ゲーム装置、サーバ装置
【課題】対局の観戦(鑑賞)の使い勝手が良く、かつ棋力向上に有効な構成とする。
【解決手段】通信手段を介して接続される装置間で対局ゲームを行なわせるサーバ装置は、装置間で行われた対局ゲームを含む、複数の対局ゲームの内容を記憶し、記憶された対局ゲームの内容に対して、要所となるゲーム途中の位置を示す情報を付加する。そして記憶された該当する対局ゲームの内容を、付加された情報を含めて、対局ゲームの内容の鑑賞を要求してきた装置に対して送信する。
【解決手段】通信手段を介して接続される装置間で対局ゲームを行なわせるサーバ装置は、装置間で行われた対局ゲームを含む、複数の対局ゲームの内容を記憶し、記憶された対局ゲームの内容に対して、要所となるゲーム途中の位置を示す情報を付加する。そして記憶された該当する対局ゲームの内容を、付加された情報を含めて、対局ゲームの内容の鑑賞を要求してきた装置に対して送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信手段を介した相手と囲碁ゲーム対局などの対局ゲームを行なうゲーム装置、対局ゲームを行なう際の各種サービスを提供するサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、パーソナルコンピュータを端末として、パソコン通信のホストコンピュータや、インターネット上の所定のサーバ(プロバイダ)に接続し、囲碁、将棋、チェスなどのゲームを対戦(対局)するシステムがある。また、パソコンの代わりに専用端末を用いて、囲碁、将棋、チェスなどの対局を行う対局システムもある。また、こうした対局システムが提供するサービスには、現在実行中の対局を観戦する観戦サービス、プロ同士の対局など過去の棋譜を提供する棋譜提供サービスなどがある。
【0003】
また、従来の対局システムあるいは囲碁などを実行できる電子ゲーム装置では、自分の打った対局やプロの対局の棋譜を複数保存しておき、好きな時に任意に選択して鑑賞することができる機能を持つものがあった。
【0004】
現在実行中の対局を観戦する場合、あるいは保存してある棋譜を鑑賞しようとした場合には、何れの場合もテキストベースで複数の対局について、対局者の名前と段級が一覧表示され、その中から観戦あるいは鑑賞の対象とする対局を選択するようになっている。また、棋譜を保存するために、棋譜データを他から取り込もうとした場合にも同様で、テキストベースで棋戦名と対局者名、月日が表示され選択するようになっている。
【0005】
また、従来では棋譜の鑑賞を行なう場合には、並べ返すことはできたが、並べ返しをしながら途中で変化を検討したり、また元の棋譜に戻って進行を追いかけたりするような操作が非常に不便であった。
【0006】
具体的には、(1)単に保存してある棋譜を順番に並べるだけのもの、(2)途中で着手を変更させると、元の棋譜が消えて上書きされてしまうもの、(3)途中で着手を変更して、再度また元の棋譜に戻ろうとする場合には、元の棋譜ファイルを再度読み込まなくてはならないものといった具合である。
【0007】
また、考慮時間の限られた対局中に試し打ちをする他にも、局後に自分の碁を振り返りながら試し打ちをして検討を加えたり、プロの高手の碁を鑑賞しながら途中で試し打ちをして、自分なりにプロの着手を理解しようとする事は、棋力向上にも有効で、非常に有用である。
【0008】
また、棋譜を単に鑑賞したり、試し打ちをするだけでなく、自分なりに考えた手と実際のプロの手との比較を重ねながら、一手一手鑑賞することができれば、棋力向上に大変有効であると考えられるが、従来の対局システムではこうしたことを補助する機能が搭載されていない。
【0009】
さらに、従来より囲碁将棋の世界では、大盤解説会という催しがある。これは。プロ棋士同士の対局を、ほぼリアルタイムに別のプロ棋士が会場の観客に対して解説するというもので、とても人気の高い催しである。これは、リアルタイムで著名なプロ同士の対局を見て進行が追える事、またリアルタイムで解説してもらえる事などが人気の原因と思われる。しかし、従来の通信対局システムでは、このようなサービスは行われていなかった。しかしながら、リアルタイムで対局を観戦でき、解説もしてもらえるサービスが提供できれば、自宅にいながら大盤解説会に参加しているのと同じような事が可能となり、ユーザに対して大変有効なサービス提供が可能となる。
【0010】
さらに、従来より、囲碁などの学習法として、本によるもの、ビデオ講座によるもの、カルチャーセンターなどの囲碁講座などがあった。しかし、本やビデオによるものは、説明を一方的に受けるだけのもので、本を読み進める途中で出てきた疑問などは、当然、自分で解決したり、強い人を捜して教えてもらうなどの方法しかなかった。また、カルチャーセンターなどの講座では、その営業形態から、特に会社員などはなかなか時間の都合が付きにくかったり、また、近所にそのような講座を開いている場所が無かったりで、参加しづらいものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように従来の対局システムでは、現在実行中の対局を観戦する際には、観戦対象とする棋譜をテキストベースで一覧表示される名前と段級から選択するようになっていたために、対局の内容や進行状況が全く分からなかった。そのため、観戦を始めたものの始まったばかりで面白くなかったり、見始めた途端に終局になってしまったり、その対局自体がつまらなかったりする事が多かった。
【0012】
また、保存されている棋譜を鑑賞する場合も、単に並べ返すことはできたが、並べ返しをしながら途中で変化を検討したり、また元の棋譜に戻って進行を追いかけたりするような操作が非常に不便であった。
【0013】
また、考慮時間の限られた対局中に試し打ちをしたり、自分なりに考えた手と実際のプロの手との比較を重ねながら検討を加えるといったことが、操作性良く行なうことができなかった。
【0014】
また、対局を観戦したり、保存された棋譜を鑑賞できたとしても、リアルタイムで大盤解説会で行われるような解説を得ることができず、また途中で出てきた疑問などについては、後でカルチャーセンターにおいて、あるいは強い人を捜して教えてもらうなどの方法しかなく、こうしたことができない場合には自分で考えるしかなかった。
【0015】
本発明は、前記のような問題に鑑みなされたもので、対局の観戦(鑑賞)の使い勝手が良く、かつ棋力向上に有効なゲーム装置、及びサーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、通信手段を介して接続される装置間で対局ゲームを行なわせるサーバ装置において、装置間で行われた対局ゲームを含む、複数の対局ゲームの内容を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された対局ゲームの内容に対して、要所となるゲーム途中の位置を示す情報を付加する要所位置付加手段と、前記記憶手段に記憶された該当する対局ゲームの内容を、前記要所位置付加手段によって付加された情報を含めて、対局ゲームの内容の鑑賞を要求してきた装置に対して送信するゲーム内容送信手段とを具備するサーバ装置を提供する。
【0017】
これにより、サーバ装置に記憶される対局ゲームの内容に対して、要所となるゲーム途中の位置を示す情報を付加しておくことで、この対局ゲームの内容を鑑賞しようとする際に、選択的に要所となるゲーム途中を表示させることができる。
【0018】
また本発明は、通信手段を介して接続された他の装置との間でサーバ装置を介在させて対局ゲームを行なうゲーム装置において、前記サーバ装置に対して、前記サーバ装置に記憶された複数の対局ゲーム中の特定の対局ゲームの鑑賞を要求する鑑賞要求手段と、前記鑑賞要求手段によって鑑賞を要求した特定の対局ゲームの内容を、この対局ゲームの内容に対して付加された要所となるゲーム途中の位置を示す情報と共に前記サーバ装置から受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された対局ゲームの内容に対する進行を制御する指示を入力する入力手段と、前記受信手段によって受信された対局ゲームの内容に基づいて、前記入力手段によって入力された指示に応じたゲーム状況を表示させる表示手段と、前記入力手段によって要所となるゲーム途中の位置の表示が指示された場合に、対局ゲームの内容に対して付加された要所の位置を示す情報に従って、該当する位置のゲーム状況を前記表示手段によって表示させる表示制御手段とを具備するゲーム装置を提供する。
【0019】
これにより、サーバ装置から取得した対局ゲームの内容について、要所となるゲーム途中の位置を示す情報をもとに、選択的に要所となるゲーム状況を表示させることができる。
【0020】
また、前記入力手段によって進行を次に進める指示が入力された場合のゲーム状況の予想を入力させる予想入力手段と、前記予想入力手段によって入力された予想されるゲーム状況が、前記入力手段によって進行を次に進める指示が入力された場合のゲーム状況と同じであるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によってゲーム状況が同じであると判定された場合には、前記入力手段によって進行を次に進める指示に応じたゲーム状況を前記表示手段によって表示させ、ゲーム状況が同じではないと判定された場合には、再度、前記予想入力手段によってゲーム状況の予想を入力させる制御手段とを具備するゲーム装置を提供する。
【0021】
これにより、サーバ装置から取得した対局ゲームの内容を単に鑑賞するだけでなく、次のゲーム状況を予測しながら進行を進めることで、対局ゲームの内容をより深く理解することができる。
【0022】
また前記表示手段によって表示されたゲーム状況から対局ゲームを進行させるためのデータを入力する進行データ入力手段と、前記進行データ入力手段によって入力されたデータに応じて、対局ゲームを進行させる対局ゲーム手段と、前記対局ゲーム手段によって進行された対局ゲームのゲーム状況を、前記進行データ入力手段によってデータが入力される前のゲーム状況に戻して、前記表示手段によって表示させる再現手段とを具備するゲーム装置を提供する。
これにより、サーバ装置から取得した対局ゲームの内容に影響を与えることなく、任意に入力するデータによって対局ゲームの内容を進行させてゲーム状況を把握することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、対局の観戦(鑑賞)の使い勝手が良く、かつ棋力向上に有効なゲーム装置、及びサーバ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態におけるゲーム装置を用いた通信システムの構成例を示すブロック図。
【図2】本実施形態における囲碁対局サービスサーバ10の電子回路の構成を示すブロック図。
【図3】公衆回線網16を介して接続された会員側の構成(ゲーム装置)を示す図。
【図4】本実施形態における囲碁ゲームの専用端末として用いられるゲーム装置の電子回路の構成を示すブロック図。
【図5】囲碁対局サービスサーバ10のデータベース装置36に格納される会員リスト36a、対局待ち会員リスト36b、棋譜データ36c、対局中棋譜データ36dのデータ構造を示す図。
【図6】囲碁対局サービスサーバ10に送信される着手データの形式の一例を示す図。
【図7】対局観戦の対象とする対局をゲーム装置22において検索する処理手順を示すフローチャート。
【図8】ゲーム装置による対局検索に対応する囲碁対局サービスサーバ10の処理手順を示すフローチャート。
【図9】対局観戦用の対局リストの表示例を示す図。
【図10】対局観戦用の盤面が表示されたLCD表示画面の一例を示す図。
【図11】4つの盤面が同時に表示された縮小盤面表示の一例を示す図。
【図12】観戦対象となっている対局について詳細表示された画面の一例を示す図。
【図13】対局観戦中の対局に関する質問の送信や解説を受信する処理について示すフローチャート。
【図14】対局観戦中の囲碁対局サービスサーバ10と各ゲーム装置(端末)との関係を説明するための図。
【図15】対局鑑賞の対象とする対局をゲーム装置22において検索する処理手順を示すフローチャート。
【図16】ゲーム装置による棋譜検索に対応する囲碁対局サービスサーバ10の処理手順を示すフローチャート。
【図17】対局鑑賞用の盤面が表示されたLCD表示画面の一例を示す図。
【図18】対局鑑賞を行なう場合のゲーム装置における処理を示すフローチャート。
【図19】ゲーム装置22において対局鑑賞中に実行できる棋譜当てゲームの処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態における通信手段を介して囲碁などの対局を行なう対局システムの構成を示す図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態における対局システムは、囲碁対局サービスサーバ10(サーバ装置)を有するサービスプロバイダ12に、通信回線網14を介してパーソナルコンピュータ18の他、ゲーム装置22,23,24が接続することにより通信手段を介した対局を行なうことができる。
【0027】
囲碁対局サービスサーバ10は、インターネットあるいは公衆回線網などを含む通信回線網14を介して外部との通信を行なうサービスプロバイダ12において、囲碁対局サービスを提供するために利用される。すなわち、囲碁対局サービスサーバ10は、囲碁の対局を行なう際には、対局を行なう両者に対して相互にサービスを提供すると共に、両者の間でサービスを相互に提供するための通信を制御する機能を有する。
【0028】
通信回線網14を介して囲碁対局サービスサーバ10に接続される端末としては、パーソナルコンピュータ18の他に、囲碁ゲーム専用端末であるゲーム装置22,23,24,25などが接続される。
【0029】
図2は本発明の実施の形態に係わる囲碁対局サービスサーバ10の電子回路の構成を示すブロック図である。囲碁対局サービスサーバ10は、各種の記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって構成される。
【0030】
囲碁対局サービスサーバ10は、図2に示すように、CPU30、電話通信ユニット31、通信ユニット32、記憶装置33、メモリ35、及びデータベース装置36を有して構成される。
【0031】
CPU30は、囲碁対局サービスサーバ10全体の制御を司るもので、メモリ35に格納されたプログラム(囲碁対局プログラム等)やデータ等に基づいて動作することにより各種の機能を実現する。囲碁対局サービスサーバ10において実現される機能としては、予め登録されている会員の中から希望にあった相手を紹介する紹介処理機能、通信手段を介した相手との囲碁の対局を制御する機能(対局処理)、囲碁に関する各種の情報を提供する機能(囲碁データベース)などが含まれている。
【0032】
