説明

コアレスモーター、コアレスモーターを搭載したロボットハンド、およびロボット

【課題】トルクリップルがなく、電力効率の高いコアレスモーターを提供する。
【解決手段】N×M個の単位コイル112を2π/(N×M)の角度ずつずらして配列した空芯巻線の内側に、M極に着磁した永久磁石120を設ける。また、2π/Mの角度ずつずらして配列されたM個の単位コイルを一相分として、N相の単位コイルに分けて駆動する。そして、N相分の単位コイルの中で、永久磁石の磁極の境目に最も近い一相分の単位コイルでは電流を停止し、その単位コイルに対して回転方向に隣接する一相分の単位コイルでは電流の絶対値を増加させ、逆側に隣接する一相分の単位コイルでは電流の絶対値を減少させる。更に、何れにも該当しない単位コイルが存在する場合には、その単位コイルについては一定の電流を流して駆動する。こうすれば、トルクリップルがなく、電力効率の高いコアレスモーターを実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を用いて回転トルクを発生させるモーターに関し、特に円筒形状の空芯
巻線と、その内側に設けられて多極に着磁された永久磁石とを組み合わせて構成したコア
レスモーター、およびコアレスモーターを搭載したロボットハンドあるいはロボットに関
する。
【背景技術】
【0002】
電線を巻回して形成した複数の単位コイルを、一方向に配列することによって中空の円
筒形状の空芯巻線を形成し、この空芯巻線の内側に、多極に着磁した永久磁石によるロー
ターを設けて、空芯巻線の単位コイルに流す電流の向きを切り換えることによって、ロー
ターを回転させるコアレスモーター(インナーローター形式のコアレスモーター)が知ら
れている。あるいは、空芯巻線をローターとし、その内側に設けられた永久磁石をステー
ターとするアウターローター形式のコアレスモーターも知られている(たとえば特許文献
1)。これらのコアレスモーターには、コアが無いためにローターの回転慣性が小さくな
って応答性が向上し、更に小型化が比較的容易であるという利点がある。また、これらの
コアレスモーターは、永久磁石が形成する磁界の中で巻線に単位コイルを流したときに、
単位コイルが受けるローレンツ力を利用して回転トルクを発生させることを動作原理とし
ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−236123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、コアレスモーターには、ローターの回転に伴って空芯巻線の単位コイルが永久
磁石から受ける磁界の向きが切り換わる付近で、一時的な回転トルクの落ち込み(いわゆ
るトルクリップル)が発生するという課題がある。
【0005】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになさ
れたものであり、トルクリップルが発生しないコアレスモーターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明のコアレスモーターは次の構
成を採用した。すなわち、
電線を巻回して形成された単位コイルと、複数の該単位コイルを一方向に配列すること
によって中空の円筒形状に形成された空芯巻線と、該空芯巻線の内周側に設けられて外周
面が多極に着磁された円筒形状の永久磁石と、該空芯巻線にN相(Nは3以上の整数)の
電流を流すことによって回転トルクを発生させる駆動回路とを備えるコアレスモーターで
あって、
前記永久磁石は、該永久磁石の中心軸から見て2π/M(但しMは偶数)の角度で交互
に極性が切り換わるように着磁されており、
前記空芯巻線は、前記永久磁石の中心軸から見たときの角度が2π/Mの大きさを有す
るN×M個の前記単位コイルを、前記永久磁石の中心軸から見て2π/(N×M)の角度
ずつ位置をずらして配列することによって構成されており、
前記駆動回路は、
前記空芯巻線を構成する前記N×M個の単位コイルを、前記永久磁石の中心軸から見
て、該単位コイルの配列方向に2π/Mの角度ずつ位置をずらして配列されたM個の前記
単位コイルを一相分として、前記N相の電流を流すことによって前記回転トルクを発生さ
せており、
前記N相分の単位コイルの中で、前記単位コイルの位置が前記永久磁石の磁極の境目
に最も近い一相分の単位コイルである第1単位コイルについては電流を停止し、
前記N相分の単位コイルの中で、現時点での前記第1単位コイルよりも一つ前に前記
第1単位コイルであった一相分の単位コイルである第2単位コイルについては、前記コア
レスモーターが回転する従って電流の絶対値を増加させ、
前記N相分の単位コイルの中で、現時点での前記第1単位コイルよりも一つ後に前記
第1単位コイルとなる一相分の単位コイルである第3単位コイルについては、前記コアレ
スモーターが回転する従って電流の絶対値を減少させ、
前記空芯巻線を構成する前記単位コイルの中に、前記第1単位コイル、前記第2単位
コイル、前記第3単位コイルの何れにも該当しない単位コイルが存在する場合には、該単
