説明

コネクタ装置および電子機器

【課題】 コネクタ装置において、活線挿抜を確保するとともに、ユーザに対する安全性を高めることを容易にする。
【解決手段】 第1のコネクタ部Aは第1の絶縁基板1に固定接続部3a〜3dを配列させる。第2のコネクタ部Bには第1のコネクタ部Aが挿入される。第2のコネクタ部Bは、第2の絶縁基板5と、出没可能に配列されて各固定接続部3a〜3dに当接する昇降接続部7a〜7dを有する。第2のコネクタ部Bは、昇降接続部7a〜7dを支持し第2の絶縁基板5から突出しないよう付勢される。第2のコネクタ部Bは、第1のコネクタ部Aの挿入を受けて昇降接続部7a〜7dを第2の絶縁基板5から突出させる昇降部11を有する。昇降接続部7a〜7dのうち1個の昇降接続部7dは他より奥に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタ装置および電子機器に係り、画像形成装置等の電子機器に搭載して好適するコネクタ装置および当該電子機器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えばプリンタ、複写機、ファクシミリ機、これらの機能を有する複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の画像形成装置は、原稿上の画像情報から画像データを光学的に読み取り、その画像データに基づきトナー像を形成して用紙に転写定着させ、トナー像の転写された用紙を加熱定着部を通過させる過程で、そのトナー像を用紙に加熱定着させて印刷(印字)する印刷機能、その他の処理機能を有している。
【0003】
しかも、画像形成装置は、メンテナンスや交換を容易にするために、画像形成装置本体に対して加熱定着部をユニット化して脱着可能にする場合が多いし、機能拡張のため、原稿自動搬送装置やペーパフィーダ等のオプション装置を装着したり、印刷した用紙に対しパンチ処理、ステープル処理、製本処理等の後処理を行う後処理装置を画像形成装置本体に連結する構成が提供されている。
【0004】
そして、画像形成装置本体に対して加熱定着部、原稿自動搬送装置、ペーパフィーダおよび後処理装置は、コネクタ装置を介して接続され、これによってデータ信号の送受信や電源電力の供給を行っており、電源がオン状態の画像形成装置本体に対して加熱定着部、原稿自動搬送装置、ペーパフィーダおよび後処理装置のコネクタを挿抜するいわゆる活線挿抜を行った場合、それらオプション装置側の回路や素子等の不具合を発生させない工夫が必要である。
【0005】
そこで、例えば特開2009−115898号公報(特許文献1)の電子機器が提案されている。
【0006】
この特許文献1は、電源装置からオプション装置へ電力供給を行うコネクタの両端に電源線およびグランド線を配置し、さらに本体制御部に向けて通信許可信号を送信し、本体制御部が通信許可信号を受信するまでオプション制御部との信号の送受信を行わないことによって活線挿抜による電子部品の破壊を阻止しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−115898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1は、オプション装置等の機器内の電子回路保護に配慮したものであり、サービスマンやユーザ等のコネクタ端子への接触、埃の付着や、金属片落下等によるコネクタ端子どうしの短絡等への配慮がなされていない。
【0009】
画像形成装置本体に対して加熱定着部、原稿自動搬送装置、ペーパフィーダおよび後処理装置を接続するコネクタ装置において、活線挿抜確保する場合、コネクタを外した状態においてユーザ等のコネクタ端子への接触、埃の付着や、金属片落下等による短絡等の防止が求められている。
