説明

ゲーム装置、検証方法、および、プログラム

【課題】対局ゲームにおいて、自由に手筋を検証することのできるゲーム装置等を提供する。
【解決手段】対局用画面生成部106は、棋譜記憶部102に記憶される対局棋譜102aに基づいて対局用画面を生成する。生成された対局用画面は、表示制御部108により、第1及び第2の表示部に表示される。操作受付部103は、第1及び第2のタッチパネルを介して、何れかの対局用画面に対する観戦者からの検証手を受け付ける。検証棋譜生成部104は、受け付けたこの検証手に基づいて検証棋譜102bを生成し、また、検証用画面生成部107は、この検証棋譜102bに基づいて検証用画面を生成する。生成された検証用画面は、表示制御部108により、検証手を受け付けた方の表示部に表示される。そして、処理制御部105は、対局用画面生成部106を制御し、対局用画面の更新を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対局ゲームにおいて、自由に手筋を検証することのできるゲーム装置、検証方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、将棋、囲碁、チェス、オセロ、麻雀等に代表される対局ゲームを行うことのできるゲーム装置(ビデオゲーム装置等)が、広く普及している。このようなゲーム装置は、プレイヤがコンピュータと対局(対戦)したり、他のプレイヤと対局することができるようになっている。
例えば、最近の携帯型のゲーム装置では、無線通信機能が付加されており、同じ対局ゲームをプレイする近傍のプレイヤ(ゲーム装置)との間で、対局が行えるようになっている。また、無線通信のアクセスポイント等を経由すると、インターネットを通じて、遠隔地のプレイヤとも対局できるようになっている。
【0003】
このような対局ゲームの一例として、将棋ゲームが投了した後に、その対局を振り返る感想戦を行うことのできるゲーム装置(ゲームシステム)も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−215623号公報 (第16頁、第13図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した感想戦を行えるゲーム装置では、文字通り、対局を振り返るべく、過去の差し手について検証することができる。
しかしながら、このような感想戦だけに限らずに、ゲーム途中(対局中等)で手筋(その局面において適した手)の検証を行いたいというプレイヤも多かった。
例えば、対局の流れの中で、現在の差し手から分岐する幾つかの手筋が考えられる状況において、それぞれの手筋を検証することができたならば、最も有利と思われる手筋を合理的に決定できるため、ゲーム途中においてもそのような手筋の検証が望まれていた。なお、上級者であれば、このような手筋の検証を、頭の中でそれぞれ行うことも可能であるが、子供や初心者の多くは、実際に手筋が反映された画面を見ながらでないと、その手筋の検証が困難であった。
【0006】
そのため、対局ゲームにおいて、感想戦に限られず、自由に手筋を検証することのできるゲーム装置の開発が求められていた。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、対局ゲームにおいて、自由に手筋を検証することのできるゲーム装置、検証方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係るゲーム装置は、少なくとも第1及び第2の表示部を有し、例えば、プレイヤがプレイし、若しくは、観戦する対局ゲームが実行されるゲーム装置であって、操作受付部、検証用画面生成部、及び、表示制御部を備えて構成される。
【0009】
まず、操作受付部は、第1及び第2の表示部の何れの指定と、ゲーム中の差し手から分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける。また、検証用画面生成部は、受け付けた当該入力操作に基づいて、当該検証手による手筋の検証を進めるための検証用画面を生成する。そして、表示制御部は、生成された当該検証用画面を、当該入力操作にて指定された表示部に表示する。
また、操作受付部は、当該検証用画面が第1及び第2の表示部の何れかに表示されている状態で、当該検証用画面を表示する表示部の指定と、検証中の検証手から更に分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける。そして、表示制御部は、当該検証用画面を表示する表示部の指定を伴う入力操作に応答し、当該分岐する直前の検証手の検証用画面を、当該入力操作にて指定されなかった表示部に反映させると共に、当該入力操作に基づいた検証用画面を、当該入力操作にて指定された表示部に反映させて表示する。
すなわち、対局ゲームの途中で何れの表示部からでも検証手を入力でき、その入力のあった表示部を検証用画面に移行して、検証手による手筋の検証を進めることができる。更に、検証中の検証手から更に分岐する検証手についても検証することができ、その際に、分岐直前の検証用画面が、他方の表示部に保持されるため、分岐前の検証手と見比べながら更に分岐する検証手による手筋の検証を進めることができる。
この結果、対局ゲームにおいて、自由に手筋を検証することができる。
【0010】
上記ゲーム装置は、ゲームの進行に伴って更新される対局用画面を生成する対局用画面生成部を更に備え、
表示制御部は、当該対局用画面だけが生成されている状態で、第1及び第2の表示部の少なくとも一方に当該対局用画面を表示し、当該検証用画面が生成された際に、当該入力操作にて指定された表示部に当該検証用画面を表示してもよい。
この場合、第1及び第2の表示部の何れかに表示される対局用画面を任意に指定して、そこから分岐する差し手の検証を進めることができる。
【0011】
本発明の第2の観点に係るゲーム装置は、少なくとも第1及び第2の表示部を有し、他のゲーム装置と通信可能に接続され、例えば、プレイヤがプレイし、若しくは、観戦する対局ゲームが実行されるゲーム装置であって、対局用画面生成部、操作受付部、検証用画面生成部、及び、表示制御部を備えて構成される。
【0012】
まず、対局用画面生成部は、他のゲーム装置との間で送受信される情報に基づいて、ゲーム中の差し手を含む対局用画面を生成する。また、操作受付部は、第1及び第2の表示部の何れかの指定と、ゲーム中の差し手から分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける。検証用画面生成部は、受け付けた当該入力操作に基づいて、当該検証手による手筋の検証を進めるための検証用画面を生成する。そして、表示制御部は、当該対局用画面だけが生成されている状態で、第1及び第2の表示部の少なくとも一方に当該対局用画面を表示し、当該検証用画面が生成された際に、当該入力操作にて指定された表示部に当該検証用画面を表示する。
