コネクタ装置
【課題】機器のケース側の設計変更を伴うことなく、雌コネクタによる雄端子への衝突事故が生じることを防止する。
【解決手段】雌端子が収容された雌ハウジング31を有するハーネス側コネクタ30と、雌ハウジング31が嵌合される嵌合凹部22を設けバスバー24が嵌合凹部22内に突出した形態で収容された雄ハウジング21を有する機器側コネクタ20と、機器側コネクタ20を収容する機器のケース10と、が備えられるとともに、ケース10における雄ハウジング21の嵌合凹部22と対向した面には、嵌合凹部22の開口よりも拡径された嵌合用開口11が段差状に形成され、雌ハウジング31がケース10の嵌合用開口11を通して雄ハウジング21の嵌合凹部22に嵌合されるものにおいて、雄ハウジング21の嵌合凹部22の口縁には、嵌合用開口11内に挿通可能な筒形の突壁60が突出形成されている。
【解決手段】雌端子が収容された雌ハウジング31を有するハーネス側コネクタ30と、雌ハウジング31が嵌合される嵌合凹部22を設けバスバー24が嵌合凹部22内に突出した形態で収容された雄ハウジング21を有する機器側コネクタ20と、機器側コネクタ20を収容する機器のケース10と、が備えられるとともに、ケース10における雄ハウジング21の嵌合凹部22と対向した面には、嵌合凹部22の開口よりも拡径された嵌合用開口11が段差状に形成され、雌ハウジング31がケース10の嵌合用開口11を通して雄ハウジング21の嵌合凹部22に嵌合されるものにおいて、雄ハウジング21の嵌合凹部22の口縁には、嵌合用開口11内に挿通可能な筒形の突壁60が突出形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器側コネクタにハーネス側コネクタ等の相手コネクタを嵌合するコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車において、車載機器類に電力を供給するためのコネクタ装置として、以下のようなものが知られている。このものは、互いに嵌合される機器側コネクタとハーネス側コネクタとを備えており、機器側コネクタは、ジャンクションボックス(J/B)の外面にフード部を有する雄ハウジングが一体的に形成され、このフード部の奥面からバスバーからなる雄端子が突設された構造であり、一方のハーネス側コネクタは、上記した雄ハウジングのフード部に嵌合可能な雌ハウジング内に電線の端末に接続された雌端子を収容した構造である。機器側コネクタを備えたJ/Bは金属製のケース内に収容され、このケースにおける雄ハウジングの嵌合凹部と対向した面には、雌ハウジングを挿通するべく嵌合用開口が開けられている。この嵌合用開口は、雌ハウジングが挿通しやすいように嵌合凹部の開口よりも一回り大きい程度に形成されるのが一般的である。このようなコネクタ装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
そして、ハーネス側コネクタはケースの嵌合用開口を通して内部の機器側コネクタに嵌合するのであるが、嵌合箇所によっては嵌合動作を手探り状態で行わねばならない場合があり、そのような場合には例えばハーネス側コネクタの雌ハウジングを斜め姿勢として嵌合することに起因して、雌ハウジングの前端角部が、雄ハウジングのフード部内に深く入り、フード部の奥面から突出した雄端子に突き当たって、その変形等を招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−327561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような不具合の防止対策としては、フード部の先端を延ばしたり、フード部の内面にリブを形成することにより、斜め姿勢を採った雌ハウジングがフード部内に深く入り込むことを規制する手段が知られてはいるが、上記のようなコネクタ装置の場合は、ケースに形成された嵌合用開口の口縁が邪魔になってフード部を延ばすことができず、延ばそうと思えば嵌合用開口を広げる等、ケース側での設計変更も必要となり、またJ/Bの形状によっては、型抜きの関係でフード部内にリブを形成することが難しい場合もあり、簡単には対応できない。なお、このような事情は、雄ハウジングの形状が、フード部を設けることなく単に相手の雌ハウジングが嵌合される嵌合凹部が形成されただけのものであっても、同様に生じるところである。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、機器のケース側の設計変更を伴うことなく、雌コネクタによる雄端子への衝突事故が生じることを防止するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、雌端子が収容された雌ハウジングを有する雌コネクタと、前記雌ハウジングが嵌合される嵌合凹部を設け雄端子が前記嵌合凹部内に突出した形態で収容された雄ハウジングを有する雄コネクタと、前記雄コネクタを収容する機器のケースと、が備えられるとともに、前記ケースにおける前記雄ハウジングの前記嵌合凹部と対向した面には、前記嵌合凹部の開口よりも拡径された嵌合用開口が段差状に形成され、前記雌コネクタの前記雌ハウジングが前記ケースの前記嵌合用開口を通して、前記雄コネクタにおける前記雄ハウジングの前記嵌合凹部に嵌合されるようにしたコネクタ装置において、前記雄ハウジングの前記嵌合凹部の口縁には、前記嵌合用開口内に挿通可能な筒形の突壁が突出形成されているところに特徴を有する。
【0007】
雌ハウジングは、筒形の突壁から雄ハウジングの嵌合凹部に嵌合されるが、仮に雌コネクタが斜め姿勢で嵌合された場合、突壁の突出端が当って雌ハウジングの嵌合深さが規制され、すなわち雌ハウジングの前端角部が雄端子の位置まで到らず、同雄端子と衝突することが回避される。また、突壁は、機器のケースの嵌合用開口内に挿通可能な形状に形成したから、嵌合用開口すなわち機器のケースでの設計変更は要しない。