【0010】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、活線挿抜を確保する状況の下でも、ユーザに対する安全性を高め、コネクタでの不具合発生を抑えることが容易なコネクタ装置および電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのような課題を解決するために本発明の請求項1に係るコネクタ装置は、第1の絶縁基板に複数の固定接続部が所定の間隔を置いて配列された第1のコネクタ部と、この第1のコネクタ部が固定接続部を当接させるようにして相対的に挿入される第2のコネクタ部であって、第2の絶縁基板と、この第2の絶縁基板に固定接続部に対応して形成されたスリットから外部に対し出没可能に配列されて個々の固定接続部に対して当接可能な複数の昇降接続部と、これら昇降接続部を支持し当該昇降接続部が第2の絶縁基板から突出しないよう付勢されるとともに、その第1のコネクタ部の第2のコネクタ部への挿入を受けて昇降接続部を第2の絶縁基板から突出させて固定接続部に接触させる昇降部とを有する第2のコネクタ部とを具備している。
【0012】
しかも、複数の前記昇降接続部のうちの1個は、その第1のコネクタ部の挿入方向において、他の昇降接続部より奥に配置された特定接続部とされている。
【0013】
本発明の請求項2に係るコネクタ装置は、上記第2のコネクタ部の前記昇降部が、中程にて複数の昇降接続部を横切る方向の支持点で支持され、当該支持点から一方の側に昇降接続部を支持し、その第2の絶縁基板に設けた貫通孔から突出して第1のコネクタ部の挿入を受ける検出部をその支持点から他方の側に支持してなり、その第1のコネクタ部の挿入による当接によって検出部を第2の絶縁基板内に変位させるとともに、その昇降接続部を第2の絶縁基板から突出させる構成である。
【0014】
本発明の請求項3に係るコネクタ装置は、上記特定接続部が、他の昇降接続部より短く形成された構成である。
【0015】
本発明の請求項4に係るコネクタ装置は、上記特定接続部が、他の昇降接続部における動作開始確認用として機能させる構成である。
【0016】
本発明の請求項5に係るコネクタ装置は、上記特定接続部が低電位又はアース電位に接続され、その特定接続部に対応する固定接続部がアース電位又は低電位に接続されてなる構成である。
【0017】
本発明の請求項6に係る電子機器は、それら請求項1〜5いずれか1項記載のコネクタ装置における第1のコネクタ部を有する第1の電子回路と、その第2のコネクタ部を有する第2の電子回路と具備し、それら第1又は第2の電子回路は、特定接続部が第1のコネクタ部の該当する固定接続部に接続されたとき、他の昇降接続部における動作開始を制御し、その固定接続部の接続が解除されたとき、他の昇降接続部における動作停止を制御する構成である。
【発明の効果】
【0018】
このような本発明の請求項1に係るコネクタ装置では、第2のコネクタ部に第1のコネクタ部が挿入されると、第2のコネクタ部の昇降部が第1のコネクタ部の挿入を受けて昇降接続部を第2の絶縁基板から突出させ、まず、特定接続部を除いた昇降接続部が固定接続部に接触された後、特定接続部が固定接続部に接触される一方、第2のコネクタ部から第1のコネクタ部が抜かれるとき、特定接続部と固定接続部との接触が解除された後、特定接続部を除いた昇降接続部と固定接続部との接触が解除されるから、活線挿抜を確保したうえで、ユーザに対する安全性を高め、コネクタでの不具合発生を抑えることが容易である。
【0019】
本発明の請求項2に係るコネクタ装置では、上記第2のコネクタ部の昇降部が、中程にて複数の昇降接続部を横切る方向の支持点で支持され、当該支持点から一方の側に昇降接続部を支持し、その第2の絶縁基板に設けた貫通孔から突出して第1のコネクタ部の挿入を受ける検出部を支持点の他方の側に支持してなるから、簡単な機構的構成により上述した効果を得ることが容易である。
【0020】
本発明の請求項3に係るコネクタ装置では、上記特定接続部が他の昇降接続部より短く形成されるから、特定接続部を他の昇降接続部より奥に配置しても形状を大型化させることがない。
【0021】
本発明の請求項4に係るコネクタ装置では、上記特定接続部が、他の昇降接続部における動作開始確認用として機能させるから、活線挿抜構成において有用である。
【0022】
本発明の請求項5に係るコネクタ装置は、上記特定接続部が低電位又はアース電位に接続され、その特定接続部に対応する固定接続部がアース電位又は低電位に接続されてなるから、その特定接続部における保護の必要性が少なく、消費電力の増加を抑えることが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るコネクタ装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るコネクタ装置の第1のコネクタ部を示す斜視図(図2A)および側面図(図2B)である。
