説明

コイン送り出し装置のコイン逆行防止装置

【課題】
本発明の第1の目的は、回転ディスクから送り出された一枚目のコインの逆行を防止することにより、騒音の発生を防止することである。
本発明の第2の目的は、簡単に後付けできるコインの逆行防止装置を提供することを目的とする。
本発明の第3の目的は、安価なコインの逆行防止装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
回転ディスクによってコインを一つずつ案内装置に送り出し、前記案内装置により前記送り出されたコインを一列に整列して上方に案内するようにしたコイン送り出し装置において、前記回転ディスクに隣接して前記回転ディスクから送り出されたコインに作用する逆行防止装置を設け、前記逆行防止装置は、自由端が前記回転ディスクによって送り出されたコインのコイン通路に位置し、かつ、移動するコインによって前記コイン通路から外されるようピボット運動可能なワンウエイストッパを含んでいることを特徴とするコイン逆行防止装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周面が接触した状態で一列に整列したコインを案内するコイン送り出し装置のコイン逆行防止装置に関する。
特に、回転ディスクによって所定の位置まで送り出されたコインが重力によって落下して逆行し、次に送り出されるコインまたは回転ディスクに衝突することにより発する騒音を防止するコイン逆行防止装置に関する。
さらに詳しくは、回転ディスクの送り腕によって所定位置に送り出されたコインの逆行をワンウエイストッパにより防止することによりコインの逆行を防止してコイン落下による騒音が発生しないようにしたコイン逆行防止装置に関する。
なお、本明細書で使用する「コイン」は、通貨であるコイン、ゲーム機のトークン及びそれらと類似のものを包含する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、回転する送り羽根により一個ずつ斜めに送り出したコインをエスカレータ(案内装置)により垂直上方に案内した後、その先端から払い出す装置が知られている。
この装置において、斜めに送り出したコインの垂直上方への方向転換をスムーズに行うため、回転する送り羽根(回転ディスク)の直後にテーパーローラを配置することが知られている(例えば、特許文献1)。
第2の従来技術として、エスカレータ(案内装置)内のコインの落下を防止するため、ボールと傾斜面とよりなる保持装置を垂立する案内装置に設けることが知られている(例えば、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特許第2514877号(図1―3、第2―5頁)
【特許文献2】実公平4-45090号(図1―4、第1―2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の従来技術において、送り羽根によって送り出された直後のコイン(一枚目)の直径部は、第1のテーパーローラとその他のテーパーローラとの間を通過できず、続いて送り出された二枚目のコインにより押されて第1のテーパーローラ部を通過する。
このため、一枚目のコインが間欠的に送り出される次のコインにより押されるまでの間、傾斜によりコインが落下する。
この落下コインが後続のコインに衝突し、また、保留されている硬貨が無くなった場合、落下コインが回転ディスクに衝突することにより「カチャカチャ」という騒音を発する。
このコインの送り出し装置がゲーム機に用いられる場合、前記「カチャカチャ」音によりゲームに集中できない問題がある。
【0005】
この問題を図6及び図7を参照して詳細に説明する。
図6において、コイン送り出し装置10 (以下「ホッパ」という)は、フレーム12と、フレーム12に固定され、かつ、コイン14を貯留する筒形のボウル16と、ボウル16の底部において傾斜配置されたコイン14の送り出し用の第1回転ディスク18、第2回転ディスク20及びコイン案内装置22を有する。
【0006】
図7に示すように、第1回転ディスク18の通孔24に落下したコインは、スライドベース26に支持されつつ回転ディスク18下面の押出突条(図示せず)によって押されて図7において反時計方向に回動され、コイン通路に突出するガイド28によって回転ディスク18の周方向へ案内される。
【0007】
第2回転ディスク20は、等間隔に5個の突起状の押出体30を有する星形をしており、第1回転ディスク18と同期して逆方向に回転する。
第2回転ディスク20の機能は、第1回転ディスク18から前記のように一個ずつ送り出されるコインをその押出体30により受け取って、弧状の案内面32に沿わせて一個ずつ移送する。
なお、第1回転ディスク18と第2回転ディスク20の構造及び機能は、前記特許文献1に開示のものと同様である。