【0008】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記雌ハウジングには、前記雄ハウジングの前記嵌合凹部に嵌合される部分の後方側に段差状に拡径された部分が設けられ、この雌ハウジングの段差面には前記突壁の突出端側を嵌めて逃がす逃がし凹部が形成されている。
雌ハウジングに、ケースの嵌合用開口内に嵌ったり、同嵌合用開口を覆うような拡径部が設けられている場合にも、突壁が雌ハウジングにおける拡径部の段差面に設けられた逃がし凹部に嵌って逃がされつつ、両コネクタの正規嵌合が担保される。
【0009】
(2)前記突壁の突出端の内周面には、ガイド用のテーパ面が形成されている。
雌コネクタの雌ハウジングが多少傾いたり心ずれして嵌合された場合にも、テーパ面で心出しされつつ突壁から嵌合凹部に向けてスムーズに嵌合される。
【0010】
(3)前記機器のケースが金属製である一方、前記雌コネクタの前記雌ハウジングにおける前記拡径部にはシールドシェルが嵌着され、このシールドシェルの前端縁から張り出し形成されたフランジが、前記ケースにおける前記嵌合用凹部の口縁に固定されている。
シールド機能を備えたコネクタ装置に有効に適用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機器のケース側の設計変更を伴うことなく、雌コネクタによる雄端子への衝突事故が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ装置の分解斜視図
【図2】機器側コネクタとハーネス側コネクタとの嵌合前の状態の斜視図
【図3】機器側コネクタの平面図
【図4】雌ハウジングの背面図
【図5】同平面図
【図6】同底面図
【図7】同左側面図
【図8】ハーネス側コネクタの下方から視た斜視図
【図9】同背面図
【図10】同平面図
【図11】同底面図
【図12】同左側面図
【図13】機器側コネクタにハーネス側コネクタを嵌合する動作を示す側断面図
【図14】正規嵌合状態の側断面図
【図15】こじり嵌合が規制された状態を示す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図15に基づいて説明する。
本実施形態は、バッテリと車載機器とを結ぶ電気系統に介設されるコネクタ装置を例示しており、図1及び図13に示すように、ケース10内に装備される機器側コネクタ20と、ワイヤハーネスの端末に接続されて上記機器側コネクタ20と嵌合されるハーネス側コネクタ30とから構成されている。
【0014】
機器側コネクタ20は、ジャンクションボックス15(以下、J/B15)の外面に嵌合凹部22が形成されることで雄ハウジング21が一体的に形成されている。この嵌合凹部22は、図3に示すように、左右方向に長い長方形断面をなし、同嵌合凹部22内は、左右方向に3つの領域に分けられ、中央部と同図の左端の領域では、それぞれ奥面から幅広のバスバー24(本発明の雄端子に相当)が突設されている。両バスバー24は板面を揃えて左右に並んだ姿勢で配設され、嵌合凹部22の深さの9割弱の高さ寸法突出している。両バスバー24の間には背の低い仕切壁25が立てられている。
【0015】
嵌合凹部22内の図3における右側の領域には、機器側コネクタ20の嵌合検知部26が構成されている。この嵌合検知部26では、その奥面の中央部から、一対の嵌合検知用の雄タブ27が左右に所定間隔を開けて並んで突設されており、両雄タブ27の左右両側並びに手前側(図3の下側)の三方を囲むようにして、平面門形をなす仕切壁28が立てられている。
機器側コネクタ20には、図示はしないが動力用の電気回路が構成されており、上記した一対の嵌合検知用の雄タブ27同士が電気的に接続された状態にあると、電気回路が導通状態とされる一方、雄タブ27同士が非接続状態である場合には電気回路が遮断されるようになっている。
【0016】
上記のように機器側コネクタ20が設けられたJ/B15が、シールド機能を備えたアルミニウム等の金属製のケース10内に収容され、図示しないボルトで止められて固定されている。より詳細には、図13に示すように、ケース10の上面の所定位置には、機器側コネクタ20の嵌合凹部22の開口よりも大きい長方形の嵌合用開口11が形成されている。そしてJ/B15は、機器側コネクタ20の嵌合凹部22が嵌合用開口11と同心に整合し、かつ、嵌合凹部22の開口面が嵌合用開口11の下方(裏側)に所定寸法控えた位置において、上記のようにボルト止めによって固定されている。
【0017】
次に、ハーネス側コネクタ30について説明する。ハーネス側コネクタ30は大まかには、被覆電線の端末に固着された雌端子(図示せず)が収容される雌ハウジング31と、この雌ハウジング31の後端側に外嵌されるシールドシェル50とから構成されている。雌端子は、上記した機器側コネクタ20に設けられたバスバー24(雄端子)と嵌合接続されるように機能する。
【0018】
雌ハウジング31は合成樹脂製であって、図4ないし図7に示すように、上記した雄ハウジング21の嵌合凹部22内に緊密に嵌合可能な扁平なブロック状に形成されている。雌ハウジング31は左右方向に3つの領域に分けられ、中央部と背面(上面)から視た左端の領域では、それぞれ雌端子を背面側から挿入可能なキャビティ32が形成されている。各キャビティ32の前壁には、相手のバスバー24が挿入可能な端子挿入口33が開口されているとともに、キャビティ32の天井面には、雌端子のランス孔に弾性的に係止する樹脂ランス34が形成されている。
なお、雌ハウジング31の前面における両キャビティ32の間の位置には、相手の雄ハウジング21の嵌合凹部22の奥面に立てられた仕切壁25が挿入されるガイド溝35が形成されている。