【図3】本発明に係るコネクタ装置の主に第2のコネクタ部を説明する要部斜視図(図3A)および分解斜視図(図3B)である。
【図4】本発明に係るコネクタ装置を挿入側から見た状態を示す図である。
【図5】本発明に係るコネクタ装置の使用例を説明するブロック回路図である。
【図6】本発明に係るコネクタ装置の使用例を説明するブロック回路図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るコネクタ装置および電子機器の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明に係るコネクタ装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【0026】
図1において、本発明に係るコネクタ装置は、第1の絶縁基板1に複数の固定接続部3a、3b、3c、3dを形成した第1のコネクタ部Aと、この第1のコネクタ部Aが相対的に挿入される第2のコネクタ部Bであって、第2の絶縁基板5に固定接続部3a〜3dと電気的に接続される複数の昇降接続部7a、7b、7c、7dを支持するとともに検出部9を配置した昇降部としての支持板11を有する第2のコネクタ部Bとから構成されている。
【0027】
第1のコネクタ部Aは、例えば図2に示すように、長方形の薄い第1の絶縁基板1と、この片方の主面(図中下面)において一方の先端部に互いに僅かの間隔を置いて平行に配列された細長い複数の固定接続部3a〜3dとを有している。
【0028】
固定接続部3a〜3dは、第1の絶縁基板1上に金属鍍金等の従来公知の手法で形成された接点である。
【0029】
第2のコネクタ部Bは、例えば図3Aに示すように、第1の絶縁基板1が当接される長方形の第2の絶縁基板5において、長辺方向の片半分領域(図中左側領域)に個々の固定接続部3に対応して貫通形成された複数のスリット13a、13b、13c、13dを有し、このスリット13a〜13dが第2の絶縁基板5の長辺方向に延びている。
【0030】
なお、スリット13dは、他のスリット13a〜13cに一方の端部側(図中左端部側)を揃えるとともに、これより短く形成されている。
【0031】
第2の絶縁基板5の他方の片半分領域(図中左側領域)には、細長い貫通孔15が第2の絶縁基板5の短辺方向、すなわちスリット13a〜13dを横切る方向に貫通形成されている。
【0032】
第2の絶縁基板5の下部には、図3Bに示すような支持板11が配置されている。
【0033】
支持板11は、細長い絶縁板を長辺方向から見てクランク状に屈曲形成されてなり、例えば第2の絶縁基板5の下部から突設された図示しない一対の係合壁間にその屈曲部11a両側部を挟ませるようにして支持され、その屈曲部11aを支持点Pにして長辺方向の左右の平坦部11b、11cが上下に変位可能になっている。
【0034】
なお、支持板11の屈曲部11aは、第2の絶縁基板5の下部においてスリット13a〜13dと貫通孔15間に相当する部分に位置している。
【0035】
支持板11において、屈曲部11aから一方の平坦部11bには複数の昇降接続部7a〜7dが支持されており、他方の平坦部11cには検出部9が一部を連結するようにして載置されている。
【0036】
昇降接続部7a〜7dは、ばね特性を有する導電線を台形状に屈曲形成されて平坦部11bにスリット13a〜13dと揃う位置に固定されたばね接点であり、図示はしないが一部が外部に導出されている。
【0037】
図3Bにおいて、波線で示す昇降接続部7a〜7dは、スリット13a〜13dから突出した状態を仮想的に示すものである。
【0038】
スリット13a〜13cに対応する昇降接続部7a〜7cは、同長に形成されるとともにスリット13a〜13cと同位置に固定されている。スリット13dに位置する昇降接続部7dは、他の昇降接続部7a〜7cより短く形成されるとともに、図中左端部側に寄せて形成されている。
【0039】
すなわち、昇降接続部7dは屈曲部11a側、換言すれば第1のコネクタ部Aの挿入側から見て、他の昇降接続部7a〜7cより奥に配置されている。
【0040】