囲碁に関する各種の情報を提供する機能では、データベース装置36に記憶されている対局に関するデータ(棋譜データ、対局中棋譜データなど)をゲーム装置に対して送信して、現在実行中の対局の様子を観戦する対局観戦、過去に行われた対局を鑑賞する対局鑑賞のサービスを提供することができる。
【0033】
電話通信ユニット31は、公衆回線網を介した外部との通信を制御するユニットであり、CPU30によって指示された電話番号に応じて自動的に電話をかける機能を有している。
【0034】
通信ユニット32は、インターネットを介した外部との通信を制御するユニットである。
【0035】
記憶装置33は、各種プログラムやデータを格納するためのものであって、例えば対局の管理のために生成される各種リスト(会員リスト、対局待ちリスト、対局データ、対局中棋譜データなど)のデータも必要に応じて格納される。記憶装置33は、プログラム、データ等が予め記録されている記録媒体34を有しており、この記録媒体34は磁気的、光学的記憶媒体、もしくは半導体メモリで構成されている。
【0036】
この記録媒体34は、記憶装置33に固定的に設けたもの、もしくは着脱自在に装着するものである。また、記録媒体34に記憶されるプログラム、データ等は、通信回線等を介して接続された他の機器から受信して記憶する構成にしても良く、さらに、通信回線等を介して接続された他の機器側に記録媒体を備えた記憶装置を設け、この記録媒体に記憶されているプログラム、データを通信回線を介して使用する構成にしても良い。
【0037】
メモリ35は、CPU30によってアクセスされるためのプログラムやデータが格納されるもので、必要に応じて記憶装置33またはデータベース装置36から読み出されて格納される。
【0038】
データベース装置36は、各種の情報を蓄積しておくための記憶装置であり、例えば会員に関する情報が登録された会員リスト36a、対局を希望して囲碁対局サービスサーバ10に接続している会員の情報が登録される対局待ち会員リスト36b、各会員についての過去の対局やプロ同士で行われた対局に関する情報である棋譜データ36c、現在会員の間で行われている対局に関する情報である対局中棋譜データ36dを含んでいる。また、データベース装置36には、棋譜や対戦記録、棋士の情報、詰め碁、問題集、会員の勝敗記録等を集めた棋譜情報などが含まれ、会員からの要求に応じて任意に提供される。
【0039】
次に、通信回線網14を介して囲碁対局サービスサーバ10接続された会員側の構成(電話機39、モデム40、ゲーム装置22)について説明する。なお、以下、ゲーム装置22を対象として説明する。図3に示すように、モデム40は、モジュラージャック38を介して公衆回線網(通信回線網14)と接続され、また電話機39が接続されている。モデム40には、ゲーム装置22(囲碁ゲーム専用端末)との間での無線通信機能が設けられており、電話線の接続や差し替え等を行なうことなく、場所を選ばずにゲーム装置22を使用できるようになっている。なお、ゲーム装置22にモデム40の機能が設けられた構成とすることも勿論可能である。
【0040】
ゲーム装置22は、携帯型に構成されており、筐体上面部にLCD22a(例えば大型モノクロ液晶)及びタッチパネル22bが設けられている。LCD22aの表示面とタッチパネル22bのデータ入力面は、積層一体型に構成されており、LCD22aによって表示された対象物(例えば碁石を示す表示パターン、盤面を表す表示中の交点位置、ボタンなど)を、ペンなどによって直接的に指示することで、該当する座標データを入力することができる。
【0041】
なお、図3に示すように、モデム20を変換装置として設けた構成としているが、モデム20の代わりにISDN回線との接続に介在するターミナルアダプタ(TA)、ディジタルサービスユニット(DSU)を設けた構成としても良い。また、無線通信によらずゲーム装置22と通信回線網14とが優先に接続される構成であっても良い。
【0042】
図4(a)は、本実施形態におけるゲーム装置22(囲碁ゲーム専用端末)の電子回路の構成を示すブロック図である。ゲーム装置22は、各種の記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって構成することができる。
【0043】
図4(a)に示すように、本実施形態における囲碁ゲーム専用端末22は、CPU41、ROM42、タッチパネル44、SRAM46、LCDドライバ周辺回路48、LCD50、無線通信I/F52、スピーカ53、アンテナ54、及び電池56によって構成されている。
【0044】
CPU41は、ROM42に格納された各種制御プログラムやデータに従って各種機能を実現するもので、囲碁ゲーム制御機能、通信相手との囲碁ゲーム対局のための制御機能などを含んでいる。
【0045】
ROM42は、CPU41によって実行される各種制御プログラムやデータ等が格納されるものであり、囲碁ゲーム制御用プログラム、通信相手との囲碁ゲーム対局制御用プログラムなどを含んでいる。
【0046】
タッチパネル44は、装置に対する動作を規定するためのボタンや、囲碁ゲーム実行中の石を置くべき位置を指定をする座標データを入力するために使用される。
【0047】
SRAM46は、CPU41によって各種機能を実行する際の作業領域として使用され、例えば進行中の囲碁ゲームの状況(各石の置かれた位置など)に関するデータが格納される。SRAM46に記憶されるデータの詳細については、図4(b)に示す。
【0048】
LCDドライバ周辺回路48は、CPU41の制御のもとで、LCD50における表示を制御するもので、LCD50に設けられた本ゲーム表示装置固有のセグメントパターンに対する制御を行なう。
【0049】
LCD50は、囲碁ゲームを行なう上で必要な各種の情報を表示するもので、対局中においては碁盤の盤面を表す盤面表示、ハマの数を黒石、白石それぞれについて表示するためのハマ表示、黒盤、白盤それぞれの時間を表示するための時間表示、動作を規定する指示を入力するための複数のボタンが設けられている。また、LCD50の盤面表示をする領域については、囲碁ゲームのゲームパターン表示に好適なセグメントパターンが設けられている。
【0050】
無線通信I/F52は、通信相手と囲碁ゲームを対戦する際に、CPU41の制御のもとでアンテナ54を介して無線通信を行なう。
【0051】
スピーカ53は、CPU41の制御のもとで音を発声させるもので、効果音や音声メッセージ(対局の解説や質問に対する回答など)などを出力するために用いられる。
【0052】
電池56は、ゲーム表示装置を屋外等に持ち出して携帯することができるように、各構成部に電力を供給するために使用される。
【0053】
図4(b)には、ゲーム装置22のSRAM46に格納される各種データの一例を示している。図4(b)に示す各種データは、ゲーム(囲碁の対局)の開始に伴って状況に応じて更新される。
【0054】
図4(b)に示すように、SRAM46には、タイマカウンタ(TM)46a、ハンデデータ(HD)46b、試し打ち許可フラグ(SY)46c、先手/後手フラグ46d、手番フラグ(BW)46e、棋譜データ46f(以上は、対局、対局観戦、及び対局鑑賞を行なう場合に使用される)、試打手番フラグ(BWs)46g、試打手番数データ46h、試打棋譜データ46j(以上は、試打モードにおいて試打を行なう場合に用いられる)、棋譜当てデータ46k(以上は、棋譜当てモードにおいて棋譜当てゲームを行なう場合に用いられる)等が、囲碁ゲームの対局を管理するために格納される。
【0055】
タイマカウンタ46aは、対局前の対局条件の設定(詳細については後述する)において定められた持ち時間をカウント(計数)するために使用される。タイマカウンタ46aには、自分の持ち時間と対局相手の持ち時間のデータがそれぞれ格納される。ハンデデータ46bは、対局条件の設定において定められたハンデ(コミ)の値が格納される。
【0056】
試し打ち許可フラグ46cは、対局条件の設定において設定された、対局中の試し打ち(相手のゲーム装置に対して操作の内容が通知されない動作モード)の許可/不許可を示すフラグである。先手/後手フラグ46dは、対局条件の設定に応じて決定される先手(黒番)/後手(白番)の何れであるかを示すフラグである。手番フラグ46eは、現在の打ち手が黒番(B)であるか白番(W)であるかを示すもので、一手毎に“0”−“1”−“0”…と変化される(例えば黒番を“1”によって表す)。先手/後手フラグ46dと手番フラグ46eの値に応じてタイマカウンタ46aに対する処理が制御される。
【0057】
棋譜データ46fは、対局の盤面を構成する各石に関するデータであり、一つの着手毎に生成される「何番目、白/黒、位置」の各情報の組み合わせから成るデータから構成される。試打手番フラグ46gは、試打モードにおける現在の打ち手が黒番(B)であるか白番(W)を示すもので、一手毎に“0”−“1”−“0”…と変化される。試打手番数データ46hは、試打モードにおける何番目の着手(手数)であるかを示すデータである。
【0058】
試打棋譜データ46jは、試打モードにおける盤面を構成する各石に関するデータであり、棋譜データ46fと同様に、「何番目、白/黒、位置」からなるデータから構成される。棋譜当てデータ46kは、棋譜当てゲームにおいて、ユーザによって指定された次の着手を示す予想された着手データが記憶される。
【0059】
なお、図4には図示していないが、ゲーム装置22には、音声入力をするための機能、文字データを入力するための機能などを搭載するようにしても良い。
【0060】
図5には、囲碁対局サービスサーバ10のデータベース装置36(あるいは記憶装置33)に格納される会員リスト36a、対局待ち会員リスト36b、棋譜データ36c、対局中棋譜データ36dのデータ構造を示している。
【0061】
会員リスト36aは、囲碁対局サービスサーバ10からサービスの提供を受けられる会員に関する情報が予め登録されたもので、図5(a)に示すように、氏名、会員番号、電話番号、段級等の情報が、各会員毎に登録されている。
【0062】
対局待ち会員リスト36bは、対局を希望して囲碁対局サービスサーバ10に接続している会員の情報を登録するためのもので、図5(b)に示すように、待ち状態となっている会員の名前に対応づけて、会員番号、対局相手に対する相手条件(段級)、待ち状態に入った時刻を示す待ち開始時刻、以前に中断した対局がある場合にその対局を示す対局情報等の情報が登録される。
【0063】
棋譜データ36cは、過去に行われた対局に関する情報が登録されて棋譜鑑賞の際に参照されるもので、図5(c)に示すように、対局者の氏名(対局者(1)、対局者(2))と、対局棋譜データ、対局中での要所となる勝負所を示す勝負所データ、対局日時などのデータが対応付けて登録される。
【0064】
対局中棋譜データ36dは、現在対局中の対局に関する情報が登録されて対局観戦の際に参照されるもので、図5(d)に示すように、対局者の氏名(対局者(1)、対局者(2))と、対局棋譜データ、対局中に指示された対局に関する各種データを含む付加データが対応付けて登録される。
【0065】
図6には、対局中のゲーム装置において着手があった場合に、囲碁対局サービスサーバ10に送信される着手データの形式の一例を示している。図6に示すように、着手データには、現在行っている対局を識別するための対局識別データD1、手番(黒番、白番)を表す手番データD2、手数を示す手数データD3、着手した位置を示すX座標データD4,Y座標データD5、持ち時間に関する時間データD6、時間切れとなったことを通知するための時間切れフラグD7などが含まれている。これにより、例えば対局相手のゲーム装置に対して、「対局A、黒37手目、14−十六(着手した位置)、36分52秒(残り持ち時間)」といった内容のデータが送信される。
【0066】
次に、本実施形態における対局システムの動作について、フローチャートを参照しながら説明する。まず、囲碁対局サービスサーバ10を利用して通信回線網14を介して行われているゲーム装置(例えば、ゲーム装置23,24)間での対局を、他のゲーム装置(例えばゲーム装置22とする)によって観戦する場合について説明する。
【0067】
図7は、対局観戦の対象とする対局をゲーム装置22において検索する処理手順を示すフローチャート、図8はゲーム装置による対局検索に対応する囲碁対局サービスサーバ10の処理手順を示すフローチャートである。
【0068】
ゲーム装置23,24ではそれぞれ着手があると、図6に示すような着手データを囲碁対局サービスサーバ10に送信する。囲碁対局サービスサーバ10は、対局中のゲーム装置23,24から受信した着手データに対して、対局中棋譜データ36d(図5(d))の対局者(1)(2)に登録された該当する対局のデータとして順次記憶している。また、他のゲーム装置間で行われている対局についても、同様にして対局中棋譜データが順次記憶されている。
【0069】
まず、ゲーム装置22は、他で現在行われている対局の観戦がタッチパネル44に対する操作によって要求されると、通信回線網14を介して囲碁対局サービスサーバ10に対して対局観戦要求を送信する。
【0070】
囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22からの観戦要求を受信すると(図8、ステップB1,B2)、対局中棋譜データ36dに登録されている現在行われている対局をもとに対局リストを生成し、ゲーム装置22に送信する(ステップB3)。例えば、囲碁対局サービスサーバ10は、対局中棋譜データ36dの対局者(1)(2)に登録された氏名と、各氏名をもとに会員リスト36aから検索される会員の情報(例えば段級)と、対局棋譜データにより判別される手数とを対応付けた対局リストを生成する。
【0071】
一方、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から対局リストを受信すると、この対局リストをLCD50において表示させる(図7、ステップA1)。図9には、対局観戦用の対局リストの表示例を示している。図9に示すように、対局リストでは、現在行われている各対局について、対局者とそれぞれの段級、及びその対局の手数が表示されている。また、表示画面中には、対局リストを用いた各種処理を実行させるためのキー入力部が設けられている。キー入力部には、対局リストとして表示される対局内容を切り替えるための「次頁」キー及び「前頁」キーと、対局を対局者名で示すのではなく実際の盤面によって示す「縮小盤面」キー、対局リスト中で指定した対局を選択する「選択」キー、特定の局面(初盤、中盤、終盤)の対局のみを一覧表示させるための「初盤」キー、「中盤」キー、「終盤」キーと、他の機能を実行させるためのメニューを表示させる「メニュー」キーが設けられている。キー入力は、ペン形状の指示棒や指先によって、LCD22aの表示画面と一体化されたタッチパネル22bの検出面をタッチすることによって行なわれる。