各雌端子は、対応するキャビティ32内に樹脂ランス34を撓み変位させつつ後方から挿入され、前壁に当たる正規位置まで挿入されると、樹脂ランス34が復元変位して係止することで、キャビティ32内に抜け止めされて収容されるようになっている。
【0019】
雌ハウジング31における正面視で右端の領域には、ハーネス側コネクタ30の嵌合検知部37が構成されている。同嵌合検知部37には、詳しくは図示しないが、ショート端子が装着されている。
そして、後記するように、両コネクタ20,30が正規に嵌合されると、機器側コネクタ20の嵌合検知用の雄タブ27同士がショート端子を介して接続され、離脱されると、ショート端子が外れて両雄タブ27同士の接続が解除されるようになっている。
【0020】
シールドシェル50は、アルミニウム等の金属板を深絞り等のプレス加工をすることによって形成されており、雌ハウジング31の後端部(上端部)に嵌装可能な長円形の筒形に形成されている。シールドシェル50の下縁には、取付板となるフランジ51が張り出し形成され、同フランジ51の長さ方向の両端部が先細り状に延ばされて、同延出部52にそれぞれボルトの挿通孔53が開口されている。
なお、シールドシェル50の上縁55は、角に丸みを付けつつ内方に直角曲げされている。
【0021】
シールドシェル50は、雌ハウジング31の上端側に対して上方から嵌装されるようになっており、そのため雌ハウジング31の後端部の外面には、嵌装の案内用のガイドリブ40が形成されている。このガイドリブ40は、雌ハウジング31の前後の面において、それぞれ幅方向の中央部で間隔を開けて2本ずつ、また左右の面において幅方向の中央部に1本ずつの合計6本が形成されている。
各ガイドリブ40は、雌ハウジング31の上縁から中央高さ位置よりも少し上方位置まで延びて形成され、その下端部にはテーパ部41を介して突出高さが大きい高位部42が形成されている。
【0022】
各ガイドリブ40の下端には、雌ハウジング31の外面から直角に外方に突出したのち下方に直角曲げされ、さらに外方に直角曲げされたクランク状をなす張出部44が形成されている。張出部44は詳細には、垂直部45が上記したガイドリブ40の高位部42の突出端と面一に形成され、シールドシェル50の下端部の内周が、各ガイドリブ40の高位部42と張出部44の垂直部45に緊密に嵌合されるようになっている。
また、各張出部44の下側の水平部が、それぞれシールドシェル50の下縁のフランジ51の付け根部を当てるストッパ46となっている。
【0023】
雌ハウジング31の前後の面におけるガイドリブ40の間の位置には、弾性係止片48が上方を向いた片持ち状に形成され、同弾性係止片48の先端には、シールドシェル50の上縁55に係止する係止突起49が形成されている。
シールドシェル50は、雌ハウジング31の上方からガイドリブ40に沿うようにして、かつ弾性係止片48を弾性撓みさせつつ嵌装され、嵌装動作の終盤になると、シールドシェル50の下縁がガイドリブ40の高位部42と張出部44の垂直部45に緊密に外嵌しつつ押し込まれる。シールドシェル50の下縁が張出部44のストッパ46に当たったところで押し込みが停止され、そのとき弾性係止片48が復動変位しつつ係止突起49がシールドシェル50の上縁に係止することで、図8ないし図13に示すように、シールドシェル50が雌ハウジング31の後端部の外周において、がたつきなくかつ抜け止めされて装着された状態となる。
このように雌ハウジング31に装着されたシールドシェル50は、ケース10の嵌合用開口11の表面側の口縁に当てられて固定されるが、そのため嵌合用開口11は、少なくとも、全6個の張出部44のストッパ46を内側に嵌めることができる大きさに形成されている。
【0024】
さて本実施形態では、雌ハウジング31が斜め姿勢を採って相手の雄ハウジング21の嵌合凹部22内に深く嵌合されること、すなわちこじりを防止する手段が設けられている。
図1ないし図3に示すように、機器側コネクタ20の雄ハウジング21に形成された嵌合凹部22の口縁の全周から、四つ角に丸みの付けられた平面長方形をなす筒形の突壁60が突出形成されている。
【0025】
突壁60は詳細には、比較的薄肉であって、図13に示すように、その内周面が嵌合凹部22の内周面と面一となるように形成されている。また、この突壁60は、同図に示すように、J/B15がケース10内の定位置に取り付けられた場合に、その突出端がケース10の上面から所定寸法突出するような高さを持って形成されている。
突壁60の突出端の内周面には、先細りとなったガイド用のテーパ面61が形成されている。
【0026】
また、同突壁60は、上記のように比較的薄肉であるために、図14に参照して示すように、雌ハウジング31に設けられた張出部44の垂直部45の裏側のスペースに嵌入可能となっており、従って同スペースが、本発明に言う逃がし凹部65となっている。
【0027】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
ハーネス側コネクタ30では、雌ハウジング31の上端側にシールドシェル50が上記した要領で緊密に嵌装され、弾性係止片48で抜け止めされて装着される。それとともに、雌ハウジング31のキャビティ32に雌端子が挿入される。雌端子が接続された被覆電線には編組線からなるシールド筒体が嵌装されて、シールドシェル50と接続される。
【0028】
このように組み付けられたハーネス側コネクタ30が、図13の矢線に示すように、ケース10の嵌合用開口11を通して、機器側コネクタ20の雄ハウジング21を構成する嵌合凹部22内に嵌合されるが、嵌合凹部22の口縁に立てられた突壁60が嵌合用開口11の上方に突出しているから、雌ハウジング31の先端(下端)が突壁60の内側に嵌り、続いて嵌合凹部22に向けて嵌合される。突壁60の突出端の内周にはテーパ面61が形成されているから、雌ハウジング31が多少傾いたり心ずれして嵌合された場合にも、テーパ面61で心出しされつつ突壁60から嵌合凹部22に向けてスムーズに嵌合される。