検出部9は貫通孔15より僅かに小さいブロック形状を有し、平坦部11bとは反対側に斜面9aを有している。
【0041】
支持板11は、図示しない付勢部材によって一方の平坦部11b側が降下するように付勢されており、静止状態では、昇降接続部7a〜7dがスリット13a〜13dから突出せずに埋没する位置にあり、検出部9が貫通孔15から突出するようになっている。
【0042】
そして、検出部9を押下することにより、検出部9が貫通孔15に埋没して支持板11が支持点Pを中心にして回転変位し、昇降接続部7a〜7dがスリット13a〜13dから突出するようになっており、検出部9への押下を除去すれば、付勢力によって昇降接続部7a〜7dがスリット13a〜13d内に埋没する一方、検出部9が貫通孔15から突出する。
【0043】
図4は、第2のコネクタ部Bを第1のコネクタ部Aが挿入される側から見た状態を示すものであり、第2のコネクタ部Bの第2の絶縁基板5における両長辺には、挿入される第1のコネクタ部Aを第2のコネクタ部B上で保持するガイド部(図4以外は図示省略)17a、17bが形成されている。
【0044】
次に、上述したコネクタ装置の使用例を簡単に説明する。
【0045】
図1Aに示すように、第2のコネクタ部Bにおいて検出部9が貫通孔15から突出し、昇降接続部7a〜7dがスリット13a〜13d内に埋没する状態で、固定接続部3a〜3d側を先にして第1のコネクタ部Aをガイド部17a、17bに挿入し、第1の絶縁基板1を第2の絶縁基板5に当接させながら押し込むと、同図Bに示すように、第1の絶縁基板1が検出部9を押下する。すなわち、検出部9が第1の絶縁基板1の挿入の有無を検出する。
【0046】
これによって検出部9が付勢力に抗して貫通孔15内に埋没されて支持板11の平坦部11cを押し下げ、支持板11が支持点Pを中心にして回転変位し、昇降接続部7a〜7dがスリット13a〜13dから突出する。
【0047】
第1の絶縁基板1を押し込み続けると、まず、第1の絶縁基板1の固定接続部3a〜3cが昇降接続部7a〜7cに弾性的に接触した状態でスライドし、その後、固定接続部3dが昇降接続部7dに弾性的に接触し、全ての固定接続部3a〜3dが全ての昇降接続部7a〜7dに接触する。
【0048】
逆に、第2のコネクタ部Bから第1のコネクタ部Aを抜く場合、まず、昇降接続部7dから固定接続部3dが離れて接触状態が解除された後、昇降接続部7a〜7cから固定接続部3a〜3cが離れて接触状態が解除される。
【0049】
すなわち、第2のコネクタ部Bに第1のコネクタ部Aを挿入する場合、固定接続部3a〜3cと昇降接続部7a〜7cとが接触した後、固定接続部3dが昇降接続部7dに接触し、第2のコネクタ部Bから第1のコネクタ部Aを抜く場合、固定接続部3dと昇降接続部7dとの接触状態が解除された後、固定接続部3a〜3cと昇降接続部7a〜7cとの接触状態が解除される。
【0050】
上述した本発明のコネクタ装置は、例えば図5に示すように、制御機能を有する第1の電子回路19から上述した第1のコネクタ部Aを延ばし、別の制御機能を有する第2の電子回路21から第2のコネクタ部Bを延ばし、第1のコネクタ部Aと第2のコネクタ部Bを接続することにより、第1および第2の電子回路19、21を動作させる電子機器Cを構成可能である。
【0051】
図5中において、例えば符号L1はアースライン、符号L2はデータ信号を伝送させるデータライン、L3は電源を供給する電源ライン、L4は上述した特定接続部が介在される特定接続ラインである。
【0052】
このような電子機器Cの第1の電子回路19において、図6Aに示すように、抵抗Rを介して制御部23に印加された低電位、例えば+5V(Hレベル)の直流電源を昇降接続部7dに加え、固定接続部3dをアースに接続すれば、同図Bに示すように、昇降接続部7dと固定接続部3dの接続により、制御部23への直流電源が+5Vから0V(Lレベル)に変化する。
【0053】
なお、固定接続部3dは、昇降接続部7dと固定接続部3dとの接触より先に、例えば昇降接続部7aと固定接続部3aを介してアースに接続可能である。
【0054】
制御部23は、CPU(central processing unit)その他を有してなり、その印加直流電源のHレベルからLレベルへの変化を検出したとき、固定接続部3a〜3cおよび昇降接続部7a〜7cを介して第1の電子回路19から第2の電子回路21に電源およびデータ信号を伝送開始制御し、その印加直流電源のLレベルからHレベルへの変化を検出したとき、第1の電子回路19から第2の電子回路21への電源供給およびデータ信号伝送を遮断制御する機能を有している。