【0072】
例えば、対局リスト中の対局者「AAAA」と「BBBB」との対局が指定され、「選択」キーが指示された場合には、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して、該当する対局の対局指定を送信する(ステップA2)。
【0073】
囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22から対局指定を受信すると(ステップB4)、対局中棋譜データ36dに記憶されている指定された対局の対局中棋譜データをゲーム装置22に送信する(ステップB5)。ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から対局中棋譜データを受信すると、この対局中棋譜データ(対局棋譜データ)をSRAM46に記憶させると共に、対局棋譜データをもとにしてLCD50において対局中の盤面を表示させる(ステップA3)。
【0074】
図10には対局観戦用の盤面が表示されたLCD表示画面の一例を示している。図10に示すように、LCD表示画面には、盤面表示用の領域と、対局者表示の領域と、キー入力部が設けられている。盤面表示用の領域では、白番が対局者「AAAA」(段位は3段)であり、黒番が「BBBB」(段位は2段)であることを示している。キー入力部には、対局の詳細な情報を表示させるための「詳細」キー、盤面を縮小して同時に複数の対局の様子を表示させるための「縮小」キー、他の対局の盤面を表示させるための「次頁」キー、「前頁」キーと、他の機能を実行させるためのメニューを表示させる「メニュー」キーと、対局観戦を開始させるための「対局観戦」キーが設けられている。
【0075】
ここで、「対局観戦」キーへの操作によって対局観戦開始が指示されると、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して観戦開始要求を送信する(ステップA4)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22からの観戦開始要求が受信されると(ステップB8)、それ以後、指定された対局で対局者間(対局者「AAAA」「BBBB」のそれぞれが操作するゲーム装置)で送受される着手データを、着手がある毎にゲーム装置22に送信する着手データ送信処理を実行する(ステップB9)。
【0076】
ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から送信されている着手データをSRAM46に記憶させながら、図10に示す盤面表示中に着手位置を示す石のパターンを順次表示していくことで対局観戦を行わせる(ステップA10)。なお、対局観戦中では、対局に関する質問の送信や解説を受信することができるが、これらの詳細については後述する。
【0077】
一方、図9に示す対局リストにおいて、「縮小盤面」キーが指示された場合、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して、縮小盤面表示の要求を送信する(ステップA5)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22から縮小盤面表示が要求されると(ステップB6)、対局中棋譜データ36dに記憶されている所定の複数の対局の対局中棋譜データをゲーム装置22に送信する(図8、ステップB7)。
【0078】
ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から複数の対局の対局中棋譜データを受信すると、この対局中棋譜データ(対局棋譜データ)をSRAM46に記憶させると共に、各対局の対局棋譜データをもとにしてLCD50において複数の対局中の盤面を表示させる(ステップA6)。
【0079】
図11には、4つの盤面が同時に表示された縮小盤面表示の一例を示している。図11に示すように、4つの盤面を表示するために、一つの対局の盤面を表示するための領域が、図10に示す盤面表示よりも縮小されている。図11におけるキー入力部は、図10に示す場合と同じであるので説明を省略する。
【0080】
このように、複数の盤面を同時に表示させることで、対局リストでは対局者と手数だけしかわからなかったものが、進行状況と対局内容とが一目瞭然に確認することができるので、観戦の対象とする対局を容易に選択することができる。従って、観戦を始めたものの始まったばかりで面白くなかったり、見始めた途端に終局になってしまったり、その対局自体がつまらなかったりする事を、容易に回避することができる。
【0081】
なお、縮小盤面表示されている4つの対局以外の対局を選択したい場合には、「次頁」キーあるいは「前頁」キーを指示することで、他の対局についての盤面を縮小表示させることができる。ゲーム装置22は、「次頁」キーあるいは「前頁」キーに対する指示に応じて、囲碁対局サービスサーバ10に縮小盤面要求を送信することで、他の所定の複数の対局について対局中棋譜データを取得して、他の対局の縮小盤面を表示する。
【0082】
こうして、縮小盤面によって表示された対局については、対局についての詳細を表示させることができる。例えば、1つの対局を指定した状態で「詳細」キーが操作されると、ゲーム装置22は、指定された対局に関する情報の詳細を、対局棋譜データや対局者のデータをもとにして表示させる(ステップA8)。
【0083】
図12には、観戦対象となっている対局について詳細表示された画面の一例を示している。図12では、指定された対局の縮小された盤面と、対局者の名前と段級、現在のアゲハマの数、それぞれの残り持ち時間、手番などについての情報が表示されている。こうして、詳細表示を任意に指定した対局について表示させることによって、対局観戦しようとする対局を決める参考とすることができる。
【0084】
ここで、「対局観戦」キーへの操作によって対局観戦開始が指示されると(ステップA9)、前述と同様にして対局観戦が開始される(ステップA10)。なお、詳細表示中に「縮小」キーが指示された場合には、図11に示す縮小盤面を表示させ、「拡大」キーが指示された場合には、図10に示す拡大盤面(1つの対局の盤面)を表示させるものとする。
【0085】
このようにして、対局観戦の対象とする対局の選択を行なう場合、図9に示すような、現在行われている対局の対局者が表示された対局リストを用いるだけでなく、実際の対局の状況を図10に示すように表示させて確認した上で選択したり、あるいは縮小盤面によって同時に複数を表示させて確認した上で選択することができる。
【0086】
次に、前述のようにして開始された対局観戦中の対局に関する質問の送信や解説を受信する処理について、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0087】
本実施形態における通信対局システムでは、囲碁対局サービスサーバ10を介してゲーム装置間で行われている対局に対して、他のゲーム装置(あるいはパーソナルコンピュータ)の利用者が解説者となって解説を送信し、他のゲーム装置で対局観戦を行っている利用者がその解説を受信することができる。また、解説を一方的に受信するだけでなく、観戦中の対局に対して質問を送信することにより、解説者により回答を受けることもできる。
【0088】
ここでは、図14(a)に示すように、ゲーム装置23を端末P1、ゲーム装置24を端末P2とし、この間で対局が行われ、ゲーム装置25を端末Bとして解説者が使用しているものとする。また、ゲーム装置22を端末Aとし、この端末Aを使用している利用者がゲーム装置23,24の対局を観戦しているものとする。
【0089】
ゲーム装置23とゲーム装置24との間においては、交互に着手データの送信が囲碁対局サービスサーバ10に対して行われることで対局が進められている(ステップC1)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置23またはゲーム装置24からの着手データを受信すると、この着手データを対局相手のゲーム装置に送信すると共に、解説者が使用しているゲーム装置25(端末B)、及び対局観戦を行っているゲーム装置22(端末A)に対しても送信する(ステップC2)。
【0090】
ゲーム装置25(端末B)を操作している解説者は、対局の様子を前述した対局観戦の場合と同様にして観戦しており、この対局に関する解説をゲーム装置25に入力する。ゲーム装置25は、対局についての解説のデータを囲碁対局サービスサーバ10に送信する(ステップC3)。なお、解説者による解説は、例えば解説内容を表す文字列を入力して、この文字列のテキストデータを送信する方法、あるいは音声を入力して音声データを送信する方法がある。図4に示すゲーム装置の構成においては、文字列のデータを入力するための機能や音声入力するための機能については示していないが、解説者が使用するゲーム装置においては、解説入力用のための機能が設けられているものとする。また、文字入力や音声入力を行なうことができるパーソナルコンピュータによってゲーム装置を実現しても良い。
【0091】
囲碁対局サービスサーバ10は、解説者が操作するゲーム装置25(端末B)からのデータを受信すると、対局を行っているゲーム装置23,24に送信せず、対局鑑賞している端末Aに対してのみ送信する(ステップC4)。図14(b)には、ゲーム装置25から送信された解説が囲碁対局サービスサーバ10を介してゲーム装置22に送信される様子を示している。
【0092】
一方、対局鑑賞しているゲーム装置22(端末A)では、ゲーム装置23(端末P1)とゲーム装置24(端末P2)との対局を観戦している間、あるいは囲碁対局サービスサーバ10から受信した解説に対して疑問に思ったことやわからないことがある場合には、質問を送信することができる(ステップC6)。この質問の内容は、解説と同様にしてテキストデータあるいは音声データの送信によるものとする(ゲーム装置22には解説者が使用するゲーム装置25と同様にして文字入力あるいは音声入力の機能が設けられているものとする)。
【0093】
囲碁対局サービスサーバ10は、対局観戦を行っているゲーム装置22(端末A)から質問を受信すると(ステップC7)、この質問の内容を解説者が使用するゲーム装置25(端末B)に対して送信する(ステップC8)。ゲーム装置25(端末B)は、質問のデータを囲碁対局サービスサーバ10から受信すると、この質問の内容を画面中に表示する、あるいは音声によって出力することによって、解説者に対して質問の内容を通知する(ステップC9)。
【0094】
解説者により質問に対する回答が入力されると、ゲーム装置25(端末B)は、その回答内容を囲碁対局サービスサーバ10に送信する(ステップC10)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置25(端末B)から得られた回答を、質問要求を行ったゲーム装置22(端末A)に対して送信する(ステップC11)。
【0095】
このようにして、対局を行っているゲーム装置23(端末P1)、ゲーム装置24(端末P2)とは別のゲーム装置25(端末B)において対局の解説を行なって、解説内容を対局に影響を与えることなく対局観戦を行っているゲーム装置22(端末A)に対して送信することができる。
【0096】
また、ゲーム装置22(端末A)では、質問がある場合には囲碁対局サービスサーバ10に対して質問を送信することにより、この質問に対する解説者からの回答を得ることができる。従って、自宅にいながらあたかも大盤解説会に参加している場合と同様のサービスを受けることができる。
【0097】
以上の説明では、リアルタイムで実行されている対局の様子を鑑賞する場合を対象としているが、次に、過去に行われた対局について記録されている対局棋譜データをもとに対局鑑賞を行なう場合について説明する。図15は、対局鑑賞の対象とする対局をゲーム装置22において検索する処理手順を示すフローチャート、図16はゲーム装置による棋譜検索に対応する囲碁対局サービスサーバ10の処理手順を示すフローチャートである。
【0098】
なお、囲碁対局サービスサーバ10には、データベース装置36に図5(c)に示すようにして棋譜データ36cが記憶されている。すなわち、対局が行われている間には対局中棋譜データ36dとして着手データに応じて順次記憶されていた対局棋譜データが、対局終了後に棋譜データ36cとして対局が行われた日時のデータが付加された上でデータベース装置36に記憶される。
【0099】
また、対局棋譜データに対しては、囲碁対局サービスサーバ10の管理者、あるいはデータベース装置36に対して外部からアクセス権限が与えられた解説者(解説者が利用する端末)によって、対局の中で勝負所(要所(勝敗に影響を与える手など))となった手番が勝負所データとして設定される。
【0100】
また、対局者が対局中に所定の操作を行なうことによって、その時の手番を着手データによって囲碁対局サービスサーバ10に通知し、棋譜データ36cの対局棋譜データに対する付加データとして記憶させることもできる。この場合、対局が終了した後に対局中棋譜データが棋譜データ36cとして記憶される際に、付加データとして記憶された手番を示すデータを勝負所データとして記憶しておく。これにより、対局者本人が自分の対局を鑑賞する際に、所定の操作を行なった時の手番の盤面を意図的に表示させることができる。
【0101】
なお、勝負所データとしては、一つの対局に対して複数の手番を設定することができる。また、勝敗に影響を与える手だけでなく、対局鑑賞を行なう上で学習に有効な興味深い手を勝負所データとして設定するようにしても良い。
【0102】
まず、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10のデータベース装置36に登録されている対局(棋譜データ)の鑑賞がタッチパネル44に対する操作によって要求されると、通信回線網14を介して囲碁対局サービスサーバ10に対して対局鑑賞要求を送信する。
【0103】
囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22からの鑑賞要求を受信すると(図16、ステップE1,E2)、棋譜データ36cに登録されている過去に行われた対局をもとに対局リストを生成し、ゲーム装置22に送信する(ステップE3)。例えば、囲碁対局サービスサーバ10は、棋譜データ36cの対局者(1)(2)に登録された氏名と、各氏名をもとに会員リスト36aから検索される会員の情報(例えば段級)とを対応付けた対局リストを生成する。
【0104】
一方、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から対局リストを受信すると、この対局リストをLCD50において表示させる(図15、ステップD1)。なお、対局鑑賞用の対局リストは、例えば図9に示す対局観戦用の対局リスト中から手番の表示が省略された形式であるものとして詳細な説明を省略する。