【0029】
ハーネス側コネクタ30の押し込みが進んで、図14に示すように、同ハーネス側コネクタ30に装着されたシールドシェル50のフランジ51が、嵌合用開口11の表面側の口縁部に当たったところで押し込みが停止され、このとき雌ハウジング31に形成された各張出部44のストッパ46が嵌合用開口11内に収まるとともに、雄ハウジング21側の突壁60の突出端が各張出部44の逃がし凹部65に進入して逃がされつつ、両コネクタ20,30が正規嵌合された状態となる。そののち、フランジ51に形成された延出部52が、挿通孔53に通したボルト(図示せず)を嵌合用開口11の口縁部に対応して設けられたねじ孔に螺合して締め付けられることで、フランジ51がケース10に当てられた形態で固定される。
これにより、両コネクタ20,30の対応した端子金具同士が正規に接続され、また、被覆電線から両端子金具の嵌合部分に亘ってシールドされた状態となる。
【0030】
上記のハーネス側コネクタ30の嵌合操作において、雌ハウジング31が斜め姿勢で嵌合されたとしても、図15に示すように、雌ハウジング31の前面や、前端側の周面が突壁60の突出端に当って、雌ハウジング31の嵌合深さが規制され、すなわち雌ハウジング31の前端角部がバスバー24の突出端の位置までは到らず、同バスバー24と衝突することが回避される。このように嵌合操作が途中で規制されたら、ハーネス側コネクタ30を真直姿勢に向きを変えて、再度嵌合操作を行えばよい。
【0031】
本実施形態によれば、雄ハウジング21の嵌合凹部22の口縁から、嵌合用開口11内に挿通可能な筒形の突壁60を突出形成したから、仮に雌ハウジング31が斜め姿勢で嵌合された場合にも、突壁60の突出端が当たることで雌ハウジング31の嵌合深さが規制され、すなわち雌ハウジング31の前端角部がバスバー24の位置まで到らず、同バスバー24と衝突することが回避される。結果、機器用コネクタ20側のバスバー24が変形を招くといった事態の発生が未然に防止される。
【0032】
また、本実施形態のハーネス側コネクタ30は、シールドシェル50を装着したシールドコネクタであり、同シールドシェル50のフランジ51をケース10の嵌合用開口11を覆って当てて同ケース10に固定するようになっていて、それに伴い、雌ハウジング31に設けたシールドシェル50のストッパ46が嵌合用開口11内に嵌る構造となっているが、同ストッパ46の裏側には、突壁60の突出端を嵌めて逃がす逃がし凹部65が設けられているから、突壁60が同逃がし凹部65に嵌って逃がされつつ、両コネクタ20,30の正規嵌合が担保される。
【0033】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ハーネス側コネクタがシールドコネクタであって、雌ハウジングに嵌着したシールドシェルの保持用に張出部を設けて同張出部をケースに形成した嵌合用開口に収める構造としたため、同嵌合用開口が、相手の機器側コネクタの雄ハウジングにおける嵌合凹部の開口よりも相当に大きく形成されていたのであるが、雌ハウジングに上記のような張出部が設けられていなければ、嵌合用開口は、嵌合凹部よりも若干大きい程度に形成すれば足りる。
そのような構造の場合は、嵌合凹部の口縁から、嵌合用開口の口縁と干渉しない程度の薄肉の突壁を突出形成すればよい。
【0034】
(2)ハーネス側コネクタの雌ハウジングの形状によっては、雌ハウジングに対して必ずしも突壁を逃がす逃がし凹部を設ける必要はなく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(3)上記実施形態では、機器用コネクタの雄ハウジングの形状として、J/Bの外面に単に嵌合凹部を穿設したものを例示したが、J/Bの外面にフード部を形成して同フード部の内側に嵌合凹部を設けた構造であってもよく、そのようなものにも本発明は同様に適用することができる。
(4)本発明は上記実施形態に例示した機器用のシールドコネクタ装置に限らず、例えばパネルの裏側で待ち受けたコネクタに対し、同パネルに形成した嵌合用開口を通して相手のコネクタを嵌合するようにしたコネクタ装置についても、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
10…ケース
11…嵌合用開口
20…機器側コネクタ(雄コネクタ)
21…雄ハウジング
22…嵌合凹部
24…バスバー(雄端子)
30…ハーネス側コネクタ(雌コネクタ)
31…雌ハウジング
44…張出部(拡径部)
50…シールドシェル
51…フランジ
60…突壁
61…テーパ面
65…逃がし凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器側コネクタにハーネス側コネクタ等の相手コネクタを嵌合するコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車において、車載機器類に電力を供給するためのコネクタ装置として、以下のようなものが知られている。このものは、互いに嵌合される機器側コネクタとハーネス側コネクタとを備えており、機器側コネクタは、ジャンクションボックス(J/B)の外面にフード部を有する雄ハウジングが一体的に形成され、このフード部の奥面からバスバーからなる雄端子が突設された構造であり、一方のハーネス側コネクタは、上記した雄ハウジングのフード部に嵌合可能な雌ハウジング内に電線の端末に接続された雌端子を収容した構造である。機器側コネクタを備えたJ/Bは金属製のケース内に収容され、このケースにおける雄ハウジングの嵌合凹部と対向した面には、雌ハウジングを挿通するべく嵌合用開口が開けられている。この嵌合用開口は、雌ハウジングが挿通しやすいように嵌合凹部の開口よりも一回り大きい程度に形成されるのが一般的である。このようなコネクタ装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
