説明

コイルユニット及び電子機器

【課題】 放熱性に優れ、かつ、薄型化が可能なコイルユニットおよびそれを用いた電子機器を提供すること。
【解決手段】 コイルユニット22は、伝送面31及び非伝送面32を有する平面状コイル30と、平面状コイルの非伝送面32側に設けられた磁性シート40と、磁性シートが平面状コイルと面する側とは逆側の面に積層され、平面状コイルの発熱を放熱させ、かつ、前記磁性シートが捕捉しきれなかった磁束を吸収して磁気シールドする放熱/磁気シールド板50とを有し、放熱/磁気シールド板50の板厚が磁性シート40よりも厚い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 本発明は、コイルを用いた無接点電力伝送に係るコイルユニットおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送が知られている。この無接点電力伝送の適用例として、携帯電話の充電や家庭用機器(たとえば電話機の子機)の充電などが提案されている。
【0003】
無接点電力伝送では、伝送用コイルの発熱という問題があり、その発熱を抑制する技術が提案されている(特許文献1−5)。特許文献1は、非接触充電の発熱を抑制する設計方法が開示されている。特許文献2は、コイルと磁性材の構成により発熱を抑制する技術が開示されている。特許文献3は、空冷機構を備えた無接点充電装置が開示されている。特許文献4は、セラミックを1次側のコイルと2次側のコイルとの間に置き、放熱させる構造について開示されている。特許文献5は、放熱性を高めた筐体の構造が開示されている。
【特許文献1】特開平8−103028号公報
【特許文献2】特開平8−148360号公報
【特許文献3】特開平11−98705号公報
【特許文献4】特開2003−272938号公報
【特許文献5】特開2005−110357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の幾つかの態様は、放熱性に優れ、かつ、薄型化が可能なコイルユニットおよびそれを用いた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るコイルユニットは、
伝送面及び非伝送面を有する平面状コイルと、
前記平面状コイルの非伝送面側に設けられた磁性シートと、
前記磁性シートが前記平面状コイルと面する側とは逆側の面に積層され、前記平面状コイルの発熱を放熱させ、かつ、前記磁性シートが捕捉しきれなかった磁束を吸収して磁気シールドする放熱/磁気シールド板と、
を有し、
前記放熱/磁気シールド板の板厚が前記磁性シートよりも厚いことを特徴とする。
【0006】
平面状コイルの発熱は、この平面状コイルに積層された磁性シート及び放熱/磁気シールド板の固体熱伝導を用いて放熱される。このとき、放熱/磁気シールド板は、放熱板としての機能と、磁性シートが捕捉しきれなかった磁束を吸収して磁気シールドする機能とを併せ持つ。具体的には、放熱/磁気シールド板は、反磁性体、常磁性体及び反強磁性体の総称である非磁性体を用いることができ、アルミニウム、銅を好適に使用できる。
【0007】
この放熱/磁気シールド板は、磁性シートよりも厚く形成される。磁性シートが捕捉しきれなかった磁束は、放熱/磁気シールド板にて吸収される。この際、放熱/磁気シールド板は、磁性シートが捕捉しきれなかった磁束により誘導加熱される。しかし、放熱/磁気シールド板は所定の厚さを有することで熱容量が比較的大きく、発熱温度が低い上に、また、放熱特性により放熱しやすい。よって、平面状コイルの発熱を効率よく発熱できる。また、このコイルユニットは、厚さが1.65mm程度に形成できるので、薄型化も維持できる。
【0008】
本発明の一態様では、前記放熱/磁気シールド板が固定される基板と、前記基板に搭載され、前記磁性シート及び放熱/磁気シールド板の固体熱伝導を介して伝熱された前記平面状コイルの発熱温度を検出する温度検出素子とをさらに設けることができる。
【0009】
これにより、異物などが入りこんで平面状コイルの昇温により放熱/磁気シールド板の温度が異常に高くなったとしても、その異常を検知することができる。
【0010】
本発明の一態様では、前記基板には、前記放熱/磁気シールド板と対面する表面及びその裏面に伝熱用導電パターンが形成され、前記温度検出素子は前記基板の裏面に搭載することができる。