【0105】
ここで、対局リスト中のある対局者間の対局が指定され(ペンによる指示によって任意に指定できるものとする)、「選択」キーが指示された場合には、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して、該当する対局の対局指定を送信する(ステップD2)。
【0106】
囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22から対局指定を受信すると(ステップE4)、棋譜データ36cに記憶されている指定された対局の棋譜データをゲーム装置22に送信する(ステップE5)。ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から棋譜データを受信すると、この棋譜データ(対局棋譜データ)をSRAM46に記憶させる。
【0107】
図17には対局鑑賞用の盤面が表示されたLCD表示画面の一例(対局鑑賞の途中の盤面表示の例)を示している。図17に示すように、対局鑑賞用のLCD表示画面には、盤面表示用の領域と、キー入力部が設けられている。キー入力部には、着手を一手ごとに進めるための「一手進」キー、着手を一手ごとに戻すための「一手戻」キー、対局中の勝負所となる盤面を表示させるための「勝負所」キー、対局途中から打ち継ぎを行なうための「打継」キー、対局途中から棋譜データに影響を与えないようにして試打を行なうための「試打」キー、次の着手を予想する棋譜当てゲームを行なうための「棋譜当て」キーの他、特別な操作を行なうことなく着手を一定時間毎に自動的に進めるようにする「自動送」キー、対局鑑賞を終了させるための「終了」キーが設けられている。なお、初期状態の対局鑑賞用の盤面表示は、全く着手が行われていない状態(石のパターンが表示されていない状態)で表示されるものとする。
【0108】
以下、キー入力部に設けられたキーに対する操作によって対局を進めて盤面表示、すなわち対局鑑賞を行なうことができる(ステップD4)。なお、対局鑑賞行なう場合のゲーム装置22における処理については後述する(図18)。
【0109】
一方、対局リストにおいて「縮小盤面」キーが指示された場合、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して、縮小盤面表示の要求を送信する(ステップD5)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22から縮小盤面表示が要求されると(図16、ステップE6)、データベース装置36の棋譜データ36cに記憶されている所定の複数の対局のデータをゲーム装置22に送信する(ステップE7)。
【0110】
ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から複数の対局の棋譜データを受信すると、この棋譜データ(対局棋譜データ)をSRAM46に記憶させると共に、各対局の対局棋譜データをもとにしてLCD50において複数の対局中の盤面を表示させる(ステップD6)。なお、対局鑑賞用の縮小盤面表示は、図11に示す対局観戦用の縮小盤面表示と同じようにして表示されるものとして説明を省略する。ただし、初期状態の全く着手が行われていない状態で表示させても、鑑賞対象とする対局を選択する際の参考とならないため、対局棋譜データに付加された勝負所データ(例えば、最も小さい手番を示すデータを用いる)が示す盤面を表示させるものとする。
【0111】
こうして、複数の盤面を同時に表示させることで、対局リストでは対局者だけしかわからなかったものが、対局内容が一目瞭然に確認することができるので、鑑賞の対象とする対局を容易に選択することができる。
【0112】
なお、縮小盤面表示されている4つの対局以外の対局を選択したい場合には、「次頁」キーあるいは「前頁」キーを指示することで、他の対局についての盤面を縮小表示させることができる。ゲーム装置22は、「次頁」キーあるいは「前頁」キーに対する指示に応じて、囲碁対局サービスサーバ10に縮小盤面要求を送信することで、他の所定の複数の対局について棋譜データを取得して、他の対局の縮小盤面を表示する。
【0113】
このようにして、対局鑑賞の対象とする対局の選択を行なう場合、対局の対局者が表示された対局リストを用いるだけでなく、縮小盤面によって同時に複数を表示させて確認した上で選択することができる。
【0114】
こうして、縮小盤面表示されている中で対局鑑賞の対象とする対局の盤面が指定された場合(ステップD7)、ゲーム装置22は、指定された盤面を拡大表示して、図17に示す対局鑑賞用の盤面を表示させる(ステップD8)。
【0115】
以下、指定された対局の棋譜データ(対局棋譜データ46f、勝負所データ46mを含む)をSRAM46に記憶させて、この対局棋譜データをもとにして、キー入力部に設けられたキーに対する操作によって対局を進めて盤面表示、すなわち対局鑑賞を行なうことができる(ステップD9)。
【0116】
次に、ゲーム装置22で実行される対局鑑賞の処理について説明する。図18は、対局鑑賞を行なう場合のゲーム装置における処理を示すフローチャートである。
【0117】
図17に示す対局鑑賞用の画面が表示されている時に「一手進」キーが指示された場合(ステップF1)、ゲーム装置22は、SRAM46に記憶させた対局棋譜データをもとにして、次の着手に該当する石のパターンを所定の位置に表示させる(ステップF2)。また「一手戻」キーが指示された場合(ステップF3)、最後に表示させた着手の石のパターンを消去させる(ステップF4)。従って、「一手進」キー、「一手戻」キーへの操作によって利用者が任意に対局を進行させる、あるいは局面を戻して再度対局の状況を見ることができる。なお、「一手進」キー、「一手戻」キーがペンなどによって押され続けている場合には、その間、高速に次の着手に応じた石のパターンを連続的に表示させるものとする。
【0118】
また、「勝負所」キーが指示された場合(ステップF5)、ゲーム装置22は、SRAM46の勝負所データ46mを参照して、勝負所を示す手番における盤面を対局棋譜データ46fをもとにして表示する。勝負所データとしては、複数の手番を設定しておくことができるので、「勝負所」キーが指示されることによって、順次、次の勝負所の盤面に表示を切り換えることができる。これにより、最初から順に着手を進める必要がなく対局鑑賞において参考になる(おもしろい)盤面について集中して鑑賞することができる。
【0119】
こうして、各キー操作によって任意に表示させた対局鑑賞用の盤面に対しては、その盤面途中から「試打」キーに対する指示により試打を行なうことができる。
【0120】
例えば、対局鑑賞中のある局面で、棋譜の実際の手順以外の別の手を打った時にどのような変化になるのか、考えてみようと思ったとする。このような場合、変化が難解であったりすれぱ頭の中では到底読み切れず、実際に石を並べてみたいという要求があり、こうした場合に元の棋譜データに影響を与えることなく試し打ちを行なうことができる。
【0121】
「試打」キーが指示されると(ステップF9)、ゲーム装置22は、試打モードに入り、現在鑑賞している棋譜の何手目で試し打ちに入ったか、また現在の盤面とアゲハマなどの現在の状況を記憶しておく。さらに現在鑑賞している棋譜のデータを保持している棋譜バッファ(対局棋譜データ46f)とは別に、試し打ちの棋譜専用の棋譜バッファ(試打棋譜データ46j)をSRAM46に用意する。
【0122】
試し打ちモードでは、対局鑑賞中の途中局面から任意に着手することができ、また「一手進」キーや「一手戻」キーに対する操作によって手を戻して別の着手を考えたりすることができる(ステップF10)。この場合、元の対局鑑賞の対象としていた棋譜データに対しては変更を加えず、新たに用意した試し打ち用の棋譜バッファに試打棋譜データ46jとして記憶しておく。
【0123】
こうして試し打ちによって十分検討し終わったなら、試し打ち終了が指示される。ゲーム装置22は、試打モードに移行した際に記憶した対局鑑賞時の状況(現在の盤面、アゲハマなど)を再現し、対局鑑賞に戻れるようにする。
【0124】
このようにして、「試打」キーの操作によって実行される試打では、着手によって入力されるデータが試打モードデータとしてSRAM46に試打棋譜データ46hとして記憶され、試打が終了した後は元の対局棋譜データ46fにもとづく盤面を表示させることができるので、元の対局についての対局棋譜データに影響を与えることなく試し打ちを行なうことができる。
【0125】
また、対局鑑賞を行っている間に「棋譜当て」キーが押された場合(ステップF7)、ゲーム装置22は、棋譜当てゲームを実行する棋譜当てモードに移行する。すなわち、棋譜当てゲームでは、予想された次の着手について、正解であるか否かの判定と、その結果報知が行われる(ステップF8)。
【0126】
図19はゲーム装置において対局鑑賞中に実行できる棋譜当てゲームの処理を示すフローチャートである。
【0127】
対局鑑賞を行っている間に「棋譜当て」キーの操作によって棋譜当てゲームの実行が指示されると、ゲーム装置22は、通常の棋譜鑑賞と違って、次の着手をすぐには表示せずに、次の着手を予想して入力するよう要求する(ステップG1)。この要求に対して次の着手位置が予想されて盤面表示に対して指示されると、ゲーム装置22は、この指示された位置の着手データを棋譜当てデータ46kとしてSRAM46に記憶させる(ステップG2)。
【0128】
また、ゲーム装置22は、対局棋譜データ46fに記憶されている実戦における次の着手と棋譜当てデータ46kに記憶されている予想された着手とを比較して、両方の着手が同じであるか否か、すなわち正解であるか否かを判別する(ステップG3)。ここで、正解であった場合には、ゲーム装置22は、正解であった次の着手を盤面表示中に表示させる(ステップG5)。
【0129】
一方、予想した着手が間違っていた場合は、ゲーム装置22は、再度、予想する着手を入力するように要求する(ステップG1)。また、次の着手が予想できず降参であることが指示された場合には、ゲーム装置22は、次の手を表示して先へ進めるようにする。
【0130】
なお、予想した着手が間違っていた場合には、正解するまで繰り返し予想する着手を入力させて先へ進めないようにしたり、あるいは一回または予め決められた所定回数間違えた場合に自動的に正解である次の着手を表示して先へ進むようにしても良い。
【0131】
このようにして、棋譜当てゲームを行なうことによって次の手を一手一手考えて行くという課程を実現できるので、漠然とただ着手された位置が表示される盤面を見ているだけの棋譜鑑賞よりも、より主体的に、自分の頭を使って各個人なりに次の手を予想していくことになる。従って、同じ一局を鑑賞していても、単に棋譜鑑賞する場合よりも学習効果が非常に高くなる。特に、棋譜当てゲームを行なう場合には、プロ同士の対局など強い人の棋譜を用いると効果的である。
【0132】
なお、前述した説明においては、囲碁対局サービスサーバ10と通信回線網14とを介して接続されたゲーム装置間で囲碁ゲームを行なう場合について説明しているが、将棋、チェスをはじめとする、2者の間で交互にデータを進行させるためのデータを入力させる他のゲームにおいても本発明を適用することが可能である。
【0133】
また、ゲームを行なうための囲碁ゲーム専用端末であるゲーム装置22,23,24,25を対象として主に説明しているが、パーソナルコンピュータ18に前述したゲーム装置の機能を実現するプログラムを実行させることで、パーソナルコンピュータ18をゲーム装置として使用することも可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信手段を介した相手と囲碁ゲーム対局などの対局ゲームを行なうゲーム装置、対局ゲームを行なう際の各種サービスを提供するサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、パーソナルコンピュータを端末として、パソコン通信のホストコンピュータや、インターネット上の所定のサーバ(プロバイダ)に接続し、囲碁、将棋、チェスなどのゲームを対戦(対局)するシステムがある。また、パソコンの代わりに専用端末を用いて、囲碁、将棋、チェスなどの対局を行う対局システムもある。また、こうした対局システムが提供するサービスには、現在実行中の対局を観戦する観戦サービス、プロ同士の対局など過去の棋譜を提供する棋譜提供サービスなどがある。
【0003】
また、従来の対局システムあるいは囲碁などを実行できる電子ゲーム装置では、自分の打った対局やプロの対局の棋譜を複数保存しておき、好きな時に任意に選択して鑑賞することができる機能を持つものがあった。
【0004】
現在実行中の対局を観戦する場合、あるいは保存してある棋譜を鑑賞しようとした場合には、何れの場合もテキストベースで複数の対局について、対局者の名前と段級が一覧表示され、その中から観戦あるいは鑑賞の対象とする対局を選択するようになっている。また、棋譜を保存するために、棋譜データを他から取り込もうとした場合にも同様で、テキストベースで棋戦名と対局者名、月日が表示され選択するようになっている。
【0005】
また、従来では棋譜の鑑賞を行なう場合には、並べ返すことはできたが、並べ返しをしながら途中で変化を検討したり、また元の棋譜に戻って進行を追いかけたりするような操作が非常に不便であった。
【0006】
具体的には、(1)単に保存してある棋譜を順番に並べるだけのもの、(2)途中で着手を変更させると、元の棋譜が消えて上書きされてしまうもの、(3)途中で着手を変更して、再度また元の棋譜に戻ろうとする場合には、元の棋譜ファイルを再度読み込まなくてはならないものといった具合である。
【0007】
また、考慮時間の限られた対局中に試し打ちをする他にも、局後に自分の碁を振り返りながら試し打ちをして検討を加えたり、プロの高手の碁を鑑賞しながら途中で試し打ちをして、自分なりにプロの着手を理解しようとする事は、棋力向上にも有効で、非常に有用である。
【0008】
また、棋譜を単に鑑賞したり、試し打ちをするだけでなく、自分なりに考えた手と実際のプロの手との比較を重ねながら、一手一手鑑賞することができれば、棋力向上に大変有効であると考えられるが、従来の対局システムではこうしたことを補助する機能が搭載されていない。
【0009】
さらに、従来より囲碁将棋の世界では、大盤解説会という催しがある。これは。プロ棋士同士の対局を、ほぼリアルタイムに別のプロ棋士が会場の観客に対して解説するというもので、とても人気の高い催しである。これは、リアルタイムで著名なプロ同士の対局を見て進行が追える事、またリアルタイムで解説してもらえる事などが人気の原因と思われる。しかし、従来の通信対局システムでは、このようなサービスは行われていなかった。しかしながら、リアルタイムで対局を観戦でき、解説もしてもらえるサービスが提供できれば、自宅にいながら大盤解説会に参加しているのと同じような事が可能となり、ユーザに対して大変有効なサービス提供が可能となる。