また、操作受付部は、当該検証用画面が第1及び第2の表示部の何れかに表示されている状態で、当該検証用画面を表示する表示部の指定と、検証中の検証手から更に分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける。そして、表示制御部は、当該検証用画面を表示する表示部の指定を伴う入力操作に応答し、当該分岐する直前の検証手の検証用画面を、当該入力操作にて指定されなかった表示部に反映させると共に、当該入力操作に基づいた検証用画面を、当該入力操作にて指定された表示部に反映させて表示する。
すなわち、対局ゲームの途中で何れの対局用画面からでも検証手を入力でき、その入力のあった画面を検証用画面に移行して、検証手による手筋の検証を進めることができる。更に、検証中の検証手から更に分岐する検証手についても検証することができ、その際に、分岐直前の検証用画面が、他方の表示部に保持されるため、分岐前の検証手と見比べながら更に分岐する検証手による手筋の検証を進めることができる。
この結果、対局ゲームにおいて、自由に手筋を検証することができる。
【0013】
上記ゲーム装置は、検証用画面生成部により生成された検証用画面が第1及び第2の表示部の何れかに表示された状態から、当該検証用画面を分岐直前の検証用画面、若しくは、検証前の対局用画面に復元する表示復元部を更に備えてもよい。
この場合、現在の検証を終えると、分岐前の検証用画面若しくは検証前の対局用画面に戻り、別の検証等を再度行うことができる。
【0014】
上記ゲーム装置は、表示復元部により検証用画面から対局用画面に復元されると、対局用画面生成部を制御し、対局用画面の更新を再開させる更新再開部を更に備えてもよい。
この場合、検証を終え、対局の表示を再開させることができる。
【0015】
本発明の第3の観点に係る検証方法は、少なくとも第1及び第2の表示部、画像生成部、操作部、及び、演算処理部を有し、所定の対局ゲームを実行するゲーム装置における検証方法であって、操作受付ステップ、検証用画面生成ステップ、及び、表示制御ステップを備えて構成される。
【0016】
まず、操作受付ステップでは、第1及び第2の表示部の何れかの指定と、ゲーム中の差し手から分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける。また、検証用画面生成ステップでは、受け付けた当該入力操作に基づいて、当該検証手による手筋の検証を進めるための検証用画面を生成する。そして、表示制御ステップでは、生成された当該検証用画面を、当該入力操作にて指定された表示部に表示する。
また、操作受付ステップでは、当該検証用画面が第1及び第2の表示部の何れかに表示されている状態で、当該検証用画面を表示する表示部の指定と、検証中の検証手から更に分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける。そして、表示制御ステップでは、当該検証用画面を表示する表示部の指定を伴う入力操作に応答し、当該分岐する直前の検証手の検証用画面を、当該入力操作にて指定されなかった表示部に反映させると共に、当該入力操作に基づいた検証用画面を、当該入力操作にて指定された表示部に反映させて表示する。
すなわち、対局ゲームの途中で何れの表示部からでも検証手を入力でき、その入力のあった表示部を検証用画面に移行して、検証手による手筋の検証を進めることができる。更に、検証中の検証手から更に分岐する検証手についても検証することができ、その際に、分岐直前の検証用画面が、他方の表示部に保持されるため、分岐前の検証手と見比べながら更に分岐する検証手による手筋の検証を進めることができる。
この結果、対局ゲームにおいて、自由に手筋を検証することができる。
【0017】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、第1及び第2の表示部を有し、所定の対局ゲームが実行されるコンピュータ(電子機器を含む。)を、上記のゲーム装置として機能させるように構成する。
【0018】
このプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録することができる。
【0019】
上記プログラムは、当該プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記録媒体は、当該コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、対局ゲームにおいて、自由に手筋を検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態のゲーム装置の外観を示す模式図である。
【図2】本実施形態のゲーム装置のハードウェア構成を示す模式図である。
【図3】本実施形態に係るゲーム装置の概要構成を説明するためのブロック図である。
【図4】(a)が対局棋譜の一例を示す模式図であり、(b),(c)が検証棋譜の一例を示す模式図である。
【図5】(a)が対局用画面の一例を示す模式図であり、(b)が検証用画面の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係る検証処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】(a),(b)共に、各表示部に表示される画面が変化する様子を説明するための模式図である。
【図8】他の実施形態に係るゲーム装置の概要構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、携帯型ゲーム機(ゲーム装置)に本発明が適用される実施形態を説明するが、各種のコンピュータ、PDA、携帯電話などの情報処理装置においても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に記載する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置1の外観を示す模式図である。このゲーム装置1は、一例として、携帯型ゲーム機であって、図示するように、第1の表示部18と、第2の表示部19とを有しており、それぞれに、所定の画像が表示可能となっている。なお、第1の表示部18の前面には第1のタッチパネル20が配置され、また、第2の表示部19の前面には第2のタッチパネル21が配置されている。