【0011】
こうすると、平面状コイルの発熱は、磁性シート、放熱/磁気シールド板、表面側の伝熱用導電パターン、基板及び裏面側の伝熱用導電パターンの固体熱伝導を介して温度検出素子に伝熱される。しかも、温度検出素子を基板裏面に設けることで、温度検出素子は放熱/磁気シールド板と干渉しない。
【0012】
この場合、前記基板の表面及び裏面に形成された伝熱用導電パターンは、前記基板を貫通するスルーホールにより接続されていることが好ましい。基板は絶縁体で伝熱性が低いが、代わりにスルーホールによって熱伝導性を高めることができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記放熱/磁気シールド板が前記基板と対向する面には凹部が設けられ、前記温度検出素子は、前記基板の表面に搭載されて、前記放熱/磁気シールド板の凹部内に配置されてもよい。こうすると、温度検出素子を基板表面に設けても、温度検出素子は放熱/磁気シールド板と干渉しない。なお、平面状コイルの中心に空芯部を有する場合は、その空芯部と対向する位置にて放熱/磁気シールド板に孔を形成し、この孔を凹部とすることができる。なお、本発明の一態様では放熱/磁気シールド板は所定の厚さを有することで、温度検出素子を収容できる厚さを確保できるという効果もある。また、上記構造の場合には、前記基板の前記放熱/磁気シールド板と対面する表面に伝熱用導電パターンが形成されればよい。
【0014】
本発明の一態様では、前記温度検出素子は、平面状コイルの発熱温度に基づいて前記平面状コイルへの電力供給を遮断または抑制してもよい。こうすると、異常時に電力供給を遮断または抑制することができる。この種の温度検出素子としては、例えば高温により抵抗値が増大して電流を抑制または遮断するサーミスタ、あるいは温度によって溶断されて電流遮断するヒューズ等の素子を挙げることができる。
【0015】
本発明の一態様では、前記磁性シートの端部を覆う被覆部材をさらに有することができる。磁性シートの端部は脆く離脱し易いが、被覆部材により被覆することで磁性シート端部の材料が飛散することを防止できる。この被覆部材は、絶縁シートやシリコンなどの封止部材とすることができる。
【0016】
この被覆部材は、前記平面状コイルを収容する孔部を有し、前記磁性シート及び前記放熱/磁気シールド板の各端部を覆って、前記磁性シート及び前記放熱/磁気シールド板を前記基板の表面に接着固定する保護シートとしてもよい。こうすると、被覆部材を、磁性シート及び放熱/磁気シールド板の固定部材として兼用できる。
【0017】
本発明の一態様では、前記磁性シートは複数枚設けてもよい。こうすると、平面状コイルに大電流が流れる例えば電源立ち上げ時に一枚の磁性シートだけでは磁気飽和する場合であっても、複数枚とすることで漏れ磁束を低減できる。なお、放熱/磁気シールド板の厚さは、複数枚の磁性シートの合計厚さよりも厚い。
【0018】
本発明の一態様では、前記平面状コイルは内端及び外端引き出し線を有し、前記内端引き出し線は前記平面状コイルの前記非伝送面を経由して取り出され、前記平面状コイルと前記磁性シートとの間に、前記内端引き出し線の太さと実質的に等しいスペーサ部材を設けることができる。
【0019】
こうすると、平面状コイルの伝送面側がフラットになり、無接点電力伝送する際に一次・二次コイルを近接配置しやすくなる。また、平面状コイルの非伝送面側は内端引き出し線の分だけ突出するが、スペーサ部材により平面状コイルの非伝送面をフラットにして磁性シートと密着させることができる。こうして、伝熱性を維持することができる。
【0020】
本発明の一態様では、前記基板は、前記放熱/磁気シールド板と対面する領域より延在された領域に、実装部品が搭載される実装面が設けられ、前記実装面は、前記放熱/磁気シールド板が対面する表面とは逆側の裏面とすることができる。
【0021】
こうすると、基板の表面側では、平面状コイル、磁性シート及び放熱/磁気シールド板のみが突出するので、無接点電力伝送する際に一次・二次コイルを近接配置しやすくなる。
【0022】
本発明の他の態様は、上述したコイルユニットを含む電子機器を定義している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0024】