【0010】
さらに、従来より、囲碁などの学習法として、本によるもの、ビデオ講座によるもの、カルチャーセンターなどの囲碁講座などがあった。しかし、本やビデオによるものは、説明を一方的に受けるだけのもので、本を読み進める途中で出てきた疑問などは、当然、自分で解決したり、強い人を捜して教えてもらうなどの方法しかなかった。また、カルチャーセンターなどの講座では、その営業形態から、特に会社員などはなかなか時間の都合が付きにくかったり、また、近所にそのような講座を開いている場所が無かったりで、参加しづらいものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように従来の対局システムでは、現在実行中の対局を観戦する際には、観戦対象とする棋譜をテキストベースで一覧表示される名前と段級から選択するようになっていたために、対局の内容や進行状況が全く分からなかった。そのため、観戦を始めたものの始まったばかりで面白くなかったり、見始めた途端に終局になってしまったり、その対局自体がつまらなかったりする事が多かった。
【0012】
また、保存されている棋譜を鑑賞する場合も、単に並べ返すことはできたが、並べ返しをしながら途中で変化を検討したり、また元の棋譜に戻って進行を追いかけたりするような操作が非常に不便であった。
【0013】
また、考慮時間の限られた対局中に試し打ちをしたり、自分なりに考えた手と実際のプロの手との比較を重ねながら検討を加えるといったことが、操作性良く行なうことができなかった。
【0014】
また、対局を観戦したり、保存された棋譜を鑑賞できたとしても、リアルタイムで大盤解説会で行われるような解説を得ることができず、また途中で出てきた疑問などについては、後でカルチャーセンターにおいて、あるいは強い人を捜して教えてもらうなどの方法しかなく、こうしたことができない場合には自分で考えるしかなかった。
【0015】
本発明は、前記のような問題に鑑みなされたもので、対局の観戦(鑑賞)の使い勝手が良く、かつ棋力向上に有効なゲーム装置、及びサーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、通信手段を介して接続される装置間で対局ゲームを行なわせるサーバ装置において、装置間で行われた対局ゲームを含む、複数の対局ゲームの内容を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された対局ゲームの内容に対して、要所となるゲーム途中の位置を示す情報を付加する要所位置付加手段と、前記記憶手段に記憶された該当する対局ゲームの内容を、前記要所位置付加手段によって付加された情報を含めて、対局ゲームの内容の鑑賞を要求してきた装置に対して送信するゲーム内容送信手段とを具備するサーバ装置を提供する。
【0017】
これにより、サーバ装置に記憶される対局ゲームの内容に対して、要所となるゲーム途中の位置を示す情報を付加しておくことで、この対局ゲームの内容を鑑賞しようとする際に、選択的に要所となるゲーム途中を表示させることができる。
【0018】
また本発明は、通信手段を介して接続された他の装置との間でサーバ装置を介在させて対局ゲームを行なうゲーム装置において、前記サーバ装置に対して、前記サーバ装置に記憶された複数の対局ゲーム中の特定の対局ゲームの鑑賞を要求する鑑賞要求手段と、前記鑑賞要求手段によって鑑賞を要求した特定の対局ゲームの内容を、この対局ゲームの内容に対して付加された要所となるゲーム途中の位置を示す情報と共に前記サーバ装置から受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された対局ゲームの内容に対する進行を制御する指示を入力する入力手段と、前記受信手段によって受信された対局ゲームの内容に基づいて、前記入力手段によって入力された指示に応じたゲーム状況を表示させる表示手段と、前記入力手段によって要所となるゲーム途中の位置の表示が指示された場合に、対局ゲームの内容に対して付加された要所の位置を示す情報に従って、該当する位置のゲーム状況を前記表示手段によって表示させる表示制御手段とを具備するゲーム装置を提供する。
【0019】
これにより、サーバ装置から取得した対局ゲームの内容について、要所となるゲーム途中の位置を示す情報をもとに、選択的に要所となるゲーム状況を表示させることができる。
【0020】
また、前記入力手段によって進行を次に進める指示が入力された場合のゲーム状況の予想を入力させる予想入力手段と、前記予想入力手段によって入力された予想されるゲーム状況が、前記入力手段によって進行を次に進める指示が入力された場合のゲーム状況と同じであるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によってゲーム状況が同じであると判定された場合には、前記入力手段によって進行を次に進める指示に応じたゲーム状況を前記表示手段によって表示させ、ゲーム状況が同じではないと判定された場合には、再度、前記予想入力手段によってゲーム状況の予想を入力させる制御手段とを具備するゲーム装置を提供する。
【0021】
これにより、サーバ装置から取得した対局ゲームの内容を単に鑑賞するだけでなく、次のゲーム状況を予測しながら進行を進めることで、対局ゲームの内容をより深く理解することができる。
【0022】
また前記表示手段によって表示されたゲーム状況から対局ゲームを進行させるためのデータを入力する進行データ入力手段と、前記進行データ入力手段によって入力されたデータに応じて、対局ゲームを進行させる対局ゲーム手段と、前記対局ゲーム手段によって進行された対局ゲームのゲーム状況を、前記進行データ入力手段によってデータが入力される前のゲーム状況に戻して、前記表示手段によって表示させる再現手段とを具備するゲーム装置を提供する。
これにより、サーバ装置から取得した対局ゲームの内容に影響を与えることなく、任意に入力するデータによって対局ゲームの内容を進行させてゲーム状況を把握することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、対局の観戦(鑑賞)の使い勝手が良く、かつ棋力向上に有効なゲーム装置、及びサーバ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態におけるゲーム装置を用いた通信システムの構成例を示すブロック図。
【図2】本実施形態における囲碁対局サービスサーバ10の電子回路の構成を示すブロック図。
【図3】公衆回線網16を介して接続された会員側の構成(ゲーム装置)を示す図。
【図4】本実施形態における囲碁ゲームの専用端末として用いられるゲーム装置の電子回路の構成を示すブロック図。
【図5】囲碁対局サービスサーバ10のデータベース装置36に格納される会員リスト36a、対局待ち会員リスト36b、棋譜データ36c、対局中棋譜データ36dのデータ構造を示す図。
【図6】囲碁対局サービスサーバ10に送信される着手データの形式の一例を示す図。
【図7】対局観戦の対象とする対局をゲーム装置22において検索する処理手順を示すフローチャート。
【図8】ゲーム装置による対局検索に対応する囲碁対局サービスサーバ10の処理手順を示すフローチャート。
【図9】対局観戦用の対局リストの表示例を示す図。
【図10】対局観戦用の盤面が表示されたLCD表示画面の一例を示す図。
【図11】4つの盤面が同時に表示された縮小盤面表示の一例を示す図。
【図12】観戦対象となっている対局について詳細表示された画面の一例を示す図。
【図13】対局観戦中の対局に関する質問の送信や解説を受信する処理について示すフローチャート。
【図14】対局観戦中の囲碁対局サービスサーバ10と各ゲーム装置(端末)との関係を説明するための図。
【図15】対局鑑賞の対象とする対局をゲーム装置22において検索する処理手順を示すフローチャート。
【図16】ゲーム装置による棋譜検索に対応する囲碁対局サービスサーバ10の処理手順を示すフローチャート。
【図17】対局鑑賞用の盤面が表示されたLCD表示画面の一例を示す図。
【図18】対局鑑賞を行なう場合のゲーム装置における処理を示すフローチャート。
【図19】ゲーム装置22において対局鑑賞中に実行できる棋譜当てゲームの処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態における通信手段を介して囲碁などの対局を行なう対局システムの構成を示す図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態における対局システムは、囲碁対局サービスサーバ10(サーバ装置)を有するサービスプロバイダ12に、通信回線網14を介してパーソナルコンピュータ18の他、ゲーム装置22,23,24が接続することにより通信手段を介した対局を行なうことができる。
【0027】
囲碁対局サービスサーバ10は、インターネットあるいは公衆回線網などを含む通信回線網14を介して外部との通信を行なうサービスプロバイダ12において、囲碁対局サービスを提供するために利用される。すなわち、囲碁対局サービスサーバ10は、囲碁の対局を行なう際には、対局を行なう両者に対して相互にサービスを提供すると共に、両者の間でサービスを相互に提供するための通信を制御する機能を有する。
【0028】
通信回線網14を介して囲碁対局サービスサーバ10に接続される端末としては、パーソナルコンピュータ18の他に、囲碁ゲーム専用端末であるゲーム装置22,23,24,25などが接続される。
【0029】
図2は本発明の実施の形態に係わる囲碁対局サービスサーバ10の電子回路の構成を示すブロック図である。囲碁対局サービスサーバ10は、各種の記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって構成される。
【0030】
囲碁対局サービスサーバ10は、図2に示すように、CPU30、電話通信ユニット31、通信ユニット32、記憶装置33、メモリ35、及びデータベース装置36を有して構成される。
【0031】
CPU30は、囲碁対局サービスサーバ10全体の制御を司るもので、メモリ35に格納されたプログラム(囲碁対局プログラム等)やデータ等に基づいて動作することにより各種の機能を実現する。囲碁対局サービスサーバ10において実現される機能としては、予め登録されている会員の中から希望にあった相手を紹介する紹介処理機能、通信手段を介した相手との囲碁の対局を制御する機能(対局処理)、囲碁に関する各種の情報を提供する機能(囲碁データベース)などが含まれている。
【0032】
囲碁に関する各種の情報を提供する機能では、データベース装置36に記憶されている対局に関するデータ(棋譜データ、対局中棋譜データなど)をゲーム装置に対して送信して、現在実行中の対局の様子を観戦する対局観戦、過去に行われた対局を鑑賞する対局鑑賞のサービスを提供することができる。
【0033】
電話通信ユニット31は、公衆回線網を介した外部との通信を制御するユニットであり、CPU30によって指示された電話番号に応じて自動的に電話をかける機能を有している。
【0034】
通信ユニット32は、インターネットを介した外部との通信を制御するユニットである。
【0035】
記憶装置33は、各種プログラムやデータを格納するためのものであって、例えば対局の管理のために生成される各種リスト(会員リスト、対局待ちリスト、対局データ、対局中棋譜データなど)のデータも必要に応じて格納される。記憶装置33は、プログラム、データ等が予め記録されている記録媒体34を有しており、この記録媒体34は磁気的、光学的記憶媒体、もしくは半導体メモリで構成されている。
【0036】
この記録媒体34は、記憶装置33に固定的に設けたもの、もしくは着脱自在に装着するものである。また、記録媒体34に記憶されるプログラム、データ等は、通信回線等を介して接続された他の機器から受信して記憶する構成にしても良く、さらに、通信回線等を介して接続された他の機器側に記録媒体を備えた記憶装置を設け、この記録媒体に記憶されているプログラム、データを通信回線を介して使用する構成にしても良い。
【0037】
メモリ35は、CPU30によってアクセスされるためのプログラムやデータが格納されるもので、必要に応じて記憶装置33またはデータベース装置36から読み出されて格納される。
【0038】
データベース装置36は、各種の情報を蓄積しておくための記憶装置であり、例えば会員に関する情報が登録された会員リスト36a、対局を希望して囲碁対局サービスサーバ10に接続している会員の情報が登録される対局待ち会員リスト36b、各会員についての過去の対局やプロ同士で行われた対局に関する情報である棋譜データ36c、現在会員の間で行われている対局に関する情報である対局中棋譜データ36dを含んでいる。また、データベース装置36には、棋譜や対戦記録、棋士の情報、詰め碁、問題集、会員の勝敗記録等を集めた棋譜情報などが含まれ、会員からの要求に応じて任意に提供される。
【0039】
次に、通信回線網14を介して囲碁対局サービスサーバ10接続された会員側の構成(電話機39、モデム40、ゲーム装置22)について説明する。なお、以下、ゲーム装置22を対象として説明する。図3に示すように、モデム40は、モジュラージャック38を介して公衆回線網(通信回線網14)と接続され、また電話機39が接続されている。モデム40には、ゲーム装置22(囲碁ゲーム専用端末)との間での無線通信機能が設けられており、電話線の接続や差し替え等を行なうことなく、場所を選ばずにゲーム装置22を使用できるようになっている。なお、ゲーム装置22にモデム40の機能が設けられた構成とすることも勿論可能である。
【0040】
ゲーム装置22は、携帯型に構成されており、筐体上面部にLCD22a(例えば大型モノクロ液晶)及びタッチパネル22bが設けられている。LCD22aの表示面とタッチパネル22bのデータ入力面は、積層一体型に構成されており、LCD22aによって表示された対象物(例えば碁石を示す表示パターン、盤面を表す表示中の交点位置、ボタンなど)を、ペンなどによって直接的に指示することで、該当する座標データを入力することができる。
【0041】
なお、図3に示すように、モデム20を変換装置として設けた構成としているが、モデム20の代わりにISDN回線との接続に介在するターミナルアダプタ(TA)、ディジタルサービスユニット(DSU)を設けた構成としても良い。また、無線通信によらずゲーム装置22と通信回線網14とが優先に接続される構成であっても良い。
【0042】
図4(a)は、本実施形態におけるゲーム装置22(囲碁ゲーム専用端末)の電子回路の構成を示すブロック図である。ゲーム装置22は、各種の記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって構成することができる。