位コイルについては所定の電流を流して駆動する駆動回路であることを要旨とする。
【0007】
また、上述したコアレスモーターに対応する本発明のコアレスモーターの駆動方法は、
電線を巻回して形成された単位コイルと、複数の該単位コイルを一方向に配列すること
によって中空の円筒形状に形成された空芯巻線と、該空芯巻線の内周側に設けられて外周
面が多極に着磁された円筒形状の永久磁石と、該空芯巻線にN相(Nは3以上の整数)の
電流を流すことによって回転トルクを発生させる駆動回路とを備え、
前記永久磁石が、該永久磁石の中心軸から見て2π/M(但しMは偶数)の角度で交互
に極性が切り換わるように着磁されており、
前記空芯巻線が、前記永久磁石の中心軸から見たときの角度が2π/Mの大きさを有す
るN×M個の前記単位コイルを、前記永久磁石の中心軸から見て2π/(N×M)の角度
ずつ位置をずらして配列することによって構成されているコアレスモーターの駆動方法で
あって、
前記空芯巻線を構成する前記N×M個の単位コイルを、前記永久磁石の中心軸から見て
、該単位コイルの配列方向に2π/Mの角度ずつ位置をずらして配列されたM個の前記単
位コイルを一相分として、前記N相の単位コイルに分けて電流を流すことによって前記回
転トルクを発生させるに際して、
前記N相分の単位コイルの中で、前記単位コイルの位置が前記永久磁石の磁極の境目
に最も近い一相分の単位コイルである第1単位コイルについては電流を停止し、
前記N相分の単位コイルの中で、現時点での前記第1単位コイルよりも一つ前に前記
第1単位コイルであった一相分の単位コイルである第2単位コイルについては、前記コア
レスモーターが回転する従って電流の絶対値を増加させ、
前記N相分の単位コイルの中で、現時点での前記第1単位コイルよりも一つ後に前記
第1単位コイルとなる一相分の単位コイルである第3単位コイルについては、前記コアレ
スモーターが回転する従って電流の絶対値を減少させ、
前記空芯巻線を構成する前記単位コイルの中に、前記第1単位コイル、前記第2単位
コイル、前記第3単位コイルの何れにも該当しない単位コイルが存在する場合には、該単
位コイルについては所定の電流を流すことによって、前記回転トルクを発生させることを
要旨とする。
【0008】
こうした構成を有する本発明のコアレスモーターおよびコアレスモーターの駆動方法に
おいては、N×M個の単位コイルが、永久磁石の中心軸から見て2π/(N×M)の角度
ずつ位置をずらして配列されることによって、空芯巻線が形成されており、この空芯巻線
にN相の電流を流すことによって回転トルクを発生させる。また、空芯巻線の内周側に設
けられる永久磁石は、中心軸から見て2π/Mの角度でN極とS極とが交互に繰り返され
ている。更に、N×M個の単位コイルは、単位コイルの配列方向に2π/Mの角度ずつ位
置をずらして配列されたM個の単位コイルを一相分として、N相に分けて駆動されている
。そして、N相分の単位コイルの中で、単位コイルの位置が永久磁石の磁極の境目に最も
近い一相分の単位コイル(第1単位コイル)については電流を停止し、現時点での第1単
位コイルよりも一つ前に第1単位コイルであった一相分の単位コイルである第2単位コイ
ルについては、コアレスモーターが回転する従って電流の絶対値を増加させ、現時点での
第1単位コイルよりも一つ後に第1単位コイルとなる一相分の単位コイルである第3単位
コイルについては、コアレスモーターが回転する従って電流の絶対値を減少させるように
駆動する。更に、空芯巻線を構成するN×M個の単位コイルの中に、第1単位コイル、第
2単位コイル、第3単位コイルの何れにも該当しない単位コイルが存在する場合には、そ
の単位コイルについては一定の電流を流して駆動する。
【0009】
一般にコアレスモーターでは、単位コイルが永久磁石の磁極の境目を通過する付近では
回転トルクが低下する。このため、トルクリップルが発生する。ここで、本発明のコアレ
スモーターでは、永久磁石の磁極の境目に最も近い単位コイルについては電流を停止する
。このため、回転トルクが低下した単位コイルに電流を流さなくて良くなるので、電力効
率が向上する。また、電流が停止された相とは異なる相の中には、電流を増加させる単位
コイルと、電流を減少させる単位コイルとが常に存在することになるので、これら単位コ
イルでの回転トルクの増加と減少とが打ち消し合う。その結果、常に一定の回転トルクを
出力することが可能となって、トルクリップルのないコアレスモーターを実現することが
可能となる。
【0010】
また、上述した本発明のコアレスモーターは、多相で駆動するために高トルクを発生さ
せることが可能でありながら、トルクリップルが生じないので、ロボットハンドあるいは
ロボットに組み込んで使用されるモーターとして特に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例のコアレスモーターの大まかな構造を示した説明図である。
【図2】本実施例のコアレスモーターの空芯巻線の構造を示した説明図である。
【図3】空芯巻線を構成する単位コイルの形状、および各相の単位コイルの位置関係を、三相のコアレスモーターを例に用いて示した説明図である。