【0024】
図2は、このゲーム装置1のハードウェア構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0025】
ゲーム装置1は、処理制御部10と、コネクタ11と、カートリッジ12と、無線通信部13と、通信コントローラ14と、サウンドアンプ15と、スピーカ16と、操作キー17と、第1の表示部18と、第2の表示部19と、第1のタッチパネル20と、第2のタッチパネル21とを備える。
【0026】
処理制御部10は、CPU(Central Processing Unit)コア10aと、画像処理部10bと、VRAM(Video Random Access Memory)10cと、WRAM(Work RAM)10dと、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ10eと、タッチパネルコントローラ10fと、を備える。
【0027】
CPUコア10aは、ゲーム装置1全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。具体的には、カートリッジ12がコネクタ11に装着された状態で、カートリッジ12内のROM(Read Only Memory)12aに記憶されたプログラムやデータを読み出して、所定の処理を実行する。
【0028】
画像処理部10bは、カートリッジ12内のROM 12aから読み出されたデータや、CPUコア10aにて処理されたデータを加工処理した後、これをVRAM 10cに格納する。
【0029】
VRAM 10cは、表示用の情報を記憶するメモリであり、画像処理部10b等により加工された画像情報を記憶する。
WRAM 10dは、CPUコア10aがプログラムに従った各種処理を実行する際に必要となるワークデータ等を記憶する。
【0030】
LCDコントローラ10eは、第1及び第2の表示部18,19を制御し、所定の画像を表示させる。例えば、LCDコントローラ10eは、VRAM 10cに記憶された画像情報を、所定の同期タイミングで表示信号に変換し、第1及び第2の表示部18,19に出力する。
なお、LCDコントローラ10eは、異なる画像を第1及び第2の表示部18,19に別々に表示することができ、また、同じ画像を第1及び第2の表示部18,19にそれぞれ表示することもできる。
【0031】
タッチパネルコントローラ10fは、タッチペンやプレイヤの指によって、第1及び第2のタッチパネル20,21が押下されると、その押下位置を示す座標の情報を取得する。
例えば、タッチパネルコントローラ10fは、第1のタッチパネル20が押下されると、その押下位置に対応する第1の表示部18の座標を取得し、また、第2のタッチパネル21が押下されると、その押下位置に対応する第2の表示部19の座標を取得する。
【0032】
コネクタ11は、カートリッジ12と脱着自在に接続可能な端子であり、カートリッジ12が接続された際に、カートリッジ12との間で所定のデータを送受信する。
【0033】
カートリッジ12は、ROM 12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、を備える。
ROM 12aには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データ等が記録される。
RAM 12bには、ゲームの進行状況等を示す種々のデータが記憶される。
【0034】
無線通信部13は、他のゲーム装置1の無線通信部13との間で、無線通信を行うユニットであり、図示せぬアンテナ(内蔵アンテナ等)を介して所定のデータを送受信する。
なお、無線通信部13は、所定の無線アクセスポイントとの間で、無線通信を行うこともできる。また、無線通信部13には、固有のMAC(Media Access Control)アドレスが採番されている。
【0035】
通信コントローラ14は、無線通信部13を制御し、所定のプロトコルに沿って、処理制御部10と他のゲーム装置1の処理制御部10との間で行われる無線通信の仲立ちをする。
また、ゲーム装置1が、近傍の無線アクセスポイント等を介してインターネットに接続する際には、無線LANに準拠したプロトコルに沿って、処理制御部10と無線アクセスポイント等との間で行われる無線通信の仲立ちをする。
【0036】
サウンドアンプ15は、処理制御部10にて生成された音声信号を増幅し、スピーカ16に供給する。
スピーカ16は、例えば、ステレオスピーカ等からなり、サウンドアンプ15にて増幅された音声信号に従って、所定の楽曲音や効果音等を出力する。
【0037】
操作キー17は、ゲーム装置1に適宜配置された複数のキースイッチ等からなり、ユーザの操作に従って、所定の指示入力を受け付ける。
【0038】
第1及び第2の表示部18,19は、LCD等からなり、LCDコントローラ10eに制御され、プレイするゲームの画像等を適宜表示する。
例えば、第1及び第2の表示部18,19は、それぞれ対局ゲームのゲーム画面を表示する。
【0039】
第1及び第2のタッチパネル20,21は、例えば、抵抗膜方式のタッチセンサパネル等からなり、タッチペンや指等による押圧(押下)を検知し、その検知位置に応じた情報(信号等)を出力する。
なお、第1のタッチパネル20は、第1の表示部18の前面に重畳して配置され、また、第2のタッチパネル21は、第2の表示部19の前面に重畳して配置されている。
【0040】
(ゲーム装置の概要構成)
以下、上述したハードウェア構成のゲーム装置1を、対局ゲームが実行されるゲーム装置100に置き換えて、本発明をより詳細に説明する。
なお、以下の説明において、ゲーム装置100は、対局ゲームの一例として、将棋ゲームが実行されるものであり、プレイヤがゲーム途中でも手筋(その局面において適した手)を検証することができる。また、ゲーム装置100は、他のプレイヤ(他の装置)との通信対局、装置内でのコンピュータ対局、及び、他のプレイヤ間(他の装置間)にて行われる対局の観戦等が可能となっている。
【0041】
図3は、本実施形態に係るゲーム装置100の概要構成を示す模式図である。このゲーム装置100は、一例として、他のプレイヤ間における将棋ゲームを観戦する際に、プレイヤ(観戦者)が手筋を検証することのできる装置である。以下、本図を参照して説明する。
【0042】
ゲーム装置100は、通信部101と、棋譜記憶部102と、操作受付部103と、検証棋譜生成部104と、処理制御部105と、対局用画面生成部106と、検証用画面生成部107と、表示制御部108とを備える。