【0008】
第2回転ディスク20の次位にゲート装置34が配置されている。
ゲート装置34は、コインの進行方向に対し直交方向に延びる案内溝36にスライド可能に挿入された支軸38に下向きテーパを有するローラ40が回転自在に取り付けられ、かつ、支軸38は、固定ピン42との間に引っかけられたスプリング44によりコイン通路46を狭めるよう付勢されている。
通常、支軸38は案内溝36の端部に係止され、案内面32との距離がコインの直径よりも小さい位置において静止している。
【0009】
コインが通過する場合、ローラ40はコインによって案内溝36に沿って移動され、コインの最大直径部が通過した後、スプリング44によって案内面32に近づくよう移動され、前記位置に静止する。
したがって、ゲート装置34を通過したコインは、その自重によって滑り落ち、第2回転ディスク20側へ戻ろうとしてもローラ40と案内面32との距離がコイン直径よりも小さいので、それらによって停止され、戻ることが困難である。
【0010】
しかし、ローラ40は、第2回転ディスク20との緩衝を回避するため配置が制限される。
これにより、押出体30の先端により押し出されたコイン14は、図7において鎖線で示すように、その直径部がローラ40と案内面32との間を通過することができない。
換言すれば、第2回転ディスク20から送り出された一枚目のコイン14は、ゲート装置34を通過することができない。
【0011】
したがって、一枚目のコイン14は、次の押出体30によって間欠的に送り出される二枚目のコイン14に押されることにより始めてゲート装置34を通過することができる。
このため、ゲート装置34を通過出来なかった一枚目のコイン14は、傾斜によりスライドベース26を滑り落ち、次のコイン14に衝突する。
次のコイン14が無い場合、滑り落ちたコイン14は、次の押出体30に衝突する。
これら衝突により、前記「カチャカチャ」音が発生する。
コイン14が無い場合、落下距離が大きいので前記「カチャカチャ」音が更に大きくなる問題がある。
【0012】
ゲート装置34を設けない場合、押出体30によって押し上げられたコイン14が落下して次のコイン14又は押出体30に衝突し、同様に「カチャカチャ」音が発生する。
この場合、案内装置22内の多数のコイン14の重量も加わるため、より大きな騒音が発生する。
また、案内装置22内のコイン14が多数の場合、コイン14の重量が大きくなり、ゲート装置34のローラ40を案内面32から遠ざける押し力が増加し、ゲート装置34により落下を防止されず、案内装置22内のコイン14全体が落下し、押出体30に衝突する場合がある。
この場合、重量が大きいため、大きな衝突音を生じる問題がある。
なお、ゲート装置34を通過したコイン14は、コイン案内装置22の湾曲部案内部48、垂直上方へ延びる直線部案内部50によって案内され、先端の払出装置52によって払い出される。
【0013】
第2の従来技術は、ボールと傾斜面とよりなる保持装置を設け、自重により落下するボールを傾斜面により側板側へ移動させ、もってコインをボールによって側板に素早く押し付けることによりコインの落下を防止している。
したがって、コインの通路が傾斜する場合、ボールの移動はコインの移動に基づくので、直ぐさまボールによってコインを側板に押し付けることができず、コインの落下量が大きい問題がある。
換言すれば、第2の従来技術は、ほぼ垂立する場合に有効である。
なお、ほぼ垂立するとは、水平線に対し、80度から110度の範囲をいう。
【0014】
コイン送り出し装置において、コインを送り出す回転ディスクは、コインを安定的に送り出すため、水平から約60度以下の間で傾斜されている。
したがって、回転ディスクから送り出された1枚目のコインは、水平から約60度の姿勢であるので、第2の技術のボールを、図6における一枚目のコイン位置に配置したとしても、コインの落下を即時に防ぐことはできず「カチャカチャ」音が発生する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の目的は、回転ディスクから送り出された一枚目のコインの逆行を防止することにより、騒音の発生を防止することである。
本発明の第2の目的は、簡単に後付けできるコインの逆行防止装置を提供することを目的とする。
本発明の第3の目的は、安価なコインの逆行防止装置を提供することを目的とする。
【0016】
この目的を達成するため、請求項1の発明は以下のように構成される。
回転ディスクによってコインを一つずつ案内装置に送り出し、前記案内装置により前記送り出されたコインを一列に整列して上方に案内するようにしたコイン送り出し装置において、前記回転ディスクに隣接して前記回転ディスクから送り出されたコインに作用する逆行防止装置を設け、前記逆行防止装置は、自由端が前記回転ディスクによって送り出されるコインのコイン通路に位置し、かつ、移動するコインによって前記コイン通路から外されるようピボット運動可能なワンウエイストッパを含んでいることを特徴とするコイン逆行防止装置である。