【0055】
なお、電源およびデータ信号の伝送制御は、第2の電子回路21から第1の電子回路19に対する構成や、双方交互に伝送する構成も可能である。
【0056】
このように本発明のコネクタ装置Aは、第1の絶縁基板1に複数の固定接続部3a〜3dが所定の間隔を置いて配列された第1のコネクタ部Aと、この第1のコネクタ部Aが固定接続部3a〜3dを当接させるようにして挿入される第2のコネクタ部Bであって、第2の絶縁基板5と、この第2の絶縁基板5に固定接続部3a〜3dに対応して形成されたスリット13a〜13dから外部に対し出没可能に配列されて個々の固定接続部3a〜3dに対して当接可能な複数の昇降接続部7a〜7dと、これら昇降接続部7a〜7dを支持し当該昇降接続部7a〜7dが第2の絶縁基板5から突出しないよう付勢されるとともに、その第1のコネクタ部Aの第2のコネクタ部Bへの挿入を受けて昇降接続部7a〜7dを第2の絶縁基板5から突出させて固定接続部3a〜3dに接触させる支持板(昇降部)11とを有する第2のコネクタ部とを具備している。
【0057】
しかも、複数の前記昇降接続部7a〜7dのうち1個の昇降接続部7dは、その第1のコネクタ部Aの挿入方向において、他の昇降接続部7a〜7cより奥に配置された特定接続部となっている。
【0058】
そのため、第1のコネクタ部Aに第2のコネクタ部Bを挿入すると、固定接続部3a〜3cと昇降接続部7a〜7cとが接触した後、固定接続部3dが昇降接続部7dに接触し、第2のコネクタ部Bから第1のコネクタ部Aを抜くとき、固定接続部3dと昇降接続部7dとの接触状態が解除された後、固定接続部3a〜3cと昇降接続部7a〜7cとの接触状態が解除される。
【0059】
従って、固定接続部3dが昇降接続部7dに接触してから、固定接続部3a〜3cと昇降接続部7a〜7cの間で電源供給を開始したりデータ信号を伝送開始させることが可能であり、固定接続部3dと昇降接続部7dとの接触を解除してから、固定接続部3a〜3cと昇降接続部7a〜7cに電源供給を遮断したりデータ信号伝送を遮断させることが可能である。
【0060】
これにより、第1のコネクタ部A側又は第2のコネクタ部B側において電源が供給されているとき、他方を接続する活線挿抜において安全性を確保可能であり、第1および第2のコネクタ部A、Bに接続された電子回路側の不具合発生を抑えることが容易である。
【0061】
すなわち、第1および第2のコネクタ部A、Bを外している状態で、昇降接続部7a〜7dが露出していないためユーザ等がそれらに触れ難くて安全性が向上するし、昇降接続部7a〜7dどうしの接触も抑えることが容易である。
【0062】
さらに、固定接続部3dと昇降接続部7dの確認用信号ラインを1ライン分増やすだけで、活線挿抜保護が実現できるから実施も容易である。
【0063】
ところで、上述した本発明のコネクタ装置では、第2のコネクタ部Bにおいて、支持板11の中程にて複数の昇降接続部昇降接続部7a〜7dを横切る方向の支持点Pでそれを支持し、当該支持点Pから一方の側に昇降接続部7a〜7dを支持し、その第2の絶縁基板5に設けた貫通孔15から突出して第1のコネクタ部Aの挿入を受ける検出部9を支持点Pの他方の側に支持して昇降部を形成したので、簡単な機構的構成により上述した効果を得ることが容易であるが、昇降部はそのような支持板11に限定されない。
【0064】
要は、昇降接続部7a〜7dを支持しこれが第2の絶縁基板5から突出しないよう付勢されるとともに、第1のコネクタ部Aの第2のコネクタ部Bへの挿入を受けて昇降接続部7a〜7dを第2の絶縁基板5から突出させて固定接続部3a〜3dに接触させる機構であれば良く、これに配置する検出部9の形状も任意である。
【0065】
また、本発明のコネクタ装置では、上記特定接続部である昇降接続部7dが他の昇降接続部7a〜7cより短く形成されるから、昇降接続部7dを他の昇降接続部7a〜7cより奥に配置しても全体形状を大型化させることがない。
【0066】