【0043】
通信部101は、処理制御部105に制御され、他の装置との間で通信を行う。
例えば、通信部101は、将棋ゲームを管理するサーバと、所定のアクセスポイントを介して接続し、他のプレイヤ間で行われる将棋ゲームの棋譜情報(対局棋譜)を受信する。つまり、観戦者(ゲーム装置100を操作するプレイヤ)が観戦している将棋ゲームの対局棋譜を順次受信する。
なお、上述した通信コントローラ14等がこのような通信部101として機能しうる。
【0044】
棋譜記憶部102は、対局棋譜102aや、検証棋譜102b等の棋譜情報を記憶する。
対局棋譜102aは、上述した通信部101がサーバ等から受信する棋譜情報であり、一例として図4(a)に示すように、観戦している将棋ゲームにおける各プレイヤの差し手の手順を示している。この対局棋譜102aは、その将棋ゲームの進行に応じて、順次送られて蓄積される。
一方、検証棋譜102bは、後述する検証棋譜生成部104により生成される棋譜情報であり、一例として図4(b)に示すように、ゲーム中の差し手から分岐する検証手の手順を示している。この検証棋譜102bには、例えば、分岐元となる対局棋譜の箇所(分岐元手数)も含まれている。
また、後述するように、検証中の検証手から更に分岐する検証手を検証する場合の検証棋譜102bは、一例として図4(c)に示すように、分岐元となる検証棋譜の箇所を示すものとする。
そして、これらのような検証棋譜102bは、観戦者による検証が進む(検証手が次々に入力される)につれ、順次生成されて蓄積される。
なお、上述したWRAM 10dがこのような棋譜記憶部102として機能しうる。
【0045】
図3に戻って、操作受付部103は、上述した第1及び第2のタッチパネル20,21等から得られる情報に応じて、観戦者の操作を受け付ける。
例えば、第1及び第2の表示部18,19に後述する対局用画面(観戦している将棋ゲームの対局内容を表示する画面)が表示されている状態で、第1のタッチパネル20から対局用画面に対する駒の移動等が指示された場合に、操作受付部103は、差し手から分岐する検証手として受け付ける。
また、第2の表示部19に後述する検証用画面(検証手による手筋を検証するための画面)が表示されている状態で、第2のタッチパネル21から検証用画面に対する駒の移動等が指示された場合に、操作受付部103は、次に入力された検証手として受け付ける。
なお、上述したタッチパネルコントローラ10fが、このような操作受付部103として機能しうる。
【0046】
検証棋譜生成部104は、操作受付部103が、観戦者から検証手を受け付けた際に、この検証手の手順を示す検証棋譜を生成する。
つまり、検証棋譜生成部104は、上述した図4(b),(c)に示すような検証棋譜102bを順次生成する。
なお、上述したCPUコア10aが、このような検証棋譜生成部104として機能しうる。
【0047】
処理制御部105は、ゲーム装置100全体を制御する。
例えば、処理制御部105は、通信部101を制御して将棋ゲームの棋譜情報(対局棋譜)を順次取得させ、また、観戦者による検証手を操作受付部103にて受け付けると検証棋譜生成部104を制御して、検証用の棋譜情報(検証棋譜)を生成させる。
また、処理制御部105は、対局用画面生成部106及び検証用画面生成部107を制御して、対局用画面や検証用画面を生成させ、また、表示制御部108を制御してこれら生成された画面を第1及び第2の表示部18,19に適宜表示させる。
なお、上述したCPUコア10aが、このような処理制御部105として機能しうる。
【0048】
対局用画面生成部106は、棋譜記憶部102に記憶された対局棋譜102aに基づいて、対局用画面を生成する。
例えば、対局用画面生成部106は、図5(a)に示すような対局用画面を生成する。この対局用画面は、観戦する将棋ゲームの進行に伴い蓄積される対局棋譜102aに応じて、対局用画面生成部106により順次更新される。
なお、上述した画像処理部10bが、このような対局用画面生成部106として機能しうる。
【0049】
図3に戻って、検証用画面生成部107は、棋譜記憶部102に記憶された検証棋譜102bに基づいて、検証手による手筋を検証するための検証用画面を生成する。つまり、観戦者が、検証手による手筋を進めるための検証画面を生成する。
例えば、検証用画面生成部107は、図5(b)に示すような検証用画面を生成する。この検証用画面は、観戦者から検証手が入力されるに伴い蓄積される検証棋譜102bに応じて、検証用画面生成部107により順次更新される。
また、上述した図5(a)の対局用画面とは異なり、図5(b)の検証用画面には、ボタンBB,ボタンRB,ボタンMB,ボタンSB等が配置されている。
【0050】
ボタンBBは、検証中の検証手から、更に分岐を指示するためのボタンである。つまり、検証用画面にて検証している検証手から、更に分岐した別の検証手の検証を行いたい場合に押下されるボタンである。このボタンBBが押下されると、その時点での検証用画面が他方の表示部の画面に反映され、第1及び第2の表示部18,19に同じ検証用画面が表示される。そして、観戦者は、上記の対局用画面からの検証を始める場合と同様に、何れか一方の検証用画面に対して、分岐する別の検証手を入力し、その検証手による手筋の検証に移行することができるようになる。
【0051】
また、ボタンRBは、現在の検証を終え、対局の観戦に戻るためのボタンである。このボタンRBが押下されると、その検証用画面から対局用画面に復帰し、再び対局棋譜に応じて対局用画面が更新されるようになる。
【0052】
更に、ボタンMB,SBは、検証中の検証手の間を前後に移動するためのボタンである。つまり、検証棋譜102bに基づいて、ボタンMBが押下されると、検証手が1手戻り、逆に、ボタンSBが押下されると検証手が1手進んで検証用画面が更新される。
なお、上述した画像処理部10bが、このような検証用画面生成部107として機能しうる。
【0053】
図3に戻って、表示制御部108は、対局用画面生成部106により生成された対局用画面及び、検証用画面生成部107により生成された検証用画面を、第1及び第2の表示部18,19に適宜表示させる。
例えば、将棋ゲームを観戦中のままであれば(検証手が入力されていない状態であれば)、表示制御部108は、対局用画面生成部106により生成された対局用画面を、第1及び第2の表示部18,19にそれぞれ表示させる。なお、同じ対局用画面をそれぞれに表示する代わりに、例えば、通常は、一方の表示部(第1及び第2の表示部18,19のいずれかを指定可能)に対局用画面を表示させ、手筋の検証が要求された場合に、第1及び第2の表示部18,19の両方に対局用画面を表示するようにしてもよい。