【発明の効果】
【0017】
この構成において、コインは回転ディスクによって一個ずつ区分けされ案内装置へ送り出される。
案内装置において、コインは周面を接して一列に整列され、後位のコインが前位のコインを押すことによって上方へ案内されて後、払い出される。
そして、回転ディスクから送り出され、コイン通路を移動する一枚目のコインは一枚目逆行防止装置であるワンウエイストッパの自由端を押し上げる。
一枚目のコインが通過した場合、押し上げられた自由端は自重によるモーメントにより元に復帰し、コイン通路に位置する。
これにより回転ディスクによって押されなくなったコインが逆行した場合、僅かに逆行した後、ワンウエイストッパの先端に係止され、回転ディスク側への移動を阻止される。
換言すれば、回転ディスクから送り出されたコインは、大きく逆行することができないので、後位のコインまたは回転ディスクに衝突することがない。
逆行したコインはワンウエイストッパに衝突し衝突音を発するが、コインの逆行距離は僅かであるので衝突によって発生する騒音は極めて小さい利点がある。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1のコイン送り出し装置のコイン逆行防止装置において、前記ワンウエイストッパは、棒状であって、前記回転ディスク側の一端部が前記コイン通路の上方においてピボット運動可能に取り付けられ、他端の自由端は自己モーメントにより前記コイン通路に向かって付勢され、かつ、移動するコインにより押し上げ力を受ける傾斜部を有していることを特徴とする。
この構成において、回転ディスクによって移動される一枚目のコインは傾斜部を押して棒状のワンウエイストッパをピボット運動させる。
これにより、一枚目のコインはコイン通路を移動し、ワンウエイストッパの下方を回転ディスクに押されて通過する。
コインが通過した場合、ワンウエイストッパは自重によるモーメントによって元に戻り、自由端がコイン通路に位置する。
この状態においてコインが逆行した場合、直ぐにワンウエイストッパの自由端によって停止され、逆行が阻止される。
したがって、逆行量が極めて少ないので衝突音が小さくなる消音効果に加え、棒状のワンウエイストッパをピボット軸受けするだけでよいので、簡単な装置により達成でき、かつ、安価である利点を有する。
【0019】
請求項3の発明は、コインが落下する通孔と落下したコインを押動する押出部を有する第1回転ディスクと、前記第1回転ディスクの前記押出部によって押し出されたコインを受け取り、かつ、連れ回りする第2回転ディスクと、前記落下したコイン及び前記第2回転ディスクにより連れ回りされるコインを案内するスライドベースと、を有するコイン送り出し装置において、自由端が前記第2回転ディスクによって送り出されるコインのコイン通路に位置し、かつ、移動するコインによって前記コイン通路から外されるようピボット運動可能なワンウエイストッパを前記第2回転ディスクによって送り出される硬貨のコイン通路に配置したことを特徴とするコイン逆行防止装置である。
この構成において、コインは周面を接して一列に整列され、後位のコインが前位のコインを押すことによって上方へ案内されて後、払い出される。
そして、第2回転ディスクから送り出され、コイン通路を移動する一枚目のコインはワンウエイストッパの自由端を押し上げる。
一枚目のコインが通過した場合、押し上げられた自由端は自重によるモーメントにより元に復帰し、ワンウエイストッパの先端はコインのコイン通路に位置する。
これにより第2回転ディスクによって押されなくなったコインが逆行した場合、僅かに逆行した後、ワンウエイストッパの先端に係止され、回転ディスク側への移動を阻止される。
換言すれば、第2回転ディスクから送り出されたコインは、大きく逆行することができないので、後位のコインまたは第2回転ディスクに僅かな移動量で衝突する。
逆行したコインはワンウエイストッパの先端に衝突して衝突音を発するが、コインの逆行距離は僅かであるので衝突によって発生する騒音は極めて小さい利点がある。
【0020】
請求項4の発明は、コインが落下する通孔と落下したコインを押動する押出部を有する第1回転ディスクと、前記第1回転ディスクの前記押出部によって押し出されたコインを受け取り、かつ、連れ回りする第2回転ディスクと、前記落下したコイン及び前記第2回転ディスクにより連れ回りされるコインを案内するスライドベースと、前記第2回転ディスクを外側を覆う孔開きカバと、を有するコイン送り出し装置において、自由端が前記回転ディスクによって送り出されるコインのコイン通路に位置し、かつ、移動するコインによって前記コイン通路から外されるようピボット運動可能なようにピボット軸に支持したワンウエイストッパを前記第2回転ディスクによって送り出されるコインのコイン通路に配置し、前記ピボット軸は前記孔開きカバの孔を利用して取り付けられたことを特徴とするコイン逆行防止装置である。