【図4】コアレスモーターの動作原理を示す説明図である。
【図5】コアレスモーターでトルクリップルや電力効率の低下が発生する一つめの理由を示した説明図である。
【図6】コアレスモーターでトルクリップルや電力効率の低下が発生する二つめの理由を示した説明図である。
【図7】本実施例のコアレスモーターで単位コイルを駆動する方法を、三相のコアレスモーターを例に用いて示した説明図である。
【図8】本実施例の三相のコアレスモーターの各相の単位コイルによって得られる回転トルクを示した説明図である。
【図9】空芯巻線を構成する単位コイルの形状、および各相の単位コイルの位置関係を、四相のコアレスモーターを例に用いて示した説明図である。
【図10】本実施例の四相のコアレスモーターの各相の単位コイルによって得られる回転トルクを示した説明図である。
【図11】本実施例の五相のコアレスモーターの各相の単位コイルによって得られる回転トルクを示した説明図である。
【図12】本実施例のコアレスモーターをロボットハンドの関節部分に組み込んだ様子を例示した説明図である。
【図13】ロボットのアクチュエーターとして本実施例のコアレスモーターを組み込んだ様子を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施
例を説明する。
A.本実施例のコアレスモーターの構造:
B.コアレスモーターの動作原理:
C.本実施例のコアレスモーターの駆動方法:
D.変形例:
E.適用例:
【0013】
A.本実施例のコアレスモーターの構造 :
図1は、本実施例のコアレスモーター100の大まかな構造を示した説明図である。図
1(a)に示されるように、本実施例のコアレスモーター100は、円筒形状の空芯巻線
110の内側に、円柱形の永久磁石120が収容されて、永久磁石120の中心軸と同軸
に回転軸122が設けられている。永久磁石120は、中心軸から等角度でN極とS極と
が交互に切り換わるように着磁されている。また、空芯巻線110は、電線を巻回して中
空の円筒形状に形成された後、樹脂によって固められて構成されており、駆動回路150
に接続されている。駆動回路150は、回転軸122に取り付けられた図示しないエンコ
ーダーからの出力によって回転軸122の回転角度に関する情報を取得し、その結果に応
じた電流を空芯巻線110に流すことによってコアレスモーター100を駆動する。
【0014】
尚、回転軸122が永久磁石120に設けられていることから明らかなように、本実施
例のコアレスモーター100は、永久磁石120がローターとなり、空芯巻線110がス
テーターとなったいわゆるインナーローター形式のコアレスモーター100である。もち
ろん、このような構成に限られるものではなく、空芯巻線110に回転軸122を設ける
ことによって、いわゆるアウターローター形式のコアレスモーター100を構成すること
も可能である。
【0015】
図1(b)は、回転軸122の方向から、本実施例のコアレスモーター100の底面を
見た様子を示す説明図である。詳細には後述するが、本実施例のコアレスモーター100
の空芯巻線110は、電線を所定形状に何回も巻回することによって形成した単位コイル
112を、所定角度ずつ位置をずらして重ねることによって形成されている。
【0016】
図2は、本実施例の空芯巻線110の構造を例示した説明図である。尚、前述したよう
に空芯巻線110は、永久磁石120の周囲を取り巻く中空の円筒形状に形成されている
が、理解の便宜を図るために、図2では、円筒形状の空芯巻線110および永久磁石12
0が平面上に展開した状態で表示されている。図2(a)に示されるように、単位コイル
112は、略長方形状に形成されており、この単位コイル112が一方向に等距離ずつ位
置をずらしながら重ねられることによって、空芯巻線110が形成されている。尚、図2
では円筒形状の空芯巻線110を平面に展開した状態で表示されているから、図2の図面
上で単位コイル112が等しい「距離」ずつ位置がずれていることは、実際の空芯巻線1
10では等しい「角度」ずつ位置がずれていることに対応する。
【0017】
また、本実施例のコアレスモーター100では、これら複数の単位コイル112が3つ
のグループに分けられており、同じグループの単位コイル112は、一続きの電線を巻回
することによって形成されている。以下では、これらのグループを区別する必要がある場
合は、「a相」、「b相」、「c相」と呼ぶことにする。これらa相の単位コイル112
aと、b相の単位コイル112bと、c相の単位コイル112cとは、互いに別々に設け
られているのではなく、この順番で交互に重ねられた状態で配列されている。
【0018】
図3は、空芯巻線110を構成する各相の単位コイル112の位置関係を示した説明図
である。尚、単位コイル112は、電線を複数回巻回することによって構成されており、
電線の巻き方や巻回数によって単位コイル112の外形形状には差が生じる。そこで、単
位コイル112を構成する一巻き分の電線に着目して、これを単位巻回要素114と呼ぶ
ことにする。また、単位コイル112を構成する複数の単位巻回要素114の平均的な単