一方、観戦者により手筋の検証が要求されると(検証手が入力されると)、表示制御部108は、検証用画面生成部107により生成された検証用画面を、検証手が入力された方の表示部(第1の表示部18又は、第2の表示部19)に表示させる。
なお、上述したLCDコントローラ10eが、このような表示制御部108として機能しうる。
【0054】
(ゲーム装置の動作)
このような構成からなるゲーム装置100の動作について、以下、図面を参照して説明する。
図6は、ゲーム装置100にて実行される検証処理の流れを示すフローチャートである。この検証処理は、ゲーム装置100が将棋ゲームを管理するサーバにアクセスし、所望の将棋ゲームの観戦を開始した後に実行される。
【0055】
まず、ゲーム装置100は、対局棋譜を受信したか否かを判別する(ステップS201)。
つまり、通信部101が、接続先のサーバから、新たな対局棋譜(観戦している対局における次の一手)を受信したか否かを判別する。
対局棋譜を受信していないと判別した場合に(ステップS201;No)、ゲーム装置100は、後述するステップS203に処理を進める。
【0056】
一方、ゲーム装置100は、対局棋譜を受信したと判別した場合に(ステップS201;Yes)、受信した対局棋譜を蓄積する(ステップS202)。
すなわち、棋譜記憶部102には、上述した図4(a)のような対局棋譜102aが順次蓄積される。
【0057】
ゲーム装置100は、検証中であるか否かを判別する(ステップS203)。つまり、観戦者から、検証のための検証手が入力され、少なくとも一方の表示部に検証用画面が表示されている状態であるかどうかを判別する。
検証中であると判別した場合に(ステップS203;Yes)、ゲーム装置100は、後述するステップS205に処理を進める。
【0058】
一方、ゲーム装置100は、検証中でないと判別した場合に(ステップS203;No)、対局棋譜に基づいて対局用画面を更新する(ステップS204)。
すなわち、対局用画面生成部106が、新たに蓄積された対局棋譜に基づいて対局用画面を更新し、また、表示制御部108が、更新された対局用画面を、第1及び第2の表示部18,19にそれぞれ表示させる。
【0059】
ゲーム装置100は、検証手の入力があったか否かを判別する(ステップS205)。
すなわち、操作受付部103が、観戦者からの検証手を受け付けたかどうかを判別する。
例えば、第1及び第2の表示部18,19にそれぞれ対局用画面が表示されている状態で、観戦者により第1のタッチパネル20が操作され、駒の移動等が指示された場合に、操作受付部103は、第1の表示部18の対局用画面における差し手から分岐する検証手として受け付ける。
また、既に検証用画面が第2の表示部19に表示されている状態で、観戦者により第2のタッチパネル21が操作され、駒の移動等が指示された場合も、操作受付部103は、第2の表示部19の検証用画面に対する次の検証手として受け付ける。
検証手の入力がないと判別した場合に(ステップS205;No)、ゲーム装置100は、後述するステップS207に処理を進める。
【0060】
一方、ゲーム装置100は、検証手の入力があったと判別した場合に(ステップS205;Yes)、対応する表示部において、検証用画面を表示し、若しくは、検証用画面を更新する(ステップS206)。
すなわち、検証棋譜生成部104が、受け付けた検証手に応じた検証棋譜を生成して棋譜記憶部102に蓄積させ、また、検証用画面生成部107が、新たに蓄積された対局棋譜に基づいて検証用画面を生成(更新)し、そして、表示制御部108が、生成された対局用画面を、検証手の入力があった方の表示部に表示する。
例えば、両画面に対局用画面が表示されている状態で、第1の表示部18に対して差し手が入力された場合に、表示制御部108は、その第1の表示部18の表示を対局用画面から検証用画面(検証手を反映させた検証用画面)に切り換える。
また、既に検証用画面が表示されている第2の表示部19に対して検証手が入力された場合に、表示制御部108は、その検証手を反映させて第2の表示部19の検証用画面を更新する。
なお、最初に検証手が入力され、一方の表示部が対局用画面から検証用画面に切り換わった際に、他方の表示部における対局用画面の更新は停止される。つまり、ゲーム中の差し手から分岐する検証手による手筋の検証が開始されると、その時点(分岐直前)における対局用画面が他方の表示部にてそのまま保持されるようになる。すなわち、手筋の検証を行う直前の状態(つまり、分岐前の差し手のままの対局用画面)が、他方の表示部に保持され、検証を進める観戦者が元の状態を把握できるようにしている。
【0061】
ゲーム装置100は、検証中において別の手筋の検証が要求されたか否かを判別する(ステップS207)。
例えば、上述した図5(b)に示すような検証用画面において、観戦者からボタンBBが押下された場合に、ゲーム装置100は、検証中の検証手から更に分岐する別の手筋の検証が要求されたと判別する。
別の検証が要求されていないと判別した場合に(ステップS207;No)、ゲーム装置100は、後述するステップS209に処理を進める。
【0062】
一方、ゲーム装置100は、別の検証が要求されたと判別した場合に(ステップS207;Yes)、他方の表示部に、検証用画面を反映させる(ステップS208)。
例えば、第2の表示部19に図5(b)のような検証用画面が表示されており、その状態でボタンBBが押下されると、表示制御部108は、その検証用画面を第1の表示部18にも反映し、第1及び第2の表示部18,19に同じ検証用画面を表示させる。
そして、観戦者は、上記の対局用画面からの検証を始める場合と同様に、何れか一方の検証用画面に対して検証手を入力し、検証している検証手から更に分岐する検証手による手筋の検証を始めることができるようになる。
なお、分岐する新たな検証用画面が何れか一方の表示部に表示されると、他方の表示における検証用画面の更新は停止される。つまり、新たな手筋の検証が開始されると、その時点(分岐直前)における検証用画面が他方の表示部にてそのまま保持されるようになる。すなわち、更に分岐する検証手による手筋の検証を行う直前の状態(つまり、分岐前の検証手のままの検証用画面)が他方の表示部に保持され、検証を進める観戦者が分岐前の状態を把握できるようにしている。
【0063】
ゲーム装置100は、検証の終了が要求されたか否かを判別する(ステップS209)。
例えば、上述した図5(b)に示すような検証用画面において、観戦者からボタンRBが押下された場合に、ゲーム装置100は、検証の終了が要求されたと判別する。