この構成において、コインは周面を接して一列に整列され、後位のコインが前位のコインを押すことによって上方へ案内されて後、払い出される。
そして、第2回転ディスクから送り出され、コイン通路を移動する一枚目のコインはピボット軸を支点にピボット運動させ、ワンウエイストッパの自由端を押し上げる。
一枚目のコインが通過した場合、押し上げられた自由端は自重によるモーメントにより元に復帰し、ワンウエイストッパの先端はピボット軸を支点にピボット運動し、コインのコイン通路に位置する。
これにより第2回転ディスクによって押されなくなったコインが逆行した場合、僅かに逆行した後、ワンウエイストッパの先端に係止され、回転ディスク側への移動を阻止される。
換言すれば、第2回転ディスクから送り出されたコインは、大きく逆行することができないので、後位のコインまたは第2回転ディスクに僅かな移動量で衝突する。
逆行したコインはワンウエイストッパの先端に衝突し衝突音を発するが、コインの逆行距離は僅かであるので衝突によって発生する騒音は極めて小さい利点がある。
さらに、ワンウエイストッパのピボット軸は、第2回転ディスクの孔開きカバの孔を利用してが取り付けられている。
したがって、ワンウエイストッパは孔開きカバに後付けできる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
コインが落下する通孔と落下したコインを押動する押出部を有する回転ディスクと、前記回転ディスクの前記押出部によって押し出されたコインを受け取り、かつ、連れ回りする第2回転ディスクと、前記落下したコイン及び前記第2回転ディスクにより連れ回りされるコインを案内するスライドベースと、前記第2回転ディスクを外側を覆う孔開きカバと、を有するコイン送り出し装置において、自由端が前記回転ディスクによって送り出されたコインのコイン通路に位置し、かつ、移動するコインによって前記コイン通路から外されるようピボット運動可能なようにピボット軸に支持したワンウエイストッパを前記第2回転ディスクによって送り出された硬貨のコイン通路に配置し、前記ピボット軸は前記孔開きカバの孔を利用して取り付けられたことを特徴とするコイン逆行防止装置である。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の実施例の逆行防止装置を装着したコイン送り出し装置の要部斜視図である。
図2は、本発明の実施例の逆行防止装置を装着したカバを外したコイン送り出し装置の要部平面図である。
図3は、本発明の実施例の逆行防止装置を装着したコイン送り出し装置をスライドベースに平行な面で切断すると共にガイドプレートを取り外した断面図である。
図4は、本発明の実施例の逆行防止装置の取り付け部の拡大図である。
図5は、図3におけるA―A線断面図である。
【0023】
図6及び図7と同一部には同一符号を付し、異なる構成を説明する。
一枚目逆行防止装置100を説明する。
一枚目逆行防止装置100は、第2回転ディスク20から送り出された直後の一枚目のコイン14に作用し、第2回転ディスク20側への逆行を防止する機能を有している。
【0024】
一枚目逆行防止装置100は、コイン通路46の上側を画定するガイド板102の上方に固定されている。
具体的には、スライドベース26に固定された第2回転ディスク20を覆う箱形であって、上プレート104所定位置に複数の孔106が開けられた孔開きカバ108に取り付けられている。
【0025】
孔開きカバ108の上プレート104は、スライドベース26とほぼ平行に配置されている。
孔開きカバ108は、第2回転ディスク20のための安全対策として配置され、複数の孔106は第2回転ディスク20の回転状況及びコイン通路46を移動するコイン14の監視ための孔である。
【0026】
一枚目逆行防止装置100は、棒状のワンウエイストッパ110である。
ワンウエイストッパ110は、断面チャンネル形に板金加工により形成され、第2回転ディスク20の側方のコイン通路46の上方に配置されている。
ワンウエイストッパ110の第1回転ディスク18側の端部は、ピボット軸112にピボット運動可能に取り付けられ、他端部は自由端114になっている。
自由端114は、プレート102の円形開口115を通ってコイン通路46に位置している。
【0027】
ピボット軸112は、チャンネル形に折り曲げられた軸受116の左右一対の軸受プレート118及び120に左右の端部が支持され、ベース26のガイド面122に対し平行に取り付けられている。