位巻回要素114の形状を想定して、この平均的な単位巻回要素114によって単位コイ
ル112の形状や位置関係を示すものとする。
【0019】
図3中に示した「p」は、永久磁石120の磁界の向きが一定に保たれている角度範囲
を示している。以下では、この角度範囲を「単位磁極角度p」と呼ぶことにする。図1に
示されるように、本実施例の永久磁石120は外周面が八等分して着磁されているから、
単位磁極角度pは2π/8となる。また、図3に示されるように、単位コイル112の左
右方向(コアレスモーター100の回転方向に対応)の幅は、永久磁石120の中心軸か
ら見て単位磁極角度pとなる大きさに設定されている。そして、a相の単位コイル112
aと、b相の単位コイル112bと、c相の単位コイル112cとは、永久磁石120の
中心軸から見て単位磁極角度pの1/3の角度ずつ位置をずらして配置されている。
【0020】
また、各相の単位巻回要素114(空芯巻線110)が永久磁石120に対して、図3
中に白抜きの矢印で示した方向(図上では右方向)に回転しているものとすると、たとえ
ばb相の単位コイル112bにとってc相の単位コイル112cは、b相の単位コイル1
12bが第1単位コイルになるよりも一つ前に第1単位コイルであった単位コイル(すな
わち、第2単位コイル)となっており、b相の単位コイル112bにとってa相の単位コ
イル112aは、b相の単位コイル112bが第1単位コイルとなるよりも一つ後に第1
単位コイルとなる単位コイル(すなわち、第3単位コイル)となっている。
【0021】
尚、図3に示した例で、各相の単位巻回要素114が、単位磁極角度pの1/3の角度
ずつ位置をずらして配置されているのは、本実施例のコアレスモーター100が三相の電
流で駆動されるものとしていることに対応するものである。コアレスモーター100をN
相の電流で駆動する場合には、各相の単位巻回要素114を単位磁極角度pの1/Nの角
度ずつ位置をずらして配置すればよい。
【0022】
B.コアレスモーターの動作原理 :
以下では、上述した構成を有する本実施例のコアレスモーター100では、トルクリッ
プルが発生せず、しかも高い電力効率が実現可能な理由について説明するが、その準備と
して、先ず始めにコアレスモーターの動作原理について簡単に説明しておく。
【0023】
図4は、コアレスモーターの動作原理を示した説明図である。たとえば、単位コイル1
12が永久磁石120の磁極に対して図4(a)に示すような位置関係にあるときに、破
線で示した方向の電流を単位コイル112に流してやる。すると、フレミングの左手の法
則によって、単位コイル112内の電線には図中に白抜きの矢印で示した方向のローレン
ツ力が作用する。ここで、単位コイル112はステーター側であるから動かない。このた
め、永久磁石120が反作用を受けて回転するようになる。図中に示した黒塗りの矢印は
、永久磁石120の回転方向を表している。
【0024】
また、永久磁石120が回転すると、図4(b)に示したように、単位コイル112に
及ぼす磁界の向きが逆転する。従って、同じ方向に電流を流し続けていたのでは、ローレ
ンツ力の方向が逆転して、永久磁石120を回転させ続けることができなくなる。そこで
このような場合には、単位コイル112に流す電流の向きを逆転させる。こうすれば、単
位コイル112に及ぼす磁界の向きが反転しても、ローレンツ力の方向は同じに保つこと
ができるので、永久磁石120の回転を継続することができる。このようにコアレスモー
ターでは、永久磁石120の回転に応じて電流の向きを切り換えることによって、単位コ
イル112内の電線に作用するローレンツ力を回転トルクに変換している。ここでコアレ
スモーターは以上のような原理で回転トルクを発生している関係上、永久磁石120の磁
極の境目を単位コイル112が通過する際に、トルクリップル(回転トルクの一時的な低
下)および電力効率の低下の原因となる二つの現象が発生する。
【0025】
図5を参照することによって、トルクリップルや電力効率の低下が発生する一つめの理
由について説明する。前述したように、単位コイル112は電線を長方形状に何回も巻回
することによって形成されている。そして、全く同じ位置に何回も電線を巻くことはでき
ないから、電線を巻く度に電線の位置が少しずつずれていく結果、長方形の単位コイル1
12の各辺はある程度の幅を持っている。従って、空芯巻線110に対して永久磁石12
0が回転すると、永久磁石120の磁極の境目が、単位コイル112の巻線の幅の中を通
過する。図5には、永久磁石120の磁極の境目が、単位コイル112の巻線の幅のほぼ
中央を通過している状態が示されている。尚、図5では、図示の都合上、単位コイル11
2の巻線の幅が広めに表示されている。
【0026】
このような状態では、磁極の境目の左側と右側とで磁界の向きが逆転しているから、単
位コイル112に電流を流したときに、磁極の境目の左側と右側とで、電線に作用するロ
ーレンツ力の向きが逆になる。たとえば、図中で破線の矢印で示した方向の電流を単位コ
イル112に流すと、磁極の境目の左側の巻線には、図中で斜線を付した矢印の方向のロ
