができる。例えば、家庭用/携帯型のゲーム専用機の他、パーソナルコンピュータや携帯電話機などの電子機器において実現することも可能である。
【0055】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0056】
また、実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、コンピュータに実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)をコンピュータ内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、コンピュータ内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【符号の説明】
【0057】
4…ディスプレイ、5…ハンドル、6…ボタン、6a…ブーストボタン、7…スピーカ、8…カードリーダ、11…ブレーキペダル、12…アクセルペダル、20…CPU、21…RAM、22…ROM、23…HDD、24…通信ユニット、25…メカ機構制御ユニット、26…表示制御ユニット、27…音声制御ユニット、28…入出力制御ユニット、30…コイン検知センサ、32…ハンドルセンサ、33…アクセルペダルセンサ、34…ブレーキペダルセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤによる入力装置に対する入力操作を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知されたプレーヤの入力操作に応じて、ゲーム空間内におけるオブジェクトの動きを算出するオブジェクト算出手段と、
前記オブジェクト算出手段により算出されるオブジェクトの動きが減速しているか判別する減速判別手段と、
前記減速判別手段により前記オブジェクトが減速していると判別された場合に、前記オブジェクトの動きを前記ゲーム空間中で推進させる推進量を示す推進蓄積データを記録する記録手段と、
前記オブジェクトの動きを推進させるタイミングを判定する判定手段と、
前記オブジェクト算出手段により算出されたオブジェクトの動きに応じたオブジェクトを前記ゲーム画面中に表示させる表示制御手段とを具備し、
前記オブジェクト算出手段は、前記判定手段により前記オブジェクトの動きを推進させるタイミングであると判定された場合に、前記記録手段に記録された前記推進蓄積データに応じて前記オブジェクトを推進させた動きを算出することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記オブジェクト算出手段によって算出される動きに基づいて、前記オブジェクトのゲーム空間における減速量を算出する減速量算出手段と、
前記減速量算出手段により算出された減速量に応じて前記推進蓄積データを算出する推進蓄積データ算出手段とをさらに具備し、
前記記録手段は、前記推進蓄積データ算出手段により算出された前記推進蓄積データを記録することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
プレーヤによる前記オブジェクトを推進させるタイミングの指示を入力するための指示入力手段をさらに具備し、
前記判定手段は、前記指示入力手段により入力された指示によって、前記オブジェクトの動きを推進させるタイミングを判別することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記減速判別手段は、前記オブジェクト算出手段によって算出される前記オブジェクトの動きをもとに加速度を算出し、前記加速度をもとにして前記オブジェクトが減速しているか判別することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記減速判別手段は、前記オブジェクトの動きに制動をかけるための前記入力装置に対する入力操作が前記検知手段により検知された場合に、前記オブジェクトの動きが減速していると判別することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項6】
コンピュータを、
プレーヤによる入力装置に対する入力操作を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知されたプレーヤの入力操作に応じて、ゲーム空間内におけるオブジェクトの動きを算出するオブジェクト算出手段と、
前記オブジェクト算出手段により算出されるオブジェクトの動きが減速しているか判別する減速判別手段と、
前記減速判別手段により前記オブジェクトが減速していると判別された場合に、前記オブジェクトの動きを前記ゲーム空間中で推進させる推進量を示す推進蓄積データを記録する記録手段と、
前記オブジェクトの動きを推進させるタイミングを判定する判定手段と、
前記オブジェクト算出手段により算出されたオブジェクトの動きに応じたオブジェクトを前記ゲーム画面中に表示させる表示制御手段として機能させ、
前記オブジェクト算出手段は、前記判定手段により前記オブジェクトの動きを推進させるタイミングであると判定された場合に、前記記録手段に記録された前記推進蓄積データに応じて前記オブジェクトを推進させた動きを算出することを特徴とするゲームプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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