検証の終了が要求されていないと判別した場合に(ステップS209;No)、ゲーム装置100は、後述するステップS211に処理を進める。
【0064】
一方、ゲーム装置100は、検証の終了が要求されたと判別した場合に(ステップS209;Yes)、検証用画面を対局用画面に戻す(ステップS210)。
例えば、第2の表示部19に図5(b)のような検証用画面が表示されており、その状態でボタンRBが押下されると、表示制御部108は、その検証用画面を対局用画面に切り換える。なお、両表示部に検証用画面が表示されている状態で、一方の検証用画面にて検証の終了が要求された場合に、その要求がなされた表示部だけ、検証用画面を対局用画面に戻してもよい。
そして、ゲーム装置100は、対局用画面の更新を再開させる。なお、対局用画面の更新を停止していた間に、新たな対局棋譜が複数蓄積されていた場合(観戦する将棋ゲームが数手先に進んでいた場合)に、ゲーム装置100は、例えば、所定時間間隔で1手ずつ、対局用画面を更新する。つまり、上述したステップS204に処理が戻った際に、対局用画面生成部106が一度に全てを反映させて対局用画面を更新するのではなく、差し手が進む様子を観戦者が認識できる程度の時間間隔で1手ずつ対局棋譜を反映させた対局用画面を順次生成する。そして、表示制御部108が、第1及び第2の表示部18,19にそれぞれ対局用画面を表示させる。なお、一方の表示部に検証用画面を残したまま対局用画面の更新を再開した場合には、検証用画面の方の表示部について、更新等せずにそのまま検証用画面を表示させてもよい。
【0065】
ゲーム装置100は、対局が投了したか否かを判別する(ステップS211)。つまり、観戦していた将棋ゲームが終了したかどうかを判別する。
対局が投了していないと判別した場合に(ステップS211;No)、ゲーム装置100は、ステップS201に処理を戻し、上述したステップS201〜S211の処理を繰り返し実行する。
【0066】
一方、対局が投了したと判別した場合に(ステップS211;Yes)、ゲーム装置100は、検証処理を終了する。
【0067】
このような検証処理によって、観戦している将棋ゲームの途中で検証手を入力でき、その入力があった表示部が対局用画面から検証用画面に切り換わると共に、その時点(分岐直前)における対局用画面が他方の表示部にて保持されるようになる。そして、検証を終えると、対局用画面の更新が再開され、再び将棋ゲームの観戦に戻ることができる。
【0068】
より具体的に説明すると、観戦者が将棋ゲームを観戦している際には、図7(a)に示すように、第1及び第2の表示部18,19に対局用画面が表示され、ゲームの進行に伴って両画面とも更新される。
その後、図7(a)のタイミングT1にて、第2のタッチパネル21が操作され、第2の表示部19にて駒の移動等が指示されると、ゲーム装置100は、第2の表示部19に検証用画面を切り換えて表示すると共に、第1の表示部18の対局用画面の更新を停止する。つまり、手筋の検証を行う直前の状態(つまり、分岐前の差し手のままの対局用画面)が、第1の表示部18にそのまま保持されることになる。
そして、観戦者による検証が進むと(検証手が第2のタッチパネル21から次々と入力されると)、それに応じて、第2の表示部19の検証用画面が更新される。それでも、分岐前の対局用画面が第1の表示部18に残っているため、観戦者は分岐前の状態を適切に把握しながら、検証を進めることができる。
【0069】
その後、図7(a)のタイミングT2にて、検証の終了が指示されると(第2の表示部19の検証用画面にて、ボタンRBが押下されると)、ゲーム装置100は、第2の表示部19の表示を検証用画面から対局用画面に戻すと共に、第1及び第2の表示部18,19における対局用画面の更新を再開する。
【0070】
一方、同様の状況において、図7(b)のタイミングT2にて、別の検証が指示されると(第2の表示部19の検証用画面にて、ボタンBBが押下されると)、ゲーム装置100は、その時点における検証用画面を第1の表示部18にも反映し、第1及び第2の表示部18,19に同じ検証用画面を表示させる。
そして、今度は第1のタッチパネル20が操作され、第1の表示部18にて駒の移動等が指示されると、ゲーム装置100は、第1の表示部18の検証用画面だけを更新する。なお、上記と同様にこの場合、第2の表示部19の検証用画面は更新されずにそのまま保持されることになる。
そして、観戦者による検証が進むと(検証手が第1のタッチパネル20から次々と入力されると)、それに応じて、第1の表示部18の検証用画面が更新される。それでも、分岐(直近の分岐)前の検証手のままの検証用画面が第2の表示部19に残っているため、観戦者は分岐前の状態を適切に把握しながら、検証を進めることができる。
【0071】
その後、図7(b)のタイミングT3にて、検証の終了が指示されると、ゲーム装置100は、第1及び第2の表示部18,19の表示をそれぞれ対局用画面に戻すと共に、両表示部における対局用画面の更新を再開する。
なお、このように両表示部を、共に対局用画面に戻す代わりに、上述したように、検証の終了が要求された方の表示部だけ、検証用画面から対局用画面に戻してもよい。例えば、図7(b)のタイミングT3にて、第2の表示部19における検証用画面にてボタンBBが押下された場合、ゲーム装置100は、第1の表示部18にタイミングT3における検証用画面を残したまま、第2の表示部19だけを対局用画面に戻す。そして、第2の表示部19についてだけ、対局用画面の更新を再開する。この場合、観戦者の検証した手筋と、実際に行われる差し手による手筋とを適宜比較することができる。
【0072】
このように、将棋ゲームの途中で何れかの対局用画面からも検証手を入力でき、その入力のあった画面が検証用画面に移行すると共に、他方の対局用画面がその時点(分岐直前)における対局棋譜の状態で停止するため、対局用画面と見比べながら検証を行うことができる。
また、検証中の検証手から更に分岐する検証手による手筋も検証することができ、その際にも、他方の検証用画面がその時点(分岐直前)における検証棋譜の状態で停止するため、分岐前と見比べながら検証を進めることができる。
この結果、観戦する対局ゲームの途中で、自由に手筋を検証することができる。
【実施例2】
【0073】
上記実施形態では、他のプレイヤ間における将棋ゲームを観戦する際に、観戦者が検証手による手筋を検証する場合について説明したが、手筋を検証するのは、このような観戦者に限られず他のプレイヤであってもよい。
例えば、将棋ゲームを対局しているプレイヤ自身が、ゲーム中に手筋を検証できるようにしてもよい。