そして、ハーネス側コネクタはケースの嵌合用開口を通して内部の機器側コネクタに嵌合するのであるが、嵌合箇所によっては嵌合動作を手探り状態で行わねばならない場合があり、そのような場合には例えばハーネス側コネクタの雌ハウジングを斜め姿勢として嵌合することに起因して、雌ハウジングの前端角部が、雄ハウジングのフード部内に深く入り、フード部の奥面から突出した雄端子に突き当たって、その変形等を招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−327561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような不具合の防止対策としては、フード部の先端を延ばしたり、フード部の内面にリブを形成することにより、斜め姿勢を採った雌ハウジングがフード部内に深く入り込むことを規制する手段が知られてはいるが、上記のようなコネクタ装置の場合は、ケースに形成された嵌合用開口の口縁が邪魔になってフード部を延ばすことができず、延ばそうと思えば嵌合用開口を広げる等、ケース側での設計変更も必要となり、またJ/Bの形状によっては、型抜きの関係でフード部内にリブを形成することが難しい場合もあり、簡単には対応できない。なお、このような事情は、雄ハウジングの形状が、フード部を設けることなく単に相手の雌ハウジングが嵌合される嵌合凹部が形成されただけのものであっても、同様に生じるところである。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、機器のケース側の設計変更を伴うことなく、雌コネクタによる雄端子への衝突事故が生じることを防止するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、雌端子が収容された雌ハウジングを有する雌コネクタと、前記雌ハウジングが嵌合される嵌合凹部を設け雄端子が前記嵌合凹部内に突出した形態で収容された雄ハウジングを有する雄コネクタと、前記雄コネクタを収容する機器のケースと、が備えられるとともに、前記ケースにおける前記雄ハウジングの前記嵌合凹部と対向した面には、前記嵌合凹部の開口よりも拡径された嵌合用開口が段差状に形成され、前記雌コネクタの前記雌ハウジングが前記ケースの前記嵌合用開口を通して、前記雄コネクタにおける前記雄ハウジングの前記嵌合凹部に嵌合されるようにしたコネクタ装置において、前記雄ハウジングの前記嵌合凹部の口縁には、前記嵌合用開口内に挿通可能な筒形の突壁が突出形成されているところに特徴を有する。
【0007】
雌ハウジングは、筒形の突壁から雄ハウジングの嵌合凹部に嵌合されるが、仮に雌コネクタが斜め姿勢で嵌合された場合、突壁の突出端が当って雌ハウジングの嵌合深さが規制され、すなわち雌ハウジングの前端角部が雄端子の位置まで到らず、同雄端子と衝突することが回避される。また、突壁は、機器のケースの嵌合用開口内に挿通可能な形状に形成したから、嵌合用開口すなわち機器のケースでの設計変更は要しない。
【0008】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記雌ハウジングには、前記雄ハウジングの前記嵌合凹部に嵌合される部分の後方側に段差状に拡径された部分が設けられ、この雌ハウジングの段差面には前記突壁の突出端側を嵌めて逃がす逃がし凹部が形成されている。
雌ハウジングに、ケースの嵌合用開口内に嵌ったり、同嵌合用開口を覆うような拡径部が設けられている場合にも、突壁が雌ハウジングにおける拡径部の段差面に設けられた逃がし凹部に嵌って逃がされつつ、両コネクタの正規嵌合が担保される。
【0009】
(2)前記突壁の突出端の内周面には、ガイド用のテーパ面が形成されている。
雌コネクタの雌ハウジングが多少傾いたり心ずれして嵌合された場合にも、テーパ面で心出しされつつ突壁から嵌合凹部に向けてスムーズに嵌合される。
【0010】
(3)前記機器のケースが金属製である一方、前記雌コネクタの前記雌ハウジングにおける前記拡径部にはシールドシェルが嵌着され、このシールドシェルの前端縁から張り出し形成されたフランジが、前記ケースにおける前記嵌合用凹部の口縁に固定されている。
シールド機能を備えたコネクタ装置に有効に適用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機器のケース側の設計変更を伴うことなく、雌コネクタによる雄端子への衝突事故が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ装置の分解斜視図
【図2】機器側コネクタとハーネス側コネクタとの嵌合前の状態の斜視図
【図3】機器側コネクタの平面図
【図4】雌ハウジングの背面図
【図5】同平面図
【図6】同底面図
【図7】同左側面図
【図8】ハーネス側コネクタの下方から視た斜視図
【図9】同背面図
【図10】同平面図
【図11】同底面図
【図12】同左側面図
【図13】機器側コネクタにハーネス側コネクタを嵌合する動作を示す側断面図
【図14】正規嵌合状態の側断面図
【図15】こじり嵌合が規制された状態を示す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図15に基づいて説明する。
本実施形態は、バッテリと車載機器とを結ぶ電気系統に介設されるコネクタ装置を例示しており、図1及び図13に示すように、ケース10内に装備される機器側コネクタ20と、ワイヤハーネスの端末に接続されて上記機器側コネクタ20と嵌合されるハーネス側コネクタ30とから構成されている。
【0014】