1.充電システム
図1は、充電器10と被充電器20とを模式的に示す図である。一次側電子機器例えば充電器10から二次側電子機器例えば携帯電話機20への充電は、充電器10のコイルユニット12のコイルと携帯電話機20のコイルユニット22のコイルとの間に生じる電磁誘導作用を利用し、無接点電力伝送により行われる。
【0025】
ここで、図1に示すように、コイルユニット12,22同士が対向して無接点電力伝送を実施する際の対向面側を伝送面と称する。図1のコイルユニット12は上側面が伝送面であり、コイルユニット22は下側面が伝送面である。伝送面とは逆側の面を非伝送面と称する。
【0026】
2.コイルユニットの構造
コイルユニット12,22の構成として、例えばコイルユニット12について図2及び図3(A)(B)を参照して説明する。なお、図2の構造をコイルユニット22に適用しても良い。
【0027】
図2はコイルユニット12の分解組立斜視図、図3(A)はコイルユニット12を表面側から見た斜視図、図3(B)はコイルユニット12を裏面側から見た斜視図である。
【0028】
図2において、コイルユニット12の基本的構成として、伝送面31及び非伝送面32を有する平面状コイル30と、平面状コイル30の非伝送面32側に設けられた磁性シート40と、磁性シートが平面状コイル30と面する側とは逆側の面に積層された放熱/磁気シールド板50を含む。
【0029】
平面状コイル30は、平面的な空芯コイルであれば特に限定されないが、たとえば、単芯または多芯の被覆コイル線を平面上で巻回したコイルを適用することができる。本実施形態では、平面状コイル30は中心に空芯部33を有する。また、平面状コイル30はスパイラルの内端に接続された内端引き出し線34と、スパイラル外端に接続された外端引き出し線35とを含む。本実施形態では、内端引き出し線34は平面状コイル30の非伝送面32を経由して半径方向外側に引き出されている。こうすると、平面状コイル30の伝送面31側がフラットになり、無接点電力伝送する際に一次・二次コイルを近接配置しやすくなる。
【0030】
平面状コイル30の非伝送面32側に配置される磁性シート40は、平面状コイル30を覆うに充分な大きさにて形成されている。この磁性シート40は、平面状コイル30からの磁束を受ける働きをし、平面状コイル30のインダクタンスを上げる機能を有する。磁性シート40の材質としては、軟磁性材が好ましく、フェライト軟磁性材や金属軟磁性材を適用することができる。
【0031】
また、磁性シート40が平面状コイル30に面する側の逆側には、放熱/磁気シールド板50が配置される。この放熱/磁気シールド板50の板厚は磁性シート40よりも厚い。放熱/磁気シールド板50は、放熱板としての機能と、磁性シート40が捕捉しきれなかった磁束を吸収して磁気シールドする機能とを併せ持つ。具体的には、放熱/磁気シールド板50は、反磁性体、常磁性体及び反強磁性体の総称である非磁性体を用いることができ、アルミニウム、銅を好適に使用できる。
【0032】
平面状コイル30に通電された時の平面状コイル30の発熱は、この平面状コイル30に積層された磁性シート40及び放熱/磁気シールド板50の固体熱伝導を用いて放熱される。また、磁性シート40が捕捉しきれなかった磁束は、放熱/磁気シールド板50にて吸収される。この際、放熱/磁気シールド板50は、磁性シート40が捕捉しきれなかった磁束により誘導加熱される。しかし、放熱/磁気シールド板50は所定の厚さを有することで熱容量が比較的大きく、発熱温度が低い上に、また、放熱/磁気シールド板50は、その放熱特性により放熱しやすい。よって、平面状コイル30の発熱を効率よく放熱できる。本実施形態では、平面コイル30、磁性シート40及び放熱/磁気シールド板50のトータル厚さは、1.65mm程度に薄くできる。
【0033】
本実施形態では、平面状コイル30と磁性シート40との間に、内端引き出し線34の太さと実質的に等しいスペーサ部材60を有する。このスペーサ部材60は平面状コイル30とほぼ同一直径の円形に形成され、少なくとも内端引き出し線34を避ける位置にスリット62を有する。このスペーサ部材60は例えば両面接着シートであり、平面状コイル30を磁性シート40上に接着する。
【0034】