ーレンツ力が作用し、磁極の境目の右側の巻線には、図中で白抜きの矢印で示した方向の
ローレンツ力が作用する。その結果、同じ単位コイル112内に逆方向のローレンツ力が
作用することになって、効率よく回転トルクを発生することができない。このため、永久
磁石120の磁極の境目が、単位コイル112の巻線の幅を通過している間は、得られる
回転トルクが低下するため、トルクリップルを発生させる。また、得られる回転トルクが
低下するにも拘わらず単位コイル112に流す電流は変わらないので、いわゆる銅損は通
常通りに発生する。このため、永久磁石120の磁極の境目が単位コイル112の巻線の
幅を通過している間は、電力効率も低下する。以上が、コアレスモーターでトルクリップ
ルが発生し、電力効率が低下する一つめの理由である。
【0027】
次に、図6を参照することによって、トルクリップルや電力効率の低下が発生する二つ
めの理由について説明する。図6(a)に示すように、永久磁石120が発生する磁界の
強さは、磁極の境目付近では減少する。そして、単位長さの電線に作用するローレンツ力
は、その電線に流れる電流と、電線に及ぼす磁界の強さとに比例する。このため、単位コ
イル112が磁極の境目に近づくと、単位コイル112に作用するローレンツ力が弱くな
り、その結果、回転トルクが低下してトルクリップルを発生させる。
【0028】
たとえば、図6(b)中に「B」と表示した位置は、単位コイル112が磁極の境目の
真上にある状態を示しているが、単位コイル112が磁極の境目に架かる前の「A」と表
示した位置にある場合でも、単位コイル112に作用する磁界の強さが低下するため、ロ
ーレンツ力が弱くなる。また、単位コイル112が磁極の境目を通過した後の「C」と表
示した位置にある場合でも、単位コイル112に作用する磁界の強さが低下するため、ロ
ーレンツ力が弱くなる。このため、永久磁石120の磁極の境目が、単位コイル112に
近づいただけでも、得られる回転トルクが低下するためにトルクリップルを発生させる。
また、得られる回転トルクが低下するにも拘わらず単位コイル112に流す電流は変わら
ないので、電力効率が低下する。これが、コアレスモーターでトルクリップルが発生し、
電力効率が低下する二つめの理由である。
【0029】
そこで、以上のような二つの原因に基づくトルクリップルや電流効率の低下を回避する
ために、本実施例のコアレスモーター100は、各相の単位コイル112を次のような特
殊な方法で駆動する。
【0030】
C.本実施例のコアレスモーターの駆動方法 :
図7は、ある単位コイル112について、その単位コイル112と、永久磁石120の
磁極の境目との位置関係に応じて、単位コイル112を駆動する様子を示した説明図であ
る。尚、永久磁石120の磁極の境目に対する単位コイル112の位置関係は、その単位
コイル112の単位巻回要素114の位置を、図7(a)に示した座標Xによって表すも
のとする。従って、座標Xが「0」、あるいはp(単位磁極角度)の整数倍の値を取ると
きは、単位コイル112が磁極の境目のちょうど真上に位置することを表している。
【0031】
図7(b)に示すように、本実施例では、単位コイル112が磁極の境目の真上に位置
する状態(すなわち、座標Xが0またはpの整数倍)を中心として、±p/6の角度範囲
にある間は、単位コイル112に流す電流を停止する。そして、この角度範囲を超えたら
、次のp/3の角度範囲では座標Xの増加とともに電流の絶対値を直線的に増加させる。
p/3の角度範囲に亘って電流を増加させたら、次のp/3の角度範囲では座標Xの増加
とともに電流の絶対値を直線的に減少させる。電流の絶対値を減少させる速度は、このp
/3の角度範囲が終了する時に(座標Xがp/3だけ増加すると)ちょうど電流が0とな
る速度とする。そして、このp/3の角度範囲を超えたら、次のp/3の角度範囲では電
流を停止する。このp/3の角度範囲は、単位コイル112が磁極の境目の真上となる角
度から±p/6の角度範囲となる。
【0032】
たとえば、座標Xが0〜p/6の間では、単位コイル112の電流を停止させ、座標X
がp/6からp/3だけ増加してp/2に達するまでの期間では、単位コイル112に流
す電流の絶対値を直線的に増加させる。尚、この期間で電流の正負を何れとするかは、コ
アレスモーター100を回転させる方向および永久磁石120の磁極に対する単位コイル
112の位置に応じて決定される。続いて、座標Xがp/2からp/3だけ増加して5p
/6に達するまでの期間では、単位コイル112に流す電流の絶対値を直線的に減少させ
、座標Xが5p/6に達した時点で電流を0とする。その後、p/3の期間では電流を停
止させ、それ以降は、p/3の期間毎に、電流の絶対値を増加させる期間と、減少させる
期間と、電流を停止する期間とを繰り返す。
【0033】
図7(c)には、このようにして一相分の単位コイル112を駆動することによって得
られる回転トルクが示されている。図示されるように、座標Xが増加するとともに(すな
わち、単位コイル112と永久磁石120の磁極とが相対的に回転するにつれて)、回転
トルクが0になる期間と、回転トルクが直線的に増加する期間と、直線的に減少する期間