機器側コネクタ20は、ジャンクションボックス15(以下、J/B15)の外面に嵌合凹部22が形成されることで雄ハウジング21が一体的に形成されている。この嵌合凹部22は、図3に示すように、左右方向に長い長方形断面をなし、同嵌合凹部22内は、左右方向に3つの領域に分けられ、中央部と同図の左端の領域では、それぞれ奥面から幅広のバスバー24(本発明の雄端子に相当)が突設されている。両バスバー24は板面を揃えて左右に並んだ姿勢で配設され、嵌合凹部22の深さの9割弱の高さ寸法突出している。両バスバー24の間には背の低い仕切壁25が立てられている。
【0015】
嵌合凹部22内の図3における右側の領域には、機器側コネクタ20の嵌合検知部26が構成されている。この嵌合検知部26では、その奥面の中央部から、一対の嵌合検知用の雄タブ27が左右に所定間隔を開けて並んで突設されており、両雄タブ27の左右両側並びに手前側(図3の下側)の三方を囲むようにして、平面門形をなす仕切壁28が立てられている。
機器側コネクタ20には、図示はしないが動力用の電気回路が構成されており、上記した一対の嵌合検知用の雄タブ27同士が電気的に接続された状態にあると、電気回路が導通状態とされる一方、雄タブ27同士が非接続状態である場合には電気回路が遮断されるようになっている。
【0016】
上記のように機器側コネクタ20が設けられたJ/B15が、シールド機能を備えたアルミニウム等の金属製のケース10内に収容され、図示しないボルトで止められて固定されている。より詳細には、図13に示すように、ケース10の上面の所定位置には、機器側コネクタ20の嵌合凹部22の開口よりも大きい長方形の嵌合用開口11が形成されている。そしてJ/B15は、機器側コネクタ20の嵌合凹部22が嵌合用開口11と同心に整合し、かつ、嵌合凹部22の開口面が嵌合用開口11の下方(裏側)に所定寸法控えた位置において、上記のようにボルト止めによって固定されている。
【0017】
次に、ハーネス側コネクタ30について説明する。ハーネス側コネクタ30は大まかには、被覆電線の端末に固着された雌端子(図示せず)が収容される雌ハウジング31と、この雌ハウジング31の後端側に外嵌されるシールドシェル50とから構成されている。雌端子は、上記した機器側コネクタ20に設けられたバスバー24(雄端子)と嵌合接続されるように機能する。
【0018】
雌ハウジング31は合成樹脂製であって、図4ないし図7に示すように、上記した雄ハウジング21の嵌合凹部22内に緊密に嵌合可能な扁平なブロック状に形成されている。雌ハウジング31は左右方向に3つの領域に分けられ、中央部と背面(上面)から視た左端の領域では、それぞれ雌端子を背面側から挿入可能なキャビティ32が形成されている。各キャビティ32の前壁には、相手のバスバー24が挿入可能な端子挿入口33が開口されているとともに、キャビティ32の天井面には、雌端子のランス孔に弾性的に係止する樹脂ランス34が形成されている。
なお、雌ハウジング31の前面における両キャビティ32の間の位置には、相手の雄ハウジング21の嵌合凹部22の奥面に立てられた仕切壁25が挿入されるガイド溝35が形成されている。
各雌端子は、対応するキャビティ32内に樹脂ランス34を撓み変位させつつ後方から挿入され、前壁に当たる正規位置まで挿入されると、樹脂ランス34が復元変位して係止することで、キャビティ32内に抜け止めされて収容されるようになっている。
【0019】
雌ハウジング31における正面視で右端の領域には、ハーネス側コネクタ30の嵌合検知部37が構成されている。同嵌合検知部37には、詳しくは図示しないが、ショート端子が装着されている。
そして、後記するように、両コネクタ20,30が正規に嵌合されると、機器側コネクタ20の嵌合検知用の雄タブ27同士がショート端子を介して接続され、離脱されると、ショート端子が外れて両雄タブ27同士の接続が解除されるようになっている。
【0020】
シールドシェル50は、アルミニウム等の金属板を深絞り等のプレス加工をすることによって形成されており、雌ハウジング31の後端部(上端部)に嵌装可能な長円形の筒形に形成されている。シールドシェル50の下縁には、取付板となるフランジ51が張り出し形成され、同フランジ51の長さ方向の両端部が先細り状に延ばされて、同延出部52にそれぞれボルトの挿通孔53が開口されている。
なお、シールドシェル50の上縁55は、角に丸みを付けつつ内方に直角曲げされている。
【0021】
シールドシェル50は、雌ハウジング31の上端側に対して上方から嵌装されるようになっており、そのため雌ハウジング31の後端部の外面には、嵌装の案内用のガイドリブ40が形成されている。このガイドリブ40は、雌ハウジング31の前後の面において、それぞれ幅方向の中央部で間隔を開けて2本ずつ、また左右の面において幅方向の中央部に1本ずつの合計6本が形成されている。
各ガイドリブ40は、雌ハウジング31の上縁から中央高さ位置よりも少し上方位置まで延びて形成され、その下端部にはテーパ部41を介して突出高さが大きい高位部42が形成されている。
【0022】
各ガイドリブ40の下端には、雌ハウジング31の外面から直角に外方に突出したのち下方に直角曲げされ、さらに外方に直角曲げされたクランク状をなす張出部44が形成されている。張出部44は詳細には、垂直部45が上記したガイドリブ40の高位部42の突出端と面一に形成され、シールドシェル50の下端部の内周が、各ガイドリブ40の高位部42と張出部44の垂直部45に緊密に嵌合されるようになっている。
また、各張出部44の下側の水平部が、それぞれシールドシェル50の下縁のフランジ51の付け根部を当てるストッパ46となっている。
【0023】
雌ハウジング31の前後の面におけるガイドリブ40の間の位置には、弾性係止片48が上方を向いた片持ち状に形成され、同弾性係止片48の先端には、シールドシェル50の上縁55に係止する係止突起49が形成されている。