【0043】
図4(a)に示すように、本実施形態における囲碁ゲーム専用端末22は、CPU41、ROM42、タッチパネル44、SRAM46、LCDドライバ周辺回路48、LCD50、無線通信I/F52、スピーカ53、アンテナ54、及び電池56によって構成されている。
【0044】
CPU41は、ROM42に格納された各種制御プログラムやデータに従って各種機能を実現するもので、囲碁ゲーム制御機能、通信相手との囲碁ゲーム対局のための制御機能などを含んでいる。
【0045】
ROM42は、CPU41によって実行される各種制御プログラムやデータ等が格納されるものであり、囲碁ゲーム制御用プログラム、通信相手との囲碁ゲーム対局制御用プログラムなどを含んでいる。
【0046】
タッチパネル44は、装置に対する動作を規定するためのボタンや、囲碁ゲーム実行中の石を置くべき位置を指定をする座標データを入力するために使用される。
【0047】
SRAM46は、CPU41によって各種機能を実行する際の作業領域として使用され、例えば進行中の囲碁ゲームの状況(各石の置かれた位置など)に関するデータが格納される。SRAM46に記憶されるデータの詳細については、図4(b)に示す。
【0048】
LCDドライバ周辺回路48は、CPU41の制御のもとで、LCD50における表示を制御するもので、LCD50に設けられた本ゲーム表示装置固有のセグメントパターンに対する制御を行なう。
【0049】
LCD50は、囲碁ゲームを行なう上で必要な各種の情報を表示するもので、対局中においては碁盤の盤面を表す盤面表示、ハマの数を黒石、白石それぞれについて表示するためのハマ表示、黒盤、白盤それぞれの時間を表示するための時間表示、動作を規定する指示を入力するための複数のボタンが設けられている。また、LCD50の盤面表示をする領域については、囲碁ゲームのゲームパターン表示に好適なセグメントパターンが設けられている。
【0050】
無線通信I/F52は、通信相手と囲碁ゲームを対戦する際に、CPU41の制御のもとでアンテナ54を介して無線通信を行なう。
【0051】
スピーカ53は、CPU41の制御のもとで音を発声させるもので、効果音や音声メッセージ(対局の解説や質問に対する回答など)などを出力するために用いられる。
【0052】
電池56は、ゲーム表示装置を屋外等に持ち出して携帯することができるように、各構成部に電力を供給するために使用される。
【0053】
図4(b)には、ゲーム装置22のSRAM46に格納される各種データの一例を示している。図4(b)に示す各種データは、ゲーム(囲碁の対局)の開始に伴って状況に応じて更新される。
【0054】
図4(b)に示すように、SRAM46には、タイマカウンタ(TM)46a、ハンデデータ(HD)46b、試し打ち許可フラグ(SY)46c、先手/後手フラグ46d、手番フラグ(BW)46e、棋譜データ46f(以上は、対局、対局観戦、及び対局鑑賞を行なう場合に使用される)、試打手番フラグ(BWs)46g、試打手番数データ46h、試打棋譜データ46j(以上は、試打モードにおいて試打を行なう場合に用いられる)、棋譜当てデータ46k(以上は、棋譜当てモードにおいて棋譜当てゲームを行なう場合に用いられる)等が、囲碁ゲームの対局を管理するために格納される。
【0055】
タイマカウンタ46aは、対局前の対局条件の設定(詳細については後述する)において定められた持ち時間をカウント(計数)するために使用される。タイマカウンタ46aには、自分の持ち時間と対局相手の持ち時間のデータがそれぞれ格納される。ハンデデータ46bは、対局条件の設定において定められたハンデ(コミ)の値が格納される。
【0056】
試し打ち許可フラグ46cは、対局条件の設定において設定された、対局中の試し打ち(相手のゲーム装置に対して操作の内容が通知されない動作モード)の許可/不許可を示すフラグである。先手/後手フラグ46dは、対局条件の設定に応じて決定される先手(黒番)/後手(白番)の何れであるかを示すフラグである。手番フラグ46eは、現在の打ち手が黒番(B)であるか白番(W)であるかを示すもので、一手毎に“0”−“1”−“0”…と変化される(例えば黒番を“1”によって表す)。先手/後手フラグ46dと手番フラグ46eの値に応じてタイマカウンタ46aに対する処理が制御される。
【0057】
棋譜データ46fは、対局の盤面を構成する各石に関するデータであり、一つの着手毎に生成される「何番目、白/黒、位置」の各情報の組み合わせから成るデータから構成される。試打手番フラグ46gは、試打モードにおける現在の打ち手が黒番(B)であるか白番(W)を示すもので、一手毎に“0”−“1”−“0”…と変化される。試打手番数データ46hは、試打モードにおける何番目の着手(手数)であるかを示すデータである。
【0058】
試打棋譜データ46jは、試打モードにおける盤面を構成する各石に関するデータであり、棋譜データ46fと同様に、「何番目、白/黒、位置」からなるデータから構成される。棋譜当てデータ46kは、棋譜当てゲームにおいて、ユーザによって指定された次の着手を示す予想された着手データが記憶される。
【0059】
なお、図4には図示していないが、ゲーム装置22には、音声入力をするための機能、文字データを入力するための機能などを搭載するようにしても良い。
【0060】
図5には、囲碁対局サービスサーバ10のデータベース装置36(あるいは記憶装置33)に格納される会員リスト36a、対局待ち会員リスト36b、棋譜データ36c、対局中棋譜データ36dのデータ構造を示している。
【0061】
会員リスト36aは、囲碁対局サービスサーバ10からサービスの提供を受けられる会員に関する情報が予め登録されたもので、図5(a)に示すように、氏名、会員番号、電話番号、段級等の情報が、各会員毎に登録されている。
【0062】
対局待ち会員リスト36bは、対局を希望して囲碁対局サービスサーバ10に接続している会員の情報を登録するためのもので、図5(b)に示すように、待ち状態となっている会員の名前に対応づけて、会員番号、対局相手に対する相手条件(段級)、待ち状態に入った時刻を示す待ち開始時刻、以前に中断した対局がある場合にその対局を示す対局情報等の情報が登録される。
【0063】
棋譜データ36cは、過去に行われた対局に関する情報が登録されて棋譜鑑賞の際に参照されるもので、図5(c)に示すように、対局者の氏名(対局者(1)、対局者(2))と、対局棋譜データ、対局中での要所となる勝負所を示す勝負所データ、対局日時などのデータが対応付けて登録される。
【0064】
対局中棋譜データ36dは、現在対局中の対局に関する情報が登録されて対局観戦の際に参照されるもので、図5(d)に示すように、対局者の氏名(対局者(1)、対局者(2))と、対局棋譜データ、対局中に指示された対局に関する各種データを含む付加データが対応付けて登録される。
【0065】
図6には、対局中のゲーム装置において着手があった場合に、囲碁対局サービスサーバ10に送信される着手データの形式の一例を示している。図6に示すように、着手データには、現在行っている対局を識別するための対局識別データD1、手番(黒番、白番)を表す手番データD2、手数を示す手数データD3、着手した位置を示すX座標データD4,Y座標データD5、持ち時間に関する時間データD6、時間切れとなったことを通知するための時間切れフラグD7などが含まれている。これにより、例えば対局相手のゲーム装置に対して、「対局A、黒37手目、14−十六(着手した位置)、36分52秒(残り持ち時間)」といった内容のデータが送信される。
【0066】
次に、本実施形態における対局システムの動作について、フローチャートを参照しながら説明する。まず、囲碁対局サービスサーバ10を利用して通信回線網14を介して行われているゲーム装置(例えば、ゲーム装置23,24)間での対局を、他のゲーム装置(例えばゲーム装置22とする)によって観戦する場合について説明する。
【0067】
図7は、対局観戦の対象とする対局をゲーム装置22において検索する処理手順を示すフローチャート、図8はゲーム装置による対局検索に対応する囲碁対局サービスサーバ10の処理手順を示すフローチャートである。
【0068】
ゲーム装置23,24ではそれぞれ着手があると、図6に示すような着手データを囲碁対局サービスサーバ10に送信する。囲碁対局サービスサーバ10は、対局中のゲーム装置23,24から受信した着手データに対して、対局中棋譜データ36d(図5(d))の対局者(1)(2)に登録された該当する対局のデータとして順次記憶している。また、他のゲーム装置間で行われている対局についても、同様にして対局中棋譜データが順次記憶されている。
【0069】
まず、ゲーム装置22は、他で現在行われている対局の観戦がタッチパネル44に対する操作によって要求されると、通信回線網14を介して囲碁対局サービスサーバ10に対して対局観戦要求を送信する。
【0070】
囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22からの観戦要求を受信すると(図8、ステップB1,B2)、対局中棋譜データ36dに登録されている現在行われている対局をもとに対局リストを生成し、ゲーム装置22に送信する(ステップB3)。例えば、囲碁対局サービスサーバ10は、対局中棋譜データ36dの対局者(1)(2)に登録された氏名と、各氏名をもとに会員リスト36aから検索される会員の情報(例えば段級)と、対局棋譜データにより判別される手数とを対応付けた対局リストを生成する。
【0071】
一方、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から対局リストを受信すると、この対局リストをLCD50において表示させる(図7、ステップA1)。図9には、対局観戦用の対局リストの表示例を示している。図9に示すように、対局リストでは、現在行われている各対局について、対局者とそれぞれの段級、及びその対局の手数が表示されている。また、表示画面中には、対局リストを用いた各種処理を実行させるためのキー入力部が設けられている。キー入力部には、対局リストとして表示される対局内容を切り替えるための「次頁」キー及び「前頁」キーと、対局を対局者名で示すのではなく実際の盤面によって示す「縮小盤面」キー、対局リスト中で指定した対局を選択する「選択」キー、特定の局面(初盤、中盤、終盤)の対局のみを一覧表示させるための「初盤」キー、「中盤」キー、「終盤」キーと、他の機能を実行させるためのメニューを表示させる「メニュー」キーが設けられている。キー入力は、ペン形状の指示棒や指先によって、LCD22aの表示画面と一体化されたタッチパネル22bの検出面をタッチすることによって行なわれる。
【0072】
例えば、対局リスト中の対局者「AAAA」と「BBBB」との対局が指定され、「選択」キーが指示された場合には、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して、該当する対局の対局指定を送信する(ステップA2)。
【0073】
囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22から対局指定を受信すると(ステップB4)、対局中棋譜データ36dに記憶されている指定された対局の対局中棋譜データをゲーム装置22に送信する(ステップB5)。ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から対局中棋譜データを受信すると、この対局中棋譜データ(対局棋譜データ)をSRAM46に記憶させると共に、対局棋譜データをもとにしてLCD50において対局中の盤面を表示させる(ステップA3)。
【0074】
図10には対局観戦用の盤面が表示されたLCD表示画面の一例を示している。図10に示すように、LCD表示画面には、盤面表示用の領域と、対局者表示の領域と、キー入力部が設けられている。盤面表示用の領域では、白番が対局者「AAAA」(段位は3段)であり、黒番が「BBBB」(段位は2段)であることを示している。キー入力部には、対局の詳細な情報を表示させるための「詳細」キー、盤面を縮小して同時に複数の対局の様子を表示させるための「縮小」キー、他の対局の盤面を表示させるための「次頁」キー、「前頁」キーと、他の機能を実行させるためのメニューを表示させる「メニュー」キーと、対局観戦を開始させるための「対局観戦」キーが設けられている。
【0075】
ここで、「対局観戦」キーへの操作によって対局観戦開始が指示されると、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して観戦開始要求を送信する(ステップA4)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22からの観戦開始要求が受信されると(ステップB8)、それ以後、指定された対局で対局者間(対局者「AAAA」「BBBB」のそれぞれが操作するゲーム装置)で送受される着手データを、着手がある毎にゲーム装置22に送信する着手データ送信処理を実行する(ステップB9)。
【0076】
ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から送信されている着手データをSRAM46に記憶させながら、図10に示す盤面表示中に着手位置を示す石のパターンを順次表示していくことで対局観戦を行わせる(ステップA10)。なお、対局観戦中では、対局に関する質問の送信や解説を受信することができるが、これらの詳細については後述する。
【0077】
一方、図9に示す対局リストにおいて、「縮小盤面」キーが指示された場合、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して、縮小盤面表示の要求を送信する(ステップA5)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22から縮小盤面表示が要求されると(ステップB6)、対局中棋譜データ36dに記憶されている所定の複数の対局の対局中棋譜データをゲーム装置22に送信する(図8、ステップB7)。
【0078】
ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から複数の対局の対局中棋譜データを受信すると、この対局中棋譜データ(対局棋譜データ)をSRAM46に記憶させると共に、各対局の対局棋譜データをもとにしてLCD50において複数の対局中の盤面を表示させる(ステップA6)。
【0079】
図11には、4つの盤面が同時に表示された縮小盤面表示の一例を示している。図11に示すように、4つの盤面を表示するために、一つの対局の盤面を表示するための領域が、図10に示す盤面表示よりも縮小されている。図11におけるキー入力部は、図10に示す場合と同じであるので説明を省略する。
【0080】