とを繰り返す。また、回転トルクが0になる期間は、座標Xが0およびp(単位磁極角度
)の整数倍の位置を中心として±p/6の角度範囲の期間であり、この期間では、図5お
よび図6を用いて前述した二つの理由から、たとえ単位コイル112に電流を流しても大
きな回転トルクを発生させることはできない。従って、回転トルクが0になる期間を設け
ても、それほど大きく回転トルクが低下することはない。むしろ、このような期間で電流
を停止することで、電力効率を向上させることが可能となる。本実施例のコアレスモータ
ー100に設けられた駆動回路150は、a相、b相、c相の各相の単位コイル112を
、永久磁石120の磁極に対する位置関係に応じて、このようにして駆動する。
【0034】
図8は、このような方法で三相分の単位コイル112を駆動することによって得られる
回転トルクを示した説明図である。たとえば、a相の単位コイル112aが、図7にしめ
したように駆動されるとする。図3を用いて前述したように、b相の単位コイル112b
はa相の単位コイル112aよりもp/3だけ進んだ位置にある。更に、c相の単位コイ
ル112cは、b相の単位コイル112bよりもp/3だけ進んだ位置にある。このため
、a相の単位コイル112aが発生する回転トルクFaと、b相の単位コイル112bが
発生する回転トルクFbと、c相の単位コイル112cが発生する回転トルクFcとは、
図8(a)に示すような関係となる。
【0035】
そして、図8(a)から直ちに了解されるように、ある一相の回転トルクが減少してい
る期間では、必ず回転トルクが増加している相が存在している。また、残りの一相では回
転トルクが0となっている。図8(a)の中で、破線で囲った部分は、回転トルクが増加
する部分を示している。また、斜線付きの破線で囲った部分は、回転トルクが減少する部
分を示している。そして、ある相での回転トルクの減少量と、他の相での回転トルクの増
加量とは常に釣り合っている。このため、三相の回転トルクの合計は、図8(b)に示す
ように、常に一定となる。その結果、本実施例のコアレスモーター100ではトルクリッ
プルのないコアレスモーター100を実現することが可能となる。また、図7を用いて前
述したように、a相、b相、c相の何れの単位コイル112についても、その単位コイル
112が磁極の境目付近に位置する間は、単位コイル112の電流を停止してしまうので
、電力効率の高いコアレスモーター100とすることも可能となる。
【0036】
D.変形例 :
以上では、コアレスモーター100が三相であるものとして説明した。しかし、必ずし
も三相のコアレスモーター100には限られず、四相以上の任意の相数のコアレスモータ
ーについても、全く同様に適用することができる。以下ではこのような変形例について簡
単に説明する。尚、変形例においては、上述した実施例と同様の構成については同じ符番
として、詳細な説明は省略する。
【0037】
図9は、コアレスモーター100が四相である場合に、各相の単位コイル112の位置
関係を示した説明図である。図示されるように、a相の単位コイル112a、b相の単位
コイル112b、c相の単位コイル112c、d相の単位コイル112dは、互いにp/
4の角度ずつ位置をずらして配列されている。そして、これら四相の中の何れか一相の単
位コイル112が、永久磁石120の磁極の境目の最も近くにある単位コイル112(す
なわち、第1単位コイル)となる。図9に示した例では、b相の単位コイル112bが第
1単位コイルとなる。また、各相の単位巻回要素114(空芯巻線110)が永久磁石1
20に対して、図中に白抜きの矢印で示した方向(図上では右方向)に回転しているもの
とすると、c相の単位コイル112cは、b相の単位コイル112bの一つ前に第1単位
コイルであった単位コイル(すなわち、第2単位コイル)となり、a相の単位コイル11
2aは、b相の単位コイル112bの一つ後に第1単位コイルとなる単位コイル(すなわ
ち、第3単位コイル)となる。
【0038】
このような四相のコアレスモーター100においても、第1単位コイル(図9ではb相
の単位コイル112b)では電流を流しても大きな回転トルクは生じない。そこで、第1
単位コイルの電流は停止すればよい。また、第2単位コイル(図9ではc相の単位コイル
112c)では電流の絶対値を直線的に増加させ、第3単位コイル(図9ではa相の単位
コイル112a)では電流の絶対値を直線的に減少させればよい。
【0039】
図10(a)には、四相のコアレスモーター100で各相の単位コイル112に電流を
流す様子が示されている。四相の場合にも、図7を用いて前述した三相の場合と同様に、
永久磁石120の磁極の真上の位置を中心として、±p/8の角度範囲では電流を停止す
る。また、電流を停止する角度範囲が終了した後のp/4の角度範囲では、電流の絶対値
を直線的に増加させる。次のp/4の角度範囲では一定の電流を保持した後、その次のp
/4の角度範囲では電流の絶対値を直線的に減少させる。このように四相の場合には、磁
極の境目に対する単位コイル112の位置に応じて、電流の停止、増加、保持、減少の四