軸受116の上部からベース26と平行に延びる取り付け部124の両端部に長孔126、128が形成され、固定用のスクリュウ130、132が貫通している。
これらスクリュウ130及び132は上プレート104に形成されたネジ孔134、136にそれぞれねじ込まれ、固定されている。
【0028】
軸受116は、孔開きカバ108の孔106を利用して取り付けられている。
換言すれば、上プレート104に形成された既存の孔106に軸受プレート118、120を挿入し、上部の取付部124を上プレート104にスクリュウ130、132によって固定することにより取り付けられている。
【0029】
次にワンウエイストッパ110の詳細形状を図5を参照して説明する。
ワンウエイストッパ110の自由端114は、第1回転ディスク18側の下縁が、スライドベース26の上面であるガイド面122に対しコイン14の進行方向に対し鋭角に交差する傾斜部140になっている。
ワンウエイストッパ110の下流側端面は、ガイド面122に対しほぼ直角をなす垂直部142に形成されている。
傾斜部140と垂直部142とは、ガイド面122に線接触する平行部144が形成されている。
【0030】
ワンウエイストッパ110は、ピボット軸112に対し回転自在である。
したがって、通常状態においてワンウエイストッパ110は、自重による自己モーメントによって図5において反時計方向に回動し、平行部144がガイド面122に面接触した状態で静止している。
この静止状態において、傾斜部140は前述したようにガイド面122に対し鋭角をなし、垂直部142はガイド面122に対し直角をなす。
【0031】
なお、ワンウエイストッパ110にスプリング等の付勢手段を付加し、より積極的に回動力を与えることができる。
また、ワンウエイストッパ110は、第2回転ディスク20の押出体30に押動され、連れ回りされているコイン14によってその傾斜部140が押される、
これにより、傾斜部140にガイド面122に対し直角かつ上方に向かう分力が作用するので、ワンウエイストッパ110は、図5において時計方向に回動される。
【0032】
したがって、押動されるコイン14はガイド面122とワンウエイストッパ110の自由端114の一部である平行部144との間に挟まれつつ移動する。
コイン14が通過した場合、ワンウエイストッパ110は自己モーメントにより図5において反時計方向に回動し、平行部144がガイド面122に当接した状態で静止する。
【0033】
押出体30によって押し出されたコイン14は、押出体30によって支えられなくなるので自重によりコイン通路46を滑り落ち逆行するが、直ぐにワンウエイストッパ110の垂直部142に衝突し、その位置で停止される。
コイン14によって垂直部142が押された場合、垂直部142は、ワンウエイストッパ110のピボット軸112に対しオフセットしていることから、コイン14の押力によってもワンウエイストッパ110はガイド面122に向かうモーメントが発生する。
【0034】
したがって、逆行するコイン14によって大きな力で押されても、ワンウエイストッパ110がコイン14から外れることはなく、確実に逆行を防止される。
さらに、実施例においてはコイン14がワンウエイストッパ110の垂直部142によって停止された状態において、コイン14はガイド面122、ガイド板102、案内面32及び第2回転ディスク20によって囲まれて保持されているので、ワンウエイストッパ110が外れることはなく、コイン14の逆行を防止する。
【0035】
後続のコイン14が第2回転ディスク20によって押動されてきた場合、そのコイン14によってワンウエイストッパ110に停止されていたコイン14は押されるので、ゲート装置34を通過してコイン案内装置22へ移動される。
なお、案内装置22内のディスク14の重量によってゲート装置34の逆行阻止力に抗してディスク14が逆行する場合であっても、ワンウエイストッパ110によって逆行を阻止されるまでの距離が小さいので衝突時の衝撃は小さい。
したがって、コイン14の逆行による騒音の発生は極めて小さい。
【0036】
なお、符号146は第2回転ディスク20の回転軸に取り付け、先端部がボウル16に突出してボウル16内のコインを攪拌し、コインがジャムすることを防止するための攪拌体であり、設けなくともよい。
なお、ワンウエイストッパ110の垂直部142の位置は、取付部124の長孔126、128の範囲で調整可能である。
すなわち、コイン14の直径に応じて垂直部142の位置をコイン14の逆行量が最も短くなるように調整することにより、発生する騒音を最も小さくすることができる。
【0037】
なお、本発明は、第2回転ディスク20を設けず、第1回転ディスク18のみでコイン14を送り出す送り出し装置にも適用できる。