以下、プレイヤ自身が、ゲーム途中で手筋を検証できることを特徴とした他のゲーム装置について、図8を参照して説明する。図8は、本発明の他の実施形態に係るゲーム装置300の概要構成を示す模式図である。
【0074】
図8に示すように、ゲーム装置300は、通信部101と、棋譜記憶部102と、操作受付部103と、検証棋譜生成部104と、処理制御部105と、対局用画面生成部106と、検証用画面生成部107と、表示制御部108と、対局棋譜生成部301とを備える。
つまり、上述した図3のゲーム装置100に、対局棋譜生成部301を加えた構成となっている。
【0075】
なお、通信部101は、例えば、対局相手となる他のプレイヤの装置(他の装置)と通信可能に接続され、他の装置から送られる差し手を受信し、また、プレイヤから入力される対局用の差し手を送信する。
【0076】
また、操作受付部103は、プレイヤから入力される対局用の差し手、又は、検証用の検証手を受け付ける。
一例として、第1及び第2の表示部18,19に対局用画面が表示されている状態で、第1のタッチパネル20から対局用画面に対する駒の移動等が指示された場合に、操作受付部103は、対局用に入力された差し手として受け付ける。一方、第2のタッチパネル21から対局用画面に対する駒の移動等が指示された場合に、操作受付部103は、検証手として受け付ける。
なお、第1及び第2の表示部18,19が、対局用及び検証用としてそれぞれ固定されるものではなく、プレイヤの指定等により、適宜入れ替え(変更)可能とする。
【0077】
対局棋譜生成部301は、通信部101が他の装置から受信した差し手(対局相手の差し手)、及び、プレイヤから入力される対局用の差し手に従って、対局棋譜を生成する。
対局棋譜生成部301は、生成した対局棋譜を棋譜記憶部102に記憶させる。つまり、棋譜記憶部102には、上述した図4(a)に示すような対局棋譜102aが同様に記憶される。
【0078】
また、対局用画面生成部106は、上記の実施形態と同様に、棋譜記憶部102に記憶された対局棋譜102aに基づいて対局用画面を生成する。また、検証用画面生成部107も、上記の実施形態と同様に、棋譜記憶部102に記憶された検証棋譜102bに基づいて検証用画面を生成する。
【0079】
そして、表示制御部108は、上記の実施形態と同様に、これら対局用画面及び、検証用画面を、第1及び第2の表示部18,19に適宜表示させる。
例えば、検証手が入力されていない状態であれば、表示制御部108は、対局用画面生成部106により生成された対局用画面を、第1及び第2の表示部18,19にそれぞれ表示させる。
一方、プレイヤによる検証中であれば(検証手が入力されている状態であれば)、表示制御部108は、検証用画面生成部107により生成された検証用画面を、例えば、検証手が入力された第2の表示部19に表示させる。
【0080】
また、検証中の検証手から更に分岐する別の検証手が指示されると、表示制御部108は、その時点における検証用画面を第1の表示部18にも反映し、第1及び第2の表示部18,19に同じ検証用画面を表示させる。その状態で、例えば、第1のタッチパネル20が操作され、第1の表示部18にて駒の移動等が指示されると、表示制御部108は、第1の表示部18の検証用画面だけを更新する。つまり、第2の表示部19の検証用画面が更新されないため、分岐直前の検証用画面がそのまま保持されることになる。
この場合も、検証手から更に分岐する検証手による手筋の検証を行う直前の状態が他方の表示部に保持され、検証を進めるプレイヤが分岐前の状態を把握できるようにしている。
その後、検証の終了が指示されると、表示制御部108は、少なくとも第1の表示部18の表示を検証用画面から対局用画面に戻し、その対局用画面にて対局用の差し手が入力できるようにする。
【0081】
このようなゲーム装置300においても、将棋ゲームの途中で検証手を入力でき、その入力により検証用画面に移行すると共に、他方の対局用画面がその時点(分岐直前)における対局棋譜の状態で停止するため、対局用画面と見比べながら検証を行うことができる。
また、検証中の検証手から更に分岐する検証手による手筋も検証することができ、その際にも、他方の検証用画面がその時点(分岐直前)における検証棋譜の状態で停止するため、分岐前と見比べながら検証を進めることができる。
この結果、プレイする将棋ゲームの途中で、自由に手筋を検証することができる。
【0082】
上記実施形態では、将棋ゲームの途中で、手筋を検証する場合について説明したが、手筋を検証する時期は、このような将棋ゲームの途中に限られず任意である。例えば、将棋ゲームの投了後に感想戦を行えるようにし、この感想戦において、手筋を検証する場合にも適宜適用可能である。
【0083】
上記の実施の形態では、2画面を有する携帯型のゲーム装置1に本発明が適用される場合について説明したが、このようなゲーム装置1に限られず他の装置にも適宜適用可能である。
例えば、3画面や4画面といった2画面を超える表示部を有するゲーム装置についても、本発明は適宜適用可能である。その場合も、検証手が入力された表示部に検証用画面が表示され、少なくとも他の1つの表示部にて対局用画面の更新が停止され、分岐前の差し手のままの対局用画面が保持される。そして、検証中の差し手から更に分岐する差し手が入力されると、少なくとも他の1つの表示部にて検証用画面の更新が停止され、分岐前の検証手のままの検証用画面が保持される。
この他にも、例えば、表示領域の広いタッチパネルを有するパソコン等において、このような2画面以上の表示データを1つの表示領域に並べて表示する場合でも、適宜適用可能である。
【0084】
上記の実施の形態では、対局ゲームとして、将棋ゲームを一例として説明したが、対局ゲームはこれに限られず任意である。例えば、他に、囲碁、チェス、オセロ、麻雀等の対局ゲームにも適宜適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、対局ゲームにおいて、自由に手筋を検証することに好適な、ゲーム装置、検証方法、および、プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 ゲーム装置
10 処理制御部
11 コネクタ
12 カートリッジ
13 無線通信部
14 通信コントローラ
15 サウンドアンプ
16 スピーカ
17 操作キー
18 第1の表示部
19 第2の表示部
20 第1のタッチパネル
21 第2のタッチパネル
100,300 ゲーム装置
101 通信部
102 棋譜記憶部
103 操作受付部
104 検証棋譜生成部
105 処理制御部
106 対局用画面生成部
107 検証用画面生成部
108 表示制御部