つの状態を、p(単位磁極角度)の周期で繰り返すように駆動する。その結果、それぞれ
の相の単位コイル112では、図10(b)に示すような回転トルクが得られる。
【0040】
そして、各相の単位コイル112は、p/4ずつ位置をずらして設けられている。この
ため、図10(c)に示すように、コアレスモーター100が何れの回転位置にある場合
でも、電流を停止する相と、電流を増加させる相と、電流を保持する相と、電流を減少さ
せる相とが常に存在する。その結果、ある相の単位コイル112で回転トルクが減少して
も、他の相の単位コイル112では必ず回転トルクが増加するので、四相全体としては、
常に一定の回転トルクを発生させることができる。このため、四相の場合にも、トルクリ
ップルのないコアレスモーター100を実現することが可能となる。また、永久磁石12
0の磁極の境目の近くにある単位コイル112については電流を停止するので、電力効率
が低下することもない。
【0041】
以上では、四相のコアレスモーター100について説明したが、五相以上の場合にも全
く同様にすることで、トルクリップルが存在せず、電力効率の高いコアレスモーター10
0を実現することが可能となる。
【0042】
図11は、五相のコアレスモーター100で各相の単位コイル112に電流を流す様子
を示した説明図である。五相の場合は、図11(a)に示されるように永久磁石120の
磁極の真上の位置を中心として、±p/10の角度範囲で電流を停止する。また、電流を
停止する角度範囲が終了した後のp/5の角度範囲では、電流の絶対値を直線的に増加さ
せる。次のp/5の角度範囲およびその次のp/5の角度範囲では一定の電流を保持した
後、続くp/5の角度範囲では電流の絶対値を直線的に減少させる。このように五相の場
合には、磁極の境目に対する単位コイル112の位置に応じて、電流の停止、増加、一回
目の保持、二回目の保持、減少の五つの状態を、p(単位磁極角度)の周期で繰り返すよ
うに駆動する。その結果、それぞれの相の単位コイル112では、図11(b)に示すよ
うな回転トルクが得られる。
【0043】
そして、各相の単位コイル112は、p/5ずつ位置をずらして設けられている。この
ため、図11(c)中に破線で囲って示したように回転トルクが増加する単位コイル11
2が発生しても、斜線付きの破線で囲って示したように回転トルクが減少する単位コイル
112が必ず発生するので、五相全体としては、常に一定の回転トルクを発生させること
ができる。また、永久磁石120の磁極の境目の近くにある単位コイル112については
電流を停止する。このため、トルクリップルがなく、電力効率の高いコアレスモーター1
00を実現することが可能となる。
【0044】
E.適用例 :
上述した本実施例および変形例のコアレスモーター100は、トルクリップルが全く生
じないため、極めて滑らかに動作させることができる。また、高い電力効率を実現するこ
とができる。このため、本実施例のコアレスモーター100は、ロボットハンドの関節に
組み込む用途のコアレスモーターとして特に適している。
【0045】
図12は、本実施例あるいは変形例のコアレスモーター100をロボットハンド200
の関節部分に組み込んだ様子を例示した説明図である。図示したロボットハンド200に
は、2本の指202が向かい合うようにして設けられており、それぞれの指202には、
根本を含めて3つの関節が設けられている。本実施例あるいは変形例のコアレスモーター
100は、トルクリップルが生じないので関節を滑らかに動かすことが可能である。また
、電力効率が高いので、少ない電力でロボットハンド200を動かすこともできる。
【0046】
また、図13は、ロボット500のアクチュエーターとして本実施例あるいは変形例の
コアレスモーター100を組み込んだ様子を例示した説明図である。上述したように、本
実施例あるいは変形例のコアレスモーター100は、トルクリップルが生じないので、滑
らかに動作させることが可能であり、電力効率も高いという優れた特性を有している。こ
のため、本実施例のコアレスモーター100をアクチュエーターとして用いることで、高
性能なロボット500を構成することが可能となる。
【0047】
以上、本実施例および変形例のコアレスモーターについて説明したが、本発明は上記す
べての実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において
種々の態様で実施することが可能である。たとえば、本実施例あるいは変形例のコアレス
モーター100を組み込むロボットハンド200は、2本の指202を有するロボットハ
ンド200や、それぞれの指202に3つの関節が設けられたロボットハンド200に限
られるものではなく、指の数や関節の個数が異なるロボットハンドに対しても、本実施例
あるいは変形例のコアレスモーター100を好適に組み込むことが可能である。
【符号の説明】
【0048】
100…コアレスモーター、 110…空芯巻線、 112…単位コイル、
114…単位巻回要素、 120…永久磁石、 122…回転軸、
200…ロボットハンド、 202…指、 500…ロボット、