本実施形態では、平面状コイル30の非伝送面32側は内端引き出し線34の分だけ突出するが、スペーサ部材60により平面状コイル30の非伝送面32側をフラットにして磁性シート40と密着させることができる。こうして、伝熱性を維持することができる。
【0035】
本実施形態では、放熱/磁気シールド板50が固定される基板100をさらに有する。この場合、放熱/磁気シールド板50は基板100に放熱する。基板100には、平面状コイル30の内端及び外端引き出し線34,35が接続されるコイル接続パッド103を有する。
【0036】
また、磁性シート40及び放熱/磁気シールド板50の各端部を覆って、磁性シート40及び放熱/磁気シールド板50を基板100の表面101に接着固定する保護シート70を有する。この際、平面状コイル30の内端及び外端引き出し線34,35は、保護シート70上を経由して基板100のコイル接続パッド103に接続される(図3(A)参照)。保護シート70は、平面状コイル30を収容する孔部71を有する。保護シート70は、磁性シート40の端部を覆う被覆部材としても機能する。磁性シート40の端部は脆く離脱し易いが、被覆部材である保護シート70により磁性シート40の端部を被覆することで、磁性シート40の端部の材料が飛散することを防止できる。この被覆部材は、保護シート70に代えて、シリコンなどの封止部材で形成しても良い。
【0037】
このコイルユニット12の製造方法として、先ず、基板100上に磁性シート40及び放熱/磁気シールド板50を積層して配置する。この際、基板100の四隅の孔104を利用して、基板100は図示しない治具上に位置決め配置される。基板100上の例えば4箇所の孔104と、放熱/磁気シールド板50の例えば4つの孔51と、その孔51と対向して基板100に設けられた孔107とは、治具より突出する位置決めピンに挿入される。これにより、治具上の基板100に対して放熱/磁気シード板50が位置決めされる。この後、放熱/磁気シールド板50上に磁性シート40を重ね、その上からさらに保護シート70を被せて、保護シート70により磁性シート40及び放熱/磁気シールド板50を基板100上に固定する。
【0038】
次に、保護シート70に形成された孔71内にて、スペーサ部材60により平面状コイル30を磁性シート40上に接着固定する。この後、平面状コイル30の内端及び外端引き出し線34,35を基板100のコイル接続端子103に接続することで、コイルユニット12が完成する。
【0039】
本実施形態では、図3(B)に示すように、基板100の例えば裏面102に搭載されて、磁性シート40及び放熱/磁気シールド板50による固体熱伝導を介して伝熱された平面状コイル30の発熱温度を検出する温度検出素子80をさらに有する。一次・二次コイル間に異物などが入りこんで一次側の平面状コイル30の温度が異常に高くなったとしても、温度検出素子80により、その異常を検知することができる。この温度検出素子80により平面状コイル30の異常温度を検出した場合には、伝送を中止する制御を実行することができる。この温度検出素子80は、温度検出機能を有するものであれば良いが、本実施形態では例えば高温により抵抗値が増大して電流を抑制または遮断するサーミスタにて構成している。サーミスタに代えて、温度によって溶断されて電流遮断するヒューズ等の素子を用いることができる。これにより、異物などが入りこんで平面状コイル30の昇温により放熱/磁気シールド板の温度が異常に高くなった時に、平面状コイル30での通電を遮断又は抑制できる。
【0040】
図4は基板100の表面101の配線パターン図、図5は基板100の裏面102の配線パターン図である。図4及び図5に示すように、基板100の表面101及び裏面102であって、放熱/磁気シールド板50と対向する領域には、ほぼ前面に渡って伝熱用導電パターン110,111が形成されている。基板100の表裏面101,102の各電熱用導電パターン110,111は、多数のスルーホール112より接続されている。
【0041】
図4に示す基板100の表面101には、放熱/磁気シールド板50及び伝熱用導電パターン110とは絶縁分離されたサーミスタ配線パターン113A,113Bが形成されている。このサーミスタ配線パターン113は、2つのスルーホール114,115を介して、図5に示す基板100の裏面102に形成されたサーミスタ接続パターン116A,116Bに接続されている。なお、このサーミスタ接続パターン116A,116Bも、伝熱用導電パターン111とは絶縁分離されている。