このように、複数の盤面を同時に表示させることで、対局リストでは対局者と手数だけしかわからなかったものが、進行状況と対局内容とが一目瞭然に確認することができるので、観戦の対象とする対局を容易に選択することができる。従って、観戦を始めたものの始まったばかりで面白くなかったり、見始めた途端に終局になってしまったり、その対局自体がつまらなかったりする事を、容易に回避することができる。
【0081】
なお、縮小盤面表示されている4つの対局以外の対局を選択したい場合には、「次頁」キーあるいは「前頁」キーを指示することで、他の対局についての盤面を縮小表示させることができる。ゲーム装置22は、「次頁」キーあるいは「前頁」キーに対する指示に応じて、囲碁対局サービスサーバ10に縮小盤面要求を送信することで、他の所定の複数の対局について対局中棋譜データを取得して、他の対局の縮小盤面を表示する。
【0082】
こうして、縮小盤面によって表示された対局については、対局についての詳細を表示させることができる。例えば、1つの対局を指定した状態で「詳細」キーが操作されると、ゲーム装置22は、指定された対局に関する情報の詳細を、対局棋譜データや対局者のデータをもとにして表示させる(ステップA8)。
【0083】
図12には、観戦対象となっている対局について詳細表示された画面の一例を示している。図12では、指定された対局の縮小された盤面と、対局者の名前と段級、現在のアゲハマの数、それぞれの残り持ち時間、手番などについての情報が表示されている。こうして、詳細表示を任意に指定した対局について表示させることによって、対局観戦しようとする対局を決める参考とすることができる。
【0084】
ここで、「対局観戦」キーへの操作によって対局観戦開始が指示されると(ステップA9)、前述と同様にして対局観戦が開始される(ステップA10)。なお、詳細表示中に「縮小」キーが指示された場合には、図11に示す縮小盤面を表示させ、「拡大」キーが指示された場合には、図10に示す拡大盤面(1つの対局の盤面)を表示させるものとする。
【0085】
このようにして、対局観戦の対象とする対局の選択を行なう場合、図9に示すような、現在行われている対局の対局者が表示された対局リストを用いるだけでなく、実際の対局の状況を図10に示すように表示させて確認した上で選択したり、あるいは縮小盤面によって同時に複数を表示させて確認した上で選択することができる。
【0086】
次に、前述のようにして開始された対局観戦中の対局に関する質問の送信や解説を受信する処理について、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0087】
本実施形態における通信対局システムでは、囲碁対局サービスサーバ10を介してゲーム装置間で行われている対局に対して、他のゲーム装置(あるいはパーソナルコンピュータ)の利用者が解説者となって解説を送信し、他のゲーム装置で対局観戦を行っている利用者がその解説を受信することができる。また、解説を一方的に受信するだけでなく、観戦中の対局に対して質問を送信することにより、解説者により回答を受けることもできる。
【0088】
ここでは、図14(a)に示すように、ゲーム装置23を端末P1、ゲーム装置24を端末P2とし、この間で対局が行われ、ゲーム装置25を端末Bとして解説者が使用しているものとする。また、ゲーム装置22を端末Aとし、この端末Aを使用している利用者がゲーム装置23,24の対局を観戦しているものとする。
【0089】
ゲーム装置23とゲーム装置24との間においては、交互に着手データの送信が囲碁対局サービスサーバ10に対して行われることで対局が進められている(ステップC1)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置23またはゲーム装置24からの着手データを受信すると、この着手データを対局相手のゲーム装置に送信すると共に、解説者が使用しているゲーム装置25(端末B)、及び対局観戦を行っているゲーム装置22(端末A)に対しても送信する(ステップC2)。
【0090】
ゲーム装置25(端末B)を操作している解説者は、対局の様子を前述した対局観戦の場合と同様にして観戦しており、この対局に関する解説をゲーム装置25に入力する。ゲーム装置25は、対局についての解説のデータを囲碁対局サービスサーバ10に送信する(ステップC3)。なお、解説者による解説は、例えば解説内容を表す文字列を入力して、この文字列のテキストデータを送信する方法、あるいは音声を入力して音声データを送信する方法がある。図4に示すゲーム装置の構成においては、文字列のデータを入力するための機能や音声入力するための機能については示していないが、解説者が使用するゲーム装置においては、解説入力用のための機能が設けられているものとする。また、文字入力や音声入力を行なうことができるパーソナルコンピュータによってゲーム装置を実現しても良い。
【0091】
囲碁対局サービスサーバ10は、解説者が操作するゲーム装置25(端末B)からのデータを受信すると、対局を行っているゲーム装置23,24に送信せず、対局鑑賞している端末Aに対してのみ送信する(ステップC4)。図14(b)には、ゲーム装置25から送信された解説が囲碁対局サービスサーバ10を介してゲーム装置22に送信される様子を示している。
【0092】
一方、対局鑑賞しているゲーム装置22(端末A)では、ゲーム装置23(端末P1)とゲーム装置24(端末P2)との対局を観戦している間、あるいは囲碁対局サービスサーバ10から受信した解説に対して疑問に思ったことやわからないことがある場合には、質問を送信することができる(ステップC6)。この質問の内容は、解説と同様にしてテキストデータあるいは音声データの送信によるものとする(ゲーム装置22には解説者が使用するゲーム装置25と同様にして文字入力あるいは音声入力の機能が設けられているものとする)。
【0093】
囲碁対局サービスサーバ10は、対局観戦を行っているゲーム装置22(端末A)から質問を受信すると(ステップC7)、この質問の内容を解説者が使用するゲーム装置25(端末B)に対して送信する(ステップC8)。ゲーム装置25(端末B)は、質問のデータを囲碁対局サービスサーバ10から受信すると、この質問の内容を画面中に表示する、あるいは音声によって出力することによって、解説者に対して質問の内容を通知する(ステップC9)。
【0094】
解説者により質問に対する回答が入力されると、ゲーム装置25(端末B)は、その回答内容を囲碁対局サービスサーバ10に送信する(ステップC10)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置25(端末B)から得られた回答を、質問要求を行ったゲーム装置22(端末A)に対して送信する(ステップC11)。
【0095】
このようにして、対局を行っているゲーム装置23(端末P1)、ゲーム装置24(端末P2)とは別のゲーム装置25(端末B)において対局の解説を行なって、解説内容を対局に影響を与えることなく対局観戦を行っているゲーム装置22(端末A)に対して送信することができる。
【0096】
また、ゲーム装置22(端末A)では、質問がある場合には囲碁対局サービスサーバ10に対して質問を送信することにより、この質問に対する解説者からの回答を得ることができる。従って、自宅にいながらあたかも大盤解説会に参加している場合と同様のサービスを受けることができる。
【0097】
以上の説明では、リアルタイムで実行されている対局の様子を鑑賞する場合を対象としているが、次に、過去に行われた対局について記録されている対局棋譜データをもとに対局鑑賞を行なう場合について説明する。図15は、対局鑑賞の対象とする対局をゲーム装置22において検索する処理手順を示すフローチャート、図16はゲーム装置による棋譜検索に対応する囲碁対局サービスサーバ10の処理手順を示すフローチャートである。
【0098】
なお、囲碁対局サービスサーバ10には、データベース装置36に図5(c)に示すようにして棋譜データ36cが記憶されている。すなわち、対局が行われている間には対局中棋譜データ36dとして着手データに応じて順次記憶されていた対局棋譜データが、対局終了後に棋譜データ36cとして対局が行われた日時のデータが付加された上でデータベース装置36に記憶される。
【0099】
また、対局棋譜データに対しては、囲碁対局サービスサーバ10の管理者、あるいはデータベース装置36に対して外部からアクセス権限が与えられた解説者(解説者が利用する端末)によって、対局の中で勝負所(要所(勝敗に影響を与える手など))となった手番が勝負所データとして設定される。
【0100】
また、対局者が対局中に所定の操作を行なうことによって、その時の手番を着手データによって囲碁対局サービスサーバ10に通知し、棋譜データ36cの対局棋譜データに対する付加データとして記憶させることもできる。この場合、対局が終了した後に対局中棋譜データが棋譜データ36cとして記憶される際に、付加データとして記憶された手番を示すデータを勝負所データとして記憶しておく。これにより、対局者本人が自分の対局を鑑賞する際に、所定の操作を行なった時の手番の盤面を意図的に表示させることができる。
【0101】
なお、勝負所データとしては、一つの対局に対して複数の手番を設定することができる。また、勝敗に影響を与える手だけでなく、対局鑑賞を行なう上で学習に有効な興味深い手を勝負所データとして設定するようにしても良い。
【0102】
まず、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10のデータベース装置36に登録されている対局(棋譜データ)の鑑賞がタッチパネル44に対する操作によって要求されると、通信回線網14を介して囲碁対局サービスサーバ10に対して対局鑑賞要求を送信する。
【0103】
囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22からの鑑賞要求を受信すると(図16、ステップE1,E2)、棋譜データ36cに登録されている過去に行われた対局をもとに対局リストを生成し、ゲーム装置22に送信する(ステップE3)。例えば、囲碁対局サービスサーバ10は、棋譜データ36cの対局者(1)(2)に登録された氏名と、各氏名をもとに会員リスト36aから検索される会員の情報(例えば段級)とを対応付けた対局リストを生成する。
【0104】
一方、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から対局リストを受信すると、この対局リストをLCD50において表示させる(図15、ステップD1)。なお、対局鑑賞用の対局リストは、例えば図9に示す対局観戦用の対局リスト中から手番の表示が省略された形式であるものとして詳細な説明を省略する。
【0105】
ここで、対局リスト中のある対局者間の対局が指定され(ペンによる指示によって任意に指定できるものとする)、「選択」キーが指示された場合には、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して、該当する対局の対局指定を送信する(ステップD2)。
【0106】
囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22から対局指定を受信すると(ステップE4)、棋譜データ36cに記憶されている指定された対局の棋譜データをゲーム装置22に送信する(ステップE5)。ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から棋譜データを受信すると、この棋譜データ(対局棋譜データ)をSRAM46に記憶させる。
【0107】
図17には対局鑑賞用の盤面が表示されたLCD表示画面の一例(対局鑑賞の途中の盤面表示の例)を示している。図17に示すように、対局鑑賞用のLCD表示画面には、盤面表示用の領域と、キー入力部が設けられている。キー入力部には、着手を一手ごとに進めるための「一手進」キー、着手を一手ごとに戻すための「一手戻」キー、対局中の勝負所となる盤面を表示させるための「勝負所」キー、対局途中から打ち継ぎを行なうための「打継」キー、対局途中から棋譜データに影響を与えないようにして試打を行なうための「試打」キー、次の着手を予想する棋譜当てゲームを行なうための「棋譜当て」キーの他、特別な操作を行なうことなく着手を一定時間毎に自動的に進めるようにする「自動送」キー、対局鑑賞を終了させるための「終了」キーが設けられている。なお、初期状態の対局鑑賞用の盤面表示は、全く着手が行われていない状態(石のパターンが表示されていない状態)で表示されるものとする。
【0108】
以下、キー入力部に設けられたキーに対する操作によって対局を進めて盤面表示、すなわち対局鑑賞を行なうことができる(ステップD4)。なお、対局鑑賞行なう場合のゲーム装置22における処理については後述する(図18)。
【0109】
一方、対局リストにおいて「縮小盤面」キーが指示された場合、ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10に対して、縮小盤面表示の要求を送信する(ステップD5)。囲碁対局サービスサーバ10は、ゲーム装置22から縮小盤面表示が要求されると(図16、ステップE6)、データベース装置36の棋譜データ36cに記憶されている所定の複数の対局のデータをゲーム装置22に送信する(ステップE7)。
【0110】
ゲーム装置22は、囲碁対局サービスサーバ10から複数の対局の棋譜データを受信すると、この棋譜データ(対局棋譜データ)をSRAM46に記憶させると共に、各対局の対局棋譜データをもとにしてLCD50において複数の対局中の盤面を表示させる(ステップD6)。なお、対局鑑賞用の縮小盤面表示は、図11に示す対局観戦用の縮小盤面表示と同じようにして表示されるものとして説明を省略する。ただし、初期状態の全く着手が行われていない状態で表示させても、鑑賞対象とする対局を選択する際の参考とならないため、対局棋譜データに付加された勝負所データ(例えば、最も小さい手番を示すデータを用いる)が示す盤面を表示させるものとする。
【0111】
こうして、複数の盤面を同時に表示させることで、対局リストでは対局者だけしかわからなかったものが、対局内容が一目瞭然に確認することができるので、鑑賞の対象とする対局を容易に選択することができる。
【0112】
なお、縮小盤面表示されている4つの対局以外の対局を選択したい場合には、「次頁」キーあるいは「前頁」キーを指示することで、他の対局についての盤面を縮小表示させることができる。ゲーム装置22は、「次頁」キーあるいは「前頁」キーに対する指示に応じて、囲碁対局サービスサーバ10に縮小盤面要求を送信することで、他の所定の複数の対局について棋譜データを取得して、他の対局の縮小盤面を表示する。
【0113】
このようにして、対局鑑賞の対象とする対局の選択を行なう場合、対局の対局者が表示された対局リストを用いるだけでなく、縮小盤面によって同時に複数を表示させて確認した上で選択することができる。