p…単位磁極角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を巻回して形成された単位コイルと、複数の該単位コイルを一方向に配列すること
によって中空の円筒形状に形成された空芯巻線と、該空芯巻線の内周側に設けられて外周
面が多極に着磁された円筒形状の永久磁石と、該空芯巻線にN相(Nは3以上の整数)の
電流を流すことによって回転トルクを発生させる駆動回路とを備えるコアレスモーターで
あって、
前記永久磁石は、該永久磁石の中心軸から見て2π/M(但しMは偶数)の角度で交互
に極性が切り換わるように着磁されており、
前記空芯巻線は、前記永久磁石の中心軸から見たときの角度が2π/Mの大きさを有す
るN×M個の前記単位コイルを、前記永久磁石の中心軸から見て2π/(N×M)の角度
ずつ位置をずらして配列することによって構成されており、
前記駆動回路は、
前記空芯巻線を構成する前記N×M個の単位コイルを、前記永久磁石の中心軸から見
て、該単位コイルの配列方向に2π/Mの角度ずつ位置をずらして配列されたM個の前記
単位コイルを一相分として、前記N相の電流を流すことによって前記回転トルクを発生さ
せており、
前記N相分の単位コイルの中で、前記単位コイルの位置が前記永久磁石の磁極の境目
に最も近い一相分の単位コイルである第1単位コイルについては電流を停止し、
前記N相分の単位コイルの中で、現時点での前記第1単位コイルよりも一つ前に前記
第1単位コイルであった一相分の単位コイルである第2単位コイルについては、前記コア
レスモーターが回転する従って電流の絶対値を増加させ、
前記N相分の単位コイルの中で、現時点での前記第1単位コイルよりも一つ後に前記
第1単位コイルとなる一相分の単位コイルである第3単位コイルについては、前記コアレ
スモーターが回転する従って電流の絶対値を減少させ、
前記空芯巻線を構成する前記単位コイルの中に、前記第1単位コイル、前記第2単位
コイル、前記第3単位コイルの何れにも該当しない単位コイルが存在する場合には、該単
位コイルについては所定の電流を流して駆動する駆動回路であるコアレスモーター。
【請求項2】
請求項1に記載のコアレスモーターであって、
前記駆動回路は、前記第2単位コイルについては、前記コアレスモーターの回転に従っ
て前記電流の絶対値を直線的に増加させ、前記第3単位コイルについては、前記コアレス
モーターの回転に従って前記電流の絶対値を直線的に減少させる駆動回路であるコアレス
モーター。
【請求項3】
請求項1に記載のコアレスモーターを搭載したロボットハンド。
【請求項4】
請求項1に記載のコアレスモーターを搭載したロボット。
【請求項5】
電線を巻回して形成された単位コイルと、複数の該単位コイルを一方向に配列すること
によって中空の円筒形状に形成された空芯巻線と、該空芯巻線の内周側に設けられて外周
面が多極に着磁された円筒形状の永久磁石と、該空芯巻線にN相(Nは3以上の整数)の
電流を流すことによって回転トルクを発生させる駆動回路とを備え、
前記永久磁石が、該永久磁石の中心軸から見て2π/M(但しMは偶数)の角度で交互
に極性が切り換わるように着磁されており、
前記空芯巻線が、前記永久磁石の中心軸から見たときの角度が2π/Mの大きさを有す
るN×M個の前記単位コイルを、前記永久磁石の中心軸から見て2π/(N×M)の角度
ずつ位置をずらして配列することによって構成されているコアレスモーターの駆動方法で
あって、
前記空芯巻線を構成する前記N×M個の単位コイルを、前記永久磁石の中心軸から見て
、該単位コイルの配列方向に2π/Mの角度ずつ位置をずらして配列されたM個の前記単
位コイルを一相分として、前記N相の単位コイルに分けて電流を流すことによって前記回
転トルクを発生させるに際して、
前記N相分の単位コイルの中で、前記単位コイルの位置が前記永久磁石の磁極の境目
に最も近い一相分の単位コイルである第1単位コイルについては電流を停止し、
前記N相分の単位コイルの中で、現時点での前記第1単位コイルよりも一つ前に前記
第1単位コイルであった一相分の単位コイルである第2単位コイルについては、前記コア
レスモーターが回転する従って電流の絶対値を増加させ、
前記N相分の単位コイルの中で、現時点での前記第1単位コイルよりも一つ後に前記
第1単位コイルとなる一相分の単位コイルである第3単位コイルについては、前記コアレ
スモーターが回転する従って電流の絶対値を減少させ、
前記空芯巻線を構成する前記単位コイルの中に、前記第1単位コイル、前記第2単位
コイル、前記第3単位コイルの何れにも該当しない単位コイルが存在する場合には、該単
位コイルについては所定の電流を流すことによって、前記回転トルクを発生させるコアレ
スモーターの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−151928(P2012−151928A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6679(P2011−6679)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】