【0042】
こうすると、平面状コイル30の発熱は、磁性シート40、放熱/磁気シールド板50、基板100の表面101側の伝熱用導電パターン、スルーホール112及び基板100の裏面102側の伝熱用導電パターン111の固体熱伝導を介して温度検出素子80(図5では省略)に伝熱される。しかも、温度検出素子80を基板100の裏面102に設けることで、温度検出素子80は放熱/磁気シールド板50とは干渉しない。なお、サーミスタ配線パターン113A,113Bを基板100の裏面102に設け、基板100の表面101は伝熱用導電パターン110のベタパターンとしてもよい。
【0043】
なお、基板100の表面101及び裏面102に形成された伝熱用導電パターン110,111は、基板100を貫通するスルーホール112により接続したが、これに限らない。例えば基板100が充分に薄ければ、その絶縁素材を介して伝熱しても良い。
【0044】
本実施形態では、図3(B)に示すように、基板100は、放熱/磁気シールド板50と対面する領域より延在された領域に、実装部品106が搭載される実装面が設けられ、この実装面は放熱/磁気シールド板50が対面する表面101とは逆側の裏面102としている。
【0045】
このため、基板100の表面101側では、平面状コイル30、磁性シート40及び放熱/磁気シールド板50のみが突出するので、無接点電力伝送する際に一次・二次コイルを近接配置しやすくなる。
【0046】
3.変形例
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0047】
本実施の形態は、無接点電力伝送に係るものであったが、電磁誘導原理を用いた無接点信号伝送にも同様に適用することができる。
【0048】
図6に示すように、温度検出素子80は、基板200の表面201に搭載されてもよい。この場合、図2の放熱/磁気シールド板50に代えて、図6に示すように、孔211が形成された放熱/磁気シールド板210を用いることができる。この孔211は平面状コイル30の空芯部33と対応して設ければ、放熱効果の劣化はない。この孔211を放熱/磁気シールド板210に設けることで、温度検出素子80を基板200の表面201に設けても、温度検出素子80は放熱/磁気シールド板210と干渉しない。なお、この場合は、基板100のうち、放熱/磁気シールド板210と対面する表面201に伝熱用導電パターン(図6では省略)が形成されればよい。また、温度検出素子80と干渉しなければ、放熱/磁気シールド板210に形成される孔211に代えて、凹所を形成するものであっても良い。逆に、図6に示す放熱/磁気シールド板210を図2の放熱/磁気シールド板50の代わりに用いても良い。
【0049】
また、図2及び図6に示す磁性シート40は複数枚設けてもよい。こうすると、平面状コイル30に大電流が流れる例えば電源立ち上げ時に、一枚の磁性シート40だけでは磁気飽和する場合であっても、複数枚とすることで漏れ磁束を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】充電器と被充電器とを模式的に示す図である。
【図2】コイルユニットの分解組立斜視図である。
【図3】図3(A)はコイルユニット12を表面側から見た斜視図、図3(B)はコイルユニット12を裏面側から見た斜視図である。
【図4】基板を表面側から見た平面図である。
【図5】基板を裏面側から見た裏面図である。
【図6】温度検出素子を基板の表面側に搭載する変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 一次側電子機器、12 一次側コイルユニット、20 二次側電子機器、22 二次側コイルユニット、30 平面状コイル、31 伝送面、32 非伝送面、33 空芯部、34 内端引き出し線、35 外端引き出し線、40 磁性シート、50 放熱/磁気シールド板、60 スペーサ部材、70 保護シート(被覆部材)、80 温度検出素子(サーミスタ)、100 基板、110,111 伝熱用導電パターン、112 スルーホール、113A,113B サーミスタ接続配線、114,115 スルーホール、116A,116B サーミスタ接続パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送面及び非伝送面を有する平面状コイルと、