【0114】
こうして、縮小盤面表示されている中で対局鑑賞の対象とする対局の盤面が指定された場合(ステップD7)、ゲーム装置22は、指定された盤面を拡大表示して、図17に示す対局鑑賞用の盤面を表示させる(ステップD8)。
【0115】
以下、指定された対局の棋譜データ(対局棋譜データ46f、勝負所データ46mを含む)をSRAM46に記憶させて、この対局棋譜データをもとにして、キー入力部に設けられたキーに対する操作によって対局を進めて盤面表示、すなわち対局鑑賞を行なうことができる(ステップD9)。
【0116】
次に、ゲーム装置22で実行される対局鑑賞の処理について説明する。図18は、対局鑑賞を行なう場合のゲーム装置における処理を示すフローチャートである。
【0117】
図17に示す対局鑑賞用の画面が表示されている時に「一手進」キーが指示された場合(ステップF1)、ゲーム装置22は、SRAM46に記憶させた対局棋譜データをもとにして、次の着手に該当する石のパターンを所定の位置に表示させる(ステップF2)。また「一手戻」キーが指示された場合(ステップF3)、最後に表示させた着手の石のパターンを消去させる(ステップF4)。従って、「一手進」キー、「一手戻」キーへの操作によって利用者が任意に対局を進行させる、あるいは局面を戻して再度対局の状況を見ることができる。なお、「一手進」キー、「一手戻」キーがペンなどによって押され続けている場合には、その間、高速に次の着手に応じた石のパターンを連続的に表示させるものとする。
【0118】
また、「勝負所」キーが指示された場合(ステップF5)、ゲーム装置22は、SRAM46の勝負所データ46mを参照して、勝負所を示す手番における盤面を対局棋譜データ46fをもとにして表示する。勝負所データとしては、複数の手番を設定しておくことができるので、「勝負所」キーが指示されることによって、順次、次の勝負所の盤面に表示を切り換えることができる。これにより、最初から順に着手を進める必要がなく対局鑑賞において参考になる(おもしろい)盤面について集中して鑑賞することができる。
【0119】
こうして、各キー操作によって任意に表示させた対局鑑賞用の盤面に対しては、その盤面途中から「試打」キーに対する指示により試打を行なうことができる。
【0120】
例えば、対局鑑賞中のある局面で、棋譜の実際の手順以外の別の手を打った時にどのような変化になるのか、考えてみようと思ったとする。このような場合、変化が難解であったりすれぱ頭の中では到底読み切れず、実際に石を並べてみたいという要求があり、こうした場合に元の棋譜データに影響を与えることなく試し打ちを行なうことができる。
【0121】
「試打」キーが指示されると(ステップF9)、ゲーム装置22は、試打モードに入り、現在鑑賞している棋譜の何手目で試し打ちに入ったか、また現在の盤面とアゲハマなどの現在の状況を記憶しておく。さらに現在鑑賞している棋譜のデータを保持している棋譜バッファ(対局棋譜データ46f)とは別に、試し打ちの棋譜専用の棋譜バッファ(試打棋譜データ46j)をSRAM46に用意する。
【0122】
試し打ちモードでは、対局鑑賞中の途中局面から任意に着手することができ、また「一手進」キーや「一手戻」キーに対する操作によって手を戻して別の着手を考えたりすることができる(ステップF10)。この場合、元の対局鑑賞の対象としていた棋譜データに対しては変更を加えず、新たに用意した試し打ち用の棋譜バッファに試打棋譜データ46jとして記憶しておく。
【0123】
こうして試し打ちによって十分検討し終わったなら、試し打ち終了が指示される。ゲーム装置22は、試打モードに移行した際に記憶した対局鑑賞時の状況(現在の盤面、アゲハマなど)を再現し、対局鑑賞に戻れるようにする。
【0124】
このようにして、「試打」キーの操作によって実行される試打では、着手によって入力されるデータが試打モードデータとしてSRAM46に試打棋譜データ46hとして記憶され、試打が終了した後は元の対局棋譜データ46fにもとづく盤面を表示させることができるので、元の対局についての対局棋譜データに影響を与えることなく試し打ちを行なうことができる。
【0125】
また、対局鑑賞を行っている間に「棋譜当て」キーが押された場合(ステップF7)、ゲーム装置22は、棋譜当てゲームを実行する棋譜当てモードに移行する。すなわち、棋譜当てゲームでは、予想された次の着手について、正解であるか否かの判定と、その結果報知が行われる(ステップF8)。
【0126】
図19はゲーム装置において対局鑑賞中に実行できる棋譜当てゲームの処理を示すフローチャートである。
【0127】
対局鑑賞を行っている間に「棋譜当て」キーの操作によって棋譜当てゲームの実行が指示されると、ゲーム装置22は、通常の棋譜鑑賞と違って、次の着手をすぐには表示せずに、次の着手を予想して入力するよう要求する(ステップG1)。この要求に対して次の着手位置が予想されて盤面表示に対して指示されると、ゲーム装置22は、この指示された位置の着手データを棋譜当てデータ46kとしてSRAM46に記憶させる(ステップG2)。
【0128】
また、ゲーム装置22は、対局棋譜データ46fに記憶されている実戦における次の着手と棋譜当てデータ46kに記憶されている予想された着手とを比較して、両方の着手が同じであるか否か、すなわち正解であるか否かを判別する(ステップG3)。ここで、正解であった場合には、ゲーム装置22は、正解であった次の着手を盤面表示中に表示させる(ステップG5)。
【0129】
一方、予想した着手が間違っていた場合は、ゲーム装置22は、再度、予想する着手を入力するように要求する(ステップG1)。また、次の着手が予想できず降参であることが指示された場合には、ゲーム装置22は、次の手を表示して先へ進めるようにする。
【0130】
なお、予想した着手が間違っていた場合には、正解するまで繰り返し予想する着手を入力させて先へ進めないようにしたり、あるいは一回または予め決められた所定回数間違えた場合に自動的に正解である次の着手を表示して先へ進むようにしても良い。
【0131】
このようにして、棋譜当てゲームを行なうことによって次の手を一手一手考えて行くという課程を実現できるので、漠然とただ着手された位置が表示される盤面を見ているだけの棋譜鑑賞よりも、より主体的に、自分の頭を使って各個人なりに次の手を予想していくことになる。従って、同じ一局を鑑賞していても、単に棋譜鑑賞する場合よりも学習効果が非常に高くなる。特に、棋譜当てゲームを行なう場合には、プロ同士の対局など強い人の棋譜を用いると効果的である。
【0132】
なお、前述した説明においては、囲碁対局サービスサーバ10と通信回線網14とを介して接続されたゲーム装置間で囲碁ゲームを行なう場合について説明しているが、将棋、チェスをはじめとする、2者の間で交互にデータを進行させるためのデータを入力させる他のゲームにおいても本発明を適用することが可能である。
【0133】
また、ゲームを行なうための囲碁ゲーム専用端末であるゲーム装置22,23,24,25を対象として主に説明しているが、パーソナルコンピュータ18に前述したゲーム装置の機能を実現するプログラムを実行させることで、パーソナルコンピュータ18をゲーム装置として使用することも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を介して接続される装置間で対局ゲームを行なわせるサーバ装置において、
装置間で行われた対局ゲームを含む、複数の対局ゲームの内容を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された対局ゲームの内容に対して、要所となるゲーム途中の位置を示す情報を付加する要所位置付加手段と、
前記記憶手段に記憶された該当する対局ゲームの内容を、前記要所位置付加手段によって付加された情報を含めて、対局ゲームの内容の鑑賞を要求してきた装置に対して送信するゲーム内容送信手段とを具備したことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
通信手段を介して接続された他の装置との間でサーバ装置を介在させて対局ゲームを行なうゲーム装置において、
前記サーバ装置に対して、前記サーバ装置に記憶された複数の対局ゲーム中の特定の対局ゲームの鑑賞を要求する鑑賞要求手段と、
前記鑑賞要求手段によって鑑賞を要求した特定の対局ゲームの内容を、この対局ゲームの内容に対して付加された要所となるゲーム途中の位置を示す情報と共に前記サーバ装置から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された対局ゲームの内容に対する進行を制御する指示を入力する入力手段と、
前記受信手段によって受信された対局ゲームの内容に基づいて、前記入力手段によって入力された指示に応じたゲーム状況を表示させる表示手段と、
前記入力手段によって要所となるゲーム途中の位置の表示が指示された場合に、対局ゲームの内容に対して付加された要所の位置を示す情報に従って、該当する位置のゲーム状況を前記表示手段によって表示させる表示制御手段と、
を具備したことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
前記入力手段によって進行を次に進める指示が入力された場合のゲーム状況の予想を入力させる予想入力手段と、
前記予想入力手段によって入力された予想されるゲーム状況が、前記入力手段によって進行を次に進める指示が入力された場合のゲーム状況と同じであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によってゲーム状況が同じであると判定された場合には、前記入力手段によって進行を次に進める指示に応じたゲーム状況を前記表示手段によって表示させ、ゲーム状況が同じではないと判定された場合には、再度、前記予想入力手段によってゲーム状況の予想を入力させる制御手段と
を具備したことを特徴とする請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記表示手段によって表示されたゲーム状況から対局ゲームを進行させるためのデータを入力する進行データ入力手段と、
前記進行データ入力手段によって入力されたデータに応じて、対局ゲームを進行させる対局ゲーム手段と、
前記対局ゲーム手段によって進行された対局ゲームのゲーム状況を、前記進行データ入力手段によってデータが入力される前のゲーム状況に戻して、前記表示手段によって表示させる再現手段とを具備したことを特徴とする請求項3記載のゲーム装置。
【請求項1】
通信手段を介して接続される装置間で対局ゲームを行なわせるサーバ装置において、
装置間で行われた対局ゲームを含む、複数の対局ゲームの内容を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された対局ゲームの内容に対して、要所となるゲーム途中の位置を示す情報を付加する要所位置付加手段と、
前記記憶手段に記憶された該当する対局ゲームの内容を、前記要所位置付加手段によって付加された情報を含めて、対局ゲームの内容の鑑賞を要求してきた装置に対して送信するゲーム内容送信手段とを具備したことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
通信手段を介して接続された他の装置との間でサーバ装置を介在させて対局ゲームを行なうゲーム装置において、
前記サーバ装置に対して、前記サーバ装置に記憶された複数の対局ゲーム中の特定の対局ゲームの鑑賞を要求する鑑賞要求手段と、
前記鑑賞要求手段によって鑑賞を要求した特定の対局ゲームの内容を、この対局ゲームの内容に対して付加された要所となるゲーム途中の位置を示す情報と共に前記サーバ装置から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された対局ゲームの内容に対する進行を制御する指示を入力する入力手段と、
前記受信手段によって受信された対局ゲームの内容に基づいて、前記入力手段によって入力された指示に応じたゲーム状況を表示させる表示手段と、
前記入力手段によって要所となるゲーム途中の位置の表示が指示された場合に、対局ゲームの内容に対して付加された要所の位置を示す情報に従って、該当する位置のゲーム状況を前記表示手段によって表示させる表示制御手段と、
を具備したことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
前記入力手段によって進行を次に進める指示が入力された場合のゲーム状況の予想を入力させる予想入力手段と、
前記予想入力手段によって入力された予想されるゲーム状況が、前記入力手段によって進行を次に進める指示が入力された場合のゲーム状況と同じであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によってゲーム状況が同じであると判定された場合には、前記入力手段によって進行を次に進める指示に応じたゲーム状況を前記表示手段によって表示させ、ゲーム状況が同じではないと判定された場合には、再度、前記予想入力手段によってゲーム状況の予想を入力させる制御手段と
を具備したことを特徴とする請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記表示手段によって表示されたゲーム状況から対局ゲームを進行させるためのデータを入力する進行データ入力手段と、
前記進行データ入力手段によって入力されたデータに応じて、対局ゲームを進行させる対局ゲーム手段と、
前記対局ゲーム手段によって進行された対局ゲームのゲーム状況を、前記進行データ入力手段によってデータが入力される前のゲーム状況に戻して、前記表示手段によって表示させる再現手段とを具備したことを特徴とする請求項3記載のゲーム装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−279426(P2009−279426A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172776(P2009−172776)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【分割の表示】特願2008−10641(P2008−10641)の分割
【原出願日】平成11年7月23日(1999.7.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【分割の表示】特願2008−10641(P2008−10641)の分割
【原出願日】平成11年7月23日(1999.7.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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