さらに、本発明のコネクタ装置では、上記特定接続部である昇降接続部7dが低電位又はアース電位に接続され、その昇降接続部7dに対応する固定接続部3dがアース電位又は低電位に接続されていれば、その昇降接続部7dへの接触等に対する保護の必要性が少なく、消費電力の増加を抑えることも容易である。
【0067】
また、本発明に係るコネクタ装置は、第1のコネクタ部Aと第2のコネクタ部Bの何れが他方に相対的に挿入される構成において実施可能である。
【0068】
そして、本発明のコネクタ装置を搭載した電子機器Cにおいても、コネクタ装置と同様の効果を有する。
【符号の説明】
【0069】
1 第1の絶縁基板
3a、3b、3c、3d 固定接続部
5 第2の絶縁基板
7a、7b、7c 昇降接続部
7d 昇降接続部(特定接続部)
9 検出部
9a 斜面
11 支持板(昇降部)
11a 屈曲部
11b、11c 平坦部
13a、13b、13c、13d スリット
15 貫通孔
17a、17b ガイド部
19 第1の電子回路
21 第2の電子回路
23 制御部
A 第1のコネクタ部
B 第2のコネクタ部
C 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁基板に複数の固定接続部が所定の間隔を置いて配列された第1のコネクタ部と、
この第1のコネクタ部が前記固定接続部を当接させるようにして相対的に挿入される第2のコネクタ部であって、第2の絶縁基板と、この第2の絶縁基板に前記固定接続部に対応して形成されたスリットから外部に対し出没可能に配列されて個々の前記固定接続部に対して当接可能な複数の昇降接続部と、これら昇降接続部を支持し当該昇降接続部が前記第2の絶縁基板から突出しないよう付勢されるとともに、前記第1のコネクタ部の前記第2のコネクタ部への挿入を受けて前記昇降接続部を前記第2の絶縁基板から突出させて前記固定接続部に接触させる昇降部とを有する第2のコネクタ部と、
を具備し、
複数の前記昇降接続部のうちの1個は、前記第1のコネクタ部の挿入方向において、他の前記昇降接続部より奥に配置された特定接続部であることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記第2のコネクタ部の前記昇降部は、中程にて複数の前記昇降接続部を横切る方向の支持点で支持され、当該支持点から一方の側に前記昇降接続部を支持し、前記第2の絶縁基板に設けた貫通孔から突出して前記第1のコネクタ部の挿入を受ける検出部を前記支持点から他方の側に支持してなり、前記第1のコネクタ部の挿入による当接によって前記検出部を前記第2の絶縁基板内に変位させるとともに、前記昇降接続部を前記第2の絶縁基板から突出させる請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記特定接続部は、他の前記昇降接続部より短く形成されてなる請求項1又は2記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記特定接続部は、他の前記昇降接続部における動作開始確認用として機能させる請求項1〜3いずれか1項記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記特定接続部は低電位又はアース電位に接続され、前記特定接続部に対応する前記固定接続部はアース電位又は低電位に接続されてなる請求項4記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記請求項1〜5いずれか1項記載のコネクタ装置における前記第1のコネクタ部を有する第1の電子回路と、前記第2のコネクタ部を有する第2の電子回路と具備し、前記第1又は第2の電子回路は、前記特定接続部が前記第1のコネクタ部の該当する前記固定接続部に接続されたとき、他の前記昇降接続部における動作開始を制御し、前記固定接続部の接続が解除されたとき、他の前記昇降接続部における動作停止を制御することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−227111(P2011−227111A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93717(P2010−93717)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】