前記平面状コイルの非伝送面側に設けられた磁性シートと、
前記磁性シートが前記平面状コイルと面する側とは逆側の面に積層され、前記平面状コイルの発熱を放熱させ、かつ、前記磁性シートが捕捉しきれなかった磁束を吸収して磁気シールドする放熱/磁気シールド板と、
を有し、
前記放熱/磁気シールド板の板厚が前記磁性シートよりも厚いことを特徴とするコイルユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記放熱/磁気シールド板が固定される基板と、
前記基板に搭載され、前記磁性シート及び放熱/磁気シールド板の固体熱伝導を介して伝熱された前記平面状コイルの発熱温度を検出する温度検出素子と、
をさらに設けたことを特徴とするコイルユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記基板には、前記放熱/磁気シールド板と対面する表面及びその裏面に伝熱用導電パターンが形成され、
前記温度検出素子は前記基板の裏面に搭載されていることを特徴とするコイルユニット。
【請求項4】
請求項3において、
前記基板の表面及び裏面に形成された伝熱用導電パターンは、前記基板を貫通するスルーホールにより接続されていることを特徴とするコイルユニット。
【請求項5】
請求項2において、
前記放熱/磁気シールド板が前記基板と対向する面には凹部が設けられ、
前記温度検出素子は、前記基板の表面に搭載されて、前記放熱/磁気シールド板の凹部内に配置されることを特徴とするコイルユニット。
【請求項6】
請求項5において、
前記基板には、前記放熱/磁気シールド板と対面する表面に伝熱用導電パターンが形成されていることを特徴とするコイルユニット。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記温度検出素子は、前記平面状コイルの発熱温度に基づいて前記平面状コイルへの電力供給を遮断または抑制する素子であることを特徴とするコイルユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記磁性シートの端部を覆う被覆部材をさらに有することを特徴とするコイルユニット。
【請求項9】
請求項2乃至7のいずれかににおいて、
前記平面状コイルを収容する孔部を有し、前記磁性シート及び前記放熱/磁気シールド板の各端部を覆って、前記磁性シート及び前記放熱/磁気シールド板を前記基板の表面に接着固定する保護シートをさらに有することを特徴とするコイルユニット。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記磁性シートが複数枚設けられ、
前記放熱/磁気シールド板の厚さは、前記複数枚の磁性シートの合計厚さよりも厚いことを特徴とするコイルユニット。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記平面状コイルは内端及び外端引き出し線を有し、前記内端引き出し線は前記平面状コイルの前記非伝送面を経由して取り出され、
前記平面状コイルと前記磁性シートとの間には、前記内端引き出し線の太さと実質的に等しいスペーサ部材が配置されていることを特徴とするコイルユニット。
【請求項12】
請求項3乃至11のいずれかにおいて、
前記基板は、前記放熱/磁気シールド板と対面する領域より延在された領域に、実装部品が搭載される実装面が設けられ、前記実装面は、前記放熱/磁気シールド板が対面する表面とは逆側の裏面としたことを特徴とするコイルユニット。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載のコイルユニットを含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−27025(P2009−27025A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189812(P2007−189812)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】