シールドシェル50は、雌ハウジング31の上方からガイドリブ40に沿うようにして、かつ弾性係止片48を弾性撓みさせつつ嵌装され、嵌装動作の終盤になると、シールドシェル50の下縁がガイドリブ40の高位部42と張出部44の垂直部45に緊密に外嵌しつつ押し込まれる。シールドシェル50の下縁が張出部44のストッパ46に当たったところで押し込みが停止され、そのとき弾性係止片48が復動変位しつつ係止突起49がシールドシェル50の上縁に係止することで、図8ないし図13に示すように、シールドシェル50が雌ハウジング31の後端部の外周において、がたつきなくかつ抜け止めされて装着された状態となる。
このように雌ハウジング31に装着されたシールドシェル50は、ケース10の嵌合用開口11の表面側の口縁に当てられて固定されるが、そのため嵌合用開口11は、少なくとも、全6個の張出部44のストッパ46を内側に嵌めることができる大きさに形成されている。
【0024】
さて本実施形態では、雌ハウジング31が斜め姿勢を採って相手の雄ハウジング21の嵌合凹部22内に深く嵌合されること、すなわちこじりを防止する手段が設けられている。
図1ないし図3に示すように、機器側コネクタ20の雄ハウジング21に形成された嵌合凹部22の口縁の全周から、四つ角に丸みの付けられた平面長方形をなす筒形の突壁60が突出形成されている。
【0025】
突壁60は詳細には、比較的薄肉であって、図13に示すように、その内周面が嵌合凹部22の内周面と面一となるように形成されている。また、この突壁60は、同図に示すように、J/B15がケース10内の定位置に取り付けられた場合に、その突出端がケース10の上面から所定寸法突出するような高さを持って形成されている。
突壁60の突出端の内周面には、先細りとなったガイド用のテーパ面61が形成されている。
【0026】
また、同突壁60は、上記のように比較的薄肉であるために、図14に参照して示すように、雌ハウジング31に設けられた張出部44の垂直部45の裏側のスペースに嵌入可能となっており、従って同スペースが、本発明に言う逃がし凹部65となっている。
【0027】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
ハーネス側コネクタ30では、雌ハウジング31の上端側にシールドシェル50が上記した要領で緊密に嵌装され、弾性係止片48で抜け止めされて装着される。それとともに、雌ハウジング31のキャビティ32に雌端子が挿入される。雌端子が接続された被覆電線には編組線からなるシールド筒体が嵌装されて、シールドシェル50と接続される。
【0028】
このように組み付けられたハーネス側コネクタ30が、図13の矢線に示すように、ケース10の嵌合用開口11を通して、機器側コネクタ20の雄ハウジング21を構成する嵌合凹部22内に嵌合されるが、嵌合凹部22の口縁に立てられた突壁60が嵌合用開口11の上方に突出しているから、雌ハウジング31の先端(下端)が突壁60の内側に嵌り、続いて嵌合凹部22に向けて嵌合される。突壁60の突出端の内周にはテーパ面61が形成されているから、雌ハウジング31が多少傾いたり心ずれして嵌合された場合にも、テーパ面61で心出しされつつ突壁60から嵌合凹部22に向けてスムーズに嵌合される。
【0029】
ハーネス側コネクタ30の押し込みが進んで、図14に示すように、同ハーネス側コネクタ30に装着されたシールドシェル50のフランジ51が、嵌合用開口11の表面側の口縁部に当たったところで押し込みが停止され、このとき雌ハウジング31に形成された各張出部44のストッパ46が嵌合用開口11内に収まるとともに、雄ハウジング21側の突壁60の突出端が各張出部44の逃がし凹部65に進入して逃がされつつ、両コネクタ20,30が正規嵌合された状態となる。そののち、フランジ51に形成された延出部52が、挿通孔53に通したボルト(図示せず)を嵌合用開口11の口縁部に対応して設けられたねじ孔に螺合して締め付けられることで、フランジ51がケース10に当てられた形態で固定される。
これにより、両コネクタ20,30の対応した端子金具同士が正規に接続され、また、被覆電線から両端子金具の嵌合部分に亘ってシールドされた状態となる。
【0030】
上記のハーネス側コネクタ30の嵌合操作において、雌ハウジング31が斜め姿勢で嵌合されたとしても、図15に示すように、雌ハウジング31の前面や、前端側の周面が突壁60の突出端に当って、雌ハウジング31の嵌合深さが規制され、すなわち雌ハウジング31の前端角部がバスバー24の突出端の位置までは到らず、同バスバー24と衝突することが回避される。このように嵌合操作が途中で規制されたら、ハーネス側コネクタ30を真直姿勢に向きを変えて、再度嵌合操作を行えばよい。
【0031】
本実施形態によれば、雄ハウジング21の嵌合凹部22の口縁から、嵌合用開口11内に挿通可能な筒形の突壁60を突出形成したから、仮に雌ハウジング31が斜め姿勢で嵌合された場合にも、突壁60の突出端が当たることで雌ハウジング31の嵌合深さが規制され、すなわち雌ハウジング31の前端角部がバスバー24の位置まで到らず、同バスバー24と衝突することが回避される。結果、機器用コネクタ20側のバスバー24が変形を招くといった事態の発生が未然に防止される。
【0032】
また、本実施形態のハーネス側コネクタ30は、シールドシェル50を装着したシールドコネクタであり、同シールドシェル50のフランジ51をケース10の嵌合用開口11を覆って当てて同ケース10に固定するようになっていて、それに伴い、雌ハウジング31に設けたシールドシェル50のストッパ46が嵌合用開口11内に嵌る構造となっているが、同ストッパ46の裏側には、突壁60の突出端を嵌めて逃がす逃がし凹部65が設けられているから、突壁60が同逃がし凹部65に嵌って逃がされつつ、両コネクタ20,30の正規嵌合が担保される。