301 対局棋譜生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1及び第2の表示部を有し、所定の対局ゲームが実行されるゲーム装置であって、
前記第1及び第2の表示部の何れかの指定と、ゲーム中の差し手から分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける操作受付部と、
受け付けた当該入力操作に基づいて、当該検証手による手筋の検証を進めるための検証用画面を生成する検証用画面生成部と、
生成された当該検証用画面を、当該入力操作にて指定された前記表示部に表示する表示制御部と、を備え、
前記操作受付部は、当該検証用画面が前記第1及び第2の表示部の何れかに表示されている状態で、当該検証用画面を表示する前記表示部の指定と、検証中の検証手から更に分岐する検証手とを含む入力操作を受け付け、
前記表示制御部は、当該検証用画面を表示する前記表示部の指定を伴う入力操作に応答し、当該分岐する直前の検証手の検証用画面を、当該入力操作にて指定されなかった前記表示部に反映させると共に、当該入力操作に基づいた検証用画面を、当該入力操作にて指定された前記表示部に反映させて表示する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置であって、
ゲームの進行に伴って更新される対局用画面を生成する対局用画面生成部を更に備え、
前記表示制御部は、当該対局用画面だけが生成されている状態で、前記第1及び第2の表示部の少なくとも一方に当該対局用画面を表示し、当該検証用画面が生成された際に、当該入力操作にて指定された前記表示部に当該検証用画面を表示する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
少なくとも第1及び第2の表示部を有し、他のゲーム装置と通信可能に接続され、所定の対局ゲームが実行されるゲーム装置であって、
他のゲーム装置との間で送受信される情報に基づいて、ゲーム中の差し手を含む対局用画面を生成する対局用画面生成部と、
前記第1及び第2の表示部の何れかの指定と、ゲーム中の差し手から分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける操作受付部と、
受け付けた当該入力操作に基づいて、当該検証手による手筋の検証を進めるための検証用画面を生成する検証用画面生成部と、
当該対局用画面だけが生成されている状態で、前記第1及び第2の表示部の少なくとも一方に当該対局用画面を表示し、当該検証用画面が生成された際に、当該入力操作にて指定された前記表示部に当該検証用画面を表示する表示制御部と、を備え、
前記操作受付部は、当該検証用画面が前記第1及び第2の表示部の何れかに表示されている状態で、当該検証用画面を表示する前記表示部の指定と、検証中の検証手から更に分岐する検証手とを含む入力操作を受け付け、
前記表示制御部は、当該検証用画面を表示する前記表示部の指定を伴う入力操作に応答し、当該分岐する直前の検証手の検証用画面を、当該入力操作にて指定されなかった前記表示部に反映させると共に、当該入力操作に基づいた検証用画面を、当該入力操作にて指定された前記表示部に反映させて表示する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のゲーム装置であって、
前記検証用画面生成部により生成された検証用画面が前記第1及び第2の表示部の何れかに表示された状態から、当該検証用画面を分岐直前の検証用画面、若しくは、検証前の対局用画面に復元する表示復元部を更に備える、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項4に記載のゲーム装置であって、
前記表示復元部により検証用画面から対局用画面に復元されると、前記対局用画面生成部を制御し、対局用画面の更新を再開させる更新再開部を更に備える、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
少なくとも第1及び第2の表示部、画像生成部、操作部、及び、演算処理部を有し、所定の対局ゲームが実行されるゲーム装置における検証方法であって、
前記操作部が、前記第1及び第2の表示部の何れかの指定と、ゲーム中の差し手から分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける操作受付ステップと、
前記画像生成部が、受け付けた当該入力操作に基づいて、当該検証手による手筋の検証を進めるための検証用画面を生成する検証用画面生成ステップと、
前記演算処理部が、生成された当該検証用画面を、当該入力操作にて指定された前記表示部に表示する表示制御ステップとを備え、
前記操作受付ステップでは、当該検証用画面が前記第1及び第2の表示部の何れかに表示されている状態で、当該検証用画面を表示する前記表示部の指定と、検証中の検証手から更に分岐する検証手とを含む入力操作を受け付け、
前記表示制御ステップでは、当該検証用画面を表示する前記表示部の指定を伴う入力操作に応答し、当該分岐する直前の検証手の検証用画面を、当該入力操作にて指定されなかった前記表示部に反映させると共に、当該入力操作に基づいた検証用画面を、当該入力操作にて指定された前記表示部に反映させて表示する、
ことを特徴とする検証方法。
【請求項7】
少なくとも第1及び第2の表示部を有し、所定の対局ゲームが実行されるコンピュータを、
前記第1及び第2の表示部の何れかの指定と、ゲーム中の差し手から分岐する検証手とを含む入力操作を受け付ける操作受付部、
受け付けた当該入力操作に基づいて、当該検証手による手筋の検証を進めるための検証用画面を生成する検証用画面生成部、
生成された当該検証用画面を、当該入力操作にて指定された前記表示部に表示する表示制御部、として機能させ、
前記操作受付部は、当該検証用画面が前記第1及び第2の表示部の何れかに表示されている状態で、当該検証用画面を表示する前記表示部の指定と、検証中の検証手から更に分岐する検証手とを含む入力操作を受け付け、
前記表示制御部は、当該検証用画面を表示する前記表示部の指定を伴う入力操作に応答し、当該分岐する直前の検証手の検証用画面を、当該入力操作にて指定されなかった前記表示部に反映させると共に、当該入力操作に基づいた検証用画面を、当該入力操作にて指定された前記表示部に反映させて表示する、
ように機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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