また、ゲート装置34を設けなくとも良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明の実施例の逆行防止装置を装着したコイン送り出し装置の要部斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の逆行防止装置を装着したカバを外したコイン送り出し装置の要部平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例の逆行防止装置を装着したコイン送り出し装置をスライドベースに平行な面で切断すると共にガイドプレートを取り外した断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例の逆行防止装置の取り付け部の拡大図である。
【図5】図5は、図3におけるA―A線断面図である。
【図6】図6は、従来のコイン送り出し装置の全体斜視図(一部分解図)である。
【図7】図7は、従来装置の作用説明図である。
【符号の説明】
【0039】
14 コイン
18 第1回転ディスク
20 第2回転ディスク
22 案内装置
26 スライドベース
46 コイン通路
100 逆行防止装置
108 孔開きカバ
106 孔
110 ワンウエイストッパ
112 ピボット軸
114 自由端
140 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ディスク(20)によってコイン(14)を一つずつ案内装置(22)に送り出し、前記案内装置(22)により前記送り出されたコイン(14)を一列に整列して上方に案内するようにしたコイン送り出し装置において、
前記回転ディスク(20)に隣接して前記回転ディスク(20)から送り出されたコイン(14)に作用する逆行防止装置(100)を設け、
前記逆行防止装置は、自由端(114)が前記回転ディスクによって送り出されるコインのコイン通路(46)に位置し、かつ、移動するコインによって前記コイン通路から外されるようピボット運動可能なワンウエイストッパ(110)を含んでいることを特徴とするコイン逆行防止装置。
【請求項2】
請求項1のコイン送り出し装置のコイン逆行防止装置において、前記ワンウエイストッパは、棒状であって、前記回転ディスク側の一端部が前記コイン通路の上方においてピボット運動可能に取り付けられ、他端の自由端は自己モーメントにより前記コイン通路に向かって付勢され、かつ、移動するコインにより押し上げ力を受ける傾斜部(140)を有していることを特徴とする。
【請求項3】
コイン(14)が落下する通孔(24)と落下したコインを押動する押出部を有する第1回転ディスク(18)と、
前記回転ディスクの前記押出部によって押し出されたコインを受け取り、かつ、連れ回りする第2回転ディスク(20)と、
前記落下したコイン及び前記第2回転ディスクにより連れ回りされるコインを案内するスライドベース(26)と、を有するコイン送り出し装置において、
自由端(114)が前記第2回転ディスクによって送り出されたコインのコイン通路(46)に位置し、かつ、移動するコインによって前記コイン通路から外されるようピボット運動可能なワンウエイストッパ(110)を前記第2回転ディスクによって移動される硬貨のコイン通路に配置したことを特徴とするコイン逆行防止装置。
【請求項4】
コイン(14)が落下する通孔(24)及び落下したコインを押動する押出部を有する第1回転ディスク(18)と、
前記回転ディスクの前記押出部によって押し出されたコインを受け取り、かつ、連れ回りする第2回転ディスク(20)と、
前記落下したコイン及び前記第2回転ディスクにより連れ回りされるコインを案内するスライドベース(26)と、
前記第2回転ディスクの外側を覆う孔開きカバ(108)と、を有するコイン送り出し装置において、
自由端(114)が前記回転ディスクによって送り出されるコインのコイン通路(46)に位置し、かつ、移動するコインによって前記コイン通路から外されるようピボット運動可能なようにピボット軸(112)に支持したワンウエイストッパ(110)を前記第2回転ディスクによって送り出されるコインのコイン通路に配置し、前記ピボット軸は前記孔開きカバの孔(106)を利用して取り付けられたことを特徴とするコイン逆行防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−344175(P2006−344175A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171669(P2005−171669)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】