【0033】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ハーネス側コネクタがシールドコネクタであって、雌ハウジングに嵌着したシールドシェルの保持用に張出部を設けて同張出部をケースに形成した嵌合用開口に収める構造としたため、同嵌合用開口が、相手の機器側コネクタの雄ハウジングにおける嵌合凹部の開口よりも相当に大きく形成されていたのであるが、雌ハウジングに上記のような張出部が設けられていなければ、嵌合用開口は、嵌合凹部よりも若干大きい程度に形成すれば足りる。
そのような構造の場合は、嵌合凹部の口縁から、嵌合用開口の口縁と干渉しない程度の薄肉の突壁を突出形成すればよい。
【0034】
(2)ハーネス側コネクタの雌ハウジングの形状によっては、雌ハウジングに対して必ずしも突壁を逃がす逃がし凹部を設ける必要はなく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(3)上記実施形態では、機器用コネクタの雄ハウジングの形状として、J/Bの外面に単に嵌合凹部を穿設したものを例示したが、J/Bの外面にフード部を形成して同フード部の内側に嵌合凹部を設けた構造であってもよく、そのようなものにも本発明は同様に適用することができる。
(4)本発明は上記実施形態に例示した機器用のシールドコネクタ装置に限らず、例えばパネルの裏側で待ち受けたコネクタに対し、同パネルに形成した嵌合用開口を通して相手のコネクタを嵌合するようにしたコネクタ装置についても、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
10…ケース
11…嵌合用開口
20…機器側コネクタ(雄コネクタ)
21…雄ハウジング
22…嵌合凹部
24…バスバー(雄端子)
30…ハーネス側コネクタ(雌コネクタ)
31…雌ハウジング
44…張出部(拡径部)
50…シールドシェル
51…フランジ
60…突壁
61…テーパ面
65…逃がし凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌端子が収容された雌ハウジングを有する雌コネクタと、
前記雌ハウジングが嵌合される嵌合凹部を設け雄端子が前記嵌合凹部内に突出した形態で収容された雄ハウジングを有する雄コネクタと、
前記雄コネクタを収容する機器のケースと、が備えられるとともに、
前記ケースにおける前記雄ハウジングの前記嵌合凹部と対向した面には、前記嵌合凹部の開口よりも拡径された嵌合用開口が段差状に形成され、
前記雌コネクタの前記雌ハウジングが前記ケースの前記嵌合用開口を通して、前記雄コネクタにおける前記雄ハウジングの前記嵌合凹部に嵌合されるようにしたコネクタ装置において、
前記雄ハウジングの前記嵌合凹部の口縁には、前記嵌合用開口内に挿通可能な筒形の突壁が突出形成されていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記雌ハウジングには、前記雄ハウジングの前記嵌合凹部に嵌合される部分の後方側に段差状に拡径された部分が設けられ、この雌ハウジングの段差面には前記突壁の突出端側を嵌めて逃がす逃がし凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記突壁の突出端の内周面には、ガイド用のテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記機器のケースが金属製である一方、前記雌コネクタの前記雌ハウジングにおける前記拡径部にはシールドシェルが嵌着され、このシールドシェルの前端縁から張り出し形成されたフランジが、前記ケースにおける前記嵌合用凹部の口縁に固定されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載のコネクタ装置。
【請求項1】
雌端子が収容された雌ハウジングを有する雌コネクタと、
前記雌ハウジングが嵌合される嵌合凹部を設け雄端子が前記嵌合凹部内に突出した形態で収容された雄ハウジングを有する雄コネクタと、
前記雄コネクタを収容する機器のケースと、が備えられるとともに、
前記ケースにおける前記雄ハウジングの前記嵌合凹部と対向した面には、前記嵌合凹部の開口よりも拡径された嵌合用開口が段差状に形成され、
前記雌コネクタの前記雌ハウジングが前記ケースの前記嵌合用開口を通して、前記雄コネクタにおける前記雄ハウジングの前記嵌合凹部に嵌合されるようにしたコネクタ装置において、
前記雄ハウジングの前記嵌合凹部の口縁には、前記嵌合用開口内に挿通可能な筒形の突壁が突出形成されていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記雌ハウジングには、前記雄ハウジングの前記嵌合凹部に嵌合される部分の後方側に段差状に拡径された部分が設けられ、この雌ハウジングの段差面には前記突壁の突出端側を嵌めて逃がす逃がし凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記突壁の突出端の内周面には、ガイド用のテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記機器のケースが金属製である一方、前記雌コネクタの前記雌ハウジングにおける前記拡径部にはシールドシェルが嵌着され、このシールドシェルの前端縁から張り出し形成されたフランジが、前記ケースにおける前記嵌合用凹部の口縁に固定されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載のコネクタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−169221(P2012−169221A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31098(P2011−31098)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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